(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】太陽光発電システム
(51)【国際特許分類】
H02J 1/00 20060101AFI20220111BHJP
H02M 3/00 20060101ALI20220111BHJP
H02S 10/00 20140101ALI20220111BHJP
【FI】
H02J1/00 306B
H02J1/00 306K
H02M3/00 P
H02S10/00
(21)【出願番号】P 2018181133
(22)【出願日】2018-09-27
【審査請求日】2021-03-25
(31)【優先権主張番号】P 2018083970
(32)【優先日】2018-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095267
【氏名又は名称】小島 高城郎
(74)【代理人】
【識別番号】100124176
【氏名又は名称】河合 典子
(74)【代理人】
【識別番号】100146950
【氏名又は名称】南 俊宏
(72)【発明者】
【氏名】羽田 正二
【審査官】下林 義明
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-060345(JP,A)
【文献】特開2014-067259(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 3/00 - 3/44
H02J 1/00 - 1/16
H02S 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電圧が、基準電位である第1の電源ラインと
電圧が、前記基準電位に対して高電位の直流電圧である第2の電源ラインと、
前記第2の電源ラインに電圧を出力する複数の太陽電池ストリングと、
前記第2の電源ラインの電圧が所定の電圧以下であるときに前記第2の電源ラインにおける電圧の低下に応じて増加し、当該電圧の上昇に応じて減少するデューティ比を有するパルス波である最初のPWM信号を出力し、順次前段のPWM信号が所定のデューティ比以上であるときに前記第2の電源ラインにおける電圧の低下に応じて増加し、当該電圧の上昇に応じて減少するデューティ比を有するパルス波である各PWM信号を出力する制御部と、
前記各太陽電池ストリングの出力と前記第2の電源ラインとの間にそれぞれ設置されており、前記制御部によって生成された各PWM信号によって個々に開閉が制御される複数のスイッチと、
を備えることを特徴とする太陽光発電システム。
【請求項2】
前記制御部が、
前記第2の電源ラインの電圧が低下すると上昇し、前記第2の電源ラインの電圧が上昇すると低下するモニタ電圧を生成するモニタ電圧生成部と、
前記モニタ電圧生成部によって生成されるモニタ電圧が所定の電圧以上であるときに前記モニタ電圧の上昇に応じて最初の制御電圧を上昇させ、前記モニタ電圧の低下に応じて当該最初の制御電圧を低下させ、順次前段の制御電圧が所定の電圧以上であるときに前記モニタ電圧の上昇に応じて各制御電圧を上昇させ、前記モニタ電圧の低下に応じて当該各制御電圧を低下させる制御電圧生成部と、
前記制御電圧生成部から出力される各制御電圧に応じたデューティ比を有する前記各PWM信号を生成するPWM信号生成部と、
を含む、
ことを特徴とする請求項1に記載の太陽光発電システム。
【請求項3】
1つ以上の前記太陽電池ストリングが出力する電圧を、前記第2の電源ラインの電圧より高く、かつ前記第2の電源ラインの電圧との差が一定である電圧に変換する絶縁型のDC/DCコンバータを含み、当該変換された電圧を出力する定電圧電源を備え、
前記制御部が、前記定電圧電源が出力する電圧と前記第2の電源ラインの電圧との差である電圧によって動作する、
ことを特徴とする請求項2に記載の太陽光発電システム。
【請求項4】
前記制御部が、前記定電圧電源が電圧を出力し始めてから所定の時間が経過するまで前記モニタ電圧
生成部によって出力されるモニタ電圧を低下させるスロースタート部を含むことを特徴とする請求項3に記載の太陽光発電システム。
【請求項5】
前記制御電圧生成部が、
エミッタフォロワであるNPNバイポーラトランジスタを含み、当該NPNバイポーラトランジスタのベースに前記モニタ電圧生成部によって生成されたモニタ電圧が入力され、エミッタにモニタ電圧が生じるモニタ電圧強化回路と、
ベースに調整電圧が入力され、コレクタに前記各制御電圧が生じるPNPバイポーラトランジスタを含む複数段の制御電圧生成回路であって、1段目の当該制御電圧生成回路に含まれるPNPバイポーラトランジスタのエミッタには前記モニタ電圧強化回路に含まれるNPNバイポーラトランジスタのエミッタに生じるモニタ電圧が入力され、2段目以降の当該制御電圧生成回路に含まれるPNPバイポーラトランジスタのエミッタには前段の制御電圧生成回路に含まれるPNPバイポーラトランジスタのコレクタに生じる制御電圧が入力される制御電圧生成回路と、
前記モニタ電圧強化回路に含まれるNPNバイポーラトランジスタのエミッタに生じるモニタ電圧の変動に応じて前記各制御電圧生成回路に含まれるPNPバイポーラトランジスタのエミッタ・コレクタ間が導通または非導通となるように、前記調整電圧を生成するベース電圧調整回路と、
を備える、
ことを特徴とする請求項3または4に記載の太陽光発電システム。
【請求項6】
前記PWM信号生成部が、
三角波電圧を出力する三角波生成回路と、
前記制御電圧生成部から出力される前記各制御電圧を個々に前記三角波電圧と比較し、前記各制御電圧が前記三角波電圧より高いときに前記各スイッチが閉じるレベルとなり、前記各制御電圧が前記三角波電圧より低いときに前記各スイッチが開くレベルとなる前記PWM信号を出力する複数のコンパレータと、
を備える、
ことを特徴とする請求項3ないし5のいずれか1項に記載の太陽光発電システム。
【請求項7】
前記各スイッチが、NMOSトランジスタを含み、前記各PWM信号が当該NMOSトランジスタのゲートに入力されることを特徴とする請求項3ないし6のいずれか1項に記載の太陽光発電システム。
【請求項8】
前記各スイッチが、前記NMOSトランジスタに直列接続されたリアクトルを有することを特徴とする請求項7に記載の太陽光発電システム。
【請求項9】
前記各太陽電池ストリングにおいて、グランドが前記第1の電源ラインに接続され、出力が前記スイッチを介して前記第2の電源ラインに接続されている、
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の太陽光発電システム。
【請求項10】
前記最初のPWM信号によって開閉が制御されるスイッチを介して出力が前記第2の電源ラインに接続された最初の太陽電池ストリングにおいて、グランドが前記第1の電源ラインに接続され、
