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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】動作玩具
(51)【国際特許分類】
   A63H 13/02 20060101AFI20220111BHJP
   A63H 33/00 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
A63H13/02 Z
A63H33/00 303Z
【請求項の数】 17
(21)【出願番号】P 2018173056
(22)【出願日】2018-09-14
(62)【分割の表示】P 2017087639の分割
【原出願日】2017-04-26
(65)【公開番号】P2018192344
(43)【公開日】2018-12-06
【審査請求日】2020-04-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成29年4月4日 株式会社バンダイが「2017年7月~9月トイマーケティングガイド」(刊行物)にて公開
(73)【特許権者】
【識別番号】000135748
【氏名又は名称】株式会社バンダイ
(72)【発明者】
【氏名】山元 茉莉絵
(72)【発明者】
【氏名】和田 敬二
【審査官】西村 民男
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-049347(JP,A)
【文献】特開2000-271351(JP,A)
【文献】実開平06-063098(JP,U)
【文献】実開昭51-82594(JP,U)
【文献】実開昭50-152788(JP,U)
【文献】登録実用新案第3025184(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63H 1/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
形象物と操作部とを備え、
前記操作部は、他の玩具が前記形象物近傍に位置することにより回動することで前記形象物の少なくとも一部を操作可能に設けられ、
前記形象物の少なくとも一部は、前記操作部による操作に基づいて第1の位置から前記形象物近傍に位置する他の玩具に近付く第2の位置に変化できる、
玩具。
【請求項2】
前記形象物は、少なくとも第1の部位及び第2の部位を含み、
前記第1の部位は、前記操作部による操作に基づいて前記第1の位置から前記第2の位置に変位可能に設けられる、
請求項1に記載の玩具。
【請求項3】
前記操作部は、前記形象物の前記第1の部位が前記第1の位置から前記第2の位置に変化したときに、該第2の位置に変化した該第1の部位の下側に位置するように設けられる、
請求項に記載の玩具。
【請求項4】
前記第1の部位は、前記第2の部位に対して回動可能であり、
前記第2の位置は、前記第1の部位が前記第2の部位に対して回動変位した位置である、
請求項2または3に記載の玩具。
【請求項5】
前記第1の部位が回動変位した位置は、前記第1の部位が前記形象物近傍に位置する前記他の玩具に近付く方向に傾斜した位置である、
請求項に記載の玩具。
【請求項6】
前記形象物は、前記操作部による操作に基づく前記第1の位置から前記第2の位置への変位に基づいて変位可能な第3の部位をさらに有する、
請求項2~のいずれか1項に記載の玩具。
【請求項7】
前記第3の部位は、前記第1の部位に変位可能に設けられる、
請求項に記載の玩具。
【請求項8】
前記第3の部位は、前記第1の部位の前記第1の位置から前記第2の位置への変化による慣性力よって変位可能に設けられる、
請求項6または7に記載の玩具。
【請求項9】
前記第3の部位は、前記第1の部位が前記第1の位置から前記第2の位置に変化したときに、前記第1の部位よりも前記形象物近傍に位置する前記他の玩具に近付くことが可能である、
請求項6~8のいずれか1項に記載の玩具。
【請求項10】
前記形象物は、少なくとも胴部と該胴部に設けられた脚部と該胴部に設けられた腕部とを有し、
前記第1の部位は前記胴部を含み、前記第2の部位は前記脚部を含み、前記第3の部位は前記腕部を含む、
請求項6~9のいずれか1項に記載の玩具。
【請求項11】
前記操作部は、前記他の玩具からの外力によって操作可能に設けられる、
請求項1~10のいずれか1項に記載の玩具。
【請求項12】
前記操作部による操作基づいて前記形象物の少なくとも一部を前記第1の位置から前記第2の位置に変化させる動作機構をさらに備える、
