(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】クリーニングシステム、クリーニング方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20220111BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2021066967
(22)【出願日】2021-04-12
【審査請求日】2021-04-12
【早期審査対象出願】
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】399067181
【氏名又は名称】株式会社トゥトゥモロウ
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】坂田 知裕
【審査官】山内 裕史
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-217040(JP,A)
【文献】特開2009-207583(JP,A)
【文献】特開2005-040399(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の所有するランドリーバッグの履歴情報または/およびランドリーバッグ自身の傷または汚れに関する情報を含む状態情報を記憶するデータベースと、
利用者の端末から送信される当該利用者の所有する前記ランドリーバッグのクリーニング依頼を受信し、クリーニング事業者に
利用者の所有する前記ランドリーバッグに収納された被服のクリーニング依頼と、当該クリーニング依頼と同時に依頼される当該ランドリーバッグのクリーニング依頼と、を含む前記クリーニング依頼に基づくクリーニング要求を送信するクリーニング要求処理手段と、
クリーニング事業者の端末から送信される前記ランドリーバッグの履歴情報または/および状態情報の更新要求に基づいて、前記データベースの前記ランドリーバッグの履歴情報を更新するデータベース処理手段と、
を含むクリーニングシステム。
【請求項2】
前記データベースは、前記ランドリーバッグの履歴情報として、クリーニング回数、クリーニング日、クリーニング内容のうち1以上の情報を記憶し、
前記データベース処理手段は、クリーニング事業者の端末から送信される前記クリーニング回数、または前記クリーニング日、または前記クリーニング内容に基づいて、前記データベースの前記ランドリーバッグの履歴情報を更新する請求項
1に記載のクリーニングシステム。
【請求項3】
前記ランドリーバッグは、抗菌加工が施された抗菌布で形成されたものである請求項1
または2に記載のクリーニングシステム。
【請求項4】
前記ランドリーバッグは、前記履歴情報に紐づくID情報を含むタグを有するものである請求項1~
3のいずれか1項に記載のクリーニングシステム。
【請求項5】
前記データベースに記憶されたランドリーバッグの前記履歴情報または/および前記状態情報に基づいて、端末に、当該ランドリーバッグの前記履歴情報または/および前記状態情報を送信する送信情報処理手段を含む請求項
1~
4のいずれか1項に記載のクリーニングシステム。
【請求項6】
前記送信情報処理手段が、預けられた利用者のランドリーバッグの状態に基づいて判断されたクリーニング事業者からの当該ランドリーバッグに対するコメントを送信する請求項
5に記載のクリーニングシステム。
【請求項7】
データベースが、利用者の所有するランドリーバッグの履歴情報または/およびランドリーバッグ自身の傷または汚れに関する情報を含む状態情報を記憶すること、
クリーニング要求処理手段が、利用者の端末から送信される当該利用者の所有する前記ランドリーバッグのクリーニング依頼を受信し、クリーニング事業者に
利用者の所有する前記ランドリーバッグに収納された被服のクリーニング依頼と、当該クリーニング依頼と同時に依頼される当該ランドリーバッグのクリーニング依頼と、を含む前記クリーニング依頼に基づくクリーニング要求を送信すること、
データベース処理手段が、クリーニング事業者の端末から送信される前記ランドリーバッグの履歴情報または/および状態情報の更新要求に基づいて、前記データベースの前記ランドリーバッグの履歴情報を更新すること、
を含むクリーニング方法。
【請求項8】
コンピュータを、
利用者の所有するランドリーバッグの履歴情報または/およびランドリーバッグ自身の傷または汚れに関する情報を含む状態情報を記憶するデータベースと、
利用者の端末から送信される当該利用者の所有する前記ランドリーバッグのクリーニング依頼を受信し、クリーニング事業者に