前記最初の太陽電池ストリングを除き、前段の太陽電池ストリングの出力が次段の太陽電池ストリングのグランドに接続され、
出力電圧が最も高い最終段の太陽電池ストリングを除く各太陽電池ストリングにおいて、直列に接続された逆流防止ダイオードと前記スイッチとを介して出力が前記第2の電源ラインに接続される、
ことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1項に記載の太陽光発電システム。
【請求項11】
前記各太陽電池ストリングにおいて、グランドから出力に電流が流れる向きにダイオードが接続されていることを特徴とする請求項10に記載の太陽光発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の太陽電池ストリングを含む太陽光発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光発電システムは、通常複数の太陽電池ストリングを含む。一般に、太陽電池ストリングは直列接続された複数の太陽電池モジュールを含んでいる。
直流給電システムでは、複数の太陽電池ストリングは逆流防止ダイオードを介して直流バスに並列に接続される。逆流防止ダイオードは、直流バスから各太陽電池ストリングに電流が逆流することを防ぐ。
また、交流給電システムでも、同様に、複数の太陽電池ストリングは逆流防止ダイオードを介して並列に接続される。そして、逆流防止ダイオードを通過した直流電力はインバータによって交流電力に変換され、交流電力が交流バスに供給される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
直流バスや交流バスに接続されている負荷装置の消費電力は、一般に時々刻々と変動する。負荷装置で消費される電力が減少し、太陽光発電システムによって出力される電力が負荷装置で消費される電力を超えた場合、直流バスや交流バスの電圧が上昇し、負荷装置が異常動作したり、破壊されたりするおそれがある。
また、季節や時間帯によって日差しの強さは変わる。日差しの強さが変動すると、太陽電池の出力は変動する。
【0004】
本発明の目的は、複数の太陽電池ストリングの出力を負荷装置等の消費電力や日差しの強さに応じて調節することができる太陽光発電システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明の太陽光発電システムは、
電圧が、基準電位である第1の電源ラインと
電圧が、前記基準電位に対して高電位の直流電圧である第2の電源ラインと、
前記第2の電源ラインに電圧を出力する複数の太陽電池ストリングと、
前記第2の電源ラインの電圧が所定の電圧以下であるときに前記第2の電源ラインにおける電圧の低下に応じて増加し、当該電圧の上昇に応じて減少するデューティ比を有するパルス波である最初のPWM信号を出力し、順次前段のPWM信号が所定のデューティ比以上であるときに前記第2の電源ラインにおける電圧の低下に応じて増加し、当該電圧の上昇に応じて減少するデューティ比を有するパルス波である各PWM信号を出力する制御部と、
前記各太陽電池ストリングの出力と前記第2の電源ラインとの間にそれぞれ設置されており、前記制御部によって生成された各PWM信号によって個々に開閉が制御される複数のスイッチと、
を備えることを特徴とする。
【0006】
好ましくは、本発明の太陽光発電システムは、
前記制御部が、
前記第2の電源ラインの電圧が低下すると上昇し、前記第2の電源ラインの電圧が上昇すると低下するモニタ電圧を生成するモニタ電圧生成部と、
前記モニタ電圧生成部によって生成されるモニタ電圧が所定の電圧以上であるときに前記モニタ電圧の上昇に応じて最初の制御電圧を上昇させ、前記モニタ電圧の低下に応じて当該最初の制御電圧を低下させ、順次前段の制御電圧が所定の電圧以上であるときに前記モニタ電圧の上昇に応じて各制御電圧を上昇させ、前記モニタ電圧の低下に応じて当該各制御電圧を低下させる制御電圧生成部と、
前記制御電圧生成部から出力される各制御電圧に応じたデューティ比を有する前記各PWM信号を生成するPWM信号生成部と、
を含む、
ことを特徴とする。
【0007】
好ましくは、本発明の太陽光発電システムは、
1つ以上の前記太陽電池ストリングが出力する電圧を、前記第2の電源ラインの電圧より高く、かつ前記第2の電源ラインの電圧との差が一定である電圧に変換する絶縁型のDC/DCコンバータを含み、当該変換された電圧を出力する定電圧電源を備え、
前記制御部が、前記定電圧電源が出力する電圧と前記第2の電源ラインの電圧との差である電圧によって動作する、
ことを特徴とする。
【0008】
好ましくは、本発明の太陽光発電システムは、
前記制御部が、前記定電圧電源が電圧を出力し始めてから所定の時間が経過するまで前記モニタ電圧生成部によって出力されるモニタ電圧を低下させるスロースタート部を含むことを特徴とする。
【0009】
好ましくは、本発明の太陽光発電システムは、
前記制御電圧生成部が、
エミッタフォロワであるNPNバイポーラトランジスタを含み、当該NPNバイポーラトランジスタのベースに前記モニタ電圧生成部によって生成されたモニタ電圧が入力され、エミッタにモニタ電圧が生じるモニタ電圧強化回路と、
ベースに調整電圧が入力され、コレクタに前記各制御電圧が生じるPNPバイポーラトランジスタを含む複数段の制御電圧生成回路であって、1段目の当該制御電圧生成回路に含まれるPNPバイポーラトランジスタのエミッタには前記モニタ電圧強化回路に含まれるNPNバイポーラトランジスタのエミッタに生じるモニタ電圧が入力され、2段目以降の当該制御電圧生成回路に含まれるPNPバイポーラトランジスタのエミッタには前段の制御電圧生成回路に含まれるPNPバイポーラトランジスタのコレクタに生じる制御電圧が入力される制御電圧生成回路と、
前記モニタ電圧強化回路に含まれるNPNバイポーラトランジスタのエミッタに生じるモニタ電圧の変動に応じて前記各制御電圧生成回路に含まれるPNPバイポーラトランジスタのエミッタ・コレクタ間が導通または非導通となるように、前記調整電圧を生成するベース電圧調整回路と、
を備える、
ことを特徴とする。
【0010】
好ましくは、本発明の太陽光発電システムは、
前記PWM信号生成部が、
三角波電圧を出力する三角波生成回路と、
前記制御電圧生成部から出力される前記各制御電圧を個々に前記三角波電圧と比較し、前記各制御電圧が前記三角波電圧より高いときに前記各スイッチが閉じるレベルとなり、前記各制御電圧が前記三角波電圧より低いときに前記各スイッチが開くレベルとなる前記PWM信号を出力する複数のコンパレータと、
を備える、
ことを特徴とする。
【0011】
好ましくは、本発明の太陽光発電システムは、
前記各スイッチが、NMOSトランジスタを含み、前記各PWM信号が当該NMOSトランジスタのゲートに入力されることを特徴とする。
