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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】窓の電気的接続用の囲い組立体
(51)【国際特許分類】
   H01R 4/70 20060101AFI20220111BHJP
   B60J 1/00 20060101ALI20220111BHJP
   B60S 1/02 20060101ALI20220111BHJP
   H01R 4/02 20060101ALI20220111BHJP
   H01R 4/04 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
H01R4/70 K
B60J1/00 H
B60S1/02 300
H01R4/02 Z
H01R4/04
【請求項の数】 15
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018082048
(22)【出願日】2018-04-23
(65)【公開番号】P2018186083
(43)【公開日】2018-11-22
【審査請求日】2018-04-23
【審判番号】
【審判請求日】2021-01-05
(31)【優先権主張番号】15/498,001
(32)【優先日】2017-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505265539
【氏名又は名称】エージーシー オートモーティヴ アメリカズ アールアンドディー,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100091214
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 進介
(72)【発明者】
【氏名】エリック ロジャース
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー エー.アイムソン
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム シー.シューフ
【合議体】
【審判長】田村 嘉章
【審判官】内田 博之
【審判官】中村 大輔
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第1139697(EP,A2)
【文献】特開平7-14662(JP,A)
【文献】特開平10-40977(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102420266(CN,A)
【文献】仏国特許出願公開第2893189(FR,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 4/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
窓組立体であって、
ガラスを含む透明ペインと、
前記透明ペインに設置された導電体と、
前記導電体にエネルギー供給するように構成された配線ハーネスと、
前記配線ハーネスと前記導電体の間の電気的ジョイントと、
前記透明ペインに接着された機械的な保護囲い組立体であって、前記透明ペインとの間に内部容積を定める囲い組立体と、
を有し、
前記電気的ジョイントは、前記囲い組立体から離間して、前記内部容積内に配置され、
前記囲い組立体は、
透明ペイン当接表面(engaging surface)、第1のインターフェース表面、および前記透明ペイン当接表面と前記第1のインターフェース表面との間に延在する複数の第1の壁を有する第1の部材であって、前記透明ペイン当接表面は、前記透明ペインに接着される、第1の部材と、
前記第1の部材に取り付けられた第2の部材であって、上部部材、第2のインターフェース表面、および前記上部部材と前記第2のインターフェース表面との間に延在する複数の第2の壁を有し、前記第1のインターフェース表面は、さねつぎインターフェース、ネスト半球インターフェース、およびラップ接合のいずれか一つを用いて前記第2のインターフェース表面と嵌め合わされ、または前記第1のインターフェース表面と前記第2のインターフェース表面との間には、ガスケットおよびoリングの少なくとも一つが提供され、第1の流体気密シールが提供される、第2の部材と、
前記複数の第2の壁の少なくとも一つにより、少なくとも一部定められた開口であって、前記配線ハーネスがはめ込まれ、前記開口による前記配線ハーネスの圧縮もしくは変形により、または両者の間にパッキングを介することにより、第2の流体気密シールが提供され、前記第1の流体気密シールおよび前記第2の流体気密シールは、前記電気的ジョイントの周囲に流体バリアを提供する、開口と、
を有する、窓組立体。
【請求項2】
