(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】対象容器に充填液を充填する充填装置の洗浄方法、及び、対象容器に充填液を充填する充填装置
(51)【国際特許分類】
B67C 3/00 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
B67C3/00 A
(21)【出願番号】P 2016207025
(22)【出願日】2016-10-21
【審査請求日】2019-09-09
(73)【特許権者】
【識別番号】309007911
【氏名又は名称】サントリーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】特許業務法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】安東 学
(72)【発明者】
【氏名】中村 壮志
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-102586(JP,A)
【文献】特開2010-006429(JP,A)
【文献】米国特許第04750311(US,A)
【文献】国際公開第2008/116526(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67C 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象容器に充填液を充填する充填装置の洗浄方法であって、
前記充填装置は、
前記対象容器を密閉状態で保持可能な取付口と、
前記取付口に保持された前記対象容器に対し、供給路から供給される前記充填液を供給する供給口と、
前記取付口を、前記取付口が開放された開放状態と、
液体が通過しないように前記取付口が封鎖された封鎖状態と、に切り替え可能なキャップと、
前記取付口が前記封鎖状態にあるときに前記供給口から排出される液を回収する回収路と、を備え、
前記取付口を封鎖状態にして前記供給路に残留する前記充填液を前記供給口から排出させて、前記供給口から排出される前記充填液を前記回収路により回収する残留液排出工程を実行する洗浄方法。
【請求項2】
前記充填装置は、前記供給路に洗浄液を供給する洗浄液供給部を備え、
前記残留液排出工程の後に、前記取付口を封鎖状態にしたままで、前記洗浄液供給部により前記供給路に前記洗浄液を供給させ、前記供給口から排出される前記洗浄液を前記回収路により回収する洗浄工程を実行する請求項1に記載の洗浄方法。
【請求項3】
前記回収路は、主回収路と、前記主回収路から分岐する残留液回収路及び洗浄液回収路と、前記主回収路と前記残留液回収路及び前記洗浄液回収路との連通状態を切替可能な弁装置と、を備え、
前記弁装置を切り替えて、前記残留液排出工程において排出される前記充填液を前記残留液回収路により回収し、前記洗浄工程において前記供給口から排出される前記洗浄液を前記洗浄液回収路から回収する請求項2に記載の洗浄方法。
【請求項4】
前記充填装置は、前記キャップを洗浄する洗浄液を放出する洗浄ノズルを備え、
前記洗浄工程の後、前記洗浄ノズルを動作させて前記キャップを洗浄するキャップ洗浄工程を実行する請求項2又は3に記載の洗浄方法。
【請求項5】
前記取付口は、充填装置本体とは独立に上下動可能であり、
前記キャップは、水平方向にスライドすることで、開放位置と封鎖位置とに切り替え可能であり、
前記キャップが前記開放位置にあるとき、上下方向における所定位置にある前記取付口は前記開放状態となり、
前記キャップが前記封鎖位置にあるとき、前記所定位置にある前記取付口は前記封鎖状態となり、
前記開放位置と前記封鎖位置との間での前記キャップのスライドは、前記取付口を前記所定位置より上方に退避させた状態で行われ、
前記キャップ洗浄工程では、前記取付口を前記所定位置より上方に退避させた状態で、前記封鎖位置にある前記キャップを前記洗浄ノズルにより洗浄する請求項4に記載の洗浄方法。
【請求項6】
前記取付口は、充填装置本体とは独立に上下動可能であり、
前記キャップは、水平方向にスライドすることで、開放位置と封鎖位置とに切り替え可能であり、
前記キャップが前記開放位置にあるとき、上下方向における所定位置にある前記取付口は前記開放状態となり、
前記キャップが前記封鎖位置にあるとき、前記所定位置にある前記取付口は前記封鎖状態となり、
前記開放位置と前記封鎖位置との間での前記キャップのスライドは、前記取付口を前記所定位置より上方に退避させた状態で行われる請求項1~4のいずれか一項に記載の洗浄方法。
【請求項7】
対象容器に充填液を充填する充填装置であって、
前記対象容器を密閉状態で保持可能な取付口と、
