(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】二重サッシ
(51)【国際特許分類】
E06B 7/10 20060101AFI20220111BHJP
E06B 1/36 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
E06B7/10
E06B1/36 Z
(21)【出願番号】P 2017251002
(22)【出願日】2017-12-27
【審査請求日】2020-11-26
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100094400
【氏名又は名称】鈴木 三義
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】平松 誠司
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-106261(JP,A)
【文献】特開2003-336458(JP,A)
【文献】特開2016-008499(JP,A)
【文献】実開昭55-121884(JP,U)
【文献】特開昭62-220687(JP,A)
【文献】特開2002-121958(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2010-0052865(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 7/10
E06B 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建築物の開口部に設置され、外窓及び該外窓の屋内側に配置された内窓を備えた二重サッシであって、
前記外窓は、屋内側から屋外側に向かう圧力が生じた際に、空気が屋内側から屋外側に流通可能となり、
前記内窓は、上枠、下枠及び左右の縦枠が枠組みして構成された枠体と、該枠体内にスライド可能に配置された障子と、を有し、
前記上枠及び前記下枠には、前記障子側に向かって突出する突出部が設けられ、
前記障子の上端部及び下端部には、前記障子側から離間する方向に凹むとともに、前記突出部の先端部が配置される凹溝が形成され、
前記内窓の上端部及び前記内窓の下端部の少なくとも一方において、
前記凹溝で、前記突出部における屋内側を向く第一
面と対向する第二
面には
、対向する側に向かって突出する負圧当接部が設けられ、
該負圧当接部と、前記突出部の前記第一面及び前記凹溝の前記第二面の他方との間には隙間が形成され
、
前記負圧当接部は、第一壁部と第二壁部によって、前記第二面が形成された壁部を屋内外方向に挟み込んでいることを特徴とする二重サッシ。
【請求項2】
前記負圧当接部が前記障子の上端部に形成されている場合には、前記負圧当接部の上端部は、前記障子の上端部よりも上方に延び、
前記負圧当接部が前記障子の下端部に形成されている場合には、前記負圧当接部の下端部は、前記障子の下端部よりも下方に延びている請求項
1に記載の二重サッシ。
【請求項3】
建築物の開口部に設置され、外窓及び該外窓の屋内側に配置された内窓を備えた二重サッシであって、
前記外窓は、屋内側から屋外側に向かう圧力が生じた際に、空気が屋内側から屋外側に流通可能となり、
前記内窓は、上枠、下枠及び左右の縦枠が枠組みして構成された枠体と、該枠体内にスライド可能に配置された障子と、を有し、
前記上枠及び前記下枠には、前記障子側に向かって突出する突出部が設けられ、
前記障子の上端部及び下端部には、前記障子側から離間する方向に凹むとともに、前記突出部の先端部が配置される凹溝が形成され、
前記内窓の上端部及び前記内窓の下端部の少なくとも一方において、前記突出部における屋内側を向く第一面及び前記凹溝における前記第一面と対向する第二面の少なくとも一方には、それぞれ対向する側に向かって突出する負圧当接部が設けられ、
該負圧当接部と、前記突出部の前記第一面及び前記凹溝の前記第二面の他方との間には隙間が形成され、
前記負圧当接部が前記障子の上端部に形成されている場合には、前記負圧当接部の上端部は、前記障子の上端部よりも上方に延び、
前記負圧当接部が前記障子の下端部に形成されている場合には、前記負圧当接部の下端部は、前記障子の下端部よりも下方に延びていることを特徴とする二重サッシ。
【請求項4】
前記障子の上端部に形成された前記負圧当接部の屋外側の面は、上方に向かうにしたがって次第に屋内側に向かうように傾斜する上部傾斜部が形成されている請求項
2または3に記載の二重サッシ。
【請求項5】
前記凹溝において、左右方向の両端部には、前記突出部側に突出する振れ止め部が設けられ、
前記負圧当接部は、正面視で、前記振れ止め部と異なる位置に配置されている請求項1
から4のいずれか一項に記載の二重サッシ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重サッシに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、防音性や断熱性の向上のために、建築物の開口部に外窓及び内窓を設けた二重サッシが知られている(例えば、特許文献1参照)。また、北海道等の寒冷地では、断熱性をさらに向上させるために、内窓に樹脂製のサッシが採用されることがある。
【0003】
外窓及び内窓が引違いサッシの場合、正圧(屋外側から屋内側に向かう圧力)に対して、気密性を確保する構造とされている。そして、正圧が生じると、内窓には外窓に作用する圧力の約1割の大きさの圧力が作用し、負圧(屋内側から屋外側に向かう圧力)が生じると、内窓には外窓に作用する圧力の約8割の大きさの圧力が作用することが確認されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
