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特許6999317インクジェットヘッド及びインクジェットプリンタ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】インクジェットヘッド及びインクジェットプリンタ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/015 20060101AFI20220111BHJP
   B41J 2/14 20060101ALI20220111BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20220111BHJP
   B41J 2/045 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
B41J2/015 101
B41J2/14 303
B41J2/01 401
B41J2/045
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2017142022
(22)【出願日】2017-07-21
(65)【公開番号】P2019018538
(43)【公開日】2019-02-07
【審査請求日】2020-05-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 洋之
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-007812(JP,A)
【文献】特開2017-013487(JP,A)
【文献】特開2015-089645(JP,A)
【文献】特開2013-075509(JP,A)
【文献】特開2014-208411(JP,A)
【文献】米国特許第06286925(US,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2005-0087929(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクが充填される圧力室と、
前記圧力室の少なくとも一部を構成するアクチュエータと、
前記アクチュエータに信号を入力し、前記アクチュエータを変形させ、前記圧力室の容積を変化させるドライブICと、
前記圧力室に連通し、且つ前記圧力室の圧力により前記圧力室内の前記インクを吐出する吐出ノズルを備えるノズルプレートと、
を具備し、
前記ドライブICは、
前記圧力室の容積を初期状態から拡張状態に拡張させ、前記圧力室及び前記インクにより定まる固有振動周期の間、前記圧力室の容積を前記拡張状態で維持し、
前記圧力室の容積を前記拡張状態で維持した後に前記圧力室の容積を前記拡張状態から前記初期状態に収縮させ、前記固有振動周期より長く且つ前記固有振動周期の3倍より短い間、前記圧力室の容積を前記初期状態で維持し、
前記圧力室の容積を前記初期状態で維持した後に前記圧力室の容積を前記初期状態から収縮状態に収縮させ、前記固有振動周期より長く且つ前記固有振動周期の3倍より短い間、前記圧力室の容積を前記収縮状態で維持する、
インクジェットヘッド。
【請求項2】
前記ドライブICは、
前記圧力室の容積を前記拡張状態から前記初期状態に収縮させてから、前記固有振動周期の2倍の間、前記圧力室の容積を前記初期状態で維持する請求項1に記載のインクジェットヘッド。
【請求項3】
前記ドライブICは、
前記圧力室の容積を前記初期状態から前記収縮状態に収縮させてから、前記固有振動周期の2倍の間、前記圧力室の容積を前記収縮状態で維持する請求項1または2に記載のインクジェットヘッド。
【請求項4】
前記ドライブICは、
前記圧力室の容積を初期状態から拡張状態に拡張させてから、前記初期状態での前記圧力室の圧力である初期圧力を前記圧力室の圧力が超えた場合、前記圧力室の容積を前記拡張状態から前記初期状態に収縮させ、
前記圧力室の容積を前記拡張状態から前記初期状態に収縮させてから、前記初期圧力を前記圧力室の圧力が超えた場合、前記圧力室の容積を前記初期状態から前記収縮状態に収出させる請求項1に記載のインクジェットヘッド。
【請求項5】
印刷媒体を搬送する搬送モータと、
インクが充填される圧力室と、
前記圧力室の少なくとも一部を構成するアクチュエータと、
前記アクチュエータに信号を入力し、前記アクチュエータを変形させ、前記圧力室の容積を変化させるドライブICと、
前記圧力室に連通し、且つ前記圧力室の圧力により前記圧力室内の前記インクを前記搬送モータにより搬送される前記印刷媒体に吐出する吐出ノズルを備えるノズルプレートと、
を具備し、
前記ドライブICは、
前記圧力室の容積を初期状態から拡張状態に拡張させ、前記圧力室及び前記インクにより定まる固有振動周期の間、前記圧力室の容積を前記拡張状態で維持し、
前記圧力室の容積を前記拡張状態で維持した後に前記圧力室の容積を前記拡張状態から前記初期状態に収縮させ、前記固有振動周期より長く且つ前記固有振動周期の3倍より短い間、前記圧力室の容積を前記初期状態で維持し、
