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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】めっき装置
(51)【国際特許分類】
   C25D 17/06 20060101AFI20220111BHJP
   C25D 7/12 20060101ALI20220111BHJP
   C25D 21/10 20060101ALI20220111BHJP
   C25D 21/04 20060101ALI20220111BHJP
   C25D 17/00 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
C25D17/06 C
C25D7/12
C25D21/10 301
C25D21/04
C25D17/00 H
【請求項の数】 40
(21)【出願番号】P 2020512478
(86)(22)【出願日】2017-08-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-11-05
(86)【国際出願番号】 CN2017099572
(87)【国際公開番号】W WO2019041154
(87)【国際公開日】2019-03-07
【審査請求日】2020-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】510005650
【氏名又は名称】エーシーエム リサーチ (シャンハイ) インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】特許業務法人梶・須原特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジャ ヂャオウェイ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン ホンチャオ
(72)【発明者】
【氏名】ルー チェンファ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ジィェン
(72)【発明者】
【氏名】ワン フゥイ
【審査官】大塚 美咲
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-308075(JP,A)
【文献】特表2007-523996(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0058424(US,A1)
【文献】特表2016-504500(JP,A)
【文献】特開2001-316877(JP,A)
【文献】特表2005-522585(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C25D 17/06
C25D 7/12
C25D 21/10
C25D 21/04
C25D 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に金属を析出させるめっき装置において、
膜フレームであって、前記膜フレームの中央を貫通する中央路を有する膜フレームと、
前記膜フレームの前記中央路に接続する陰極液入口管と、
前記膜フレームの前記中央に固定されかつ前記膜フレームの前記中央路を覆う中央蓋であって、前記中央蓋の上部に複数の第1穴を有する中央蓋と、を備え、
前記陰極液入口管から前記膜フレームの前記中央路を通って前記中央蓋に陰極液が供給され、前記陰極液が前記中央蓋の前記複数の第1穴を通って前記基板の中央部に供給される、めっき装置。
【請求項2】
前記中央蓋に供給される陰極液の流れが調整可能であり独立して制御される、請求項に記載のめっき装置。
【請求項3】
前記中央蓋が、前記中央蓋の中央に画定された貫通孔を有し、調整部材が、前記中央蓋の前記貫通孔に挿入されかつ前記膜フレームの前記中央路の上端に配置され、前記中央蓋に供給される陰極液の流れを調整するように構成された、請求項に記載のめっき装置。
【請求項4】
前記調整部材は、基部と、前記基部の下部に形成された阻止部とを有する、請求項3に記載のめっき装置。
【請求項5】
前記基部の上部に、前記調整部材を回転させるための溝状の開口が形成されており、前記調整部材は、前記阻止部と前記中央路との間の間隙のサイズを調整するため、前記中央蓋の前記貫通孔内において上下に移動可能であり、前記陰極液が前記間隙を通って前記中央蓋に供給される、請求項4に記載のめっき装置。
【請求項6】
前記調整部材は位置決めねじである、請求項3に記載のめっき装置。
【請求項7】
前記複数の第1穴の直径又は密度が一定である、請求項1に記載のめっき装置。
【請求項8】
前記複数の第1穴の直径又は密度が一定でない、請求項1に記載のめっき装置。
【請求項9】
前記複数の第1穴の直径が前記中央蓋の中央部から縁部に向かって漸進的に大きくなっているか、又は、前記複数の第1穴の密度が前記中央蓋の中央部から縁部に向かって漸進的に大きくなっている、請求項1に記載のめっき装置。
【請求項10】
前記中央蓋は、複数の第2穴が形成された側壁を有し、前記複数の第2穴それぞれの開口方向は、前記中央蓋が延在する方向及び前記中央蓋と直交する方向の双方に交差する方向であり、かつ、前記中央蓋の下部から上部に向かう方向である、請求項1に記載のめっき装置。
【請求項11】
前記膜フレームは、前記陰極液入口管及び前記中央路に接続される陰極液入口を有し、
