IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ カンパニョーロ・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータの特許一覧

<>
  • 特許-自転車のディレイラ 図1
  • 特許-自転車のディレイラ 図2
  • 特許-自転車のディレイラ 図3
  • 特許-自転車のディレイラ 図4
  • 特許-自転車のディレイラ 図5
  • 特許-自転車のディレイラ 図6
  • 特許-自転車のディレイラ 図7
  • 特許-自転車のディレイラ 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】自転車のディレイラ
(51)【国際特許分類】
   B62M 9/12 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
B62M9/12
【請求項の数】 14
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018029374
(22)【出願日】2018-02-22
(65)【公開番号】P2018150035
(43)【公開日】2018-09-27
【審査請求日】2021-01-05
(31)【優先権主張番号】102017000021394
(32)【優先日】2017-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】592072182
【氏名又は名称】カンパニョーロ・ソシエタ・ア・レスポンサビリタ・リミタータ
【氏名又は名称原語表記】CAMPAGNOLO SOCIETA A RESPONSABILITA LIMITATA
(74)【代理人】
【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司
(74)【代理人】
【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎
(74)【代理人】
【識別番号】100142608
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 由佳
(74)【代理人】
【識別番号】100154771
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100155963
【弁理士】
【氏名又は名称】金子 大輔
(72)【発明者】
【氏名】ミント・マルコ
(72)【発明者】
【氏名】フェオ・ニコラ
【審査官】渡邊 義之
(56)【参考文献】
【文献】実開平3-43094(JP,U)
【文献】特開昭55-136676(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0085026(US,A1)
【文献】特開2003-160087(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第1069040(EP,A2)
【文献】米国特許出願公開第2002/0165054(US,A1)
【文献】実開平3-52297(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62M 9/12- 9/138
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自転車のディレイラであって、
-前記自転車の伝動チェーンと相互に作用するように構成され、かつ内側位置と外側位置との間にある複数の中間位置の間で移動可能なチェーンガイド(11)と、
-前記自転車のフレーム(101)の一部と固定的に関連するように設計された固定体(15)と、
-第1の関節軸(A)を中心として前記固定体(15)に回転可能に連結され、かつ前記第1の関節軸(A)と平行な第2の関節軸(B)を中心として前記チェーンガイド(11)に回転可能に連結された外側連結要素(14)と、
-第3の関節軸(C)を中心として前記固定体(15)に、かつ第4の関節軸(D)を中心として前記チェーンガイド(11)に回転可能に連結された内側連結要素(13)と、
-前記第1の関節軸(A)を中心として前記固定体(15)にヒンジ接続された作動アーム(20)と、
-前記作動アーム(20)の座部(40)に挿入可能なケーブル曲げ突起部(51)を具備するケーブルクランプワッシャ(50)と、を備え、前記座部(40)は、第1の方向(F)に沿って延在し、前記座部(40)には、互いに対向しかつ前記ケーブルクランプワッシャ(50)の前記ケーブル曲げ突起部(51)によって選択的に係合可能な第1の挿入開口(40a)および第2の挿入開口(40b)が設けられており、
前記ケーブルクランプワッシャ(50)および前記作動アーム(20)のうちの少なくとも一方に形成された少なくとも1つのケーブル案内溝(55,56)を備え
該ケーブル案内溝(55,56)は、前記ケーブルクランプワッシャ(50)と前記作動アーム(20)の間の所定の位置に配置された制御ケーブル(100)を保持する機能を有するディレイラ。
【請求項2】
請求項1に記載のディレイラにおいて、前記第1の方向(F)が、前記第1の関節軸(A)と実質的に平行であるディレイラ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のディレイラにおいて、前記作動アーム(20)の前記座部(40)が、前記第1の方向(F)に沿って、前記作動アーム(20)の厚さ全体を横切っているディレイラ。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載のディレイラにおいて、前記作動アーム(20)の前記座部(40)が、前記内側連結要素(13)の側に面する前記作動アーム(20)の部分に形成されているディレイラ。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載のディレイラにおいて、前記ケーブル曲げ突起部(51)は、前記作動アーム(20)に面する前記ケーブルクランプワッシャ(50)の内面(52)と実質的に垂直な方向に延びるディレイラ。
