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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】液状材料塗布装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 11/10 20060101AFI20220111BHJP
   B05C 1/02 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
B05C11/10
B05C1/02 101
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018177544
(22)【出願日】2018-09-21
(65)【公開番号】P2020044526
(43)【公開日】2020-03-26
【審査請求日】2021-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大庭 博明
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-122448(JP,A)
【文献】特開2019-053599(JP,A)
【文献】特開平04-100573(JP,A)
【文献】特開2010-221607(JP,A)
【文献】特表2011-507675(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第102066008(CN,A)
【文献】特開昭62-139014(JP,A)
【文献】特開平05-241660(JP,A)
【文献】特開平08-166812(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 1/00-3/20
7/00-21/00
G05D 3/00-3/20
B05D 1/00-7/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに直交する第1方向および第2方向を有する座標平面を用いて、基板上に塗布される液状材料の目標位置を決定する液状材料塗布装置であって、
前記座標平面の法線方向から前記基板を平面視した画像を取得する撮像部と、
前記撮像部に一体的に設置され、前記法線方向から前記基板に前記液状材料を塗布する塗布機構と、
前記基板に対して前記撮像部を相対的に移動させる移動部と、
前記撮像部と前記塗布機構との間の前記第1方向の第1相対距離および前記第2方向の第2相対距離をそれぞれ表す第1パラメータおよび第2パラメータを用いて、前記目標位置に前記液状材料が塗布されるように前記移動部を制御する制御装置とを備え、
前記第1相対距離および前記第2相対距離の少なくとも一方は、前記液状材料塗布装置の温度に応じて変化し、
前記制御装置は、前記画像から算出された前記目標位置と前記液状材料の塗布位置との位置ずれを用いて、前記第1相対距離および前記第2相対距離のうち前記液状材料塗布装置の温度に応じて変化した相対距離を表すパラメータを補正する補正処理を行ない、
前記制御装置は、前記位置ずれの大きさが第1しきい値より大きい場合、第1周期以下の時間間隔で前記補正処理を行ない、前記位置ずれの大きさが前記第1しきい値と等しい場合、前記第1周期以上の時間間隔で前記補正処理を行い、前記位置ずれの大きさが前記第1しきい値より小さい場合、第2周期以上の時間間隔で前記補正処理を行ない、
前記第2周期は、前記第1周期より長い、液状材料塗布装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記位置ずれが前記第1しきい値より大きい場合、前記第1周期で前記補正処理を行ない、前記位置ずれが前記第1しきい値より小さい場合、前記第2周期で前記補正処理を行なう、請求項1に記載の液状材料塗布装置。
【請求項3】
前記塗布機構は、塗布針を含み、前記塗布針を前記法線方向に移動させる過程で前記塗布針の先端部に前記液状材料を付着させ、前記先端部を前記基板に接触させることにより前記液状材料を前記基板に塗布する、請求項1または2に記載の液状材料塗布装置。
【請求項4】
前記制御装置は、予め作成された、前記液状材料塗布装置の起動からの経過時間と前記経過時間における前記補正処理後の前記第1および第2パラメータとの対応関係を参照し、
前記制御装置は、n(自然数)回目の前記補正処理において前記第1および第2パラメータを、前記対応関係において前記液状材料塗布装置の起動からn回目の前記補正処理まで特定経過時間に対応する前記第1および第2パラメータに補正する、請求項1~3のいずれか1項に記載の液状材料塗布装置。
【請求項5】
前記液状材料塗布装置は、第1動作モードと第2動作モードとを含み、
前記制御装置は、
前記第1動作モードにおいて、前記補正処理を行いながら前記対応関係作成
前記第2動作モードにおいて、n回目の前記補正処理において前記第1および第2パラメータを、前記対応関係において前記特定経過時間に対応する前記第1および第2パラメータに補正する、請求項4に記載の液状材料塗布装置。