前記開口は、さらに、前記複数の第1の壁の少なくとも一つにより定められる、請求項1に記載の窓組立体。
【請求項3】
前記透明ペイン当接表面は、構造的結合テープまたは粘着剤を用いて、前記透明ペインに接着される、請求項1または2に記載の窓組立体。
【請求項4】
前記第2の部材は、機械的なインターロックを介して、前記第1の部材に取り付けられる、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の窓組立体。
【請求項5】
前記第2の部材は、上部部品および底部部品を有し、
前記上部部品は、前記上部部材を有し、前記底部部品は、前記開口の一部を定め、
前記上部部品は、前記開口の前記一部に前記配線ハーネスがはめ込まれた状態で、前記底部部品に取り付けられるように構成される、請求項1乃至4のいずれか一つに記載の窓組立体。
【請求項6】
さらに、前記配線ハーネスと前記開口の間に配置されたパッキングを有し、および/または
前記内部容積の少なくとも一部を充填するシール材料を有し、前記シール材料は、前記電気的ジョイントの周囲に、流体環境バリアを提供する、請求項1乃至5のいずれか一つに記載の窓組立体。
【請求項7】
前記導電体は、実質的に銀で構成され、および/または
前記導電体は、複数の導電層を有する、請求項1乃至6のいずれか一つに記載の窓組立体。
【請求項8】
透明ペインに設置された電気的ジョイントを環境的にシールする方法であって、
ガラスを含む透明ペインに、囲い組立体の第1の部材を接着するステップであって、前記第1の部材は、配線ハーネスがはめ込まれる開口の第1の部分を定める、ステップと、
前記開口の前記第1の部分内に、前記配線ハーネスを設置するステップと、
前記第1の部材に、前記囲い組立体の第2の部材を取り付けるステップであって、前記第2の部材は、前記配線ハーネスがはめ込まれる前記開口の第2の部分を定める、ステップと、
前記第1の部材への前記第2の部材の取り付けに応じて、前記開口と前記配線ハーネスとの間に流体バリアを形成し、前記第1の部材、前記第2の部材、および前記透明ペインにより定められる容積への水分の侵入を抑制する、ステップと、
を有し、
前記容積は、電気的ジョイントを収容し、前記透明ペインに導電体が設置され、該導電体は、前記電気的ジョイントを介して、前記配線ハーネスに結合される、方法。
【請求項9】
前記第1の部分は、構造結合テープまたは粘着剤を用いて、前記透明ペインに取り付けられる、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記第2の部材は、機械的なインターロックを介して、前記第1の部材に取り付けられる、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
透明ペインに設置された電気的ジョイントを環境的にシールする方法であって、
囲い組立体の第1の部材を前記透明ペインに接着するステップであって、前記第1の部材は、前記透明ペインに接着される透明ペイン当接表面、第1のインターフェース表面、および前記透明ペイン当接表面と前記第1のインターフェース表面との間に延在する複数の第1の壁を有し、前記第1の壁の一つには、配線ハーネスがはめ込まれる開口の第1の部分が定められる、ステップと、
前記配線ハーネスと、前記透明ペインに設置された導電体との間に、前記電気的ジョイントを形成するステップと、
前記開口の前記第1の部分内に、前記配線ハーネスを配置するステップと、
前記第1の部材に、第2の部材を取り付けるステップであって、前記第2の部材は、第2のインターフェース表面、および該第2のインターフェース表面から延在する複数の第2の壁を有する底部部品を有し、前記底部部品は、前記開口の第2の部分を定める、ステップと、
前記第1の部材への前記第2の部材の前記底部部品の取り付けに応じて、
前記第1のインターフェース表面は、さねつぎインターフェースおよびラップ接合のいずれか一つを用いて前記第2のインターフェース表面と嵌め合わされ、または前記第1のインターフェース表面と前記第2のインターフェース表面との間には、ガスケットおよびoリングの少なくとも一つが提供され、第1の流体気密シールが提供されるとともに、
前記開口による前記配線ハーネスの圧縮もしくは変形により、または両者の間にパッキングを介することにより、前記開口と前記配線ハーネスとの間に、第2の流体気密シールを形成するステップと、
前記第2の部材の上部部品により、前記囲い組立体をキャップし、前記囲い組立体と前記透明ペインとの間に、内部容積を定める、ステップと、
を有し、
前記内部容積は、前記導電体および前記電気的ジョイントを収容する、方法。
【請求項12】
前記電気的ジョイントを形成するステップは、前記第2の部材の前記底部部品が前記第1の部材に取り付けられた後に生じる、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記底部部品は、第1の機械的インターロックを介して、前記第1の部材に取り付けられ、
