(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】光源のサブマトリックスを備えた光ビーム投影デバイス、当該デバイスを備えた照明およびヘッドライトモジュール
(51)【国際特許分類】
F21S 41/265 20180101AFI20220128BHJP
F21S 41/143 20180101ALI20220128BHJP
F21V 5/00 20180101ALI20220128BHJP
F21V 5/04 20060101ALI20220128BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20220128BHJP
H01L 33/00 20100101ALI20220128BHJP
H01L 33/58 20100101ALI20220128BHJP
H01L 33/60 20100101ALI20220128BHJP
F21W 102/00 20180101ALN20220128BHJP
F21Y 105/16 20160101ALN20220128BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20220128BHJP
【FI】
F21S41/265
F21S41/143
F21V5/00 320
F21V5/04 350
G02B3/00 A
H01L33/00 L
H01L33/58
H01L33/60
F21W102:00
F21Y105:16
F21Y115:10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2017030068
(22)【出願日】2017-02-21
【審査請求日】2020-02-14
(32)【優先日】2016-02-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】391011607
【氏名又は名称】ヴァレオ ビジョン
【氏名又は名称原語表記】VALEO VISION
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】マリーヌ、クルシエル
(72)【発明者】
【氏名】バネサ、サンチェス
【審査官】大橋 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開平05-011718(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0241009(US,A1)
【文献】特開2007-109532(JP,A)
【文献】特表2015-511057(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/265
F21S 41/143
F21V 5/00
F21V 5/04
H01L 33/58
H01L 33/60
H01L 33/00
G02B 3/00
F21W 102/00
F21Y 105/16
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
特に自動車用の光学光ビーム投影デバイスにおいて、
光線の伝播方向に関して上流側にある少なくとも2つの関連付けられたサブマトリックス(20)のセットであって、各サブマトリックス(20)が、平坦な基板と、当該基板上に設けられるとともにそれぞれが光線を発することが可能な複数の発光ダイオードとを有している、前記サブマトリックス(20)のセットと、
光線の伝播方向に関して下流側にある複数の収束光学部を備えた主光学システム(4)であって、少なくとも1つの収束光学部が各サブマトリックス(20)と関連付けられるとともに各サブマトリックス(20)の下流側に配置されている、主光学システム(4)と、を備え、
2つの隣接した収束光学部の光軸間の分離間隔は、対応する隣接したサブマトリックスの中心間の分離間隔にそれぞれ対応している、光学光ビーム投影デバイス。
【請求項2】
前記収束光学部が、サブマトリックス(20)の虚像(6)を形成するよう構成され、前記虚像(6)は、主光源(8)のサブマトリックス(20)の上流側に、虚像(6)の大きさがサブマトリックス(20)の大きさよりも大きくなるように形成されることを特徴とする、請求項1に記載の光学光ビーム投影デバイス。
【請求項3】
サブマトリックス(20)の虚像(6)が実質的に隣接して均一な配光を形成するように前記主光学システム(4)が配置されることを特徴とする、請求項2に記載の光学光ビーム投影デバイス。
【請求項4】
前記主光学システム(4)が、平面に虚像(6)を形成するよう構成されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学光ビーム投影デバイス。