利用者の所有する前記ランドリーバッグに収納された被服のクリーニング依頼と、当該クリーニング依頼と同時に依頼される当該ランドリーバッグのクリーニング依頼と、を含む前記クリーニング依頼に基づくクリーニング要求を送信するクリーニング要求処理手段と、
クリーニング事業者の端末から送信される前記ランドリーバッグの履歴情報または/および状態情報の更新要求に基づいて、前記データベースの前記ランドリーバッグの履歴情報を更新するデータベース処理手段と、
を含むクリーニングシステムとして機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クリーニングシステム、クリーニング方法、およびコンピュータをクリーニングシステムとして機能させるプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、様々な場面で、様々な物に対して除菌や抗菌が求められている。それは、クリーニング店などに被服等を預ける(クリーニングに出す)場面や、介護施設などのケアハウスで被介護者の私物を洗濯に出したり、クリーニングに出したりする場面でも同様である。
【0003】
クリーニングや洗濯に関する除菌や抗菌の技術として、例えば、特許文献1には、汚れた洗濯物から発生する悪臭を抑制しながら保管・搬送できたり、洗濯した洗濯物を清潔に保管・輸送することができるランドリーバッグが記載されている。
【0004】
また、洗濯物の管理方法として、特許文献2には、洗濯物(例えば、私的洗濯物)を洗濯し、病院の入院患者や施設の入居者の勘違いによる苦情が発生したときに迅速に解決できるようにした洗濯フローの管理方法が記載されている。
【0005】
具体的には、特許文献2には、私物衣類などの洗濯を依頼する場合、入院患者、入居者、その親族あるいは介護者が病棟や施設の受付けカウンターにてIDが付与され個人別ネットを受け取り、受け取った個人別ネットに洗濯しようとする衣類やバスタオルなどを入れ、受付けカウンターに預けると、これが病棟毎にリネンバッグに入れられ、洗濯業者が定期的又は不定期的にこれを回収して洗濯工場に輸送する一方、依頼者のIDとパスワードとが台帳に記録されて管理されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実用新案登録第3215273号公報
【文献】特開2017-196245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
引用文献1,2に記載されているような技術を利用して、クリーニングや洗濯を行うことで、利用者が求めている除菌や抗菌を実現することも考えられる。しかし、被服等をランドリーバッグに収納して(詰め込んで)クリーニングに出す場合、例えば便利なためクリーニングボックスに預ける利用者も多く、その際、自分のランドリーバッグが他人のランドリーバッグと重なるため、菌が移る可能性がある。
【0008】
そこで、本発明は、利用者が所有するランドリーバッグを清潔に保つことができるクリーニングシステム、クリーニング方法、およびコンピュータをクリーニングシステムとして機能させるプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のクリーニングシステムは、利用者の所有するランドリーバッグの履歴情報を記憶するデータベースと、利用者の端末から送信される当該利用者の所有するランドリーバッグのクリーニング依頼を受信し、クリーニング事業者にクリーニング依頼に基づくクリーニング要求を送信するクリーニング要求処理手段と、クリーニング事業者の端末から送信されるランドリーバッグの履歴情報の更新要求に基づいて、データベースのランドリーバッグの履歴情報を更新するデータベース処理手段と、を含む。
【0010】
本発明のクリーニング方法は、データベースが、利用者の所有するランドリーバッグの履歴情報を記憶すること、クリーニング要求処理手段が、利用者の端末から送信される当該利用者の所有するランドリーバッグのクリーニング依頼を受信し、クリーニング事業者にクリーニング依頼に基づくクリーニング要求を送信すること、データベース処理手段が、クリーニング事業者の端末から送信されるランドリーバッグの履歴情報の更新要求に基づいて、前記データベースの前記ランドリーバッグの履歴情報を更新すること、を含む。
【0011】
これらの発明によれば、利用者は、自身の所有する端末からクリーニング依頼を出すことにより、クリーニング事業者へランドリーバッグのクリーニング要求が送信され、かつ、クリーニング事業者により、データベースに記憶されているランドリーバッグの履歴情報が更新および管理される。
【0012】
また、データベースは、ランドリーバッグの状態情報を記憶し、データベース処理手段は、クリーニング事業者の端末から送信されるランドリーバッグの状態情報の更新要求に基づいて、データベースのランドリーバッグの状態情報を更新することが望ましい。
