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特許6999543インタラクティブスキルトレーニングコンテンツの配信への応用を含む、身体的に実行されるスキルの分析を可能にするように構成されるフレームワークおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】インタラクティブスキルトレーニングコンテンツの配信への応用を含む、身体的に実行されるスキルの分析を可能にするように構成されるフレームワークおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A63B 69/00 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
A63B69/00 Z
A63B69/00 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018509949
(86)(22)【出願日】2016-05-09
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-07-12
(86)【国際出願番号】 AU2016050348
(87)【国際公開番号】W WO2016179653
(87)【国際公開日】2016-11-17
【審査請求日】2019-05-09
(31)【優先権主張番号】2015901665
(32)【優先日】2015-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(31)【優先権主張番号】PCT/AU2016/000020
(32)【優先日】2016-02-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521285757
【氏名又は名称】アールエルティー アイピー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】リッグ,ダレン
(72)【発明者】
【氏名】ダルゼル,ジョン
【審査官】宮本 昭彦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0029666(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0142459(US,A1)
【文献】特表2008-528195(JP,A)
【文献】特開2012-120579(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0376876(US,A1)
【文献】特表2014-512205(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A63B 69/00 - 71/16
A61B 5/11
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
パフォーマンスセンサユニット(PSU)から導出されるデータを介してスキルのパフォーマンスを自動化されたモニタリングを可能にするように構成される観察可能なデータ条件(ODC)を定めるコンピュータシステムの作動方法であって、前記コンピュータシステムは前記PSUを有し、前記方法は:
前記PSUが、前記スキルのサンプルパフォーマンスを実行する1又は複数のサンプルパフォーマを測定するステップであって、前記測定するステップは前記サンプルパフォーマンスを表すデータのセットを生成する、ステップと;
前記コンピュータシステムが、前記サンプルパフォーマンスのどれが前記スキルに関する1つ又は複数の徴候を表しているかを識別するために前記データのセットを提供するステップであって、それぞれの前記徴候は、エキスパートが前記スキルのパフォーマンスに影響すると認識する観察可能な動きに対応し、前記それぞれの徴候は、前記観察可能な動きを調整し、前記スキルのパフォーマンスを向上させるように関連付けられるフィードバックを有する、ステップと;
それぞれの前記徴候に対して、前記コンピュータシステムが、前記徴候を表すサンプルパフォーマンスを表す前記データのセットを分析し、それによって前記徴候に対するODCのセットを決定するステップであって、前記ODCのセットは、前記スキルの任意のパフォーマンスに関して前記PSUから導出される前記データの中に観察されるとき、前記パフォーマンスにおける前記徴候の存在を表すデータの関係又はパターンを示し、それぞれの前記徴候に対して、前記ODCのセットを決定する前記ステップは、前記コンピュータシステムが:
(i)前記ODCの予測されるセットを決定するステップ、
(ii)前記徴候を含む第1の数の前記サンプルパフォーマンスに関する第1の数の前記データのセットにおける前記ODCの予測されるセットの存在を確認するステップ、
(iii)前記徴候を含まない第2の数の前記サンプルパフォーマンスに関する第2の数の前記データのセットにおける前記ODCの予測されるセットの欠如を確認するステップ、及び
(iv)前記(ii)又は前記(iii)の確認が不成功である場合に、前記ODCの予測されるセットを修正するステップ、を含む、手順を実行することを含む
ステップと;
を含む、 方法。
【請求項2】