前記膜フレームは、前記膜フレームの中央部から縁部に向かって延びる複数の分岐管を有し、前記複数の分岐管は、それぞれ、前記陰極液入口に接続され、かつ、複数の噴霧穴を有する、請求項1に記載のめっき装置。
【請求項12】
前記複数の噴霧穴の直径又は密度が一定である、請求項11に記載のめっき装置。
【請求項13】
前記複数の噴霧穴の直径又は密度が一定でない、請求項11に記載のめっき装置。
【請求項14】
前記複数の噴霧穴の直径又密度が、前記膜フレームの中央部から縁部に向かって漸進的に大きくなっている、請求項11に記載のめっき装置。
【請求項15】
前記複数の噴霧穴それぞれの開口方向は、鉛直面に対して傾いている、請求項11に記載のめっき装置。
【請求項16】
前記複数の分岐管のそれぞれに設けられた前記複数の噴霧穴は、開口方向が互いに逆である2つの群に分類される、請求項15に記載のめっき装置。
【請求項17】
少なくとも1つの拡散板をさらに備え、前記拡散板は、複数の開口を有し、前記膜フレームに固定されている、請求項1に記載のめっき装置。
【請求項18】
前記拡散板に設けられた前記複数の開口のサイズは一定であり、前記拡散板に設けられた前記複数の開口の密度は一定である、請求項17に記載のめっき装置。
【請求項19】
前記拡散板に設けられた前記複数の開口の密度は一定であり、前記拡散板の中央部に設けられた前記複数の開口の直径は、前記拡散板の縁部に設けられた前記複数の開口の直径よりも大きい、請求項17に記載のめっき装置。
【請求項20】
前記拡散板の数が2つであり、前記2つの拡散板は、それぞれ、第1拡散板及び第2拡散板として定義され、前記第1拡散板は、前記第2拡散板の上に設置され、前記2つの拡散板は互いに離隔している、請求項17に記載のめっき装置。
【請求項21】
前記第1拡散板に設けられた前記複数の開口の密度は、前記第2拡散板に設けられた前記複数の開口の密度よりも大きい、請求項20に記載のめっき装置。
【請求項22】
前記2つの拡散板の間に設置される環状の中板をさらに備え、前記中板は、前記中板の内側の縁部に複数の凸部と複数の凹部とを有する、請求項20に記載のめっき装置。
【請求項23】
前記複数の凸部と前記複数の凹部とが交互に配置されている、請求項22に記載のめっき装置。
【請求項24】
前記第1拡散板の前記縁部に設けられた前記複数の開口のうち、半分は、前記中板の前記凸部によってブロックされ、残りの半分は、ブロックされていない、請求項22に記載のめっき装置。
【請求項25】
前記膜フレーム上に配置された膜によって互いに分離された陽極室及び陰極室をさらに備えている、請求項1に記載のめっき装置。
【請求項26】
前記陽極室は、排出路にそれぞれ接続される複数の排出穴が形成された、側壁を有する、請求項25に記載のめっき装置。
【請求項27】
前記陽極室は、複数の陽極領域に分かれており、隣接する2つの前記陽極領域は、鉛直に配置された仕切りによって分けられ、前記複数の陽極領域は、それぞれ、環状陽極を収容し、かつ、独立した陽極液入口と、独立した陽極液出口とを有する、請求項26に記載のめっき装置。
【請求項28】
前記仕切りの上部と前記膜との間に、気泡を通過させるための間隙が設けられており、前記複数の陽極領域内の気泡が、収集され、前記膜によって前記排出穴に案内され、前記排出路から排出される、請求項27に記載のめっき装置。
【請求項29】
前記陽極液入口に接続された陽極液入口管に設置される第3弁と、前記排出路に接続された排出管に設置される第2弁と、をさらに備え、陽極電解液は、前記陽極液入口管及び前記陽極液入口を通って前記複数の陽極領域に供給され、その後、前記排出穴、前記排出路及び前記排出管を通って排出される、請求項28に記載のめっき装置。
【請求項30】
前記陽極液出口に接続された陽極液出口管に設置される第4弁をさらに備え、前記複数の陽極領域内の陽極電解液は、前記陽極液出口及び前記陽極液出口管を通って排水される、請求項27に記載のめっき装置。
【請求項31】
DIW入口管に設置される第1弁と、DIW出口管に設定される第5弁と、をさらに備え、前記DIW入口管は、前記排出路に接続され、前記DIW出口管は前記陽極液出口に接続され、DIWは、前記複数の陽極領域に供給され、前記DIW入口管、前記排出路及び前記排出穴を通って前記環状陽極に流れ、その後、前記陽極液出口及び前記DIW出口管を通って排水される、請求項28に記載のめっき装置。
【請求項32】
前記陰極室は、内側壁及び外側壁を有し、前記内側壁と前記外側壁との間に窪みが形成され、前記内側壁の上部に複数の切欠きが形成され、前記窪みの下部に複数の陰極液出口が設けられ、前記陰極室の電解液は、前記複数の切欠きを通って前記窪みに受容され、前記陰極液出口を通って排水される、請求項25に記載のめっき装置。
【請求項33】
前記陰極室に配置された、前記基板のめっき膜を清掃するための基板リンスノズルをさらに備えている、請求項25に記載のめっき装置。
【請求項34】
前記陰極室の上部に固定されたシュラウドをさらに備えている、請求項25に記載のめっき装置。
【請求項35】
前記シュラウドは、排水路が接続された収集溝を有し、前記収集溝内の液体は、前記排水路を通って排水される、請求項34に記載のめっき装置。
【請求項36】
前記シュラウドの側壁は、前記収集溝を清掃するための清掃液入口を画定している、請求項35に記載のめっき装置。
【請求項37】
前記陰極室に接続した、ガス排気のためのガス通気口をさらに備えている、請求項25に記載のめっき装置。
【請求項38】
前記シュラウドより上方に配置されチャック清掃ノズルをさらに備え、前記チャック清掃ノズルは、めっき中に前記基板を保持するチャックを清掃するものである、請求項34に記載のめっき装置。
【請求項39】
