(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】原稿読取装置及び原稿読取方法
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20220111BHJP
H04N 1/04 20060101ALI20220111BHJP
G06T 1/00 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
H04N1/00 L
H04N1/04 106A
H04N1/04 106D
G06T1/00 450A
(21)【出願番号】P 2018125878
(22)【出願日】2018-07-02
【審査請求日】2021-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】徳田 聡
【審査官】豊田 好一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-40681(JP,A)
【文献】特開平08-336039(JP,A)
【文献】米国特許第05937106(US,A)
【文献】特開2016-197843(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0295051(US,A1)
【文献】特開平05-233871(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
H04N 1/04
G06T 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
定形外の原稿の読取サイズを入力する画面を表示する表示部と、
ユーザ入力に基づく読取サイズに相当する量の副走査方向に沿った移動に応じて前記定形外の原稿を読み取り、前記定形外の原稿の第1の画像を得る読取部と、
主走査方向において前記第1の画像から前記ユーザ入力に基づく読取サイズに相当する量を超える領域をカットした第2の画像を得る処理部と、
第2の画像に基づいて、前記ユーザ入力に基づく読取サイズの適否を判断する判断部と、
を備える原稿読取装置。
【請求項2】
前記判断部は、前記ユーザ入力に基づく読取サイズで規定される4辺が前記第2の画像の黒色領域に含まれているか否かに応じて、前記ユーザ入力に基づく読取サイズの適否を判断する、請求項1に記載の原稿読取装置。
【請求項3】
前記判断部は、前記ユーザ入力に基づく読取サイズで規定される4辺が前記第2の画像の印字領域に含まれているか否かに応じて、前記ユーザ入力に基づく読取サイズの適否を判断する、請求項1に記載の原稿読取装置。
【請求項4】
前記ユーザ入力に基づく読取サイズが適切ではないことを示す判断結果に基づいて、前記ユーザ入力に基づく読取サイズが適切ではないことを含むメッセージを出力する出力部をさらに備える請求項1から3の何れか1項に記載の原稿読取装置。
【請求項5】
定形外の原稿の読取サイズを入力する画面を表示することと、
ユーザ入力に基づく読取サイズに相当する量の副走査方向における移動に応じて前記定形外の原稿を読み取り、前記定形外の原稿の第1の画像を得ることと、
前記第1の画像から主走査方向における前記ユーザ入力に基づく読取サイズに相当する量を超える領域をカットした第2の画像を得ることと、
第2の画像に基づいて、前記ユーザ入力に基づく読取サイズの適否を判断すること、
を備える原稿読取方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、原稿読取装置及び原稿読取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、MFP(Multi Function Peripheral)は、定形外の原稿をスキャンする技術として、画像処理で原稿サイズを確定する技術を用いている。これは、MFPが定形外の原稿を読み込む段階では、定形外の原稿をスキャンするサイズが確定していないからである。MFPは、定形外の原稿をスキャン処理する際、スキャン可能な最大サイズ(例えば、A3幅237mm/LD長432mm)で定形外の原稿を読み取るようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、MFPは、名刺のような比較的小さなサイズの原稿であっても、スキャン可能な最大サイズ(A3幅/LD長)で原稿を読み取る。そのため、MFPは、定形外の原稿の読取動作及び画像処理などのスキャン処理に多くの時間を要する。
【0005】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、定形外の原稿のスキャン処理に要する時間の低減を可能にする原稿読取装置及び原稿読取方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る原稿読取装置は、表示部と、読取部と、処理部と、判断部とを備える。前記表示部は、定形外の原稿の読取サイズを入力する画面を表示する。前記読取部は、ユーザ入力に基づく読取サイズに相当する量の副走査方向に沿った移動に応じて前記定形外の原稿を読み取り、前記定形外の原稿の第1の画像を得る。前記処理部は、主走査方向において前記第1の画像から前記ユーザ入力に基づく読取サイズに相当する量を超える領域をカットした第2の画像を得る。前記判断部は、第2の画像に基づいて、前記ユーザ入力に基づく読取サイズの適否を判断する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1の実施形態に係るMFPの構成を例示するブロック図である。
【
図2】第1の実施形態に係る読取サイズ入力画面を例示する図である。
【
図3】第1の実施形態に係るMFPのプロセッサに実装される構成を例示するブロック図である。
【
図4】第1の実施形態に係る黒背景の検知処理を用いた読取サイズの適否の判断処理を例示する図である。