前記スキルに関する前記徴候の存在の自動化された識別を含む、前記スキルのパフォーマンスの自動化されたモニタリングを可能にするよう、前記ODCのセットを含む状態エンジンデータをエンドユーザハードウェアに送信するステップをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記PSUは、モーションセンサユニット(MSU)対応衣服によって担持されるモーションセンサユニット(MSU)であり、前記スキルに関する前記徴候の1つ又は複数は、前記スキルの1つ又は複数のフェーズの間の1つ又は複数の人の身体のポイントの3次元動作を表す、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記サンプルパフォーマンスを測定する前記ステップは、前記PSUのカメラ及び1つ又は複数のモーションセンサが、前記サンプルパフォーマンスからビデオデータ及びモーションセンサデータ(MSD)を取り込むステップを含む、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記サンプルパフォーマンスのどれが前記スキルに関する前記1つ又は複数の徴候を表すかを識別するために前記データのセットを提供することは、前記コンピュータシステムが前記ビデオデータを提供することを含む、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記サンプルパフォーマンスのどれが前記スキルに関する前記1つ又は複数の徴候を表すかを識別するために前記データのセットを提供することは、それによって前記ビデオデータの人間の視覚分析を介して識別された前記1つ又は複数の徴候を表すデジタル化されたデータを識別するように前記コンピュータシステムが前記MSDのコンピュータ分析を実行すること含む、
請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記サンプルパフォーマを測定するステップは、前記PSUの1つ又は複数のモーションセンサが、前記サンプルパフォーマンスを表すモーションキャプチャデータ(MCD)及び/又はモーションセンサデータ(MSD)を取り込むステップを含み、
前記サンプルパフォーマンスのどれが前記スキルに関する前記1つ又は複数の徴候を表すかを識別するために前記データのセットを提供することは、前記コンピュータシステムが、第1のサンプルパフォーマンスからの前記MCD及び/又は前記MSDの第1の視覚表現と第2のサンプルパフォーマンスからの前記MCD及び/又は前記MSDの第2の視覚表現を比較するステップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記MCD及び/又は前記MSDの前記第1及び前記第2の視覚表現は、3次元仮想ボディアニメーションを含む、
請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のサンプルパフォーマンスからの前記MCD及び/又は前記MSDの前記第1の視覚表現を前記第2のサンプルパフォーマンスからの前記MCD及び/又は前記MSDの前記第2の視覚表現と比較する前記ステップは、前記コンピュータシステムが、前記第2の視覚表現に対して前記第1の視覚表現を重ね合わせるステップを含む、
請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記サンプルパフォーマンスのどれが前記スキルに関する前記1つ又は複数の徴候を表すかを識別するために前記データのセットを提供することは、
(i)前記コンピュータシステムが、客観的基準を満たす1つ又は複数の最適なパフォーマンスを特定するステップと、
(ii)前記コンピュータシステムが、準最適なパフォーマンスを準最適なパフォーマンスカテゴリに分類するステップであって、所与の準最適なパフォーマンスカテゴリに属する所与の準最適なパフォーマンスのセットに共通であるが、前記1つ又は複数の最適なパフォーマンスに共通な第2のデータ属性と異なる第1の属性を識別するステップを含む、ステップと、を含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項11】
(i)前記コンピュータシステムが、前記1つ又は複数の徴候、及び(ii)それぞれの前記徴候に関する前記ODCのセット、のいずれか又は両方への身体サイズ又は個人的なスタイルの影響を識別するように異なる身体サイズ又は個人的なスタイルの2以上のサンプルパフォーマによる2以上のデータのセットを比較するステップと、
前記身体サイズ又は前記個人的なスタイルの前記影響に基づいて、前記コンピュータシステムが、前記身体サイズ又は前記個人的なスタイルの範囲にわたるそれぞれの前記徴候に関する前記PSU又は前記ODCのセットから導出される前記データに対する変換のセットを作るステップと、
をさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記1又は複数のサンプルパフォーマを測定する前記ステップは、前記PSUが、第1の能力レベルの第1のサンプルパフォーマに関する第1の複数の前記データのセットを取り込むステップと、第2の能力レベルの第2のサンプルパフォーマに関する第2の複数の前記データのセットを取り込むステップと、を含み、