中高層建築物のように障子に作用する風圧が大きい建築物で、内窓が負圧に耐えられず、内窓の障子が枠から外れたり、外れた障子が倒れてガラスが破損したりする虞がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、負圧が生じた際に、内窓の障子が外れることを抑制できる二重サッシを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を採用している。
すなわち、本発明に係る二重サッシは、建築物の開口部に設置され、外窓及び該外窓の屋内側に配置された内窓を備えた二重サッシであって、前記外窓は、屋内側から屋外側に向かう圧力が生じた際に、空気が屋内側から屋外側に流通可能となり、前記内窓は、上枠、下枠及び左右の縦枠が枠組みして構成された枠体と、該枠体内にスライド可能に配置された障子と、を有し、前記上枠及び前記下枠には、前記障子側に向かって突出する突出部が設けられ、前記障子の上端部及び下端部には、前記障子側から離間する方向に凹むとともに、前記突出部の先端部が配置される凹溝が形成され、前記内窓の上端部及び前記内窓の下端部の少なくとも一方において、前記凹溝で、前記突出部における屋内側を向く第一面と対向する第二面には、対向する側に向かって突出する負圧当接部が設けられ、該負圧当接部と、前記突出部の前記第一面及び前記凹溝の前記第二面の他方との間には隙間が形成され、前記負圧当接部は、第一壁部と第二壁部によって、前記第二面が形成された壁部を屋内外方向に挟み込んでいることを特徴とする。
また、本発明に係る二重サッシは、建築物の開口部に設置され、外窓及び該外窓の屋内側に配置された内窓を備えた二重サッシであって、前記外窓は、屋内側から屋外側に向かう圧力が生じた際に、空気が屋内側から屋外側に流通可能となり、前記内窓は、上枠、下枠及び左右の縦枠が枠組みして構成された枠体と、該枠体内にスライド可能に配置された障子と、を有し、前記上枠及び前記下枠には、前記障子側に向かって突出する突出部が設けられ、前記障子の上端部及び下端部には、前記障子側から離間する方向に凹むとともに、前記突出部の先端部が配置される凹溝が形成され、前記内窓の上端部及び前記内窓の下端部の少なくとも一方において、前記突出部における屋内側を向く第一面及び前記凹溝における前記第一面と対向する第二面の少なくとも一方には、それぞれ対向する側に向かって突出する負圧当接部が設けられ、該負圧当接部と、前記突出部の前記第一面及び前記凹溝の前記第二面の他方との間には隙間が形成され、前記負圧当接部が前記障子の上端部に形成されている場合には、前記負圧当接部の上端部は、前記障子の上端部よりも上方に延び、前記負圧当接部が前記障子の下端部に形成されている場合には、前記負圧当接部の下端部は、前記障子の下端部よりも下方に延びていることを特徴とする。
【0008】
このように構成された二重サッシでは、外窓及び内窓が閉塞された閉塞状態で、負圧が生じた際に、内窓の障子は屋外側に移動する。負圧当接部が突出部の第一面に設けられている場合には、負圧当接部は凹溝において第一面と対向する第二面に当接し、負圧当接部が凹溝の第二面に設けられている場合には、負圧当接部は突出部の第一面に当接する。これにより、突出部の第一面と凹溝の第二面との間には、負圧当接部が設けられている箇所以外の箇所において、負圧当接部の突出厚み分の隙間が形成される。空気は、当該隙間を通過する。また、外窓では、負圧が生じた際に、空気が屋内側から屋外側に流通可能となる。よって、負圧が生じた際に、内窓の屋内側から外窓の屋外側まで連通した空気の流路ができるため、内窓の屋内側と屋外側との圧力差(内窓に作用する圧力)を低減させることができ、内窓の障子が枠体から外れることが抑制される。
【0009】
また、本発明に係る二重サッシは、前記凹溝において、左右方向の両端部には、前記突出部側に突出する振れ止め部が設けられ、前記負圧当接部は、正面視で、前記振れ止め部と異なる位置に配置されていることが好ましい。
【0010】
このように構成された二重サッシでは、負圧当接部は、正面視で、凹溝の左右方向の両端部に設けられた振れ止め部と異なる位置に配置されている。よって、障子の左右方向の両端部では屋内外方向に移動が抑制されるとともに、振れ止め部及び負圧当接部が設けられている箇所以外の箇所において、負圧当接部の突出厚み分の隙間を確実に形成することができる。
【0011】
また、本発明に係る二重サッシでは、前記負圧当接部が前記障子の上端部に形成されれている場合には、前記負圧当接部の上端部は、前記障子の上端部よりも上方に延び、前記負圧当接部が前記障子の下端部に形成されれている場合には、前記負圧当接部の下端部は、前記障子の下端部よりも下方に延びていてもよい。
【0012】
このように構成された二重サッシでは、負圧当接部が障子の上端部に設けられている場合には、負圧当接部の上端部は障子の上端部よりも上方に延び、負圧当接部が障子の下端部に設けられている場合には、負圧当接部の下端部は、障子の下端部よりも下方に延びている。よって、負圧当接部と突出部とが屋内外方向に重なる上下方向に長さ(かかり代)を長く確保することができるため、内窓の障子が枠体から外れることが一層抑制される。
【0013】
また、本発明に係る二重サッシは、前記障子の上端部に形成された前記負圧当接部の屋外側の面は、上方に向かうにしたがって次第に屋内側に向かうように傾斜する上部傾斜部が形成されていてもよい。
【0014】
このように構成された二重サッシでは、負圧当接部が障子の上端部に設けられている場合には、負圧当接部の上端部における屋外側を向く面に、上方に向かうにしたがって次第に屋内側に向かうように傾斜する上部傾斜部が形成されている。よって、負圧当接部が突出部に接触した場合でも、上部傾斜部が突出部に案内されるため、建て込みやすい。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る二重サッシによれば、負圧が生じた際に、内窓の外障子及び内障子が外れることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の一実施形態に係る二重サッシを屋内側から見た正面図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る二重サッシの内窓において、負圧が生じた際の外障子及び内障子の上部を示し、屋内外方向及び鉛直方向に沿う断面図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る二重サッシの外窓において、負圧が生じた際の挙動を示し、屋内外方向及び鉛直方向に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態に係る二重サッシについて、