前記底部部品は、第2の機械的インターロックを介して、前記上部部品によりキャップされる、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
さらに、シール材料で、それぞれ、前記容積または前記内部容積の少なくとも一部を充填するステップを有し、
前記シール材料は、前記電気的ジョイントを被覆する、請求項8乃至13のいずれか一つに記載の方法。
【請求項15】
前記導電体は、実質的に銀で構成される、請求項8乃至14のいずれか一つに記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、窓組立体の分野に関し、特に、窓の電気的接続用の囲い組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、車両および建物に使用されている窓組立体は、透明ペインの表面に設置された導電体を含むように機能化される。導電体は、透明ペインの加熱、またはアンテナとしての作用のような、任意の所望の電気的機能を提供できる。導電体は、例えば、印刷された銀回路であっても良い。導電体に結合された配線ハーネスを介して、電源から導電体に電力が伝送される。配線ハーネスは、導電体に結合された電気的接続素子を有する。導電体には、はんだ接合のような導電性ジョイントを用いて、端子が結合される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
車両および建物での使用のため、導電性ジョイントは、自然環境に晒される。この暴露により、はんだ接合の腐食、劣化、および欠陥が生じ、これは、ハンダ接合を介して、導電体に電力が伝送されることを妨げる。
【0004】
ハンダ接合を直接被覆するため、囲い材料が使用されている。これらの材料は、接合部に対する直接被覆として、エポキシの設置を含む。しかしながら、ハンダ接合、透明ペイン、およびポリマー囲いの熱膨脹係数の差異は、組立体に対する機械的応力の形成につながり得る。透明ペインがガラスペインの場合、該ガラスペインには、クラックが生じやすくなる。また、機械的応力は、透明ペインからの導電体の剥離、導電体の一部を有する電気的接続部からのハンダ接合の分離、またはハンダ接合のクラックにつながり得る。
【0005】
直接的なポリマー囲いの別の問題には、ハンダ接合の自然環境に対する暴露が含まれる。ポリマー囲いを介して、水分が定常的に侵入し、ハンダ接合近傍の導電体と接触する。ハンダ接合近傍で導電体と接触する水分は、囲いによって隔離されるため、気化が遅くなる。そのため、水分によって、導電体またはハンダ接合が腐食され、これにより、導電体の特性が劣化し、または導電体が不作動となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前述のような問題を回避するため、部材および電気的ジョイントに対する機械的応力が抑制された、窓組立体を提供することが望ましい。また、電気的ジョイントへの水分の侵入が抑制された窓組立体を提供することが望ましい。本発明のシステムおよび方法では、流体シールされた囲い組立体が提供され、これらの問題が軽減および/または排除される。囲い組立体は、電気的ジョイントに印加される機械的応力を実質的に抑制し、囲い組立体により提供される電気的ジョイントの周囲の流体シールは、水分で活性化される電気的ジョイントの腐食を低減または軽減する。
【0007】
本発明の一態様では、窓組立体は、透明ペインと、前記透明ペインに設置された導電体と、前記導電体にエネルギー供給するように構成された配線ハーネスと、前記配線ハーネスと前記導電体の間の電気的ジョイントと、前記透明ペインに接着された機械的な保護囲い組立体とを有する。前記透明ペインは、ガラスを有する。前記機械的な保護囲い組立体および前記透明ペインは、間に内部容積を定める。前記電気的ジョイントは、前記囲い組立体から離間して、前記内部容積内に配置される。前記囲い組立体は、第1の部材、第2の部材、および開口を有する。前記第1の部材は、透明ペイン当接表面(engaging surface)、第1のインターフェース表面、および間に延在する複数の第1の壁を有する。前記透明ペイン当接表面は、前記透明ペインに接着される。前記第2の部材は、前記第1の部材に取り付けられる。前記第2の部材は、上部部材、第2のインターフェース表面、および間に延在する複数の第2の壁を有する。前記第1のインターフェース表面は、前記第2のインターフェース表面と嵌め合わされ、第1の流体気密シールが提供される。前記開口は、前記複数の第1の壁の少なくとも一つ、および前記複数の第2の壁の少なくとも一つにより、定められる。前記開口には、前記配線ハーネスがはめ込まれ、間に第2の流体気密シールが提供される。前記第1の流体気密シールおよび前記第2の流体気密シールは、前記電気的ジョイントの周囲に流体バリアを提供する。