これにより、データベースに記憶されているランドリーバッグの状態情報が更新および管理される。
【0013】
また、データベースに記憶されたランドリーバッグの履歴情報または/および状態情報に基づいて、端末に、ランドリーバッグの履歴情報または/および状態情報を送信する送信情報処理手段を含むことが望ましい。
これにより、データベースに記憶されているランドリーバッグの履歴情報や状態情報を、端末に送信することができる。
【0014】
本発明のプログラムは、コンピュータを、利用者の所有するランドリーバッグの履歴情報を記憶するデータベースと、利用者の端末から送信される当該利用者の所有するランドリーバッグのクリーニング依頼を受信し、クリーニング事業者に前記クリーニング依頼に基づくクリーニング要求を送信するクリーニング要求処理手段と、クリーニング事業者の端末から送信されるランドリーバッグの履歴情報の更新要求に基づいて、データベースのランドリーバッグの履歴情報を更新するデータベース処理手段と、を含むクリーニングシステムとして機能させる。
このプログラムを実行したコンピュータによれば、上記本発明のクリーニングシステムと同様の作用、効果を奏することができる。
【発明の効果】
【0015】
(1)本発明のクリーニングシステムやクリーニング方法によれば、上述した構成により、利用者は、自身の所有する端末からクリーニング依頼を出すことにより、クリーニング事業者へランドリーバッグのクリーニング要求が送信され、かつ、クリーニング事業者により、データベースに記憶されているランドリーバッグの履歴情報が更新および管理されるため、被服のクリーニングを依頼すると同時に、ランドリーバッグのクリーニングも依頼することができ、ランドリーバッグを清潔に保つことができる。
【0016】
(2)また、データベースは、ランドリーバッグの状態情報を記憶し、データベース処理手段は、クリーニング事業者の端末から送信されるランドリーバッグの状態情報の更新要求に基づいて、データベースのランドリーバッグの状態情報を更新する構成により、データベースに記憶されているランドリーバッグの状態情報が更新および管理されるため、ランドリーバッグの履歴情報に加えて、さらに傷や汚れなどのランドリーバッグの状態を管理することができ、傷や汚れが大きい場合はランドリーバッグを交換するなど、よりランドリーバッグを清潔に保つことができる。
【0017】
(3)また、データベースに記憶されたランドリーバッグの履歴情報または/および状態情報に基づいて、端末に、ランドリーバッグの履歴情報または/および状態情報を送信する送信情報処理手段を含む構成により、データベースに記憶されているランドリーバッグの履歴情報や状態情報を、端末に送信することができるため、利用者などは、いつでもランドリーバッグの履歴情報や状態情報などを参照することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施の形態に係るクリーニングシステムを示す概略構成図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係るクリーニングシステムの概略ブロック図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係るデータベースのデータ構造を説明する説明図である。
【
図4】本発明の実施の形態に係るデータベースのデータ構造を説明する説明図である。
【
図5】利用者がランドリーバッグを預けてから、返却されるまでの手順を示すシーケンスである。
【
図6】利用者がランドリーバッグに関する情報を参照する手順を示すシーケンスである。
【
図7】ランドリーバッグの状態を示す情報の一例を説明するための説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、以下に記載する構成要件の説明は、本発明の実施態様の一例(代表例)であり、本発明はその要旨を変更しない限り、以下の内容に限定されない。
【0020】
[クリーニングシステム]
図1は、本発明の実施の形態に係るクリーニングシステムを示す概略構成図である。クリーニングシステム10は、ネットワーク網Nを介して、利用者20が所有する端末21や、クリーニング事業者30が所有する端末31と、有線または無線で相互に通信する。
【0021】
利用者20とは、クリーニングシステム10を利用する者であり、クリーニングのため、自身が所有する被服やランドリーバッグをクリーニング事業者30へ預ける者である。
【0022】
