(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】選別機を制御する方法
(51)【国際特許分類】
B65G 47/46 20060101AFI20220111BHJP
B65G 17/10 20060101ALI20220111BHJP
B65G 43/08 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
B65G47/46 H
B65G17/10 A
B65G43/08 F
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2018234208
(22)【出願日】2018-12-14
【審査請求日】2020-03-03
(31)【優先権主張番号】102017000146244
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】517146208
【氏名又は名称】フィーブス イントラロジスティクス ソチエタ ペル アツィオニ コン ソチオ ウニコ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100147555
【氏名又は名称】伊藤 公一
(74)【代理人】
【識別番号】100160705
【氏名又は名称】伊藤 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】マッテオ フマガッリ
(72)【発明者】
【氏名】ロレンツォ キエレゴ
(72)【発明者】
【氏名】リッカルド マッキ
【審査官】大塚 多佳子
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-073022(JP,A)
【文献】特開2002-226038(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 47/34-47/51
B65G 17/00-17/48
B65G 43/00-43/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の台車(2)を有する選別機(1)を制御するための方法であって、夫々の台車(2)が、該台車(2)から物品(O)を積込/積降するために選択的に起動され得る積込/積降装置(3)と、デジタル信号
(20)を受信し分析するように構成された電子ユニット(4)とを備える、方法において、
夫々が誘導子(11)を有する複数の積込ステーション(9)および複数の積降ステーション(10)のある選別方向(X)に沿って前記台車(2)を移動させるステップと、
複数の動作モードから選択された1つの動作モードと一意的に関連付けられた前記デジタル信号(20)を変調させる可変周波数を有する磁場を前記誘導子(11)によって発生させるステップであって、前記デジタル信号(20)が
既定のビット数のビットストリングを有するステップと、
電磁誘導により、前記デジタル信号(20)を前記台車(2)の前記電子ユニット(4)に伝送するステップと、
前記電子ユニット(4)において前記デジタル信号(20)を受信し、前記電子ユニット(4)から受信した前記デジタル信号(20)と一意的に関連付けられた前記動作モードにしたがって積込/積降装置(3)を起動するステップと、
を含
み、
前記誘導子(11)は、論理状態「0」と結び付けられた既定の周波数で前記磁場を変調するとともに、論理状態「1」に結び付けられた他の既定の周波数で前記磁場を変調して、既定の持続時間を有する変調パルスの列で構成された信号を生成し、
前記変調パルスは、隣接する変調パルスから既定された休止時間によって離隔されている、
方法。
【請求項2】
前記複数の動作モードの夫々が実行すべき機能およびパラメータセットを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記実行すべき機能が、前記台車(2)への積込、前記台車(2)からの積降、前記台車(2)上に位置設定された前記物品(0)のセンタリング、特殊機能の中から選択され、該特殊機能には、パラメータの伝送、前記台車(2)と関連付けすることのできる起動-起動解除用構成要素および周辺機器のための指令の伝送、固定されているおよびユーザにより予め設定されている可能性のあるパラメータセットにより特徴付けられる前記特殊機能の実行、のうちの1つが含まれる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記パラメータセットが、前記積込/積降装置の積込/積降方向(Y)との関係における積込/積降方向、前記積込/積降装置(3)の起動速度、前記積込/積降装置(3)の加速および/または減速、選択された機能の実行の開始に先立つ時間遅延、機能の持続時間のうちの少なくとも1つを含む、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記ビットストリングが24ビットである、請求項1~4の何れか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記論理状態「0」に関連付けられた前記磁場の前記周波数が3kHz~8kHzであり、好ましくは5kHzに等しく、前記論理状態「1」に関連付けられた前記磁場の前記周波数が47kHz~53kHzであり、好ましくは50kHzに等しい、請求項