【0008】
本発明のある態様では、透明ペインに設置された電気的ジョイントを環境的にシールする方法は、ガラスを含む透明ペインに、囲い組立体の第1の部材を接着するステップと、開口の前記第1の部分内に、前記配線ハーネスを設置するステップと、前記第1の部材に、前記囲い組立体の第2の部材を取り付けるステップと、前記第1の部材への前記第2の部材の取り付けに応じて、前記開口と前記配線ハーネスとの間に流体バリアを形成し、前記第1の部材、前記第2の部材、および前記透明ペインにより定められる容積への水分の侵入を抑制する、ステップと、を有する。前記第1の部材は、前記配線ハーネスがはめ込まれる前記開口の第1の部分を定める。前記第2の部材は、前記配線ハーネスがはめ込まれる前記開口の第2の部分を定める。前記容積は、電気的ジョイントを収容する。前記透明ペインに導電体が設置され、該導電体は、前記電気的ジョイントを介して、前記配線ハーネスに結合される。
【0009】
本発明の一態様では、透明ペインに設置された電気的ジョイントを環境的にシールする方法は、囲い組立体の第1の部材を前記透明ペインに接着するステップであって、前記第1の部材は、配線ハーネスがはめ込まれる開口の第1の部分を定める、ステップと、前記配線ハーネスと、前記透明ペインに設置された導電体との間に、前記電気的ジョイントを形成するステップと、前記開口の前記第1の部分内に、前記配線ハーネスを配置するステップと、前記第1の部材に、第2の部材の底部部品を取り付けるステップであって、前記底部部品は、前記開口の第2の部分を定める、ステップと、前記第1の部材への前記第2の部材の前記底部部品の取り付けに応じて、前記開口と前記配線ハーネスとの間に、流体気密シールを形成するステップと、前記第2の部材の上部部品により、前記囲い組立体をキャップし、前記囲い組立体と前記透明ペインとの間に、内部容積を定める、ステップと、を有し、前記内部容積は、前記導電体および前記電気的ジョイントを収容する。
【0010】
本発明の前述の特徴および利点、ならびに他の特徴および利点は、添付図面を参照した以下の詳細な説明から明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態による、窓組立体を含む車両の概略的な正面図である。
図2】本発明の一実施形態による、図1の窓組立体に使用される囲い組立体の概略的な正面図である。
図3図2の囲い組立体の3-3線に沿った概略的な断面図である。
図4図2の4-4線に沿った、部分断面を示した図1の窓組立体を含む、図2の囲い組立体の概略的な側面図である。
図5】本発明の一実施形態による、囲い組立体を組立てる方法のフローチャートである。
図6】本発明の別の実施形態による、図1の窓組立体に使用される囲い組立体の概略的な正面図である。
図7】7-7線に沿った、図6の囲い組立体の概略的な断面図である。
図8】本発明の別の実施例による、囲い組立体を組み立てる方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図面は、一例であって、請求項に規定の主題を限定することを意図するものではない。以下の詳細な説明では、添付図面を参照して、一実施例について説明する。
【0013】
本発明によるシステムおよび方法では、流体シールされた囲い組立体が提供される。囲い組立体には、配線ハーネスの一部がはめ込まれ、流体気密シールを形成する。本願において、流体気密シールは、2つの部材の間に形成されたシールであり、少なくとも典型的な使用条件の間、流体の侵入を抑制するように構成される。例えば、車両における流体気密シールは、降雨、スプレー、しぶき、軽水ジェット、周囲湿度、および/または、例えば車両の表面に収集された、隣接する蓄えられた水または貯留水の侵入を抑制するように構成される。本発明の囲い組立体は、封止された電気的ジョイントに印加され得る機械的応力を有意に抑制し、提供された流体バリアは、電気的ジョイントの水分活性腐食を抑制または排除する。
【0014】
図1を参照すると、図には、本発明の実施例による窓組立体12を有する車両10が示されている。窓組立体12は、例えば、霜取りシステム14を有する、車両10の後部窓組立体であっても良い。窓組立体12は、配線ハーネス16(図4)、透明ペイン18、該透明ペイン18に取り付けられた導電体20、および導電体20の一部を取り囲む機械的な保護囲い組立体22(図2)を有する。ある実施形態では、透明ペイン18は、全体がガラスで構成される。ある実施形態では、透明ペイン18は、ガラス、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリビニルブチラール、ポリエチレンテレフタレート、およびこれらの組み合わせ等の1または2以上の層を有する積層体であっても良い。
【0015】