前記圧力室の容積を前記初期状態で維持した後に前記圧力室の容積を前記初期状態から収縮状態に収縮させ、前記固有振動周期より長く且つ前記固有振動周期の3倍より短い間、前記圧力室の容積を前記収縮状態で維持する、
インクジェットプリンタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、インクジェットヘッド及びインクジェットプリンタに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷データに応じて印刷媒体に画像を形成するインクジェットプリンタが実用化されている。インクジェットプリンタは、例えば、インクジェットヘッドと、インクジェットヘッドを制御するヘッドコントローラとを備える。インクジェットヘッドは、インクを吐出するアクチュエータと、ヘッドコントローラの制御に基づいてアクチュエータを駆動するドライバICとを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-208411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような構成のインクジェットヘッドにおいて、単位時間当たりのアクチュエータの駆動時間の割合を示す印字率が増加すると、ドライバICにおける消費電力及び温度が増加するという課題がある。
【0005】
本発明は、吐出体積当たりの消費電力を抑えることができるインクジェットヘッド及びインクジェットプリンタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係るインクジェットヘッドは、圧力室と、アクチュエータと、ドライブICと、ノズルプレートとを具備する。圧力室は、インクが充填される。アクチュエータは、前記圧力室の少なくとも一部を構成する。ドライブICは、前記アクチュエータに信号を入力し、前記アクチュエータを変形させ、前記圧力室の容積を変化させる。ノズルプレートは、吐出ノズルを備える。吐出ノズルは、前記圧力室に連通し、且つ前記圧力室の圧力により前記圧力室内の前記インクを吐出する。さらに、ドライブICは、前記圧力室の容積を初期状態から拡張状態に拡張させ、前記圧力室及び前記インクにより定まる固有振動周期の間、前記圧力室の容積を前記拡張状態で維持し、前記圧力室の容積を前記拡張状態で維持した後に前記圧力室の容積を前記拡張状態から前記初期状態に収縮させ、前記固有振動周期より長く且つ前記固有振動周期の3倍より短い間、前記圧力室の容積を前記初期状態で維持し、前記圧力室の容積を前記初期状態で維持した後に前記圧力室の容積を前記初期状態から収縮状態に収縮させ、前記固有振動周期より長く且つ前記固有振動周期の3倍より短い間、前記圧力室の容積を前記収縮状態で維持する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、一実施形態に係るインクジェットプリンタの構成の例についての説明図である。
図2図2は、一実施形態に係るインクジェットヘッドの構成の例についての説明図である。
図3図3は、一実施形態に係るインクジェットヘッドの1つのチャネルを切断して示す断面図である。
図4図4は、図3のAA線でインクジェットヘッドを切断して示す断面図である。
図5図5は、一実施形態に係るインクジェットヘッドのアクチュエータの変形の例についての説明図である。
図6図6は、一実施形態に係るインクジェットヘッドのドライバICの構成例についての説明図である。
図7図7は、アクチュエータに生じる電位差の変化と、圧力室内の圧力の変化と、吐出ノズルに形成されるメニスカス面の速度の変化とについての説明図である。
図8図8は、吐出ノズルから吐出されたインク滴の飛翔状態の例を示す。
図9図9は、ドライブICの温度の変化についての説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、一実施形態に係るインクジェットプリンタ、及びインクジェットヘッドについて図面を参照して説明する。
まず、一実施形態に係るインクジェットプリンタ1について説明する。図1は、一実施形態に係るインクジェットプリンタ1の構成例を示す説明図である。
【0009】
インクジェットプリンタ1は、インクジェット記録装置の一例である。なお、インクジェット記録装置はこれに限らず、複写機のような他の装置であっても良い。
【0010】
インクジェットプリンタ1は、例えば、記録媒体である印刷媒体を搬送しながら画像形成等の各種処理を行う。インクジェットプリンタ1は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、通信インタフェース14、ディスプレイ15、操作部16、搬送モータ17、モータ駆動回路18、ポンプ19、ポンプ駆動回路20、インクジェットヘッド21、及びヘッドコントローラ22を備える。さらに、インクジェットプリンタ1は、図示されない給紙カセット及び排紙トレイを備える。