【請求項6】
前記対応関係は、前記経過時間における前記液状材料塗布装置の温度を含み、
前記制御装置は、前記対応関係において前記特定経過時間に対応する温度と、n回目の前記補正処理における温度との差の絶対値が第2しきい値より大きい場合、前記位置ずれを用いてn回目の前記補正処理を行なう、請求項4または5に記載の液状材料塗布装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状材料を基板に塗布する液状材料塗布装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液状材料を基板に塗布する液状材料塗布装置が知られている。たとえば、特開2008-122448号公報(特許文献1)には、目標位置に修正インクを塗布するパターン修正装置が開示されている。当該パターン修正装置においては、目標位置と塗布位置との位置ずれの補正作業が自動化されているため、補正作業の効率が向上する。特許文献1には、目標位置と塗布位置との位置ずれの原因として、パターン修正装置の温度変化に伴うパターン修正装置の金属部分の伸縮が挙げられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-122448号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液状材料塗布装置の温度変化の態様は一様ではなく、液状材料塗布装置の動作状態および動作環境によって変化し得る。たとえば、液状材料塗布装置の温度は、液状材料塗布装置の起動からしばらくの間は急激に上昇する。その後、液状材料塗布装置の温度はほぼ一定の範囲内を変化し、液状材料塗布装置の動作状態は定常状態となる。液状材料塗布装置の温度変化が大きいほど液状材料を塗布する目標位置と実際の塗布位置との位置ずれは大きいため、液状材料塗布装置の起動から定常状態までの間に生じる位置ずれは、定常状態において生じる位置ずれよりも大きくなるのが通常である。
【0005】
目標位置と塗布位置との位置ずれの補正処理が行なわれる場合、目標位置からの塗布位置の位置ずれが許容される品質の範囲内にない可能性があるため、製品基板への塗布作業は中断されることが多い。しかし、液状材料塗布装置の動作状態および動作環境によっては、目標位置からの塗布位置の位置ずれが許容される品質の範囲内にあり、補正処理の必要性が低い場合もあり得る。そのため、液状材料塗布装置の動作状態および動作環境によらず補正処理を繰り返し行なうと、不要な補正処理が行なわれることによって液状材料塗布装置の生産効率が低下し得る。
【0006】
特許文献1に開示されているパターン修正装置においては、液状材料塗布装置の動作状態および動作環境によって補正処理の頻度を変化させる必要があることは考慮されていない。
【0007】
本発明は上記のような課題を解決するためになされたものであり、その目的は、液状材料塗布装置の生産効率を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る液状材料塗布装置は、互いに直交する第1方向および第2方向を有する座標平面を用いて、基板上に塗布される液状材料の目標位置を決定する。液状材料塗布装置は、撮像部と、塗布機構と、移動部と、制御装置とを備える。撮像部は、座標平面の法線方向から基板を平面視した画像を取得する。塗布機構は、撮像部に一体的に設置され、法線方向から基板に液状材料を塗布する。移動部は、基板に対して撮像部を相対的に移動させる。制御装置は、撮像部と塗布機構との間の第1方向の第1相対距離および第2方向の第2相対距離をそれぞれ表す第1パラメータおよび第2パラメータを用いて、目標位置に液状材料が塗布されるように移動部を制御する。第1相対距離および第2相対距離の少なくとも一方は、液状材料塗布装置の温度に応じて変化する。制御装置は、画像から算出された目標位置と液状材料の塗布位置との位置ずれを用いて第1パラメータおよび第2パラメータを補正する補正処理を行なう。制御装置は、位置ずれの大きさが第1しきい値より大きい場合、第1時間間隔以下の時間間隔で補正処理を行ない、位置ずれの大きさが第1しきい値より小さい場合、第2時間間隔以上の時間間隔で補正処理を行なう。第2時間間隔は、第1時間間隔より長い。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る液状材料塗布装置によれば、位置ずれの大きさが第1しきい値より大きい場合、第1時間間隔以下の時間間隔で補正処理を行ない、位置ずれの大きさが第1しきい値より小さい場合、第1時間間隔より長い第2時間間隔以上の時間間隔で補正処理を行なうことにより、生産効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1に係る液状材料塗布装置の模式的な斜視図である。
図2図1の塗布機構をY軸方向およびX軸方向の各々から平面視した図である。
図3図2の塗布機構の動作にともなう塗布針の位置を説明するための模式的な断面図である。