【請求項6】
請求項5に記載のディレイラにおいて、前記ケーブル案内溝(55,56)は、前記ケーブルクランプワッシャ(50)の前記内面(52)に形成されているディレイラ。
【請求項7】
請求項5に記載のディレイラにおいて、前記ケーブルクランプワッシャ(50)の前記内面(52)が、互いに実質的に平行かつ離間した一対のケーブル案内溝(55,56)を備えるディレイラ。
【請求項8】
請求項に記載のディレイラにおいて、前記一対のケーブル案内溝(55,56)の前記ケーブル案内溝(55,56)は、前記ケーブルクランプワッシャ(50)の孔(54
)の両側に配置されているディレイラ。
【請求項9】
請求項に記載のディレイラにおいて、前記ケーブル曲げ突起部(51)は、前記一対のケーブル案内溝(55,56)の間に配置されているディレイラ。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか一項に記載のディレイラにおいて、前記作動アーム(20)の前記座部(40)は、前記作動アーム(20)の自由端(20a)に位置しており、前記第1の関節軸(A)から遠位にあるディレイラ。
【請求項11】
請求項1から10のいずれか一項に記載のディレイラにおいて、前記作動アーム(20)の前記座部(40)は、前記固定体(15)に面する前記作動アーム(20)の後面(27)に形成された溝であるディレイラ。
【請求項12】
請求項1から11のいずれか一項に記載のディレイラにおいて、前記第1の方向(F)と平行な方向に沿って延在する前記作動アーム(20)の追加の座部(60)であって、互いに対向しかつ前記ケーブルクランプワッシャ(50)の前記ケーブル曲げ突起部(51)によって選択的に係合可能な第1の挿入開口(60a)および第2の挿入開口(60b)が設けられた追加の座部(60)を備えるディレイラ。
【請求項13】
請求項1から11のいずれか一項に記載のディレイラにおいて、前記作動アーム(20)は、前記第1の方向と平行な方向(F)に沿って延在し、かつ前記作動アーム(20)から離れるように延びる対向する端(70a,70b)を有する突出部(70)を備えるディレイラ。
【請求項14】
請求項1から13のいずれか一項に記載の自転車のディレイラにおいて、前記ディレイラは、フロントディレイラ(10)であるディレイラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自転車のディレイラに関する。好ましくは、このディレイラは競走用自転車用のものである。
【背景技術】
【0002】
既知のとおり、ディレイラは、フロントディレイラまたはリアディレイラのいずれであっても、クランクセットまたはカセットの1つの歯車から異なる径の他の歯車へと伝動チェーンを移動させて、変速比を変えることによってギアシフト動作を行うために用いられる。
【0003】
ディレイラの移動は、運転者が容易に操作できるようにハンドルバーに装着された作動装置を介して実現される。
メカニカルギアシフト装置において、例えば、フロントディレイラは、クランクセットのクラウンギヤの間で、通常シース付きの非伸縮性の制御ケーブル(一般的にボーデンケーブルと称される)によって加えられる牽引動作によって上方に、また、制御ケーブルの牽引解除によって下方に移動される。
【0004】
ディレイラは、伝動チェーンの上方に配置されたチェーンガイド(またはケージ)と、ボトムブラケットをサドル(「シートチューブ」)に連結するチューブに沿って自転車のフレームに固定されたチェーンガイドの位置決め機構と、を備える。
チェーンガイドは、互いに対向しかつ実質的に平行な内側プレートと外側プレートとから形成される。内側プレートは、チェーンを押圧して、小径のクラウンからより大径のクラウンへとチェーンを移動させることで作動し(アップシフト動作)、外側プレートは、チェーンを押圧して、より大径のクラウンからより小径のクラウンへとチェーンを移動させることで作動する(ダウンシフト動作)。
【0005】
通常、チェーンガイドの位置決め機構は、変形可能な関節接続型の四辺形によって形成される。このような関節接続型の四辺形は、シートチューブを中心として連結するためのストラップに固定的に連結された固定体(四辺形の第1の辺)と、2つのそれぞれの軸を中心として固定体に回転可能に連結された2つのコネクティングロッド(四辺形の他の2つの辺を形成する内側のコネクティングロッドおよび外側のコネクティングロッド)と、2つの更なるそれぞれの軸を中心として上記の2つのコネクティングロッドのそれぞれに回転可能に連結されたチェーンガイドのボディ(このボディは、第4の辺を形成し、関節接続型の四辺形を完成させる)と、を備える。これら4つの軸は互いに平行である。
【0006】
外側のコネクティングロッドは、4つの軸のうちの第1の軸を中心として固定体の上部でヒンジ接続されており、この上部においてそうした軸を超えて、ディレイラの制御ケーブルが連結されている端部へと作動アームと一体となって延びる。
制御ケーブルが引っ張られると、作動アームが作動し、外側のコネクティングロッドは第1の軸を中心として回転する。これにより平行四辺形は変形し、外側に移動されたチェーンガイドはギアシフト動作を行う。
【0007】
通常、制御ケーブルは、フロントディレイラの下方に配置された自転車の領域から作動アームに到達する。
幾つかの解決手段において、制御ケーブルのシースは、自転車のフレームのシートチューブまたは他のチューブに固定されており、ボトムブラケットの近傍領域に到達してから、フロントディレイラに向かって上昇する。
他の解決手段において、制御ケーブルのシースは、自転車のフレームのシートチューブまたは他のチューブの内側に挿入されており、フロントディレイラの下方に配置されたフレームにおける孔から出ている。