前記コンピュータシステムが、前記第1及び前記第2の能力レベルのそれぞれについてのそれぞれの徴候及び関連するODCを定めるステップをさらに含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記コンピュータシステムが、コンテンツ作成者によって定められたトレーニングプログラムのフィードバックを提供するステップをさらに含み、前記フィードバックは、前記スキルのユーザのパフォーマンスからの前記PSUから導出される前記データにおけるODCの所与のセットの識別に応じてユーザに提供される、
請求項1に記載の方法。
【請求項14】
請求項1に記載の方法にしたがってモーションセンサのセットを介してエンドユーザによるスキルの身体的パフォーマンスをモニタするように構成されるデバイスであって、前記モーションセンサのセットは、前記エンドユーザの身体に取り付けられる複数のモーションセンサを含み、前記デバイスは:
前記モーションセンサのセットから入力データを受信するように構成される処理ユニットと;
前記入力データをそれによって前記ODCの1つ又は複数のセットを識別するよう処理するように構成されるモジュールと;を有し、
そのような前記デバイスは、それによって、前記スキルの前記エンドユーザの身体的パフォーマンスにおける関連する前記徴候の存在をモニタすることを可能にするように構成される、
デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、身体的に実行されるスキル(physically performed skills)の分析を可能にするように構成されるフレームワークおよび方法に関する。幾つかの実施形態では、これは、インタラクティブスキルトレーニングコンテンツを配信するというコンテキスト(文脈)(context)に応用を見出す。本発明の実施形態は特に、パフォーマンスセンサユニットを使用して、例えば、モーションセンサ対応衣服を介して、身体的に実行されるスキルが詳細な方法で分析されることを可能にするように開発されている。幾つかの実施形態は、特にその応用を参照して本明細書に記載されているが、本発明はこのような使用分野に限定されず、より広い意味で適用可能であることが理解されよう。
【背景技術】
【0002】
本明細書を通じての背景技術のあらゆる議論は、そのような技術が広く知られているか或いは当該分野における普通の一般知識の一部を形成することの認容と決して考えられてならない。
【0003】
人間のアクティビティをモニタリングするセンサとトレーニングシステムとの間の統合を可能にする様々な技術が開発されている。例えば、これらをスポーツベースのトレーニングのコンテキストにおいて適用することにより、心拍数、ランニングペース、及び移動距離のような、モニタリングされた属性に基づくレポートをユーザに提供する。より複雑なモニタリングセンサの入手可能性は、レポートの豊富さの増加、及び特定のアクティビティへの特化を可能にした。
【発明の概要】
【0004】
先行技術の不利点の少なくとも1つを克服又は改善し或いは有用な代替を提供することが、本発明の目的である。
【0005】
一実施形態は、パフォーマンスセンサユニット(Performance Sensor Units)(PSU)から導出されるデータを介して身体的スキルの身体的パフォーマンスを自動的にモニタリングすることを可能にするように構成される観察可能なデータ条件(Observable Data Conditions)(ODC)を定める方法を提供し、この方法は:
【0006】
スキルの複数のサンプルパフォーマンスを表すデータを取り込むステップであって、複数のサンプルパフォーマンスは1つ又は複数のサンプルパフォーマによって実行される、ステップと;
【0007】
サンプルパフォーマンスを表すデータを、それによってスキルに関する1つ又は複数の徴候(symptom)に分析するステップであって、それぞれの徴候は、識別可能なパフォーマンス影響要因(identifiable performance affecting factor)に対応する、ステップと;
【0008】
それぞれの徴候に対して、スキルのパフォーマンスに関してPSUから導出されるデータの中に観察されるとき、そのパフォーマンスにおける徴候の存在を表すODCの関連するセットを決定するステップと;を含む。
【0009】
一実施形態は、モーションセンサのセットを介してエンドユーザによるスキルの身体的パフォーマンスをモニタするように構成されるデバイスを提供し、モーションセンサのセットは、エンドユーザの身体に取り付けられる複数のモーションセンサを含み、デバイスは:
【0010】
モーションセンサのセットから入力データを受信するように構成される処理ユニットと;
【0011】
それによって1つ又は複数のODCのセットを識別するよう入力データを処理するように構成されるメモリモジュールと;を有し、1つ又は複数のODCのセットは:
【0012】
サンプルユーザによるスキルの複数のサンプルパフォーマンスを表すデータを取り込むステップと;
【0013】
サンプルパフォーマンスを、それによって少なくとも1つの徴候を視覚的に識別するように分析するステップと;
【0014】
識別された徴候のそれぞれのセットに対して、所与のパフォーマンスをモニタするモーションセンサのセットから導出されるデータの中に観察されるとき、関連する徴候の存在を示すODCの関連するセットを決定するステップと;
を含む方法を経て定められ、
【0015】