前記チャックは、複数の直立柱を有する、請求項38に記載のめっき装置。
【請求項40】
タイマを有するコントローラをさらに備え、前記チャック清掃ノズルに接続された、前記チャック清掃ノズルに清掃液を供給するための供給管に、開閉弁が設置され、
前記コントローラは、前記タイマに基づいて前記開閉弁を制御することにより、
前記複数の直立柱のそれぞれが前記チャック清掃ノズルを通過する間、前記開閉弁を閉じることで、前記清掃液の噴霧を停止させ、
前記複数の直立柱が前記チャック清掃ノズルを通過した後、前記開閉弁を開くことで、前記清掃液を噴霧させるように構成されている、請求項39に記載のめっき装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、IC半導体製造設備に関し、より詳細には、金属析出用のめっき装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造の技術分野において、めっきは、基板上に金属膜を析出するのに一般に用いられる方法である。特に、先進的な実装技術においては、チップ基板の接続部の形成に用いられる銅柱や半田バンプが、一般に電気めっきにより、基板に形成される。これは、電気めっきが、簡素な工程、低コスト、大量生産が容易である等の、利点を有するためである。しかし現在市場に出ているめっき装置は、残念ながら、めっき速度が低いという共通の問題がある。めっき速度が低いということは、生産効率が低いことを意味し、半導体事業においては受け入れ難いことである。半導体事業において、最も大きな投資コストは、多数の製造設備にある。したがって、設備能力を最適化することが、コスト低減に最も有効な方法である。
【0003】
めっき速度を上昇させるには、物質移動を促進する必要がある。図23は、銅柱の異常な形状を示す。図24は、銅柱の正常な形状を示す。銅柱の異常な形状は、物質移動が不十分であることにより析出速度が制限された場合に生じる。めっきでは、柱内に銅柱を形成する際に、物質移動が不十分であると、電解液の流れが大きい領域ほどめっき速度が高く、それ以外の領域ではめっき速度が低くなる。その結果、めっき後において、銅柱の形状が異常なものとなる。基板全体において銅柱の正常な形状を得るには、銅柱の全領域において物質移動が十分に大きいこと、また、全ての銅柱が正常でかつ基板上に一様に形成されるよう、基板全体において物質移動が十分に大きいことが必要であると、理解できるであろう。
【0004】
一般に、物質移動を高める方法としては、例えば、めっき溶液の化学式を最適化すること、めっき溶液の温度を高めること、めっき溶液の攪拌を促進すること等、複数の方法がある。このうち、めっき溶液の攪拌を促進することは、基板の回転速度を大きくすること、電解液中で攪拌器を用いること、電解液の流速を大きくすることを含む。しかし、基板の回転速度を大きくすると、遠心力の影響により、基板において、縁部に形成されるめっきは厚くなる一方、中央部に形成されるめっきは薄くなる。したがって、単に基板の回転速度を大きくするだけでは、めっき膜にムラが生じ得る。攪拌器としては、通常、可動パドルが用いられる。攪拌器は、高振動で前後に移動するため、電解液中に気泡をトラップし易い。基板上の気泡は、電解液が素子構造又は柱のビア(via)に入り込むのを阻止する。電解液の流速を大きくすることに関しては、流速の上昇が基板全体に行き渡るため、電解液の流れが中心に分布して基板の中央部から縁部に向かう。そのため、基板の中央部には、新しい電解液の供給量が少なくなってしまう。
【0005】
新しい電解液及び添加剤を、高電流密度の要件を満たすタイミングで供給するには、より多くの電解液を基板の中央部に供給することが必要になる。そうしなければ、基板の中央部において柱の形状が異常になるか、或いは、柱の高さが低くなってしまう。実際には、単に電流密度を高めるだけでは、めっき速度を上昇させることはできない。なぜなら、基板全体での電流密度は不均一であり、「末端効果」という現象によって基板の縁部で高電流密度となる。このように電流密度が不均一になると、基板の縁部でめっき速度が高く、基板の中央部でめっき速度が低くなり、めっき膜にムラが生じる。基板全体での電流密度が不均一になるため、構造を何ら改善せず単にめっき速度を上昇させるために電解液の流速を大きくすると、めっき膜のムラがより顕著になり得る。
【0006】
めっき装置において、化学物質はめっき速度に影響し得る要素であるが、めっき速度は、主に基板全体における電解液の流速に関連する。めっき速度を上昇させるには、大きくかつ安定した電解液の流れを基板に供給する必要がある。しかしながら、いったん電解液の流速が大きくなると、基板全体における電界及び電解液の流れを制御して一様にするのは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、基板上に金属を析出させるめっき装置において、高いめっき速度で基板全体に一様にめっき膜を形成することができる、めっき装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一実施形態において、めっき装置は、膜フレームと、陰極液入口管と、中央蓋とを備えている。膜フレームは、当該膜フレームの中央を貫通する中央路を有する。陰極液入口管は、膜フレームの中央路に接続する。中央蓋は、膜フレームの中央に固定され、かつ、膜フレームの中央路を覆う。中央蓋の上部は、複数の第1穴を有する。陰極液入口管から膜フレームの中央路を通って中央蓋に陰極液が供給され、陰極液が中央蓋の複数の第1穴を通って基板の中央部に供給される。
【発明の効果】
【0009】