導電体20は、1または2以上の作動素子と電気的に接続され、これらは、所望の機能を実行し、または促進するように構成される。図に示された例では、作動素子は、1または2以上の抵抗加熱素子を有し、これらは、霜取りシステム14の一部であり、透明ペインの加熱により、透明ペイン18の霜取りまたは曇り除去用に作動しても良い。導電体20は、アンテナとしての機能のような、電気的接続に必要な異なる所望の機能を提供しても良いことが想定される。
【0016】
ある実施形態では、導電体20は、1または2以上の銀の層で構成される。別の実施形態では、導電体20は、銀以外の、または銀に加えて、他の導電性金属および/もしくは他の導電性材料の1または2以上の層で構成される。導電体20は、フィルム、コーティング、および/または他の任意の好適な形態であっても良い。導電体20は、多孔質、非多孔質、またはこれらの組み合わせであっても良い。ある実施形態では、導電体20は、多孔質な銀フィルムである。
【0017】
導電体20は、例えば、溶融、接着、物理的な取り込み、およびこれらの組み合わせなどを用いて、透明ペイン18に取り付けられても良い。ある実施形態では、導電体20は、透明ペイン18上に印刷されて、例えば、印刷された銀薄膜または印刷された銀回路が形成されても良い。ある実施形態では、導電体20は、透明ペイン18上の、透明ペイン18の周端近傍に配置される。導電体20は、しばしば、例えば霜取りシステム14、アンテナ、曇り除去等のような、回路部材である。導電体20は、回路と一体化され、または回路の延長であっても良い。導電体20は、1または2以上の母線(バスバー。図示されていない)を有しても良い。
【0018】
図2は、機械的な保護囲い組立体22の概略的な正面図である。囲い組立体22は、電気的ジョイント24を取り囲む物理的なバリアを提供し、電気的ジョイント24(図4)と、囲い組立体22の外部の部材の間の接触を回避する。囲い組立体22は、幾何形状が電気的ジョイント24を十分に取り囲む限り、任意の幾何形状を有し、これにより、物理的なバリアが提供される。囲い組立体22は、熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー、およびこれらの組み合わせを含むポリマー材料から形成されても良い。ポリマー材料の非限定的な例には、シリコーン、ナイロン、ポリブチレンテレフタレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、およびポリオキシメチレン等が含まれる。
【0019】
本願の参照として取り入れられている2017年3月29日に出願された、「窓の電気的接続用の流体シール囲い」という題目の米国特許出願第15/472,970号(‘970出願)のような、ある実施例では、囲い組立体22は、単一ピースのハウジングであり、透明ペイン18に直接取り付けられても良い。別の実施例では、図2に示すように、囲い組立体22は、複数部品の構成を有し、これは、透明ペインに接着された第1の部材26と、機械的なインターロック30を介して、第1の部材26に取り付けられた第2の部材28とを有しても良い。この複数部品の構成は、特に第1の部材26が、透明ペイン18に予備的部材を固定するなど、他の目的を果たす場合、特定の有用性を有する。ある実施形態では、例えば、第1の部材26は、カメラ、カメラハウジング、リアビューミラー、雨センサ、外部アンテナハウジング、シェード機構、トリム部材、およびこれらの組み合わせ、および/または透明ペイン18および/または透明ペイン18が利用される環境との利便性を有する、他の同様のアクセサリ部材のような、付属部材の固定に使用される。ある実施形態では、第2の部材26は、予備的部材および/または予備的部材のハウジングに、一体化されても良い。
【0020】
第2の部材28が第1の部材26に取り付けられる際に、(例えば予備的部材に、電力または外部部材との電気的な接続が必要となる場合)電気的ジョイント24への配線アクセスを可能にするため、第1の部材26と第2の部材28との間に、開口32が定められる。開口32は、貫通する配線ハーネス16の一部を受けるように構成される。ある実施形態では、開口は、第1の部材26と第2の部材28との両方により定められるのではなく、第2の部材28のみを貫通して、提供されても良い。そのような例では、配線ハーネス16および第2の部材28は、予備組立状態で受容されても良い。従って、通常の状態では、開口32は、第2の部材28の壁により、少なくとも一部が定められるが、図に示したような別の実施例では、開口32は、第1の部材26および第2の部材28の両方によって、定められても良い。
【0021】
ある実施形態では、開口32に配線ハーネス16の受容部分がはめ込まれ、そこに流体気密シールが形成されるように構成される。開口32と配線ハーネス16の嵌め合わせは、例えば、圧縮、変形、および/または配線ハーネス16の保護絶縁層との衝突により、流体気密シールを形成する。ある実施形態では、開口32には、パッキングのような中間物を介して、配線ハーネス16がはめ込まれる。