図1から
図8に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る二重サッシを屋内側から見た正面図である。
図2は、
図1のA-A線断面図である。
図3は、
図1のB-B線断面図である。
図1から
図3に示すように、二重サッシ100は、建築物の壁部Wの開口部Pに設けられ、屋外側に配置された外窓1と、屋内側に配置された内窓4と、を備えている。
なお、以下の説明において、屋外側と屋内側とを結ぶ方向を屋内外方向と称する。また、屋内外方向と直交する方向のうち水平方向に沿う方向を左右方向と称する。また、屋内側から見て左側、右側を、それぞれ左側、右側と称する。
【0018】
図2及び
図3に示すように、外窓1は、開口部Pに設けられ四角形枠状に形成された枠体10と、枠体10に対して左右方向にスライド可能に設けられた外障子20A、内障子20B及び網戸30と、を有している。外窓1は、いわゆる引違いサッシである。
【0019】
枠体10は、左右方向に延在する上枠11及び下枠12と、上枠11の両端部と下枠12の両端部とをそれぞれ連結し上下方向に延在する縦枠13と、を有している。本実施形態では、枠体10は、アルミ製の押出成形部材で構成されている。
【0020】
外障子20Aは枠体10の屋外側に設けられ、内障子20Bは枠体10の屋内側に設けられている。外障子20A及び内障子20Bが閉じた状態で、外障子20A及び内障子20Bが枠体10内を閉塞するように配置されている。外障子20A及び内障子20Bは、それぞれ四方枠状に形成された框体21と、框体21内に納められたガラス29と、を有している。
【0021】
各框体21は、左右方向に延在する上框22及び下框23と、上框22の両端部と下框23の両端部とをそれぞれ連結し上下方向に延在する戸先框24及び召合せ框25と、を有している。本実施形態では、框体21は、アルミ製の押出成形部材で構成されている。
【0022】
各框22,23,24,25においてガラス29側を向く各端面(内周面)には、外方に向かって凹むガラス保持溝27が形成されている。ガラス保持溝27内には、ガラス29の周縁部が嵌め込まれている。
【0023】
外障子20Aと内障子20Bとは、互いの召合せ框25に設けられたクレセント錠(不図示)をロックすることによりスライド移動がロックされ、クレセント錠を解除することによりスライド移動が可能となるように構成されている。
【0024】
網戸30は、四方枠状に形成された網戸框体31と、網戸框体31内に設けられた網戸本体39とを有している。網戸框体31は、左右方向に延在する網戸上框32及び網戸下框33と、網戸上框32の両端部と網戸下框33の両端部とをそれぞれ連結し上下方向に延在する網戸縦框34と、を有している。
【0025】
図1に示すように、内窓4は、開口部Pに設けられ四角形枠状に形成された枠体40と、枠体40に対して左右方向にスライド可能に設けられた外障子50A及び内障子50Bと、を有している。内窓4は、いわゆる引違いサッシである。
【0026】
枠体40は、左右方向に延在する上枠41及び下枠42と、上枠41の両端部と下枠42の両端部とをそれぞれ連結し上下方向に延在する縦枠43と、を有している。本実施形態では、枠体40は、合成樹脂製の押出成形部材で構成されている。
【0027】
外障子50Aは枠体40の屋外側に設けられ、内障子50Bは枠体40の屋内側に設けられている。外障子50A及び内障子50Bが閉じた状態で、外障子50A及び内障子50Bが枠体40内を閉塞するように配置されている。外障子50A及び内障子50Bは、それぞれ四方枠状に形成された框体51と、框体51内に納められたガラス59と、を有している。
【0028】
各框体51は、左右方向に延在する上框52及び下框53と、上框52の両端部と下框53の両端部とをそれぞれ連結し上下方向に延在する戸先框54及び召合せ框55と、を有している。本実施形態では、框体51は、合成樹脂製の押出成形部材で構成されている。
【0029】
図2及び
図3に示すように、各框52,53,54,55においてガラス59側を向く各端面(内周面)には、外方に向かって凹むガラス保持溝57が形成されている。ガラス保持溝57内には、ガラス59の周縁部が嵌め込まれている。
【0030】
外障子50Aと内障子50Bとは、互いの召合せ框55に設けられたクレセント錠550(
図1参照。以下同じ。)をロックすることによりスライド移動がロックされ、クレセント錠550を解除することによりスライド移動が可能となるように構成されている。
【0031】
次に、各部の構成について詳細に説明する。
まず、外窓1の上枠11について説明する。
図4は、
図2のC部拡大図である。
図4に示すように、上枠11は、上枠板部111と、上枠板部111から下方に延びる網戸突出枠壁部112、屋外側突出枠壁部113、屋内側突出枠壁部114及び下向き枠壁部115と、を有している。網戸突出枠壁部112、屋外側突出枠壁部113、屋内側突出枠壁部114、下向き枠壁部115は、この順に屋外側から屋内側に向かって配置されている。
【0032】
上枠板部111は、平板状に形成され、板厚方向を上下方向に向けて配置されている。上枠板部111は、建築物の躯体Qに螺子等で固定されている。
【0033】
網戸突出枠壁部112、屋外側突出枠壁部113、屋内側突出枠壁部114及び下向き枠壁部115は、平板状に形成され、板厚方向を屋内外方向に向けて配置されている。
【0034】