上述のとおり、本発明に係るめっき装置は、中央蓋を利用して、基板の中央部における電解液の流れと電界の均一化を実現し、さらに基板全体におけるめっき膜の均一化を実現する。めっき中、陰極液入口管内の陰極液の流速が大きくなることで、めっき速度が上昇する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係るめっき装置を示す斜視図である。
図2図1に示すめっき装置の断面図である。
図3図1に示すめっき装置の別の断面図である。
図4図1に示すめっき装置の別の断面図である。
図5図1に示すめっき装置の一部品の断面図である。
図6図5に示すめっき装置の一部品の展開図である。
図7図5に示すめっき装置の一部品の部分拡大図である。
図8】本発明に係るめっき装置の膜フレームを示す斜視図である。
図9図8に示す膜フレームの断面図である。
図10】本発明に係るめっき装置の中央蓋を示す斜視図である。
図11】本発明に係るめっき装置の中央蓋を示す別の斜視図である。
図12】本発明に係るめっき装置の調整部材を示す斜視図である。
図13】本発明に係るめっき装置の第1拡散板を示す斜視図である。
図14】本発明に係るめっき装置の第2拡散板を示す斜視図である。
図15】本発明に係るめっき装置の中板を示す斜視図である。
図16】本発明に係るめっき装置のチャックを示す斜視図である。
図17】チャックを清掃するためのチャック清掃ノズルを示す斜視図である。
図18】チャックの断面図である。
図19図18に示すチャックの部分拡大図である。
図20】本発明に係るめっき装置を簡素化した模式図である。
図21】間隙の変化とめっき柱の高さとの関係を示す図である。
図22】中板を用いた縁部のめっきデータを示す図である。
図23】銅柱の異常な形状を示す図である。
図24】銅柱の正常な形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1図7に、本発明に係るめっき装置の一実施形態が示されている。当該めっき装置は、室本体10を含む。室本体10は、台20に支持されている。室本体10は、陽極室11と陰極室12とに分かれている。陽極室11及び陰極室12は、膜フレーム14上に配置された膜13によって互いに分離されている。
【0012】
陽極室11は、複数の陽極領域111に分かれており、隣接する2つの陽極領域111は、鉛直に配置された仕切り112によって分けられている。仕切り112の材料は、非伝導性かつ耐化学性のプラスチック材料から選択される。仕切り112は、電界を分離し、電解液の流れの場を制限している。本発明はこれに限定されないが、例えば、一実施形態において、陽極室11は、2つの陽極領域111に分かれている。各陽極領域111は、環状陽極113を収容している。環状陽極113は、独立して制御される電力供給管114に接続されている。めっき電流又は電位は、電力供給管114によって、各環状陽極113に独立して供給される。各電力供給管114は、DC電源又はパルス電源に接続されている。電力供給管114は、保護シールド115内に収容されている。環状陽極113は、可溶性材料(例えば、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)等)からなる。或いは、環状陽極113は、不活性材料からなってもよい。各陽極領域111は、独立した陽極液入口116を有する。陽極液入口116は、陽極領域111に陽極液を供給するための電解液流制御装置に接続されている。また、各陽極領域111は、独立した陽極液出口117を有する。陽極液出口117は、古くなった電解液、分解生成物及び粉塵を、各陽極領域111から排出するためのものである。
【0013】
膜13は、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、スズ(Sn)めっき用のカチオン膜である。或いは、膜13は、合金めっき用の特性を備えたプロトン交換膜又は一般的な膜であってもよい。膜13は、膜フレーム14に取り付けられている。膜13の周縁を膜フレーム14に固定するため、環状固定板15が用いられている。膜13の周縁と膜フレーム14との間に、第1シールリング16が設置されている。膜13の周縁と環状固定板15との間に、第2シールリング17が設置されている。膜フレーム14、第1シールリング16、膜13、第2シールリング17及び環状固定板15を室本体10に固定し、陽極室11と陰極室12とに分離させるため、複数の固定部材18(例えば、ねじ等)が用いられている。環状固定板15と室本体10との間に、第3シールリング19が設置されている。
【0014】
膜フレーム14の中央部に、陰極室12に陰極液を供給するための陰極液入口管30が取り付けられている。膜13の内側の縁部と陰極液入口管30との間に、第4シールリング31が設置されている。膜13の内側の縁部と膜フレーム14との間に、第5シールリング32が設置されている。
【0015】
図4に示されているように、複数の陽極領域111は、完全には分離していない。仕切り112の上部と膜13との間に、気泡を通過させるための間隙が設けられている。陽極室11の側壁に、膜13に近づく複数の排出穴118が形成されている。複数の排出穴118は、それぞれ、排出路119に接続されている。複数の陽極領域111内の気泡は、収集され、膜3によって排出穴118に案内され、排出路119から排出される。
【0016】