【
図5】第1の実施形態に係る黒背景の検知処理を用いた第3の画像の生成処理を例示する図である。
【
図6】第1の実施形態に係る印字領域の検知処理を用いた読取サイズの適否の判断処理を例示する図である。
【
図7】第1の実施形態に係る印字領域の検知処理を用いた第3の画像の生成処理を例示する図である。
【
図8】第1の実施形態に係るMFPのスキャン処理を例示するフローチャートである。
【
図9】第2の実施形態に係るADF装置の構成を例示する外観図である。
【
図10】第2の実施形態に係るMFPのプロセッサに実装される構成を例示するブロック図である。
【
図11】第2の実施形態に係るMFPのスキャン処理を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1の実施形態]
以下、第1の実施形態について図面を参照して説明する。
図1は、MFP1の構成を例示するブロック図である。例えば、MFP1は、原稿読取装置の一例である。MFP1は、スキャン機能を有する装置である。
【0009】
MFP1は、プロセッサ11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、記憶装置14、入力部15、表示部16、読取部17、画像処理用ASIC(Application Specific Integrated Circuit)及び画像形成部19を備える。
【0010】
プロセッサ11は、MFP1の各要素を制御する。例えば、プロセッサ11は、CPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ11は、ROM12または記憶装置14が記憶するプログラムを実行することにより各種の処理を実行する。プロセッサ11は、ユーザ操作による入力指示に基づいて処理を実行する。
【0011】
ROM12は、プロセッサ11が実行するプログラムあるいは制御データなどを記憶する。
RAM13は、ワーキングメモリである。
【0012】
記憶装置14は、プロセッサ11が実行するプログラム、制御データ及び各種データを記憶するデバイスである。記憶装置14は、書換え可能な不揮発性のメモリである。例えば、記憶装置14は、SSD(Solid State Drive)またはHDD(Hard Disk Drive)などで構成されている。
【0013】
入力部15は、ユーザによる入力を受け付ける入力デバイスである。例えば、入力部15は、ユーザによる定形外の原稿の読取サイズの入力を受け付ける。例えば、入力部15は、押下式のボタン及び後述する表示部16に積層されたタッチパッドを含む。
【0014】
表示部16は、各種画面を表示するデバイスである。例えば、表示部16は、定形外の原稿の読取サイズを入力する画面を表示する。定形外の原稿の読取サイズを入力する画面は、読取サイズ入力画面ともいう。読取サイズ入力画面の例については後述する。例えば、表示部16は、液晶ディスプレイである。
【0015】
読取部17は、副走査方向に沿った移動に応じて原稿を読み取り、原稿の画像を得るデバイスである。例えば、読取部17は、ユーザ入力に基づく読取サイズに相当する量の副走査方向に沿った移動に応じて定形外の原稿を読み取り、原稿の第1の画像を得る。読取部17は、第1の画像を記憶装置14に一時的に保存する。典型例では、読取部17がユーザ入力に基づく読取サイズで定形外の原稿を読み取るように、ユーザ入力に基づく読取サイズは、読取部17のファームウェアに設定される。読取部17は、副走査方向においてスキャン可能な最大サイズで定形外の原稿を読み取らないので、定形外の原稿の読取時間を短縮することができる。読取部17は、次の定形外の原稿の読み取りまでの時間も短縮することができる。これにより、読取部17は、高速にスキャン処理を実行することができる。
【0016】
例えば、読取部17は、スキャナである。読取部17は、イメージセンサなどを備える。イメージセンサは、光を電気信号(画像信号)に変換する画素がライン状に配列された撮像素子である。例えば、イメージセンサは、CCD(Charge Coupled Device)、CMOS(Complimentary Metal Oxide Semiconductor)または他の撮像素子により構成される。読取部17は、図示しないプラテン(原稿台)にセットされた原稿を読み取る。読取部17は、図示しないADF(Auto Document Feeder)装置などによりプラテン上における読取部17と対向する位置へ一枚ずつ連続的に搬送された原稿を読み取る。
【0017】
画像処理用ASIC18は、第1の画像に対して画像処理を施し、第1の画像から不要な領域をカットするように構成された回路である。例えば、画像処理用ASIC18は、主走査方向において第1の画像からユーザ入力に基づく読取サイズに相当する量を超える領域をカットした第2の画像を得る。画像処理用ASIC18は、第2の画像を記憶装置14に一時的に保存する。画像処理用ASIC18は、処理部ともいう。読取部17は副走査方向においてスキャン可能な最大サイズで定形外の原稿を読み取らないので、画像処理用ASIC18は、主走査方向における画像処理に要する時間を短縮することができる。これにより、画像処理用ASIC18は、高速にスキャン処理を実行することができる。
【0018】
画像形成部19は、印刷媒体に画像を形成するデバイスである。例えば、画像形成部19は、プリンタである。例えば、画像形成部19は、感光ドラム、帯電チャージャ、露光器及び現像器などを備える。感光ドラムは、帯電チャージャによって表面が一様に帯電される。露光器は、画像データの電気信号に応じて、帯電した感光ドラムに潜像を形成可能な波長の光を出射し、帯電した感光ドラムに静電潜像を形成する。現像器は、感光ドラムに形成された静電潜像にトナー(現像剤)を付着させ、感光ドラムの表面にトナーの像(トナー像)を形成する。画像形成部19は、感光ドラムの表面に形成されたトナー像を印刷媒体に転写し、印刷媒体にトナー像を定着させることにより、印刷媒体に画像を形成する。