【請求項5】
各主光源(8)の下流側に収束光学部が配置されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の光学光ビーム投影デバイス。
【請求項6】
各収束光学部が、少なくとも1つの凸部分を有する入力マイクロジオプター(5)を備えることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の光学光ビーム投影デバイス。
【請求項7】
前記主光学システム(4)が、主光学システムの全ての収束光学部または全ての入力マイクロジオプター(5)に対して1つの出力ジオプター(9)を備えることを特徴とする、請求項6に記載の光学光ビーム投影デバイス。
【請求項8】
前記出力ジオプター(9)が、光学収差を補正するよう構成されることを特徴とする、請求項7に記載の光学光ビーム投影デバイス。
【請求項9】
前記出力ジオプター(9)が、実質的に球状の形態を有することを特徴とする、請求項8に記載の光学光ビーム投影デバイス。
【請求項10】
前記主光学システム(4)が、光学部として両凸レンズを得るために、各入力マイクロジオプター(5)に対して出力マイクロジオプター(9)を備えることを特徴とする、請求項6に記載の光学光ビーム投影デバイス。
【請求項11】
前記主光学システム(4)が、各サブマトリックス(20)に対して出力マイクロジオプター(9)を備えることを特徴とする、請求項6に記載の光学光ビーム投影デバイス。
【請求項12】
前記主光学システム(4)が、一体型のシングルピースの材料で構成されることを特徴とする、請求項1~11のいずれか一項に記載の光学光ビーム投影デバイス。
【請求項13】
前記主光学システムが、それぞれ一体型のシングルピースの材料から構成される2つの別々の光学要素を含んでなり、第1の光学要素(12)が
前記収束光学部を形成する複数の入力ジオプター(5)を備え、第2の光学要素(13)
が複数の出力ジオプター(9)を備えることを特徴とする、
請求項1に記載の光学光ビーム投影デバイス。
【請求項14】
特に自動車の照明用の光学光ビーム投影モジュールであって、
請求項2または3、あるいは請求項2または3に従属する請求項4から13のうちのいずれか一項に記載の光学光ビーム投影デバイス、および、投影レンズ(3)または反射器といった投影手段を含んでなり、前記投影手段は、光ビームの投影方向で前記主光学システム(4)の下流に配置され、前記虚像(6)からの光ビームを投影可能であり、前記虚像は、虚像に焦点を合わせた前記投影手段のための光源として機能する、前記光学光ビーム投影モジュール。
【請求項15】
請求項14に記載の光学光ビーム投影モジュール(1)を備えた自動車のヘッドライト。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、とりわけ自動車用の光ビーム投影デバイス、および、そのような投影デバイスを備えた、ロービームまたはハイビームタイプの光ビームヘッドライトに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のヘッドライトは、ヘッドライトの出力にあたって1つ以上の光ビームをもたらすために、前面レンズで閉じられたケース内に配置される1つ以上の光学モジュールを備える。簡潔に述べると、ケース内の光学モジュールは、特に、光線を発する光源、たとえば、1つ(または複数)の発光ダイオード、ならびに、光学モジュールの出力光ビームを形成するために光源から来た光線を方向付けるための、1つ以上のレンズおよび適切な場合は反射器を含む光学システムを備える。
【0003】
車両運転者のニーズによって光ビームの配向を変えることが可能な自動車ヘッドライトがいくつか公知である。車両が曲がるときには、車両に搭載される電子システムが、運転中の運転者の視界に適応させるために光ビームの配向を変更するよう命令する。次いで、ヘッドライトは、光ビームをまっすぐ前に投影するのではなく、道路を明るくするために、車両の回転方向に光ビームの軸を動かす。
【0004】
他の公知のヘッドライトは、同一の光源で、ロービームおよびハイビーム機能を達成できる。この目的のために、ヘッドライトは、ビームの一部分を遮断する、ビームベンダーと呼ばれる要素を示す機械的手段を利用する。さらに、高速道路用に設計されたロービームタイプの照明もあり、このビームは、車両が高速道路を走っている時に道路の視界を向上させるために、通常のロービームのカットオフの少し上を通過する。
【0005】
このように、光源から発する光線を調整し、ヘッドライトから出る光ビームの大きさを変更し、かつ、上記した機能を全て実行するようにできることが望ましい。
【0006】
