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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】荷物運搬用の荷台装置
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/02 20060101AFI20220111BHJP
   B65D 19/08 20060101ALI20220111BHJP
   B62B 5/00 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
B62B3/02 F
B65D19/08
B62B5/00 B
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2017246074
(22)【出願日】2017-12-22
(65)【公開番号】P2019111900
(43)【公開日】2019-07-11
【審査請求日】2020-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000101662
【氏名又は名称】アルインコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100077791
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 収二
(72)【発明者】
【氏名】水野 武史
【審査官】林 政道
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-166937(JP,A)
【文献】登録実用新案第3155023(JP,U)
【文献】特開2008-013249(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0209499(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 1/00- 5/08
B65D 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に直交する前後方向のX方向と左右方向のY方向に関して、X方向に延びる左右側縁とY方向に延びる前後縁を有する矩形の盤状体(6a)により構成され、上面に荷受面(7)を備えると共に、該荷受面の下側にX方向に延びるフォーク挿入路(8)を備えたパレット(6)により構成された荷台装置において、前記盤状体の四隅に臨んで左右側縁の外側に位置して柱部材(14)を立設しており、
Y方向に離間する左右の柱部材の間を塞ぐ第1幅木(21a)と、X方向に離間する前後の柱部材の間を塞ぐ第2幅木(21b)を設けて成る構成であり、
第1幅木(21a)及び第2幅木(21b)は、荷受面(7)の縁部に載置される幅木本体(22a)(22b)と、該幅木本体の両端部から延設されて該両端部が臨む柱部材に外挿保持される環状の保持具(23a)(23b)を備え、両幅木本体(22a)(22b)の高さ(Ha)(Hb)の範囲内において相互に前記保持具(23a)(23b)を上下に配置されるように構成されており
第1幅木と第2幅木のうち、少なくとも第2幅木(21b)は、前記保持具(23b)を幅木本体(22b)の両端部から荷受面(7)の外側(Y1)に向けて偏位させられた位置に設けており、
前記保持具(23b)(23b)をそれぞれの柱部材に外挿保持したとき、幅木本体(22b)が荷受面(7)の側縁部に載置されるように構成して成ることを特徴とする請求項1に記載の荷物運搬用の荷台装置。
【請求項2】
相互に直交する前後方向のX方向と左右方向のY方向に関して、X方向に延びる左右側縁とY方向に延びる前後縁を有する矩形の盤状体(6a)により構成され、上面に荷受面(7)を備えると共に、該荷受面の下側にX方向に延びるフォーク挿入路(8)を備えたパレット(6)により構成された荷台装置において、前記盤状体の四隅に臨んで左右側縁の外側に位置して柱部材(14)を立設しており、
Y方向に離間する左右の柱部材の間を塞ぐ第1幅木(21a)と、X方向に離間する前後の柱部材の間を塞ぐ第2幅木(21b)を設けて成る構成であり、