1~5の何れか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記デジタル信号(20)が2ms~3ms、好ましくは2.4msの持続時間の矩形パルス列からなり、夫々のパルスが1ms~2ms、好ましくは1.5msの休止時間だけ隣接パルスから離隔されている、請求項1~
6の何れか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記複数の積込ステーション(9)又は前記複数の積降ステーション(9)に対して、前記台車(2)の前記電子ユニット(4)から信号を伝送するために、該信号の
転送方向を反転させるステップを含む、請求項1~
7の何れか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記デジタル信号(20)が周波数シフトキーイング変調ダイヤグラムを用いて変調される、請求項1~
8の何れか一項に記載の方法。
【請求項10】
複数の台車を含む選別機において、
夫々の台車(2)が、
該台車(2)から物品(O)を積込/積降するために選択的に起動され得る積込/積降装置(3)と、
デジタル信号(20)を受信し分析するように構成された電子ユニットであって、前記デジタル信号(20)が、
既定のビット数のビットストリングを有し、該ビットストリングに一意的に関連付けられた複数の動作モードから選択された一動作モードの一機能として前記積込/積降装置(3)を作動させる電子ユニットと、
を備え
、
選別方向(X)に沿って位置付けされた複数の積込ステーション(9)及び複数の積降ステーション(10)を備え、夫々の積込ステーション(9)及び積降ステーション(10)が、前記デジタル信号(20)を変調させる可変周波数を有する磁場を発生させるように設計されたそれぞれの誘導子(11)を有し、
前記誘導子(11)は、論理状態「0」と結び付けられた既定の周波数で前記磁場を変調するとともに、論理状態「1」に結び付けられた他の既定の周波数で前記磁場を変調して、既定の持続時間を有する変調パルスの列で構成された信号を生成し、
前記変調パルスは、隣接する変調パルスから既定された休止時間によって離隔されており、
前記電子ユニット(4)が、前記デジタル信号(20)を変調させる可変周波数を有する磁場を発生させるように構成されており、夫々の積込ステーション(9)又は積降ステーション(10)が、ビットストリングを有する前記デジタル信号を受信し分析するように構成されている
、
選別機。
【請求項11】
前記誘導子(11)が3kHz~55kHzの周波数を有する磁場を発生させるように構成されている、請求項
10に記載の選別機。
【請求項12】
前記積込/積降装置(3)がコンベヤベルトを有する、請求項
10又は11の何れか一項に記載の選別機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、選別システムの技術分野に関する。より具体的には、本発明は、選別機を制御する方法および関連する選別機に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、「クロスベルト」タイプの選別システム、すなわち、積込ステップおよび目的場所における積降中に必要なさまざまな機能に応じて、主としてシステムの送り方向に直交する方向で、上に位置付けされている物体を移動させるように構成されたコンベヤベルトが夫々の台車に装備されているシステム上で実装するために特に好適である。
【0003】
より詳細には、クロスベルトタイプの選別機は、選別すべき物品を台車上に積込むように設計されている積込ステーションおよび、物品を積降し、概して蓄積させて、このように選別された材料の目的場所までの分配および配送に関する作業を行なう作業員の仕事を効率の良いものにする積降ステーションに並行する閉回路を占有しこれに沿って移動する台車の列で構成されている。
【0004】
この特定のタイプの選別機において、台車には、物品を収容し選別するための機械の運動方向と直角を成す方向に電動モータによって起動され得るコンベアベルトが装備されている。