この達成のために、文献DE102008061556号では、それぞれがアドレス可能な発光ダイオードのマトリックスを備えた照明デバイスが開示されている。ダイオードは互いに沿って配置され、各ダイオードは、ヘッドライトを出る光ビームの構成要素を発している。このデバイスでは、所望するビームのサイズに対応した発光ダイオードの比率を達成することで、光ビームの大きさを調整することが可能である。
【0007】
しかし、現在のダイオードマトリックスでは、均一な光ビームを得ることは不可能である。実際に、ダイオードが最小の距離でそれぞれ離れて配置されているため、ビームを構成する異なる光ビームの間に、ダイオードの間隔に対応する隙間が現れる。
【0008】
さらに、現在の照明システムでは、ビームの解像度の増大を必要とし、よって、ピクセル数に関する必要性が著しい。よって、この必要性を満たすために、光源の数は多大でなくてはならず、100~600個の範囲、それよりも多くなり得る。
【0009】
そのような数の光源を備えたダイオードマトリックスは、複数の不都合をさらに有する。第1の不都合は、そのようなアセンブリの製造コストであり、なぜなら、このようなアセンブリは非常に大きな数では製造されず、かつ、製造が複雑であるため、コスト高になるからである。第2の不都合は、そのようなマトリックスの脆弱性に起因し、いかなる損傷も避けるためにその取り扱いには特に配慮が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】ドイツ国特許公報DE102008061556
【発明の概要】
【0011】
よって、本発明は、大きさと配向を変更できる光ビームを投影するよう構成され、および、上記の欠点を回避する光学モジュールを提供することを目的とする。
【0012】
このために、本発明は、とりわけ自動車用の光学光ビーム投影デバイスに関し、当該投影デバイスは、光線の伝播方向に関して上流側にあってそれぞれが光線を発することが可能な主光源を備えた少なくとも2つの関連付けられたサブマトリックスのセットと、下流側にあって複数の収束光学部を備えた主光学システムとを備え、少なくとも1つの収束光学部は、各サブマトリックスと関連付けられ、かつ各サブマトリックスの下流側に配置され、2つの隣接した収束光学部の光軸間の分離間隔は、対応する隣接したサブマトリックスの中心間の分離間隔にそれぞれ対応している。
【0013】
さらに、本出願では、主光源のマトリックスは、少なくとも2列と少なくとも2行、好ましくは少なくとも10列と少なくとも3行に配置された主光源のセットを意味すると理解される。
【0014】
行と列で配置された少なくとも2つの主光源で構成されるアセンブリは、サブマトリックスと呼ぶ。たとえば、サブマトリックスは、1行および2列のダイオードを備えていてよい。好ましくは、少なくとも2行および少なくとも2列のダイオードを備えていてよい。効果的には、実装される光源のマトリックスは、複数の異なるサイズのサブマトリックスで構成することができる。
【0015】
分離間隔を測るために、配置は、主光源の発光面に平行な平面で、垂直投影法で採用される。サブマトリックスが第1の平面上に配置され、収束光学部が、好ましくは第1の平面に平行な、前記光学部を貫通する第2の平面に対して直角である光軸を有する場合、各分離間隔は、企図される各平面、2つの平面が平行の場合はそのうちの1つの平面上で投影法で測定される。
【0016】
効果的には、収束光学部は、サブマトリックスの虚像を形成するよう構成され、虚像は、主光源のサブマトリックスの上流に、虚像の大きさがサブマトリックスの大きさよりも大きくなるように形成される。
【0017】
さらに、虚像の形成により、主光源の実像を主光源の下流にもたらすデバイスに比べ、デバイスの光軸に沿ったより良好なコンパクトさを得ることが可能になる。
【0018】
このように、本発明によって、大きいサイズの光源のマトリックスを形成するために、サブマトリックスを使用および連携させる(関連付ける)ことが可能になる。よって、シングルピース(単一片)からなるマトリックス(モノリシックマトリックス)を製造する必要性が回避されるため、製造コストを減らし、損傷した場合には損害を低減することが可能になる。さらに、サブマトリックスのアセンブリのサイズは、所望するサブマトリックスを並置することで容易に選択することができ、その度に適切なサイズの大きなマトリックスを製造する必要がない。
【0019】
さらに、虚像が光源のサブマトリックスの上流側に形成されるため、虚像は拡大され、よって、様々なサブマトリックスの光源が発するビーム間の隙間を最小限にする。好ましい実施形態では、主光学システムは、虚像が並置されるかまたは実質的に並置され、それによってサブマトリックス間の配光の良好な均一性をもたらし、前記サブマトリックス内でも、サブマトリックスを構成する光源間の配光の良好な均一性をもたらすように、構成される。
【0020】
組み合わせて、または、個別で用いることができる本発明の異なる実施形態によると:
