(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】抗ソルチリン抗体及びその使用方法
(51)【国際特許分類】
C12N 15/13 20060101AFI20220128BHJP
C07K 16/28 20060101ALI20220128BHJP
C07K 16/26 20060101ALI20220128BHJP
C07K 16/18 20060101ALI20220128BHJP
C07K 16/12 20060101ALI20220128BHJP
C12P 21/08 20060101ALI20220128BHJP
C12N 5/10 20060101ALI20220128BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20220128BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20220128BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20220128BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20220128BHJP
A61P 21/02 20060101ALI20220128BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20220128BHJP
A61P 9/10 20060101ALI20220128BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20220128BHJP
A61P 27/06 20060101ALI20220128BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20220128BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20220128BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20220128BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20220128BHJP
C07K 14/48 20060101ALN20220128BHJP
【FI】
C12N15/13 ZNA
C07K16/28
C07K16/26
C07K16/18
C07K16/12
C12P21/08
C12N5/10
A61P43/00 121
A61P43/00 111
A61P25/28
A61P25/08
A61P27/02
A61P21/02
A61P25/00
A61P9/10
A61P25/16
A61P27/06
A61P31/04
A61P19/02
A61P29/00
A61K39/395 N
A61K39/395 D
C07K14/48
(21)【出願番号】P 2017552831
(86)(22)【出願日】2016-04-07
(86)【国際出願番号】 US2016026519
(87)【国際公開番号】W WO2016164637
(87)【国際公開日】2016-10-13
【審査請求日】2019-04-01
(32)【優先日】2015-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517041235
【氏名又は名称】アレクトル エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ローゼンタール, アーノン
(72)【発明者】
【氏名】シュワーブ, ティナ
(72)【発明者】
【氏名】クルネラス, マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ペジャハル, ロバート
(72)【発明者】
【氏名】クーパー, アンソニー ビー.
【審査官】佐久 敬
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/022175(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/006504(WO,A1)
【文献】特表2014-519517(JP,A)
【文献】Methods,2014, Vol.65,pp.114-126
【文献】Human Molecular Genetics,2014, Vol.23, No.6,pp.1467-1478
【文献】PLOS ONE,2011, Vol.6,e21023
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N
C07K
A61K
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトソルチリンに結合する単離された抗ソルチリン抗体であって、抗ソルチリン抗体が、プログラニュリンの細胞外レベルを増加し、かつソルチリンの細胞中レベルを減少し、ソルチリンの細胞中レベルの減少がソルチリンの細胞表面レベル、ソルチリンの細胞内レベル、ソルチリンの総レベル、又はこれらの任意の組み合わせの減少である、単離された抗ソルチリン抗体
であって、
抗ソルチリン抗体がヒトソルチリンに結合することについて参照抗ソルチリン抗体と競合し、参照抗ソルチリン抗体が軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとを含み、
(a)該軽鎖可変ドメインが配列番号430のアミノ酸配列を含み、かつ該重鎖可変ドメインが配列番号431のアミノ酸配列を含むか;又は、
(b)該軽鎖可変ドメインが配列番号343のアミノ酸配列を含み、かつ該重鎖可変ドメインが配列番号342のアミノ酸配列を含む、
抗ソルチリン抗体。
【請求項2】
ソルチリン分解、ソルチリン切断、ソルチリン内在化、ソルチリン下方制御、又はこれらの任意の組み合わせを誘導する、請求項1に記載の抗ソルチリン抗体。
【請求項3】
a)1つ又は複数のタンパク質との相互作用を可能とするソルチリンの有効レベルを減少させること、b)ソルチリンの分解を誘導すること、又はこれらの両方によって、ソルチリンと1つ又は複数のタンパク質との間の相互作用を更に阻害する、請求項1又は2に記載の抗ソルチリン抗体。
【請求項4】
ソルチリンとプロ神経成長因子(pro-NGF)との間の相互作用を更に阻害する、請求項3に記載の抗ソルチリン抗体。
【請求項5】
ヒトソルチリンと、約0.005nM~約100nMの範囲の解離定数(K
D)で結合する、請求項1~4のいずれか一項に記載の抗ソルチリン抗体。
【請求項6】
ヒトソルチリン及びマウスソルチリンに特異的に結合する、請求項1~5のいずれか一項に記載の抗ソルチリン抗体。
【請求項7】
マウスソルチリンと、約0.005nM~約100nMの範囲の解離定数(K
D)で結合する、請求項6に記載の抗ソルチリン抗体。
【請求項8】
ヒト抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体、モノクローナル抗体、多価抗体、コンジュゲート抗体、又はキメラ抗体である、請求項1~7のいずれか一項に記載の抗ソルチリン抗体。
【請求項9】
第2の抗原を認識する多価抗体である、請求項1~8のいずれか一項に記載の抗ソルチリン抗体。
【請求項10】
第2の抗原が血液脳関門を通過する輸送を促進する抗原である、請求項9に記載の抗ソルチリン抗体。
【請求項11】
第2の抗原が、トランスフェリン受容体(TR)、インスリン受容体(HIR)、インスリン様成長因子受容体(IGFR)、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1及び2(LPR-1及び2)、ジフテリア毒素受容体、CRM197、TMEM30(A)、タンパク質形質導入ドメイン、TAT、Syn-B、ペネトラチン、ポリアルギニンペプチド、アンジオペプペプチド、ならびにANG1005からなる群から選択される、請求項10に記載の抗ソルチリン抗体。
【請求項12】
抗ソルチリン抗体が、ヒトソルチリン又は哺乳類ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基を含むエピトープに結合する抗体断片である、請求項1~11のいずれか一項に記載の抗ソルチリン抗体。
【請求項13】
抗体断片が、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)
2、Fv又はscFv断片である、請求項12に記載の抗ソルチリン抗体。
【請求項14】
(a)1つ又は複数のプログラニュリンの活性を誘導する;
(b)プログラニュリン又はその断片のエンドソーム性内在化を減少する;又は
(c)プログラニュリンの有効濃度を上昇させる
請求項1~13のいずれか一項に記載の抗ソルチリン抗体。
【請求項15】
細胞上に発現したソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害する、請求項1~14のいずれか一項に記載の抗ソルチリン抗体。
【請求項16】
配列番号704を含むペプチド、及び/又は配列番号:1のアミノ酸残基S59
5に結合する、請求項1~15のいずれか一項に記載の抗ソルチリン抗体。
【請求項17】
細胞上に発現したソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害しない、請求項1~14のいずれか一項に記載の抗ソルチリン抗体。
【請求項18】
軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとを含み、
(a)軽鎖可変ドメインが、配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号30のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号100のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含み、重鎖可変ドメインが、配列番号142のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号170のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び配列番号233のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含むか;又は
(b)軽鎖可変ドメインが配列番号430のアミノ酸配列を含み、かつ重鎖可変ドメインが配列番号431のアミノ酸配列を含む、
請求項1~5及び8~16のいずれか一項に記載の抗ソルチリン抗体。
【請求項19】
請求項18に記載の抗体と比較してより高い親和性を有し、請求項18に記載の抗体の1又は複数の超可変領域残基の置換を含む、請求項18に記載の抗体の親和性成熟変異体である、請求項1~5及び8~16のいずれか一項に記載の抗ソルチリン抗体。
【請求項20】
親和性成熟変異体が請求項18に記載の抗体の6以下の超可変領域残基の置換を含む、請求項19に記載の抗ソルチリン抗体。
【請求項21】
軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとを含む抗ソルチリン抗体であって、
(a)軽鎖可変ドメインが、配列番号10のアミノ酸配列又は配列番号10と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号30のアミノ酸配列又は配列番号30と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号100のアミノ酸配列又は配列番号100と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L3を含み、かつ
重鎖可変ドメインが、配列番号142のアミノ酸配列又は配列番号142と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号170のアミノ酸配列又は配列番号170と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び配列番号233のアミノ酸配列又は配列番号233と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H3を含むか;あるいは
(b)軽鎖可変ドメインが配列番号430のアミノ酸配列又は配列番号430と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ、重鎖可変ドメインが配列番号431のアミノ酸配列又は配列番号431と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、
請求項1~5及び8~16のいずれか一項に記載の抗ソルチリン抗体。
【請求項22】
軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとを含み、
(a)軽鎖可変ドメインが、配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号29のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含み、重鎖可変ドメインが、配列番号520のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号533のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び配列番号553のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含むか;又は、
(b)軽鎖可変ドメインが配列番号343のアミノ酸配列を含み、かつ重鎖可変ドメインが配列番号648のアミノ酸配列を含む、
請求項1~15の何れか一項に記載の抗ソルチリン抗体。
【請求項23】
参照抗ソルチリン抗体と比較してより高い親和性を有し、参照抗ソルチリン抗体の1又は複数の超可変領域の置換を含む、参照抗ソルチリン抗体の親和性成熟変異体、
である抗ソルチリン抗体であって、
参照抗ソルチリン抗体が軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとを含み、
(a)参照抗ソルチリン抗体の軽鎖可変ドメインが、配列番号9のアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号29のアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号55のアミノ酸配列を含むHVR-L3を含み、参照抗ソルチリン抗体の重鎖可変ドメインが、配列番号129のアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号155のアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び配列番号190のアミノ酸配列を含むHVR-H3を含むか;又は、
(b)参照抗ソルチリン抗体の軽鎖可変ドメインが配列番号343のアミノ酸配列を含み、かつ参照抗ソルチリン抗体の重鎖可変ドメインが配列番号342のアミノ酸配列を含む、
請求項1~15のいずれか一項に記載の抗ソルチリン抗体。
【請求項24】
親和性成熟変異体が参照抗ソルチリン抗体の6以下の超可変領域残基の置換を含む、
請求項23に記載の抗ソルチリン抗体。
【請求項25】
軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとを含み、
(a)軽鎖可変ドメインが、配列番号9のアミノ酸配列又は配列番号9と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L1、配列番号29のアミノ酸配列又は配列番号29と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L2、及び配列番号55のアミノ酸配列又は配列番号55と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR-L3を含み、重鎖可変ドメインが、配列番号129のアミノ酸配列又は配列番号129と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H1、配列番号155のアミノ酸配列又は配列番号155と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H2、及び配列番号190のアミノ酸配列又は配列番号190と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含むHVR-H3を含むか;又は、
(b)軽鎖可変ドメインが配列番号343のアミノ酸配列又は配列番号343と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含み、かつ重鎖可変ドメインが配列番号342のアミノ酸配列又は配列番号342と少なくとも95%の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、
請求項1~15のいずれか一項に記載の抗ソルチリン抗体。
【請求項26】
IgG1又はIgG4アイソタイプを有する、
請求項1~25のいずれか一項に記載の抗ソルチリン抗体。
【請求項27】
(a)ヒトIgG1アイソタイプを有し、Fc領域中にN297A、N297Q、D265A、L234A、L235A、C226S、C229S、P238S、E233P、L234V、P238A、A327Q、A327G、P329A、K322A、L234F、L235E、P331S、T394D、A330L、M252Y、S254T、T256E及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される残基位置での1つ又は複数のアミノ酸置換を含み、ここで残基のナンバリングは、EUナンバリングに従うものであるか;又は
(b)ヒトIgG4アイソタイプを有し、Fc領域中にE233P、F234V、L234A/F234A、L235A、G237A、E318A、S228P、L236E、S241P、L248E、T394D、M252Y、S254T、T256E、N297A、N297Q及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される残基位置での1つ以上のアミノ酸置換を含み、ここで残基のナンバリングは、EUナンバリングに従うものである、
請求項26に記載の抗ソルチリン抗体。
【請求項28】
(a)IgG1 Fc領域が、A330L、L234F、L235E、P331S及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される位置での1つ又は複数の追加のアミノ酸置換を更に含み、ここで残基のナンバリングは、EUナンバリングに従うものであるか;
(b)IgG1又はIgG4 Fc領域が、M252Y、S254T、T256E及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される位置での1つ又は複数の追加のアミノ酸置換を更に含み、ここで残基のナンバリングは、EUナンバリングに従うものであるか;又は、
(c)IgG4 Fc領域が、EUナンバリングに従うS228Pのアミノ酸置換を更に含む、
請求項27に記載の抗ソルチリン抗体。
【請求項29】
ヒトIgG1アイソタイプを有し、かつL234A、L235A、及びP331Sの残基位置にアミノ酸置換を含み、ここで残基位置はEUナンバリングに従う、
請求項26に記載の抗ソルチリン抗体。
【請求項30】
(i)配列番号430のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインと、配列番号431のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインとを含み、かつ、
(ii)ヒトIgG1アイソタイプを有する、
請求項18に記載の抗ソルチリン抗体。
【請求項31】
(i)配列番号343のアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメインと、配列番号648のアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインとを含み、かつ、
(ii)ヒトIgG1アイソタイプを有する、
請求項22に記載の抗ソルチリン抗体。
【請求項32】
残基位置L234A、L235A、及びP331Sにアミノ酸置換を含み、ここで残基位置はEUナンバリングに従う、
請求項30又は31に記載の抗ソルチリン抗体。
【請求項33】
請求項1~32のいずれか一項に記載の抗ソルチリン抗体をコードする核酸配列を含む単離された核酸。
【請求項34】
請求項33に記載の核酸を含むベクター。
【請求項35】
請求項34に記載のベクターを含む単離された宿主細胞。
【請求項36】
抗ソルチリン抗体が生産されるように
請求項35に記載の宿主細胞を培養することを含む、抗ソルチリン抗体を生産する方法。
【請求項37】
宿主細胞により生産される抗ソルチリン抗体を回収することを更に含む、
請求項36に記載の方法。
【請求項38】
請求項36又は37に記載の方法により生産される単離された抗ソルチリン抗体。
【請求項39】
請求項1~32及び38のいずれか一項に記載の抗ソルチリン抗体と薬学的に許容可能な担体とを含む薬学的組成物。
【請求項40】
請求項1~32及び38のいずれか一項に記載の抗ソルチリン抗体を含む、プログラニュリンの細胞外レベルを増大
させる、
かつ/あるいは、1つ又は複数の細胞からソルチリンの細胞中レベルを減少
させるための医薬。
【請求項41】
請求項1~32及び38のいずれか一項に記載の抗ソルチリン抗体を含む、1つ又は複数の細胞中の1つ又は複数の炎症促進性メディエータの発現を減少させるための医薬。
【請求項42】
1つ又は複数の炎症促進性メディエータが、IL-6、IL12p70、IL12p40、IL-1β、TNF-α、CXCL1、CCL2、CCL3、CCL4及びCCL5からなる群から選択される、
請求項41に記載の医薬。
【請求項43】
治療有効量の
請求項1~32及び38のいずれか一項に記載の抗ソルチリン抗体を含む、必要とする個体において疾病、障害、若しくは傷害を予防するか、疾病、障害、若しくは傷害の危険性を軽減するか、又は疾病、障害、若しくは傷害を治療するするための医薬であって、疾病、障害、又は傷害が、前頭側頭型認知症、進行性核上性麻痺、アルツハイマー病、血管性認知症、痙攣発作、網膜ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脊髄損傷、認知症、脳卒中、パーキンソン病、急性散在性脳脊髄炎、網膜変性、加齢黄斑変性症、緑内障、多発性硬化症、敗血性ショック、細菌感染症、関節炎及び変形性関節症からなる群から選択される医薬。
【請求項44】
治療有効量の
請求項1~32及び38のいずれか一項に記載の抗ソルチリン抗体を含む、必要とする個体において前頭側頭型認知症を予防するか、前頭側頭型認知症の危険性を軽減するか、又は前頭側頭型認知症を治療するための医薬。
【請求項45】
治療有効量の
請求項30~32のいずれか一項に記載の抗ソルチリン抗体を含む、
請求項44に記載の医薬。
【請求項46】
治療有効量の
請求項1~32及び38のいずれか一項に記載の抗ソルチリン抗体を含む、必要とする個体においてアルツハイマー病
、パーキンソン病、又は筋萎縮性側索硬化症を予防するか、アルツハイマー病
、パーキンソン病、又は筋萎縮性側索硬化症の危険性を軽減するか、又はアルツハイマー病
、パーキンソン病、又は筋萎縮性側索硬化症を治療するするための医薬。
【請求項47】
治療有効量の
請求項1~32及び38のいずれか一項に記載の抗ソルチリン抗体を含む、神経炎症、短い軸索伸長及び異常分岐を特徴とする軸索障害、
異常なミクログリア活性化、ならびに炎症反応のうちの1つ又は複数を阻害する、かつ/又は創傷治癒、オートファジー及び凝集タンパク質のクリアランスのうちの1つ又は複数を促進するための医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2015年4月7日に出願された米国仮特許出願第62/144,270号の利益を主張するものであり、その全体を参照により本明細書に援用する。
【0002】
ASCIIテキストファイルでの配列表の提出
ASCIIテキストファイルでの以下の提出の内容は、参照によりその全体が本明細書に援用される。コンピュータ可読形式(CRF)の配列表(ファイル名:735022000240SEQLIST.TXT、記録日:2016年4月6日、サイズ:345KB)。
【0003】
本開示は、抗ソルチリン抗体及びかかる抗体の治療的使用に関する。
【背景技術】
【0004】
ソルチリンは、I型膜貫通タンパク質であり、いくつかのリガンドの受容体として作用し、またトランスゴルジ網(TGN)からの指定積荷分子(cargo)の後期エンドソーム及びリソソームへの分解のための選別にも作用する。ソルチリンは、酵母VPS10Pと相同性のある、VPS10ファミリーの一部である大きな細胞外ドメインを有し、10枚羽根のβプロペラ構造及びシステインに富む10CCモジュールを含有する(Nykjaer,A et al.,(2012)Trends Neurosci 35:261-270、及びZheng,Y et al.,(2011)PLoS One 6:e21023)。ADAM10またはγセクレターゼ(<5%)の活性によって、ソルチリンのごく一部が放出され得る(Nykjaer,A et al.,(2012)Trends Neurosci 35:261-270、及びWillnow,TE et al.,(2011)Curr Opin Lipidol 22:79-85)。
【0005】
ソルチリンは、分泌タンパク質のプログラニュリン(PGRN)と結合し、PGRNをリソソーム分解へと標的化することから、PGRNの細胞外レベルを負に制御する(Hu,F er al.(2010)Neuron 68,654-667。これに伴い、ソルチリンの欠如は、in vivoマウスモデルとin vitroヒト細胞の両方において血漿PGRN濃度を有意に増加させる(Carrasquillo,M.M et al.,(2010)Am J Hum Genet 87,890-897、Lee,W.C et al.,(2014)23,1467-1478)。更に、ソルチリンの多型が、ヒトにおけるPGRN血清濃度と強く関連していることが示された(Carrasquillo MM e al.,2010),Am J Hum Genet.10;87(6):890-7)。
【0006】
プログラニュリン(PGRN)は、成長因子様の栄養性及び抗炎症の分泌タンパク質であり、食事誘発性肥満及びインスリン抵抗性に関与するアディポカインとしても作用する(Nguyen DA et al.,(2013)Trends in Endocrinology and Metabolism,24,597-606)。プログラニュリンの欠乏は、早期発症型の神経変性疾患である全ての遺伝型の前頭側頭型認知症(FTD)のほぼ25%を占める。PGRNにヘテロ接合性機能喪失型変異を持つ患者は、当該タンパク質の細胞外レベルが約50%減少し、例外なくFTDを発症することから、PGRNはこの疾患の原因遺伝子とされる(Baker,M et al.,(2006)Nature 442,916-919、Carecchio M et al.,(2011)J Alzheim0 ers Dis 27,781-790、Cruts,M et al.,(2008)Trends Genet 24,186-194、Galimberti,D et al.,(2010)J Alzheimers Dis 19,171-177)。加えて、PGRN変異対立遺伝子がアルツハイマー病患者で同定されている(Seelaar,H et al.,(2011).Journal of neurology,neurosurgery,and psychiatry 82,476-486)。重要なことに、PGRNは、PGRNレベルを増加させた複数の疾患モデルにおいて保護的に作用し、虚血からの行動回復を加速し(Tao,J et al.,(2012)Brain Res 1436,130-136、Egashira,Y.et al.,(2013).J Neuroinflammation 10,105)、パーキンソン病モデルにおける歩行障害を抑制し(Van Kampen,J.M et al.(2014).PLoS One 9,e97032)、筋萎縮性側索硬化症(Laird,A.S et al.,(2010).PLoS One 5,e13368.)及び関節炎(Tang,Wet al.,(2011).Science 332,478-484)のモデルにおける病状を緩和し、アルツハイマー病モデルにおける記憶障害を予防する(Minami,S.S et al.,2014).Nat Med 20,1157-1164)。
【0007】
ソルチリンはまた、プロドメインを有し、かつ典型的にアポトーシス促進性である、神経成長因子前駆体(pro-NGF)、pro-BDNF、プロニューロトロフィン-3などのプロニューロトロフィンに直接結合する。このようなプロニューロトロフィン前駆体はストレス下で放出されるが、その放出の制御、ならびに受容細胞への結合及びp75NTRと連係したアポトーシスの刺激にソルチリンが関与している(Willnow,TE et al.,(2008)Nat Rev Neurosci 9:899-909、Nykjaer,A et al.,Trends Neurosci 35:261-270、及びNykjaer,A et al.,(2004)Nature 427:843-848、Hiroko Yano et al.,(2009)J Neurosci.;29:14790-14802.Teng H.K.,et al.,J.Neurosci.25:5455-5463(2005))。ソルチリンはまた、p75NTRに直接結合する(Skeldal S et al.,(2012)J Biol Chem.;287:43798)。ソルチリンはまた、プログラニュリン結合と部分的に重複する領域でニューロテンシンに結合する(Quistgaard,EM et al.,(2009)Nat Struct Mol Biol 16:96-98、及びZheng,Y et al.,PLoS One 6:e21023)。更に、ソルチリンは、Trk受容体NTRK1、NTRK2及びNTRK3と相互作用し、その順行性軸索輸送及びシグナル伝達を制御し得る(Vaegter,CB et al.,(2011)Nat.Neurosci.14:54-61)。ソルチリンはまた、アミロイド前駆体タンパク質のプロセシング及び輸送、ならびにその結果としての異常なβアミロイドペプチドの産生と相互作用し、これを制御する(Gustafsen C et al.,(2013).J Neurosci.2;33(1):64-71。
【0008】
また、ソルチリンは、アポリポタンパク質及びリポタンパク質リパーゼに結合することが示されており、そのため、欠乏すると、肝臓からのVLDL放出が減少し、コレステロールが減少する(Willnow,TE et al.,(2011)Curr Opin Lipidol 22:79-85、Kjolby,M et al.,(2010)Cell Metab 12:213-223、Nilsson,SK et al.,(2007)Biochemistry 46:3896-3904.、Nilsson,SK et al.,(2008)J Biol Chem 283:25920-25927、及びKlinger,SC et al.,(2011)J Cell Sci 124:1095-1105)。最近では、ソルチリンは、APPに直接結合し(Gustafsen,C et al.,(2013)J.Neurosc.33:64-71)、APPプロセシング酵素BACE1にも結合する(Gustafsen,C et al.,(2013)J.Neurosc.33:64-71、及びFinan,GM et al.,J Biol Chem 286:12602-12616)ことが示唆されている。ソルチリンはまた、アポリポタンパク質E(APOE)、Aβペプチド(Carlo,AS et al.,(2013)J,Neurosc,33:358-370)及びPCSK9(Gustafsen et al,(2014)Cell Metab,19:310-318)に結合する。また、ソルチリンは、低密度リポタンパク質受容体をリソソームでの分解に導くPCSK9に結合し、その細胞外レベルを制御することにより、LDLコレステロール濃度を増加させることが示されている。(Gustafsen C et al.,(2014).Cell Metab.2014 Feb 4;19(2):310-8)。
【0009】
エンドソームなどの細胞内小胞に存在するとき、ソルチリンのアミノ末端細胞外ドメインは、小胞の積荷分子が存在する内腔側に向いている。一方、ソルチリンのカルボキシ末端にある細胞内/細胞質ドメインは、表面からの輸送及び細胞内区画内の輸送を制御する一連のアダプタータンパク質に結合する。これらには、AP2(細胞表面からのエンドサイトーシスを調節するクラスリンアダプター)及びレトロマー複合体/AP1(初期エンドソームからゴルジ体へのリサイクリングの動きを調節する)が含まれ、また、ゴルジ体から初期エンドソームへ直接移動させ、通常は、それに続くリソソームを介した分解のためのGGA(ゴルジ体局在性γ-ear含有ADPリボース化因子結合)ファミリータンパク質との相互作用を含む。したがって、ソルチリンは、その内腔ドメインでリガンドに結合することができ、更に、その行き先を決定する細胞質アダプターに結合して、プログラニュリン及び他の因子の分解などの細胞内運命を決定する。
【0010】
プログラニュリンなどのタンパク質との種々の相互作用を介して、ソルチリン及びその多数のリガンドは、種々の疾患、障害及び病態、例えば、前頭側頭型認知症、筋萎縮性側索硬化症、筋萎縮性側索硬化症-前頭側頭型認知症表現型、アルツハイマー病、パーキンソン病、うつ病、神経精神疾患、血管性認知症、痙攣発作、網膜ジストロフィー、加齢黄斑変性症、緑内障、外傷性脳損傷、老化、痙攣発作、創傷治癒、脳卒中、関節炎及びアテローム動脈硬化性血管疾患に関与することがわかっている。
【0011】
したがって、ソルチリン活性に関連する1つ以上の疾患、障害及び病態を治療するために、ソルチリンタンパク質に特異的に結合してソルチリンのそのリガンド(プログラニュリンなど)への結合を遮断するか、またはそうでなければリガンドの有効濃度を調節する、治療用抗体が必要とされている。
【0012】
本明細書で引用される全ての参考文献は、特許出願及び公報を含め、その全体が参照により本明細書に援用される。
【発明の概要】
【0013】
本開示は、概して、抗ソルチリン抗体及びかかる抗体を使用する方法を目的とする。本明細書で提供される方法は、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、痙攣発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、脊髄損傷、長期抑圧、アテローム動脈硬化性血管疾患、正常老化の望ましくない症状、認知症、混合型認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病、正常圧水頭症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウオパチー病、脳卒中、急性外傷、慢性外傷、狼瘡、急性及び慢性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、マラリア、本態性振戦、中枢神経系狼瘡、ベーチェット病、パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症、シャイ・ドレーガー症候群、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核神経節変性症、急性散在性脳脊髄炎、肉芽腫性疾患、サルコイドーシス、老人病、加齢黄斑変性症、緑内障、網膜色素変性症、網膜変性、気道感染症、敗血症、眼感染症、全身感染、炎症性疾患、関節炎、多発性硬化症、代謝疾患、肥満、インスリン抵抗性、2型糖尿病、組織もしくは血管損傷、外傷、椎間板変性または1つ以上の正常老化の望ましくない症状を有する個体を、予防し、危険性を低減させ、または治療するのに有用である。
【0014】
本開示のある特定の態様は、少なくとも部分的には、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を遮断することができる抗ソルチリン抗体(例えば、実施例4参照)、培地中の細胞及びアルツハイマー病のマウスモデルの脳中の細胞から分泌されるプログラニュリンの細胞外レベルを増加させることが可能な抗ソルチリン抗体(例えば、実施例5参照)、ヒト初代単球のソルチリンの細胞中レベルを減少させることが可能な抗ソルチリン抗体(例えば、実施例25参照)、ならびにin vivoでプログラニュリンの細胞中レベルを増加させることが可能な抗ソルチリン抗体(例えば、実施例26参照)の特定に基づく。驚くべきことに、あるクラスの抗体は、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を遮断できないまま、プログラニュリンの細胞外レベルを増加させることが可能であることを示し(例えば、抗体S-2、S-15及びS-22)、一方、第2のクラスの抗体は、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用の遮断と、プログラニュリンの細胞外レベルの増加の両方が可能であることを示した(例えば、抗体S-8、S-49及びS-60)。更に、プログラニュリンの細胞外レベルを増加させることが可能な抗ソルチリン抗体(例えば、抗体S-2、S-8、S-15、S-22、S-49及びS-60)は、驚くべきことに、ソルチリンの細胞中レベル、例えば、ソルチリンの細胞表面レベルを減少させることもわかった(例えば、実施例5参照)。その上、ソルチリンの細胞中レベルは、プログラニュリンの細胞中レベルの増加と強い逆の相関があることが示された(例えば、
図10B~10E及び
図23B及び23C参照)。プログラニュリンの細胞外レベルを増加させることが可能な抗ソルチリン抗体はまた、ソルチリンへのpro-NGF結合を遮断することができる(例えば、実施例6参照)。本開示の他の態様は、少なくとも部分的には、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を遮断し、ソルチリンの細胞中レベルを減少させることなく、プログラニュリンの細胞外レベルを増加させることが可能な抗ソルチリン抗体(例えば、抗体S-30及び実施例30)の特定に基づく。本開示の他の態様は、少なくとも部分的には、プログラニュリンの細胞外レベルの増加またはソルチリンの細胞中レベルの減少をもたらすことなく、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を遮断する抗ソルチリン抗体(例えば、抗体S-5及びS-64及び実施例5)の特定に基づく。
【0015】
したがって、本開示のある特定の態様は、単離された(例えば、モノクローナル)抗ソルチリン抗体に関し、ここで、抗ソルチリン抗体は、プログラニュリンの細胞外レベルの増加、プログラニュリンの細胞中レベルの増加、ソルチリンの細胞中レベルの減少、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用の阻害及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される特性を有する。
【0016】
前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗体は、ソルチリンの細胞表面レベルを減少させ、ソルチリンの細胞内レベルを減少させ、ソルチリンの総レベルを減少させ、またはこれらの任意の組み合わせを減少させる。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ソルチリン分解、ソルチリン切断、ソルチリン内在化、ソルチリン下方制御またはこれらの任意の組み合わせを誘導する。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞中レベルを減少させ、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害しない。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞中レベルを減少させ、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害する。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞中レベルを減少させ、プログラニュリンの細胞中レベルを増加させる。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、プログラニュリンの細胞中レベルを増加させ、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害しない。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害し、プログラニュリンの細胞中レベルを増加させる。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、in vivoでプログラニュリンのレベルを増加させる。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞中レベルを減少させることなく、in vivoでプログラニュリンのレベルを増加させる。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、脳において、プログラニュリンのレベルを増加させる。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、血液において、プログラニュリンの細胞中レベルを増加させる。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、1つ以上の末梢器官において、プログラニュリンの細胞中レベルを増加させる。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、脳、血液、1つ以上の末梢器官またはこれらの任意の組み合わせにおいて、プログラニュリンのレベルを増加させる。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、in vivoでソルチリンの細胞中レベルを減少させる。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、脳において、ソルチリンの細胞中レベルを減少させる。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、1つ以上の末梢器官において、ソルチリンの細胞中レベルを減少させる。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、脳、1つ以上の末梢器官またはこれらの任意の組み合わせにおいて、ソルチリンの細胞中レベルを減少させる。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害し、ソルチリンの細胞中レベルを減少させない。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、プログラニュリンの細胞中レベルを増加させ、ソルチリンの細胞中レベルを減少させない。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、プログラニュリンの細胞外レベルを増加させ、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害しない。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、プログラニュリンの細胞外レベルを増加させ、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害する。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞中レベルを減少させ、プログラニュリンの細胞外レベルを増加させ、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害しない。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞中レベルを減少させ、プログラニュリンの細胞外レベルを増加させ、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害する。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞中レベルを減少させ、プログラニュリンの細胞中レベルを増加させ、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害しない。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞中レベルを減少させ、
プログラニュリンの細胞中レベルを増加させ、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害する。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞中レベルを減少させ、プログラニュリンの細胞外レベルを増加させ、プログラニュリンの細胞中レベルを増加させ、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害しない。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞中レベルを減少させ、プログラニュリンの細胞外レベルを増加させ、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害し、プログラニュリンの細胞中レベルを増加させない。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞中レベルを減少させ、プログラニュリンの細胞中レベルを増加させ、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害し、プログラニュリンの細胞外レベルを増加させない。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、プログラニュリンの細胞中レベルを増加させ、プログラニュリンの細胞外レベルを増加させ、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害し、ソルチリンの細胞中レベルを減少させない。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞中レベルを減少させ、プログラニュリンの細胞外レベルを増加させ、プログラニュリンの細胞中レベルを増加させず、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害しない。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞中レベルを減少させ、プログラニュリンの細胞中レベルを増加させ、プログラニュリンの細胞外レベルを増加させ、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害する。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、プログラニュリンの細胞中レベル、プログラニュリンの細胞外レベル、ソルチリンの細胞中レベルまたはこれらの任意の組み合わせは、in vitroアッセイを利用して測定される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、プログラニュリンの細胞中レベル、プログラニュリンの細胞外レベル、ソルチリンの細胞中レベルまたはこれらの任意の組み合わせは、細胞アッセイを利用して測定される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、プログラニュリンの細胞中レベル、プログラニュリンの細胞外レベル、ソルチリンの細胞中レベルまたはこれらの任意の組み合わせは、in vivoモデルを利用して測定される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンと神経成長因子前駆体(pro-NGF)との間の相互作用を更に阻害する。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンと、プロニューロトロフィン、ニューロトロフィン、神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子前駆体(pro-BDNF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、プロニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、ニューロトロフィン-4/5、ニューロテンシン、ニューロテンシン、p75、ソルチリンプロペプチド(Sort-pro)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、Aβペプチド、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、アポリポタンパク質E(APOE)、PCSK9及び受容体関連タンパク質(RAP)からなる群から選択される1つ以上のタンパク質との間の相互作用を更に阻害する。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、a)1つ以上のタンパク質との相互作用に利用可能なソルチリンの有効レベルを減少させること、b)ソルチリンの分解を誘導すること、またはその両方によって、ソルチリンと1つ以上のタンパク質との間の相互作用を更に阻害する。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、PCSK9の細胞分泌、Aβペプチド産生またはその両方を阻害する。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリン、マウスソルチリンまたはその両方に特異的に結合する。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ヒト抗体、ヒト化抗体、二重特異性抗体、モノクローナル抗体、多価抗体、コンジュゲート抗体またはキメラ抗体である。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、第1の抗原及び第2の抗原を認識する二重特異性抗体である。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、第1の抗原はソルチリンであり、第2の抗原は血液脳関門を通過する輸送を促進する抗原である。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、第2の抗原は、ソルチリン、トランスフェリン受容体(TR)、インスリン受容体(HIR)、インスリン様成長因子受容体(IGFR)、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1及び2(LPR-1及び2)、ジフテリア毒素受容体、CRM197、ラマ単一ドメイン抗体、TMEM30(A)、タンパク質形質導入ドメイン、TAT、Syn-B、ペネトラチン、ポリアルギニンペプチド、アンジオペプペプチド、ベイシジン、Glut1ならびにCD98hcならびにANG1005からなる群から選択される。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンまたは哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基を含むエピトープに結合する抗体断片である。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、断片は、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、FvまたはscFv断片である。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、(a)1つ以上のプログラニュリン活性を誘発すること、(b)プログラニュリンまたはその断片のエンドソーム内在化を減少させること、及び(c)プログラニュリンの有効濃度を増加させることからなる群から選択される1つ以上の活性を更に含む。
【0017】
前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、不連続なソルチリンエピトープに結合する。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、不連続なソルチリンエピトープは、2つ以上のペプチド、3つ以上のペプチド、4つ以上のペプチド、5つ以上のペプチド、6つ以上のペプチド、7つ以上のペプチド、8つ以上のペプチド、9つ以上のペプチド、または10以上のペプチドを含む。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、ペプチドのそれぞれは、配列番号1のアミノ酸配列の5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10以上、11以上、12以上、13以上、14以上、15以上、16以上、17以上、18以上、19以上、20以上、21以上、22以上、23以上、24以上、25以上、26以上、27以上、28以上、29以上もしくは30以上のアミノ酸残基、または配列番号1のアミノ酸配列に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上の5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10以上、11以上、12以上、13以上、14以上、15以上、16以上、17以上、18以上、19以上、20以上、21以上、22以上、23以上、24以上、25以上、26以上、27以上、28以上、29以上もしくは30以上のアミノ酸残基を含む。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの高次構造エピトープに結合する。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、i.配列番号1のアミノ酸残基740~749、または配列番号1のアミノ酸残基740~749に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基、ii.配列番号1のアミノ酸残基623~632、または配列番号1のアミノ酸残基623~632に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基、iii.配列番号1のアミノ酸残基429~443、または配列番号1のアミノ酸残基429~443に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基、iv.配列番号1のアミノ酸残基367~391、または配列番号1のアミノ酸残基367~391に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基、v.配列番号1のアミノ酸残基314~338、または配列番号1のアミノ酸残基314~338に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基、vi.配列番号1のアミノ酸残基297~317、または配列番号1のアミノ酸残基297~317に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基、vii.配列番号1のアミノ酸残基237~260、または配列番号1のアミノ酸残基237~260に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基、viii.配列番号1のアミノ酸残基237~260及び297~317、または配列番号1のアミノ酸残基237~260及び297~317に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基、ix.配列番号1のアミノ酸残基237~247、または配列番号1のアミノ酸残基237~247に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基、x.配列番号1のアミノ酸残基237~247及び314~338、または配列番号1のアミノ酸残基237~247及び314~338に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基、xi.配列番号1のアミノ酸残基233~243、または配列番号1のアミノ酸残基233~243に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基、xii.配列番号1のアミノ酸残基212~221、または配列番号1のアミノ酸残基212~221に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基、xiii.配列番号1のアミノ酸残基207~227、または配列番号1のアミノ酸残基207~227に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基、xiv.配列番号1のアミノ酸残基207~227及び237~260、または配列番号1のアミノ酸残基207~227及び237~260に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基、xv.配列番号1のアミノ酸残基207~231、または配列番号1のアミノ酸残基207~231に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基、xvi.配列番号1のアミノ酸残基175~181、または配列番号1のアミノ酸残基175~181に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基、ならびにxvii.配列番号1のアミノ酸残基131~138、または配列番号1のアミノ酸残基131~138に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基からなる群から選択されるアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、配列番号1のH131、V132、P133、L134、V135、I136、M137、T138、T210、T218、Y222、S223、S227、S242、K243、K248、K254、S305、R311、S316、R325、S379、R382、Y386及びS595からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸残基、または配列番号1のH131、V132、P133、L134、V135、I136、M137、T138、T210、T218、Y222、S223、S227、S242、K243、K248、K254、S305、R311、S316、R325、S379、R382、Y386及びS595からなる群から選択されるアミノ酸残基に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上の1つ以上のアミノ酸残基に結合する。
【0018】
前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、S-5、S-6、S-8、S-45、S-49、S-60、S-63、S-64、S-65、S-72及びS-83からなる群から選択される抗体の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つのHVRを含む。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、(a)配列番号6、9~12、14及び15からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号26、27、29、30及び32からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L2、(c)配列番号45、46、48、85、89、100、103~105、112及び123からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3、(d)配列番号126、127、136、140、142、145及び148からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H1、(e)配列番号151、152、163、166、169、170、173及び175からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H2、または(f)配列番号182、183、185、219、223、233、236、237、244及び254からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインを含み、ここで、軽鎖可変ドメインは、(a)配列番号6、9~12、14及び15からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号6、9~12、14及び15からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-L1と、(b)配列番号26、27、29、30及び32からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号26、27、29、30及び32からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-L2と、(c)配列番号45、46、48、85、89、100、103~105、112及び123からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号45、46、48、85、89、100、103~105、112及び123からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-L3とを含み、重鎖可変ドメインは、(a)配列番号126、127、136、140、142、145及び148からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号126、127、136、140、142、145及び148からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-H1と、(b)配列番号151、152、163、166、169、170、173及び175からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号151、152、163、166、169、170、173及び175からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-H2と、(c)配列番号182、183、185、219、223、233、236、237、244及び254からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号182、183、185、219、223、233、236、237、244及び254からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-H3とを含む。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、配列番号324、326、330、401、409、430、436、438、439、453及び474からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、ならびに/または配列番号325、327、331、402、410、431、437、440、454及び475からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む。
【0019】
前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、S-2、S-14、S-15、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-29、S-51、S57、S-61及びS-82からなる群から選択される抗体の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つのHVRを含む。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、(a)配列番号7~10、13及び14からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号26~31及び33~35からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L2、(c)配列番号42、54、55、58、59、60、61、62、69、91、97、101及び122からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3、(d)配列番号126、129、130、135、140、142及び147からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H1、(e)配列番号150、155~158、162、166、169及び173からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H2、または(f)配列番号180、190、193~197、203、225、231、234及び253からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインを含み、ここで、軽鎖可変ドメインは、(a)配列番号7~10、13及び14からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号7~10、13及び14からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-L1と、(b)配列番号26~31及び33~35からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号26~31及び33~35からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-L2と、(c)配列番号42、54、55、58、59、60、61、62、69、91、97、101及び122からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号42、54、55、58、59、60、61、62、69、91、97、101及び122からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-L3とを含み、重鎖可変ドメインは、(a)配列番号126、129、130、135、140、142及び147からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号126、129、130、135、140、142及び147からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-H1と、(b)配列番号150、155~158、162、166、169及び173からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号150、155~158、162、166、169及び173からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-H2と、(c)配列番号180、190、193~197、203、225、231、234及び253からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号180、190、193~197、203、225、231、234及び253からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-H3とを含む。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、配列番号319、341、343、348、350、352、354、356、370、413、425、430及び472からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、ならびに/または配列番号320、342、349、351、353、355、357、369、414、426、431及び473からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む。
【0020】
前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、S-5、S-30、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8及びS-60-9からなる群から選択される抗体の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つのHVRを含む。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、(a)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号30のアミノ酸配列を含むHVR-L2、(c)配列番号45、70及び100からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3、(d)配列番号126、136及び142からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H1、(e)配列番号151、163及び170からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H2、または(f)配列番号182、204及び233からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインを含み、ここで、軽鎖可変ドメインは、(a)配列番号10のアミノ酸配列、または配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-L1と、(b)配列番号30のアミノ酸配列、または配列番号30のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-L2と、(c)配列番号45、70及び100からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号45、70及び100からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-L3とを含み、重鎖可変ドメインは、(a)配列番号126、136及び142からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号126、136及び142からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-H1と、(b)配列番号151、163及び170からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号151、163及び170からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-H2と、(c)配列番号182、204及び233からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号182、204及び233からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-H3とを含む。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、配列番号324、371及び430からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む軽鎖可変ドメイン、ならびに/または配列番号325、372及び431からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む重鎖可変ドメインを含む。
【0021】
前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインを含み、ここで、軽鎖可変ドメインは、(a)配列番号6~16、20~22及び24~25からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号6~16、20~22及び24~25からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-L1と、(b)配列番号26~40からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号26~40からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-L2と、(c)配列番号41~50、52、54~56、58~62、64~66、68~70、72、74、79~80、82~85、88~91、95、97~101、103~107、109、111~116、118及び121~125からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号41~50、52、54~56、58~62、64~66、68~70、72、74、79~80、82~85、88~91、95、97~101、103~107、109、111~116、118及び121~125からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-L3とを含み、重鎖可変ドメインは、(a)配列番号126~127、129~130、133~140、142、144~145及び147~149からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号126~127、129~130、133~140、142、144~145及び147~149からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-H1と、(b)配列番号150~153、155~158、160~166、169~175及び177~178からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号150~153、155~158、160~166、169~175及び177~178からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-H2と、(c)配列番号179~186、188、190~191、193~197、199~201、203~204、206、208、213~214、216~219、222~225、229、231~234、236~239、241、243~247、249及び252~256からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号179~186、188、190~191、193~197、199~201、203~204、206、208、213~214、216~219、222~225、229、231~234、236~239、241、243~247、249及び252~256からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-H3とを含む。
【0022】
前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンへの結合について、S-6、S-8、S-49、S-60、S-63、S-72、S-83及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上の抗体と競合する。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンへの結合について、S-5、S-45、S-64、S-65及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上の抗体と競合する。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンへの結合について、S-5、S-30、S-60及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上の抗体と競合する。
【0023】
本開示の他の態様は、単離された(例えば、モノクローナル)抗ソルチリン抗体に関し、ここで、抗ソルチリン抗体は、S-1、S-2、S-3、S-4、S-5、S-6、S-7、S-8、S-9、S-10、S-12、S-14、S-15、S-16、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-24、S-25、S-26、S-28、S-29、S-30、S-32、S-34、S-39、S-40、S-42、S-43、S-44、S-45、S-48、S-49、S-50、S-51、S-55、S-57、S-58、S-59、S-60、S-61、S-63、S-64、S-65、S-66、S-67、S-69、S-71、S-72、S-73、S-74、S-75、S-76、S-78、S-81、S-82、S-83、S-84及びS-85からなる群から選択される抗体の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つのHVRを含む。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、(a)配列番号6~16、20~22及び24~25からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号26~40からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L2、(c)配列番号41~50、52、54~56、58~62、64~66、68~70、72、74、79~80、82~85、88~91、95、97~101、103~107、109、111~116、118及び121~125からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3、(d)配列番号126~127、129~130、133~140、142、144~145及び147~149からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H1、(e)配列番号150~153、155~158、160~166、169~175及び177~178からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H2、または(f)配列番号179~186、188、190~191、193~197、199~201、203~204、206、208、213~214、216~219、222~225、229、231~234、236~239、241、243~247、249及び252~256からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインを含み、ここで、軽鎖可変ドメインは、(a)配列番号6~16、20~22及び24~25からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号6~16、20~22及び24~25からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-L1と、(b)配列番号26~40からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号26~40からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-L2と、(c)配列番号41~50、52、54~56、58~62、64~66、68~70、72、74、79~80、82~85、88~91、95、97~101、103~107、109、111~116、118及び121~125からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号41~50、52、54~56、58~62、64~66、68~70、72、74、79~80、82~85、88~91、95、97~101、103~107、109、111~116、118及び121~125からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-L3とを含み、重鎖可変ドメインは、(a)配列番号126~127、129~130、133~140、142、144~145及び147~149からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号126~127、129~130、133~140、142、144~145及び147~149からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-H1と、(b)配列番号150~153、155~158、160~166、169~175及び177~178からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号150~153、155~158、160~166、169~175及び177~178からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-H2と、(c)配列番号179~186、188、190~191、193~197、199~201、203~204、206、208、213~214、216~219、222~225、229、231~234、236~239、241、243~247、249及び252~256からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号179~186、188、190~191、193~197、199~201、203~204、206、208、213~214、216~219、222~225、229、231~234、236~239、241、243~247、249及び252~256からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-H3とを含む。本開示の他の態様は、単離された(例えば、モノクローナル)抗ソルチリン抗体に関し、ここで、抗ソルチリン抗体は、配列番号317~334、337~338、341~345、348~357、360~365、368~372、375~376、379~380、389~392、395~402、407~414、421~422、425~433、436~444、447~448、451~461、464~465及び470~479からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、軽鎖可変ドメイン及び/または重鎖可変ドメインを含む。
【0024】
本開示の他の態様は、単離された(例えば、モノクローナル)抗ソルチリン抗体に関し、ここで、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンへの結合について、S-2、S-16、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-28、S-29、S-82及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上の抗体と競合する。本開示の他の態様は、単離された(例えば、モノクローナル)抗ソルチリン抗体に関し、ここで、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンへの結合について、S-1、S-3、S-4、S-6、S-7、S-9、S-10、S-14、S-15、S-26、S-32、S-48、S-51、S-55、S57、S-58、S-59、S-61、S-69、S-71、S-73、S-74、S-75、S-85及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上の抗体と競合する。本開示の他の態様は、単離された(例えば、モノクローナル)抗ソルチリン抗体に関し、ここで、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンへの結合について、S-5、S-12、S-24、S-25、S-30、S-34、S-39、S-40、S-42、S-43、S-44、S-45、S-60、S-63、S-64、S-65、S-66、S-67、S-72、S-76、S-78、S-81、S-83、S-84及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上の抗体と競合する。本開示の他の態様は、単離された(例えば、モノクローナル)抗ソルチリン抗体に関し、ここで、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンへの結合について、S-8、S-49、S-50及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上の抗体と競合する。本開示の他の態様は、S-1、S-2、S-3、S-4、S-5、S-6、S-7、S-8、S-9、S-10、S-12、S-14、S-15、S-16、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-24、S-25、S-26、S-28、S-29、S-30、S-32、S-34、S-39、S-40、S-42、S-43、S-44、S-45、S-48、S-49、S-50、S-51、S-55、S-57、S-58、S-59、S-60、S-61、S-63、S-64、S-65、S-66、S-67、S-69、S-71、S-72、S-73、S-74、S-75、S-76、S-78、S-81、S-82、S-83、S-84及びS-85からなる群から選択される抗体と同じソルチリンエピトープに本質的に結合する、単離された(例えば、モノクローナル)抗ソルチリン抗体に関する。
【0025】
本開示の他の態様は、単離された(例えば、モノクローナル)抗ソルチリン抗体に関し、ここで、抗ソルチリン抗体は、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインを含み、ここで、軽鎖可変ドメインは、(a)配列番号6~16、20~22及び24~25からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号6~16、20~22及び24~25からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-L1と、(b)配列番号26~40からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号26~40からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-L2と、(c)配列番号41~50、52、54~56、58~62、64~66、68~70、72、74、79~80、82~85、88~91、95、97~101、103~107、109、111~116、118及び121~125からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号41~50、52、54~56、58~62、64~66、68~70、72、74、79~80、82~85、88~91、95、97~101、103~107、109、111~116、118及び121~125からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-L3とを含み、あるいは重鎖可変ドメインは、(a)配列番号126~127、129~130、133~140、142、144~145及び147~149からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号126~127、129~130、133~140、142、144~145及び147~149からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-H1と、(b)配列番号150~153、155~158、160~166、169~175及び177~178からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号150~153、155~158、160~166、169~175及び177~178からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-H2と、(c)配列番号179~186、188、190~191、193~197、199~201、203~204、206、208、213~214、216~219、222~225、229、231~234、236~239、241、243~247、249及び252~256からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号179~186、188、190~191、193~197、199~201、203~204、206、208、213~214、216~219、222~225、229、231~234、236~239、241、243~247、249及び252~256からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-H3とを含む。
【0026】
本開示の他の態様は、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害し、プログラニュリンのレベルを増加させ、ソルチリンの細胞中レベルを減少させる、単離された(例えば、モノクローナル)抗ソルチリン抗体に関し、ここで、抗ソルチリン抗体は、S-8、S-49及びS-60からなる群から選択される抗体の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗体は、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインを含み、ここで、軽鎖可変ドメインは、(a)配列番号11のアミノ酸配列を含むHVR-L1と、(b)配列番号26のアミノ酸配列を含むと、(c)配列番号48のアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含み、重鎖可変ドメインは、(a)配列番号127のアミノ酸配列を含むHVR-H1と、(b)配列番号152のアミノ酸配列を含むHVR-H2と、(c)配列番号185のアミノ酸配列を含むHVR-H3とを含む。いくつかの実施形態において、抗体は、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインを含み、ここで、軽鎖可変ドメインは、(a)配列番号6のアミノ酸配列を含むHVR-L1と、(b)配列番号26のアミノ酸配列を含むと、(c)配列番号89のアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含み、重鎖可変ドメインは、(a)配列番号140のアミノ酸配列を含むHVR-H1と、(b)配列番号166のアミノ酸配列を含むHVR-H2と、(c)配列番号223のアミノ酸配列を含むHVR-H3とを含む。いくつかの実施形態において、抗体は、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインを含み、ここで、軽鎖可変ドメインは、(a)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L1と、(b)配列番号30のアミノ酸配列を含むと、(c)配列番号100のアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含み、重鎖可変ドメインは、(a)配列番号142のアミノ酸配列を含むHVR-H1と、(b)配列番号147のアミノ酸配列を含むHVR-H2と、(c)配列番号233のアミノ酸配列を含むHVR-H3とを含む。本開示の他の態様は、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害し、プログラニュリンのレベルを増加させ、ソルチリンの細胞中レベルを減少させる、単離された(例えば、モノクローナル)抗ソルチリン抗体に関し、ここで、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンへの結合について、S-8、S-49、S-60及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上の抗体と競合する。本開示の他の態様は、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害し、プログラニュリンのレベルを増加させ、ソルチリンの細胞中レベルを減少させる、単離された(例えば、モノクローナル)抗ソルチリン抗体に関し、ここで、抗ソルチリン抗体は、i.配列番号1のアミノ酸残基429~443、または配列番号1のアミノ酸残基429~443に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基、ii.配列番号1のアミノ酸残基232~243、または配列番号1のアミノ酸残基232~243に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基、及びiii.配列番号1のアミノ酸残基207~231、または配列番号1のアミノ酸残基207~231に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基からなる群から選択されるアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。
【0027】
本開示の他の態様は、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害することなく、プログラニュリンのレベルを増加させ、ソルチリンの細胞中レベルを減少させる、単離された(例えば、モノクローナル)抗ソルチリン抗体に関し、ここで、抗ソルチリン抗体は、S-2、S-19及びS-22からなる群から選択される抗体の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗体は、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインを含み、ここで、軽鎖可変ドメインは、(a)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR-L1と、(b)配列番号27のアミノ酸配列を含むと、(c)配列番号42のアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含み、重鎖可変ドメインは、(a)配列番号126のアミノ酸配列を含むHVR-H1と、(b)配列番号150のアミノ酸配列を含むHVR-H2と、(c)配列番号180のアミノ酸配列を含むHVR-H3とを含む。いくつかの実施形態において、抗体は、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインを含み、ここで、軽鎖可変ドメインは、(a)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR-L1と、(b)配列番号35のアミノ酸配列を含むと、(c)配列番号59のアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含み、重鎖可変ドメインは、(a)配列番号130のアミノ酸配列を含むHVR-H1と、(b)配列番号158のアミノ酸配列を含むHVR-H2と、(c)配列番号194のアミノ酸配列を含むHVR-H3とを含む。いくつかの実施形態において、抗体は、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインを含み、ここで、軽鎖可変ドメインは、(a)配列番号7のアミノ酸配列を含むHVR-L1と、(b)配列番号27のアミノ酸配列を含むと、(c)配列番号61のアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含み、重鎖可変ドメインは、(a)配列番号130のアミノ酸配列を含むHVR-H1と、(b)配列番号157のアミノ酸配列を含むHVR-H2と、(c)配列番号196のアミノ酸配列を含むHVR-H3とを含む。本開示の他の態様は、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害することなく、プログラニュリンのレベルを増加させ、ソルチリンの細胞中レベルを減少させる、単離された(例えば、モノクローナル)抗ソルチリン抗体に関し、ここで、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンへの結合について、S-2、S-19、S-22及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上の抗体と競合する。本開示の他の態様は、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害することなく、プログラニュリンのレベルを増加させ、ソルチリンの細胞中レベルを減少させる、単離された(例えば、モノクローナル)抗ソルチリン抗体に関し、ここで、抗ソルチリン抗体は、i.配列番号1のアミノ酸残基237~260及び297~317、または配列番号1のアミノ酸残基237~260及び297~317に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基、ならびにii.配列番号1のアミノ酸残基207~227及び237~260、または配列番号1のアミノ酸残基207~227及び237~260に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基からなる群から選択されるアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。
【0028】
本開示の他の態様は、プログラニュリンのレベルを増加させることなく、かつソルチリンの細胞中レベルを減少させることなく、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害する、単離された(例えば、モノクローナル)抗ソルチリン抗体に関し、ここで、抗ソルチリン抗体は、S-5及びS-64からなる群から選択される抗体の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗体は、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインを含み、ここで、軽鎖可変ドメインは、(a)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L1と、(b)配列番号30のアミノ酸配列を含むと、(c)配列番号45のアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含み、重鎖可変ドメインは、(a)配列番号126のアミノ酸配列を含むHVR-H1と、(b)配列番号151のアミノ酸配列を含むHVR-H2と、(c)配列番号182のアミノ酸配列を含むHVR-H3とを含む。いくつかの実施形態において、抗体は、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインを含み、ここで、軽鎖可変ドメインは、(a)配列番号15のアミノ酸配列を含むHVR-L1と、(b)配列番号27のアミノ酸配列を含むと、(c)配列番号104のアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含み、重鎖可変ドメインは、(a)配列番号142のアミノ酸配列を含むHVR-H1と、(b)配列番号169のアミノ酸配列を含むHVR-H2と、(c)配列番号236のアミノ酸配列を含むHVR-H3とを含む。本開示の他の態様は、プログラニュリンのレベルを増加させることなく、かつソルチリンの細胞中レベルを減少させることなく、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害する、単離された(例えば、モノクローナル)抗ソルチリン抗体に関し、ここで、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンへの結合について、S-5、S-64及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上の抗体と競合する。
【0029】
本開示の他の態様は、ソルチリンの細胞中レベルを減少させることなく、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害し、プログラニュリンのレベルを増加させる、単離された(例えば、モノクローナル)抗ソルチリン抗体に関し、ここで、抗ソルチリン抗体は、抗体S-30の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、抗体は、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインを含み、ここで、軽鎖可変ドメインは、(a)配列番号10のアミノ酸配列を含むHVR-L1と、(b)配列番号30のアミノ酸配列を含むと、(c)配列番号70のアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含み、重鎖可変ドメインは、(a)配列番号136のアミノ酸配列を含むHVR-H1と、(b)配列番号163のアミノ酸配列を含むHVR-H2と、(c)配列番号204のアミノ酸配列を含むHVR-H3とを含む。本開示の他の態様は、ソルチリンの細胞中レベルを減少させることなく、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害し、プログラニュリンのレベルを増加させる、単離された(例えば、モノクローナル)抗ソルチリン抗体に関し、ここで、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンへの結合について、抗体S-30と競合する。
【0030】
本開示の他の態様は、単離された(例えば、モノクローナル)抗ソルチリン抗体に関し、ここで、抗ソルチリン抗体は、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインを含み、ここで、軽鎖可変ドメインは、(a)RASQSISSYLN(配列番号7)のアミノ酸配列を含むHVR-L1と、(b)AASSLQS(配列番号27)のアミノ酸配列を含むHVR-L2と、(c)QQSDVSPIT(配列番号42)のアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含み、かつ/または重鎖可変ドメインは、(a)YTFX1X2YX3MX4(配列中、X1はT、G、V、P、L、F、AまたはRであり、X2はG、AまたはSであり、X3はY、MまたはLであり、X4はHまたはWである)(配列番号480)のアミノ酸配列を含むHVR-H1と、(b)X1X2X3PX4X5GX6TX7YAQKFQG(配列中、X1はW、IまたはGであり、X2はI、VまたはTであり、X3はN、GまたはLであり、X4はN、S、VまたはMであり、X5はS、G、WまたはQであり、X6はG、F、A、Y、S、NまたはRであり、X7はN、R、SまたはMである)(配列番号481)のアミノ酸配列を含むHVR-H2と、(c)ARGKRSSGWYEGYGMDV(配列番号180)のアミノ酸配列を含むHVR-H3とを含む。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、(i)S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14及びS-2-15からなる群から選択される抗体に由来するHVR-L1配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-L1、(ii)S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14及びS-2-15からなる群から選択される抗体に由来するHVR-L2配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-L2、(iii)S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14及びS-2-15からなる群から選択される抗体に由来するHVR-L3配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-L3、(iv)S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14及びS-2-15からなる群から選択される抗体に由来するHVR-H1配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-H1、(v)S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14及びS-2-15からなる群から選択される抗体に由来するHVR-H2配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-H2、ならびに(vi)S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14及びS-2-15からなる群から選択される抗体に由来するHVR-H3配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される、少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つのHVRを有する。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14及びS-2-15からなる群から選択される抗体に由来する抗体配列のうちのいずれか1つの軽鎖可変領域、ならびに/またはS-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14及びS-2-15からなる群から選択される抗体に由来する抗体配列のうちのいずれか1つの重鎖可変領域を含む。本開示の他の態様は、単離された(例えば、モノクローナル)抗ソルチリン抗体に関し、ここで、抗ソルチリン抗体は、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインを含み、ここで、軽鎖可変ドメインは、(a)RASQSX1X2SNLA(配列中、X1はVまたはIであり、X2はSまたはGである)(配列番号508)のアミノ酸配列を含むHVR-L1と、(b)GASTRAT(配列番号29)のアミノ酸配列を含むHVR-L2と、(c)QQARLGPWT(配列番号55)のアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含み、かつ/または重鎖可変ドメインは、(a)YTX1X2X3X4X5X6S(配列中、X1はFまたはLであり、X2はTまたはAであり、X3はSまたはKであり、X4はY、T、R、L、T、G、QまたはHであり、X5はY、TまたはLであり、X6はMまたはIである)(配列番号509)のアミノ酸配列を含むHVR-H1と、(b)X1INPx2GGX3X4SYAX5X6FX7G(配列中、X1はIまたはVであり、X2はS、W、Y、V、F、LまたはIであり、X3はSまたはTであり、X4はTまたはAであり、X5はQまたはRであり、X6はKまたはRであり、X7はQまたはRである)(配列番号510)のアミノ酸配列を含むHVR-H2と、(c)X1RDPX2GX3X4X5X6X7PX8X9RX10X11X12GX13DV(配列中、X1はA、VまたはTであり、X2はS、FまたはGであり、X3はIまたはAであり、X4はAまたはGであり、X5はA、LまたはVであり、X6はA、LまたはPであり、X7はG、FまたはYであり、X8はA、GまたはFであり、X9はS、GまたはAであり、X10はY、G、P、HまたはSであり、X11はYまたはNであり、X12はY、L、QまたはRであり、X13はMまたはLである)(配列番号511)のアミノ酸配列を含むHVR-H3とを含む。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、(i)S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15及びS-15-16からなる群から選択される抗体に由来するHVR-L1配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-L1、(ii)S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15及びS-15-16からなる群から選択される抗体に由来するHVR-L2配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-L2、(iii)S-15、
S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15及びS-15-16からなる群から選択される抗体に由来するHVR-L3配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-L3、(iv)S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15及びS-15-16からなる群から選択される抗体に由来するHVR-H1配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-H1、(v)S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15及びS-15-16からなる群から選択される抗体に由来するHVR-H2配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-H2、ならびに(vi)S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15及びS-15-16からなる群から選択される抗体に由来するHVR-H3配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つのHVRを有する。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15及びS-15-16からなる群から選択される抗体に由来する抗体配列のうちのいずれか1つの軽鎖可変領域、ならびに/またはS-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15及びS-15-16からなる群から選択される抗体に由来する抗体配列のうちのいずれか1つの重鎖可変領域を含む。本開示の他の態様は、単離された(例えば、モノクローナル)抗ソルチリン抗体に関し、ここで、抗ソルチリン抗体は、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインを含み、ここで、軽鎖可変ドメインは、(a)RASQSISSWLA(配列番号8)のアミノ酸配列を含むHVR-L1と、(b)KASSLES(配列番号28)のアミノ酸配列を含むHVR-L2と、(c)QQADGHIT(配列番号62)のアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含み、かつ/または重鎖可変ドメインは、(a)X1TFX2X3YAX4X5(配列中、X1はGまたはYであり、X2はS、R、GまたはTであり、X3はS、GまたはNであり、X4はIまたはMであり、X5はSまたはAである)(配列番号565)のアミノ酸配列を含むHVR-H1と、(b)GIX1PX2X3GX4AX5YAQKFQG(配列中、X1はIまたはVであり、X2はI、R、G、A、S、TまたはQであり、X3はFまたはGであり、X4はT、RまたはWであり、X5はS、N、QまたはWである)(配列番号566)のアミノ酸配列を含むHVR-H2と、(c)ARQGRKTGYYYYYGMDV(配列番号197)のアミノ酸配列を含むHVR-H3とを含む。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、(i)S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8及びS-22-9からなる群から選択される抗体に由来するHVR-L1配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-L1、(ii)S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8及びS-22-9からなる群から選択される抗体に由来するHVR-L2配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-L2、(iii)S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8及びS-22-9からなる群から選択される抗体に由来するHVR-L3配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-L3、(iv)S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8及びS-22-9からなる群から選択される抗体に由来するHVR-H1配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-H1、(v)S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8及びS-22-9からなる群から選択される抗体に由来するHVR-H2配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-H2、ならびに(vi)S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8及びS-22-9からなる群から選択される抗体に由来するHVR-H3配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される少なくとも1つ、