第1幅木(21a)及び第2幅木(21b)は、荷受面(7)の縁部に載置される幅木本体(22a)(22b)と、該幅木本体の両端部から延設されて該両端部が臨む柱部材に外挿保持される環状部(24a)(24b)を備えた保持具(23a)(23b)を設け、両幅木本体(22a)(22b)の高さ(Ha)(Hb)の範囲内において相互に前記保持具(23a)(23b)を上下に配置されるように構成されており
前記保持具(23a)(23b)は、前記環状部(24a)(24b)の中心から偏位した位置に突設された連結片(25a)(25b)を一体に備え、前記連結片を幅木本体の両端から中空内部に挿入固着した状態で幅木本体の両端部に取付けられており
前記環状部(24a)(24b)により柱部材を外挿保持したとき、連結片(25a)(25b)を介して幅木本体(22a)(22b)が柱部材の中心から偏位して荷受面(7)の縁部に載置されるように構成して成ることを特徴とする荷物運搬用の荷台装置。
【請求項3】
前記パレット(6)を構成する盤状体(6a)の四隅の下側に車輪(9a)を設けることにより、前記柱部材(14)を介して手押し可能な運搬台車(12)を構成して成ることを特徴とする請求項1又は2に記載の荷物運搬用の荷台装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、荷物運搬用の荷台装置、特にパレットを構成する荷台装置、更には手押し可能な運搬台車を構成する荷台装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、荷物運搬用の荷台装置として、フォークリフトにより運搬可能なパレットが提供されており、その際、荷崩れ防止用の側壁を形成するために、パレット上面(荷受面)の側縁に沿って折畳み自在な支持枠を搭載する技術が提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-142699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
パレットに装着可能な荷崩れ防止用の側壁は、荷受面に対する荷積み作業と荷下ろし作業を考慮すると、特許文献1のように、荷受面の4辺を囲む矩形枠により構成したものは、作業を困難とするので好ましくない。このため、パレットの4辺の縁部のうち、所望の縁部に対して側壁を着脱可能とするように構成することが好ましい。
【0005】
しかしながら、この場合、側壁が荷動きを受けて簡単に脱落するようなものであってはならないから、確実な装着を可能にするための課題がある。
【0006】
この際、パレットに柱部材を立設し、該柱部材に側壁を装着する構成を提案することができるが、荷受面に柱部材を立設する場合、柱部材により荷受面の面積が犠牲とされ、積荷量が低下するという問題がある。しかも、柱部材を立設するための金具等が荷受面の下側に形成されたフォーク挿入路の内部に大きく突出するようなときは、フォークリフトのフォーク挿入時に破損のおそれがあり、好ましくない。
【0007】
このため、側壁を装着するための柱部材は、荷受面から外れた外側に立設することが好ましいが、この場合、どのようにして側壁を取付け可能とするかに関して、課題を解決することが必要となる。
【0008】
しかも、パレットの4辺の縁部のうち、複数の縁部に側壁を装着可能とすることが望まれるところ、これらの複数の側壁を可及的に低コストで提供可能とする点についても、課題がある。
【0009】
その他、パレットにより手押し可能な運搬台車を構成可能とすることが好ましく、その際、種々の解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、相互に直交する前後方向のX方向と左右方向のY方向に関して、X方向に延びる左右側縁とY方向に延びる前後縁を有する矩形の盤状体により構成され、上面に荷受面を備えると共に、該荷受面の下側にX方向に延びるフォーク挿入路を備えたパレットにより構成された荷台装置において、前記盤状体の四隅に臨んで左右側縁の外側に位置して柱部材を立設しており、Y方向に離間する左右の柱部材の間を塞ぐ第1幅木と、X方向に離間する前後の柱部材の間を塞ぐ第2幅木を設けて成る構成について、以下の手段により上記課題を解決したものである