【0022】
第1の部材26は、透明ペイン当接表面34、インターフェース表面36、および両者の間に延在する複数の壁38を有する。第1の部材26の複数の壁38の少なくとも一つは、少なくとも一部に、壁38を貫通して伸びる開口32の第1の部分42を定めても良い。開口32の第1の部分42は、受容配線ハーネス16のそれぞれの部分がはめ込まれるように構成される。ある構成では、第1の部分42は、開口32のほぼ1/2であっても良い。
【0023】
第1の部分26は、開口/ボア43を定め、これを貫通して、透明ペインおよび/または導電体20の一部が暴露されても良い。通常、ボア43は、複数の壁38の間に配置され、電気的接続素子56の少なくとも一部が、ボア43に、および/またはボア43を介して、延伸するように構成される(図4参照)。
【0024】
透明ペイン当接表面34は、間に実質的に流体気密シールが形成されるような態様で、透明ペイン18に接着されるように構成される。好適な接着剤は、ガラスに対して接着性を提供する接着剤であり、例えば粘着剤、構造結合テープ、ウレタン、エポキシ、アクリル、シリコーンなどである。必要な場合、透明ペイン18に密着促進剤または下地層(プライマ)を設置して、接着剤40の結合力を高めても良い。
【0025】
ある実施形態では、接着剤は、高温および加圧で硬化させる必要があるが、これは、第1の部材26に設置される予定の予備的電子部材を劣化させる傾向がある。本発明の囲い組立体22は、これらの状況において、大きな利点を提供し、第1の部材26は、電気的ジョイントおよび/またはこれらの部材のアタッチメントの形成の前に、透明ペイン18に完全に密着される。例えば、第1の部材26は、透明ペイン18に取り付けられ、オートクレーブまたは化学的処理を用いて、接着剤が硬化される。そうでなければ、予備的部材は、損傷を受ける。その後、予備的部材が追加され、電気的接続が構築され、予備的部材の周囲に、環境バリアが形成される。
【0026】
有効な環境バリアを形成する際、第1の部材26のインターフェース表面36は、対応する第2の部材28のインターフェース表面36と当接するように構成され、間に流体気密シールが形成される。示されたインターフェース表面36は、略平坦であるが、インターフェース表面36は、いかなる所望の形状を定め、インターフェースの全ての部分で流体気密シールが確保されても良い。例えば、ある実施形態では、インターフェース表面36は、さねつぎ(tongue-and-groove)インターフェース、ネスト(凹凸)半球インターフェース、またはラップ接合を定める。同様に、ある実施形態では、ガスケット、シール、またはOリングが使用され、流体シールが提供され、および/または流体シールがさらに補強されても良い。
【0027】
第2の部材28は、通常、上部部材/表面44と、そこから延伸する複数の壁38とを有する。壁38は、上部部材44から遠方にある、対応するインターフェース表面36を含み、これを定める。複数の壁38の少なくとも一つは、壁38から延在する、開口32の第2の部分46を定める。開口32の第2の部分46は、配線ハーネス16のそれぞれの部分がはめ込まれるように構成される。ある構成では、第2の部分46は、開口32のほぼ1/2であっても良い。
【0028】
図3は、図2の3-3線に沿った、囲い組立体22の概略的な端面図である。上部部材44および複数の壁38は、開放孔48を定める。囲い組立体22において、開放孔48は、上部部材44と電気的接続素子56(図4)との間に、所望のクリアランスを提供するように構成される。
【0029】
第2の部材28の複数の壁38は、機械的なインターロック30の受容部50を定める。第1の部材26が第2の部材28に取り付けられた際に、受容部50は、嵌合部40を受容するように構成される。受容部50は、嵌合部40のリップ54と接触する肩部52を有する。肩部52とリップ54の間の嵌合は、第1の部材26と第2の部材28を相互にバイアスし、インターフェース表面36に沿って、流体気密シールが形成される。
【0030】
図4は、窓組立体12の部分断面における概略的な側面図である。窓組立体12は、配線ハーネス16、透明ペイン18、導電体20、および囲い組立体22を有する。配線ハーネス16は、導電体20と外部装置の間に電流を流すように構成される。ある実施形態では、外部装置は、電源であり、配線ハーネス16は、電源(図示されていない)からの電力を、導電体20に伝送する。配線ハーネス16は、端子コネクタ58を有する電気的接続素子56、およびそこから伸びる配線60を有する。端子コネクタ58は、配線ハーネス16の末端に配置され、透明ペイン18に取り付けられた導電体20と機械的に嵌合するように構成される。
【0031】