図20を参照されたい。図20は、本実施形態に係るめっき装置を簡素化した模式図であり、陽極電解液の循環と環状陽極113の自動清掃とを主に示している。めっき中、陽極液入口管1161に設置された第3弁1162が、開かれる。陽極液入口管1161は、陽極液入口116に接続されている。排出管1191に設置された第2弁1192も、開かれる。排出管1191は、排出路119に接続されている。陽極電解液は、陽極液入口管1161及び陽極液入口116を通って複数の陽極領域111に供給され、その後、排出穴118、排出路119及び排出管1191を通って排出される。このようにして、陽極電解液の循環が実現される。めっき工程が予め設定された状態(例えば、工程時間が200時間を超えた状態等)に至ると、環状陽極113の清掃が必要となる。環状陽極113の清掃では、先ず、第3弁1162及び第2弁1192が閉じられ、陽極電解液の循環が停止される。その後、陽極液出口管1171に設置された第4弁1172が、開かれる。陽極液出口管1171は、陽極液出口117に接続されている。複数の陽極領域111内の陽極電解液は、陽極液出口117及び陽極液出口管1171を通って排水される。その後、第4弁1172は閉じられる。DIW(deionized water:脱イオン水)入口管1193に設置された第1弁1194と、DIW出口管1173に設置された第5弁1174とが、開かれる。DIW入口管1193は、排出路119に接続されている。DIW出口管1173は、陽極液出口117に接続されている。DIWは、陽極室11の複数の陽極領域111に供給され、DIW入口管1193、排出路119及び排出穴118を通って環状陽極113に流れ、その後、陽極液出口117及びDIW出口管1173を通って排水される。これにより、陽極泥が除去される。DIWの流速は、0.5l~10lpmである。環状陽極113を清掃する別の方法として、第1弁1194を開くことで一定量のDIWを陽極室11に供給するステップと、第1弁1194を閉じるステップと、第5弁1174を開くことでDIWを排水して陽極泥を除去するステップと、第5弁1174を閉じるステップと、上記のステップを環状陽極113が清掃されるまで繰り返すステップとを含む方法がある。図20には、1つの陽極領域111のみが示されている。しかし、他の陽極領域111においても、図20に示されている1つの陽極領域111と同様、陽極液の循環と環状陽極113の自動清掃とが行われることを理解されたい。
【0017】
膜13が設けられた膜フレーム14は、陽極室11と陰極室12とを分離するため、水平方向に配置される。図8及び図9を参照すると、膜フレーム14は、剛な多孔性又は網目状のフレームである。膜フレーム14は、実質的に皿状であり、その中央部に陰極液入口141を有する。陰極液入口141は、陰極液入口管30に接続されている。膜フレーム14は、さらに、膜フレーム14の中央部から縁部に向かって延びる複数の分岐管142を有する。複数の分岐管142は、それぞれ、陰極液入口141に接続されている。複数の分岐管142は、それぞれ、複数の噴霧穴143を有する。各分岐管142に設けられた複数の噴霧穴143の直径は、一定であってもよいし、一定でなくてもよい。基板上のため、半径が大きくなると、領域が増大し、めっきの物質移動を実現するためにより多くの流れが必要となる。そのため、噴霧穴143の直径は、膜フレーム14の中央部から縁部に向かって、漸進的に大きくなっている。例えば、50mmの半径範囲に対応する噴霧穴143の直径は2mm、100mmの半径範囲に対応する噴霧穴143の直径は4mm、150mmの半径範囲に対応する噴霧穴143の直径は6mm、等である。或いは、各分岐管142に設けられた複数の噴霧穴143の密度が、一定であってもよいし、一定でなくてもよい。複数の噴霧穴143の密度は、膜フレーム14の中央部から縁部に向かって、漸進的に大きくなっている。一実施形態によると、各噴霧穴143の開口方向は、陰極液が同一箇所に噴霧されて衝撃が生じるのを回避するため、鉛直面に対して傾斜している。複数の分岐管142のそれぞれに設けられた複数の噴霧穴143は、2つの群に分類される。2つの群において、噴霧穴143の開口方向は、互いに逆である。必要に応じて、隣接する2つの噴霧穴143ごとに、開口方向が逆であってよい。一実施形態において、膜フレーム14は、流れの均一拡散のため、6つの分岐管142を有する。
【0018】
膜フレーム14は、膜フレーム14の中央を貫通する中央路144を有する。膜フレーム14の中央に、保持穴145が形成されている。中央路144の下端は、陰極液入口141に接続されており、中央路144の上端は、保持穴145に接続されている。膜フレーム14は、さらに、保持穴145内に複数の固定穴146を画定している。
【0019】
基板の中央部(直径略0~60mmの領域)へのめっきは制御が困難であり、特に、基板の中央部における電解液の流れ及び電界を制御して一様にするのは困難である。当該問題を解決するため、また、基板の中央部でのめっきの制限を打破して全体にめっきをするため、本発明に係るめっき装置は、さらに、中央蓋40と、調整部材50とを含む。中央蓋40は、膜フレーム14の保持穴145に固定されている。図10及び図11を参照すると、中央蓋40は、中央蓋40の中央に画定された貫通孔41を有する。中央蓋40は、中央蓋40の上部に、流れの均一拡散のため放射状に配置された複数の第1穴42を有する。第1穴42の直径は、一定であってもよいし、一定でなくてもよい。基板上のため、半径が大きくなると、領域が増大し、めっきの物質移動を実現するためにより多くの流れが必要となる。そのため、第1穴42の直径は、中央蓋40の中央部から縁部に向かって、漸進的に大きくなっている。或いは、中央蓋40に設けられた複数の第1穴42の密度が、一定であってもよいし、一定でなくてもよい。複数の第1穴42の密度は、中央蓋40の中央部から縁部に向かって、漸進的に大きくなっている。好ましくは、中央蓋40の側壁に、複数の第2穴43が設けられている。複数の第2穴43それぞれの開口方向は、斜め上向きである。中央蓋40の上部に複数の第1穴42が設けられただけであると、めっき中、複数の第1穴42から陰極室12に電解液が噴霧されると、中央蓋40の周囲領域に空洞が形成され、中央蓋40の周囲における電解液の流れが不十分になり得る。中央蓋40の側壁に複数の第2穴43を設けることにより、当該問題が解決される。中央蓋40の側壁に配置された複数の第2穴43の直径又は密度は、中央蓋40の上部に配置された第1穴42の直径又は密度と異なってよい。