そのようなデバイスは、それによって、スキルのエンドユーザの身体的パフォーマンスにおける関連する徴候の存在をモニタすることを可能にするように構成される。
【0016】
一実施形態は、モーションセンサのセットを介してエンドユーザによるスキルの身体的パフォーマンスのモニタリングを可能にする方法を提供し、モーションセンサのセットは、エンドユーザの身体に取り付けられる複数のモーションセンサを含み、この方法は:
【0017】
サンプルユーザによるスキルの複数のサンプルパフォーマンスを表すデータを取り込むステップと;
【0018】
サンプルパフォーマンスを、それによってパフォーマンス影響要因の少なくとも1つのセットを視覚的に識別するように分析するステップと;
【0019】
識別されたパフォーマンス影響要因のそれぞれのセットに対して、所与のパフォーマンスをモニタするモーションセンサのセットから導出されるデータの中に観察されるとき、パフォーマンス影響要因の関連するセットの存在を示す観察可能なデータ条件の関連するセットを決定するステップと;を含み、
【0020】
観察可能なデータ条件のセット又は各セットは、エンドユーザのモーションセンサのセットから導出されるデータを処理するソフトウェアアプリケーションを介して実装されるように構成され、それによって、エンドユーザのスキルの身体的パフォーマンスにおけるパフォーマンス影響要因の関連するセットの存在をモニタすることを可能にする。
【0021】
一実施形態は、モーションセンサのセットを介してエンドユーザによるスキルの身体的パフォーマンスをモニタするように構成されるデバイスを提供し、モーションセンサのセットは、エンドユーザの身体に取り付けられる複数のモーションセンサを含み、デバイスは:
【0022】
モーションセンサのセットから入力データを受信するように構成される処理ユニットと;
【0023】
それによって1つ又は複数のODCのセットを識別するよう入力データを処理するように構成されるメモリモジュールと;を有し、1つ又は複数のODCのセットは:
【0024】
サンプルユーザによるスキルの複数のサンプルパフォーマンスを表すデータを取り込むステップと;
【0025】
サンプルパフォーマンスを、それによってパフォーマンス影響要因の少なくとも1つのセットを視覚的に識別するように分析するステップと;
【0026】
識別されたパフォーマンス影響要因のそれぞれのセットに対して、所与のパフォーマンスをモニタするモーションセンサのセットから導出されるデータの中に観察されるとき、パフォーマンス影響要因の関連するセットの存在を示す観察可能なデータ条件の関連するセットを決定するステップと;
を含む方法を経て定められ、
【0027】
そのようなデバイスは、それによって、スキルのエンドユーザの身体的パフォーマンスにおけるパフォーマンス影響要因の関連するセットの存在をモニタすることを可能にするように構成される。
【0028】
1つの実施形態は、本明細書に記載される方法を実行するためのコンピュータプログラム製品(コンピュータプログラム)を提供する。
【0029】
1つの実施形態は、プロセッサ上で実行されるときに、プロセッサに本明細書に記載されるような方法を実行させる、コンピュータ実行可能なコードを担持する(carrying)非一時的なキャリア媒体(carrier medium)を提供する。
【0030】
1つの実施形態は、本明細書に記載されるような方法を実行するように構成されるシステムを提供する。
【0031】
本明細書を通じる「1つの実施形態(一実施形態)」、「幾つかの実施形態」又は「実施形態」への言及は、その実施形態に関連して記載する特定の構成、構造又は特性が本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。よって、この明細書を通じる様々な箇所における「一実施形態(において)」、「幾つかの実施形態(において)」又は「実施形態(において)」という成句の出現は、必ずしもすべてが同じ実施形態を指さないが、同じ実施態様を指すことがある。更に、特定の個性、構造又は特性は、1つ又は複数の実施形態において、この開示から当業者に明らかであるように、任意の適切な方法で組み合わせられてよい。
【0032】
本明細書で使用されるとき、他に特定されない限り、共通の物体(オブジェクト)を記載するための序数を表す形容詞「第1」、「第2」、「第3」等の使用は、同等の物体の異なる場合が言及されていることを単に示しており、そのように記載される物体が、時間的又は空間的に、所与の順序で、順位付けで、或いは任意の他の方法で与えられなければならないことを暗示することは意図されていない。
【0033】
以下の請求項及び本明細書の記載において、含む(comprising)、含む(comprised of)、又は含む(which comprises)という用語のうちのいずれか1つは、少なくとも以下の要素/構成を含むが、他のものを排除しないことを意味する、開放用語(オープン用語)である。よって、請求項において使用される場合、含むという用語は、その後に記載される手段又は要素又はステップに限定されるものと解釈されてならない。例えば、AとBとを含むデバイスという表現の範囲は、要素A及びBのみからなるデバイスに限定されてならない。本明細書で使用される「含む」(including)、「含む」(which includes)、又は「含む」(that includes)のような用語のいずれか1つも、その用語に続く少なくともその要素/構成を含むが、他の要素/構成を除外しないことを同様に意味する、開放用語(オープン用語)である。よって、含む(including)は、含む(comprising)と同義語であり、含む(comprising)を意味する。