図4】塗布機構における塗布針の先端の移動の様子を塗布工程に沿って説明する図である。
図5図1の液状材料塗布装置の機能構成を示す機能ブロック図である。
図6】観察光学系の光軸が目標位置に位置決めされた場合の図1のモニタに表示されている画像を示す図である。
図7】観察光学系の光軸が目標位置から相対距離だけずらされた位置に位置決めされた場合の図1のモニタに表示されている画像を示す図である。
図8図7の位置関係で塗布液を塗布した後、観察光学系の光軸が再び目標位置に位置決めされた場合の図1のモニタに表示されている画像を示す図である。
図9図5の制御装置によって行なわれる相対距離パラメータの補正処理の流れを説明するためのフローチャートである。
図10】位置ずれの補正処理および当該補正処理の後に行なわれる補正処理の周期の設定処理の流れを説明するためのフローチャートである。
図11】実施の形態2に係る液状材料塗布装置の第1動作モードにおいて制御装置によって行なわれる補正処理および補正処理の周期の設定処理の流れを説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は原則として繰り返さない。
【0012】
[実施の形態1]
図1は、実施の形態1に係る液状材料塗布装置200の模式的な斜視図である。図1を参照して、互いに直交するX軸方向(第1方向)およびY軸方向(第2方向)を有するXY座標平面を用いて、基板上に塗布される液状材料の目標位置を決定する。Z軸方向は、XY座標平面の法線方向である。点P0は、XYZ空間座標の原点である。
【0013】
液状材料塗布装置200は、床面に配置された基台12と、塗布機構4と、撮像部60と、移動部40と、制御部11とを備える。移動部40は、X軸テーブル1と、Y軸テーブル2と、Z軸テーブル3とを含む。撮像部60は、観察光学系6と、観察光学系6に接続されたカメラ7とを含む。
【0014】
基台12の上面には、図1中のY軸方向に移動可能に構成されたY軸テーブル2が設置されている。具体的には、Y軸テーブル2の下面にガイド部が設置されており、基台12の上面に設置されたガイドレールに沿って摺動可能に接続されている。Y軸テーブル2の下面には、ボールねじが接続されている。ボールねじをモータなどの駆動部材により動作させることにより、Y軸テーブル2はガイドレールに沿って(Y軸方向に)移動可能になっている。また、Y軸テーブル2の上面部は、被塗布物である製品基板51および補正値計測用基板52が搭載される基板搭載面である。原点P0は、Y軸テーブル2の上面部の頂点である。なお、Y軸テーブル2の上面部の頂点以外の位置を、原点P0としてもよい。
【0015】
基台12上には、X軸方向にY軸テーブル2のガイドレールを跨ぐように設置された門型の構造体が設けられている。この構造体上には、X軸方向に移動可能なX軸テーブル1が搭載されている。たとえばボールねじを用いてX軸方向に移動可能としている。
【0016】
X軸テーブル1の移動体には、Z軸テーブル3が搭載されている。Z軸テーブル3に塗布機構4および観察光学系6が搭載されている。Z軸テーブル3は、塗布機構4および観察光学系6をZ軸方向に移動可能に支持している。塗布機構4は、観察光学系6に一体的に設置されている。塗布機構4および観察光学系6は、Z軸テーブル3とともにX方向へ移動可能とされている。
【0017】
塗布機構4は、Z軸方向から、Y軸テーブル2に搭載された基板の被塗布面(上面側)に液状材料である塗布液を塗布する。観察光学系6は、Z軸に平行な光軸方向からY軸テーブル2の基板搭載面を平面視した画像をカメラ7に導く。カメラ7は、観察光学系6からの画像を電気信号に変換して制御部11へ出力する。
【0018】
制御部11は、操作パネル8、モニタ9、制御装置10を備える。制御装置10は、CPU(Central Processing Unit)およびメモリを含むコンピュータである。制御部11は、X軸テーブル1、Y軸テーブル2、Z軸テーブル3、塗布機構4および観察光学系6を制御する。操作パネル8は、制御装置10への指令を入力するために用いられる。モニタ9は、観察光学系6のカメラ7で変換された画像データ、および制御装置10からの出力データを表示する。
【0019】
なお、液状材料塗布装置200の構成は図1に示される構成に限定されない。塗布機構4および観察光学系6などを、製品基板51に対して相対的に移動させて所望の位置に位置決め可能な構成であればどのような構成でもよい。当該構成としては、たとえば観察光学系6などを搭載したZ軸テーブル3をX軸テーブル1に搭載し、さらにX軸テーブル1をY軸テーブル2に搭載し、Z軸テーブル3をXY方向に移動可能とするガントリー方式と呼ばれる構成を挙げることができる。
【0020】
図2は、図1の塗布機構4をY軸方向およびX軸方向の各々から平面視した図である。図2(A)は、図1の塗布機構4をY軸方向から平面視した正面図である。図2(B)は、図1の塗布機構4をX軸方向から平面視した側面図である。
【0021】