2つ、3つ、4つ、5つまたは6つのHVRを有する。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8及びS-22-9からなる群から選択される抗体に由来する抗体配列のうちのいずれか1つの軽鎖可変領域、ならびに/またはS-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8及びS-22-9からなる群から選択される抗体に由来する抗体配列のうちのいずれか1つの重鎖可変領域を含む。本開示の他の態様は、単離された(例えば、モノクローナル)抗ソルチリン抗体に関し、ここで、抗ソルチリン抗体は、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインを含み、ここで、軽鎖可変ドメインは、(a)RSSQX1LLX2SNGYNYLD(配列中、X1はSまたはGであり、X2はHまたはRである)(配列番号580)のアミノ酸配列を含むHVR-L1と、(b)LGSNRXS(配列中、XはAまたはVである)(配列番号581)のアミノ酸配列を含むHVR-L2と、(c)MQQQETPLT(配列番号100)のアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含み、かつ/または重鎖可変ドメインは、(a)YSISSX1X2YWG(配列中、X1はGまたはVであり、X2はYまたはRである)(配列番号582)のアミノ酸配列を含むHVR-H1と、(b)X1IYX2SGSTYYNPSLKS(式中、X1はT、SまたはAであり、X2はHまたはPである)(配列番号583)のアミノ酸配列を含むHVR-H2と、(c)ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号233)のアミノ酸配列を含むHVR-H3とを含む。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、(i)S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8及びS-60-9からなる群から選択される抗体に由来するHVR-L1配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-L1、(ii)S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8及びS-60-9からなる群から選択される抗体に由来するHVR-L2配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-L2、(iii)S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8及びS-60-9からなる群から選択される抗体に由来するHVR-L3配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-L3、(iv)S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8及びS-60-9からなる群から選択される抗体に由来するHVR-H1配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-H1、(v)S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8及びS-60-9からなる群から選択される抗体に由来するHVR-H2配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-H2、ならびに(vi)S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8及びS-60-9からなる群から選択される抗体に由来するHVR-H3配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つのHVRを有する。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8及びS-60-9からなる群から選択される抗体に由来する抗体配列のうちのいずれか1つの軽鎖可変領域、ならびに/またはS-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8及びS-60-9からなる群から選択される抗体に由来する抗体配列のうちのいずれか1つの重鎖可変領域を含む。本開示の他の態様は、単離された(例えば、モノクローナル)抗ソルチリン抗体に関し、ここで、抗ソルチリン抗体は、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインを含み、ここで、軽鎖可変ドメインは、(a)RASQSVSSSYLA(配列番号14)のアミノ酸配列を含むHVR-L1と、(b)GASSRAT(配列番号26)のアミノ酸配列を含むHVR-L2と、(c)QQSHVSPWT(配列番号122)のアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含み、かつ/または重鎖可変ドメインは、(a)X1SIX2SX3X4YYWG(配列中、X1はGまたはYであり、X2はS、V、Y、KまたはPであり、X3はSまたはRであり、X4はDまたはEである)(配列番号589)のアミノ酸配列を含むHVR-H1と、(b)X1IYX2X3GSTX4YNPSLKS(配列中、X1はS、G、QまたはLであり、X2はY、WまたはRであり、X3はS、R、KまたはAであり、X4はYまたはVである)(配列番号590)のアミノ酸配列を含むHVR-H2と、(c)ARGVGSGYSYGYRYFDY(配列番号253)のアミノ酸配列を含むHVR-H3とを含む。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、(i)S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7及びS-82-8からなる群から選択される抗体に由来するHVR-L1配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-L1、(ii)S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7及びS-82-8からなる群から選択される抗体に由来するHVR-L2配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-L2、(iii)S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7及びS-82-8からなる群から選択される抗体に由来するHVR-L3配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-L3、(iv)S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7及びS-82-8からなる群から選択される抗体に由来するHVR-H1配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-H1、(v)S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7及びS-82-8からなる群から選択される抗体に由来するHVR-H2配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-H2、ならびに(vi)S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7及びS-82-8からなる群から選択される抗体に由来するHVR-H3配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つのHVRを有する。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7及びS-82-8からなる群から選択される抗体に由来する抗体配列のうちのいずれか1つの軽鎖可変領域、ならびに/またはS-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7及びS-82-8からなる群から選択される抗体に由来する抗体配列のうちのいずれか1つの重鎖可変領域を含む。
【0031】
前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4アイソタイプを有する。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、(a)抗ソルチリン抗体は、ヒトまたはマウスIgG1アイソタイプを有し、Fc領域中にN297A、N297Q、D265A、L234A、L235A、C226S、C229S、P238S、E233P、L234V、P238A、A327Q、A327G、P329A、K322A、L234F、L235E、P331S、T394D、A330L、M252Y、S254T、T256E及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される残基位置での1つ以上のアミノ酸置換を含み、ここで、残基のナンバリングは、EUまたはKabatのナンバリングに従うものであり、(b)抗ソルチリン抗体は、IgG2アイソタイプを有し、Fc領域中にP238S、V234A、G237A、H268A、H268Q、H268E、V309L、N297A、N297Q、A330S、P331S、C232S、C233S、M252Y、S254T、T256E及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される残基位置での1つ以上のアミノ酸置換を含み、ここで、残基のナンバリングは、EUまたはKabatのナンバリングに従うものであり、あるいは(c)抗ソルチリン抗体は、IgG4アイソタイプを有し、Fc領域中にE233P、F234V、L234A/F234A、L235A、G237A、E318A、S228P、L236E、S241P、L248E、T394D、M252Y、S254T、T256E、N297A、N297Q及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される残基位置での1つ以上のアミノ酸置換を含み、ここで、残基のナンバリングは、EUまたはKabatのナンバリングに従うものである。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、(a)Fc領域は、A330L、L234F、L235E、P331S及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される位置での1つ以上の追加のアミノ酸置換を更に含み、ここで、残基のナンバリングは、EUまたはKabatのナンバリングに従うものであり、(b)Fc領域は、M252Y、S254T、T256E及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される位置での1つ以上の追加のアミノ酸置換を更に含み、ここで、残基のナンバリングは、EUまたはKabatのナンバリングに従うものであり、あるいは(c)Fc領域は、EUまたはKabatのナンバリングに従ったS228Pのアミノ酸置換を更に含む。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、IL-6、IL12p70、IL12p40、IL-1β、TNF-α、CXCL1、CCL2、CCL3、CCL4及びCCL5からなる群から選択される1つ以上の炎症促進性メディエータの発現を減少させる。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリン、マウスソルチリンまたはその両方に対して、約100nM~約0.005nMの範囲、または0.005nM未満の解離定数(KD)を有する。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンに対して、約70.4nM~約0.005nMの範囲、または0.005nM未満の解離定数(KD)を有する。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、マウスソルチリンに対して、約40.3nM~約0.07nMの範囲、または0.07nM未満の解離定数(KD)を有する。
【0032】
本開示の他の態様は、前述の実施形態のうちのいずれかの抗ソルチリン抗体をコードする核酸配列を含む、単離された核酸に関する。本開示の他の態様は、前述の実施形態のうちのいずれかの核酸を含むベクターに関する。本開示の他の態様は、前述の実施形態のうちのいずれかのベクターを含む、単離された宿主細胞に関する。本開示の他の態様は、抗ソルチリン抗体を産生する方法に関し、この方法は、抗ソルチリン抗体が産生されるように、前述の実施形態のうちのいずれかの宿主細胞を培養することを含む。ある特定の実施形態において、方法は、宿主細胞によって産生された抗ソルチリン抗体を回収することを更に含む。本開示の他の態様は、前述の実施形態のうちのいずれかの方法によって産生された、単離された抗ソルチリン抗体に関する。本開示の他の態様は、前述の実施形態のうちのいずれかの抗ソルチリン抗体と、薬学的に許容される担体とを含む、医薬組成物に関する。
【0033】
本開示の他の態様は、プログラニュリンレベルの増加を必要とする個体の脳において、それを行う方法に関し、この方法は、治療上有効な量の抗ソルチリン抗体を当該個体に投与することを含む。本開示の他の態様は、プログラニュリンレベルの増加を必要とする個体の脳においてそれを行うのに使用するための抗ソルチリン抗体に関する。本開示の他の態様は、プログラニュリンレベルの増加を必要とする個体の脳においてそれを行うための薬剤の製造における抗ソルチリン抗体の使用に関する。本開示の他の態様は、プログラニュリンレベルの増加を必要とする個体においてそれを行う方法に関し、この方法は、治療上有効な量の抗ソルチリン抗体を当該個体に投与することを含む。本開示の他の態様は、プログラニュリンレベルの増加を必要とする個体においてそれを行うのに使用するための抗ソルチリン抗体に関する。本開示の他の態様は、プログラニュリンレベルの増加を必要とする個体においてそれを行うための薬剤の製造における抗ソルチリン抗体の使用に関する。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、プログラニュリンのレベルは、個体の脳、血液及び/または1つ以上の末梢器官において増加する。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、プログラニュリンのレベルは、ソルチリンの細胞中レベルが減少することなく、増加する。
【0034】
本開示の他の態様は、1つ以上の細胞からのプログラニュリンの細胞外レベルを増加させる方法に関し、この方法は、1つ以上の細胞を抗ソルチリン抗体に接触させることを含む。本開示の他の態様は、1つ以上の細胞からのプログラニュリンの細胞外レベルを増加させるのに使用するための抗ソルチリン抗体に関する。本開示の他の態様は、1つ以上の細胞からのプログラニュリンの細胞外レベルを増加させるための薬剤の製造における抗ソルチリン抗体の使用に関する。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、プログラニュリンのレベルは、ソルチリンの細胞中レベルが減少することなく、増加する。本開示の他の態様は、ソルチリンの細胞中レベルの減少を必要とする個体においてそれを行う方法に関し、この方法は、治療上有効な量の抗ソルチリン抗体を当該個体に投与することを含む。本開示の他の態様は、ソルチリンの細胞中レベルの減少を必要とする個体においてそれを行うのに使用するための抗ソルチリン抗体に関する。本開示の他の態様は、ソルチリンの細胞中レベルの減少を必要とする個体においてそれを行うための薬剤の製造における抗ソルチリン抗体の使用に関する。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、ソルチリンのレベルは、個体の脳及び/または1つ以上の末梢器官において減少する。本開示の他の態様は、1つ以上の細胞のソルチリンの細胞中レベルを減少させる方法に関し、この方法は、1つ以上の細胞を抗ソルチリン抗体に接触させることを含む。本開示の他の態様は、1つ以上の細胞のソルチリンの細胞中レベルを減少させるのに使用するための抗ソルチリン抗体に関する。本開示の他の態様は、1つ以上の細胞のソルチリンの細胞中レベルを減少させるための薬剤の製造における抗ソルチリン抗体の使用に関する。
【0035】
本開示の他の態様は、ソルチリンタンパク質と、プログラニュリン、ニューロテンシン、p75、ソルチリンプロペプチド(Sort-pro)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、Aβペプチド、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、アポリポタンパク質E(APOE)、PCSK9及び受容体関連タンパク質(RAP)からなる群から選択される1つ以上のタンパク質との間の1つ以上の相互作用を阻害するための方法に関し、この方法は、ソルチリンタンパク質を、配列番号4を含むエピトープに結合する抗ソルチリン抗体に接触させることを含む。本開示の他の態様は、ソルチリンタンパク質と、プログラニュリン、ニューロテンシン、p75、ソルチリンプロペプチド(Sort-pro)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、Aβペプチド、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、アポリポタンパク質E(APOE)、PCSK9及び受容体関連タンパク質(RAP)からなる群から選択される1つ以上のタンパク質との間の1つ以上の相互作用を阻害するのに使用するための、配列番号4を含むエピトープに結合する抗ソルチリン抗体に関する。本開示の他の態様は、ソルチリンタンパク質と、プログラニュリン、ニューロテンシン、p75、ソルチリンプロペプチド(Sort-pro)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、Aβペプチド、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、アポリポタンパク質E(APOE)、PCSK9及び受容体関連タンパク質(RAP)からなる群から選択される1つ以上のタンパク質との間の1つ以上の相互作用を阻害するための薬剤の製造における、配列番号4を含むエピトープに結合する抗ソルチリン抗体の使用に関する。
【0036】
前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、(a)抗ソルチリン抗体は、プログラニュリンの細胞外レベルの増加、プログラニュリンの細胞中レベルの増加、ソルチリンの細胞中レベルの減少、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用の阻害及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される特性を有し、(b)抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞表面レベルを減少させ、ソルチリンの細胞内レベルを減少させ、ソルチリンの総レベルを減少させ、またはこれらの任意の組み合わせを減少させ、(c)抗ソルチリン抗体は、ソルチリン分解、ソルチリン切断、ソルチリン内在化、ソルチリン下方制御またはこれらの任意の組み合わせを誘導し、(d)抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞中レベルを減少させ、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害せず、(e)抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞中レベルを減少させ、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害し、(f)抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞中レベルを減少させ、プログラニュリンの細胞中レベルを増加させ、(g)抗ソルチリン抗体は、プログラニュリンの細胞中レベルを増加させ、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害せず、(h)抗ソルチリン抗体は、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害し、プログラニュリンの細胞中レベルを増加させ、(i)抗ソルチリン抗体は、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害し、ソルチリンの細胞中レベルを減少させず、(j)抗ソルチリン抗体は、プログラニュリンの細胞中レベルを増加させ、ソルチリンの細胞中レベルを減少させず、(k)抗ソルチリン抗体は、ソルチリンと神経成長因子前駆体(pro-NGF)との間の相互作用を更に阻害し、(l)抗ソルチリン抗体は、ソルチリンと、プロニューロトロフィン、ニューロトロフィン、神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子前駆体(pro-BDNF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、プロニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、ニューロトロフィン-4/5、ニューロテンシン、ニューロテンシン、p75、ソルチリンプロペプチド(Sort-pro)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、Aβペプチド、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、アポリポタンパク質E(APOE)、PCSK9及び受容体関連タンパク質(RAP)からなる群から選択される1つ以上のタンパク質との間の相互作用を更に阻害し、(m)抗ソルチリン抗体は、a)1つ以上のタンパク質との相互作用に利用可能なソルチリンの有効レベルを減少させること、b)ソルチリンの分解を誘導すること、またはその両方によって、ソルチリンと、プロニューロトロフィン、ニューロトロフィン、神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子前駆体(pro-BDNF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、プロニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、ニューロトロフィン-4/5、ニューロテンシン、ニューロテンシン、p75、ソルチリンプロペプチド(Sort-pro)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、Aβペプチド、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、アポリポタンパク質E(APOE)、PCSK9及び受容体関連タンパク質(RAP)からなる群から選択される1つ以上のタンパク質との間の相互作用を更に阻害し、(n)抗ソルチリン抗体は、PCSK9の細胞分泌、Aβペプチド産生またはその両方を阻害し、(o)抗ソルチリン抗体は、1つ以上のプログラニュリン活性を誘導し、(p)抗ソルチリン抗体は、プログラニュリンまたはその断片のエンドソーム内在化を減少させ、かつ/あるいは(q)抗ソルチリン抗体は、プログラニュリンの有効濃度を増加させる。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、(a)抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリン、マウスソルチリンまたはその両方に特異的に結合し、(b)抗ソルチリン抗体は、ヒト抗体であり、(c)抗ソルチリン抗体は、ヒト化抗体であり、(d)抗ソルチリン抗体は、二重特異性抗体であり、(e)抗ソルチリン抗体は、第1の抗原及び第2の抗原を認識する二重特異性抗体であり、(f)抗ソルチリン抗体は、第1の抗原及び第2の抗原を認識する二重特異性抗体であり、ここで、第1の抗原はソルチリンタンパク質であり、第2の抗原は血液脳関門を通過する輸送を促進する抗原であり、かつ任意に、第2の抗原は、ソルチリン、トランスフェリン受容体(TR)、インスリン受容体(HIR)、インスリン様成長因子受容体(IGFR)、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1及び2(LPR-1及び2)、ジフテリア毒素受容体、CRM197、ラマ単一ドメイン抗体、TMEM30(A)、タンパク質形質導入ドメイン、TAT、Syn-B、ペネトラチン、ポリアルギニンペプチド、アンジオペプペプチド、ベイシジン、Glut1、CD98hcならびにANG1005からなる群から選択され、(g)抗ソルチリン抗体は、多価抗体であり、(h)抗ソルチリン抗体は、コンジュゲート抗体であり、(i)抗ソルチリン抗体は、キメラ抗体であり、(j)抗ソルチリン抗体は、抗体であり、(k)抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンまたは哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基を含むエピトープに結合する抗体断片であり、あるいは(l)抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンまたは哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基を含むエピトープに結合する抗体断片であり、かつ任意に、断片は、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、FvまたはscFv断片である。
【0037】
前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、不連続なソルチリンエピトープに結合する。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、不連続なソルチリンエピトープは、2つ以上のペプチド、3つ以上のペプチド、4つ以上のペプチド、5つ以上のペプチド、6つ以上のペプチド、7つ以上のペプチド、8つ以上のペプチド、9つ以上のペプチド、または10以上のペプチドを含む。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、ペプチドのそれぞれは、配列番号1のアミノ酸配列の5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10以上、11以上、12以上、13以上、14以上、15以上、16以上、17以上、18以上、19以上、20以上、21以上、22以上、23以上、24以上、25以上、26以上、27以上、28以上、29以上もしくは30以上のアミノ酸残基、または配列番号1のアミノ酸配列に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上の5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10以上、11以上、12以上、13以上、14以上、15以上、16以上、17以上、18以上、19以上、20以上、21以上、22以上、23以上、24以上、25以上、26以上、27以上、28以上、29以上もしくは30以上のアミノ酸残基を含む。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの高次構造エピトープに結合する。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、i.配列番号1のアミノ酸残基740~749、または配列番号1のアミノ酸残基740~749に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基、ii.配列番号1のアミノ酸残基623~632、または配列番号1のアミノ酸残基623~632に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基、iii.配列番号1のアミノ酸残基429~443、または配列番号1のアミノ酸残基429~443に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基、iv.配列番号1のアミノ酸残基367~391、または配列番号1のアミノ酸残基367~391に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基、v.配列番号1のアミノ酸残基314~338、または配列番号1のアミノ酸残基314~338に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基、vi.配列番号1のアミノ酸残基297~317、または配列番号1のアミノ酸残基297~317に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基、vii.配列番号1のアミノ酸残基237~260、または配列番号1のアミノ酸残基237~260に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基、viii.配列番号1のアミノ酸残基237~260及び297~317、または配列番号1のアミノ酸残基237~260及び297~317に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基、ix.配列番号1のアミノ酸残基237~247、または配列番号1のアミノ酸残基237~247に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基、x.配列番号1のアミノ酸残基237~247及び314~338、または配列番号1のアミノ酸残基237~247及び314~338に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基、xi.配列番号1のアミノ酸残基233~243、または配列番号1のアミノ酸残基233~243に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基、xii.配列番号1のアミノ酸残基212~221、または配列番号1のアミノ酸残基212~221に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基、xiii.配列番号1のアミノ酸残基207~227、または配列番号1のアミノ酸残基207~227に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基、xiv.配列番号1のアミノ酸残基207~227及び237~260、または配列番号1のアミノ酸残基207~227及び237~260に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基、xv.配列番号1のアミノ酸残基207~231、または配列番号1のアミノ酸残基207~231に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基、xvi.配列番号1のアミノ酸残基175~181、または配列番号1のアミノ酸残基175~181に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基、ならびにvii.配列番号1のアミノ酸残基131~138、または配列番号1のアミノ酸残基131~138に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上のアミノ酸残基からなる群から選択されるアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、配列番号1のH131、V132、P133、L134、V135、I136、M137、T138、T210、T218、Y222、S223、S227、S242、K243、K248、K254、S305、R311、S316、R325、S379、R382、Y386及びS595からなる群から選択される1つ以上のアミノ酸残基、または配列番号1のアミノ酸残基H131、V132、P133、L134、V135、I136、M137、T138、T210、T218、Y222、S223、S227、S242、K243、K248、K254、S305、R311、S316、R325、S379、R382、Y386及びS595に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上の1つ以上のアミノ酸残基に結合する。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、S-1、S-2、S-3、S-4、S-5、S-6、S-7、S-8、S-9、S-10、S-12、S-14、S-15、S-16、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-24、S-25、S-26、S-28、S-29、S-30、S-32、S-34、S-39、S-40、S-42、S-43、S-44、S-45、S-48、S-49、S-50、S-51、S-55、S-57、S-58、S-59、S-60、S-61、S-63、S-64、S-65、S-66、S-67、S-69、S-71、S-72、S-73、S-74、S-75、S-76、S-78、S-81、S-82、S-83、S-84及びS-85からなる群から選択される抗体の少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つのHVRを含む。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、(a)配列番号6~16、20~22及び24~25からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L1、(b)配列番号26~40からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L2、(c)配列番号41~50、52、54~56、58~62、64~66、68~70、72、74、79~80、82~85、88~91、95、97~101、103~107、109、111~116、118及び121~125からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-L3、(d)配列番号126~127、129~130、133~140、142、144~145及び147~149からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H1、(e)配列番号150~153、155~158、160~166、169~175及び177~178からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H2、または(f)配列番号179~186、188、190~191、193~197、199~201、203~204、206、208、213~214、216~219、22からなる群から選択されるアミノ酸配列を含むHVR-H3を含む。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインを含み、ここで、軽鎖可変ドメインは、(a)配列番号6~16、20~22及び24~25からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号6~16、20~22及び24~25からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-L1と、(b)配列番号26~40からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号26~40からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-L2と、(c)配列番号41~50、52、54~56、58~62、64~66、68~70、72、74、79~80、82~85、88~91、95、97~101、103~107、109、111~116、118及び121~125からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号41~50、52、54~56、58~62、64~66、68~70、72、74、79~80、82~85、88~91、95、97~101、103~107、109、111~116、118及び121~125からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-L3とを含み、重鎖可変ドメインは、(a)配列番号126~127、129~130、133~140、142、144~145及び147~149からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号126~127、129~130、133~140、142、144~145及び147~149からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-H1と、(b)配列番号150~153、155~158、160~166、169~175及び177~178からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号150~153、155~158、160~166、169~175及び177~178からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-H2と、(c)配列番号179~186、188、190~191、193~197、199~201、203~204、206、208、213~214、216~219、222~225、229、231~234、236~239、241、243~247、249及び252~256からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号179~186、188、190~191、193~197、199~201、203~204、206、208、213~214、216~219、222~225、229、231~234、236~239、241、243~247、249及び252~256からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-H3を含む。
【0038】
前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインを含み、ここで、(a)軽鎖可変ドメインは、RASQSISSYLN(配列番号7)のアミノ酸配列を含むHVR-L1と、AASSLQS(配列番号27)のアミノ酸配列を含むHVR-L2と、QQSDVSPIT(配列番号42)のアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含み、かつ/または重鎖可変ドメインは、YTFX1X2YX3MX4(配列中、X1はT、G、V、P、L、F、AまたはRであり、X2はG、AまたはSであり、X3はY、MまたはLであり、X4はHまたはWである)(配列番号480)のアミノ酸配列を含むHVR-H1と、X1X2X3PX4X5GX6TX7YAQKFQG(配列中、X1はW、IまたはGであり、X2はI、VまたはTであり、X3はN、GまたはLであり、X4はN、S、VまたはMであり、X5はS、G、WまたはQであり、X6はG、F、A、Y、S、NまたはRであり、X7はN、R、SまたはMである)(配列番号481)のアミノ酸配列を含むHVR-H2と、ARGKRSSGWYEGYGMDV(配列番号180)のアミノ酸配列を含むHVR-H3とを含み、(b)軽鎖可変ドメインは、RASQSX1X2SNLA(配列中、X1はVまたはIであり、X2はSまたはGである)(配列番号508)のアミノ酸配列を含むHVR-L1と、GASTRAT(配列番号29)のアミノ酸配列を含むHVR-L2と、QQARLGPWT(配列番号55)のアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含み、かつ/または重鎖可変ドメインは、YTX1X2X3X4X5X6S(配列中、X1はFまたはLであり、X2はTまたはAであり、X3はSまたはKであり、X4はY、T、R、L、T、G、QまたはHであり、X5はY、TまたはLであり、X6はMまたはIである)(配列番号509)のアミノ酸配列を含むHVR-H1と、X1INPx2GGX3X4SYAX5X6FX7G(配列中、X1はIまたはVであり、X2はS、W、Y、V、F、LまたはIであり、X3はSまたはTであり、X4はTまたはAであり、X5はQまたはRであり、X6はKまたはRであり、X7はQまたはRである)(配列番号510)のアミノ酸配列を含むHVR-H2と、X1RDPX2GX3X4X5X6X7PX8X9RX10X11X12GX13DV(配列中、X1はA、VまたはTであり、X2はS、FまたはGであり、X3はIまたはAであり、X4はAまたはGであり、X5はA、LまたはVであり、X6はA、LまたはPであり、X7はG、FまたはYであり、X8はA、GまたはFであり、X9はS、GまたはAであり、X10はY、G、P、HまたはSであり、X11はYまたはNであり、X12はY、L、QまたはRであり、X13はMまたはLである)(配列番号511)のアミノ酸配列を含むHVR-H3とを含み、(c)軽鎖可変ドメインは、RASQSISSWLA(配列番号8)のアミノ酸配列を含むHVR-L1と、KASSLES(配列番号28)のアミノ酸配列を含むHVR-L2と、QQADGHIT(配列番号62)のアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含み、かつ/または重鎖可変ドメインは、X1TFX2X3YAX4X5(配列中、X1はGまたはYであり、X2はS、R、GまたはTであり、X3はS、GまたはNであり、X4はIまたはMであり、X5はSまたはAである)(配列番号565)のアミノ酸配列を含むHVR-H1と、GIX1PX2X3GX4AX5YAQKFQG(配列中、X1はIまたはVであり、X2はI、R、G、A、S、TまたはQであり、X3はFまたはGであり、X4はT、RまたはWであり、X5はS、N、QまたはWである)(配列番号566)のアミノ酸配列を含むHVR-H2と、ARQGRKTGYYYYYGMDV(配列番号197)のアミノ酸配列を含むHVR-H3とを含み、(d)軽鎖可変ドメインは、RSSQX1LLX2SNGYNYLD(配列中、X1はSまたはGであり、X2はHまたはRである)(配列番号580)のアミノ酸配列を含むHVR-L1と、LGSNRXS(配列中、XはAまたはVである)(配列番号581)のアミノ酸配列を含むHVR-L2と、MQQQETPLT(配列番号100)のアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含み、かつ/または重鎖可変ドメインは、YSISSX1X2YWG(配列中、X1はGまたはVであり、X2はYまたはRである)(配列番号582)のアミノ酸配列を含むHVR-H1と、X1IYX2SGSTYYNPSLKS(式中、X1はT、SまたはAであり、X2はHまたはPである)(配列番号583)のアミノ酸配列を含むHVR-H2と、ARQGSIKQGYYGMDV(配列番号233)のアミノ酸配列を含むHVR-H3とを含み、あるいは(e)軽鎖可変ドメインは、RASQSVSSSYLA(配列番号14)のアミノ酸配列を含むHVR-L1と、GASSRAT(配列番号26)のアミノ酸配列を含むHVR-L2と、QQSHVSPWT(配列番号122)のアミノ酸配列を含むHVR-L3とを含み、かつ/または重鎖可変ドメインは、X1SIX2SX3X4YYWG(配列中、X1はGまたはYであり、X2はS、V、Y、KまたはPであり、X3はSまたはRであり、X4はDまたはEである)(配列番号589)のアミノ酸配列を含むHVR-H1と、X1IYX2X3GSTX4YNPSLKS(配列中、X1はS、G、QまたはLであり、X2はY、WまたはRであり、X3はS、R、KまたはAであり、X4はYまたはVである)(配列番号590)のアミノ酸配列を含むHVR-H2と、ARGVGSGYSYGYRYFDY(配列番号253)のアミノ酸配列を含むHVR-H3とを含む。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、(a)抗ソルチリン抗体は、ソルチリンへの結合について、S-6、S-8、S-49、S-60、S-63、S-72、S-83及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上の抗体と競合し、(b)抗ソルチリン抗体は、ソルチリンへの結合について、S-5、S-45、S-64、S-65及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上の抗体と競合し、(c)抗ソルチリン抗体は、ソルチリンへの結合について、S-5、S-30、S-60及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上の抗体と競合し、(d)抗ソルチリン抗体は、ソルチリンへの結合について、S-2、S-16、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-28、S-29、S-82及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上の抗体と競合し、(e)抗ソルチリン抗体は、ソルチリンへの結合について、S-1、S-3、S-4、S-6、S-7、S-9、S-10、S-14、S-15、S-26、S-32、S-48、S-51、S-55、S57、S-58、S-59、S-61、S-69、S-71、S-73、S-74、S-75、S-85及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上の抗体と競合し、(f)抗ソルチリン抗体は、ソルチリンへの結合について、S-5、S-12、S-24、S-25、S-30、S-34、S-39、S-40、S-42、S-43、S-44、S-45、S-60、S-63、S-64、S-65、S-66、S-67、S-72、S-76、S-78、S-81、S-83、S-84及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上の抗体と競合し、(g)抗ソルチリン抗体は、ソルチリンへの結合について、S-8、S-49、S-50及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される1つ以上の抗体と競合し、あるいは(h S-1、S-2、S-3、S-4、S-5、S-6、S-7、S-8、S-9、S-10、S-12、S-14、S-15、S-16、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-24、S-25、S-26、S-28、S-29、S-30、S-32、S-34、S-39、S-40、S-42、S-43、S-44、S-45、S-48、S-49、S-50、S-51、S-55、S-57、S-58、S-59、S-60、S-61、S-63、S-64、S-65、S-66、S-67、S-69、S-71、S-72、S-73、S-74、S-75、S-76、S-78、S-81、S-82、S-83、S-84及びS-85
からなる群から選択される抗体と同じソルチリンエピトープに本質的に結合する、抗ソルチリン抗体。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、配列番号317~334、337~338、341~345、348~357、360~365、368~372、375~376、379~380、389~392、395~402、407~414、421~422、425~433、436~444、447~448、451~461、464~465及び470~479からなる群から選択されるアミノ酸配列を含む、軽鎖可変ドメイン及び/または重鎖可変ドメインを含む。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、(a)抗ソルチリン抗体は、IgGクラス、IgMクラスまたはIgAクラスのものであり、あるいは(b)抗ソルチリン抗体は、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4アイソタイプを有し、(c)抗ソルチリン抗体は、ヒトまたはマウスIgG1アイソタイプを有し、Fc領域中にN297A、N297Q、D265A、L234A、L235A、C226S、C229S、P238S、E233P、L234V、P238A、A327Q、A327G、P329A、K322A、L234F、L235E、P331S、T394D、A330L、M252Y、S254T、T256E及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される残基位置での1つ以上のアミノ酸置換を含み、ここで、残基のナンバリングは、EUまたはKabatのナンバリングに従うものであり、(d)抗ソルチリン抗体は、IgG2アイソタイプを有し、Fc領域中にP238S、V234A、G237A、H268A、H268Q、H268E、V309L、N297A、N297Q、A330S、P331S、C232S、C233S、M252Y、S254T、T256E及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される残基位置での1つ以上のアミノ酸置換を含み、ここで、残基のナンバリングは、EUまたはKabatのナンバリングに従うものであり、あるいは(e)抗ソルチリン抗体は、IgG4アイソタイプを有し、Fc領域中にE233P、F234V、L234A/F234A、L235A、G237A、E318A、S228P、L236E、S241P、L248E、T394D、M252Y、S254T、T256E、N297A、N297Q及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される残基位置での1つ以上のアミノ酸置換を含み、ここで、残基のナンバリングは、EUまたはKabatのナンバリングに従うものである。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、(c)、(d)及び(e)のうちの1つ以上のFc領域は、(a)A330L、L234F、L235E、P331S及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される位置での1つ以上の追加のアミノ酸置換(ここで、残基のナンバリングは、EUまたはKabatのナンバリングに従う)、(b)M252Y、S254T、T256E及びこれらの任意の組み合わせからなる群から選択される位置での1つ以上の追加のアミノ酸置換(ここで、残基のナンバリングは、EUまたはKabatのナンバリングに従う)、または(c)EUまたはKabatのナンバリングに従ったS228Pのアミノ酸置換を更に含む。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、(a)抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリン、マウスソルチリンまたはその両方に対して、約100nM~約0.005nMの範囲、または0.005nM未満の解離定数(KD)を有し、(b)抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンに対して、約70.4nM~約0.005nMの範囲、または0.005nM未満の解離定数(KD)を有し、あるいは(c)抗ソルチリン抗体は、マウスソルチリンに対して、約40.3nM~約0.07nMの範囲、または0.07nM未満の解離定数(KD)を有する。前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、前述の実施形態のうちのいずれかの抗ソルチリン抗体である。
【0039】
本開示の他の態様は、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、痙攣発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、脊髄損傷、長期抑圧、アテローム動脈硬化性血管疾患、正常老化の望ましくない症状、認知症、混合型認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病、正常圧水頭症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウオパチー病、脳卒中、急性外傷、慢性外傷、狼瘡、急性及び慢性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、マラリア、本態性振戦、中枢神経系狼瘡、ベーチェット病、パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症、変性椎間板疾患、シャイ・ドレーガー症候群、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核神経節変性症、急性散在性脳脊髄炎、肉芽腫性疾患、サルコイドーシス、老人病、加齢黄斑変性症、緑内障、網膜色素変性症、網膜変性、気道感染症、敗血症、眼感染症、全身感染、炎症性疾患、関節炎、多発性硬化症、代謝疾患、肥満、インスリン抵抗性、2型糖尿病、組織または血管損傷、外傷ならびに1つ以上の正常老化の望ましくない症状からなる群から選択される疾患、障害または外傷を有する個体を、予防し、危険性を低減させ、または治療する方法に関し、この方法は、治療上有効な量の前述の実施形態のうちのいずれかの抗ソルチリン抗体を当該個体に投与することを含む。本開示の他の態様は、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、痙攣発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、脊髄損傷、長期抑圧、アテローム動脈硬化性血管疾患、正常老化の望ましくない症状、認知症、混合型認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病、正常圧水頭症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウオパチー病、脳卒中、急性外傷、慢性外傷、狼瘡、急性及び慢性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、マラリア、本態性振戦、中枢神経系狼瘡、ベーチェット病、パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症、変性椎間板疾患、シャイ・ドレーガー症候群、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核神経節変性症、急性散在性脳脊髄炎、肉芽腫性疾患、サルコイドーシス、老人病、加齢黄斑変性症、緑内障、網膜色素変性症、網膜変性、気道感染症、敗血症、眼感染症、全身感染、炎症性疾患、関節炎、多発性硬化症、代謝疾患、肥満、インスリン抵抗性、2型糖尿病、組織または血管損傷、外傷ならびに1つ以上の正常老化の望ましくない症状からなる群から選択される疾患、障害または外傷を有する個体を、予防し、危険性を低減させ、または治療するのに使用するための前述の実施形態のうちのいずれかの抗ソルチリン抗体に関する。本開示の他の態様は、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、痙攣発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、脊髄損傷、長期抑圧、アテローム動脈硬化性血管疾患、正常老化の望ましくない症状、認知症、混合型認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病、正常圧水頭症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウオパチー病、脳卒中、急性外傷、慢性外傷、狼瘡、急性及び慢性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、マラリア、本態性振戦、中枢神経系狼瘡、ベーチェット病、パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症、変性椎間板疾患、シャイ・ドレーガー症候群、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核神経節変性症、急性散在性脳脊髄炎、肉芽腫性疾患、サルコイドーシス、老人病、加齢黄斑変性症、緑内障、網膜色素変性症、網膜変性、気道感染症、敗血症、眼感染症、全身感染、炎症性疾患、関節炎、多発性硬化症、代謝疾患、肥満、インスリン抵抗性、2型糖尿病、組織または血管損傷、外傷ならびに1つ以上の正常老化の望ましくない症状からなる群から選択される疾患、障害または外傷を有する個体を、予防し、危険性を低減させ、または治療するための薬剤の製造における前述の実施形態のうちのいずれかの抗ソルチリン抗体の使用に関する。本開示の他の態様は、前頭側頭型認知症、進行性核上性麻痺、アルツハイマー病、血管性認知症、痙攣発作、網膜ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脊髄損傷、認知症、脳卒中、パーキンソン病、急性散在性脳脊髄炎、網膜変性、加齢黄斑変性症、緑内障、多発性硬化症、敗血性ショック、細菌感染症、関節炎及び変形性関節症からなる群から選択される疾患、障害または外傷を有する個体を、予防し、危険性を低減させ、または治療する方法に関し、この方法は、治療上有効な量の前述の実施形態のうちのいずれかの抗ソルチリン抗体を当該個体に投与することを含む。本開示の他の態様は、前頭側頭型認知症、進行性核上性麻痺、アルツハイマー病、血管性認知症、痙攣発作、網膜ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脊髄損傷、認知症、脳卒中、パーキンソン病、急性散在性脳脊髄炎、網膜変性、加齢黄斑変性症、緑内障、多発性硬化症、敗血性ショック、細菌感染症、関節炎及び変形性関節症からなる群から選択される疾患、障害または外傷を有する個体を、予防し、危険性を低減させ、または治療するのに使用するための前述の実施形態のうちのいずれかの抗ソルチリン抗体に関する。本開示の他の態様は、前頭側頭型認知症、進行性核上性麻痺、アルツハイマー病、血管性認知症、痙攣発作、網膜ジストロフィー、筋萎縮性側索硬化症、外傷性脳損傷、脊髄損傷、認知症、脳卒中、パーキンソン病、急性散在性脳脊髄炎、網膜変性、加齢黄斑変性症、緑内障、多発性硬化症、敗血性ショック、細菌感染症、関節炎及び変形性関節症からなる群から選択される疾患、障害または外傷を有する個体を、予防し、危険性を低減させ、または治療するための薬剤の製造における前述の実施形態のうちのいずれかの抗ソルチリン抗体の使用に関する。
【0040】
本開示の他の態様は、神経炎症、短い軸索伸長及び異常分岐を特徴とする軸索障害、ミクログリア活性化ならびに炎症反応のうちの1つ以上を阻害する方法に関し、この方法は、治療上有効な量の前述の実施形態のうちのいずれかの抗ソルチリン抗体を個体に投与することを含む。本開示の他の態様は、神経炎症、短い軸索伸長及び異常分岐を特徴とする軸索障害、ミクログリア活性化ならびに炎症反応のうちの1つ以上を阻害するのに使用するための前述の実施形態のうちのいずれかの抗ソルチリン抗体に関する。本開示の他の態様は、神経炎症、短い軸索伸長及び異常分岐を特徴とする軸索障害、ミクログリア活性化ならびに炎症反応のうちの1つ以上を阻害するための薬剤の製造における前述の実施形態のうちのいずれかの抗ソルチリン抗体の使用に関する。本開示の他の態様は、創傷治癒、オートファジー及び凝集タンパク質のクリアランスのうちの1つ以上を促進する方法に関し、この方法は、治療上有効な量の前述の実施形態のうちのいずれかの抗ソルチリン抗体を個体に投与することを含む。本開示の他の態様は、創傷治癒、オートファジー及び凝集タンパク質のクリアランスのうちの1つ以上を促進するのに使用するための前述の実施形態のうちのいずれかの抗ソルチリン抗体に関する。本開示の他の態様は、創傷治癒、オートファジー及び凝集タンパク質のクリアランスのうちの1つ以上を促進するための薬剤の製造における前述の実施形態のうちのいずれかの抗ソルチリン抗体の使用に関する。本開示の他の態様は、関節炎を有する個体を、予防し、危険性を低減させ、または治療する方法に関し、この方法は、治療上有効な量の前述の実施形態のうちのいずれかの抗ソルチリン抗体を当該個体に投与することを含む。本開示の他の態様は、関節炎を有する個体を、予防し、危険性を低減させ、または治療するのに使用するための前述の実施形態のうちのいずれかの抗ソルチリン抗体に関する。本開示の他の態様は、関節炎を有する個体を、予防し、危険性を低減させ、または治療するための薬剤の製造における前述の実施形態のうちのいずれかの抗ソルチリン抗体の使用に関する。本開示の他の態様は、1つ以上の炎症促進性メディエータの発現を減少させる方法に関し、この方法は、治療上有効な量の前述の実施形態のうちのいずれかの抗ソルチリン抗体を個体に投与することを含む。本開示の他の態様は、1つ以上の炎症促進性メディエータの発現を減少させるのに使用するための前述の実施形態のうちのいずれかの抗ソルチリン抗体に関する。本開示の他の態様は、1つ以上の炎症促進性メディエータの発現を減少させるための薬剤の製造における前述の実施形態のうちのいずれかの抗ソルチリン抗体の使用に関する。ある特定の実施形態において、1つ以上の炎症促進性メディエータは、IL-6、IL12p70、IL12p40、IL-1β、TNF-α、CXCL1、CCL2、CCL3、CCL4及びCCL5からなる群から選択される。
【0041】
前述の実施形態のうちのいずれかと組み合わされ得るある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、2つ以上の抗ソルチリン抗体を含む。
【0042】
本特許及び本出願書類は、少なくとも1つのカラー図面を含む。カラー図面(複数可)を含む本特許または本特許出願公開の複写は、要請かつ必要な料金の支払により特許庁より提供される。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】抗ソルチリン抗体S-1、S-65、S-49、S-78、S-44及びS-8のソルチリン結合部位を示す、ヒトソルチリンタンパク質のいくつかの図を示す。ソルチリン主鎖は、透明な灰色表示で示す。抗体S-1(緑)、S-65(赤)、S-49(青)、S-78(黄)、S-44(ピンク)及びS-8(紫)について同定された線状結合領域を色で強調している。結合部位は、ソルチリンの柔軟なループ領域内に認められる。
【
図2A】
図2A~2Cは、表面プラズモン共鳴(SPR)及びELISAを使用したソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用の特徴付けを示す。
図2Aは、Biacore SPRを使用した、His捕捉ソルチリン1(SORT1)へのプログラニュリン(PGRN)結合のカイネティクス解析を示す。
図2Bは、ELISAプレート上の固定化ヒトSORT1へのビオチン化ヒトPGRNの結合を示す。
図2Cは、ELISAプレート上の固定化マウスSORT1へのビオチン化マウスPGRNの結合を示す。
【
図2B】
図2A~2Cは、表面プラズモン共鳴(SPR)及びELISAを使用したソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用の特徴付けを示す。
図2Aは、Biacore SPRを使用した、His捕捉ソルチリン1(SORT1)へのプログラニュリン(PGRN)結合のカイネティクス解析を示す。
図2Bは、ELISAプレート上の固定化ヒトSORT1へのビオチン化ヒトPGRNの結合を示す。
図2Cは、ELISAプレート上の固定化マウスSORT1へのビオチン化マウスPGRNの結合を示す。
【
図2C】
図2A~2Cは、表面プラズモン共鳴(SPR)及びELISAを使用したソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用の特徴付けを示す。
図2Aは、Biacore SPRを使用した、His捕捉ソルチリン1(SORT1)へのプログラニュリン(PGRN)結合のカイネティクス解析を示す。
図2Bは、ELISAプレート上の固定化ヒトSORT1へのビオチン化ヒトPGRNの結合を示す。
図2Cは、ELISAプレート上の固定化マウスSORT1へのビオチン化マウスPGRNの結合を示す。
【
図3A】センサーチップ上のヒトソルチリン(b-H Sort)に対する抗体アビディティ結合及び抗ソルチリン抗体(IgG)との競合を示す。
【
図3B】Forte Bio解析を使用したソルチリン(SORT)とプログラニュリン(PGRN)との間の相互作用及び抗ソルチリン抗体(IgG)との競合の特徴付けを示す。左の列:センサーチップ上にビオチン化プログラニュリンペプチドを固定化し、溶液にSORTを添加し、続いてIgGを添加する。中央の列:センサーチップ上にビオチン化組換えヒトSORTを固定化し、溶液に組換えPGRNを添加し、続いてIgGを添加する。右の列:センサーチップ上にビオチン化組換えPGRNを固定化し、溶液にヒトSORTを添加し、続いてIgGを添加する。(SORT=ソルチリン、PGRN=プログラニュリン、b=ビオチン化、H=ヒト、mono=単量体)
【
図4A】異なるForteBio配置(
図3Bに記載)におけるプログラニュリン結合を遮断する種々のクラスの抗ソルチリン抗体の例を示す。左の列は、センサーチップ上に固定化したPGRNペプチドに結合するヒトSORTを使用した競合結合を示す。中央の列は、センサーチップ上に固定化したヒトSORTに結合する天然PGRNタンパク質を使用した競合結合を示す。右の列は、センサーチップ上に固定化した天然PGRNタンパク質に結合する天然SORTタンパク質を使用した競合結合を示す。
【
図4B】Biacore SPRをpH6.4及びpH7.4で使用した、抗ソルチリン抗体のHis捕捉ソルチリン(SORT1)への結合を示す。
【
図5A-B】
図5A~5Dは、細胞上でのソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用の特徴付けを示す。
図5Aは、ヒトSORTを発現するHEK293T細胞へのヒトPGRN-Bioの結合レベルを示すFACSプロットを示す。
図5Bは、対照細胞へのヒトPGRN-Bioの結合レベルを示すFACSプロットを示す。
図5Cは、ヒトSORTを発現するHEK293T細胞(丸)または対照細胞(四角)へのヒトPGRN結合濃度に対してプロットした平均蛍光強度(MFI)を示す。
図5Dは、マウスSORTを発現するHEK293T細胞(丸)または対照細胞(四角)へのマウスPGRN結合濃度に対してプロットしたMFIを示す。
【
図5C】
図5A~5Dは、細胞上でのソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用の特徴付けを示す。
図5Aは、ヒトSORTを発現するHEK293T細胞へのヒトPGRN-Bioの結合レベルを示すFACSプロットを示す。
図5Bは、対照細胞へのヒトPGRN-Bioの結合レベルを示すFACSプロットを示す。
図5Cは、ヒトSORTを発現するHEK293T細胞(丸)または対照細胞(四角)へのヒトPGRN結合濃度に対してプロットした平均蛍光強度(MFI)を示す。
図5Dは、マウスSORTを発現するHEK293T細胞(丸)または対照細胞(四角)へのマウスPGRN結合濃度に対してプロットしたMFIを示す。
【
図5D】
図5A~5Dは、細胞上でのソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用の特徴付けを示す。
図5Aは、ヒトSORTを発現するHEK293T細胞へのヒトPGRN-Bioの結合レベルを示すFACSプロットを示す。
図5Bは、対照細胞へのヒトPGRN-Bioの結合レベルを示すFACSプロットを示す。
図5Cは、ヒトSORTを発現するHEK293T細胞(丸)または対照細胞(四角)へのヒトPGRN結合濃度に対してプロットした平均蛍光強度(MFI)を示す。
図5Dは、マウスSORTを発現するHEK293T細胞(丸)または対照細胞(四角)へのマウスPGRN結合濃度に対してプロットしたMFIを示す。
【
図6A】
図6A~6Eは、抗ソルチリン抗体による、ソルチリンを発現する細胞へのビオチン化プログラニュリン結合の用量依存的阻害を示す。
図6A及び
図6Bは、ヒトソルチリンへのヒトプログラニュリン結合の抗体阻害を示す。
図6C及び
図6Dは、マウスソルチリンへのマウスプログラニュリン結合の抗体阻害を示す。
図6Eは、67nMの抗ソルチリン抗体による、ヒトソルチリンを発現する細胞へのビオチン化ヒトプログラニュリン結合の阻害を示す。
【
図6B】
図6A~6Eは、抗ソルチリン抗体による、ソルチリンを発現する細胞へのビオチン化プログラニュリン結合の用量依存的阻害を示す。
図6A及び
図6Bは、ヒトソルチリンへのヒトプログラニュリン結合の抗体阻害を示す。
図6C及び
図6Dは、マウスソルチリンへのマウスプログラニュリン結合の抗体阻害を示す。
図6Eは、67nMの抗ソルチリン抗体による、ヒトソルチリンを発現する細胞へのビオチン化ヒトプログラニュリン結合の阻害を示す。
【
図6C】
図6A~6Eは、抗ソルチリン抗体による、ソルチリンを発現する細胞へのビオチン化プログラニュリン結合の用量依存的阻害を示す。
図6A及び
図6Bは、ヒトソルチリンへのヒトプログラニュリン結合の抗体阻害を示す。
図6C及び
図6Dは、マウスソルチリンへのマウスプログラニュリン結合の抗体阻害を示す。
図6Eは、67nMの抗ソルチリン抗体による、ヒトソルチリンを発現する細胞へのビオチン化ヒトプログラニュリン結合の阻害を示す。
【
図6D】
図6A~6Eは、抗ソルチリン抗体による、ソルチリンを発現する細胞へのビオチン化プログラニュリン結合の用量依存的阻害を示す。
図6A及び
図6Bは、ヒトソルチリンへのヒトプログラニュリン結合の抗体阻害を示す。
図6C及び
図6Dは、マウスソルチリンへのマウスプログラニュリン結合の抗体阻害を示す。
図6Eは、67nMの抗ソルチリン抗体による、ヒトソルチリンを発現する細胞へのビオチン化ヒトプログラニュリン結合の阻害を示す。
【
図6E】
図6A~6Eは、抗ソルチリン抗体による、ソルチリンを発現する細胞へのビオチン化プログラニュリン結合の用量依存的阻害を示す。
図6A及び
図6Bは、ヒトソルチリンへのヒトプログラニュリン結合の抗体阻害を示す。
図6C及び
図6Dは、マウスソルチリンへのマウスプログラニュリン結合の抗体阻害を示す。
図6Eは、67nMの抗ソルチリン抗体による、ヒトソルチリンを発現する細胞へのビオチン化ヒトプログラニュリン結合の阻害を示す。
【
図7】HEK293T細胞上に発現されたソルチリンへのビオチン化プログラニュリンの結合に対する抗体組み合わせの相乗効果の試験を示す。S-49、S-64(ビン4)及びS-16(ビン1)をアイソタイプ対照抗体と組み合わせるか、これらを互いに組み合わせた。
【
図8A】プログラニュリン(PGRN)と競合するソルチリンプロペプチド10μMによる、蛍光標識PGRNの時間依存的結合、ならびにエンドサイトーシス及びその遮断に関するイメージングアッセイの結果を示す。ヒトソルチリン(hSort)またはlacZのいずれかをトランスフェクトした細胞をプログラニュリン(PGRN)とともに4、15、30または60分間インキュベートし、その後、撮像した。このアッセイは、ソルチリン(Sort)によるプログラニュリン(PGRN)の結合及びエンドサイトーシスを防ぐ抗ソルチリン抗体の能力を試験するように設計する。
【
図8B】ヒトソルチリンを発現する細胞によるPGRN-DyLight650の時間依存的結合及びエンドサイトーシスを示すFACSグラフの結果を示す。このアッセイは、ヒトソルチリンによる蛍光標識プログラニュリンの結合及びエンドサイトーシスを防ぐ抗ソルチリン抗体の能力を試験するように設計する。
【
図8C】マウスソルチリンを発現する細胞によるPGRN-DyLight650の時間依存的結合及びエンドサイトーシスを示すFACSグラフの結果を示す。このアッセイは、マウスソルチリンによる蛍光標識プログラニュリンの結合及びエンドサイトーシスを防ぐ抗ソルチリン抗体の能力を試験するように設計する。ヒトPGRN-DyLight650をヒトSort(
図8B)またはマウスSort(
図8C)または対照HEK293T細胞に添加し、結合した及びエンドサイトーシスされたPGRNの量をFACSによって定量する。
【
図8D】ヒトソルチリンによる蛍光標識PGRNの結合及びエンドサイトーシスを防ぐヒトPGRN阻害物質Sortプロペプチドの能力を示す、FACSアッセイの結果を示す。
【
図8E】マウスソルチリンによる蛍光標識PGRNの結合及びエンドサイトーシスを防ぐマウスPGRN阻害物質Sortプロペプチドの能力を示す、FACSアッセイの結果を示す。
【
図9A】
図9A~9Dは、内因性ヒトソルチリンを発現するヒトアストロサイト細胞株U-251の培地中のプログラニュリンの内因性分泌レベルを増加させる抗ソルチリン抗体の能力を示す、アッセイの結果を示す。
図9Aは、50nMの抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベートしたU-251細胞の結果を示す。
図9Bは、5nMの抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベートしたU-251細胞の結果を示す。
図9Cは、50nMの抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベートしたU-251細胞の結果を示す。
図9Dは、5nMの抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベートしたU-251細胞の結果を示す。培地中のプログラニュリンレベルは、ELISA分析によって定量した。2つの独立した実験の平均を示す。統計は、ANOVAを使用して実施した。星印は、プログラニュリンレベルを有意に上昇させる抗体を示す。
【
図9B】
図9A~9Dは、内因性ヒトソルチリンを発現するヒトアストロサイト細胞株U-251の培地中のプログラニュリンの内因性分泌レベルを増加させる抗ソルチリン抗体の能力を示す、アッセイの結果を示す。
図9Aは、50nMの抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベートしたU-251細胞の結果を示す。
図9Bは、5nMの抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベートしたU-251細胞の結果を示す。
図9Cは、50nMの抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベートしたU-251細胞の結果を示す。
図9Dは、5nMの抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベートしたU-251細胞の結果を示す。培地中のプログラニュリンレベルは、ELISA分析によって定量した。2つの独立した実験の平均を示す。統計は、ANOVAを使用して実施した。星印は、プログラニュリンレベルを有意に上昇させる抗体を示す。
【
図9C】
図9A~9Dは、内因性ヒトソルチリンを発現するヒトアストロサイト細胞株U-251の培地中のプログラニュリンの内因性分泌レベルを増加させる抗ソルチリン抗体の能力を示す、アッセイの結果を示す。
図9Aは、50nMの抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベートしたU-251細胞の結果を示す。
図9Bは、5nMの抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベートしたU-251細胞の結果を示す。
図9Cは、50nMの抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベートしたU-251細胞の結果を示す。
図9Dは、5nMの抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベートしたU-251細胞の結果を示す。培地中のプログラニュリンレベルは、ELISA分析によって定量した。2つの独立した実験の平均を示す。統計は、ANOVAを使用して実施した。星印は、プログラニュリンレベルを有意に上昇させる抗体を示す。
【
図9D】
図9A~9Dは、内因性ヒトソルチリンを発現するヒトアストロサイト細胞株U-251の培地中のプログラニュリンの内因性分泌レベルを増加させる抗ソルチリン抗体の能力を示す、アッセイの結果を示す。
図9Aは、50nMの抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベートしたU-251細胞の結果を示す。
図9Bは、5nMの抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベートしたU-251細胞の結果を示す。
図9Cは、50nMの抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベートしたU-251細胞の結果を示す。
図9Dは、5nMの抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベートしたU-251細胞の結果を示す。培地中のプログラニュリンレベルは、ELISA分析によって定量した。2つの独立した実験の平均を示す。統計は、ANOVAを使用して実施した。星印は、プログラニュリンレベルを有意に上昇させる抗体を示す。
【
図10A】
図10A~10Fは、ヒトU-251細胞またはマウスN2A細胞上のソルチリン細胞表面レベルに対する抗ソルチリン抗体の効果、及び内因性プログラニュリン(PGRN)の分泌レベルを用量依存的に増加させる対応する抗体の能力を示す。細胞を50nM 遮断IgGとともに72時間インキュベートし、回収し、試験抗体とは異なるソルチリン上の領域に結合する抗ソルチリン抗体で染色した。
図10Aは、X軸上に列挙した試験抗体で前処置したU-251細胞上のソルチリン細胞表面発現を、対照レベルに対するパーセント(%)として示す。灰色のバーは、ソルチリンの有意な減少を示した抗体を示し(ANOVA、p<0.05)、一方、白色のバーは、ソルチリンの減少を示さなかった抗体を示す。黒色のバーは、対照IgGを示す。
図10Bは、X軸上に列挙した試験抗体で前処置したN2A細胞上のソルチリン細胞表面発現を、対照レベルに対するパーセント(%)として示す。灰色のバーは、ソルチリンの有意な減少を示した抗体を示し(ANOVA、p<0.05)、一方、白色のバーは、ソルチリンの減少を示さなかった抗体を示す。黒色のバーは、対照IgGを示す。
図10C及び
図10Dは、異なる濃度の抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベートしたU-251細胞の細胞表面ソルチリンレベルを示す。抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞表面発現の用量依存的な減少を誘導する。ソルチリンレベルの減少は、ソルチリンに対するS-20抗体結合の蛍光強度(MFI)の減少によって示される。
図10Eは、列挙した抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベートした
図10BのU-251細胞の培地中の対応するPGRNレベルのELISA分析による定量を示す。ソルチリン細胞表面レベルを減少させる抗ソルチリン抗体は、細胞外PGRNレベルの用量依存的増加ももたらす。
図10Fは、抗ソルチリン抗体によって誘導されたソルチリンの細胞表面レベルの減少と、プログラニュリン(PGRN)の細胞外レベルの増加との間の相関を示す。
【
図10B】
図10A~10Fは、ヒトU-251細胞またはマウスN2A細胞上のソルチリン細胞表面レベルに対する抗ソルチリン抗体の効果、及び内因性プログラニュリン(PGRN)の分泌レベルを用量依存的に増加させる対応する抗体の能力を示す。細胞を50nM 遮断IgGとともに72時間インキュベートし、回収し、試験抗体とは異なるソルチリン上の領域に結合する抗ソルチリン抗体で染色した。
図10Aは、X軸上に列挙した試験抗体で前処置したU-251細胞上のソルチリン細胞表面発現を、対照レベルに対するパーセント(%)として示す。灰色のバーは、ソルチリンの有意な減少を示した抗体を示し(ANOVA、p<0.05)、一方、白色のバーは、ソルチリンの減少を示さなかった抗体を示す。黒色のバーは、対照IgGを示す。
図10Bは、X軸上に列挙した試験抗体で前処置したN2A細胞上のソルチリン細胞表面発現を、対照レベルに対するパーセント(%)として示す。灰色のバーは、ソルチリンの有意な減少を示した抗体を示し(ANOVA、p<0.05)、一方、白色のバーは、ソルチリンの減少を示さなかった抗体を示す。黒色のバーは、対照IgGを示す。
図10C及び
図10Dは、異なる濃度の抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベートしたU-251細胞の細胞表面ソルチリンレベルを示す。抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞表面発現の用量依存的な減少を誘導する。ソルチリンレベルの減少は、ソルチリンに対するS-20抗体結合の蛍光強度(MFI)の減少によって示される。
図10Eは、列挙した抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベートした
図10BのU-251細胞の培地中の対応するPGRNレベルのELISA分析による定量を示す。ソルチリン細胞表面レベルを減少させる抗ソルチリン抗体は、細胞外PGRNレベルの用量依存的増加ももたらす。
図10Fは、抗ソルチリン抗体によって誘導されたソルチリンの細胞表面レベルの減少と、プログラニュリン(PGRN)の細胞外レベルの増加との間の相関を示す。
【
図10C】
図10A~10Fは、ヒトU-251細胞またはマウスN2A細胞上のソルチリン細胞表面レベルに対する抗ソルチリン抗体の効果、及び内因性プログラニュリン(PGRN)の分泌レベルを用量依存的に増加させる対応する抗体の能力を示す。細胞を50nM 遮断IgGとともに72時間インキュベートし、回収し、試験抗体とは異なるソルチリン上の領域に結合する抗ソルチリン抗体で染色した。
図10Aは、X軸上に列挙した試験抗体で前処置したU-251細胞上のソルチリン細胞表面発現を、対照レベルに対するパーセント(%)として示す。灰色のバーは、ソルチリンの有意な減少を示した抗体を示し(ANOVA、p<0.05)、一方、白色のバーは、ソルチリンの減少を示さなかった抗体を示す。黒色のバーは、対照IgGを示す。
図10Bは、X軸上に列挙した試験抗体で前処置したN2A細胞上のソルチリン細胞表面発現を、対照レベルに対するパーセント(%)として示す。灰色のバーは、ソルチリンの有意な減少を示した抗体を示し(ANOVA、p<0.05)、一方、白色のバーは、ソルチリンの減少を示さなかった抗体を示す。黒色のバーは、対照IgGを示す。
図10C及び
図10Dは、異なる濃度の抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベートしたU-251細胞の細胞表面ソルチリンレベルを示す。抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞表面発現の用量依存的な減少を誘導する。ソルチリンレベルの減少は、ソルチリンに対するS-20抗体結合の蛍光強度(MFI)の減少によって示される。
図10Eは、列挙した抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベートした
図10BのU-251細胞の培地中の対応するPGRNレベルのELISA分析による定量を示す。ソルチリン細胞表面レベルを減少させる抗ソルチリン抗体は、細胞外PGRNレベルの用量依存的増加ももたらす。
図10Fは、抗ソルチリン抗体によって誘導されたソルチリンの細胞表面レベルの減少と、プログラニュリン(PGRN)の細胞外レベルの増加との間の相関を示す。
【
図10D】
図10A~10Fは、ヒトU-251細胞またはマウスN2A細胞上のソルチリン細胞表面レベルに対する抗ソルチリン抗体の効果、及び内因性プログラニュリン(PGRN)の分泌レベルを用量依存的に増加させる対応する抗体の能力を示す。細胞を50nM 遮断IgGとともに72時間インキュベートし、回収し、試験抗体とは異なるソルチリン上の領域に結合する抗ソルチリン抗体で染色した。
図10Aは、X軸上に列挙した試験抗体で前処置したU-251細胞上のソルチリン細胞表面発現を、対照レベルに対するパーセント(%)として示す。灰色のバーは、ソルチリンの有意な減少を示した抗体を示し(ANOVA、p<0.05)、一方、白色のバーは、ソルチリンの減少を示さなかった抗体を示す。黒色のバーは、対照IgGを示す。
図10Bは、X軸上に列挙した試験抗体で前処置したN2A細胞上のソルチリン細胞表面発現を、対照レベルに対するパーセント(%)として示す。灰色のバーは、ソルチリンの有意な減少を示した抗体を示し(ANOVA、p<0.05)、一方、白色のバーは、ソルチリンの減少を示さなかった抗体を示す。黒色のバーは、対照IgGを示す。
図10C及び
図10Dは、異なる濃度の抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベートしたU-251細胞の細胞表面ソルチリンレベルを示す。抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞表面発現の用量依存的な減少を誘導する。ソルチリンレベルの減少は、ソルチリンに対するS-20抗体結合の蛍光強度(MFI)の減少によって示される。
図10Eは、列挙した抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベートした
図10BのU-251細胞の培地中の対応するPGRNレベルのELISA分析による定量を示す。ソルチリン細胞表面レベルを減少させる抗ソルチリン抗体は、細胞外PGRNレベルの用量依存的増加ももたらす。
図10Fは、抗ソルチリン抗体によって誘導されたソルチリンの細胞表面レベルの減少と、プログラニュリン(PGRN)の細胞外レベルの増加との間の相関を示す。
【
図10E-1】
図10A~10Fは、ヒトU-251細胞またはマウスN2A細胞上のソルチリン細胞表面レベルに対する抗ソルチリン抗体の効果、及び内因性プログラニュリン(PGRN)の分泌レベルを用量依存的に増加させる対応する抗体の能力を示す。細胞を50nM 遮断IgGとともに72時間インキュベートし、回収し、試験抗体とは異なるソルチリン上の領域に結合する抗ソルチリン抗体で染色した。
図10Aは、X軸上に列挙した試験抗体で前処置したU-251細胞上のソルチリン細胞表面発現を、対照レベルに対するパーセント(%)として示す。灰色のバーは、ソルチリンの有意な減少を示した抗体を示し(ANOVA、p<0.05)、一方、白色のバーは、ソルチリンの減少を示さなかった抗体を示す。黒色のバーは、対照IgGを示す。
図10Bは、X軸上に列挙した試験抗体で前処置したN2A細胞上のソルチリン細胞表面発現を、対照レベルに対するパーセント(%)として示す。灰色のバーは、ソルチリンの有意な減少を示した抗体を示し(ANOVA、p<0.05)、一方、白色のバーは、ソルチリンの減少を示さなかった抗体を示す。黒色のバーは、対照IgGを示す。
図10C及び
図10Dは、異なる濃度の抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベートしたU-251細胞の細胞表面ソルチリンレベルを示す。抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞表面発現の用量依存的な減少を誘導する。ソルチリンレベルの減少は、ソルチリンに対するS-20抗体結合の蛍光強度(MFI)の減少によって示される。
図10Eは、列挙した抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベートした
図10BのU-251細胞の培地中の対応するPGRNレベルのELISA分析による定量を示す。ソルチリン細胞表面レベルを減少させる抗ソルチリン抗体は、細胞外PGRNレベルの用量依存的増加ももたらす。
図10Fは、抗ソルチリン抗体によって誘導されたソルチリンの細胞表面レベルの減少と、プログラニュリン(PGRN)の細胞外レベルの増加との間の相関を示す。
【
図10E-2】
図10A~10Fは、ヒトU-251細胞またはマウスN2A細胞上のソルチリン細胞表面レベルに対する抗ソルチリン抗体の効果、及び内因性プログラニュリン(PGRN)の分泌レベルを用量依存的に増加させる対応する抗体の能力を示す。細胞を50nM 遮断IgGとともに72時間インキュベートし、回収し、試験抗体とは異なるソルチリン上の領域に結合する抗ソルチリン抗体で染色した。
図10Aは、X軸上に列挙した試験抗体で前処置したU-251細胞上のソルチリン細胞表面発現を、対照レベルに対するパーセント(%)として示す。灰色のバーは、ソルチリンの有意な減少を示した抗体を示し(ANOVA、p<0.05)、一方、白色のバーは、ソルチリンの減少を示さなかった抗体を示す。黒色のバーは、対照IgGを示す。
図10Bは、X軸上に列挙した試験抗体で前処置したN2A細胞上のソルチリン細胞表面発現を、対照レベルに対するパーセント(%)として示す。灰色のバーは、ソルチリンの有意な減少を示した抗体を示し(ANOVA、p<0.05)、一方、白色のバーは、ソルチリンの減少を示さなかった抗体を示す。黒色のバーは、対照IgGを示す。
図10C及び
図10Dは、異なる濃度の抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベートしたU-251細胞の細胞表面ソルチリンレベルを示す。抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞表面発現の用量依存的な減少を誘導する。ソルチリンレベルの減少は、ソルチリンに対するS-20抗体結合の蛍光強度(MFI)の減少によって示される。
図10Eは、列挙した抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベートした
図10BのU-251細胞の培地中の対応するPGRNレベルのELISA分析による定量を示す。ソルチリン細胞表面レベルを減少させる抗ソルチリン抗体は、細胞外PGRNレベルの用量依存的増加ももたらす。
図10Fは、抗ソルチリン抗体によって誘導されたソルチリンの細胞表面レベルの減少と、プログラニュリン(PGRN)の細胞外レベルの増加との間の相関を示す。
【
図10F】
図10A~10Fは、ヒトU-251細胞またはマウスN2A細胞上のソルチリン細胞表面レベルに対する抗ソルチリン抗体の効果、及び内因性プログラニュリン(PGRN)の分泌レベルを用量依存的に増加させる対応する抗体の能力を示す。細胞を50nM 遮断IgGとともに72時間インキュベートし、回収し、試験抗体とは異なるソルチリン上の領域に結合する抗ソルチリン抗体で染色した。
図10Aは、X軸上に列挙した試験抗体で前処置したU-251細胞上のソルチリン細胞表面発現を、対照レベルに対するパーセント(%)として示す。灰色のバーは、ソルチリンの有意な減少を示した抗体を示し(ANOVA、p<0.05)、一方、白色のバーは、ソルチリンの減少を示さなかった抗体を示す。黒色のバーは、対照IgGを示す。
図10Bは、X軸上に列挙した試験抗体で前処置したN2A細胞上のソルチリン細胞表面発現を、対照レベルに対するパーセント(%)として示す。灰色のバーは、ソルチリンの有意な減少を示した抗体を示し(ANOVA、p<0.05)、一方、白色のバーは、ソルチリンの減少を示さなかった抗体を示す。黒色のバーは、対照IgGを示す。
図10C及び
図10Dは、異なる濃度の抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベートしたU-251細胞の細胞表面ソルチリンレベルを示す。抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞表面発現の用量依存的な減少を誘導する。ソルチリンレベルの減少は、ソルチリンに対するS-20抗体結合の蛍光強度(MFI)の減少によって示される。
図10Eは、列挙した抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベートした
図10BのU-251細胞の培地中の対応するPGRNレベルのELISA分析による定量を示す。ソルチリン細胞表面レベルを減少させる抗ソルチリン抗体は、細胞外PGRNレベルの用量依存的増加ももたらす。
図10Fは、抗ソルチリン抗体によって誘導されたソルチリンの細胞表面レベルの減少と、プログラニュリン(PGRN)の細胞外レベルの増加との間の相関を示す。
【
図11A】
図11A~11Fは、アルツハイマー病のTg2576マウスモデルにおいて、抗ソルチリン抗体の注入が脳プログラニュリンの内因性レベルを数倍上昇させることを示す結果を示す。
図11Aは、ICV注入の部位とは反対側の種々の脳領域のプログラニュリンレベルを示す。
図11Bは、ICV注入の部位と同じ側の種々の脳領域のプログラニュリンレベルを示す。種々の脳領域は、海馬(Hip)、前頭皮質(F Ctx)及び後頭皮質(R Ctx)である。14ヶ月齢のTg2576マウスに、緩衝液、ヤギIgGまたはヤギ抗ソルチリンポリクローナル抗体をICV注入した(n=3/群)。
図11Cは、3つの異なる脳領域における抗ソルチリン抗体のレベルを示す。
図11Dは、抗ソルチリン抗体レベルと内因性プログラニュリン(PGRN)レベルとの間の強い正の相関を示す(r
2=0.92)。より高いレベルの抗ソルチリン抗体は、用量依存的に脳PGRNの増加をもたらす。
図11Fは、抗ソルチリン抗体によるICV注入後の可溶性タンパク質画分中のAβ42ペプチドのレベルを示す。
【
図11B】
図11A~11Fは、アルツハイマー病のTg2576マウスモデルにおいて、抗ソルチリン抗体の注入が脳プログラニュリンの内因性レベルを数倍上昇させることを示す結果を示す。
図11Aは、ICV注入の部位とは反対側の種々の脳領域のプログラニュリンレベルを示す。
図11Bは、ICV注入の部位と同じ側の種々の脳領域のプログラニュリンレベルを示す。種々の脳領域は、海馬(Hip)、前頭皮質(F Ctx)及び後頭皮質(R Ctx)である。14ヶ月齢のTg2576マウスに、緩衝液、ヤギIgGまたはヤギ抗ソルチリンポリクローナル抗体をICV注入した(n=3/群)。
図11Cは、3つの異なる脳領域における抗ソルチリン抗体のレベルを示す。
図11Dは、抗ソルチリン抗体レベルと内因性プログラニュリン(PGRN)レベルとの間の強い正の相関を示す(r
2=0.92)。より高いレベルの抗ソルチリン抗体は、用量依存的に脳PGRNの増加をもたらす。
図11Fは、抗ソルチリン抗体によるICV注入後の可溶性タンパク質画分中のAβ42ペプチドのレベルを示す。
【
図11C】
図11A~11Fは、アルツハイマー病のTg2576マウスモデルにおいて、抗ソルチリン抗体の注入が脳プログラニュリンの内因性レベルを数倍上昇させることを示す結果を示す。
図11Aは、ICV注入の部位とは反対側の種々の脳領域のプログラニュリンレベルを示す。
図11Bは、ICV注入の部位と同じ側の種々の脳領域のプログラニュリンレベルを示す。種々の脳領域は、海馬(Hip)、前頭皮質(F Ctx)及び後頭皮質(R Ctx)である。14ヶ月齢のTg2576マウスに、緩衝液、ヤギIgGまたはヤギ抗ソルチリンポリクローナル抗体をICV注入した(n=3/群)。
図11Cは、3つの異なる脳領域における抗ソルチリン抗体のレベルを示す。
図11Dは、抗ソルチリン抗体レベルと内因性プログラニュリン(PGRN)レベルとの間の強い正の相関を示す(r
2=0.92)。より高いレベルの抗ソルチリン抗体は、用量依存的に脳PGRNの増加をもたらす。
図11Fは、抗ソルチリン抗体によるICV注入後の可溶性タンパク質画分中のAβ42ペプチドのレベルを示す。
【
図11D】
図11A~11Fは、アルツハイマー病のTg2576マウスモデルにおいて、抗ソルチリン抗体の注入が脳プログラニュリンの内因性レベルを数倍上昇させることを示す結果を示す。
図11Aは、ICV注入の部位とは反対側の種々の脳領域のプログラニュリンレベルを示す。
図11Bは、ICV注入の部位と同じ側の種々の脳領域のプログラニュリンレベルを示す。種々の脳領域は、海馬(Hip)、前頭皮質(F Ctx)及び後頭皮質(R Ctx)である。14ヶ月齢のTg2576マウスに、緩衝液、ヤギIgGまたはヤギ抗ソルチリンポリクローナル抗体をICV注入した(n=3/群)。
図11Cは、3つの異なる脳領域における抗ソルチリン抗体のレベルを示す。
図11Dは、抗ソルチリン抗体レベルと内因性プログラニュリン(PGRN)レベルとの間の強い正の相関を示す(r
2=0.92)。より高いレベルの抗ソルチリン抗体は、用量依存的に脳PGRNの増加をもたらす。
図11Fは、抗ソルチリン抗体によるICV注入後の可溶性タンパク質画分中のAβ42ペプチドのレベルを示す。
【
図11E】
図11A~11Fは、アルツハイマー病のTg2576マウスモデルにおいて、抗ソルチリン抗体の注入が脳プログラニュリンの内因性レベルを数倍上昇させることを示す結果を示す。
図11Aは、ICV注入の部位とは反対側の種々の脳領域のプログラニュリンレベルを示す。
図11Bは、ICV注入の部位と同じ側の種々の脳領域のプログラニュリンレベルを示す。種々の脳領域は、海馬(Hip)、前頭皮質(F Ctx)及び後頭皮質(R Ctx)である。14ヶ月齢のTg2576マウスに、緩衝液、ヤギIgGまたはヤギ抗ソルチリンポリクローナル抗体をICV注入した(n=3/群)。
図11Cは、3つの異なる脳領域における抗ソルチリン抗体のレベルを示す。
図11Dは、抗ソルチリン抗体レベルと内因性プログラニュリン(PGRN)レベルとの間の強い正の相関を示す(r
2=0.92)。より高いレベルの抗ソルチリン抗体は、用量依存的に脳PGRNの増加をもたらす。
図11Fは、抗ソルチリン抗体によるICV注入後の可溶性タンパク質画分中のAβ42ペプチドのレベルを示す。
【
図11F】
図11A~11Fは、アルツハイマー病のTg2576マウスモデルにおいて、抗ソルチリン抗体の注入が脳プログラニュリンの内因性レベルを数倍上昇させることを示す結果を示す。
図11Aは、ICV注入の部位とは反対側の種々の脳領域のプログラニュリンレベルを示す。
図11Bは、ICV注入の部位と同じ側の種々の脳領域のプログラニュリンレベルを示す。種々の脳領域は、海馬(Hip)、前頭皮質(F Ctx)及び後頭皮質(R Ctx)である。14ヶ月齢のTg2576マウスに、緩衝液、ヤギIgGまたはヤギ抗ソルチリンポリクローナル抗体をICV注入した(n=3/群)。
図11Cは、3つの異なる脳領域における抗ソルチリン抗体のレベルを示す。
図11Dは、抗ソルチリン抗体レベルと内因性プログラニュリン(PGRN)レベルとの間の強い正の相関を示す(r
2=0.92)。より高いレベルの抗ソルチリン抗体は、用量依存的に脳PGRNの増加をもたらす。
図11Fは、抗ソルチリン抗体によるICV注入後の可溶性タンパク質画分中のAβ42ペプチドのレベルを示す。
【
図12A】ソルチリンへの結合について、pro-NGFと抗ソルチリン抗体との間の競合をモニターする、表面プラズモン共鳴(SPR)biacoreアッセイを示す。アッセイは、Biacoreチップに捕捉されたヒトソルチリン、続いて、ソルチリンへのpro-NGFの結合、続いて、ソルチリンへの抗ソルチリン抗体の結合を示す。
【
図12B】非遮断対照を示す。pro-NGF及び所与の抗ソルチリン抗体がソルチリン上の同じ領域に結合するのであれば、pro-NGFの結合は、後続の抗ソルチリン抗体の結合を阻害するであろう。したがって、
図12Bに示すように、所与の抗体がpro-NGFの存在下(破線)または非存在下(実線)でソルチリンに同じ程度で結合する場合、かかる抗体はソルチリンへのpro-NGF結合を遮断しない。
図12Cは、pro-NGFの存在下(破線)または非存在下(実線)における抗ソルチリン抗体のソルチリンへの結合を示す。示した抗体は、ソルチリンに結合したpro-NGFの存在によって部分的に遮断される。抗体S-1及びS-65は、強く影響を受ける。実線は、pro-NGFの非存在下における抗体のソルチリンへの結合に対応する。破線は、pro-NGFの存在下における抗体のソルチリンへの結合に対応する。灰色の線は、pro-NGFの存在下におけるpro-NGFのソルチリンへの結合に対応する(最大競合)。
【
図12C-1】非遮断対照を示す。pro-NGF及び所与の抗ソルチリン抗体がソルチリン上の同じ領域に結合するのであれば、pro-NGFの結合は、後続の抗ソルチリン抗体の結合を阻害するであろう。したがって、
図12Bに示すように、所与の抗体がpro-NGFの存在下(破線)または非存在下(実線)でソルチリンに同じ程度で結合する場合、かかる抗体はソルチリンへのpro-NGF結合を遮断しない。
図12Cは、pro-NGFの存在下(破線)または非存在下(実線)における抗ソルチリン抗体のソルチリンへの結合を示す。示した抗体は、ソルチリンに結合したpro-NGFの存在によって部分的に遮断される。抗体S-1及びS-65は、強く影響を受ける。実線は、pro-NGFの非存在下における抗体のソルチリンへの結合に対応する。破線は、pro-NGFの存在下における抗体のソルチリンへの結合に対応する。灰色の線は、pro-NGFの存在下におけるpro-NGFのソルチリンへの結合に対応する(最大競合)。
【
図12C-2】非遮断対照を示す。pro-NGF及び所与の抗ソルチリン抗体がソルチリン上の同じ領域に結合するのであれば、pro-NGFの結合は、後続の抗ソルチリン抗体の結合を阻害するであろう。したがって、
図12Bに示すように、所与の抗体がpro-NGFの存在下(破線)または非存在下(実線)でソルチリンに同じ程度で結合する場合、かかる抗体はソルチリンへのpro-NGF結合を遮断しない。
図12Cは、pro-NGFの存在下(破線)または非存在下(実線)における抗ソルチリン抗体のソルチリンへの結合を示す。示した抗体は、ソルチリンに結合したpro-NGFの存在によって部分的に遮断される。抗体S-1及びS-65は、強く影響を受ける。実線は、pro-NGFの非存在下における抗体のソルチリンへの結合に対応する。破線は、pro-NGFの存在下における抗体のソルチリンへの結合に対応する。灰色の線は、pro-NGFの存在下におけるpro-NGFのソルチリンへの結合に対応する(最大競合)。
【
図13A】
図13A~13Gは、20nM、5nMまたは1.25nMの濃度で抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベーションした後のソルチリン細胞表面発現のレベルを示す。
図13A、
図13B、
図13C及び
図13Dは、ヒトU-251細胞上のソルチリン細胞表面発現を示す。
図13E、
図13F及び
図13Gは、マウスN2A細胞上のソルチリン細胞表面発現を示す。結果は、親和性成熟抗体が、特に1.25nMの最低濃度で使用されたときに、ソルチリンの細胞表面レベルの減少の増大を誘導したことを示している。
【
図13B】
図13A~13Gは、20nM、5nMまたは1.25nMの濃度で抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベーションした後のソルチリン細胞表面発現のレベルを示す。
図13A、
図13B、
図13C及び
図13Dは、ヒトU-251細胞上のソルチリン細胞表面発現を示す。
図13E、
図13F及び
図13Gは、マウスN2A細胞上のソルチリン細胞表面発現を示す。結果は、親和性成熟抗体が、特に1.25nMの最低濃度で使用されたときに、ソルチリンの細胞表面レベルの減少の増大を誘導したことを示している。
【
図13C】
図13A~13Gは、20nM、5nMまたは1.25nMの濃度で抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベーションした後のソルチリン細胞表面発現のレベルを示す。
図13A、
図13B、
図13C及び
図13Dは、ヒトU-251細胞上のソルチリン細胞表面発現を示す。
図13E、
図13F及び
図13Gは、マウスN2A細胞上のソルチリン細胞表面発現を示す。結果は、親和性成熟抗体が、特に1.25nMの最低濃度で使用されたときに、ソルチリンの細胞表面レベルの減少の増大を誘導したことを示している。
【
図13D】
図13A~13Gは、20nM、5nMまたは1.25nMの濃度で抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベーションした後のソルチリン細胞表面発現のレベルを示す。
図13A、
図13B、
図13C及び
図13Dは、ヒトU-251細胞上のソルチリン細胞表面発現を示す。
図13E、
図13F及び
図13Gは、マウスN2A細胞上のソルチリン細胞表面発現を示す。結果は、親和性成熟抗体が、特に1.25nMの最低濃度で使用されたときに、ソルチリンの細胞表面レベルの減少の増大を誘導したことを示している。
【
図13E】
図13A~13Gは、20nM、5nMまたは1.25nMの濃度で抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベーションした後のソルチリン細胞表面発現のレベルを示す。
図13A、
図13B、
図13C及び
図13Dは、ヒトU-251細胞上のソルチリン細胞表面発現を示す。
図13E、
図13F及び
図13Gは、マウスN2A細胞上のソルチリン細胞表面発現を示す。結果は、親和性成熟抗体が、特に1.25nMの最低濃度で使用されたときに、ソルチリンの細胞表面レベルの減少の増大を誘導したことを示している。
【
図13F】
図13A~13Gは、20nM、5nMまたは1.25nMの濃度で抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベーションした後のソルチリン細胞表面発現のレベルを示す。
図13A、
図13B、
図13C及び
図13Dは、ヒトU-251細胞上のソルチリン細胞表面発現を示す。
図13E、
図13F及び
図13Gは、マウスN2A細胞上のソルチリン細胞表面発現を示す。結果は、親和性成熟抗体が、特に1.25nMの最低濃度で使用されたときに、ソルチリンの細胞表面レベルの減少の増大を誘導したことを示している。
【
図13G】
図13A~13Gは、20nM、5nMまたは1.25nMの濃度で抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベーションした後のソルチリン細胞表面発現のレベルを示す。
図13A、
図13B、
図13C及び
図13Dは、ヒトU-251細胞上のソルチリン細胞表面発現を示す。
図13E、
図13F及び
図13Gは、マウスN2A細胞上のソルチリン細胞表面発現を示す。結果は、親和性成熟抗体が、特に1.25nMの最低濃度で使用されたときに、ソルチリンの細胞表面レベルの減少の増大を誘導したことを示している。
【
図14】抗体S-15に由来する親和性成熟抗ソルチリン抗体150nMによる、ソルチリンを発現するHEK293T細胞に対するプログラニュリンの結合阻害(PGRN遮断率(%))を示す。親和性成熟抗体S-15-6は、PGRN遮断の改善を示した。
【
図15A】
図15A及び
図15Bは、ソルチリン消化に由来するペプチドの非存在下(
図15A)または存在下(
図15B)における抗体S-2-11のソルチリンへの結合の質量分析プロファイルを示す。ペプチドは、ソルチリンへの抗体結合と競合しなかった。ペプチド競合の同様の欠如が他の抗ソルチリン抗体についても観察された。
【
図15B】
図15A及び
図15Bは、ソルチリン消化に由来するペプチドの非存在下(
図15A)または存在下(
図15B)における抗体S-2-11のソルチリンへの結合の質量分析プロファイルを示す。ペプチドは、ソルチリンへの抗体結合と競合しなかった。ペプチド競合の同様の欠如が他の抗ソルチリン抗体についても観察された。
【
図16A】ソルチリンの酵素的タンパク質分解後のペプチド範囲の概略図を示す。タンパク質分解によって生成されたペプチドには、ソルチリン細胞外ドメイン(ECD)(配列番号714)の94.78%が含まれた。
【
図16B】ヒトアミノ酸をマウスソルチリンアミノ酸に置換した特定のソルチリン変異体へのS-30抗体の結合減少を示す。結果は、S-30結合がアミノ酸HVPLVIMT131またはそのサブセットを必要とすることを示している。
【
図16C】ヒトアミノ酸をマウスソルチリンアミノ酸に置換した特定のソルチリン変異体へのS-60抗体の結合減少を示す。結果は、S-60結合がS595アミノ酸を必要とすることを示した。
【
図17A】
図17A~17Eは、表面プラズモン共鳴トレースを示す。
図17Aは、ニューロテンシン(NTS)の存在下または非存在下におけるプログラニュリン(PGRN)のソルチリンへの結合レベルを示す。
図17Bは、NTSの存在下または非存在下における抗ソルチリン抗体S-15のソルチリンへの結合レベルを示す。
図17Cは、NTSの存在下または非存在下における抗ソルチリン抗体S-22のソルチリンへの結合レベルを示す。
図17Dは、NTSの存在下または非存在下における抗ソルチリン抗体S-49のソルチリンへの結合レベルを示す。
図17Eは、NTSの存在下または非存在下における抗ソルチリン抗体S-60のソルチリンへの結合レベルを示す。NTSは、抗体のソルチリンへの結合に影響しなかった。これは、抗ソルチリン抗体がNTS結合部位に結合しないことを示す。
【
図17B】
図17A~17Eは、表面プラズモン共鳴トレースを示す。
図17Aは、ニューロテンシン(NTS)の存在下または非存在下におけるプログラニュリン(PGRN)のソルチリンへの結合レベルを示す。
図17Bは、NTSの存在下または非存在下における抗ソルチリン抗体S-15のソルチリンへの結合レベルを示す。
図17Cは、NTSの存在下または非存在下における抗ソルチリン抗体S-22のソルチリンへの結合レベルを示す。
図17Dは、NTSの存在下または非存在下における抗ソルチリン抗体S-49のソルチリンへの結合レベルを示す。
図17Eは、NTSの存在下または非存在下における抗ソルチリン抗体S-60のソルチリンへの結合レベルを示す。NTSは、抗体のソルチリンへの結合に影響しなかった。これは、抗ソルチリン抗体がNTS結合部位に結合しないことを示す。
【
図17C】
図17A~17Eは、表面プラズモン共鳴トレースを示す。
図17Aは、ニューロテンシン(NTS)の存在下または非存在下におけるプログラニュリン(PGRN)のソルチリンへの結合レベルを示す。
図17Bは、NTSの存在下または非存在下における抗ソルチリン抗体S-15のソルチリンへの結合レベルを示す。
図17Cは、NTSの存在下または非存在下における抗ソルチリン抗体S-22のソルチリンへの結合レベルを示す。
図17Dは、NTSの存在下または非存在下における抗ソルチリン抗体S-49のソルチリンへの結合レベルを示す。
図17Eは、NTSの存在下または非存在下における抗ソルチリン抗体S-60のソルチリンへの結合レベルを示す。NTSは、抗体のソルチリンへの結合に影響しなかった。これは、抗ソルチリン抗体がNTS結合部位に結合しないことを示す。
【
図17D】
図17A~17Eは、表面プラズモン共鳴トレースを示す。
図17Aは、ニューロテンシン(NTS)の存在下または非存在下におけるプログラニュリン(PGRN)のソルチリンへの結合レベルを示す。
図17Bは、NTSの存在下または非存在下における抗ソルチリン抗体S-15のソルチリンへの結合レベルを示す。
図17Cは、NTSの存在下または非存在下における抗ソルチリン抗体S-22のソルチリンへの結合レベルを示す。
図17Dは、NTSの存在下または非存在下における抗ソルチリン抗体S-49のソルチリンへの結合レベルを示す。
図17Eは、NTSの存在下または非存在下における抗ソルチリン抗体S-60のソルチリンへの結合レベルを示す。NTSは、抗体のソルチリンへの結合に影響しなかった。これは、抗ソルチリン抗体がNTS結合部位に結合しないことを示す。
【
図17E】
図17A~17Eは、表面プラズモン共鳴トレースを示す。
図17Aは、ニューロテンシン(NTS)の存在下または非存在下におけるプログラニュリン(PGRN)のソルチリンへの結合レベルを示す。
図17Bは、NTSの存在下または非存在下における抗ソルチリン抗体S-15のソルチリンへの結合レベルを示す。
図17Cは、NTSの存在下または非存在下における抗ソルチリン抗体S-22のソルチリンへの結合レベルを示す。
図17Dは、NTSの存在下または非存在下における抗ソルチリン抗体S-49のソルチリンへの結合レベルを示す。
図17Eは、NTSの存在下または非存在下における抗ソルチリン抗体S-60のソルチリンへの結合レベルを示す。NTSは、抗体のソルチリンへの結合に影響しなかった。これは、抗ソルチリン抗体がNTS結合部位に結合しないことを示す。
【
図18A】抗ソルチリン抗体の全長抗体(IgG)及び抗体Fabの両方によるヒト初代マクロファージにおけるソルチリンタンパク質のレベル減少を示す。
【
図18B】全長抗体(IgG)によるヒト初代樹状細胞におけるソルチリンタンパク質のレベル減少を示す。15μgのタンパク質をゲルに充填し、ブロッティングし、ソルチリン及びβアクチンに対する抗体で染色した。
【
図19A】
図19A及び19Bは、0日目に40mg/kgの腹腔内(IP)注射をした後のin vivoにおける抗ソルチリン抗体の半減期の測定を示す。
図19Aは、ヒト抗ソルチリンIgG1 N297A抗体の注射を示す(n=4~5匹/群)。
図19Bは、マウス抗ソルチリンIgG1 N297A抗体の注射を示す。データは、1フェーズ減衰機能を使用してフィッティングした(Graph Pad Prism)。抗ソルチリン抗体は、対照IgGよりも短い半減期を有する。