好ましくは、本発明の太陽光発電システムは、前記各スイッチが、前記NMOSトランジスタに直列接続されたリアクトルを有することを特徴とする
【0012】
好ましくは、本発明の太陽光発電システムは、
前記各太陽電池ストリングにおいて、グランドが前記第1の電源ラインに接続され、出力が前記スイッチを介して前記第2の電源ラインに接続されている、
ことを特徴とする。
【0013】
好ましくは、本発明の太陽光発電システムは、
前記最初のPWM信号によって開閉が制御されるスイッチを介して出力が前記第2の電源ラインに接続された最初の太陽電池ストリングにおいて、グランドが前記第1の電源ラインに接続され、
前記最初の太陽電池ストリングを除き、前段の太陽電池ストリングの出力が次段の太陽電池ストリングのグランドに接続され、
出力電圧が最も高い最終段の太陽電池ストリングを除く各太陽電池ストリングにおいて、直列に接続された逆流防止ダイオードと前記スイッチとを介して出力が前記第2の電源ラインに接続される、
ことを特徴とする。
【0014】
好ましくは、本発明の太陽光発電システムは、
前記各太陽電池ストリングにおいて、グランドから出力に電流が流れる向きにダイオードが接続されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の太陽電池ストリングの出力を負荷装置等の消費電力や日差しの強さに応じて調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係る太陽光発電システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】高電位ラインの電圧とPWM信号の関係の一例を示す図である。
【
図4】高電位ラインの電圧とモニタ電圧の関係の一例を示す図である。
【
図5】モニタ電圧と各制御電圧の関係の一例を示す図である。
【
図6】PWM信号生成部の構成の一例を示す図である。
【
図7】三角波生成回路が出力する三角波電圧の波形の一例を示す図である。
【
図8】スロースタート部とモニタ電圧生成部の回路構成の一例を示す図である。
【
図9】制御電圧生成部の回路構成の一例を示す図である。
【
図10】
図1の太陽光発電システムにおけるスイッチおよびその周辺の回路構成の一例を示す図である。
【
図11】本発明の第2の実施形態に係る太陽光発電システムの構成の一例を示す図である。
【
図12】
図11の太陽光発電システムにおいて日差しの強さが変動した場合の電流の流れの一例を示す図である。
図12(A)は、日差しが強い場合の電流の流れを示す。
図12(B)は、日差しが弱い場合の電流の流れを示す。
【
図13】
図11の太陽光発電システムにおいて太陽電池ストリングの一部が日陰になった場合の電流の流れの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態に係る太陽光発電システムについて図面を参照しながら詳細に説明する。なお、実施形態を説明する全図において、共通の構成要素には同一の符号を付し、繰り返しの説明を省略する。
【0018】
図1は、本発明の第1の実施形態に係る太陽光発電システム1の構成の一例を示す。
太陽光発電システム1は、太陽電池ストリング11~14と、スイッチSW1~SW4と、定電圧電源20と、制御部100と、高電位ラインLHと、低電位ラインLLと、ダイオードD1~D9と、コンデンサC1とを有する。
スイッチSW1~SW4は、それぞれ太陽電池ストリング11~14の出力Voutと高電位ラインLHとの間に設置される。太陽電池ストリング11の出力Voutは、ダイオードD1のアノードに接続される。ダイオードD1のカソードは、スイッチSW1の一端に接続される。スイッチSW1の他端は、高電位ラインLHに接続される。太陽電池ストリング11のグランドGDは、低電位ラインLLに接続される。同様に、太陽電池ストリング12~14の出力Voutは、それぞれダイオードD2~D4のアノードに接続される。ダイオードD2~D4のカソードは、それぞれスイッチSW2~SW4の一端に接続される。スイッチSW2~W4の他端は、それぞれ高電位ラインLHに接続される。太陽電池ストリング12~14のグランドGDは、それぞれ低電位ラインLLに接続される。
なお、太陽電池ストリング11~14の出力VoutがそれぞれスイッチSW1~SW4の一端に接続され、スイッチSW1~SW4の他端がそれぞれダイオードD1~D4のアノードに接続され、ダイオードD1~D4のカソードがそれぞれ高電位ラインLHに接続されていてもよい。
【0019】
また、太陽電池ストリング11の出力Voutは、ダイオードD5のアノードに接続される。同様に、太陽電池ストリング12~14の出力Voutは、それぞれダイオードD6~D8のアノードに接続される。ダイオードD6~D8のカソードは1つにまとめられて全て定電圧電源20の電圧入力Vinに接続される。なお、太陽電池ストリング11~14の出力Voutはいずれか1つ以上がダイオードD5~D8を介して定電圧電源20の電圧入力Vinに接続されていればよい。定電圧電源20のシグナルグランドSGとグランドGDは、それぞれ高電位ラインLHと低電位ラインLLに接続される。定電圧電源20の電圧出力Vhighは、制御部100の電圧入力Vhighに接続される。
制御部100のシグナルグランドSGとグランドGDは、それぞれ高電位ラインLHと低電位ラインLLに接続される。制御部100のPWM(Pulse Width Modulation)信号VP1は、スイッチSW1の開閉を制御する。同様に、制御部100のPWM信号VP2~VP4は、それぞれスイッチSW2~SW4の開閉を制御する。
コンデンサC1は、一端が高電位ラインLHに接続され、他端が低電位ラインLLに接続される。コンデンサC1は、高電位ラインLHの電圧におけるノイズを除去する。高電位ラインLHはダイオードD9のアノードに接続される。ダイオードD9のカソードは、端子T1に接続される。ダイオードD9は、逆流防止ダイオードである。低電位ラインLLは端子T2に接続される。
【0020】
太陽光発電システム1が直流給電システムに接続される場合には、端子T1と端子T2は直流バスに接続され、直流バスに負荷装置等が接続される。
太陽光発電システム1が交流給電システムに接続される場合には、端子T1と端子T2はインバータの入力に接続され、インバータの出力が交流バスに接続される。交流バスには負荷装置等が接続される。
【0021】
低電位ラインLLの電圧は、基準電位である。高電位ラインLHの電圧は、基準電位に対して高電位の直流電圧である。低電位ラインLLと高電位ラインLHの電圧は、例えば、それぞれ0V(接地電位)と400Vである。または、低電位ラインLLと高電位ラインLHの電圧は、例えば、それぞれ-200Vと+200Vであってもよい。ただし、高電位ラインLHの電圧は、太陽電池ストリング11~14の出力電圧Voutの変動や負荷装置の消費電力の変動等により変動する。例えば、負荷装置の消費電力が増加すると、高電位ラインLHの電圧は低下する。