【0008】
制御ケーブルは、下方の位置決め機構にこのケーブルが干渉しないように、作動アームの端部に横方向に連結されている。
具体的に述べると、制御ケーブルは、作動アームの側面とケーブルクランプワッシャとの間に配置されている。作動アームの側面には、ケーブルクランプワッシャの孔に対向する孔があり、この孔は、ケーブルクランプワッシャと当接するボルトと係合する。
これにより、ケーブルクランプワッシャは、ケーブルクランプワッシャと作動アームとの間にある制御ケーブルの部分に圧力を加え、作動アームの側面に当該部分を押圧して拘束する。
【0009】
ケーブルクランプワッシャは、ケーブルクランプワッシャと作動アームとの間に保持された制御ケーブルの部分を方向付けることが可能な突起部を具備していてもよい。
制御ケーブルを作動アームに締結するシステムの例は、特許文献1および特許文献2に記載されている。
【0010】
リアディレイラにおいても、関節接続型の四辺形リンク機構が設けられており、この四辺形リンク機構は、フレームの孔から、またはフレームに固定的に連結された適当な伝動機構から出ている通常シース付きの制御ケーブルによって作動される(フロントディレイラのチェーンガイドとは異なる形状や構造を有する)チェーンガイドを移動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】欧州特許出願公開第3000711号明細書
【文献】独国特許出願公開第202012004089号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
出願人は、幾つかの状況において、制御ケーブル(または制御ケーブルが挿入されたシース)は、自転車の後輪や、例えばディレイラなどといった自転車の他の部品に干渉することがあるということに気付いた。
実際のところ、出願人は、フレームから制御ケーブル(または制御ケーブルが挿入されたシース)が出される孔を慎重に研究したとしても、与えられた仕様をフレームの製造者が完全に守らず、後輪またはディレイラに近すぎる位置において、フレームに、フレームから制御ケーブルを出すための出口孔を設けてしまう可能性があるということに気付いた。
【0013】
出願人は、また、制御ケーブルが自転車の他の部品に干渉してはいけないので、使用されるクランクセットの型およびサイズに応じたディレイラの位置づけそのものが、制御ケーブルがディレイラに到達するために取る経路によって制限されてしまう可能性があるということに気付いた。
【課題を解決するための手段】
【0014】
したがって、本発明は、自転車のディレイラであって、
-前記自転車の伝動チェーンと相互に作用するように構成され、かつ内側位置と外側位置との間にある複数の中間位置の間で移動可能なチェーンガイドと、
-前記自転車のフレームの一部と固定的に関連するように構成された固定体と、
-第1の関節軸を中心として前記固定体に回転可能に連結され、かつ前記第1の関節軸と平行な第2の関節軸を中心として前記チェーンガイドに回転可能に連結された外側連結要素と、
-第3の関節軸を中心として前記固定体に、かつ第4の関節軸を中心として前記チェーンガイドに回転可能に連結された内側連結要素と、
-前記第1の関節軸を中心として前記固定体にヒンジ接続された作動アームと、
-前記作動アームの座部(seat)に挿入可能なケーブル曲げ突起部(cable-bending appendage)を具備するケーブルクランプワッシャと、を備え、前記座部は、第1の方向に沿って延在し、前記座部には、互いに対向しかつ前記ケーブルクランプワッシャの前記ケーブル曲げ突起部によって選択的に係合可能な第1の挿入開口および第2の挿入開口が設けられているディレイラに関する。
【0015】
前記ケーブルクランプワッシャの前記ケーブル曲げ突起部は、前記作動アームとの接続領域において前記制御ケーブルを急に偏位させて、前記作動アーム上に前記制御ケーブルの牽引力の作用点を形成するという目的を有する。
【0016】
出願人は、前記ケーブル曲げ突起部のために前記作動アーム上に座部を設けて、前記ケーブル曲げ突起部を受けることができる2つの対向する開口を設けることによって、前記作動アームの両面に前記ケーブルクランプワッシャを装着することが可能であり、いずれの場合においても、前記ケーブル曲げ突起部の正確な位置づけが保証されると考えた。
これにより、前記制御ケーブルが前記作動アームに到達する経路に応じて、前記経路を最適化するような、前記制御ケーブルを拘束する前記作動アームの前記表面を選択して、前記制御ケーブルが前記自転車の部分または前記ディレイラ自体に干渉することを防止することが可能である。
【0017】
本発明の自転車のディレイラは、以下の好適な構成を、単独または組み合わせによって1つ以上備えていてもよい。
【0018】
好ましくは、前記第1の方向が、前記第1の関節軸と実質的に平行である。
好ましくは、前記作動アームの前記座部が、前記第1の方向に沿って、前記作動アームの厚さ全体を横切っている。
前記作動アームは、互いに対向しかつ前記第1の方向に沿った端面をそれぞれ形成する第1の面および第2の面を備えることが好ましい。
前記第1の方向に沿った前記作動アームの前記厚さは、当該方向に沿って測定された、前記第1の面および前記第2の面、それぞれに属する2点間の距離である。
【0019】
前記ケーブルクランプワッシャは、前記作動アームの前記第1の面または前記第2の面に装着可能であり、前記ケーブル曲げ突起部は、前記ケーブルクランプワッシャのいずれの装着状態においても、前記作動アームの前記座部に挿入可能である。
好ましくは、前記作動アームの前記座部が、前記内側連結要素の側に面する前記作動アームの部分に形成されている。
【0020】
これにより、前記ケーブル曲げ突起部の位置によって決定される前記制御ケーブルの牽引力の前記作用点は、前記ケーブルクランプワッシャの装着状態に関わらず、前記制御ケーブルの牽引により、前記チェーンガイドが前記外側位置に向かって移動することを常に確実にするものである。