請求項1~11のいずれか1項に記載の玩具。
【請求項13】
前記動作機構は、円形部材の周囲に間隔が異なるように配置された複数の突起を有する回転部材と、前記複数の突起の何れかとの直接的又は間接的な当接により前記形象物の少なくとも一部を前記第1の位置から前記第2の位置に変化させる動作部材と、を含む、
請求項12に記載の玩具。
【請求項14】
前記動作機構は、前記形象物の少なくとも一部を前記第1の位置に保持し、かつ、前記操作部による操作に基づいて該第1の位置の保持を解除して前記第2の位置への変化を許容する位置制御機構を含む、
請求項12または13に記載の玩具。
【請求項15】
前記動作機構は、前記形象物の少なくとも一部を前記第1の位置から前記第2の位置に向かって付勢する部材を含む、
請求項12~14のいずれか1項に記載の玩具。
【請求項16】
前記操作部による操作が複数回繰り返されたことを条件として、前記形象物の少なくとも一部は前記第1の位置から前記第2の位置へ変化し得る、
請求項1~15のいずれか1項に記載の玩具。
【請求項17】
前記操作部による操作によって前記形象物の少なくとも一部が前記第1の位置から前記第2の位置へ変化する場合と、前記操作部による操作によって前記形象物の一部が前記第1の位置から前記第2の位置へ変化しない場合とが含まれる、
請求項1~16のいずれか1項に記載の玩具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、形象物に動作を生じさせる動作玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
後記特許文献1には、レール上を走行する電車玩具によって踏切部材を動作させ、この動作によって遮断アームを下げるように構成された軌道玩具が開示されている。しかしながら、この軌道玩具は、電車が踏切を通過するときに電車の横で遮断機(形象物)の遮断棒が下がる様子を遊戯者に見せることを主眼としたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-271351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、形象物の動作に基づく楽しさおよび面白さをより強く遊戯者に感じさせることができる動作玩具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る動作玩具は、形象物と、前記形象物が設けられた支持部と、前記支持部に設けられた操作部とを備え、前記形象物は、各々の一端が前記支持部に設けられた第1部分と第2部分を含み、前記操作部は、前記第1部分と前記第2部分との間を通過する走行玩具によって操作可能に設けられ、前記形象物の一部は、前記走行玩具による前記操作部への操作によって第1位置から前記走行玩具に接近する第2位置に変化し得るように構成されている。また、本発明に係る玩具は、形象物と操作部とを備え、前記操作部は、他の玩具が前記形象物近傍に位置することにより前記形象物の少なくとも一部を操作可能に設けられ、前記形象物の少なくとも一部は、前記操作部による操作に基づいて第1の位置から前記形象物近傍に位置する他の玩具に近付く第2の位置に変化できる。また、本発明に係る玩具は、形象物と操作部とを備え、前記操作部は、他の玩具が前記形象物近傍に位置することにより回動可能であることで前記形象物の少なくとも一部を操作可能に設けられ、前記形象物の少なくとも一部は、前記操作部による操作に基づいて第1の位置から前記形象物近傍に位置する他の玩具に近付く第2の位置に変化できる。
【発明の効果】
【0006】
本発明に係る動作玩具によれば、形象物の動作に基づく楽しさおよび面白さを遊戯者に感じさせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1(A)は本発明を適用した動作玩具の前面図、図1(B)は同動作玩具の上面図、図1(C)は同動作玩具の右側面図、図1(D)は同動作玩具の左側面図である。
図2図2図1に示した動作玩具の使用例の説明図である。
図3図3図1に示した動作玩具の使用例の説明図である。
図4図4図2および図3に示した使用例における形象物の基本動作の説明図である。
図5図5図2および図3に示した使用例における形象物の基本動作の説明図である。
図6図6(A)~図6(I)は図1に示した動作玩具の動作機構と腕部支持機構の説明図である。
図7図7図6に示した動作機構による形象物の動作の説明図である。