【0011】
即ち、本発明が第1の手段として構成したところは、第1幅木及び第2幅木は、荷受面の縁部に載置される幅木本体と、該幅木本体の両端部から延設されて該両端部が臨む柱部材に外挿保持される環状の保持具を備え、両幅木本体の高さの範囲内において相互に前記保持具を上下に配置されるように構成されており、第1幅木と第2幅木のうち、少なくとも第2幅木は、前記保持具を幅木本体の両端部から荷受面の外側に向けて偏位させられた位置に設けており、前記保持具をそれぞれの柱部材に外挿保持したとき、幅木本体が荷受面の側縁部に載置されるように構成して成る点にある
【0012】
また、本発明が第2の手段として構成したところは、第1幅木及び第2幅木は、荷受面の縁部に載置される幅木本体と、該幅木本体の両端部から延設されて該両端部が臨む柱部材に外挿保持される環状部を備えた保持具を設け、両幅木本体の高さの範囲内において相互に前記保持具を上下に配置されるように構成されており、前記保持具は、前記環状部の中心から偏位した位置に突設された連結片を一体に備え、前記連結片を幅木本体の両端から中空内部に挿入固着した状態で幅木本体の両端部に取付けられており、前記環状部により柱部材を外挿保持したとき、連結片を介して幅木本体が柱部材の中心から偏位して荷受面の縁部に載置されるように構成して成る点にある
【0013】
更に本発明の好ましい実施形態は、前記パレットを構成する盤状体の四隅の下側に車輪を設けることにより、前記柱部材を介して手押し可能な運搬台車を構成している。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、パレット6を構成する盤状体6aの四隅に臨んで左右側縁の外側に柱部材14を立設し、幅木21の幅木本体22の両端部に設けた保持具23により柱部材14を外挿保持することにより、幅木本体22を荷受面7の縁部に載置する構成であるから、パレット6の荷受面7の四周縁のうち、所望の任意の縁部に幅木21を着脱自在に装着することができる利点がある。
【0015】
特に、第1幅木21aにおける保持具23aの環状部24aと第2幅木21bにおける保持具23bの環状部24bは、幅木本体22a、22bの高さHa、Hbの範囲内において相互に上下に配置されるように構成されているので、パレット6の隅部で隣り合う幅木21a、21bの保持具23a、23bの環状部24a、24bを1本の柱部材14に外挿保持することが可能であり、しかも、隣り合う幅木21a、21bにおける幅木本体22a、22bの高さHa、Hbを相互に同一高さとした状態で荷受面7の縁部に載置することができる。その結果、先に装着した下段の幅木本体22b、22aの上に、更に上段の幅木本体を載置することにより、幅木を多段状に装着することが可能になるという効果がある。
【0016】
更に、パレット6の四隅の下側に車輪9aを設けることにより、柱部材14を介して手押し可能な運搬台車12を構成することが可能であり、その際、第1幅木21a及び第2幅木21bを簡単容易に装着することにより、荷崩れを好適に防止することができ、第1幅木21a及び第2幅木21bを取外すと共に、支柱14を抜取れば、フォークリフトによる運搬に適したパレット6としての使用が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】パレットを構成する部材に関して、(A)は構成部材を分解状態で示す斜視図、(B)は側部フレームの断面形状を示す斜視図、(C)は前側及び後側の桟部材の断面形状を示す斜視図である。
図2】組立てられたパレットと車輪を分解状態で示す斜視図である。
図3】車輪の取付構造を示しており、(A)は図2の一部を拡大して示す斜視図、(B)は取付状態を示す断面図である。
図4】パレットと柱部材を分解状態で示す斜視図である。
図5】柱部材の取付構造を示しており、(A)は図4の一部を拡大して示す斜視図、(B)は取付状態を示す断面図である。
図6】車輪と柱部材を設けたパレットにより構成された運搬台車を示しており、(A)は斜視図、(B)は荷受面に対する柱部材の配置状態を説明する平面図である。