好ましくは、前記ケーブルクランプワッシャが、前記作動アームに面する内面を備え、前記ケーブル曲げ突起部は、前記内面と実質的に垂直な方向に延びる。
前記ケーブルクランプワッシャの前記内面は実質的に平坦であることが好ましく、同様に、前記作動アームの、前記ケーブルクランプワッシャの前記内面と当接する表面部分が実質的に平坦であることが好ましい。
【0021】
好ましくは、少なくとも1つのケーブル案内溝が、前記ケーブルクランプワッシャおよび前記作動アームのうちの少なくとも一方に形成されている。
前記ケーブル案内溝は、前記ケーブルクランプワッシャと前記作動アームとの間に配置された制御ケーブルの部分を、所定位置に保持する機能を有する。
好ましくは、前記ケーブル案内溝が、前記ケーブルクランプワッシャの前記内面に形成されている。
これにより、前記溝に生じ得る摩耗や損傷は、単に、前記ケーブルクランプワッシャを交換することで解決可能である。
【0022】
好ましくは、前記ケーブルクランプワッシャの前記内面が、互いに実質的に平行かつ離間した一対のケーブル案内溝を備える。
これにより、前記ケーブルクランプワッシャの両方の装着状態において、確実に、前記制御ケーブルを前記作動アームに対して同一の相対位置に、換言すれば、前記第1の関節軸に対して同一の距離に保持することが可能である。
好ましくは、前記ケーブルクランプワッシャおよび前記作動アームは、前記ケーブルクランプワッシャを前記作動アームに固定的に連結する固定ボルトによって、軸方向に沿って係合可能な孔をそれぞれ備える。
【0023】
好ましくは、前記一対のケーブル案内溝の前記ケーブル案内溝は、前記孔の両側に配置されている。
好ましくは、前記ケーブル案内溝は、前記ケーブルクランプワッシャにおける前記孔の直径に対して対称的に配置されている。
好ましくは、前記ケーブル曲げ突起部は、前記一対のケーブル案内溝の間に配置されている。
【0024】
好ましくは、前記ケーブル曲げ突起部は、前記ケーブルクランプワッシャの周縁領域、かつ前記ケーブル曲げ突起部の突出部が、前記溝が延在する前記方向と平行な方向に沿って前記ケーブルクランプワッシャにおける前記孔の中心を通る位置に配置されている。
【0025】
好ましくは、前記作動アームの前記孔にフェルールが挿入されており、前記フェルールは、第1の端および第2の端で開口する雌ねじ空間を有しており、前記固定ボルトは、前記第1の端および前記第2の端に選択的に挿入可能かつ前記貫通空間に螺合可能である。
これにより、前記作動アームにおける前記孔の内側にねじ切りを施す必要がなく、前記フェルールを、前記作動アームが形成される材料とは異なる材料から形成することが可能である。
【0026】
好ましくは、前記作動アームの前記座部は、前記第1の関節軸から遠位にある。
これにより、前記チェーンガイドを移動させるために必要な、前記制御ケーブルによって伝動される力は最大化される。
好ましくは、前記作動アームの前記座部は、前記作動アームの側面に形成された溝である。
このような側面は、前記作動アームの前記第1の面と前記第2の面との間に配置されていることが好ましい。
【0027】
第1の好適な実施形態において、前記作動アームの追加の座部(further seat)は、前記第1の方向と平行な方向に沿って延在しており、互いに対向しかつ前記ケーブルクランプワッシャの前記ケーブル曲げ突起部によって選択的に係合可能な第1の挿入開口および第2の挿入開口を備える。
前記ケーブル曲げ突起部を前記作動アームの前記追加の座部に挿入することにより、前記作動アームに沿って前記制御ケーブルの牽引力の前記作用点を変更することが可能であり、前記ディレイラの移動比(movement ratio)を変更することが可能である。
移動比は、前記チェーンガイドの移動(movement of the chain guide)と、前記制御ケーブルの牽引によって決定される前記制御ケーブルの移動量(extent of the movement of the control cable)との間の比として定義される。
【0028】
これにより、前記制御ケーブルが前記自転車の部品または前記ディレイラに干渉することを防止しつつも、前記作動アーム上で前記制御ケーブルを締結する位置を選択して、設計パラメータ内の移動比を得ることが可能である。
【0029】
第2の好適な実施形態において、前記作動アームは、前記第1の方向と平行な方向に沿って延在し、かつ前記作動アームから離れるように延びる対向する端を有する突出部を備える。
前記突出部は、前記作動アームの前記追加の座部と同一の機能を果たし、前記制御ケーブルが前記自転車の部品または前記ディレイラに干渉することを防止しつつも、前記作動アーム上で前記制御ケーブルを締結する位置を選択して、設計パラメータ内の移動比を得ることが可能である。
好ましくは、前記ディレイラは、フロントディレイラである。
【0030】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付の図面を参照しながら行う本発明の好適な実施形態についての以下の説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明に係る自転車用の、制御ケーブルの締結システムを備えるフロントディレイラの斜視図である。
図2】自転車のチューブに装着された図1のディレイラの側面図である。
図3図1のディレイラの一部の詳細を示す部分拡大斜視図である。
図4図3のディレイラの一部の詳細を示す斜視図である。
図5】1つの使用状態における図1のディレイラの斜視図である。
図6】他の使用状態における図1のディレイラの斜視図である。
図7】第1の実施形態における図1のディレイラの幾つかの部分の斜視図である。
図8】第2の実施形態における図1のディレイラの幾つかの部分の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