太陽電池ストリング11~14は、それぞれ直列接続された複数の太陽電池モジュールを含んでいる。太陽電池ストリング11~14は、それぞれスイッチSW1~SW4が閉じているときに高電位ラインLHに電圧を出力する。
なお、低電位ラインLLは本発明の第1の電源ラインの例であり、高電位ラインLHは本発明の第2の電源ラインの例である。
【0022】
定電圧電源20は、絶縁型のDC/DC(直流/直流)コンバータを含む。DC/DCコンバータは、太陽電池ストリング11~14が出力する電圧を、高電位ラインLHの電圧より高く、かつ高電位ラインLHの電圧との差(例えば、24V)が一定である電圧に変換する。定電圧電源20は、変換された電圧Vhighを出力する。例えば、高電位ラインLHの電圧が400Vであるとき、定電圧電源20の出力電圧Vhighは424Vである。
【0023】
制御部100は、定電圧電源20が出力する電圧Vhighと高電位ラインLHの電圧との差である電圧(例えば、24V)によって動作する。
制御部100は、PWM信号VP1~VP4を出力する。PWM信号VP1~VP4はパルス波である。PWM信号VP1~VP4のローレベルの電圧は高電位ラインLHの電圧である。
【0024】
図2は、高電位ラインLHの電圧とPWM信号の関係の一例を示す。
制御部100は、高電位ラインLHの電圧が所定の第1の電圧(例えば、410V)以下であるとき、最初のPWM信号VP1のデューティ比を高電位ラインLHにおける電圧の低下に応じて増加させ、その電圧の上昇に応じて減少させる。
図2に示すように、高電位ラインLHの電圧が所定の第2の電圧(例えば、400V)であるとき、最初のPWM信号VP1のデューティ比は90%であり、PWM信号VP2~VP4のデューティ比は0である。高電位ラインLHの電圧が所定の第3の電圧(例えば、398V)であるとき、最初のPWM信号VP1のデューティ比は100%である。
【0025】
制御部100は、高電位ラインLHの電圧が上記所定の第2の電圧(例えば、400V)以下である(すなわち、最初のPWM信号VP1のデューティ比が所定のデューティ比、例えば90%以上である)とき、2段目のPWM信号VP2のデューティ比を高電位ラインLHにおける電圧の低下に応じて増加させ、その電圧の上昇に応じて減少させる。
図2に示すように、高電位ラインLHの電圧が所定の第4の電圧(例えば、390V)であるとき、2段目のPWM信号VP2のデューティ比は90%である。このとき、最初のPWM信号VP1のデューティ比は100%であり、3段目のPWM信号VP3と4段目のPWM信号VP4のデューティ比は0である。高電位ラインLHの電圧が所定の第5の電圧(例えば、388V)であるとき、2段目のPWM信号VP2のデューティ比は100%である。
【0026】
制御部100は、高電位ラインLHの電圧が上記所定の第4の電圧(例えば、390V)以下である(すなわち、2段目のPWM信号VP2のデューティ比が所定のデューティ比、例えば90%以上である)とき、3段目のPWM信号VP3のデューティ比を高電位ラインLHにおける電圧の低下に応じて増加させ、その電圧の上昇に応じて減少させる。
図2に示すように、高電位ラインLHの電圧が所定の第6の電圧(例えば、380V)であるとき、3段目のPWM信号VP3のデューティ比は90%である。このとき、最初のPWM信号VP1と2段目のPWM信号VP2のデューティ比は100%であり、4段目のPWM信号VP4のデューティ比は0である。高電位ラインLHの電圧が所定の第7の電圧(例えば、378V)であるとき、3段目のPWM信号VP3のデューティ比は100%である。
【0027】
制御部100は、高電位ラインLHの電圧が上記所定の第6の電圧(例えば、380V)以下である(すなわち、3段目のPWM信号VP3のデューティ比が所定のデューティ比、例えば90%以上である)とき、4段目のPWM信号VP4のデューティ比を電位ラインLHにおける電圧の低下に応じて増加させ、その電圧の上昇に応じて減少させる。
図2に示すように、高電位ラインLHの電圧が所定の第8の電圧(例えば、370V)であるとき、4段目のPWM信号VP4のデューティ比は90%である。このとき、PWM信号VP1~VP3のデューティ比は100%である。高電位ラインLHの電圧が所定の第9の電圧(例えば、368V)であるとき、4段目のPWM信号VP4のデューティ比は100%である。
【0028】
例えば、PWM信号VP1がハイレベルの電圧であるときにスイッチSW1は閉じ、PWM信号VP1がローレベルの電圧であるときにスイッチSW1は開く。太陽電池ストリング11は、スイッチSW1が閉じているときに高電位ラインLHに電圧を出力し、スイッチSW1が開いているときには高電位ラインLHへの電圧の出力を停止する。スイッチSW2~スイッチSW4もPWM信号VP2~VP4によってスイッチSW1と同様に動作する。
このため、PWM信号VP1~VP4のデューティ比が増加するとき高電位ラインLHの電圧は上昇し、それらのデューティ比が減少するとき高電位ラインLHの電圧は減少する。
【0029】
例えば、負荷装置の電力消費が増加すると、高電位ラインLHの電圧は低下する。
図2に示すように、高電位ラインLHの電圧が上記所定の第1の電圧(例えば、410V)と上記所定の第2の電圧(例えば、400V)との間にあるときに、高電位ラインLHの電圧が減少した場合、制御部100はPWM信号VP1のデューティ比を増加させて高電位ラインLHの電圧を上昇させる。
そして、高電位ラインLHの電圧が上記所定の第2の電圧(例えば、400V)より低くなる(すなわち、PWM信号VP1のデューティ比が90%以上になる)と、制御部100は2段目のPWM信号VP2のデューティ比も増加させて高電位ラインLHの電圧を上昇させる。
【0030】
同様に、高電位ラインLHの電圧が上記所定の第4の電圧(例えば、390V)より低くなる(すなわち、PWM信号VP2のデューティ比が90%以上になる)と、制御部100は3段目のPWM信号VP3のデューティ比を増加させて高電位ラインLHの電圧を上昇させる。
高電位ラインLHの電圧が上記所定の第6の電圧(例えば、380V)より低くなる(すなわち、PWM信号VP3のデューティ比が90%以上になる)と、制御部100は4段目のPWM信号VP4のデューティ比を増加させて高電位ラインLHの電圧を上昇させる。
【0031】
なお、上記では、制御部100は、PWM信号VP1~VP3のデューティ比が90%以上であるとき、次段のPWM信号VP2~VP4のデューティ比を高電位ラインLHにおける電圧の低下に応じて増加させ、その電圧の上昇に応じて減少させるとしたが、制御部100は、PWM信号VP1~VP3が予め設定された任意のデューティ比以上であるとき、次段のPWM信号VP2~VP4のデューティ比を高電位ラインLHにおける電圧の低下に応じて増加させ、その電圧の上昇に応じて減少させることができる。例えば、制御部100は、PWM信号VP1~VP3のデューティ比が100%であるとき、次段のPWM信号VP2~VP4のデューティ比を高電位ラインLHにおける電圧の低下に応じて増加させ、その電圧の上昇に応じて減少させることができる。