【0034】
本明細書で使用される場合、「例示的」という用語は、品質を示すこととは対照的に、実施例を提供する意味で使用される。すなわち、「例示的な実施形態」は、必ず例示的な品質の実施形態であるのとは対照的に、一例として提供される実施形態である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
次に、本発明の実施形態が、単なる例として記載され、添付の図面を参照して、ほんの一例として、本発明の実施形態を記載する。
【0036】
図1A】1つの実施態様に従ったコンテンツの生成及び配信を可能にするように構成されたフレームワークを図式的に例示している。
【0037】
図1B】更なる実施態様に従ったコンテンツの生成及び配信を可能にするように構成されたフレームワークを図式的に例示している。
【0038】
図2A】1つの実施態様に従ったスキル分析方法を例示している。
【0039】
図2B】1つの実施態様に従ったスキル分析方法を例示している。
【0040】
図2C】1つの実施態様に従ったスキル分析方法を例示している。
【0041】
図2D】1つの実施態様に従ったスキル分析方法を例示している。
【0042】
図2E】1つの実施態様に従ったスキル分析方法を例示している。
【0043】
図3】1つの実施態様に従ったユーザインタフェースについてのユーザインターフェースディスプレイ図を例示している。
【0044】
図4A】例示的なデータ収集表(データ収集テーブル)を例示している。
【0045】
図4B】例示的なデータ収集表(データ収集テーブル)を例示している。
【0046】
図5】1つの実施態様に従ったSIM分析方法を例示している。
【0047】
図6】1つの実施態様に従ったSIM分析方法を例示している。
【0048】
図7】1つの実施態様に従ったODCバリエーションを例示している。
【0049】
図8A】1つの実施態様に従ったプロセスフローを例示している。
【0050】
図8B】1つの実施態様に従ったプロセスフローを例示している。
【0051】
図8C】1つの実施態様に従ったプロセスフローを例示している。
【0052】
図8D】1つの実施態様に従ったサンプル分析フェーズを例示している。
【0053】
図8E】1つの実施態様に従ったデータ分析フェーズを例示している。
【0054】
図8F】1つの実施態様に従った実施フェーズを例示している。
【0055】
図8G】1つの実施態様に従った標準化方法を例示している。
【0056】
図8H】1つの実施態様に従った分析方法を例示している。
【0057】
図8I】1つの実施態様に従った分析方法を例示している。
【0058】
図9A】1つの実施態様に従ったユーザ機器を作動させる方法を例示している。
【0059】
図9B】1つの実施態様に従ったコンテンツ生成方法を例示している。
【発明を実施するための形態】
【0060】
本明細書では、身体的に実行されるスキルの分析を可能にする、例えば被験者(人、人のグループ、又は場合によっては人のグループ(複数)のような)のトレーニングを可能にするコンピュータ実装技術を利用するシステム及び方法が記載される。概要では、本明細書では、身体的に実行されるスキル(例えば、ゴルフスイング、ローイングストローク(rowing stroke)、体操の動き(gymnastic manoeuvre)など)の自動化されたセンサ駆動分析を可能にし、それによって、パフォーマンスの属性を決定するために実施される技術が記載される。これらは、パフォーマンスの詳細なモーションベースの態様を含み、これらは、幾つかの実施形態では、エラー識別及びトレーニングの配信を可能にするために使用される。態様は、身体的スキルが人間のエキスパート(専門家)によって観察され且つ分析される技術に関連し、コンピュータ技術が人間の専門家に対応する観察を行うことを可能にするように構成されるセンサデータ処理技術を定義する技術まで関連する。
【0061】
実施形態は、インタラクティブなスキルトレーニングコンテンツを配信する目的でスキル分析技術が利用されるエンドツーエンドのフレームワークを参照して主に説明される。しかしながら、非限定的な例であることが意図されており、開示されたスキル分析技法は代替目的のために使用されてもよいことが理解されるべきである。例えば、目的は、人間ベースのコーチングの促進、ソフトウェアベースのコンテンツ及び機能の他の形態を提供する目的でのスキルパフォーマンスの自動識別などを含み得る。
【0062】