添付の図面を参照しながら、本発明に係る自転車のディレイラの好適な実施形態を説明する。図示されたディレイラはフロントディレイラであり、その全体を符号10で示す。
フロントディレイラ10は、メカニカル・ディレイラ、換言すれば、動作に電気機器および/または電子機器を必要としないものであることが好ましい。
【0033】
ディレイラ10は、自転車の伝動チェーン(図示せず)とスライド可能に係合して、チェーンを内側位置から外側位置へと、それらの間の複数の中間位置を横切って移動させるように構成されたチェーンガイド11を備える。
【0034】
チェーンガイド11の所定位置は、クランクセットのクラウンギヤ上の伝動チェーンの所定位置に対応する。
具体的に述べると、チェーンガイド11の内側位置は、クランクセットの最も小さいクラウンギヤ上の伝動チェーンの位置に対応し、外側位置は、クランクセットの最も大きいクラウンギヤ上の伝動チェーンの位置に対応する。
【0035】
ディレイラ10は、内側のエンドストップおよび外側のエンドストップ(図示せず)を備え、チェーンガイド11の可動域を制限する。
チェーンガイド11の移動は、変形可能な四辺形12によって作動される。この変形可能な四辺形12は、内側連結要素13と、外側連結要素14と、固定体15と、可動体16とを備える。チェーンガイド11は、変形可能な四辺形12の可動体16に固定的に連結されている。
【0036】
図1に示されるように、固定体15、可動体16および2つの連結要素13,14は、互いに平行な4つの関節軸A,B,C,Dに沿って互いに関節接続されている。より具体的に述べると、固定体15および外側連結要素14は第1の関節軸Aに従って互いに関節接続されており、外側連結要素14および可動体16は第2の関節軸Bに従って互いに関節接続されており、固定体15および内側連結要素13は第3の関節軸Cに従って互いに関節接続されており、内側連結要素13および可動体16は第4の関節軸Dに従って互いに関節接続されている。
【0037】
可動体16は、外側プレート18と、それに面する内側プレート17とを備え、これらのプレートがチェーンガイド11を形成する。可動体16には、第4の関節軸Dに沿って内側連結要素13との連結のための孔あきフランジと、外側連結要素14との連結のための孔あきフランジも設けられている。
内側および外側連結要素13,14は、運動学的にコネクティングロッドである。換言すれば、これらは、それぞれの関節軸に沿って連結された要素にトルクを伝動することができない要素である。
【0038】
固定体15は、図2に概略的に図示されているように、自転車のフレーム101のシートチューブの一部を取り付けるためのカラー19を備える。カラー19により、ディレイラ10はクランクセットに対して所定位置を取り、その位置を維持することが可能である。
図示されていない実施形態において、固定体15は、カラー19を用いることなく、例えば、フレームのシートチューブに固定体を溶接することや、フレームのシートチューブに直接形成された突起部に固定体15を拘束することによって、自転車のフレームのシートチューブに固定的に連結可能である。
【0039】
ディレイラ10は、第1の関節軸Aを中心として固定体15にヒンジ接続された作動アーム20も備える。
作動アーム20は、制御ケーブル100の締結システム(fastening system)21が配置される自由端20aを備える。
【0040】
制御ケーブル100が運転者によって(専用の制御装置を介して)牽引されているとき、作動アーム20は、第1の関節軸Aを中心として第1の角度方向Eに回転し、外側連結要素14を固定体15に対して回転させる。
作動アーム20および外側連結要素14の当該回転により、変形可能な四辺形12の変形が決定され、外側位置に向かってチェーンガイド11が移動される。
変形可能な四辺形12の変形は、トーション戻りばね22に反して生じる。トーション戻りばね22は、第4の関節軸D上に配置されており、可動体16および内側連結要素13の間に作用する。
【0041】
制御ケーブル100の制御された牽引解除により、内側位置に向かってチェーンガイド11が移動する、変形可能な四辺形12の変形が決定する。関節接続型の四辺形12の変形は、トーション戻りばね22の押し圧(thrust)を受けて生じる。
【0042】
作動アーム20は、外側連結要素14を拡張したものであってもよく、外側連結要素14と一体に形成してもよい。
本発明の好適な実施形態において、作動アーム20は、外側連結要素14から物理的に別体である。
【0043】
添付の図面に示された当該解決手段において、作動アーム20は、第1の関節軸Aを中心とした回転のために外側連結要素14に固定的に連結されている。添付の図面の実施形態において、トーションスプリング23は、作動アーム20と外側連結要素14との間において、第1の角度方向Eと反対の第2の角度方向に沿って方向付けられたプリロードで作用する。トーションスプリング23は、外側連結要素14に対して作動アーム20の第1の角度方向Aに沿った回転に対抗する。
【0044】
チェーンガイド11が内側位置から外側位置へと偏位する間にわたって、作動アーム20および外側連結要素14は、第1の関節軸Aを中心として揺動するロッカーアーム
(rocker arm)のように動く。
作動アーム20が外側連結要素14と一体である場合、および作動アーム20が外側連結要素14とは別個の要素である場合のいずれの場合であっても、作動アーム20の自由端20aは、図1に示されるように、第2の関節軸Bの反対側にある第1の関節軸Aから離れるように配置されている。
【0045】
図3に示されるように、作動アーム20は、自由端20aの近傍に、第1の関節軸Aと平行な第1の方向Fに沿って互いに対向する第1の端面24と第2の端面25とを備える。
自由端20aの近傍において、作動アーム20は、第3の関節軸Cおよび第4の関節軸Dとは反対の側を向く、換言すれば、固定体15とは反対の側を向く前面26を有する(図2)。
作動アーム20の後面27は、自由端20aの近傍にあり、第3の関節軸Cおよび第4の関節軸Dに、換言すれば、固定体15に面する。