【
図19B】
図19A及び19Bは、0日目に40mg/kgの腹腔内(IP)注射をした後のin vivoにおける抗ソルチリン抗体の半減期の測定を示す。
図19Aは、ヒト抗ソルチリンIgG1 N297A抗体の注射を示す(n=4~5匹/群)。
図19Bは、マウス抗ソルチリンIgG1 N297A抗体の注射を示す。データは、1フェーズ減衰機能を使用してフィッティングした(Graph Pad Prism)。抗ソルチリン抗体は、対照IgGよりも短い半減期を有する。
【
図20A】
図20A~20Dは、抗ソルチリン抗体40mg/kgを注射した後の種々の時間におけるマウス血漿試料中のマウスプログラニュリン(PGRN)タンパク質レベルの測定を示す。
図20A及び
図20Bは、マウス抗ソルチリンIgG1 N297A抗体での結果を示す。
図20C及び
図20Dは、ヒト抗ソルチリンIgG1 N297A抗体での結果を示す。
図20B及び
図20Dは、テューキー事後検定を伴う一元配置ANOVAを使用した統計解析の要約である。星印は、msまたはhu IgG1アイソタイプ対照群と比較した有意レベルを示す:
*p<0.05、
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001。抗ソルチリン抗体は、血漿PGRNタンパク質レベルの増加を誘導し、効果の持続期間は抗体半減期に相関する。
【
図20B】
図20A~20Dは、抗ソルチリン抗体40mg/kgを注射した後の種々の時間におけるマウス血漿試料中のマウスプログラニュリン(PGRN)タンパク質レベルの測定を示す。
図20A及び
図20Bは、マウス抗ソルチリンIgG1 N297A抗体での結果を示す。
図20C及び
図20Dは、ヒト抗ソルチリンIgG1 N297A抗体での結果を示す。
図20B及び
図20Dは、テューキー事後検定を伴う一元配置ANOVAを使用した統計解析の要約である。星印は、msまたはhu IgG1アイソタイプ対照群と比較した有意レベルを示す:
*p<0.05、
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001。抗ソルチリン抗体は、血漿PGRNタンパク質レベルの増加を誘導し、効果の持続期間は抗体半減期に相関する。
【
図20C】
図20A~20Dは、抗ソルチリン抗体40mg/kgを注射した後の種々の時間におけるマウス血漿試料中のマウスプログラニュリン(PGRN)タンパク質レベルの測定を示す。
図20A及び
図20Bは、マウス抗ソルチリンIgG1 N297A抗体での結果を示す。
図20C及び
図20Dは、ヒト抗ソルチリンIgG1 N297A抗体での結果を示す。
図20B及び
図20Dは、テューキー事後検定を伴う一元配置ANOVAを使用した統計解析の要約である。星印は、msまたはhu IgG1アイソタイプ対照群と比較した有意レベルを示す:
*p<0.05、
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001。抗ソルチリン抗体は、血漿PGRNタンパク質レベルの増加を誘導し、効果の持続期間は抗体半減期に相関する。
【
図20D】
図20A~20Dは、抗ソルチリン抗体40mg/kgを注射した後の種々の時間におけるマウス血漿試料中のマウスプログラニュリン(PGRN)タンパク質レベルの測定を示す。
図20A及び
図20Bは、マウス抗ソルチリンIgG1 N297A抗体での結果を示す。
図20C及び
図20Dは、ヒト抗ソルチリンIgG1 N297A抗体での結果を示す。
図20B及び
図20Dは、テューキー事後検定を伴う一元配置ANOVAを使用した統計解析の要約である。星印は、msまたはhu IgG1アイソタイプ対照群と比較した有意レベルを示す:
*p<0.05、
**p<0.01、
***p<0.001、
****p<0.0001。抗ソルチリン抗体は、血漿PGRNタンパク質レベルの増加を誘導し、効果の持続期間は抗体半減期に相関する。
【
図21A】
図21A~21Fは、マウス由来の白血球溶解物のウェスタンブロット分析を使用したソルチリンタンパク質レベルの測定を示す。抗βアクチンをローディングコントロール及び正規化のために使用した。
図21A及び
図21Bは、5日目のタンパク質レベルを示す。
図21C及び
図21Dは、12日目のタンパク質レベルを示す。抗ソルチリン抗体S-20、S-15-6及びS-2-11は、5日目にソルチリンタンパク質レベルの有意な減少を誘導する(テューキー事後検定を伴う一元配置ANOVA。星印は有意レベルを示す:
**p<0.01、
***p<0.001)。抗体S-15-6は、12日目にマウス3匹のうち2匹でソルチリンタンパク質レベルの減少を誘導した。
図21E及び21Fは、20、40または80mg/kgの抗ソルチリン抗体S15-6をマウスに週1回、長期6週クールで、IP注射した後の白血球中のタンパク質レベルを示す。3つの用量全てが、白血球中のソルチリンの強くかつ統計的に有意な下方制御をもたらす(対照IgGと比較して
****p<0.0001、一元配置ANOVA)。
【
図21B】
図21A~21Fは、マウス由来の白血球溶解物のウェスタンブロット分析を使用したソルチリンタンパク質レベルの測定を示す。抗βアクチンをローディングコントロール及び正規化のために使用した。
図21A及び
図21Bは、5日目のタンパク質レベルを示す。
図21C及び
図21Dは、12日目のタンパク質レベルを示す。抗ソルチリン抗体S-20、S-15-6及びS-2-11は、5日目にソルチリンタンパク質レベルの有意な減少を誘導する(テューキー事後検定を伴う一元配置ANOVA。星印は有意レベルを示す:
**p<0.01、
***p<0.001)。抗体S-15-6は、12日目にマウス3匹のうち2匹でソルチリンタンパク質レベルの減少を誘導した。
図21E及び21Fは、20、40または80mg/kgの抗ソルチリン抗体S15-6をマウスに週1回、長期6週クールで、IP注射した後の白血球中のタンパク質レベルを示す。3つの用量全てが、白血球中のソルチリンの強くかつ統計的に有意な下方制御をもたらす(対照IgGと比較して
****p<0.0001、一元配置ANOVA)。
【
図21C】
図21A~21Fは、マウス由来の白血球溶解物のウェスタンブロット分析を使用したソルチリンタンパク質レベルの測定を示す。抗βアクチンをローディングコントロール及び正規化のために使用した。
図21A及び
図21Bは、5日目のタンパク質レベルを示す。
図21C及び
図21Dは、12日目のタンパク質レベルを示す。抗ソルチリン抗体S-20、S-15-6及びS-2-11は、5日目にソルチリンタンパク質レベルの有意な減少を誘導する(テューキー事後検定を伴う一元配置ANOVA。星印は有意レベルを示す:
**p<0.01、
***p<0.001)。抗体S-15-6は、12日目にマウス3匹のうち2匹でソルチリンタンパク質レベルの減少を誘導した。
図21E及び21Fは、20、40または80mg/kgの抗ソルチリン抗体S15-6をマウスに週1回、長期6週クールで、IP注射した後の白血球中のタンパク質レベルを示す。3つの用量全てが、白血球中のソルチリンの強くかつ統計的に有意な下方制御をもたらす(対照IgGと比較して
****p<0.0001、一元配置ANOVA)。
【
図21D】
図21A~21Fは、マウス由来の白血球溶解物のウェスタンブロット分析を使用したソルチリンタンパク質レベルの測定を示す。抗βアクチンをローディングコントロール及び正規化のために使用した。
図21A及び
図21Bは、5日目のタンパク質レベルを示す。
図21C及び
図21Dは、12日目のタンパク質レベルを示す。抗ソルチリン抗体S-20、S-15-6及びS-2-11は、5日目にソルチリンタンパク質レベルの有意な減少を誘導する(テューキー事後検定を伴う一元配置ANOVA。星印は有意レベルを示す:
**p<0.01、
***p<0.001)。抗体S-15-6は、12日目にマウス3匹のうち2匹でソルチリンタンパク質レベルの減少を誘導した。
図21E及び21Fは、20、40または80mg/kgの抗ソルチリン抗体S15-6をマウスに週1回、長期6週クールで、IP注射した後の白血球中のタンパク質レベルを示す。3つの用量全てが、白血球中のソルチリンの強くかつ統計的に有意な下方制御をもたらす(対照IgGと比較して
****p<0.0001、一元配置ANOVA)。
【
図21E】
図21A~21Fは、マウス由来の白血球溶解物のウェスタンブロット分析を使用したソルチリンタンパク質レベルの測定を示す。抗βアクチンをローディングコントロール及び正規化のために使用した。
図21A及び
図21Bは、5日目のタンパク質レベルを示す。
図21C及び
図21Dは、12日目のタンパク質レベルを示す。抗ソルチリン抗体S-20、S-15-6及びS-2-11は、5日目にソルチリンタンパク質レベルの有意な減少を誘導する(テューキー事後検定を伴う一元配置ANOVA。星印は有意レベルを示す:
**p<0.01、
***p<0.001)。抗体S-15-6は、12日目にマウス3匹のうち2匹でソルチリンタンパク質レベルの減少を誘導した。
図21E及び21Fは、20、40または80mg/kgの抗ソルチリン抗体S15-6をマウスに週1回、長期6週クールで、IP注射した後の白血球中のタンパク質レベルを示す。3つの用量全てが、白血球中のソルチリンの強くかつ統計的に有意な下方制御をもたらす(対照IgGと比較して
****p<0.0001、一元配置ANOVA)。
【
図21F】
図21A~21Fは、マウス由来の白血球溶解物のウェスタンブロット分析を使用したソルチリンタンパク質レベルの測定を示す。抗βアクチンをローディングコントロール及び正規化のために使用した。
図21A及び
図21Bは、5日目のタンパク質レベルを示す。
図21C及び
図21Dは、12日目のタンパク質レベルを示す。抗ソルチリン抗体S-20、S-15-6及びS-2-11は、5日目にソルチリンタンパク質レベルの有意な減少を誘導する(テューキー事後検定を伴う一元配置ANOVA。星印は有意レベルを示す:
**p<0.01、
***p<0.001)。抗体S-15-6は、12日目にマウス3匹のうち2匹でソルチリンタンパク質レベルの減少を誘導した。
図21E及び21Fは、20、40または80mg/kgの抗ソルチリン抗体S15-6をマウスに週1回、長期6週クールで、IP注射した後の白血球中のタンパク質レベルを示す。3つの用量全てが、白血球中のソルチリンの強くかつ統計的に有意な下方制御をもたらす(対照IgGと比較して
****p<0.0001、一元配置ANOVA)。
【
図22A】
図22A~22Dは、2週間のICV注入後の野生型(WT)マウスの脳試料における、抗ソルチリン抗体のIgGレベルとプログラニュリン(PGRN)タンパク質レベルとの間の正の相関を示す。アイソタイプ対照抗体との有意な相関はなかった。
図22Aは、抗体S-15を示す。
図22Bは、抗体S-20を示す。
図22Cは、抗体S-30を示す。
図22Dは、アイソタイプ対照抗体を示す。
【
図22B】
図22A~22Dは、2週間のICV注入後の野生型(WT)マウスの脳試料における、抗ソルチリン抗体のIgGレベルとプログラニュリン(PGRN)タンパク質レベルとの間の正の相関を示す。アイソタイプ対照抗体との有意な相関はなかった。
図22Aは、抗体S-15を示す。
図22Bは、抗体S-20を示す。
図22Cは、抗体S-30を示す。
図22Dは、アイソタイプ対照抗体を示す。
【
図22C】
図22A~22Dは、2週間のICV注入後の野生型(WT)マウスの脳試料における、抗ソルチリン抗体のIgGレベルとプログラニュリン(PGRN)タンパク質レベルとの間の正の相関を示す。アイソタイプ対照抗体との有意な相関はなかった。
図22Aは、抗体S-15を示す。
図22Bは、抗体S-20を示す。
図22Cは、抗体S-30を示す。
図22Dは、アイソタイプ対照抗体を示す。
【
図22D】
図22A~22Dは、2週間のICV注入後の野生型(WT)マウスの脳試料における、抗ソルチリン抗体のIgGレベルとプログラニュリン(PGRN)タンパク質レベルとの間の正の相関を示す。アイソタイプ対照抗体との有意な相関はなかった。
図22Aは、抗体S-15を示す。
図22Bは、抗体S-20を示す。
図22Cは、抗体S-30を示す。
図22Dは、アイソタイプ対照抗体を示す。
【
図23A】40mg/kgの抗ソルチリン抗体S-15-6 huIgG1 N297AのIV注射後に測定したIgGレベルを示す。IgG半減期がソルチリンのレベル減少に伴って増加することから、野生型(WT)マウスにおけるS-15-6の半減期が比較的短いことは、免疫原性または他の非特異的分解ではなく、標的結合後の分解によるものであることを示している。
【
図23B】ソルチリンヘテロ接合性(Het)及び野生型(WT)の同腹仔と比較した、ソルチリンノックアウト(KO)マウスにおけるベースラインプログラニュリン(PGRN)タンパク質レベルの上昇を示す。血漿試料中のPGRNをELISAアッセイを使用して測定した。
【
図23C】抗体S-15-6は、野生型(WT)及びソルチリンヘテロ接合性(Het)マウスへの注射後、最大8日間、プログラニュリン(PGRN)タンパク質レベルの増加を誘導したが、ソルチリンノックアウト(KO)マウスでは誘導しなかったことを示す結果を示す。黒い矢印は、7日目でのS-15-6抗体の注射を示す。
****p<0.0001、n.s.:一元配置ANOVAによる有意性なし、KO対Het及び対WT。
【
図24】マウスにおけるコラーゲン誘発関節炎試験の結果を示す。40mg/kgの抗ソルチリン抗体S-15-6の隔週注射は、対照群(PBS及びMOPC-21/msIgG1)と比較して、関節炎臨床スコアを有意に低下させた。
【
図25A】
図25Aは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処置して6時間後のプログラニュリンの血清レベルを示す。
図25Bは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処置して6時間後の腹膜好中球の数を示す。
図25Cは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処置して6時間後の大型腹膜マクロファージの数を示す。
図25Dは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処置して6時間後の小型腹膜マクロファージの数を示す。結果は、プログラニュリンのレベル上昇を示すが、腹膜好中球、大型腹膜マクロファージ及び小型腹膜マクロファージの数は有意差がなかった。白抜きの丸は野生型マウスを示し、白抜きの四角はソルチリンノックアウトマウスを示す。n=マウス8~10匹/群。
*p<0.01、
**p<0.001、
***p<0.001、及び
****p<0.0001(テューキーの多重比較検定を伴う一元配置ANOVAによる)。
【
図25B】
図25Aは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処置して6時間後のプログラニュリンの血清レベルを示す。
図25Bは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処置して6時間後の腹膜好中球の数を示す。
図25Cは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処置して6時間後の大型腹膜マクロファージの数を示す。
図25Dは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処置して6時間後の小型腹膜マクロファージの数を示す。結果は、プログラニュリンのレベル上昇を示すが、腹膜好中球、大型腹膜マクロファージ及び小型腹膜マクロファージの数は有意差がなかった。白抜きの丸は野生型マウスを示し、白抜きの四角はソルチリンノックアウトマウスを示す。n=マウス8~10匹/群。
*p<0.01、
**p<0.001、
***p<0.001、及び
****p<0.0001(テューキーの多重比較検定を伴う一元配置ANOVAによる)。
【
図25C】
図25Aは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処置して6時間後のプログラニュリンの血清レベルを示す。
図25Bは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処置して6時間後の腹膜好中球の数を示す。
図25Cは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処置して6時間後の大型腹膜マクロファージの数を示す。
図25Dは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処置して6時間後の小型腹膜マクロファージの数を示す。結果は、プログラニュリンのレベル上昇を示すが、腹膜好中球、大型腹膜マクロファージ及び小型腹膜マクロファージの数は有意差がなかった。白抜きの丸は野生型マウスを示し、白抜きの四角はソルチリンノックアウトマウスを示す。n=マウス8~10匹/群。
*p<0.01、
**p<0.001、
***p<0.001、及び
****p<0.0001(テューキーの多重比較検定を伴う一元配置ANOVAによる)。
【
図25D】
図25Aは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処置して6時間後のプログラニュリンの血清レベルを示す。
図25Bは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処置して6時間後の腹膜好中球の数を示す。
図25Cは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処置して6時間後の大型腹膜マクロファージの数を示す。
図25Dは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処置して6時間後の小型腹膜マクロファージの数を示す。結果は、プログラニュリンのレベル上昇を示すが、腹膜好中球、大型腹膜マクロファージ及び小型腹膜マクロファージの数は有意差がなかった。白抜きの丸は野生型マウスを示し、白抜きの四角はソルチリンノックアウトマウスを示す。n=マウス8~10匹/群。
*p<0.01、
**p<0.001、
***p<0.001、及び
****p<0.0001(テューキーの多重比較検定を伴う一元配置ANOVAによる)。
【
図26A】
図26Aは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-6の血清レベルを示す。
図26Bは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のTNFαの血清レベルを示す。
図26Cは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIFNγの血清レベルを示す。
図26Dは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-10の血清レベルを示す。
図26Eは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-12p70の血清レベルを示す。
図26Fは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-12/IL-23p40の血清レベルを示す。
図26Gは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-1αの血清レベルを示す。
図26Hは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-1βの血清レベルを示す。白抜きの丸は野生型マウスを示し、白抜きの四角はソルチリンノックアウトマウスを示す。n=マウス8~10匹/群。
*p<0.01、
**p<0.001、
***p<0.001、及び
****p<0.0001(テューキーの多重比較検定を伴う一元配置ANOVAによる)。
【
図26B】
図26Aは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-6の血清レベルを示す。
図26Bは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のTNFαの血清レベルを示す。
図26Cは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIFNγの血清レベルを示す。
図26Dは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-10の血清レベルを示す。
図26Eは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-12p70の血清レベルを示す。
図26Fは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-12/IL-23p40の血清レベルを示す。
図26Gは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-1αの血清レベルを示す。
図26Hは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-1βの血清レベルを示す。白抜きの丸は野生型マウスを示し、白抜きの四角はソルチリンノックアウトマウスを示す。n=マウス8~10匹/群。
*p<0.01、
**p<0.001、
***p<0.001、及び
****p<0.0001(テューキーの多重比較検定を伴う一元配置ANOVAによる)。
【
図26C】
図26Aは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-6の血清レベルを示す。
図26Bは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のTNFαの血清レベルを示す。
図26Cは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIFNγの血清レベルを示す。
図26Dは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-10の血清レベルを示す。
図26Eは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-12p70の血清レベルを示す。
図26Fは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-12/IL-23p40の血清レベルを示す。
図26Gは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-1αの血清レベルを示す。
図26Hは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-1βの血清レベルを示す。白抜きの丸は野生型マウスを示し、白抜きの四角はソルチリンノックアウトマウスを示す。n=マウス8~10匹/群。
*p<0.01、
**p<0.001、
***p<0.001、及び
****p<0.0001(テューキーの多重比較検定を伴う一元配置ANOVAによる)。
【
図26D】
図26Aは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-6の血清レベルを示す。
図26Bは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のTNFαの血清レベルを示す。
図26Cは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIFNγの血清レベルを示す。
図26Dは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-10の血清レベルを示す。
図26Eは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-12p70の血清レベルを示す。
図26Fは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-12/IL-23p40の血清レベルを示す。
図26Gは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-1αの血清レベルを示す。
図26Hは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-1βの血清レベルを示す。白抜きの丸は野生型マウスを示し、白抜きの四角はソルチリンノックアウトマウスを示す。n=マウス8~10匹/群。
*p<0.01、
**p<0.001、
***p<0.001、及び
****p<0.0001(テューキーの多重比較検定を伴う一元配置ANOVAによる)。
【
図26E】
図26Aは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-6の血清レベルを示す。
図26Bは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のTNFαの血清レベルを示す。
図26Cは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIFNγの血清レベルを示す。
図26Dは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-10の血清レベルを示す。
図26Eは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-12p70の血清レベルを示す。
図26Fは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-12/IL-23p40の血清レベルを示す。
図26Gは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-1αの血清レベルを示す。
図26Hは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-1βの血清レベルを示す。白抜きの丸は野生型マウスを示し、白抜きの四角はソルチリンノックアウトマウスを示す。n=マウス8~10匹/群。
*p<0.01、
**p<0.001、
***p<0.001、及び
****p<0.0001(テューキーの多重比較検定を伴う一元配置ANOVAによる)。
【
図26F】
図26Aは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-6の血清レベルを示す。
図26Bは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のTNFαの血清レベルを示す。
図26Cは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIFNγの血清レベルを示す。
図26Dは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-10の血清レベルを示す。
図26Eは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-12p70の血清レベルを示す。
図26Fは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-12/IL-23p40の血清レベルを示す。
図26Gは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-1αの血清レベルを示す。
図26Hは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-1βの血清レベルを示す。白抜きの丸は野生型マウスを示し、白抜きの四角はソルチリンノックアウトマウスを示す。n=マウス8~10匹/群。
*p<0.01、
**p<0.001、
***p<0.001、及び
****p<0.0001(テューキーの多重比較検定を伴う一元配置ANOVAによる)。
【
図26G】
図26Aは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-6の血清レベルを示す。
図26Bは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のTNFαの血清レベルを示す。
図26Cは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIFNγの血清レベルを示す。
図26Dは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-10の血清レベルを示す。
図26Eは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-12p70の血清レベルを示す。
図26Fは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-12/IL-23p40の血清レベルを示す。
図26Gは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-1αの血清レベルを示す。
図26Hは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-1βの血清レベルを示す。白抜きの丸は野生型マウスを示し、白抜きの四角はソルチリンノックアウトマウスを示す。n=マウス8~10匹/群。
*p<0.01、
**p<0.001、
***p<0.001、及び
****p<0.0001(テューキーの多重比較検定を伴う一元配置ANOVAによる)。
【
図26H】
図26Aは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-6の血清レベルを示す。
図26Bは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のTNFαの血清レベルを示す。
図26Cは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIFNγの血清レベルを示す。
図26Dは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-10の血清レベルを示す。
図26Eは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-12p70の血清レベルを示す。
図26Fは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-12/IL-23p40の血清レベルを示す。
図26Gは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-1αの血清レベルを示す。
図26Hは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のIL-1βの血清レベルを示す。白抜きの丸は野生型マウスを示し、白抜きの四角はソルチリンノックアウトマウスを示す。n=マウス8~10匹/群。
*p<0.01、
**p<0.001、
***p<0.001、及び
****p<0.0001(テューキーの多重比較検定を伴う一元配置ANOVAによる)。
【
図27A】
図27Aは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のCXCL1の血清レベルを示す。
図27Bは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のCCL2の血清レベルを示す。
図27Cは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のCCL3の血清レベルを示す。
図27Dは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のCCL4の血清レベルを示す。
図27Eは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のCCL5の血清レベルを示す。白抜きの丸は野生型マウスを示し、白抜きの四角はソルチリンノックアウトマウスを示す。n=マウス8~10匹/群。
*p<0.01、
**p<0.001、
***p<0.001、及び
****p<0.0001(テューキーの多重比較検定を伴う一元配置ANOVAによる)。
【
図27B】
図27Aは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のCXCL1の血清レベルを示す。
図27Bは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のCCL2の血清レベルを示す。
図27Cは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のCCL3の血清レベルを示す。
図27Dは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のCCL4の血清レベルを示す。
図27Eは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のCCL5の血清レベルを示す。白抜きの丸は野生型マウスを示し、白抜きの四角はソルチリンノックアウトマウスを示す。n=マウス8~10匹/群。
*p<0.01、
**p<0.001、
***p<0.001、及び
****p<0.0001(テューキーの多重比較検定を伴う一元配置ANOVAによる)。
【
図27C】
図27Aは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のCXCL1の血清レベルを示す。
図27Bは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のCCL2の血清レベルを示す。
図27Cは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のCCL3の血清レベルを示す。
図27Dは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のCCL4の血清レベルを示す。
図27Eは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のCCL5の血清レベルを示す。白抜きの丸は野生型マウスを示し、白抜きの四角はソルチリンノックアウトマウスを示す。n=マウス8~10匹/群。
*p<0.01、
**p<0.001、
***p<0.001、及び
****p<0.0001(テューキーの多重比較検定を伴う一元配置ANOVAによる)。
【
図27D】
図27Aは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のCXCL1の血清レベルを示す。
図27Bは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のCCL2の血清レベルを示す。
図27Cは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のCCL3の血清レベルを示す。
図27Dは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のCCL4の血清レベルを示す。
図27Eは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のCCL5の血清レベルを示す。白抜きの丸は野生型マウスを示し、白抜きの四角はソルチリンノックアウトマウスを示す。n=マウス8~10匹/群。
*p<0.01、
**p<0.001、
***p<0.001、及び
****p<0.0001(テューキーの多重比較検定を伴う一元配置ANOVAによる)。
【
図27E】
図27Aは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のCXCL1の血清レベルを示す。
図27Bは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のCCL2の血清レベルを示す。
図27Cは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のCCL3の血清レベルを示す。
図27Dは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のCCL4の血清レベルを示す。
図27Eは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して1.5時間後のCCL5の血清レベルを示す。白抜きの丸は野生型マウスを示し、白抜きの四角はソルチリンノックアウトマウスを示す。n=マウス8~10匹/群。
*p<0.01、
**p<0.001、
***p<0.001、及び
****p<0.0001(テューキーの多重比較検定を伴う一元配置ANOVAによる)。
【
図28A】
図28Aは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-6の血清レベルを示す。
図28Bは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のTNFαの血清レベルを示す。
図28Cは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIFNγの血清レベルを示す。
図28Dは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-10の血清レベルを示す。
図28Eは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-12p70の血清レベルを示す。
図28Fは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-12/IL-23p40の血清レベルを示す。
図28Gは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-1αの血清レベルを示す。
図28Hは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-1βの血清レベルを示す。白抜きの丸は野生型マウスを示し、白抜きの四角はソルチリンノックアウトマウスを示す。n=マウス8~10匹/群。
*p<0.01、
**p<0.001、
***p<0.001、及び
****p<0.0001(テューキーの多重比較検定を伴う一元配置ANOVAによる)。
【
図28B】
図28Aは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-6の血清レベルを示す。
図28Bは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のTNFαの血清レベルを示す。
図28Cは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIFNγの血清レベルを示す。
図28Dは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-10の血清レベルを示す。
図28Eは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-12p70の血清レベルを示す。
図28Fは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-12/IL-23p40の血清レベルを示す。
図28Gは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-1αの血清レベルを示す。
図28Hは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-1βの血清レベルを示す。白抜きの丸は野生型マウスを示し、白抜きの四角はソルチリンノックアウトマウスを示す。n=マウス8~10匹/群。
*p<0.01、
**p<0.001、
***p<0.001、及び
****p<0.0001(テューキーの多重比較検定を伴う一元配置ANOVAによる)。
【
図28C】
図28Aは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-6の血清レベルを示す。
図28Bは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のTNFαの血清レベルを示す。
図28Cは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIFNγの血清レベルを示す。
図28Dは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-10の血清レベルを示す。
図28Eは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-12p70の血清レベルを示す。
図28Fは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-12/IL-23p40の血清レベルを示す。
図28Gは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-1αの血清レベルを示す。
図28Hは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-1βの血清レベルを示す。白抜きの丸は野生型マウスを示し、白抜きの四角はソルチリンノックアウトマウスを示す。n=マウス8~10匹/群。
*p<0.01、
**p<0.001、
***p<0.001、及び
****p<0.0001(テューキーの多重比較検定を伴う一元配置ANOVAによる)。
【
図28D】
図28Aは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-6の血清レベルを示す。
図28Bは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のTNFαの血清レベルを示す。
図28Cは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIFNγの血清レベルを示す。
図28Dは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-10の血清レベルを示す。
図28Eは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-12p70の血清レベルを示す。
図28Fは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-12/IL-23p40の血清レベルを示す。
図28Gは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-1αの血清レベルを示す。
図28Hは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-1βの血清レベルを示す。白抜きの丸は野生型マウスを示し、白抜きの四角はソルチリンノックアウトマウスを示す。n=マウス8~10匹/群。
*p<0.01、
**p<0.001、
***p<0.001、及び
****p<0.0001(テューキーの多重比較検定を伴う一元配置ANOVAによる)。
【
図28E】
図28Aは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-6の血清レベルを示す。
図28Bは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のTNFαの血清レベルを示す。
図28Cは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIFNγの血清レベルを示す。
図28Dは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-10の血清レベルを示す。
図28Eは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-12p70の血清レベルを示す。
図28Fは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-12/IL-23p40の血清レベルを示す。
図28Gは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-1αの血清レベルを示す。
図28Hは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-1βの血清レベルを示す。白抜きの丸は野生型マウスを示し、白抜きの四角はソルチリンノックアウトマウスを示す。n=マウス8~10匹/群。
*p<0.01、
**p<0.001、
***p<0.001、及び
****p<0.0001(テューキーの多重比較検定を伴う一元配置ANOVAによる)。
【
図28F】
図28Aは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-6の血清レベルを示す。
図28Bは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のTNFαの血清レベルを示す。
図28Cは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIFNγの血清レベルを示す。
図28Dは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-10の血清レベルを示す。
図28Eは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-12p70の血清レベルを示す。
図28Fは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-12/IL-23p40の血清レベルを示す。
図28Gは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-1αの血清レベルを示す。
図28Hは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-1βの血清レベルを示す。白抜きの丸は野生型マウスを示し、白抜きの四角はソルチリンノックアウトマウスを示す。n=マウス8~10匹/群。
*p<0.01、
**p<0.001、
***p<0.001、及び
****p<0.0001(テューキーの多重比較検定を伴う一元配置ANOVAによる)。
【
図28G】
図28Aは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-6の血清レベルを示す。
図28Bは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のTNFαの血清レベルを示す。
図28Cは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIFNγの血清レベルを示す。
図28Dは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-10の血清レベルを示す。
図28Eは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-12p70の血清レベルを示す。
図28Fは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-12/IL-23p40の血清レベルを示す。
図28Gは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-1αの血清レベルを示す。
図28Hは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-1βの血清レベルを示す。白抜きの丸は野生型マウスを示し、白抜きの四角はソルチリンノックアウトマウスを示す。n=マウス8~10匹/群。
*p<0.01、
**p<0.001、
***p<0.001、及び
****p<0.0001(テューキーの多重比較検定を伴う一元配置ANOVAによる)。
【
図28H】
図28Aは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-6の血清レベルを示す。
図28Bは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のTNFαの血清レベルを示す。
図28Cは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIFNγの血清レベルを示す。
図28Dは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-10の血清レベルを示す。
図28Eは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-12p70の血清レベルを示す。
図28Fは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-12/IL-23p40の血清レベルを示す。
図28Gは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-1αの血清レベルを示す。
図28Hは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のIL-1βの血清レベルを示す。白抜きの丸は野生型マウスを示し、白抜きの四角はソルチリンノックアウトマウスを示す。n=マウス8~10匹/群。
*p<0.01、
**p<0.001、
***p<0.001、及び
****p<0.0001(テューキーの多重比較検定を伴う一元配置ANOVAによる)。
【
図29A】
図29Aは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のCXCL1の血清レベルを示す。
図29Bは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のCCL2の血清レベルを示す。
図29Cは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のCCL3の血清レベルを示す。
図29Dは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のCCL4の血清レベルを示す。
図29Eは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のCCL5の血清レベルを示す。白抜きの丸は野生型マウスを示し、白抜きの四角はソルチリンノックアウトマウスを示す。n=マウス8~10匹/群。
*p<0.01、
**p<0.001、
***p<0.001、及び
****p<0.0001(テューキーの多重比較検定を伴う一元配置ANOVAによる)。
【
図29B】
図29Aは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のCXCL1の血清レベルを示す。
図29Bは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のCCL2の血清レベルを示す。
図29Cは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のCCL3の血清レベルを示す。
図29Dは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のCCL4の血清レベルを示す。
図29Eは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のCCL5の血清レベルを示す。白抜きの丸は野生型マウスを示し、白抜きの四角はソルチリンノックアウトマウスを示す。n=マウス8~10匹/群。
*p<0.01、
**p<0.001、
***p<0.001、及び
****p<0.0001(テューキーの多重比較検定を伴う一元配置ANOVAによる)。
【
図29C】
図29Aは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のCXCL1の血清レベルを示す。
図29Bは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のCCL2の血清レベルを示す。
図29Cは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のCCL3の血清レベルを示す。
図29Dは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のCCL4の血清レベルを示す。
図29Eは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のCCL5の血清レベルを示す。白抜きの丸は野生型マウスを示し、白抜きの四角はソルチリンノックアウトマウスを示す。n=マウス8~10匹/群。
*p<0.01、
**p<0.001、
***p<0.001、及び
****p<0.0001(テューキーの多重比較検定を伴う一元配置ANOVAによる)。
【
図29D】
図29Aは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のCXCL1の血清レベルを示す。
図29Bは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のCCL2の血清レベルを示す。
図29Cは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のCCL3の血清レベルを示す。
図29Dは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のCCL4の血清レベルを示す。
図29Eは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のCCL5の血清レベルを示す。白抜きの丸は野生型マウスを示し、白抜きの四角はソルチリンノックアウトマウスを示す。n=マウス8~10匹/群。
*p<0.01、
**p<0.001、
***p<0.001、及び
****p<0.0001(テューキーの多重比較検定を伴う一元配置ANOVAによる)。
【
図29E】
図29Aは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のCXCL1の血清レベルを示す。
図29Bは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のCCL2の血清レベルを示す。
図29Cは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のCCL3の血清レベルを示す。
図29Dは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のCCL4の血清レベルを示す。
図29Eは、野生型マウス及びソルチリンノックアウト(ソルチリン-/-)マウスをLPS処理して6時間後のCCL5の血清レベルを示す。白抜きの丸は野生型マウスを示し、白抜きの四角はソルチリンノックアウトマウスを示す。n=マウス8~10匹/群。
*p<0.01、
**p<0.001、
***p<0.001、及び
****p<0.0001(テューキーの多重比較検定を伴う一元配置ANOVAによる)。
【発明を実施するための形態】
【0044】
一般的技法
本明細書において記載されるか、または参照される技法及び手順は、当業者によって一般に十分に理解され、従来の方法論、例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual 3d edition(2001)Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.、Current Protocols in Molecular Biology(F.M.Ausubel,et al.eds.,(2003))、the series Methods in Enzymology(Academic Press,Inc.):PCR 2:A Practical Approach(M.J.MacPherson,B.D.Hames and G.R.Taylor eds.(1995)),Harlow and Lane,eds.(1988)Antibodies,A Laboratory Manual,and Animal Cell Culture(R.I.Freshney,ed.(1987))、Oligonucleotide Synthesis(M.J.Gait,ed.,1984)、Methods in Molecular Biology,Humana Press;Cell Biology:A Laboratory notebook(J.E.Cellis,ed.,1998)Academic Press、Animal Cell Culture(R.I.Freshney),ed.,1987)、Introduction to Cell and Tissue Culture(J.P.Mather and P.E.Roberts,1998)Plenum Press、Cell and Tissue Culture:Laboratory Procedures(A.Doyle,J.B.Griffiths,and D.G.Newell,eds.,1993-8)J.Wiley and Sons、Handbook of Experimental Immunology(D.M.Weir and C.C.Blackwell,eds.)、Gene Transfer Vectors for Mammalian Cells(J.M.Miller and M.P.Calos,eds.,1987)、PCR:The Polymerase Chain Reaction,(Mullis et al.,eds.,1994)、Current Protocols in Immunology(J.E.Coligan et al.,eds.,1991)、Short Protocols in Molecular Biology(Wiley and Sons,1999)、Immunobiology(C.A.Janeway and P.Travers,1997)、Antibodies(P.Finch,1997)、Antibodies:A Practical Approach(D.Catty.,ed.,IRL Press,1988-1989)、Monoclonal Antibodies:A Practical Approach(P.Shepherd and C.Dean,eds.,Oxford University Press,2000)、Using Antibodies:A Laboratory Manual(E.Harlow and D.Lane(Cold Spring Harbor Laboratory Press,1999)、The Antibodies(M.Zanetti and J.D.Capra,eds.,Harwood Academic Publishers,1995)、及びCancer:Principles and Practice of Oncology(V.T.DeVita et al.,eds.,J.B.Lippincott Company,1993)に記載される、広く利用されている方法論などを使用して、一般的に用いられる。
【0045】
定義
本明細書で使用されるとき、「予防する」という用語は、個体における特定の疾患、障害または病態の発生または再発に対する予防を提供することを含む。個体は、特定の疾患、障害または病態にかかりやすく感受性であり得るか、かかる疾患、障害または病態を発症する危険性があり得るが、当該疾患、障害または病態であると診断されていない。
【0046】
本明細書で使用されるとき、特定の疾患、障害または病態を発症する「危険性のある」個体は、検出可能な疾患または疾患の症状を有していてもいなくてもよく、本明細書に記載される治療方法の前に、検出可能な疾患または疾患の症状を呈していてもいなくてもよい。「危険性のある」とは、個体が、当技術分野において既知である、特定の疾患、障害または病態の発症と相関する測定可能なパラメータである、1つ以上の危険因子を有することを意味する。これらの危険因子のうちの1つ以上を有する個体は、これらの危険因子のうちの1つ以上を有しない個体よりも特定の疾患、障害または病態を発症する可能性が高い。
【0047】
本明細書で使用されるとき、「治療」という用語は、臨床病理の過程で治療される個体の自然経過を変化させるように設計された臨床的介入を指す。治療の望ましい効果としては、特定の疾患、障害または病態の進行速度の低減、疾患状態の回復または緩和、及び寛解または予後の改善が挙げられる。個体は、例えば、特定の疾患、障害または病態に伴う1つ以上の症状が軽減または排除された場合、「治療」に成功する。
【0048】
「有効量」は、必要な用量及び期間で、所望の治療結果または予防結果を達成するために少なくとも有効な量を指す。有効量は、1回以上の投与で投与され得る。
【0049】
「治療有効量」は、特定の疾患、障害または病態の測定可能な改善をもたらすために必要な少なくとも最小限の濃度である。治療有効量は、本明細書において、患者の病状、年齢、性別及び体重、ならびに個体において所望の応答を引き起こすためのソルチリンタンパク質アンタゴニストの能力などの因子によって変動し得る。治療有効量は、ソルチリンタンパク質アンタゴニストの任意の毒性または有害な影響よりも治療的に有益な効果が勝る量でもある。
【0050】
本明細書で使用されるとき、別の化合物または組成物との「併用」投与は、同時投与及び/または異なる時点での投与を含む。併用投与はまた、合剤としての投与または別個の組成物としての投与を包含し、異なる投与頻度または間隔で、かつ同じ投与経路または異なる投与経路を使用することを含む。
【0051】
治療、予防または危険性の低減の目的のための「個体」は、ヒト、飼育動物及び家畜、ならびに動物園、競技用または愛玩動物、例えば、イヌ、ウマ、ウサギ、ウシ、ブタ、ハムスター、アレチネズミ、マウス、フェレット、ラット、ネコなどを含む、哺乳動物に分類される任意の動物を指す。好ましくは、個体は、ヒトである。
【0052】
「免疫グロブリン」(Ig)という用語は、本明細書において、「抗体」と互換的に使用される。本明細書における「抗体」という用語は、最も広義に使用され、モノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、少なくとも2つのインタクト抗体から形成された多重特異性抗体(例えば、二重特異性抗体)、及び抗体断片を具体的に包含するが、これは、それらが所望の生物学的活性を呈する場合に限る。
【0053】
基本的な4本鎖の抗体ユニットは、2本の同一の軽鎖(L)と2本の同一の重鎖(H)とから構成されるヘテロ四量体糖タンパク質である。VHとVLとが一緒に対合することにより、単一の抗原結合部位が形成される。異なるクラスの抗体の構造及び特性については、例えば、Basic and Clinical Immunology,8th Ed.,Daniel P.Stites,Abba I.Terr and Tristram G.Parslow(eds.),Appleton&Lange,norwalk,CT,1994,page 71 and Chapter 6を参照されたい。
【0054】
任意の脊椎動物種に由来するL鎖は、それらの定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、カッパ(「κ」)及びラムダ(「λ」)と呼ばれる2つの明確に異なる種類のうちの1つに割り当てられ得る。それらの重鎖の定常ドメイン(CH)のアミノ酸配列に応じて、免疫グロブリンは、異なるクラスまたはアイソタイプに割り当てられ得る。免疫グロブリンには、IgA、IgD、IgE、IgG及びIgMの5つのクラスがあり、それぞれ、アルファ(「α」)、デルタ(「δ」)、イプシロン(「ε」)、ガンマ(「γ」)及びミュー(「μ」)と表記される重鎖を有する。γ及びαのクラスは、CH配列及び機能における比較的わずかな相違に基づいて、サブクラス(アイソタイプ)に更に分類され、例えば、ヒトは、以下のサブクラス:IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1及びIgA2を発現する。異なるクラスの免疫グロブリンのサブユニット構造及び三次元構成は既知であり、例えば、Abbas et al.,Cellular and Molecular Immunology,4th ed.(W.B.Saunders Co.,2000)に大まかに記載されている。
【0055】
「天然抗体」は、通常、2つの同一の軽鎖(L)及び2つの同一の重鎖(H)からなる約150,000ダルトンのヘテロ四量体糖タンパク質である。各軽鎖が1つのジスルフィド共有結合により重鎖に結合しているが、ジスルフィド結合の数は、異なる免疫グロブリンアイソタイプの重鎖間で異なる。各重鎖及び軽鎖は、規則的間隔の鎖内ジスルフィド架橋も有する。各重鎖は、一方の端に可変ドメイン(VH)を有し、これにいくつかの定常ドメインが続く。各軽鎖は、一方の端に可変ドメイン(VL)を有し、もう一方の端に定常ドメインを有し、軽鎖の定常ドメインは重鎖の第1の定常ドメインと整列し、軽鎖の可変ドメインは重鎖の可変ドメインと整列する。特定のアミノ酸残基が軽鎖可変ドメインと重鎖可変ドメインとの間に界面を形成すると考えられている。
【0056】
「単離された」抗体(例えば、本開示の抗ソルチリン抗体)は、その産生環境(例えば、天然または組換え)の構成成分から同定、分離及び/または回収されたものである。好ましくは、単離されたポリペプチドは、その産生環境に由来する他の全ての夾雑成分との会合がない。その産生環境に由来する夾雑成分、例えば、組換えトランスフェクション細胞に起因するものなどは、典型的に、抗体の研究上、診断上または治療上での使用に干渉する物質であり、これらには、酵素、ホルモン及び他のタンパク質性または非タンパク質性の溶質を挙げることができる。好ましい実施形態において、ポリペプチドは、(1)抗体が、例えば、ローリー法によって決定したときに、95重量%超、いくつかの実施形態では99重量%超になるまで、(2)スピニングカップ配列決定装置の使用により、少なくとも15個のN末端もしくは内部アミノ酸配列の残基を得るのに十分な程度まで、または(3)クマシーブルー染色もしくは好ましくはシルバー染色を使用して、非還元条件もしくは還元条件下でSDS-PAGEによって均質性が得られるまで精製される。単離された抗体には、組換えT細胞内のin situ抗体が含まれるが、これは、抗体の天然環境の少なくとも1つの構成要素が存在していないためである。しかしながら、通常、単離されたポリペプチドまたは抗体は、少なくとも1つの精製ステップによって調製される。
【0057】
抗体(例えば、本開示の抗ソルチリン抗体)の「可変領域」または「可変ドメイン」は、抗体の重鎖または軽鎖のアミノ末端ドメインを指す。重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、それぞれ、「VH」及び「VL」と称することができる。これらのドメインは、一般に、抗体の最も可変性の高い部分であり(同じクラスの他の抗体と比べて)、抗原結合部位を含有する。
【0058】
「可変」という用語は、可変ドメインのある特定セグメントが、抗体(例えば、本開示の抗ソルチリン抗体)間で配列が大幅に異なるという事実を指す。Vドメインは、抗原結合を媒介し、特定の抗体の、その特定の抗原に対する特異性を定義する。しかしながら、可変性は、可変ドメイン全体に均等に分布しているわけではない。むしろ、それは、軽鎖及び重鎖の両方の可変ドメインにおいて、超可変領域(HVR)と呼ばれる3つのセグメントに集中している。可変ドメインのより高度に保存された部分は、フレームワーク領域(FR)と呼ばれる。天然の重鎖及び軽鎖の可変ドメインは、各々、3つのHVRによって接続されたベータシート立体配置を主とする4つのFR領域を含み、これらのHVRは、ベータシート構造を接続し、場合により、ベータシート構造の一部を形成するループを形成する。各鎖のHVRは、FR領域によって極めて近接して一緒に保持され、他方の鎖からのHVRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する(Kabat et al.,Sequences of Immunological Interest,Fifth Edition,National Institute of Health,Bethesda,MD(1991)参照)。定常ドメインは、抗体の抗原への結合に直接関与しないが、抗体の抗体依存性細胞毒性への関与などの様々なエフェクター機能を呈する。
【0059】
本明細書で使用される「モノクローナル抗体」という用語は、実質的に同種の抗体集団から得られる抗体、例えば、本開示の抗ソルチリン抗体を指す。すなわち、その集団に含まれる個々の抗体は、微量で存在し得る可能性のある自然に発生する変異及び/または翻訳後修飾(例えば、異性化、アミド化)を除き、同一である。モノクローナル抗体は、高度に特異的であり、1つ以上の抗原部位を対象とする。いくつかの実施形態において、本開示の抗体は、二重特異性抗体であり得る。異なる決定基(エピトープ)を対象とする種々の抗体を典型的に含むポリクローナル抗体調製物とは対照的に、各モノクローナル抗体は、1つ以上の抗原部位上の単一の決定基を対象とする。「モノクローナル」という修飾語句は、実質的に同種の抗体集団から得られる抗体の特徴を示し、任意の特定の方法による抗体の産生を必要とするものと解釈されるべきではない。例えば、本開示に従って使用されるモノクローナル抗体は、様々な技法によって作製することができ、これらには、例えば、ファージディスプレイ法(例えば、Clackson et al.,Nature,352:624-628(1991)、Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581-597(1992)、Sidhu et al.,J.Mol.Biol.338(2):299-310(2004)、Lee et al.,J.Mol.Biol.340(5):1073-1093(2004)、Fellouse,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 101(34):12467-472(2004)、及びLee et al.,J.Immunol.Methods 284(1-2):119-132(2004)参照、ハイブリドーマ法(例えば、Kohler and Milstein.,Nature,256:495-97(1975)、Hongo et al.,Hybridoma,14(3):253-260(1995)、Harlow et al.,Antibodies:A Laboratory Manual,(Cold Spring Harbor Laboratory Press,2d ed.1988)、Hammerling et al.,in:Monoclonal Antibodies and T-Cell Hybridomas 563-681(Elsevier,N.Y.,1981))、組換えDNA法(例えば、米国特許第4,816,567号参照)及びヒト免疫グロブリン配列をコードするヒト免疫グロブリン遺伝子座または遺伝子の一部または全てを有する動物におけるヒト抗体またはヒト様抗体の産生技術(例えば、WO1998/24893、WO1996/34096、WO1996/33735、WO1991/10741、Jakobovits et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 90:2551(1993)、Jakobovits et al.,Nature 362:255-258(1993)、Bruggemann et al.,Year in Immunol.7:33(1993)、米国特許第5,545,807号、同第5,545,806号、同第5,569,825号、同第5,625,126号、同第5,633,425号及び同第5,661,016号、Marks et al.,Bio/Technology 10:779-783(1992)、Lonberg et al.,Nature 368:856-859(1994)、Morrison,Nature 368:812-813(1994)、Fishwild et al.,Nature Biotechnol.14:845-851(1996)、Neuberger,Nature Biotechnol.14:826(1996)、ならびにLonberg and Huszar,Intern.Rev.Immunol.13:65-93(1995)参照が挙げられる。
【0060】
「全長抗体」、「インタクト抗体」または「全抗体」という用語は、抗体断片とは対照的に、その実質的にインタクトな形態にある抗体(例えば、本開示の抗ソルチリン抗体)を指して互換的に使用される。具体的には、全抗体は、Fc領域を含む重鎖及び軽鎖を有するものを含む。定常ドメインは、天然配列の定常ドメイン(例えば、ヒト天然配列の定常ドメイン)であっても、そのアミノ酸配列変異形であってもよい。一部の場合では、インタクト抗体は、1つ以上のエフェクター機能を有し得る。
【0061】
「抗体断片」は、インタクト抗体の一部分、好ましくはインタクト抗体の抗原結合領域及び/または可変領域を含む。抗体断片の例には、Fab、Fab’、F(ab’)2及びFv断片、ダイアボディ、直鎖抗体(米国特許第5,641,870号、実施例2、Zapata et al.,Protein Eng.8(10):1057-1062(1995)参照)、一本鎖抗体分子、及び抗体断片から形成された多重特異性抗体が挙げられる。
【0062】
抗体(例えば、本開示の抗ソルチリン抗体)のパパイン消化により、「Fab」断片と呼ばれる2つの同一の抗原結合断片と、容易に結晶化する能力を反映した名称を持つ1つの残留「Fc」断片とが産生される。Fab断片は、L鎖全体に加えて、H鎖の可変領域ドメイン(VH)及び1つの重鎖の第1の定常ドメイン(CH1)からなる。各Fab断片は、抗原結合に関しては一価であり、すなわち、単一の抗原結合部位を有する。抗体のペプシン処理は、単一の大型F(ab’)2断片をもたらし、これは、異なる抗原結合活性を有する2つのジスルフィド結合したFab断片にほぼ対応し、依然として抗原を架橋することができる。Fab’断片は、CH1ドメインのカルボキシ末端に、抗体ヒンジ領域からの1つ以上のシステインを含む、いくつかの更なる残基を有することにより、Fab断片とは異なる。Fab’-SHとは、定常ドメインのシステイン残基(複数可)が遊離チオール基を持つFab’の本明細書における名称である。F(ab’)2抗体断片は、元来、その間にヒンジシステインを有するFab’断片の対として産生された。抗体断片の他の化学的カップリングも既知である。
【0063】
Fc断片は、ジスルフィドによって一緒に保持された両方のH鎖のカルボキシ末端部分を含む。抗体のエフェクター機能は、Fc領域の配列によって決定され、この領域はまた、ある特定の細胞型に見られるFc受容体(FcR)によって認識される。
【0064】
「Fv」は、完全な抗原認識部位及び抗原結合部位を含有する最小の抗体断片である。この断片は、1つの重鎖可変領域ドメインと1つの軽鎖可変領域ドメインが非共有結合で緊密に結合した二量体からなる。これらの2つのドメインの折り畳みにより、抗原結合のためのアミノ酸残基を提供し、この抗体に抗原結合特異性を与える、6つの超可変ループ(H鎖及びL鎖からそれぞれ3つのループ)が生じる。しかしながら、単一の可変ドメイン(または抗原に特異的なHVRを3つしか含まないFvの半分)でさえも、全結合部位よりも低い親和性であるが、抗原を認識し、それに結合する能力を有する。
【0065】
「sFv」または「scFv」と短縮されることもある「一本鎖Fv」は、単一のポリペプチド鎖に連結されているVH及びVL抗体ドメインを含む、抗体断片である。好ましくは、sFvポリペプチドは、VHドメインとVLドメインとの間にポリペプチドリンカーを更に含んでおり、このリンカーにより、sFvが抗原結合に望ましい構造を成すことが可能となっている。sFvの概説については、Pluckthun in The Pharmacology of Monoclonal Antibodies,vol.113,Rosenburg and Moore eds.,Springer-Verlag,New York,pp.269-315(1994)を参照されたい。
【0066】
抗体(例えば、本開示の抗ソルチリン抗体)の「機能性断片」は、インタクト抗体の一部分を含み、これには、概して、インタクト抗体の抗原結合領域もしくは可変領域、またはFcR結合能力を保持するかもしくは修飾されたFcR結合能力を有する抗体のF領域が含まれる。抗体断片の例には、直鎖抗体、一本鎖抗体分子、及び抗体断片から形成された多重特異性抗体が挙げられる。
【0067】
「ダイアボディ」という用語は、鎖内ではなく鎖間のVドメイン対合を達成し、それによって二価断片、すなわち、2つの抗原結合部位を有する断片が得られるように、VHドメインとVLドメインとの間に短いリンカー(約5~10個の残基)を用いてsFv断片(前の段落を参照)を構築することによって作製された小さな抗体断片を指す。二重特異性ダイアボディは、2つの抗体のVHドメイン及びVLドメインが異なるポリペプチド鎖に存在している、2つの「交差」sFv断片のヘテロ二量体である。ダイアボディは、例えば、欧州特許第404,097号、WO93/11161、Hollinger et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 90:6444-48(1993)に更に詳細に記載されている。
【0068】
本明細書で使用されるとき、「キメラ抗体」は、抗体(免疫グロブリン)(例えば、本開示の抗ソルチリン抗体)であって、重鎖及び/または軽鎖の一部分が、特定の種に由来する抗体または特定の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体に対応する配列と同一または相同であり、更に、鎖(複数可)の残りが、別の種に由来する抗体または別の抗体クラスもしくはサブクラスに属する抗体に対応する配列と同一または相同である抗体、ならびにかかる抗体の断片を指す(ただし、それらが所望の生物学的活性を呈する場合に限る)(米国特許第4,816,567号、Morrison et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA,81:6851-55(1984))。本明細書における目的のキメラ抗体には、PRIMATIZED(登録商標)抗体が含まれ、ここで、この抗体の抗原結合領域は、例えば、マカクザルに目的の抗原で免疫付与を行うことによって産生される抗体に由来する。本明細書で使用されるとき、「ヒト化抗体」は、「キメラ抗体」のサブセットとして使用される。
【0069】
非ヒト(例えば、マウス)抗体(例えば、本開示の抗ソルチリン抗体)の「ヒト化」形態は、非ヒト免疫グロブリン由来の最小配列を含有するキメラ抗体である。一実施形態において、ヒト化抗体は、レシピエントのHVRに由来する残基が、所望される特異性、親和性及び/または能力を有するマウス、ラット、ウサギまたは非ヒト霊長類などの非ヒト種(ドナー抗体)のHVRに由来する残基で置き換えられている、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)である。場合によって、ヒト免疫グロブリンのFR残基を、対応する非ヒト残基で置き換える。更に、ヒト化抗体は、レシピエント抗体にもドナー抗体にも見られない残基を含み得る。これらの修飾は、結合親和性などの抗体の性能を更に改良するために行われ得る。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含むことになり、ここで、超可変ループの全てまたは実質的に全てが、非ヒト免疫グロブリン配列のものに対応し、FR領域の全てまたは実質的に全てが、ヒト免疫グロブリン配列のものであるが、FR領域には、結合親和性、異性体化、免疫原性などの抗体の性能を向上させる1つ以上の個々のFR残基置換が含まれてもよい。FRにおけるこれらのアミノ酸置換の数は、典型的に、H鎖では6個以下であり、L鎖では3個以下である。ヒト化抗体はまた、任意選択により、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部分、典型的にはヒト免疫グロブリンの少なくとも一部分を含む。更なる詳細については、例えば、Jones et al.,Nature 321:522-525(1986)、Riechmann et al.,Nature 332:323-329(1988)、及びPresta,Curr.Op.Struct.Biol.2:593-596(1992)を参照されたい。また、例えば、Vaswani and Hamilton,Ann.Allergy,Asthma&Immunol.1:105-115(1998)、Harris,Biochem.Soc.Transactions 23:1035-1038(1995)、Hurle and Gross,Curr.Op.Biotech.5:428-433(1994)、ならびに米国特許第6,982,321号及び同第7,087,409号を参照されたい。
【0070】
「ヒト抗体」は、ヒトによって産生された抗体(例えば、本開示の抗ソルチリン抗体)のアミノ酸配列に対応するアミノ酸配列を有する抗体、及び/または本明細書に開示されるヒト抗体を作製する技法のうちの任意のものを使用して作製された抗体である。ヒト抗体のこの定義は、非ヒト抗原結合残基を含むヒト化抗体を具体的に除外する。ヒト抗体は、ファージディスプレイライブラリを含む、当該技術分野において既知の様々な技法を使用して産生することができる。Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.,227:381(1991)、Marks et al.,J.Mol.Biol.,222:581(1991)。ヒトモノクローナル抗体の作製には、Cole et al.,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,p.77(1985)、Boerner et al.,J.Immunol.,147(1):86-95(1991)に記載されている方法も使用できる。van Dijk and van de Winkel,Curr.Opin.Pharmacol.5:368-74(2001)も参照されたい。ヒト抗体は、トランスジェニック動物、例えば、免疫化異種マウスに抗原を投与することによって作製することができ、このトランスジェニック動物は、かかる抗体を抗原投与に応答して産生するように改変されており、その内因性遺伝子座が無効化されている(XENOMOUSE(商標)技術については、例えば、米国特許第6,075,181号及び同第6,150,584号参照)。ヒトB細胞ハイブリドーマ技術によって生成されるヒト抗体については、例えば、Li et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA,103:3557-3562(2006)も参照されたい。
【0071】
本明細書で使用されるとき、「超可変領域」、「HVR」または「HV」という用語は、配列が超可変性であり、かつ/または構造的に定義されたループを形成する、抗体可変ドメインの領域(例えば、本開示の抗ソルチリン抗体の抗体可変ドメインの領域)を指す。一般に、抗体は、6つのHVRを含み、3つがVH(H1、H2、H3)にあり、3つがVL(L1、L2、L3)にある。天然抗体において、H3及びL3が6つのHVRのうちで最も高い多様性を呈し、特にH3が抗体に優れた特異性を与える上で特有の役割を果たすと考えられる。例えば、Xu et al.,Immunity 13:37-45(2000)、Johnson and Wu in Methods in Molecular Biology 248:1-25(Lo,ed.,Human Press,Totowa,NJ,2003))を参照されたい。実際には、重鎖のみからなる天然に存在するラクダ抗体は、軽鎖の不在下で機能的であり、安定している。例えば、Hamers-Casterman et al.,Nature 363:446-448(1993)及びSheriff et al.,Nature Struct.Biol.3:733-736(1996)を参照されたい。
【0072】
多くのHVR記述が本明細書で使用され、本明細書に包含される。EUまたはKabatによる相補性決定領域(CDR)であるHVRは、配列可変性に基づくものであり、最も一般的に使用されている(Kabatら、上掲)。Chothiaは、むしろ、構造的ループの位置に言及する(Chothia and Lesk J.Mol.Biol.196:901-917(1987))。AbM HVRは、EUまたはKabat CDRとChothia構造的ループとの間の妥協案を示し、Oxford MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアによって使用される。「接触」HVRは、利用可能な複合体結晶構造の分析に基づく。これらのHVRの各々の残基を、以下に記載する。
【0073】
HVRは、次の「伸長HVR」を含み得る:VLにおいて、24-36または24-34(L1)、46-56または50-56(L2)及び89-97または89-96(L3)、ならびにVHにおいて、26-35(H1)、50-65または49-65(好ましい実施形態)(H2)及び93-102、94-102または95-102(H3)。可変ドメイン残基は、これらの伸長HVR定義の各々について、EUまたはKabatら(上掲)に従ってナンバリングされる。
【0074】
「フレームワーク」または「FR」残基は、本明細書に定義されるHVR残基以外の可変ドメイン残基である。
【0075】
「EUまたはKabatにおけるような可変ドメイン残基ナンバリング」または「EUまたはKabatにおけるようなアミノ酸位置ナンバリング」という表現、及びそれらの変形形態は、EUまたはKabatら(上掲)における、抗体の編成の重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインに使用されるナンバリングシステムを指す。このナンバリングシステムを使用する場合、実際の直鎖状アミノ酸配列は、可変ドメインのFRもしくはHVRの短縮、またはFRもしくはHVRへの挿入に対応する、より少ないアミノ酸または追加のアミノ酸を含有することがある。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52後に1つのアミノ酸挿入(Kabatに従うと残基52a)を含み得、また重鎖FR残基82後に挿入された残基(例えば、Kabatに従うと残基82a、82b及び82cなど)を含み得る。残基のEUまたはKabatナンバリングは、所与の抗体に対して、抗体の配列と「標準の」Kabatによってナンバリングされた配列との相同領域での整列によって決定され得る。
【0076】
EUまたはKabatナンバリングシステムは、一般に、可変ドメインにおける残基(大体、軽鎖の残基1~107及び重鎖の残基1~113)について言及する際に使用される(例えば、Kabat et al.,Sequences of Immunological Interest.5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))。「EUまたはKabtナンバリングシステム」または「EUインデックス」は、一般に、免疫グロブリン重鎖定常領域における残基について言及する際に使用される(例えば、Kabatら(上掲)で報告されるEUインデックス)。「KabatにおけるようなEUインデックス」は、ヒトIgG1 EU抗体の残基ナンバリングを指す。本明細書中に別途の記載がない限り、抗体の可変ドメイン内の残基番号の参照は、Kabatナンバリングシステムによる残基ナンバリングを意味する。本明細書中に別途の記載がない限り、抗体の定常ドメイン内の残基番号の参照は、EUまたはKabatナンバリングシステムによる残基ナンバリングを意味する(例えば、米国特許出願公開第2010-280227号参照)。
【0077】
本明細書で使用される「アクセプターヒトフレームワーク」とは、ヒト免疫グロブリンフレームワークに由来するまたはヒトコンセンサスフレームワークに由来するVLフレームワークまたはVHフレームワークのアミノ酸配列を含むフレームワークである。ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワーク「に由来する」アクセプターヒトフレームワークは、それと同じアミノ酸配列を含んでもよいし、既存のアミノ酸配列変化を含有してもよい。一部の実施形態において、既存のアミノ酸変化の数は、10以下、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下または2以下である。既存のアミノ酸変化がVH中に存在する場合、好ましいアミノ酸変化は、位置71H、73H及び78Hのうちの3個、2個または1個のみに生じ、例えば、当該位置のアミノ酸残基は、71A、73T及び/または78Aであり得る。一実施形態において、VLアクセプターヒトフレームワークは、配列において、VLヒト免疫グロブリンフレームワーク配列またはヒトコンセンサスフレームワーク配列と同一である。
【0078】
「ヒトコンセンサスフレームワーク」は、ヒト免疫グロブリンのVLフレームワーク配列またはVHフレームワーク配列の選択において最も一般的に生じるアミノ酸残基を代表する、フレームワークである。一般に、ヒト免疫グロブリンのVL配列またはVH配列の選択は、可変ドメイン配列のサブグループから行われる。一般に、配列のサブグループは、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,MD(1991)におけるようなサブグループである。例には、VLに関するものが含まれ、サブグループは、Kabatら(上掲)におけるようなサブグループカッパI、カッパII、カッパIIIまたはカッパIVであり得る。更に、VHについては、サブグループは、Kabatら(上掲)におけるようなサブグループI、サブグループIIまたはサブグループIIIであり得る。
【0079】
指定位置における「アミノ酸修飾」(例えば、本開示の抗ソルチリン抗体のアミノ酸修飾)は、指定残基の置換もしくは欠失、または指定残基に隣接する少なくとも1つのアミノ酸残基の挿入を指す。指定残基に「隣接する」挿入とは、その1~2つの残基内への挿入を意味する。挿入は、指定残基のN末端側またはC末端側であり得る。本明細書における好ましいアミノ酸修飾は、置換である。
【0080】
「親和性成熟」抗体(例えば、本開示の抗ソルチリン抗体)は、その1つ以上のHVRに1つ以上の変化を有し、これらの変化が、それらの変化(複数可)を有さない親抗体と比較して、抗原に対する抗体の親和性の向上をもたらすものである。一実施形態において、親和性成熟抗体は、標的抗原に対するナノモルまたは更にはピコモルの親和性を有する。親和性成熟抗体は、当該技術分野において既知の手法によって産生される。例えば、Marks et al.,Bio/Technology 10:779-783(1992)は、VHドメインとVLドメインのシャッフリングによる親和性成熟を記載している。HVR及び/またはフレームワーク残基のランダム変異導入は、例えば、Barbas et al.Proc Nat.Acad.Sci.USA 91:3809-3813(1994)、Schier et al.Gene 169:147-155(1995)、Yelton et al.J.Immunol.155:1994-2004(1995)、Jackson et al.,J.Immunol.154(7):3310-9(1995)、及びHawkins et al,J.Mol.Biol.226:889-896(1992)に記載されている。
【0081】
本明細書で使用されるとき、「特異的に認識する」または「特異的に結合する」という用語は、標的と抗体すなわち(例えば、本開示の抗ソルチリン抗体)との間の引力または結合などの、測定可能かつ再現可能な相互作用を指し、これにより、生体分子を含む不均質な分子集団の存在下で標的の存在を決定できる。例えば、ある標的またはエピトープに特異的または優先的に結合する抗体(例えば、本開示の抗ソルチリン抗体)は、他の標的または当該標的の他のエピトープに結合するよりも、より高い親和性、アビディティで、より容易に、かつ/またはより長い持続期間で、当該標的またはエピトープに結合する抗体である。この定義を読むことにより、例えば、第1の標的に特異的または優先的に結合する抗体(または部分)が第2の標的に特異的または優先的に結合しても、しなくてもよいこともまた理解される。したがって、「特異的結合」または「優先的結合」は、排他的な結合を必ずしも必要とするものではない(ただし、含む場合もある)。標的に特異的に結合する抗体は、少なくとも約103M-1または104M-1、場合により、約105M-1または106M-1、他の場合、約106M-1または107M-1、約108M-1~109M-1または約1010M-1~1011M-1以上の会合定数を有し得る。多様なイムノアッセイフォーマットを使用して、特定タンパク質と特異的に免疫反応性である抗体を選択することができる。例えば、固相ELISAイムノアッセイを常法により使用して、タンパク質と特異的に免疫反応性であるモノクローナル抗体を選択する。イムノアッセイフォーマット及び特異的免疫反応性を決定するために使用できる条件の記載については、例えば、Harlow and Lane(1988)Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Publications,New Yorkを参照されたい。
【0082】
本明細書で使用されるとき、ソルチリンタンパク質と第2のタンパク質との間の「相互作用」は、限定するものではないが、タンパク質-タンパク質相互作用、物理的相互作用、化学的相互作用、結合、共有結合及びイオン結合を包含する。本明細書で使用されるとき、抗体は、その抗体が2つのタンパク質間の相互作用を中断、低減または完全に排除するとき、2つのタンパク質間の「相互作用を阻害する」。本開示の抗体またはその断片は、その抗体または断片が2つのタンパク質のうちの1つに結合するとき、2つのタンパク質間の「相互作用を阻害する」。
【0083】
「遮断」抗体、「アンタゴニスト」抗体または「阻害」抗体は、その抗体が結合する抗原の1つ以上の生物学的活性、例えば、1つ以上のタンパク質との相互作用を阻害または低減する抗体(例えば、本開示の抗ソルチリン抗体)である。いくつかの実施形態において、遮断抗体、アンタゴニスト抗体または阻害抗体は、抗原の1つ以上の生物学的活性または相互作用を実質的または完全に阻害する。
【0084】
抗体の「エフェクター機能」は、抗体のFc領域(天然配列のFc領域またはアミノ酸配列変異形Fc領域)に帰属する生物学的活性を指し、抗体のアイソタイプに応じて多様である。
【0085】
本明細書における「Fc領域」という用語は、天然配列Fc領域及び変異形Fc領域を含む、免疫グロブリン重鎖のC末端領域を定義するように使用される。免疫グロブリン重鎖のFc領域の境界は様々であり得るが、ヒトIgG重鎖Fc領域は通常、アミノ酸残基の位置Cys226またはPro230から、そのカルボキシル末端まで及ぶものと定義される。Fc領域のC末端リジン(EUまたはKabatナンバリングシステムによると残基447)は、例えば、抗体の産生もしくは精製の間に、または抗体の重鎖をコードする核酸を組換え操作することによって、除去されてもよい。したがって、インタクト抗体の組成は、全てのK447残基が除去された抗体集団、K447残基が除去されていない抗体集団、及びK447残基を有する抗体と有しない抗体との混合物を有する抗体集団を含み得る。本開示の抗体における使用に好適な天然配列Fc領域には、ヒトIgG1、IgG2、IgG3及びIgG4が挙げられる。
【0086】
「天然配列Fc領域」は、天然で見出されるFc領域のアミノ酸配列と同一のアミノ酸配列を含む。天然配列ヒトFc領域には、天然配列ヒトIgG1 Fc領域(非A及びAアロタイプ)、天然配列ヒトIgG2 Fc領域、天然配列ヒトIgG3 Fc領域、及び天然配列ヒトIgG4 Fc領域、ならびに自然発生のそれらの変異形が含まれる。
【0087】
「変異形Fc領域」は、少なくとも1つのアミノ酸修飾、好ましくは1つ以上のアミノ酸置換(複数可)によって天然配列Fc領域のものとは異なるアミノ酸配列を含む。好ましくは、変異形Fc領域は、天然配列Fc領域または親ポリペプチドのFc領域と比較して少なくとも1つのアミノ酸置換、例えば、天然配列Fc領域中または親ポリペプチドのFc領域中に約1~約10のアミノ酸置換、好ましくは約1~約5のアミノ酸置換を有する。本明細書における変異形Fc領域は、好ましくは、天然配列Fc領域及び/または親ポリペプチドのFc領域と少なくとも約80%の相同性、最も好ましくは、それらと少なくとも約90%の相同性、より好ましくは、それらと少なくとも約95%の相同性を保有する。
【0088】
「Fc受容体」または「FcR」は、抗体のFc領域に結合する受容体を表す。好ましいFcRは、天然配列のヒトFcRである。更に、好ましいFcRは、IgG抗体(ガンマ受容体)に結合するものであり、これには、FcγRI、FcγRII及びFcγRIIIのサブクラスの受容体(これらの受容体のアレル変異形及び代替的にはスプライス型を含む)が含まれ、FcγRII受容体には、FcγRIIA(「活性化受容体」)及びFcγRIIB(「阻害受容体」)が含まれ、これらは、主にそれらの細胞質ドメインが異なる、同様のアミノ酸配列を有する。活性化受容体FcγRIIAは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシンベース活性化モチーフ(「ITAM」)を含有する。阻害受容体FcγRIIBは、その細胞質ドメインに免疫受容体チロシンベース阻害モチーフ(「ITIM」)を含有する(例えば、M.Daeron,Annu.Rev.Immunol.15:203-234(1997)参照)。FcRについては、Ravetch and Kinet,Annu.Rev.Immunol.9:457-92(1991)、Capel et al.,Immunomethods 4:25-34(1994)、及びde Haas et al.,J.Lab.Clin.Med.126:330-41(1995)に概説されている。今後同定されるものを含む他のFcRは、本明細書における「FcR」という用語に包含される。FcRはまた、抗体の血清中半減期を延長し得る。
【0089】
ヒトFcRn高親和性結合ポリペプチドのFcRnへのin vivo結合及び血清中半減期は、例えば、ヒトFcRnを発現するトランスジェニックマウスもしくはトランスフェクトヒト細胞株において、または変異形Fc領域を有するポリペプチドが投与される霊長類においてアッセイすることができる。WO2004/42072(Presta)は、FcRへの結合が改善または低減された抗体変異形について記載している。例えば、Shields et al.,J.Biol.Chem.9(2):6591-6604(2001)も参照されたい。
【0090】
本明細書で使用されるとき、ペプチド、ポリペプチドまたは抗体配列に関する「アミノ酸配列同一性パーセント(%)」及び「アミノ酸配列相同性パーセント(%)」は、配列を整列させ、必要に応じて最大配列同一性パーセントを達成するためにギャップを導入した後の、配列同一性の一部としてあらゆる保存的置換を考慮しない、指定のペプチドまたはポリペプチド配列中のアミノ酸残基と同一である、候補配列中のアミノ酸残基の割合を指す。アミノ酸配列同一性パーセントを決定する目的のためのアライメントは、当該技術分野の技術範囲内である種々の方法、例えばBLAST、BLAST-2、ALIGNまたはMEGALIGN(商標)(DNASTAR)ソフトウェアなどの一般に利用可能なコンピュータソフトウェアを使用して、達成することができる。当業者であれば、比較する配列の全長にわたって最大のアラインメントを達成するために必要な当該技術分野において既知の任意のアルゴリズムを含む、アラインメントを評価するための適切なパラメータを決定することができる。
【0091】
抗体(例えば、本開示の抗ソルチリン抗体)をコードする「単離された」核酸分子は、その核酸分子が生成された環境において通常会合している少なくとも1つの夾雑核酸分子から同定及び分離された核酸分子である。好ましくは、単離された核酸は、その産生環境に伴う全ての構成要素との会合がない。本明細書のポリペプチド及び抗体をコードする単離された核酸分子は、その核酸分子が天然で認められる形態または設定とは異なる形態で存在する。したがって、単離された核酸分子は、細胞中に天然に存在する本明細書のポリペプチド及び抗体をコードする核酸とは区別される。
【0092】
「ベクター」という用語は、本明細書で使用されるとき、当該ベクターに結合された別の核酸分子を輸送することができる核酸分子を指す。ベクターの一種には「プラスミド」があり、これは、追加のDNAセグメントがライゲーションされ得る円形の二本鎖DNAを指す。ベクターの別の種類はファージベクターである。ベクターの別の種類はウイルスベクターであり、この場合、追加のDNAセグメントは、ウイルスゲノムへライゲーションされる。ある特定のベクターは、それらが導入される宿主細胞において自己複製が可能である(例えば、細菌複製起点を有する細菌ベクター及びエピソーム性哺乳動物ベクター)。他のベクター(例えば、非エピソーム性哺乳動物ベクター)は、宿主細胞への導入時に宿主細胞のゲノムに統合することができるため、宿主ゲノムと共に複製される。更に、ある特定のベクターは、作動可能に連結された遺伝子の発現を導くことができる。そのようなベクターは、本明細書において、「組換え発現ベクター」または簡単に「発現ベクター」と称される。一般に、組換えDNA技法において利用される発現ベクターは、プラスミドの形態である場合が多い。本明細書において、「プラスミド」及び「ベクター」は、プラスミドがベクターのうちで最も一般的に使用される形態であるため、互換的に使用され得る。
【0093】
本明細書で互換的に使用される「ポリヌクレオチド」または「核酸」は、任意の長さのヌクレオチドのポリマーを指し、DNA及びRNAを含む。ヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチド、リボヌクレオチド、修飾ヌクレオチドもしくは塩基及び/またはそれらの類似体、あるいはDNAもしくはRNAポリメラーゼによりまたは合成反応によりポリマーに組み込まれ得る任意の基質であり得る。ポリヌクレオチドは、メチル化ヌクレオチド及びそれらの類似体などの修飾ヌクレオチドを含んでよい。存在する場合、ヌクレオチド構造への修飾は、ポリマーの組み立て前または後に付与され得る。ヌクレオチドの配列は、非ヌクレオチド成分により中断され得る。ポリヌクレオチドは、標識へのコンジュゲーションなど、合成後になされた修飾(複数可)を含み得る。他のタイプの修飾としては、例えば、天然に存在するヌクレオチドのうちの1つ以上を類似体と置換する「キャップ」、ヌクレオチド間修飾、例えば、非電荷性結合(例えば、メチルホスホン酸塩、ホスホトリエステル、ホスホアミデート、カルバメートなど)によるもの、及び電荷性結合(例えば、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエートなど)によるもの、懸垂部分を含むもの、例えば、タンパク質(例えば、ヌクレアーゼ、毒素、抗体、シグナルペプチド、ポリ-L-リジンなど)、挿入剤(例えば、アクリジン、ソラーレンなど)によるもの、キレート剤を含むもの(例えば、金属、放射活性金属、ホウ素、酸化金属など)によるもの、アルキル化剤を含むもの、修飾結合(例えば、αアノマー核酸など)によるもの、ならびにポリヌクレオチド(複数可)の未修飾形態が挙げられる。更に、糖内に通常存在するヒドロキシル基のうちのいずれかは、例えば、ホスホン酸基、リン酸基により置換されるか、標準保護基により保護されるか、もしくは活性化されて追加のヌクレオチドへの追加の結合を生成し得るか、または固体もしくは半固体支持体にコンジュゲートされてもよい。5’末端及び3’末端のOHは、リン酸化するか、またはアミンもしくは1~20個の炭素原子の有機キャッピング基部分と置換することができる。他のヒドロキシルは、標準保護基に誘導体化されてもよい。ポリヌクレオチドは、2’-O-メチル-、2’-O-アリル、2’-フルオロ-または2’-アジド-リボース、炭素環糖の類似体、α-アノマー糖、アラビノース、キシロースまたはリキソースなどのエピマー糖、ピラノース糖、フラノース糖、セドヘプツロース、アクリル酸類似体及びメチルリボシドなどの塩基性ヌクレオシド類似体を含む、当該分野において一般的に知られているリボース糖またはデオキシリボース糖の類似形態も含むことができる。1つ以上のホスホジエステル結合は、代替連結基に置き換えられてもよい。これらの代替連結基には、限定されないが、リン酸塩がP(O)S(「チオエート」)、P(S)S(「ジチオエート」)、(O)NR2(「アミデート」)、P(O)R、P(O)OR’、COまたはCH2(「ホルムアセタール」)に置き換えられる実施形態が含まれ、式中、各RまたはR’は、独立してHであるか、または置換もしくは非置換アルキル(1~20C)(任意にエーテル(-O-)結合を含む)、アリール、アルケニル、シクロアルキル、シクロアルケニルもしくはアラルジルである。ポリヌクレオチド内の全ての結合が同一である必要はない。前述の説明は、RNA及びDNAを含む、本明細書において言及される全てのポリヌクレオチドに適用される。
【0094】
「宿主細胞」は、ポリヌクレオチド挿入物を組み込むためのベクター(複数可)のレシピエントになり得る、またはレシピエントになっている個々の細胞または細胞培養物を含む。宿主細胞は、単一の宿主細胞の子孫を含み、その子孫は、自然発生的、偶発的または意図的な変異により、元の親細胞と必ずしも完全に同一でなくてもよい(形態学的にまたはゲノムDNA相補体において)。宿主細胞は、本開示のポリヌクレオチド(複数可)をin vivoでトランスフェクションした細胞を含む。
【0095】
本明細書で使用される「担体」には、用いられる用量及び濃度でその担体に曝露される細胞または哺乳動物にとって無毒である、薬学的に許容される担体、賦形剤または安定剤が含まれる。多くの場合、生理的に許容される担体は、pH緩衝水溶液である。生理学的に許容される担体の例としては、リン酸、クエン酸及び他の有機酸などの緩衝液、アスコルビン酸を含む抗酸化剤、低分子量(約10残基未満)ポリペプチド、血清アルブミン、ゼラチンもしくは免疫グロブリンなどのタンパク質、ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー、グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニンもしくはリジンなどのアミノ酸、グルコース、マンノースもしくはデキストリンを含む、単糖類、二糖類及び他の炭水化物、EDTAなどのキレート剤、マンニトールもしくはソルビトールなどの糖アルコール、ナトリウムなどの塩形成対イオン、ならびに/またはTWEEN(商標)、ポリエチレングリコール(PEG)及びPLURONICS(商標)などの非イオン性界面活性剤が挙げられる。
【0096】
本明細書で使用されるとき、「アポトーシス」という用語は、遺伝子の指示による細胞内の細胞破壊プロセスを指す。アポトーシスは、ネクローシスとは区別され、細胞骨格の破壊、細胞質の収縮及び凝縮、細胞膜外表面でのホスファチジルセリンの発現及びブレブ形成を含み、これにより、細胞膜に結合した小胞またはアポトーシス小体が形成される。このプロセスは、「プログラムされた細胞死」とも呼ばれる。アポトーシスの過程では、湾曲した細胞表面、核クロマチンの凝縮、染色体DNAの断片化及びミトコンドリアの機能低下などの特徴的な現象が観察される。アネキシンV、ヨウ化プロピジウム、DNA断片化アッセイ及びYO-PRO-1(Invitrogen)による細胞染色などの種々の既知の技術を使用してアポトーシスを検出することができる。いくつかの実施形態において、アネキシンV及びヨウ化プロピジウムによる染色が使用され得、アネキシンV+/PI+、アネキシンV+/PI-及びアネキシンV-/PI+集団の合計パーセンテージが死細胞とみなされる。
【0097】
本明細書で使用される「約」という用語は、当業者であれば容易に理解するそれぞれの値の通常の誤差範囲を指す。本明細書における「約」を付した値またはパラメータへの言及は、その値またはパラメータ自体を対象とする実施形態を含む(かつ記載する)ものである。
【0098】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈がそうでないことを明確に示さない限り、複数形を含む。例えば、「抗体」への言及は、モル量のような1から多くの抗体までに対する言及であり、当業者に知られているその等価物を含むことなどである。
【0099】
本明細書に記載される本開示の態様及び実施形態は、態様及び実施形態を「含む」、態様及び実施形態「からなる」、ならびに態様及び実施形態「から本質的になる」を含むことを理解されたい。
【0100】
ソルチリンタンパク質
一態様において、本開示は、本開示のソルチリンタンパク質内のエピトープに結合する、単離された(例えば、モノクローナル)抗体を提供する。本開示のソルチリンタンパク質は、限定するものではないが、哺乳動物ソルチリンタンパク質、ヒトソルチリンタンパク質、マウスソルチリンタンパク質及びラットソルチリンタンパク質を含む。
【0101】
ソルチリンは、ソルチリン1、sort1、100kDa NT受容体、糖タンパク質95(GP95)、プログラニュリン受容体(PGRN-R)及びニューロテンシン受容体3(NT-3またはNTR-3)と様々に呼ばれる。ソルチリンは、831個のアミノ酸からなるタンパク質であり、I型膜受容体をコードしている。種々のソルチリン相同体が知られており、これらには、限定するものではないが、ヒトソルチリン、ラットソルチリン及びマウスソルチリンが挙げられる。ヒトソルチリンのアミノ酸配列を配列番号1として以下に示す(プログラニュリン結合への関与が予想される重要なアミノ酸残基を太字で示し、pro-NGF結合領域と予想されるものを下線で示す)。
【0102】
更に、マウスソルチリンのアミノ酸配列を配列番号2に示す。
【0103】
更に、ラットソルチリンのアミノ酸配列を配列番号3に示す。
【0104】
いくつかの実施形態において、ソルチリンは、シグナル配列を含むプレタンパク質である。いくつかの実施形態において、ソルチリンは、成熟タンパク質である。いくつかの実施形態において、成熟ソルチリンタンパク質は、シグナル配列を含まない。いくつかの実施形態において、成熟ソルチリンタンパク質は、細胞上に発現される。
【0105】
本開示のソルチリンタンパク質は、いくつかのドメインを含み、これには、限定するものではないが、シグナル配列、プロペプチド、内腔ドメイン、Vps10pドメイン、10CCドメイン、膜貫通ドメイン及び細胞質ドメインが含まれる。更に、本開示のタンパク質は、限定するものではないが、脳、脊髄、心臓及び骨格筋、甲状腺、胎盤及び精巣を含む、多数の組織において、高レベルで発現している。
【0106】
ソルチリンは、選別受容体であるVps10pファミリーのメンバーであり、このファミリーには、限定するものではないが、A型リピートを有する選別タンパク質関連受容体(SorLA)、ソルチリン関連受容体CNS発現型1(SorCS1)、ソルチリン関連受容体CNS発現型2(SorCS2)及びソルチリン関連受容体CNS発現型3(SorCS3)が更に含まれる。ソルチリンの内腔領域は、酵母Vps10p(Vps10pドメイン)の2つの内腔ドメインのそれぞれと一致している。Vps10pドメインの特徴は、アミノ末端のプロペプチドと、10個の保存的システイン(10CC)残基を含有するカルボキシ端末セグメントである。Vps10pファミリーの他の受容体は、アミノ末端に位置するVps10pドメインを共に有しており、更なるエクトドメインを含有する。
【0107】
選別受容体であるVps10pファミリーは、神経系内及び他の場所の両方で多様な機能を有する。受容体は、多機能性であることが示されており、限定するものではないが、プログラニュリン(PGRN)、神経成長因子前駆体(Pro-NGF)、神経成長因子(NGF)、PCSK9、プロニューロトロフィン、ニューロトロフィン、プロニューロトロフィン-3(pro-NT3)、プロニューロトロフィン-4/5、脳由来神経栄養因子前駆体(Pro-BDNF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン-3(NT3)、ニューロトロフィン-4/5、ニューロテンシン、p75NTR、ソルチリンプロペプチド(Sort-pro)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質、アポリポタンパク質AV(APOA5)、アポリポタンパク質E(APOE2、3、4)、受容体関連タンパク質(RAP)及びプラスミノーゲン活性化因子系の要素を含む、複数の異なるリガンドに結合し、また、細胞内における選別、エンドサイトーシス及びシグナル伝達に関与している。本開示のソルチリンタンパク質は、リポタンパク質リパーゼ、ニューロテンシン及び神経成長因子の前形態の迅速なエンドサイトーシスを媒介すること、ならびにゴルジ体から後期エンドソームへ輸送させるためにタンパク質を標的にすることが示されている。更に、本開示のソルチリンタンパク質は、細胞膜上のp75と複合体を形成し、神経成長因子前駆体(NGF)誘導神経細胞死に不可欠であることが示されている。また最近では、Vps10p受容体ファミリーのメンバーが、NGF、脳由来神経栄養因子、ニューロトロフィン-3及びニューロトロフィン-4/5またはニューロトロフィンのプロドメイン形態(プロニューロトロフィン)を含む、ニューロトロフィンファミリーのメンバーと相互作用することが示された。本開示のソルチリンタンパク質はまた、低密度リポタンパク質受容体をリソソームでの分解へと運命付けるPCSK9に結合し、その細胞外レベルを制御することにより、LDLコレステロール濃度を増加させることが示されている。
【0108】
したがって、本明細書で使用されるとき、本開示の「ソルチリン」タンパク質は、限定するものではないが、哺乳動物ソルチリンタンパク質、ヒトソルチリンタンパク質、霊長類ソルチリンタンパク質、マウスソルチリンタンパク質及びラットソルチリンタンパク質を含む。更に、本開示の抗ソルチリン抗体は、哺乳動物ソルチリンタンパク質、ヒトソルチリンタンパク質、霊長類ソルチリン、マウスソルチリンタンパク質及びラットソルチリンタンパク質のうちの1つ以上のうちのエピトープに結合し得る。
【0109】
ソルチリンタンパク質ドメイン
本開示のソルチリンタンパク質は、Aspボックスモチーフ、10枚羽根のβプロペラ構造及び疎水性ループを含有するVps10pドメインならびに10CCドメインなどのいくつかのドメインを含有する。
【0110】