【0019】
読取サイズ入力画面について説明する。
図2は、表示部16に表示される読取サイズ入力画面を例示する図である。
ユーザは、入力部15を用いて、定形外の原稿のスキャン(Custom Size Scan)の設定時に、読取サイズ入力画面で縦と横のサイズを入力する。縦は、主走査方向のサイズに対応する。横は、副走査方向のサイズに対応する。ユーザは、読取サイズ入力画面で、定形外の原稿に近いサイズを入力する。例えば、ユーザは、実際には51x89mmの名刺サイズの原稿のスキャンを設定する場合、読取サイズ入力画面で60x100mmといった少し大きめなサイズを入力する。なお、ユーザが読取サイズ入力画面で読取サイズを入力しない場合、読取部17は、デフォルト設定により、副走査方向においてスキャン可能な最大サイズで原稿を読み取る。
【0020】
図3は、MFP1のプロセッサ11に実装される構成を例示するブロック図である。
プロセッサ11は、ROM12または記憶装置14が記憶するプログラムを実行することにより、以下の各部を実装する。プロセッサ11は、判断部111、生成部112及び出力部113を備える。
【0021】
判断部111について説明する。判断部111は、以下に例示するように、第2の画像に基づいて、ユーザ入力に基づく読取サイズの適否を判断する。まず、判断部111は、入力部15からユーザ入力に基づく読取サイズを示す情報を取得する。読取サイズは、ユーザによって入力された縦のサイズ及び横のサイズを含む。判断部111は、記憶装置14から第2の画像を取得する。次に、判断部111は、第2の画像に対する画像処理により、ユーザ入力に基づく読取サイズの適否を判断する。
【0022】
一例では、判断部111は、第2の画像に対する黒背景の検知処理により、ユーザ入力に基づく読取サイズの適否を判断する。黒背景の検知処理は、原稿サイズの自動検知処理ともいう。黒背景の検知処理は、第1の検知処理ともいう。黒背景の検知処理については後述する。別の例では、判断部111は、第2の画像に対する印字領域の検知処理により、ユーザ入力に基づく読取サイズの適否を判断する。印字領域の検知処理は、印字領域自動切り出し処理ともいう。印字領域の検知処理は、第2の検知処理ともいう。印字領域の検知処理については後述する。
【0023】
判断部111は、第2の画像に対する黒背景の検知処理または印字領域の検知処理により、ユーザ入力に基づく読取サイズで規定される領域が第2の画像における定形外の原稿の印字領域の全体を含むか否かを判断する。
【0024】
ユーザ入力に基づく読取サイズで規定される領域が第2の画像における定形外の原稿の印字領域の全体を含む場合、判断部111は、ユーザ入力に基づく読取サイズが定形外の原稿のサイズ以上であると判断する。これにより、判断部111は、ユーザ入力に基づく読取サイズは適切であると判断する。一つの理由は、ユーザ入力に基づく読取サイズに相当する第2の画像には定形外の原稿の印字領域の欠落が生じないからである。他方、ユーザ入力に基づく読取サイズで規定される領域が第2の画像における定形外の原稿の印字領域の一部を含まない場合、判断部111は、ユーザ入力に基づく読取サイズが定形外の原稿のサイズ未満であると判断する。これにより、判断部111は、ユーザ入力に基づく読取サイズは適切ではないと判断する。一つの理由は、ユーザ入力に基づく読取サイズに相当する第2の画像には定形外の原稿の印字領域の欠落が生じるからである。
【0025】
次に、判断部111は、判断結果を生成部112及び出力部113へ送る。判断結果は、ユーザ入力に基づく読取サイズが適切であることを示す。または、判断結果は、ユーザ入力に基づく読取サイズが適切ではないことを示す。
【0026】
生成部112について説明する。生成部112は、以下に例示するように、ユーザ入力に基づく読取サイズが適切であることを示す判断結果に基づいて、第2の画像から目的となる画像を生成する。目的となる画像は、第3の画像ともいう。まず、生成部112は、判断部111から判断結果を受ける。次に、判断結果がユーザ入力に基づく読取サイズが適切であることを示す場合、生成部112は、画像処理により、第2の画像から第3の画像を生成する。判断部111が第2の画像に対する黒背景の検知処理によりユーザ入力に基づく読取サイズの適否を判断した場合、生成部112は、黒背景の検知処理を用いる。判断部111が第2の画像に対する印字領域の検知処理によりユーザ入力に基づく読取サイズの適否を判断した場合、生成部112は、印字領域の検知処理を用いる。第3の画像のサイズは、ユーザ入力に基づく読取サイズ以下である。第3の画像には、定形外の原稿の印字領域の欠落は生じていない。次に、生成部112は、第3の画像を記憶装置14に保存する。
【0027】
出力部113について説明する。出力部113は、以下に例示するように、ユーザ入力に基づく読取サイズが適切ではないことを示す判断結果に基づいて、メッセージを出力する。メッセージは、ユーザ入力に基づく読取サイズが適切ではないことを含む。ユーザ入力に基づく読取サイズが適切ではないことは、ユーザ入力に基づく読取サイズが定形外の原稿のサイズ未満であることに相当する。まず、出力部113は、判断部111から判断結果を受ける。次に、判断結果がユーザ入力に基づく読取サイズが適切ではないことを示す場合、出力部113は、メッセージを出力する。これにより、表示部16は、メッセージを表示する。ユーザは、表示部16でメッセージを確認することで、読取サイズが適切ではないことを認識することができる。
【0028】
次に、黒背景の検知処理について説明する。
黒背景の検知処理は、黒背景の第2の画像から黒色領域のエッジを検出し、第2の画像から黒色領域のエッジに沿って第3の画像を切り出す処理である。そのため、第2の画像から切り出される第3の画像のサイズは、定形外の原稿に近いサイズとなる。
【0029】