電気的接続素子56は、導電体20を配線60に電気的に結合する。電気的接続素子56は、導電体20と電気的に接続され、導電体20が活性化される。電気的接続素子56は、銅、銅合金、銀、銀合金、およびこれらの組み合わせで形成されても良い。また、銅、銅合金、銀、および銀合金に加えて、またはこれらの代わりに、電気的接続素子56は、鉄、モリブデン、タングステン、ニッケル、ハフニウム、タンタル、チタン、クロム、イリジウム、ニオブ、バナジウム、白金、スズ、およびこれらの組み合わせ等を含んでも良い。示された実施形態では、電気的接続素子56は、銅である。
【0032】
ある実施形態では、電気的接続素子56は、例えば、電気的ジョイント24を介して、機械的かつ電気的に導電体20に結合される。電気的ジョイント24は、導電性接着剤、フィルム、ゴム、またはバネを用いて、導電体20の外表面と端子コネクタ58の間に、またはそれぞれの上に、形成される。ある実施形態では、電気的ジョイント24は、ハンダ接合であり、これは、鉛、インジウム、スズ、銅、銀、ビスマス、ゲルマニウム、ガリウム、金および/もしくは他の導電性金属から形成された金属および/もしくは合金、または非金属で構成される。ある実施形態では、電気的ジョイント24は、鉛フリーはんだで形成される。
【0033】
機械的/電気的接続の強度もしくは耐性を低下させるおそれのある、物理的な応力または衝突から、電気的ジョイント24を保護するため、物理的な囲い組立体22は、電気的ジョイント24の周囲の包囲配置において、透明ペイン18に固定される。図に示すように、囲い組立体22は、取電気的ジョイント24を取り囲む物理的なバリアを提供し、電気的ジョイント24と囲い組立体24の外部の部材との間の接触が回避される。囲い組立体22は、電気的ジョイント24を十分に取り囲むことが可能な幾何形状である限り、いかなる幾何形状であっても良い。これにより、物理的なバリアが提供される。囲い組立体22は、ここに設置された導電体20の一部の腐食を抑制することが有意である。
【0034】
囲い組立体22が組み立てられ、透明ペインに接着された後、透明ペイン18、壁38、および上部部材44により、容積が定められる。透明ペイン18および囲い組立体22は、流体気密シールを提供し、これにより、囲い組立体への水分の侵入が抑制される。流体気密シールは、透明ペイン18と第1の部材26との間、第1の部材26と第2の部材28のインターフェース表面36同士の間、および配線ハーネス16と開口32との間に形成される。
【0035】
図5には、導電体20と配線ハーネス16との間に形成された電気的ジョイント24に、液体が接触することを抑制するため、囲い組立体22を組み立てる方法500を示す。方法500は、透明ペイン18に、囲い組立体22の第1の部材26を接着するステップ502を有する。導電体は、透明ペイン18から、第1の部材26におけるボア43を通って延伸する。方法500は、第1の部材26により定められた開口32の第1の部分42内に、配線ハーネス16を配置し、配線ハーネスを導電体20に固定して、電気的ジョイント24を形成するステップ504と、第1の部材26に、囲い組立体22の第2の部材28を取り付けるステップ506と、を有する。開口32と配線ハーネス16との間に、流体バリアが形成され、第1の部材26、第2の部材28、および透明ペイン18により定められる内部容積への水分の侵入が抑制される。
【0036】
図6は、本発明の別の実施形態による、囲い組立体22’の概略的な正面図である。囲い組立体22’は、第1の部材26および第2の部材28を有する。囲い組立体22’の第2の部材28は、上部部品62および底部部品64を有する。底部部品64は、開口32の第2の部分46を定める。第2の部材28の上部部品62は、底部部品64に取り付けられ、第2の部材28の底部部品64は、第1の部材58に取り付けられる。
【0037】
図7に最も明確に示すように、示された図において、第2の部材28の上部部品62、第2の部材28の底部部品64、および第1の部材26は、機械的インターロック30で取り付けられる。ある実施形態では、機械的インターロックに加えて、またはこの代わりに、接着剤を用いて部品が取り付けられる。第1の部材26と、第2の部材28の底部部品64の各々は、それぞれのボア43を定める。第2の部材28の上部部品62は、開放孔48を定める。
【0038】
開口32の第1の部分42および第2の部分46に、配線ハーネス16のそれぞれの部分がはめ込まれた後に、囲い組立体22’は、ユーザに、容積へのアクセスを提供することができる。これにより、配線ハーネス16がはめ込まれた後、ユーザによって、電気的ジョイント24と、配線ハーネス16の結合された部分のような結合が形成される。配線ハーネスを囲い組立体22’と嵌合した後の、容積内の部品の結合は、配線ハーネス16のはめ込みの間に生じ得る、電気的ジョイント24に加わる応力を抑制または排除する。これにより、電気的ジョイント24の寿命が延伸する。
【0039】