- 主光学システムは、サブマトリックスの虚像が実質的に隣接して均一な配光を形成するよう配置される。
- 主光学システムは、平面に虚像を形成するよう構成される。
- 収束光学部は、各主光源の下流に配置される。
- 各収束光学部は、収束入力マイクロジオプターを備える。
- 各収束光学部は、少なくとも1つの凸部分を有する入力マイクロジオプターを備える。
- 収束入力マイクロジオプターは、平面を有する。
- 主光学システムは、全ての収束光学部または全ての入力マイクロジオプターに対する出力ジオプターを1つ含む。
- 出力ジオプターは、光学収差を補正するよう構成される。
- 出力ジオプターは、実質的に球状の形態を有する。
- 出力ジオプターは、二重焦点で解像度を有する細長の形態を有する。
- 主光学システムは、光学部として両凸レンズを得るために、各入力マイクロジオプターに対して出力マイクロジオプターを備える。
- 主光学システムは、各サブマトリックスに対して出力ジオプターを備える。
- 主光学システムは、単一の材料から構成され、つまり、その各種構成要素は、全て同一材料の構成要素である。
- 主光学システムは、同一材料から構成される2つの別々の光学要素を含んでなり、第1の光学要素は入力ジオプターを備え、第2の光学要素は出力ジオプターを備える。
- 主光源は、発光ダイオードである。
【0021】
本発明の文脈では、マイクロジオプターとは、その外側の大きさが主光源または主光源の関連させたサブマトリックスの大きさの5倍以下であるジオプターを意味する。マイクロジオプターは通常ミリメートルの桁である。よって、たとえば、発光面が1mmの辺の長さである1つの発光ダイオード(LED)に関して、関連させたジオプターの大きさは、5mmの最大辺直径を有する正方形内に収まる。主光源がLEDのサブマトリックスで構成される場合、企図されるのは、サブマトリックスの大きさである。
【0022】
さらに、主光源が全て同一の大きさである場合、全て同一の大きさであるマイクロジオプターを提供することも可能である。しかし、効果的には、マトリックスの端部、とりわけ側部の先端で光源と関連させたジオプターを、他よりも大きいサイズの投影光パターンをもたらす横方向および垂直方向に細長の虚像を形成し、特に歩道への照明をもたらすために、他よりも大きくして提供することも可能である。
【0023】
本発明はまた、そのような投影デバイスおよび投影レンズまたは反射器といった投影手段を備えた光学モジュールにも関し、当該投影手段は、光ビームの投影方向において主光学システムの下流に配置され、虚像からの光ビームを投影可能であり、前記虚像は、虚像に焦点を合わせた投影手段のための光源として機能する。
【0024】
本発明のこの最後の特徴は、特に興味深く、効果的である。実際に、投影手段の虚像、特に前記虚像を含有する平面への焦点により、光学投影モジュールは、主光学システムの製造欠陥の影響を受けないようになる(投影手段がジオプターの表面に焦点を合わせるとすると、像が形成されるのはこの表面であり、よって、その全ての製造欠陥が目に見えるようになり、均一性の欠陥または投影される光ビームの色収差の欠陥を引き起こし得る。)。さらに、このことによって、主光学部に関連させて光源のサブマトリックスを用いることが可能になり、各光源および/または光源のサブマトリックスの像がそれぞれ形成される。
【0025】
本発明は、そのような光学モジュールを備える自動車ヘッドライトにも関する。
【0026】
本発明は、添付の図面を参照しながら、説明のみのために提供され、その目的は本発明を限定することではない以下の詳細によって、理解が深まる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】
図1は、本発明の投影モジュールの第1の実施形態の斜視図を模式的に示している。
【
図2】
図2は、
図1の投影モジュールの一部分を拡大斜視図を模式的に示している。
【
図3】
図3は、
図2の投影モジュールの一部分上に虚像を形成した斜視図を模式的に示している。
【
図4】
図4は、本発明の投影モジュールの第1の実施形態の側面図を模式的に示している。
【
図5】
図5は、本発明の投影モジュールの第2の実施形態の第1の変形版の側面図を模式的に示している。
【
図6】
図6は、本発明の投影モジュールの第2の実施形態の第2の変形版の側面図を模式的に示している。
【
図7】
図7は、本発明の投影モジュールの第2の実施形態の第3の変形版の側面図を模式的に示している。
【
図8】
図8は、本発明の投影モジュールの第2の実施形態の第4の変形版の側面図を模式的に示している。
【
図9】
図9は、本発明の投影モジュールの第2の実施形態の第5の変形版の側面図を模式的に示している。
【
図10】
図10は、第1の実施形態の製造変形版の側面図を模式的に示している。