図7】本発明の第1実施形態に係る第1幅木を示しており、(A)は全体を示す斜視図、(B)は幅木本体と保持具を分解状態で示す斜視図、(C)は幅木本体に保持具を取付けた状態を示す斜視図、(D)は保持具を柱部材に装着したときの幅木本体と荷受面の関係を示す平面図である。
図8】本発明の第1実施形態に係る第2幅木を示しており、(A)は全体を示す斜視図、(B)は幅木本体と保持具を分解状態で示す斜視図、(C)は幅木本体に保持具を取付けた状態を示す斜視図、(D)は保持具を柱部材に装着したときの幅木本体と荷受面の関係を示す平面図である。
図9】幅木の第1装着例に関して、第1幅木を装着する前に第2幅木を装着した状態を示す斜視図である。
図10】幅木の第1装着例に関して、第2幅木を装着した後で第1幅木を装着した状態を示しており、(A)は全体を示す斜視図、(B)は一部分を拡大して示す斜視図である。
図11】幅木の第2装着例に関して、第2幅木を装着する前に第1幅木を装着した状態を示す斜視図である。
図12】幅木の第2装着例に関して、第1幅木を装着した後で第2幅木を装着した状態を示しており、(A)は全体を示す斜視図、(B)は一部分を拡大して示す斜視図である。
図13】本発明の第2実施形態に係る第1幅木と第2幅木を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下図面に基づいて本発明の好ましい実施形態を詳述する。
【0019】
(荷台装置としてのパレット)
図1(A)は、パレットを構成するための部材を分解状態で示している。相互に直交する前後方向のX方向と左右方向のY方向に関して、X方向に延びる左側の側部フレーム1L及び右側の側部フレーム1Rと、両フレームの中間に位置してX方向に延びる中央部フレーム1Cが相互に間隔をあけて平行に配置される。これらの3本のフレームの下側には、Y方向に延びる前側の桟部材2F及び後側の桟部材2Rと、両桟部材の中間に位置してY方向に延びる中央桟部材2Cが相互に間隔をあけて平行に配置される。そこで、3本のフレームと3本の桟部材は、交差状態で接合され、図示省略したビス等の固着具により互いに固着される。
【0020】
側部フレーム1L、1R、1Cは、アルミニウム等による金属押出成形材から成る角筒状の長尺体を所定の長さ寸法に裁断することにより構成されている。この際、左右の側部フレーム1L、1Rは、図1(B)に示すように、角筒部1aの上面1bの片方の側縁から立壁1cを上向きに立設しており、右側の側部フレーム1Lは、立壁1cが右向きとなるように配置され、左側の側部フレーム1Rは、立壁1cが左向きとなるように配置されており、それぞれの角筒部1aの両端部は、キャップ3aにより閉塞される。これに対し、中央部フレーム1Cは、単純な形状とした角筒状であって、上下面が前記角筒部1aの上下面と一致するように形成されており、両端部をキャップ3bにより閉塞される。
【0021】
尚、左右の側部フレーム1L、1Rにおける角筒部1aの両端近傍部には、後述する柱部材を立設するための取付具を固着する際に使用される取付孔4がY方向に貫通して設けられている。
【0022】
桟部材2F、2R、2Cは、アルミニウム等による金属押出成形材から成る偏平な中空長尺体を所定の長さ寸法に裁断することにより構成されている。この際、前側と後側の桟部材2F、2Rは、図1(C)に示すように、一対の下向き溝2a、2aを備え、各溝2aの開口部の両側から対向するリップ2b、2bを設けている。
【0023】
そこで、桟部材2F、2R、2Cにより連結固定された側部フレーム1L、1R、1Cの上に、Y方向に延びる複数の板材5が架設され、図示省略したビス等の固着具により固着される。板材5は、アルミニウム等による金属押出成形材から成る偏平な中空板体を所定の長さ寸法に裁断することにより構成され、左右の側部フレーム1L、1Rの立壁1c、1cの間に嵌入された状態で上面1b、1bに載置され固着される。
【0024】
これにより、図2に示すような矩形の盤状体6aから成るパレット6が構成され、パレット6には、敷設された板材5の上面により荷を積載するための荷受面7が形成され、該荷受面7の下側に側部フレーム1L、1R、1Cに沿ってX方向に延びるフォーク挿入路8、8が形成されている。