図8には、透明ペイン18に設置された電気的ジョイント24を環境的にシールする方法800を示す。方法800は、囲い組立体22’の第1の部材26を透明ペイン18に接着するステップ802と、配線ハーネス16と、透明ペイン18に設置された導電体20との間に、電気的ジョイント24を形成するステップ804と、開口32の第1の部分42内に、配線ハーネス16を配置するステップ806と、第1の部材26に第2の部材28の底部部品64を取り付けるステップ808と、開口32と配線ハーネス16との間に、流体気密シールを形成するステップ810と、第2の部材28の上部部品62で、囲い組立体22’をキャップし、囲い組立体22’と透明ペイン18との間に、内部容積を定めるステップ812とを有する。第1の部材26は、配線ハーネス16がはめ込まれる開口32の第1の部分42を定める。底部部品64は、開口32の第2の部分46を定める。第1の部材26に対する第2の部材28の底部部品64の取り付けの結果、流体気密シールが形成される。内部容積は、導電体20と、電気的ジョイント24とを収容する。
【0040】
ある実施形態では、‘970出願に記載されているように、容積に流体シール材料(図示されていない)が充填される。シール材料は、端子コネクタ58の少なくとも一部を被覆し、電気的ジョイント24に流体または他の腐食剤が接触することを妨げる、二次的バリアを提供する。部品の用途および特定の配置に応じて、シール材料は、導電性材料であっても、電気的絶縁材料であっても良い。ある実施形態では、電気的絶縁材料は、シリコーン、室温加硫シリコーン、可撓性エポキシ、ウレタン、ブチル、誘電体グリース、およびこれらの組み合わせ等からなる群から選定される。
【0041】
ある実施形態では、シール材料は、硬化後に可撓性を有する硬化性材料である。ある実施形態では、シール材料は、誘電体グリースのような粘性流体であり、これは、長時間にわたって実質的にその配置が維持される。いずれにせよ、流体シール材料は、十分な粘度を有し、組み立て後(すなわち任意の小開口が存在する場合)に、材料が囲い22からリークすることが抑制されることが好ましい。ただし、これは、囲い22から印加される応力、または電気的ジョイント24に対する熱膨脹に耐性を示すように、十分な流動性を有する。
【0042】
ある実施形態では、第2の部材28が第1の部材26に取り付けられる前に、シール材料が電気的ジョイント24の周囲に設置されても良い。例えば、第1の部材26の壁が十分に高い場合、第1の部材26全体が、シール材料で充填されても良い。別の実施形態では、上部部材44に充填ポートが設けられ、組み立て後に、囲い22の内部容積にシール材料が注入/充填されても良い。さらに別の実施形態では、シール材料は、組み立て後に、第2の部材内に提供され、第1の部材26に第2の部材28を取り付けると同時に、変形により、電気的接続素子56を被覆するように構成されても良い。
【0043】
ある実施形態では、内部容積は、第2の電気的接続素子を収容しても良い。ある実施形態では、第2の電気的接続素子は、内部容積の外部に延伸する第2の配線に取り付けられても良い。このジュアル接続構成では、シール材料は、追加で、第2の電気的接続素子と、透明ペイン18上に設置された第2の導電体との間の、第2の電気的ジョイントを被覆する。
【0044】
ある実施形態では、透明ペイン18は、さらに、セラミックコーティングを有する。ある実施形態では、囲い組立体22は、セラミックコーティングに接着される。必要な場合、接着促進剤またはプライマが、セラミックコーティングと接着剤40との間に配置され、囲い30との結合が改善される。
【0045】
本発明によるシステムおよび方法は、水分の電気的ジョイントへの侵入を抑制しない窓組立体12および電気的ジョイントよりもロバスト性のある、窓組立体12および電気的ジョイント24を提供し得る。配線ハーネス16を囲い組立体22にはめ込む際には、熱膨張係数の差により、電気的ジョイントにある応力が伝達されるが、これは、歪み緩和として動作し、従って欠点よりも多くの効果が提供される。いずれにせよ、電気的ジョイントの水分活性腐食および劣化が抑制されるため、得られる窓組立体には欠陥が生じにくい。
【0046】
本発明を実施する際の最良の形態について、詳しく説明したが、本願に関連する同様の技術により、添付の特許請求の範囲内で、開示を実行するための各種代替構成および実施形態が想定される。
【符号の説明】
【0047】
10 車両
12 窓組立体
16 配線ハーネス
18 透明ペイン
20 導電体
22 囲い組立体
24 電気的ジョイント
26 第1の部材
28 第2の部材
32 開口
34 透明ペイン当接表面
36 インターフェース表面
38 壁
42 第1の部分
44 上部部材
46 第2の部分
56 電気的接続素子
58 端子コネクタ
60 配線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8