クリーニング事業者30とは、クリーニングや洗濯に関する事業(作業)に関わる者であり、例えば、クリーニング店や、クリーニング工場、または街中、クリーニング店の店頭、マンションなど様々な場所に設置されるクリーニングボックスを管理する管理会社などを含む。クリーニング事業者30は、クリーニングや洗濯に関する事業(作業)に関わる者であればよく、例えば、被服に対して特殊加工まで行うことができる/できないなどの技術の差は問われない。
また、クリーニング事業者30は、被服やランドリーバッグ、および後述するランドリーバッグに収納される様々な物に対してクリーニングや洗濯等を行う者である。
【0023】
利用者20やクリーニング事業者30が所有する端末21,31(以下、単に「利用者端末21」,「クリーニング事業者端末31」と言う。)は、例えば、スマートフォンなどの多機能携帯端末や、モバイルやデスクトップPCなど各種PCである。端末21,31は、ネットワーク網Nを介して、クリーニングシステム10と通信することができるものであればよい。
【0024】
図2は、本発明の実施の形態に係るクリーニングシステムの概略ブロック図である。クリーニングシステム10は、通信手段11、データベース12、クリーニング要求処理手段13、データベース処理手段14、送信情報処理手段15、メニュー管理手段16を有する。
【0025】
通信手段11は、ネットワーク網Nを介して、利用者端末21やクリーニング事業者端末31と相互に通信する。
【0026】
データベース12は、利用者20の所有するランドリーバッグの履歴情報や、ランドリーバッグの状態情報を記憶する。ランドリーバッグの履歴情報とは、例えば、これまで何回ランドリーバッグをクリーニングしたかを示すクリーニング回数や、いつクリーニングを行ったかを示すクリーニング日、またはクリーニング内容などである。また、ランドリーバッグの状態情報とは、ランドリーバッグの傷や汚れ(傷や汚れの多さ・大きさなど)、または定義された状態ランクなどである。定義された状態ランクとは、[A]未使用に近い/[B]目立つ傷や汚れはない/[C]やや目立つ傷や汚れがある/[D]はっきりと目立つ傷や汚れがある、などである。もちろん、このようなランクはさらに細分化したり、定義内容を変えることができる。
【0027】
クリーニング要求処理手段13は、利用者端末21から送信される利用者20の所有するランドリーバッグのクリーニング要求を受信し、クリーニング事業者30に当該クリーニング要求を送信する。
【0028】
データベース処理手段14は、クリーニング事業者端末31から送信されるランドリーバッグの履歴情報や状態情報の更新要求に基づいて、データベース12のランドリーバッグの履歴情報や状態情報を更新する。
【0029】
送信情報処理手段15は、データベース12に記憶されたランドリーバッグの履歴情報や状態情報に基づいて、端末に、ランドリーバッグの履歴情報や状態情報を送信する。ランドリーバッグの履歴情報や状態情報が送信される端末は、利用者端末21やクリーニング事業者端末31、またはその他の多機能携帯端末や各種PCであってもよい。
【0030】
メニュー管理手段16は、通信手段11およびネットワーク網Nを介して、利用者端末21やクリーニング事業者端末31の表示画面に表示させるクリーニングシステム10のメニューを送信する。
【0031】
[データ構造]
図3,4は、本発明の実施の形態に係るデータベースのデータ構造を説明する説明図である。
図3(A)は、利用者を主キーとしたデータのデータ構造を示したものである。利用者IDは、利用者20を識別するIDであり、被服IDは、利用者IDが設定された利用者20から預けられた被服を識別するIDである。また、バッグIDは、利用者20から預けられたランドリーバッグを識別するIDである。
店舗IDは、被服やランドリーバッグが預けられたクリーニング店やクリーニングボックスなどを識別するID、工場IDは、被服やランドリーバッグがクリーニング・保管など、管理されるクリーニング工場を識別するIDである。
【0032】
また、
図3(B)は、バッグIDを主キーとしたデータのデータ構造を示したものである。「クリーニング希望」は、預けられたランドリーバッグに対するクリーニングの希望(希望あり/希望なし)を識別するデータである。「場所」は、預けられたランドリーバッグが保管されていたり、作業されたりしている場所を示すデータである。「工程」は、預けられたランドリーバッグに対して行われている作業の工程を示すデータであり、例えば、利用者から預けられて店舗で管理されている状態を示す「預り中」、工場でクリーニングを行っている状態を示す「クリーニング中」、クリーニングが完了した状態を示す「クリーニング済み」、クリーニング完了後、店舗に引き渡されて利用者へ返却できる状態を示す「受け取り待ち」などである。もちろん、このような工程はさらに細分化したり、作業内容を変えることができる。