【0046】
後面27は前面26に対向し、これらの面は、作動アーム20の第1の端面24および第2の端面25と共に結合されている。
後面27および前面26は、作動アーム20の上面28によって共に結合されている(図3)。
【0047】
制御ケーブル100の締結システム21は、図3に示されるように、ケーブル曲げ突起部51を有するケーブルクランプワッシャ50を備える。
ケーブルクランプワッシャ50は、作動アーム20と接触するように意図された内面52を有する。ケーブル曲げ突起部51は、内面52と実質的に垂直に、かつ内面から離れるように延びる。
図4に示されるように、ケーブル曲げ突起部51は、ケーブルクランプワッシャ50の外縁50aから突出し、この外縁自体と結合している。
【0048】
ケーブル曲げ突起部51は、ケーブルクランプワッシャ50の内面52と対向する外面53と実質的に整合する第1の端51aを有する。ケーブル曲げ突起部51の第2の端51bは、ケーブルクランプワッシャ50の内面52から離れるように配置されている。ケーブル曲げ突起部51の第1の端51aと第2の端51bとを分離する距離は、突起部の長さ自体を定める。
【0049】
本発明の好適な実施形態において、ケーブル曲げ突起部51は、第1の端51aおよび第2の端51bが互いに実質的に平行である角柱状の形状を有する。
ケーブル曲げ突起部51は、略四角形の基部を有しているが、実質的に互いに平行な端を有する略円筒状の形状であるケーブル曲げ突起部や、例えば、円形、三角形、楕円形の基部を有するものとすることも可能である。
【0050】
ケーブルクランプワッシャ50は、実質的にその中央に配置された円形孔54を有する。以下においてその機能を明らかにする。
ケーブルクランプワッシャ50の内面52上には、少なくとも1つの、好ましくは、2つのケーブル案内溝55,56が設けられる。
第1のケーブル案内溝55は略直線状であり、ケーブルクランプワッシャ50の外縁50a上の両端において開口する内面52全体を横切っている。第1のケーブル案内溝55の深さ、換言すれば、外面53に向かっての長さは、溝自体の長さ全体に沿って実質的に一定である。
第1のケーブル案内溝55の深さは、制御ケーブル100の直径よりも小さい。
【0051】
第2のケーブル案内溝56は、ケーブル曲げ突起部51と垂直に延び、ケーブルクランプワッシャ50の外縁50a上の両端において開口する内面52全体を横切っている。第2のケーブル案内溝56の深さ、換言すれば、外面53に向かっての長さは、溝自体の長さ全体に沿って実質的に一定である。
第2のケーブル案内溝56の深さは、制御ケーブル100の直径よりも小さい。
【0052】
第1のケーブル案内溝55および第2のケーブル案内溝56の深さは実質的に同一である。
第1のケーブル案内溝55および第2のケーブル案内溝56は互いに平行であり、実質的に同一の長さを有する。
図4に示されるように、第1のケーブル案内溝55および第2のケーブル案内溝56は、ケーブルクランプワッシャ50の孔54の両側に配置されている。
【0053】
作動アーム20の自由端20aには、第1の方向Fに沿って作動アームを横切る貫通孔29が設けられている。図3に示されるように、貫通孔29は、作動アーム20の第1の面24と第2の面25との間を延びる。
貫通孔29の内側にはフェルール(ferrule)30が挿入されており、このフェルール30は、両端で開口する円筒状の内側空間31を備える。
フェルール30の内側空間31には、ねじ切りが施されており、ボルト32を受ける。
フェルール30は鋼製であることが好ましく、作動アーム20はアルミニウム製またはアルミニウム合金製であることが好ましい。
【0054】
作動アーム20は、自由端20aにおいて、第1の方向Fに沿って延在する座部40
を備える。
座部40は、互いに対向し、かつ座部40の両端に配置された第1の挿入開口40aおよび第2の挿入開口40bを備える。
第1の挿入開口40aおよび第2の挿入開口40bは、図3に示されるように、作動アーム20の第1の面24および第2の面25にそれぞれ形成される。
座部40は、第1の面24と第2の面25との間において第1の方向Fに沿って測定された作動アーム20の厚さ全体を横切っている。
【0055】
図3に示されるように、座部40は、作動アーム20の内面27上に形成されており、溝を形成する内面27上で開口している。
換言すれば、座部40は、作動アーム20の内面27上に形成された溝であって、この溝は、作動アーム20の第1の面24と第2の面25との間を延びている。
【0056】
挿入開口40aおよび40bは、ケーブルクランプワッシャ50のケーブル曲げ突起部51を収容できるようなサイズである。
2つの挿入開口40aおよび40bの間の座部40のサイズは、ケーブルクランプワッシャ50のケーブル曲げ突起部51を収容できるようなサイズである。
ケーブル曲げ突起部51が座部40内に挿入されたとき、制御ケーブル100は、作動アーム20上にある制御ケーブル100の牽引力の作用点を定める第1の接触面において、ケーブル曲げ突起部51に接触する。
【0057】
図7に示された第1の実施形態によれば、作動アーム20は、互いに対向し、かつ追加の座部60の両端に配置された第1の挿入開口60aおよび第2の挿入開口60bを具備する追加の座部60を備える。
第1の挿入開口60aおよび第2の挿入開口60bは、作動アーム20の第1の面24および第2の面25上にそれぞれ形成されている。
追加の座部60は、第1の面24と第2の面25との間において第1の方向Fに沿って作動アーム20の厚さ全体を横切っている。
追加の座部60は、溝を形成する作動アーム20の内面27上で開口している。
換言すれば、追加の座部60は、作動アーム20の内面27上に形成された溝であって、この溝は、作動アーム20の第1の面24と第2の面25との間を延びている。
追加の座部60は、座部40に対して第1の関節軸Aからさらに離れた位置に配置されている。
【0058】