前記取付口に保持された前記対象容器に対し、供給路から供給される前記充填液を供給可能な供給口と、
前記取付口を、前記取付口が開放された開放状態と、前記取付口が封鎖された封鎖状態と、に切り替え可能なキャップと、
前記供給路に洗浄液を供給する洗浄液供給部と、
前記取付口が前記封鎖状態にあるときに前記供給口から排出される液を回収する回収路と、を備え、
前記回収路は、主回収路と、前記主回収路の下流側端部から分岐する残留液回収路及び洗浄液回収路と、前記主回収路と前記残留液回収路及び前記洗浄液回収路との連通状態を切替可能な弁装置と、を備える充填装置。
【請求項8】
前記キャップを洗浄する洗浄液を放出する洗浄ノズルを備える請求項7に記載の充填装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象容器に充填液を充填する充填装置の洗浄方法、及び、対象容器に充填液を充填する充填装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、飲料水等の液体を対象容器に充填するのに、供給路から供給される液体(充填液)を供給する供給口を有する充填装置に対して対象容器をセットして、対象容器に充填液を供給することが行われている。そして、このような充填装置では、充填液の種類を切り替える場合、供給路等の充填液が通る供給系統に洗浄液を通流させて充填装置を洗浄する必要がある。例えば特開2001-341796号公報(特許公報1)には、充填装置の洗浄方法として、供給系統に洗浄液を通流させるときに、対象容器を取り付ける取付口(特許文献1ではセンタリングベル)にキャップを取り付けて充填装置内を密閉して、供給路を通じて供給口から排出される洗浄液が取付口から放出されることなく、供給系統に洗浄液を通流させて洗浄液を回収タンクに回収するものが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の充填装置において、充填液の種類を切り替えて充填装置を洗浄する場合、供給系統に残留する充填液を供給系統から排出する必要があるが、従来、残留充填液の排出に関しては特に配慮されておらず、単に供給口から残留充填液を装置外に放出することが行われていた。そのため、装置周辺が充填液で汚れてしまうため、装置周辺の洗浄に時間を要する問題があった。
【0005】
そこで、残留充填液の排出による上記問題を抑制できる充填装置の洗浄方法、及び、充填装置の実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る対象容器に充填液を充填する充填装置の洗浄方法は、
前記充填装置は、
前記対象容器を密閉状態で保持可能な取付口と、
前記取付口に保持された前記対象容器に対し、供給路から供給される前記充填液を供給する供給口と、
前記取付口を、前記取付口が開放された開放状態と、液体が通過しないように前記取付口が封鎖された封鎖状態と、に切り替え可能なキャップと、
前記取付口が前記封鎖状態にあるときに前記供給口から排出される液を回収する回収路と、を備え、
前記取付口を封鎖状態にして前記供給路に残留する前記充填液を前記供給口から排出させて、前記供給口から排出される前記充填液を前記回収路により回収する前記残留液排出工程を実行する。
【0007】
この構成によれば、残留充填液を排出する段階で取付口を封鎖状態にするから、供給口から排出される充填液が装置外に放出されることなく回収路により回収されるので、残留充填液の排出による上記問題を効果的に抑制できる。
【0008】
以下、本発明に係る充填装置の洗浄方法の好適な態様について説明する。但し、以下に記載する好適な態様例によって、本発明の範囲が限定される訳ではない。
【0009】
1つの態様として、前記充填装置は、前記供給路に洗浄液を供給する洗浄液供給部を備え、前記残留液排出工程の後に、前記取付口を封鎖状態にしたままで、前記洗浄液供給部により前記供給路に前記洗浄液を供給させ、前記供給口から排出される前記洗浄液を前記回収路により回収する洗浄工程を実行すると好適である。
【0010】
この構成によれば、キャップと回収路を残留充填液の排出と供給系統への洗浄液の通流とで共用するから装置構成を簡略化することができる。
【0011】
1つの態様として、前記回収路は、主回収路と、前記主回収路から分岐する残留液回収路及び洗浄液回収路と、前記主回収路と前記残留液回収路及び前記洗浄液回収路との連通状態を切替可能な弁装置と、を備え、前記弁装置を切り替えて、前記残留液排出工程において排出される前記充填液を前記残留液回収路により回収し、前記洗浄工程において前記供給口から排出される前記洗浄液を前記洗浄液回収路から回収すると好適である。
【0012】
