(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】選別機
(51)【国際特許分類】
B65G 47/46 20060101AFI20220111BHJP
B65G 17/10 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
B65G47/46 H
B65G17/10 A
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018234197
(22)【出願日】2018-12-14
【審査請求日】2020-02-26
(31)【優先権主張番号】102017000146289
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】517146208
【氏名又は名称】フィーブス イントラロジスティクス ソチエタ ペル アツィオニ コン ソチオ ウニコ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】マッテオ フマガッリ
(72)【発明者】
【氏名】ロレンツォ キエレゴ
(72)【発明者】
【氏名】リッカルド マッキ
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-073022(JP,A)
【文献】特開2002-226038(JP,A)
【文献】特開2001-063821(JP,A)
【文献】特開2011-079589(JP,A)
【文献】特許第5895793(JP,B2)
【文献】特許第5486874(JP,B2)
【文献】特開平11-118517(JP,A)
【文献】特開平07-260512(JP,A)
【文献】特開平10-227809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/34-47/51
B65G 17/00-17/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の台車(2)であって、夫々の台車(2)が、該台車(2)から物品(O)を積込/積降するために選択的に起動され得る積込/積降装置(3)と、積込/積降信号を受信し、分析し、かつ、複数の動作モードから選択され前記積込/積降信号に一意的に関連付けされた1つの動作モードの一機能として前記積込/積降装置(3)を作動させるように構成された電子ユニット(4)とを有する、複数の台車(2)と、
前記積込/積降信号を生成するように構成された作動ユニット(11)を有すると共に、選別方向(X)に沿って位置付けされた複数の積込ステーション(9)及び複数の積降ステーション(10)と、を備える選別機において、
それぞれの台車(2)が定常磁場を発生させる永久磁石
を有し、
夫々の作動ユニット(11)が、前記永久磁石
により発生させられた前記定常磁場の存在を検出するように構成されたホール効果トランス
ジューサ(12)を有
し、
第1の台車として規定された前記複数の台車(2)のうちの一つの台車(2)が、他の台車(2)の前記永久磁石により発生させられた定常磁場の強度とは異なる強度の定常磁場を発生させる主永久磁石を含む、ことを特徴とする選別機。
【請求項2】
前記永久磁石
が、前記選別方向(X)に沿う前記台車(2)の送り方向に対して前記台車(2)の前方部分の中に位置付けされている、請求項1に記載の選別
機。
【請求項3】
夫々の作動ユニット(11)は、前記積込/積降信号が向けられる前記台車(2)の前記永久磁石
により発生させられた前記
定常磁場を前記ホール効果トランスジューサ(12)が検出した時点で前記積込/積降信号を伝送するように構成されている、請求項1又は2に記載の選別
機。
【請求項4】
夫々の作動ユニット(11)は、前記積込/積降信号が向けられる前記台車(2)の前記永久磁石
により発生させられた前記
定常磁場の最大強度を前記ホール効果トランスジューサ(12)が検出した時、すなわち、前記ホール効果トランスジューサ(12)と前記永久磁石
の間の距離が最小になった時で、前記積込/積降信号を伝送するように構成されている、請求項1~3の何れか一項に記載の選別機。
【請求項5】
夫々の作動ユニット(11)は、前記積込/積降信号が向けられる前記台車(2)の前記永久磁石
により発生させられた前記
定常磁場を前記ホール効果トランスジューサ(12)が検出した時点から0秒~1秒の待機時間の後に前記積込/積降信号を伝送するように構成されている、請求項1~3の何れか一項に記載の選別機。
【請求項6】
夫々のホール効果トランスジューサ(12)が30mm~40mmの公称半径を有する、請求項1~5の何れか一項に記載の選別機。
【請求項7】
前記主永久磁石が、他の永久磁石とは異なる少なくとも1つの特徴を伴って製造されており、前記少なくとも1つの特徴が、前記主永久磁石の形状、該主永久磁石のサイズ、該主永久磁石の製造材料の中から選択される、請求項