【0033】
また、
図4(A)も、バッグIDを主キーとしたデータのデータ構造を示したものである。履歴IDは、当該バッグIDに紐づくランドリーバッグの履歴情報を識別するIDである。「状態ランク」は、上述したように、定義された状態ランクを示すデータである。「最終更新日」は、ランドリーバッグの状態を最後に更新した年月日を示すデータである。「傷」や「汚れ」は、ランドリーバッグの傷や汚れの有無やその程度を示すデータである。
【0034】
一方、
図4(B)は、履歴IDを主キーとしたデータのデータ構造を示したものである。「回数」は、当該履歴IDに紐づくランドリーバッグ(より正確には、履歴IDに紐づくバッグIDに紐づくランドリーバッグ)のクリーニング回数の合計(これまで何回ランドリーバッグをクリーニングしたかを示すクリーニング回数)を示すデータである。また、「履歴1」、「履歴2」、「履歴3」は、いつクリーニングを行ったかを示すクリーニング日と、クリーニング内容を示すデータである。
【0035】
クリーニング内容とは、例えば、一般的な(標準料金の)ドライクリーニングやハイクラスの(より高い品質を保証する)クリーニング、その他、防カビ加工など、ランドリーバッグに対するクリーニング内容や洗濯内容である。クリーニング内容は、クリーニング店やクリーニング工場、または地域などによって内容を変更または追加することができ、単純に、洗濯未/洗濯済などでもよい。
【0036】
このような履歴は、ランドリーバッグがクリーニングされる度に、「履歴4」、「履歴5」・・・「履歴10」・・・「履歴100」と、データベース12にデータが追加される。
【0037】
[ランドリーバッグ]
ランドリーバッグは、利用者が被服をクリーニングに出す場合に、当該被服を収納する(詰め込む)バッグである。利用者は、被服をランドリーバッグに収納し、クリーニング店に当該ランドリーバッグごと引き渡す。また、利用者は、街中に設置されているクリーニングボックスに、当該ランドリーバッグを投函する。なお、ランドリーバッグをクリーニングするため、被服を収納せず、ランドリーバッグのみをクリーニング店等に預けてもよい。
【0038】
また、ランドリーバッグは、被服だけでなく、布団や靴、または眼鏡や時計など、クリーニングや洗濯の対象となる物を収納するためのバッグである。ランドリーバッグは、このような収納対象や用途に合わせて、適宜大きさや形状を変えることができる。例えば、S,M,Lのような複数のサイズを設けて、利用者が自由に選択することができたり、布団を収納するためのランドリーバッグは、LLLサイズ(特大サイズ)の立方体形状とすることができる。
【0039】
ランドリーバッグは、抗菌加工が施された抗菌布で形成されたものであることが望ましい。利用者がランドリーバッグを預ける際、特に、クリーニングボックスに預ける際、自分のランドリーバッグが不特定多数の他人のランドリーバッグと重なるため、菌が移る可能性がある。そのため、ランドリーバッグが抗菌加工が施された抗菌布で形成されていることにより、ランドリーバッグをより清潔に保つことができる。
【0040】
もちろん、ランドリーバッグが人から人へ手渡しされる場合や、床や台に置かれる場合、またはランドリーバッグが配送中に様々な物と接触する場合など、人の手や物から菌が移る可能性もある。さらに、上述したように靴を収納する場合、靴(靴底)の泥や土などがランドリーバッグに付着して、ランドリーバッグが汚れる場合もある。
【0041】
また、ランドリーバッグは、抗菌布で形成されているものであるため、ランドリーバッグを丸ごとクリーニングや洗濯することが可能であり、かつ複数回クリーニングや洗濯を行っても、抗菌性を担保することができる。
【0042】
なお、抗菌布は、市販のものを使用してもよいし、一般の生地(布)に、抗菌・抗ウイルス効果のある薬剤を噴霧または塗布したものを使用してもよい。
市販の抗菌布とは、例えば、倉敷紡績株式会社の抗菌加工技術であるクレンゼ(登録商標)が施された抗菌布を使用することができる。クレンゼ(登録商標)が施された抗菌布は、約50回洗濯しても抗菌性が落ちない。
【0043】
また、ランドリーバッグは、履歴情報や状態情報を管理するために、上述したようなそれぞれのランドリーバッグを識別するためのバッグIDの情報(ID情報)を含むタグ(図示せず)を有するものであることが望ましい。当該タグは、ランドリーバッグ内に埋め込まれていてもよいし、アクセサリ型として取り外し可能であってもよい。当該タグを読取手段(図示せず)により読み取ることで、ランドリーバッグのバッグIDを検出することができ、当該バッグIDに紐づく履歴情報や状態情報を参照・更新することができる。
【0044】