【0011】
CPU11は、演算処理を実行する演算素子(たとえば、プロセッサ)である。CPU11は、ROM12に記憶されているプログラムなどのデータに基づいて種々の処理を行う。CPU11は、ROM12に格納されているプログラムを実行することにより、種々の動作を実行可能な制御部として機能する。
【0012】
ROM12は、読み出し専用の不揮発性メモリである。ROM12は、プログラム及びプログラムで用いられるデータなどを記憶する。
【0013】
RAM13は、ワーキングメモリとして機能する揮発性のメモリである。RAM13は、CPU11の処理中のデータなどを一時的に格納する。また、RAM13は、CPU11が実行するプログラムを一時的に格納する。
【0014】
通信インタフェース14は、他の機器と通信するインタフェースである。通信インタフェース14は、例えば、インクジェットプリンタ1に印刷データを送信する上位装置との通信に用いられる。通信インタフェース14は、Bluetooth(登録商標)またはWi-fi(登録商標)などの規格に応じて他の機器と無線通信を行うものであってもよい。
【0015】
ディスプレイ15は、CPU11、または図示されないグラフィックコントローラなどの表示制御部から入力される映像信号に応じて画面を表示する表示装置である。例えば、ディスプレイ15には、インクジェットプリンタ1の設定の画面が表示される。
【0016】
操作部16は、操作に基づいて、操作信号を生成する。操作部16は、例えば、タッチセンサ、テンキー、電源キー、用紙フィードキー、種々のファンクションキー、またはキーボードなどである。タッチセンサは、例えば、抵抗膜式タッチセンサ、または静電容量式タッチセンサ等である。タッチセンサは、ある領域内において指定された位置を示す情報を取得する。タッチセンサは、上記のディスプレイ15と一体にタッチパネルとして構成されることにより、ディスプレイ15に表示された画面上のタッチされた位置を示す信号を生成する。
【0017】
搬送モータ17は、回転することによって、印刷媒体を搬送する為の図示されない搬送路の搬送部材を動作させる。搬送部材は、印刷媒体を搬送するベルト、ローラ、及びガイドなどである。搬送モータ17は、印刷媒体を保持するベルトと連動して動作するローラを駆動することによって印刷媒体をガイドに沿って搬送させる。
【0018】
モータ駆動回路18は、搬送モータ17を駆動する回路である。モータ駆動回路18は、CPU11から入力された搬送制御信号に従って搬送モータ17を駆動することにより、給紙カセットの印刷媒体をインクジェットヘッド21を経由させて排紙トレイに搬送する。給紙カセットは、複数の印刷媒体を収容するカセットである。排紙トレイは、インクジェットプリンタ1によって画像形成されて排出された印刷媒体を収容する。
【0019】
ポンプ19は、例えばインクが保持されているインクタンク(図示せず)とインクジェットヘッド21とを連通するチューブを備える。具体的には、チューブは、インクジェットヘッド21の図示されない共通インク室と連通されている。
【0020】
ポンプ駆動回路20は、CPU11から入力されたインク供給制御信号に従ってポンプ19を駆動することによって、インクタンク内のインクをインクジェットヘッド21の共通インク室に供給させる。
【0021】
インクジェットヘッド21は、印刷媒体に画像を形成する画像形成部である。インクジェットヘッド21は、図示されない保持ローラによって保持された印刷媒体に対してインクを吐出することにより、印刷媒体に画像を形成する。インクジェットプリンタ1は、例えば、シアン、マゼンダ、イエロー、及びブラック等の各色にそれぞれ対応した複数のインクジェットヘッド21を備えていてもよい。
【0022】
ヘッドコントローラ22は、インクジェットヘッド21を制御する回路である。ヘッドコントローラ22は、インクジェットヘッド21を動作させることにより、インクジェットヘッド21からインクを吐出させる。ヘッドコントローラ22は、CPU11から入力された印刷データ、クロック信号、リセット信号、及びインクジェットヘッド21を動作させる為の直流電力をインクジェットヘッド21に入力する。これにより、ヘッドコントローラ22は、インクジェットヘッド21に印刷媒体に印刷データに応じた画像を形成させる。
【0023】
また、インクジェットプリンタ1は、商用電源から供給された交流電力を直流電力に変換し、インクジェットプリンタ1内の各構成に供給する電源回路をさらに備えていてもよい。
【0024】
図2乃至図4は、インクジェットヘッド21の構成例を示す。図2は、インクジェットヘッド21の一部を分解した場合の斜視図である。図3は、インクジェットヘッド21の1つのチャネルを切断して示す断面図である。図4は、図3のAA線でインクジェットヘッド21を切断して示す断面図である。
【0025】
インクジェットヘッド21は、ヘッド基板31、チャネル群32、及びドライブIC33を備える。図2では、チャネル群32の天板34及びノズルプレート35が分解されて示されている。
【0026】