回収路から回収する洗浄液と残留充填液とは最終的にはそれぞれ別で回収する必要があるところ、この構成によれば、弁装置の切替により残留充填液については残留液回収路で回収し、洗浄液については洗浄液回収路で回収することができるから、洗浄液と残留充填液とをそれぞれ別個で回収することができる。
【0013】
1つの態様として、前記充填装置は、前記キャップを洗浄する洗浄液を放出する洗浄ノズルを備え、前記洗浄工程の後、前記洗浄ノズルを動作させて前記キャップを洗浄するキャップ洗浄工程を実行すると好適である。
【0014】
キャップを用いて洗浄等を行う場合、使用後のキャップも洗浄する必要があるが、この構成によれば、洗浄ノズルにより使用後のキャップを洗浄することができる。
【0015】
この態様において、前記取付口は、充填装置本体とは独立に上下動可能であり、前記キャップは、水平方向にスライドすることで、開放位置と封鎖位置とに切り替え可能であり、前記キャップが前記開放位置にあるとき、上下方向における所定位置にある前記取付口は前記開放状態となり、前記キャップが前記封鎖位置にあるとき、前記所定位置にある前記取付口は前記封鎖状態となり、前記開放位置と前記封鎖位置との間での前記キャップのスライドは、前記取付口を前記所定位置より上方に退避させた状態で行われ、前記キャップ洗浄工程では、前記取付口を前記所定位置より上方に退避させた状態で、前記封鎖位置にある前記キャップを前記洗浄ノズルにより洗浄すると好適である。
【0016】
この構成によれば、キャップを水平方向にスライドするのみとし、また、キャップとの干渉を避けるために、装置本体全体を上下動させるのではなく取付口のみを上下動させるため、全体の装置構成を簡略化でき、また、装置本体全体を上下動させるのに比べ、移動に要する時間・コストを低減できる。そして、キャップが装置本体近傍にある封鎖位置において洗浄を行うので、洗浄ノズルを装置本体近傍に配置させることができ、設置スペースを省略できる。
【0017】
1つの態様として、前記取付口は、充填装置本体とは独立に上下動可能であり、前記キャップは、水平方向にスライドすることで、開放位置と封鎖位置とに切り替え可能であり、前記キャップが前記開放位置にあるとき、上下方向における所定位置にある前記取付口は前記開放状態となり、前記キャップが前記封鎖位置にあるとき、前記所定位置にある前記取付口は前記封鎖状態となり、前記開放位置と前記封鎖位置との間での前記キャップのスライドは、前記取付口を前記所定位置より上方に退避させた状態で行われると好適である。
【0018】
この構成によれば、キャップを水平方向にスライドするのみとし、また、キャップとの干渉を避けるために、装置本体全体を上下動させるのではなく取付口のみを上下動させるため、全体の装置構成を簡略化でき、また、装置本体全体を上下動させるのに比べ、移動に要する時間・コストを低減できる。
【0019】
本発明に係る対象容器に充填液を充填する充填装置は、
前記対象容器を密閉状態で保持可能な取付口と、
前記取付口に保持された前記対象容器に対し、供給路から供給される前記充填液を供給可能な供給口と、
前記取付口を、前記取付口が開放された開放状態と、前記取付口が封鎖された封鎖状態と、に切り替え可能なキャップと、
前記供給路に洗浄液を供給する洗浄液供給部と、
前記取付口が前記封鎖状態にあるときに前記供給口から排出される液を回収する回収路と、を備え、
前記回収路は、主回収路と、前記主回収路の下流側端部から分岐する残留液回収路及び洗浄液回収路と、前記主回収路と前記残留液回収路及び前記洗浄液回収路との連通状態を切替可能な弁装置と、を備える。
【0020】
この構成によれば、弁装置の切替により残留充填液については残留液回収路で回収し、洗浄液については洗浄液回収路で回収することができるから、残留充填液を排出する段階で取付口を封鎖状態としても、洗浄液と残留充填液とをそれぞれ別個で回収することができる。
【0021】
一つの態様として、前記キャップを洗浄する洗浄液を放出する洗浄ノズルを備えると好適である。
【0022】
キャップを用いて洗浄等を行う場合、使用後のキャップも洗浄する必要があるが、この構成によれば、洗浄ノズルにより使用後のキャップを洗浄することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【
図2】対象容器に対して充填液を充填しているときの充填装置の断面図
【
図3】開放状態から閉鎖状態に切り替えるときの充填装置の断面図
【
図4】残留充填液を排出しているときの充填装置の断面図
【
図5】洗浄液を通流しているときの充填装置の断面図
【