【0032】
制御部100は、デジタル回路でもアナログ回路でも実現することができる。また、CPU(Central Processing Unit)と、RAM(Random Access Memory)等で構成される主メモリと、フラッシュメモリやハードディスク等で構成される記憶部とを備えたコンピュータに所定のプログラムを実行させることにより制御部100の機能を実現することもできる。
【0033】
図3は、制御部100の詳細な構成の一例を示す。
制御部100は、スロースタート部110と、モニタ電圧生成部111と、制御電圧生成部120と、PWM信号生成部130と、定電圧ラインLCとを有する。
定電圧ラインLCには、定電圧電源20によって出力される電圧Vhighが印加される。
モニタ電圧生成部111は、高電位ラインLHと低電位ラインLLと定電圧ラインLCとに接続される。モニタ電圧生成部111は、モニタ電圧VMを生成し、制御電圧生成部120に供給する。
図4に示すように、モニタ電圧VMは、高電位ラインLHの電圧が低下すると上昇し、高電位ラインLHの電圧が上昇すると低下する。高電位ラインLHの電圧が上記所定の第1の電圧(たとえば、410V)であるとき、モニタ電圧VMはvm1である。また、高電位ラインLHの電圧が上記所定の第2の電圧(たとえば、400V)であるとき、モニタ電圧VMはvm2である。高電位ラインLHの電圧が上記所定の第4の電圧(たとえば、390V)であるとき、モニタ電圧VMはvm3である。高電位ラインLHの電圧が上記所定の第6の電圧(たとえば、380V)であるとき、モニタ電圧VMはvm4である。
スロースタート部110は、定電圧電源20が電圧Vhighを出力し始めてから所定の時間が経過するまでモニタ電圧出力部111によって出力されるモニタ電圧VMを低下させる。これにより、制御電圧生成部120は、所定の時間が経過するまで動作を停止しており、所定の時間が経過してから動作を開始し、後述する制御電圧VC1~VC4を出力する。
【0034】
制御電圧生成部120は、定電圧ラインLCと高電位ラインLHとに接続されている。制御電圧生成部120には、モニタ電圧VMが入力される。
制御電圧生成部120は、モニタ電圧VMによって高電位ラインLHの直流電圧の変動を監視する。制御電圧生成部120は、
図5に示すように、モニタ電圧VMに基づいて制御電圧VC1~VC4を生成し、それらをPWM信号生成部130に供給する。
制御電圧生成部120は、モニタ電圧VMがvm1以下であるとき最初の制御電圧VC1をローレベルの電圧(たとえば、高電位ラインLHの電圧)に保つ。そして、制御電圧生成部120は、モニタ電圧VMがvm1以上であるときにモニタ電圧VMの上昇に応じて最初の制御電圧VC1を上昇させ、モニタ電圧VMの低下に応じて最初の制御電圧VC1を低下させる。そして、モニタ電圧VMがvm2を超えたとき、最初の制御電圧VC1が所定の電圧vcsを超える。
【0035】
制御電圧生成部120は、最初の制御電圧VC1が所定の電圧vcs以下であるとき、2段目の制御電圧VC2をローレベルの電圧に保つ。そして、制御電圧生成部120は、最初の制御電圧VC1が所定の電圧vcs以上であるときにモニタ電圧VMの上昇に応じて2段目の制御電圧VC2を上昇させ、モニタ電圧VMの低下に応じて2段目の制御電圧VC2を低下させる。そして、モニタ電圧VMがvm3を超えたとき、2段目の制御電圧VC2が所定の電圧vcsを超える。
制御電圧生成部120は、2段目の制御電圧VC2が所定の電圧vcs以下であるとき、3段目の制御電圧VC3をローレベルの電圧に保つ。そして、制御電圧生成部120は、2段目の制御電圧VC2が所定の電圧vcs以上であるときにモニタ電圧VMの上昇に応じて3段目の制御電圧VC3を上昇させ、モニタ電圧VMの低下に応じて3段目の制御電圧VC3を低下させる。そして、モニタ電圧VMがvm4を超えたとき、3段目の制御電圧VC3が所定の電圧vcsを超える。
【0036】
制御電圧生成部120は、3段目の制御電圧VC3が所定の電圧vcs以下であるとき、4段目の制御電圧VC4をローレベルの電圧に保つそして、制御電圧生成部120は、3段目の制御電圧VC3が所定の電圧vcs以上であるときにモニタ電圧VMの上昇に応じて4段目の制御電圧VC4を上昇させ、モニタ電圧VMの低下に応じて4段目の制御電圧VC4を低下させる。
【0037】
図6は、PWM信号生成部130の構成の一例を示す。
PWM信号生成部130は、制御電圧生成部120から出力される制御電圧VC1~VC4に応じたデューティ比を有するPWM信号VP1~VP4を生成する。
PWM信号生成部130は、コンパレータ(比較器)131~134と、三角波生成回路135とを有する。
三角波生成回路135は、定電圧ラインLCと高電位ラインLHとに接続されている。三角波生成回路135は、
図7に示す三角波電圧VTを生成する。三角波電圧VTは、最小の電圧が制御電圧VC1~制御電圧VC4におけるローレベルの電圧(例えば、高電位ラインLHの電圧)より高い。三角波電圧VTは、例えば、最小電圧(ローレベルの電圧+1V)から最大電圧(ローレベルの電圧+9V)までの三角波の電圧である。三角波電圧VTは、4つのコンパレータ131~134に共通に供給される。
コンパレータ131は、定電圧ラインLCと高電位ラインLHとに接続されている。コンパレータ131には、制御電圧VC1と三角波電圧VTが入力される。コンパレータ131は、制御電圧VC1と三角波電圧VTとに基づいて最初のPWM信号VP1を生成する。PWM信号VP1は、制御電圧VC1が三角波電圧VTより高いときにハイレベルの電圧(例えば、高電位ラインLHの電圧+20V)となり、制御電圧VC1が三角波電圧VTより低いときにローレベルの電圧(例えば、高電位ラインLHの電圧)となる。これにより、PWM信号VP1は、制御電圧VC1の電圧の上昇に応じてデューティ比が0から所定の値(例えば、100%)まで増加するパルス波となる。
同様にして、コンパレータ132とコンパレータ133とコンパレータ134とは、それぞれ2段目のPWM信号VP2と3段目のPWM信号VP3と4段目のPWM信号VP4とを生成する。これらは、それぞれ制御電圧VC2と制御電圧VC3と制御電圧VC4の上昇に応じてデューティ比が0から所定の値(例えば、100%)まで徐々に増加するパルス波である。
【0038】
制御電圧生成部120とスロースタート部110とモニタ電圧生成部111は、デジタル回路でもアナログ回路でも実現することができる。また、コンピュータに所定のプログラムを実行させることにより制御電圧生成部120とスロースタート部110とモニタ電圧生成部111の各機能を実現することもできる。