1に記載の選別機。
【請求項8】
前記積込/積降信号がデジタル信号、詳細には少なくとも1つのビットストリングを有するデジタル信号である、請求項1~
7の何れか一項に記載の選別機。
【請求項9】
夫々の積込ステーション(9)又は積降ステーションの夫々の作動ユニット(11)が、
デジタル信号を変調する可変周波数を有する磁場を発生させるように設計された誘導子(11a)を有する、請求項2~5の何れか一項に記載の選別機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選別システムの技術分野に関する。より具体的には、本発明は選別機に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、「クロスベルト」タイプの先行技術の選別システム、すなわち、積込ステップ及び目的場所における積降中に必要なさまざまな機能に応じて、主としてシステムの送り方向に直交する方向で、上に位置付けされている物体を移動させるように構成されたコンベヤベルトが夫々の台車に装備されているシステムにおいて、実装することが特に好適である。
【0003】
より詳細には、クロスベルトタイプの選別機は、選別すべき物品を台車上に積込むように設計されている積込ステーション、及び物品を積降し、概して蓄積させて、このように選別された材料の目的場所までの分配および配送に関する作業を行なう作業員の仕事を効率の良いものにする積降ステーションに平行に閉じた経路を占有し、閉じた経路に沿って移動する台車の列で構成されている。
【0004】
この特定のタイプの選別機において、台車には、物品を収容し選別するための機械の運動方向と直角を成す方向に電動モータによって起動され得るコンベアベルトが装備されている。
【0005】
積込ステーションの目的は、積込まれつつある物品の軌道を決定して、物品を収容するように設計された選別機の台車の運動とこの軌道を同期化し、このようにして、物品を正確な時間および速度で搭載移送できるようにすることにある。
【0006】
一方で、概して積降ステーションは、収集および保管用シュート、またはローラ保管用コンベヤで構成されている。すなわち、コンテナ、台車内または宅配業者の場合には直接配達手段内に選別済み荷物を移送する作業員の作業効率を高めるために保管機能が必要である。
【0007】
あらゆる瞬間において夫々の台車の経路に沿った位置を知っている選別機の制御システムによって、ベルト起動のためのさまざまなタイプの指令が生成される。
【0008】
選別機の制御システムには、そのエンコーダを構成する一群のセンサが装備されており、これを用いて制御システムは経路に沿った選別機の基本的順方向運動を測定する。
【0009】
したがって、積込積降ステーションと個別の台車の間の正確な同期を可能にし、こうして、適時に夫々の台車のコンベアベルトを起動させることによって、選別すべき物品が正しく積込/積降されることを保証するように、特にシステム内での情報の伝達に関して、このタイプの機械およびシステムにいかに高い精度レベルが求められるかは明白である。
【0010】
したがって、特に重大である1つの側面は、台車が相互作用しなければならない積込/積降ステーションとの関係におけるこの台車の正しい位置付けを決定できることである。
【0011】
アライメント条件を制御することは、指令の完全かつ確実な伝送を保証するため非常に重要である。しかしながら、先行技術の制御システムは、個別の台車の実際の位置が、例えば選別機の一部の構成要素の熱膨張または特にカーブにおいて異なる経路に導き得るチェーン等の機械の異なる張力条件などの一連の現象を理由として動的に変動し得ることから、個別の台車の実際の位置の正しい予測を経路に沿ったあらゆる場所において保証することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このような状況において、本発明の基礎を成す技術的目的は、先行技術の上述の欠点を克服する選別機を提供することにある。
【0013】
より具体的には、本発明の目的は、監視を可能にし、積込/積降中その構成要素の正しい位置付けを確保して最適な動作を保証することができる選別機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
指示されている技術的目的および規定された目的は、添付の特許請求の範囲の請求項の1つ以上に記載されている技術的特徴を含む選別機によって実質的に達成される。
【0015】
本発明は、夫々の台車が、台車から物品を積込/積降するために選択的に起動され得る積込/積降装置と、積込/積降信号を受信し、分析し、かつ、複数の動作モードから選択され受信した積込/積降信号に一意的に関連付けられた1つの動作モードの一機能として積込/積降装置を作動させるように構成された電子ユニットとを有する、複数の台車を備える選別機を開示する。