本明細書で開示するように、本開示のソルチリンタンパク質とプロニューロトロフィンまたはニューロトロフィンとの間の相互作用は、10枚羽根のβプロペラ構造及びAspボックスモチーフを含有するVps10pドメインによって媒介される。ある特定の実施形態において、本開示のソルチリンタンパク質は、10枚羽根のβプロペラ構造を含み、かつヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基78~611または配列番号1のアミノ酸残基78~611に相当する哺乳動物ソルチリンのアミノ酸残基内に位置する、Vps10pドメインを含有する。ある特定の実施形態において、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基190~220または配列番号1のアミノ酸残基190~220に相当する哺乳動物ソルチリンのアミノ酸残基は、Vps10pドメイン内に位置する。
【0111】
本開示のVps10pドメインは、Aspボックスモチーフを含み得る。本明細書で使用されるとき、Aspボックスモチーフは、次の配列:(S/T)-X-(D/N)-X-X-X-X-(W/F/Y)(配列番号4)またはX-X-(S/T)-X-(D/N)-X-G-X-(T/S)-(W/F/Y)-X(配列番号5)(配列中、Xは任意のアミノ酸を表す)を有する。ヒトソルチリンにおいて、Aspボックスモチーフは、アミノ酸残基200~207(SSDFAKNF(配列番号694))に位置する。したがって、ある特定の実施形態において、Aspボックスモチーフは、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基200~207または配列番号1のアミノ酸残基200~207に相当する哺乳動物ソルチリンのアミノ酸残基に位置する。
【0112】
本明細書で開示するように、本開示のソルチリンタンパク質とp75との間の相互作用は、Vps10pドメインの疎水性ループの10CCドメインによって媒介される。
【0113】
ある特定の実施形態において、本開示のソルチリンタンパク質は、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基610~757または配列番号1のアミノ酸残基610~757に相当する哺乳動物ソルチリンのアミノ酸残基内に位置する、10CCドメインを含有する。好ましい実施形態において、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基592~593、610~660及び/もしくは667~749または配列番号1のアミノ酸残基592~593、610~660及び/もしくは667~749に相当する哺乳動物ソルチリンのアミノ酸残基は、ソルチリンの10CCドメイン内に位置する。
【0114】
他の実施形態において、本開示のソルチリンタンパク質は、Vps10pドメイン内に、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基130~141または配列番号1のアミノ酸残基130~141に相当する哺乳動物ソルチリンのアミノ酸残基内に位置する疎水性ループを含有する。
【0115】
当業者であれば認識するように、本開示のドメインの開始残基及び終了残基は、ドメインを決定するために使用されるコンピュータモデリング用プログラムまたはその方法に応じて変化し得る。
【0116】
ソルチリン結合パートナー
本開示のソルチリンタンパク質は、限定するものではないが、プログラニュリンタンパク質、プロニューロトロフィン、プロニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、ニューロトロフィン-4/5、神経成長因子前駆体(Pro-NGF)、神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子前駆体(Pro-BDNF)及び脳由来神経栄養因子(BDNF)などのニューロトロフィン、ニューロテンシン、p75、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、アポリポタンパク質E(APOE)、アミロイド前駆体タンパク質、Aβペプチド、PCSK9、p75NTRならびに受容体関連タンパク質(RAP)を含む1つ以上のタンパク質と相互作用し得る(例えば、結合し得る)。
【0117】
プログラニュリン
本開示のソルチリンタンパク質は、プログラニュリンと直接的に相互作用(例えば、結合)し、プログラニュリンの分解を媒介することが示されている(例えば、Zheng,Y et al.,(2011)PLoS ONE 6(6):e21023)。
【0118】
プログラニュリンは、PGRN、プロエピテリン、グラニュリン-エピテリン前駆体、PC(前立腺がん)細胞由来成長因子(PCDGF)及びアクログラニンと様々に呼ばれる。プログラニュリンは、593個のアミノ酸からなるタンパク質であり、前駆体PGRNからタンパク質分解的に切断され得る6~25kDaの小さなグラニュリン(エピテリン)モチーフの7.5回のリピート構造を有する、68.5kDの分泌糖タンパク質をコードしている。プログラニュリン切断産物の例には、限定するものではないが、グラニュリンA/エピテリン1、グラニュリンBエピテリン2、グラニュリンC、グラニュリンD、グラニュリンE、グラニュリンF、グラニュリンG及びプログラニュリンに由来する任意の他の既知のペプチド産物が挙げられる。
【0119】
プログラニュリンは広く発現しており、非神経細胞において、細胞周期制御及び細胞運動性、創傷治癒、炎症、血管内皮細胞増殖因子(VEGF)などの成長因子の誘導ならびに腫瘍形成などの種々の事象に関係している。また、プログラニュリンは、初期の神経発達時には広く発現しているが、発達後期には、皮質ニューロン、海馬錐体ニューロン及びプルキンエ細胞などの明確な神経集団に限定されるようになる。しかしながら、神経細胞におけるプログラニュリンの役割は、前頭側頭型認知症(FTD)に罹患している患者が染色体17上のプログラニュリン遺伝子に変異を有することが示されるまで、不明であった。その後、プログラニュリンは、神経細胞の生存を促進し、皮質ニューロン及び運動ニューロンにおける神経突起伸長を増強することが示された。したがって、プログラニュリンは、ニューロトロフィンでもニューロトロフィンファミリーのメンバーでもないが、神経細胞の生存を促進するその能力から、神経栄養因子と呼ばれている。
【0120】
更に、プログラニュリンのハプロ不全(機能喪失型変異などの70を超える異なる変異を含む)がTDP-43病変を伴う前頭側頭型認知症(FTD)に関係することが示されている。加えて、FTD変異を有する患者では、プログラニュリンの血漿中濃度が低下し、家族性FTDの25%をプログラニュリン変異が占めている。その上、プログラニュリンの低濃度は、プログラニュリン変異を持たない一部のFTD患者でも認められており、アルツハイマー病及びALSでもプログラニュリン濃度が変化する。したがって、プログラニュリンが変性疾患に広く関与している可能性があると考えられている。
【0121】
また、プログラニュリンの完全な欠乏は、神経リポフスチン症(Neuronal Lipoid Fuscinosis、NPL)の表現型につながることも示されている。したがって、種々のリソソーム蓄積症を有する個体は、プログラニュリンのレベル上昇に応答する可能性があると考えられる。プログラニュリンは広く発現しており、中枢神経系において、ニューロン及びミクログリアによって産生される。プログラニュリンはまた、マクロファージ及びミクログリアでは抗炎症の役割を担い、ニューロンでは生存促進の役割を担っていると一般に考えられている。
【0122】
したがって、プログラニュリンレベルを増加させ、ソルチリンの細胞表面レベルを減少させ、かつ/またはソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用(例えば、結合)を遮断する本開示の抗ソルチリン抗体は、プログラニュリンの発現及び/もしくは活性レベルの低下、細胞死(例えば、神経細胞死)、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、痙攣発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、脊髄損傷、長期抑圧、アテローム動脈硬化性血管疾患、正常老化の望ましくない症状、認知症、混合型認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病、正常圧水頭症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウオパチー病、脳卒中、急性外傷、慢性外傷、狼瘡、急性及び慢性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、マラリア、本態性振戦、中枢神経系狼瘡、ベーチェット病、パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症、椎間板変性、シャイ・ドレーガー症候群、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核神経節変性症、急性散在性脳脊髄炎、肉芽腫性疾患、サルコイドーシス、老人病、加齢黄斑変性症、緑内障、網膜色素変性症、網膜変性、気道感染症、敗血症、眼感染症、全身感染、炎症性疾患、関節炎、多発性硬化症、代謝疾患、肥満、インスリン抵抗性、2型糖尿病、組織もしくは血管損傷、外傷ならびに/または1つ以上の正常老化の望ましくない症状に関連する病態及び/または疾患を予防し、その危険性を低減させ、または治療するのに有益であり得る。更に、プログラニュリンレベルを増加させ、ソルチリンの細胞表面レベルを減少させ、かつ/またはソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用(例えば、結合)を遮断する本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害し得、1つ以上のプログラニュリン活性を誘発し得、プログラニュリンもしくはその断片のエンドソーム内在化を減少させ得、かつ/またはプログラニュリンの有効濃度を増加させ得る。
【0123】
いくつかの実施形態において、プログラニュリンレベルを増加させ、ソルチリンの細胞表面レベルを減少させ、かつ/またはソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用(例えば、結合)を遮断する本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基131~138、175~181、190~220、199~220、190~211、196~207、196~199、200~207、203~207、207~231、207~227、212~221、233~243、237~247、237~260、297~317、314~338、367~391、429~443、623~632及び/もしくは740~749内の1つ以上のアミノ酸、または配列番号1のアミノ酸残基131~138、175~181、190~220、199~220、190~211、196~207、196~199、200~207、203~207、207~231、207~227、212~221、233~243、237~247、237~260、297~317、314~338、367~391、429~443、623~632及び/もしくは740~749に相当する哺乳動物ソルチリンのアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。他の実施形態において、プログラニュリンレベルを増加させ、ソルチリンの細胞表面レベルを減少させ、かつ/またはソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用(例えば、結合)を遮断する本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基His131、Val132、Pro133、Leu134、Val135、Ile136、Met137、Thr138、Arg196、Phe198、Arg199、Phe203、Lys205、Phe207、Thr210、Thr218、Tyr222、Ser223、Ser227、Ser242、Lys243、Lys248、Lys254、Lys260、Ser305、Phe306、Gly307、Arg311、Phe314、Ser316、Arg325、Arg326、Ile327、Phe350、Tyr351、Ser352、Ile353、Asn373、Ser379、Arg382、Tyr386、Ser595及び/もしくはGlu700のうちの1つ以上のアミノ酸、または配列番号1の1つ以上のアミノ酸残基His131、Val132、Pro133、Leu134、Val135、Ile136、Met137、Thr138、Arg196、Phe198、Arg199、Phe203、Lys205、Phe207、Thr210、Thr218、Tyr222、Ser223、Ser227、Ser242、Lys243、Lys248、Lys254、Lys260、Ser305、Phe306、Gly307、Arg311、Phe314、Ser316、Arg325、Arg326、Ile327、Phe350、Tyr351、Ser352、Ile353、Asn373、Ser379、Arg382、Tyr386、Ser595及び/もしくはGlu700に相当する哺乳動物ソルチリンのアミノ酸残基のうちの1つ以上のアミノ酸に結合し得る。
【0124】
ニューロトロフィン
本開示のソルチリンタンパク質は、プロドメインを有し、かつ典型的にアポトーシス促進性である、プロニューロトロフィン(例えば、pro-NGF)と直接的に相互作用(例えば、結合)することが示されている(例えば、Andersen,OS et al.(2010)The Journal of Biological Chemistry,285,12210-12222)。このようなpro-NGF前駆体はストレス下で放出されるが、その放出の制御及びその受容細胞への結合にソルチリンタンパク質が関与していることが示されている。この結合は、配列番号1のアミノ酸残基163~174に相当するソルチリン上の線状エピトープを介して媒介され得る。
【0125】
ニューロトロフィンは、神経細胞の生存、発達及び機能を誘発する二量体ペプチドホルモンタンパク質のファミリーである。ニューロトロフィンは、成長因子の1クラスに属し、特定の細胞にシグナルを伝達して生存、分化または成長を可能にする分泌タンパク質である。ニューロンの生存を促進するニューロトロフィンなどの成長因子は、神経栄養因子として知られている。神経栄養因子は、標的組織によって分泌され、関連するニューロンがプログラム細胞死を開始するのを妨げることによって作用する。ニューロトロフィンはまた、前駆細胞の分化を誘発してニューロンを形成することができる。本開示のニューロトロフィンは、シグナルペプチド及びグリコシル化部位を含有する30~35kDaの前駆体タンパク質として細胞内で合成される。前駆体タンパク質は更に、プロセシングの過程で、ゴルジ装置内で、カルシウム依存性セリンプロテアーゼフューリン及びプロホルモン転換酵素ファミリーの他のメンバーによって二塩基性切断部位で切断される。この切断のN端末部分は、118~120個のアミノ酸からなる成熟ニューロトロフィンであり、生物学的に活性な12~14kDaのC末端産物である(Seidah et al,Biochem.J.(1996)314:951-960)。本明細書で使用されるとき、「ニューロトロフィン」及び「神経栄養因子」は、互換的に使用され得る。本開示のニューロトロフィンは、限定するものではないが、構造的に関連した因子の神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン-3(NT-3)及びニューロトロフィン-4(NT-4)を含む。本明細書で使用されるとき、「プロニューロトロフィン」は、ニューロトロフィンファミリーの任意のプロペプチド、例えば、限定するものではないが、pro-NGF、pro-BDNF、プロニューロトロフィン-3及びプロニューロトロフィン-4/5を指し得る。
【0126】
プロニューロトロフィンは、老化、痙攣発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、脊髄損傷及び長期抑圧において病理学的役割を果たすことが示されている。(例えば、Beattie,MS et al.,(2002)Neuron 36,375-386、Volosin,M et al.(2006)J.Neurosci.26,7756 -7766、Nykjaer,A et al.,(2005)Curr.Opin.Neurobiol.15,49-57、Jansen,P et al.,(2007)Nat.Neurosci.10,1449-1457、Volosin,M et al.,(2008)J.Neurosci.28,9870-9879、Fahnestock,M et al.,(2001)Mol.Cell Neurosci.18,210-220、Nakamura,K et al.,(2007)Cell Death.Differ.14,1552-1554、Yune,T et al.(2007)J.Neurosci.27,7751-7761、Arnett,MG et al.,(2007)Brain Res.1183,32-42、Wei,Y et al.,(2007)Neurosci.Lett.429,169-174、Provenzano,MJ et al.,(2008)Laryngoscope 118,87-93、及びPang,PT et al.,(2004)Science 306,487-491)。
【0127】
神経成長因子(NGF)は、小さな分泌タンパク質であり、ホモ二量体化し、大きな複合体に組み込まれる。NGFは、神経成長刺激活性を有し、その複合体は、交感神経及び特定の感覚ニューロンの成長、維持、生存及び分化の制御に関与する。NGFの変異は、遺伝性感性自律神経性ニューロパチー5型(HSAN5)と関連し、NGF発現の調節不全は、アレルギー性鼻炎と関連している。理論に束縛されるものではないが、pro-NGFは、アポトーシス及び長期抑圧を誘発し得るとも考えられる。
【0128】
脳由来神経栄養因子(BDNF)は、皮質ニューロンから誘導される分泌タンパク質であり、脳内の線条体ニューロンの生存に必要である。アルツハイマー病患者とハンチントン病患者の両方でBDNFの発現が低下する。BDNFは、ストレス応答の制御及び気分障害の生物学に関与している可能性がある。異なるアイソフォームをコードする多数の転写バリアントが、この遺伝子について記載されている。理論に束縛されるものではないが、pro-BDNFもまた、アポトーシス及び長期抑圧を誘発し得ると考えられる。
【0129】
ニューロトロフィン-3は、多数の末梢神経系及び中枢神経系ニューロンの生存及び機能に必要な泌タンパク質である。ニューロトロフィン-3遺伝子バリアントは、重症型の統合失調症と関連し、プロニューロトロフィン-3(pro-NT3)は、交感神経ニューロン死を誘導する。
【0130】
したがって、本開示の抗ソルチリン抗体はまた、ソルチリンと本開示のニューロトロフィン(例えば、プロニューロトロフィン)との間の相互作用を阻害(例えば、遮断)し得る。かかる抗体は、ニューロトロフィンの発現及び/もしくは活性レベルの低下、細胞死(例えば、神経細胞死)、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、痙攣発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、脊髄損傷、長期抑圧、アテローム動脈硬化性血管疾患、正常老化の望ましくない症状、認知症、混合型認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病、正常圧水頭症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウオパチー病、脳卒中、急性外傷、慢性外傷、狼瘡、急性及び慢性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、マラリア、本態性振戦、中枢神経系狼瘡、ベーチェット病、パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症、椎間板変性、シャイ・ドレーガー症候群、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核神経節変性症、急性散在性脳脊髄炎、肉芽腫性疾患、サルコイドーシス、老人病、加齢黄斑変性症、緑内障、網膜色素変性症、網膜変性、気道感染症、敗血症、眼感染症、全身感染、炎症性疾患、関節炎、多発性硬化症、代謝疾患、肥満、インスリン抵抗性、2型糖尿病、組織もしくは血管損傷、外傷ならびに/または1つ以上の正常老化の望ましくない症状に関連する病態及び/または疾患の予防、危険性の低減または治療に有益であり得る。ソルチリンと本開示のニューロトロフィン(例えば、プロニューロトロフィン)との間の相互作用を阻害(例えば、遮断)する本開示の抗ソルチリン抗体はまた、プロニューロトロフィンによって誘発される細胞死(例えば、アポトーシス)を阻止し得る。
【0131】
いくつかの実施形態において、ソルチリンと本開示のニューロトロフィンとの間の相互作用を阻害(例えば、遮断)する本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基131~138、175~181、190~220、199~220、190~211、196~207、196~199、200~207、203~207、207~231、207~227、212~221、233~243、237~247、237~260、297~317、314~338、367~391、429~443、623~632及び/もしくは740~749内のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸、または配列番号1のアミノ酸残基131~138、175~181、190~220、199~220、190~211、196~207、196~199、200~207、203~207、207~231、207~227、212~221、233~243、237~247、237~260、297~317、314~338、367~391、429~443、623~632及び/もしくは740~749に相当する哺乳動物ソルチリンのアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。他の実施形態において、ソルチリンと本開示のニューロトロフィンとの間の相互作用を阻害(例えば、遮断)する本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基His131、Val132、Pro133、Leu134、Val135、Ile136、Met137、Thr138、Arg196、Phe198、Arg199、Phe203、Lys205、Phe207、Thr210、Thr218、Tyr222、Ser223、Ser227、Ser242、Lys243、Lys248、Lys254、Lys260、Ser305、Phe306、Gly307、Arg311、Phe314、Ser316、Arg325、Arg326、Ile327、Phe350、Tyr351、Ser352、Ile353、Asn373、Ser379、Arg382、Tyr386、Ser595及び/もしくはGlu700のうちの1つ以上のアミノ酸、または配列番号1の1つ以上のアミノ酸残基His131、Val132、Pro133、Leu134、Val135、Ile136、Met137、Thr138、Arg196、Phe198、Arg199、Phe203、Lys205、Phe207、Thr210、Thr218、Tyr222、Ser223、Ser227、Ser242、Lys243、Lys248、Lys254、Lys260、Ser305、Phe306、Gly307、Arg311、Phe314、Ser316、Arg325、Arg326、Ile327、Phe350、Tyr351、Ser352、Ile353、Asn373、Ser379、Arg382、Tyr386、Ser595及び/もしくはGlu700に相当する哺乳動物ソルチリンのアミノ酸残基のうちの1つ以上のアミノ酸に結合する。
【0132】
ニューロテンシン
本開示のソルチリンタンパク質は、ソルチリンのβプロペラ構造内で、ニューロテンシンと相互作用(例えば、結合)することが示されており、重要な接触は、ヒトソルチリンのセリン283であることが示されている(例えば、Quistgaard,EM,et al.(2009)Nature Structural and Molecular Biology,16 p96-98)。この残基はまた、プログラニュリン結合にとっても重要であることが示されている。ニューロテンシン結合部位がソルチリンのβプロペラ構造の中央に位置するトンネル内にあるのに対し、プロニューロトロフィンドメインはβプロペラ構造の表面上にある。ソルチリンへのプロニューロトロフィン結合は、結合領域があまり離れていないため、ニューロテンシンによって部分的に阻害される。
【0133】
ニューロテンシンは、13個のアミノ酸からなる神経ペプチドであり、黄体形成ホルモン及びプロラクチン放出の制御に関係する。ニューロテンシンは、ドーパミン作動系と重要な相互作用があることが示されている。ニューロテンシンは、関連神経ペプチドであるニューロメジンNを更に含有する169~170個のアミノ酸前駆体タンパク質の一部として合成される。ペプチドコーディングドメインは、前駆体のカルボキシル端末近傍にタンデムに配置され、対になった塩基性アミノ酸(リジン-アルギニン)プロセシング部位に隣接しており、これにより隔てられている。ニューロテンシンは、その6個のC末端アミノ酸残基において、ニューロメジンNを含む他の複数の神経ペプチドと大きな配列類似性を有する。このC端末領域は完全な生物学的活性を司るが、N末端部分は調節の役割を有する。中枢神経系において、ニューロテンシンは、ドーパミン伝達の神経調節因子及び下垂体前葉ホルモン分泌の2つの機能を有する。また、脳において、強力な低体温作用及び鎮痛作用を示す。ニューロテンシンはまた、統合失調症、ハンチントン病及びパーキンソン病の病態生理学に関係している。ニューロテンシンはまた、脳虚血の実験モデルにおいて神経保護をもたらすことが示されている。
【0134】
したがって、本開示の抗ソルチリン抗体はまた、ソルチリンとニューロテンシンとの間の相互作用を阻害(例えば、遮断)し得る。かかる抗体は、ニューロテンシンの発現及び/もしくは活性レベルの低下、細胞死(例えば、神経細胞死)、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、痙攣発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、脊髄損傷、長期抑圧、アテローム動脈硬化性血管疾患及び/または正常老化の望ましくない症状に関連する病態及び/または疾患を予防し、その危険性を低減させ、または治療するのに有益であり得る。
【0135】
いくつかの実施形態において、ソルチリンとニューロテンシンとの間の相互作用を阻害(例えば、遮断)する本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基131~138、175~181、190~220、199~220、190~211、196~207、196~199、200~207、203~207、207~231、207~227、212~221、233~243、237~247、237~260、297~317、314~338、367~391、429~443、623~632及び/もしくは740~749内の1つ以上のアミノ酸、または配列番号1のアミノ酸残基131~138、175~181、190~220、199~220、190~211、196~207、196~199、200~207、203~207、207~231、207~227、212~221、233~243、237~247、237~260、297~317、314~338、367~391、429~443、623~632及び/もしくは740~749に相当する哺乳動物ソルチリンのアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。他の実施形態において、ソルチリンとニューロテンシンとの間の相互作用を阻害(例えば、遮断)する本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基His131、Val132、Pro133、Leu134、Val135、Ile136、Met137、Thr138、Arg196、Phe198、Arg199、Phe203、Lys205、Phe207、Thr210、Thr218、Tyr222、Ser223、Ser227、Ser242、Lys243、Lys248、Lys254、Lys260、Ser305、Phe306、Gly307、Arg311、Phe314、Ser316、Arg325、Arg326、Ile327、Phe350、Tyr351、Ser352、Ile353、Asn373、Ser379、Arg382、Tyr386、Ser595及び/もしくはGlu700のうちの1つ以上のアミノ酸、または配列番号1の1つ以上のアミノ酸残基His131、Val132、Pro133、Leu134、Val135、Ile136、Met137、Thr138、Arg196、Phe198、Arg199、Phe203、Lys205、Phe207、Thr210、Thr218、Tyr222、Ser223、Ser227、Ser242、Lys243、Lys248、Lys254、Lys260、Ser305、Phe306、Gly307、Arg311、Phe314、Ser316、Arg325、Arg326、Ile327、Phe350、Tyr351、Ser352、Ile353、Asn373、Ser379、Arg382、Tyr386、Ser595及び/もしくはGlu700に相当する哺乳動物ソルチリンのアミノ酸残基のうちの1つ以上のアミノ酸に結合する。
【0136】
低親和性神経成長因子受容体(p75)
本開示のソルチリンタンパク質は、ソルチリンの10CCドメインまたはソルチリンのVps10pドメインの疎水性ループ内で、低親和性神経成長因子(NGF)受容体(p75)と相互作用(例えば、結合)することが示されている。本明細書で開示するように、本開示のソルチリンタンパク質は、p75とともにプロニューロトロフィンに対する共受容体として機能することができ、これによりアポトーシスシグナル伝達を誘導する。
【0137】
低親和性NGF受容体は、p75、p75ニューロトロフィン受容体、p75NGF受容体、p75NTR、LNGFR、NGFR、CD271、Gp80-LNGFR及びTNFRSF16及びp75NTRと様々に呼ばれる。p75は、本開示のニューロトロフィンに対する2つの受容体型のうちの1つである。p75は、ニューロトロフィンと結合し、ニューロトロフィンの「シンク」として機能することが示されている。一方、共発現されるTrkA(ニューロトロフィンに対するもう一方の受容体型)が存在しない場合、p75は、細胞内で細胞死(例えば、アポトーシス)を誘導し得ることが示されている。そのため、理論に束縛されるものではないが、ソルチリンとp75との間の相互作用を遮断することにより、p75免疫原性細胞死依存性細胞死シグナルの生成が低減すると考えられる。
【0138】
したがって、ソルチリンのp75に対する相互作用(例えば、結合)を阻害すれば、プロニューロトロフィンの有効濃度が減少し、これにより結果として生じる神経細胞死が減少するであろう。
【0139】
したがって、本開示の抗ソルチリン抗体はまた、ソルチリンとp75との間の相互作用を阻害(例えば、遮断)し得る。かかる抗体は、p75の発現及び/もしくは活性レベルの低下、細胞死(例えば、神経細胞死)、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、痙攣発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、脊髄損傷、長期抑圧、アテローム動脈硬化性血管疾患及び/または正常老化の望ましくない症状に関連する病態及び/または疾患を予防し、その危険性を低減させ、または治療するのに有益であり得る。ソルチリンとp75との間の相互作用を阻害(例えば、遮断)する本開示の抗ソルチリン抗体はまた、p75によるアポトーシスシグナル伝達に必要なプロニューロトロフィンの有効濃度を低減させ、エンドソームに運命付けられたp75またはその断片の内在化を減少させ、細胞におけるp75免疫原性細胞死依存性細胞死シグナルの生成を低減させ、p75によって誘導される細胞死(例えば、アポトーシス)を阻止し得る。
【0140】
いくつかの実施形態において、ソルチリンとp75との間の相互作用を阻害(例えば、遮断)する本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基131~138、175~181、190~220、199~220、190~211、196~207、196~199、200~207、203~207、207~231、207~227、212~221、233~243、237~247、237~260、297~317、314~338、367~391、429~443、623~632及び/もしくは740~749内の1つ以上のアミノ酸、または配列番号1のアミノ酸残基131~138、175~181、190~220、199~220、190~211、196~207、196~199、200~207、203~207、207~231、207~227、212~221、233~243、237~247、237~260、297~317、314~338、367~391、429~443、623~632及び/もしくは740~749に相当する哺乳動物ソルチリンのアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。他の実施形態において、ソルチリンとp75との間の相互作用を阻害(例えば、遮断)する本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基His131、Val132、Pro133、Leu134、Val135、Ile136、Met137、Thr138、Arg196、Phe198、Arg199、Phe203、Lys205、Phe207、Thr210、Thr218、Tyr222、Ser223、Ser227、Ser242、Lys243、Lys248、Lys254、Lys260、Ser305、Phe306、Gly307、Arg311、Phe314、Ser316、Arg325、Arg326、Ile327、Phe350、Tyr351、Ser352、Ile353、Asn373、Ser379、Arg382、Tyr386、Ser595及び/もしくはGlu700のうちの1つ以上のアミノ酸、または配列番号1の1つ以上のアミノ酸残基His131、Val132、Pro133、Leu134、Val135、Ile136、Met137、Thr138、Arg196、Phe198、Arg199、Phe203、Lys205、Phe207、Thr210、Thr218、Tyr222、Ser223、Ser227、Ser242、Lys243、Lys248、Lys254、Lys260、Ser305、Phe306、Gly307、Arg311、Phe314、Ser316、Arg325、Arg326、Ile327、Phe350、Tyr351、Ser352、Ile353、Asn373、Ser379、Arg382、Tyr386、Ser595及び/もしくはGlu700に相当する哺乳動物ソルチリンのアミノ酸残基のうちの1つ以上のアミノ酸に結合する。
【0141】
アミロイド前駆体タンパク質(APP)
本開示のソルチリンタンパク質は、アミロイド前駆体タンパク質(APP)と相互作用(例えば、結合)することが示されている。本明細書で開示するように、本開示のソルチリンタンパク質は、APPの細胞内局在を変化させ、アルツハイマー病に関連するAβペプチド及び細胞内断片へのAPPのプロセシングを増加させるように機能し得る。
【0142】
アミロイド前駆体タンパク質(APP)は、内在性膜タンパク質であり、多くの組織で発現しており、ニューロンのシナプスに集中している。その主な機能は知られていないが、シナプス形成、神経可塑性及び鉄輸送の制御因子であることが示唆されている。APPは、タンパク質分解により37~49個のアミノ酸ペプチドであるβアミロイド(Aβ)を産生する前駆体分子であることが最もよく知られており、このAβのアミロイド線維形態がアルツハイマー病患者の脳に認められるアミロイド斑の主な成分である。
【0143】
したがって、ソルチリンのAPPに対する相互作用(例えば、結合)を阻害すれば、プロニューロトロフィンの有効濃度が増加するであろう。更に、ソルチリンとAPPとの間の相互作用を遮断すれば、APPのエンドソーム内在化及びAβペプチドへのそのプロセシングが減少するであろう。
【0144】
したがって、本開示の抗ソルチリン抗体はまた、ソルチリンとAPPとの間の相互作用を阻害(例えば、遮断)し得る。かかる抗体は、APPの発現及び/もしくは活性の異常なレベルもしくはプロセシング、細胞死(例えば、神経細胞死)、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、痙攣発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、脊髄損傷、長期抑圧、アテローム動脈硬化性血管疾患ならびに/または正常老化の望ましくない症状に関連する病態及び/または疾患を予防し、その危険性を低減させ、または治療するのに有益であり得る。
【0145】
いくつかの実施形態において、ソルチリンとAPPとの間の相互作用を阻害(例えば、遮断)する本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基131~138、175~181、190~220、199~220、190~211、196~207、196~199、200~207、203~207、207~231、207~227、212~221、233~243、237~247、237~260、297~317、314~338、367~391、429~443、623~632及び/もしくは740~749内の1つ以上のアミノ酸、または配列番号1のアミノ酸残基131~138、175~181、190~220、199~220、190~211、196~207、196~199、200~207、203~207、207~231、207~227、212~221、233~243、237~247、237~260、297~317、314~338、367~391、429~443、623~632及び/もしくは740~749に相当する哺乳動物ソルチリンのアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。他の実施形態において、ソルチリンとAPPとの間の相互作用を阻害(例えば、遮断)する本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基His131、Val132、Pro133、Leu134、Val135、Ile136、Met137、Thr138、Arg196、Phe198、Arg199、Phe203、Lys205、Phe207、Thr210、Thr218、Tyr222、Ser223、Ser227、Ser242、Lys243、Lys248、Lys254、Lys260、Ser305、Phe306、Gly307、Arg311、Phe314、Ser316、Arg325、Arg326、Ile327、Phe350、Tyr351、Ser352、Ile353、Asn373、Ser379、Arg382、Tyr386、Ser595及び/もしくはGlu700のうちの1つ以上のアミノ酸、または配列番号1の1つ以上のアミノ酸残基His131、Val132、Pro133、Leu134、Val135、Ile136、Met137、Thr138、Arg196、Phe198、Arg199、Phe203、Lys205、Phe207、Thr210、Thr218、Tyr222、Ser223、Ser227、Ser242、Lys243、Lys248、Lys254、Lys260、Ser305、Phe306、Gly307、Arg311、Phe314、Ser316、Arg325、Arg326、Ile327、Phe350、Tyr351、Ser352、Ile353、Asn373、Ser379、Arg382、Tyr386、Ser595及び/もしくはGlu700に相当する哺乳動物ソルチリンのアミノ酸残基のうちの1つ以上のアミノ酸に結合する。
【0146】
リポタンパク質リパーゼ
本開示のソルチリンタンパク質は、リポタンパク質リパーゼ(LpL)と相互作用(例えば、結合)することが示されている。本明細書で開示するように、本開示のソルチリンタンパク質は、LpLに結合し、その分解を変更する。
【0147】
リポタンパク質リパーゼは、EC3.1.1.34活性を有する分泌酵素である。リポタンパク質リパーゼは、膵リパーゼ、肝リパーゼ及び血管内皮リパーゼを含むリパーゼ遺伝子ファミリーのメンバーである。リポタンパク質リパーゼは、水溶性酵素であり、カイロミクロン及び超低密度リポタンパク質(VLDL)中に認められるものなどのリポタンパク質中のトリグリセリドを2つの遊離脂肪酸と1つのモノアシルグリセロール分子に加水分解する。リポタンパク質リパーゼはまた、カイロミクロンレムナント、コレステロールに富むリポタンパク質及び遊離脂肪酸の細胞内取り込みの促進にも関与する。リポタンパク質リパーゼは、毛細血管内皮細胞の内腔表面に結合しており、脂肪、心臓及び骨格筋組織に最も広く分布している。リポタンパク質リパーゼは、実質細胞からグリコシル化ホモ二量体として分泌され、次いで、細胞外マトリックスを通り、内皮細胞を越えて、毛細血管腔に移動する。
【0148】
したがって、本開示の抗ソルチリン抗体はまた、ソルチリンとリポタンパク質リパーゼとの間の相互作用を阻害(例えば、遮断)し得る。かかる抗体は、リポタンパク質リパーゼの発現及び/もしくは活性レベルの低下、血管性認知症ならびに/またはアテローム動脈硬化性血管疾患に関連する病態及び/または疾患を予防し、その危険性を低減させ、または治療するのに有益であり得る。
【0149】
いくつかの実施形態において、ソルチリンとリポタンパク質リパーゼとの間の相互作用を阻害(例えば、遮断)する本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基131~138、175~181、190~220、199~220、190~211、196~207、196~199、200~207、203~207、207~231、207~227、212~221、233~243、237~247、237~260、297~317、314~338、367~391、429~443、623~632及び/もしくは740~749内の1つ以上のアミノ酸、または配列番号1のアミノ酸残基131~138、175~181、190~220、199~220、190~211、196~207、196~199、200~207、203~207、207~231、207~227、212~221、233~243、237~247、237~260、297~317、314~338、367~391、429~443、623~632及び/もしくは740~749に相当する哺乳動物ソルチリンのアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。他の実施形態において、ソルチリンとリポタンパク質リパーゼとの間の相互作用を阻害(例えば、遮断)する本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基His131、Val132、Pro133、Leu134、Val135、Ile136、Met137、Thr138、Arg196、Phe198、Arg199、Phe203、Lys205、Phe207、Thr210、Thr218、Tyr222、Ser223、Ser227、Ser242、Lys243、Lys248、Lys254、Lys260、Ser305、Phe306、Gly307、Arg311、Phe314、Ser316、Arg325、Arg326、Ile327、Phe350、Tyr351、Ser352、Ile353、Asn373、Ser379、Arg382、Tyr386、Ser595及び/もしくはGlu700のうちの1つ以上のアミノ酸、または配列番号1の1つ以上のアミノ酸残基His131、Val132、Pro133、Leu134、Val135、Ile136、Met137、Thr138、Arg196、Phe198、Arg199、Phe203、Lys205、Phe207、Thr210、Thr218、Tyr222、Ser223、Ser227、Ser242、Lys243、Lys248、Lys254、Lys260、Ser305、Phe306、Gly307、Arg311、Phe314、Ser316、Arg325、Arg326、Ile327、Phe350、Tyr351、Ser352、Ile353、Asn373、Ser379、Arg382、Tyr386、Ser595及び/もしくはGlu700に相当する哺乳動物ソルチリンのアミノ酸残基のうちの1つ以上のアミノ酸に結合する。
【0150】
アポリポタンパク質AV
本開示のソルチリンタンパク質は、アポリポタンパク質AV(APOA5)と相互作用(例えば、結合)することが示されている。本明細書で開示するように、本開示のソルチリンタンパク質は、APOA5に結合し、その分解を変更する。
【0151】
アポリポタンパク質AVは、アポリポタンパク質A-V、APOA5、APOAV及びRAP3と様々に呼ばれる。アポリポタンパク質AVは、冠動脈疾患などのアテローム動脈硬化性血管疾患の主要な危険因子である、トリグリセリド血漿中濃度の重要な制御因子である。アポリポタンパク質AVは、VLDL、HDL及びカイロミクロンを含む、いくつかのリポタンパク質部分の構成成分である。アポリポタンパク質AVは、LDL-R遺伝子ファミリー受容体と相互作用することによって、リポタンパク質代謝に影響し得る。
【0152】
したがって、本開示の抗ソルチリン抗体はまた、ソルチリンとアポリポタンパク質AVとの間の相互作用を阻害(例えば、遮断)し得る。かかる抗体は、アポリポタンパク質AVの発現及び/もしくは活性の異常なレベル、血管性認知症ならびに/またはアテローム動脈硬化性血管疾患に関連する病態及び/または疾患を予防し、その危険性を低減させ、または治療するのに有益であり得る。
【0153】
いくつかの実施形態において、ソルチリンとアポリポタンパク質AVとの間の相互作用を阻害(例えば、遮断)する本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基131~138、175~181、190~220、199~220、190~211、196~207、196~199、200~207、203~207、207~231、207~227、212~221、233~243、237~247、237~260、297~317、314~338、367~391、429~443、623~632及び/もしくは740~749内の1つ以上のアミノ酸、または配列番号1のアミノ酸残基131~138、175~181、190~220、199~220、190~211、196~207、196~199、200~207、203~207、207~231、207~227、212~221、233~243、237~247、237~260、297~317、314~338、367~391、429~443、623~632及び/もしくは740~749に相当する哺乳動物ソルチリンのアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。他の実施形態において、ソルチリンとアポリポタンパク質AVとの間の相互作用を阻害(例えば、遮断)する本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基His131、Val132、Pro133、Leu134、Val135、Ile136、Met137、Thr138、Arg196、Phe198、Arg199、Phe203、Lys205、Phe207、Thr210、Thr218、Tyr222、Ser223、Ser227、Ser242、Lys243、Lys248、Lys254、Lys260、Ser305、Phe306、Gly307、Arg311、Phe314、Ser316、Arg325、Arg326、Ile327、Phe350、Tyr351、Ser352、Ile353、Asn373、Ser379、Arg382、Tyr386、Ser595及び/もしくはGlu700のうちの1つ以上のアミノ酸、または配列番号1の1つ以上のアミノ酸残基His131、Val132、Pro133、Leu134、Val135、Ile136、Met137、Thr138、Arg196、Phe198、Arg199、Phe203、Lys205、Phe207、Thr210、Thr218、Tyr222、Ser223、Ser227、Ser242、Lys243、Lys248、Lys254、Lys260、Ser305、Phe306、Gly307、Arg311、Phe314、Ser316、Arg325、Arg326、Ile327、Phe350、Tyr351、Ser352、Ile353、Asn373、Ser379、Arg382、Tyr386、Ser595及び/もしくはGlu700に相当する哺乳動物ソルチリンのアミノ酸残基のうちの1つ以上のアミノ酸に結合する。
【0154】
アポリポタンパク質E
本開示のソルチリンタンパク質は、アポリポタンパク質E(APOE2、APOE3、APOE4)と相互作用(例えば、結合)することが示されている。本明細書で開示するように、本開示のソルチリンタンパク質は、APOE及びAβペプチドなどのAPOEが運搬する物質に結合し、その分解及び輸送を変更する。
【0155】
アポリポタンパク質E(APOE)は、カイロミクロン及び中間密度リポタンパク質(IDL)に見られるアポリポタンパク質の1クラスであり、トリグリセリドに富むリポタンパク質成分の正常な異化作用に必要である。末梢組織では、APOEは、肝臓及びマクロファージによって主に産生され、アイソフォーム依存的にコレステロール代謝を媒介する。中枢神経系では、APOEは、アストロサイトによって主に産生され、低密度リポタンパク質受容体遺伝子ファミリーのメンバーであるApoE受容体を介してコレステロールをニューロンに輸送する。APOE変異形は、アルツハイマー病及び心臓血管疾患の危険性の増加、ならびに血液脳関門の損傷と関連する。APOEはまた、ソルチリン受容体を介してAβペプチドをニューロンに輸送することが示された。
【0156】
したがって、本開示の抗ソルチリン抗体はまた、ソルチリンとアポリポタンパク質Eとの間の相互作用を阻害(例えば、遮断)し得る。かかる抗体は、アポリポタンパク質Eの発現及び/もしくは活性の異常なレベル、血管性認知症ならびに/またはアテローム動脈硬化性血管疾患に関連する病態及び/または疾患を予防し、その危険性を低減させ、または治療するのに有益であり得る。
【0157】
いくつかの実施形態において、ソルチリンとアポリポタンパク質Eとの間の相互作用を阻害(例えば、遮断)する本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基131~138、175~181、190~220、199~220、190~211、196~207、196~199、200~207、203~207、207~231、207~227、212~221、233~243、237~247、237~260、297~317、314~338、367~391、429~443、623~632及び/もしくは740~749内の1つ以上のアミノ酸、または配列番号1のアミノ酸残基131~138、175~181、190~220、199~220、190~211、196~207、196~199、200~207、203~207、207~231、207~227、212~221、233~243、237~247、237~260、297~317、314~338、367~391、429~443、623~632及び/もしくは740~749に相当する哺乳動物ソルチリンのアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。他の実施形態において、ソルチリンとアポリポタンパク質Eとの間の相互作用を阻害(例えば、遮断)する本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基His131、Val132、Pro133、Leu134、Val135、Ile136、Met137、Thr138、Arg196、Phe198、Arg199、Phe203、Lys205、Phe207、Thr210、Thr218、Tyr222、Ser223、Ser227、Ser242、Lys243、Lys248、Lys254、Lys260、Ser305、Phe306、Gly307、Arg311、Phe314、Ser316、Arg325、Arg326、Ile327、Phe350、Tyr351、Ser352、Ile353、Asn373、Ser379、Arg382、Tyr386、Ser595及び/もしくはGlu700のうちの1つ以上のアミノ酸、または配列番号1の1つ以上のアミノ酸残基His131、Val132、Pro133、Leu134、Val135、Ile136、Met137、Thr138、Arg196、Phe198、Arg199、Phe203、Lys205、Phe207、Thr210、Thr218、Tyr222、Ser223、Ser227、Ser242、Lys243、Lys248、Lys254、Lys260、Ser305、Phe306、Gly307、Arg311、Phe314、Ser316、Arg325、Arg326、Ile327、Phe350、Tyr351、Ser352、Ile353、Asn373、Ser379、Arg382、Tyr386、Ser595及び/もしくはGlu700に相当する哺乳動物ソルチリンのアミノ酸残基のうちの1つ以上のアミノ酸に結合する。
【0158】
受容体関連タンパク質
本開示のソルチリンタンパク質は、受容体関連タンパク質(RAP)と相互作用(例えば、結合)することが示されている。
【0159】
受容体関連タンパク質は、RAP、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質関連タンパク質1、LRPAP1、A2MRAP、A2RAP、HBP44及びMRAPと様々に呼ばれる。受容体関連タンパク質は、LDL受容体ファミリー(限定するものではないが、LRP1及びLRP2を含む)の特定のメンバーの輸送に関与するシャペロンタンパク質である。受容体関連タンパク質は、α-2-マクログロブリン受容体及び低密度リポタンパク質受容体ファミリーの他のメンバーに結合する糖タンパク質である。受容体関連タンパク質は、かかる受容体に対する全ての既知のリガンドの結合を阻害するように作用し、小胞体中での受容体の凝集及び分解を阻止することができ、これにより分子シャペロンとして作用する。受容体関連タンパク質はまた、カルモジュリンの調節制御下にあり得る。
【0160】
したがって、本開示の抗ソルチリン抗体はまた、ソルチリンとRAPとの間の相互作用を阻害(例えば、遮断)し得る。かかる抗体は、RAPの発現及び/もしくは活性レベルの低下、血管性認知症ならびに/またはアテローム動脈硬化性血管疾患に関連する病態及び/または疾患を予防し、その危険性を低減させ、または治療するのに有益であり得る。
【0161】
いくつかの実施形態において、ソルチリンとRAPとの間の相互作用を阻害(例えば、遮断)する本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基131~138、175~181、190~220、199~220、190~211、196~207、196~199、200~207、203~207、207~231、207~227、212~221、233~243、237~247、237~260、297~317、314~338、367~391、429~443、623~632及び/もしくは740~749内の1つ以上のアミノ酸、または配列番号1のアミノ酸残基131~138、175~181、190~220、199~220、190~211、196~207、196~199、200~207、203~207、207~231、207~227、212~221、233~243、237~247、237~260、297~317、314~338、367~391、429~443、623~632及び/もしくは740~749に相当する哺乳動物ソルチリンのアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。他の実施形態において、ソルチリンとRAPとの間の相互作用を阻害(例えば、遮断)する本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基His131、Val132、Pro133、Leu134、Val135、Ile136、Met137、Thr138、Arg196、Phe198、Arg199、Phe203、Lys205、Phe207、Thr210、Thr218、Tyr222、Ser223、Ser227、Ser242、Lys243、Lys248、Lys254、Lys260、Ser305、Phe306、Gly307、Arg311、Phe314、Ser316、Arg325、Arg326、Ile327、Phe350、Tyr351、Ser352、Ile353、Asn373、Ser379、Arg382、Tyr386、Ser595及び/もしくはGlu700のうちの1つ以上のアミノ酸、または配列番号1の1つ以上のアミノ酸残基His131、Val132、Pro133、Leu134、Val135、Ile136、Met137、Thr138、Arg196、Phe198、Arg199、Phe203、Lys205、Phe207、Thr210、Thr218、Tyr222、Ser223、Ser227、Ser242、Lys243、Lys248、Lys254、Lys260、Ser305、Phe306、Gly307、Arg311、Phe314、Ser316、Arg325、Arg326、Ile327、Phe350、Tyr351、Ser352、Ile353、Asn373、Ser379、Arg382、Tyr386、Ser595及び/もしくはGlu700に相当する哺乳動物ソルチリンのアミノ酸残基のうちの1つ以上のアミノ酸に結合する。
【0162】
PCSK9
本開示のソルチリンタンパク質は、プロタンパク質転換酵素サブチリシン/ケキシン9型(PCSK9)と相互作用(例えば、結合)し、それを循環系へ分泌することが示されている。
【0163】
PCSK9は、分泌プロテアーゼのプロテイナーゼKサブファミリーのメンバーである。PCSK9は、コレステロールホメオスタシスにおいて重要な制御的役割を果たす。PCSK9は、低密度リポタンパク質受容体(LDLR)に結合し、LDLR分解を誘導し、コレステロールを除去するLDLRの能力を低下させ、これにより、高コレステロール血症を引き起こし得る。
【0164】
したがって、本開示の抗ソルチリン抗体はまた、ソルチリンとPCSK9との間の相互作用及びPCSK9の分泌を阻害(例えば、遮断)し得る。かかる抗体は、PCSK9の発現及び/もしくは活性レベルの増加、血管性認知症ならびに/またはアテローム動脈硬化性血管疾患に関連する病態及び/または疾患を予防し、その危険性を低減させ、または治療するのに有益であり得る。
【0165】
いくつかの実施形態において、ソルチリンとPCSK9との間の相互作用を阻害(例えば、遮断)する本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基131~138、175~181、190~220、199~220、190~211、196~207、196~199、200~207、203~207、207~231、207~227、212~221、233~243、237~247、237~260、297~317、314~338、367~391、429~443、623~632及び/もしくは740~749内の1つ以上のアミノ酸、または配列番号1のアミノ酸残基131~138、175~181、190~220、199~220、190~211、196~207、196~199、200~207、203~207、207~231、207~227、212~221、233~243、237~247、237~260、297~317、314~338、367~391、429~443、623~632及び/もしくは740~749に相当する哺乳動物ソルチリンのアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。他の実施形態において、ソルチリンとPCSK9との間の相互作用を阻害(例えば、遮断)する本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基His131、Val132、Pro133、Leu134、Val135、Ile136、Met137、Thr138、Arg196、Phe198、Arg199、Phe203、Lys205、Phe207、Thr210、Thr218、Tyr222、Ser223、Ser227、Ser242、Lys243、Lys248、Lys254、Lys260、Ser305、Phe306、Gly307、Arg311、Phe314、Ser316、Arg325、Arg326、Ile327、Phe350、Tyr351、Ser352、Ile353、Asn373、Ser379、Arg382、Tyr386、Ser595及び/もしくはGlu700のうちの1つ以上のアミノ酸、または配列番号1の1つ以上のアミノ酸残基His131、Val132、Pro133、Leu134、Val135、Ile136、Met137、Thr138、Arg196、Phe198、Arg199、Phe203、Lys205、Phe207、Thr210、Thr218、Tyr222、Ser223、Ser227、Ser242、Lys243、Lys248、Lys254、Lys260、Ser305、Phe306、Gly307、Arg311、Phe314、Ser316、Arg325、Arg326、Ile327、Phe350、Tyr351、Ser352、Ile353、Asn373、Ser379、Arg382、Tyr386、Ser595及び/もしくはGlu700に相当する哺乳動物ソルチリンのアミノ酸残基のうちの1つ以上のアミノ酸に結合する。
【0166】
抗ソルチリン抗体
本開示の抗ソルチリン抗体は、限定するものではないが、プログラニュリンレベル(例えば、プログラニュリンの細胞外レベル及び/またはプログラニュリンの細胞中レベル)を増加させること、ソルチリンの細胞中レベル(例えば、ソルチリンの細胞表面レベル、ソルチリンの細胞内レベル及び/またはソルチリンの総レベル)を減少させること、プログラニュリンとの相互作用(例えば、結合)を阻害すること、ならびに/または本開示のプロニューロトロフィン(プロニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、pro-NGF、pro-BDNFなど)、本開示のニューロトロフィン(ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF、BDNFなど)、ニューロテンシン、p75、ソルチリンプロペプチド(Sort-pro)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、Aβペプチド、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、アポリポタンパク質E(APOE)及び受容体関連タンパク質(RAP)のうちの1つ以上との相互作用(例えば、結合)を阻害すること、PCSK9の分泌を減少させること、βアミロイドペプチドの産生を減少させることを含む、ソルチリンタンパク質の1つ以上の活性を阻害することができる。
【0167】
いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、in vitroまたはin vivoで(例えば、個体の脳、血液及び/または末梢器官において)、プログラニュリンの細胞外レベル及び/またはプログラニュリンの細胞中レベルを増加させる。本明細書で使用されるとき、抗ソルチリン抗体は、本明細書に記載されるまたは当該技術分野にて知られている任意のin vitroセルベースアッセイまたは組織ベースアッセイ(脳組織によるものなど)によって測定したとき、プログラニュリンの細胞外レベルにおいて20%以上の増加を誘導する場合、プログラニュリンの細胞外レベルを増加させる。本明細書で使用されるとき、抗ソルチリン抗体は、本明細書に記載されるまたは当該技術分野にて知られている任意のin vitroセルベースアッセイまたは組織ベースアッセイ(脳組織によるものなど)によって測定したとき、プログラニュリンの細胞中レベルにおいて20%以上の増加を誘導する場合、プログラニュリンの細胞中レベルを増加させる。
【0168】
いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、in vitroまたはin vivoで(例えば、個体の脳及び/または末梢器官において)、ソルチリンの細胞中レベルを減少させる。いくつかの実施形態において、ソルチリンの細胞中レベルの減少は、ソルチリンの細胞表面レベルの減少を含む。本明細書で使用されるとき、抗ソルチリン抗体は、本明細書に記載されるまたは当該技術分野にて知られている任意のin vitroセルベースアッセイまたは好適なin vivoモデルによって測定したとき、ソルチリンの細胞表面レベルにおいて20%以上の減少を誘導する場合、ソルチリンの細胞表面レベルを減少させる。いくつかの実施形態において、ソルチリンの細胞中レベルの減少は、ソルチリンの細胞内レベルの減少を含む。本明細書で使用されるとき、抗ソルチリン抗体は、本明細書に記載されるまたは当該技術分野にて知られている任意のin vitroセルベースアッセイまたは好適なin vivoモデルによって測定したとき、ソルチリンの細胞内レベルにおいて20%以上の減少を誘導する場合、ソルチリンの細胞内レベルを減少させる。いくつかの実施形態において、ソルチリンの細胞中レベルの減少は、ソルチリンの総レベルの減少を含む。本明細書で使用されるとき、抗ソルチリン抗体は、本明細書に記載されるまたは当該技術分野にて知られている任意のin vitroセルベースアッセイまたは好適なin vivoモデルによって測定したとき、ソルチリンの総レベルにおいて20%以上の減少を誘導する場合、ソルチリンの総レベルを減少させる。
【0169】
ある特定の実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用(例えば、結合)を阻害することなく、プログラニュリンレベルを増加させ、かつ/またはソルチリンの細胞中レベルを減少させる。したがって、いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用(例えば、結合)を阻害しない。本明細書で使用されるとき、抗ソルチリン抗体は、本明細書に記載されるまたは当該技術分野にて知られている任意のin vitroアッセイまたはセルベース培養アッセイにおいて、抗体飽和濃度(例えば、67nM)で、ソルチリンに対するプログラニュリン結合の減少が20%以下である場合、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用(例えば、結合)を阻害しない。
【0170】
ある特定の実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリン分解を誘導することによって、ソルチリンの細胞中レベル(例えば、ソルチリンの細胞表面レベル、ソルチリンの細胞内レベル及び/またはソルチリンの総レベル)を減少させ得る。したがって、いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリン分解を誘導する。
【0171】
本明細書で使用されるとき、プログラニュリンのレベルは、プログラニュリンをコードする遺伝子の発現レベル、プログラニュリンをコードする1つ以上の転写物の発現レベル、プログラニュリンタンパク質の発現レベル、ならびに/または細胞から分泌された及び/もしくは細胞内に存在するプログラニュリンタンパク質の量を指し得る。本明細書で使用されるとき、ソルチリンのレベルは、ソルチリンをコードする遺伝子の発現レベル、ソルチリンをコードする1つ以上の転写物の発現レベル、ソルチリンタンパク質の発現レベル、ならびに/または細胞内に存在する及び/もしくは細胞表面上にあるソルチリンタンパク質の量を指し得る。遺伝子の発現、転写、翻訳及び/またはタンパク質の量もしくは局在化のレベルを測定するための当該技術分野において知られている任意の方法を使用して、プログラニュリン及びソルチリンのレベルを決定することができる。
【0172】
したがって、本開示の抗ソルチリン抗体は、細胞死(例えば、神経細胞死)、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、痙攣発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、脊髄損傷、長期抑圧、アテローム動脈硬化性血管疾患、正常老化の望ましくない症状、認知症、混合型認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病、正常圧水頭症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウオパチー病、脳卒中、急性外傷、慢性外傷、狼瘡、急性及び慢性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、マラリア、本態性振戦、中枢神経系狼瘡、ベーチェット病、パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症、椎間板変性、シャイ・ドレーガー症候群、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核神経節変性症、急性散在性脳脊髄炎、肉芽腫性疾患、サルコイドーシス、老人病、加齢黄斑変性症、緑内障、網膜色素変性症、網膜変性、気道感染症、敗血症、眼感染症、全身感染、炎症性疾患、関節炎、多発性硬化症、代謝疾患、肥満、インスリン抵抗性、2型糖尿病、組織もしくは血管損傷、外傷ならびに/または1つ以上の正常老化の望ましくない症状を予防し、その危険性を低減させ、または治療するために使用することができる。いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、モノクローナル抗体である。
【0173】
本開示のある特定の態様は、不連続なソルチリンエピトープに結合する抗ソルチリン抗体を提供する。いくつかの実施形態において、不連続なソルチリンエピトープは、2つ以上のペプチド、3つ以上のペプチド、4つ以上のペプチド、5つ以上のペプチド、6つ以上のペプチド、7つ以上のペプチド、8つ以上のペプチド、9つ以上のペプチド、または10以上のペプチドを含む。いくつかの実施形態において、ペプチドのそれぞれは、配列番号1のアミノ酸配列の5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10以上、11以上、12以上、13以上、14以上、15以上、16以上、17以上、18以上、19以上、20以上、21以上、22以上、23以上、24以上、25以上、26以上、27以上、28以上、29以上もしくは30以上のアミノ酸残基、または配列番号1のアミノ酸配列に相当する哺乳動物ソルチリンタンパク質上の5つ以上、6つ以上、7つ以上、8つ以上、9つ以上、10以上、11以上、12以上、13以上、14以上、15以上、16以上、17以上、18以上、19以上、20以上、21以上、22以上、23以上、24以上、25以上、26以上、27以上、28以上、29以上もしくは30以上のアミノ酸残基を含む。本開示の他の態様は、ソルチリンの高次構造エピトープに結合する抗ソルチリン抗体を提供する。
【0174】
本開示のある特定の態様は、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基131~138内の1つ以上のアミノ酸、もしくは配列番号1のアミノ酸残基131~138に相当する哺乳動物ソルチリン上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基175~181内の1つ以上のアミノ酸、もしくは配列番号1のアミノ酸残基175~181に相当する哺乳動物ソルチリン上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基207~231内の1つ以上のアミノ酸、もしくは配列番号1のアミノ酸残基207~231に相当する哺乳動物ソルチリン上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基207~227内の1つ以上のアミノ酸、もしくは配列番号1のアミノ酸残基207~227に相当する哺乳動物ソルチリン上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基207~227及び237~260内の1つ以上のアミノ酸、もしくは配列番号1のアミノ酸残基207~227及び237~260に相当する哺乳動物ソルチリン上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基212~221内の1つ以上のアミノ酸、もしくは配列番号1のアミノ酸残基212~221に相当する哺乳動物ソルチリン上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基233~243内の1つ以上のアミノ酸、もしくは配列番号1のアミノ酸残基233~243に相当する哺乳動物ソルチリン上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基237~247内の1つ以上のアミノ酸、もしくは配列番号1のアミノ酸残基237~247に相当する哺乳動物ソルチリン上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基237~247及び314~338内の1つ以上のアミノ酸、もしくは配列番号1のアミノ酸残基237~247及び314~338に相当する哺乳動物ソルチリン上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基237~260内の1つ以上のアミノ酸、もしくは配列番号1のアミノ酸残基237~260に相当する哺乳動物ソルチリン上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基237~260及び297~317内の1つ以上のアミノ酸、もしくは配列番号1のアミノ酸残基237~260及び297~317に相当する哺乳動物ソルチリン上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基297~317内の1つ以上のアミノ酸、もしくは配列番号1のアミノ酸残基297~317に相当する哺乳動物ソルチリン上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基314~338内の1つ以上のアミノ酸、もしくは配列番号1のアミノ酸残基314~338に相当する哺乳動物ソルチリン上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基367~391内の1つ以上のアミノ酸、もしくは配列番号1のアミノ酸残基367~391に相当する哺乳動物ソルチリン上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基429~443内の1つ以上のアミノ酸、もしくは配列番号1のアミノ酸残基429~443に相当する哺乳動物ソルチリン上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基623~632内の1つ以上のアミノ酸、もしくは配列番号1のアミノ酸残基623~632に相当する哺乳動物ソルチリン上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸、ならびに/またはヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基740~749内の1つ以上のアミノ酸、もしくは配列番号1のアミノ酸残基740~749に相当する哺乳動物ソルチリン上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する抗ソルチリン抗体を提供する。
【0175】
いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基190~220内の1つ以上のアミノ酸、または配列番号1のアミノ酸残基190~220に相当する哺乳動物ソルチリン上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。いくつかの実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンのアミノ酸残基199~220、190~211、196~207、196~199、200~207及び/もしくは203~207内の1つ以上のアミノ酸、または配列番号1のアミノ酸残基199~220、190~211、196~207、196~199、200~207及び/もしくは203~207に相当する哺乳動物ソルチリン上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。いくつかの実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基His131、Val132、Pro133、Leu134、Val135、Ile136、Met137、Thr138、Arg196、Phe198、Arg199、Phe203、Lys205、Phe207、Thr210、Thr218、Tyr222、Ser223、Ser227、Ser242、Lys243、Lys248、Lys254、Lys260、Ser305、Phe306、Gly307、Arg311、Phe314、Ser316、Arg325、Arg326、Ile327、Phe350、Tyr351、Ser352、Ile353、Asn373、Ser379、Arg382、Tyr386、Ser595及び/もしくはGlu700のうちの1つ以上のアミノ酸、または配列番号1のアミノ酸残基His131、Val132、Pro133、Leu134、Val135、Ile136、Met137、Thr138、Arg196、Phe198、Arg199、Phe203、Lys205、Phe207、Thr210、Thr218、Tyr222、Ser223、Ser227、Ser242、Lys243、Lys248、Lys254、Lys260、Ser305、Phe306、Gly307、Arg311、Phe314、Ser316、Arg325、Arg326、Ile327、Phe350、Tyr351、Ser352、Ile353、Asn373、Ser379、Arg382、Tyr386、Ser595及び/もしくはGlu700に相当する哺乳動物ソルチリン上のアミノ酸残基のうちの1つ以上のアミノ酸に結合する。本開示の他の態様は、アミノ酸残基(S/T)-X-(D/N)-X-X-X-X-(W/F/Y)(配列中、Xは任意のアミノ酸を表す)(配列番号4)を有するエピトープに結合する抗ソルチリン抗体を提供する。
【0176】
ある特定の実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、プログラニュリンの細胞外レベルを増加させ、プログラニュリンの細胞中レベルを増加させ、かつ/またはソルチリンの細胞表面レベルを減少させる。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞中レベルを減少させ、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害しない。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞中レベルを減少させ、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害する。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞中レベルを減少させ、プログラニュリンの細胞中レベルを増加させる。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、プログラニュリンの細胞中レベルを増加させ、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害しない。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害し、プログラニュリンの細胞中レベルを増加させる。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、in vivoでプログラニュリンのレベルを増加させる。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞中レベルを減少させることなく、in vivoでプログラニュリンのレベルを増加させる。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、脳において、プログラニュリンのレベルを増加させる。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、血液において、プログラニュリンの細胞中レベルを増加させる。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、1つ以上の末梢器官において、プログラニュリンの細胞中レベルを増加させる。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、in vivoでソルチリンの細胞中レベルを減少させる。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、脳において、ソルチリンの細胞中レベルを減少させる。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、1つ以上の末梢器官において、ソルチリンの細胞中レベルを減少させる。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害し、ソルチリンの細胞中レベルを減少させない。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、プログラニュリンの細胞中レベルを増加させ、ソルチリンの細胞中レベルを減少させない。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、プログラニュリンの細胞外レベルを増加させ、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害しない。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、プログラニュリンの細胞外レベルを増加させ、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害する。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞中レベルを減少させ、プログラニュリンの細胞外レベルを増加させ、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害しない。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞中レベルを減少させ、プログラニュリンの細胞外レベルを増加させ、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害する。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞中レベルを減少させ、プログラニュリンの細胞中レベルを増加させ、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害しない。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞中レベルを減少させ、プログラニュリンの細胞中レベルを増加させ、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害する。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞中レベルを減少させ、プログラニュリンの細胞外レベルを増加させ、プログラニュリンの細胞中レベルを増加させ、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害しない。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞中レベルを減少させ、プログラニュリンの細胞外レベルを増加させ、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害し、プログラニュリンの細胞中レベルを増加させない。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞中レベルを減少させ、プログラニュリンの細胞中レベルを増加させ、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害し、プログラニュリンの細胞外レベルを増加させない。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、プログラニュリンの細胞中レベルを増加させ、プログラニュリンの細胞外レベルを増加させ、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害し、ソルチリンの細胞中レベルを減少させない。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞中レベルを減少させ、プログラニュリンの細胞外レベルを増加させ、プログラニュリンの細胞中レベルを増加させず、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害しない。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞中レベルを減少させ、プログラニュリンの細胞中レベルを増加させ、プログラニュリンの細胞外レベルを増加させ、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害する。プログラニュリンの細胞外レベル、プログラニュリンの細胞中レベル、ソルチリンの細胞表面レベルまたはそのいずれも、当該技術分野にて知られている及び/または本明細書にて開示される任意のセルベースアッセイによって測定することができる。ある特定の実施形態において、プログラニュリンの細胞外レベル、ソルチリンの細胞表面レベルまたはその両方は、in vitro細胞アッセイを利用することによって測定することができる。いくつかの実施形態において、抗ソルチリン抗体はまた、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用(例えば、結合)を阻害する。いくつかの実施形態において、抗ソルチリン抗体はまた、PCSK9の輸送及び分泌を阻害する。いくつかの実施形態において、抗ソルチリン抗体はまた、βアミロイドペプチドの産生を阻害する。いくつかの実施形態において、抗ソルチリン抗体はまた、ソルチリンと神経成長因子前駆体(pro-NGF)との間の相互作用(例えば、結合)を阻害する。いくつかの実施形態において、抗ソルチリン抗体はまた、ソルチリンと、プロニューロトロフィン、ニューロトロフィン、神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子前駆体(pro-BDNF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、プロニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、ニューロトロフィン-4/5、ニューロテンシン、ニューロテンシン、p75、ソルチリンプロペプチド(Sort-pro)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、Aβペプチド、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、アポリポタンパク質E(APOE)、PCSK9及び受容体関連タンパク質(RAP)から選択される1つ以上のタンパク質との間の相互作用(例えば、結合)を阻害する。
【0177】
本開示の他の態様は、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基130~141もしくは592~757内の1つ以上のアミノ酸、または配列番号1のアミノ酸残基130~141もしくは592~757に相当する哺乳動物ソルチリン上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する抗ソルチリン抗体を提供する。いくつかの実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンのアミノ酸残基610~666、592~593及び/もしくは667~749内の1つ以上のアミノ酸、または配列番号1のアミノ酸残基610~666、592~593及び/もしくは667~749に相当する哺乳動物ソルチリン上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。いくつかの実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンのアミノ酸残基130~141内の1つ以上のアミノ酸、または配列番号1のアミノ酸残基130~141に相当する哺乳動物ソルチリン上のアミノ酸残基内の1つ以上のアミノ酸に結合する。いくつかの実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基His131、Val132、Pro133、Leu134、Val135、Ile136、Met137、Thr138、Arg196、Phe198、Arg199、Phe203、Lys205、Phe207、Thr210、Thr218、Tyr222、Ser223、Ser227、Ser242、Lys243、Lys248、Lys254、Lys260、Ser305、Phe306、Gly307、Arg311、Phe314、Ser316、Arg325、Arg326、Ile327、Phe350、Tyr351、Ser352、Ile353、Asn373、Ser379、Arg382、Tyr386、Ser595及び/もしくはGlu700のうちの1つ以上のアミノ酸、または配列番号1のアミノ酸残基His131、Val132、Pro133、Leu134、Val135、Ile136、Met137、Thr138、Arg196、Phe198、Arg199、Phe203、Lys205、Phe207、Thr210、Thr218、Tyr222、Ser223、Ser227、Ser242、Lys243、Lys248、Lys254、Lys260、Ser305、Phe306、Gly307、Arg311、Phe314、Ser316、Arg325、Arg326、Ile327、Phe350、Tyr351、Ser352、Ile353、Asn373、Ser379、Arg382、Tyr386、Ser595及び/もしくはGlu700に相当する哺乳動物ソルチリン上のアミノ酸残基のうちの1つ以上のアミノ酸に結合する。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、本開示のソルチリンタンパク質と、プログラニュリン、プロニューロトロフィン、ニューロトロフィン、プロニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、ニューロトロフィン-4/5、神経成長因子前駆体(pro-NGF)、神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子前駆体(pro-BDNF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロテンシン、p75、ソルチリンプロペプチド(Sort-pro)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、Aβペプチド、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、アポリポタンパク質E(APOE)、PCSK9及び受容体関連タンパク質(RAP)ならびに/または自然発生変異形から選択される1つ以上のタンパク質との間の相互作用(例えば、結合)を阻害する。好ましくは、抗ソルチリン抗体は、本開示のソルチリンタンパク質とp75との間の相互作用(例えば、結合)を阻害する。
【0178】
本開示の他の態様は、ヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基His131、Val132、Pro133、Leu134、Val135、Ile136、Met137、Thr138、Arg196、Phe198、Arg199、Phe203、Lys205、Phe207、Thr210、Thr218、Tyr222、Ser223、Ser227、Ser242、Lys243、Lys248、Lys254、Lys260、Ser305、Phe306、Gly307、Arg311、Phe314、Ser316、Arg325、Arg326、Ile327、Phe350、Tyr351、Ser352、Ile353、Asn373、Ser379、Arg382、Tyr386、Ser595及び/もしくはGlu700のうちの1つ以上のアミノ酸、または配列番号1のアミノ酸残基His131、Val132、Pro133、Leu134、Val135、Ile136、Met137、Thr138、Arg196、Phe198、Arg199、Phe203、Lys205、Phe207、Thr210、Thr218、Tyr222、Ser223、Ser227、Ser242、Lys243、Lys248、Lys254、Lys260、Ser305、Phe306、Gly307、Arg311、Phe314、Ser316、Arg325、Arg326、Ile327、Phe350、Tyr351、Ser352、Ile353、Asn373、Ser379、Arg382、Tyr386、Ser595及び/もしくはGlu700に相当する哺乳動物ソルチリン上のアミノ酸残基のうちの1つ以上のアミノ酸を有するエピトープに結合する、抗ソルチリン抗体を提供する。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、本開示のソルチリンタンパク質と、プログラニュリン、プロニューロトロフィン、ニューロトロフィン、プロニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、ニューロトロフィン-4/5、神経成長因子前駆体(pro-NGF)、神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子前駆体(pro-BDNF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロテンシン、p75、ソルチリンプロペプチド(Sort-pro)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、Aβペプチド、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、アポリポタンパク質E(APOE)、PCSK9及び受容体関連タンパク質(RAP)から選択される1つ以上のタンパク質との間の相互作用(例えば、結合)を阻害する。好ましくは、抗ソルチリン抗体は、本開示のソルチリンタンパク質とプログラニュリンとの間の相互作用(例えば、結合)を阻害する。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、1つ以上のプログラニュリン活性を誘導する。いくつかの実施形態において、抗ソルチリン抗体は、プログラニュリンまたはその断片のエンドソーム内在化を減少させる。いくつかの実施形態において、抗ソルチリン抗体は、プログラニュリンの有効濃度を増加させる。
【0179】
いくつかの実施形態において、抗ソルチリン抗体は、本開示のソルチリンタンパク質と、プロニューロトロフィン、プロニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、pro-NGF、pro-BDNF、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF及びBDNFなどの本開示のニューロトロフィンとの間の相互作用(例えば、結合)を阻害する。他の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、本開示のソルチリンタンパク質とニューロテンシンとの間の相互作用(例えば、結合)を阻害する。他の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、本開示のソルチリンタンパク質とp75との間の相互作用(例えば、結合)を阻害する。他の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、本開示のソルチリンタンパク質とSort-proとの間の相互作用(例えば、結合)を阻害する。他の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、本開示のソルチリンタンパク質とAPPとの間の相互作用(例えば、結合)を阻害する。他の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、Aβペプチドの産生を阻害する。他の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、PCSK9の輸送及び分泌を阻害する。他の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、本開示のソルチリンタンパク質とLpLとの間の相互作用(例えば、結合)を阻害する。他の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、本開示のソルチリンタンパク質とAPOA5との間の相互作用(例えば、結合)を阻害する。他の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、本開示のソルチリンタンパク質とAPOEとの間の相互作用(例えば、結合)を阻害する。他の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、本開示のソルチリンタンパク質とRAPとの間の相互作用(例えば、結合)を阻害する。
【0180】
いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、本開示のソルチリンタンパク質及び/または自然発生変異形に結合する。ある特定の好ましい実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ヒトソルチリンに結合する。
【0181】
いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、細胞の表面上に発現された本開示のソルチリンタンパク質に結合し、ネイキッド抗体は、ソルチリンタンパク質と、プログラニュリン、プロニューロトロフィン、ニューロトロフィン、プロニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、ニューロトロフィン-4/5、神経成長因子前駆体(pro-NGF)、神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子前駆体(pro-BDNF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロテンシン、p75、ソルチリンプロペプチド(Sort-pro)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、Aβペプチド、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、アポリポタンパク質E(APOE)、PCSK9及び受容体関連タンパク質(RAP)との間の相互作用(例えば、結合)を阻害する。
【0182】
いくつかの実施形態において、本ソルチリンタンパク質に結合する本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンタンパク質と、プログラニュリン、プロニューロトロフィン、ニューロトロフィン、プロニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、ニューロトロフィン-4/5、神経成長因子前駆体(pro-NGF)、神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子前駆体(pro-BDNF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロテンシン、p75、ソルチリンプロペプチド(Sort-pro)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、Aβペプチド、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、アポリポタンパク質E(APOE)、PCSK9及び受容体関連タンパク質(RAP)との間の相互作用(例えば、結合)を、細胞の表面上または細胞の内側のいずれかにあるこれらのタンパク質と相互作用し得るソルチリンの有効レベルを減少させることによって、阻害する。
【0183】
いくつかの実施形態において、本ソルチリンタンパク質に結合する本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンタンパク質と、プログラニュリン、プロニューロトロフィン、ニューロトロフィン、プロニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、ニューロトロフィン-4/5、神経成長因子前駆体(pro-NGF)、神経成長因子(NGF)、脳由来神経栄養因子前駆体(pro-BDNF)、脳由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロテンシン、p75、ソルチリンプロペプチド(Sort-pro)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、Aβペプチド、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、アポリポタンパク質E(APOE)、PCSK9及び受容体関連タンパク質(RAP)との間の相互作用(例えば、結合)を、ソルチリンの分解を誘導することによって、阻害する。
【0184】
いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、表1~3及び11~15に記載される抗体のいずれかから選択される少なくとも1つの抗体の結合を競合的に阻害する。いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、S-1、S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-3、S-4、S-5、S-6、S-7、S-8、S-9、S-10、S-11、S-12、S-13、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-16、S-17、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-23、S-24、S-25、S-26、S-27、S-28、S-29、S-30、S-31、S-32、S-33、S-34、S-35、S-36、S-37、S-38、S-39、S-40、S-41、S-42、S-43、S-44、S-45、S-46、S-47、S-48、S-49、S-50、S-51、S-52、S-53、S-54、S-55、S-56、S-57、S-58、S-59、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-61、S-62、S-63、S-64、S-65、S-66、S-67、S-68、S-69、S-70、S-71、S-72、S-73、S-74、S-75、S-76、S-77、S-78、S-79、S-80、S-81、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7、S-82-8、S-83、S-84及びS-85から選択される少なくとも1つの抗体の結合を競合的に阻害する。いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、当該抗ソルチリン抗体が、S-1、S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-3、S-4、S-5、S-6、S-7、S-8、S-9、S-10、S-11、S-12、S-13、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-16、S-17、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-23、S-24、S-25、S-26、S-27、S-28、S-29、S-30、S-31、S-32、S-33、S-34、S-35、S-36、S-37、S-38、S-39、S-40、S-41、S-42、S-43、S-44、S-45、S-46、S-47、S-48、S-49、S-50、S-51、S-52、S-53、S-54、S-55、S-56、S-57、S-58、S-59、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-61、S-62、S-63、S-64、S-65、S-66、S-67、S-68、S-69、S-70、S-71、S-72、S-73、S-74、S-75、S-76、S-77、S-78、S-79、S-80、S-81、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7、S-82-8、S-83、S-84及びS-85ならびにこれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上の抗体のソルチリンへの結合を、当該抗ソルチリン抗体の非在下におけるソルチリンへの結合と比較して、50%~100%の範囲である量で低減させる場合に、ソルチリンへの結合について、S-1、S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-3、S-4、S-5、S-6、S-7、S-8、S-9、S-10、S-11、S-12、S-13、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-16、S-17、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-23、S-24、S-25、S-26、S-27、S-28、S-29、S-30、S-31、S-32、S-33、S-34、S-35、S-36、S-37、S-38、S-39、S-40、S-41、S-42、S-43、S-44、S-45、S-46、S-47、S-48、S-49、S-50、S-51、S-52、S-53、S-54、S-55、S-56、S-57、S-58、S-59、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-61、S-62、S-63、S-64、S-65、S-66、S-67、S-68、S-69、S-70、S-71、S-72、S-73、S-74、S-75、S-76、S-77、S-78、S-79、S-80、S-81、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7、S-82-8、S-83、S-84及びS-85ならびにこれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上の抗体と競合する。いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、当該抗ソルチリン抗体が、S-1、S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-3、S-4、S-5、S-6、S-7、S-8、S-9、S-10、S-11、S-12、S-13、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-16、S-17、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-23、S-24、S-25、S-26、S-27、S-28、S-29、S-30、S-31、S-32、S-33、S-34、S-35、S-36、S-37、S-38、S-39、S-40、S-41、S-42、S-43、S-44、S-45、S-46、S-47、S-48、S-49、S-50、S-51、S-52、S-53、S-54、S-55、S-56、S-57、S-58、S-59、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、
S-60-8、S-60-9、S-61、S-62、S-63、S-64、S-65、S-66、S-67、S-68、S-69、S-70、S-71、S-72、S-73、S-74、S-75、S-76、S-77、S-78、S-79、S-80、S-81、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7、S-82-8、S-83、S-84及びS-85ならびにこれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上の抗体のソルチリンへの結合を、当該抗ソルチリン抗体の非在下におけるソルチリンへの結合と比較して、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%または100%低減させる場合、ソルチリンへの結合について、S-1、S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-3、S-4、S-5、S-6、S-7、S-8、S-9、S-10、S-11、S-12、S-13、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-16、S-17、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-23、S-24、S-25、S-26、S-27、S-28、S-29、S-30、S-31、S-32、S-33、S-34、S-35、S-36、S-37、S-38、S-39、S-40、S-41、S-42、S-43、S-44、S-45、S-46、S-47、S-48、S-49、S-50、S-51、S-52、S-53、S-54、S-55、S-56、S-57、S-58、S-59、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-61、S-62、S-63、S-64、S-65、S-66、S-67、S-68、S-69、S-70、S-71、S-72、S-73、S-74、S-75、S-76、S-77、S-78、S-79、S-80、S-81、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7、S-82-8、S-83、S-84及びS-85ならびにこれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上の抗体と競合する。いくつかの実施形態において、S-1、S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-3、S-4、S-5、S-6、S-7、S-8、S-9、S-10、S-11、S-12、S-13、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-16、S-17、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-23、S-24、S-25、S-26、S-27、S-28、S-29、S-30、S-31、S-32、S-33、S-34、S-35、S-36、S-37、S-38、S-39、S-40、S-41、S-42、S-43、S-44、S-45、S-46、S-47、S-48、S-49、S-50、S-51、S-52、S-53、S-54、S-55、S-56、S-57、S-58、S-59、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-61、S-62、S-63、S-64、S-65、S-66、S-67、S-68、S-69、S-70、S-71、S-72、S-73、S-74、S-75、S-76、S-77、S-78、S-79、S-80、S-81、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7、S-82-8、S-83、S-84及びS-85ならびにこれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上の抗体のソルチリンへの結合を100%低減させる本開示の抗ソルチリン抗体は、当該抗ソルチリン抗体が、S-1、S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-3、S-4、S-5、S-6、S-7、S-8、S-9、S-10、S-11、S-12、S-13、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-16、S-17、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-23、S-24、S-25、S-26、S-27、S-28、S-29、S-30、S-31、S-32、S-33、S-34、S-35、S-36、S-37、S-38、S-39、S-40、S-41、S-42、S-43、S-44、S-45、S-46、S-47、S-48、S-49、S-50、S-51、S-52、S-53、S-54、S-55、S-56、S-57、S-58、S-59、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-61、S-62、S-63、S-64、S-65、S-66、S-67、S-68、S-69、S-70、S-71、S-72、S-73、S-74、S-75、S-76、S-77、S-78、S-79、S-80、S-81、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7、S-82-8、S-83、S-84及びS-85ならびにこれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上の抗体のソルチリンへの結合を本質的に完全に遮断することを示す。