図8図8図6に示した動作機構による形象物の動作の説明図である。
図9図9図6に示した動作機構による形象物の動作の説明図である。
図10図10(A)および図10(B)は図6に示した腕部支持機構による腕部の動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図1図10を用いて、本発明を適用した動作玩具について説明する。この説明では、便宜上、図1(A)の手前側を前、奥側を後、左側を左、右側を右、上側を上、下側を下と表記する。また、図中の+印は回動軸線の位置を示す。
【0009】
《動作玩具の外観構成:図1を参照》
動作玩具は、第1の部位と第2の部位とを有する形象物10と、形象物10が設けられた支持部20と、支持部20に設けられた操作部31とを備えている。
【0010】
支持部20は、底部21と、底部21上の左右両側に設けられた第1頂部22および第2頂部23と、底部21の第1頂部22と第2頂部23との間に設けられた軌道部24とを有している。軌道部24は後記走行玩具MT(図2図5を参照)が走行する部位であり、その上面には走行玩具MTの走行方向を案内する2本の溝24aが形成されている。
【0011】
形象物10は、胴部11と、胴部11の上端に設けられた頭部12と、胴部11の上部の左右両側に胴部に対して回動可能に設けられた第1腕部13および第2腕部14と、胴部11の下部の左右両側に設けられた第1脚部15および第2脚部16とを有している。この形象物10は、好ましくはアニメーションや漫画や小説等に登場するキャラクターの他、動物等を模したものである。ちなみに、第1脚部15および第2脚部16は形象物10の第2の部位に相当し、胴部11は形象物10の第1の部位に相当し第1脚部15および第2脚部16に対して回動可能である。
【0012】
この形象物10の第1脚部15の下端は支持部20の第1頂部22の上端に固定された状態で設けられ、かつ、第2脚部16の下端は支持部20の第2頂部23の上端に固定された状態で設けられている。詳しくは、形象物10は、支持部20の軌道部24を走行する後記走行玩具MT(図2図5を参照)が第1脚部15と第2脚部16との間を通過できるように、支持部20に設けられている。
【0013】
操作部31は、支持部20の軌道部24を走行する後記走行玩具MT(図2図5を参照)が、形象物10を通過する前に走行玩具MTによって操作されるように支持部20に回動可能に設けられている。詳しくは、操作部31は、略矩形板状を成し、軌道部24を走行する走行玩具MTを遮るように、かつ、走行玩具MTによって押し退けられるようにその一側を支持部20に回動可能に設けられている。また、操作部31は、後記《図2および図3に示した使用例における形象物の基本動作:図4および図5を参照》の説明のように、形象物10の第1の部位(胴部11)が第1位置(直立位置)から第2位置(傾斜位置)に変化したときに、第2位置(傾斜位置)に変化した形象物10の第1の部位(胴部11)の下側に位置するように支持部20に設けられている。
【0014】
図1に示した動作玩具の使用例:図2および図3を参照》
図1に示した動作玩具は、支持部20の軌道部24の前後端に軌道部材TMを着脱可能に接続することによって、走行玩具MT用の軌道玩具と成る。各軌道部材TMには、接続したときに軌道部24の溝24aと連続する溝(符号省略)が形成されてる。走行玩具MTは電車や自動車等の乗り物を模したものであり、好ましくはアニメーションや漫画や小説等に登場するキャラクターの他、動物等を模した小型形象物が乗せられている。
【0015】
図2および図3に示した使用例における形象物の基本動作:図4および図5を参照》
図1に示した動作玩具は、操作部31への操作によって、形象物10の第1の部位、すなわち、胴部11が第1位置(直立位置)から第2位置(傾斜位置)に変化し得るように構成されている。
【0016】
具体的には、前側の軌道部材TMから支持部20の軌道部24に向かって走行する走行玩具MTが操作部材31を押圧し、この押圧により操作部材31が初期位置から後側に約90度回動すると、この操作部材31の変位に基づいて、形象物10の胴部11が第1位置(直立位置、図3を参照)から第2位置(傾斜位置、図5を参照)に変化するように構成されている。
【0017】
形象物10の胴部11の第1位置(直立位置)から第2位置(傾斜位置)への変化は、各脚部15および16に対し、胴部11が回動軸線(図5を+印を参照)を中心として前側に約45度傾いて支持部20に近付く動作である。また、図1に示したように、胴部11の第1位置(直立位置)にあるときに各腕部13および14は胴部11よりも前側に突出した形態を有しているため、胴部11が第1位置(直立位置)から第2位置(傾斜位置)に変化すると、各腕部13および14は胴部11よりも支持部20に近付くように動作する。