ヘッド基板31は、チャネル群32、及びドライブIC33が実装される基板である。ヘッド基板31は、ガラス・エポキシ基板、または、ポリイミド・フィルムを基材とした可撓性を有する基板として構成される。
【0027】
チャネル群32は、印加された電圧に応じてインクを吐出するチャネルが複数配列されて構成される。チャネル群32は、ヘッド基板31に接合された第1の圧電部材36、第1の圧電部材36に接合された第2の圧電部材37、複数の電極38、天板34、及びノズルプレート35を備える。
【0028】
第1の圧電部材36及び第2の圧電部材37は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)によって形成される。第1の圧電部材36は、ヘッド基板31に接合される。第2の圧電部材37は、第1の圧電部材36と分極方向が対向するように第1の圧電部材36に接合される。接合された第1の圧電部材36及び第2の圧電部材37には、第2の圧電部材37側から第1の圧電部材36に至る複数の平行な溝39が形成される。
【0029】
電極38は、第1の圧電部材36及び第2の圧電部材37の溝39を構成する1対の壁と底面とに亘って形成されている。電極38は、溝39毎に形成される。これにより、溝39の壁を構成する第1の圧電部材36及び第2の圧電部材37が異なる電極38によって挟まれる。2つの電極38により挟まれた第1の圧電部材36及び第2の圧電部材37は、2つの電極38の電位差によって変形するアクチュエータ40として構成される。
【0030】
ノズルプレート35は、天板34と共に溝39を封止する部材である。ノズルプレート35は、溝39の長手方向の端部を塞ぐように構成される。ノズルプレート35には、溝39とインクジェットヘッド21の外部とを連通させる複数の吐出ノズル41が形成されている。吐出ノズル41は、溝39毎に形成されている。
【0031】
天板34は、ノズルプレート35と共に溝39を封止する部材である。天板34は、溝39をヘッド基板31と対向する側から封止する。また、天板34は、溝39に接する面の一部が凹部42として形成されている。凹部42は、ポンプ19のチューブに連通し、チューブにより供給されたインクを一時的に保持する共通インク室として機能する。また、凹部42は、溝39のノズルプレート35が接する端部とは逆側の端部と連通し、共通インク室内のインクを溝39に供給する。
【0032】
上記の複数の溝39がノズルプレート35及び天板34により封止されることにより、圧力室43が構成される。即ち、圧力室43は、1対のアクチュエータ40と、ノズルプレート35と、天板34とにより囲われ、且つ共通インク室に連通したスペースである。また、圧力室43は、ノズルプレート35に形成された吐出ノズル41毎に構成されている。本例では、圧力室43の電極38と、吐出ノズル41との組合せをチャネルと称する。即ち、チャネル群32は、溝39の数に応じたチャネルを備える。
【0033】
ドライブIC33は、圧力室43の壁を構成するアクチュエータ40に信号を入力することにより、アクチュエータ40を変形させて、圧力室43の容積を変化させる。これにより、ドライブIC33は、圧力室43の圧力を制御し、圧力室43内のインクを吐出ノズル41から吐出させる。
【0034】
図5は、アクチュエータ40を挟む電極に電位差が生じた場合のアクチュエータ40の変形の例について説明する説明図である。アクチュエータ40を挟む2つの電極38に電位差が生じていない場合、アクチュエータ40は、図4の例のように変形しない。アクチュエータ40が変形しない場合の圧力室43の容積の状態を初期状態と称する。
【0035】
図5(a)は、あるチャネルの圧力室43aの電極38aの電位が-Vであり、隣接するチャネルの圧力室43bの電極38bの電位が+Vである例を示す。この場合、図5(a)に示されるように、電極38aと電極38bとに挟まれたアクチュエータ40の第1の圧電部材36及び第2の圧電部材37に、分極方向と直交する方向に電圧Vの2倍の電界が生じる。この電界によりアクチュエータ40は、圧力室43aの容積を初期状態から拡張状態に拡張し、圧力室43の圧力を減少させる。
【0036】
図5(b)は、あるチャネルの圧力室43aの電極38aの電位が+Vであり、隣接するチャネルの圧力室43bの電極38bの電位が-Vである例を示す。この場合、図5(b)に示されるように、電極38aと電極38bとに挟まれたアクチュエータ40の第1の圧電部材36及び第2の圧電部材37に、分極方向と直交する方向であって、図5(a)の例とは逆方向に電圧Vの2倍の電界が生じる。この電界によりアクチュエータ40は、圧力室43aの容積を初期状態から収縮状態に収縮し、圧力室43の圧力を増加させる。
【0037】
上記の様に、圧力室43は、壁を構成するアクチュエータ40が変形し、容積が初期状態、拡張状態、及び収縮状態で切り替わることによって圧力が変化する。圧力室43の圧力が低くなると、共通インク室から圧力室43にインクが引きこまれる。また、圧力室43の圧力が高くなると、圧力室43内のインクが吐出ノズル41から吐出される。