【0039】
以下では、スロースタート部110とモニタ電圧生成部111と制御電圧生成部120をアナログ回路で実現する場合の具体例について説明する。
図8は、スロースタート部110とモニタ電圧生成部111の回路構成の一例を示す。
スロースタート部110は、PNPバイポーラトランジスタQ11と、コンデンサC11と、抵抗R11と、ダイオードD11~13とを有する。
抵抗R11は、一端が定電圧ラインLCに接続され、他端がコンデンサC11の一端に接続されている。コンデンサC11の他端は、高電位ラインLHに接続されている。ダイオードD11は、アノードがコンデンサC11の一端に接続され、カソードが高電位ラインLHに接続されている。ダイオードD12は、アノードがコンデンサC11の一端に接続され、カソードがトランジスタQ11のエミッタに接続されている。トランジスタQ11は、べースがコンデンサC11の一端に接続され、コレクタがコンデンサC11の他端に接続されている。ダイオードD13は、アノードにモニタ電圧VMが入力され、カソードがトランジスタQ11のエミッタに接続されている。
【0040】
モニタ電圧生成部111は、オペアンプ112と、抵抗R13~R17と、可変抵抗VR11と、可変抵抗VR12と、ダイオードD14とを有する。
抵抗R13は、一端が定電圧ラインLCに接続されており、他端が抵抗R14の一端に接続されている。抵抗R14の他端は低電位ラインLLに接続されている。可変抵抗VR11は、一端が定電圧ラインLCに接続され、他端が可変抵抗VR12の一端に接続されている。可変抵抗VR12の他端は高電位ラインLHに接続されている。抵抗R15は一端が抵抗R13の他端と抵抗R14の一端の接続点に接続されており、他端がオペアンプ112の非反転入力(+)に接続されている。抵抗R16は、一端が可変抵抗VR11の他端と可変抵抗VR12の一端との接続点に接続され、他端がオペアンプ112の反転入力(-)に接続されている。抵抗R17は、一端と他端がそれぞれオペアンプ112の出力と反転入力(-)に接続されている。ダイオードD14は、アノードにモニタ電圧VMが入力され、カソードがオペアンプ112の出力に接続されている。
抵抗R12は、一端が定電圧ラインLCに接続されており、他端がダイオードD13のアノードとダイオードD14のアノードとに接続されている。モニタ電圧VMは、抵抗R12の他端とダイオードD13のアノードとダイオードD14のアノードとの接続点に生じる。
【0041】
スロースタート部110は、定電圧電源20が電圧Vhighを出力し始めてから所定の時間が経過するまでモニタ電圧出力部111によって出力されるモニタ電圧VMを低下させる。
定電圧電源20が停止しているとき、定電圧ラインLCの電位は高電位ラインLHの電位となっている。このとき、ダイオードD11がコンデンサC11を放電させるため、コンデンサC11の電荷は0となる。このため、トランジスタQ11は、ベース電圧が0(実際には、高電位ラインLHの電位)となり、エミッタ・コレクタ間が導通する。定電圧電源20が動作し始めた直後には、
図8の中の破線の矢印で示す経路で電流が流れる。この電流により、モニタ電圧VMは低下する。
定電圧電源20が動作し始めると、定電圧ラインLCの電位が上昇し、コンデンサC11が充電される。コンデンサC11が充電されると、PNPバイポーラトランジスタQ11は、ベースの電位が上がり、エミッタ・コレクタ間が非導通となる。このため、モニタ電圧VMは、上昇し、モニタ電圧生成部111によって出力される電圧となる。
【0042】
モニタ電圧生成部111は、
図4に示したモニタ電圧VMを生成する。モニタ電圧VMは、高電位ラインLHの電圧が低下すると上昇し、高電位ラインLHの電圧が上昇すると低下する。
抵抗R13と抵抗R14の抵抗値は、例えば、それぞれ47KΩと1MΩである。抵抗R13と抵抗R14により、定電圧ラインLCと低電位ラインLLの電位差が分圧されてオペアンプ112の非反転入力(+)に入力される。また、可変抵抗VR11と可変抵抗VR12により、定電圧ラインLCと高電位ラインLHの電位差が分圧されてオペアンプ112の反転入力(-)に入力される。オペアンプ112は、非反転入力(+)と反転入力(-)の電位差を増幅してモニタ電圧VMとして出力する。
【0043】
図9は、制御電圧生成部120の回路構成の一例を示す。
制御電圧生成部120は、モニタ電圧強化回路121と、1段目の制御電圧生成回路122と、2段目の制御電圧生成回路123と、3段目の制御電圧生成回路124と、4段目の制御電圧生成回路125と、ベース電圧調整回路126とを有する。
【0044】
モニタ電圧強化回路121は、NPNバイポーラトランジスタQ21と、逆電圧保護用ダイオードD21と、電流制限用抵抗R21とを有する。
モニタ電圧VMは、電流制限用抵抗R21を通ってトランジスタQ21のベースに入力される。トランジスタQ21のコレクタは定電圧ラインLCに接続される。トランジスタQ21は、エミッタフォロワである。トランジスタQ21のエミッタは、モニタ電圧VMよりベース・エミッタ間電圧Vbeだけ低い電圧となる。以下では、この電圧をトランジスタQ21のエミッタに生じるモニタ電圧VM’という。このモニタ電圧VM’は、1段目の制御信号生成回路122に入力される。トランジスタQ21のエミッタとベースには、逆電圧保護用ダイオードD21が接続される。
【0045】
1段目の制御電圧生成回路122は、PNPバイポーラトランジスタQ22と、電流制限用抵抗R22と、逆電流防止用ダイオードD22と、抵抗R32と、コンデンサC22とを有する。1段目の制御電圧生成回路122は、最初の制御電圧VC1を生成する。
トランジスタQ22のエミッタには、トランジスタQ21のエミッタに生じるモニタ電圧VM’が入力される。トランジスタQ22のベースは電流制限用抵抗R22の一端に接続される。電流制限用抵抗R22の他端は、逆電流防止用ダイオードD22のアノードに接続される。逆電流防止用ダイオードD22のカソードには、後述するベース電圧調整回路126によって生成される調整電圧Vupが印加される。なお、本発明では、逆電流防止用ダイオードD22のカソードに調整電圧Vupが印加されることを、トランジスタQ22のベースに調整電圧が入力されるという。
トランジスタQ22のコレクタは、抵抗R32とコンデンサC22からなるRC並列回路の一端に接続される。このRC並列回路の他端は、高電位ラインLHに接続される。トランジスタQ22のコレクタとこのRC並列回路の一端との接続部分に生じる電圧が最初の制御電圧VC1である。なお、このRC並列回路はノイズ等を除去するために設けられている。