下向き枠壁部115の下端部には、屋内側に向けて延びる取付壁部116が設けられている。取付壁部116は、平板状に形成され、板厚方向を上下方向に向けて配置されている。取付壁部116は、開口部Pの上端に設けられた上額縁Rの下面に螺子等で固定されている。
【0035】
次に、外窓1の外障子20Aの上框22について説明する。
上框22は、屋外側に配置される上外板部221と、屋内側に配置される上内板部222と、上外板部221と上内板部222とを連結する上連結板部223と、を有している。
【0036】
上外板部221及び上内板部222は、平板状に形成され、板厚方向を屋内外方向に向けて配置されている。
【0037】
上連結板部223は、上外板部221の上下方向の中間と上内板部222の上下方向の中間とを連結している。
【0038】
上外板部221の上部には、屋内側に向かって延びる一対の延出壁部226,227が設けられている。一対の延出壁部226,227は、上下方向に間隔を有して配置されている。延出壁部226は、延出壁部227の上方に配置されている。
【0039】
延出壁部226の屋内側の端部には、下方に延びる下向き係止片226aが設けられている。延出壁部227の屋内側の端部には、上方に延びる上向き係止片227aが設けられている。
【0040】
上外板部221の上端部には、気密材229が設けられている。気密材229は、上外板部221及び延出壁部226,227で囲まれた空間内に設けられる固定部229aと、固定部229aから屋内側に延びる気密片229bと、を有している。気密片229bの屋内側の端部は、上枠11の屋外側突出枠壁部113の屋外側の面に当接している。上内板部222には、気密材が設けられていない。
【0041】
外窓1の内障子20Bの上框22の構成は、外障子20Aの上框22の構成と同様であり、同様に構成については同一の符号を付して説明を省略する。外窓1の内障子20Bにも、気密材229が設けられている。内障子20Bに設けられた気密片229bの屋内側の端部は、上枠11の屋内側突出枠壁部114の屋外側の面に当接している。内障子20Bの上内板部222には、気密材が設けられていない。
【0042】
次に、外窓1の外障子20Aの戸先框24(
図3参照。以下同じ。)及び召合せ框25(
図3参照。以下同じ。)に設けられた振れ止め部材224について説明する。
【0043】
図3に示すように、戸先框24及び召合せ框25には、それぞれ内部に上下方向全体にわたって框空間部T1が形成されている。框空間部T1の上端部には、それぞれ振れ止め部材224(
図4参照)が挿入配置されている。各框空間部T1内には、金属製の縦框芯材Z1が設けられている。
【0044】
図4に示すように、各振れ止め部材224は、框空間部T1(
図3参照。以下同じ。)内で屋外側に配置された屋外側振れ止め部224aと、框空間部T1内で屋内側に配置された屋内側振れ止め部224cと、屋外側振れ止め部224aの下端部と屋内側振れ止め部224cの下端部とを連結する下部振れ止め部224bと、を有している。屋外側振れ止め部224a、屋内側振れ止め部224c及び下部振れ止め部224bは、一体として形成されている。屋外側振れ止め部224aと屋内側振れ止め部224cとの間に、上枠11の屋外側突出枠壁部113が配置されている。屋外側振れ止め部224aと屋内側振れ止め部224cとで屋外側突出枠壁部113を屋内外方向に挟み込むことで、外障子20Aの屋内外方向の移動が規制されている。
【0045】
次に、外窓1の内障子20Bの戸先框24及び召合せ框25に設けられた振れ止め部材225について説明する。
【0046】
各振れ止め部材225は、框空間部T1内で屋外側に配置された屋外側振れ止め部225aと、框空間部T1内で屋内側に配置された屋内側振れ止め部225cと、屋外側振れ止め部225aの下端部と屋内側振れ止め部225cの下端部とを連結する下部振れ止め部(不図示)と、を有している。屋外側振れ止め部225a、屋内側振れ止め部225c及び下部振れ止め部は、一体として形成されている。屋外側振れ止め部225aと屋内側振れ止め部225cとの間に、上枠11の屋内側突出枠壁部114が配置されている。屋外側振れ止め部225aと屋内側振れ止め部225cとで屋内側突出枠壁部114を屋内外方向に挟み込むことで、内障子20Bの屋内外方向の移動が規制されている。
【0047】
次に、外窓1の網戸縦框34(
図3参照。以下同じ。)について説明する。
網戸縦框34の上端部には、上端部から下方に向かって凹む係合溝321が形成された網戸振れ止め部322が設けられている。係合溝321内に、外窓1の上枠11の網戸突出枠壁部112が配置され、網戸30の屋内外方向の移動が規制されている。
【0048】
次に、内窓4の上枠41について説明する。
図5は、
図2のD部拡大図である。
図5に示すように、上枠41は、上枠板部411と、上枠板部411から下方に延びる屋外側突出部(突出部)412、屋内側突出部(突出部)422及び下向き枠壁部429と、を有している。屋外側突出部412、屋内側突出部422、下向き枠壁部429は、この順に屋外側から屋内側に向かって配置されている。
【0049】
上枠板部411は、平板状に形成され、板厚方向を上下方向に向けて配置されている。上枠板部411は、上額縁Rの下面に螺子等で固定されている。
【0050】
屋外側突出部412は、上枠板部411から下方に延び、屋内外方向に間隔を有して配置された一対の屋外側突出枠壁部413,414と、一対の屋外側突出枠壁部413,414の下端部どうしを連結する屋外側連結枠壁部415と、を有している。屋外側突出枠壁部413は、屋外側突出枠壁部414よりも屋外側に配置されている。
【0051】
屋内側突出部422は、上枠板部411から下方に延び、屋内外方向に間隔を有して配置された一対の屋内側突出枠壁部423,424と、一対の屋内側突出枠壁部423,424の下端部どうしを連結する屋内側連結枠壁部425と、を有している。屋内側突出枠壁部423は、屋内側突出枠壁部424よりも屋外側に配置されている。
【0052】