図2を参照して、塗布機構4には、針移動機構19と、塗布ユニット20とが設けられている。針移動機構19は、先端23をテーパ状に先細りさせた1本の塗布針24を保持する。針移動機構19は、塗布針24を保持する塗布針ホルダ14と、サーボモータ15と、バネ16と、カム17と、カムフォロア18と、カム連結板25と、可動部26と、架台27と、リニアガイド28とを含む。
【0022】
サーボモータ15は、Z軸方向に沿う方向に回転軸が設けられている。サーボモータ15の回転軸15bにはカム17が接続されている。カム17の上部表面には、カムフォロア18をガイドするスロープ状のカム面17aが形成されている。サーボモータ15の駆動により回転軸が回転すると、カム17は、カム面17aを上方に向けた状態で回転する。
【0023】
カム17とカムフォロア18との間には、バネ16の張力が作用して、可動部26およびカム連結板25を介してカムフォロア18をカム面17aに押圧している。サーボモータ15の回転によりカム17が回転する際、バネ16の張力により、カムフォロア18は、カム面17aに押圧されて接触した状態が保たれる。
【0024】
カムフォロア18には、カム連結板25が接続されていて、かつカム連結板25の反対側の端部は可動部26に固定されている。可動部26には、下端部に塗布針ホルダ14が装着されていて、塗布針ホルダ14の下側面から1本の塗布針24が下方に先端23を向けて保持されている。サーボモータ15の駆動により、カム17が回転すると、カムフォロア18の上,下方向の移動に伴って、塗布針24は上,下方向に往復移動する。
【0025】
塗布ユニット20には、塗布液容器21が含まれる。塗布機構4では、塗布液容器21が支持部29によって架台27に固定されている。塗布液容器21には、パターンの描画を行なう際に用いる塗布液が保持されている。塗布液容器21の底面部には、貫通孔22が1つ形成されている。塗布液容器21の底部に形成された貫通孔22は、塗布針24を貫通させて下方へ向けて先端23を突出させることができる大きさで、かつ、塗布液容器21に保持された塗布液が垂れ落ちない大きさに設定されている。
【0026】
針移動機構19は、塗布針24をZ軸方向に移動させる過程で、貫通孔22を通過させることにより塗布針24の先端23に塗布液を付着させる。針移動機構19は、先端23の表面に塗布液を付着させた状態で塗布針24を貫通孔22からY軸テーブル2に搭載された基板に向けて突出させる。針移動機構19は、塗布針24を当該基板に接触させることにより塗布液を当該基板に塗布する。
【0027】
制御部11からの制御信号により、サーボモータ15は、回転軸15bを回転させてカム17を回転させる。カム17のカム面17aはZ軸方向の高さ位置が変化するため、カム面17aと接するカムフォロア18の高さ位置も変化する。カム面17aのうち、比較的上方の上側領域17bにカムフォロア18が近接する状態で塗布針24は上昇し、比較的下方の下側領域17cにカムフォロア18が近接する状態で塗布針24は下降する。これにより、サーボモータ15を駆動させると、カム17を介して塗布針24の先端23をZ軸方向に往復移動させることができる。
【0028】
図3は、図2の塗布機構4の動作にともなう塗布針24の位置を説明するための模式的な断面図である。図3(A)を参照しながら、カムフォロア18がカム17のカム面17aにおける上側領域17bに接している状態では、塗布針24は、移動可能な範囲の上端位置(サーボモータ15に最も近い位置)に移動している。このとき、塗布針24の先端23は、塗布液容器21内に保持されている塗布液100内に浸されている。
【0029】
サーボモータ15の回転軸15bの回転により、さらにカム17が回転してカムフォロア18がカム面17aにおける下側領域17cに到達すると、塗布針24は、図3(B)のように下端位置に移動する。これにより先端23は、塗布液容器21の底部に形成された貫通孔22を貫通して塗布液容器21の底面から下向きに突出される。
【0030】
図4は、塗布機構4における塗布針24の先端23の移動の様子を塗布工程に沿って説明する図である。図4(A)を参照して、塗布液100内に浸漬された状態の塗布針24の先端23は、サーボモータ15の駆動により、図4(B)に示すように塗布液容器21の底面から下向きに突出された状態となる。先端23の表面には、塗布液100の一部が付着されており、Y軸テーブル2に搭載された基板の表面にこの塗布液100が塗布される。このとき、塗布針24の先端23に1回に付着できる塗布液100の量は限られているため、針移動機構19を用いて上下方向の往復動を繰り返すことにより、先端23に塗布液100を補給しつつ、それによって所望の微細な回路のパターンが当該基板に描画される。
【0031】
図4(C)を参照して、塗布針24を上昇させると、先端23が塗布液容器21内に戻る。このとき、粘性の影響により、貫通孔22部分に一時的に空隙110が生じる。その後、時間とともに図4(D)に示すように先端23に塗布液100が補給され、図4(E)に示すように底面から下向きに突出される際に、先端23の表面に付着している塗布液100をY軸テーブル2に搭載された基板に塗布することができる。
【0032】