いくつかの実施形態において、抗ソルチリン抗体と、S-1、S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-3、S-4、S-5、S-6、S-7、S-8、S-9、S-10、S-11、S-12、S-13、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-16、S-17、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-23、S-24、S-25、S-26、S-27、S-28、S-29、S-30、S-31、S-32、S-33、S-34、S-35、S-36、S-37、S-38、S-39、S-40、S-41、S-42、S-43、S-44、S-45、S-46、S-47、S-48、S-49、S-50、S-51、S-52、S-53、S-54、S-55、S-56、S-57、S-58、S-59、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-61、S-62、S-63、S-64、S-65、S-66、S-67、S-68、S-69、S-70、S-71、S-72、S-73、S-74、S-75、S-76、S-77、S-78、S-79、S-80、S-81、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7、S-82-8、S-83、S-84及びS-85ならびにこれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上の抗体とは、当該抗ソルチリン抗体のS-1、S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-3、S-4、S-5、S-6、S-7、S-8、S-9、S-10、S-11、S-12、S-13、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、
S-15-16、S-16、S-17、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-23、S-24、S-25、S-26、S-27、S-28、S-29、S-30、S-31、S-32、S-33、S-34、S-35、S-36、S-37、S-38、S-39、S-40、S-41、S-42、S-43、S-44、S-45、S-46、S-47、S-48、S-49、S-50、S-51、S-52、S-53、S-54、S-55、S-56、S-57、S-58、S-59、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-61、S-62、S-63、S-64、S-65、S-66、S-67、S-68、S-69、S-70、S-71、S-72、S-73、S-74、S-75、S-76、S-77、S-78、S-79、S-80、S-81、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7、S-82-8、S-83、S-84及びS-85ならびにこれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上の抗体に対する比が、10:1の比、9:1の比、8:1の比、7:1の比、6:1の比、5:1の比、4:1の比、3:1の比、2:1の比、1:1の比、0.75:1の比、0.5:1の比、0.25:1の比、0.1:1の比、0.075:1の比、0.050:1の比、0.025:1の比、0.01:1の比、0.0075:の比、0.0050:1の比、0.0025:1の比、0.001:の比、0.00075:1の比、0.00050:1の比、0.00025:1の比、0.0001:の比、1:10の比、1:9の比、1:8の比、1:7の比、1:6の比、1:5の比、1:4の比、1:3の比、1:2の比、1:0.75の比、1:0.5の比、1:0.25の比、1:0.1の比、1:0.075の比、1:0.050の比、1:0.025の比、1:0.01の比、1:0.0075の比、1:0.0050の比、1:0.0025の比、1:0.001の比、1:0.00075の比、1:0.00050の比、1:0.00025の比または1:0.0001の比に相当する量で存在する。いくつかの実施形態において、抗ソルチリン抗体は、S-1、S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-3、S-4、S-5、S-6、S-7、S-8、S-9、S-10、S-11、S-12、S-13、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-16、S-17、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-23、S-24、S-25、S-26、S-27、S-28、S-29、S-30、S-31、S-32、S-33、S-34、S-35、S-36、S-37、S-38、S-39、S-40、S-41、S-42、S-43、S-44、S-45、S-46、S-47、S-48、S-49、S-50、S-51、S-52、S-53、S-54、S-55、S-56、S-57、S-58、S-59、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-61、S-62、S-63、S-64、S-65、S-66、S-67、S-68、S-69、S-70、S-71、S-72、S-73、S-74、S-75、S-76、S-77、S-78、S-79、S-80、S-81、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7、S-82-8、S-83、S-84及びS-85ならびにこれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上の抗体の量と比較して、約1.5倍~100倍の範囲または100倍を超えて過剰に存在する。いくつかの実施形態において、抗ソルチリン抗体は、S-1、S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-3、S-4、S-5、S-6、S-7、S-8、S-9、S-10、S-11、S-12、S-13、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-16、S-17、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-23、S-24、S-25、S-26、S-27、S-28、S-29、S-30、S-31、S-32、S-33、S-34、S-35、S-36、S-37、S-38、S-39、S-40、S-41、S-42、S-43、S-44、S-45、S-46、S-47、S-48、S-49、S-50、S-51、S-52、S-53、S-54、S-55、S-56、S-57、S-58、S-59、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-61、S-62、S-63、S-64、S-65、S-66、S-67、S-68、S-69、S-70、S-71、S-72、S-73、S-74、S-75、S-76、S-77、S-78、S-79、S-80、S-81、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7、S-82-8、S-83、S-84及びS-85ならびにこれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上の抗体の量と比較して、約2倍、3倍、4倍、5倍、6倍、7倍、8倍、9倍、10倍、15倍、20倍、25倍、30倍、35倍、40倍、45倍、50倍、55倍、60倍、65倍、70倍、75倍、80倍、85倍、90倍、95倍または100倍の過剰量で存在する。
【0185】
いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、表1~3及び11~15に記載される抗体のうちのいずれかから選択される少なくとも1つの抗体が結合するソルチリンエピトープと同じか、または重複するヒトソルチリンのエピトープに結合する。いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、S-1、S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-3、S-4、S-5、S-6、S-7、S-8、S-9、S-10、S-11、S-12、S-13、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-16、S-17、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-23、S-24、S-25、S-26、S-27、S-28、S-29、S-30、S-31、S-32、S-33、S-34、S-35、S-36、S-37、S-38、S-39、S-40、S-41、S-42、S-43、S-44、S-45、S-46、S-47、S-48、S-49、S-50、S-51、S-52、S-53、S-54、S-55、S-56、S-57、S-58、S-59、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-61、S-62、S-63、S-64、S-65、S-66、S-67、S-68、S-69、S-70、S-71、S-72、S-73、S-74、S-75、S-76、S-77、S-78、S-79、S-80、S-81、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7、S-82-8、S-83、S-84及びS-85から選択される少なくとも1つの抗体が結合するソルチリンエピトープと同じか、または重複するヒトソルチリンのエピトープに結合する。いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、表1~3及び11~15に記載される抗体のうちのいずれかから選択される少なくとも1つの抗体が結合するソルチリンエピトープと同じソルチリンエピトープと本質的に結合する。いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、S-1、S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-3、S-4、S-5、S-6、S-7、S-8、S-9、S-10、S-11、S-12、S-13、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-16、S-17、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-23、S-24、S-25、S-26、S-27、S-28、S-29、S-30、S-31、S-32、S-33、S-34、S-35、S-36、S-37、S-38、S-39、S-40、S-41、S-42、S-43、S-44、S-45、S-46、S-47、S-48、S-49、S-50、S-51、S-52、S-53、S-54、S-55、S-56、S-57、S-58、S-59、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-61、S-62、S-63、S-64、S-65、S-66、S-67、S-68、S-69、S-70、S-71、S-72、S-73、S-74、S-75、S-76、S-77、S-78、S-79、S-80、S-81、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7、S-82-8、S-83、S-84及びS-85から選択される少なくとも1つの抗体が結合するソルチリンエピトープと同じソルチリンエピトープに本質的に結合する。抗体が結合するエピトープをマッピングするための具体的な例示的方法は、Morris(1996)“Epitope Mapping Protocols,” in Methods in Molecular Biology vol.66(Humana Press,Totowa,NJ)に提供されている。
【0186】
いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの結合について、S-6、S-8、S-49、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-63、S-72、S-83及びこれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上の抗体と競合する。いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンへの結合について、S-5、S-45、S-64、S-65及びこれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上の抗体と競合する。いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンへの結合について、S-5、S-30、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9及びこれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上の抗体と競合する。いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンへの結合について、S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-16、S-17、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-28、S-29、S-53、S-56、S-82及びこれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上の抗体と競合する。いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンへの結合について、S-1、S-3、S-4、S-6、S-7、S-9、S-10、S-11、S-13、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-23、S-26、S-27、S-31、S-32、S-38、S-46、S-48、S-51、S-52、S-54、S-55、S57、S-58、S-59、S-61、S-62、S-68、S-69、S-70、S-71、S-73、S-74、S-75、S-77、S-79、S-80、S-85及びこれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上の抗体と競合する。いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンへの結合について、S-5、S-12、S-24、S-25、S-30、S-33、S-34、S-35、S-36、S-37、S-39、S-40、S-41、S-42、S-43、S-44、S-45、S-47、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-63、S-64、S-65、S-66、S-67、S-72、S-76、S-78、S-81、S-83、S-84及びこれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上の抗体と競合する。いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンへの結合について、S-8、S-49、S-50及びこれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上の抗体と競合する。いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、ソルチリンへの結合について、S-1、S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-3、S-4、S-5、S-6、S-7、S-8、S-9、S-10、S-11、S-12、S-13、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-16、S-17、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-23、S-24、S-25、S-26、S-27、S-28、S-29、S-30、S-31、S-32、S-33、S-34、S-35、S-36、S-37、S-38、S-39、S-40、S-41、S-42、S-43、S-44、S-45、S-46、S-47、S-48、S-49、S-50、S-51、S-52、S-53、S-54、S-55、S-56、S-57、S-58、S-59、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-61、S-62、S-63、S-64、S-65、S-66、S-67、S-68、S-69、S-70、S-71、S-72、S-73、S-74、S-75、S-76、S-77、S-78、S-79、S-80、S-81、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7、S-82-8、S-83、S-84及びS-85ならびにこれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上の抗体と競合する。
【0187】
BIAcore解析、ELISAアッセイまたはフローサイトメトリーなどの当該技術分野において周知の任意の好適な競合アッセイまたはソルチリン結合アッセイを利用して、抗ソルチリン抗体が、ソルチリンへの結合について、S-1、S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-3、S-4、S-5、S-6、S-7、S-8、S-9、S-10、S-11、S-12、S-13、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-16、S-17、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-23、S-24、S-25、S-26、S-27、S-28、S-29、S-30、S-31、S-32、S-33、S-34、S-35、S-36、S-37、S-38、S-39、S-40、S-41、S-42、S-43、S-44、S-45、S-46、S-47、S-48、S-49、S-50、S-51、S-52、S-53、S-54、S-55、S-56、S-57、S-58、S-59、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-61、S-62、S-63、S-64、S-65、S-66、S-67、S-68、S-69、S-70、S-71、S-72、S-73、S-74、S-75、S-76、S-77、S-78、S-79、S-80、S-81、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7、S-82-8、S-83、S-84、S-85及びこれらの任意の組み合わせから選択される1つ以上の抗体と競合するかどうかを判定することができる。例示的な競合アッセイにおいて、固定化されたソルチリンまたは細胞表面上の細胞発現ソルチリンは、ソルチリン(例えば、ヒトまたは非ヒト霊長類)に結合する標識一次抗体とともに、ソルチリンへの結合に関して一次抗体と競合する能力が試験される非標識二次抗体とを含む溶液中でインキュベートされる。二次抗体は、ハイブリドーマ上清中に存在してもよい。対照として、固定化されたソルチリンまたは細胞発現ソルチリンが、標識一次抗体を含むが非標識二次抗体を含まない溶液中でインキュベートされる。一次抗体のソルチリンへの結合を許容する条件下でのインキュベート後、過剰の非結合抗体が除去され、固定化されたソルチリンまたは細胞発現ソルチリンに結合した標識の量が測定される。固定化されたソルチリンまたは細胞発現ソルチリンに結合した標識の量が対照試料と比較して試験試料で実質的に低減した場合、それは、二次抗体がソルチリンへの結合に関して一次抗体と競合することを示す。Harlow and Lane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual ch.14(Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY)を参照されたい。いくつかの実施形態において、利用される競合アッセイは、実施例1、3または4に記載される競合アッセイのうちの1つ以上である。
【0188】
いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、(a)表1~3及び11~15に記載される抗体、もしくはS-1、S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-3、S-4、S-5、S-6、S-7、S-8、S-9、S-10、S-11、S-12、S-13、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-16、S-17、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-23、S-24、S-25、S-26、S-27、S-28、S-29、S-30、S-31、S-32、S-33、S-34、S-35、S-36、S-37、S-38、S-39、S-40、S-41、S-42、S-43、S-44、S-45、S-46、S-47、S-48、S-49、S-50、S-51、S-52、S-53、S-54、S-55、S-56、S-57、S-58、S-59、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-61、S-62、S-63、S-64、S-65、S-66、S-67、S-68、S-69、S-70、S-71、S-72、S-73、S-74、S-75、S-76、S-77、S-78、S-79、S-80、S-81、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7、S-82-8、S-83、S-84及びS-85から選択される抗体のうちのいずれか1つのHVR-L1、HVR-L2及びHVR-L3から選択される少なくとも1つ、2つもしくは3つのHVRを含む、軽鎖可変領域、ならびに/または(b)表1~3及び11~15に記載される抗体、もしくはS-1、S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-3、S-4、S-5、S-6、S-7、S-8、S-9、S-10、S-11、S-12、S-13、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-16、S-17、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-23、S-24、S-25、S-26、S-27、S-28、S-29、S-30、S-31、S-32、S-33、S-34、S-35、S-36、S-37、S-38、S-39、S-40、S-41、S-42、S-43、S-44、S-45、S-46、S-47、S-48、S-49、S-50、S-51、S-52、S-53、S-54、S-55、S-56、S-57、S-58、S-59、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-61、S-62、S-63、S-64、S-65、S-66、S-67、S-68、S-69、S-70、S-71、S-72、S-73、S-74、S-75、S-76、S-77、S-78、S-79、S-80、S-81、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7、S-82-8、S-83、S-84及びS-85から選択される抗体のうちのいずれか1つのHVR-H1、HVR-H2及びHVR-H3から選択される少なくとも1つ、2つもしくは3つのHVRを含む、重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、HVR-L1、HVR-L2、HVR-L3、HVR-H1、HVR-H2及びHVR-H3は、表1~3及び11~15に示される、またはS-1、S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-3、S-4、S-5、S-6、S-7、S-8、S-9、S-10、S-11、S-12、S-13、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-16、S-17、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-23、S-24、S-25、S-26、S-27、S-28、S-29、S-30、S-31、S-32、S-33、S-34、S-35、S-36、S-37、S-38、S-39、S-40、S-41、S-42、S-43、S-44、S-45、S-46、S-47、S-48、S-49、S-50、S-51、S-52、S-53、S-54、S-55、S-56、S-57、S-58、S-59、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-61、S-62、S-63、S-64、S-65、S-66、S-67、S-68、S-69、S-70、S-71、S-72、S-73、S-74、S-75、S-76、S-77、S-78、S-79、S-80、S-81、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7、S-82-8、S-83、S-84及びS-85から選択される抗体に由来する、EUもしくはKabat CDR配列、Chothia CDR配列または接触CDR配列を含む。
【0189】
いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、(i)表1~3及び11~15に列挙される、またはS-1、S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-3、S-4、S-5、S-6、S-7、S-8、S-9、S-10、S-11、S-12、S-13、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-16、S-17、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-23、S-24、S-25、S-26、S-27、S-28、S-29、S-30、S-31、S-32、S-33、S-34、S-35、S-36、S-37、S-38、S-39、S-40、S-41、S-42、S-43、S-44、S-45、S-46、S-47、S-48、S-49、S-50、S-51、S-52、S-53、S-54、S-55、S-56、S-57、S-58、S-59、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-61、S-62、S-63、S-64、S-65、S-66、S-67、S-68、S-69、S-70、S-71、S-72、S-73、S-74、S-75、S-76、S-77、S-78、S-79、S-80、S-81、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7、S-82-8、S-83、S-84及びS-85から選択される抗体に由来する、HVR-L1配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含む、HVR-L1、(ii)表1~3及び11~15に列挙される、またはS-1、S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-3、S-4、S-5、S-6、S-7、S-8、S-9、S-10、S-11、S-12、S-13、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-16、S-17、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-23、S-24、S-25、S-26、S-27、S-28、S-29、S-30、S-31、S-32、S-33、S-34、S-35、S-36、S-37、S-38、S-39、S-40、S-41、S-42、S-43、S-44、S-45、S-46、S-47、S-48、S-49、S-50、S-51、S-52、S-53、S-54、S-55、S-56、S-57、S-58、S-59、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-61、S-62、S-63、S-64、S-65、S-66、S-67、S-68、S-69、S-70、S-71、S-72、S-73、S-74、S-75、S-76、S-77、S-78、S-79、S-80、S-81、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7、S-82-8、S-83、S-84及びS-85から選択される抗体に由来する、HVR-L2配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含む、HVR-L2、(iii)表1~3及び11~15に列挙される、またはS-1、S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-3、S-4、S-5、S-6、S-7、S-8、S-9、S-10、S-11、S-12、S-13、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-16、S-17、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-23、S-24、S-25、S-26、S-27、S-28、S-29、S-30、S-31、S-32、S-33、S-34、S-35、S-36、S-37、S-38、S-39、S-40、S-41、S-42、S-43、S-44、S-45、S-46、S-47、S-48、S-49、S-50、S-51、S-52、S-53、S-54、S-55、S-56、S-57、S-58、S-59、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-61、S-62、S-63、S-64、S-65、S-66、S-67、S-68、S-69、S-70、S-71、S-72、S-73、S-74、S-75、S-76、S-77、S-78、S-79、S-80、S-81、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7、S-82-8、S-83、S-84及びS-85から選択される抗体に由来する、HVR-L3配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含む、HVR-L3、(iv)表1~3及び11~15に列挙される、またはS-1、S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-3、S-4、S-5、S-6、S-7、S-8、S-9、S-10、S-11、S-12、S-13、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-16、S-17、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-23、S-24、S-25、S-26、S-27、S-28、S-29、S-30、S-31、S-32、S-33、S-34、S-35、S-36、S-37、S-38、S-39、S-40、S-41、S-42、S-43、S-44、S-45、S-46、S-47、S-48、S-49、S-50、S-51、S-52、S-53、S-54、S-55、S-56、S-57、S-58、S-59、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-61、S-62、S-63、S-64、S-65、S-66、S-67、S-68、S-69、S-70、S-71、S-72、S-73、S-74、S-75、S-76、S-77、S-78、S-79、S-80、S-81、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7、S-82-8、S-83、S-84及びS-85から選択される抗体に由来する、HVR-H1配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含む、HVR-H1、(v)表1~3及び11~15に列挙される、またはS-1、S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-3、S-4、S-5、S-6、S-7、S-8、S-9、S-10、S-11、S-12、
S-13、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-16、S-17、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-23、S-24、S-25、S-26、S-27、S-28、S-29、S-30、S-31、S-32、S-33、S-34、S-35、S-36、S-37、S-38、S-39、S-40、S-41、S-42、S-43、S-44、S-45、S-46、S-47、S-48、S-49、S-50、S-51、S-52、S-53、S-54、S-55、S-56、S-57、S-58、S-59、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-61、S-62、S-63、S-64、S-65、S-66、S-67、S-68、S-69、S-70、S-71、S-72、S-73、S-74、S-75、S-76、S-77、S-78、S-79、S-80、S-81、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7、S-82-8、S-83、S-84及びS-85から選択される抗体に由来する、HVR-H2配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含む、HVR-H2、ならびに(vi)表1~3及び11~15に列挙される、またはS-1、S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-3、S-4、S-5、S-6、S-7、S-8、S-9、S-10、S-11、S-12、S-13、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-16、S-17、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-23、S-24、S-25、S-26、S-27、S-28、S-29、S-30、S-31、S-32、S-33、S-34、S-35、S-36、S-37、S-38、S-39、S-40、S-41、S-42、S-43、S-44、S-45、S-46、S-47、S-48、S-49、S-50、S-51、S-52、S-53、S-54、S-55、S-56、S-57、S-58、S-59、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-61、S-62、S-63、S-64、S-65、S-66、S-67、S-68、S-69、S-70、S-71、S-72、S-73、S-74、S-75、S-76、S-77、S-78、S-79、S-80、S-81、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7、S-82-8、S-83、S-84及びS-85から選択される抗体に由来する、HVR-H3配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含む、HVR-H3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つのHVRを含む。
【0190】
いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインを含み、軽鎖可変ドメインは、(a)配列番号6~16、20~22、24~25、512、584及び585からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号6~16、20~22、24~25、512、584及び585からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-L1、(b)配列番号26~40及び586からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号26~40及び586からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-L2、ならびに(c)配列番号41~50、52、54~56、58~62、64~66、68~70、72、74、79~80、82~85、88~91、95、97~101、103~107、109、111~116、118及び121~125からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号41~50、52、54~56、58~62、64~66、68~70、72、74、79~80、82~85、88~91、95、97~101、103~107、109、111~116、118及び121~125からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-L3のうちの1つ以上を含み、かつ/あるいは、重鎖可変ドメインは、(a)配列番号126~127、129~130、133~140、142、144~145、147~149、482~492、513~524、567~570、587及び591~596からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号126~127、129~130、133~140、142、144~145、147~149、482~492、513~524、567~570、587及び591~596からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-H1、(b)配列番号150~153、155~158、160~166、169~175、177~178、493~507、525~539、571~579、588及び597~603からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号150~153、155~158、160~166、169~175、177~178、493~507、525~539、571~579、588及び597~603からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-H2、ならびに(c)配列番号179~186、188、190~191、193~197、199~201、203~204、206、208、213~214、216~219、222~225、229、231~234、236~239、241、243~247、249、252~256及び540~564からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号179~186、188、190~191、193~197、199~201、203~204、206、208、213~214、216~219、222~225、229、231~234、236~239、241、243~247、249、252~256及び540~564からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-H3のうちの1つ以上を含む。
【0191】
いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、表1~3及び11~15に列挙される抗体、もしくはS-1、S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-3、S-4、S-5、S-6、S-7、S-8、S-9、S-10、S-11、S-12、S-13、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-16、S-17、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-23、S-24、S-25、S-26、S-27、S-28、S-29、S-30、S-31、S-32、S-33、S-34、S-35、S-36、S-37、S-38、S-39、S-40、S-41、S-42、S-43、S-44、S-45、S-46、S-47、S-48、S-49、S-50、S-51、S-52、S-53、S-54、S-55、S-56、S-57、S-58、S-59、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-61、S-62、S-63、S-64、S-65、S-66、S-67、S-68、S-69、S-70、S-71、S-72、S-73、S-74、S-75、S-76、S-77、S-78、S-79、S-80、S-81、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7、S-82-8、S-83、S-84及びS-85から選択される抗体のうちのいずれか1つの軽鎖可変領域、ならびに/または表1~3及び11~15に列挙される抗体、もしくはS-1、S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-3、S-4、S-5、S-6、S-7、S-8、S-9、S-10、S-11、S-12、S-13、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-16、S-17、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-23、S-24、S-25、S-26、S-27、S-28、S-29、S-30、S-31、S-32、S-33、S-34、S-35、S-36、S-37、S-38、S-39、S-40、S-41、S-42、S-43、S-44、S-45、S-46、S-47、S-48、S-49、S-50、S-51、S-52、S-53、S-54、S-55、S-56、S-57、S-58、S-59、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-61、S-62、S-63、S-64、S-65、S-66、S-67、S-68、S-69、S-70、S-71、S-72、S-73、S-74、S-75、S-76、S-77、S-78、S-79、S-80、S-81、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7、S-82-8、S-83、S-84及びS-85から選択される抗体のうちのいずれか1つの重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、配列番号317~334、337~338、341~345、348~357、360~365、368~372、375~376、379~380、389~392、395~402、407~414、421~422、425~433、436~444、447~448、451~461、464~465、470~479、604~692のいずれかから選択されるアミノ酸配列を含む、軽鎖可変領域及び/または重鎖可変ドメインを含む。
【0192】
本開示のいずれの抗体も、細胞株によって産生することができる。いくつかの実施形態において、細胞株は、酵母細胞株であってよい。他の実施形態において、細胞株は、哺乳動物細胞株であってよい。ある特定の実施形態において、細胞株は、ハイブリドーマ細胞株であってよい。抗体産生に適した当該技術分野において既知の任意の細胞株を使用して本開示の抗体を産生することができる。抗体産生のための例示的な細胞株は、本開示全体に記載されている。
【0193】
いくつかの実施形態において、抗ソルチリン抗体は、S-1、S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-3、S-4、S-5、S-6、S-7、S-8、S-9、S-10、S-11、S-12、S-13、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-16、S-17、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-23、S-24、S-25、S-26、S-27、S-28、S-29、S-30、S-31、S-32、S-33、S-34、S-35、S-36、S-37、S-38、S-39、S-40、S-41、S-42、S-43、S-44、S-45、S-46、S-47、S-48、S-49、S-50、S-51、S-52、S-53、S-54、S-55、S-56、S-57、S-58、S-59、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-61、S-62、S-63、S-64、S-65、S-66、S-67、S-68、S-69、S-70、S-71、S-72、S-73、S-74、S-75、S-76、S-77、S-78、S-79、S-80、S-81、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7、S-82-8、S-83、S-84及びS-85から選択される抗ソルチリンモノクローナル抗体である。ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、アンタゴニスト抗体である。
【0194】
いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、S-5、S-6、S-8、S-45、S-49、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-63、S-64、S-65、S-72及びS-83から選択される少なくとも1つの抗体の結合を競合的に阻害する。いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、S-5、S-6、S-8、S-45、S-49、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-63、S-64、S-65、S-72及びS-83から選択される少なくとも1つの抗体が結合するソルチリンエピトープと同じか、または重複するヒトソルチリンのエピトープに結合する。いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、S-5、S-6、S-8、S-45、S-49、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-63、S-64、S-65、S-72及びS-83から選択される少なくとも1つの抗体が結合するソルチリンエピトープと本質的に同じソルチリンエピトープに結合する。いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、(a)S-5、S-6、S-8、S-45、S-49、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-63、S-64、S-65、S-72及びS-83から選択されるHVR-L1、HVR-L2及びHVR-L3から選択される少なくとも1つ、2つもしくは3つのHVRを含む、軽鎖可変領域、ならびに/または(b)S-5、S-6、S-8、S-45、S-49、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-63、S-64、S-65、S-72及びS-83から選択されるHVR-H1、HVR-H2及びHVR-H3から選択される少なくとも1つ、2つもしくは3つのHVRを含む、重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、HVR-L1、HVR-L2、HVR-L3、HVR-H1、HVR-H2及びHVR-H3は、S-5、S-6、S-8、S-45、S-49、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-63、S-64、S-65、S-72及びS-83から選択される抗体に由来する、EUもしくはKabat CDR配列、Chothia CDR配列または接触CDR配列を含む。いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、(i)S-5、S-6、S-8、S-45、S-49、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-63、S-64、S-65、S-72及びS-83から選択される抗体に由来するHVR-L1配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-L1、(ii)S-5、S-6、S-8、S-45、S-49、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-63、S-64、S-65、S-72及びS-83から選択される抗体に由来するHVR-L2配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-L2、(iii)S-5、S-6、S-8、S-45、S-49、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-63、S-64、S-65、S-72及びS-83から選択される抗体に由来するHVR-L3配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-L3、(iv)S-5、S-6、S-8、S-45、S-49、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-63、S-64、S-65、S-72及びS-83から選択される抗体に由来するHVR-H1配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-H1、(v)S-5、S-6、S-8、S-45、S-49、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-63、S-64、S-65、S-72及びS-83から選択される抗体に由来するHVR-H2配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-H2、ならびに(vi)S-5、S-6、S-8、S-45、S-49、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-63、S-64、S-65、S-72及びS-83から選択される抗体に由来するHVR-H3配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、S-5、S-6、S-8、S-45、S-49、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-63、S-64、S-65、S-72及びS-83から選択される抗体のうちのいずれか1つの軽鎖可変領域、ならびに/またはS-5、S-6、S-8、S-45、S-49、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-63、S-64、S-65、S-72及びS-83から選択される抗体のうちのいずれか1つの重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、抗ソルチリン抗体は、S-5、S-6、S-8、S-45、S-49、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-63、S-64、S-65、S-72及びS-835から選択される抗ソルチリンモノクローナル抗体である。
【0195】
いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインを含み、ここで、軽鎖可変ドメインは、(a)配列番号6、9~12、14及び15からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号6、9~12、14及び15からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-L1、(b)配列番号26、27、29、30及び32からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号26、27、29、30及び32からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-L2、ならびに(c)配列番号45、46、48、85、89、100、103~105、112及び123からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号45、46、48、85、89、100、103~105、112及び123からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-L3のうちの1つ以上を含み、かつ/あるいは、重鎖可変ドメインは、(a)配列番号126、127、136、140、142、145及び148からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号126、127、136、140、142、145及び148からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-H1、(b)配列番号151、152、163、166、169、170、173及び175からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号151、152、163、166、169、170、173及び175からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-H2、ならびに(c)配列番号182、183、185、219、223、233、236、237、244及び254からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号182、183、185、219、223、233、236、237、244及び254からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-H3のうちの1つ以上を含む。
【0196】
いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-29、S-51、S57、S-61、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7及びS-82-8から選択される少なくとも1つの抗体の結合を競合的に阻害する。いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-29、S-51、S57、S-61、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7及びS-82-8から選択される少なくとも1つの抗体が結合するソルチリンエピトープと同じか、または重複するヒトソルチリンのエピトープに結合する。いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-29、S-51、S57、S-61、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7及びS-82-8から選択される少なくとも1つの抗体が結合するソルチリンエピトープと本質的に同じソルチリンエピトープに結合する。いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、(a)S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-29、S-51、S57、S-61、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7及びS-82-8から選択されるHVR-L1、HVR-L2及びHVR-L3から選択される少なくとも1つ、2つもしくは3つのHVRを含む、軽鎖可変領域、ならびに/または(b)S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-29、S-51、S57、S-61、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7及びS-82-8から選択されるHVR-H1、HVR-H2及びHVR-H3から選択される少なくとも1つ、2つもしくは3つのHVRを含む、重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、HVR-L1、HVR-L2、HVR-L3、HVR-H1、HVR-H2及びHVR-H3は、S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-29、S-51、S57、S-61、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、
S-82-5、S-82-6、S-82-7及びS-82-8から選択される抗体に由来する、EUもしくはKabat CDR配列、Chothia CDR配列または接触CDRを含む。いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、(i)S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-29、S-51、S57、S-61、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7及びS-82-8から選択される抗体に由来するHVR-L1配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-L1、(ii)S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-29、S-51、S57、S-61、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7及びS-82-8から選択される抗体に由来するHVR-L2配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-L2、(iii)S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-29、S-51、S57、S-61、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7及びS-82-8から選択される抗体に由来するHVR-L3配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-L3、(iv)S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-29、S-51、S57、S-61、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7及びS-82-8から選択される抗体に由来するHVR-H1配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-H1、(v)S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-29、S-51、S57、S-61、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7及びS-82-8から選択される抗体に由来するHVR-H2配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-H2、ならびに(vi)S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-29、S-51、S57、S-61、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7及びS-82-8から選択される抗体に由来するHVR-H3配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される少なくとも1つ、2つ、
3つ、4つ、5つまたは6つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-29、S-51、S57、S-61、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7及びS-82-8から選択される抗体のうちのいずれか1つの軽鎖可変領域、ならびに/またはS-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-29、S-51、S57、S-61、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7及びS-82-8から選択される抗体のうちのいずれか1つの重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、抗ソルチリン抗体は、S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-29、S-51、S57、S-61、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7及びS-82-8から選択される抗ソルチリンモノクローナル抗体である。
【0197】
いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインを含み、ここで、軽鎖可変ドメインは、(a)配列番号7~10、13及び14からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号7~10、13及び14からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-L1、(b)配列番号26~31及び33~35からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号26~31及び33~35からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-L2、ならびに(c)配列番号42、54、55、58、59、60、61、62、69、91、97、101及び122からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号42、54、55、58、59、60、61、62、69、91、97、101及び122からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-L3のうちの1つ以上を含み、かつ/または重鎖可変ドメインは、(a)配列番号126、129、130、135、140、142及び147からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号126、129、130、135、140、142及び147からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-H1、(b)配列番号150、155~158、162、166、169及び173からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号150、155~158、162、166、169及び173からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-H2、ならびに(c)配列番号180、190、193~197、203、225、231、234及び253からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号180、190、193~197、203、225、231、234及び253からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-H3のうちの1つ以上を含む。
【0198】
いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、S-5、S-30、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8及びS-60-9から選択される少なくとも1つの抗体の結合を競合的に阻害する。いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、S-5、S-30、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8及びS-60-9から選択される少なくとも1つの抗体が結合するソルチリンエピトープと同じか、または重複するヒトソルチリンのエピトープに結合する。いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、S-5、S-30、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8及びS-60-9から選択される少なくとも1つの抗体が結合するソルチリンエピトープと本質的に同じソルチリンエピトープに結合する。いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、(a)S-5、S-30、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8及びS-60-9から選択されるHVR-L1、HVR-L2及びHVR-L3から選択される少なくとも1つ、2つもしくは3つのHVRを含む、軽鎖可変領域、ならびに/または(b)S-5、S-30、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8及びS-60-9から選択されるHVR-H1、HVR-H2及びHVR-H3から選択される少なくとも1つ、2つもしくは3つのHVRを含む、重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、HVR-L1、HVR-L2、HVR-L3、HVR-H1、HVR-H2及びHVR-H3は、S-5、S-30、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8及びS-60-9から選択される抗体に由来する、EUもしくはKabat CDR配列、Chothia CDR配列または接触CDR配列を含む。いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、(i)S-5、S-30、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8及びS-60-9から選択される抗体に由来するHVR-L1配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-L1、(ii)S-5、S-30、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8及びS-60-9から選択される抗体に由来するHVR-L2配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-L2、(iii)S-5、S-30、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8及びS-60-9から選択される抗体に由来するHVR-L3配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-L3、(iv)S-5、S-30、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8及びS-60-9から選択される抗体に由来するHVR-H1配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-H1、(v)S-5、S-30、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8及びS-60-9から選択される抗体に由来するHVR-H2配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-H2、ならびに(vi)S-5、S-30、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8及びS-60-9から選択される抗体に由来するHVR-H3配列のうちのいずれかのアミノ酸配列を含むHVR-H3から選択される少なくとも1つ、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つのHVRを含む。いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、S-5、S-30、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8及びS-60-9から選択される抗体のうちのいずれか1つの軽鎖可変領域、ならびに/またはS-5、S-30、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8及びS-60-9から選択される抗体のうちのいずれか1つの重鎖可変領域を含む。いくつかの実施形態において、抗ソルチリン抗体は、S-5、S-30、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8及びS-60-9から選択される抗ソルチリンモノクローナル抗体である。
【0199】
いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、軽鎖可変ドメイン及び重鎖可変ドメインを含み、ここで、軽鎖可変ドメインは、(a)配列番号10のアミノ酸配列、または配列番号10のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-L1、(b)配列番号30のアミノ酸配列、または配列番号30のアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-L2、ならびに(c)配列番号45、70及び100からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号45、70及び100からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-L3のうちの1つ以上を含み、かつ/あるいは重鎖可変ドメインは、(a)配列番号126、136及び142からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号126、136及び142からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-H1、(b)配列番号151、163及び170からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号151、163及び170からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-H2、ならびに(c)配列番号182、204及び233からなる群から選択されるアミノ酸配列、または配列番号182、204及び233からなる群から選択されるアミノ酸配列と少なくとも約95%の相同性を有するアミノ酸配列を含む、HVR-H3のうちの1つ以上を含む。
【0200】
ヒトソルチリン、マウスソルチリンまたはその両方に対する抗ソルチリン抗体の解離定数(KD)は、100nM未満、90nM未満、80nM未満、70nM未満、60nM未満、50nM未満、40nM未満、30nM未満、20nM未満、10nM未満、9nM未満、8nM未満、7nM未満、6nM未満、5nM未満、4nM未満、3nM未満、2nM未満、1nM未満、0.5nM未満、0.1nM未満、0.09nM未満、0.08nM未満、0.07nM未満、0.06nM未満、0.05nM未満、0.04nM未満、0.03nM未満、0.02nM未満、0.01nM未満、0.009nM未満、0.008nM未満、0.007nM未満、0.006nM未満、0.005nM未満、0.004nM未満、0.003nM未満、0.002nM未満、0.001nM未満、または0.001nM未満であり得る。いくつかの実施形態において、抗体は、ヒトソルチリン、マウスソルチリンまたはその両方に対して、約100nM~約0.005nMの範囲、または0.005nM未満の解離定数(KD)を有する。好ましくは、解離定数は、50nM未満である。いくつかの実施形態において、解離定数(KD)は、例えば、本明細書に記載されるような細胞結合アッセイ、ForteBioアッセイまたはMSD-SETアッセイを利用して、4℃または室温で測定される(例えば、実施例1及び23参照)。
【0201】
ヒトソルチリン及びマウスソルチリンに対する抗ソルチリン抗体の解離定数(KD)は、71nM未満、70.9nM未満、70.8nM未満、70.7nM未満、70.6nM未満、70.5nM未満、70.4nM未満、70.3nM未満、70.2nM未満、70.1nM未満、70nM未満、60nM未満、50nM未満、40nM未満、30.5nM未満、30nM未満、29.9nM未満、29.8nM未満、29.7nM未満、29.6nM未満、29.5nM未満、29.4nM未満、29.3nM未満、29.2nM未満、29.1nM未満、29nM未満、28.5nM未満、28nM未満、27.5nM未満、27nM未満、26.5nM未満、26nM未満、25.5nM未満、25nM未満、24.5nM未満、24nM未満、23.5nM未満、23nM未満、22.5nM未満、22nM未満、21.5nM未満、21nM未満、20.5nM未満、20nM未満、19.5nM未満、19nM未満、18.9nM未満、18.8nM未満、18.7nM未満、18.6nM未満、18.5nM未満、18.4nM未満、18.3nM未満、18.2nM未満、18.1nM未満、18nM未満、17.5nM未満、17nM未満、16.5nM未満、16nM未満、15.5nM未満、15nM未満、14.5nM未満、14nM未満、13.5nM未満、13nM未満、12.5nM未満、12nM未満、11.5nM未満、11nM未満、10.5nM未満、10nM未満、9.5nM未満、9nM未満、8.5nM未満、8nM未満、7.5nM未満、7nM未満、6.9nM未満、6.8nM未満、6.7nM未満、6.6nM未満、6.5nM未満、6.4nM未満、6.3nM未満、6.2nM未満、6.1nM未満、6nM未満、5.5nM未満、5nM未満、4.5nM未満、4nM未満、3.5nM未満、3nM未満、2.5nM未満、2nM未満、1.5nM未満、1nM未満、0.95nM未満、0.9nM未満、0.89nM未満、0.88nM未満、0.87nM未満、0.86nM未満、0.85nM未満、0.84nM未満、0.83nM未満、0.82nM未満、0.81nM未満、0.8nM未満、0.75nM未満、0.7nM未満、0.65nM未満、0.64nM未満、0.63nM未満、0.62nM未満、0.61nM未満、0.6nM未満、0.55nM未満、0.5nM未満、0.45nM未満、0.4nM未満、0.35nM未満、0.3nM未満、0.29nM未満、0.28nM未満、0.27nM未満、0.26nM未満、0.25nM未満、0.24nM未満、0.23nM未満、0.22nM未満、0.21nM未満、0.2nM未満、0.15nM未満、0.1nM未満、0.09nM未満、0.08nM未満、0.07nM未満、0.06nM未満、0.05nM未満、0.04nM未満、0.03nM未満、0.02nM未満、0.01nM未満、0.009nM未満、0.008nM未満、0.007nM未満、0.006nM未満、0.005nM未満、0.004nM未満、0.003nM未満、0.002nM未満、または0.001nM未満であり得る。いくつかの実施形態において、ヒトソルチリンタンパク質に対する抗ソルチリン抗体の解離定数は、約70.4nM未満~約0.29nM未満、または約18.7nM未満~約0.89nM未満の範囲である。いくつかの実施形態において、ヒトソルチリンタンパク質に対する抗ソルチリン抗体の解離定数は、約70.4nM~約0.005nMの範囲、または0.005nM未満である。いくつかの実施形態において、マウスソルチリンタンパク質に対する抗ソルチリン抗体の解離定数は、約40.3nM未満~約0.61nM未満、または約29.6nM未満~約0.61nM未満の範囲である。いくつかの実施形態において、マウスソルチリンタンパク質に対する抗ソルチリン抗体の解離定数は、約40.3nM~約0.07nMの範囲、または0.07nM未満である。いくつかの実施形態において、ヒト及びマウスの両方のソルチリンタンパク質に対する抗ソルチリン抗体の解離定数は、約70.4nM未満~約0.29nM未満、または約29.6nM未満~約0.61nM未満の範囲である。解離定数は、ELISA、表面プラズモン共鳴(SPR)、バイオレイヤー干渉法(例えば、ForteBioによるOctet System参照)、メソスケールディスカバリー(例えば、MSD-SET参照)、等温滴定カロリメトリー(ITC)、示差走査熱量測定法(DSC)、円二色性(CD)、ストップトフロー分析、及び比色もしくは蛍光タンパク質融解分析、または細胞結合アッセイなどの任意の生化学的または生物物理学的技術を含む、任意の分析技術によって決定され得る。したがって、いくつかの実施形態において、解離定数(KD)は、例えば、本明細書に記載されるような細胞結合アッセイ、ForteBioアッセイまたはMSD-SETアッセイを利用して、4℃または室温で測定される(例えば、実施例1及び23参照)。
【0202】
更なる抗ソルチリン抗体、例えば、本開示のソルチリンタンパク質に特異的に結合する抗体は、その物理的/化学的性質及び/または生物学的活性について、当該技術分野において既知の種々のアッセイによって、特定され、スクリーニングされ、かつ/または特徴付けられ得る。
【0203】
炎症促進性メディエータの発現の減少
いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、細胞中で発現されたソルチリンタンパク質に結合して、炎症促進性メディエータの発現を減少させ得る。
【0204】
本明細書で使用されるとき、炎症促進性メディエータは、炎症反応を誘発し、活性化し、促進し、またはそうでなければ低減させる機構に直接的または間接的(例えば、炎症促進性シグナル伝達経路を介して)のいずれかで関与するタンパク質である。炎症促進性メディエータを同定し、特徴付けるための当該技術分野にて知られている任意の方法を使用することができる。
【0205】
炎症促進性メディエータの例には、限定するものではないが、サイトカイン、例えば、I型及びII型インターフェロン、IL-6、IL12p70、IL12p40、IL-1β、TNF-α、IL-8、CRP、IL-20ファミリーメンバー、IL-33、LIF、OSM、CNTF、GM-CSF、IL-11、IL-12、IL-17、IL-18ならびにCRPなどが挙げられる。炎症促進性メディエータの更なる例には、限定するものではないが、CXCL1、CCL2、CCL3、CCL4及びCCL5などのケモカインが挙げられる。
【0206】
いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、炎症促進性メディエータ、IL-6、IL12p70、IL12p40、IL-1β、TNF-α、CXCL1、CCL2、CCL3、CCL4及びCCL5の機能的発現及び/または分泌を減少させ得る。ある特定の実施形態において、炎症促進性メディエータの発現減少は、マクロファージ、樹状細胞、単球、破骨細胞、皮膚のランゲルハンス細胞、クッパー細胞、T細胞及び/またはミクログリア細胞において生じる。発現減少は、限定するものではないが、遺伝子発現の減少、転写発現の減少またはタンパク質発現の減少を含み得る。遺伝子、転写物(例えば、mRNA)及び/またはタンパク質の発現を決定するための当該技術分野にて知られている任意の方法を使用することができる。例えば、ノーザンブロット分析を使用して炎症促進性メディエータの遺伝子発現レベルを決定することができ、RT-PCRを使用して炎症促進性メディエータの転写レベルを決定することができ、ウェスタンブロット分析を使用して炎症促進性メディエータのタンパク質レベルを決定することができる。
【0207】
本明細書で使用されるとき、炎症促進性メディエータは、本開示のアゴニスト抗ソルチリン抗体などのソルチリン剤で治療した対象の1つ以上の細胞におけるその発現が、アゴニスト抗ソルチリン抗体で治療していない当該対象の1つ以上の細胞で発現されるのと同じ炎症促進性メディエータの発現よりも多いとき、減少した発現を有し得る。いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、対象の1つ以上の細胞における炎症促進性メディエータの発現を、例えば、抗ソルチリン抗体で治療していない当該対象の1つ以上の細胞における炎症促進性メディエータの発現と比較したとき、少なくとも10%、少なくとも15%、少なくとも20%、少なくとも25%、少なくとも30%、少なくとも35%、少なくとも40%、少なくとも45%、少なくとも50%、少なくとも55%、少なくとも60%、少なくとも65%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも100%、少なくとも110%、少なくとも115%、少なくとも120%、少なくとも125%、少なくとも130%、少なくとも135%、少なくとも140%、少なくとも145%、少なくとも150%、少なくとも160%、少なくとも170%、少なくとも180%、少なくとも190%または少なくとも200%減少させ得る。他の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、対象の1つ以上の細胞における炎症促進性メディエータの発現を、例えば、抗ソルチリン抗体で治療していない当該対象の1つ以上の細胞における炎症促進性メディエータの発現と比較したとき、少なくとも少なくとも1.5倍、少なくとも1.6倍、少なくとも1.7倍、少なくとも1.8倍、少なくとも1.9倍、少なくとも2.0倍、少なくとも2.1倍、少なくとも2.15倍、少なくとも2.2倍、少なくとも2.25倍、少なくとも2.3倍、少なくとも2.35倍、少なくとも2.4倍、少なくとも2.45倍、少なくとも2.5倍、少なくとも2.55倍、少なくとも3.0倍、少なくとも3.5倍、少なくとも4.0倍、少なくとも4.5倍、少なくとも5.0倍、少なくとも5.5倍、少なくとも6.0倍、少なくとも6.5倍、少なくとも7.0倍、少なくとも7.5倍、少なくとも8.0倍、少なくとも8.5倍、少なくとも9.0倍、少なくとも9.5倍または少なくとも10倍減少させ得る。
【0208】
抗ソルチリン抗体Fcアイソタイプ
いくつかの実施形態において、本開示の抗体は、アンタゴニスト抗体を含む。いくつかの実施形態において、ソルチリンタンパク質と結合する抗体は、ソルチリンと結合し、ソルチリンと、そのリガンドのうちの1つ以上(例えば、プログラニュリン、プロニューロトロフィン、ニューロトロフィン、ニューロテンシン、p75、ソルチリンプロペプチド、APP、Aβペプチド、LpL、APOA5、APOE、及びRAP)との間の相互作用を妨げることによって、1つ以上のソルチリン活性を阻害する、アンタゴニスト抗体を含み得る。いくつかの実施形態において、本開示のアンタゴニスト抗体は、Fcg受容体に結合することができないFcドメインを有し得る。
【0209】
例示的な遮断抗体及び/またはアンタゴニスト抗体のFcアイソタイプ及び修飾について、以下の表Aに記載する。いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体は、以下の表Aに記載されるFcアイソタイプを有する。
【0210】
ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、IgG1アイソタイプを有する。いくつかの実施形態において、抗ソルチリン抗体は、マウスIgG1定常領域を含有する。いくつかの実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ヒトIgG1定常領域を含有する。いくつかの実施形態において、ヒトIgG1定常領域は、Fc領域を含む。いくつかの実施形態において、Fc領域は、1つ以上の修飾を含有する。例えば、いくつかの実施形態において、Fc領域は、1つ以上のアミノ酸置換を含有する(例えば、同じアイソタイプの野生型Fc領域に対して)。いくつかの実施形態において、1つ以上のアミノ酸置換は、N297A、N297Q(Bolt S et al.(1993)Eur J Immunol 23:403-411)、D265A、L234A、L235A(McEarchern et al.,(2007)Blood,109:1185-1192)、C226S、C229S(McEarchern et al.,(2007)Blood,109:1185-1192)、P238S(Davis et al.,(2007)J Rheumatol,34:2204-2210)、E233P、L234V(McEarchern et al.,(2007)Blood,109:1185-1192)、P238A、A327Q、A327G、P329A(Shields RL.et al.,(2001)J Biol Chem.276(9):6591-604)、K322A、L234F、L235E(Hezareh,et al.,(2001)J Virol 75,12161-12168、Oganesyan et al.,(2008).Acta Crystallographica 64,700-704)、P331S(Oganesyan et al.,(2008)Acta Crystallographica 64,700-704)、T394D(Wilkinson et al.(2013)MAbs 5(3):406-417)、A330L、M252Y、S254T及び/またはT256Eから選択され、ここで、アミノ酸の位置は、EUまたはKabatナンバリング規則に従うものである。ある特定の実施形態において、Fc領域は、EUまたはKabatナンバリング規則に従ったグリシン236に相当する位置にアミノ酸欠失を更に含む。
【0211】
いくつかの実施形態において、抗ソルチリン抗体は、EUまたはKabatナンバリング規則に従ったC220Sアミノ酸置換を含有する重鎖定常領域を有するIgG1アイソタイプを有する。
【0212】
いくつかの実施形態において、Fc領域は、EUまたはKabatナンバリング規則に従ったA330L、L234F、L235E及び/またはP331Sから選択される1つ以上の更なるアミノ酸置換を更に含有する。
【0213】
ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、IgG2アイソタイプを有する。いくつかの実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ヒトIgG2定常領域を含有する。いくつかの実施形態において、ヒトIgG2定常領域は、Fc領域を含む。いくつかの実施形態において、Fc領域は、1つ以上の修飾を含有する。例えば、いくつかの実施形態において、Fc領域は、1つ以上のアミノ酸置換を含有する(例えば、同じアイソタイプの野生型Fc領域に対して)。いくつかの実施形態において、1つ以上のアミノ酸置換は、P238S、V234A、G237A、H268A、H268Q、H268E、V309L、N297A、N297Q、V309L、A330S、P331S、C232S、C233S、M252Y、S254T及び/またはT256Eから選択され、ここで、アミノ酸の位置は、EUまたはKabatナンバリング規則に従うものである(Vafa O.et al.,(2014)Methods 65:114-126)。
【0214】
ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、IgG4アイソタイプを有する。いくつかの実施形態において、抗ソルチリン抗体は、ヒトIgG4定常領域を含有する。いくつかの実施形態において、ヒトIgG4定常領域は、Fc領域を含む。いくつかの実施形態において、Fc領域は、1つ以上の修飾を含有する。例えば、いくつかの実施形態において、Fc領域は、1つ以上のアミノ酸置換を含有する(例えば、同じアイソタイプの野生型Fc領域に対して)。いくつかの実施形態において、1つ以上のアミノ酸置換は、E233P、F234V、L235A、G237A、E318A(Hutchins et al.(1995)Proc Natl Acad Sci USA,92:11980-11984)、S228P、L234A/F234A、L236E、S241P、L248E(Reddy et al.,(2000)J Immunol,164:1925-1933、Angal et al.,(1993)Mol Immunol.30(1):105-8、US8614299 B2、Vafa O.et al.,(2014)Methods 65:114-126)、T394D、M252Y、S254T、T256E、N297A及び/またはN297Qから選択され、ここで、アミノ酸の位置は、EUまたはKabatナンバリング規則に従うものである。
【0215】
いくつかの実施形態において、Fc領域は、M252Y、S254T及び/またはT256Eから選択される1つ以上の更なるアミノ酸置換を更に含有し、ここで、アミノ酸の位置は、EUまたはKabatナンバリング規則に従うものである。
【0216】
更なるIgG変異
いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるIgG1変異形のうちの1つ以上は、補体活性化を排除するために、A330L変異(Lazar et al.,(2006)Proc Natl Acad Sci USA,103:4005-4010)またはL234F、L235E及び/もしくはP331S変異のうちの1つ以上(Sazinsky et al.,(2008)Proc Natl Acad Sci USA,105:20167-20172)と組み合わせることができ、ここで、アミノ酸の位置は、EUまたはKabatナンバリング規則に従うものである。いくつかの実施形態において、本明細書に記載されるIgG変異形は、抗ソルチリン抗体のヒト血清中半減期を向上させるために、1つ以上の変異と組み合わせることができる(例えば、EUまたはKabatナンバリング規則に従ったM252Y、S254T、T256E変異)(Dall’Acqua et al.,(2006)J Biol Chem,281:23514-23524、及びStrohl e al.,(2009)Current Opinion in Biotechnology,20:685-691)。
【0217】
いくつかの実施形態において、本開示のIgG4変異形は、抗体の安定化を高めるために、EUまたはKabatナンバリング規則に従ったS228P変異(Angal et al.,(1993)Mol Immunol,30:105-108)及び/またはPeters et al.,(2012)J Biol Chem.13;287(29):24525-33)に記載の1つ以上の変異と組み合わせることができる。
【0218】
二重特異性抗体
本開示のある特定の態様は、本開示のソルチリンタンパク質上の1つ以上のドメイン及び第2の抗原に結合する二重特異性抗体に関する。二重特異性抗体を作製する方法は、当該技術分野において既知であり、本明細書に記載される。いくつかの実施形態において、本開示の二重特異性抗体は、本開示のソルチリンタンパク質の1つ以上のアミノ酸残基に結合する。いくつかの実施形態において、本開示の二重特異性抗体は、第1の抗原及び第2の抗原を認識する。いくつかの実施形態において、第1の抗原はソルチリンタンパク質またはその自然発生変異形である。いくつかの実施形態において、第2の抗原もまたソルチリンタンパク質またはその自然発生変異形である。いくつかの実施形態において、第2の抗原は、血液脳関門を通過する輸送を促進する抗原である(例えば、Gabathuler R.,Neurobiol.Dis.37(2010)48-57参照)。このような第2の抗原には、限定するものではないが、トランスフェリン受容体(TR)、インスリン受容体(HIR)、インスリン様成長因子受容体(IGFR)、低密度リポタンパク質受容体関連タンパク質1及び2(LPR-1及び2)、ジフテリア毒素受容体、CRM197、ラマ単一ドメイン抗体、TMEM30(A)、タンパク質形質導入ドメイン、TAT、Syn-B、ペネトラチン、ポリアルギニンペプチド、ANG1005などのアンジオペプペプチド(例えば、Gabathuler,2010参照)、ベイシジン、Glut1、CD98hcならびに血液脳関門内皮細胞上に豊富に存在する他の細胞表面タンパク質(例えば、Daneman et al.,PLoS One.2010 Oct 29;5(10):e13741参照)が含まれる。
【0219】
抗体の組み合わせ
本開示のある特定の態様は、一緒に使用したとき、相当する抗ソルチリン抗体の単体での使用と比較して、相加効果または相乗効果を呈する、2つ以上の抗ソルチリン抗体の使用に関する。
【0220】
抗体断片
本開示のある特定の態様は、本開示のソルチリンタンパク質に結合する抗体断片に関する。いくつかの実施形態において、抗体断片は、Fab、Fab’、Fab’-SH、F(ab’)2、FvまたはscFv断片である。いくつかの実施形態において、抗体断片は、第2のソルチリン抗体とともに、かつ/またはアミロイドβもしくはその断片、Tau、IAPP、α-シヌクレイン、TDP-43、FUSタンパク質、プリオンタンパク質、PrPSc、ハンチンチン、カルシトニン、スーパーオキシドジスムターゼ、アタキシン、レビー小体、心房性ナトリウム利尿因子、膵島アミロイドポリペプチド、インスリン、アポリポタンパク質AI、血清アミロイドA、メディン、プロラクチン、トランスサイレチン、リゾチーム、β2ミクログロブリン、ゲルゾリン、ケラトエピテリン、シスタチン、免疫グロブリン軽鎖AL、S-IBMタンパク質、リピート関連非ATG(RAN)翻訳産物、ジペプチドリピート(DPR)ペプチド、グリシン-アラニン(GA)リピートペプチド、グリシン-プロリン(GP)リピートペプチド、グリシン-アルギニン(GR)リピートペプチド、プロリン-アラニン(PA)リピートペプチド、プロリン-アルギニン(PR)リピートペプチド及びこれらの任意の組み合わせから選択される疾患原因タンパク質に特異的に結合する1つ以上の抗体とともに組み合わせて使用される。
【0221】
いくつかの実施形態において、本開示の抗体断片は、本開示の抗ソルチリン抗体のいずれかと同じエピトープに結合する機能性断片であり得る。いくつかの実施形態において、抗体断片は、本開示の抗ソルチリン抗体または抗体断片の小型版であり、対応する全長抗体と同じエピトープを有するが、分子量がかなり小さいものである。かかる小型化抗ソルチリン抗体断片は、脳透過能により優れ、半減期がより短くなり得るため、イメージング及び診断用途に有利である(例えば、Lutje S et al.,Bioconjug Chem.2014 Feb 19;25(2):335-41、Tavare R et al.,Proc Natl Acad Sci U S A.2014 Jan 21;111(3):1108-13、及びWiehr S et al.,Prostate.2014 May;74(7):743-55参照)。したがって、いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体断片は、その対応する全長抗体と比較してより良好な脳透過性を有し、かつ/またはその対応する全長抗体と比較してより短い半減期を有する。
【0222】
抗体フレームワーク
本明細書に記載されるいずれの抗体もフレームワークを更に含む。いくつかの実施形態において、フレームワークは、ヒト免疫グロブリンフレームワークである。例えば、いくつかの実施形態において、抗体(例えば、抗ソルチリン抗体)は、上記の実施形態のうちのいずれかにおけるHVRを含み、アクセプターヒトフレームワーク、例えば、ヒト免疫グロブリンフレームワークまたはヒトコンセンサスフレームワークを更に含む。ヒト免疫グロブリンフレームワークは、ヒト抗体の一部分であり得、あるいは、非ヒト抗体は、1つ以上の内在性フレームワークをヒトフレームワーク領域(複数可)で置き換えることによってヒト化されてよい。ヒト化に使用され得るヒトフレームワーク領域には、「ベストフィット」法を使用して選択されるフレームワーク領域(例えば、Sims et al.J.Immunol.151:2296(1993)参照)、軽鎖可変領域または重鎖可変領域の特定のサブグループのヒト抗体のコンセンサス配列由来のフレームワーク領域(例えば、Carter et al.Proc.Natl.Acad.Sci.USA,89:4285(1992)、及びPresta et al.J.Immunol.,151:2623(1993)参照)、ヒト成熟(体細胞変異)フレームワーク領域またはヒト生殖系列フレームワーク領域(例えば、Almagro and Fransson,Front.Biosci.13:1619-1633(2008)参照)、及びFRライブラリのスクリーニングから得られるフレームワーク領域(例えば、Baca et al.,J.Biol.Chem.272:10678-10684(1997)及びRosok et al.,J.Biol.Chem.271:22611-22618(1996)参照)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0223】
いくつかの実施形態において、抗体は、本開示のHVR-L1、HVR-L2及びHVR-L3を含む軽鎖可変領域と、表2ならびに配列番号630、667及び641~684に示される軽鎖フレームワーク領域のうちの1つ、2つ、3つまたは4つとを含む。いくつかの実施形態において、抗体は、本開示のHVR-H1、HVR-H2及びHVR-H3を含む重鎖可変領域と、表3ならびに配列番号604~618、619~629、631~666、668、669、670~678~680及び685~692に示される重鎖フレームワーク領域のうちの1つ、2つ、3つまたは4つとを含む。いくつかの実施形態において、抗体は、本開示のHVR-L1、HVR-L2及びHVR-L3を含む軽鎖可変領域と、表2ならびに配列番号630、667及び641~684に示される軽鎖フレームワーク領域のうちの1つ、2つ、3つまたは4つとを含み、本開示のHVR-H1、HVR-H2及びHVR-H3を含む重鎖可変領域と、表3ならびに配列番号604~618、619~629、631~666、668、669、670~678~680及び685~692に示される重鎖フレームワーク領域のうちの1つ、2つ、3つまたは4つとを更に含む。
【0224】
抗体の調製
本開示の抗ソルチリン抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト化及びキメラ抗体、ヒト抗体、抗体断片(例えば、Fab、Fab’-SH、Fv、scFv及びF(ab’)2)、二重特異性及び多特異性抗体、多価抗体、ヘテロコンジュゲート抗体、コンジュゲート抗体、ライブラリ由来抗体、改変したエフェクター機能を有する抗体、抗体部分を含有する融合タンパク質、ならびに本開示のソルチリンタンパク質のアミノ酸残基を有するエピトープなどの抗原認識部位を含む免疫グロブリン分子の任意の他の改変形態(抗体のグリコシル化変異形、抗体のアミノ酸配列変異形及び共有結合的に修飾した抗体を含む)を包含し得る。抗ソルチリン抗体は、ヒト、ネズミ、ラットまたは任意の他の起源であってよい(キメラまたはヒト化抗体を含む)。
【0225】
(1)ポリクローナル抗体
ポリクローナル抗ソルチリン抗体などのポリクローナル抗体は、一般に、関連抗原及びアジュバントの複数回の皮下(sc)または腹腔内(ip)注射によって動物において産生される。関連抗原(例えば、本開示の精製または組換えソルチリンタンパク質)を、二機能性または誘導体化剤、例えば、マレイミドベンゾイルスルホスクシンイミドエステル(システイン残基を介したコンジュゲート)、N-ヒドロキシスクシンイミド(リジン残基を介する)、グルタールアルデヒド、コハク酸無水物、SOCl2、またはR1N=C=NR(式中、R及びR1は独立して低級アルキル基である)を使用して、免疫する種において免疫原性であるタンパク質、例えば、キーホールリンペットヘモシアニン(KLH)、血清アルブミン、ウシサイログロブリンまたはダイズトリプシン阻害剤にコンジュゲートすることが有用であり得る。用いられ得るアジュバントの例には、フロイント完全アジュバント及びMPL-TDMアジュバント(モノホスホリル脂質A、合成トレハロースジコリノミコール酸塩)が挙げられる。免疫付与プロトコルは、過度な実験なしに当業者によって選択され得る。
【0226】
動物は、所望の抗原、免疫原性コンジュゲートまたは誘導体に対して、例えば、100μg(ウサギの場合)または5μg(マウスの場合)のタンパク質またはコンジュゲートを3倍量のフロイント完全アジュバントと合わせ、この溶液を複数部位で皮内注射することによって免疫化される。1ヶ月後、動物には、複数部位での皮下注射によってフロイント完全アジュバント中のペプチドまたはコンジュゲートの最初の量の1/5~1/10が追加免疫される。7~14日後、動物から採血し、血清を抗体力価についてアッセイする。動物は、力価がプラトーに到達するまで追加免疫される。コンジュゲートはまた、タンパク質融合物として組換え細胞培養で作製することができる。また、ミョウバンなどの凝集剤も免疫応答を増強するために好適である。
【0227】
(2)モノクローナル抗体
モノクローナル抗ソルチリン抗体などのモノクローナル抗体は、実質的に同種の抗体集団から得られるものであり、すなわち、その集団に含まれる個々の抗体は、微量で存在し得る可能性のある自然に発生する変異及び/または翻訳後修飾(例えば、異性化、アミド化)を除き、同一である。したがって、「モノクローナル」という修飾語は、別個の抗体の混合物ではないという抗体の特徴を示す。
【0228】
例えば、モノクローナル抗ソルチリン抗体は、Kohler et al.,Nature,256:495(1975)により最初に記載されたハイブリドーマ法を使用して作製され得るか、または組換えDNA法(米国特許第4,816,567号)によって作製され得る。
【0229】
ハイブリドーマ法では、マウスまたは他の適切な宿主動物、例えばハムスターなどを上述のように免疫化すると、免疫化に使用されたタンパク質(例えば、本開示の精製または組換えソルチリンタンパク質)に特異的に結合する抗体を産生するまたは産生することのできるリンパ球が誘発される。あるいは、リンパ球は、in vitroで免疫化され得る。次いで、ポリエチレングリコールなどの好適な融合剤を使用して、リンパ球をミエローマ細胞と融合させ、ハイブリドーマ細胞を形成する(Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,pp.59-103(Academic Press,1986))。
【0230】
免疫剤は、典型的に、抗原性タンパク質(例えば、本開示の精製または組換えソルチリンタンパク質)またはその融合変異形を含む。一般に、ヒト起源の細胞が所望される場合は、末梢血リンパ球(「PBL」)が使用されるのに対し、非ヒト哺乳動物起源が所望される場合は、脾臓細胞またはリンパ節細胞が使用される。次いで、ポリエチレングリコールなどの好適な融合剤を使用して、リンパ球を不死化細胞株と融合させ、ハイブリドーマ細胞を形成する。Goding,Monoclonal Antibodies:Principles and Practice,Academic Press(1986),pp.59-103.
【0231】
不死化細胞株は、通常、形質転換された哺乳動物細胞、特にげっ歯類、ウシまたはヒト起源の骨髄腫細胞である。通常、ラットまたはマウスの骨髄腫細胞株が用いられる。そのように調製されたハイブリドーマ細胞を播種し、融合していない親骨髄腫細胞の成長または生存を阻害する1つ以上の物質を好ましくは含有する好適な培養培地で成長させる。例えば、親骨髄腫細胞が酵素ヒポキサンチングアニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HGPRTまたはHPRT)を欠く場合、ハイブリドーマ用の培養培地は、典型的には、ヒポキサンチン、アミノプテリン及びチミジン(HAT培地)を含み、これらの物質は、HGPRT欠損細胞の成長を阻止する。
【0232】
好ましい不死化骨髄腫細胞は、効率的に融合し、選択された抗体産生細胞による安定した高レベルの抗体産生を支援し、HAT培地などの培地に感受性を示すものである。なかでも、MOPC-21及びMPC-11マウス腫瘍に由来するもの(Salk Institute Cell Distribution Center,San Diego,California USAから入手可能)、ならびにSP-2細胞及びその誘導体(例えば、X63-Ag8-653)(American Type Culture Collection,Manassas,Virginia USAから入手可能)などのマウス骨髄腫細胞株が好ましい。ヒト骨髄腫細胞株及びマウス-ヒト異種骨髄腫細胞株も、ヒトモノクローナル抗体の産生について記載されている(Kozbor,J.Immunol.,133:3001(1984)、Brodeur et al.,Monoclonal Antibody Production Techniques and Applications,pp.51-63(Marcel Dekker,Inc.,New York,1987))。
【0233】
ハイブリドーマ細胞が成長している培養培地を、抗原(例えば、本開示のソルチリンタンパク質)に対して標的化されたモノクローナル抗体の産生についてアッセイする。好ましくは、ハイブリドーマ細胞によって産生されるモノクローナル抗体の結合特異性は、免疫沈降によって、またはラジオイムノアッセイ(RIA)もしくは酵素結合免疫吸着法(ELISA)などのin vitro結合試験によって決定される。
【0234】
ハイブリドーマ細胞を培養している培養培地を、所望の抗原(例えば、本開示のソルチリンタンパク質)に対して標的化されたモノクローナル抗体の存在についてアッセイすることができる。好ましくは、モノクローナル抗体の結合親和性及び結合特異性は、免疫沈降によって、またはラジオイムノアッセイ(RIA)もしくは酵素結合アッセイ(ELISA)などのin vitroアッセイにより決定することができる。そのような技法及びアッセイは、当該技術分野において既知である。例えば、結合親和性は、Munson et al.,Anal.Biochem.,107:220(1980)のスキャッチャード分析によって決定され得る。
【0235】
所望の特異性、親和性及び/または活性を有する抗体を産生するハイブリドーマ細胞が特定された後、クローンを限界希釈手順によってサブクローニングし、標準の方法によって成長させることができる(Goding、上掲)。この目的に好適な培養培地には、例えば、D-MEM培地またはRPMI-1640培地が挙げられる。加えて、ハイブリドーマ細胞は、哺乳動物の腫瘍としてin vivoで成長させてもよい。
【0236】
サブクローンによって分泌されるモノクローナル抗体は、従来の免疫グロブリン精製手順、例えば、タンパク質A-セファロースクロマトグラフィー、ヒドロキシルアパタイトクロマトグラフィー、ゲル電気泳動、透析、親和性クロマトグラフィー及び上記の他の方法などによって、培養培地、腹水または血清から好適に分離される。
【0237】
抗ソルチリンモノクローナル抗体はまた、組換えDNA法、例えば、米国特許第4,816,567号に記載の方法及び上記の方法によって作製され得る。モノクローナル抗体をコードするDNAは、従来の手順を使用して(例えば、マウス抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合するオリゴヌクレオチドプローブを使用して)容易に単離及び配列決定される。ハイブリドーマ細胞は、このようなDNAの好適な供給源として機能する。DNAが単離されたら、そのDNAを発現ベクターに入れることができ、これは、次いで、組換え宿主細胞中でモノクローナル抗体を合成するために、宿主細胞、例えば、E.coli細胞、サルCOS細胞、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞または免疫グロブリンタンパク質を別様に産生しない骨髄腫細胞などにトランスフェクトされる。抗体をコードするDNAの細菌中での組換え発現についての総説論文には、Skerra et al.,Curr.Opin.Immunol.,5:256-262(1993)及びPluckthun,Immunol.Rev.130:151-188(1992)が挙げられる。
【0238】
ある特定の実施形態において、抗ソルチリン抗体は、McCafferty et al.,Nature,348:552-554(1990)に記載の技法を使用して生成された抗体ファージライブラリから単離することができる。Clackson et al.,Nature,352:624-628(1991)及びMarks et al.,J.Mol.Biol.,222:581-597(1991)は、それぞれ、ファージライブラリからのマウス抗体及びヒト抗体の単離について記載している。後続の公開物は、鎖シャフリングによる高親和性(ナノモル(「nM」)範囲)のヒト抗体の産生(Marks et al.,Bio/Technology,10:779-783(1992))、ならびに非常に大きいファージライブラリを構築するための戦略としての組み合わせ感染及びin vivo組換え(Waterhouse et al.,Nucl.Acids Res.,21:2265-2266(1993))について記載している。したがって、これらの技法は、所望の特異性を有するモノクローナル抗体(例えば、本開示のソルチリンタンパク質と結合するもの)を単離するための従来のモノクローナル抗体ハイブリドーマ技法の実行可能な代替案である。
【0239】
抗体またはその断片をコードするDNAはまた、例えば、ヒト重鎖及び軽鎖定常ドメインをコードする配列を相同的マウス配列の代わりに用いることによって(米国特許第4,816,567号、Morrison,et al.,Proc.Natl Acad.Sci.USA,81:6851(1984))、または免疫グロブリンコード配列に非免疫グロブリンポリペプチドコード配列の全てもしくは一部を共有結合させることによって、改変することができる。典型的には、かかる非免疫グロブリンポリペプチドは、ある抗体の定常ドメインの代わりに用いられるか、またはある抗体の1つの抗原結合部位の可変ドメインの代わりに用いられて、ある抗原に対して特異性を有する1つの抗原結合部位及び異なる抗原に対して特異性を有する別の抗原結合部位を含むキメラ二価抗体が作製される。
【0240】
本明細書に記載されるモノクローナル抗体(例えば、本開示の抗ソルチリン抗体またはその断片)は、一価であり得、この調製については、当該技術分野において既知である。例えば、1つの方法は、免疫グロブリン軽鎖及び修飾された重鎖の組換え発現を必要とする。重鎖は、重鎖架橋を防止するように、一般にFc領域内の任意の点で切断される。代替として、関連システイン残基が、別のアミノ酸残基で置換されるか、または架橋を防止するように欠失され得る。in vitro方法も、一価抗体を調製するために適している。その断片、特にFab断片を生成するための抗体の消化は、当該技術分野において既知のルーチン技法を使用して達成され得る。
【0241】
キメラ抗ソルチリン抗体またはハイブリッド抗ソルチリン抗体もまた、架橋剤を必要とするものを含む、タンパク質合成化学の既知の方法を使用して、in vitroで調製することができる。例えば、ジスルフィド交換反応を使用して、またはチオエーテル結合を形成することによって、免疫毒素を構築してもよい。この目的に好適な試薬の例としては、イミノチオレート及びメチル-4-メルカプトブチルイミデート(mercaptobutyrimidate)が挙げられる。
【0242】
(3)ヒト化抗体
本開示の抗ソルチリン抗体またはその抗体断片は、ヒト化またはヒト抗体を更に含み得る。非ヒト(例えば、マウス)抗体のヒト化形態は、キメラ免疫グロブリン、非ヒト免疫グロブリンに由来する最小配列を含む、免疫グロブリン鎖またはその断片(例えば、Fab、Fab’-SH、Fv、scFv、F(ab’)2または抗体の他の抗原結合部分列)である。ヒト化抗体には、レシピエントの相補性決定領域(CDR)の残基が、所望の特異性、親和性及び能力を有するマウス、ラットまたはウサギなどの非ヒト種(ドナー抗体)のCDRの残基で置き換えられている、ヒト免疫グロブリン(レシピエント抗体)が含まれる。場合によっては、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク残基は、対応する非ヒト残基により置き換えられる。ヒト化抗体はまた、レシピエント抗体にも、移入されたCDRまたはフレームワーク配列にも見出されない残基を含んでもよい。一般に、ヒト化抗体は、少なくとも1つ、典型的には2つの可変ドメインの実質的に全てを含み、ここで、CDR領域の全てまたは実質的に全ては、非ヒト免疫グロブリンのものに対応し、FR領域の全てまたは実質的に全ては、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものである。ヒト化抗体はまた、任意選択により、免疫グロブリン定常領域(Fc)の少なくとも一部分、典型的にはヒト免疫グロブリンの少なくとも一部分を含む。Jones et al.,Nature 321:522-525(1986)、Riechmann et al.,Nature 332:323-329(1988)and Presta,Curr.Opin.Struct.Biol.2:593-596(1992).