【0005】
積込ステーションの目的は、積込まれつつある物品の軌道を決定して、物品を収容するように設計された選別機の台車の運動とこの軌道を同期化し、このようにして、物品を正確な時間および速度で搭載移送できるようにすることにある。
【0006】
一方で、概して積降ステーションは、収集および保管用シュート、またはローラ保管用コンベヤで構成されている。すなわち、コンテナ、台車内または宅配業者の場合には直接配達手段内に選別済み荷物を移送する作業員の作業効率を高めるために保管機能が必要である。
【0007】
あらゆる瞬間において夫々の台車の経路に沿った位置を知っている選別機の制御システムによって、ベルト起動のためのさまざまなタイプの指令が生成される。
【0008】
選別機の制御システムには、そのエンコーダを構成する一群のセンサが装備されており、これを用いて制御システムは経路に沿った選別機の基本的順方向運動を測定する。
【0009】
したがって、積込積降ステーションと個別の台車の間の正確な同期を可能にし、こうして、適時に夫々の台車のコンベアベルトを起動させることによって、選別すべき物品が正しく積込/積降されることを保証するように、特にシステム内での情報の伝達に関して、このタイプの機械およびシステムにいかに高い精度レベルが求められるかは明白である。
【0010】
さまざまなタイプの動作モードが満たさなければならないニーズを定義した後、ここで、クロスベルトタイプの選別機の台車のベルトの起動を制御するために自動選別部門において応用されたさまざまな技術的解決法についての簡単な説明が提供される。
【0011】
選別機を制御するための最初の技術的解決法は、変調された赤外光の発出を通した非接触通信に基づくものである。すなわち、搭載型制御ユニットが、例えば積込/積降などの所要の機能を実行するための指令をモータに与えることができるようにするパラメータの値を伴うメッセージを伝達するのに充分な時間にわたり制御すべき台車に搭載された好適な電子ユニットとの光学アライメントが可能になるような形で、選別機のスライディングトラック上に、制御装置が位置付けされる。
【0012】
この解決法は、光学アライメントの短い時間的間隔内での大きなデータ伝送能力のため、充分な融通性を可能にし、個別のサーボモータの直接的指令を可能にし;こうして単純性という特徴を有するが、これは、光パルスによる伝送が容易に、例えば日光または人工光などの環境による擾乱を受けることから、予防および是正保全を必要とする。
【0013】
制御方法は同様に、塵埃、紙片および湿気に起因して不明瞭になりやすく、赤外線エミッタは、同様に、経時的劣化も著しく被り、これは効率レベルに有意にもマイナスの影響を及ぼし得る。
【0014】
第2の技術的解決法は、無線伝送、詳細には、夫々通信装置を装備したおよそ100メートルの長さのセグメントに分割された、選別機の経路全体をカバーする穴付き同軸ケーブルを通した短距離伝送に基づくものである。
【0015】
この解決法は、工業的自動化部門における移動体動作ユニット上でフィールドバス通信規格の拡張を可能にするための商業規格として利用可能である。
【0016】
この場合、実用性および経済性の理由から、選別機の台車は、台車の列に分割され、ここで、列のための一つの台車に、この台車に対応するケーブルセグメントの通信装置との通信および処理用装置が装備されている。
【0017】
受信された指令は、デコーディングされ、列を構成する個別の台車上に組付けられたモータのさまざまなサーボドライブに分配される。
【0018】
この解決法は、制御システムと夫々の台車列の間の事実上連続的な通信が可能であるため、大きな融通性を可能にする。すなわち、この解決法によると、台車の位置に関連する制約無く、積込または積降軌道を動的に変更すること、任意の所要動作速度に容易に適応すること、そして、個別の台車のベルトの起動を決定するさまざまなパラメータの値を容易に変更することが可能である。
【0019】
しかしながら、システムの特徴を考えると、この解決法は、選別機について応用するには、極めて複雑で高コストである。
【0020】
その上、台車の処理および通信装置に障害があれば、対応する台車列全体の損失の原因となり、したがって、長期にわたることすらあるシステム全体の停止を必要とし得る緊急保全作業の実施が必要になることが考えられる。
【0021】
台車との連続的通信を可能にする別の技術的解決法は、選別機の経路全体に沿って位置付けされた導体バー上を摺動するピックアップを通したメッセージの伝送に基づくものである。すなわち、この解決法はすでに長年にわたり使用されてきており、結果として摩耗するために接点の定期的交換を必要とするが、それでもなお、充分に実用的かつ経済的である。