【0016】
選別機は、同様に、積込/積降信号を生成するように構成されたそれぞれの作動ユニットを含む選別方向「X」に沿って位置付けされた複数の積込ステーション及び複数の積降ステーションを有している。
【0017】
夫々の台車は、定常磁場を発生させる永久磁石を有し、夫々の作動ユニットは、永久磁石により発生させられた定常磁場の存在を検出するように構成されたホール効果トランスジューサを有する。
【0018】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付図面に例示されている選別機の好ましい非限定的な実施形態を参照しながら、以下の詳細な説明の中でより明白になり、図面は次の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図2】選別機の台車を詳細に示す、
図1の細部である。
【
図3】選別機の積込ステーションを詳細に示す、
図1の細部である。
【
図4】選別機の積降ステーションを詳細に示す、
図1の細部である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1を参照すると、参照符号1は、概して、同様に台車2に組付けられているモータ8により動作させられ得る積込/積降装置3および電子ユニット4を備えた複数の台車2を含む選別機を表わしている。
【0021】
図2に詳しく例示されている夫々の台車は同様に、連続的な台車の列が沿って移動する主選別方向「X」を画定する閉じた経路7上に位置付けされた連続する列を形成するように、ホイール6を備え、かつ隣接台車と回転可能な形で連結されているフレーム5も含んでいる。
【0022】
好ましい一実施形態によると、積込/積降装置3は、選別方向X’に直交する積込/積降方向「Y」に位置設定されたコンベアベルトの形で作られている。
【0023】
代替的には、積込/積降装置3は、例えば傾斜している可能性のある平面を用いて作製されてよい。
【0024】
電子ユニット4は、信号、特に積込/積降信号を受信し、処理しかつ必要な場合には生成することのできる電子基板を含む。
【0025】
選別機1は同様に、台車2の積込/積降装置3を起動することで物品「O」を積込ステーション9から台車2上に積込し、同じ物品「O」を台車から積降ステーション10まで積降することができるような形で、選別方向「X」で、特に閉じた経路6に平行して位置付けされている、
図3~4に詳細に示された複数の積込ステーション9および複数の積降ステーション10も含んでいる。
【0026】
夫々のステーション9、10は、積込/積降信号を生成するように構成された作動ユニット11を含む。
【0027】
より具体的には、積込/積降信号は、少なくとも1つのビットのストリングを含むデジタル信号であってよい。
【0028】
好ましい実施形態によると、電子ユニット4は、好ましくは選別方向「X」に沿って台車2のサイズよりわずかに小さい長さの、詳細には選別方向「X」に沿って台車2のサイズの45%~55%の長さを有する、プリント回路上に形成された巻線4a、及びデジタル信号20を受信し、処理し、かつ必要な場合には信号を生成することのできる電子基板4bで構成された受信要素を有する。
【0029】
より具体的には、夫々のカート2は700mm~900mmの長さを有していてよく、好ましくは夫々の台車2は800mmの長さを有し、巻線4aは350mm~400mm、好ましくは380mmの最大長を有する。
【0030】
再びこの実施形態によると、夫々のステーション9、10の作動ユニット11は、好ましくは3kHz~55kHzの可変周波数を有する磁場を発生させるように設計された誘導子11aを含む。
【0031】
より具体的には、誘導子は、3kHz~8kHz、好ましくは5kHzの周波数を有する第1の磁場および47kHz~53kHz、好ましくは50kHzの周波数を有する第2の磁場を発生させるように構成されている。
【0032】
磁気誘導に関するファラデーの法則によると、閉じたライン内で磁場によって誘導される起電力は、閉じたラインにより限定された表面を通した場の磁束の単位時間あたりの変動の逆に等しい。
【0033】
誘導子11aが、発生した磁場の周波数を変調させて1つの値からもう1つの値に移行させた場合、この場と同じ周波数変調で変動し電子基板4bにより読取り、解釈および作動させられる電気信号が、電子ユニット4のアンテナ内で生成される。
【0034】
積込/積降信号の伝送が開始する瞬間における積込ステーション9および積降ステーション10との関係における台車2の正しい位置付けを保証するために、電子ユニット4はさらに、定常磁場を発生させる永久磁石4cを含み、こうして、磁場の強度の周波数変調に基づく積込/積降信号の正常な伝送に干渉せず、夫々のステーション9、10はホール効果トランスジューサ12を含む。
【0035】
ホール効果トランスジューサ12は、磁場の存在/近接性に応答してその出力電圧を変動させるセンサである。