【0025】
(運搬台車としてのパレット)
本発明の実施形態において、パレット6は、荷受面7に荷物を積載した状態で、フォークリフトにより運搬可能な荷台装置を構成する他、車輪9aを備えたキャスター9を設けることにより、手押し可能な運搬台車として使用可能とするように構成されている。
【0026】
キャスター9は、盤状体6aの四隅に位置して前側と後側の桟部材2F、2Rの下側に取付けられる。この目的のため、桟部材2F、2Rは、上述の下向き溝2a、2aを備えている。図3に示すように、ボルト10の頭部を溝2aの長手方向端部から挿入し、該溝2aに沿って移動することにより位置決めした状態で、溝2aから下向きに突出したボルト10のねじ軸部をキャスター9の取付座9bに挿通させ、挿出端にナット11を螺着することにより、キャスター9が簡単容易に取付けられる。これにより、パレット6は、図4に示すように、四隅に車輪9aを備えた手押し走行可能な運搬台車12を提供する。
【0027】
図4ないし図6に示すように、運搬台車12の手押し走行を容易とするため、盤状体6aの四隅に臨んで、4個の取付具13を取付固着し、該取付具13を介して4本の柱部材14を立設するように構成されている。この際、4本の柱部材14は、盤状体6aの左右側縁の外側に位置して立設させられる。つまり、柱部材14は、荷受面7を犠牲とすることがなく、しかも、取付具13は、フォーク挿入路8を狭小化することがないように構成されている。尚、柱部材14は、金属製の円形パイプにより形成することが好ましい。
【0028】
図5に示すように、取付具13は、側部フレーム1L、1Rの端部を内外側から挟持する一対の挟持片15a、15bと、外側の挟持片15bに設けられた上下方向に延びる円筒孔を有する筒部16を一体に備えている。このような取付具13は、アルミニウム等の金属を押出成形すると共に、成形材を所定長さ寸法に裁断することにより形成することができる。
【0029】
前記挟持片15a、15bにより側部フレーム1L、1Rの端部を内外側から挟持したとき、該挟持片の被着孔17と前記取付孔4が連通させられるので、外側から両孔にボルト18を挿通すると共に、フォーク挿入路8の内部からナット19を締結する。これにより、取付具13は、筒部16を側部フレーム1L、1Rの端部の外側面に沿わせた状態で、側部フレーム1L、1Rの端部に固着される。
【0030】
前記取付具13の筒部16は、下端近傍にストッパ20を設けている。図示実施形態の場合、該筒部16を横断して挿着されたボルトによりストッパ20が構成されている。従って、柱部材14は、取付具13の筒部16に挿入され、ストッパ20に当接すると共に筒部16に保持され、抜取り自在な状態で立設される。
【0031】
そこで、図6に示すように、4個の取付具13を介して4本の柱部材14が立設された状態で、盤状体6aの後縁の左右両側に位置して立設された左側第1柱部材14aLと右側第1柱部材14aRの中心間の距離L1は、盤状体6aの左右幅W1よりも大きい、つまり、L1>W1とされる。尚、盤状体6aの前縁の左右両側に位置して立設された左側第2柱部材14bLと右側第2柱部材14bRの中心間の距離は前記L1に等しい。
【0032】
これに対して、左右それぞれの第1柱部材14aL、14aRと左右それぞれの第2柱部材14bL、14bRの中心間の距離L2は、盤状体6aの前後幅W2よりも小さい、つまり、L2<W2とされる。
【0033】
(幅木)
上記構成のパレット6は、柱部材14を手押し棒として、キャスター9を介して床面や路面を走行自在とする運搬台車12としての使用が可能である。この際、柱部材14を利用することにより、荷崩れ防止のための幅木を設けることが可能になる。幅木は、幅木本の両端部に環状の保持具を設け、該保持具を柱部材に外挿保持させるように構成することが好ましく、これにより、簡単に着脱することができる。
【0034】
この点に関して、図6(B)に示すように、左側第1柱部材14aLと右側第1柱部材14aRを結ぶラインM1は、盤状体6aの荷受面7の上に位置する反面、左右それぞれの第1柱部材14aL、14aRと左右それぞれの第2柱部材14bL、14bRを結ぶラインM2は、盤状体6aの荷受面7の外側に位置する。そこで、ラインM1に関して装着するための第1幅木21aと、ラインM2に関して装着するための第2幅木21bは、以下のように構成されている。