【0022】
これらの場合において、導体バーおよびスライディングピックアップは同様に、サーボモータに動力供給するために必要とされる電気を取込むためにも使用される。
【0023】
この解決法は事実上先の解決法と同じ融通性の観点から見た利点を有し、選別機に対する応用に関しては、より低いコストを可能にするが、障害が発生した場合、台車列全体を失う可能性および複雑性に起因する同じ欠点も有する。
【0024】
その上、スライディングピックアップは、特に摩耗を受け、時として、現在の選別機の高い動作速度に起因する不具合をこうむる。
【0025】
したがって、この解決法は、連続的な予防制御保全と共に、スライディングピックアップの交換のための是正保全を必要とする。
【0026】
最後に、モータの回転方向ひいては台車の送り方向との関係における台車の積込/積降方向を定義付ける値を有する2つの考えられる周波数のうちの一方の周波数を有する変調された磁場を発出することのできる選別機のスライディングトラック上に設置された指令誘導子を用いた、基本起動接点指令無しの伝送用磁気誘導原理を使用する、特許文献1に基づく先行技術の解決法が存在する。
【0027】
この解決法は単純なものであるため、高度の信頼性および容易な保全を可能にするが、指令の基本的伝送はパラメータ値を許容しないことから、融通性が欠けるため、利用分野が限定される結果となる。
【0028】
しかしながら、この解決法は、特に、多くの場合出力端で製品を蓄積するかまたは一定の製品の特徴に適応するために選別軌道を変動させることが必要である、非常に限定された空間内に非常に多くの選別目的地が概して存在する、荷物選別部門、郵便部門および物流販売部門においては、それほど高い性能を発揮しない。
【0029】
多くの場合において、選別機が少なくとも2つの異なる動作速度で動作できることも一般的に求められている。
【0030】
これらの場合においては、先の要件は一部しか満たされない可能性があり、こうして、構造上の複雑性およびシステムのコストは増大する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0031】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0032】
このような状況において、本発明の基礎を成す技術的目的は、先行技術の上述の欠点の少なくとも一部を克服する選別機のための制御方法を提供することにある。
【0033】
より具体的には、本発明の目的は、選別システムの異なる利用状況に容易に適応するような形で調整が容易な異なる作動パラメータで複数の機能を実行することを可能にするより大きな融通性および汎用性を提供できる選別機制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0034】
指示されている技術的目的および規定された目的は、添付のクレームの1つ以上に記載されている技術的特徴を有する選別機のための制御方法により、実質的に達成される。
【0035】
本発明は、夫々の台車が、台車から物品を積込/積降するために選択的に起動され得る積込/積降装置とデジタル信号を受信し分析するために構成された電子ユニットとを有する、複数の台車を備える選別機を制御するための方法を記述する。
【0036】
この方法は、以下のステップを有する。すなわち、
夫々が誘導子を有する複数の積込/積降ステーションのある選別方向に沿って台車を移動させるステップと、
台車の複数の考えられる動作モードから選択された1つの動作モードと一意的に関連付けられたデジタル信号、特にビットストリングを有するデジタル信号を変調させる可変周波数を有する磁場を誘導子によって発生させるステップと、
電磁誘導により、デジタル信号を台車の電子ユニットに伝送するステップと、
電子ユニットにおいてデジタル信号を受信し、電子ユニットから受信したデジタル信号と関連付けられた動作モードにしたがって積込/積降装置を起動させるステップと、を有する。
【0037】
本発明の別の目的は、複数の台車を有する選別機において、夫々の台車が、台車から物品を積込/積降するために選択的に起動され得る積込/積降装置と、デジタル信号を受信し分析するために構成された電子ユニットであって、デジタル信号がビットストリングを含み、デジタル信号を用いて受信されたビットストリングに一意的に関連付けられた一動作モードの一機能として積込/積降装置を作動させる電子ユニットと、を備える選別機を提供することにある。
【0038】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付図面に例示されている選別機のための制御方法の好ましい非限定的な実施形態を参照しながら、以下の説明の中でより明白になり、図面は次の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図2】選別機の台車を詳細に示す、