【0038】
また、上記の様に、あるチャネルの圧力室43は、隣接するチャネルの圧力室43とアクチュエータ40を共有する構成となっている。このため、ドライブIC33は、チャネル毎に圧力室43の圧力を制御するのではなく、nチャネル(nは2以上の整数)毎のグループ毎に圧力室43の圧力を制御する。上記の図5(a)及び図5(b)の例では、3つのチャネルを1つのグループとして圧力室43の圧力を制御する例が示されている。
【0039】
なお、圧力室43は、スペースの大きさ、インクを構成する素材の特性、及び圧力室43を構成する素材の特性などに応じて定まる固有のAcoustic Length(AL)を有する。即ち、ALは、圧力室43の固有振動周期を示す。
【0040】
図6は、ドライブIC33の構成例について説明する説明図である。
ドライブIC33は、ヘッドコントローラ22の制御に基づいて、チャネル群32の各電極38の電位を切り替えることにより、チャネル群32を変形させる。ドライブIC33の駆動信号を出力する為の複数の出力端子は、各チャネル群32のチャネル毎の電極38に接続されている。
【0041】
ドライブIC33は、レジスタ51、波形生成回路52、周波数設定回路53、駆動信号生成回路54、及びスイッチ回路55を備える。
【0042】
レジスタ51は、ヘッドコントローラ22から入力された印刷データを一時的に記憶する。レジスタ51は、記憶している印刷データを記憶した順に駆動信号生成回路54に供給する。レジスタ51は、例えばFIFOである。
【0043】
波形生成回路52は、波形を生成し、駆動信号生成回路54に供給する。波形生成回路52は、圧力室43の容積を拡張状態にする信号(拡張信号)と、圧力室43の容積を初期状態にする信号(解放信号)と、圧力室43の容積を収縮状態にする信号(収縮信号)とを用いて、種々の波形を生成する。即ち、拡張信号は、圧力室43を上記の図5(a)の状態にする波形パターンである。解放信号は、圧力室43を上記の図4の状態にする波形パターンである。収縮信号は、圧力室43を上記の図5(b)の状態にする波形パターンである。
【0044】
周波数設定回路53は、インクジェットヘッド21の駆動周波数を設定する。駆動周波数は、駆動信号生成回路54が生成する駆動信号の周波数である。
【0045】
駆動信号生成回路54は、レジスタ51から供給される印刷データと、波形生成回路52から供給される信号と、周波数設定回路53で設定された駆動周波数とに基づいて、チャネル毎の駆動信号を生成する。駆動信号生成回路54は、生成した駆動信号をスイッチ回路55に供給する。
【0046】
スイッチ回路55は、駆動信号生成回路54から供給されるチャネル毎の駆動信号に基づいて、各チャネルの電極38に印加する電圧を切り替える。
【0047】
上記したように、ドライブIC33は、各チャネルの電極38に印加する電圧を切り替えることにより、チャネルの圧力室43の壁を構成するアクチュエータ40に印加する駆動電圧を変化させる。これにより、ドライブIC33は、アクチュエータ40を変形させ、圧力室43の容積を変化させる。ドライブIC33は、圧力室43内の容積を拡張させることにより、共通インク室から圧力室43にインクを引き込ませる。また、ドライブIC33は、圧力室43内の容積を収縮させることにより、圧力室43のインクを吐出ノズル41から吐出させる。
【0048】
具体的には、ドライブIC33は、アクチュエータ40に拡張信号を印加することにより、アクチュエータ40を変形させ、圧力室43内の容積を通常の状態(初期状態)から拡張状態に拡張させる。また、ドライブIC33は、アクチュエータ40に解放信号を印加することにより、アクチュエータ40を変形させ、圧力室43内の容積を拡張状態から初期状態に収縮させる。また、ドライブIC33は、アクチュエータ40に収縮信号を印加することにより、アクチュエータ40を変形させ、圧力室43内の容積を初期状態から収縮状態に収縮させる。
【0049】
次に、ドライブIC33によるアクチュエータ40の制御について説明する。
図7は、アクチュエータ40に生じる電位差の変化と、圧力室43内の圧力の変化と、吐出ノズル41に形成されるメニスカス面の速度の変化とについて説明する説明図である。
【0050】
図7の横軸は時刻を示す。グラフ61Aは、アクチュエータ40に生じる電位差を示す。なお、グラフ61Aにおいて、圧力室43の容積を初期状態から拡張させる方向にアクチュエータ40を駆動する為の電圧が負電圧であり、圧力室43の容積を初期状態から収縮させる方向にアクチュエータ40を駆動する為の電圧が正電圧であるとする。また、グラフ61Aにおいて、圧力室43の容積を初期状態に維持する為の電圧が「0[V]」であるとする。グラフ61Bは、圧力室43内の圧力を示す。グラフ61Cは、吐出ノズル41に形成されるメニスカス面の速度の変化を示す。
【0051】