【0018】
つまり、支持部20の軌道部24を走行する走行玩具MTが形象物10に接近して操作部31が操作されると、この操作に基づいて、形象物10の胴部11(頭部12と各腕部13および14も)が走行玩具MTに近付くように傾斜する。例えば、走行玩具MTに乗せた小型形象物をアニメーションに登場する主人公を模したものとし、形象物10を同アニメーションに登場する悪役を模したものとすれば、走行玩具MTに乗っている主人公が悪役に脅かされている様子を前記傾斜によって表現して、形象物10の動作に基づく楽しさおよび面白さを遊戯者に感じさせることができる。
【0019】
形象物10の動作に基づく楽しさおよび面白さをより一層のものとするには、走行玩具MTによって操作部31が操作される度に形象物10の胴部11を第1位置(直立位置)から第2位置(傾斜位置)に変化させるのではなく、操作部31が操作されても形象物10の胴部11が第1位置(直立位置)から第2位置(傾斜位置)に変化しない場合を含むようにすることが好ましい。すなわち、操作部31への操作が複数回繰り返されたときに形象物10の胴部11が第1位置(直立位置)から第2位置(傾斜位置)に変化するようにすれば、形象物10の胴部11を不意に変化させて遊戯者が感じる楽しさおよび面白さを高めることができる。
【0020】
図1に示した動作玩具の動作機構:図6(A)~図6(G)を参照)
形象物10と支持部20の内部には、操作部31の変位に基づいて形象物10の第1の部位、すなわち、胴部11を第1位置(直立位置)から第2位置(傾斜位置)に変化させる動作機構(符号省略)が設けられている。
【0021】
この動作機構は、主として、第1ギヤ32と、第2ギヤ33と、第3ギヤ34と、第4ギヤ35と、カム36と、第1リンク37と、第2リンク38と、第3リンク39と、第1シャフト40と、第2シャフト41とを有している。
【0022】
図6(A)は第1ギヤ32と第2ギヤ33と第3ギヤ34と第4ギヤ35とカム36を上から見た図である。第1ギヤ32と操作部31は互いの回転軸線において連結されているため、第1ギヤ32は操作部31と同一方向に回転し得る。第1ギヤ32は、その張り出し部32aと支持部20内に設けられた突起32cとの間に設けられた第1バネ(引きバネ)32bによって、初期位置に復元できるように付勢されている。すなわち、操作部31を操作して初期位置から後側に約90度回転すると、第1バネ32bの付勢力に抗して第1ギヤ32は反時計回り方向に同一角度回転する。また、操作部31への操作が解かれると、第1ギヤ32(操作部31も)は第1バネ32bの付勢力によって時計回り方向に回転して初期位置に復帰する。
【0023】
第2ギヤ33と第3ギヤ34は互いの回転軸線が一致するように一体化されている。第2ギヤ33および第3ギヤ34の回転軸線は第1ギヤ32の回転軸線と平行であり、第2ギヤ33は第1ギヤ32に噛み合っている。また、第2ギヤ33の直径は第1ギヤ32および第3ギヤ34の直径よりも大きく、第2ギヤ33の歯数は第1ギヤ32および第3ギヤ34の歯数よりも多い。すなわち、第1ギヤ32が操作部31と一緒に半時計回り方向に約90度回転しても、第2ギヤ33と第3ギヤ34はその数分の1しか時計回り方向に回転しない。
【0024】
第4ギヤ35とカム36は互いの回転軸線が一致するように一体化されている。第4ギヤ35およびカム36の回転軸線は第2ギヤ33および第3ギヤ34の回転軸線と平行であり、第4ギヤ35は第3ギヤ34に噛み合っている。また、カム36は、例えば3個の能動突起36aが円形部材の外周に異なる間隔で設けられている回転部材である。ここで、能動突起36aの数は3個に限定されるものではなく、商品仕様に合わせて複数の能動突起36aを設けることが可能である。
【0025】
図6(B)はカム36と第1リンク37を上から見た図であり、図6(C)は第1リンク37を左から見た図である。第1リンク37はカム36の上側に位置し、その下面前側に設けられた受動突起37はカム36の外周の前側に位置している。また、第1リンク37はガイド孔37bを有し、このガイド孔37bには支持部20内に設けられたガイド突起37cが挿入されている。さらに、第1リンク37の後部には、後記第2リンク38の第1シャフト部38aが挿入されるシャフト孔37dが設けられている。さらに、第1リンク37は、その後端と支持部20内に設けられた突起37fとの間に設けられた第2バネ(引きバネ)37eによって、後方に付勢されている。すなわち、第1リンク37は、カム36の能動突起36aによって受動突起37aが前方に押されたとき、第2バネ37eの付勢力に抗して前方移動する。また、第1リンク37は、能動突起36aによる受動突起37aの押圧が解かれると、第2バネ37eの付勢力によって後方移動して復帰する。