スキルトレーニング(skills training)のコンテキスト(文脈)(context)において、本明細書で記載するフレームワークは、身体的パフォーマンス属性(physical performance attributes)を表すデータを収集するためにパフォーマンスセンサユニット(Performance Sensor Units)(PSU)を利用し、ユーザにフィードバック及び/又は命令(instruction)を提供することにより、そのユーザが彼/彼女のパフォーマンスを向上させるのを支援する。例えば、これは、コーチングアドバイス(coaching advice)を提供すること、ユーザに特定の練習を行うことを指示して特定の所要の基本的なサブスキルを開発すること等を含み得る。PSUを介して実質的にリアルタイムでパフォーマンスをモニタリングすることによって、トレーニングプログラムは、ユーザのパフォーマンス属性が、提供されたフィードバック/命令に基づいて向上するか否かの観察に基づいて適応することができる。例えば、連続的なパフォーマンス試行の繰り返しの間のパフォーマンス属性の変化の観察は、提供されたフィードバック/命令が成功したか或いは失敗したかを示す。これは広範囲の自動適応スキルトレーニングプログラムの生成及び配信を可能にする。
【0063】
スキルパフォーマンスの性質は、実施態様の間で異なるが、本明細書で検討される実施例の目的のために、以下の2つの一般的なカテゴリが使用される。
● 人間のモーションベースのスキルパフォーマンス。これらは、人間のモーション属性がスキルの決定的な特性を表すパフォーマンスである。例えば、モーションベースのパフォーマンスは、パフォーマンスを行う者の身体の動きを包含する実質的にあらゆる物理的なスキルを含む。モーションベースのパフォーマンスの有意な種類(class)は、スポーツアクティビティで使用されるスキルのパフォーマンスである。
● オーディオベースのスキルパフォーマンス。これらは、音響的に知覚可能な属性が、スキルの決定的な特性を表すパフォーマンスである。例えば、オーディオベースのスキルパフォーマンスは、音楽的及び/又は言語的パフォーマンスを含む。オーディオベースのパフォーマンスの有意な種類は、楽器を演奏することに関連するスキルのパフォーマンスである。
【0064】
以下で提供する実施例は、主として、モーションベースのスキルパフォーマンスの比較的技術的に困難な場合に焦点を当てているが、モーションベースのスキルに関して適用される原理は、他の状況に容易に適用されることが理解されるであろう。例えば、PSUから受信したデータにおいて観察(観測)可能なデータ条件(Observable Data Conditions)(ODC)を使用するという概念は、モーション、オーディオ、及び他の形態のパフォーマンスに均しく適用可能である。
【0065】
幾つかの例は、パフォーマンスモニタリングのコンテキストにおいてエンドユーザが経験するコンテンツの定義付け(defining)、配布(distribution)及び実施(実装)(implementation)を可能にする、コンピュータで実施されるフレームワークに関する。これは、ユーザによってスキルパフォーマンスが監視されるように構成される1つ又は複数のPSUに由来するパフォーマンスセンサデータ(PSD)の処理によってユーザのスキルパフォーマンスが分析されるよう、ユーザにインタラクティブスキルトレーニング(interactive skills training)を提供するように構成されるコンテンツを含む。
【0066】
全体的なエンドツーエンド(end-to-end)フレームワークを参照して、様々な実施態様を以下に記載する。全体的なフレームワークは、その構成部分にコンテキスト(context)を提供するように記載され、その一部は異なるコンテキストで適用され得る。全体的な記載されたエンドツーエンドフレームワークの特徴のサブセットのみが、以下の請求項において直接的に請求されているが、本発明の主題は、(たとえばそのようなものとして特別に特定されていないとしても)広範囲の構成要素に亘って存在することが理解されるべきである。
【0067】
用語
以下に記載する実施態様の目的のために、以下の用語が使用される。
● パフォーマンスセンサユニット(PSU)。パフォーマンスセンサユニットは、物理的パフォーマンスの監視に応答してデータを生成するように構成されるハードウェアデバイスである。モーションデータ及びオーディオデータを処理するように構成されるセンサユニットの実施例が本明細書で主に考慮されるが、それらは決して限定的な実施例でないことが理解さるであろう。
● パフォーマンスセンサデータ(PSD)。PUSによって配信されるデータをパフォーマンスセンサデータと呼ぶ。このデータは、PSUからの完全な生データ、又は(例えば、圧縮、低減されたモニタリング、サンプリング速度(サンプリングレート)等に基づく)そのデータのサブセットを含んでよい。
● オーディオセンサユニット(ASU)。オーディオセンサユニットは、音のモニタリングに応答してデータを生成し且つ送信するように構成されたハードウェアデバイスである、PSUのカテゴリである。幾つかの実施態様において、ASUは、音及び/又は振動の影響をモニタリングし、それらをデジタル信号(例えば、MIDI信号)に変換するように構成される。1つの例は、弦楽器の機械的振動をキャプチャ(捕捉)して電気信号に変換するように構成されるトランスデューサ(変換器)を含むピックアップデバイスである。
● オーディオセンサデータ(ASD)。これは1つ又は複数のASUによって配信されるデータである。
● モーションセンサユニット(MSU)。モーションセンサユニットは、モーションに応答してデータを生成し且つ送信するように構成されたハードウェアデバイスである、PSUのカテゴリである。このデータは、殆どの場合、局所的な基準フレームに対して定義される。所与のMSUは、1つ又は複数の加速度計、1つ又は複数の磁力計から得られるデータ、及び1つ又は複数のジャイロスコープから得られたデータを含むことがある。好ましい実施態様は、1つ又は複数の3軸加速度計、1つの3軸磁力計、及び1つの3軸ジャイロスコープを利用する。モーションセンサユニットは、「着用」されてよく或いは「着用可能」であってよく、それは、モーションセンサユニットが、(例えば、衣類を介して)固定位置にある人間の身体に取り付けられるように構成されることを意味する。