下向き枠壁部429は、平板状に形成され、板厚方向を屋内外方向に向けて配置されている。
【0053】
次に、内窓4の外障子50Aの上框52について説明する。
上框52は、屋外側に配置される上外板部521と、屋内側に配置される上内板部522と、上外板部521と上内板部522とを連結する上連結板部523と、を有している。
【0054】
上外板部521及び上内板部522は、平板状に形成され、板厚方向を屋内外方向に向けて配置されている。
【0055】
上連結板部523は、平板状に形成され、板厚方向を上下方向に向けて配置されている。上連結板部523は、上外板部521の上下方向の中間と上内板部522の上下方向の中間とを連結している。
【0056】
上外板部521の上端部には、屋内側に向かって延びる延出壁部526が設けられている。延出壁部526の屋内側の端部には、下方に向かって延びる取付壁部527が設けられている。
【0057】
取付壁部527の屋内側の面には、気密材529が設けられている。気密材529は、取付壁部527に固定される固定部529aと、固定部529aの下端部から屋内側に向かうにしたがって次第に上方に向かって延びる気密片529bと、を有している。気密片529bの屋内側の端部(上端部)は、上枠41の屋外側突出枠壁部413の屋外側の面に当接している。
【0058】
上内板部522の上端部には、屋外側に向かって延びる延出壁部536が設けられている。延出壁部536の屋外側の端部には、下方に向かって延びる取付壁部537が設けられている。
【0059】
上外板部521、延出壁部526、取付壁部527、上連結板部523、上内板部522、延出壁部536及び取付壁部537により、外障子50Aの上端部から下方に凹む上部凹溝(凹溝)538が形成されている。上部凹溝538内には、屋外側突出部412の先端部(下端部)が配置されている。
【0060】
取付壁部537における屋外側を向く面(第二面)には、屋外側(対向する屋外側突出部412側)に向かって突出する調整材(負圧当接部)560が設けられている。
【0061】
本実施形態では、調整材560は、上框52の左右方向の略中央に設けられている。調整材560は、上框52の左右方向の少なくとも一箇所に設けられていればよく、複数箇所に設けられていてもよい。また、上框52の左右方向には、調整材560が設けられていない箇所がある。
【0062】
調整材560は、基部561と、基部561から上方に突出し屋内外方向に離間して配置された一対の第一壁部562及び第二壁部563と、を有している。第一壁部562は、第二壁部563よりも屋外側に配置されている。
【0063】
第一壁部562は、取付壁部537の屋外側の面に沿って配置されている。第一壁部562は、屋外側突出部412の屋外側突出枠壁部414の屋内側を向く面(第一面)と隙間SAを有して屋内側に配置されている。
【0064】
第一壁部562の上端部は、延出壁部536よりも上方に延びている。第一壁部562の上端部における屋外側を向く面には、上方に向かうにしたがって次第に屋内側に向かうように傾斜する上部傾斜部564が形成されている。
【0065】
第二壁部563は、取付壁部537と上内板部522との間に配置されている。第二壁部563と第一壁部562とにより、取付壁部537を屋内外方向に挟み込んでいる。
【0066】
内窓4の内障子50Bの上框52の構成は、外障子50Aの上框52の構成と同様であり、同様に構成については同一の符号を付して説明を省略する。内障子50Bの上部凹溝538内には、屋内側突出部422の先端部(下端部)が配置されている。内窓4の内障子50Bにも、気密材529及び調整材560が設けられている。気密材529の気密片529bの屋内側の端部(上端部)は、上枠41の屋内側突出枠壁部423の屋外側の面に当接している。調整材560は、屋内側突出枠壁部424の屋内側を向く面(第一面)と隙間SAを有して配置されている。
【0067】
次に、内窓4の外障子50Aの戸先框54(
図3参照。以下同じ。)及び召合せ框55(
図3参照。以下同じ。)に設けられた振れ止め部材524(振れ止め部)(破線参照)について説明する。
【0068】
図3に示すように、戸先框54及び召合せ框55には、それぞれ内部に上下方向全体にわたって框空間部T2が形成されている。框空間部T2の上端部には、それぞれ振れ止め部材524(
図5参照)が挿入配置されている。
【0069】
図5に示すように、各振れ止め部材524は、框空間部T2(
図3参照。以下同じ。)内で屋外側に配置された屋外側振れ止め部524aと、框空間部T2内で屋内側に配置された屋内側振れ止め部524cと、屋外側振れ止め部524aの下端部と屋内側振れ止め部524cの下端部とを連結する下部振れ止め部524bと、を有している。屋外側振れ止め部524a、屋内側振れ止め部524c及び下部振れ止め部524bは、一体として形成されている。屋外側振れ止め部524aと屋内側振れ止め部524cとの間に、上枠41の屋外側突出部412が配置されている。屋外側振れ止め部524aと屋内側振れ止め部524cとで屋外側突出部412を屋内外方向に挟み込むことで、外障子50Aの屋内外方向の移動が規制されている。
【0070】
次に、内窓4の内障子50Bの戸先框54及び召合せ框55に設けられた振れ止め部材(振れ止め部)525について説明する。
【0071】
各振れ止め部材525は、框空間部T2内で屋外側に配置された屋外側振れ止め部525aと、框空間部T2内で屋内側に配置された屋内側振れ止め部525cと、屋外側振れ止め部525aの下端部と屋内側振れ止め部525cの下端部とを連結する下部振れ止め部525bと、を有している。屋外側振れ止め部525a、屋内側振れ止め部525c及び下部振れ止め部525bは、一体として形成されている。屋外側振れ止め部525aと屋内側振れ止め部525cとの間に、上枠41の屋内側突出部422が配置されている。屋外側振れ止め部525aと屋内側振れ止め部525cとで屋内側突出部422を屋内外方向に挟み込むことで、内障子50Bの屋内外方向の移動が規制されている。