ドライブIC33は、上記の拡張信号、解放信号、及び収縮信号を組み合わせることによりアクチュエータ40を駆動する。アクチュエータ40に拡張信号が印加される期間をDrawと称する。また、アクチュエータ40に解放信号が印加される期間をReleaseと称する。また、アクチュエータ40に収縮信号が印加される期間をPushと称する。即ち、Draw(Draw期間)は、圧力室43の容積が拡張状態である期間を示す。即ち、Release(Release期間)は、圧力室43の容積が初期状態である期間を示す。即ち、Push(Push期間)は、圧力室43の容積が収縮状態である期間を示す。
【0052】
ドライブIC33は、Draw、Release、Pushの順に圧力室43の容積の状態を変化させる。Draw、Release、及びPushの組み合わせを1回の駆動と称する。ドライブIC33は、1回の駆動中に、吐出ノズル41からインク滴を複数滴吐出させる。本実施形態では、ドライブIC33は、1回の駆動中に、吐出ノズル41からインク滴を2滴吐出させるものとして説明する。
【0053】
図7に示されるように、まず、ドライブIC33は、タイミングt1からタイミングt2に亘って、アクチュエータ40に負電圧を印加する。図7の例では、負電圧は、圧力室43を拡張させる方向にアクチュエータ40を駆動する為の電圧である。即ち、ドライブIC33は、タイミングt1からタイミングt2に亘って、アクチュエータ40に拡張信号を印加する。
【0054】
タイミングt1からタイミングt2に亘って、アクチュエータ40に拡張信号を印加することにより、タイミングt1からタイミングt2の間がDrawになる。Draw期間の長さDは、圧力室43の固有振動周期ALに応じた長さである。例えば、Draw期間の長さDは、圧力室43の固有振動周期ALと略等しい長さである。なお、ドライブIC33は、Draw期間において、段階的に圧力室43を拡張してもよい。即ち、ドライブIC33は、Draw期間において、負電圧の値を段階的に変化させて拡張信号に応じた電圧になるように制御してもよい。
【0055】
上記の例によると、グラフ61Bが示すように、タイミングt1において、圧力室43の容積が初期状態から拡張状態に拡張される為、圧力室43の圧力が低下する。さらに、圧力室43の固有振動周期ALと略等しい長さDで拡張信号がアクチュエータ40に印加されることにより、タイミングt2までの間、圧力室43の容積が拡張した状態で維持される。これにより、圧力室43の圧力は、一度低下してから、タイミングt2までの間に再び増加し、初期状態における圧力室43の圧力(初期圧力)を超える。
【0056】
次に、ドライブIC33は、タイミングt2からタイミングt3に亘って、アクチュエータ40に電位差が0Vになるように維持する。アクチュエータ40の電位差が0Vである場合、アクチュエータ40の形状が元の形状に戻る。即ち、ドライブIC33は、タイミングt2からタイミングt3に亘って、アクチュエータ40に解放信号を印加する。
【0057】
タイミングt2からタイミングt3に亘って、アクチュエータ40に解放信号を印加することにより、タイミングt2からタイミングt3の間がReleaseになる。Release期間の長さRは、圧力室43の固有振動周期ALに応じた長さである。例えば、Release期間の長さRは、AL<R<3ALの関係を満たす長さである。より具体的には、Release期間の長さRは、R=2ALである。
【0058】
上記の例によると、グラフ61Bが示すように、圧力室43の圧力が初期圧力以上であるタイミングt2において、圧力室43の容積が拡張状態から初期状態に収縮される為、圧力室43の圧力がさらに増加する。圧力室43の圧力が、インクの特性、並びに吐出ノズル41の径及び形状によって定まる吐出閾値を超えた場合、吐出ノズル41からインク滴が吐出される。図7の例においてグラフ61Cが示すように、タイミングt2において、圧力室43の圧力が吐出閾値を超え、メニスカス面の変位が大きくなり、吐出ノズル41からインク滴が吐出される。
【0059】
さらに、圧力室43の固有振動周期ALの2倍の長さRで解放信号がアクチュエータ40に印加される。これにより、タイミングt3までの間、圧力室43の容積が初期状態で維持される。これにより、圧力室43の圧力は、一度低下してから、タイミングt3までの間に再び増加し、初期圧力を超える。
【0060】
次に、ドライブIC33は、タイミングt3からタイミングt4に亘って、アクチュエータ40に正電圧を印加する。図7の例では、正電圧は、圧力室43を収縮させる方向にアクチュエータ40を駆動する為の電圧である。即ち、ドライブIC33は、タイミングt3からタイミングt4に亘って、アクチュエータ40に収縮信号を印加する。
【0061】
タイミングt3からタイミングt4に亘って、アクチュエータ40に収縮信号を印加することにより、タイミングt3からタイミングt4の間がPushになる。Push期間の長さPは、圧力室43の固有振動周期ALに応じた長さである。例えば、Push期間の長さPは、AL<P<3ALの関係を満たす長さである。より具体的には、Push期間の長さPは、P=2ALである。なお、ドライブIC33は、Push期間において、段階的に圧力室43を収縮してもよい。即ち、ドライブIC33は、Push期間において、正電圧の値を段階的に変化させて収縮信号に応じた電圧になるように制御してもよい。