なお、黒背景の検知処理では、上述のように、第2の画像は、黒背景である必要がある。黒背景は以下のように生成される。読取部17がADF装置などにより搬送される定形外の原稿を読み取る例では、ADF装置における読取部17と対向する位置に黒色のシートが張り付けられている。読取部17は、黒色のシートを背景として定形外の原稿を読み取る。これにより、第2の画像の背景は黒色になる。読取部17がプラテンにセットされた定形外の原稿を読み取る例では、ユーザは、図示しないプラテンカバーを開けた状態で読取部17に定形外の原稿を読み取らせる。または、ユーザは、プラテンにセットされた定形外の原稿とプラテンカバーの間に、定形外の原稿の全面を覆う黒色のシートを挟んだ状態で読取部17に定形外の原稿を読み取らせる。これにより、第2の画像の背景は黒色になる。
【0030】
判断部111における黒背景の検知処理を用いたユーザ入力に基づく読取サイズの適否の判断処理について説明する。
図4は、黒背景の検知処理を用いたユーザ入力に基づく読取サイズの適否の判断処理を例示する図である。
図4は、ユーザ入力に基づく読取サイズに相当する黒背景の第2の画像を示す。
【0031】
判断部111は、ユーザ入力に基づく読取サイズで規定される4辺と第2の画像の黒色領域との関係を判断する。判断部111は、ユーザ入力に基づく読取サイズで規定される4辺が第2の画像の黒色領域に含まれているか否かに応じて、ユーザ入力に基づく読取サイズの適否を判断する。ユーザ入力に基づく読取サイズで規定される4辺の全てが第2の画像の黒色領域に含まれている場合、判断部111は、ユーザ入力に基づく読取サイズが適切であると判断する。つまり、ユーザ入力に基づく読取サイズで規定される領域は、第2の画像の印字領域の全体を含む。他方、ユーザ入力に基づく読取サイズで規定される少なくとも1辺が第2の画像の黒色領域に含まれていない場合、判断部111は、ユーザ入力に基づく読取サイズが適切ではないと判断する。つまり、ユーザ入力に基づく読取サイズで規定される領域は、第2の画像の印字領域の一部を含まない。
【0032】
なお、判断部111は、第2の画像の4辺が黒色領域に含まれているか否かに応じて、ユーザ入力に基づく読取サイズの適否を判断してもよい。第2の画像の4辺の全てが黒色領域に含まれている場合、判断部111は、ユーザ入力に基づく読取サイズが適切であると判断する。つまり、ユーザ入力に基づく読取サイズで規定される領域は、第2の画像の印字領域の全体を含む。他方、第2の画像の4辺のうちの少なくとも1辺が黒色領域に含まれていない場合、判断部111は、ユーザ入力に基づく読取サイズが適切ではないと判断する。つまり、ユーザ入力に基づく読取サイズで規定される領域は、第2の画像の印字領域の一部を含まない。
【0033】
生成部112における黒背景の検知処理を用いた第3の画像の生成処理について説明する。
図5は、黒背景の検知処理を用いた第3の画像の生成処理を例示する図である。
図5の左側の図は、破線で示すユーザ入力に基づく読取サイズと定形外の原稿の関係を示している。ユーザ入力に基づく読取サイズは、定形外の原稿の全てを含むサイズであるものとする。
図5の真ん中の図に示すように、MFP1は、読取部17及び画像処理用ASIC18により、ユーザ入力に基づく読取サイズに相当する第2の画像を得る。第2の画像は、黒背景である。生成部112は、第2の画像から黒色領域のエッジを検出する。
図5の右側の図に示すように、生成部112は、第2の画像から黒色領域のエッジに沿って第3の画像を切り出す。
【0034】
次に、印字領域の検知処理について説明する。
印字領域の検知処理は、白背景の第2の画像から印字領域のエッジを検出し、第2の画像から印字領域のエッジに沿って第3の画像を切り出す処理である。例えば、印字領域のエッジの検出は、第2の画像における文字などの検出に基づいている。定形外の原稿の白色領域は、印字領域の検知処理によって除かれる。そのため、第2の画像から切り出される第3の画像のサイズは、定形外の原稿よりも小さいサイズとなる。
【0035】
判断部111における印字領域の検知処理を用いたユーザ入力に基づく読取サイズの適否の判断処理について説明する。
図6は、印字領域の検知処理を用いた読取サイズの適否の判断処理を例示する図である。
【0036】
判断部111は、ユーザ入力に基づく読取サイズで規定される4辺と第2の画像の印字領域との関係を判断する。判断部111は、ユーザ入力に基づく読取サイズで規定される4辺が第2の画像の印字領域に含まれているか否かに応じて、ユーザ入力に基づく読取サイズの適否を判断する。ユーザ入力に基づく読取サイズで規定される4辺の全てが第2の画像の印字領域に含まれていない場合、判断部111は、ユーザ入力に基づく読取サイズが適切であると判断する。つまり、ユーザ入力に基づく読取サイズで規定される領域は、第2の画像の印字領域の全体を含む。他方、ユーザ入力に基づく読取サイズで規定される少なくとも1辺が第2の画像の印字領域に含まれている場合、判断部111は、ユーザ入力に基づく読取サイズが適切ではないと判断する。つまり、ユーザ入力に基づく読取サイズで規定される領域は、第2の画像の印字領域の一部を含まない。
【0037】
なお、判断部111は、第2の画像の4辺が印字領域に含まれているか否かに応じて、ユーザ入力に基づく読取サイズの適否を判断してもよい。第2の画像の4辺の全てが印字領域に含まれていない場合、判断部111は、ユーザ入力に基づく読取サイズが適切であると判断する。つまり、ユーザ入力に基づく読取サイズで規定される領域は、第2の画像の印字領域の全体を含む。他方、第2の画像の少なくとも1辺が印字領域に含まれている場合、判断部111は、ユーザ入力に基づく読取サイズが適切ではないと判断する。つまり、ユーザ入力に基づく読取サイズで規定される領域は、第2の画像の印字領域の一部を含まない。
【0038】
生成部112における印字領域の検知処理を用いた第3の画像の生成処理について説明する。
図7は、印字領域の検知処理を用いた第3の画像の生成処理を例示する図である。