【0026】
図6(D)は第1リンク37と第2リンク38を左から見た図である。第2リンク38は一端部に第1シャフト部38aを有し、他端部に第2シャフト部38bを有しており、第1シャフト部38aは第1リンク37のシャフト孔37dに挿入されている。すなわち、第2リンク38は、第1リンク37の前方移動に伴って反時計回り方向に回転し、この回転に伴って第2シャフト部38bが下方移動する。また、第2リンク38は、第1リンク37の後方移動に伴って時計回り方向に回転し、この回転に伴って第2シャフト部38bは上方移動して復帰する。
【0027】
図6(E)は第3リンク39と第1シャフト40を左から見た図である。第3リンク39は第2リンク38の上側に位置し、その下端部に設けられたシャフト孔39aには第2リンク38の第2シャフト部38bが挿入されている。また、第3リンク39はガイド孔39bを有し、このガイド孔39bには第1脚部15内に設けられたガイド突起39cが挿入されている。さらに、第3リンク37の上端には、第1シャフト40の回転規制溝40aに係合する回転規制突起39dが設けられている。さらに、第3リンク39は、その下部と第1脚部15内に設けられた突起39fとの間に設けられた第3バネ(引きバネ)39eによって、上方に付勢されている。すなわち、第3リンク39は、第2リンク38の反時計回り方向の回転に伴って第3バネ39eの付勢力に抗して下方移動する。また、第3リンク39は、第2リンク38の時計回り方向の回転に伴って第3バネ39eの付勢力によって上方移動して復帰する。一方、第1シャフト40は、第2リンク38の回転規制突起39dが回転規制溝40aに係合しているときは時計回り方向に回転できないが、第2リンク38が下方移動してその回転規制突起39dが回転規制溝40aから外れると時計回り方向の回転が許容される。
【0028】
図6(F)は第1シャフト40を前から見た図である。第1シャフト40は形象物10の第1脚部15の上部内に回転可能に配置されており、第1脚部15から突出した角柱部分40b(例えば四角柱部分)が胴部11の角形孔11aに挿入されている。すなわち、第1シャフト40が回転できないときは胴部11も回動できないが、第1シャフト40の時計回り方向の回転を許容されると、胴部11の時計回り方向の回動、すなわち、第1位置(直立位置)から第2位置(傾斜位置)への変化も許容される。図示を省略したが、第1シャフト40と第1脚部15には、形象物10の胴部11の後側への回動を規制する相互接触面と、形象物10の胴部11が第1位置(直立位置)から第2位置(傾斜位置)に変化したときに胴部11を第2位置(傾斜位置)に保持する相互接触面が設けられている。
【0029】
図6(G)は第2シャフト41を前から見た図である。第2シャフト41は形象物10の第2脚部16の上部内に固定配置されており、第2脚部16から突出した円柱部分41aが胴部11の円形孔11bに挿入されている。すなわち、第2シャフト41に対して胴部11は回動を許容されている。また、第2シャフト41の円柱部分41bには、胴部11を第1位置(直立位置)から第2位置(傾斜位置)に向かって付勢する第4バネ(ねじりバネ)42が設けられている。
【0030】
図1に示した動作玩具の腕部支持機構:図6(H)および図6(I)を参照)
形象物10の内部には、胴部11に対して第1腕部13および第2腕部14を回動可能に支持する腕部支持機構(符号省略)が設けられている。
【0031】
図6(H)は第1腕部13側の腕部支持機構を前から見た図である。第1腕部13の上部内には第3シャフト43が固定配置されており、第1腕部13から突出した円柱部分43aが胴部11の円形孔11cに挿入されている。すなわち、胴部11に対して第1腕部13は回動を許容されている。また、第3シャフト43の円柱部分43aの周面には、胴部11内に設けられた第5バネ(コイルバネ)44の一端(図中は略半球状部材の先端)が押し付けられている。すなわち、第1腕部13は、第5バネ44の付勢力に抗して回動することができる。
【0032】