ケーブルクランプワッシャ50のケーブル曲げ突起部51は、座部40における係合の代わりとして、追加の座部60に係合可能である。
ケーブル曲げ突起部51が追加の座部60内に挿入されたとき、制御ケーブル100は、作動アーム20上にある制御ケーブル100の牽引力の作用点を定める、第1の接触面とは異なる第2の接触面において、ケーブル曲げ突起部51に接触する。
第1の接触面は、第1の関節軸Aおよび第2の関節軸Bの両方を含む平面から第2の接触面に対してより近くに配置されている。
【0059】
座部40または追加の座部60における制御ケーブル100の係合により、ディレイラの異なる移動比が決定される。
具体的に述べると、座部40における制御ケーブル100の係合により、追加の座部60における制御ケーブル100の係合によって得られる移動比よりも大きい移動比が決定される。
【0060】
図8に示された第2の実施形態において、作動アーム20は、作動アーム20から現れかつ作動アームと一体である突出部70を備える。
突出部70は、第1の方向Fに沿って延び、座部40に対して第1の関節軸Aからより遠くに配置されている。
突出部70は、互いに対向し、かつ第1の方向Fに沿って作動アーム20の第1の面24および第2の面25を超えて延びる第1の部分70aおよび第2の部分70bを備える。
突出部70は、第1の方向Fに沿って細長い形状を有する。
突出部70は、座部40に挿入されたケーブル曲げ突起部51との当接の代わりとして、制御ケーブルが突出部70に当接するとき、制御ケーブル100のためのケーブル曲げ要素として作用する。
【0061】
突出部70は、制御ケーブルがケーブルクランプワッシャ50に到達して作動アーム20上で保持される前に、制御ケーブル100の経路を逸らす第2の接触面を有する。
第2の接触面は、ケーブルクランプワッシャ50の反対方向を向く突出部70の前面72に配置されている。
【0062】
ケーブル曲げ突起部51上の第1の接触面は、第1の関節軸Aおよび第2の関節軸Bの両方を含む平面から第2の接触面71に対してより近くに配置されている。
第1の接触面によって決定される移動比は、第2の接触面によって決定される移動比よりも大きい。
具体的に述べると、座部40における制御ケーブル100の係合により、突出部70上の制御ケーブル100の係合によって得られる移動比よりも大きい移動比が決定される。
【0063】
使用時において、制御ケーブル100は、ケーブルクランプワッシャ50と作動アーム20との間に保持されている。
具体的に述べると、ケーブルクランプワッシャ50のケーブル曲げ突起部51は、ケーブル曲げ突起部51上にありケーブルクランプワッシャ50のケーブル案内溝55,56に挿入された制御ケーブル100と共に、挿入開口40a,40bに挿入される。
【0064】
ケーブルクランプワッシャ50の孔54は、作動アーム20における貫通孔29に挿入されたフェルール30に螺合されたボルト32によって係合される。
ボルト32を締めることにより、そのヘッド32aは、作動アーム20に対してケーブルクランプワッシャ50を押圧し、制御ケーブル100を安定に拘束する。
【0065】
具体的に述べると、特定の必要に応じて、換言すれば、制御ケーブル100が作動アーム20に到達するために取る経路に応じて、ケーブルクランプワッシャ50を(図5に示されるように)作動アーム20の第1の面24に、または(図6に示されるように)第2の面25に拘束することが可能である。
【0066】
ケーブルクランプワッシャ50が作動アーム20の第1の面24上に配置された場合、ケーブル曲げ突起部51は座部40の第1の挿入開口40aに挿入される。
ケーブルクランプワッシャ50が作動アーム20の第2の面25上に配置された場合、ケーブル曲げ突起部51は座部40の第2の挿入開口40bに挿入される。
作動アーム20の第2の面25上におけるケーブルクランプワッシャ50の配置は、第1の方向Fと垂直な仮想平面に対して、作動アーム20の第1の面24上におけるケーブルクランプワッシャ50の配置を反映(mirror)している。
【0067】
移動比を減少させなければならない場合、第1または第2の実施形態が用いられる。
第1の実施形態が用いられる場合、ケーブルクランプワッシャ50のケーブル曲げ突起部51は、ケーブル曲げ突起部51上にありケーブルクランプワッシャ50のケーブル案内溝55に挿入された制御ケーブル100と共に、追加の座部60の挿入開口60a,60bに挿入される。
また、この場合、制御ケーブル100が作動アーム20に到達するために取る経路に応じて、ケーブルクランプワッシャ50を(図7に示されるように)作動アーム20の第1の面24または第2の面25に拘束することが可能である。
【0068】
第2の実施形態が用いられる場合、制御ケーブル100は、作動アームの第1の面24および第2の面25を超えて延びる突出部70の2つの部分のうちの一方の上に配置される。
使用される突出部70の2つの部分の間における選択は、ディレイラの特定の取付けの必要、および制御ケーブル100がディレイラまたは自転車の部品に干渉することを防止する必要に応じて行われる。
【0069】
作動アーム20の第1の面24を超えて延びる突出部70の部分70aが使用されるとき、ケーブルクランプワッシャ50は、作動アーム20の第1の面24上に配置され、ケーブル曲げ防止突起51は、座部40の第1の挿入開口40aに挿入される。
図8に示されるように)作動アーム20の第2の面25を超えて延びる突出部70の部分70bが使用されるとき、ケーブルクランプワッシャ50は、作動アーム20の第2の面25上に配置され、ケーブル曲げ突起部51は、座部40の第2の挿入開口40bに挿入される。
【0070】
当然ながら、当業者であれば、特定の要件や偶発的な要件を満足するために、例えば、ケーブルクランプワッシャのケーブル案内溝との組合せとして、またはその代わりとして、作動アーム上にケーブル案内溝を設けるといった様々な変更や変形を前述した本発明に施すことができ、これら変更や変形の全ては添付の特許請求の範囲により定まる本発明の保護範囲に包含される。