図1の細部である。
【
図3】選別機の積込ステーションを詳細に示す、
図1の細部である。
【
図4】選別機の積降ステーションを詳細に示す、
図1の細部である。
【
図5】台車上に組付けられた電子ユニットおよび台車と結合された積込ステーションまたは積降ステーションの誘導子を示す。
【
図6】磁場を変調させることによりデジタル信号を発生させる一実施例を示す。
【
図7a】積込機能に対応する考えられる実行モードを示す。
【
図7b】積降機能に対応する考えられる実行モードを示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1を参照すると、符号1は概して、同様に台車2に組付けられているモータ8により動作させられ得る積込/積降装置3および電子ユニット4を備えた複数の台車2を有する選別機を表わしている。
【0041】
図2に詳しく例示されている夫々の台車2は同様に、連続的な台車の列が沿って移動する主選別方向「X」を画定する閉鎖経路7上に位置付けされた連続する列を形成するように、ホイール6を備え、かつ、隣接台車と回転可能な形で連結されているフレーム5も含んでいる。
【0042】
好ましい一実施形態によると、積込/積降装置2は、選別方向に直交する積込/積降方向「Y」に位置設定されたコンベアベルトの形で作られている。
【0043】
代替的には、積込/積降装置3は、例えば傾斜している可能性のある平面を用いて作製されてよい。
【0044】
図5に詳細に示されている電子ユニット4は、好ましくは、選別方向「X」に沿った台車2のサイズよりもわずかに短い長さの、詳細には選別方向「X」に沿った台車2のサイズの45%~55%の長さを有するプリント回路上に形成された巻線4aと、デジタル信号20を受信し処理し、かつ、必要であれば生成することのできる電子基板4bとで構成される受信用要素を含んでいる。
【0045】
より具体的には、夫々の台車2は、700mm~900mmの長さを有していてよく、好ましくは、夫々の台車2は800mmの長さを有し、巻線4aは350mm~400mm、好ましくは380mmの最大長を有する。
【0046】
選別機1は同様に、選別方向「X」に沿って、詳細には閉鎖経路6に並行して位置付けされて、台車2の積込/積降装置3の起動により物品「O」を積込ステーションから台車2上に積込みし、同じ物品「O」を台車から積降ステーション10に積降しすることが可能になっている、
図3および4に詳細に示された複数の積込ステーション9と複数の積降ステーション10とを含んでいる。
【0047】
夫々のステーション9、10は、好ましくは3kHz~55kHzの可変周波数を有する磁場を発生させるように設計された誘導子11を有する。
【0048】
より具体的には、誘導子は、3kHz~8kHz、好ましくは5kHzの周波数を有する第1の磁場21a及び47kHz~53kHz、好ましくは50kHzの周波数を有する第2の磁場21bを発生させるように構成されている。
【0049】
磁気誘導に関するファラデーの法則によると、閉鎖ライン内で磁場によって誘導される起電力は、閉鎖ラインにより限定された表面を通した場の磁束の単位時間あたりの変動の逆に等しい。
【0050】
誘導子11aが、発生した磁場の周波数を変調させて1つの値からもう1つの値に移行させた場合、この場と同じ周波数変調で変動し電子基板4bにより読取り、解釈および作動させられる電気信号が、電子ユニット4の巻線4a内で生成される。
【0051】
誘導による磁気結合を通した通信により、選別機の全ての利用分野に必要とされる動作モードを達成するために必要なパラメータをエンコーディングする制御メッセージの伝送が可能となり、これにより必要な融通性が得られ、誘導磁気結合を通した通信のロバスト性、信頼性、低コストおよび容易な保全という特徴が同時に保証される。
【0052】
より具体的には、誘導子11と台車2のモータ8を制御する制御ユニット4との間の誘導磁気結合を通して伝送される指令は、既定の長さおよび構造を有するデジタル信号20からなり、ここで、
図6に示されているように、メッセージの個別ビットの考えられる論理状態は、2つの既定の周波数のうちの1つにおいて誘導子11により変調された磁場により生成される信号21の発出を通してコーディングされる。
【0053】
非限定的な例としてここで説明されている好ましい実施形態において、これらの周波数は、3kHz~8kHzの範囲内、好ましくは5kHz、および47kHz~53kHzの範囲内、好ましくは50kHzである。
【0054】