図7の左側の図は、破線で示すユーザ入力に基づく読取サイズと定形外の原稿の関係を示している。ユーザ入力に基づく読取サイズは、定形外の原稿の全てを含むサイズであるものとする。
図7の真ん中の図に示すように、MFP1は、読取部17及び画像処理用ASIC18により、ユーザ入力に基づく読取サイズに相当する第2の画像を得る。第2の画像は、白背景である。生成部112は、第2の画像から印字領域のエッジを検出する。
図5の右側の図に示すように、生成部112は、第2の画像から印字領域のエッジに沿って第3の画像を切り出す。
【0039】
MFP1のスキャン処理について説明する。
図8は、MFP1のスキャン処理を例示するフローチャートである。
【0040】
表示部16は、読取サイズ入力画面を表示する(Act101)。プロセッサ11は、ユーザ入力に基づく読取サイズを検出する(Act102)。Act102では、プロセッサ11は、ユーザ入力に基づく読取サイズを読取部17のファームウェアに設定する。プロセッサ11は、ユーザによるスタートボタンの押下を検出する(Act103)。
【0041】
読取部17は、スタートボタンの押下に応じて、定形外の原稿を読み取る(Act104)。Act104では、読取部17は、ユーザ入力に基づく読取サイズに相当する量の副走査方向に沿った移動に応じて定形外の原稿を読み取る。読取部17は、定形外の原稿の読み取りにより、定形外の原稿の第1の画像を得る(Act105)。
【0042】
画像処理用ASIC18は、第1の画像に対して、第1の画像から不要な領域をカットする画像処理を実行する(Act106)。Act106では、画像処理用ASIC18は、主走査方向において第1の画像からユーザ入力に基づく読取サイズに相当する量を超える領域をカットする。画像処理用ASIC18は、第1の画像からの不要な領域のカットにより、第2の画像を得る(Act107)。画像処理用ASIC18は、第2の画像を記憶装置14に一時的に保存する(Act108)。
【0043】
プロセッサ11は、第2の画像に対する画像処理として、黒背景の検知処理が設定されているか否かを判断する(Act109)。黒背景の検知処理が設定されている場合(Act109、Yes)、プロセッサ11は、第2の画像に対する画像処理として黒背景の検知処理の実行を決定する(Act110)。
【0044】
判断部111は、第2の画像に対する黒背景の検知処理により、ユーザ入力に基づく読取サイズの適否を判断する(Act111)。
【0045】
ユーザ入力に基づく読取サイズが適切である場合(Act112、Yes)、生成部112は、第2の画像に対して黒背景の検知処理を実行する(Act113)。生成部112は、第2の画像に対する黒背景の検知処理により、第3の画像を得る(Act114)。生成部112は、第3の画像を記憶装置14に保存する(Act115)。
【0046】
ユーザ入力に基づく読取サイズが適切ではない場合(Act112、No)、出力部113はメッセージを出力する(Act116)。これにより、MFP1は、第2の画像に対する黒背景の検知処理の実行を無効にし、第3の画像を生成することなく処理を終了する。
【0047】
黒背景の検知処理が設定されていない場合(Act109、No)、プロセッサ11は、第2の画像に対する画像処理として印字領域の検知処理の実行を決定する(Act117)。判断部111は、第2の画像に対する印字領域の検知処理により、ユーザ入力に基づく読取サイズの適否を判断する(Act118)。
【0048】
ユーザ入力に基づく読取サイズが適切である場合(Act119、Yes)、生成部112は、第2の画像に対して印字領域の検知処理を実行する(Act120)。生成部112は、第2の画像に対する黒背景の検知処理により、第3の画像を得る(Act114)。生成部112は、第3の画像を記憶装置14に保存する(Act115)。
【0049】
ユーザ入力に基づく読取サイズが適切ではない場合(Act119、No)、出力部113はメッセージを出力する(Act116)。これにより、MFP1は、第2の画像に対する印字領域の検知処理の実行を無効にし、第3の画像を生成することなく処理を終了する。
【0050】
なお、Act116において出力部113が出力するメッセージは、第3の画像の生成処理を継続するか否かの確認を含んでいてもよい。表示部16は、ユーザに第3の画像の生成処理を継続するか否かを確認する画面を表示する。ユーザは、入力部15を用いて、第3の画像の生成処理の継続指示を入力することができる。これにより、生成部112は、第2の画像に対する黒背景の検知処理または印字領域の検知処理を実行し、第3の画像を生成する。
【0051】
第1の実施形態によれば、MFP1は、ユーザ入力に基づく読取サイズに相当する第2の画像に基づいて、ユーザ入力に基づく読取サイズの適否を判断する。
これにより、MFP1は、定形外の原稿のスキャン処理に要する時間を低減しつつ、適切な定形外の原稿の画像を得ることができる。
【0052】
さらに、MFP1は、ユーザ入力に基づく読取サイズで規定される4辺が第2の画像の黒色領域に含まれているか否かに応じて、ユーザ入力に基づく読取サイズの適否を判断する。
これにより、MFP1は、ユーザ入力に基づく読取サイズの適否の判断精度を向上させることができる。MFP1は、第3の画像の生成処理で用いることができる黒背景の検知処理を読取サイズの適否の判断処理でも共通に用いることで、処理を簡略化することができる。
【0053】
さらに、MFP1は、ユーザ入力に基づく読取サイズで規定される4辺が第2の画像の印字領域に含まれているか否かに応じて、ユーザ入力に基づく読取サイズの適否を判断する。
これにより、MFP1は、ユーザ入力に基づく読取サイズの適否の判断精度を向上させることができる。MFP1は、第3の画像の生成処理で用いることができる印字領域の検知処理を読取サイズの適否の判断処理でも共通に用いることで、処理を簡略化することができる。
【0054】
さらに、MFP1は、ユーザ入力に基づく読取サイズが適切ではないことを示す判断結果に基づいてメッセージを出力する。