【0035】
(第1幅木)
図7に示すように、第1幅木21aは、パレット6(盤状体6a)の後縁に沿って荷受面7に載置される幅木本体22aと、該幅木本体22aの両端部から延設されると共に左右それぞれの第1柱部材14aL、14aRに外挿保持される保持具23a、23aを備えている。
【0036】
前記幅木本体22aは、高さHaとされたアルミニウム等による金属押出成形材から成る偏平な中空の板状長尺体を所定の長さ寸法に裁断することにより構成されている。前記保持具23aは、円環状の環状部24aと、該環状部24aの中心から偏位した位置に突設された連結片25aを一体に備えている。このような保持具23aは、アルミニウム等の金属を押出成形すると共に、成形材を所定長さ寸法に裁断することにより形成することができ、この際、環状部24aの高さ寸法haは、ha<1/2Haとされるように形成されている。
【0037】
一対の保持具23a、23aは、前記連結片25aを幅木本体22aの両端から中空内部に挿入した状態で、ボルト・ナット等の固着具26aにより取付固着される。この際、一対の保持具の環状部24a、24aは、図示矢印で示す幅木本体22aの両側面X1、X2のうち、荷受面7に向かう側面X1に向けて突出させられた状態で取付けられると共に、幅木本体22aの高さ方向に関して下端部から高さ距離hz(hz>1/2Ha)だけ離間した位置に取付けられる。そして、一対の保持具23a、23aの環状部24a、24aの中心の間の距離Laを上述した左右の第1柱部材14aL、14aRの中心間の距離L1と等しくした状態(La=L1)で取付けられる。
【0038】
これにより、第1幅木21aは、図7(D)に示すように、保持具23a、23aの環状部24a、24aにより第1柱部材14aL、14aRを外挿保持したとき、幅木本体22aが該柱部材の中心から偏位させられるが、少なくとも荷受面7の後縁部の上に載置されるように構成されている。尚、図示省略しているが、第1幅木21aは、保持具23a、23aの環状部24aを第2柱部材14bL、14bRに外挿することにより、幅木本体22aを荷受面7の前縁部の上に載置することも可能である。
【0039】
(第2幅木)
図8に示すように、第2幅木21bは、パレット6(盤状体6a)の側縁に沿って荷受面7に載置される幅木本体22bと、該幅木本体22bの両端部から延設されると共に第1柱部材14aL(14aR)と第2柱部材14bL(14bR)に外挿保持される保持具23b、23bを備えている。
【0040】
前記幅木本体22bは、高さHbとされたアルミニウム等による金属押出成形材から成る偏平な中空の板状長尺体を所定の長さ寸法に裁断することにより構成されている。前記保持具23bは、円環状の環状部24bと、該環状部24bの中心から偏位した位置に突設された連結片25bを一体に備えている。このような保持具23bは、アルミニウム等の金属を押出成形すると共に、成形材を所定長さ寸法に裁断することにより形成することができ、この際、環状部24bの高さ寸法hbは、hb<1/2Hbとされるように形成されている。
【0041】
一対の保持具23b、23bは、前記連結片25bを幅木本体22bの両端から中空内部に挿入した状態で、ボルト・ナット等の固着具26bにより取付固着される。この際、一対の保持具の環状部24b、24bは、図示矢印で示す幅木本体22bの両側面Y1、Y2のうち、荷受面7の外側に向かう側面Y1に向けて突出させられた状態で取付けられると共に、幅木本体22bの高さ方向に関して上端部から高さ距離hz(hz>1/2Hb)だけ離間した位置に取付けられる。そして、一対の保持具23b、23bの環状部24b、24bの中心の間の距離Lbを上述した第1柱部材14aL(14aR)と第2柱部材14bL(14bR)の中心間の距離L2と等しくした状態(Lb=L2)で取付けられる。
【0042】