より具体的には、好ましくは前述のように行なわれる選別機1の制御方法は、夫々誘導子11を有する複数の積込ステーション9および積降ステーション10が両側にある選別方向「X」に沿って連続的な台車の列を移動させるステップを有する。
【0055】
換言すると、選別機1の一使用構成において、夫々の台車は、選別方向「X」を画定する閉鎖経路7に沿って移動させられ、積込ステーション9および積降ステーション10に並行して通過し、こうして連続的に、第1のステーションに由来する物品フローを収容しそれを第2のステーションに搬送することができるようにしている。
【0056】
この方法は、台車2により実行され得る考えられる機能およびこれらの機能を特徴付けるパラメータに関係する複数の動作モードから選択された1つの動作モードに一意的に関連付けられたデジタル信号20を変調させるために可変周波数を有する磁場を誘導子11によって発生させるステップを有する。
【0057】
その結果として、複数の動作モードのうちの夫々の動作モードは、1つの実行すべき機能およびこの機能を作動させる上で従う一組のパラメータを含み、定義付けすることになる。
【0058】
より具体的には、台車2により実行され得る考えられる機能の例としては、台車2の積込、台車2の積降、積込/積降装置3上で輸送される物品「O」のセンタリング、がある。
【0059】
一連の特殊な動作、すなわち厳密に積込/積降動作に関連していないものの効率を改善するのに有用である動作、例えば選別機1の動作パラメータの伝送、台車2に結び付けられ得る起動-起動解除用構成要素および周辺機器のための指令の伝送、固定されているおよびユーザにより予め設定されている可能性のあるパラメータセットによって特徴付けされる特殊機能の実行、も同様に実行可能である。
【0060】
個別の機能を修正し特徴付けするためにその中からの選択が可能であるパラメータセットには、例えば以下のようなパラメータが含まれる。すなわち、積込/積降装置3の回転方向、積込/積降装置3の回転速度、積込/積降装置3の加速および/または減速、選択された機能の実行開始に先立つ時間遅延、機能の持続時間。
【0061】
図7aおよび7bは、本発明に係る制御方法によって実装可能な考えられる動作モードのうちの2つに関係する速度プロファイルをより詳細に示す。
【0062】
より具体的には、
図7aは、物品「O」を搭載するよう積込むために台車2上の積込/積降装置3を起動する指令が、速度値を受信し、その後速度値を恒常な値14に維持して、安定性を最大限にする形で積込/積降装置3の中心に向かって物品「O」を持っていくことを促進するような加速値での加速ステップ13を求めている、台車2に積込むための機能12を示している。
【0063】
最後に、物品「O」の運動量を段階的に削減して滑りを防止し、したがって、結果として積込/積降装置3から落下するリスクを無くするための減速ステップ15が存在する。
【0064】
その上、積込ステーション9との関係における入力軌道を効率良く調整して、選別機1が異なる速度で動作できる利用分野を達成できるように、指令の受信とその実際の実行との間の可変的遅延を入力できることが有用である。
【0065】
一方で、
図7bに詳細に示されている台車2から積降するための機能の場合には、搭載された物品「O」を積降するために台車上の積込/積降装置3を起動するための指令は、物品「O」が滑らないようにするため、ひいては選別された物品「O」に繰返し可能で、それらの重量とは無関係な出力軌道を与えるように速度を恒常値18に維持する加速度値での加速ステップが求めている。最後に、積込/積降装置3は、既定のデフォルト減速値19を適用することによって停止される。
【0066】
さらに、同じくこの場合においては、選別機1が異なる速度で動作できる利用分野を達成するために、積降ステーション10との関係における出力軌道を効率良く調整することができるように、指令の受信とその実際の実行の間の可変的遅延を入力できることが有用である。
【0067】
上述の実施例は、本発明に係る選別機1および制御方法の動作をより明確にする目的で例示されている、実装可能な考えられる動作モードのいくつかを表わしているにすぎず、したがって、実行可能な機能およびその作動のためのパラメータセットの両方の観点から見て網羅的かつ限定的なリストとしてみなされるべきものではないという点を指摘しておかなければならない。
【0068】
このとき、前記方法は、磁気誘導を用いて台車2、特にデジタル信号20を生成した誘導子11を有する積込ステーション9または積降ステーション10に隣接する台車2の電子ユニットに対してデジタル信号20を伝送するステップを有する。
【0069】
デジタル信号20は、台車2の電子ユニット4において受信され、受信されたデジタル信号20に一意的に関連付けられた動作モードにしたがって、積込/積降装置3の起動をひき起こす。