図5は、図1の液状材料塗布装置200の機能構成を示す機能ブロック図である。図5に示されるように、制御装置10は、テーブル制御部101と、画像入力部102と、補正値保存部103と、画像処理部104と、塗布機構制御部105とを含む。テーブル制御部101は、X軸テーブル1、Y軸テーブル2、およびZ軸テーブル3を制御して観察光学系6および塗布機構4を移動させる。塗布機構制御部105は、塗布機構4を制御して塗布動作を行う。画像入力部102は、観察光学系6のカメラ7で撮影した画像を取り込む。画像処理部104は、画像入力部102が取り込んだ画像をモニタ9に出力するとともに、当該画像を処理して実際の塗布位置を検出し、目標位置との位置ずれを算出する。補正値保存部103には、観察光学系6の光軸と塗布針24との間の相対距離を表す相対距離パラメータおよび位置ずれが保存される。
【0033】
テーブル制御部101、画像入力部102、補正値保存部103、画像処理部104、および塗布機構制御部105の各機能は、1つのコンピュータに備えられている必要はなく、たとえば、ネットワークで接続された複数のコンピュータによって分担されてもよい。
【0034】
図6は、観察光学系6の光軸が目標位置(X0,Y0)に位置決めされた場合の図1のモニタ9に表示されている画像を示す図である。図6を参照して、モニタ9には、観察光学系6の光軸とXY座標平面との交点P10を示す十字形の光軸マークM1が表示される。点P1は、塗布針24をZ軸方向から平面視した場合のXY座標平面上の位置を示す。第1相対距離パラメータΔXは、観察光学系6の光軸と塗布針24との間のX軸方向の相対距離を表す。第2相対距離パラメータΔYは、観察光学系6の光軸と塗布針24との間のY軸方向の相対距離を表す。図6に示される位置関係においては、ΔX>0であり、ΔY<0である。点P1の位置は、(X+ΔX,Y+ΔY)である。
【0035】
塗布液が塗布される目標位置が(X0,Y0)である場合、点P1を(X0,Y0)に位置決めする必要がある。図6の位置関係においてX軸テーブル1を-ΔXだけ移動させるとともに、Y軸テーブル2を-ΔYだけ移動させて、観察光学系6を(X0-ΔX,Y0-ΔY)に位置決めすることにより、計算上は、点P1を(X0,Y0)に位置決めすることができるはずである。
【0036】
図7は、観察光学系6の光軸が(X0-ΔX,Y0-ΔY)に位置決めされた場合の図1のモニタ9に表示されている画像を示す図である。図7に示される位置関係で塗布液100が塗布された場合、塗布液100は、(X0,Y0)に塗布されるはずである。そのため、図7の位置関係で塗布液100が塗布された後、X軸テーブル1をΔXだけ移動させるとともに、Y軸テーブル2をΔYだけ移動させて、観察光学系6を(X0,Y0)に再び位置決めした場合、点P10は塗布液100のほぼ中心である点P1に重なるはずである。
【0037】
図8は、図7の位置関係で塗布液100を塗布した後、観察光学系6の光軸が再び(X0,Y0)に位置決めされた場合の図1のモニタ9に表示されている画像を示す図である。図8に示されるように、点P1は、点P10からX軸方向にdXだけずれているとともに、Y軸方向にdYだけずれている。図8に示される位置関係においては、dX>0であり、dY<0である。図8における点P1とP10とのずれは、観察光学系6の光軸と塗布針24との間のX軸方向の実際の相対距離およびY軸方向の実際の相対距離がそれぞれΔX+dX,ΔY+dYであることを意味している。
【0038】
観察光学系6の光軸と塗布針24との間の相対距離が変化する原因として、液状材料塗布装置200の周囲の温度変化あるいは液状材料塗布装置200内の温度変化に伴って、移動部40、撮像部60、あるいは塗布機構4等の金属部分が伸縮することを挙げることができる。観察光学系6の光軸と塗布針24との間の相対距離の変化に応じて、相対距離パラメータ(ΔX,ΔY)は、補正される必要がある。
【0039】
なお、塗布機構4においては、塗布針24をXY座標平面の法線方向(Z軸方向)に移動させる過程で塗布針24の先端23に塗布液100を付着させ、先端23を基板に接触させることにより塗布液100を基板に塗布する。基板に接触するまで先端23がZ軸方向に移動されるため、撮像部60と塗布機構4とのZ軸方向の相対距離ΔZは補正される必要がない。
【0040】
図9は、図5の制御装置10によって行なわれる相対距離パラメータ(ΔX,ΔY)の補正処理の流れを説明するためのフローチャートである。図9に示される処理は、液状材料塗布装置200を統合的に制御する不図示のメインルーチンによって呼び出される。後に説明する図10図11に示される処理も同様である。以下では、ステップを単にSと記載する。
【0041】
図9および図8を参照しながら、制御装置10は、S101において、補正値計測用基板52上の目標位置(X0,Y0)に塗布液を塗布し、処理をS102に進める。制御装置10は、S102において、観察光学系6の光軸を目標位置(X0,Y0)に移動させて、処理をS103に進める。制御装置10は、S103において、2値化処理、あるいはパターンマッチング等の画像処理により光軸マークM1の中心点P10および塗布液100の中心点P1を検出して処理をS104に進める。制御装置10は、S104において、点P10とP1との相対距離(dX,dY)を位置ずれとして算出し、処理を105に進める。制御装置10は、S105において、相対距離パラメータ(ΔX,ΔY)を(ΔX+dX,ΔY+dY)にそれぞれ補正した後、処理をメインルーチンに返す。