【0243】
非ヒト抗ソルチリン抗体のヒト化方法は、当該技術分野において既知である。概して、ヒト化抗体は、非ヒトである供給源から導入された1つ以上のアミノ酸残基を有する。これらの非ヒトアミノ酸残基は、多くの場合、典型的には「移入」可変ドメインから得られる「移入」残基と称される。ヒト化は、本質的にWinter and co-workers,Jones et al.,Nature 321:522-525(1986)、Riechmann et al.,Nature 332:323-327(1988)、Verhoeyen et al.,Science 239:1534-1536(1988)の方法に従って、すなわち、げっ歯類CDRまたはCDR配列を、ヒト抗体の対応する配列の代わりに用いることによって行うことができる。したがって、そのような「ヒト化」抗体は、インタクトなヒト可変ドメインより実質的に少ない部分が、非ヒト種由来の対応する配列で置換されている、キメラ抗体である(米国特許第4,816,567号)。実際に、ヒト化抗体は、典型的にヒト抗体であり、いくつかのCDR残基及び場合によりいくつかのFR残基がげっ歯類抗体における類似部位からの残基により置換される。
【0244】
ヒト化抗体の作製に使用されるヒト可変ドメインの選択は、軽鎖と重鎖ドメインの両方とも、抗原性を低減させることが非常に重要である。いわゆる「ベストフィット」法によれば、げっ歯類抗体の可変ドメインの配列を、既知のヒト可変ドメイン配列の全ライブラリに対してスクリーニングする。次いで、げっ歯類の配列に最も近いヒト配列がヒト化抗体のヒトフレームワーク(FR)として受け入れられる。Sims et al.,J.Immunol.,151:2296(1993)、Chothia et al.,J.Mol.Biol.,196:901(1987)。別の方法は、軽鎖または重鎖の特定のサブグループの全ヒト抗体のコンセンサス配列に由来する特定のフレームワークを使用する。同じフレームワークをいくつかの異なるヒト化抗体に使用することができる。Carter et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA 89:4285(1992)、Presta et al.,J.Immunol.151:2623(1993)。
【0245】
更に、抗体は、抗原に対する高い親和性及び他の好ましい生物学的特性を維持しつつヒト化されることが重要である。この目的を達成するために、好ましい方法によれば、ヒト化抗体は、親配列及びヒト化配列の三次元モデルを使用して、親配列及び種々の概念上のヒト化産物を分析するプロセスによって調製される。三次元免疫グロブリンモデルは一般的に利用可能であり、当業者にはよく知られている。選択された候補免疫グロブリン配列の推定される三次元高次構造を例示及び表示するコンピュータプログラムが利用可能である。これらの表示の精査により、候補免疫グロブリン配列の機能における残基の可能性の高い役割の分析、すなわち、候補免疫グロブリンがその抗原に結合する能力に影響する残基の分析が可能となる。このようにして、標的抗原(複数可)(例えば、本開示のソルチリンタンパク質)に対して増加した親和性などの所望の抗体特性が達成されるように、レシピエント及び移入配列からFR残基を選択し、組み合わせることができる。一般に、CDR残基は、抗原結合への影響に直接的かつ最も実質的に関与している。
【0246】
種々の形態のヒト化抗ソルチリン抗体が企図される。例えば、ヒト化抗ソルチリン抗体は、Fabなどの抗体断片であってよく、任意選択により、免疫コンジュゲートを生成するために、1つ以上の細胞傷害剤(複数可)とコンジュゲートされる。代替的に、ヒト化抗ソルチリン抗体は、インタクトIgG1抗体などのインタクト抗体であってもよい。
【0247】
(4)ヒト抗体
また別の方法として、ヒト抗ソルチリン抗体を作製することができる。例えば、免疫化すると内因性免疫グロブリン産生の非存在下でヒト抗体の完全レパートリーを産生することのできるトランスジェニック動物(例えば、マウス)を作製することが現在では可能である。キメラ及び生殖細胞系変異マウスにおける抗体重鎖結合領域(JH)遺伝子のホモ接合欠失により、内因性抗体産生を完全に阻害できる。そのような生殖細胞系変異マウスにヒト生殖細胞系免疫グロブリン遺伝子アレイを移動させると、抗原投与に際してヒト抗体が産生される。例えば、Jakobovits et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA,90:2551(1993)、Jakobovits et al.,Nature,362:255-258(1993)、Bruggermann et al.,Year in Immunol.,7:33(1993)、米国特許第5,591,669号及びWO97/17852を参照されたい。
【0248】
あるいは、ファージディスプレイ法を使用して、未免疫ドナーの免疫グロブリン可変(V)ドメイン遺伝子レパートリーから、ヒト抗ソルチリン抗体及び抗体断片をin vitroで作製することができる。McCafferty et al.,Nature 348:552-553(1990)、Hoogenboom and Winter,J.Mol.Biol.227:381(1991)。この技法によれば、抗体Vドメイン遺伝子を、M13またはfdなどの糸状バクテリオファージの主要または非主要なコートタンパク質遺伝子のいずれかにインフレームでクローニングし、ファージ粒子の表面上に機能性抗体断片として提示させる。この糸状粒子はファージゲノムの一本鎖DNAコピーを含有するので、抗体の機能的特性に基づく選択により、当該特性を示す抗体をコードする遺伝子も選択される。したがって、ファージはB細胞の特性の一部を模倣する。ファージディスプレイは、種々の形態で実施することができ、例えば、Johnson,Kevin S.and Chiswell,David J.,Curr.Opin Struct.Biol.3:564-571(1993)に概説されている。V遺伝子セグメントのいくつかの供給源をファージディスプレイに使用することができる。Clackson et al.,Nature 352:624-628(1991)は、免疫化マウスの脾臓から得られたV遺伝子の小さなランダムコンビナトリアルライブラリから、多種多様な抗オキサゾロン抗体を単離した。Marks et al.,J.Mol.Biol.222:581-597(1991)またはGriffith et al.,EMBO J.12:725-734(1993)に記載の技法に本質的に従えば、未免疫のヒトドナーに由来するV遺伝子のレパートリーを構築することができ、多種多様な抗原(自己抗原を含む)に対する抗体を単離することができる。米国特許第5,565,332号及び同第5,573,905号も参照されたい。更に、酵母ディスプレイ法を使用して、ヒト抗ソルチリン抗体及び抗体断片をin vitroで作製することができる(例えば、WO2009/036379、WO2010/105256、WO2012/009568、US2009/0181855、US2010/0056386、及びFeldhaus and Siegel(2004)J.Immunological Methods 290:69-80)。他の実施形態において、リボソームディスプレイ法を使用して、ヒト抗ソルチリン抗体及び抗体断片をin vitroで作製することができる(例えば、Roberts and Szostak(1997)Proc Natl Acad Sci 94:12297-12302、Schaffitzel et al.(1999)J.Immunolical Methods 231:119-135、Lipovsek and Pluckthun(2004)J.Immunological Methods 290:51-67)。
【0249】
また、Coleら及びBoernerらの技法もヒト抗ソルチリンモノクローナル抗体の調製に使用可能である(Cole et al.,Monoclonal Antibodies and Cancer Therapy,Alan R.Liss,p.77(1985)及びBoerner et al.,J.Immunol.147(1):86-95(1991)。同様に、ヒト抗ソルチリン抗体は、トランスジェニック動物、例えば、内因性免疫グロブリン遺伝子が部分的または完全に不活性化されたマウスに、ヒト免疫グロブリン遺伝子座を導入することによって作製することができる。惹起時に、遺伝子再配置、アセンブリ及び抗体レパートリーを含む、全ての点でヒトにおいて見られるものと非常に類似するヒト抗体産生が観察される。このアプローチについては、例えば、米国特許第5,545,807号、同第5,545,806号、同第5,569,825号、同第5,625,126号、同第5,633,425号、同第5,661,016号、ならびに次の科学刊行物:Marks et al.,Bio/Technology 10:779-783(1992)、Lonberg et al.,Nature 368:856-859(1994)、Morrison,Nature 368:812-13(1994)、Fishwild et al.,Nature Biotechnology 14:845-51(1996)、Neuberger,Nature Biotechnology 14:826(1996)及びLonberg and Huszar,Intern.Rev.Immunol.13:65-93(1995)に記載されている。
【0250】
最後に、ヒト抗ソルチリン抗体は、活性化B細胞によるin vitro産生も可能である(米国特許第5,567,610号及び同第5,229,275号参照)。
【0251】
(5)抗体断片
ある特定の実施形態において、全抗体の抗ソルチリン抗体ではなく、抗ソルチリン抗体の断片を使用することに利点がある。より小さな断片サイズは、迅速なクリアランス及び良好な脳透過性を可能にする。
【0252】
抗体断片を作製するための様々な技法が開発されている。従来、これらの断片は、インタクト抗体のタンパク質分解消化によって得られていた(例えば、Morimoto et al.,J.Biochem.Biophys.Method.24:107-117(1992)、及びBrennan et al.,Science 229:81(1985)参照)。しかしながら、これらの断片は、現在、組換え宿主細胞によって、例えば、本開示の抗ソルチリン抗体をコードする核酸を使用して、直接作製することができる。Fab、Fv及びscFv抗体断片は全て、E.coli中で発現され、そこから分泌され得るため、これらの断片の直接的な大量作製が可能になる。抗ソルチリン抗体断片は、上述の抗体ファージライブラリから単離することもできる。あるいは、Fab’-SH断片をE.coliから直接回収し、化学的にカップリングして、F(ab’)2断片を形成することができる(Carter et al.,Bio/Technology 10:163-167(1992))。別のアプローチに従って、組換え宿主細胞培養からF(ab’)2断片を直接単離することができる。in vivo半減期が延長されたFab及びF(ab’)2抗体断片の作製については、米国特許第5,869,046号に記載されている。他の実施形態では、最適な抗体は、一本鎖Fv断片(scFv)である。WO93/16185、米国特許第5,571,894号及び米国特許第5,587,458号を参照されたい。抗ソルチリン抗体断片はまた、例えば、米国特許5,641,870号に記載されている「直鎖抗体」であってもよい。かかる直鎖抗体断片は、単一特異性または二重特異性であり得る。
【0253】
(6)二重特異性抗体及び多特異性抗体
二重特異性抗体(BsAb)は、同一または別のタンパク質(例えば、1つ以上の本開示のソルチリンタンパク質)上のエピトープを含む、少なくとも2つの異なるエピトープに対する結合特異性を有する抗体である。あるいは、BsAbの一部分を標的ソルチリン抗原に結合するように武装させ、もう1つの部分を第2のタンパク質に結合するアームと組み合わせることができる。このような抗体は、全長抗体または抗体断片からから得ることができる(例えば、F(ab’)2二重特異性抗体)。
【0254】
二重特異性抗体の作製方法は、当該技術分野で既知である。全長二重特異性抗体の従来の作製は、2つの免疫グロブリン重鎖軽鎖対の共発現に基づくものであり、これらの2つの鎖は、異なる特異性を有する。Millstein et al.,Nature,305:537-539(1983)。免疫グロブリン重鎖及び軽鎖はランダムな組み合わせであるため、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は、10個の異なる抗体分子の混合物を産生する可能性があり、これらのうちの1つのみが正しい二重特異性構造を有する。通常は親和性クロマトグラフィーステップにより行われるこの正しい分子の精製は、いくぶん厄介であり、生成物収率は低い。同様の手法がWO93/08829及びTraunecker et al.,EMBO J.,10:3655-3659(1991)に記載されている。
【0255】
異なるアプローチでは、所望の結合特異性を有する抗体可変ドメイン(抗体-抗原結合部位)を免疫グロブリン定常ドメイン配列に融合する。融合は、好ましくは、ヒンジ、CH2及びCH3領域の少なくとも一部を含む免疫グロブリン重鎖定常ドメインとの融合である。軽鎖結合に必要な部位を含む第1の重鎖定常領域(CH1)を融合物のうちの少なくとも1つに存在させることが好ましい。免疫グロブリン重鎖融合物と、所望により、免疫グロブリン軽鎖とをコードするDNAを別個の発現ベクターに挿入し、好適な宿主生物にコトランスフェクトする。これにより、構築に使用される3つのポリペプチド鎖の割合が異なるときに最適な収率が得られる実施形態において、3つのポリペプチド断片の相互比率を調節する上で、優れた柔軟性がもたらされる。しかしながら、少なくとも2つのポリペプチド鎖の発現が同じ割合であるときに高収率が得られる場合、または割合に特定の重要性がない場合には、2つまたは3つ全てのポリペプチド鎖をコードする配列を1つの発現ベクターに挿入することが可能である。
【0256】
このアプローチの好ましい一実施形態において、二重特異性抗体は、一方のアームにある第1の結合特異性を有するハイブリッド免疫グロブリン重鎖と、他方のアームにあるハイブリッド免疫グロブリン重鎖-軽鎖対(第2の結合特異性を提供する)からなる。この非対称構造は、免疫グロブリン軽鎖が二重特異性分子の半分のみで存在することにより容易な分離方法が提供されるため、望ましくない免疫グロブリン鎖の組み合わせからの所望の二重特異性化合物の分離を促進することが見出された。このアプローチは、WO94/04690に開示されている。二重特異性抗体の生成の更なる詳細については、例えば、Suresh et al.,Methods in Enzymology 121:210(1986)を参照されたい。
【0257】
WO96/27011または米国特許第5,731,168号に記載の別のアプローチによると、一対の抗体分子間の界面を操作して、組換え細胞培養から回収されるヘテロ二量体の割合を最大にすることができる。好ましい界面は、抗体定常ドメインのCH3領域の少なくとも一部を含む。この方法では、第1の抗体分子の界面由来の1つ以上の小さいアミノ酸側鎖が、より大きい側鎖(例えば、チロシンまたはトリプトファン)で置き換えられる。大きい側鎖(複数可)と同一または同様の大きさの補償「キャビティ」は、大きいアミノ酸側鎖をより小さいアミノ酸側鎖(例えば、アラニンまたはトレオニン)で置き換えることによって第2の抗体分子の界面上に作成される。これにより、ホモ二量体などの他の望ましくない最終産物よりもヘテロ二量体の収率が増加する機構が提供される。
【0258】
二重特異性抗体を抗体断片から生成するための技法は、文献において説明されている。例えば、二重特異性抗体は、化学結合を使用して調製することができる。Brennan et al.,Science 229:81(1985)は、インタクト抗体をタンパク質分解的に切断して、F(ab’)2断片を生成する手順を記載している。これらの断片を、ジチオール複合体化剤である亜ヒ酸ナトリウムの存在下で還元して、隣接するジチオールを安定させ、分子間ジスルフィド形成を阻止する。次に、生成されたFab’断片を、チオニトロ安息香酸塩(TNB)誘導体に変換する。次いで、Fab’-TNB誘導体のうちの1つをFab’-TNB誘導体に再変換して、二重特異性抗体を形成する。作製された二重特異性抗体は、酵素の選択的固定化のための作用物質として使用することができる。
【0259】
Fab’断片をE.coliから直接回収し、化学的にカップリングして二重特異性抗体を形成することができる。Shalaby et al.,J.Exp.Med.175:217-225(1992)は、完全ヒト化二重特異性抗体F(ab’)2分子の作製について記載している。各Fab’断片は、E.coliから別々に分泌され、in vitroでの指向性化学的カップリングに供されて、二重特異性抗体が形成された。このように形成された二重特異性抗体は、ErbB2受容体を過剰発現する細胞及び正常なヒトT細胞に結合するとともに、ヒト乳腺腫瘍標的に対するヒト細胞傷害性リンパ球の溶解活性を誘発することができた。
【0260】
組換え細胞培養から直接的に二価抗体断片を作製及び単離するための様々な技法も記載されている。例えば、ロイシンジッパーを使用して、二価ヘテロ二量体が作製されている。Kostelny et al.,J.Immunol.,148(5):1547-1553(1992)。Fos及びJunタンパク質からのロイシンジッパーペプチドが遺伝子融合によって2つの異なる抗体のFab’部分に結合された。この抗体ホモ二量体をヒンジ領域で還元して単量体を得、次いで再酸化することで抗体ヘテロ二量体が形成された。Hollinger et al.,Proc.Nat’l Acad.Sci.USA,90:6444-6448(1993)に記載された「ダイアボディ」法は、二重特異性/二価抗体断片の作製の代替機構を提供している。当該断片は、同じ鎖上の2つのドメイン間の対合を可能にするには短すぎるリンカーによって軽鎖可変ドメイン(VL)に接続された重鎖可変ドメイン(VH)を含む。したがって、1つの断片のVHドメイン及びVLドメインは、もう1つの断片の相補的なVLドメイン及びVHドメインと対合させられ、それにより、2つの抗原結合部位が形成される。一本鎖Fv(sFv)二量体の使用により二重特異性/二価抗体断片を作製するための別の方策も報告されている。Gruber et al.,J.Immunol.,152:5368(1994)を参照されたい。
【0261】
2価を超える抗体も企図される。例えば、三重特異性抗体を調製することができる。Tutt et al.,J.Immunol.147:60(1991)。
【0262】
例示的な二重特異性抗体は、所与の分子(例えば、本開示のソルチリンタンパク質)上の2つの異なるエピトープに結合し得る。代替的に、ソルチリンシグナル伝達構成成分を標的にするアームは、細胞防御機構を特定のタンパク質を発現する細胞に集中させるように、T細胞受容体分子(例えば、CD2、CD3、CD28またはB7)などの白血球上の誘発分子に結合するアームまたはFcγRI(CD64)、FcγRII(CD32)及びFcγRIII(CD16)などのIgGのFc受容体(FcγR)に結合するアームと組み合わせてもよい。また、二重特異性抗体を使用して、特定のタンパク質を発現する細胞に細胞傷害剤を局在化させることができる。このような抗体は、タンパク質結合アームと、細胞傷害性剤または放射性核種キレート剤、例えば、EOTUBE、DPTA、DOTAもしくはTETAに結合するアームとを有する。目的とする別の二重特異性抗体は、目的のタンパク質に結合し、更に組織因子(TF)に結合する。
【0263】
(7)多価抗体
多価抗体は、その抗体が結合する抗原を発現する細胞によって、二価抗体よりも速く内部移行(及び/または異化)され得る。本開示の抗ソルチリン抗体またはその抗体断片は、3つ以上の抗原結合部位を有する(IgMクラスの以外の)多価抗体(例えば、四価抗体)であり得、これは、抗体のポリペプチド鎖をコードする核酸の組換え発現によって容易に作製することができる。多価抗体は、二量体化ドメイン及び3つ以上の抗原結合部位を含むことができる。好ましい二量化ドメインは、Fc領域またはヒンジ領域を含む。このシナリオでは、抗体は、Fc領域と、Fc領域のアミノ末端側に3つ以上の抗原結合部位とを含むことになる。好ましい多価抗体は、本明細書において、3~約8の抗原結合部位を含有するが、好ましくは4つの抗原結合部位を含有する。多価抗体は、少なくとも1つのポリペプチド鎖(好ましくは2つのポリペプチド鎖)を含有し、ここで、ポリペプチド鎖(複数可)は、2つ以上の可変ドメインを含有する。例えば、ポリペプチド鎖(複数可)は、VD1-(X1)n-VD2-(X2)n-Fcを含み得、ここで、VD1は第1の可変ドメインであり、VD2は第2の可変ドメインであり、FcはFc領域の1つのポリペプチド鎖であり、X1及びX2はアミノ酸またはポリペプチドを表し、nは0または1である。同様に、ポリペプチド鎖(複数可)は、VH-CH1-フレキシブルリンカー-VH-CH1-Fc領域鎖またはVH-CH1-VH-CH1-Fc領域鎖を含み得る。本明細書における多価抗体は、好ましくは、少なくとも2つ(好ましくは4つ)の軽鎖可変ドメインポリペプチドを更に含む。本明細書における多価抗体は、例えば、約2~約8の軽鎖可変ドメインポリペプチドを含み得る。本明細書で企図される軽鎖可変ドメインポリペプチドは、軽鎖可変ドメインを含み、任意選択により、CLドメインを更に含む。多価抗体は、ソルチリン抗原だけでなく、限定するものではないが、更なる抗原である、Aβペプチド抗原、またはαシヌクレイン(synuclain)タンパク質抗原、またはTauタンパク質抗原、またはTDP-43タンパク質抗原、またはプリオンタンパク質抗原、またはハンチンチンタンパク質抗原、またはRAN翻訳産物抗原、例えば、グリシン-アラニン(GA)、グリシン-プロリン(GP)、グリシン-アルギニン(GR)、プロリン-アラニン(PA)もしくはプロリン-アルギニン(PR)から構成されるジペプチドリピート(DPRペプチド)、インスリン受容体、インスリン様成長因子受容体、トランスフェリン受容体、または抗体の血液脳関門通過を促進する任意の他の抗原を認識し得る。
【0264】
(8)ヘテロコンジュゲート抗体
ヘテロコンジュゲート抗体もまた、本開示の範囲内である。ヘテロコンジュゲート抗体は、共有結合した2つの抗体(例えば、本開示の抗ソルチリン抗体またはその抗体断片)から構成される。例えば、ヘテロコンジュゲート中の抗体の一方がアビジンにカップリングし、他方がビオチンにカップリングし得る。そのような抗体は、例えば、免疫系細胞を望ましくない細胞へ標的化するために提案されており(米国特許第4,676,980号)、HIV感染症の治療に使用されている。国際公開WO91/00360、WO92/200373及びEP0308936。抗体は、架橋剤を必要とするものを含む、タンパク質合成化学の既知の方法を使用して、in vitroで調製され得ることが企図される。例えば、ジスルフィド交換反応を使用して、またはチオエーテル結合を形成することによって、免疫毒素を構築してもよい。この目的に好適な試薬の例には、イミノチオレート及びメチル-4-メルカプトブチルイミデート(mercaptobutyrimidate)、ならびに、例えば米国特許第4,676,980号のものが挙げられる。ヘテロコンジュゲート抗体は、任意の簡便な架橋方法を使用して作製することができる。好適な架橋剤は当該技術分野において周知であり、いくつかの架橋技術と併せて米国特許第4,676,980号に開示されている。
【0265】
(9)エフェクター機能操作
また、抗体のエフェクター機能を変更し、かつ/または血清中半減期を延長するために、本開示の抗ソルチリン抗体を修飾することが望ましい場合がある。例えば、定常領域上のFc受容体結合部位を修飾または変異させ、ある特定のFc受容体、例えば、FcγRI、FcγRII及び/またはFcγRIIIなどに対する結合親和性を除去または低減することができる。いくつかの実施形態において、エフェクター機能は、抗体のFc領域(例えば、IgGのCH2ドメイン中)のN-グリコシル化を除去することによって低下する。いくつかの実施形態において、エフェクター機能は、PCT WO99/58572及びArmour et al.,Molecular Immunology 40:585-593(2003)、Reddy et al.,J.Immunology 164:1925-1933(2000)に記載されるように、ヒトIgGの233~236、297及び/または327~331などの領域を修飾することによって低下する。
【0266】
抗体の血清中半減期を延長させるために、例えば、米国特許第5,739,277号に記載されるように、サルベージ受容体結合エピトープを抗体(特に抗体断片)中に組み込むことができる。本明細書で使用されるとき、「サルベージ受容体結合エピトープ」という用語は、IgG分子のin vivo血清中半減期を延長させる要因となるIgG分子(例えば、IgG1、IgG2、IgG3またはIgG4)のFc領域のエピトープを指す。
【0267】
(10)他のアミノ酸配列修飾
本開示の抗ソルチリン抗体またはその抗体断片のアミノ酸配列修飾もまた企図される。例えば、抗体または抗体断片の結合親和性及び/または他の生物学的特性を改善することが望ましいことがある。抗体または抗体断片のアミノ酸配列変異形は、適切なヌクレオチド変化を、抗体または抗体断片をコードする核酸に導入することによって、またはペプチド合成によって調製される。かかる修飾としては、例えば、抗体のアミノ酸配列内の残基からの欠失、及び/またはそれへの挿入、及び/またはその置換が挙げられる。最終構築物に到達するように、欠失、挿入及び置換の任意の組み合わせがなされるが、これは、最終構築物が所望の特徴(すなわち、本開示のソルチリンタンパク質に結合するまたは物理的に相互作用する能力)を有することを条件とする。アミノ酸変化は、抗体の翻訳後プロセスも変えることができ、例えば、グリコシル化部位の数または位置を変えることができる。
【0268】
変異導入に好ましい位置である、抗ソルチリン抗体のある特定の残基または領域を特定するための有用な方法は、「アラニンスキャニング変異導入法」と呼ばれ、Cunningham and Wells in Science,244:1081-1085(1989)に記載されている。この場合、標的残基のうちのある残基または群(例えば、arg、asp、his、lys及びgluなどの荷電残基)を同定し、これを中性または負に荷電したアミノ酸(最も好ましくはアラニンまたはポリアラニン)で置き換え、標的抗原とのアミノ酸の相互作用に影響を及ぼすようにする。次いで、置換に対する機能的感受性を示すアミノ酸位置について、その置換部位に、またはその置換部位について、更なるまたは他の変異形を導入することによって改良を重ねる。したがって、アミノ酸配列変異形を導入する部位は予め決定されているが、変異自体の性質を予め決定する必要はない。例えば、所与の部位での変異の性能を分析するためには、標的コドンまたは標的領域でアラニンスキャニングまたはランダム変異導入を行い、発現した抗体変異形を所望の活性についてスクリーニングする。
【0269】
アミノ酸配列挿入には、1残基から100以上の残基を含有するポリペプチドまでの長さに及ぶ、アミノ(「N」)末端及び/またはカルボキシ(「C」)末端融合、ならびに単一または多数のアミノ酸残基の配列内(intrasequence)挿入が含まれる。末端挿入の例には、N末端メチオニル残基を有する抗体または細胞毒性ポリペプチドに融合した抗体が挙げられる。抗体分子の他の挿入変異形には、抗体の血清中半減期を延長させる酵素またはポリペプチドの抗体のN末端またはC末端への融合が挙げられる。
【0270】
別の種類の変異形は、アミノ酸置換変異形である。これらの変異形は、抗体分子内に、異なる残基に置き換えられた少なくとも1つのアミノ酸残基を有する。置換変異導入に関して最も関心ある部位には、超可変領域が挙げられるが、FR改変も企図される。保存的置換について、以下の表Bに「好ましい置換」という見出しで示す。かかる置換が生物学的活性に変化をもたらすのであれば、表Bに「例示的な置換」と表示されるまたはアミノ酸クラスを参照して以下に更に記載される、より実質的な変化を導入し、産物をスクリーニングすることができる。
【0271】
抗体の生物学的特性の実質的な修飾は、(a)置換領域におけるポリペプチド骨格の構造、例えば、シートもしくは螺旋立体配座、(b)標的部位における分子の電荷もしくは疎水性、または(c)側鎖のバルクを維持することに対する作用が著しく異なる置換を選択することによって達成される。天然に存在する残基は、共通する側鎖特性に基づいて各群に分けられる。
(1)疎水性:ノルロイシン、met、ala、val、leu、ile、
(2)中性親水性:cys、ser、thr、
(3)酸性:asp、glu、
(4)塩基性:asn、gln、his、lys、arg、
(5)鎖配向に影響する残基:gly、pro、及び
(6)芳香族性:trp、tyr、phe。
【0272】
非保存的置換は、これらのクラスのうちの1つのメンバーを別のクラスと交換することを伴う。
【0273】
抗体の適切な立体配座の維持に関与しない任意のシステイン残基も一般にセリンで置換され、分子の酸化的安定性を改善し、異常な架橋を阻止することができる。逆に、システイン結合(複数可)を抗体に付加すると、その安定性を改善することができる(具体的には、抗体がFv断片などの抗体断片である場合)。
【0274】
特に好ましい種類の置換変異形は、親抗体(例えば、ヒト化またはヒト抗ソルチリン抗体)の1つ以上の超可変領域残基を置換することを伴う。一般に、更なる開発のために選択された結果として生じる変異形(複数可)は、それらが生成される親抗体に対して改善された生物学的特性を有する。かかる置換変異形を生成するための簡便な方法は、ファージディスプレイを使用した親和性成熟を伴う。簡潔に述べれば、いくつかの超可変領域部位(例えば、6~7つの部位)を変異させ、想定される全てのアミノ置換を各部位に生成する。そのように生成された抗体変異形は、各粒子内にパッケージングされたM13のIII遺伝子産物への融合物として糸状ファージ粒子から一価形態でディスプレイされる。次いで、ファージディスプレイされた変異形を、本明細書に開示の生物学的活性(例えば、結合親和性)についてスクリーニングする。修飾のための候補超可変領域部位を特定するために、アラニンスキャニング変異導入を行い、抗原結合に著しく寄与する超可変領域残基を特定することができる。代替的にまたは追加的に、抗原-抗体複合体の結晶構造を分析して、抗体と抗原(例えば、本開示のソルチリンタンパク質)との間の接触点を特定することが有益であり得る。かかる接触残基及び隣接残基は、本明細書に詳述される技法に従う置換の候補である。かかる変異形が生成されたら、本明細書に記載されるように変異形のパネルをスクリーニングに供し、更なる開発のために、1つ以上の関連アッセイにおいて優れた特性を有する抗体が選択され得る。
【0275】
抗体の別の種類のアミノ酸変異形は、抗体の元のグリコシル化パターンを改変する。改変とは、抗体に見られる1つ以上の炭水化物部分の欠失、及び/または抗体中に存在しない1つ以上のグリコシル化部位の付加を意味する。
【0276】
抗体のグリコシル化は、典型的には、N結合型またはO結合型のいずれかである。N結合とは、炭水化物部分のアスパラギン残基の側鎖への結合を指す。トリペプチド配列であるアスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-トレオニン(式中、Xは、プロリン以外の任意のアミノ酸である)は、炭水化物部分のアスパラギン側鎖への酵素結合の認識配列である。したがって、ポリペプチド内でのこれらのトリペプチド配列のいずれかの存在により、潜在的なグリコシル化部位がもたらされる。O結合型グリコシル化とは、糖類であるN-アセイルガラクトサミン(aceylgalactosamine)、ガラクトースまたはキシロースのうちの1つのヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリンまたはトレオニンへの結合を指すが、5-ヒドロキシプロリンまたは5-ヒドロキシリジンも使用され得る。
【0277】
グリコシル化部位の抗体への付加は、(N結合型グリコシル化部位のための)上述のトリペプチド配列のうちの1つ以上を含有するようにアミノ酸配列を改変することによって好都合に達成される。改変は、(O結合型グリコシル化部位のための)元の抗体の配列への1つ以上のセリンまたはトレオニン残基の付加、またはこれらの残基による置換によっても行われ得る。
【0278】
抗IgE抗体のアミノ酸配列変異形をコードする核酸分子は、当該技術分野において既知の種々の方法によって調製される。これらの方法には、天然源からの単離(天然アミノ酸配列の変異形の場合)、または先に調製された抗体(例えば、本開示の抗ソルチリン抗体)もしくは抗体断片の変異形もしくは非変異形のオリゴヌクレオチドによる(または部位特異的)変異導入、PCR変異導入及びカセット変異導入による作製が挙げられるが、これらに限定されない。
【0279】
(11)他の抗体修飾
本開示の抗ソルチリン抗体またはその抗体断片は、当該技術分野において既知であり、容易に入手可能な更なる非タンパク質性部分を含有するように更に修飾され得る。好ましくは、抗体の誘導体化に好適な部分は、水溶性ポリマーである。水溶性ポリマーの非限定的な例には、ポリエチレングリコール(PEG)、エチレングリコール/プロピレングリコールのコポリマー、カルボキシメチルセルロース、デキストラン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリ-1,3-ジオキソラン、ポリ-1,3,6-トリオキサン、エチレン/無水マレイン酸コポリマー、ポリアミノ酸(ホモポリマーまたはランダムコポリマーのいずれか)及びデキストランまたはポリ(n-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロール)、ポリビニルアルコール、ならびにそれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。ポリエチレングリコールプロピオンアルデヒドは、水中でのその安定性に起因して、製造における利点を有し得る。ポリマーは、任意の分子量のものであってもよく、分岐していても非分岐であってもよい。抗体に結合されるポリマーの数は様々であり得、1つを超えるポリマーが結合される場合、それらは同じ分子であっても異なる分子であってもよい。一般に、誘導体化に使用されるポリマーの数及び/または種類は、限定するものではないが、改善対象の抗体の特定の特性または機能、抗体誘導体が規定の条件下での療法において使用されるかどうかなどの考慮に基づいて、決定することができる。こうした技法及び他の好適な処方は、Remington:The Science and Practice of Pharmacy,20th Ed.,Alfonso Gennaro,Ed.,Philadelphia College of Pharmacy and Science(2000)に開示されている。
【0280】
結合アッセイ及び他のアッセイ
本開示の抗ソルチリン抗体は、抗原結合活性に関して、例えば、ELISA、表面プラズモン共鳴(SPR)、ウェスタンブロットなどの既知の方法によって試験することができる。
【0281】
いくつかの実施形態において、競合アッセイを使用して、表1~3及び11~15に列挙される抗体、またはS-1、S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-3、S-4、S-5、S-6、S-7、S-8、S-9、S-10、S-11、S-12、S-13、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-16、S-17、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-23、S-24、S-25、S-26、S-27、S-28、S-29、S-30、S-31、S-32、S-33、S-34、S-35、S-36、S-37、S-38、S-39、S-40、S-41、S-42、S-43、S-44、S-45、S-46、S-47、S-48、S-49、S-50、S-51、S-52、S-53、S-54、S-55、S-56、S-57、S-58、S-59、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-61、S-62、S-63、S-64、S-65、S-66、S-67、S-68、S-69、S-70、S-71、S-72、S-73、S-74、S-75、S-76、S-77、S-78、S-79、S-80、S-81、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7、S-82-8、S-83、S-84及びS-85から選択される抗体のうちのいずれかと競合する抗体を特定することができる。ある特定の実施形態において、このような競合抗体は、表1~3及び11~15に列挙される抗体、またはS-1、S-2、S-2-1、S-2-2、S-2-3、S-2-4、S-2-5、S-2-6、S-2-7、S-2-8、S-2-9、S-2-10、S-2-11、S-2-12、S-2-13、S-2-14、S-2-15、S-3、S-4、S-5、S-6、S-7、S-8、S-9、S-10、S-11、S-12、S-13、S-14、S-15、S-15-1、S-15-2、S-15-3、S-15-4、S-15-5、S-15-6、S-15-6-1、S-15-6-2、S-15-6-3、S-15-6-4、S-15-6-5、S-15-6-6、S-15-6-7、S-15-6-8、S-15-6-9、S-15-6-10、S-15-6-11、S-15-6-12、S-15-6-13、S-15-7、S-15-8、S-15-9、S-15-10、S-15-10-1、S-15-10-2、S-15-10-3、S-15-10-4、S-15-10-5、S-15-10-6、S-15-10-7、S-15-10-8、S-15-10-9、S-15-10-10、S-15-10-11、S-15-10-12、S-15-10-13、S-15-10-14、S-15-10-15、S-15-10-16、S-15-10-17、S-15-10-18、S-15-10-19、S-15-10-20、S-15-10-21、S-15-11、S-15-12、S-15-13、S-15-14、S-15-15、S-15-16、S-16、S-17、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-22-1、S-22-2、S-22-3、S-22-4、S-22-5、S-22-6、S-22-7、S-22-8、S-22-9、S-23、S-24、S-25、S-26、S-27、S-28、S-29、S-30、S-31、S-32、S-33、S-34、S-35、S-36、S-37、S-38、S-39、S-40、S-41、S-42、S-43、S-44、S-45、S-46、S-47、S-48、S-49、S-50、S-51、S-52、S-53、S-54、S-55、S-56、S-57、S-58、S-59、S-60、S-60-1、S-60-2、S-60-3、S-60-4、S-60-5、S-60-6、S-60-7、S-60-8、S-60-9、S-61、S-62、S-63、S-64、S-65、S-66、S-67、S-68、S-69、S-70、S-71、S-72、S-73、S-74、S-75、S-76、S-77、S-78、S-79、S-80、S-81、S-82、S-82-1、S-82-2、S-82-3、S-82-4、S-82-5、S-82-6、S-82-7、S-82-8、S-83、S-84及びS-85から選択される抗体のうちのいずれかが結合するエピトープ(例えば、線状または高次構造エピトープ)と同じエピトープに結合する。抗体が結合するエピトープをマッピングするための具体的な例示的方法は、Morris(1996)“Epitope Mapping Protocols,”in Methods in Molecular Biology vol.66(Humana Press,Totowa,NJ)に提供されている。
【0282】
例示的な競合アッセイにおいて、固定化されたソルチリンまたは細胞表面上の細胞発現ソルチリンは、ソルチリン(例えば、ヒトまたは非ヒト霊長類)に結合する標識一次抗体とともに、ソルチリンへの結合に関して一次抗体と競合する能力が試験される非標識二次抗体とを含む溶液中でインキュベートされる。二次抗体は、ハイブリドーマ上清中に存在してもよい。対照として、固定化されたソルチリンまたは細胞発現ソルチリンが、標識一次抗体を含むが非標識二次抗体を含まない溶液中でインキュベートされる。一次抗体のソルチリンへの結合を許容する条件下でのインキュベート後、過剰の非結合抗体が除去され、固定化されたソルチリンまたは細胞発現ソルチリンに結合した標識の量が測定される。固定化されたソルチリンまたは細胞発現ソルチリンに結合した標識の量が対照試料と比較して試験試料で実質的に低減した場合、それは、二次抗体がソルチリンへの結合に関して一次抗体と競合することを示す。Harlow and Lane(1988)Antibodies:A Laboratory Manual ch.14(Cold Spring Harbor Laboratory,Cold Spring Harbor,NY)を参照されたい。
【0283】
リガンド結合アッセイ
本明細書において更に提供されるのは、ヒトソルチリンのLys260、Phe314、Ser316、Ile329、Arg325、Arg326、Tyr351、Ser352及び/またはIle353に結合し、かつソルチリンとソルチリンリガンド(例えば、プログラニュリン、プロニューロトロフィン、pro-NGF、pro-BDNF、pro-NT3、p75、APP、LpL、APOA5、APOE)との間の相互作用を遮断する抗ソルチリン抗体に関するスクリーニング法である。いくつかの実施形態において、ペプチドライブラリは、ソルチリンタンパク質を、1つのアミノ酸残基で分離された連続する15mer及び25merのペプチドに切断した後、フィルター上にスポットして、合成することができる。次いで、ソルチリンリガンドの結合を、抗ソルチリン抗体の存在下または非存在下において、受容体ペプチドと相互作用する能力、または例えば、Lys260、Phe314、Ser316、Ile329、Arg325、Arg326、Tyr351、Ser352及び/もしくはIle353に変異のあるヒトソルチリンライブラリのペプチドと相互作用する能力について、SPOT結合分析によって、試験することができる(例えば、Frank,R and Overwin,H(1996)Methods.Mol.Biol.66,149-169、Reineke,U et al.,(2002)J.Immunol.Methods 267,13-26、及びAndersen,OS et al.,(2010)J,BIOLOGICAL CHEMISTRY 285,12210-12222)。いくつかの実施形態において、VPS10pドメイン受容体遺伝子ファミリーメンバーのメンバーについてのペプチドライブラリ、または同定されたリガンド結合ペプチドの置換または長さ分析の点で特異的なペプチドバリエーションをセルロース膜上に構築することができる。いくつかの実施形態において、ソルチリン遺伝子ファミリーの提示には、16merペプチド間に13のアミノ酸重複を有する、ソルチリン(アクセッション番号CAA66904)の273のペプチドを含む、合計2181のペプチドが使用され得る(Frank,R(1992)Tetrahedron 48,9217-9232)。いくつかの実施形態において、セルロース支持体をN修飾セルロース-アミノヒドロキシルプロピルエーテル膜として調製することができ、全ての合成ラウンドは、ペプチドと膜との間にアラニンリンカーを生成する9-フルオレニルメトキシカルボニルアラニン-ペンタフルオロフェニルエステル(9-fluorenylmethoxycar-bonyalanine-pentafluoophenyl ester)によるスポット画定(spot definition)から開始する。例えば、N末端が9-フルオレニル-メトキシカルボニルで保護された異なるアミノ酸の段階的付加及び成長ペプチド鎖に対する適切な側鎖保護からなる自動線状合成。いくつかの実施形態において、脱保護、活性化及びカップリングの繰り返しは、16merのペプチドが生成されるまで続けられ、これにより、遊離N末端を有し、C末端がセルロース支持体に共有結合的に固定化されたペプチドが均等に分布したアレイが得られる(Scharn,D et al.,(2000)J.Comb.Chem.2,361-369)。いくつかの実施形態において、側鎖保護基の除去は、2段階で行うことができる。まず、膜を90%トリフルオロ酢酸(ジクロロメタン(dichlormethane)中、3%トリイソブチルシラン及び2%H2O含有)で処理し、第2に、例えば、60%トリフルオロ酢酸(ジクロロメタン(dichlormethane)中、3%トリイソブチルシラン及び2%H2O含有)で処理することができる。トリフルオロ酢酸塩を除去するために、H2O、エタノール、Tris緩衝生理食塩水及びエタノールで膜を数回洗浄し、次いで、乾燥することができる。最後に、Tris緩衝生理食塩水(pH8.0)で希釈し、5%サッカロースを加えたブロッキングバッファーで膜を2時間ブロックすると、リガンド結合アッセイのための規定したペプチドライブラリができる。いくつかの実施形態において、セルロース結合ペプチドの結合研究のために、膜結合ライブラリを、抗ソルチリン抗体の存在下または非存在下で、S-ペプチドタグ及びポリヒスチジンタグを組み合わせて付加したリガンドとともに、例えば、ブロッキングバッファー中4℃で一晩インキュベートし、続いて、HRP結合S-タンパク質1mg/mlとの2回目のインキュベートを、同様にブロッキングバッファー中であるが室温で3時間、行うことができる。その後、例えば、Tris緩衝生理食塩水で10分間3回、膜を洗浄することができ、その後、結合したリガンドの定量的特徴付けを、UptiLight化学発光基質、及びスポットシグナル強度をBoehringer光単位で与えるLumiImager機器を使用して実施することができる。あるいは、結合したリガンドの検出は、ヒスチジンタグに対する抗体及びHRP結合抗マウス二次抗体による免疫化学的アッセイによって実施することができる。インキュベーションは、標準的なウェスタンブロッティング手順及びスポット検出を利用して実施することができる。
【0284】
本明細書において更に提供されるのは、ソルチリンとソルチリンリガンド(例えば、プログラニュリン、プロニューロトロフィン、pro-NGF、pro-BDNF、pro-NT3、p75、APP、LpL、APOA5、APOE)との相互作用(例えば、結合)を遮断する抗ソルチリン抗体に関するスクリーニング法である。
【0285】
いくつかの実施形態において、検出のためのソルチリンリガンドのタグ付加形態は、各タンパク質について、N末端S-ペプチドタグ及びポリヒスチジンタグの付加を可能にする構築物を調製することができる。ヒトNGF及びBDNFのための鋳型cDNAは、プライマー対5’-GGTATTGAGGGTCGCGAACCACACTCAGAGAGCAATGTCCC-3’(配列番号695)と3’-GGGGGAAGTTGTCCTGAGTGTCCTCGTTCGCCACTCCGAGATTGAGAGGAGA-5’(配列番号696)、及びプライマー対5’-GGTATTGAGGGTCGCGCCCCCATGAAAGAAGCAAACATCCGAGG-3’(配列番号697)と3’-CACGTTTGTACAGGTACTCCCAGGCCGCGACTCCGAGATTGAGAGGAGA-5’(配列番号698)を使用して、NGFの残基Glu1~Arg102及びBDNFのAla1~Arg110に及ぶ断片を生成するために使用されるATCCクローンを含む。cDNAは、pET-30 Xa/LICベクターへのライゲーション非依存性クローニングに適合性のある突出を含み、製造業者によって提供されるプロトコルに従ってPhusion DNAポリメラーゼを使用する増幅を含み得る。タンパク質は、Escherichia coliのBL21/DE3株中で発現させ、これを細菌封入体からBugbuster試薬を使用しベンゾナーゼを加えることにより効率的に抽出し、標準的なニッケル-ニトリロ三酢酸親和性クロマトグラフィー(例えば、500mM NaCl、5mMイミダゾール及び20mM Tris-HCl、pH8.0中)によって精製することができる。タンパク質溶出は、20mM EDTAを添加した緩衝液中で行われる。HisS-NGFpro及びHisS-BDNFproのインタクトなタグ付き形態の検証は、SDS-PAGE分析を行い、続いて、クマシー染色またはSigmaのヒスチジンタグに対する抗体(H-1029)及び二次HRP結合抗マウス抗体のいずれかを使用するウェスタンブロット分析、または代替的にNovagenのHRP結合S-タンパク質(カタログ番号69047-3)の直接結合により行うことができる(例えば、Andersen,OS et al.,P(2010)THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY,285,12210-12222)。同様の方法を使用してGSTタグ付きソルチリンリガンドを生成することができる(例えば、Quistgaard,EM et al.,(2009)Nat.Struct.Mol.Biol.16,96-98)。
【0286】
いくつかの実施形態において、ソルチリンとソルチリンリガンド(例えば、プログラニュリン、プロニューロトロフィン、pro-NGF、pro-BDNF、pro-NT3、p75、APP、LpL、APOA5、APOE)との間の相互作用は、表面プラズモン共鳴分析を使用して特徴付けることができる(例えば、Skeldal,S et al.,(2012)J Biol Chem.,287:43798、及びAndersen,OS et al.,(2010)THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY,285,12210-12222)。遮断抗ソルチリン抗体の存在下または非存在下におけるソルチリンリガンドの固定化ソルチリンへの直接的な結合の測定は、例えば、Biacore2000機器(Biacore(Sweden))で、CaHBSを標準ランニングバッファー(10mM HEPES、pH7.4、140mM NaCl、2mM CaCl2、1mM EGTA及び0.005%Tween 20)として使用して、実施することができる。いくつかの実施形態において、Biacore(CM5)のバイオセンサーチップをNHS/EDC法を使用して活性化した後、ソルチリンを79fmol/mm2のタンパク質密度までコーティングし、NGF、BDNF及びNT3の組換えプロドメインの親和性測定のために使用することができる。プロソルチリンでのバイオセンサー表面の調製も同じ手順に従う。リガンド結合実験の各サイクル後のフローセルの再生は、再生バッファー(10mMグリシン-HCl、pH4.0、500mM NaCl、20mM EDTA及び0.005%Tween 20)10μlのパルス2回及び0.001%SDSの単回注入により行うことができる。親和性推定のためのセンサーグラムのフィッティングは、例えば、BIAevaluationバージョン3.1を使用することによって、行うことができる。同様のプロトコルに従って、HisS-NGFproまたはHisS-BDNFproの固定化を、NHS/EDCカップリングキットを使用して、CM5バイオセンサーチップ上で行い、同様の表面密度の固定化タンパク質(約300fmol/mm2)を得てもよい。NGFproまたはBDNFproが固定化されたバイオセンサーチップは、競合ソルチリン抗体の非存在下または存在下におけるソルチリンの結合を試験するためにも使用することができる。pro-NGF及びpro-BDNFの未処理型、ならびに別のソルチリンリガンド(例えば、受容体関連タンパク質(RAP)、ニューロテンシン、プログラニュリン、p75、LpL、APOA5、APOEまたはAPP)もまた、固定化されたソルチリンに適用することができ、競合抗体の非存在下または存在下における結合を測定することができる。
【0287】
いくつかの実施形態において、ソルチリンとソルチリンリガンド(例えば、プログラニュリン、プロニューロトロフィン、pro-NGF、pro-BDNF、pro-NT3、p75、APP、LpL、APOA5、APOE)との間の相互作用は、プルダウンアッセイを使用して特徴付けることができる(例えば、Andersen,OS et al.,(2010)THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY,285,12210-12222)。例えば、発現されたソルチリンの細胞外ドメインを、ソルチリン遮断抗体の非存在下または存在下でタグ付きソルチリンリガンドとともにインキュベートし、100μlのグルタチオン(GSH)-セファロースビーズ(Amersham Biosciences、カタログ番号17-0756-01)を使用して沈降させる。受容体ドメインの適用量は、Talonビーズを対照として使用した沈降によって決定することができる。結合したタンパク質をSDS-PAGE分析によって分離し、抗ヒスチジン抗体を使用して、標準的なウェスタンブロッティング分析によって可視化することができる。
【0288】
いくつかの実施形態において、ソルチリンとソルチリンリガンド(例えば、プログラニュリン、プロニューロトロフィン、pro-NGF、pro-BDNF、pro-NT3、p75、APP、LpL、APOA5、APOE)との間の相互作用は、セルロース結合タンパク質を使用して特徴付けることができる(例えば、Andersen,OS et al.,(2010)THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY,285,12210-12222)。例えば、膜結合タンパク質を、S-ペプチドタグ及びポリヒスチジンタグ付きpro-NGF、pro-BDNF、プログラニュリンまたは別のソルチリンリガンド、例えば、プログラニュリン、プロニューロトロフィン、pro-NT3、p75、APP、LpL、APOA5もしくはAPOEとともに、ブロッキングバッファー中4℃で一晩インキュベートし、続いて、HRP結合S-タンパク質1μg/mlとの2回目のインキュベートを、同様にブロッキングバッファー中であるが室温で3時間、行うことができる。その後、Tris緩衝生理食塩水で10分間3回、膜を洗浄することができ、その後、結合したリガンドの定量的特徴付けを、UptiLight化学発光基質、及びスポットシグナル強度をBoehringer光単位で与えるLumiImager機器を使用して実施する。あるいは、結合したリガンドの検出は、ヒスチジンタグに対する抗体及びHRP結合抗マウス二次抗体による免疫化学的アッセイによって実施することができる。インキュベーションの後、標準的なウェスタンブロッティング分析及びスポット検出を続けることができる。
【0289】
いくつかの実施形態において、ソルチリンとソルチリンリガンド(例えば、プログラニュリン、プロニューロトロフィン、pro-NGF、pro-BDNF、pro-NT3、p75、APP、LpL、APOA5、APOE)との間の相互作用は、近接ライゲーションアッセイを使用して特徴付けることができる(例えば、Gustafsen,C et al.,(2013)The Journal of Neuroscience,33:64-71)。例えば、ソルチリン及びその結合パートナーを発現している細胞または曝露した細胞に関する近接ライゲーションアッセイ(PLA)(DuolinkII)は、一次抗体の抗ソルチリン/F11、抗SorLA/20C11及び結合パートナーに対する抗体(例えば、抗APP/AF1168抗体など)を使用し、続いて添加される環形成オリゴヌクレオチドにハイブリダイズし、40nmの近接内に抗原が位置するときにローリングサークル増幅を与えるオリゴヌクレオチドにコンジュゲートされた二次抗体とのインキュベーションを行うことで実施することができる。この増幅されたDNAは、相補的な蛍光標識オリゴヌクレオチドの付加によって可視化することができる。
【0290】
いくつかの実施形態において、ソルチリンとソルチリンリガンド(例えば、プログラニュリン、プロニューロトロフィン、pro-NGF、pro-BDNF、pro-NT3、p75、APP、LpL、APOA5、APOE)との間の相互作用は、細胞結合アッセイにおいてアルカリホスファターゼタグ付きリガンドを使用して特徴付けることができる(例えば、Hu,F et al.,(2005)J.Neurosci.25,5298-5304、Fournier,AE et al.,(2001)Nature 409,341-346、Lauren,J et al.,(2009)Nature 457,1128-1132、及びHu,F et al.,(2010)Neuron 68,654-667)。例えば、アルカリホスファターゼ(AP)タグ付きリガンドを作製し、トランスフェクト細胞または一次ニューロン上のソルチリンへの結合を評価することができる。APタグ付きリガンドのソルチリン発現細胞への結合を検出するためには、培養物を、例えば、20mMのHEPESナトリウム(pH7.05)及び1mg ml-1のウシ血清アルブミン(BSA)を含有するハンクス平衡塩溶液(HBH)で洗浄することができる。次いで、プレートをAPタグ付きリガンドとともに、ソルチリン遮断抗体の存在下または非存在下で、例えば、HBH中23℃で2時間インキュベートすることができる。AP結合リガンドは、当該技術分野において既知の方法に従って検出及び定量できる。
【0291】
セルベースアッセイ
本明細書において更に提供されるのは、抗ソルチリン抗体などのソルチリン結合アンタゴニストに関するスクリーニング法であり、この方法は、作用物質(例えば、抗ソルチリン抗体)を、細胞表面にソルチリンタンパク質を発現する細胞に接触させることを含む。いくつかの実施形態において、作用物質及び細胞を、本開示のソルチリンリガンドと更に接触させる。いくつかの実施形態において、細胞自体が本開示のソルチリンリガンドを発現する。セルベース法は、細胞の状況下でソルチリンとソルチリンリガンドとの間の相互作用に対する影響を評価することによって、ソルチリン結合アンタゴニスト(例えば、抗ソルチリン抗体)をスクリーニング及び検証するのに特に適している。
【0292】
したがって、本開示のある特定の態様は、細胞表面に本開示のソルチリンタンパク質を発現する細胞に関する。いくつかの実施形態において、細胞は、本開示のソルチリンタンパク質を内因的に発現する。いくつかの実施形態において、細胞は、本開示のソルチリンタンパク質を発現するように組換え操作される。これらの実施形態のいずれにおいても、ポリヌクレオチドによってコードされた本開示のソルチリンタンパク質(内在性であれ組換えであれ)は、好ましくは、少なくとも翻訳後プロセシング、膜移行及び細胞表面への標的化に必要なタンパク質ドメイン、例えば、限定するものではないが、シグナルペプチド及び膜貫通ドメインを含む。いくつかの実施形態において、シグナルペプチド及び/または膜貫通ドメインは、内在性ソルチリンシグナルペプチド及び/または膜貫通ドメインを指し得る。他の実施形態において、シグナルペプチド及び/または膜貫通ドメインは、所望の宿主細胞における細胞表面発現を促進することが知られている外在性シグナルペプチド及び/または膜貫通ドメインを指し得る。好ましい実施形態において、ソルチリンタンパク質はまた、本開示のソルチリンリガンドと結合するのに十分なドメインを含有する。
【0293】
本開示で記載される及び言及されるものなどの当該技術分野において周知の標準的な分子生物学的技法を使用して、本開示のソルチリンタンパク質を発現するように細胞(例えば、本開示の宿主細胞)を組換え操作することができる。いくつかの実施形態において、方法は、本開示のソルチリンタンパク質をコードするポリヌクレオチドを含有する本開示の宿主細胞を、抗体の発現に好適な条件下で培養することを含む。
【0294】
本開示のソルチリンタンパク質を組換え産生するためには、ソルチリンタンパク質をコードする核酸を単離し、宿主細胞における更なるクローニング及び/または発現のために1つ以上のベクター中に挿入する。かかる核酸は、従来の手順を使用して(例えば、ソルチリンタンパク質をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)、容易に単離され、配列決定することができる。
【0295】
本開示のソルチリンタンパク質または本明細書に記載のその細胞表面発現断片のうちのいずれかをコードする核酸配列を含有する好適なベクターには、限定するものではないが、クローニングベクター及び発現ベクターが含まれる。好適なクローニングベクターは、標準的技法に従って構築することができ、あるいは当該技術分野において入手可能な多数のクローニングベクターから選択してもよい。選択されるクローニングベクターは、使用しようとする宿主細胞に応じて変わり得るが、有用なクローニングベクターは、一般に、自己複製能を有し、特定の制限エンドヌクレアーゼの標的を1つ有し得、かつ/またはベクターを含有するクローンの選択に用いることができるマーカーのための遺伝子を保持し得る。好適な例には、プラスミド及び細菌ウイルス、例えば、pUC18、pUC19、Bluescript(例えば、pBS SK+)及びその誘導体、mp18、mp19、pBR322、pMB9、ColE1、pCR1、RP4、ファージDNA、ならびにpSA3及びpAT28などのシャトルベクターが挙げられる。これらのクローニングベクター及び多くの他のクローニングベクターが、BioRad、Strategene及びInvitrogenなどの商業的供給業者から入手可能である。
【0296】
発現ベクターは、一般に、本開示の核酸を含有する複製可能なポリヌクレオチド構築物である。発現ベクターは、エピソームまたは染色体DNAの不可欠な部分のいずれかとして、宿主細胞内で複製可能であり得る。好適な発現ベクターには、プラスミド、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルスを含むウイルスベクター、コスミド及びPCT国際公開第WO87/04462号に記載の発現ベクター(複数可)が挙げられるが、これらに限定されない。ベクター構成要素は、一般に、シグナル配列、複製起点、1つ以上のマーカー遺伝子、好適な転写調節エレメント(プロモーター、エンハンサー及びターミネーターなど)のうちの1つ以上を含み得るが、これらに限定されない。発現(すなわち、翻訳)には、リボソーム結合部位、翻訳開始部位及び終止コドンなどの1つ以上の翻訳調節エレメントも通常必要である。
【0297】
目的の核酸を含有するベクターは、エレクトロポレーション、塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAEデキストランまたは他の物質を用いるトランスフェクション、微粒子銃、リポフェクション及び感染(例えば、この場合のベクターはワクシニアウイルスなどの感染因子である)を含む、多数の適切な手段のいずれかによって、宿主細胞に導入することができる。導入ベクターまたはポリヌクレオチドの選択は、多くの場合、宿主細胞の特徴に依存する。いくつかの実施形態において、ベクターは、本開示のソルチリンタンパク質をコードする1つ以上のアミノ酸配列を含有する核酸を含有する。
【0298】
抗体コーディングベクターのクローニングまたは発現に好適な宿主細胞には、真核細胞が含まれる。好ましい実施形態において、本開示の宿主細胞は、哺乳動物細胞であり、限定するものではないが、SV40により形質転換されたサル腎臓CV1株(COS-7)、ヒト胚性腎臓株(293細胞または例えばGraham et al.,J.Gen Virol.36:59(1977)に記載されているような293細胞)、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK)、マウスセルトリ細胞(例えば、Mather,Biol.Reprod.23:243-251(1980)に記載のTM4細胞)、サル腎臓細胞(CV1)、アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76)、ヒト子宮頸がん細胞(HELA)、イヌ科腎臓細胞(MDCK、バッファローラット肝細胞(BRL 3A)、ヒト肺細胞(W138)、ヒト肝細胞(Hep G2)、マウス乳腺腫瘍(MMT 060562)、例えば、Mather et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44-68(1982)に記載のTRI 細胞、MRC 5細胞、及びFS4細胞が含まれる。他の有用な哺乳動物細胞株には、DHFR-CHO細胞(Urlaub et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980))を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ならびにY0、NS0及びSp2/0などの骨髄腫細胞株が挙げられる。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、ヒト細胞である。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、HEK293T細胞である。
【0299】
哺乳動物細胞に加えて、糸状菌または酵母などの真核微生物もまた、タンパク質コーディングベクターに好適なクローニング宿主または発現宿主であり、これらには、グリコシル化経路が「ヒト化」されており、部分的または完全なヒトグリコシル化パターンを有するタンパク質の産生をもたらす、真菌株及び酵母株が含まれる(例えば、Gerngross,Nat.Biotech.22:1409-1414(2004)、及びLi et al.,Nat.Biotech.24:210-215(2006))。グリコシル化タンパク質の発現に好適な宿主細胞は、多細胞生物(無脊椎動物及び脊椎動物)から得ることもできる。無脊椎動物細胞の例には、植物細胞及び昆虫細胞(例えば、Sf9またはS2細胞)が挙げられる。昆虫細胞、特に、Spodoptera frugiperda細胞のトランスフェクションとともに使用することができる、多数のバキュロウイルス株が同定されている。
【0300】
いくつかの実施形態において、本開示の方法は、細胞表面上にソルチリンタンパク質を発現する細胞と、作用物質(例えば、抗ソルチリン抗体)及びソルチリンリガンドとを、ソルチリンタンパク質がソルチリンリガンドに結合できる条件下で接触させることを含む。本明細書で使用されるとき、ソルチリンタンパク質がソルチリンリガンドに結合できる条件とは、ソルチリンタンパク質及びソルチリンリガンドが存在する環境のパラメータまたは状況(例えば、温度、pH、溶液など)を指し得、条件は、ソルチリンタンパク質及びソルチリンリガンドが存在する環境(例えば、多数の個々の条件を合わせたもの)を指し得る。これらの条件は、上述のように、ソルチリン-ソルチリンリガンド相互作用が生じることを可能にする。好ましい実施形態において、これらの方法は、アッセイの時間枠にわたった細胞生存率の維持も許容する。
【0301】
いくつかの実施形態において、ソルチリンリガンドは、フルオロフォアに結合される。当該技術分野において周知の任意のフルオロフォアを使用することができる。いくつかの実施形態において、フルオロフォアは、蛍光タンパク質または蛍光ペプチドであり得、これらには、限定するものではないが、GFP、RFP、YFP、CFP、これらの誘導体などが含まれる。いくつかの実施形態において、フルオロフォアは、非タンパク質有機フルオロフォアであり得、これらには、限定するものではないが、キサンテン誘導体(例えば、ローダミン、フルオレセイン、テキサスレッドなど)、スクアライン誘導体、ナフタレン誘導体、シアニン誘導体(例えば、シアニン、インドカルボシアニン、オキサカルボシアニンなど)、クマリン誘導体、ピレン誘導体、アントラセン誘導体、オキサジアゾール誘導体、アクリジン誘導体、テトラピロール誘導体、アリールメチン誘導体またはオキサジン誘導体が含まれる。いくつかの実施形態において、フルオロフォアは、量子ドットであり得る。好適なフルオロフォア及びそれらの特性(例えば、吸光及び発光スペクトル、モル減衰係数、光退色特性、蛍光強度、光安定性など)の一覧は、一般に、製造者、例えば、The Molecular Probes(R)Handbook,11th ed.(Life Technologies,Carlsbad,CA)から得られる。いくつかの実施形態において、ソルチリンリガンドは、発光または生物発光部分などの非蛍光検出部分(例えば、Renillaルシフェラーゼまたはその誘導体などのルシフェラーゼ)に結合され、生物発光基質(例えば、セレンテラジンまたはセレンテラジン誘導体などのルシフェリン、限定するものではないが、DeepBlueC(商標)を含む)を更に含む。
【0302】
いくつかの実施形態において、ソルチリンリガンドに結合されたフルオロフォアは、ソルチリンリガンドがソルチリンタンパク質に結合した場合、その細胞と関係付けられる。ソルチリンリガンドに結合されたフルオロフォアは、細胞表面上で検出することができ、かつ/または細胞の内部(例えば、細胞内区画、エンドソーム区画またはリソソーム区画内)で検出することができる場合、細胞と関連付けられ得る。このように、細胞と関係付けられた蛍光(例えば、細胞表面上または細胞内部の蛍光)発光の検出は、ソルチリンを発現する細胞の状況において、ソルチリンとソルチリンリガンドとの間の相互作用の検出を可能にする。好ましくは、フルオロフォア自体及びソルチリンリガンドへのフルオロフォア結合は、ソルチリンリガンドと、細胞によって発現されるソルチリンタンパク質との間の結合を中断しない。
【0303】
いくつかの実施形態において、細胞と関係付けられたフルオロフォアは、このフルオロフォアを蛍光発光させるのに十分な波長の光で処理される。いくつかの実施形態において、その後、細胞と関係付けられたフルオロフォアによって放出される蛍光が検出される。いくつかの実施形態において、フルオロフォアを蛍光発光させるのに十分な波長は、フルオロフォアの吸光スペクトル内である。いくつかの実施形態において、細胞が処理される波長は、最大吸光波長または最大励起波長である。いくつかの実施形態において、検出される波長は、フルオロフォアの発光スペクトル内である。いくつかの実施形態において、検出される波長は、最大励起波長である。非限定的な例として、本開示のプログラニュリンタンパク質に結合されるDyLight-650は、652nmで励起し得、放出される蛍光は672nmで検出され得る。本開示のフルオロフォアを蛍光発光させるのに十分な光の波長、及びフルオロフォアによって放出される光の波長に関する情報は、当該技術分野において広く入手可能であり、典型的には製造者(例えば、Life Technologies、Pierce Biotechnology、Thermo Scientific、abcamなど)によって提供される。
【0304】
適切な波長(例えば、上記の波長)で放出された蛍光を検出するための任意の好適な方法を使用することができる。蛍光検出技法は、プレートリーダー(例えば、BMG LABTECH(Ortenberg,Germany)のPHERAstarプレートリーダー)、蛍光顕微鏡、フローサイトメーターまたは蛍光検出の技術分野において既知の任意の他の装置を使用することができる。
【0305】
いくつかの実施形態において、フルオロフォアは、ソルチリンリガンドに直接連結される。いくつかの実施形態において、ソルチリンリガンドはビオチンに連結され、フルオロフォアはストレプトアビジンに連結され、これをビオチンに結合することによってソルチリンリガンドに結合させる。当該技術分野において既知の蛍光ドナー/アクセプター結合法と同様に、フルオロフォアは、直接結合によってソルチリンリガンドに結合され得、または媒介物を介して間接的に結合され得る(例えば、抗体結合、ビオチン:ストレプトアビジン結合、アフィニティータグなど)。例えば、限定するものではないが、フルオロフォアが蛍光タンパク質である場合、ソルチリンリガンドは、ソルチリンリガンドのコード配列とインフレームに(例えば、ペプチドリンカーにより)結合された蛍光タンパク質のコード配列とともに翻訳され得、これにより融合タンパク質が生成される。例えば、限定するものではないが、フルオロフォアが非タンパク質有機フルオロフォアである場合、フルオロフォアは、ソルチリンリガンドに化学的に(例えば、共有結合を介して)結合され得る。フルオロフォアを目的のタンパク質(例えば、本開示のソルチリンリガンド)に結合させるための標識キットが市販されており、典型的にはタンパク質の第一級アミンとアミン反応性フルオロフォアまたは架橋剤との間の化学反応を利用する。蛍光ドナー/アクセプター対の要素は、N末端、C末端またはソルチリンリガンドのアミノ酸配列に沿った任意の好適な位置に結合され得る。典型的に、蛍光タンパク質は、ソルチリンリガンドのN末端またはC末端に結合され得る。
【0306】
いくつかの実施形態において、細胞表面にソルチリンタンパク質を発現する細胞は、作用物質(例えば、抗ソルチリン抗体)及びソルチリンリガンドに、ソルチリンタンパク質がソルチリンリガンドに結合できる条件下で接触させられ、当該ソルチリンリガンドはフルオロフォアに結合しており、当該フルオロフォアはソルチリンリガンドがソルチリンタンパク質に結合した場合、細胞と関係付けられる。細胞と関係付けられたフルオロフォアは、フルオロフォアを蛍光発光させるのに十分な波長の光で処理され、細胞と関係付けられたフルオロフォアによって放出された蛍光は、当該作用物質の非存在下で細胞と関係付けられたフルオロフォアによって放出された蛍光と比較して、減少することが検出される。放出された蛍光の減少は、その作用物質がソルチリン結合アンタゴニストであることを示す。理論に束縛されるものではないが、細胞表面上に発現された本開示のソルチリンタンパク質と、本開示のフルオロフォアで標識された本開示のソルチリンリガンドとの間の相互作用は、細胞と関係付けられた検出可能な蛍光(例えば、細胞の表面上及び/または細胞の内側(ソルチリンリガンドが細胞によって内在化されている場合))をもたらすと考えられる。ソルチリン結合アンタゴニストは、この相互作用を小さくすることによって、細胞と関係付けられたフルオロフォアによって放出される蛍光シグナルを減少させると考えられる。
【0307】
いくつかの実施形態において、蛍光発光なしで行うセルベースアッセイが使用される。例えば、いくつかの実施形態において、細胞表面にソルチリンタンパク質を発現する細胞は、作用物質(例えば、抗ソルチリン抗体)及びソルチリンリガンドに、ソルチリンタンパク質がソルチリンリガンドに結合できる条件下で接触させられ、ソルチリンリガンドのレベルが、作用物質の非存在下におけるソルチリンリガンドのレベルの減少と比較して、減少しないことが検出される。ソルチリンリガンドのレベルが減少しないことは、その作用物質がソルチリン結合アンタゴニストであることを示す。理論に束縛されるものではないが、ソルチリン発現細胞を本開示のソルチリンリガンドに接触させると、ソルチリンへの結合、エンドサイトーシス及びリソソーム分解を介した細胞外ソルチリンリガンドの減少がもたらされると考えられる。ソルチリン発現細胞をある特定の量のソルチリンリガンドとともにインキュベートすると、ソルチリンリガンドの経時的な減少がもたらされるが、本開示のソルチリン結合アンタゴニスト(例えば、抗ソルチリン抗体)はこの減少を小さくできる(例えば、減少させない)と考えられる。したがって、対照処理と比較すると、本開示のソルチリン結合アンタゴニストによる処理は、ソルチリンリガンドの減少をもたらさない。
【0308】
これらの実施形態において、細胞表面に本開示のソルチリンタンパク質を発現する任意の細胞を使用することができる。いくつかの実施形態において、細胞は、その細胞表面上に本開示のソルチリンタンパク質を内因的に発現する。いくつかの実施形態において、細胞は、本開示のソルチリンタンパク質をその細胞表面上に発現するように組換え操作される。本開示の任意の好適なソルチリンリガンドが使用され得、これにより、細胞表面上に発現されるソルチリンタンパク質への結合能力を維持するようにする。ソルチリンリガンドは、蛍光標識される必要はない。ソルチリンリガンドのレベルは、限定するものではないが、ELISA、SPR、ウェスタンブロッティング、質量分析、免疫沈降、ペプチドマイクロアレイなどを含む、当該技術分野において既知の任意のアッセイによって検出され得る。
【0309】
いくつかの実施形態において、細胞表面上に本開示のソルチリンタンパク質を発現する細胞は、ある量の本開示のソルチリンリガンドを含有する細胞培養培地中で培養される。いくつかの実施形態において、既知の量のソルチリンリガンドが細胞培養培地に添加される。いくつかの実施形態において、馴化細胞培養培地(例えば、ソルチリンリガンド馴化細胞培養培地)、例えば、本開示のソルチリンリガンドがソルチリンリガンド産生細胞によって発現され、細胞培養培地中に分泌されるものが使用され得る(その後、ソルチリンリガンド馴化細胞培養培地がソルチリンリガンド産生細胞から分離され、続いてソルチリンタンパク質を発現する細胞に加えられる)。
【0310】
細胞表面に本開示のソルチリンタンパク質を発現する細胞を培養するのに有用な任意の好適な細胞培養培地が使用され得る。種々の細胞種を培養するのに有用な細胞培養培地が当該技術分野において知られており、市販されている。ハムF10(Sigma)、最小必須培地((MEM)、(Sigma)、RPMI-1640(Sigma)及びダルベッコ改変イーグル培地((DMEM)、Sigma)などの市販の培地が、本開示のソルチリンタンパク質を発現する細胞の培養に好適であり得る。加えて、Ham et al.,Meth.Enz.58:44(1979)、Barnes et al.,Anal.Biochem.102:255(1980)、米国特許第4,767,704号、同第4,657,866号、同第4,927,762号、同第4,560,655号、もしくは同第5,122,469号、WO90/03430、WO87/00195、または米国特許再発行第30,985号に記載されている培地のいずれかを培養培地として使用してもよい。これらの培地はいずれも、必要に応じて、塩(塩化ナトリウム、カルシウム、マグネシウム及びリン酸塩など)、緩衝液(HEPESなど)、成長因子またはホルモン(インスリン、トランスフェリンまたは上皮成長因子など)、ヌクレオチド、抗生物質、微量元素(マイクロモル範囲の最終濃度で通常存在する無機化合物として定義される)及びグルコースまたは同等のエネルギー源が補充され得る。任意の他の必要な補充物もまた、当業者には既知であろう適切な濃度で含まれ得る。温度、pHなどの培養条件は、発現のために選択された宿主細胞にこれまでに使用されているものであり、当業者には明らかであろう。
【0311】
いくつかの実施形態において、本明細書で開示される方法は、細胞表面上のソルチリンタンパク質及びソルチリンリガンドの両方を発現する細胞を、当該ソルチリンタンパク質及び当該ソルチリンリガンドが発現され、当該ソルチリンリガンドが培地中に放出される条件下で培地中で培養されることと、当該細胞を作用物質(例えば、抗ソルチリン抗体)に、当該ソルチリンタンパク質が当該ソルチリンリガンドに結合できる条件下で接触させることと、当該培地中のソルチリンリガンドのレベルが、当該作用物質の非存在下での培地中のソルチリンリガンドのレベルと比較して増加することを検出することとを伴う。ソルチリンリガンドのレベルの増加は、その作用物質がソルチリン結合アンタゴニストであることを示す。理論に束縛されるものではないが、細胞表面に発現されたソルチリンタンパク質と、分泌されたソルチリンリガンドとの間の相互作用は、ソルチリンリガンドのエンドサイトーシス及びリソソーム分解をもたらすと考えられる。したがって、この相互作用が(例えば、本開示のソルチリン結合アンタゴニストの添加によって)小さくなると、培地中におけるソルチリンリガンドのレベルの経時的な増加がもたらされると考えられる。
【0312】
これらの実施形態において、細胞表面に本開示のソルチリンタンパク質を発現し、本開示のソルチリンリガンドを発現し、分泌する任意の細胞を使用することができる。いくつかの実施形態において、細胞は、その細胞表面上に本開示のソルチリンタンパク質を内因的に発現し得る。いくつかの実施形態において、細胞は、本開示のソルチリンリガンドを内因的に発現し、分泌し得る。いくつかの実施形態において、細胞はU-251細胞であり、ソルチリンリガンドはプログラニュリンタンパク質である。いくつかの実施形態において、細胞は、本開示のソルチリンタンパク質をその細胞表面上に発現するように組換え操作され得る。いくつかの実施形態において、細胞は、本開示のソルチリンリガンドを発現し、分泌するように組換え操作され得る。
【0313】
本明細書に記載されるセルベースアッセイのいずれにおいても、本開示のソルチリンリガンドを使用することができる。いくつかの実施形態において、ソルチリンリガンドは、プログラニュリンタンパク質である。ソルチリンリガンドは、全長タンパク質であり得、またはそのソルチリン結合ペプチド断片であり得る。
【0314】
核酸、ベクター及び宿主細胞
本開示の抗ソルチリン抗体は、例えば、米国特許第4,816,567号に記載の組換え方法及び組成物を使用して産生され得る。いくつかの実施形態において、本開示の抗ソルチリン抗体のうちのいずれかをコードするヌクレオチド配列を有する、単離された核酸が提供される。かかる核酸は、抗ソルチリン抗体のVLを含有するアミノ酸配列及び/またはVHを含有するアミノ酸配列(例えば、抗体の軽鎖及び/または重鎖)をコードし得る。いくつかの実施形態において、かかる核酸を含有する1つ以上のベクター(例えば、発現ベクター)が提供される。いくつかの実施形態において、かかる核酸を含有する宿主細胞もまた提供される。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、(1)抗体のVLを含有するアミノ酸配列及び抗体のVHを含有するアミノ酸配列をコードする核酸を含有するベクター、または(2)抗体のVLを含有するアミノ酸配列をコードする核酸を含有する第1のベクター及び抗体のVHを含有するアミノ酸配列をコードする核酸を含有する第2のベクターを含有する(例えば、形質導入されている)。いくつかの実施形態において、宿主細胞は、真核生物、例えば、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞またはリンパ系細胞(例えば、Y0、NS0、Sp20細胞)である。
【0315】
本開示の抗ソルチリン抗体の作製方法が提供される。いくつかの実施形態において、方法は、抗ソルチリン抗体をコードする核酸を含有する本開示の宿主細胞を、抗体の発現に好適な条件下で培養することを含む。いくつかの実施形態において、抗体は、その後、宿主細胞(または宿主細胞培養培地)から回収される。
【0316】
本開示の抗ソルチリン抗体を組換え産生するためには、抗ソルチリン抗体をコードする核酸を単離し、宿主細胞における更なるクローニング及び/または発現のために1つ以上のベクター中に挿入する。かかる核酸は、従来の手順を使用して(例えば、抗体の重鎖及び軽鎖をコードする遺伝子に特異的に結合することができるオリゴヌクレオチドプローブを使用することによって)、容易に単離され、配列決定することができる。
【0317】
本開示の抗ソルチリン抗体または本明細書に記載のそのポリペプチド断片(抗体を含む)のうちのいずれかをコードする核酸配列を含有する好適なベクターには、限定するものではないが、クローニングベクター及び発現ベクターが含まれる。好適なクローニングベクターは、標準的技法に従って構築することができ、あるいは当該技術分野において入手可能な多数のクローニングベクターから選択してもよい。選択されるクローニングベクターは、使用しようとする宿主細胞に応じて変わり得るが、有用なクローニングベクターは、一般に、自己複製能を有し、特定の制限エンドヌクレアーゼの標的を1つ有し得、かつ/またはベクターを含有するクローンの選択に用いることができるマーカーのための遺伝子を保持し得る。好適な例には、プラスミド及び細菌ウイルス、例えば、pUC18、pUC19、Bluescript(例えば、pBS SK+)及びその誘導体、mp18、mp19、pBR322、pMB9、ColE1、pCR1、RP4、ファージDNA、ならびにpSA3及びpAT28などのシャトルベクターが挙げられる。これらのクローニングベクター及び多くの他のクローニングベクターが、BioRad、Strategene及びInvitrogenなどの商業的供給業者から入手可能である。
【0318】
発現ベクターは、一般に、本開示の核酸を含有する複製可能なポリヌクレオチド構築物である。発現ベクターは、エピソームまたは染色体DNAの不可欠な部分のいずれかとして、宿主細胞内で複製可能であり得る。好適な発現ベクターには、プラスミド、アデノウイルス、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルスを含むウイルスベクター、コスミド及びPCT国際公開番号WO87/04462に記載の発現ベクター(複数可)が挙げられるが、これらに限定されない。ベクター構成要素は、一般に、シグナル配列、複製起点、1つ以上のマーカー遺伝子、好適な転写調節エレメント(プロモーター、エンハンサー及びターミネーターなど)のうちの1つ以上を含み得るが、これらに限定されない。発現(すなわち、翻訳)には、リボソーム結合部位、翻訳開始部位及び終止コドンなどの1つ以上の翻訳調節エレメントも通常必要である。
【0319】
目的の核酸を含有するベクターは、エレクトロポレーション、塩化カルシウム、塩化ルビジウム、リン酸カルシウム、DEAEデキストランまたは他の物質を用いるトランスフェクション、微粒子銃、リポフェクション及び感染(例えば、この場合のベクターはワクシニアウイルスなどの感染因子である)を含む、多数の適切な手段のいずれかによって、宿主細胞に導入することができる。導入ベクターまたはポリヌクレオチドの選択は、多くの場合、宿主細胞の特徴に依存する。いくつかの実施形態において、ベクターは、本開示の抗ソルチリン抗体をコードする1つ以上のアミノ酸配列を含有する核酸を含有する。
【0320】
抗体コーディングベクターのクローニングまたは発現に好適な宿主細胞には、原核細胞または真核細胞が含まれる。例えば、本開示の抗ソルチリン抗体は、特にグリコシル化及びFcエフェクター機能が必要とされない場合には、細菌において産生され得る。細菌での抗体断片及びポリペプチドの発現については、(例えば、米国特許第5,648,237号、同第5,789,199号及び同第5,840,523号、ならびにCharlton,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ,2003),pp.245-254(E.coli.における抗体断片の発現に関して記載))。発現後、抗体は、可溶性画分中の細菌細胞ペーストから単離され得、更に精製することができる。
【0321】
原核生物に加えて、糸状菌または酵母などの真核微生物もまた、抗体コーディングベクターに好適なクローニング宿主または発現宿主であり、これらには、グリコシル化経路が「ヒト化」されており、部分的または完全なヒトグリコシル化パターンを有する抗体の産生をもたらす、真菌株及び酵母株が含まれる(例えば、Gerngross,Nat.Biotech.22:1409-1414(2004)、及びLi et al.,Nat.Biotech.24:210-215(2006))。
【0322】
グリコシル化抗体の発現に好適な宿主細胞は、多細胞生物(無脊椎動物及び脊椎動物)から得ることもできる。無脊椎動物細胞の例としては、植物及び昆虫細胞が挙げられる。昆虫細胞、特に、Spodoptera frugiperda細胞のトランスフェクションとともに使用することができる、多数のバキュロウイルス株が同定されている。植物細胞培養物もまた、宿主として利用することができる(例えば、米国特許第5,959,177号、同第6,040,498号、同第6,420,548号、同第7,125,978号及び同第6,417,429号(トランスジェニック植物で抗体を産生するためのPLANTIBODIES(商標)技術について記載されている))。
【0323】
脊椎動物細胞もまた、宿主として使用され得る。例えば、懸濁液中で成長するように適合された哺乳動物細胞株が、有用であり得る。有用な宿主哺乳動物細胞株の他の例は、SV40により形質転換されたサル腎臓CV1株(COS-7)、ヒト胚性腎臓株(293細胞または例えばGraham et al.,J.Gen Virol.36:59(1977)に記載されているような293細胞)、ベビーハムスター腎臓細胞(BHK)、マウスセルトリ細胞(例えば、Mather,Biol.Reprod.23:243-251(1980)に記載のTM4細胞)、サル腎臓細胞(CV1)、アフリカミドリザル腎臓細胞(VERO-76)、ヒト子宮頸がん細胞(HELA)、イヌ科腎臓細胞(MDCK、バッファローラット肝細胞(BRL 3A)、ヒト肺細胞(W138)、ヒト肝細胞(Hep G2)、マウス乳腺腫瘍(MMT 060562)、例えば、Mather et al.,Annals N.Y.Acad.Sci.383:44-68(1982)に記載のTRI 細胞、MRC 5細胞、及びFS4細胞である。他の有用な哺乳動物細胞株には、DHFR-CHO細胞(Urlaub et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980))を含むチャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、ならびにY0、NS0及びSp2/0などの骨髄腫細胞株が挙げられる。抗体産生に好適な特定の哺乳動物宿主細胞株の概説については、例えば、Yazaki and Wu,Methods in Molecular Biology,Vol.248(B.K.C.Lo,ed.,Humana Press,Totowa,NJ),pp.255-268(2003)を参照されたい。
【0324】
医薬組成物
本開示の抗ソルチリン抗体は、当該抗体を適切な薬学的に許容される担体または希釈剤と組み合わせることによって、種々の治療投与向けの製剤に組み込むことができ、固体、半固体、液体または気体の各形態の製剤へと製剤化され得る。このような製剤の例には、限定するものではないが、錠剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤、軟膏剤、液剤、坐剤、注射剤、吸入剤、ゲル剤、ミクロスフェア及びエアゾール剤が挙げられる。医薬組成物は、所望の製剤に応じて、動物またはヒト投与のための医薬組成物を製剤化するために一般的に使用されるビヒクルである、薬学的に許容される無毒性の担体または希釈剤を含み得る。希釈剤は、その組み合わせの生物学的活性に影響を与えないように選択される。このような希釈剤の例には、限定するものではないが、蒸留水、緩衝水、生理食塩水、PBS、リンゲル液、ブドウ糖溶液及びハンクス液が挙げられる。本開示の医薬組成物または製剤は、他の担体、補助剤または非治療的無毒性非免疫原性安定剤、賦形剤などを更に含み得る。組成物はまた、生理学的条件に近似させるための更なる物質、例えば、pH調製剤及び緩衝剤、毒性調製剤、湿潤剤ならびに界面活性剤を含み得る。
【0325】
本開示の医薬組成物はまた、種々の安定化剤のうちのいずれか、例えば、抗酸化剤を含み得る。医薬組成物がポリペプチドを含む場合、当該ポリペプチドは、ポリペプチドのin vivo安定性を向上させるか、あるいはそうでなければその薬理学的特性を向上させる(例えば、ポリペプチドの半減期を延長させる、その毒性を低減させる、また溶解性または取り込みを向上させる)種々の既知の化合物と複合体化され得る。このような修飾剤または複合体化剤の例には、限定するものではないが、硫酸塩、グルコン酸塩、クエン酸塩及びリン酸塩が挙げられる。組成物のポリペプチドはまた、in vivo属性を向上させる分子と複合体化され得る。このような分子には、限定するものではないが、炭水化物、ポリアミン、アミノ酸、他のペプチド、イオン(例えば、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、マンガン)及び脂質が挙げられる。
【0326】
様々な種類の投与に適した製剤の更なる例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mace Publishing Company,Philadelphia,PA,17th ed.(1985)に見出すことができる。薬物送達のための方法の簡潔な論評については、Langer,Science 249:1527-1533(1990)を参照されたい。
【0327】
経口投与の場合、有効成分は、カプセル剤、錠剤及び散剤などの固体剤形、またはエリキシル剤、シロップ剤及び懸濁剤などの液体剤形で投与することができる。有効成分(複数可)は、グルコース、ラクトース、スクロース、マンニトール、デンプン、セルロースまたはセルロース誘導体、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、サッカリンナトリウム、タルク、炭酸マグネシウムなどの不活性成分及び粉末状担体とともに、ゼラチンカプセルに封入することができる。所望の色、味、安定性、緩衝能、分散性または他の既知の所望の特徴をもたらすために添加され得る更なる不活性成分の例は、赤色酸化鉄、シリカゲル、ラウリル硫酸ナトリウム、二酸化チタン及び食用白色インクである。同様の希釈剤を使用して圧縮錠を作製することができる。錠剤及びカプセル剤の両方は、数時間にわたって薬剤の連続放出を提供する徐放性製品として製造することができる。圧縮錠は、任意の不快な味をマスキングし、錠剤を大気から保護するために糖衣もしくはフィルムコーティングが施され得、または胃腸管における選択的崩壊のために腸溶コーティングされ得る。経口投与用の液体剤形は、患者の許容性を高めるために、着色料及び矯味矯臭剤を含有し得る。
【0328】
非経口投与に好適な製剤には、抗酸化剤、緩衝剤、静菌剤及び製剤を対象のレシピエントの血液と等張にする溶質を含有し得る、水性及び非水性の等張性無菌注射剤と、懸濁化剤、可溶化剤、粘稠化剤、安定剤及び防腐剤を含み得る、水性及び非水性の無菌懸濁剤とが含まれる。
【0329】
医薬組成物を製剤化するために使用される成分は、好ましくは高純度のものであり、潜在的に有害な汚染物質を実質的に含まない(例えば、少なくとも国民食(NF)グレード、一般には少なくとも分析グレード、より典型的には少なくとも医薬品グレード)。更に、in vivo使用を意図した組成物は、通常無菌である。所与の化合物を使用前に合成する必要がある場合には、得られる生成物は、典型的に、その合成または精製プロセス中に存在し得る、潜在的に有毒ないずれの作用物質、特に、あらゆる内毒素を実質的に含まない。非経口投与用の組成物もまた、無菌であり、実質的に等張であり、GMP条件下で作製される。
【0330】
製剤は、脳または中枢神経系で保持され、安定化するように最適化され得る。薬剤が頭蓋区画に投与される場合、その薬剤がその区画内に保持され、拡散せず、またはそれ以外に血液脳関門を通過しないことが望ましい。安定化技法には、分子量の増加を達成するために、架橋、多量体化、またはポリエチレングリコール、ポリアクリルアミド、中性タンパク質担体などの基への連結が含まれる。