なお、振れ止め部材524,525の構造は、周知の構造で形状等は適宜設定可能である。
【0072】
外障子50A及び内障子50Bには、調整材560が上框52に設けられ、振れ止め部材524,525が戸先框54の上端部及び召合せ框55の上端部に設けられているため、外障子50Aを正面視して、調整材560と振れ止め部材524,525とは、左右方向に異なる位置に配置されている。
【0073】
次に、内窓4の下枠42について説明する。
図6は、
図2のE部拡大図である。
図6に示すように、下枠42は、下枠板部441と、下枠板部441から上方に延びる屋外側レール部(突出部)442、屋内側レール部(突出部)443及び上向き枠壁部444と、を有している。屋外側レール部442、屋内側レール部443、上向き枠壁部444は、この順に屋外側から屋内側に向かって配置されている。
【0074】
下枠板部441は、平板状に形成され、板厚方向を上下方向に向けて配置されている。下枠板部441は、床材等の仕上げ材Tの上面に螺子等で固定されている。
【0075】
屋外側レール部442、屋内側レール部443及び上向き枠壁部444は、平板状に形成され、板厚方向を屋内外方向に向けて配置されている。
【0076】
次に、内窓4の外障子50Aの下框53について説明する。
下框53は、屋外側に配置される下外板部541と、屋内側に配置される下内板部542と、下外板部541と下内板部542とを連結する複数の下連結板部543と、を有している。
【0077】
下外板部541及び下内板部542は、平板状に形成され、板厚方向を屋内外方向に向けて配置されている。
【0078】
下連結板部543は、平板状に形成され、板厚方向を上下方向に向けて配置されている。
【0079】
下外板部541と、下内板部542と、上下方向に離間して配置された2枚の下連結板部543との間には、金属製の下框芯材Z2が設けられている。下框芯材Z2は、戸先框24及び召合せ框25の框空間部T1内に設けられた金属製の縦框芯材Z1(
図3参照。以下同じ。)と連結されている。なお、下框芯材Z2は縦框芯材Z1と連結されていなくてもよい。
【0080】
下外板部541と下内板部542との間において、下部には、戸車544が設けられている。戸車544が下枠42の屋外側レール部442に載置されることにより、外障子50Aは左右方向にスライド可能とされている。
【0081】
下外板部541の下端部には、屋内側に向かって延びる延出壁部546が設けられている。延出壁部546の屋内側の端部には、上方に向かって延びる取付壁部547が設けられている。
【0082】
取付壁部547の屋内側の面には、気密材549が設けられている。気密材549は、取付壁部547に固定される固定部549aと、固定部549aの下端部から屋内側に向かうにしたがって次第に下方に向かって延びる下向き片549bと、下向き片549bの下端部から屋内側に向かうにしたがって次第に上方に向かって延びる返し片549cと、を有している。返し片549cの屋内側の端部(上端部)は、下枠42の屋外側レール部442の屋外側の面に当接している。
【0083】
下内板部542の下端部には、屋外側に向かって延びる延出壁部556が設けられている。延出壁部556の屋外側の端部には、上方に向かって延びる取付壁部557が設けられている。
【0084】
下外板部541、延出壁部546、取付壁部547、下側の下連結板部543、下内板部542、延出壁部556及び取付壁部557により、外障子50Aの下端部から上方に凹む下部凹溝(凹溝)558が形成されている。下部凹溝558内には、屋外側レール部442の先端部(上端部)が配置されている。
【0085】
下内板部542における屋外側を向く面(第二面)には、屋外側(対向する屋外側レール部442側)に向かって突出する調整材(負圧当接部)570が設けられている。
【0086】
本実施形態では、調整材570は、下框53の左右方向の略中央に設けられている。調整材570は、下框53の左右方向の少なくとも一箇所に設けられていればよく、複数箇所に設けられていてもよい。なお、下框53の左右方向には、調整材570が設けられていない箇所がある。
【0087】
調整材570は、基部571と、基部571から下方に突出し屋内外方向に離間して配置された一対の第一壁部572及び第二壁部573と、を有している。第一壁部572は、第二壁部573よりも屋外側に配置されている。
【0088】
第一壁部572は、取付壁部557の屋外側の面に沿って配置されている。第一壁部572は、屋外側レール部442の屋内側の面(第一面)と隙間SBを有して屋内側に配置されている。第一壁部572の下端部は、延出壁部556よりも下方に延びている。
【0089】
第二壁部573は、取付壁部557と下内板部542との間に配置されている。第二壁部573と第一壁部572とにより、取付壁部557を屋内外方向に挟み込んでいる。
【0090】
内窓4の内障子50Bの下框53の構成は、外障子50Aの下框53の構成と同様であり、同様に構成については同一の符号を付して説明を省略する。内障子50Bの戸車544が下枠42の屋内側レール部443に載置されることにより、内障子50Bは左右方向にスライド可能とされている。内障子50Bの下部凹溝558内には、屋内側レール部443の先端部(上端部)が配置されている。内窓4の内障子50Bにも、気密材549及び調整材570が設けられている。気密材549の返し片549cの屋内側の端部(上端部)は、下枠42の屋内側レール部443の屋外側の面に当接している。調整材570は、屋内側レール部443の屋内側の面(第一面)と隙間SBを有して配置されている。
【0091】
次に、内窓4に設けられた気密材について説明する。
上記に示す気密材529,539,549の他に、
図2に示すように、外障子50Aの下框53の下端部には、屋外側レール部442の屋内側で調整材570が設けられていない箇所に、気密材551が設けられている。また、内障子50Bの下框53の下端部には、屋内側レール部443の屋内側で調整材570が設けられていない箇所に、気密材551が設けられている。気密材549,551により、外障子50Aの下框53の下端部と屋外側レール部442との間は閉塞されている。気密材549,551により、内障子50Bの下框53の下端部と屋内側レール部443との間は閉塞されている。