【0042】
なお、2回目以降の補正処理においては、補正値計測用基板52の未塗布領域に塗布を行う必要があるため、今回(n回目)の目標位置は、前回((n-1)回目)の目標位置(X0,Y0)をX軸方向およびY軸方向の少なくとも一方にピッチPc1だけ移動させた位置とされる。すなわち、今回の目標位置は、(X0+(n-1)×Pc1,Y0)、(X0,Y0+(n-1)×Pc1)、あるいは(X0+(n-1)×Pc1,Y0+(n-1)×Pc1)のいずれかとされる。
【0043】
液状材料塗布装置200の温度変化の態様は一様ではなく、液状材料塗布装置の動作状態および動作環境によって変化し得る。たとえば、液状材料塗布装置200の温度は、液状材料塗布装置200の起動からしばらくの間は急激に上昇する。その後、液状材料塗布装置200の温度はほぼ一定の範囲内を変化し、液状材料塗布装置200の動作状態は定常状態となる。液状材料塗布装置200の温度変化が大きいほど液状材料を塗布する目標位置と実際の塗布位置との位置ずれは大きいため、液状材料塗布装置の起動から定常状態までの間に生じる位置ずれは、定常状態において生じる位置ずれよりも大きくなるのが通常である。
【0044】
目標位置と塗布位置との位置ずれの補正処理が行なわれる場合、目標位置からの塗布位置の位置ずれが許容される品質の範囲内にない可能性があるため、製品基板51への塗布作業は中断されることが多い。しかし、液状材料塗布装置200の動作状態および動作環境によっては、目標位置からの塗布位置の位置ずれが許容される品質の範囲内にあり、補正処理の必要性が低い場合もあり得る。そのため、液状材料塗布装置200の動作状態および動作環境によらず補正処理を繰り返し行なうと、不要な補正処理が行なわれることによって液状材料塗布装置200の生産効率が低下し得る。
【0045】
そこで、液状材料塗布装置200においては、目標位置と塗布位置との位置ずれの大きさに応じて、補正処理の周期を変化させる。当該位置ずれの大きさがしきい値以下の場合の補正処理の周期を、当該位置ずれの大きさがしきい値より大きい場合の補正処理の周期よりも長くすることにより、不要な補正処理が行なわれる場合が減少する。液状材料塗布装置200によれば、製品基板51への塗布作業の中断される場合が減少するため、液状材料塗布装置200の生産効率を向上させることができる。
【0046】
図10は、位置ずれの補正処理S10および当該補正処理の後に行なわれる補正処理の周期の設定処理(S11~S14)の流れを説明するためのフローチャートである。図10に示されるS10の具体的な内容は、図9に示される処理と同様であるため、説明を繰り返さない。
【0047】
図10に示されるように、制御装置10は、S10において位置ずれの補正処理を行なった後、処理をS11に進める。制御装置10は、S11において位置ずれ(dX,dY)の大きさΔを算出し、処理をS12に進める。大きさΔは、X軸方向の位置ずれdXの絶対値、およびY軸方向の位置ずれdYの絶対値のいずれか大きい方である。大きさΔは、他の値であってもよく、たとえば位置ずれ(dX,dY)を2次元ベクトルと考えた場合の、当該ベクトルの大きさとしてもよい。
【0048】
制御装置10は、S12において、位置ずれの大きさΔがしきい値Δdよりも大きいか否かを判定する。しきい値Δdは、位置ずれの大きさΔがしきい値Δd以下である場合に、液状材料塗布装置200の温度変化の態様が安定し、観察光学系6の光軸と塗布機構4の塗布針24との位置ずれが一定の範囲内に収束したと判定可能な値である。しきい値Δdは、実機実験あるいはシミュレーションによって適宜算出することができる。
【0049】
位置ずれの大きさΔがしきい値Δdより大きい場合(S12においてYES)、制御装置10は、S13において補正処理の周期をW1に設定し、処理をメインルーチンに返す。位置ずれの大きさΔがしきい値Δd以下である場合(S12においてNO)、制御装置10は、S14において補正処理の周期をW1よりも長いW2に設定し、処理をメインルーチンに返す。
【0050】
なお、補正処理の周期がW2である場合に、位置ずれの大きさΔがしきい値Δdより大きくなったとき、液状材料塗布装置200の温度変化が安定しているにも関わらず、温度以外の原因により位置ずれの大きさΔが大きく変化している可能性がある。そのため、このような場合、塗布作業を中断して、ブザー等によりユーザに液状材料塗布装置200の確認および位置ずれの補正作業を促してもよい。
【0051】
また、位置ずれの補正処理は、必ずしも周期的に行なわれている必要はない。位置ずれの大きさΔがしきい値Δdより大きい場合の補正処理の頻度が、位置ずれの大きさΔがしきい値Δd以下の場合の補正処理の頻度よりも大きくなるように補正処理が行なわれれば、位置ずれの補正処理は非周期的に行なわれてもよい。たとえば、ユーザによって決められた非周期的なスケジュールによって位置ずれの補正処理が行なわれてもよい。