これにより、ユーザは、読取サイズが適切ではないことを認識し、読取サイズを容易に再設定することができる。
【0055】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、読取部17で定形外の原稿を読み取る前に、定形外の原稿のサイズがユーザ入力に基づく読取サイズに応じた基準を満たすか否かを判断するようにしたものである。なお、第2の実施形態において第1の実施形態と同一であってもよい部分については、その説明を省略する。
【0056】
図9は、MFP1に取り付け可能なADF装置2の構成を例示する外観図である。
【0057】
ADF装置2は、プラテン上における読取部17と対向する位置へ一枚ずつ連続的に原稿を搬送する装置である。ADF装置2は、原稿送り装置の例である。ADF装置2は、検知部21を備える。検知部21は、ADF装置2にセットされている原稿のサイズを検知するように構成されている。検知部21は、複数のセンサ21-1~21-5を備える。センサ21-1及びセンサ21-2は、原稿長を検知するためのセンサである。センサ21-1及びセンサ21-2は、原稿の搬送方向に沿って並んで配置されている。原稿長は、原稿の横のサイズ及び副走査方向のサイズに対応する。センサ21-3~21-5は、原稿幅を検知するためのセンサである。原稿幅は、原稿の縦のサイズ及び主走査方向のサイズに対応する。なお、検知部21が備えるセンサの数は5つに限られるものではない。なお、MFP1は、ADF装置2に代えて、DSDF(Dual Scan Document Feeder)装置を取り付け可能であってもよい。DSDF装置は、原稿送り装置の例である。
【0058】
図10は、MFP1のプロセッサ11に実装される構成を例示するブロック図である。
プロセッサ11は、ROM12または記憶装置14が記憶するプログラムを実行することにより、以下の各部を実装する。プロセッサ11は、第1の判断部114、第2の判断部115、生成部116及び出力部117を備える。
【0059】
第1の判断部114について説明する。第1の判断部114は、以下に例示するように、検知部21で検知された定形外の原稿のサイズがユーザ入力に基づく読取サイズに応じた基準を満たすか否かを判断する。一例では、基準は、検知部21で検知された定形外の原稿のサイズがユーザ入力に基づく読取サイズ以下か否かを判断する基準である。この例では、検知部21で検知された定形外の原稿のサイズがユーザ入力に基づく読取サイズ以下である場合、第1の判断部114は、基準を満たすと判断する。他方、検知部21で検知された定形外の原稿のサイズがユーザ入力に基づく読取サイズ以下ではない場合、第1の判断部114は、基準を満たさないと判断する。別の例では、基準は、検知部21で検知された定形外の原稿のサイズがユーザ入力に基づく読取サイズ未満か否かを判断する基準である。この例では、検知部21で検知された定形外の原稿のサイズがユーザ入力に基づく読取サイズ未満である場合、第1の判断部114は、基準を満たすと判断する。他方、検知部21で検知された定形外の原稿のサイズがユーザ入力に基づく読取サイズ未満ではない場合、第1の判断部114は、基準を満たさないと判断する。
【0060】
まず、第1の判断部114は、入力部15からユーザ入力に基づく読取サイズを示す情報を取得する。読取サイズは、ユーザによって入力された縦のサイズ及び横のサイズを含む。第1の判断部114は、検知部21からADF装置2にセットされている定形外の原稿のサイズを示す情報を取得する。定形外の原稿のサイズは、原稿幅及び原稿長を含む。
【0061】
次に、第1の判断部114は、ユーザによるスタートボタンの押下に基づいて、検知部21からの情報に含まれる原稿幅が入力部15からの情報に含まれる縦のサイズに応じた基準を満たすか否かを判断する。一例では、第1の判断部114は、検知部21からの情報に含まれる原稿幅が入力部15からの情報に含まれる縦のサイズ以下か否かを判断する。別の例では、第1の判断部114は、検知部21からの情報に含まれる原稿幅が入力部15からの情報に含まれる縦のサイズ未満か否かを判断する。これと共に、第1の判断部114は、ユーザによるスタートボタンの押下に基づいて、検知部21からの情報に含まれる原稿長が入力部15からの情報に含まれる横のサイズに応じた基準を満たすか否かを判断する。一例では、第1の判断部114は、検知部21からの情報に含まれる原稿幅が入力部15からの情報に含まれる横のサイズ以下か否かを判断する。別の例では、第1の判断部114は、検知部21からの情報に含まれる原稿幅が入力部15からの情報に含まれる横のサイズ未満か否かを判断する。
【0062】
検知部21からの情報に含まれる原稿幅が入力部15からの情報に含まれる縦のサイズに応じた基準を満たし、かつ、検知部21からの情報に含まれる原稿長が入力部15からの情報に含まれる横のサイズに応じた基準を満たすとする。この場合、第1の判断部114は、検知部21で検知された定形外の原稿のサイズがユーザ入力に基づく読取サイズに応じた基準を満たすと判断する。他方、検知部21からの情報に含まれる原稿幅が入力部15からの情報に含まれる縦のサイズに応じた基準を満たさない、かつ、検知部21からの情報に含まれる原稿長が入力部15からの情報に含まれる横のサイズに応じた基準を満たさないとする。この場合、第1の判断部114は、検知部21で検知された定形外の原稿のサイズがユーザ入力に基づく読取サイズに応じた基準を満たさないと判断する。検知部21からの情報に含まれる原稿幅が入力部15からの情報に含まれる縦のサイズに応じた基準を満たさない、または、検知部21からの情報に含まれる原稿長が入力部15からの情報に含まれる横のサイズに応じた基準を満たさないとする。この場合、第1の判断部114は、検知部21で検知された定形外の原稿のサイズがユーザ入力に基づく読取サイズに応じた基準を満たさないと判断する。
【0063】