トランジスタQ22のエミッタ・コレクタ間が導通している間、最初の制御電圧VC1は、モニタ電圧VMの上昇に応じて上昇し、モニタ電圧VMの低下に応じて低下する。また、トランジスタQ22のエミッタ・コレクタ間が非導通であるときには最初の制御電圧VC1はローレベルの電圧(高電位ラインLHの電圧)となる。
【0046】
2段目の制御電圧生成回路123は、PNPバイポーラトランジスタQ23と、電流制限用抵抗R23と、逆電流防止用ダイオードD23と、抵抗R33と、コンデンサC23とを有する。2段目の制御電圧生成回路123は、2段目の制御電圧VC2を生成する。
トランジスタQ23のエミッタには、最初の制御電圧VC1が入力される。トランジスタQ23と電流制限用抵抗R23と逆電流防止用ダイオードD23と抵抗R33とコンデンサC23は、1段目の制御電圧生成回路122におけるトランジスタQ22と電流制限用抵抗R22と逆電流防止用ダイオードD22と抵抗R32とコンデンサC22と同様に接続される。トランジスタQ23のコレクタとRC並列回路(抵抗R33とコンデンサC23とからなるRC並列回路)の一端との接続部分に生じる電圧が2段目の制御電圧VC2である。
トランジスタQ23のエミッタ・コレクタ間が導通している間、2段目の制御電圧VC2は、モニタ電圧VMの上昇に応じて上昇し、モニタ電圧VMの低下に応じて低下する。また、トランジスタQ23のエミッタ・コレクタ間が非導通であるときには2段目の制御電圧VC2はローレベルの電圧となる。
【0047】
3段目の制御電圧生成回路124は、PNPバイポーラトランジスタQ24と、電流制限用抵抗R24と、逆電流防止用ダイオードD24と、抵抗R34と、コンデンサC24とを有する。3段目の制御電圧生成回路124は、3段目の制御電圧VC3を生成する。
トランジスタQ24のエミッタには、2段目の制御電圧VC2が入力される。トランジスタQ24と電流制限用抵抗R24と逆電流防止用ダイオードD24と抵抗R34とコンデンサC24は、1段目の制御電圧生成回路22におけるトランジスタQ22と電流制限用抵抗R22と逆電流防止用ダイオードD22と抵抗R32とコンデンサC22と同様に接続される。トランジスタQ24のコレクタとRC並列回路(抵抗R34とコンデンサC24とからなるRC並列回路)の一端との接続部分に生じる電圧が3段目の制御電圧VC3である。
トランジスタQ24のエミッタ・コレクタ間が導通している間、3段目の制御電圧VC3は、モニタ電圧VMの上昇に応じて上昇し、モニタ電圧VMの低下に応じて低下する。また、トランジスタQ24のエミッタ・コレクタ間が非導通であるときには3段目の制御電圧VC3はローレベルの電圧となる。
【0048】
4段目(最終段)の制御電圧生成回路125は、PNPバイポーラトランジスタQ25と、電流制限用抵抗R25と、逆電流防止用ダイオードD25と、抵抗R35と、コンデンサC25とを有する。4段目の制御電圧生成回路125は、4段目の制御電圧VC4を生成する。
トランジスタQ25のエミッタには、3段目の制御電圧VC3が入力される。トランジスタQ25と電流制限用抵抗R25と逆電流防止用ダイオードD25と抵抗R35とコンデンサC25は、1段目の制御電圧生成回路22におけるトランジスタQ22と電流制限用抵抗R22と逆電流防止用ダイオードD22と抵抗R32とコンデンサC22と同様に接続される。トランジスタQ25のコレクタとRC並列回路(抵抗R35とコンデンサC25とからなるRC並列回路)の一端との接続部分に生じる電圧が4段目の制御電圧VC4である。
トランジスタQ25のエミッタ・コレクタ間が導通している間、4段目の制御電圧VC4は、モニタ電圧VMの上昇に応じて上昇し、モニタ電圧VMの低下に応じて低下する。また、トランジスタQ25のエミッタ・コレクタ間が非導通であるときには4段目の制御電圧VC4はローレベルの電圧となる。
【0049】
ベース電圧調整回路126は、抵抗R20と、PNPバイポーラトランジスタQ26と、可変抵抗VR21と、可変抵抗VR22とを有する。
抵抗R20は、一端が定電圧ラインLCに接続され、他端がトランジスタQ26のエミッタに接続される。可変抵抗VR21は、一端が定電圧ラインLCに接続され、他端が可変抵抗VR22の一端に接続される。可変抵抗VR22の他端は高電位ラインLHに接続される。トランジスタQ26は、ベースが可変抵抗VR21の他端と可変抵抗VR22の一端との接続部分に接続され、コレクタが高電位ラインLHに接続される。
可変抵抗VR21と可変抵抗VR22とは、定電圧ラインLCの電圧と高電位ラインLHの電圧との電位差を分圧する。トランジスタQ26は、エミッタフォロワである。トランジスタQ26のエミッタは、可変抵抗VR21と可変抵抗VR22によって分圧された電圧よりベース・エミッタ間電圧Vbeだけ高い調整電圧Vupとなる。
ベース電圧調整回路126は、モニタ電圧強化回路121に含まれるトランジスタQ21のエミッタに生じるモニタ電圧VM’の変動に応じて各制御電圧生成回路122~125に含まれるトランジスタQ22~Q25のエミッタ・コレクタ間が導通または非導通となるように、調整電圧Vupを生成する。
【0050】
図10は、太陽光発電システム1におけるスイッチSW1およびその周辺の回路構成の一例を示す。
スイッチSW1は、NMOSトランジスタ140と、リアクトル141と、ダイオードD31とを有する。
リアクトル141は、一端がダイオードD1のカソードに接続され、他端がNMOSトランジスタ140のドレインに接続されている。ダイオードD31は、アノードとカソードがそれぞれリアクトル141の他端と一端とに接続されている。NMOSトランジスタ140は、ゲートにPWM信号VP1が入力され、ソースが高電位ラインLHに接続されている。
NMOSトランジスタ140は、PWM信号VP1がハイレベルの電圧(例えば、高電位ラインLHの電圧+20V)のときに導通し、太陽電池ストリング11の出力電圧を高電位ラインLHに出力する。そして、NMOSトランジスタ140は、PWM信号VP1がローレベルの電圧(例えば、高電位ラインLHの電圧)のときに非導通となり、高電位ラインLHへの太陽電池ストリング11の出力を停止する。リアクトル141とダイオードD31は、突入電流を抑制する。
なお、ダイオードD1のカソードは、ノイズ除去用のコンデンサC31を介して低電位ラインLLに接続されている。
また、スイッチSW2~SW4も、スイッチSW1と同一の構成である。
【0051】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、高電位ラインLHの電圧が低下するにつれて、高電位ラインLHに並列に接続される太陽電池ストリングの数が増加する。このため、負荷装置等の消費電力や日差しの強さに応じて太陽電池ストリングから出力される電流を調節することができる。
また、第1の実施形態に係る太陽光発電システム1では、複数のスイッチを使用するため、個々のスイッチを小型化することができる。