以下、本発明に含まれる態様を記す。
〔態様1〕自転車のディレイラであって、
-前記自転車の伝動チェーンと相互に作用するように構成され、かつ内側位置と外側位置との間にある複数の中間位置の間で移動可能なチェーンガイド(11)と、
-前記自転車のフレーム(101)の一部と固定的に関連するように設計された固定体(15)と、
-第1の関節軸(A)を中心として前記固定体(15)に回転可能に連結され、かつ前記第1の関節軸(A)と平行な第2の関節軸(B)を中心として前記チェーンガイド(11)に回転可能に連結された外側連結要素(14)と、
-第3の関節軸(C)を中心として前記固定体(15)に、かつ第4の関節軸(D)を中心として前記チェーンガイド(11)に回転可能に連結された内側連結要素(13)と、
-前記第1の関節軸(A)を中心として前記固定体(15)にヒンジ接続された作動アーム(20)と、
-前記作動アーム(20)の座部(40)に挿入可能なケーブル曲げ突起部(51)を具備するケーブルクランプワッシャ(50)と、を備え、前記座部(40)は、第1の方向(F)に沿って延在し、前記座部(40)には、互いに対向しかつ前記ケーブルクランプワッシャ(50)の前記ケーブル曲げ突起部(51)によって選択的に係合可能な第1の挿入開口(40a)および第2の挿入開口(40b)が設けられているディレイラ。
〔態様2〕態様1に記載のディレイラにおいて、前記第1の方向(F)が、前記第1の関節軸(A)と実質的に平行であるディレイラ。
〔態様3〕態様1または2に記載のディレイラにおいて、前記作動アーム(20)の前記座部(40)が、前記第1の方向(F)に沿って、前記作動アーム(20)の厚さ全体を横切っているディレイラ。
〔態様4〕態様1から3のいずれか一態様に記載のディレイラにおいて、前記作動アーム(20)の前記座部(40)が、前記内側連結要素(13)の側に面する前記作動アーム(20)の部分に形成されているディレイラ。
〔態様5〕態様1から4のいずれか一態様に記載のディレイラにおいて、前記ケーブル曲げ突起部(51)は、前記作動アーム(20)に面する前記ケーブルクランプワッシャ(50)の内面(52)と実質的に垂直な方向に延びるディレイラ。
〔態様6〕態様1から5のいずれか一態様に記載のディレイラにおいて、前記ケーブルクランプワッシャ(50)および前記作動アーム(20)のうちの少なくとも一方に形成された少なくとも1つのケーブル案内溝(55,56)を備えるディレイラ。
〔態様7〕態様5および6に記載のディレイラにおいて、前記ケーブル案内溝(55,56)は、前記ケーブルクランプワッシャ(50)の前記内面(52)に形成されているディレイラ。
〔態様8〕態様5に記載のディレイラにおいて、前記ケーブルクランプワッシャ(50)の前記内面(52)が、互いに実質的に平行かつ離間した一対のケーブル案内溝(55,56)を備えるディレイラ。
〔態様9〕態様8に記載のディレイラにおいて、前記一対のケーブル案内溝(55,56)の前記ケーブル案内溝(55,56)は、前記ケーブルクランプワッシャ(50)の孔(54)の両側に配置されているディレイラ。
〔態様10〕態様9に記載のディレイラにおいて、前記ケーブル曲げ突起部(51)は、前記一対のケーブル案内溝(55,56)の間に配置されているディレイラ。
〔態様11〕態様1から10のいずれか一態様に記載のディレイラにおいて、前記作動アーム(20)の前記座部(40)は、前記第1の関節軸(A)から遠位にあるディレイラ。
〔態様12〕態様1から11のいずれか一態様に記載のディレイラにおいて、前記作動アーム(20)の前記座部(40)は、前記固定体(15)に面する前記作動アーム(20)の後面(27)に形成された溝であるディレイラ。
〔態様13〕態様1から12のいずれか一態様に記載のディレイラにおいて、前記第1の方向(F)と平行な方向に沿って延在する前記作動アーム(20)の追加の座部(60)であって、互いに対向しかつ前記ケーブルクランプワッシャ(50)の前記ケーブル曲げ突起部(51)によって選択的に係合可能な第1の挿入開口(60a)および第2の挿入開口(60b)が設けられた追加の座部(60)を備えるディレイラ。
〔態様14〕態様1から12のいずれか一態様に記載のディレイラにおいて、前記作動アーム(20)は、前記第1の方向と平行な方向(F)に沿って在し、かつ前記作動アーム(20)から離れるように延びる対向する端(70a,70b)を有する突出部(70)を備えるディレイラ。
〔態様15〕態様1から14のいずれか一態様に記載の自転車のディレイラにおいて、前記ディレイラはフロントディレイラ(10)であるディレイラ。
【符号の説明】
【0071】
10 フロントディレイラ
11 チェーンガイド
12 四辺形
13 内側連結要素
14 外側連結要素
15 固定体
16 可動体
17 内側プレート
18 外側プレート
19 カラー
20 作動アーム
20a 自由端
21 締結システム
22 トーションリターンスプリング
23 トーションスプリング
24 作動アームの第1の面
25 作動アームの第2の面
26 前面
27 後面、内面
28 上面
29 貫通孔
30 フェルール
31 内部空間
32 ボルト
32a ボルトのヘッド
40 座部
40a 第1の挿入開口
40b 第2の挿入開口
50 ケーブルクランプワッシャ
50a ワッシャの外縁
51 ケーブル曲げ突起部
51a 第1の端
51b 第2の端
52 内面
53 外面
54 ワッシャの孔
55 第1のケーブル案内溝
56 第2のケーブル案内溝
60 追加の座部
60a 第1の挿入開口
60b 第2の挿入開口
70 突出部
70a 第1の部分
70b 第2の部分
71 第2の接触面
72 前面
100 制御ケーブル
101 フレーム
A 第1の関節軸
B 第2の関節軸
C 第3の関節軸
D 第4の関節軸
E 方向E
F 方向F
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8