● モーションセンサデータ(MSD)。MSUによって配信されるデータをモーションセンサデータ(MSD)と呼ぶ。このデータは、MSUからの完全な生データ、又は(例えば、圧縮、低減されたモニタリング、サンプリング速度等に基づく)そのデータのサブセットを含んでよい。
● MSU対応衣服。MSU対応衣服は、複数のMSUを運ぶように構成された(シャツ又はパンツ(ズボン)のような)衣類である。幾つかの実施態様において、MSUは、衣類に形成された所定の山間ゾーンにおいて(好ましくは、個々のMSUが取り外され且つ交換されるのが可能であるよう、取り外し可能な方法において)取り付けられ、通信線に連結される。
● PODデバイス。PODデバイスは、PSD(例えば、MSUからのMSD)を受信する処理デバイスである。幾つかの実施態様において、それはMSU対応衣服によって運ばれ、他の実施態様では、それは別個の装置である(例えば、1つの実施態様において、PODデバイスは、スマートホンに連結する処理デバイス、幾つかの実施態様において、PODデバイス機能性は、スマートホン又はモバイルデバイスによって提供される)。幾つかの場合には、MSDは、有線接続を介して受信され、幾つかの場合には、無線接続を介して受信され、幾つかの場合には、無線接続及び有線接続を介して受信される。本明細書で記載するように、PODデバイスは、MSDを処理して、それにより、MSD内のデータ条件を特定する(例えば、1つ又は複数の徴候(symptom)の存在の特定を可能にする)責任がある。幾つかの実施態様において、PODデバイスの役割は、スマートホンのような多目的エンドユーザハードウェアデバイスによって全体的又は部分的に実行される。幾つかの実施態様において、PSD処理の少なくとも一部は、クラウドベースのサービスによって実行される。
● モーションキャプチャデータ(MCD)。モーションキャプチャデータ(MCD)は、あらゆる利用可能なモーションキャプチャ技術を使用することに由来するデータである。これに関して、「モーションキャプチャ」は、例えば、キャプチャデバイスが、既知の場所で被験者に取り付けられた視覚マーカを使用して、モーションを表すデータをキャプチャするために用いられる、技術を指す。1つの例は、Viconによって提供されるモーションキャプチャ技術である(しかしながら、発明者/出願人とViconとの間の提携が推測されるべきでない)。以下に更に議論するように、MCDは、好ましくは、視覚的観察とMSD観察との間のリンクを提供するために使用される。
● スキル(skill)。モーションベースアクティビティのコンテキストにおいて、スキルは、例えば、コーチングのコンテキストにおいて(視覚的に及び/又はMSDを介して)観察される個々のモーション(又はリンクされたモーションのセット)である。スキルは、例えば、ローイングモーション(漕ぎ運動)、サッカーキックの特定のカテゴリ、ゴルフスイングの特定のカテゴリ、特定のアクロバット操作等であってもよい。「サブスキル」も言及される。これは、主に、トレーニングされるスキルとそのスキルの一部を構成するより重要でないスキルとを区別することであり、或いは、そのスキルの基礎的要素(ビルディングブロック)である。例えば、ジャグリングというスキルの文脈において、サブスキルは、ボールを投げて同じ手でキャッチするスキルである。
● 徴候。徴候は、(例えば、初期スキル分析のコンテキストにおいて視覚的に観察され、エンドユーザ環境のコンテキストにおいてMSDの処理を介して観察される)観察可能なスキルの属性である。実際的な用語において、徴候は、意味と関連付けられる、スキルの観察可能なモーション属性である。例えば、徴候の特定は、自動化されたコーチングプロセスの提供においてアクション(行為)を引き起こすことがある。徴候は、(伝統的なコーチングのコンテキストに関連して)視覚的に観察される、或いは、(本明細書で議論するような自動適応スキルトレーニングの提供のコンテキストにおいて関連して)PSDを介して観察されることがある。徴候は「パフォーマンス影響要因」とも称される。
● 原因(cause)。徴候は、少なくとも幾つかの場合において、1つの原因に関連する(例えば、所与の徴候は、1つ又は複数の原因と関連することがある)。原因は、幾つかの場合において、MSDにおいて観察可能でもあるが、それは必ずしも本質的でない。コーチングの観点から、1つのアプローチは、先ず、徴候を特定し、次に、その徴候の原因を決定/予測することである(例えば、決定は、MSDの分析によってよく、予測は、MSDの分析以外の手段によってよい)。次に、決定された/予測された原因をコーチングフィードバックによって対処し、続いて、パフォーマンス評価を行い、それにより、コーチングフィードバックが徴候に対処することに成功したか否かを決定してよい。