【
図11】
図11は、光源のマトリックスの第1のタイプの前面図を模式的に示している。
【
図12】
図12は、光源のマトリックスの第2のタイプの前面図を模式的に示している。
【
図13】
図13は、光源のマトリックスの第3のタイプの前面図を模式的に示している。
【
図14】
図14は、光源のマトリックスの第4のタイプの前面図を模式的に示している。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1~4は、特に自動車のための、光学光ビーム投影モジュール1の第1の実施形態を示す。モジュール1は、光軸15に沿った光線の伝播方向における上流から下流までで、光線を発光可能な主光源8のマトリックス2、光線を伝える主光学システム4、および、光学主光学システム4によって伝えられた入射光線からの光ビームを投影するよう構成された投影手段を備えている。
【0029】
図では、投影手段は、単一の投影レンズ3の形態を取っている。しかし、投影手段は、複数のレンズ、複数の反射器を備えて関連させたもの、または、1つ以上のレンズおよび/または1つ以上の反射器の組合せによって形成され得る。
【0030】
主光源8は、たとえば、
図2に示される通り、マトリックス2上にアレーを形成する発光ダイオードである。これらの発光ダイオードのマトリックス2は、公知であり、市販されている。
【0031】
主光学システム4の機能は、ここでは投影レンズ3の形態である投影手段と組み合わされた時に、モジュールからたとえば道路に投影されるビームが均一であるように、ダイオードから光線を伝えることである。この目的のために、主光学システム4には、好ましくは収束入力マイクロジオプター5である複数の収束光学部を備える。ここで、入力マイクロジオプター5は、凸状面を有し、つまり、光源8に向かって外向きにドーム状になっている。しかし、その表面は、平面、平面-凸または凹-凸であり得る。入力マイクロジオプター5は、効果的には、各光源8の下流に配置され、つまり、
図2の通り、各発光ダイオードまたはマトリックス2のダイオードのサブマトリックスの下流に配置される。入力マイクロジオプター5は、
図3の通り、主光源8の虚像6を形成する。
【0032】
虚像6は、主光源8のマトリックス2の上流で形成され、よって、投影レンズのための新しい光源として機能する。得られた虚像6は、拡大されており、および、好ましくは実質的に隣接している。すなわち、虚像は顕著な隙間によって互いに離れていない。さらに、隣接した虚像は、互いに少し重なり得、このことは、デバイスから25m離れて配置されるスクリーン上で測定される、投影手段による各投影の重なりになり、好ましくは1度未満である。実際に、主光学システムの設計において、光源の配置の正確性およびマイクロジオプターの表面の製造欠陥に関する安定性を保障する許容差とともに、近軸の観点から虚像が並置されることを確実にすることが求められる。作製される光ビームの良好な均一性を確実にするこのわずかな重なりを得るために、各虚像の端部はぼやかされる。よって、主光学システム4によって、ビームの均一な分配を得るために主光源8の虚像6を形成することが可能になり、つまり、光ビームの構成要素は、互いに正しく調整され、運転の快適性に悪影響である、光ビームの構成要素間の暗色帯および/または明色帯(過度な強さ)をもたらさない。
【0033】
さらに、虚像6は、光源の本物のマトリックスと比べて投影レンズ3からより遠く、これによって、コンパクトな光学モジュールを維持することが可能である。
【0034】
主光学システム4は、効果的には、虚像6を平面61上に形成するよう構成され、虚像6の大きさは、主光源8の大きさよりも大きい。
図4の通り、虚像6のサイズの拡大によって、互いに隣接するような平面61上での虚像6の並置が可能になる。このために、マイクロジオプターを形成する凸状湾曲および材料は、マトリックス2に対する光学主光学システム4の配置のように、虚像6が正しく並置されるように主光源8のマトリックス2の大きさに合っている。サブマトリックスのサイズおよび求める拡大によって、サブマトリックスおよび主光学システム4の間の距離は、上端下端も含んで、サブマトリックスのサイズの25~200%、好ましくは50~100%であり、たとえば、上端下端も含んで、1~7mmの距離を伴う。
【0035】
分かりやすくするため、虚像6は、
図4~
図10には描かれていない。これら虚像6が位置する平面61のみが描かれている。
【0036】
図4の光学モジュール1は、主光源8のマトリックス2、入力マイクロジオプター5を備える主光学システム4、および、投影レンズ3によって形成される投影手段を備えている。主光学システム4は、入力マイクロジオプター5全てに対する1つの出力ジオプター9も備えている。
【0037】