更に、第1の実施形態に係る太陽光発電システム1では、前段のスイッチが常時導通した後に次のスイッチがスイッチングを開始するようにすることができ、この場合スイッチングノイズを大幅に削減することができる。
【0052】
図11は、本発明の第2の実施形態に係る太陽光発電システム2の構成の一例を示す。
太陽光発電システム2は、太陽電池ストリング15~18と、スイッチSW1~SW4と、定電圧電源20と、制御部100と、高電位ラインLHと、低電位ラインLLと、ダイオードD9、D41~D43、D45~D48と、コンデンサC1とを有する。
第2の実施形態に係る太陽光発電システム2のスイッチSW1~SW4と、定電圧電源20と、制御部100と、高電位ラインLHと、低電位ラインLLと、コンデンサC1と、ダイオードD9とは、第1の実施形態に係る太陽光発電システム1のものと同一の構成である。
第1の実施形態の太陽光発電システム1における太陽電池ストリング11~14と異なり、各太陽電池ストリング15~18は直列に接続される。すなわち、最初の太陽電池ストリング15は、最初のPWM信号VP1によって開閉が制御されるスイッチSW1を介して出力Voutが高電位ラインLHに接続され、グランドGDが低電位ラインLLに接続される。そして、最後の太陽電池ストリング18を除き、前段の太陽電池ストリングの出力Voutが次段の太陽電池ストリングのグランドGDに接続される。
【0053】
出力電圧が最も高い最終段の太陽電池ストリング18を除く各太陽電池ストリング15,16,17において、出力Voutは、スイッチSW1,SW2,SW3に加えて、それらと直列に接続された逆流防止ダイオードD41,D42,D43を介して高電位ラインLHに接続される。
最終段の太陽電池ストリング18はスイッチSW4を介して高電位ラインLHに接続されるが、最終段の太陽電池ストリング18もスイッチSW4に加えて、それと直列に接続された逆流防止ダイオードを介して高電位ラインLHに接続されてもよい。
【0054】
ダイオードD45は、アノードが太陽電池ストリング15のグランドGDに接続され、カソードが太陽電池ストリング15の出力Voutに接続される。すなわち、太陽電池ストリング15には、グランドGDから出力Voutに電流が流れる向きにダイオードD45が接続される。同様に、太陽電池ストリング16~18には、グランドGDから出力Voutに電流が流れる向きにダイオードD46~D48が接続される。
また、第1の実施形態に係る太陽光発電システム1と異なり、第2の実施形態に係る太陽光発電システム2では、定電圧電源20の電圧入力Vinに、最終段の太陽電池ストリング18の出力Voutが接続される。
【0055】
図12は、太陽光発電システム2において日差しの強さが変動した場合の電流の流れの一例を示す。
日差しの強さは、夏や冬等の季節や朝夕や正午等の時間帯により変動する。日差しが強いほど、個々の太陽電池ストリングの出力電圧は高い。
例えば、
図12(A)に示すように、高電位ラインLHの電圧が400Vであるときに各太陽電池ストリング15~18がそれぞれ230Vの電圧を出力する場合、太陽電池ストリング16と太陽電池ストリング17と太陽電池ストリング18の出力電圧は、それぞれ460Vと690Vと920Vとなる。このとき、スイッチSW1は常に閉じ、スイッチSW3とスイッチSW4は常に開く。スイッチSW2は、高電位ラインLHが400VとなるようにPWM制御されて開閉を繰り返す。電流は、太陽電池ストリング15と太陽電池ストリング16とスイッチSW2を通って流れる。スイッチSW1が閉じていても、逆流防止ダイオードD41に阻止されてスイッチSW1を通る電流は流れない。
また、例えば、
図12(B)に示すように、高電位ラインLHの電圧が400Vであるときに各太陽電池ストリング15~18がそれぞれ100Vの電圧を出力する場合、太陽電池ストリング16と太陽電池ストリング17と太陽電池ストリング18の出力電圧は、それぞれ200Vと300Vと400Vとなる。このとき、全てのスイッチSW1~SW4が常に閉じる。電流は、各太陽電池ストリング15~18とスイッチSW4を通って流れる。各逆流防止ダイオードD41~D43に阻止されて各スイッチSW1~SW3を通る電流は流れない。
【0056】
図13は、太陽光発電システム2において太陽電池ストリング15と太陽電池ストリング16が日陰になった場合の電流の流れの一例を示す。
太陽電池ストリング15と太陽電池ストリング16が日陰になると、これらの太陽電池ストリングの出力電圧は低下する。例えば、高電位ラインLHの電圧が400Vであるときに太陽電池ストリング15と太陽電池ストリング16の出力電圧が略0Vであり、太陽電池ストリング17と太陽電池ストリング18がそれぞれ230Vの電圧を出力する場合、スイッチSW1~SW3は常に閉じ、スイッチSW4は高電位ラインLHが400VとなるようにPWM制御されて開閉を繰り返す。電流は、ダイオードD45とダイオードD46と太陽電池ストリング17と太陽電池ストリング18とスイッチSW4を通って流れる。太陽電池ストリング15と太陽電池ストリング16には、電流が流れないため、電圧降下が生じない。
【0057】
以上説明したように、第2の実施形態によれば、個々の太陽電池ストリングの出力電圧が変動すると、高電位ラインLHに電圧を出力する太陽電池ストリングの数が変動し、高電位ラインLHの電圧は略一定に保たれる。このため、煩雑なMPPT(Maximum Power Point Tracking)制御が不要で、かつ応答速度が速い。
【0058】
なお、上述した実施形態に係る太陽光発電システムでは太陽電池ストリングを4個含む例を示したが、本発明にかかる太陽電池システムは、4個に限らず、太陽電池ストリングを2個、3個、または5個以上含んでいてもよい。制御部は、太陽電池ストリングの数に合わせてPWM信号を出力する。
また、上述した
図10では、スイッチング素子としてNMOSトランジスタを用いる例を示したが、スイッチング素子としてリレーを用いることもできる。
【0059】
以上、本発明の実施形態について説明したが、設計や製造上の都合やその他の要因によって必要となる様々な修正や組み合わせは、請求項に記載されている発明や発明の実施形態に記載されている具体例に対応する発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0060】
1,2…太陽光発電システム、11~14,15~18…太陽電池ストリング、20…定電圧電源、100…制御部、110…スロースタート部、111…モニタ電圧生成部、120…制御電圧生成部、121…モニタ電圧強化回路、122~125…制御電圧生成回路、126…ベース電圧調整回路、130…PWM信号生成部、131~134…コンパレータ、135…三角波生成回路、140…NMOSトランジスタ(スイッチ)、141…リアクトル、SW1~SW4…スイッチ、LH…高電位ライン、LL…低電位ライン、LC…定電圧ライン