タグは、例えば、RFタグを用いることができる。この場合、読取手段には、RF対応スキャナやRF対応リーダライタを用いることができる。
【0045】
[クリーニング方法]
本発明のクリーニング方法を、
図1~4および
図5,6に示すシーケンスを参照して説明する。
図5は、利用者がランドリーバッグを預けてから、返却されるまでの手順を示すシーケンスである。ここで、利用者20は、ランドリーバッグを預ける際にクリーニングボックスを利用することとする。また、利用者端末21およびクリーニング事業者端末31は、利用者20およびクリーニング事業者30が所有するスマートフォンである。
【0046】
利用者20は、クリーニングボックスに被服が収納されたランドリーバッグを預ける。ランドリーバッグのみのクリーニングを希望する場合は、ランドリーバッグのみを預けることもできる。
【0047】
そして、利用者20は、利用者端末21から、ランドリーシステム10に対してクリーニング要求を送信する(ステップS101)。具体的には、利用者20は、利用者端末21のブラウザ機能でランドリーシステム10へWebアクセスする。利用者端末21からWebアクセスされたランドリーシステム10は、メニュー管理手段16により、利用者端末21の表示画面にクリーニングシステム10のメニューを表示させる。利用者20は、当該表示されたメニューの中から「クリーニングを依頼する」の項目を選択することで、ランドリーシステム10に対してクリーニング要求を送信する。
【0048】
この時、利用者20は、当該表示されたメニューの中から「どこのクリーニングボックスに預けたか」や「回収を依頼する」、または「ランドリーバッグのクリーニングを希望する/希望しない」などを選択することができる。
例えば、本説明の場合、利用者20は、「どこのクリーニングボックスに預けたか」や「回収を依頼する」を選択し、さらに「ランドリーバッグのクリーニングを希望する」を選択したとする。
【0049】
クリーニング要求を受信したランドリーシステム10のクリーニング要求処理手段13は、要求(注文)を受け付けた旨の応答として、クリーニング応答を利用者端末21へ送信する(ステップS102)。
【0050】
そして、クリーニング要求処理手段13は、クリーニング事業者端末31にクリーニング要求を送信(転送)する(ステップS103)。本説明において、利用者20は「回収を依頼」しているため、当該クリーニング要求には、「回収依頼」と、「どこのクリーニングボックスに預けたか」の情報が含まれる。
【0051】
クリーニング事業者端末31がクリーニング要求を受信したことにより、クリーニング事業者30は、利用者20から、クリーニングの依頼があったことを知る。そして、当該クリーニング要求に含まれる情報に基づき、利用者20のランドリーバッグを回収する。
本説明において、利用者20はランドリーバッグをクリーニングボックスに預けたため、クリーニング事業者30は、当該クリーニングボックスから利用者20のランドリーバッグを回収する。もちろん、ランドリーバッグが預けられた先に応じて、クリーニング事業者30は適宜ランドリーバッグを回収して回る。
【0052】
ランドリーバッグを回収すると、クリーニング事業者30は、ランドリーシステム10へ、クリーニング事業者端末31から回収が完了した旨の情報を含むクリーニング応答を送信する(ステップS104)。そして、クリーニング事業者30は、回収した利用者20の被服やランドリーバッグのクリーニングを開始する。
【0053】
また、クリーニング事業者30は、回収したランドリーバッグの履歴情報や状態情報を、適宜更新する。例えば、クリーニング事業者30は、ランドリーバッグを回収した時点で、ランドリーバッグが保管されている場所が工場であれば、場所の情報(
図3(B)参照)を「工場」と更新する。また、回収したランドリーバッグが、クリーニングを希望されていない場合は、クリーニング希望の情報(同図)を「なし」と更新する。
【0054】
なお、ランドリーバッグのクリーニングが完了した場合、工程の情報(同図)を「クリーニング済み」と更新し、クリーニング内容やクリーニングを行った日付に基づいて、当該ランドリーバッグの履歴情報(
図4(B)参照)を更新する。
【0055】
このような更新は、クリーニング事業者30が、クリーニング事業者端末31から、ランドリーシステム10へ、上述したような更新情報を含む更新要求を送信し(ステップS105)、当該更新要求を受信したランドリーシステム10のデータベース処理手段14が、データベース12のランドリーバッグの履歴情報を更新することで行われる。
【0056】