出力ジオプター9は、投影レンズ3に伝えられるビームの光学補正を提供する。補正は、特に、デバイスの光学効率を改善し、システム4の光学収差を補正する役割を果たす。このため、出力ジオプター9は、実質的に球状のドーム形態である。この形態は、光軸15上に配置された光源から来る、出力ジオプター9を通過するビームの光線の方向をほとんど屈折させない。
【0038】
図示された製造施例では、出力ジオプター9は、実質的に球状のドーム形態である。
【0039】
図示されていない変形例では、二重焦点で解像度を有する、円筒タイプの、細長の形態である。前から見ると、出力ジオプター9は、高さよりも横が長い。この変形版の製造の好ましい実施例によると、出力ジオプター9は、水平面、よって幅方向で、5mm未満の屈折を伴った大きな曲率半径を有する。水平面の表面は凸または凹であり得、すなわち、出力ジオプター9はそれぞれ収束または発散性であり得、後者の代替案は、光学デバイスのかさを減らすのに特に興味深い。さらにこの好ましい製造実施例に従うと、垂直面、したがって高さ方向では、出力ジオプター9の表面は非球面であり、下端上端を含む5および10mm間の半径を有する一次球近似を伴う。
【0040】
この第1の実施形態では、主光学システム4は、単一の材料、すなわち同一の材料から構成される。つまり、入力マイクロジオプター5および出力ジオプター9は、1つの同一要素である、合成レンズのような主光学システム4の入力および出力面を形成する。
【0041】
図10に示す第1の実施形態の変形版では、主光学システム4は、各入力マイクロジオプター5に対して出力マイクロジオプター9を備えている。主光学システム4は、両凸マイクロレンズのセットを形成し、各マイクロレンズは、主光源の前に配置されている。しかし、単一の出力ジオプター9を備えた主光学システム4のように、マイクロレンズによって、伝えられたビーム全体を補正することはできない。これらのマイクロレンズは、以下で説明する、
図6に示した第2の実施形態の第2の変形版のものに類似している。これらのマイクロレンズは、虚像のより良好な均一性をもたらし、像の変形を少なくするという効果を有する。
【0042】
図5~
図8に示す第2の実施形態では、デバイスは、前の実施形態のマトリックス2の代わりに、主光源8のサブマトリックス20を複数備えている。発光ダイオードのサブマトリックス20は、大きいサイズのマトリックスよりも取り扱いが容易で、コストも低い。よって、複数のサブマトリックス20を関連させて大きいサイズのマトリックスを得ることは、コスト効率がより高い。そのような構図では、100~600個の発光ダイオードを含有し得る。
【0043】
図11~14は、本発明に従ったデバイスのサブマトリックスとして機能し得る、マトリックスの様々なタイプを示している。そのようなマトリックスは、個別にアドレス可能な異なる発光ゾーンを少なくとも2つ備えている。
【0044】
図11は、発光ダイオードタイプの光源8のマルチチップのマトリックス20を示し、各光源8は個別でアドレス可能である。各光源8は、独立したチップ上に別々で作製され、当該チップは保持要素18上に搭載され、それ自体もサポート17上で他の光源と組み立てられる。
図12は、発光ダイオードが、サポート17上に配置された共通の保持要素18上で互いに前もって組み立てられた、第2のタイプのマルチチップのマトリックス20を示している。
【0045】
図13および
図14は、シングルチップのマトリックス20を示しており、光源8は、電極を共有する。接触した2つの電極16、19を有するダイオードであり、第1のスポット電極19および第2の面電極16である。
図13では、光源8は、第1の電極19を作動させることで個別にアドレス可能であり、第2の電極はチップの光源8全てに対して同一である。一方で、
図14の光源8は、各光源8に対して独立した第2の電極19を有するよう、部分分割された第2の電極19を有し、第1の電極16は同時に作動可能である。
【0046】
特定の変形版の実施形態に従うと、光サブマトリックス20は、サブミリの大きさの複数の発光ユニットを備えた半導体光源に基づくことができ、ユニットは、選択的に作動可能な異なる光ゾーンに分配されている。具体的には、サブミリの大きさの各発光光ユニットは、ロッドの形態をとる。さらに、ロッドは、1つおよび同一の、好ましくはシリコンからなる基材上にある。
【0047】
主光学システム4は、単一マトリックスの実施形態のように、同一特性を有する単一ビームを形成するために、サブマトリックス20から出る光線を関連させる。よって、本発明によって、市販の標準的な構成要素を使うだけでなく、大きいサイズの構成要素に生じる熱膨張の問題も回避することが可能になる。
【0048】