次に、第1の判断部114は、第1の判断結果を第2の判断部115及び出力部117へ送る。第1の判断結果は、検知部21で検知された定形外の原稿のサイズがユーザ入力に基づく読取サイズに応じた基準を満たすことを示す。または、第1の判断結果は、検知部21で検知された定形外の原稿のサイズがユーザ入力に基づく読取サイズに応じた基準を満たさないことを示す。また、第1の判断部114は、検知部21で検知された定形外の原稿のサイズがユーザ入力に基づく読取サイズに応じた基準を満たすと判断した場合、ADF装置2の動作を開始させる。これと共に、第1の判断部114は、読取部17の動作を開始させる。
【0064】
次に、第2の判断部115について説明する。第2の判断部115は、検知部21で検知された定形外の原稿のサイズがユーザ入力に基づく読取サイズに応じた基準を満たすことを示す第1の判断結果に基づいて、記憶装置14から第2の画像を取得する。第2の判断部115は、第1の実施形態で説明した判断部111と同様に、第2の画像に基づいて、ユーザ入力に基づく読取サイズの適否を判断する。
【0065】
第2の判断部115は、第2の判断結果を生成部116及び出力部117へ送る。第2の判断結果は、ユーザ入力に基づく読取サイズが適切であることを示す。または、第2の判断結果は、ユーザ入力に基づく読取サイズが適切ではないことを示す。
【0066】
生成部116について説明する。生成部116は、第1の実施形態で説明した生成部112と同様に、ユーザ入力に基づく読取サイズが適切であることを示す第2の判断結果に基づいて、第2の画像から第3の画像を生成する。
【0067】
出力部117について説明する。出力部117は、種々のメッセージを出力する。
一例では、出力部117は、検知部21で検知された定形外の原稿のサイズがユーザ入力に基づく読取サイズに応じた基準を満たさないことを示す第1の判断結果に基づいて、メッセージを出力する。メッセージは、ユーザ入力に基づく読取サイズが適切ではないことを含む。この例では、まず、出力部117は、第1の判断部114から第1の判断結果を受ける。次に、第1の判断結果が検知部21で検知された定形外の原稿のサイズがユーザ入力に基づく読取サイズに応じた基準を満たさないことを示す場合、出力部117は、メッセージを出力する。これにより、表示部16は、メッセージを表示する。ユーザは、表示部16でメッセージを確認することで、読取サイズが適切ではないことを認識することができる。
【0068】
別の例では、出力部117は、ユーザ入力に基づく読取サイズが適切ではないことを示す第2の判断結果に基づいて、メッセージを出力する。メッセージは、ユーザ入力に基づく読取サイズが適切ではないことを含む。この例では、まず、出力部117は、第2の判断部115から第2の判断結果を受ける。次に、第2の判断結果がユーザ入力に基づく読取サイズが適切ではないことを示す場合、出力部117は、メッセージを出力する。これにより、表示部16は、メッセージを表示する。ユーザは、表示部16でメッセージを確認することで、読取サイズが適切ではないことを認識することができる。
【0069】
MFP1のスキャン処理について説明する。
図11は、MFP1のスキャン処理を例示するフローチャートである。
ここでは、第1の判断部114は、検知部21で検知された定形外の原稿のサイズがユーザ入力に基づく読取サイズ以下か否かを判断する基準を用いるものとする。
【0070】
表示部16は、読取サイズ入力画面を表示する(Act201)。プロセッサ11は、ユーザ入力に基づく読取サイズを検出する(Act202)。プロセッサ11は、ユーザによるスタートボタンの押下を検出する(Act203)。
【0071】
第1の判断部114は、検知部21からの情報に含まれる原稿幅が入力部15からの情報に含まれる縦のサイズ以下か否かを判断する(Act204)。原稿幅が縦のサイズ以下である場合(Act204、Yes)、第1の判断部114は、検知部21からの情報に含まれる原稿長が入力部15からの情報に含まれる横のサイズ以下か否かを判断する(Act205)。原稿長が横のサイズ以下である場合(Act205、Yes)、読取部17は、定形外の原稿を読み取る(Act206)。Act206では、読取部17は、検知部21で検知された定形外の原稿のサイズがユーザ入力に基づく読取サイズに応じた基準を満たすことを示す第1の判断結果に基づいて、ユーザ入力に基づく読取サイズに相当する量の副走査方向に沿った移動に応じて定形外の原稿を読み取る。読取部17は、定形外の原稿の読み取りにより、定形外の原稿の第1の画像を得る(Act207)。
【0072】
画像処理用ASIC18は、第1の画像に対して、第1の画像から不要な領域をカットする画像処理を実行する(Act208)。Act208では、画像処理用ASIC18は、主走査方向において第1の画像からユーザ入力に基づく読取サイズに相当する量を超える領域をカットする。画像処理用ASIC18は、第1の画像からの不要な領域のカットにより、第2の画像を得る(Act209)。画像処理用ASIC18は、第2の画像を記憶装置14に一時的に保存する(Act210)。
【0073】
プロセッサ11は、第2の画像に対する画像処理として、黒背景の検知処理が設定されているか否かを判断する(Act211)。黒背景の検知処理が設定されている場合(Act211、Yes)、プロセッサ11は、第2の画像に対する画像処理として黒背景の検知処理の実行を決定する(Act212)。
【0074】
第2の判断部115は、第2の画像に対する黒背景の検知処理により、ユーザ入力に基づく読取サイズの適否を判断する(Act213)。
【0075】
ユーザ入力に基づく読取サイズが適切である場合(Act213、Yes)、生成部116は、第2の画像に対して黒背景の検知処理を実行する(Act215)。生成部116は、第2の画像に対する黒背景の検知処理により、第3の画像を得る(Act216)。生成部116は、第3の画像を記憶装置14に保存する(Act217)。
【0076】