これにより、第2幅木21bは、図8(D)に示すように、保持具23b、23bの環状部24b、24bにより第1柱部材14aL(14aR)と第2柱部材14bL(14bR)を外挿保持したとき、幅木本体22bが該柱部材の中心から偏位させられ、荷受面7の側縁部の上に載置されるように構成されている。
【0043】
(共通部品)
上述した第1幅木21aの幅木本体22aと、第2幅木21bの幅木本体22bは、同じ金属押出成形材から成る偏平な中空の板状長尺体を所定長さ寸法に裁断することにより構成されており、従って、長さ寸法は異なるが、それぞれの高さ寸法は相互に等しく、Ha=Hbとされている。
【0044】
また、第1幅木21aの保持具23aと、第2幅木21bの保持具23bは、共通部品により構成されており、従って、それぞれの環状部24a、24bの高さ寸法は等しく、ha=hbとされている。
【0045】
(幅木装着方法の第1例)
上記構成に基づく第1幅木21aと第2幅木21bを使用することにより、パレット6の後縁と両側縁に幅木を装着する方法の第1例を図9及び図10に示している。
【0046】
第1例の場合、最初は、図9に示すように、2枚の第2幅木21b、21bがパレット6の両側縁に沿って装着される。左右の第2幅木21b、21bは、同一構成とされたものを縦軸廻りに反転させた姿勢として装着される。この際、第2幅木21bは、両端部の保持具23b、23bを下側に位置させた状態で、環状部24bを対応する第1柱部材14aL(14aR)と第2柱部材14bL(14bR)に外挿すると共に下降させることにより、幅木本体22bの下面が荷受面7の側縁部に載置される。
【0047】
次いで、図10に示すように、第1幅木21aがパレット6の後縁に沿って装着される。第1幅木21aは、両端部の保持具23a、23aを上側に位置させた状態で、環状部24aを対応する第1柱部材14aL、14aRに外挿すると共に下降させると、幅木本体22aの下面が荷受面7の後縁部に載置される。
【0048】
図10(B)に示すように、第1幅木21aにおける保持具23aの環状部24aと第2幅木21bにおける保持具23bの環状部24bは、幅木本体22a、22bの高さHa、Hbの範囲内において相互に上下に配置されるように構成されており、図示のように、第2幅木21bにおける保持具23bの環状部24bが下側に位置して柱部材14aRを外挿保持し、第1幅木21aにおける保持具23aの環状部24aが上側に位置して柱部材14aRを外挿保持する。
【0049】
従って、隣り合う幅木21a、21bの環状部24a、24bが1本の柱部材(図示の右側の第1柱部材14aR)を外挿保持した状態で、相互に幅木本体22a、22bの高さを同一高さ(Ha=Hb)として荷受面7の上に載置される。
【0050】
このため、第1幅木21a及び第2幅木21bを多数準備しておくことにより、幅木の高さを増す必要があるときは、先に装着された下段の幅木本体22b、22aの上に、更に上段の幅木本体を載置することにより、幅木を多段状に装着することが可能である。
【0051】
(幅木装着方法の第2例)
図11及び図12は、上記構成に基づく第1幅木21aと第2幅木21bを装着する別の方法として、第2例を示している。
【0052】
第2例の場合、最初は、図11に示すように、第1幅木21aがパレット6の後縁に沿って装着される。第1幅木21aは、両端部の保持具23a、23aを下側に位置させた状態で、環状部24aを対応する第1柱部材14aL、14aRに外挿すると共に下降させることにより、幅木本体22aの下面が荷受面7の後縁部に載置される。
【0053】
次いで、図12に示すように、2枚の第2幅木21b、21bがパレット6の両側縁に沿って装着される。左右の第2幅木21b、21bは、同一構成とされたものを縦軸廻りに反転させた姿勢として装着される。この際、第2幅木21bは、両端部の保持具23b、23bを上側に位置させた状態で、環状部24bを対応する第1柱部材14aL(14aR)と第2柱部材14bL(14bR)に外挿すると共に下降させると、幅木本体22bの下面が荷受面7の側縁部に載置される。
【0054】
第2例の場合は、第1例の場合と逆に、第1幅木21aにおける保持具23aの環状部24aが下側に位置して柱部材14aRを外挿保持し、第2幅木21bにおける保持具23bの環状部24bが上側に位置して柱部材14aRを外挿保持する。