図6(I)は第2腕部14側の腕部支持機構を前から見た図である。第2腕部14の上部内には第4シャフト45が固定配置されており、第2腕部14から突出した円柱部分45aが胴部11の円形孔11dに挿入されている。すなわち、胴部11に対して第2腕部14は回動を許容されている。また、第4シャフト45の円柱部分45aの周面には、胴部11内に設けられた第6バネ(コイルバネ)46の一端(図中は略半球状部材の先端)が押し付けられている。すなわち、第2腕部14は、第6バネ46の付勢力に抗して回動することができる。
【0033】
図6に示した動作機構による形象物の動作:図7図9を参照》
操作部31が初期位置から後側に約90度回動すると(図7を参照)、この回動による回転変位D1によって第1ギヤ32に回転変位D2が生じ、この回転変位D2によって第2ギヤ33に回転変位D3が生じるとともに第3ギヤ34に回転変位D4が生じる(図8(A)を参照)。第2ギヤ33の歯数は第1ギヤ32および第3ギヤ34の歯数よりも多いため、第3ギヤ34の回転変位D4は第2ギヤ33に回転変位D3よりも小さい。また、第3ギヤ34の回転変位D4によって第4ギヤ35およびカム36に回転変位D5が生じる(図8(A)を参照)。
【0034】
続いて、この回転変位D5によってカム36に設けられた3個の能動突起36aのうちの1つが第1リンク37の能動突起37aを押圧すると、第1リンク37に直線変位D6が生じる(図8(B)を参照)。続いて、この直線変位D6によって第2リンク38に回転変位D7が生じる(図8(C)を参照)。
【0035】
続いて、この回転変位D7によって第3リンク39に直線変位D8が生じ、第3リンク39の回転規制突起39dが第1シャフト40の回転規制溝40aから外れる(図8(D)を参照)。これにより第1シャフト40の回転変位D9が許容されるとともに胴部11の回動変位も許容される。換言すれば、第3リンク39とシャフト40は、形象物10の胴部11を第1位置(直立位置)に保持し、かつ、第1位置(直立位置)の保持を解除して第2位置(傾斜位置)への変化を許容する位置制御機構に相当する。
【0036】
胴部11の回動変位が許容されると、胴部11は第4バネ42(図6(G)を参照)の付勢力を初期動力して前側に傾斜する(図9を参照)。この傾斜角度は、先に述べた胴部11を第2位置(傾斜位置)に保持する相互接触面によって制限されるため、前側に傾斜する胴部11は、制限角度(約45度)に達したところで停止する(図9を参照)。
【0037】
このように、第1位置から前記第2位置に変化させる動作機構に含まれたカム36が、円形部材の外周に間隔が異なるように配置された複数の能動突起36aを有する回転部材であり、複数の能動突起36aの何れかと第1の部位を第1位置から前記第2位置に変化させる動作部材(第3リンク39、シャフト40、第4バネ42等を含む)が間接的に当接するため、第1位置から第2位置への変化が操作部31への特定回数の操作毎に生じることがない。動作玩具がこのような特徴をもつことにより、遊戯者は第1位置から第2位置への変化が生じるタイミングを容易に予想することができず、それゆえ、第1位置から第2位置への変化を意外性をもって楽しむことが可能となるため、より興趣性のある動作玩具を実現することが可能となる。ここで、能動突起36aと動作部材の当接を間接的である、としたが、もちろんこれに限定されるものではなく、能動突起36aと動作部材が直接的に当接させる仕様とすることも可能である。
【0038】
ここで前記動作機構について補足する。操作部31は初期位置から後側への約90度回動とその後の自動復帰を可能としているため、操作部31への操作が複数回繰り返されたときに形象物10の胴部11を第1位置(直立位置)から第2位置(傾斜位置)に変化するようにするには、図8(A)におけるカム36の時計回り方向の回転(回転変位D5とは逆方向の回転)を抑制する差動機構を設けることが望ましい。
【0039】
この差動機構には幾つかの方式を採用することができる。例えば、1つ目の方式は、第1ギヤ32と第2ギヤ33の噛み合わせを緩くし、かつ、第2ギヤ33の回転抵抗を高くして、第1ギヤ32が回転変位D2(図8(A)を参照)を生じた後に復帰するときに第1ギヤ32と第2ギヤ33との間に滑りが生じるようにする方式である。2つ目の方式は、第2ギヤ33と第3ギヤ34との間にワンウェイクラッチを介在させて、第2ギヤ33が回転変位D3(図8(A)を参照)を生じた後に復帰するときに第3ギヤ34が連動して復帰しないようにする方式である。3つ目の方式は、第4ギヤ35とカム36との間にワンウェイクラッチを介在させて、第4ギヤ35が回転変位D5(図8(A)を参照)を生じた後に復帰するときにカム36が連動して復帰しないようにする方式である。