【0092】
また、
図3に示すように、外障子50Aの戸先框54の左右方向の端部には、縦枠43との間に気密材552が設けられている。気密材552により、外障子50Aが閉じた状態で、戸先框54と縦枠43との間は閉塞されている。
【0093】
外障子50Aの召合せ框55の屋内側の面には、気密材569が設けられている。内障子50Bの召合せ框55の屋外側の面には、気密材589が設けられている。外障子50A及び内障子50Bが閉じた状態で、気密材569,589により、互いの召合せ框55間は閉塞されている。
【0094】
内障子50Bの戸先框54の左右方向の端部には、縦枠43との間に気密材553が設けられている。気密材553により、内障子50Bが閉じた状態で、戸先框54と縦枠43との間は閉塞されている。
【0095】
次に、上記の二重サッシ100において、負圧が生じた際の空気の流れや圧力について説明する。
図7は、負圧が生じた際の外障子50A及び内障子50Bの上部を示し、屋内外方向及び鉛直方向に沿う断面図である。
外窓1及び内窓4が閉塞された閉塞状態で、負圧が生じると、
図7に示すように、内窓4では、外障子50A及び内障子50Bはそれぞれ屋外側に移動する。
図6に示す内窓4の上部では、外障子50Aの調整材560における屋外側を向く面が、屋外側突出部412の屋外側突出枠壁部414の屋内側を向く面と当接する。また、内障子50Bの調整材560における屋外側を向く面が、屋内側突出部422の屋内側突出枠壁部424の屋内側を向く面と当接する。これにより、屋外側突出枠壁部414と及び屋内側突出枠壁部424と取付壁部537との間には、調整材560が設けられていない箇所において、調整材560の取付壁部537からの突出厚み分の隙間SXが形成される。空気は、隙間SXを通過して、内窓4と外窓1との間へと流通する。
内窓4の下部では、外障子50Aの調整材570における屋外側を向く面が、屋外側レール部442の屋内側を向く面と当接する。また、内障子50Bの調整材570における屋外側を向く面が、屋内側レール部443の屋内側を向く面と当接する。これにより、屋外側レール部442及び屋内側レール部443と取付壁部557との間には、調整材570が設けられていない箇所において、調整材570の取付壁部557からの突出厚み分の隙間が形成される。空気は、当該隙間を通過して、内窓4と外窓1との間へと流通する。
【0096】
図8は、二重サッシ100の外窓1において、負圧が生じた際の挙動を示し、屋内外方向及び鉛直方向に沿う断面図である。
また、
図8に示すように、外窓1では、外障子20A及び内障子20Bが負圧を受けて屋外側に変位すると、外障子20Aの振れ止め部材224の屋内側振れ止め部224cが上枠11の屋外側突出枠壁部113の屋内側の面に当接する。また、内障子20Bの振れ止め部材225の屋内側振れ止め部225cが上枠11の屋内側突出枠壁部114の屋内側の面に当接する。外障子20A及び内障子20Bの上内板部222と屋外側突出枠壁部113及び屋内側突出枠壁部114との間には、それぞれ隙間S1が生じている。
【0097】
また、外障子20A及び内障子20Bの気密材229と屋外側突出枠壁部113及び屋内側突出枠壁部114との間には、それぞれ形成される隙間S2が生じている。
【0098】
図8では外障子20A及び内障子20Bの上外板部221、上内板部222及び上連結板部223の左右方向の両端部側の挙動を二点鎖線で示し、上外板部221、上内板部222及び上連結板部223の左右方向の中央側の挙動を実線で示している。外障子20A及び内障子20Bの左右方向の両端部側では、振れ止め部材224の屋内側振れ止め部224c及び振れ止め部材225の屋内側振れ止め部225cがそれぞれ屋外側突出枠壁部113及び屋内側突出枠壁部114に当接して、外障子20A及び内障子20Bの変位が抑制されている。外障子20A及び内障子20Bの左右方向の中央側では、左右方向の両端部側よりも、屋外側に撓むように変位している。これにより、隙間S2は、左右方向の中央側で大きくなっている。
【0099】
上記のように内窓4を通過してきた空気は、内窓4と外窓1との間から、外窓1の内障子20Bの上框22の上内板部222と屋内側突出枠壁部114との間の隙間S1を通過して、上框22の気密材229と上枠11の屋内側突出枠壁部114との間の隙間S2を通過する。さらに、空気は、外障子20Aの上框22の上内板部222と屋外側突出枠壁部113との間の隙間S1を通過して、上框22の気密材229と上枠11の屋外側突出枠壁部113との間の隙間S2を通過する。
【0100】
このように、内窓4から外窓1まで、連通して隙間(空気の流路)が生じるため、内窓4の屋内側と屋外側との圧力差が低減される。
【0101】
このように構成された二重サッシ100では、外窓1及び内窓4が閉塞された閉塞状態で、負圧が生じた際に、内窓4の外障子50A及び内障子50Bは屋外側に移動する。外障子50Aの調整材560における屋外側を向く面が、屋外側突出枠壁部414の屋内側を向く面と当接する。また、内障子50Bの調整材560における屋外側を向く面が、屋内側突出枠壁部424の屋内側を向く面と当接する。また、外障子50Aの調整材570における屋外側を向く面が、屋外側レール部442の屋内側を向く面と当接する。また、内障子50Bの調整材570における屋外側を向く面が、屋内側レール部443の屋内側を向く面と当接する。これにより、内窓4の上端部では、屋外側突出枠壁部414と取付壁部537との間及び屋内側突出枠壁部424と取付壁部537との間には、調整材560が設けられている箇所以外の箇所において、調整材560の突出厚み分の隙間SXが形成される。また、内窓4の下端部では、屋外側レール部442と取付壁部557との間及び屋内側レール部443と取付壁部557との間には、調整材570が設けられている箇所以外の箇所において、調整材570の突出厚み分の隙間が形成され、空気の流通が可能となる。また、外窓1では、負圧が生じた際に、空気が屋内側から屋外側に流通可能となる。よって、負圧が生じた際に、内窓4の屋内側から外窓1の屋外側まで連通した空気の流路ができるため、内窓4の屋内側と屋外側との圧力差(内窓4に作用する圧力)を低減させることができ、内窓4の外障子50A及び内障子50Bが枠体40から外れることが抑制される。