異なるサブマトリックス20によって形成されたビームは互いに補い、効果的には、各ビームの1度の開口角を超えないビームのわずかな重なりを伴う。異なるビームをもっと大きな角度で重なり合わせることは、構成要素の離散化を維持し、外形が良く画定された投影ビームを保持するために、回避される。
【0049】
図5は、光学投影モジュール1の第1の変形版の実施形態を示し、上流に複数のサブマトリックス20、および、下流に投影レンズといった投影手段3を備えている。光学デバイスは、サブマトリックス20および投影レンズ3の間に、ここでは収束入力マイクロジオプター5、凸面を有する複数の収束光学部を備え、虚像6を1つおよび同一の平面61上に形成するよう構成された、主光学システム4も備えている。入力マイクロジオプター5は、サブマトリックス20の下流に配置され、入力マイクロジオプター5は、主光源8のサブマトリックス20に対応している。
【0050】
光源の虚像6は、サブマトリックス20の上流にある1つおよび同一の平面61上に、虚像6の大きさがサブマトリックス20よりも大きいように形成され、虚像6は次いで投影レンズ3のための光源として役割を果たす。
【0051】
図4の実施形態のように、
図5の主光学システム4は、投影レンズ3に伝えられるビームの光学補正を提供するよう構成された出力ジオプター9を有し、出力ジオプター9は、凸状のドーム形態も有する。さらに、主光学システム4は、単一の材料から構成された光学要素でもある。
【0052】
図6に示す第2の実施形態の第2の変形版では、主光学システム4は、各入力マイクロジオプター5に対して出力マイクロジオプター9を備えている。ここで、出力ジオプター9の機能は、伝えられるビームの補正ではない。主光学システム4は、こうして、両凸マイクロレンズのセットを形成する。この実施形態では、モジュールは主光源8のサブマトリックス20を含んでなり、各両凸マイクロレンズは、サブマトリックス20の下流に配置されている。
【0053】
図7は、本発明に従った光学モジュール1の第2の実施形態の第3の変形版を示し、主光源8のサブマトリックス20の下流に配置された、収束光学部を凸状入力マイクロジオプター5と一緒に備えた主光学システム4を備えている。入力マイクロジオプター5は、各サブマトリックス20の主光源8に対応する。この変形版の実施形態では、主光学システム4は、各サブマトリックス20に対して出力ジオプター9を備えている。各レンズの出力ジオプター9および入力マイクロジオプター5は、合成レンズを形成するような、ひと続きの材料である。主光学システム4の合成レンズは、互いに結合していてもよい。よって、出力ジオプター9は、各サブマトリックス20のビームが互いに調節されるように、サブマトリックスの拡大された虚像を作製する。さらに、各サブマトリックス20に対する出力ジオプター9は、異なるサブマトリックスからのビーム間の寄生光線を回避する。
【0054】
さらに、この場合、出力ジオプター9および入力マイクロジオプター5は、シングルピースで構成された主光学システム4の一部分を形成する。つまり、主光学システム4は、単一の要素のみを備えている。
【0055】
図8は、
図7の第3の変形版に類似した第2の実施形態の第4の変形版を説明し、違いは、2つの要素12、13に別れた主光学システム4である。第1の要素12は、入力マイクロジオプター5、および、全ての入力マイクロジオプター5のための実質的に平面の単一出力面を備えている。第2の要素13には、各サブマトリックス20のための、凸状ジオプター14を有する入力面、および、各サブマトリックス20に対する出力ジオプター9が備えられている。
【0056】
図9の第5の変形版は、第4の変形版と実質的に同じである。第1の要素12の形態が、
図6の第2の変形版に類似した両凸マイクロレンズのセットを備える点で異なる。第2の部分13は、第4の変形版と実質的に同じである。
【0057】
第3、第4および第5の変形版の光学システム4は、主光源8が互いに離れているサブマトリックス20に特によく適している。主光源8の幅の5%超で離れていると、顕著な距離とみなされ得る。よって、前述した手順に従うと、各主光源8の下流に配置される入力マイクロジオプター5によって、サブマトリックス内で、主光源8が提供する光が均一になることが可能になる。各サブマトリックス20の下流に配置される出力ジオプター9の機能は、これらサブマトリックス間で均一な第2の虚像を、平面11に作製することである。
【0058】
各サブマトリックス専用の入力ジオプター14がある場合(
図8および9の場合)、出力ジオプター9および入力ジオプター14の関連付けによってサブマトリックス間に虚像が作製される。こうすると、効果的には、像の幾何学上の変形が少なくなる。サブマトリックス20間のこの標準化は、サブマトリックス間の距離が光源8を分離している距離よりも大きいと、とりわけ有用である。
【0059】
第1の実施形態で説明される本発明のおかげで得られる効果は、第2の実施形態の変形版でも得られる。