【0020】
中央蓋40の上部は、複数の取付穴44を有する。中央蓋40は、複数のねじを用いて、膜フレーム14の保持穴145に固定されている。複数のねじは、それぞれ中央蓋40の取付穴44と、膜フレーム14の固定穴146とに、挿入されている。中央蓋40と膜フレーム14との間に、Oリング45が設置されている。陰極液は、陰極液入口管30、陰極液入口141及び中央路144を通って、分岐管142及び中央蓋40に供給される。陰極液は、分岐管142に設けられた噴霧穴143、中央蓋40に設けられた第1穴42及び第2穴43を通って、陰極室12に噴霧される。陰極液入口管30内の陰極液の流速は、概ね2~60LPM(Liter per Minute)となり、30LPM(Liter per Minute)を超え得る。陰極液の流速は大きくなるが、中央蓋40と、膜フレーム14の分岐管142の新規なデザインとによって、基板全体における電解液の流れ及び電界の均一化が実現され、ひいては、基板全体におけるめっき膜の均一化が実現される。また、大きくかつ安定した電解液の流れが得られることで、従来のめっき装置に比べ、めっき速度が上昇する。仮に、中央蓋40がない場合、電解液は、膜フレーム14の陰極液入口管30及び陰極液入口141から上方に向かって直接的に勢いよく流れ、電解液の流れが速く、衝撃力が大きくなる。この場合、基板の中央部でジェッティング現象が生じ、基板の中央部においてめっき柱の形状が異常なものになる。中央蓋40を設け、かつ、第1穴42及び第2穴43の数を多くしたことより、電解液の流れが緩やかになり、衝撃力が小さくなる。一方、陰極液の流れは、第1穴42及び第2穴43を設けたことで調整され、基板の中央部に対する陰極液の供給の均一化が実現される。
【0021】
図12を参照すると、調整部材50は、中央蓋40に供給される陰極液の流れを調整するように構成され、ひいては、基板の中央部に供給される陰極液の流れを調整するように構成されている。調整部材50は、中央蓋40の貫通孔41に挿入され、かつ、中央部の流れの制御のため膜フレーム14の中央路144の上端に配置されている。調整部材50は、陰極液が中央蓋40に供給されないよう、膜フレーム14に設けられた中央路144の上端を完全に阻止できる。調整部材50を漸進的に上昇させることで、中央路144の上部開口が漸進的に開き、陰極液が調整部材50と中央路144との間の間隙147を通って中央蓋40に供給される。このように、間隙147のサイズを変更することで、基板の中央部に供給される陰極液の流れを調整できる。間隙147のサイズは、調整部材50を上下に移動させることで、変更できる。一実施形態によると、調整部材50は、基部51と、基部51の下部に形成された阻止部52とを有する。基部51は、円柱形である。阻止部52は、逆円錐形である。基部51の上部に、ドライバ等の工具を用いて調整部材50を回転させるための、溝状の開口53が形成されている。調整部材50は、当該回転により、中央蓋40の貫通孔41内において上下に移動する。これにより、間隙147のサイズが調整され、中央蓋40に供給される陰極液の流れが調整され、ひいては、基板の中央部に供給される陰極液の流れが調整される。中央蓋40に供給される陰極液の流れが調整部材50により独立して制御されることが、理解できるであろう。調整部材50は、位置決めねじであってよい。また、陰極液入口管30内に陰極液の流れが生じた場合に、中央蓋40に供給される陰極液の流れが小さいと、膜フレーム14の分岐管142に供給される陰極液の流れが大きくなり、逆に中央蓋40に供給される陰極液の流れが大きいと、膜フレーム14の分岐管142に供給される陰極液の流れが小さくなる。したがって、中央蓋40に供給される陰極液の流れと、膜フレーム14の分岐管142に供給される陰極液の流れとが、調整可能である。
【0022】
間隙のサイズを調整することで、基板の中央部における陰極液の流れを制御できる。間隙のサイズが小さいと、基板の中央部における陰極液の流れは小さくなる。逆に、間隙のサイズが大きいと、基板の中央部における陰極液の流れは大きくなる。間隙のサイズは、調整部材50を回転させることで、調整される。調整部材50は上下に回転し、これに応じて間隙のサイズが1mm増加又は減少する。図21を参照されたい。基板の中央部において、間隙がより大きく、かつ、1つのダイにおけるめっき柱の高さの平均がより高くなることが、図21から理解できるであろう。これは、間隙のサイズを調整することでめっき柱の高さを制御できることを意味する。基板の中央部において、間隙がより大きく、これに応じて、陰極液の流れが大きくなり、かつ、めっき柱の高さが高くなる。これにより、基板の中央部におけるめっきの問題が解決される。
【0023】