【0055】
第1例の場合と同様に、隣り合う幅木21a、21bの環状部24a、24bが1本の柱部材(図示の右側の第1柱部材14aR)を外挿保持した状態で、相互に幅木本体22a、22bの高さを同一高さ(Ha=Hb)として荷受面7の上に載置されるので、先に装着された下段の幅木本体22b、22aの上に、更に上段の幅木本体を載置することにより、幅木を多段状に装着することが可能である。
【0056】
(幅木の第2実施形態)
図13は、第1幅木21a及び第2幅木21bの第2実施形態を示している。第1幅木21aは、幅木本体22aの両端部における保持具23a、23aの取付位置に関して、一方の保持具23a1を高さ方向の上端部に配置し、他方の保持具23a2を高さ方向の下端部に配置している。これと同様に、第2幅木21bは、幅木本体22bの両端部における保持具23b、23bの取付位置に関して、一方の保持具23b1を高さ方向の下端部に配置し、他方の保持具23b2を高さ方向の上端部に配置している。その他の構成は、上述した実施形態と同様である。
【0057】
第2実施形態によれば、先ず、左側の第1柱部材14aLと左側の第2柱部材14bLに対して、左側の第2幅木21bLが装着される。この際、下側に位置させられた保持具23b1により第1柱部材14aLを外挿保持し、上側に位置させられた保持具23b2により第2柱部材14bLを外挿保持する。これにより、左側の第2幅木21bLの幅木本体22bが荷受面の左側縁部の上に載置される。
【0058】
次いで、左側の第1柱部材14aLと右側の第1柱部材14aRに対して、第1幅木21aが装着される。この際、第1幅木21aは、上側に位置させられた保持具23a1により左側の第1柱部材14aLを外挿保持し、下側に位置させられた保持具23a2により右側の第1柱部材14aRを外挿保持する。これにより、第1幅木21aの幅木本体22aが荷受面の後縁部の上に載置される。
【0059】
その後、右側の第1柱部材14aRと右側の第2柱部材14bRに対して、右側の第2幅木21bRが装着される。右側の第2幅木21bRは、左側の第2幅木21bLと同一構成のものを縦軸廻りに反転させた姿勢として使用される。この際、この際、上側に位置させられた保持具23b2により第1柱部材14aRを外挿保持し、下側に位置させられた保持具23b1により第2柱部材14bRを外挿保持する。
【0060】
第2実施形態によれば、最初に左右一方の第2幅木21bを装着した後、第1幅木21aを装着し、引き続き左右他方の第2幅木21bを装着するという作業順序に制限を受けるが、それ以外は、第1実施形態と同様の利点及び効果がある。
【0061】
(幅木装着の任意性)
図9ないし図13に図示した装着例の場合、第1幅木21aと第2幅木21bを着脱自在に装着することにより、荷受面7の後縁部と左右両側縁部の三方の縁部に荷崩れ防止壁を形成する場合を例示したが、幅木21の装着個所は、任意であり、例えば、荷受面7の後縁部又は前縁部と左右一方の側縁部の二方の縁部に荷崩れ防止壁を形成しても良く、或いは、必要であれば、前後縁部と左右両側縁部の四方の縁部に荷崩れ防止壁を形成することもできる。
【符号の説明】
【0062】
1L 左側の側部フレーム
1R 右側の側部フレーム
1C 中央部フレーム
1a 角筒部
1b 上面
1c 立壁
2F 前側の桟部材
2R 後側の桟部材
2C 中央桟部材
2a 溝
2b リップ
3a、3b キャップ
4 取付孔
5 板材
6 パレット
6a 盤状体
7 荷受面
8 フォーク挿入路
9 キャスター
9a 車輪
9b 取付座
10 ボルト
11 ナット
12 運搬台車
13 取付具
14 柱部材
14aL 左側第1柱部材
14aR 右側第1柱部材
14bL 左側第2柱部材
14bR 右側第1柱部材
15a、15b 挟持片
16 筒部
17 被着孔
18 ボルト
19 ナット
20 ストッパ
21a 第1幅木
21b 第2幅木
22a、22b 幅木本体
23a、23b 保持具
24a、24b 環状部
25a,25b 連結片
26a,26b 固着具
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13