図6】キャップを洗浄しているときの充填装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明に係る充填装置の洗浄方法、及び、充填装置の実施形態について、図面を参照して説明する。なお、以下では本発明に特に関連する構成を中心に図示・説明しており、他の構成については図示・説明は省略してある。したがって、本発明の範囲はあくまでも以下の構成に限定されず、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変可能である。
【0025】
本実施形態に係る充填装置1は、
図1~6に示すように、対象容器12に充填液13を供給する装置本体2と、対象容器12を密閉状態で保持可能な取付口8と、取付口8を、取付口8が開放された開放状態と、取付口8が封鎖された封鎖状態と、に切り替え可能なキャップ9と、対象容器12を設置するための設置台10と、キャップ9を洗浄する洗浄液15を放出する洗浄ノズル11と、を備える。
【0026】
装置本体2には、クリーンガス等のガスが通るガス供給路3と、充填液13や洗浄液14が通る液供給路(特許請求の範囲における供給路に相当)5と、が通っており、ガス供給口4と液供給口(特許請求の範囲における供給口に相当)6とからそれぞれガスや充填液13、洗浄液14が放出される。また、装置本体2には、取付口8が封鎖状態にあるときに液供給口6から排出される液を回収する等、ガス供給口4や液供給口6から放出されたガスや充填液13、洗浄液14を回収するための回収路7が設けられている。具体的には、装置本体2内では、装置本体2の中心に環状の液供給路5が設けられ、その外側に環状のガス供給路3及び環状の回収路7が設けられた状態となっている。そして、ガス供給路3の上流側にはガス供給路3にガスを供給するガス供給部(図示は省略)が接続されており、また、液供給路5の上流側には液供給路5に充填液13を供給する充填液供給部(図示は省略)と液供給路5に洗浄液14を供給する洗浄液供給部(図示は省略)とが切替可能に接続されている。そして、回収路7は、装置本体2内の環状の部分を含む上流側の主回収路7aと、主回収路7aの下流側から分岐する残留液回収路7b及び洗浄液回収路7cと、主回収路7aと残留液回収路7b及び洗浄液回収路7cとの連通状態を切替可能な弁装置7dと、を備えている。残留液回収路7b及び洗浄液回収路7cはそれぞれ回収用のタンクと接続されており、弁装置7dを切り替えることにより回収路7により充填液13及び洗浄液14を別個に回収することができる。具体的には、弁装置7dを切り替えて、後述する残留液排出工程において排出される充填液13を残留液回収路7bにより回収し、後述する洗浄工程において液供給口6から排出される洗浄液14を洗浄液回収路7cから回収するようにしてある。
【0027】
取付口8は装置本体2とは独立に上下動可能になっている。具体的には、駆動機構8aが上下することにより上下動するようになっており、上下動することによって、設置台10に設置された対象容器12を密閉状態で保持したり、後述する封鎖位置にあるキャップ9により取付口8が封鎖されることになる封鎖位置(特許請求の範囲における所定位置に相当)と、封鎖位置より上方に退避させた退避位置との間で切り替え可能になっている。これにより、対象容器12を設置台10に設置するときや、後述するキャップ9をスライドさせるときに、取付口8を上方に退避させておくことで、対象容器12やキャップ9に取付口8が干渉することを防ぐことができ、また、封鎖位置に配置された対象容器12やキャップ9に対して取付口8を押し当てるように下降させることで、対象容器12やキャップ9と装置本体2とを密閉状態にすることができる。
【0028】
キャップ9は、キャップ9を水平方向にスライドさせる駆動装置(図示は省力)と接続されており、水平方向にスライドすることで、上下方向における封鎖位置にある取付口8が開放状態となる開放位置と、封鎖位置にある取付口8が封鎖状態となる封鎖位置と、に切り替え可能になっている。そして、本実施形態では、取付口8を退避位置に位置させた状態で、キャップ9を開放位置と封鎖位置との間でスライドさせて、取付口8を、取付口8が開放された開放状態と、キャップ9により取付口8が封鎖された封鎖状態との間で切り替えるようにしてある。
【0029】
なお、取付口8やキャップ9の動作は図示しない制御装置により制御可能になっており、その他、洗浄ノズル11等の充填装置1の各部も制御装置により制御可能になっている。
【0030】
次に、この充填装置1の使用方法について説明する。最初に、対象容器12に充填液13(例えばビール)を充填させる充填工程について説明する。まず、キャップ9を開放位置に位置させておき、取付口8を退避位置まで移動させて対象容器12を設置台10に設置し、その後、