【0052】
液状材料塗布装置200においては、Y軸テーブル2の搭載面に製品基板51および補正値計測用基板52の共に配置されている場合について説明した。製品基板51および補正値計測用基板52は、ともに配置されている必要はない。たとえば、位置ずれの大きさΔがしきい値Δdより大きい場合、Y軸テーブル2の搭載面に補正値計測用基板52を配置して補正処理を周期W1で行ない、位置ずれの大きさΔがしきい値Δd以下となった場合に補正値計測用基板52を製品基板51に交換するようにしてもよい。補正値計測用基板52を製品基板51に交換することは、ブザー等によりユーザに交換を促してもよいし、液状材料塗布装置200によって自動的に行なわれてもよい。位置ずれの大きさΔがしきい値Δdより大きい間は、製品基板51への塗布が行なわれないように、ユーザによる操作を制限してもよい。
【0053】
このような構成とすることにより、製品基板51への塗布作業中は、補正値計測用基板52をY軸テーブル2に配置する必要がないため、製品基板51の面積を広くすることができる。また、位置ずれの大きさΔがほぼ収束した状態で製品基板51への塗布作業が行なえるため、製品基板51への塗布作業の精度を向上させることができる。
【0054】
塗布機構は、塗布針を含む構成に限定されない。液状材料を塗布可能な構成であれば、どのような構成でもよい。塗布機構は、たとえば、ディスペンサ方式あるいはインクジェット方式であってもよい。また、塗布機構は、複数の塗布針を含んでいてもよい。
【0055】
以上、実施の形態1に係る液状材料塗布装置によれば、生産効率を向上させることができる。
【0056】
[実施の形態2]
実施の形態1においては、塗布位置の位置ずれの補正処理において、基板に実際に塗布された液状材料の画像を用いて塗布位置の位置ずれを算出し、相対距離パラメータを補正する場合について説明した。しかし、液状材料塗布装置の起動からの経過時間と位置ずれとの対応関係に再現性がある場合には、経過時間と補正された相対距離パラメータの対応関係を参照することにより、液状材料の塗布を行なわずに位置ずれの補正処理を行なうことができる。再現性がある場合としては、たとえば、今回の動作時における液状材料塗布装置の周囲の温度が初回の動作時の液状材料塗布装置の周囲の温度とほぼ同じである場合を挙げることができる。
【0057】
そこで、実施の形態2においては、予め作成された、経過時間と相対距離パラメータとの対応関係を参照することにより、相対距離パラメータを補正する場合について説明する。
【0058】
実施の形態2に係る液状材料塗布装置によれば、経過時間と相対距離パラメータとの対応関係を参照する場合には位置ずれの補正処理において基板へ液状材料を塗布する必要がない。そのため、当該補正処理に要する液状材料の量を削減することができる。
【0059】
経過時間と位置ずれとの対応関係を予め作成する方法としては、基板への液状材料の塗布を伴う補正処理において経過時間および相対距離パラメータを関連付けて保存する方法を挙げることができる。
【0060】
実施の形態2に係る液状材料塗布装置においては、第1動作モードにおいて、基板への液状材料の塗布を伴う補正処理を行ないながら液状材料塗布装置の起動からの経過時間と相対距離パラメータとを関連付けて保存する。第2動作モードにおいては、第1動作モードにおいて作成された経過時間と相対距離パラメータとの対応関係を参照しながら、位置ずれの補正処理を行なう。第1動作モードが選択される場合としては、たとえば、初回の動作時、あるいは当該対応関係が作成された時の液状材料塗布装置の動作環境(たとえば液状材料塗布装置の周囲の温度)が今回の液状材料塗布装置の動作環境と異なる場合である。
【0061】
図11は、実施の形態2に係る液状材料塗布装置の第1動作モードにおいて制御装置によって行なわれる補正処理および補正処理の周期の設定処理の流れを説明するためのフローチャートである。図11に示される処理においては、図10に示される処理にS21が追加されているとともに、第1動作モードにおいて行なわれた補正処理の回数nが示されている。これら以外は同様であるため、説明を繰り返さない。
【0062】
図11に示されるように、制御装置は、S10において、位置ずれの補正処理を行なって処理S21に進める。制御装置は、S21において補正後の相対距離パラメータ(ΔX,ΔY)および位置ずれ(dX,dY)を、液状材料塗布装置の起動からの経過時間Eと関連付けて補正値保存部103に保存する。制御装置は、S11~S14において補正処理の周期をW1またはW2に設定し、処理をメインルーチンに返す。
【0063】
相対距離パラメータ(ΔX,ΔY)は、以下のそれぞれ式(1),(2)のように表される。なお、相対距離パラメータ(ΔX,ΔY)の初期値をそれぞれ(ΔX,ΔY)とする。初期値(ΔX,ΔY)としては、たとえば液状材料塗布装置の設計寸法から導かれる値、あるいは液状材料塗布装置の停止時の実測値を用いることができる。
【0064】
ΔX=ΔXn-1+dX …(1)