【0062】
上記の例によると、グラフ61Bが示すように、圧力室43の圧力が初期圧力以上であるタイミングt3において、圧力室43の容積が初期状態から収縮状態に収縮される為、圧力室43の圧力が増加する。圧力室43の圧力が、インクの特性、並びに吐出ノズル41の径及び形状によって定まる吐出閾値を超えた場合、吐出ノズル41からインク滴が吐出される。図7の例においてグラフ61Cが示すように、タイミングt3において、圧力室43の圧力が吐出閾値を超え、メニスカス面の変位が大きくなり、吐出ノズル41からインク滴が吐出される。
【0063】
さらに、圧力室43の固有振動周期ALの2倍の長さPで収縮信号がアクチュエータ40に印加される。これにより、タイミングt4までの間、圧力室43の容積が収縮状態で維持される。これにより、圧力室43の圧力は、一度低下してから、タイミングt4までの間に再び増加する。
【0064】
またさらに、グラフ61Bが示すように、タイミングt4において、ドライブIC33は、アクチュエータ40の電位差が0になるように制御する。これにより、圧力室43の圧力が初期圧力以上であるタイミングt4において、圧力室43の容積が収縮状態から初期状態に拡張される。この結果、初期圧力以上である圧力室43の圧力が、圧力室43の容積の拡張によって打ち消され、圧力室43の中の圧力振動が抑制される。
【0065】
図8は、吐出ノズル41から吐出されたインク滴71の飛翔状態の例を示す。図8に示されるように、1回の駆動でインク滴71が2滴吐出されている。さらに、吐出された2滴のインク滴71は、着弾するまでの間に合わさり、1つのインク滴72となって印刷媒体に着弾する。
【0066】
上記したように、ドライブIC33は、Draw、Release、及びPushの組み合わせである1回の駆動において、Drawの間であり、且つ圧力室43の圧力が初期圧力以上であるタイミングで、圧力室43の容積を収縮させてDrawからReleaseに切り替える。これにより、ドライブIC33は、圧力室43の圧力を増加させて、吐出ノズル41からインク滴を吐出させる。またさらに、ドライブIC33は、Releaseの間であり、且つ圧力室43の圧力が初期圧力以上であるタイミングで、圧力室43の容積をさらに収縮させてReleaseからPushに切り替える。これにより、ドライブIC33は、圧力室43の圧力を増加させて、吐出ノズル41からインク滴を吐出させる。即ち、ドライブIC33は、DrawからReleaseに切り替えるタイミング及びReleaseからPushに切り替えるタイミングと、圧力室43の圧力が初期圧力以上にあるタイミングを合わせることにより、吐出ノズル41からインク滴を吐出させる。これにより、ドライブIC33は、Draw、Release、及びPushの組み合わせである1回の駆動の間に、吐出ノズル41からインク滴を2滴吐出させることができる。この結果、本実施形態のインクジェットヘッド21及びインクジェットプリンタ1は、ドロップ当たりに必要な電力を抑制することができる。
【0067】
また、Draw期間の長さDがD=ALである場合、タイミングt2において圧力室43の圧力がピークになる。この為、タイミングt2においてDrawからReleaseに切り替えることにより、圧力室43の圧力を得ることが容易になる。
【0068】
また、Release期間の長さRがR=2ALの関係を満たす場合、タイミングt3において圧力室43の圧力がピークになる。この為、タイミングt3においてReleaseからPushに切り替えることにより、圧力室43の圧力を得ることが容易になる。
【0069】
また、Push期間の長さPがP=2ALの関係を満たす場合、タイミングt4において圧力室43の圧力と、PushからReleaseへの切り替えにより減少する圧力との釣り合いが取れる。これにより、効率的に圧力室43の圧力をキャンセルすることができる。
【0070】
図9は、ドライブIC33の温度の変化について説明する説明図である。ドライブIC33は、アクチュエータ40を駆動する為の電力に応じて温度が上昇する。例えば、ドライブIC33が1回の駆動でインク滴を1滴吐出させる構成であり、且つ印字率が100%である場合、ドライブIC33の温度が65℃程度まで上昇する。しかし、ドライブIC33が1回の駆動でインク滴を2滴吐出させる構成であり、且つ印字率が100%である場合、ドライブIC33の温度を図9に示されている48℃程度に抑えることができる。よって、本実施形態のインクジェットヘッド21及びインクジェットプリンタ1は、温度上昇を抑制することができる。
【0071】