【0040】
図6に示した腕部支持機構による腕部の動作:図10を参照》
先に述べたように第1腕部13は第5バネ44の付勢力下で胴部11に対する回動を許容され、第2腕部14は第6バネ46の付勢力下で胴部11に対する回動を許容されているため、形象物10の胴部11が第1位置(直立位置)にある状態では、手動によって第1腕部13を第5バネ44の付勢力に抗して任意に回動変位させることができるとともに、手動によって第2腕部14を第6バネ46の付勢力に抗して任意に回動変位させることができる(図10(A)を参照)。すなわち、第1腕部13の初期位置と第2腕部14の初期位置を好みに応じて変更することができる。
【0041】
また、第1腕部13側の第3シャフト43の円柱部分43aの周面に、第5バネ44の一端(図中は略半球状部材の先端)が嵌まり込む凹部(図示省略)を等角度間隔で形成し、かつ、第2腕部14側の第4シャフト45の円柱部分45aの周面に、第6バネ46の一端(図中は略半球状部材の先端)が嵌まり込む凹部(図示省略)を等角度間隔で形成しておけば、前記の回動変位を所望の角度単位で行うこともできる。
【0042】
さらに、第1腕部13側の第5バネ44の付勢力と第2腕部14側の第6バネ46の付勢力を調整することにより、前述の動作機構によって形象物10の胴部11が第1位置(直立位置)から第2位置(傾斜位置)に変化したときの慣性力によって、第1腕部13と第2腕部14を胴部11と同一方向に回動変位させることもできる(図10(B)を参照)。
【0043】
《変形例》
〈変形例1〉図面、特に図1には、形象物10として胴部11と頭部12と第1腕部13と第2腕部14と第1脚部15と第2脚部16とを有するものを示したが、第1の部位と第2の部位とを有するものであれば形象物に特段の制限は無い。図示した形象物10は第1脚部15および第2脚部16が第2の部位に相当し、胴部11が第1の部位に相当するものであるため、例えば頭部12と第1腕部13および第2腕部14は排除したようなものや、頭部12と第1腕部13および第2腕部14と一方の脚部を排除したようなものを、形象物として用いることも可能である。
【0044】
〈変形例2〉図面、特に図1には、操作部31として略矩形板状を成すものを示したが、外力による操作が可能なものであればその形状に特段の制限はない。例えば、図2および図3に示した使用例のように走行玩具MTによって操作部31を操作する場合には、操作部31を略矩形板状以外の略三角形状や略半円形状や略L字形の棒状としても同様の操作は可能である。
【0045】
〈変形例3〉図面、特に図6および図8には、操作部31の変位に基づいて形象物10の第1の部位(胴部11)を第1位置(直立位置)から第2位置(傾斜位置)に変化させる動作機構を示したが、同様の動作が可能であれば動作機構に特段の制限はない。また、第1位置が直立位置であれば傾斜状態となる第2位置への形象物10の変化が遊戯者に認識され易いものとなるため、前述の実施例においては、第1位置が直立位置であるものとして記載しているが、変化前の第1の位置から変化後の第2の位置へと変化が遊戯者に認識できる動作玩具であれば、第1位置が直立位置であることに限定されるものではなく、第1位置を傾斜位置とすることも可能である。さらに、胴部11を安定的に第1位置から第2位置へ変化させるために、第1脚部15および第2脚部16が支持部20に対して固定されていることが好ましいが、それに限定されるものではなく、胴部11の安定的な位置変化を実現できるのであれば、例えば、第1脚部15および第2脚部16が支持部20に対して回動可能に設けられる等、第1脚部15および第2脚部16を支持部20に対して可動にすることも可能である。
【符号の説明】
【0046】
10…形象物、11…胴部、12…頭部、13…第1腕部、14…第2腕部、15…第1脚部、16…第2脚部、20…支持部、21…底部、22…第1頂部、23…第2頂部、24…軌道部、31…操作部、32…第1ギヤ、32b…第1バネ、33…第2ギヤ、34…第3ギヤ、35…第4ギヤ、36…カム、37…第1リンク、37e…第2バネ、38…第2リンク、39…第3リンク、39e…第3バネ、40…第1シャフト、41…第2シャフト、42…第4バネ、43…第3シャフト、44…第5バネ、45…第4シャフト、46…第4バネ、MT…走行玩具、TM…軌道部材。
図1
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図9
図10