ΔY=ΔYn-1+dY …(2)
N1回目の補正処理以降の周期がW2に変更されたとする。回数nがN1以下である場合の経過時間Eは、以下の式(3)となる。回数nがN1より大きい場合の経過時間Eは、以下の式(4)となる。
【0065】
=W1・n …(3)
=W1・N1+W2・(n-N1) …(4)
第1動作モードより後の動作おいて液状材料塗布装置の周囲の温度が、第1動作モードにおける液状材料塗布装置の周囲の温度とほぼ同じである場合には、液状材料塗布装置を起動してから経過時間Eにおける位置ずれは、第1動作モードにおいて保存された(dX,dY)とほぼ同じになると想定される。そのため、第1動作モードより後の動作におけるn回目の補正処理によって、観察光学系6の光軸と塗布針との相対距離を表すパラメータは(ΔX,ΔY)に補正されると想定される。
【0066】
そこで、第1動作モードの動作時に生じた塗布位置の位置ずれが再現されると想定される場合には、第1動作モードにおいて作成された対応関係を参照する第2動作モードが選択される。第2動作モードにおいては、塗布位置の位置ずれの補正処理において塗布液の塗布を行なわず、第1動作モードにおいて作成された経過時間Eとパラメータ(ΔX,ΔY)との対応関係を参照する。第2動作モードにおけるn回目の補正処理において、相対距離パラメータを第1動作モードにおけるn回目の補正処理において保存された相対距離パラメータ(ΔX,ΔY)に補正する。第2動作モードにおける補正処理においては塗布液を塗布する必要がないため、補正処理における塗布液の消費量を削減することができる。
【0067】
液状材料塗布装置の起動からの経過時間と相対距離パラメータとの対応関係を予め作成する方法は、基板への液状材料の塗布を伴う補正処理を実際に行ないながら当該対応関係を作成する方法に限定されない。たとえば、シミュレーションによって当該対応関係が作成されてもよいし、ユーザが当該対応関係を作成してもよい。
【0068】
なお、液状材料塗布装置の動作中に、経過時間と塗布位置の相対距離パラメータとの対応関係の再現性が失われることもあり得る。そのため、予め作成された当該対応関係を参照する場合でも、当該対応関係の再現性が維持されているか否かを確認することが望ましい。
【0069】
再現性が維持されているか否かを確認する方法としては、たとえば、第2動作モードにおいても、周期W3(>W2)で補正値計測用基板52への塗布によって塗布位置の実際の位置ずれを算出する方法を挙げることができる。実際の位置ずれの大きさと参照している位置ずれの大きさとを比較して、両者の差の絶対値がしきい値を超えている場合には、補正値計測用基板52に実際に塗布された液状材料の画像を用いて塗布位置の位置ずれを補正することが望ましい。
【0070】
また、第1動作モードの液状材料塗布装置の温度と第2動作モードの液状材料塗布装置の温度とを比較することにより、経過時間と塗布位置の相対距離パラメータとの対応関係の再現性が維持されているか否かを確認してもよい。このような場合、図11に示されるS21において、第1動作モードのn回目の補正処理における液状材料塗布装置の温度T1も経過時間Eに関連付けて保存される。液状材料塗布装置の温度は、たとえば、X軸テーブル1、Y軸テーブル2、Z軸テーブル3、および塗布機構4に取り付けられた熱電対等の温度センサによって測定される。
【0071】
第2動作モードにおいて、第2動作モードにおけるn回目の補正処理において測定された温度T2と、温度T1とを比較し、両者の差の絶対値がしきい値を超えている場合には、補正値計測用基板52に実際に塗布された液状材料の画像を用いて塗布位置の位置ずれを補正することが望ましい。
【0072】
以上、実施の形態2に係る液状材料塗布装置によれば、生産効率を向上させることができる。また、位置ずれの補正処理における液体材料の消費量を削減することができる。
【0073】
今回開示された各実施の形態は、矛盾しない範囲で適宜組み合わされて実施されることも予定されている。今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0074】
1 X軸テーブル、2 Y軸テーブル、3 Z軸テーブル、4 塗布機構、6 観察光学系、7 カメラ、8 操作パネル、9 モニタ、10 制御装置、11 制御部、12 基台、14 塗布針ホルダ、15 サーボモータ、16 バネ、17 カム、18 カムフォロア、19 針移動機構、20 塗布ユニット、21 塗布液容器、23 先端、24 塗布針、25 カム連結板、26 可動部、27 架台、28 リニアガイド、29 支持部、40 移動部、51 製品基板、52 補正値計測用基板、60 撮像部、100 塗布液、101 テーブル制御部、102 画像入力部、103 補正値保存部、104 画像処理部、105 塗布機構制御部、200 液状材料塗布装置。
図1
図2
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図4
図5
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図10
図11