【0102】
また、調整材560は、正面視で、振れ止め部材524,525と異なる位置に配置されている。よって、外障子50A及び内障子50Bの左右方向の両端部では屋内外方向に移動が抑制されるとともに、振れ止め部材524,525及び調整材560が設けられている箇所以外の箇所において、調整材560,570の突出厚み分の隙間SXを確実に形成することができる。
【0103】
また、調整材560の第一壁部562の上端部は、延出壁部536よりも上方に延びていて、調整材570の第一壁部572の下端部は、延出壁部556よりも下方に延びている。よって、調整材560と屋外側突出部412及び屋内側突出部422とが屋内外方向に重なる上下方向に長さ(かかり代)、及び調整材570と屋外側レール部442及び屋内側レール部443とが屋内外方向に重なる上下方向に長さを長く確保することができるため、内窓4の外障子50A及び内障子50Bが枠体40から外れることが一層抑制される。
【0104】
また、調整材560の上端部における屋外側を向く面に、上方に向かうにしたがって次第に屋内側に向かうように傾斜する上部傾斜部564が形成されている。よって、調整材560が屋外側突出部412及び屋内側突出部422に接触した場合でも、上部傾斜部564が屋外側突出部412及び屋内側突出部422に案内されるため、建て込みやすい。
【0105】
なお、上述した実施の形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0106】
例えば、上記に示す実施形態では、調整材560は、上框52の取付壁部537及び下框53の取付壁部557における屋外側を向く面に設けられているが、本発明はこれに限られない。負圧当接部は、上枠及び下枠の少なくとも一方の突出部における屋内側を向く第一面から屋内側に向かって突出するように設けられていてもよい。この場合には、通常時には負圧当接部は(凹溝における第一面と対向する)第二面と隙間を有して配置され、負圧が生じた際には負圧当接部は第二面に当接可能とされていればよい。
【0107】
また、上記に示す実施形態では、調整材560は、上框52及び下框53の両方に設けられているが、本発明はこれに限られない。上框52及び下框53の少なくとも一方に設けられていればよい。
【0108】
調整材560の第一壁部562の上端部は、延出壁部536よりも上方に延びているが、本発明はこれに限られない。調整材の上端部が上框52の上端部よりも下方に配置されていてもよい。また、調整材570の第一壁部572の下端部は、延出壁部556よりも下方に延びているが、調整材の下端部が下框53の下端部よりも上方に配置されていてもよい。
【0109】
また、上記に示す実施形態では、外窓1は引違いサッシであるが、本発明はこれに限られない。外窓は、負圧が生じた際に、空気を屋外側に流通可能となればよく、片引戸や上げ下げ窓であってもよい。
【0110】
また、上記に示す実施形態では、内窓4は引違いサッシであるが、本発明はこれに限られず、枠体内でスライド可能に設けられた片引き戸であってもよい。
【0111】
また、上記に示す実施形態では、外窓1及び内窓4のガラス29,59は、それぞれ単層の板ガラスであるが、本発明はこれに限られず、複層ガラス等であってもよい。
【0112】
また、内窓4の外障子50Aにおいて、屋外側突出部412の屋外側及び屋内側にそれぞれ気密材529,539が設けられ、屋外側突出部412を挟んで屋内外両側で気密性が確保されている。また、屋外側レール部442の屋外側及び屋内側にそれぞれ気密材549,551が設けられ、屋外側レール部442を挟んで屋内側両側で気密性が確保されている。また、外障子50Aと縦枠43との間には気密材552が設けられ、気密性が確保されている。また、内窓4の内障子50Bでも、屋内側突出部422の屋外側及び屋内側にそれぞれ気密材529,539が設けられ、屋内側突出部422を挟んで屋内外両側で気密性が確保されている。また、屋内側レール部443の屋外側及び屋内側にそれぞれ気密材549,551が設けられ、屋内側レール部443を挟んで屋内側両側で気密性が確保されている。また、内障子50Bと縦枠43との間には気密材553が設けられ、気密性が確保されている。また、外障子50Aの召合せ框55と内障子50Bの召合せ框55との間には、気密材569,589が設けられ気密性が確保されている。つまり、本実施形態の内窓4は、気密性が高く、負圧が生じた際には、内窓4に大きな負圧が作用しやすい。よって、中間層M(
図2参照)から外窓1に形成された隙間S1,S2まで連通した空気の流路を形成して、中間層Mの圧力を低減させることは、気密性が高い内窓4の外障子50A及び内障子50Bが枠体40から外れさせないために、重要な構成である。
【符号の説明】
【0113】
1…外窓
4…内窓
10,40…枠体
11,41…上枠
12,42…下枠
13,43…縦枠
20A,50A…外障子
20B,50B…内障子
21,51…框体
22,52…上框
23,53…下框
24,54…戸先框
25,55…召合せ框
27,57…ガラス保持溝
29,59…ガラス
30…網戸
100…二重サッシ
412…屋外側突出部(突出部)
422…屋内側突出部(突出部)
442…屋外側レール部(突出部)
443…屋内側レール部(突出部)
524,525…振れ止め部材(振れ止め部)
538…上部凹溝(凹溝)
558…下部凹溝(凹溝)
560,570…調整材(負圧当接部)
564…上部傾斜部
P…開口部
S1,S2,SA,SB,SX…隙間
W…壁部