図2に示すように、取付口8を封鎖位置まで移動させて対象容器12を密閉状態で保持する。そして、ガス供給路3に充填用のガスを供給して、ガス供給口4から取付口8に保持された対象容器12に対しガスを供給させて対象容器12内の空気と充填用のガスを入れ替え、且つ、対象容器12内の圧力を高める。その後、液供給口5に充填液13を供給し、取付口8に保持された対象容器12に対し、液供給路5から供給される充填液13を液供給口6から供給して、所定量まで対象容器12に充填液13を充填させて、当該対象容器12に対する充填工程を終了する。そして、1回の充填工程が終わると充填後の対象容器12が次の処理装置まで搬送され、これと同時に新たな対象容器12が充填装置1に搬送されて、次の充填工程が行われる。これを繰り返すことにより、次々に対象容器12に充填液13が充填される。
【0031】
充填工程が繰り返されて、所定数の対象容器12に充填液13が充填されると、異なる種類の充填液13での充填工程を行うため、一度、充填装置1における充填液13の供給系統の洗浄が行われる。ただ、充填液13の供給系統を洗浄するためには液供給路5等の供給系統に残留する充填液13を洗浄に先立って排出する必要があり、本実施形態では、供給系統に残留する充填液13を排出するため、取付口8を封鎖状態にして液供給路5に残留する充填液13を液供給口6から排出させて、液供給口6から排出される充填液13を回収路7により回収する残留液排出工程を実行する。具体的には、
図3に示すように、まず、供給路5中に充填液13が残留している状態で取付口8を退避位置まで移動させ、その後にキャップ9を封鎖位置までスライドさせ、さらに、
図4に示すように、取付口8を所定位置まで下ろして取付口8を封鎖状態にする。そして、このように取付口8を封鎖状態にしてから、液供給路5に対してガスを送り込ませて充填液13を液供給路5から排出させる。このとき取付口8がキャップ9により塞がれているため、液供給口6から排出される充填液13は、装置外に排出されることなく回収路7により回収されることになる。そして、残留液排出工程では弁装置7dは主回収路7aと残留液回収路7bとが連通するようにしてあり、残留液回収路7bにより液供給口6から排出される充填液13が回収される。残留液排出工程ではこのようにして残留する充填液13の排出が行われ、液供給路5に残留する充填液13がなくなると残留液排出工程を終了する。
【0032】
残留液排出工程が終了すると、その後に、
図5に示すように、取付口8を封鎖状態にしたままで、洗浄液供給部により液供給路5に洗浄液14を供給させ、液供給口6から排出される洗浄液14を回収路7により回収する洗浄工程を実行する。この洗浄工程では弁装置7dは主回収路7aと洗浄液回収路7cとが連通するようにしてあり、洗浄液回収路7cにより液供給口6から排出される洗浄液14が回収される。このように、キャップ9と回収路7を残留充填液排出工程と洗浄工程とで共用するから装置構成を簡略化することができる。
【0033】
そして、洗浄工程の後、
図6に示すように、洗浄ノズル11を動作させてキャップ9を洗浄するキャップ洗浄工程を実行する。具体的には、本実施形態では、取付口8を退避位置まで移動させて、取付口8を所定位置より上方に退避させた状態で、封鎖位置にあるキャップ9を洗浄ノズル11により洗浄する。このように、キャップ9が装置本体2近傍にある封鎖位置において洗浄を行うので、洗浄ノズル11を装置本体2近傍に配置させることができ、装置全体の設置スペースを省略できる。
【0034】
以上が充填装置1の概略的な使用方法であるが、これらの各工程は、作業員の手作業で行ってもいいし、作業員が制御装置を操作することで行ってもいいし、また、作業員を不要にして制御装置により自動で行わせるようにしてもよい。
【0035】
なお、本明細書において開示された実施形態は全ての点で例示であって、本発明の範囲はそれらによって限定されることはないと理解されるべきである。当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜改変が可能であることを容易に理解できるであろう。従って、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で改変された別の実施形態も、当然、本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明は、例えば飲料等を容器に充填する充填装置の洗浄に利用することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 充填装置
5 液供給路(供給路)
6 液供給口(供給口)
7 回収路
7a 主回収路
7b 残留液回収路
7c 洗浄液回収路
7d 弁装置
8 取付口
9 キャップ
11 洗浄ノズル
12 対象容器
13 充填液
14 洗浄液