また、クリーニング事業者30は、このようなランドリーバッグの履歴情報などを更新する際、ランドリーバッグに埋め込まれていたり、アクセサリ型として取り付けられているタグを読取手段により読み取ることで、ランドリーバッグのバッグIDを検出することができる。
【0057】
データベース処理手段14は、上記更新処理を行った後、クリーニング事業者端末31へ更新応答を送信する(ステップS106)。これにより、データベース12上で、預けられたランドリーバッグに関する情報(
図3,4参照)が、適宜更新され、管理される。
【0058】
クリーニング事業者30は、ランドリーバッグのクリーニングが完了した場合、クリーニング事業者端末31からランドリーシステム10へ、クリーニング完了通知を送信する(ステップS107)。そして、ランドリーシステム10の送信情報処理手段15(もしくは、データベース処理手段14)は、当該クリーニング完了通知を受信した旨の応答(クリーニング完了応答)をクリーニング事業者端末31へ返し(ステップS108)、利用者端末21へは、クリーニングが完了したので、受け取りに来るようになどの内容を含むクリーニング完了通知を送信する(ステップS109)。
【0059】
利用者端末21がクリーニング完了通知を受信したことにより、利用者20は、クリーニングが完了したことを知る。ランドリーシステム10は、利用者端末21へクリーニング完了通知を送信する際、「どこの店舗で預かっているか」や「何時から受け取り可能か」などの情報も含めることができる。利用者20は、このような受信したクリーニング完了通知に含まれる情報に基づいて、預けた被服やランドリーバッグを受け取る。
【0060】
ここで、クリーニング完了通知には、返却時にランドリーバッグの状態情報(
図4(A)参照)を利用者へ知らせるための情報を付与してもよい。当該情報は、例えば、ランドリーバッグの状態(傷、シミ、汚れ)や、当該状態をプロ(クリーニング事業者)が判断し、「シミ抜きをやった方がいい」や「交換した方がいい」などのコメントやアドバイスに関する情報などである。
例えば、預けられた利用者のランドリーバッグの状態に基づいてクリーニング事業者30が当該ランドリーバッグの状態を判断し、クリーニング事業者端末31から上記コメントなどを含む情報をランドリーシステム10へ送信する。そして、送信情報処理手段15が利用者端末21に、上記コメントなどを含む情報を送信する。
【0061】
このような情報は、例えば、
図7に示すようなランドリーバッグのイラストに対して、どの部分に傷やシミ、汚れなどがあるかを示す情報である。当該イラストは3Dでもよく、写真であってもよい。また、同時に、汚れの程度や上記アドバイスを一緒に付与しておいてもよい。
【0062】
また、このような利用者へ知らせる情報は、返却時だけでなく、クリーニング中など他のタイミングでもよい。さらに、このような情報は、利用者端末へ送信されるクリーニング完了通知に付与する他に、送信情報処理手段15がクリーニング店の端末へ通知することで、利用者へ渡すレシートに当該情報を載せることもできる。
このような情報も、データベース12に蓄積して記憶される。そして、これにより、利用者は、良いもの(ランドリーバッグ)を長く大切に使用し続けることができる。
【0063】
本説明においては、ランドリーバッグに関する情報(
図3,4参照)が適宜更新され、管理されると説明したが、もちろん、ランドリーバッグに収納された被服についても、被服に対して行われている作業の工程や、履歴情報などをデータベース12により適宜管理することができる。
【0064】
このように、利用者20はランドリーバッグをクリーニングボックスに投入した後、利用者端末21からクリーニング要求を出すだけで、ランドリーバッグは迅速に回収され、利用者20が預けた被服やランドリーバッグはクリーニングされる。つまり、被服のクリーニングを依頼すると同時に、ランドリーバッグのクリーニングも依頼することができる。
【0065】
[状態情報]
また、クリーニング事業者30は、履歴情報と同様に、預けられたランドリーバッグの状態を更新する。例えば、クリーニング事業者30は、ランドリーバッグを回収した時、当該ランドリーバッグの外観をチェックし、傷や汚れがないか(傷や汚れがある場合、多さや大きさなどもチェック)、または定義されたランクなどに基づくランク付けを行う。
【0066】
そして、クリーニング事業者30から、上述したような状態の更新情報を含む更新要求を送信し(ステップS105)、当該更新要求を受信したランドリーシステム10のデータベース処理手段14により、データベース12のランドリーバッグの状態情報の更新が行われる(
図4(A)参照)。
【0067】
[情報参照]
図6は、利用者がランドリーバッグに関する情報を参照する手順を示すシーケンスである。利用者20は、利用者端末21からランドリーシステム10へ、参照要求を送信することにより、自身のランドリーバッグの履歴情報や状態情報を参照することができる。