【0331】
保持を増加させるための他の方策には、抗体、例えば、本開示の抗ソルチリン抗体を生分解性または生体侵食性インプラント中への封じ込めることが含まれる。治療的活性物質の放出速度は、ポリマーマトリックスを介した輸送速度及びインプラントの生分解速度によって制御される。ポリマーバリアを通過する薬物の輸送はまた、化合物の溶解性、ポリマーの親水性、ポリマーの架橋度、ポリマーバリアの薬物に対する透過性を高めるような吸水時のポリマーの膨張、インプラントの形状などにより影響を受ける。インプラントは、埋込部位として選択された領域の大きさ及び形状に相応する寸法のものである。インプラントは、粒子、シート、パッチ、プレート、繊維、マイクロカプセルなどであってよく、選択された挿入部位に適合する任意の大きさまたは形状であってよい。
【0332】
インプラントは、モノリシックであってよく、すなわち、活性物質がポリマーマトリックス全体に均一に分布されていてよく、またはカプセル化され得、この場合、活性成分のリザーバがポリマーマトリックスによってカプセル化される。採用されるポリマー組成物の選択は、投与部位、所望の治療期間、患者の耐性、治療対象の疾患の性質などによって変化する。ポリマーの特徴には、埋込部位での生分解性、目的の薬物との適合性、カプセル化の容易性、生理学的環境での半減期が含まれる。
【0333】
採用することができる生分解性ポリマー組成物は、分解されたときにモノマーなどの生理学的に許容される分解生成物を生じる、有機エステルまたはエーテルであり得る。無水物、アミド、オルトエステルなどを、単独でまたは他のモノマーと組み合わせて使用することができる。ポリマーは、縮合ポリマーである。ポリマーは、架橋されていても架橋されていなくてもよい。特に興味深いのは、ヒドロキシ脂肪族カルボン酸のポリマー、ホモポリマーまたはコポリマーのいずれか、及び多糖である。関心対象となるポリエステルには、D-乳酸、L-乳酸、ラセミ乳酸、グリコール酸、ポリカプロラクトン及びこれらの組み合わせのポリマーが含まれる。L-乳酸エステルまたはD-乳酸エステルを採用すると、ゆっくり生分解するポリマーが得られ、ラセミ体を含むと分解は実質的に増大する。グリコール酸と乳酸のコポリマーは、生分解速度がグリコール酸の乳酸に対する比率により制御されることから特に興味深い。最も迅速に分解されるコポリマーは、ほぼ同量のグリコール酸と乳酸を有するものであり、いずれかのホモポリマーが分解に対してより大きい抵抗性がある。グリコール酸の乳酸に対する比率は、インプラントの脆性にも影響し、大きい形状には、可撓性のより大きいインプラントが望ましい。関心対象となる多糖は、アルギン酸カルシウム及び官能化セルロース、特に、非水溶性であり分子量が5kD~500kDであることを特徴とするカルボキシメチルセルロースエステルなどである。生分解性ヒドロゲルを本開示のインプラントに採用してもよい。ヒドロゲルは、典型的に、液体を吸収する能力を特徴とするコポリマー材料である。採用することができる例示的な生分解性ヒドロゲルは、Heller in:Hydrogels in Medicine and Pharmacy,N.A.Peppes ed.,Vol.III,CRC Press,Boca Raton,Fla.,1987,pp 137-149に記載されている。
【0334】
薬物の用量
本開示の抗ソルチリン抗体を含有する本開示の医薬組成物は、既知の方法に従って、例えば、ボーラスとしてもしくはある期間にわたる連続注入による静脈内投与、筋肉内、腹腔内、脳髄内、頭蓋内、脊髄内、皮下、関節内、髄液内、髄腔内、経口、局所または吸入の各経路によって、抗ソルチリン抗体での治療を必要とする個体、好ましくはヒトに投与することができる。
【0335】
本開示の医薬組成物の用量及び所望の薬物濃度は、想定される具体的な用途に応じて変化し得る。適切な用量または投与経路の決定は、十分に当業者の技術範囲内である。動物実験は、ヒト治療に対する有効量を決定するための信頼性の高い指針を提供する。有効量の種間スケーリングは、Mordenti,J.and Chappell,W.“The Use of Interspecies Scaling in Toxicokinetics,”In Toxicokinetics and New Drug Development,Yacobi et al.,Eds,Pergamon Press,New York 1989,pp.42-46に記載の原則に従って実施することができる。
【0336】
本開示の抗ソルチリン抗体のうちのいずれかのin vivo投与について、通常の用量は、投与経路に応じて、1日あたり個体の体重1kgあたり約10ng~約100mg以上、好ましくは約1mg/kg/日~10mg/kg/日で変化し得る。数日またはそれより長い期間の反復投与について、治療は、治療される疾患、障害または病態の重症度に応じて、症状の所望の抑制が達成されるまで継続される。
【0337】
例示的な投薬レジメンは、約2mg/kgの初回用量の抗ソルチリン抗体を投与し、続いて、約1mg/kgの週1回の維持用量を隔週で投与することを含み得る。医師が達成しようとする薬物動態減衰のパターンに応じて、他の投薬レジメンが有用である場合もある。例えば、週1~21回の個体への投薬が本明細書において企図される。ある特定の実施形態において、約3μg/kg~約2mg/kgの範囲(約3μg/kg、約10μg/kg、約30μg/kg、約100μg/kg、約300μg/kg、約1mg/kg及び約2/mg/kgなど)での投薬を用いることができる。ある特定の実施形態において、投薬頻度は、1日3回、1日2回、1日1回、1日おきに1回、週1回、2週間に1回、4週間に1回、5週間に1回、6週間に1回、7週間に1回、8週間に1回、9週間に1回、10週間に1回もしくは月1回、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回またはそれ以上である。治療の経過は、従来の技法及びアッセイによって容易に観察される。投薬レジメンは、投与される抗ソルチリン抗体を含め、使用される用量とは関係なく、経時的に変えてもよい。
【0338】
特定の抗ソルチリン抗体の用量は、抗ソルチリン抗体の投与を1回以上受けている個体で経験的に決定され得る。個体は、漸増用量の抗ソルチリン抗体が投与される。抗ソルチリン抗体の有効性を評価するために、本開示の疾患、障害または病態(例えば、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、痙攣発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、脊髄損傷、長期抑圧、アテローム動脈硬化性血管疾患及び正常老化の望ましくない症状)の臨床症状が観察され得る。
【0339】
本開示の抗ソルチリン抗体の投与は、例えば、レシピエントの生理学的状態、投与の目的が治療的であるか予防的であるか、及び当業者に既知の他の因子に応じて、連続的または断続的であり得る。抗ソルチリン抗体の投与は、予め選択された期間にわたって本質的に連続的になされてもよいし、一連の間隔を空けた投与であってもよい。
【0340】
具体的な用量及び送達の方法に関する指針は、文献に提供されており、例えば、米国特許第4,657,760号、同第5,206,344号、または同第5,225,212号を参照されたい。異なる処方が異なる治療及び異なる疾患に有効であり、特定の器官または組織の治療を意図した投与が別の器官または組織への投与とは異なる方法で送達される必要があり得ることは、本開示の範囲内である。更に、用量は、1回以上の別個の投与によって、または連続注入によって投与され得る。数日またはそれより長い期間の反復投与について、治療は、病態に応じて、疾患症状の所望の抑制が生じるまで継続される。しかしながら、他の投薬レジメンが有用な場合もある。この治療の経過は、従来の技法及びアッセイによって容易に観察される。
【0341】
治療用途
本開示の更なる態様は、プログラニュリンレベルの増加を必要とする個体において、例えば、個体の脳、血液及び/または末梢器官などにおいて、治療上有効な量の1つ以上の本開示の抗ソルチリン抗体を当該個体に投与することによって、それを行う方法を提供する。本開示の他の態様は、1つ以上の細胞を1つ以上の本開示の抗ソルチリン抗体に接触させることによって、プログラニュリンの細胞外レベルを増加させる方法を提供する。いくつかの実施形態において、プログラニュリンのレベルは、ソルチリンの細胞中レベルが減少することなく、増加する。本開示の他の態様は、ソルチリンの細胞中レベルの減少を必要とする個体において、例えば、個体の脳及び/または末梢器官などにおいて、治療上有効な量の1つ以上の本開示の抗ソルチリン抗体を当該個体に投与することによって、それを行う方法を提供する。本開示の他の態様は、1つ以上の細胞のソルチリンの細胞中レベルを減少させる方法を提供し、この方法は、1つ以上の細胞を1つ以上の本開示の抗ソルチリン抗体に接触させることを含む。
【0342】
本開示の更なる態様は、治療上有効な量の本開示の抗ソルチリン抗体を個体に投与して、ソルチリンと、プログラニュリン、本開示のニューロトロフィン(例えば、プロニューロトロフィン、プロニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、pro-NGF、pro-BDNF、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF、BDNFなど)、ニューロテンシン、p75、ソルチリンプロペプチド(Sort-pro)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、Aβペプチド、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、アポリポタンパク質E(APOE)及び/もしくは受容体関連タンパク質(RAP)との間の相互作用を阻害することによって、プログラニュリンの有効濃度の増加を必要とする個体においてそれを行い、かつ/または本開示のニューロトロフィン(例えば、プロニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、プロニューロトロフィン、pro-NGF、pro-BDNF、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF、BDNFなど)、ニューロテンシン、p75、ソルチリンプロペプチド(Sort-pro)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、Aβペプチド、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、アポリポタンパク質E(APOE)、PCSK9及び受容体関連タンパク質(RAP)の有効濃度の減少を必要とする個体においてそれを行うための方法を提供する。
【0343】
本開示はまた、個体における、ソルチリンと、プログラニュリン、本開示のニューロトロフィン(例えば、プロニューロトロフィン、プロニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、pro-NGF、pro-BDNF、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF、BDNFなど)、ニューロテンシン、p75、ソルチリンプロペプチド(Sort-pro)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、Aβペプチド、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、アポリポタンパク質E(APOE)、PCSK9及び/または受容体関連タンパク質(RAP)との間の相互作用、ならびにソルチリン、プログラニュリン、本開示のニューロトロフィン(例えば、プロニューロトロフィン、プロニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、pro-NGF、pro-BDNF、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF、BDNFなど)、ニューロテンシン、p75、ソルチリンプロペプチド(Sort-pro)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、Aβペプチド、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、アポリポタンパク質E(APOE)及び/または受容体関連タンパク質(RAP)の1つ以上の活性を、治療上有効な量の本開示の抗ソルチリン抗体を当該個体に投与することによって阻害する方法を提供する。
【0344】
本明細書で開示されるように、本開示の抗ソルチリン抗体はまた、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、痙攣発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、脊髄損傷、長期抑圧、アテローム動脈硬化性血管疾患、正常老化の望ましくない症状、認知症、混合型認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病、正常圧水頭症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウオパチー病、脳卒中、急性外傷、慢性外傷、狼瘡、急性及び慢性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、マラリア、本態性振戦、中枢神経系狼瘡、ベーチェット病、パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症、椎間板変性、シャイ・ドレーガー症候群、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核神経節変性症、急性散在性脳脊髄炎、肉芽腫性疾患、サルコイドーシス、老人病、加齢黄斑変性症、緑内障、網膜色素変性症、網膜変性、気道感染症、敗血症、眼感染症、全身感染、炎症性疾患、関節炎、多発性硬化症、代謝疾患、肥満、インスリン抵抗性、2型糖尿病、組織または血管損傷、外傷ならびに1つ以上の正常老化の望ましくない症状を予防し、その危険性を低減させ、または治療するために使用することができる。
【0345】
いくつかの実施形態において、本開示は、治療上有効な量の本開示の抗ソルチリン抗体を個体に投与して、(i)ソルチリンと、プログラニュリン、本開示のニューロトロフィン(例えば、プロニューロトロフィン、プロニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、pro-NGF、pro-BDNF、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF、BDNFなど)、ニューロテンシン、p75、ソルチリンプロペプチド(Sort-pro)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、Aβペプチド、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、アポリポタンパク質E(APOE)及び/または受容体関連タンパク質(RAP)との間の相互作用を阻害し、かつ/あるいは(ii)ソルチリン、プログラニュリン、本開示のニューロトロフィン(例えば、プロニューロトロフィン、プロニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、pro-NGF、pro-BDNF、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF、BDNFなど)、ニューロテンシン、p75、ソルチリンプロペプチド(Sort-pro)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、Aβペプチド、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、アポリポタンパク質E(APOE)及び/または受容体関連タンパク質(RAP)の1つ以上の活性を阻害することによって、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、痙攣発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、脊髄損傷、長期抑圧、アテローム動脈硬化性血管疾患、正常老化の望ましくない症状、認知症、混合型認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病、正常圧水頭症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウオパチー病、脳卒中、急性外傷、慢性外傷、狼瘡、急性及び慢性大腸炎、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、マラリア、本態性振戦、中枢神経系狼瘡、ベーチェット病、パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症、椎間板変性、シャイ・ドレーガー症候群、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核神経節変性症、急性散在性脳脊髄炎、肉芽腫性疾患、サルコイドーシス、老人病、加齢黄斑変性症、緑内障、網膜色素変性症、網膜変性、気道感染症、敗血症、眼感染症、全身感染、炎症性疾患、関節炎、多発性硬化症、代謝疾患、肥満、インスリン抵抗性、2型糖尿病、組織または血管損傷、外傷ならびに1つ以上の正常老化の望ましくない症状を有する個体であって、その予防、危険性の低減、または治療を必要とする個体において、それを行う方法に関する。いくつかの実施形態において、本開示は、治療上有効な量の本開示の抗ソルチリン抗体を当該個体に投与することによって、創傷治癒の誘導を必要とする個体において、それを行う方法を提供する。
【0346】
本開示はまた、本開示の抗ソルチリン抗体を投与して、ソルチリンと、プログラニュリン、本開示のニューロトロフィン(例えば、プロニューロトロフィン、プロニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、pro-NGF、pro-BDNF、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF、BDNFなど)、ニューロテンシン、p75、アミロイド前駆体タンパク質(APP)及びAβペプチドとの間の相互作用を阻害することによって、神経細胞生存などの細胞生存を促進する方法を提供する。抗ソルチリン抗体は、in vitroで細胞に投与され、細胞生存を促進することができる。あるいは、抗ソルチリン抗体は、in vivoで投与され(例えば、抗体を個体に投与することによって)細胞生存を促進することができる。
【0347】
本開示はまた、本開示の抗ソルチリン抗体を投与して、ソルチリンと、プログラニュリン、本開示のニューロトロフィン(例えば、プロニューロトロフィン、プロニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、pro-NGF、pro-BDNF、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF、BDNFなど)、ニューロテンシン、p75、アミロイド前駆体タンパク質(APP)及びAβペプチドとの間の相互作用を阻害することによって、神経炎症、短い軸索伸長及び異常分岐を特徴とする軸索障害、ミクログリア活性化及び炎症反応を阻害する方法、ならびに創傷治癒、オートファジー及び凝集タンパク質のクリアランスを促進する方法を提供する。抗ソルチリン抗体は、in vitroで細胞に投与され得る。あるいは、抗ソルチリン抗体は、in vivoで投与され得る(例えば、抗体を個体に投与することによって)。
【0348】
本開示はまた、1つ以上の炎症促進性メディエータの発現の減少を必要とする対象に本開示の抗ソルチリン抗体を投与することによって、それを行う方法を提供する。いくつかの実施形態において、1つ以上の炎症促進性メディエータは、IL-6、IL12p70、IL12p40、IL-1β、TNF-α、CXCL1、CCL2、CCL3、CCL4及びCCL5から選択される。
【0349】
認知症
認知症は、これまでに障害のなかった人において、正常な老化から予想され得るものを越える全体的認知能力の重大な損失として現れる非特異的症候群(すなわち、一連の徴候及び症状)である。認知症は、固有の全体的な脳損傷の結果として、変化しないこともある。あるいは、認知症は、進行性である場合もあり、身体の損傷または疾患によって長期的な減退がもたらされる。認知症は、高齢者集団においてより多く一般的に見られるが、65歳以前に発症することもある。認知症によって影響を受ける認知領域には、限定するものではないが、記憶、注意持続時間、言語及び問題解決が含まれる。一般に、個体が認知症と診断されるまでには、少なくとも6ヶ月間、症状が存在する必要がある。
【0350】
認知症の例示的な形態には、限定するものではないが、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、意味性認知症及びレビー小体型認知症が含まれる。
【0351】
理論に束縛されるものではないが、本開示の抗ソルチリン抗体の投与により、認知症を予防し、その危険性を低減させ、かつ/または治療することができると考えられる。いくつかの実施形態において、抗ソルチリン抗体を投与することは、認知症を有する個体において、1つ以上のプログラニュリン活性(例えば、ニューロンの神経栄養及び/または生存活性、及び抗炎症活性)を誘導し得る。
【0352】
前頭側頭型認知症
前頭側頭型認知症(FTD)は、脳の前頭葉の進行性の劣化から生じる病状である。この変性は、時間の経過とともに側頭葉に進むことがある。罹患率では、FTDは、アルツハイマー病(AD)に次いで、初老年性認知症症例の20%を占める。FTDの臨床的特徴には、記憶障害、行動異常、人格変化及び言語障害が含まれる(Cruts,M.& Van Broeckhoven,C.,Trends Genet.24:186-194(2008)、Neary,D.,et al.,Neurology 51:1546-1554(1998)、Ratnavalli,E.,Brayne,C.,Dawson,K.&Hodges,J.R.,Neurology 58:1615-1621(2002))。
【0353】
FTD症例のかなりの部分が常染色体優性の様式で遺伝するが、症状は、たとえ1つの家族であっても、行動障害を伴うFTDから、原発性進行性失語まで、大脳皮質基底核神経節変性症までの範囲にわたることがある。FTDは、ほとんどの神経変性疾患と同様に、罹患脳における特定のタンパク質凝集の病理学的存在によって特徴付けることができる。歴史的に、FTDに関する最初の記載は、神経原線維変化またはピック球における異常にリン酸化されたタウタンパク質の神経細胞内蓄積の存在を認めたものである。微小管関連タンパク質タウの因果的役割は、いくつかの家族において、タウタンパク質をコードする遺伝子の変異を特定することによって裏付けられた(Hutton,M.,et al.,Nature 393:702-705(1998)。しかしながら、FTD脳の大部分は、異常にリン酸化されたタウの蓄積を示さず、ユビキチン(Ub)及びTAR DNA結合タンパク質(TDP43)に対して免疫反応性を示す(Neumann,M.,et al.,Arch.Neurol.64:1388-1394(2007))。Ub封入体(FTD-U)を有するこれらのFTD症例の大部分は、プログラニュリン遺伝子に変異を持つことが示された。
【0354】
プログラニュリン変異はハプロ不全を生じ、家族性FTD症例のほぼ50%に存在することが知られていることから、プログラニュリン変異はFTDの主要な遺伝子因子とされる。理論に束縛されるものではないが、プログラニュリン変異の機能喪失型ヘテロ接合体の特徴は、プログラニュリン発現が、健康な個体において、FTDの発症から健康な個体を保護するのに用量依存性の重要な役割を果たすことを示していると考えられる。
【0355】
したがって、ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用を阻害することによってプログラニュリンのレベルを増加させることにより、FTDを予防し、その危険性を低減させ、かつ/または治療することができる。
【0356】
アルツハイマー病
アルツハイマー病(AD)は、認知症の最も一般的な形態である。この疾患に治療法はなく、進行するにつれて悪化し、最終的には死に至る。ほとんどの場合、ADは、65歳を越えた人において診断される。しかしながら、あまり一般的ではない早期発症型のアルツハイマー病は、より早期に発症することがある。
【0357】
アルツハイマー病の一般的症状には、近時事象の想起困難などの行動症状、認知症状、混乱、易刺激性及び攻撃性、気分変動、言語障害ならびに長期の記憶喪失が含まれる。疾患が進行するにつれて、身体機能が失われ、最終的に死に至る。アルツハイマー病は、完全に明らかになるまでに未知の可変時間量で発症し、何年も診断未確定で進行する場合がある。
【0358】
ソルチリンがアミロイド前駆体タンパク質(APP)及びAPPプロセシング酵素BACE1に結合することが示されている。理論に束縛されるものではないが、これらの相互作用がアルツハイマー病に関与すると考えられる。したがって、理論に束縛されるものではないが、本開示の抗ソルチリン抗体を利用して、かかる相互作用を阻害し、アルツハイマー病の予防、その危険性の低減、または治療を必要とする個体において、それを行うことができると考えられる。
【0359】
最近の研究では、アルツハイマー病の初期段階でプロニューロトロフィン(例えば、pro-NGF、pro-BDNFなど)の濃度が増加していることも示されている(例えば、Fahnestock,M et al.,(2001)Cell Neurosci.18,210-220、Michalski,B et al.,(2003)Brain Res.Mol.Brain Res.111,148-154、Pedraza,CE et al.,(2005)Am.J.Pathol.166,533-543、及びPeng,S et al.,(2005)J.Neurochem.93,1412-1421)。更に、プロニューロトロフィンは、アルツハイマー病患者の海馬及び嗅内皮質で糖化及び脂質酸化を受ける(Counts,SE et al.,(2004)Ann.Neurol.56,520-531、及びCounts,SE et al.,(2005)J.Neuropathol.Exp.Neurol.64,263-272)。これにより、プロニューロトロフィンは、成熟ニューロトロフィンへのプロセシングを受けにくくなる。また更に、アルツハイマー病患者では、TrkA発現は減少するが、p75及びソルチリンの発現は変化しない。したがって、理論に束縛されるものではないが、ソルチリンと、本開示のニューロトロフィン(例えば、プロニューロトロフィン、プロニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、pro-NGF、pro-BDNF、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF、BDNFなど)、p75、アミロイド前駆体タンパク質(APP)及び/もしくはAβペプチドとの間の相互作用を阻害するか、またはソルチリンの1つ以上の活性を阻害する本開示の抗ソルチリン抗体を利用して、アルツハイマー病の予防、その危険性の低減、または治療を必要とする個体において、それを行うことができると考えられる。
【0360】
血管性認知症
血管性認知症(VaD)は、脳血管疾患(脳内の血管疾患)に起因すると考えられる、わずかに進行性の記憶及び他の認知機能の悪化である。脳血管疾患は、脳(大脳)の血管(脈管構造)の進行性変化である。加齢に伴う最も一般的な血管変化は、血管壁におけるコレステロール及び他の物質の蓄積である。これにより、血管壁の肥厚化及び硬化ならびに血管の狭窄が生じ、その影響を受けた動脈によって供給される脳領域への血流が減少し、または完全に停止し得る。血管性認知症患者は、多くの場合、アルツハイマー病(AD)患者と類似の症状を示す。しかしながら、関連する脳での変化は、AD病理に起因するものではなく、最終的に認知症につながる脳内の血流の慢性的減少に起因するものである。VaDは、高齢者において最も一般的な認知症の1つであるとみなされている。VaDの症状には、記憶困難、構成化及び複雑な問題の解決困難、思考力の減退、注意散漫または「関心不在」、記憶から言葉を引き出すのが難しい、気分または行動の変化、例えば、うつ状態、易刺激性もしくは無関心及び幻覚もしくは妄想などが含まれる。
【0361】
理論に束縛されるものではないが、ソルチリンの1つ以上の活性、またはソルチリンと、プログラニュリン、本開示のニューロトロフィン(例えば、プロニューロトロフィン、プロニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、pro-NGF、pro-BDNF、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF、BDNFなど)、ニューロテンシン、リポタンパク質リパーゼ、アポリポタンパク質AV及び/もしくは受容体関連タンパク質との間の1つ以上の相互作用は、血管性認知症に関与すると考えられる。したがって、理論に束縛されるものではないが、ソルチリンと、本開示のニューロトロフィン(例えば、プロニューロトロフィン、プロニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、pro-NGF、pro-BDNF、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF、BDNFなど)、ニューロテンシン、p75、ソルチリンプロペプチド(Sort-pro)、アミロイド前駆体タンパク質(APP)、Aβペプチド、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、アポリポタンパク質E(APOE)及び/もしくは受容体関連タンパク質(RAP)との間の相互作用を阻害するか、またはソルチリンの1つ以上の活性を阻害する本開示の抗ソルチリン抗体を利用して、血管性認知症の予防、その危険性の低減、または治療を必要とする個体において、それを行うことができると考えられる。
【0362】
痙攣発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、脊髄損傷及び長期抑圧
本明細書で使用されるとき、網膜ジストロフィーとは、網膜変性を伴う任意の疾患または病態を指す。かかる疾患または病態は、視力低下または完全な失明につながることがある。
【0363】
本明細書で使用されるとき、痙攣発作は、てんかん発作も含み、脳の異常な過剰または同期性の神経活動の一過性症状を指す。外見上の影響は、興奮したのたうち運動のような劇的な場合もあれば、意識の軽微喪失のような軽い場合もある。痙攣発作は、精神状態の変化、強直性または間代性運動、痙攣及び種々の他の心的症状として現れ得る。
【0364】
外傷性脳損傷(TBI)は、頭蓋内損傷としても知られ得る。外傷性脳損傷は、外的な力が脳に外傷を与えるときに生じる。外傷性脳損傷は、重症度、機構(閉鎖性または穿通性頭部損傷、または他の特徴(例えば、特定の場所で生じるまたは広範囲にわたって生じる)に基づいて分類することができる。
【0365】
脊髄損傷(SCI)は、疾患ではなく外傷によって引き起こされる脊髄へのあらゆる損傷を含む。症状は、脊髄及び神経根がどこで損傷を受けているかに応じて、疼痛から麻痺、失禁まで、大きく変わり得る。脊髄損傷は、患者に影響を与えないことから多様であり得る「不完全型」から、機能の完全な喪失を意味する「完全型」損傷まで種々のレベルで記述される。
【0366】
長期抑圧(LTD)は、長いパターン化された刺激の後に神経シナプスの効率が数時間またはそれ以上活動依存的に低下することである。長期抑圧は、中枢神経系の多くの領域で、脳領域及び発生の進行に応じた様々な機構により生じ得る。長期抑圧は、海馬、小脳及び種々の神経伝達物質を放出する種々のタイプのニューロンで発生し得る。理論に束縛されるものではないが、長期抑圧は、神経変性、認知症及びアルツハイマー病に関連する可能性があると考えられる。
【0367】
プロニューロトロフィン(例えば、プロニューロトロフィン-4/5、ニューロトロフィン-4/5、pro-NGF、pro-BDNFなど)が痙攣発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、脊髄損傷及び長期抑圧に関与することが示されている(例えば、Beattie,MS et al.,(2002)Neuron 36,375-386、Volosin,M et al.(2006)J.Neurosci.26,7756-7766、Nykjaer,A et al.,(2005)Curr.Opin.Neurobiol.15,49-57、Jansen,P et al.,(2007)Nat.Neurosci.10,1449-1457、Volosin,M et al.,(2008)J.Neurosci.28,9870-9879、Fahnestock,M et al.,(2001)Mol.Cell Neurosci.18,210-220、Nakamura,K et al.,(2007)Cell Death.Differ.14,1552-1554、Yune,T et al.(2007)J.Neurosci.27,7751-7761、Arnett,MG et al.,(2007)Brain Res.1183,32-42、Wei,Y et al.,(2007)Neurosci.Lett.429,169-174、Provenzano,MJ et al.,(2008)Laryngoscope 118,87-93、及びPang,PT et al.,(2004)Science 306,487-491)。
【0368】
したがって、理論に束縛されるものではないが、ソルチリンと本開示のニューロトロフィン(例えば、プロニューロトロフィン、プロニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、pro-NGF、pro-BDNF、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF、BDNFなど)との間の相互作用を阻害するか、またはソルチリンの1つ以上の活性を阻害する本開示の抗ソルチリン抗体を利用して、痙攣発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、脊髄損傷及び/または長期抑圧の予防、その危険性の低減、または治療を必要とする個体において、それを行うことができると考えられる。
【0369】
アテローム動脈硬化性血管疾患
本明細書で使用されるとき、「アテローム動脈硬化性血管疾患」、「ASVD」及び「アテローム性動脈硬化症」は、互換的に使用され、コレステロール、脂質及びトリグリセリドなどの脂肪物質の蓄積の結果として動脈壁が厚くなる任意の病態を指す。「アテローム動脈硬化性血管疾患」は、限定するものではないが、あらゆるASVD関連病態、障害または疾患を含み、限定するものではないが、血栓塞栓症、脳卒中、虚血、梗塞、冠状動脈血栓症、心筋梗塞(例えば、心臓発作)及び跛行を含む。
【0370】
アテローム動脈硬化性血管疾患は、動脈血管が影響を受ける症候群であり、マクロファージ白血球の蓄積によって広く引き起こされ、マクロファージから脂質及びコレステロールが機能性高密度リポタンパク質(HDL)によって十分除去されずに、低密度リポタンパク質(LDL)によって促進される、動脈壁の慢性炎症反応である。アテローム動脈硬化性血管疾患は、動脈の硬化または毛状物付着(furring)と一般に呼ばれ、動脈内に多数のプラークが形成されることによって引き起こされる。
【0371】
本明細書で開示するように、本開示のソルチリンタンパク質は、受容体関連タンパク質、リポタンパク質リパーゼ及びアポポリポタンパク質(apopolipoproteins)APOA5及びAPOEなどの脂質関連タンパク質に結合することによって、脂質制御に関与する(例えば、Nisson,SK et al.,(2007)Biochemistry 46:3896-3904、Nisson,SK et al.,(2008)J Biol Chem 283:25920-25927、及びKlinger,SC et al.,J Cell Sci 124:1095-1105)。LDL受容体欠損の関連において、ソルチリン欠損マウスが大動脈のプラーク量の減少及び血漿中コレステロールレベルの減少を有したことも示されている(例えば、Kjolby,M et al.,Cell Metab 12:213-223)。SorLAは、脂質代謝におけるソルチリン受容体の類似の役割と一致して、SorLAの喪失が保護的であることから、脂質代謝におけるソルチリンと同様の作用を有することが示されている(例えば、Guo,Z et al.,Mediators Inflamm 2012:540794)。SorLAは、ウサギ及びマウスのアテローム性プラークを上方制御し、ノックアウトマウスは、血管カフ障害から保護される(例えば、Guo,Z et al.,Mediators Inflamm 2012:540794)。
【0372】
したがって、理論に束縛されるものではないが、ソルチリンと、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)、アポリポタンパク質E(APOE)及び/もしくは受容体関連タンパク質(RAP)との間の相互作用を阻害するか、またはソルチリンの1つ以上の活性を阻害する本開示の抗ソルチリン抗体を利用して、1つ以上のアテローム動脈硬化性血管疾患の予防、その危険性の低減、または治療を必要とする個体において、それを行うことができると考えられる。
【0373】
老化の望ましくない症状
本明細書で使用されるとき、老化の望ましくない症状には、限定するものではないが、記憶喪失、行動変化、認知症、アルツハイマー病、網膜変性、アテローム動脈硬化性血管疾患、聴力損失及び細胞分解が含まれる。
【0374】
プロニューロトロフィン(例えば、プロニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、pro-NGF、pro-BDNFなど)が老化または老化関連症状に関与することが示されている(例えば、Beattie,MS et al.,(2002)Neuron 36,375-386、Volosin,M et al.(2006)J.Neurosci.26,7756-7766、Nykjaer,A et al.,(2005)Curr.Opin.Neurobiol.15,49-57、Jansen,P et al.,(2007)Nat.Neurosci.10,1449-1457、Volosin,M et al.,(2008)J.Neurosci.28,9870-9879、Fahnestock,M et al.,(2001)Mol.Cell Neurosci.18,210-220、Nakamura,K et al.,(2007)Cell Death.Differ.14,1552-1554、Yune,T et al.,(2007)J.Neurosci.27,7751-7761、Arnett,MG et al.,(2007)Brain Res.1183,32-42、Wei,Y et al.,(2007)Neurosci.Lett.429,169-174、Provenzano,MJ et al.,(2008)Laryngoscope 118,87-93、Pang,PT et al.,(2004)Science 306,487-491、及びAl-Shawi,R et al.,Ann N Y Acad Sci.2007;1119:208-15)。
【0375】
いくつかの実施形態において、ソルチリンと、プログラニュリン、本開示のニューロトロフィン(例えば、プロニューロトロフィン、プロニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、pro-NGF、pro-BDNF、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF、BDNFなど)、ニューロテンシン、p75、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)及び/もしくは受容体関連タンパク質(RAP)との間の相互作用を阻害するか、またはソルチリンの1つ以上の活性を阻害する本開示の抗ソルチリン抗体は、老化の1つ以上の望ましくない症状を予防し、その危険性を低減させ、または治療するために利用することができる。
【0376】
筋萎縮性側索硬化症(ALS)
本明細書で使用されるとき、筋萎縮性側索硬化症(ALS)または運動ニューロン疾患またはルーゲーリッグ病は、互換的に使用され、急速に進行する衰弱、筋萎縮及び線維束性収縮、筋痙縮、発話困難(構音障害)、嚥下困難(嚥下障害)ならびに呼吸困難(呼吸障害)を特徴とする様々な病因を有する消耗性疾患を指す。
【0377】
プログラニュリンがALSに関与し(Schymick,JC et al.,(2007)J Neurol Neurosurg Psychiatry.;78:754-6)、TDP-43などのタンパク質に起因するALSによって生じる損傷を再保護する(Laird,AS et al.,(2010).PLoS ONE 5:e13368)ことが示されている。pro-NGFがp75を介して脊髄損傷後のオリゴデンドロサイト及び皮質脊髄ニューロンの死を誘導することも実証された(Beatty et al.,Neuron(2002),36,pp.375-386、Giehl et al,Proc.Natl.Acad.Sci USA(2004),101,pp 6226-30)。
【0378】
いくつかの実施形態において、ソルチリンと、プログラニュリン、本開示のニューロトロフィン(例えば、プロニューロトロフィン、プロニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、pro-NGF、pro-BDNF、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF、BDNFなど)、ニューロテンシン、p75、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)及び/もしくは受容体関連タンパク質(RAP)との間の相互作用を阻害するか、またはソルチリンの1つ以上の活性を阻害する本開示の抗ソルチリン抗体は、ALSの1つ以上の望ましくない症状を予防し、または治療するために利用することができる。
【0379】
うつ病
本明細書で使用されるとき、うつ病または大うつ病性障害(MDD)、臨床的うつ病、大うつ病、単極性うつ病、単極性障害、反復性うつ病または気分変調症は、互換的に使用され、自尊心の低下、及び一般的に楽しい活動に対する興味または喜びを失うことを伴う全ての包括的な気分低下を特徴とする精神障害を指す。この症状群(症候群)は、米国精神医学会の診断手引き1980年版において気分障害の1つとして命名され、記述され、分類されたものである。「うつ病」という用語は、多義的である。この用語は、この症候群を示すために使用されることが多いが、他の気分障害または臨床的に意義のない気分状態の低下を指し得る。大うつ病性障害は、その人の家族、仕事または学校生活、睡眠及び食習慣ならびに全般的健康に有害な影響を与える障害状態である。米国において、大うつ病患者の約3.4%が自殺し、自殺者の最大60%がうつ病または別の気分障害を患っていた。
【0380】
ニューロトロフィンは、うつ病及び抗うつ作用に関与することが示されており(Duman et al.,Arch Gen Psychiatry(1997)54:597-606)、例えば、BDNFの海馬への注入は、うつ病の2つの行動モデルにおいて、抗うつ作用をもたらした(Shirayama et al.,(2002),J Neurosci 22:3251-3261)。更に、bdnf遺伝子中のプロドメインのコドン66でバリン(Val)からメチオニン(Met)への置換(BDNFMet)をもたらす一塩基多型が、この多型についてヘテロ接合性であるヒトにおいて、アルツハイマー病、パーキンソン病、うつ病及び双極性障害を含む神経精神障害に対する感受性を増加させることに関連することが見出された(Chen et al,J.Neuroscience(2005),25:6156-6166、Kuipers and Bramham,Curr.Opin.Drug Discov.Devel.(2006)9(5):580-6、及びBath and Lee,Cogn.Affect.Behav.Neurosci(2006)1:79-85)。加えて、BDNFMetについてヘテロ接合性であるヒトは、記憶障害を有することが示された(Egan et al.,Cell(2003).112,pp 257-269)。
【0381】
いくつかの実施形態において、ソルチリンと、プログラニュリン、本開示のニューロトロフィン(例えば、プロニューロトロフィン、プロニューロトロフィン-3、プロニューロトロフィン-4/5、pro-NGF、pro-BDNF、ニューロトロフィン-3、ニューロトロフィン-4/5、NGF、BDNFなど)、ニューロテンシン、p75、リポタンパク質リパーゼ(LpL)、アポリポタンパク質AV(APOA5)及び/もしくは受容体関連タンパク質(RAP)との間の相互作用を阻害するか、またはソルチリンの1つ以上の活性を阻害する本開示の抗ソルチリン抗体は、うつ病の1つ以上の望ましくない症状を予防し、または治療するために利用することができる。
【0382】
パーキンソン病
パーキンソン病は、特発性または原発性パーキンソニズム、低運動性硬直症候群(HRS)、または振戦麻痺とも呼ばれることがあり、運動系制御に影響を与える神経変性脳障害である。脳内におけるドーパミン産生細胞の進行性死がパーキンソン病の主要な症状を引き起こす。ほとんどの場合、パーキンソン病は、50歳を越えた人において診断される。パーキンソン病は、ほとんどの人で特発性(原因不明)である。しかしながら、遺伝的要因がこの疾患にも関与している。
【0383】
パーキンソン病の症状には、限定するものではないが、手、腕、足、顎及び顔の振戦、四肢及び胴の筋強剛、運動の遅さ(運動緩慢)、姿勢反射障害、歩行困難、神経精神障害、発語または行動の変化、うつ病、不安、疼痛、精神病、認知症、幻覚ならびに睡眠問題が含まれる。
【0384】
理論に束縛されるものではないが、本開示の抗ソルチリン抗体の投与により、パーキンソン病を予防し、その危険性を低減させ、かつ/または治療することができると考えられる。いくつかの実施形態において、抗ソルチリン抗体を投与することは、パーキンソン病を有する個体において1つ以上のプログラニュリン活性を誘導し得る。
【0385】
ハンチントン病
ハンチントン病(HD)は、ハンチンチン遺伝子(HTT)の常染色体優性変異によって引き起こされる遺伝性神経変性疾患である。ハンチンチン遺伝子内のサイトカイン-アデニン-グアニン(CAG)のトリプレットリピートが増加すると、当該遺伝子によってコードされたハンチンチンタンパク質(Htt)の変異体が産生される。この変異ハンチンチンタンパク質(mHtt)は、毒性であり、ニューロン死に関与する。ハンチントン病の症状は、35~44歳の間に現れるのが最も一般的であるが、あらゆる年齢で発生し得る。
【0386】
ハンチントン病の症状には、限定するものではないが、運動機能障害、痙攣様不規則運動(舞踏運動)、異常な眼球運動、バランス障害、痙攣発作、咀嚼困難、嚥下困難、認知障害、発語変化、記憶障害、思考困難、不眠、疲労、認知症、人格変化、うつ病、不安及び強迫的行動が含まれる。
【0387】
理論に束縛されるものではないが、本開示の抗ソルチリン抗体の投与により、ハンチントン病(HD)を予防し、その危険性を低減させ、かつ/または治療することができると考えられる。いくつかの実施形態において、抗ソルチリン抗体を投与することは、HDを有する個体において1つ以上のプログラニュリン活性を誘導し得る。
【0388】
タウオパチー(Taupathy)病
タウオパチー病またはタウオパチーは、脳内における微小管関連タンパク質タウの凝集によって引き起こされる神経変性疾患の一種である。アルツハイマー病(AD)が最もよく知られたタウオパチー病であり、タウタンパク質がニューロン内で不溶性神経原線維変化(NFT)の形態で蓄積することを伴う。他のタウオパチー病及び障害には、進行性核上性麻痺、ボクサー認知症(慢性外傷性脳症)、17番染色体に関連する前頭側頭型認知症及びパーキンソニズム、Lytico-Bodig病(グアムのパーキンソン-認知症複合症候群)、神経原線維変化優性認知症、神経節膠腫及び神経節細胞腫、髄膜血管腫症、亜急性硬化性全脳炎、鉛脳症、結節性硬化症、ハレルフォルデン・スパッツ病、リポフスチン症、ピック病、皮質基底核変性症、嗜銀顆粒病(AGD)、ハンチントン病、前頭側頭型認知症、ならびに前頭側頭葉変性症が含まれる。
【0389】
理論に束縛されるものではないが、本開示の抗ソルチリン抗体の投与により、タウオパチー病を予防し、その危険性を低減させ、かつ/または治療することができると考えられる。いくつかの実施形態において、抗ソルチリン抗体を投与することは、タウオパチー病を有する個体において1つ以上のプログラニュリン活性を誘導し得る。
【0390】
多発性硬化症
多発性硬化症(MS)は、散在性硬化症または散在性脳脊髄炎と呼ばれることもある。MSは、脳及び脊髄の軸索を覆う脂質性ミエリン鞘が損傷を受けて、脱髄及び瘢痕化ならびに広範な徴候及び症状が生じる炎症性疾患である。MSは、脳及び脊髄の神経細胞が互いに有効的に情報伝達を行う能力に影響を及ぼす。神経細胞は、ミエリンと呼ばれる絶縁性物質内にある軸索と呼ばれる長い線維に沿って活動電位と呼ばれる電気信号を送ることによって情報を伝達している。MSでは、身体自体の免疫系がミエリンを攻撃し、損傷を与える。ミエリンが失われると、軸索は、シグナル伝達を有効的に行うことができなくなる。MS発症は、通常、若年成人で起こり、女性でより一般的である。
【0391】
MSの症状には、限定するものではないが、感覚欠如またはヒリヒリ感などの感覚変化、感覚減退及び感覚異常などの刺痛またはしびれ感、筋力低下、クローヌス、筋痙攣、移動困難、運動失調などの協調及びバランス困難、構音障害などの発語障害または嚥下障害などの嚥下困難、眼振、視神経炎(眼閃を含む)及び複視などの視覚問題、疲労、急性もしくは慢性の疼痛、ならびに膀胱及び腸管障害、様々な程度の認知障害、うつ病または気分不安定の感情症状、通常の周辺温度よりも高い温度に曝されることにより現存する症状が憎悪するウートホフ現象、ならびに頸部を曲げると背中から下方に電気が走ったような感覚があるレルミット徴候が含まれる。
【0392】
理論に束縛されるものではないが、本開示の抗ソルチリン抗体の投与により、多発性硬化症を予防し、その危険性を低減させ、かつ/または治療することができると考えられる。いくつかの実施形態において、抗ソルチリン抗体を投与することは、多発性硬化症を有する個体において1つ以上のプログラニュリン活性を誘導し得る。
【0393】
緑内障及び黄斑変性症
緑内障は、限定するものではないが、視野欠損及び失明の原因になる視神経の損傷を特徴とする疾患群を記述するものである。緑内障は、通常、角膜下の前房における液の圧力(=眼内の圧力)が上昇することによって引き起こされる。緑内障は、視覚にとって重要な網膜神経節細胞の継続的な消失をもたらす。加齢黄斑変性症は、通常、高齢者が罹患し、主に、視野の中心である黄斑で視野欠損が生じる。黄斑変性症は、限定するものではないが、ドルーゼン、色素変化、視野の歪み、眼の出血、萎縮、視力低下、視野のぼけ、中心暗点、色覚低下及びコントラスト感度の低下を引き起こす。
【0394】
理論に束縛されるものではないが、本開示の抗ソルチリン抗体の投与により、緑内障及び黄斑変性症を予防し、その危険性を低減させ、かつ/または治療することができると考えられる。いくつかの実施形態において、抗ソルチリン抗体を投与することは、緑内障または黄斑変性症を有する個体において1つ以上のプログラニュリン活性を誘導し得る。
【0395】
変性椎間板疾患(DDD)
変性椎間板疾患(DDD)は、限定するものではないが、椎間板(IVD)が広範な形態的及び生体力学的変化を受け、通常、腰痛を有する患者において臨床的に現れる疾患群を記述するものである。変性椎間板は、典型的に、変性した線維軟骨と、修復を示唆する軟骨細胞クラスターとを示す。炎症は存在する場合もあれば、存在しない場合もある。DDDにおける病理所見には、突出、脊椎分離ならびに/または脊椎亜脱臼(脊椎すべり症)及び脊柱管狭窄が含まれる。
【0396】
キット/製造品
本開示はまた、本開示の単離された抗体(例えば、本明細書に記載の抗ソルチリン抗体)またはその機能性断片を含むキットを提供する。本開示のキットは、本開示の精製された抗体を含む1つ以上の容器を含み得る。いくつかの実施形態において、キットは、本開示の方法に従って使用するための説明書を更に含む。いくつかの実施形態において、これらの説明書は、本開示のいずれかの方法に従って、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、痙攣発作、網膜ジストロフィー、外傷性脳損傷、脊髄損傷、長期抑圧、アテローム動脈硬化性血管疾患、正常老化の望ましくない症状、認知症、混合型認知症、クロイツフェルト・ヤコブ病、正常圧水頭症、筋萎縮性側索硬化症、ハンチントン病、タウオパチー病、那須・ハコラ病、脳卒中、急性外傷、慢性外傷、狼瘡、急性及び慢性大腸炎、創傷治癒、クローン病、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎、マラリア、本態性振戦、中枢神経系狼瘡、ベーチェット病、パーキンソン病、レビー小体型認知症、多系統萎縮症、シャイ・ドレーガー症候群、進行性核上性麻痺、大脳皮質基底核神経節変性症、急性散在性脳脊髄炎、肉芽腫性疾患、サルコイドーシス、老人病、加齢黄斑変性症、緑内障、網膜色素変性症、網膜変性、気道感染症、敗血症、眼感染症、全身感染、狼瘡、関節炎、多発性硬化症ならびに創傷治癒から選択される疾患、障害または外傷を有する個体を、予防し、危険性を低減させ、または治療するために、本開示の単離された抗体(例えば、本明細書に記載の抗ソルチリン抗体)を投与する説明を含む。
【0397】
いくつかの実施形態において、説明書は、例えば、個体において、組織試料において、または細胞において、ソルチリンタンパク質を検出する方法の説明を含む。キットは、その個体が疾患を有し、どの段階の疾患を有するかの判断に基づいて、治療に適した個体を選択する説明を更に含み得る。
【0398】
いくつかの実施形態において、キットは、本開示の別の抗体(例えば、抑制性チェックポイント分子に特異的に結合する少なくとも1つの抗体、抑制性サイトカインに特異的に結合する少なくとも1つの抗体、及び/または刺激性チェックポイントタンパク質に特異的に結合する少なくとも1つのアゴニスト抗体)及び/または少なくとも1つの刺激性サイトカインを更に含み得る。いくつかの実施形態において、キットは、抗体及び/もしくは刺激性サイトカインを本開示の単離された抗体(例えば、本明細書に記載の抗ソルチリン抗体)と組み合わせて使用するための説明書、本開示の単離された抗体を抗体及び/もしくは刺激性サイトカインと組み合わせて使用するための説明書、または本開示の単離された抗体と抗体及び/もしくは刺激性サイトカインとを本開示の任意の方法に従って使用するための説明書を更に含み得る。
【0399】
説明書は、一般に、目的の治療のための用量、投与計画及び投与経路に関する情報を含む。容器は、単位用量、バルク包装(例えば、複数回用量包装)または分割単位用量でもよい。本開示のキットに付属される説明書は、典型的には、ラベルまたは添付文書(例えば、キットに含まれる書面)上に書かれた説明書であるが、機械で読み取り可能な説明書(例えば、磁気または光学式記憶ディスク上に保持された説明書)も許容される。
【0400】
ラベルまたは添付文書は、その組成物が、例えば、本開示の疾患を治療するために使用されることを示す。本明細書に記載される方法のうちのいずれかを実施するために説明書が提供されてもよい。
【0401】
本開示のキットは、好適な包装がなされる。好適な包装には、バイアル、ボトル、ジャー、軟包装(例えば、密閉されたMylarまたはプラスチックバッグ)などが挙げられるが、これらに限定されない。特定の器具、例えば、吸入器、経鼻投与器具(例えば、アトマイザー)またはミニポンプなどの注入器具と組み合わせて使用するためのパッケージも企図される。キットは、滅菌アクセスポートを有し得る(例えば、容器は、皮下注射針によって貫通可能な栓を有する静脈注射用溶液バッグまたはバイアルであってよい)。容器も同様に、滅菌アクセスポートを有し得る(例えば、容器は、皮下注射針によって貫通可能な栓を有する静脈注射用溶液バッグまたはバイアルであってよい)。組成物中の少なくとも1つの活性物質は、本開示の単離された抗体(例えば、本明細書に記載の抗ソルチリン抗体)である。容器は、第2の薬学的活性物質を更に含んでもよい。
【0402】
キットは、必要に応じて、緩衝剤及び説明的情報などの追加の構成要素を備えてもよい。通常、キットは、容器と、その容器上または容器に付属するラベルまたは添付文書(複数可)とを含む。
【0403】
診断用途
本開示の単離された抗体(例えば、本明細書に記載の抗ソルチリン抗体)は、診断的実用性も有し得る。したがって、本開示は、個体におけるまたは個体由来の組織試料におけるソルチリンタンパク質の検出などの診断目的のために、本開示の抗体またはその機能性断片を使用する方法を提供する。
【0404】
いくつかの実施形態では、個体は、ヒトである。いくつかの実施形態において、個体は、本開示の疾患、障害または損傷を患っているか、または発症の危険性のあるヒト患者である。いくつかの実施形態において、診断方法は、生検試料、組織または細胞などの生体試料中のソルチリンタンパク質を検出することを伴う。本開示の単離された抗体(例えば、本明細書に記載の抗ソルチリン抗体)を生体試料に接触させ、抗原に結合した抗体を検出する。例えば、生検試料は、疾患関連細胞を検出及び/または定量するために、本明細書に記載の抗ソルチリン抗体で染色され得る。検出法は、抗原に結合した抗体の定量を含み得る。生体試料中の抗体検出は、免疫蛍光顕微鏡法、免疫細胞化学、免疫組織化学、ELISA、FACS分析、免疫沈降またはマイクロポジトロン放出断層撮影を含む、当該技術分野において既知の任意の方法で行うことができる。ある特定の実施形態において、抗体は、例えば、18Fで放射性標識され、その後、マイクロポジトロン放出断層撮影分析を利用して検出される。抗体結合はまた、ポジトロン放出断層撮影(PET)、X線コンピュータ断層撮影、単一光子放射コンピュータ断層撮影(SPECT)、コンピュータ断層撮影(CT)及びコンピュータ体軸断層撮影(CAT)などの非侵襲性技法によって、患者において定量され得る。
【0405】
他の実施形態において、本開示の単離された抗体(例えば、本明細書に記載の抗ソルチリン抗体)は、前臨床疾患モデル(例えば、非ヒト疾患モデル)から採取した脳試料のミクログリアを検出及び/または定量するために使用することができる。したがって、本開示の単離された抗体(例えば、本明細書に記載の抗ソルチリン抗体)は、前頭側頭型認知症、アルツハイマー病、血管性認知症、痙攣発作、網膜ジストロフィー、アテローム動脈硬化性血管疾患、那須・ハコラ病または多発性硬化症などの神経系疾患または損傷のモデルにおける治療後の治療応答を対照と比較して評価するのに有用であり得る。
【0406】
本開示は、以下の実施例を参照することによって、より十分に理解されるであろう。しかしながら、これらは、本開示の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。本開示全体にわたる全ての引用は、参照により明示的に本明細書に援用される。
【実施例】
【0407】
実施例1:抗ソルチリン抗体の産生、特定及び特徴付け
序文
抗ソルチリン抗体は、例えば、WO2009/036379、WO2010/105256、WO2012/009568、US2009/0181855及びUS2010/0056386に開示されているような確立された酵母による抗体提示ライブラリを使用して特定することができる。このようなライブラリを使用して、ソルチリンと、プログラニュリン及び/もしくはpro-NGFなどのソルチリンリガンドとの間の相互作用を遮断する抗ソルチリン抗体、ならびに/またはマウスソルチリン、ラットソルチリン及び/もしくは霊長類ソルチリンなどの他の哺乳動物ソルチリンタンパク質と交差反応する抗ソルチリン抗体を特定することができる。
【0408】
あるいは、Patrick Chames(ed.),Antibody Engineering:Methods and Protocols,Second Edition,Methods in Molecular Biology,vol.907,Springer Science+Business Media,LLC 2012 Chapter 15,Selection of Antibody Fragments by Yeast Display by Nathalie Schollerに記載されているような標準的な酵母ディスプレイスクリーニングプロトコルを使用することができる。
【0409】
抗体はまた、Antibody Engineering:Methods and Protocols,Second Edition,Methods in Molecular Biology,vol.907,Springer Science+Business Media,LLC 2012に記載されているものなどの任意の他の確立された抗体産生法によっても作製することができる。
【0410】
次いで、ソルチリンとそのリガンドとの間の相互作用を阻害する抗体の能力を、多数の確立された生化学的アッセイ及び/またはセルベースアッセイ、例えば、限定するものではないが、表面プラズモン共鳴分析、共免疫沈降、プルダウンアッセイ、セルロース結合タンパク質アッセイ、β-ガラクトシダーゼ相補性アッセイ、細胞集団FRETアッセイ、近接ライゲーションアッセイ及び細胞結合アッセイにおいて検証することができる。
【0411】
本明細書に記載されるように、85の抗ソルチリン抗体を特定し、特徴付けを行った。
【0412】
材料及び方法
単量体及びFc結合ヒト及びマウスソルチリンの作製
ソルチリン抗原の哺乳動物発現は、cDNAに基づく合成遺伝子を哺乳動物発現ベクターにクローニングし、続いて、HEK293T細胞で一過性トランスフェクション及び発現させることにより実施した。構築物は、Fc融合構築物のための異種シグナルペプチド及びヒトIgG1 Fcを含んだ。簡潔に述べれば、目的の抗原を含有する発現ベクターをトランスフェクション試薬と複合体化させ、続いて、HEK293T細胞に1時間曝露させた後、400万細胞/mLの最終密度になるように培養培地を希釈することによって、トランスフェクションを行った。次いで、細胞を、48時間ごとに新鮮なフィード培地にして、7日間培養した。7日後、遠心分離して上清を回収し、タンパク質Ni-セファロースを使用して、また必要に応じて、95%を越える非凝集単量体含有量を達成するためにSECカラム精製を使用して、精製を行った。ソルチリン単量体抗原は、改変されたヒンジ領域を有するソルチリンFc融合抗原をFabRICATOR(IdeS)プロテアーゼ(Genovis、カタログ番号A2-FR2-1000)で断片化することによって調製し(Lynaugh et al.,MAbs.2013 Oct;5(5):641-45)、続いて、タンパク質Aアフィニティー精製により未消化のFc融合タンパク質を除去し、SECにより凝集した単量体を除去した。
【0413】
ビオチン化したソルチリン及びプログラニュリン
タンパク質の試薬ビオチン化は、EZ-Link Sulfo-NHS-ビオチン化キット(Thermo Scientific、カタログ番号21425)を使用して実施した。
【0414】
ソルチリン及びプログラニュリンを約1mg/mLに濃縮し、PBSにバッファー交換した後、モル比1:7.5のビオチン化試薬(EZ-Link Sulfo-NHS-ビオチン化キット、Thermo Scientific、カタログ番号21425)を添加した。混合物を4℃で一晩保持した後、もう1度バッファー交換して溶液中の遊離ビオチンを除去した。ビオチン化は、ForteBioにおける標識タンパク質のストレプトアビジンセンサー結合によって確認した。
【0415】
ソルチリン抗体スクリーニング
約109の多様性をそれぞれ有する8つのナイーブヒト合成酵母ライブラリを、先に記述のとおりに、設計し、作製し、増殖させた(例えば、Xu et al,2013、WO2009036379、WO2010105256、WO2012009568、Xu et al.,Protein Eng Des Sel.2013 Oct;26(10):663-70参照)。ヒトソルチリンFc融合抗原選択のための8つのナイーブライブラリと、ヒトソルチリン単量体選択のための8つのライブラリの2つのプールとを使用して、10の並行選択を実施した。選択の最初の2ラウンドには、Miltenyi MACsシステムを利用する磁気ビーズソーティング法を、本質的に記載のとおりに実施した(Siegel et al.,J Immunol Methods.2004 Mar;286(1-2):141-53)。簡潔に述べれば、酵母細胞(約1010細胞/ライブラリ)を、3mlの10nMビオチン化ソルチリンFc融合抗原または100nMビオチン化ソルチリン単量体抗原とともに、0.1%BSA含有FACS洗浄バッファーPBS中、室温で15分間インキュベートした。氷冷洗浄バッファー50mlで1回洗浄した後、細胞ペレットを洗浄バッファー40mL中に再懸濁し、この酵母に500μlのストレプトアビジンマイクロビーズ(Miltenyi Biotec(Bergisch Gladbach,Germany)カタログ番号130-048-101)を添加し、4℃で15分間インキュベートした。次に、酵母をペレット化し、洗浄バッファー5mL中に再懸濁し、MACS LSカラム(Miltenyi Biotec(Bergisch Gladbach,Germany)カタログ番号130-042-401)に充填した。5mLの充填後、3mlのFACS洗浄バッファーでカラムを3回洗浄した。次いで、カラムを磁界から取り外し、5mLの成長培地で酵母を溶出し、次いで、一晩成長させた。以下の4ラウンドのソーティングを、フローサイトメトリーを使用して実施した。約1×108個の酵母をペレット化し、洗浄バッファーで3回洗浄し、10nMビオチン化ソルチリンFc融合抗原または100nMビオチン化ソルチリン単量体抗原とともに、室温で10分間インキュベートした。次いで、酵母を2回洗浄し、1:100に希釈したヤギ抗ヒトF(ab’)2 κ-FITC(Southern Biotech(Birmingham,Alabama)、カタログ番号2062-02)と、1:500に希釈したストレプトアビジン-Alexa Fluor 633(Life Technologies(Grand Island,NY)、カタログ番号S21375)または1:50に希釈したExtravidin-フィコエリスリン(Sigma-Aldrich(St Louis)、カタログ番号E4011)のいずれかの二次試薬で4℃で15分間、染色した。氷冷洗浄バッファーで2回洗浄した後、細胞ペレットを洗浄バッファー0.4mL中に再懸濁し、ストレーナーキャップ付きソートチューブに移した。ソーティングは、FACS ARIAソーター(BD Biosciences)を使用して行い、ソートゲートは、第1ラウンドについてはソルチリン結合クローンのみを選択するように決定し、第2ラウンドは試薬結合体、多特異性結合体(Xu et al.,PEDS.2013 Oct;26(10):663-70)及び対照タンパク質であるヒトSorCS1 HISタグ付き単量体への結合体を減らすためのネガティブソートとした。第3ラウンドは、10nMヒト及びマウスソルチリンFc融合抗原、100nMヒトソルチリン単量体抗原による標識、ならびに500nMプログラニュリンと予め複合体化させたソルチリン抗原(10nM)を使用したプログラニュリンとの競合を利用した。プログラニュリンと競合する酵母を得るために、ソルチリンFc融合抗原結合体を濃縮するための最終ラウンドを実施した。ソーティングの最終ラウンド後、酵母を播種し、個々のコロニーを特徴付けのために採取した。
【0416】
第2及び第4FACSソーティング選択ラウンド産出物から得た重鎖を使用して、更なる選択のために使用する軽鎖多様化ライブラリを作製した。これらの選択に関して、第1選択ラウンドは、Miltenyi MACsビーズ及び10nMヒトソルチリンFc融合抗原による標識を利用した。4ラウンドのFACSソーティングを続けた。第1ラウンドは、100nMヒトソルチリン単量体抗原を使用した。第2FACSラウンドは、試薬結合体、多特異性結合体及び対照タンパク質であるヒトSorCS1 HISタグ付き単量体への結合体への結合を減らすためのネガティブソートとした。最後の2ラウンドは、最も親和性の高い結合体を選択するためのヒトソルチリン単量体滴定(100nM、10nM及び1nM)、100nMマウスソルチリン単量体、及び濃縮された集団における競合物発現を評価するための対照3E3抗体との競合を利用した。ソーティングの最終ラウンド後、酵母を播種し、個々のコロニーを特徴付けのために採取した。
【0417】
抗体IgG及びFabの産生及び精製
酵母クローンを飽和まで成長させ、次いで、振盪しながら30℃で48時間誘導した。誘導後、酵母細胞をペレット化し、精製のために上清を回収した。タンパク質Aカラムを使用してIgGを精製し、酢酸(pH2.0)で溶出した。パパイン消化によってFab断片を生成し、CaptureSelect IgG-CH1アフィニティーマトリックス(LifeTechnologies、カタログ番号1943200250)で精製した。
【0418】
ForteBio結合実験
ソルチリン抗体の親和性は、そのKDをForteBioで測定することによって決定した。ForteBio親和性測定は、概ね、先に記載のとおりに実施した(Estep et al.,MAbs.2013 Mar-Apr;5(2):270-8)。簡潔に述べれば、ForteBio親和性測定は、IgGをAHQセンサー上にオンラインで充填することによって実施した。センサーをアッセイバッファー中で30分間オフラインで平衡化し、次いで、ベースライン確立のために、オンラインで60秒間モニタリングした。強結合(avid binding)を測定するために、IgGを充填したセンサーを100nM抗原(ヒトまたはマウスソルチリンFc融合体)に3の間曝露し、その後、解離速度測定のために、アッセイバッファーに3分間移した。更なる強結合について、ビオチン化ソルチリン単量体をSAセンサー上に充填し、溶液中約100nMのIgGに曝露することによって決定した。一価結合測定は、ヒトまたはマウスソルチリンFc融合抗原をAHQセンサーに充填し、続いて、約100nMソルチリン抗体Fabに曝露することによって得た。更なる一価測定については、ビオチン化ヒトまたはマウスソルチリン単量体をSAセンサーに充填し、続いて、溶液中約100nMのFabに曝露することによって行った。
【0419】
ForteBio提供のデータ解析ソフトウェアにおける1:1結合モデルを使用して、カイネティクスデータのフィッティングを行った。
【0420】
エピトープビニング
抗ソルチリン抗体のエピトープビニングは、標準的なサンドイッチ形式のビニングアッセイを使用して、ForteBio Octet Red384システム(ForteBio(Menlo Park,CA))で実施した。対照の抗標的IgGをAHQセンサー上に充填し、センサー上の非占有Fc結合部位を非関連ヒトIgG1抗体でブロッキングした。次いで、センサーを100nM標的抗原に曝露し、続いて、抗標的二次抗体に曝露した。ForteBioのデータ解析ソフトウェア7.0を使用してデータを処理した。抗原結合後の二次抗体による更なる結合は非占有エピトープ(非競合物)を指し、一方、結合なしはエピトープブロッキング(競合物)を指す。このプロセスを4つの対照抗体:(i)ソルチリンのドメイン1に結合する3E3(ビン1)、(ii)ソルチリンのドメイン2に結合するS-29(ビン2_、(iii)ソルチリンのドメイン3に結合するS-3(ビン3)、及びソルチリンのドメイン4に結合するS-40(ビン4)に関して反復した。抗体ビンを以下の表5に列挙する。同様のビニング法を使用して、抗ソルチリン抗体と全長ヒトまたはマウスプログラニュリンとの間の競合及び抗ソルチリン抗体とC末端プログラニュリンペプチドとの間の競合を決定した。
【0421】
プログラニュリン競合アッセイ
全ての実験をForteBio HTX機器で実施した。全ての試料をPBSF(PBS中0.1%BSA)に希釈した。浸漬及び読み取りのForteBioの全工程は、1000rpmでの振盪を伴った。
【0422】
プログラニュリンに関する競合は、3回のForteBioアッセイを利用して評価した。
【0423】
アッセイ1:ビオチン化プログラニュリンC端末ペプチドとのプログラニュリン競合実験
分析前に、SAセンサーをPBS中に10分間浸した。分析前に、空のセンサーを100nMのビオチン化プログラニュリン(PGRN)C末端ペプチド(Bio-TKCLRREAPRWDAPLRDPA LRQLL(配列番号693))中に浸漬し、次いで、PBSF中に少なくとも10分間浸した。引き続いて、このペプチド充填チップをPBSF(60秒)、ヒトソルチリン単量体(100nM)(3分間)、そして最後に100nM抗体に浸漬した。データを、ForteBioデータ解析ソフトウェアバージョン8.1.0.36で解析するために以下のように準備した。データをy軸に並べ、工程間補正をソルチリン捕捉工程の開始に合わせ、次いで、ソルチリン捕捉工程及び抗体相互作用工程のみを示すように切り出した。所与の試験ソルチリン抗体溶液を添加したときに結合シグナルが観察されなかったアッセイは、試験ソルチリン抗体結合部位がソルチリン表面上のPRGN-ペプチド結合部位と重複することを示している。所与の試験ソルチリン抗体溶液を添加したときに結合シグナルが観察されたアッセイは、試験ソルチリン抗体がPRGNペプチドのソルチリンへの結合を遮断しないことを示している。
【0424】
アッセイ2:ビオチン化ヒトソルチリン単量体とのプログラニュリン競合実験
分析前に、SAセンサーをPBS中に10分間浸した。分析前に、空のセンサーをビオチン化ヒトソルチリン単量体(100nM)中に浸漬し、次いで、PBSF中に10分間浸した。引き続いて、ソルチリン充填チップをPBSF(1分)、プログラニュリン(1.0uM)(3分)、そして最後に100nM抗体に浸漬した。データを、ForteBioデータ解析ソフトウェアバージョン8.1.0.36で解析するために以下のように準備した。データをy軸に並べ、工程間補正をプログラニュリン捕捉工程の開始に合わせ、次いで、プログラニュリン捕捉工程及び抗体相互作用工程のみを示すように切り出した。所与の試験ソルチリン抗体溶液を添加したときに結合シグナルが観察されなかったアッセイは、試験ソルチリン抗体結合部位がソルチリン表面上のプログラニュリン結合部位と重複することを示している。所与の試験ソルチリン抗体溶液を添加したときに結合シグナルが観察されたアッセイは、ソルチリン抗体がプログラニュリンのソルチリンへの結合を遮断しないことを示している。
【0425】
アッセイ3:ビオチン化プログラニュリンとのプログラニュリン競合実験
分析前に、SAセンサーをPBS中に10分間浸した。分析前に、空のセンサーをビオチン化プログラニュリン(100nM)中に浸漬し、次いで、PBSF中に10分間浸した。引き続いて、プログラニュリン充填チップをPBSF(1分)、100nMヒトソルチリン単量体(3分)、そして最後に100nM抗体に浸漬した。データを、ForteBioデータ解析ソフトウェアバージョン8.1.0.36で解析するために以下のように準備した。データをy軸に並べ、工程間補正をソルチリン捕捉工程の開始に合わせ、次いで、ソルチリン捕捉工程及び抗体相互作用工程のみを示すように切り出した。所与の試験ソルチリン抗体溶液を添加したときに結合シグナルが観察されなかったアッセイは、ソルチリン抗体結合部位がソルチリン表面上のプログラニュリン結合部位と重複することを示している。所与の試験ソルチリン抗体溶液を添加したときに結合シグナルが観察されたアッセイは、ソルチリン抗体がプログラニュリンのソルチリンへの結合を遮断しないことを示している。
【0426】
結果
抗ソルチリン抗体産生
ソルチリン、特にヒトソルチリン(配列番号1)のアミノ酸残基78~611に位置するVps10pドメイン内に結合する抗体を、上記のとおり、8つのナイーブヒト合成酵母ライブラリから特定した。合計で85の抗体が生成された(S-1~S-85)。次いで、これらの抗体をソルチリン結合についてスクリーニングした。
【0427】
抗体の重鎖及び軽鎖可変ドメイン配列
標準的技法を使用して、生成された抗体の重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインをコードするアミノ酸配列を決定した。各抗体のEUまたはKabat CDR配列を表1に記載する。各抗体のEUまたはKabat軽鎖フレームワーク配列を表2に記載する。各抗体のKabat重鎖フレームワーク配列を表3に記載する。
【0428】
ソルチリン抗体結合の特徴付け
抗ソルチリン抗体の最初の特徴付けは、組換えヒトソルチリン(hSort)または組換えマウスソルチリン(mSort)のいずれかを発現するヒト胎児腎細胞(293)細胞上に発現されたソルチリンへの結合能力を決定することを含んだ。細胞を採取し、96ウェルプレートに105/mlで播種し、洗浄し、10μg/ml Mab及び2%FBSを含有する100μlのPBS中、1時間、氷中でインキュベートした。次いで、細胞を2回洗浄し、5μg/mlのPE結合抗ヒト二次抗体を含有する100μlのPBS+2%FBS中、30分間、氷中でインキュベートした。冷PBS中で細胞を2回洗浄し、BD FACS Cantoでデータを取得した。データ解析及びMFI値の計算は、FlowJo(TreeStar)ソフトウェアバージョン10.0.7で行った。
【0429】
ソルチリン抗体S1~S85が結合した各細胞型の中央蛍光強度(MFI)値を表4に列挙する。結合を親細胞株(293)と比較する。表4の結果により、S1~S85は、細胞膜上にヒト及びマウスソルチリンを過剰発現する細胞株に特異的に結合するが、ソルチリンを発現しない対照細胞株には結合しないことが示されている。
【0430】
各抗ソルチリン抗体の結合親和性を、そのKDをForteBioまたはMSD-SETにより室温で測定することによって決定した。ForteBio親和性測定は、先に記載のとおりに実施した(Estep et al,(2013)MAbs 5(2):270-8)。簡潔に述べれば、ForteBio親和性測定は、IgGをAHQセンサー上にオンラインで充填することによって実施した。センサーをアッセイバッファー中で30分間オフラインで平衡化し、次いで、ベースライン確立のために、オンラインで60秒間モニタリングした。IgGを充填したセンサーを100nM抗原に5分間曝露し、次いで、解離速度測定のためにアッセイバッファーに5分間移した。1:1結合モデルを使用してカイネティクスを解析した。
【0431】
平衡親和性測定は、先に記載のとおりに実施した(Estep et al,(2013)MAbs 5(2):270-8)。溶液平衡滴定(SET)は、抗原を50pMに一定に保持したPBS+0.1%IgG不含BSA(PBSF)中で、10nMから開始する3~5倍連続希釈の抗体とともにインキュベートして、実施した。標準的な結合MSD-ECLプレートに抗体(PBS中20nM)を4℃で一晩または室温で30分間コートした。次いで、700rpmで振盪しながらプレートを30分間ブロッキングし、続いて、洗浄バッファー(PBSF+0.05%Tween 20)で3回洗浄した。SET試料をプレートに加え、700rpmで振盪しながら、150秒間インキュベートした後、1回洗浄した。プレート上に捕捉された抗原を、PBSF中250ng/mLのスルホタグ標識ストレプトアビジンにより、プレート上で3分間インキュベーションすることによって検出した。プレートを洗浄バッファーで3回洗浄し、次いで、1×リードバッファーT(界面活性剤を含む)を使用してMSD Sector Imager 2400機器で読み取った。遊離抗原のパーセントを、滴定した抗体の関数としてPrismでプロットし、二次方程式に当てはめ、KDを導出した。スループットを向上させるために、SET試料調製を含む、MSD-SET実験全体を通して、液体処理ロボットを使用した。
【0432】
表5は、ヒトソルチリンFc融合タンパク質(hSort-Fc)及びマウスソルチリンFc融合タンパク質(mSort-Fc)に対する抗体S1~S85の結合親和性(K
D)、ならびに抗体が属するビンを示す値を列挙する。同じビンに属する抗体は、ソルチリンへの結合に関して互いに競合する。表5中、「N.B.」は結合なしに対応し、「P.F.」は、カーブフィットが良好でないことに対応する。
【0433】
実施例2:ソルチリン抗体のエピトープマッピング
ソルチリン抗体を、ヒトソルチリンタンパク質全体にわたる15merまたは25merペプチドに結合する能力について試験した。
【0434】
ヒトソルチリン(配列番号1)の配列に基づいて、14残基が重複する15merの線状ペプチドを合成した。加えて、ヒトソルチリン(配列番号1)の配列に基づいて、24残基が重複する25merの線状ペプチドを合成した。ペプチドは、標準的なFmoc化学反応を使用して合成し、スカベンジャーを含むトリフルオロ酸(trifluoric acid)を使用して脱保護した。ソルチリン抗体の合成ペプチドのそれぞれへの結合をELISAに基づく方法で試験した。このアッセイにおいて、ペプチドアレイを一次抗体溶液とともにインキュベートした(4℃で一晩)。洗浄後、ペプチドアレイを抗体ペルオキシダーゼ複合体(SBA、カタログ番号2010-05)の1/1000希釈物とともに25℃で1時間インキュベートした。洗浄後、ペルオキシダーゼ基質の2,2’-アジノ-ジ-3-エチルベンゾチアゾリンスルホン酸塩(ABTS)及び2μl/mlの3%H2O2を添加した。1時間後、発色を測定した。発色は、電荷結合素子(CCD)カメラ及び画像処理システムで定量した。
【0435】
ソルチリン結合領域を6つの抗ソルチリン抗体:S-1、S-8、S-44、S-49、S-65及びS-78について決定した。結合領域を表6に示す。
図1は、6つの抗ソルチリン抗体が結合した領域を示す、ヒトソルチリンの模式図を示す。
【0436】
表6に示すように、抗体S-1によって認識されたペプチドは、配列番号1のアミノ酸残基623~632に対応し、HSTDPEDYED(配列番号708)のアミノ酸配列を有する。抗体S-8によって認識されたペプチドは、配列番号1のアミノ酸残基429~443に対応し、ITFDQGGRWTHLRKP(配列番号709)のアミノ酸配列を有する。抗体S-44によって認識されたペプチドは、配列番号1のアミノ酸残基740~749に対応し、CTSNFLSPEK(配列番号710)のアミノ酸配列を有する。抗体S-49によって認識されたペプチドは、配列番号1のアミノ酸残基233~243に対応し、LSTENGLWVSK(配列番号711)のアミノ酸配列を有する。抗体S-65によって認識されたペプチドは、配列番号1のアミノ酸残基175~181に対応し、GPENSGK(配列番号712)のアミノ酸配列を有する。抗体S-78によって認識されたペプチドは、配列番号1のアミノ酸残基212~221に対応し、LPFHPLTQMM(配列番号713)のアミノ酸配列を有する。各抗体が結合したペプチドを
図1に示す。S-1によって認識されたペプチドを緑で示し、S-65によって認識されたペプチドを赤で示し、S-49によって認識されたペプチドを青で示し、S-78によって認識されたペプチドを黄で示し、S-44によって認識されたペプチドをピンクで示し、S-8によって認識されたペプチドを紫で示す。
【0437】
実施例3:ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用の特徴付け
序文
ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用は、ForteBio及び表面プラズモン共鳴分析を使用して特徴付けを行った(例えば、Skeldal,S et al.,(2012)J Biol Chem.,287:43798、及びAndersen,OS et al.,(2010)THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY,285,12210-12222)。
【0438】
材料及び方法
表面プラズモン共鳴(SPR)分析を使用して、ソルチリン(SORT1)とプログラニュリン(PGRN)との間の相互作用の特徴付けを行った(例えば、Skeldal,S et al.,(2012)J Biol Chem.,287:43798、及びAndersen,OS et al.,(2010)THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY,285,12210-12222参照)。
【0439】
遮断抗ソルチリン抗体の存在下または非存在下における、ヒトまたはマウスプログラニュリンの固定化ソルチリンへの直接的な結合、及びヒトまたはマウスソルチリンの固定化プログラニュリンへの結合の決定を、Biacore2000機器(Biacore(Sweden))で、CaHBSを標準ランニングバッファー(10mM HEPES、pH7.4、140mM NaCl、2mM CaCl2、1mM EGTA及び0.005%Tween 20)として使用して実施した。
【0440】
Biacore(CM5、カタログ番号BR-1000-14)のバイオセンサーチップを供給者の記載によるNHS/EDC法を使用して活性化した後、ソルチリンを79fmol/mm2のタンパク質密度までコーティングし、天然プログラニュリンタンパク質の親和性測定に使用した。リガンド結合実験の各サイクル後のフローセルの再生は、再生バッファー(10mMグリシン-HCl、pH4.0、500mM NaCl、20mM EDTA及び0.005%Tween 20)10μlのパルス2回及び0.001%SDSの単回注入により行った。親和性推定のためのセンサーグラムのフィッティングを、BIAevaluationバージョン3.1を使用することによって、行った。同様のプロトコルに従って、His-プログラニュリンの固定化についても、NHS/EDCカップリングキットを製造者の説明書(Biacore(Sweden))に従って使用してCM5バイオセンサーチップ上で行い、同様の表面密度の固定化タンパク質(約300fmol/mm2)を得た。プログラニュリンが固定化されたバイオセンサーチップは、競合ソルチリン抗体の非存在下または存在下におけるソルチリンの結合を試験するためにも使用した。
【0441】
プログラニュリンと抗ソルチリン抗体との間のリガンド競合を、上記実施例1に記載したソルチリン抗体のエピトープビニングと同様に実施した。簡潔に述べれば、標準的なサンドイッチ形式のビニングアッセイを使用して、Forte Bio Octet Red384システム(Pall Forte Bio Corporation(Menlo Park,CA))で競合アッセイを実施した。対照の抗標的IgGをAHQセンサー上に充填し、センサー上の非占有Fc結合部位を非関連ヒトIgG1抗体でブロッキングした。次いで、センサーを100nM標的抗原に曝露し、続いて、抗標的二次抗体に曝露した。ForteBioのデータ解析ソフトウェア7.0を使用してデータを処理した。抗原結合後の二次抗体による更なる結合は非占有エピトープ(非競合物)を指し、一方、結合なしはエピトープブロッキング(競合物)を指す。
【0442】
結果
ソルチリンとのプログラニュリン結合の特徴付け
ソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用について、最初に、SPR及びELISA分析を使用して特徴付けを行った。
図2Aは、Biacore SPRを使用して実施したHis捕捉SORT1へのPGRN結合のカイネティクス解析を示す。簡潔に述べれば、抗His抗体(GEからのキット)で固定化したCM5センサーチップ上にソルチリンを捕捉した。HBS結合バッファー中、種々の濃度でプログラニュリンを流した。親和性推定のためのセンサーグラムのフィッティングを、BIAevaluationバージョン3.1を使用することによって、行った。この結果は、ヒトプログラニュリンが14.3nMのK
Dでヒトソルチリンに結合することを示している。
【0443】
ソルチリンとプログラニュリンとの間の結合をELISAでも確認した。簡潔に述べれば、ヒトまたはマウスソルチリン(R&D Systems)をELISAプレート(PBS中2μg/ml)上に一晩固定化した。プレートを洗浄バッファー(PBS+0.05%TWEEN20)中で洗浄し、結合バッファー(PBS+1%BSA)により37℃で1時間ブロックした。組換えヒトまたはマウスプログラニュリン(Adipogen)をThermoScientific/PierceのEZ-Link Micro NHS-PEG4キットでビオチン化した。ビオチン化プログラニュリンを種々の濃度で固定化ソルチリンに添加し、室温で30分間インキュベートした。プレートを洗浄バッファー中で3回洗浄し、ストレプトアビジン-HRP(結合バッファー中1:200、R&D Systems)とともに20分間インキュベートした。プレートを再度3回洗浄し、発色するまでTMB基質溶液とともにインキュベートした。50ulの2N硫酸の添加によって反応を停止し、Biotek Synergy H1プレートリーダーを使用して色を定量した。データを解析し、Prismでフィッティングを行った。
【0444】
図2Bは、ELISAプレート上の固定化ヒトソルチリンへのビオチン化ヒトプログラニュリンの結合を示し(OD=光学密度)、
図2Cは、ELISAプレート上の固定化マウスソルチリンへのビオチン化マウスプログラニュリンの結合を示す。結果は、ヒトプログラニュリンが14nMのK
Dでヒトソルチリンに結合し、マウスプログラニュリンが40nMのK
Dでマウスソルチリンに結合することを示している。
【0445】
プログラニュリンペプチドとの抗体競合アッセイ
図3Aは、ソルチリンに結合する抗ソルチリン抗体の能力を決定し、結合(すなわち、K
D)を定量するためのForteBio分析スキームを示す。図中、「RU」は、レスポンスユニットを指す。例示的な結果を、0.8nMのK
Dを有することが算出された抗体S-14に関して示す。
【0446】
ソルチリンタンパク質との抗体競合アッセイ
図3Bは、種々のForteBio競合分析スキームを示す。左の列は、SAセンサー上に結合させたビオチン化プログラニュリンペプチドと、組換えヒトソルチリン(単量体)及び抗ソルチリンIgG抗体とを使用したForteBio競合分析を示す(左の列参照、SORT=ソルチリン、PGRN=プログラニュリン、b=ビオチン化、H=ヒト、mono=単量体)。
【0447】
図3Bの中央の列は、SAセンサー上に結合させたビオチン化単量体ヒトソルチリンタンパク質と、ヒト天然全長プログラニュリン及び抗ソルチリン抗体とを使用したForteBio競合分析を示す。
【0448】
図3Bの右の列は、SAセンサー上に結合させたビオチン化ヒトプログラニュリンタンパク質と、ヒトソルチリン単量体及び抗ソルチリン抗体とを使用したForteBio競合分析を示す。
【0449】
抗体競合アッセイの結果
図4Aは、
図3A及び3Bに示された3つの異なるForteBio解析から得られた結果を示す。ソルチリン(SORT1)へのプログラニュリン(PGRN)結合を遮断する抗ソルチリン抗体のいくつかの例を示す。
【0450】
図4Aの左の列は、
図3Bの左の列に記載する、SORT1に結合するPGRNペプチドがセンサーチップ上に固定化された結合設定を示す。SORT1を結合させ、次いで、試験抗ソルチリン抗体が結合できるかどうかを試験した。ソルチリンに結合することができた抗体は、非競合物とみなした。結果は、抗体S-20及びS-22が非競合物であるのに対し、抗体S-14は競合物であることを示している。
【0451】
図4Aの中央の列は、
図3Bの中央の列に記載する、ビオチン化SORT1単量体がセンサーチップ上に固定化された結合設定を示す。全長PGRNタンパク質を結合させ、次いで、試験抗ソルチリン抗体が結合できるかどうかを試験した。ソルチリンに結合することができた抗体は、非競合物とみなした。結果は、抗体S-20が非競合物であるのに対し、抗体S-14及びS-22は競合物であることを示している。
【0452】
図4Aの右の列は、
図3Bの右の列に記載する、ビオチン化PGRNタンパク質がセンサーチップ上に固定化された結合設定を示す。SORT1を結合させ、次いで、試験抗ソルチリン抗体が結合できるかどうかを試験した。ソルチリンに結合することができた抗体は、非競合物とみなした。結果は、抗体S-20及びS-22が非競合物であるのに対し、抗体S-14は競合物であることを示している。
【0453】
図4Aの結果は、全ての抗ソルチリン抗体が競合物であるわけではなく、抗体S-22などの一部の抗体は、1または2つの形態で非競合物として作用するが、他の形態(複数可)では競合物として作用し得ることを示している。
【0454】
図4Bは、Biacore SPRをpH6.4及びpH7.4で使用した、抗ソルチリン抗体(S-5、S-8、S-49、S-60、S-63、S-64、S-72及びS-83)のHis捕捉ソルチリン(SORT1)への結合を示す。
【0455】
表7は、抗体S1~S85を用いて実施したSPR競合アッセイの結果を示す。表7の縦2列目は、
図3Bの左の列に記載するアッセイに対応する。表7の縦3列目は、
図3Bの中央の列に記載するアッセイに対応する。表7の縦4列目は、
図3Bの右の列に記載するアッセイに対応する。表7中、「hPGRN」はヒトプログラニュリンを指し、「あり」は抗体が所与の形態で遮断したことを示し、「なし」は抗体が所与の形態で遮断しなかったことを示す。
【0456】
実施例4:セルベースアッセイを利用したソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用の特徴付け
材料及び方法
組換えヒトまたはマウスプログラニュリン(Adipogen)を、ThermoScientific/PierceのEZ-Link Micro NHS-PEG4キットを製造者の説明書に従って使用してビオチン化した。HEK293T細胞のウイルス感染及びハイグロマイシンによるポジティブ選択(Genscript受託プロジェクト)によって、タグなし全長ヒトソルチリンを発現する安定な細胞株を確立した。全長マウスソルチリンをpCMV-AC-IRES-GFP(Origene)にクローニングし、このプラスミドをHEK293T細胞にFugene HD(Promega)を使用して一過性トランスフェクトした。対照細胞として、親HEK293T細胞または全長ヒトSORCS1(pCMV-AC-IRES-GFPにクローニング)を発現するHEK293T細胞のいずれかを利用した。