ユーザ入力に基づく読取サイズが適切ではない場合(Act214、No)、出力部117はメッセージを出力する(Act218)。これにより、MFP1は、第2の画像に対する黒背景の検知処理の実行を無効にし、第3の画像を生成することなく処理を終了する。
【0077】
黒背景の検知処理が設定されていない場合(Act211、No)、プロセッサ11は、第2の画像に対する画像処理として印字領域の検知処理の実行を決定する(Act219)。第2の判断部115は、第2の画像に対する印字領域の検知処理により、ユーザ入力に基づく読取サイズの適否を判断する(Act220)。
【0078】
ユーザ入力に基づく読取サイズが適切である場合(Act221、Yes)、生成部116は、第2の画像に対して印字領域の検知処理を実行する(Act222)。生成部116は、第2の画像に対する黒背景の検知処理により、第3の画像を得る(Act216)。生成部112は、第3の画像を記憶装置14に保存する(Act217)。
【0079】
ユーザ入力に基づく読取サイズが適切ではない場合(Act221、No)、出力部113はメッセージを出力する(Act218)。これにより、MFP1は、第2の画像に対する印字領域の検知処理の実行を無効にし、第3の画像を生成することなく処理を終了する。原稿幅が縦のサイズ以下ではない場合(Act204、No)、出力部117はメッセージを出力する(Act223)。原稿長が横のサイズ以下ではない場合(Act205、No)、出力部117はメッセージを出力する(Act223)。これにより、MFP1は、定形外の原稿を読み取ることなく処理を終了する。
【0080】
なお、Act218において出力部113が出力するメッセージは、第3の画像の生成処理を継続するか否かの確認を含んでいてもよい。表示部16は、ユーザに第3の画像の生成処理を継続するか否かを確認する画面を表示する。ユーザは、入力部15を用いて、第3の画像の生成処理の継続指示を入力することができる。これにより、生成部112は、第2の画像に対する黒背景の検知処理または印字領域の検知処理を実行し、第3の画像を生成する。
【0081】
なお、Act223において出力部113が出力するメッセージは、定形外の原稿の読み取りを継続するか否かの確認を含んでいてもよい。表示部16は、ユーザに定形外の原稿の読み取りを継続するか否かを確認する画面を表示する。ユーザは、入力部15を用いて、定形外の原稿の読み取りの継続指示を入力することができる。これにより、読取部17は、定形外の原稿の読み取りを実行する。
【0082】
なお、MFP1は、Act213及びAct214の第2の判断部115による処理並びにAct220及びAct221の第2の判断部115による処理を省略してもよい。つまり、第2の判断部115は、第2の画像に対する黒背景の検知処理によりユーザ入力に基づく読取サイズの適否を判断する処理を省略する。同様に、第2の判断部115は、第2の画像に対する印字領域の検知処理によりユーザ入力に基づく読取サイズの適否を判断する処理を省略する。
【0083】
第2の実施形態によれば、MFP1は、表示部16、検知部21、第1の判断部114、読取部17、画像処理用ASIC18を備える。表示部16は、定形外の原稿の読取サイズを入力する画面を表示する。検知部21は、ADF装置2にセットされている定形外の原稿のサイズを検知する。第1の判断部114は、検知部21で検知された定形外の原稿のサイズがユーザ入力に基づく読取サイズに応じた基準を満たすか否かを判断する。読取部17は、検知部21で検知された定形外の原稿のサイズがユーザ入力に基づく読取サイズに応じた基準を満たすことを示す第1の判断結果に基づいて、ユーザ入力に基づく読取サイズに相当する量の副走査方向に沿った移動に応じて定形外の原稿を読み取り、定形外の原稿の第1の画像を得る。画像処理用ASIC18は、主走査方向において第1の画像からユーザ入力に基づく読取サイズに相当する量を超える領域をカットした第2の画像を得る。
これにより、MFP1は、定形外の原稿を読み取ることなく、ユーザ入力に基づく読取サイズの適否を判断することができる。MFP1は、不必要な定形外の原稿の読取動作を省略するので、定形外の原稿のスキャン処理に要する時間を低減しつつ、適切な定形外の原稿の画像を取得することができる。
【0084】
さらに、第2の判断部115は、第2の画像に基づいて、ユーザ入力に基づく読取サイズの適否を判断する。
検知部21による定形外の原稿のサイズを検知する精度は、検知部21が備えるセンサの数に依存する。センサの数が少ないと、第1の判断部114は、検知部21で検知された定形外の原稿のサイズがユーザ入力に基づく読取サイズに応じた基準を満たすか否かを適切に判断できないことがある。MFP1は、第1の判断部114による判断処理に加えて第2の判断部115による判断処理を行うことで、ユーザ入力に基づく読取サイズの適否を適切に判断することができる。このように、MFP1は、第1の判断部114の判断処理により定形外の原稿のスキャン処理に要する時間の低減を実現し、第2の判断部115の判断処理により適切な定形外の原稿の画像の取得を実現する。
【0085】
さらに、出力部117は、検知部21で検知された定形外の原稿のサイズがユーザ入力に基づく読取サイズに応じた基準を満たさないことを示す第1の判断部114による第1の判断結果に基づいて、メッセージを出力する。
これにより、ユーザは、読取サイズが適切ではないことを認識し、読取サイズを容易に再設定することができる。
【0086】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0087】
1…MFP、2…ADF装置、11…プロセッサ、12…ROM、13…RAM、14…記憶装置、15…入力部、16…表示部、17…読取部、18…画像処理用ASIC、19…画像形成部、21…検知部、21-1~21-5…センサ、111…判断部、112…生成部、113…出力部、114…第1の判断部、115…第2の判断部、116…生成部、117…出力部。