なお、上記の実施形態では、DrawからReleaseに切り替わるタイミングt2、ReleaseからPushに切り替わるタイミングt3、及びPushからReleaseに切り替わるタイミングt4において、圧力室43の圧力が初期圧力以上になるようにDrawの長さD、Releaseの長さR、及びPushの長さPがそれぞれ設定されるものと説明したがこの構成に限定されない。DrawからReleaseに切り替わるタイミングt2、ReleaseからPushに切り替わるタイミングt3、及びPushからReleaseに切り替わるタイミングt4において、圧力室43の圧力が予め設定された所定の値以上になるように、Drawの長さD、Releaseの長さR、及びPushの長さPがそれぞれ設定される構成であってもよい。なお、タイミングt2における所定の値は、DrawからReleaseに切り替わることにより増加する圧力を吐出閾値から減算した値以上の値である。また、タイミングt3における所定の値は、ReleaseからPushに切り替わることにより増加する圧力を吐出閾値から減算した値以上の値である。また、タイミングt4における所定の値は、PushからReleaseに切り替わることにより減少する圧力に相当し、且つ初期圧力以上の値である。
【0072】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
以下に本件出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
インクが充填される圧力室と、
前記圧力室の少なくとも一部を構成するアクチュエータと、
前記アクチュエータに信号を入力し、前記アクチュエータを変形させ、前記圧力室の容積を変化させるドライブICと、
前記圧力室に連通し、且つ前記圧力室の圧力により前記圧力室内の前記インクを吐出する吐出ノズルを備えるノズルプレートと、
を具備し、
前記ドライブICは、
前記圧力室の容積を初期状態から拡張状態に拡張させ、前記圧力室及び前記インクにより定まる固有振動周期の間、前記圧力室の容積を前記拡張状態で維持し、
前記圧力室の容積を前記拡張状態から前記初期状態に収縮させ、前記固有振動周期より長く且つ前記固有振動周期の3倍より短い間、前記圧力室の容積を初期状態で維持し、 前記圧力室の容積を前記初期状態から収縮状態に収縮させ、前記固有振動周期より長く且つ前記固有振動周期の3倍より短い間、前記圧力室の容積を前記収縮状態で維持する、 インクジェットヘッド。
[C2]
前記ドライブICは、
前記圧力室の容積を前記拡張状態から前記初期状態に収縮させてから、前記固有振動周期の2倍の間、前記圧力室の容積を前記初期状態で維持するC1に記載のインクジェットヘッド。
[C3]
前記ドライブICは、
前記圧力室の容積を前記初期状態から前記収縮状態に収縮させてから、前記固有振動周期の2倍の間、前記圧力室の容積を前記収縮状態で維持するC1または2に記載のインクジェットヘッド。
[C4]
前記ドライブICは、
前記圧力室の容積を初期状態から拡張状態に拡張させてから、前記初期状態での前記圧力室の圧力である初期圧力を前記圧力室の圧力が超えた場合、前記圧力室の容積を前記拡張状態から前記初期状態に収縮させ、
前記圧力室の容積を前記拡張状態から前記初期状態に収縮させてから、前記初期圧力を前記圧力室の圧力が超えた場合、前記圧力室の容積を前記初期状態から前記収縮状態に収出させるC1に記載のインクジェットヘッド。
[C5]
印刷媒体を搬送する搬送モータと、
インクが充填される圧力室と、
前記圧力室の少なくとも一部を構成するアクチュエータと、
前記アクチュエータに信号を入力し、前記アクチュエータを変形させ、前記圧力室の容積を変化させるドライブICと、
前記圧力室に連通し、且つ前記圧力室の圧力により前記圧力室内の前記インクを前記搬送モータにより搬送される前記印刷媒体に吐出する吐出ノズルを備えるノズルプレートと、
を具備し、
前記ドライブICは、
前記圧力室の容積を初期状態から拡張状態に拡張させ、前記圧力室及び前記インクにより定まる固有振動周期の間、前記圧力室の容積を前記拡張状態で維持し、
前記圧力室の容積を前記拡張状態から前記初期状態に収縮させ、前記固有振動周期より長く且つ前記固有振動周期の3倍より短い間、前記圧力室の容積を初期状態で維持し、 前記圧力室の容積を前記初期状態から収縮状態に収縮させ、前記固有振動周期より長く且つ前記固有振動周期の3倍より短い間、前記圧力室の容積を前記収縮状態で維持する、 インクジェットプリンタ。
【符号の説明】
【0073】
1…インクジェットプリンタ、11…CPU、12…ROM、13…RAM、14…通信インタフェース、15…ディスプレイ、16…操作部材、17…搬送モータ、18…モータ駆動回路、19…ポンプ、20…ポンプ駆動回路、21…インクジェットヘッド、22…ヘッドコントローラ、31…ヘッド基板、32…チャネル群、33…ドライブIC、34…天板、35…ノズルプレート、36…第1の圧電部材、37…第2の圧電部材、38…電極、39…溝、40…アクチュエータ、41…吐出ノズル、42…凹部、43…圧力室、51…レジスタ、52…波形生成回路、53…周波数設定回路、54…駆動信号生成回路、55…スイッチ回路。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9