【0457】
ソルチリン発現細胞または対照細胞を回収し、PBS中で洗浄した。抗ソルチリン抗体(10μg/ml)または対照ヒトIgG1アイソタイプ抗体含有または非含有のPBS+2%FBS中にビオチン化ヒトまたはマウスプログラニュリンを添加し、氷上で2時間インキュベートした。PBS+2%FBS中で細胞を3回洗浄した後、細胞をストレプトアビジン-APC(BD Biosciences、1:100)中、氷上で30分間インキュベートした。次いで、細胞を再度洗浄し、PBS+2%FBS中に再懸濁し、FACSCanto(商標)フローサイトメーター(BD Biosciences(Mississauga,ON))で分析した。PGRN結合を、ソルチリン発現細胞集団のAPCの中央蛍光強度として測定した。
【0458】
結果
ソルチリンに対するプログラニュリン結合
HEK293T細胞の表面上に発現されたヒトまたはマウスソルチリン(SORT1)に対する、ビオチン化ヒトプログラニュリン(PGRN)またはビオチン化マウスPGRNの結合能力を分析した。ソルチリンを発現するHEK293T細胞または対照細胞にビオチン化プログラニュリンを漸増濃度(0nM~100nM)で添加し、FACSCanto(商標)を使用して結合を分析した。
【0459】
図5Aは、HEK293T細胞上に発現された組換えSORT1に対するヒトPGRNの用量依存的結合を示すFACSプロットである。
図5Bに示すように、PGRNは、対照細胞への結合をあまり示さない。
【0460】
図5C及び5Dは、組換えソルチリンを発現しない対照細胞と比較した、HEK293T細胞上に発現された組換えヒトソルチリン(SORT)に対するヒトPGRN結合(
図5C)またはHEK293T細胞上に発現されたマウスソルチリン(SORT1)に対するマウスPGRN結合(
図5D)の濃度に対してプロットした中央蛍光強度(MFI)を示す。結果は、PGRNが用量依存的にソルチリンに結合することを示している。
【0461】
プログラニュリン結合を遮断することができるソルチリン抗体
抗ソルチリン抗体がプログラニュリンのソルチリンへの結合を遮断することができるかどうかを試験するために、ヒトまたはマウスソルチリン発現細胞を、15nMのビオチン化ヒトまたはマウスプログラニュリンとともに、67nMの抗ソルチリン抗体とともにインキュベートした。セルベースプログラニュリン競合アッセイの結果を表8に示す。抗ソルチリン抗体は、プログラニュリンを遮断する能力に幅があることを示す。抗体S-64、S-63、S-60、S-05、S-49、S-72、S-06、S-76、S-83及びS-65が上位のプログラニュリン遮断抗体であることが特定された。
【0462】
表8中、「hPGRN」はヒトプログラニュリンを指し、「mPGRN」はマウスプログラニュリンを指し、「hSort」ヒトソルチリンを指し、「mSort」はマウスソルチリンを指す。
【0463】
上位のプログラニュリン遮断抗ソルチリン抗体の遮断能力を試験するために、ソルチリン発現HEK293T細胞を、15nMのビオチン化ヒトまたはマウスプログラニュリンとともに、漸増濃度の抗ソルチリンまたは対照抗体とともにインキュベートした。中央蛍光強度を測定し、Prismでカーブフィッティングを行い(非線形回帰:3つのパラメータによる阻害物質の対数対用量反応)、遮断定数を決定した。
【0464】
図6A~6Dは、抗ソルチリン抗体が、HEK293T細胞上に発現されたヒトソルチリンへのヒトプログラニュリンの結合及びHEK293T細胞上に発現されたマウスソルチリンへのマウスプログラニュリンへの結合を用量依存的に阻害することを示している。
図6A及び6Bは、抗体S-5、S-60、S-63、S-64、S-49、S-8、S-76、S-83、S-6、S-65及びS-72がヒトプログラニュリンのヒトソルチリンへの結合を阻害することを示している。
図6C及び6Dは、抗体S-1、S-6、S-26、S-30、S-39、S-44、S-24、S-81及びS-85がマウスプログラニュリンのマウスソルチリンへの結合を阻害するのに対し、抗体S-49はマウスプログラニュリンのマウスソルチリンへの結合を阻害することができず、プログラニュリンのソルチリンへの結合をむしろ上昇させた。
図6A~6Dの結果は、抗体S-6などのある特定の抗ソルチリン抗体が、ヒトとマウスの両方のプログラニュリンのそれぞれのソルチリンタンパク質への結合を阻害することができることを示している。
【0465】
図6Eは、PGRNのソルチリンへの結合を遮断する抗ソルチリン抗体の能力には、段階的な幅があることを示す。抗体飽和濃度(67nM)においてソルチリンに対するプログラニュリン結合の減少が20%以下である抗ソルチリン抗体を、非プログラニュリン遮断抗体と命名した。
【0466】
表9は、
図6に示したデータに基づいて、プログラニュリン(PGRN)のソルチリンへの結合を阻害する抗ソルチリン抗体の能力を定量したものである。表9は、指定抗ソルチリン抗体(150nM IgG)によるソルチリン:プログラニュリン結合の最大半数(IC
50)遮断及び最大遮断率(%)を示す。「NT」は、試験しなかった抗体を指す。
【0467】
ソルチリン抗体の組み合わせによるプログラニュリン遮断の増加
図7は、プログラニュリン結合を遮断する抗ソルチリン抗体の組み合わせの相乗効果を示す。簡潔に述べれば、組換えヒトソルチリンを発現するHEK293T細胞を、15nMビオチン化プログラニュリンと、67nMのS-49もしくはS-64もしくはS-16抗体に67nMのアイソタイプ対照抗体を加えたもの、またはS-49もしくはS-64もしくはS-16の互いの異なる組み合わせ(各抗体67nM)とともにインキュベートした。結合したプログラニュリンをストレプトアビジン-APC(1:100、BD Biosciences)によって検出し、APCの中央蛍光強度を定量した。
図7の結果は、ヒトプログラニュリンの遮断が、S-49とS-16の抗体の組み合わせ、S-64とS-16の抗体の組み合わせ、及びS-49とS-64の抗体の組み合わせによって、いずれかの抗体単独のプログラニュリン遮断能力と比較して増加したことを示している。これらの結果は、抗ソルチリン抗体の組み合わせが単一の抗ソルチリン抗体よりも有効であり得ることを示している。
【0468】
ソルチリン発現細胞への結合及びエンドサイトーシスされるプログラニュリン
図8に示す結果については、ソルチリンまたはLacZ(対照)を発現するHEK293T細胞をプログラニュリン(PGRN)とともに37℃で最大60分間インキュベートした。PGRNの時間依存的結合及びエンドサイトーシスが蛍光顕微鏡によって観察された。組換えヒトプログラニュリン(Adipogen)は、DyLight 650(Life Technologies(Carlsbad,CA))で標識した。細胞は、Fugeneを使用してヒトソルチリンまたはlacZ(対照)及びGFPで一過性トランスフェクトし、24時間後に回収した。GFPは、第2のベクター(Topo3.3、Invitrogen)によって発現させるか、またはIRESで分離することによって同じベクター上に位置させた(pCMV6-AC-IRES-GFP、Origene)。全長ソルチリンは、タグなし(Topo3.3)またはC末端mycタグあり(pCMV6-AC-IRES-GFP)のいずれかを使用した。次いで、ポリ-l-リジンがコーティングされた顕微鏡用チャンバーガラススライド上で細胞を培養した。4~6時間後、OptiMem無血清培地中で細胞を洗浄し、遮断剤としてのソルチリンプロペプチド10uM含有または非含有で、40nMプログラニュリン-650を添加した。細胞を37℃で最大60分間インキュベートした。その後、4%パラホルムアルデヒドで細胞を固定し、PBS中で洗浄し、Nikon蛍光顕微鏡で撮像した。
【0469】
図8Aは、DyLight-650蛍光によりアッセイをすると、インキュベーション時間の増加とともに、プログラニュリンのソルチリン発現細胞への結合及びエンドサイトーシスが増加することを示している。対照のLacZタンパク質を細胞が発現した場合、または10μMの遮断ソルチリンプロペプチドとともに細胞をコインキュベートした場合には、無視できる範囲のプログラニュリン結合のみ観察された。
【0470】
図8B~8Eは、プログラニュリンエンドサイトーシス及びプログラニュリンエンドサイトーシスを阻害する遮断ソルチリンプロペプチドの能力を定量するFACSアッセイを示す。蛍光標識したヒトプログラニュリン(PGRN-DyLight650)をヒトソルチリン(Sort)(
図8B)またはマウスソルチリン(Sort)(
図8C)または対照HEK293T細胞に添加し、FACSによりソルチリン発現細胞の中央蛍光強度を測定することによって、結合した及びエンドサイトーシスされたプログラニュリンの量を定量した。
図8D及び8Eは、ヒトSort(
図8D)またはマウスSort(
図8E)によるプログラニュリンのエンドサイトーシスを阻害するソルチリンプロペプチドの能力の定量を示す。
【0471】
実施例5:ソルチリン抗体で処理した細胞の分泌プログラニュリンレベルの増加
プログラニュリンの細胞外レベルの増加
U-251ヒト星細胞腫細胞を96ウェルディッシュに播種し、一晩インキュベートした。翌朝、遮断抗ソルチリン抗体(S-1~S-10、S-12、S-14~S-16、S-18~S-22、S-24~S-26、S-28~S-30、S-32、S-34、S-39、S-40、S-42~S-45、S-48~S-51、S-55、S-57~S-61、S-63、S-64、S-65、S-67、S-69、S-71~S-76、S-78及びS-81~S-85)、ならびにポジティブ遮断抗体(R&D Systemsのヤギ抗ヒトソルチリン(gtSort)、AF3154)及びアイソタイプ対照抗体(ヤギ(gt)IgG、ADI-88(ヒトIgG1)及びADI-89(ヒトIgG1)を最終希釈50nMまたは5nMで添加した後、細胞を72時間インキュベートした。次いで、培地を回収し、R&D SystemsのヒトプログラニュリンDuoset ELISAキットを使用して、培地試料中のプログラニュリンの濃度を測定した。
【0472】
図9A~9Dに示すように、種々の抗ソルチリン抗体を使用してソルチリンに対するプログラニュリン結合を遮断すると、U-251細胞の培地中に分泌されるプログラニュリンの量が最大3倍増加した。
図9A及び9Cは50nMで添加した抗体の結果を示し、
図9B及び9Dは5nMで添加した抗体の結果を示す。
図9A及び9Bの結果は、ビン3/4及び4に属する抗ソルチリン抗体の1クラスのサブセット(例えば、S-8、S-49及びS-60を含む)が、プログラニュリンのソルチリンへの結合を遮断するだけでなく、ソルチリンとプログラニュリンの両方を天然に発現するU-251細胞中の内因性プログラニュリンのレベルを実際に増加させることを示している。更に、
図9C及び9Dの結果は、ソルチリンへのプログラニュリン結合を遮断しないか、ソルチリンへのプログラニュリン結合をごく弱くしか遮断しない、ビン1/2、2及び3に属する第2のクラスの抗ソルチリン抗体(例えば、S-2、S-14、S-15、S-18、S-19、S-20、S-21、S-22、S-29、S-51、S-57、S-61及びS-82を含む)もまた、U-251細胞中の内因性プログラニュリンのレベルの増加を誘導できることを更に示している。
【0473】
ソルチリンの細胞表面レベルの減少
U-251細胞を上述のように50nMの抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベートした後、トリプシンで細胞を回収し、PBS中で洗浄し、抗ソルチリン抗体S-20(この結合はプログラニュリン遮断抗体によって有意に競合されない)で標識した。細胞を5μg/mlのS-20とともに氷上で1時間インキュベートした後、PBS+2%FBS中で細胞を3回洗浄し、次いで、5μg/mlの抗ヒトPE二次抗体(Southern Biotech)とともにインキュベートした。次いで、細胞を再度洗浄し、FACSCanto(商標)を使用してS-20の結合をPEの中央蛍光強度として定量した。
【0474】
図10Aは、ある特定の抗ソルチリン抗体がヒトU-251細胞のソルチリン細胞表面レベルを減少させ、分泌プログラニュリンの最も大きい増加を誘導する抗体(例えば、S-2、S-19及びS-22)がソルチリン細胞表面レベルの最も大きい減少を誘導することを示している。ソルチリン細胞表面レベルを減少させないS-64及びS-5などの抗体は、ソルチリンへのプログラニュリン結合を遮断する能力が抗体S-49、S-60のプログラニュリン遮断能力と同等であるか、それよりも高いにもかかわらず、プログラニュリン細胞外レベルを増加させることはできなかった。
図10Bは、ある特定の抗ソルチリン抗体がマウスNeuro-2A(N2A)細胞のソルチリン細胞表面レベルを減少させたことを示す。全体として、ヒトU-251細胞のソルチリン細胞表面レベルを減少させる抗体は、マウスN2A細胞のソルチリン細胞表面レベルも減少させる。これらの結果は、ソルチリン細胞表面レベルの減少がこれらの抗体の普遍的な活性であり、したがって、当該抗体は、in vitroとin vivoの両方で、他の細胞種のソルチリン細胞表面レベルも減少させることができることを示している。
【0475】
図10C及び10Dは、異なる濃度の抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベートしたU-251細胞の細胞表面ソルチリンレベルを示す。抗ソルチリン抗体は、ソルチリンの細胞表面発現の用量依存的な減少を誘導する。ソルチリンレベルの減少は、ソルチリンに対するS-20抗体結合の蛍光強度(MFI)の減少によって示される。
図10Eは、列挙した抗ソルチリン抗体とともに72時間インキュベートしたU-251細胞の培地中の対応するPGRNレベルの定量(ELISA分析を利用)を示す。ソルチリン細胞表面レベルを減少させる抗ソルチリン抗体は、細胞外PGRNレベルの用量依存的増加ももたらす。
【0476】
図10Fは、ソルチリンの細胞表面レベル(SORT)がプログラニュリンの細胞外レベル(PGRN)の倍増と強い逆の相関があることを示している。これらの結果に基づくと、ソルチリンの細胞表面レベルを減少させる抗ソルチリン抗体はまた、プログラニュリンの細胞外レベルを増加させる。更に、ソルチリンの細胞表面レベルを減少させ、プログラニュリンの細胞外レベルを増加させる抗ソルチリン抗体(例えば、S-49、S-60及びS-8)は、抗体ビン2、3、4または未分類ビンに属する(表5)。したがって、結果は、抗体S-49、S-60及びS-8と同じビンに属する更なる抗ソルチリン抗体(同じビンに属する抗体はソルチリンへの結合について互いに競合する)もまた、ソルチリンの細胞表面レベルを減少させ、プログラニュリンの細胞外レベルを増加させることができることを示している。
【0477】
表10は、ヒトU-251細胞及び/またはマウスN2A細胞においてソルチリンの細胞表面レベルを減少させることができる、及び/またはプログラニュリンの細胞外レベルが増加させることができる抗体を示す。抗体は、活性が最も強いものから最も弱いものの順に列挙する。「N.T.」は、試験しなかった抗体を指す。
【0478】
マウス脳におけるプログラニュリンレベル増加
14ヶ月齢のTg2576マウスに合計240μgのヤギ(gt)抗マウスソルチリン(R&D Systems、AF2934)またはヤギ(gt)IgGポリクローナル抗体またはaCSF緩衝液単独を(埋め込んだAlzet 1002ポンプを介して)2週間注入した(n=3/群)。その後、マウスを屠殺し、動物あたり合計6ブロックになるように脳を左右対の海馬、前頭皮質及び後頭皮質に切断した。ブロックを直ちにN-Per(Thermo Scientific Pierce)で抽出するか、急速凍結してから後に抽出した。凝集Aβ42ペプチドを単離するために、不溶性タンパク質画分ペレットをTBSXで洗浄し、70%ギ酸中にペレット重量基準で150mg/mlまで再懸濁し、時折ボルテックスをかけながら室温で2時間回転混合した。試料を遠心分離し(100,000×g、1時間、4℃)、ギ酸可溶画分を20倍量の1M Tris塩基で中和し、等分し、80℃で凍結した。BCA(Thermo Scientific Pierce)またはA280分光測光法を使用して、全ての抽出物のタンパク質含有量を測定した。
【0479】
マウスプログラニュリンのレベルは、R&D Systems Duoset ELISAキットを使用して測定した。可溶性及び不溶性Aβ42レベルは、Life TechnologiesのELISAキットを使用して測定した。ヤギ抗ソルチリン抗体の脳レベルは、特注ELISAアッセイを使用して測定した。簡潔に述べれば、Immulon ELISAプレート上で、PBS中2μg/mlの組換えマウスソルチリン(R&D Systems)をプレートに4℃で一晩結合させた。翌日、プレートをPBS+0.05%TWEEN20中で洗浄し、PBS+1%BSA中、室温で1時間ブロッキングした。100μlの希釈した試料を添加し、室温で1時間インキュベートした。プレートを洗浄し、その後、100μlの抗ヤギHRP検出抗体(1:20,000、Jackson Immuno)とともにインキュベートした。プレートを再度洗浄し、発色するまで100μlのTMB基質とともにインキュベートした。50μlの2N硫酸の添加によって反応を停止し、Biotekプレートリーダーを使用して発色を定量した。
【0480】
対照群(gt IgG及びaCSF緩衝液単独)と比較すると、ヤギ抗ソルチリンポリクローナル抗体をマウス脳に注入すると、3匹全ての動物において、試験した3つ全ての脳領域にわたってプログラニュリンレベルが大きく増加した(
図11A及び11B)。プログラニュリンレベルの増加は、注入部位と同側である右半球で最も強かった(
図11B)。これらの結果と一致して、抗ソルチリン抗体のレベルは、同側の脳領域で最も高かった(海馬>前頭皮質>後頭皮質)(
図11C)。抗体濃度をプログラニュリンレベルに対してプロットすると、0.92のR二乗値を有する強い正の相関が観察された(
図11D)。
【0481】
図11E及び11Fは、Life TechnologiesのELISAを使用して測定した脳抽出物におけるAβ42ペプチドのレベルを示す。
図11Eは不溶性ギ酸抽出タンパク質画分中のAβ42ペプチドレベルを示し、
図11Fは可溶性タンパク質画分中のAβ42ペプチドレベルを示す。結果は、抗ソルチリン抗体が不溶性ギ酸抽出タンパク質画分中のAβ42ペプチドレベルに影響を与えるようであることを示している。
【0482】
実施例6:ソルチリンに対するpro-NGF結合の遮断
Biacore T200SPR解析を使用して、抗ソルチリン抗体S-28、S-5、S-1、S-6、S-65、S-83、S-72、S-8、S-49、S-60、S-63、S-64及びS-76によるソルチリンへのpro-NGF結合の遮断を試験した。25℃でのSPRデータをBiaCore T200機器で収集し、BiaCoreT200 Evaluationソフトウェア、バージョン2.0を使用して解析した。HBS-EP+(100mM HEPES、1.5M NaCl、30mM EDTA、0.5%v/v界面活性剤P20、pH7.4)をランニングバッファーとして、また試薬の調製のために使用した。
【0483】
抗HisマウスIgGを固定化したCM5センサーチップ上にヒトHisタグ付きソルチリン(200nM、R&D Systems)を捕捉した(接触時間60秒、流量30μl/分、解離時間0秒)。ヒトpro-NGF(400nM)またはHBS-EP+緩衝液をチップ表面全体に流した(接触時間60秒、流量30μl/分、解離時間0秒)。抗ソルチリン抗体(200nM)をチップ表面全体に流した(接触時間60秒、流量30μl/分、解離時間30秒)。サイクルとサイクルとの間に10mMグリシン-HCl(pH1.7)を使用してチップ表面を再生した(接触時間75秒、流量30μl/分、安定化時間60秒)。結果として生じるSPRシグナルを、空のフローセル上で実施した測定からのレスポンスの差として得た。
【0484】
図12A~12Cに示す結果は、ある特定の抗ソルチリン抗体のソルチリンへの結合がpro-NGFによって部分的に遮断され得ることを示している。
図12Aは、実験設定を示す。
図12Bは、プログラニュリンを遮断しない対照抗体(S-28)のレスポンストレースを示す。S-28のソルチリンへの結合は、pro-NGFで予めインキュベーションすることによって遮断されない。
図12Cは、抗ソルチリン抗体S-1及びS-65のソルチリンへの結合が、ソルチリンへのpro-NGF結合によって最も強く遮断されることを示している(RU=レスポンスユニット)。
【0485】
実施例7:確立された外傷性脳損傷の動物モデルを利用したソルチリン遮断抗体の治療用途の特徴付け
ソルチリン遮断抗体の治療的有用性は、確立された外傷性脳損傷の動物モデルで試験することができる(Tanaka,Y et al.,(2013)Neuroscience 231 49-60)。
【0486】
例えば、ミクログリア及びアストロサイトの活性化を誘導する外傷性脳損傷のモデルを使用することができる。8週または9週齢の雄のC57BL/6J WTマウスまたはプログラニュリンヘテロ接合性マウスを使用することができる。マウスはCharles River LaboratoriesまたはJackson labsから購入される。滅菌生理食塩水中に溶解させたキシラジン塩酸塩(8mg/kg)及び抱水クロラール(300mg/kg)の腹腔内投与によりマウスに麻酔をかけ、その後、脳定位固定装置(ナリシゲ(日本、東京))上に置く。頭皮を切開し、頭蓋を露出させる。頭蓋から骨膜を除去し、右大脳半球上に歯科用ドリルで穴を空け、ニードル先端で硬膜を取り除く。0.5mmの外径を有するステンレス鋼製カニューレを使用して、右半球に長手方向の刺創を施す。正中線に対して1.3mmの横方向及びブレグマの1mm後方にカニューレを配置し、先端が2mmの深さに達するまで脳内に導入する。次いで、カニューレを2mm尾側(ブレグマ3mm)に移動させた後、2mm吻側に移動させて元の位置に戻す。最後に、カニューレを脳から取り外し、頭皮の傷を縫合する。次いで、標準的手順に従ってソルチリン遮断抗体でマウスを処置した後、組織及び免疫蛍光染色ならびに行動試験によって分析する。
【0487】
実施例8:毒素誘発外傷またはシヌクレイン誘発外傷に伴うパーキンソン病の神経炎症モデル及びニューロン損失モデルを利用したソルチリン遮断抗体の治療用途の特徴付け
ソルチリン遮断抗体の治療的有用性は、毒素誘発外傷に伴う神経炎症モデル及びニューロン損失モデルで試験することもできる(Martens,LH et al.,(2012)The Journal of Clinical Investigation,122,3955)。
【0488】
3ヶ月齢のマウスを、1日4回のMPTP腹腔内注射2日間(4μg/g体重)(Sigma-Aldrich)またはPBSで処置する。MPTPは、パーキンソン病において変性するドーパミン作動性ニューロン(Dompainiergic neurons)を破壊する。標準的プロトコルに従ってソルチリン遮断抗体でマウスを処置し、次いで、SNpc中のドーパミンニューロン及びミクログリアを定量するために立体解析学的計数を記載のとおりに使用して解析する。あるいは、α-シヌクレイン(A53T、A30P及びE46K)の遺伝子に遺伝子変異を発現するか、またはα-シヌクレインを過剰発現するパーキンソン病モデルを使用することができる(Maguire-Zeiss(2008)Pharmacol Res;58(5-6):271-280、Chesselet(2008)Exp Neurol 209:22-27)。
【0489】
実施例9:老化、痙攣発作、脊髄損傷、網膜ジストロフィー、前頭側頭型認知症及びアルツハイマー病の動物モデルを利用したソルチリン遮断抗体の治療用途の特徴付け
ソルチリン遮断抗体の治療的有用性は、先に記載されているように、老化、痙攣発作、脊髄損傷、網膜ジストロフィー、前頭側頭型認知症及びアルツハイマー病の動物モデルで試験することもできる(例えば、Beattie,MS et al.,(2002)Neuron 36,375-386、Volosin,M et al.,(2006)J.Neurosci.26,7756-7766、Nykjaer,A et al.,(2005)Curr.Opin.Neurobiol.15,49-57、Jansen,P et al.,(2007)Nat.Neurosci.10,1449-1457、Volosin,M et al.,(2008)J.Neurosci.28,9870-9879、Fahnestock,M et al.,(2001)Mol.Cell Neurosci.18,210-220、Nakamura,K et al.,(2007)Cell Death.Differ.14,1552-1554、Yune,T et al.,(2007)Brain Res.1183,32-42、Wei,Y et al.,(2007)Neurosci.Lett.429,169-174、Provenzano,MJ et al.,(2008)Laryngoscope 118,87-93、Nykjaer,A et al.,(2004)Nature 427,843-848、Harrington,AW et al.,(2004)Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.101,6226-6230、Teng,HK et al.,(2005)J.Neurosci.25,5455-5463、Jansen,P et al.,(2007)Nat.Neurosci.10,1449-1457、Volosin,M et al.,(2008)J.Neurosci.28,9870-9879、Fan,YJ et al.,(2008)Eur.J.Neurosci.27,2380-2390、Al-Shawi,R et al.,(2008)Eur.J.Neurosci.27,2103-2114、及びYano,H et al.,(2009)J.Neurosci.29,14790-14802)。
【0490】
実施例10:アテローム性動脈硬化症モデルを利用したソルチリン遮断抗体の治療用途の特徴付け
ソルチリン遮断抗体の治療的有用性は、先に記載されているように、アテローム性動脈硬化症モデルで試験することもできる(例えば、Lance,A et al.,(2011)Diabetes,60,2285、及びKjolby,M et al.,(2012)Cell Metabolism 12,213-223)。
【0491】
実施例11:感染症モデルを利用したソルチリン遮断抗体の治療用途の特徴付け
ソルチリン遮断抗体の治療的有用性は、感染症モデルで試験することもできる。例えば、先に記載されているように、正常マウスまたはプログラニュリンヘテロ接合(hets)におけるListeria monocytogenesまたは他の感染症を使用することができる(例えば、Yin,F et al.,(2009)J.Exp.Med,207,117-128)。
【0492】
実施例12:全身動物におけるEAE及びクプリゾンからのIn Vivo保護
7~9週齢の雌の成体C57BL/6マウス(Charles River Laboratoriesから取得)に、不完全フロイントアジュバント(Difco)中に100μgのミエリンオリゴデンドロサイト糖タンパク質ペプチド35-55(アミノ酸MEVGWYRSPFSRVVHLYRNGK(配列番号707)、Seqlab)及び1mgのヒト型結核菌H37 Ra(Difco)を含有する接種源(innoculum)200μlを尾根部の両側に注射する。免疫付与後0日目及び2日目に百日咳毒素(200ng、List Bio-logical Laboratories)を注射する。臨床的徴候を次のようにスコア付けを行う。0:臨床的徴候なし、1:完全な尾の弛緩(limp tail)、2、完全な尾の弛緩及び歩行異常、3:一方の後肢不全対麻痺、4:完全な後肢不全対麻痺、ならびに5:前肢及び後肢の麻痺または瀕死状態。14日目に疾患を発症しているマウス(臨床スコア1以上)のみを実験に使用する。最初の臨床症状があった日または任意の他の所望の時間に、アンタゴニスト抗ソルチリン抗体及び/またはソルチリン二重特異性抗体をEAE疾患マウスに腹腔内または静脈内注射する(PLoS Med(2007)4(4):e124)。
【0493】
若齢または高齢の野生型(WT)マウスにシュウ酸ビス(シクロヘキシリデンヒドラジド)(Sigma-Aldrich)を粉末化した0.2%クプリゾン(CPZ)を含有する標準食餌(Harlan)を4、6または12週間与える。組織学及び免疫組織化学分析のために、4%パラホルムアルデヒド(PFA)によるマウス灌流後に脳を取り出し、4%PFA中で24時間固定し、続いて、30%スクロース中に24~48時間浸漬する。ミエリンの完全性及び損傷ならびに細胞増殖を評価するために、炎症切片またはマウス脳を、抗MBP(1:100、Abcam、ab7349)、-dMBP(1:2000、Millipore、ab5864)、-βAPP(1:100、Invitrogen、51-2700)、-SMI-31(1:1000、Covance、smi-31R)、-Iba1(1:600、Wako、019-19741),-BrdU(1:250、Abcam、ab1893)、-GFAP(1:200、Invitrogen、13-0300)、-iNOS(1:100、BD Pharmingen、610329)、-LPL(1:400、Dr.G.Olivecronaより)及び-MHCII(1:100、BD Pharmingen、553549)で染色する。抗体の行動影響に関しては、透明ポリスチレン製囲い及びコンピュータ化された光線機器を使用してマウスの自発運動を解析する。全般的な活動変数(全移動、垂直立ち上がり)を、消費時間、移動距離及びエントリーを含め、情動性の指標とともに解析する。バランス(レッジ及びプラットフォーム)、強さ(逆スクリーン)、協調(ポール及び傾斜スクリーン)及び移動の開始(歩行開始)を評価するために、一連の感覚運動試験を実施する。運動協調性及びバランスは、ロータロッドプロトコルを使用して調べる(Cantoni et al.,Acta Neuropathol(2015)129(3):429-47)。
【0494】
実施例13:確立された外傷性脳損傷の動物モデルにおけるソルチリンアンタゴニスト抗体またはソルチリン二重特異性抗体の治療用途の特徴付け
ソルチリン及び/またはソルチリン二重特異性抗体の治療的有用性は、確立された外傷性脳損傷の動物モデルで試験される(Tanaka,Y et al.(2013)Neuroscience 231 49-60)。例えば、ミクログリア及びアストロサイトの活性化を誘導する外傷性脳損傷のモデルを使用する。8週または9週齢の雄のC57BL/6J WTマウスまたはプログラニュリンヘテロ接合性マウスを使用する(Charles River LaboratoriesまたはJackson Laboratoriesから購入)。滅菌生理食塩水中に溶解させたキシラジン塩酸塩(8mg/kg)及び抱水クロラール(300mg/kg)の腹腔内投与によりマウスに麻酔をかけ、その後、脳定位固定装置(ナリシゲ(日本、東京))上に置く。頭皮を切開し、頭蓋を露出させる。頭蓋から骨膜を除去し、右大脳半球上に歯科用ドリルで穴を空け、ニードル先端で硬膜を取り除く。0.5mmの外径を有するステンレス鋼製カニューレを使用して、右半球に長手方向の刺創を施す。正中線に対して1.3mmの横方向及びブレグマの1mm後方にカニューレを配置し、先端が2mmの深さに達するまで脳内に導入する。次いで、カニューレを2mm尾側(ブレグマ3mm)に移動させた後、2mm吻側に移動させて元の位置に戻す。最後に、カニューレを脳から取り外し、頭皮の傷を縫合する。次いで、標準的手順に従ってアンタゴニスト抗ソルチリン抗体及び/またはソルチリン二重特異性抗体でマウスを処置した後、組織及び免疫蛍光染色ならびに行動試験によって分析する。
【0495】
実施例14:毒素誘発外傷に伴う神経炎症モデル及びニューロン損失モデルにおけるソルチリン抗体及び/またはソルチリン二重特異性抗体の治療用途の特徴付け
ソルチリン抗体及び/またはソルチリン二重特異性抗体の治療的有用性は、毒素誘発外傷に伴う神経炎症モデル及びニューロン損失モデルで試験される(Martens,LH et al.,(2012)The Journal of Clinical Investigation,122,3955)。3ヶ月齢のマウスを、1日4回のMPTP(1-メチル-4-フェニル-1,2,3,6-テトラヒドロピリジン)腹腔内注射2日間(4μg/g体重)(Sigma-Aldrich)またはPBSで処置する。標準的プロトコルに従ってアンタゴニスト抗ソルチリン抗体及び/またはソルチリン二重特異性抗体でマウスを処置し、次いで、黒質緻密部(SNpc)中のドーパミンニューロン及びミクログリアを定量するために立体解析学的計数を記載のとおりに使用して解析する。
【0496】
実施例15:自然免疫細胞及び/またはニューロンの生存を刺激する抗ソルチリン抗体の能力の分析
野生型(WT)マウス骨髄由来マクロファージをM-CSFの存在下で培養するか、標準的条件下の神経細胞培養物をソルチリン抗体に曝露し、細胞生存を測定する。WT及びKOマウスの骨髄から単離したマクロファージを、抗ソルチリン抗体または対照抗体のいずれかを予めコーティングした、組織培養処理していない96ウェルプレート上に播種する。細胞を10ng/mlのM-CSF存在下で48時間培養する。Cell Titer Gloキット(Promega)を使用して生存分析を実施する。BioTek Synergy Microplate ReaderによりGEN52.04ソフトウェアを使用して、プレートを読み取る。
【0497】
実施例16:ソルチリン抗体の抗脳卒中効果の分析
ヒト脳卒中によく似ているモデルである中大脳動脈(MCAO)の一過性閉塞を使用して、マウスで脳梗塞を誘発する。右総頸動脈の切開を介して内頸動脈にモノフィラメント(70SPRe、Doccol Corp(USA))を導入する。ある範囲の再灌流時間(6時間、12時間、24時間、2日、7日及び28日)で中大脳動脈を30分間閉塞する。12時間及び7日の時点で偽手術動物を使用して手術の影響をコントロールする。偽手術動物は、中大脳動脈の閉塞を含まない同じ手術手順を受ける。MCAO動物をアンタゴニスト抗ソルチリン抗体または対照抗体で処置し、梗塞体積、急性炎症反応(12時間の再灌流)、炎症促進性サイトカインTNFa、IL-1a及びIL-1bの転写、ミクログリア活性(CD68、Iba1)、ケモカインCCL2(MCP1)、CCL3(MIP1a)及びケモカイン受容体CX3CR1の転写、ならびにCD3陽性T-細胞の浸潤について試験する(Sieber et al.(2013)PLoS ONE 8(1):e52982)。
【0498】
実施例17:抗ソルチリン抗体の抗アルツハイマー病効果の分析
アルツハイマー病(AD)の発症を遅延させ、防止し、または逆転させる抗ソルチリン抗体の能力を評価するには、5X FADマウスが使用される。5X FADマウスは、2つのFAD変異M146L及びL286Vを有するヒトPS1に加えて、スウェーデン(K670N、M671L)、フロリダ(I716V)及びロンドン(V717I)の家族性アルツハイマー病(FAD)変異を有する変異型ヒトAPP(695)を過剰発現する。どちらの導入遺伝子もマウスThy1プロモーターによって制御され、脳における過剰発現を促進し、ADの主要な特徴を再現する。アンタゴニスト抗ソルチリン抗体または対照抗体で処置したマウスのAβ斑量を組織抽出物の免疫組織化学及びELISAによって試験する。更に、脳中のミクログリア数、ならびにモリス水迷路(空間学習及び記憶課題)、放射状水迷路(空間学習及び記憶課題)、Y字型迷路(空間認知の尺度として自発的交替を定量する)、オープンフィールドにおける新規嗜好性、学習及び記憶を評価するための自発的学習、及び恐怖条件付けを使用した認知障害の低減についても試験する(ウェブサイトmousebiology.org、Wang et al.,(2015)Cell.pii:S0092-8674(15)00127-0)。
【0499】
実施例18:創傷治癒におけるソルチリン抗体の保護効果の分析
外傷後の結腸創傷治癒を増大させる抗ソルチリン抗体の能力を評価するには、結腸の生検損傷のマウスモデルが使用される。このモデルでは、外側手術シースを備える内視鏡を下行結腸中央部まで挿入し、粘膜を肛門直腸移行部まで調べる。次いで、粘膜及び粘膜下層全体の単一の完全な厚さ領域を、直径3フレンチの軟性生検鉗子で筋層に貫通しないように取り除く。各マウスに結腸の背側に沿った3~5部位で生検損傷を施す(例えば、Seno H,2008,Proc Natl Acad Sci U S A.2009 Jan 6;106(1):256-261参照)。マウスのコホートを抗体生検損傷から2日または3日後にソルチリン抗体で処置する。15日間マウスを毎日観察して、体重減少を調べ、損傷の表面積を測定することによって創傷治癒を確認する。
【0500】
実施例19:網膜変性におけるソルチリン抗体の保護影響の分析
アンタゴニスト抗ソルチリン抗体は、炎症性マクロファージの蓄積及び/または機能を低減させ、その結果として、加齢黄斑変性症(AMD)を遅延させ、予防し、及び/または治療する。AMDは、外網膜の変性疾患である。炎症、特に炎症性サイトカイン及びマクロファージがAMDの疾患進行に関与すると考えられている。AMD病変の近傍にはマクロファージが存在することが、ドルーゼン、ブルック膜、脈絡膜及び網膜において記載されている。マクロファージは、組織因子(TF)及び血管内皮細胞増殖因子(VEGF)を放出し、これは、脈絡膜新生血管を示す患者において新血管形成の拡大を引き起こす。
【0501】
黄斑の脈絡膜に存在するマクロファージの種類は加齢とともに変化し、老年の眼では若年の眼と比較してM2マクロファージのレベル上昇が示される。しかしながら、進行性AMDの黄斑では、剖検された同様の年齢の正常な眼と比較して、M1:M2比がより高かった(例えば、Cao X et al,(2011),Pathol Int 61(9):pp528-35参照)。これは、後期発症のAMD進行の眼における古典的活性化M1マクロファージとの関連が示唆される。
【0502】
網膜のミクログリア細胞は、組織常在性マクロファージであり、通常、内網膜にも存在する。損傷が生じた場合には、ミクログリアは、活性化し、炎症メディエータとして作用することができる。活性化したミクログリアは、AMD組織試料で検出されており、AMDの病因につながる炎症性プロセスの有力な寄与因子の1つであることが提案されている(Gupta et al.,(2003)Exp Eye Res.,76(4):463-71)。AMDを予防し、遅延し、または逆転させるアンタゴニストソルチリン抗体の能力は、AMDモデルの1つ以上で試験される(例えば、Pennesi et al.,(2012)Mol Aspects Med.;33(4):487-509参照)。
【0503】
総じて、炎症性マクロファージ(M1及び/または活性化ミクログリアのいずれか)は、AMDの疾患進行と相関することが記載されていることから、アンタゴニストソルチリン抗体の治療標的となる。緑内障及び遺伝型または網膜色素変性症などの網膜変性において、同様の治療上の利益が達成され得る。
【0504】
緑内障の網膜神経節細胞変性を予防し、遅延させ、または逆転させる抗ソルチリン抗体の能力は、緑内障モデルで試験される(例えば、El-Danaf et al.,(2015).J Neurosci.11;35(6):2329-43、Demetriades et al.,(2013)Invest Ophthalmol Vis Sci 54:Abstract 4940参照)。同様に、遺伝子的に誘発された網膜変性及び網膜色素変性症における抗ソルチリン抗体の治療上の利益は、Chang et al.,(2002)Vision Res.;42(4):517-25及びGargin et al,(2007)J Comp Neurol.500(2):222-238、ならびに“Retinal Degeneration Rat Model Resource Availability of P23H and S334 the Mutant Rhodopsin Transgenic Rats and RCS Inbred and RCS Congenic Strains of Rats,”MM LaVail,June 30,2011に記載されているように試験される。同様に、ウイルス及び毒素で誘発した脈絡膜及び網膜血管新生モデルにおける抗ソルチリン抗体の治療上の利益は、Hans et al.,(2010)Prog Retin Eye Res.;29(6):500-519に記載されているように試験される。このような研究のエンドポイントは、網膜電図検査及び眼底撮影、光干渉断層画像診断ならびに組織病理学を含む。
【0505】
実施例20:感染症モデルにおけるソルチリン抗体及び/またはソルチリン二重特異性抗体の治療用途の特徴付け
アゴニスト抗ソルチリン及び/またはソルチリン二重特異性抗体の治療的有用性は、感染症モデルで試験される。例えば、先に記載されているように、正常マウスまたはプログラニュリンヘテロ接合性マウスにおけるListeria monocytogenesまたは他の感染症を使用することができる(例えば、Yin,F et al.,(2009)J.Exp.Med,207,117-128)。
【0506】
実施例21:炎症性疾患モデル及び骨異常モデルにおけるソルチリン抗体及び/またはソルチリン二重特異性抗体の治療用途の特徴付け
抗ソルチリン及び/またはソルチリン二重特異性抗体の治療的有用性は、炎症性疾患モデルで試験される。例えば、関節リウマチまたは別の炎症性疾患の確立されたモデル(Mizoguchi(2012)Prog Mol Biol Transl Sci.,105:263-320、及びAsquith et al.,(2009)Eur J Immunol.39:2040-4)。あるいは、抗ソルチリン及び/またはソルチリン二重特異性抗体は、椎間板(IVD)変性モデルで試験される(Zhao,PY et al.,(2015).SCIENTIFIC REPORTS.5:9102)。
【0507】
実施例22:破骨細胞、ミクログリア及び/またはニューロンの生存を促進する抗ソルチリン抗体及び/またはソルチリン二重特異性抗体のスクリーニング
脛骨及び大腿骨の骨髄細胞を冷PBSでフラッシングすることによってマウス骨髄前駆細胞を得る。PBSで1回洗浄した後、ACK溶解バッファー(Lonza)を使用して赤血球を溶解し、PBSで2回洗浄し、0.5×106細胞/mlで、マクロファージを得るための指定量の50ng/ml M-CSFまたは10ng/ml GM-CSFを含む完全RPMI培地(10%FCS、Pen/Strep、Gln、neAA)中に懸濁する。M2型マクロファージについては、10ng/mlのIL-4を培養細胞に添加する。M1型マクロファージについては、50ng/mlのIFN-γを添加する。いくつかの実験において、5日目に、LPSまたはザイモサンを1μg/ml~0.01ng/mlの濃度で細胞培養物に添加する。組換えサイトカインはPeprotechから購入した。BM由来マクロファージの生存を分析するために、指定の遺伝子型の細胞を上記のように調製し、段階的濃度のMCSF中で培養する。細胞を、96ウェルプレートに105/200μl(ルシフェラーゼによるアッセイを使用する生存分析用)または組織培養処理していないプレートの6ウェルプレートで0.5×106/1ml(トリパンブルー排除細胞計数用)のいずれかで播種する。3日目に新鮮なM-CSFを含有する培地を添加する。指定時点で、3mM EDTAにより細胞をプレートから穏やかに剥離し、Burkerチャンバを使用して計測する。いくつかの実験において、細胞はまた、CD11b抗体及びDAPIを使用するFACS分析のために染色される。あるいは、細胞をToxGlo試薬(Promega)と直接インキュベートし、ルシフェラーゼ活性を決定する。いくつかの実験において、5日目に培養培地からMCSFを回収するか、または回収せずに、細胞生存を36時間後にFACSによって分析する。
【0508】
成熟破骨細胞培養物をRANKL及びM-CSFを含む24ウェルディッシュ中で分化させる。4日後、完全培地を無血清培地に交換し、アポトーシスを誘導する。一晩の血清飢餓中に、細胞をRANKL、PBSならびに抗ソルチリン抗体及び/もしくはソルチリン二重特異性抗体またはアイソタイプの一致する対照抗体で処置する。細胞を1%パラホルムアルデヒドで固定し、TUNEL法によるキット(Millipore Corporation)を製造者の説明書に従って用いて染色する。Nikon TE2000-E顕微鏡を倍率20×で用いてアポトーシス核を計数する。結果は、記載されているように、2つのウェルから無作為に選択した6つの領域における総細胞数に対するアポトーシス細胞のパーセンテージとして表される(例えば、Peng et al.,(2010)Sci Signal.,3(122):ra38)。同様のアッセイを初代ミクログリア細胞で実施する。
【0509】
実施例23:親和性成熟抗ソルチリン抗体の産生、特定及び特徴付け
材料及び方法
ソルチリン抗体スクリーニング
抗ソルチリン抗体S-2、S-15、S-22、S-60及びS-82(「親」抗体と称する)を親和性成熟させた。簡潔に述べれば、出発親抗体のそれぞれについて、多様な抗体ライブラリを酵母で作製した。多様性は、標準的な分子クローニング技法を利用して、親の重鎖CDR-H3及び軽鎖(LC)を、重鎖(HC)のCDR-H1及びCDR-H2領域に既存する遺伝子多様性と組み合わせることによって作製した(「H1/H2」最適化と称する)。これにより、親和性の向上した抗体の濃縮のためにすぐに選択できる、ほぼ108のサイズの6つのライブラリが得られた。ライブラリをスクリーニングするために使用される選択圧には、ヒト及びマウスソルチリン抗原の平衡滴定、親抗体Fab競合カイネティクス、ならびに多特異性試薬による排除の使用が含まれた(例えば、WO2014/179363、Xu et al.,Protein Eng Des Sel,Vol.26(10),pp.663-670に記載のとおり)。次いで、FACSフローサイトメトリーを利用して、標準的技法を使用することによって抗体を可視化し、選択した(例えば、Chao et al.Nature Protocols,2006参照)。次いで、所望の集団を更なる選択ラウンドに進めた。6ラウンドの濃縮後、単一の抗体単離物を得るために酵母を播種し、次いで、実施例1に記載したように産生させ、特徴付けを行った。このようにして、6つの出発親抗体のそれぞれから50の親和性向上抗体を得た。
【0510】
3つの親抗体クローンを第2ラウンドの親和性成熟のために選択した。1)S-60(第1ラウンドの親和性成熟により親和性が著しく向上したクローンが得られなかったため)、2)親和性成熟抗体クローンS-15-6、及び3)親和性成熟抗体クローンS-15-10。これらのクローンにおける親和性の差及び機能が第1ラウンドの成熟でそれほど向上しなかったので、第2ラウンドの親和性成熟のために親和性成熟クローンを選択した。第2ラウンドの親和性成熟のために、重鎖可変領域(VH)及び軽鎖可変領域(VK)の両配列を、特にCDR-H3に重点を置いて最適化した。
【0511】
抗体IgG及びFabの産生及び精製
酵母クローンを飽和まで成長させ、次いで、振盪しながら30℃で48時間誘導した。誘導後、酵母細胞をペレット化し、精製のために上清を回収した。タンパク質Aカラムを使用して免疫グロブリンを精製し、酢酸(pH2.0)で溶出した。パパイン消化によってFab断片を生成し、CaptureSelect IgG-CH1アフィニティーマトリックス(LifeTechnologies)で精製した。
【0512】
親和性決定
抗ソルチリン抗体の親和性は、そのKDをForteBio及びMSDで測定することによって決定した。ForteBio親和性測定は、概ね、先に記載のとおりに、室温で実施した(Estepet al.,MAbs.2013 Mar-Apr;5(2):270-8)。簡潔に述べれば、ForteBio親和性測定は、免疫グロブリン(IgG)をAHQセンサー上にオンラインで充填することによって実施した。センサーをアッセイバッファー中で30分間オフラインで平衡化し、次いで、ベースライン確立のために、オンラインで60秒間モニタリングした。強結合を測定するために、IgGを充填したセンサーを100nM抗原(ヒトまたはマウスソルチリンFc融合体)に3分間曝露し、その後、解離速度測定のために、アッセイバッファーに3分間移した。更なる強結合について、ビオチン化ソルチリン単量体をSAセンサー上に充填し、溶液中約100nMのIgGに曝露することによって決定した。一価結合測定は、ヒトまたはマウスソルチリンFc融合抗原をAHQセンサーに充填し、続いて、約100nMソルチリン抗体Fabに曝露することによって得た。更なる一価測定については、ビオチン化ヒトまたはマウスソルチリン単量体をSAセンサーに充填し、続いて、溶液中約100nMのFabに曝露することによって行った。ForteBio提供のデータ解析ソフトウェアにおける1:1結合モデルを使用して、カイネティクスデータのフィッティングを行った。
【0513】
MSD-SET KD測定のために、組換えヒトまたはマウスソルチリンを100pMに一定に保持したPBS+0.1%IgG不含BSA(PBSF)中で、約50nMから開始する3~5倍連続希釈の抗体とともにインキュベートして、溶液平衡滴定(SET)を実施した。標準的な結合MSD-ECLプレートに抗体(PBS中20nM)を4℃で一晩または室温で30分間コートした。次いで、700rpmで振盪しながらプレートを1%BSAで30分間ブロッキングし、続いて、洗浄バッファー(PBSF+0.05%Tween 20)で3回洗浄した。SET試料をプレートに加え、700rpmで振盪しながら、150秒間インキュベートした後、1回洗浄した。プレート上に捕捉された抗原を、PBSF中250ng/mlのスルホタグ標識ストレプトアビジンにより、プレート上で3分間インキュベーションすることによって検出した。プレートを洗浄バッファーで3回洗浄し、次いで、1×リードバッファーT(界面活性剤を含む)を使用してMSD Sector Imager 2400機器で読み取った。遊離抗原のパーセントを、滴定した抗体の関数としてPrismでプロットし、二次方程式に当てはめ、KDを導出した。スループットを向上させるために、SET試料調製を含む、MSD-SET実験全体を通して、液体処理ロボットを使用した。
【0514】
細胞結合親和性測定は、マウスソルチリンを一過性トランスフェクトしたHEK293T細胞またはヒトソルチリンを安定に発現するHEK293T細胞のいずれかを使用して、4℃で実施した。簡潔に述べれば、細胞を回収し、PBS中で洗浄し、抗体のKDが近いある量の抗体とともにインキュベートした(ヒトソルチリンに対する結合の親のKD:S2=1.1nM、S15=3.3nM、S22=2.4nM、S60=1.0nM、S82=1.4nM、マウスソルチリンに対する結合のKd:S2=6.6nM、S15=6.4nM、S22=5.0nM)。抗体をFACSバッファー(PBS+2%FBS+0.01%NaAzide)で希釈した。氷上で1時間インキュベーション後、FACSバッファー中で細胞を3回洗浄し、抗ヒトPE結合二次抗体(BD Biosciences、1:100希釈)とともに氷上で30分間インキュベートした。次いで、200ulのFACSバッファー中で細胞を2回洗浄した後、FACS CantoまたはiQE FACSスクリーニング機器(Intellicyt Corp)で分析した。ヒト及びマウスソルチリンの両方に対する結合が増加した上位3つの抗体(PEの中央蛍光強度として測定)を更なる分析のために選択した。
【0515】
細胞発現ソルチリンに対する見かけ親和性を決定するために、抗体をヒトソルチリンの場合は0.16~40nM及びマウスソルチリンの場合は0.39~50nMの滴定で細胞に添加し、その結合KDを非線形カーブフィッティングにより決定した(変更を加えたOneSiteTotal、Graph Pad Prism)。
【0516】
U-251細胞及びN2A細胞におけるソルチリン下方制御、細胞上でのプログラニュリン(PGRN)遮断、ならびにU-251細胞によるPGRN分泌を実施例5に記載したように実施した。
【0517】
結果
抗ソルチリン抗体選択
それぞれの親抗体と比較して親和性の向上を示した親和性成熟抗ソルチリン抗体クローンの更なる特徴付けを行った。全ての親和性成熟抗体クローンの最初のスクリーニング後、更なる分析のために各親抗体のクローンを選択した。
【0518】
抗体の重鎖及び軽鎖可変ドメイン配列
標準的技法を使用して、選択した親和性成熟抗体クローンの重鎖可変ドメイン及び軽鎖可変ドメインをコードするアミノ酸配列を決定した。EUまたはKabat CDR配列を、S-2抗体変異形については表11に記載し、S-15抗体変異形については表12に記載し、S-22抗体変異形については表13に記載し、S-60抗体変異形については表14に記載し、S-82抗体変異形については表15に記載する。
【0519】
親和性成熟抗ソルチリン抗体結合の特徴付け
選択した親和性成熟抗ソルチリン抗体の細胞結合親和性を表16A及び16Bに示す。表中、「N.B.」は結合なしを示し、「P.F.」はフィッティングが良好でないことを示し、「N.D.」は測定しなかったことを示し、「Bt-」はビオチン化を示し、「hSort」はヒトソルチリンを示し、「msSort」はマウスソルチリンを示し、「(M)」は一価を示す。
【0520】
次に、親和性成熟抗体がヒトU-251細胞及びマウスN2A細胞において天然ソルチリンの細胞表面レベルを減少させる能力について、親和性成熟抗体同士及びそれぞれの親抗体と比較した。抗体を様々な濃度で細胞に72時間添加し、試験抗体とは異なるビンのDyLightコンジュゲート抗体(S-29-DyLight650またはS-30-DyLight650のいずれか)を使用して、FACSによってソルチリンレベルを測定した。親和性成熟抗体は、全般的に、特に最も低い抗体(IgG)濃度である1.25nMで、ヒト細胞及びマウス細胞の両方において天然ソルチリンの細胞表面レベルを低減させる能力が増強されたことを示した(
図13A~13G)。
【0521】
HEK293T細胞上に発現されたソルチリンに対する15nM PGRNの結合を遮断する能力について、親抗体S-15及びS-15由来の親和性成熟抗体を試験した。
図14に示すように、S-15の親和性成熟抗体クローン(例えば、S-15-1~S-15-7及びS-15-12~S-15-14)は、親S-15抗体と比較して、15nM PGRNのソルチリンへの結合を遮断する能力に小さな増加をもたらした。
【0522】
要約すると、本発明者らは、ヒト及びマウスソルチリンの両方に対する結合が向上し、ソルチリンタンパク質レベルの下方制御及び/またはPGRN結合の遮断のいずれかの機能性が改善した、最大3つの親和性成熟クローンを特定した。
【0523】
結果は、それぞれの親抗体と比較して、ヒトソルチリン及びマウスソルチリンの両方に対する結合が向上し、天然ソルチリンの細胞表面レベルの減少及び/またはソルチリンへのPGRN結合の遮断の機能性が向上した親和性成熟抗ソルチリン抗体の特定を示した。
【0524】
実施例24:抗ソルチリン抗体のエピトープマッピング
材料及び方法
線状エピトープへの結合
以下に記載するように抗体エピトープをマッピングした。抗原の特徴付けを行うために、HM4相互作用モジュールを備えたUltraflex III MALDI ToF(Bruker)を使用して測定を実施した。このモジュールは、ナノモル感度で最大2MDaの検出を最適化するように設計された特別な検出システムを備える。
【0525】
抗原及び抗体の試料をそれぞれ1μM~0.5μMの最終濃度まで混合した。得られた混合物1μlを、アセトニトリル/水(1:1、v/v)、TFA0.1%中の再結晶化シナピン酸マトリックス(10mg/ml)(K200 MALDIキット)から構成されるマトリックス1μlと混合した。混合後、各試料1μlをMALDIプレート(SCOUT 384)上にスポットした。室温で結晶化した後、プレートをMALDI質量分析計に導入し、直ちに分析し、分析を3回繰り返した。
【0526】
対照実験のために調製した混合物を、K200 MALDI MS分析キットを使用して架橋させた。9μLの混合物を1μlのK200安定剤試薬(2mg/ml)と混合し、室温でインキュベートする。インキュベーション時間(180分間)後、対照実験に関するMALDI分析のために試料を調製した。結晶化後直ちに、High-Mass MALDIで試料を分析する。
【0527】
結合エピトープが線状であるかどうかを試験するために、固定化ペプシンによる組換えヒトソルチリン抗原のタンパク質分解を実施した。濃度4μMの50μlの抗原を2.5μMの固定化ペプシンと混合し、室温で30分間インキュベートした。インキュベーション時間後、試料を遠心分離し、上清をピペットで採取した。タンパク質分解の完了は、リニアモード及びリフレクションモードにおけるHigh-Mass MALDI質量分析によって制御される。ペプシンタンパク質分解は、1000~3500Da範囲のペプチドを多量に得るように最適化した。タンパク質分解によって生成された抗原ペプチド5μlを、2μMの5μlのS-2-11、S-15-6、S-60、S-22-9またはS-82-8抗体と混合し、37℃で2時間インキュベートした。その後、混合物を2μMのインタクトな抗原5μlと混合した。抗体及び抗原との間の相互作用を上記のように実施した。
【0528】
ソルチリン抗原のペプチドマスフィンガープリント及び結合界面の特徴付け
ペプチドフィンガープリントのために、10μlのソルチリン(5μM)を10μlの抗体(2.5μM)と混合した。2μlのDSS d0/d12(2mg/mL、DMF)を添加し、続いて、室温で3時間インキュベートした。2μlの炭酸水素アンモニウムを400mM(最終=20mM)で添加することによって反応を停止し、続いて、室温で1時間インキュベートした。この溶液をspeedvacを使用して乾燥させた後、20μlのH2O 8M尿素で懸濁した。混合後、2μlのDTT(500mM)を溶液に添加した。次いで、混合物を37℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、2μlのヨードアセトアミド(iodioacetamide)(1M)を添加した後、暗室中、室温で1時間インキュベートした。インキュベーション後、80μlのタンパク質分解バッファーを添加した。その後、100μlの還元/アルキル化抗原をRoche Diagnosticsの消化酵素(トリプシン1.66μlまたはキモトリプシン0.83μlまたはASP-N 0.83μlまたはエラスターゼ1.66μlまたはサーモリシン3.32μl)と混合し、37℃(トリプシン、ASP-N、エラスターゼ)、25℃(キモトリプシン)または70℃(サーモリシン)で一晩インキュベートした。消化後、最終1%のギ酸を溶液に添加した。次いで、試料をAtlantis dC18 3μM 2.1*30mmカラムでのSPE洗浄に供した。
【0529】
タンパク質分解後、生成されたペプチド10μlをナノ液体クロマトグラフィーシステム(Ultimate 3000、Dionex)に充填し、LTQオービトラップ質量分析を実施した。
【0530】
抗体S-2-11、S-15-6、S-22-9、S-60及びS-82-8のソルチリン抗原上のエピトープを高分解能で決定するために、抗体/抗原複合体を重水素化架橋剤とともにインキュベートし、多酵素切断に供した。架橋したペプチドの濃縮後、試料を高分解能質量分析(nLC-Orbitrap MS)によって分析し、生成されたデータをXQuest及びStavroxソフトウェアを使用して解析した。nLCをオービトラップ質量分析と組み合わせて使用した。最終濃度が2μM/1μMの抗体/抗原混合物を得るために、5μlの抗原試料(濃度4μM)を5μlの抗体試料(濃度2μM)と混合した。混合物を37℃で180分間インキュベートした。第1のステップにおいて、1mgのd0架橋剤を1mgのd12架橋剤と混合した。調製した2mgを、DSS do/d12の2mg/ml溶液を得るために、1mlのDMFと混合した。先に調製した10μlの抗体/抗原混合物を1μlの架橋剤d0/d12(2mg/ml)溶液と混合した。架橋反応を完了させるために、この溶液を室温で180分間インキュベートした。10μlの架橋済み溶液を40μlの炭酸水素アンモニウム(25mM、pH8.3)と混合した。混合後、2μlのDTT(500mM)を溶液に添加した。混合物を55℃で1時間インキュベートした。インキュベーション後、2μlのヨードアセトアミド(iodioacetamide)(1M)を添加し、次いで、暗室中、室温で1時間インキュベートした。インキュベーション後、溶液をタンパク質分解に使用するバッファー120μlを添加することによって1/5に希釈した。145μlの還元/アルキル化抗原にトリプシン0.7μl、キモトリプシン0.35μl、ASP-N 0.35μl、エラスターゼ0.7μl、またはサーモリシン1.4μlのいずれかと混合した。タンパク質分解混合物を37℃(トリプシン、ASP-N、エラスターゼ)または25℃(キモトリプシン)または70℃(サーモリシン)で一晩インキュベートした。次いで、架橋ペプチドをXquestバージョン2.0及びStavrox2.1ソフトウェアを使用して解析した。
【0531】
結果
線状エピトープへの結合
親和性成熟抗ソルチリン抗体S-2-11、S-15-6及びS-60はそれぞれ1:1の化学量論の複合体でソルチリンに結合する。この結合は、ペプチドの存在によって阻害されなかった(
図15)。親和性成熟抗ソルチリン抗体S-22-9及びS-82-8はそれぞれ1:1と1:2(抗体:抗原)の両方の複合体をソルチリンと形成する。これらの複合体は、ペプチドの存在によっても阻害されなかった。
図15はまた、ソルチリンペプチドがソルチリンへの抗体S-2-11の結合と競合しなかったことを示している。同様のソルチリンペプチド競合の欠如は、抗体S-15-6、S-22-9、S-82-8及びS-60についても観察された。結果は、抗体S-2-11、S-15-6、S-22-9、S-82-8及びS-60の結合エピトープが高次構造及び/または不連続であることを示している。これは、ペプチドライブラリアプローチを使用して抗体S-2-11、S-15-6、S-22-9、S-82-8及びS-60をソルチリン上にマッピングできなかったことと一致する。
【0532】
ソルチリン抗原のペプチドマスフィンガープリント及び結合界面の特徴付け
トリプシンタンパク質分解後、ソルチリンの配列において、配列の57.72%に該当する、52のペプチドが同定された。キモトリプシンタンパク質分解後、ソルチリンの配列において、配列の81.12%に該当する、73のペプチドが同定された。ASP-Nタンパク質分解後、ソルチリンの配列において、配列の24.22%に該当する、12のペプチドが同定された。エラスターゼタンパク質分解後には、ソルチリンの配列に同定されたペプチドはなかった。サーモリシンタンパク質分解後、ソルチリンの配列において、配列の1.47%に該当する、2つのペプチドが同定された。全てのタンパク質分解からのペプチドを合わせると、ソルチリン配列の94.78%に該当した(
図16A)。タンパク質分解によって生成されたペプチドにはソルチリン細胞外ドメインの94.78%が含まれるので、この方法を使用することで見逃されたエピトープはなかったと考えられる。
【0533】
表17は、エピトープを決定するための架橋実験の結果をまとめたものである。サーモリシン消化は、抗体のいずれについても検出可能なペプチドをもたらさなかった。抗体S-2-11、S-15-6及びS-22-9については、2つの異なるエピトープが同定された。抗体S-60及びS-82-8については、1つのエピトープが同定された。表中、架橋アミノ酸を太字で示す。
【0534】
表17に示すように、抗体S-2-11によって認識されるペプチドは、配列番号1のアミノ酸残基237~260及び297~317に対応し、アミノ酸配列:
(配列番号703)及び
(配列番号699)を有する。更に、ペプチド内の架橋残基は、配列番号1のアミノ酸残基237~260内の残基K
243及びK
248と、配列番号1のアミノ酸残基297~317内の残基S
305、R
311及びS
316とに対応する。抗体S-15-6によって認識されるペプチドは、配列番号1のアミノ酸残基237~247及び314~338に対応し、アミノ酸配列:
(配列番号700)及び
(配列番号701)を有する。更に、ペプチド内の架橋残基は、配列番号1のアミノ酸残基237~247内の残基S
242及びK
243と、配列番号1のアミノ酸残基314~338内の残基S
316及びR
325とに対応する。抗体S-22-9によって認識されるペプチドは、配列番号1のアミノ酸残基207~227及び237~260に対応し、アミノ酸配列:
(配列番号702)及び
(配列番号703)を有する。更に、ペプチド内の架橋残基は、配列番号1のアミノ酸残基207~227内の残基T
210、T
218及びS
223と、配列番号1のアミノ酸残基237~260内の残基K
243、K
248及びK
254とに対応する。抗体S-60によって認識されるペプチドは、配列番号1のアミノ酸残基207~231に対応し、アミノ酸配列:
(配列番号704)に対応する。更に、ペプチド内の架橋残基は、配列番号1のアミノ酸残基207~231内の残基T
218、Y
222、S
223及びS
227に対応する。抗体S-82-8によって認識されるペプチドは、配列番号1のアミノ酸残基367~391に対応し、アミノ酸配列:
(配列番号705)を有する。更に、ペプチド内の架橋残基は、配列番号1のアミノ酸残基367~391内の残基S
379、R
382及びY
386に対応する。
【0535】
機能性マッピング
ソルチリン変異バリアント
(配列番号706)(配列中、下線を付した野生型ソルチリンアミノ酸配列の残基H、M及びTがそれぞれQ、V及びSで置換されている)及びS595Rを変異プライマーを使用して作製し、プラスミドベクターpCMV-AC-IRES-GFP(Origeneより)にクローニングした。抗ソルチリン抗体S-30及びS-60を、DyLight650抗体標識キット(Thermo Scientific Pierce)を製造者の説明書に従って用いて結合させた。
【0536】
Fugene HD(Promega)を製造者の説明書に従って使用して、プラスミドをHEK293T細胞に一過性トランスフェクトした。トランスフェクトしたHEK293T細胞を24時間後に回収し、PBSで洗浄し、FACSバッファー(PBS+2%FBS)中、5μg/ml抗体とともに氷上で1時間インキュベートした。その後、200μlのFACSバッファーで細胞を2回洗浄し、FACS Canto及びFlowJoソフトウェアで解析した。GFP陽性細胞を選択し、ソルチリン発現をAPCチャンネルの中央蛍光強度として測定した。
【0537】
ソルチリン変異体HVPLVIMT131QVPLVIVSでは、抗体S-30(
図16B)の結合が大きく減少したが、抗体S-60の結合は減少しなかった。対照的に、ソルチリン変異体S595Rへの抗体S-60の結合は大きく減少したが(
図16C)、抗体S-30の結合は減少しなかった。これらの結果は、S-30結合にはソルチリンの
131HVPLVIMT
138ペプチド内のアミノ酸が必要であり、ソルチリンへのS-60結合にとっては残基S595が重要であることを示している。
【0538】
実施例25:ソルチリンとニューロテンシンとの間の相互作用の特徴付け
材料及び方法
表面プラズモン共鳴(SPR)データをBiaCore T200機器で1Hzの速度で25℃にて収集した。データ解析は、BiaCore T200 Evaluationソフトウェア、バージョン2.0を使用して実施した。HBS-EP+(100mM HEPES、1.5M NaCl、30mM EDTA、0.5%v/v界面活性剤P20、pH7.4)をランニングバッファーとして、また試薬の調製のために使用した。
【0539】
抗ヒスチジンIgGを固定化したCM5センサーチップ(GE Healthcare)上にヒスチジンタグ付きヒトソルチリン(25nM、R&D Biosystems)を捕捉した(接触時間60秒、流量30μl/分、安定化時間0秒)。次いで、0nM、100nMまたは500nMのニューロテンシン(NTS、Sigma)を含有するヒトプログラニュリン(PGRN、50nM、AdipoGen)を、捕捉したソルチリン表面全体に流した(接触時間60秒、流量30μl/分、解離時間30秒)。サイクルとサイクルとの間に10mMグリシン-HCl(pH1.7)を使用してチップ表面を再生した(接触時間60秒、流量30μl/分、安定化時間60秒)。結果として生じるSPRシグナルを、空のフローセル上で実施した測定からのレスポンスの差として得た。
【0540】
抗ヒトIgG(Jackson Labs)を固定化したCM5センサーチップ(GE Healthcare)上に抗ソルチリン抗体S-15(25nM)、S-22(25nM)、S-49(25nM)及びS-60(25nM)を捕捉した(接触時間60秒、流量30μl/分、解離時間0秒)。ヒトソルチリン(100nM、R&D Biosystems)を0nM、100nM、500nMまたは10,000nMのニューロテンシン(NTS、Sigma)とプレインキュベートし、次いで、捕捉した抗ソルチリン表面全体に流した(接触時間60秒、流量30μl/分、解離時間30秒)。サイクルとサイクルとの間に10mMグリシン-HCl(pH1.7)を使用してチップ表面を再生した(接触時間60秒、流量30μl/分、安定化時間60秒)。結果として生じるSPRシグナルを、空のフローセル上で実施した測定からのレスポンスの差として得た。
【0541】
結果
図17Aに示すように、ニューロテンシンを一緒に注入すると、組換えヒトプログラニュリン(PGRN)のヒトソルチリンへの結合が遮断されることから、PGRNとニューロテンシンはソルチリン上の同じ部位に結合することが確認される。抗ソルチリン抗体(S-15、S-22、S-49及びS-60)がニューロテンシンが結合するソルチリン上の部位と同じ部位に結合するかどうかを試験するために、チップ上に抗体を捕捉し、次いで、ソルチリンを、異なる用量のニューロテンシンと予めインキュベートして一緒に注入した。抗体S-15、S-22及びS-49については、ソルチリン抗原に対する抗体結合のわずかな減少のみが観察された(
図17B、17C及び17D)。一方、S-60のソルチリンへの結合では、いかなる減少も観察されなかった(
図17E)。実施例4に示すように、抗体S-60は、PGRNのソルチリンへの結合を遮断するPGRN遮断抗体である。結果は、抗体S-15、S-22、S-49及びS-60がニューロテンシン結合部位でソルチリンに結合しないことを示している。ニューロテンシンが抗体S-60のソルチリンへの結合ではなく、PGRNのソルチリンへの結合を遮断することができることから、ソルチリンへのPGRN結合を遮断する抗体S-60の能力は、ソルチリン上のPGRN結合部位近くにS-60が結合することによって達成され、おそらく、ソルチリン上のPGRN結合部位に対する直接的競合ではなく、立体障害によってPGRN結合部位を塞いでいると考えられる。更に、抗体S-15、S-22、S-49及びS-60は、ビン2、3、4及び5(n.d.)に該当することから、実施例1及び23に列挙するビン2、3及び4に属する抗ソルチリン抗体もまたニューロテンシン結合部位でソルチリンに結合しないことが示唆される。
【0542】
実施例26:細胞におけるソルチリンレベルの減少
材料及び方法
RosetteSep Human Monocyte Enrichment Cocktail(STEMCELL Technologies)を製造者のプロトコルに従って使用して、ヘパリン処置したヒト血液(Blood Centers of the Pacific)からヒト初代単球を単離した。10%ウシ胎児血清(Hyclone)と、マクロファージへの分化を誘導するための50μg/mlのM-CSF(Peprotech)または樹状細胞への分化を誘導するための100μg/mlのIL-4+100μg/mlのGM-CSF(Peprotech)のいずれかとを含有するRPMI(Invitrogen)中に単球を播種した。5日後、細胞を回収した。マクロファージについては、プレートに付着した細胞のみをセルスクレーパーを使用して回収した。樹状細胞については、浮遊している細胞を回収した。PBS中で洗浄後、細胞を12ウェルプレートに0.4Mi/ウェルで播種した。
【0543】
50nMの全長抗ソルチリン抗体(IgG)または抗ソルチリン抗体Fabを各ウェルに添加し、48時間インキュベートした。次いで、プロテアーゼ阻害剤(Life Technologies)を含むRIPAバッファー(Thermo Fisher Scientific)を使用して、細胞を氷上で溶解した。溶解物を回収し、10,000×gで4℃、10分間遠心分離した。上清を回収し、製造者の説明書に従ってBCAキット(Thermo Fisher Pierce)を使用し、タンパク質濃度を測定した。次の抗ソルチリン抗体S-2-11、S-5、S-15-6、S-22-9、S-60及びS-82-8を使用した。
【0544】
4~12%Bolt Bis-Trisタンパク質ゲル(Life Technologies)上に1レーンあたり15μgのタンパク質を充填し、150Vで45分間実行した。iBlotを製造者の説明書(Life Technologies)に従って使用して、PVDFメンブレン上にタンパク質を転写した。次いで、TBS+0.05%Triton(TBST)中でメンブレンを洗浄し、TBST+5%BSA中、室温で、少なくとも1時間ブロッキングした。抗ニューロテンシン(BD Biosciences、1:200)を使用したソルチリン標識、TBST中に希釈した抗βアクチン(Santa Cruz、1:500)を使用したアクチン標識を、4℃で一晩インキュベートすることにより行った。次いで、TBSTでメンブレンを3回洗浄し、抗マウスHRP結合二次抗体(Jackson Laboratories)中、室温で1時間インキュベートした。メンブレンを再度TBST中で3回洗浄し、ECLウェスタン検出試薬(GE Life Sciences)中で1分間インキュベートし、Amersham Imager 600(GE Life Sciences)で撮影した。
【0545】
結果
抗ソルチリンS-2-11、S-15-6、S-22-9及びS-82-8の50nM全長抗体またはFab断片による処置は、対照(対照、対照ヒトIgG1及び対照ヒトIgG1 Fab)と比較して、48時間以内に、ヒト初代マクロファージ(
図18A)及びヒト初代樹状細胞(
図18B)におけるソルチリンタンパク質発現に大きな減少をもたらした。抗ソルチリン抗体S-60は、ソルチリンの細胞表面レベルをほぼ完全に排除する能力があるにもかかわらず、ヒト初代単球におけるソルチリンタンパク質発現については、ごく弱い減少しかもたらさなかった(
図18A及び18B)。抗ソルチリン抗体S-5は、ヒト初代単球において、ソルチリンタンパク質発現の減少をもたらさなかった(
図18A及び18B)。抗体S-5の結果は、抗体S-5がU-251細胞におけるソルチリンの細胞表面レベルを減少させることができないことと一致する(実施例5及び
図10)。これらの結果は、抗ソルチリン抗体S-5が純粋なPGRN結合遮断体であることを示している。
【0546】
図18に示す結果は、ソルチリンタンパク質のレベルを減少させる抗ソルチリン抗体のin vivo活性を測定するために、患者血液試料に由来するヒト初代骨髄細胞を使用できるということを示している。同様の結果がマウスでもin vivoで実証されている。
【0547】
実施例27:In Vivoにおけるソルチリンとプログラニュリンとの間の相互作用の特徴付け
材料及び方法
William J.Harris&John R.Adair,Eds.(Antibody Therapeutics,1997)に記載されているような標準的手順によって、組換え抗ソルチリン抗体を発現プラスミドにクローニングし、HEK293T細胞で産生させた。抗体をクローニングした発現プラスミドは、コンセンサスヒトまたはマウスIgG1定常重鎖及び軽鎖領域を含有し、重鎖Fcに抗体のグリコシル化を防ぐN297A変異を含む。
【0548】
0日目に、C57BL6マウス(Taconic)、ソルチリンノックアウトマウスまたはソルチリンヘテロ接合性マウスにIgG 40mg/kgを腹腔内注射した。次の抗ソルチリン抗体:S-2-11、S-15-6、S-20及びS-30を使用した。
【0549】
4時間後、2、5、8及び12日目に採血して血漿及び白血球を単離した。血漿を単離するために、ヘパリン処理したチューブ中に採血し、10,000×g、4℃で10分間遠心分離した。血漿上清を回収し、-80℃で保存した。後の白血球の単離のために、1倍量のPBS+1mM EDTAを添加し、細胞をボルテックスによって再懸濁した。10倍量の1×ACK溶解バッファー(Lonza)を添加し、細胞を氷上で10分間インキュベートした後、500×g、4℃で10分間遠心分離した。上清を破棄し、細胞を10倍量のACK溶解バッファー中に再懸濁し、再度、氷上で5分間インキュベートした後、500×g、4℃で10分間遠心分離した。細胞を1mlのPBS+1mM EDTA中で洗浄し、再度遠心し、上清を破棄し、細胞ペレットを-80℃で保存した。
【0550】
白血球からタンパク質を単離するために、細胞ペレットを、プロテアーゼ阻害剤カクテルを含有する50μlのN-Per(Thermo Scientific Pierce)中に再懸濁した。この溶液を氷上で20分間インキュベートし、10,000×g、4℃で10分間遠心分離した。上清を回収し、BCAによって測定し、先のセクションに記載したようにタンパク質ゲルに充填した。特注ELISAアッセイを使用して、血漿中のヒトIgG1抗体のレベルを決定した。簡潔に述べれば、96ウェルプレートを、1ウェルあたり0.1μgのIgGに特異的なヤギ抗ヒトFab断片(Jackson Immuno)で、4℃で一晩コーティングした。プレートを200μlの洗浄バッファー(PBS+0.05%Tween)中で3回洗浄し、結合バッファー(PBS+1%BSA)中、室温で1時間ブロッキングした。血漿を結合バッファーで希釈し、ブロッキングしたプレートに添加し、37℃で1時間インキュベートした。その後、プレートを200μlの洗浄バッファー中で3回洗浄し、結合バッファー中に1:10,000で希釈した抗ヒトFc特異的HRP結合二次抗体(Jackson Immuno Research)とともに、室温で1時間インキュベートした。プレートを洗浄バッファー中で3回洗浄し、次いで、100μlのTMB基質を添加し、十分に発色するまでインキュベートした。50μlの2N硫酸の添加によって反応を停止し、Synergy H1プレートリーダー(Biotek)でプレートを読み取った。対照のIgG1抗体は、16~1000pMの標準濃度で使用した。マウスIgG1抗体のレベルは、同様のELISA設定を使用して試験した。1ウェルあたり0.1μgの組換えマウスソルチリンタンパク質(R&D Systems)でプレートをコーティングし、ヤギIgGに特異的な抗マウスFc(Jackson Immuno Research)を結合バッファー(PBS+3%BSA)中に1:10,000に希釈して検出抗体として使用した。注射される抗体は、37~3000pMの標準で使用した。
【0551】
マウスプログラニュリン(PGRN)のレベルは、R&D SystemのDuoset ELISAキットを製造者のプロトコルに従って使用して測定した。白血球の溶解物中のソルチリンタンパク質レベルは、実施例25に記載のとおりにウェスタンブロッティング及びその定量を使用して測定した。
【0552】
抗体をマウスの脳にICV注入するために、抗体(2mg/ml)をコーティング及び事前充填し、片側ICV投与用Alzetカニューレ(脳注入キット3)に接続した皮下Alzet浸透圧ミニポンプ(モデル1002、流量=0.25μl/時)をマウスに埋め込んだ。手術前に、Alzetから提供された指示に従って、ミニポンプのプライミングを行った。簡潔に述べれば、全てのパッケージ、ボトル、シリンジ及びグローブに70%エタノールを噴霧した。清潔なニードル及びシリンジを使用して、ミニポンプに所望の試験物品を充填した。次いで、これをイソプロパノールを浸したティッシュで洗浄し、滅菌0.9%生理食塩水の容器中に37℃で一晩置き、ポンプのプライミングを行った。
【0553】
マスクを備えた気化器を使用し、イソフルラン+酸素を用いてマウスに麻酔をかけた。その後、各マウスを、脳定位固定フレーム内の調整可能な保温パッド上に置いた。脳定位固定フレームに載せたまま、ノーズコーンを介したイソフルラン麻酔をマウスに続けた。次いで、マウスは、頭蓋の切開部位へのマーカイン(ブピバカイン+エピネフリン)局所投与を受けた。頭蓋を覆う皮膚を手術用ガーゼ及びベタダインスクラブで洗浄し、次いで、手術用ガーゼに付けた75%エタノールで拭いた。メスを使用して、頭蓋を覆う皮膚に1cmの正中矢状切開を施し、骨を露出させた。0.9%通常生理食塩水または3%H2O2を含む滅菌Q-tipを使用して、手術領域のあらゆる血液を除いた。血管鉗子を使用して皮膚弁をはさみ、横方向に引っ張った。メスで筋膜及び骨膜(periostium)をはがすと、ブレグマを目で確認することができた。最初に脊椎の左右いずれかの肩甲骨/背中に沿ってミニポンプを皮下に埋め込んだ。次に、穿頭孔(bur hole)の位置をメス先端または先細のマーカーでマーキングし、下にある硬膜または脳組織に損傷を与えないように注意を払いつつ頭蓋に手動ドリルで孔を空けた。ミニポンプに取り付けたAlzetカニューレ(キット3)を側脳室(ventrical)または海馬に挿入した。側脳室のカニューレ先端の位置は、前後(AP)=ブレグマまで-0.3mm、内外側(ML)=正中線から-1.0mm、及び下面(V)=硬膜まで-1.7mmであり、トゥースバーは0mmに設定した。手術後、マウスをケージ内に個別に収容し、食餌及び水を自由に摂取させた。マウスの状態を手術後毎日観察した。終了時点で、全てのマウスを安楽死させた。安楽死または自然死の後、ミニポンプ埋込部位を開け、ネクローシスまたは体液蓄積の徴候を含む、観察について記録した。
【0554】
マウスへの末梢注射のために、標準的手順に従って、滅菌PBS中の抗体を腹腔内(IP)または静脈内(IV)のいずれかで投与した。血液試料50~200μlを採取し、ヘパリン処理したチューブに回収した。その後、血液試料を2,000×g、4℃で10分間遠心分離し、血漿を回収した。
【0555】
脳を左右の海馬、前頭皮質及び後頭皮質に切断した。脳溶解物を調製するために、組織1mgあたり20μlのN-Perを、プロテアーゼ及びホスファターゼ阻害剤とともに添加した。組織及び細胞を超音波処理によって破壊した。破壊後、組織及びN-per混合物を氷上で30分間インキュベートし、その後、20,000×gで30分間遠心した。上清を回収し、分析まで-80℃で保存した。脳溶解物試料中の抗ソルチリン抗体及びマウスPGRNレベルをELISAアッセイを使用して測定した。
【0556】
結果
0日目に抗ソルチリン抗体S-2-11、S-15-6、S-20及びS-30を40mg/kgでマウスに腹腔内注射した。0(注射から4時間後)、2、5、8及び12日目に特注ELISAアッセイを使用して抗体レベルを測定した。血清半減期は、特注Excelアドインを使用して測定した。
図19Aに示すように、huIgG1 N297Aの抗体S-20は0.9日の半減期を有するのに対し、アイソタイプの対照抗体(huIgG1N297A)は4.2日の半減期を有する。グリコシル化を防ぐN297A変異をFc領域中に有することによりFc受容体に結合する、マウスまたはヒトIgG1 N297A抗体をこれらの実験に使用した。
【0557】
図19Bに示すように、抗ソルチリン抗体S-2-11、S-15-6、S-20及びS-30のマウスIgG1 N297Aバージョンは、0.5日~2.0日の範囲の半減期を有する。
【0558】
抗ソルチリン抗体は、対照IgGよりも半減期が短いが、これは、標的結合の結果であると考えられる。
図19に示すように、抗体S-15-6及びS-20は、抗ソルチリン抗体の半減期が最も長い。
【0559】
次いで、抗ソルチリン抗体がマウスの血漿中においてPGRNのタンパク質レベルの変化を誘導できるかどうかについて判定するために、マウスPGRN Duoset ELISAキット(R&D Systems)を使用して、抗ソルチリン抗体を試験した。細胞においてソルチリンレベルの減少を誘導する抗ソルチリン抗体S-2-11、S-15-6及びS-20(
図10及び18)は、マウスの血漿中PGRNタンパク質レベルにおいても約4倍の増加を誘導することができた(
図20A~20D)。抗体S-2-11によって誘導されたPGRNタンパク質レベルの増加は、断続的であるようだが、抗体S-20及びS-15-6は、最大8日間、PGRNタンパク質レベルの著しい増加を誘導する(
図20A~20D)。純粋なPGRN結合遮断抗体のS-30もまた、4時間後、PGRNレベルを著しく増加させることができる(
図20A及び20B)。結果は、ソルチリンの細胞中レベルの減少を誘導しないPGRN遮断抗ソルチリン抗体が、PGRNのタンパク質レベルを増加させることもできることを示唆している。しかし、抗体S-15-6及びS-20などの、ソルチリンの細胞中レベルの減少を誘導し、またPGRNタンパク質レベルの長期効果を誘導することができる抗ソルチリン抗体は、ソルチリンとPGRNとの間の相互作用を遮断するだけの抗ソルチリン抗体と比較して、in vivo有効性試験により適していると考えられる。
【0560】
抗ソルチリン抗体S-2-11、S-15-6及びS-20によって誘導されるPGRNタンパク質レベルの増加がソルチリンの細胞中レベルの減少の誘導に起因することを確認するために、処置マウスから得た白血球試料の溶解物をタンパク質ゲル上に流し、ウェスタンブロッティングによって試験した。注射の5日後、抗体S-2-11、S-15-6及びS-20は、白血球中のソルチリンタンパク質レベルの大きな減少を誘導した(
図21A及び21B)。抗体S-2-11、S-20及びS-30による処置の12日後のマウスから得た白血球試料は、対照レベルに戻ったソルチリンタンパク質のレベルを示した(
図21C及び21D)。一方、抗体S-15-6による処置の12日後のマウスから得た白血球試料は、ソルチリンタンパク質レベルの減少を変わらず示した(
図21C及び21D)。抗体S-30は、ソルチリンタンパク質レベルの減少を誘導しないようであり(
図21A~21D)、これは、in vitroでの結果(表10)と一致する。抗ソルチリン抗体S-30は、特異的なPGRN遮断体である。
【0561】
長期注射後の標的結合を測定するために、20、40もしくは80mg/kgの抗体S-15-6またはmsIgG1対照抗体をマウスに週1回、6週間注射した。35日後、白血球を全血試料から単離した。マウスから得られた試料では、ソルチリンタンパク質レベルの大きな減少が全ての注射用量で見られた(
図21E及び21F)。これらの結果は、持続的な標的結合が達成できることを示している。
【0562】
脳におけるソルチリン抗体の標的結合を測定するために、抗ソルチリン抗体S-15、S-20、S-30のヒトIgG1 N297Aバージョン及びヒトアイソタイプ対照抗体を、Alzet浸透圧ミニポンプを使用してマウスの脳の右側脳室に注入した。注入の2週間後、脳を左右対の海馬、前頭皮質及び後頭皮質に切断した。これらの領域から溶解物を作製し、ヒトIgGレベルをELISAアッセイを使用して測定した。
図22A~22Cに示すように、抗体(IgG)レベルをPGRNタンパク質レベルに対してプロットすると、2つの変数間に強い正の相関が認められ、これは、抗ソルチリン抗体の用量を増加すると、脳内のPGRNタンパク質レベルが増加し得ることを示している。対照IgGのレベルとPGRNタンパク質のレベルとの間には、このような相関は観察されなかった(
図22D)。
【0563】
抗ソルチリン抗体によって誘導されるPGRNタンパク質レベルに対する影響が、ソルチリンレベルの減少に起因するものであり、オフターゲット効果ではないことを判定するために、ソルチリンノックアウト(KO)マウス及びソルチリンヘテロ接合性(Het)と野生型(WT)の同腹仔において、抗体S-15-6(huIgG)のヒトIgG1 N297Aバージョンを試験した。血漿中の抗体S-15-6のレベルを測定すると、発現ソルチリンのレベルが減少するにつれて抗体の半減期が劇的に延長することが観察された(
図23A)。結果は、抗体S-15-6がソルチリンを特異的に認識し、受容体結合(すなわち、ソルチリンへの結合)時にリサイクル及び分解される可能性が高いことを示している。
【0564】
ソルチリンノックアウトマウスにおけるPGRNのレベルも決定した。PGRNタンパク質のベースラインレベルは、野生型(WT)同腹仔と比較して、ソルチリンノックアウトマウス(KO)で4倍高かった(
図23B)。更に、40mg/kgの抗体S-15-6をソルチリンノックアウトマウス及びヘテロ接合性(Het)と野生型(WT)の同腹仔に単一用量で注射し、PGRNタンパク質レベルをELISAアッセイを使用して測定した。
図23Cに示す結果は、野生型及びソルチリンヘテロ接合性マウスへの抗体S-15-6の注射が、PGRNタンパク質レベルを大きく増加させるのに対し、ソルチリンノックアウトマウスでは、PGRNタンパク質レベルの更なる増加は観察されないことを示しており、これは、抗体S-15-6が特異的にソルチリンタンパク質レベルを減少させることによってPGRNタンパク質レベルを増加させることを示している。
【0565】
実施例28:抗ソルチリン抗体によるマウスのコラーゲン誘発関節炎の症状の改善
材料及び方法
試験0日目及び21日目に、イソフルランでマウスに麻酔をかけ、フロイント完全アジュバント中総量100μlのII型コラーゲンを尾根部に皮内注射した。コラーゲンは、0.01N酢酸中4mg/ml溶液を作ることによって調製した。等量のコラーゲン及び5mg/mlのフロイントアジュバントを手動で混合することによって乳化させた。試験0日目に、マウスを体重に基づいて処置群に無作為化した。登録後、処置を開始した。0日目及び21日目に、コラーゲンを注射した。試験0、3、7、10、14、17、21、24及び28日目に40mg/kgのマウスIgG1 N297Aの抗体S-15-6または対照抗体MOPC-21を腹腔内注射した。デキサメタゾンを毎日投与した。
【0566】
登録後、マウスの体重及び四肢全ての臨床スコアを記録した。その後、試験18日目から35日目まで四肢スコアを毎日評価した。試験物品の全体的な有効性は、毎日の四肢スコア及び時間の経過に伴う四肢スコアの曲線下面積(AUC)の計算に基づいた。
【0567】
臨床肢スコアは、以下のように決定した。
0=正常
1=後肢もしくは前肢の1つの関節が冒されているか、またはわずかなびまん性紅斑及び腫脹
2=後肢もしくは前肢の2つの関節が冒されているか、または軽度のびまん性紅斑及び腫脹
3=後肢もしくは前肢の3つの関節が冒されているか、または中程度のびまん性紅斑及び腫脹
4=顕著なびまん性紅斑及び腫脹、または4本の指関節が冒される
5=肢全体に重篤なびまん性紅斑及び重篤な腫脹、指を曲げられない
【0568】
結果
40mg/kgの抗ソルチリン抗体S-15-6を動物に投与すると、あまり大きくはないが、臨床四肢スコアに統計的に有意な減少が生じ、更には疾患発症が1日遅延された(
図24)。表18A及び18Bは、
図24に示す結果の統計的有意性を表す、t検定及び二元配置ANOVAを使用して算出したp値を示す。
【0569】
これらの結果は、抗ソルチリン抗体によって誘導されるプログラニュリン(Prgranulin)レベルの増加により、関節炎の臨床症状を低減させることができることを示している。
【0570】
実施例29:In Vivoにおけるソルチリン活性の特徴付け
材料及び方法
E.coli 0111:B4由来のリポ多糖体(LPS)を、9~10週齢のC57Bl6野生型マウス及びソルチリン-/-(ソルチリンノックアウト)マウスに0mg/kg、0.4mg/kg及び4mg/kgで腹腔内注射した。LPS投与後から1.5時間及び6時間後にマウスから血清試料を採取した。次いで、サイトカイン及びケモカインのレベルを、IL-6、TNFアルファ(TNF-α)、IFNガンマ(IFN-γ)、IL-10、IL12p70及びCCL2を含むBD Cytometric Bead Arrayマウス炎症キットと、IL12/IL-23p40、IL-1ベータ(IL-1β)、IL-1アルファ(IL-1α)、CXCL1、CCL3、CCL4及びCCL5を包含するフレックスセットとを使用して評価した。LPS投与から6時間後に腹腔洗浄を行い、細胞の遊走及び浸潤を評価した。BD FACSCanto IIシステムを使用して解析を実施した。
【0571】
結果
図25Aの結果は、LPS投与から6時間後、プログラニュリンの血清レベルが野生型マウスと比較してソルチリンノックアウトマウスで上昇したことを示している。更に、0mg/kg、0.4mg/kgまたは4mg/kgのLPSの腹腔内注射は、プログラニュリンの血漿レベルに影響を与えなかった(
図25A)。
図25b~25Dに示すように、好中球、大型腹膜(CD11b+F4/80hi)マクロファージまたは小型腹膜(CD11b+F4/80lo)マクロファージの数に変化はなかった。
【0572】
図26A~26Hに示すように、炎症促進性サイトカインIL-6、IL12p70、IL12p40及びIL-1βの血清レベルは、4mg/kgのLPSの処置から1.5時間後、野生型マウスと比較してソルチリンノックアウトマウスで減少した。抗炎症サイトカインIL-10の血清レベルの上昇が、0.4mg/kgのLPSで処置したソルチリンノックアウトマウスで見られた(
図26D)。
図27A~27Eに示すように、単球、樹状細胞、T細胞、好中球及び他の顆粒球の動員に関与するCXCL1、CCL2、CCL3及びCCL5などのケモカインの血清レベルは、LPSで1.5時間処置した後、ソルチリンノックアウトマウスで減少した。
【0573】
図28A~28Hに示すように、0.4mg/kgのLPSで6時間処置したソルチリンノックアウトマウスは、IL-6の血清レベルのわずかな上昇を示し、4mg/kgのLPSで6時間処置したソルチリンノックアウトマウスは、TNFαレベルの血清レベルの減少を示した。
図29A~29Eに示すように、CCL2、CCL3及びCCL4の血清レベルは、LPSで6時間処置したソルチリンノックアウトマウスで減少した。
【0574】
結果は、ソルチリンノックアウトマウスにおけるプログラニュリンの血清レベルの上昇が、LPSに対する炎症反応を弱めるのに有益な効果がある可能性を示している。ソルチリンを遮断する抗ソルチリン抗体は、ソルチリンノックアウトマウスで同様に生じている、プログラニュリンレベルを増加させる能力を有する。したがって、本開示の抗ソルチリン抗体は、炎症促進性サイトカインIL-6、TNFα、IL-12p40及びIL-1β、ならびにケモカインCXCL1、CCL2、CCL3、CCL4及びCCL5の減少を含む、ソルチリンノックアウトマウスと重なる作用を有し得ると考えられる。抗ソルチリン抗体は、ソルチリンノックアウトマウスと同じように、ソルチリンの減少または阻害によって誘導される更なる活性を誘導し得ると更に考えられる。
【配列表】