本発明に係るめっき装置は、電界の均一化及び電解液の流れの均一化を含む均一化の制御をより実現するため、複数の小さな開口を有する少なくとも1つの拡散板を含む。一実施形態において、めっき装置は、膜フレーム14の上部に固定された2つの拡散板を有する。図5図6図13及び図14を参照されたい。第1拡散板60は、複数の開口61を有する。一実施形態において、第1拡散板60に設けられた複数の開口61のサイズは一定であり、第1拡散板60に設けられた複数の開口61の密度は一定である。開口61の直径は、0.5~5mmである。別の実施形態において、第1拡散板60に設けられた複数の開口61の密度は一定であり、第1拡散板60に設けられた複数の開口61の直径は一定でない。具体的には、第1拡散板60の中央部に設けられた複数の開口61の直径は、第1拡散板60の縁部に設けられた複数の開口61の直径よりも大きい。これにより、第1拡散板60の中央部における電界の強度を大きくでき、ひいては、基板の中央部におけるめっき速度を上昇させることができる。第1拡散板60の材料は、PVC、PP、PEEK、PVDF、PFA、テフロン等であってよい。第1拡散板60の厚みは、2~20mmである。第2拡散板70は、複数の開口71を有する。一実施形態において、第2拡散板70に設けられた複数の開口71のサイズは一定であり、第2拡散板70に設けられた複数の開口71の密度は一定である。開口71の直径は、0.5~5mmである。別の実施形態において、第2拡散板70に設けられた複数の開口71の密度は一定であり、第2拡散板70に設けられた複数の開口71の直径は一定でない。具体的には、第2拡散板70の中央部に設けられた複数の開口71の直径は、第2拡散板70の縁部に設けられた複数の開口71の直径よりも大きい。これにより、第2拡散板70の中央部における電界の強度を大きくでき、ひいては、基板の中央部におけるめっき速度を上昇させることができる。第2拡散板70の材料は、PVC、PP、PEEK、PVDF、PFA、テフロン等であってよい。第2拡散板70の厚みは、2~20mmである。第1拡散板60及び第2拡散板70は、同じものであってもよいし、同じものでなくてもよい。好ましくは、第1拡散板60に設けられた複数の開口61の密度は、第2拡散板70に設けられた複数の開口71の密度よりも大きく、第1拡散板60が第2拡散板70の上に設置されている。第2拡散板70が膜13及び環状陽極113により近いため、電界の分布を制御でき、電界を再分布することで、エッジ効果の問題を解決できる。基板上のフォトレジスト及びシード層の抵抗のため、基板の中央部では抵抗がより大きく、基板の縁部に近いほど抵抗が小さくなる。したがって、第2拡散板70は、主に周囲の電界を調整する。第2拡散板70の中央部に設けられた複数の開口71の直径は、より大きく、4mmである。複数の開口71の直径は、第2拡散板70の中央部から縁部に向かって、漸進的に小さくなっている。第2拡散板70の縁部に設けられた複数の開口71の直径は、2.5mmである。これにより、中央部の電界が大きくなり、縁部の電界が小さくなることで、エッジ効果の問題を解決することができる。第1拡散板60は、基板のより近くにあり、流れの円滑化と拡散を実現する。しかしながら、電界拡散の距離効果を考慮すると、第1拡散板60と第2拡散板70との間隔を大きくしすぎないようにする必要がある。第1拡散板60と第2拡散板70との間隔が大きすぎると、第2拡散板70の電界拡散効果が明らかに低下してしまう。第1拡散板60と第2拡散板70との間隔は、1~20mmである。
【0024】
図5及び図6に示されているように、第1拡散板60と第2拡散板70との間には、基板の縁部のめっき柱の高さを制御するため、環状の中板80が設置されている。第1拡散板60と中板80との間に、シールリング62が設置されている。中板80と第2拡散板70との間に、別のシールリング8が設置されている。第2拡散板70と膜フレーム14の上部との間に、別のシールリング72が設置されている。第1拡散板60、シールリング62、中板80、シールリング8、第2拡散板70及びシールリング72を、膜フレーム14の上部に固定するため、複数の位置決め部材90が用いられている。
【0025】
図15Aに示されているように、好ましくは、中板80は、基板の縁部におけるめっき柱の均一化のため、中板80の内側の縁部に複数の凸部81と複数の凹部82とを有する。凸部81及び凹部82は、交互に配置されている。中板80は、第1拡散板60と第2拡散板70との間に配置されている。凸部81は、第1拡散板60の縁部に設けられた対応する開口61をブロックし、電解液が当該開口61を通るのを防止する。第1拡散板60の縁部に設けられた残りの開口61は、凹部82に対応し、凸部81によってブロックされない。これにより、電解液が、中板80によってブロックされない当該開口61を通ることができる。好ましくは、第1拡散板60の縁部に設けられた複数の開口61のうち、半分が、中板80の凸部81によってブロックされ、残りの半分が、ブロックされない。
【0026】
図15Aは、複数の凸部81及び複数の凹部82が設けられた中板80であって、第1拡散板60の縁部に設けられた複数の開口61のうち、半分が、中板80の凸部81によってブロックされ、残りの半分が、ブロックされない、中板80を示す。図15Bは、第1拡散板60の縁部に設けられた複数の開口61を全くブロックできず、電解液が、第1拡散板60の縁部に設けられた全ての開口61を通ることができる、中板80´を示す。図15Cは、第1拡散板60の縁部に設けられた全ての開口61をブロックでき、電解液がこれら開口61を通ることができない、中板80"を示す。図22から理解できるように、中板は、主に基板の縁部におけるめっきの厚みに影響を及ぼす。第1拡散板60の縁部に設けられた全ての開口61がブロックされる構成では、縁部の電力線が弱まるため、基板において、縁部のめっき厚が他の部分のめっき厚よりも小さくなる。逆に、第1拡散板60の縁部に設けられた全ての開口61がブロックされない構成では、基板において、縁部のめっき厚が他の部分のめっき厚よりも大きくなる。これら2つの構成では、基板の縁部におけるめっき柱の高さが、工程要件の範囲外となり、生産ロスが生じてしまう。本発明は、複数の凸部81及び複数の凹部82が設けられた中板80を利用し、第1拡散板60の縁部に設けられた複数の開口61を選択的にブロックする。基板全体において、めっきの厚みが、実質的に一様になり、工程要件の範囲内となる。したがって、基板の縁部におけるめっきの厚みを良好に制御できる。