【0036】
ホール効果トランスジューサ2において、電流は導電性材料内を流れるように強制され、磁場の存在下で、電子は電流の流れに直交する方向に偏向させられ、結果として同じ方向に電位差を発生させる。
【0037】
変調された周波数の場の存在を検出することしかできない導体材料製のワイヤの巻線を用いて通常作られる誘導センサとは異なり、ホール効果トランスジューサ12は、永久磁石4cが発生させる定常磁場などの定常磁場も検出できるという利点を有する。
【0038】
荷電粒子ビームが磁場を通過するとき、この磁場はビームと相互作用してビームをシフトさせ、こうして、粒子のビームの正常な流れの方向とは異なる方向にホール電圧として知られる電位差をもたらし得るほどの電荷分布を発生させる。
【0039】
より具体的には、
図5に例として示されているように、電流の流れにより影響される導電性材料が、電子の流れ方向「B」に直交する方向「A」に沿って位置付けされた力線を有する定常磁場の存在下に置かれた場合、これらの力線は偏向させられ、こうして周知の右手の法則にしたがって両方に直交する方向「C」で電位差を発生させる。
【0040】
ホール効果トランスジューサ12は、アナログトランスデューサとしてと同時にスイッチとしても動作することができる。
【0041】
第1の事例においては、永久磁石が発生させる定常磁場の強度が分かっているため、内部で生成されるホール電圧の関数としてホール効果トランスジューサ12からの距離を計算することが可能である。
【0042】
第2の事例においては、ホール効果トランスジューサ12は、磁場の存在が検出されるか否かに応じて、装置を起動/起動解除するように構成されている。
【0043】
上述のことにしたがい、好ましい実施形態によると、夫々の作動ユニットは、積込/積降信号が向けられる台車2の永久磁石4cにより発生させられた磁場をホール効果トランスジューサ12が検出した時点で積込/積降信号の伝送を開始するように構成されている。
【0044】
より詳細には、夫々の作動ユニット11は、積込/積降信号が向けられる台車2の永久磁石4cにより発生させられた磁場の最大強度をホール効果トランスジューサ12が検出した時、換言すると、ホール効果トランスジューサ12と永久磁石4cの間の距離が最小になったことが示された時点で積込/積降信号を伝送するように構成されている。
【0045】
代替的には、夫々の作動ユニット11は、伝送を開始する前に、積込/積降信号が向けられる台車2の永久磁石4cにより発生させられた磁場をホール効果トランスジューサ12が検出した時から、例えば0秒~1秒の待機時間だけ待機するように構成されている。
【0046】
選別機1の正しい動作および積込/積降信号の伝送効率を保証できるように、夫々のホール効果トランスジューサ12は、30mm~40mm、より好ましくは20mmに等しい公称半径を有する。
【0047】
公称半径なる用語は、それ以下であればホール効果トランスジューサ12が確実に磁場の存在を検出することができる最大距離を意味する。
【0048】
より具体的には、ホール効果トランスジューサ12による台車2の存在の検出と信号の伝送開始との間の正しい同期化を保証するため、永久磁石4cは好ましくは台車2の前方部分内に位置付けされる。
【0049】
電子ユニット4がプリント回路上に形成された巻線4aからなる受信要素を含む特定の実施形態の場合、永久磁石4cは好ましくは、選別方向「X」に沿ったその送り方向おいて台車2の前方端部の方に面している巻線4aの端部に位置付けされる。
【0050】
台車2に対する積込/積降信号の正しい伝送を可能にする形で台車2の区別および識別プロセスをさらに最適化する目的で、これら複数の台車のうちの、第1の台車2aとして定義された1つの台車は、他の台車2の永久磁石4aが発生させる定常磁場の強度とは異なる強度の定常磁場と発生させる主永久磁石4bを含んでいてよい。
【0051】
この効果を得るために、主永久磁石4bは、互いに異なる定常磁場を発生させるような形で作製される。例えば、形状、サイズまたはその製造材料を変動させることが可能である。
【0052】
有利にも、本発明に係る選別機1は、先行技術の上述の問題を克服することを可能にする。
【0053】
実際、夫々のステーション9、10上でのホール効果トランスジューサ12の適用に加えて永久磁石4cを夫々の台車上に設置することにより、ステーションとの関係における台車2の配設を実時間でかつ極めて正確に監視することが可能になり、こうして、積込/積降信号の伝送を開始するために最良の瞬間の選択を自動的に保証することができるようになっており、こうして、システムの機能不良を結果としてもたらし得る伝送エラーまたは不具合は回避される。
【0054】
この解決法は、台車2とステーション9、10間のいかなる接触も必要とせず、したがって選別機1の構造上および設置上の複雑さは実質的に削減されることから、同様に極めて効率的で高性能である。