【0068】
具体的には、利用者端末21からランドリーシステム10へ、履歴情報や状態情報を参照する旨の参照要求を送信する(ステップS201)。当該参照要求は、クリーニング要求と同様に、利用者20が、利用者端末21のブラウザ機能でランドリーシステム10へWebアクセスし、利用者端末21からWebアクセスされたランドリーシステム10は、メニュー管理手段16により、利用者端末21の表示画面にクリーニングシステム10の参照メニューを表示・選択させることで実現することができる。例えば、利用者20が当該参照メニューで自身の所有するランドリーバッグの履歴情報を参照したい場合、「履歴情報参照」の項目を選択する。
【0069】
これにより、利用者端末21からランドリーシステム10へ、利用者20の所有するランドリーバッグのID(バッグID)と、参照対象が履歴情報である旨の参照要求が送信される(ステップS201)。当該参照要求を受信したランドリーシステム10は、送信情報処理手段15により、データベース12(
図4(A)参照)から当該バッグIDに紐づく履歴情報を抽出し、抽出した履歴情報を含んだ参照応答を利用者端末21へ返す(ステップS202)。
【0070】
利用者端末21は表示画面に、受信した参照応答に基づく履歴情報を表示させる。また、ランドリーバッグの状態情報についても、同様に表示させることができる。このような参照手順(ステップS201,S202)ができるタイミングに、特に制限はない。例えば、ランドリーバッグのクリーニングが完了したタイミングであってもよく、クリーニング中のタイミングであってもよい。
これにより、利用者20は、いつでもランドリーバッグの履歴情報や、状態情報を好きなタイミングで参照することができる。
【0071】
参照することができる履歴情報や状態情報の内容は、上記参照メニューで適宜変更することが可能である。例えば、データベース12に履歴情報や状態情報の新しいカテゴリを追加した場合、それに合わせて参照メニューにも追加することができる。
【0072】
以上のように説明した本発明の実施の形態はあくまで一例であり、例えば、ランドリーバッグの履歴情報や状態情報を更新するのは、利用者側であってもよい。例えば、利用者端末の撮影手段(カメラなど)でランドリーバッグを撮影し、その情報(撮影画像データ)を更新要求に含ませてランドリーシステム10へ送信することにより、ランドリーバッグの外観を撮影画像で管理することができる。
また、別の実施の形態として、利用者20は例えばケアハウスの被介護者であり、下着や寝間着、その他使用している私物をランドリーバッグに収納して、クリーニングや洗濯を依頼する場合もある。
【0073】
さらに、参照メニューで他人が所有するランドリーバッグを参照することもでき、自身が所有するランドリーバッグを、リユース品や寄付品、またはレンタル品などの対象として扱うこともできる。例えば、特許第6846615号に記載されているファッションデータベースシステムと、本発明のランドリーシステムとを組み合わせて、ランドリーバッグがクリーニングされた後、そのまま保管されることもできる。また、ランドリーバッグがクリーニングされた後、当該ランドリーバッグを公開して、レンタルや販売の対象とすることもできる。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明は、利用者が所有するランドリーバッグを清潔に保つことができるクリーニングシステム、クリーニング方法、およびコンピュータをクリーニングシステムとして機能させるプログラムとして活用することができるため、産業上有用である。
【符号の説明】
【0075】
10 ランドリーシステム
11 通信手段
12 データベース
13 クリーニング要求処理手段
14 データベース処理手段
15 送信情報処理手段
16 メニュー管理手段
20 利用者
21 利用者端末
30 クリーニング事業者
31 クリーニング事業者端末
N ネットワーク網
【要約】
【課題】利用者が所有するランドリーバッグを清潔に保つことができるクリーニングシステム等の提供。
【解決手段】利用者の所有するランドリーバッグの履歴情報を記憶するデータベース12と、利用者の端末から送信される当該利用者の所有する前記ランドリーバッグのクリーニング依頼を受信し、クリーニング事業者に前記クリーニング依頼に基づくクリーニング要求を送信するクリーニング要求処理手段13と、クリーニング事業者の端末から送信される前記ランドリーバッグの履歴情報の更新要求に基づいて、前記データベースの前記ランドリーバッグの履歴情報を更新するデータベース処理手段14と、を含むクリーニングシステム10。
【選択図】
図2