【0027】
図4を参照すると、陰極室12は、内側壁121及び外側壁122を有する。内側壁121と外側壁122との間に、窪み123が形成されている。内側壁121の上部に、複数の切欠き124が形成されている。窪み123の下部に、複数の陰極液出口125が設けられている。陰極室12の電解液は、複数の切欠き124を通って窪み123に受容され、陰極液出口125を通って排水される。陰極室12に、基板のめっき膜を清掃するための基板リンスノズル126が配置されている。
【0028】
図2を参照すると、陰極室12の上部に、めっき中に電解液が飛散するのを防止するためのシュラウド1010が固定されている。シュラウド1010は、収集溝1011を有する。排水路1012は、収集溝1011に接続されている。収集溝1011内の液体は、排水路1012を通って排水される。シュラウド1010の側壁は、収集溝1011を清掃するための清掃液入口1013を画定している。陰極室12に、ガス排気のためのガス通気口1030が接続されている。めっき装置は、さらに、液面レベルを測定するレベルセンサ1040を含む。
【0029】
シュラウド1010より上方に、チャック清掃ノズル1020が配置されている。チャック清掃ノズル1020は、めっき中に基板を保持するチャック100を清掃するための、清掃液を噴霧する。チャック100の清掃中、チャック清掃ノズル1020から噴霧された清掃液は、シュラウド1010の収集溝1011に収集され、排水路1012を通って排水される。チャック100については、本願明細書の一部として援用するPCT特許出願番号「PCT/CN2015/096402」(2015年12月4日出願)に、詳細に記載されている。
【0030】
図16図19を参照すると、チャック100は、チャックカップ101と、電気伝達のためチャックカップ101の上部に配置された3つの直立柱102と、基板の表面の縁部に接触する複数のフィンガー部2011を有する導電リングと、リップシール部1115を有するシールシェルとを有する。リップシール部1115は、基板の表面の縁部をシールすることで、基板がめっきの電解液に浸される間、電解液が基板の表面及び裏面の縁部に到達しないようにする。チャック清掃ノズル1020は、清掃液を噴霧することで、導電リングのフィンガー部2011及びシールシェルのリップシール部1115を清掃する。基板のめっき後、導電リングのフィンガー部2011及びシールシェルのリップシール部1115に、めっき溶液の残留物が保持され得る。めっき溶液の残留物は、時間内に清掃されないと、結晶化する。シールシェルのリップシール部1115上の結晶は、リップシール部1115と基板の表面の縁部とのシールに悪影響を及ぼし、めっき溶液が導電リングに接触し、めっき不良が生じ得る。したがって基板の各部のめっきが完了するたびに、導電リングのフィンガー部2011及びシールシェルのリップシール部1115を清掃する必要がある。
【0031】
しかしながら、清掃工程中、チャック100が回転し続けるため、チャック清掃ノズル1020から噴霧された清掃液が、3つの直立柱120に当たり、飛散してしまう。当該問題を解決するため、タイマを有するコントローラが、供給管に設置された開閉弁を制御するように構成されている。供給管は、チャック清掃ノズル1020に清掃液を供給するため、チャック清掃ノズル1020に接続されている。コントローラは、タイマに基づいて開閉弁を制御することにより、複数の直立柱120のそれぞれがチャック清掃ノズル1020を通過する間、開閉弁を閉じることで、清掃液の噴霧を停止させ、そして、複数の直立柱120がチャック清掃ノズル1020を通過した後、開閉弁を開くことで、清掃液を噴霧させるように構成されている。例えば、チャック100の回転速度は20rpmであり、チャック100の一回転あたりの所要時間は3秒である。チャック100は3つの直立柱120を有し、3つの直立柱120のそれぞれがチャック清掃ノズル1020を通過する時間は0.1秒である。開閉弁は、1つ目の直立柱がチャック清掃ノズル1020を通過するとき、0.1秒間閉じられる。その後、開閉弁は、0.9秒間開かれる。その後、開閉弁は、2つ目の直立柱がチャック清掃ノズル1020を通過するとき、再び0.1秒間閉じられる。その後、開閉弁は、再び0.9秒間開かれる。その後、開閉弁は、3つ目の直立柱がチャック清掃ノズル1020を通過するとき、再び0.1秒間閉じられる。これを繰り返すことで、清掃液が直立柱120に当たることが回避される。
【0032】
本発明に関する上述の説明は、例示及びの説明の目的で提示されたものである。網羅的であること、又は、上記の正確な形態に本発明を限定することは、意図されていない。上述した教示の観点から、多くの修正および変更が可能であることは、明らかである。当業者にとって明らかな修正および変更は、特許請求の範囲において定義される本発明の範囲に含まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24