【0070】
所望の動作モードを実行するために必要な全ての情報を正確に伝送するために、デジタル信号20はビットストリング、好ましくは24ビットのストリングを含み、これを用いて、機能ひいてはこの機能を実行する上で従うべき動作パラメータの選択に関する全ての情報がコーディングされる。
【0071】
ストリングを作り上げる個別のビットの論理状態を定義付けするために、誘導子は、論理状態「0」と結び付けられて3kHz~8kHzの範囲内、好ましくは5kHzで、論理状態「1」に結び付けられて47kHz~53kHzの範囲内、好ましくは50kHzで磁場を変調するように構成されている。
【0072】
したがって、伝送された「メッセージ」の24ビットは、実際には、それらが互いに1つの休止により隔離されたゼロまたは単位からなるという事実に基づいて、5または50kHzの24個の変調パルスの「列」で構成されている。
【0073】
より具体的には、磁場の周波数変調により生成されるデジタル信号20は、2ms~3ms、好ましくは2.4msの信号時間23と呼ばれる持続時間の矩形パルス列22からなり、ここで、夫々のパルスは、1ms~2ms、好ましくは1.5msの休止時間24によって隣接パルスから離隔されている。
【0074】
概して、エラーを有するまたは正しく伝送/受信されなかったデジタル信号20が実行されないように保証するデジタル信号20の有効性に関する制御が存在する。
【0075】
1ビットの正しい受信を確認するためには、この特定のビットに関係する磁場の変調は、例えば2ms超の精確な既定の持続時間を有していなければならない。
【0076】
同様にして、休止時間24の正しい獲得を保証するためには、この変調は、例えば1ms超の精確な既定の持続時間を有していなければならない。
【0077】
休止時間が例えば2ms超といった充分に長い期間にわたる場合、これは、伝送25の終りの標示として解釈され、それはデジタル信号20が完了し、完全に伝送され、したがってその中に含まれる情報の実行開始が可能であることを表わす。
【0078】
伝送の完了時点で、エラーを回避するためにはなお、デジタル信号20の無欠性をチェックし、ストリング中に含まれたビットの数が計画された数、すなわちここで一例として提示された事例では24ビットと整合することをチェックする必要がある。
【0079】
受信されストリング内に含まれるビットの数が24より多いかまたは少ないことが発見された場合には、デジタル信号20は無視されるということは明白である。
【0080】
特に、原点でエラーが発生した場合、すなわち、デジタル信号20の伝送中にすでにエラー、例えば正しくない論理値を有するビットが検出された場合、誘導子11は、さらなるビットの伝送をひき起こすように構成されており、したがってこれによりストリングは上述の有効性基準と相容れないものとなるという点を指摘しておくべきである。
【0081】
有利には、デジタル信号20の伝送方向を逆転して、このデジタル信号が電子ユニット4から、既定の瞬間において台車2に隣接するステーション9、10の誘導子11に向かって伝送されるようにすることも同様に可能である。
【0082】
換言すると、夫々のステーション9、10から夫々の台車におよびその逆にデータ/情報の伝送を行なうことが可能であり、こうして、選別機1の汎用性は増大され、例えば電子ユニット4のファームウェアの更新などの複雑な動作でさえ実行することが可能になる。
【0083】
この目的で、電子ユニット4は、デジタル信号を変調する可変周波数を有する磁場を発生させるように構成されており、夫々の積込ステーション9及び夫々の積降ステーション10は、ビットストリングを有するデジタル信号20を受信し分析するように構成されている。
【0084】
有利には、本発明に係る制御方法は、先行技術の上述の問題を克服することを可能にする。
【0085】
実際、マルチビット制御信号の導入によって、選別機1をより汎用性のあるものかつ多数の状況および考えられる異なる用途に容易に適応可能なものにすることが可能となる。
【0086】
個別の台車からおよび個別の台車に対して多数の情報を伝送することができるため、多様な機能の実行が可能になり、これらの機能について、作動パラメータセットを選択することも同様に可能である。
【0087】
こうして、例えば搬送すべき物品「O」の重量またはサイズなどの特徴を変更することが必要であるか、または選別機1またはこの選別機が中で動作しているシステムを拡張、修正または更新するための動作が行なわれる場合には、機械自体についての複雑でコストのかかる構造的作業を必要とすることなく、最大の効率をつねに保証するためにデジタル信号20のコンテンツを修正するだけで充分であると考えられる。