● 観察可能なデータ条件(ODC)。観察可能なデータ条件という用語は、(典型的には、ODC又は予期されるODCのセットの存在のモニタリングに基づく)MSDのような、PSDにおいて観察可能である条件を記述し、それにより、下流の機能性を誘発する(trigger)ために使用される。例えば、ODCは、所与の徴候(又は原因)について定義されてよい。そのODCが所与のパフォーマンスについてMSDのようなにおいて特定されるならば、関連する徴候(又は原因)がそのパフォーマンスに存在するという決定が行われる。次に、これはトレーニングプログラム内のイベントを誘発する。
● トレーニングプログラム。「トレーニングプログラム」という用語は、ソフトウェア命令の実行を介して提供されるインタラクティブプロセスを記述するために使用され、それは、エンドユーザにどのように実行するかの命令を提供し、それらのパフォーマンスをどのように修正し、改善し、或いは他の方法で調整するかに関するフィードバックを提供する。以下に記載する少なくとも幾つかの実施態様において、トレーニングプログラムは、関連するエンドユーザの分析(例えば、それらのパフォーマンスの分析及び/又は精神的及び/又は身体的な属性のような個人的な属性の分析)に基づいて適応するよう、プロセスの順序付け、フィードバックの選択、及び/又はトレーニングの他の属性を可能にする規則(ルール)/論理(ロジック)に基づいて実行するトレーニングプログラムである、「適応型トレーニングプログラム」である。
【0068】
以下により詳細に記載するように、エンドユーザ製品の観点から、幾つかの実施態様は、PODデバイスが、所定のパフォーマンスに関してユーザの(MSDのような)PSDを分析し、それにより、ユーザの属性に基づいて定義されるセットに属する徴候(例えば、ユーザの能力レベル、及び以前の反復の分析からユーザが示すことが知られている徴候)である、1つ又は複数の徴候の存在を決定するように構成される、技法を利用する。MSDを介して徴候をひとたび特定すると、プロセスを実行し、それにより、原因を決定/予測する。次に、フィードバックを選択し、それにより、その原因への対処を探究する。幾つかの実施態様では、複雑な選択プロセスを定義し、それにより、例えば、(i)ユーザの履歴、例えば、以前に失敗したフィードバックに対して未試行の又は以前に成功したフィードバックに優先順位を付けること、(ii)ユーザの学習スタイル、(iii)ユーザ属性、例えば、所与の時点での精神的及び/又は身体的状態、及び/又は(iv)幾つかの場合には特定の現実世界のコーチのスタイルに基づくコーチングスタイルに基づき、ユーザのための特定のフィードバックを選択する。
【0069】
例示的なエンドツーエンドフレームワーク
図1Aは、本明細書で記載するある範囲の実施態様によって活用されるエンドツーエンドフレームワークの高レベルフレームワークを提供している。図1Aのコンテキストにおいて、例示的なスキル分析環境101を利用し、それにより、1つ又は複数のスキルを分析し、それらのスキルに関してエンドユーザコンテンツの生成を可能にするデータを提供する。例えば、これは、幾つかの実施態様では、スキルを分析し、それにより、PSUによって特定され得るODC(好ましくは、特定の徴候、原因等と関連付けられたODC)を決定することを含む。これらのODCは、(トレーニングプログラムのような)例示的なコンテンツ生成プラットフォーム102によって実施されるコンテンツ生成ロジック内で利用されてよい。その点に関して、コンテンツを生成することは、好ましくは、所定のアクションが特定のODCの特定に応答して取られるプロトコルを定義することを含む。
【0070】
複数のスキル分析環境及びコンテンツ生成プラットフォームを利用し、それにより、例示的なコンテンツ管理及び配信プラットフォーム103にコンテンツを提供するのが好ましい。このプラットフォームは、幾つかの実施態様において、複数のネットワーク化されたサーバデバイスによって定義される。本質的には、プラットフォーム103の目的は、コンテンツ生成プラットフォームによって生成されるコンテンツをエンドユーザに利用可能にすることである。図1Aのコンテキストにおいて、それは例示的なエンドユーザ機器104へのコンテンツのダウンロードを可能にすることを含む。ダウンロードすることは、幾つかの実施態様において、コンテンツの初期ダウンロードを含み、その後、追加的な所要のコンテンツの更なるダウンロードを含む。幾つかの場合において、更なるダウンロードの性質は、(例えば、スキルトレーニングプログラムのコンポーネント間の適応的進行及び/又はユーザ選択に基づく)ユーザインタラクション(user interactions)によって影響される。
【0071】
例示的な機器104は、(スマートホン、ヘッドセット、HUDアイウェア、網膜投影デバイス等のような)ユーザインタフェースデバイスと共に、複数のMSU及びPODデバイスを保持する(carries)MSU対応衣服の形態において例示されている。
【0072】
図1Aの実施例において、ユーザは、プラットフォーム103からコンテンツをダウンロードし、機器104を介してそのコンテンツを実行させる。例えば、これは、ゴルフ又はテニスのような特定の身体的アクティビティ(活動)のための適応スキルトレーニングプログラムを提供するコンテンツを含んでよい。この例において、機器104は、ダウンロードされたコンテンツの配信に関連する追加的な機能性を提供する外部(例えば、ウェブベースの)プラットフォームである、例示的なコンテンツインタラクションプラットフォーム105(content interaction platform)と相互作用(インタラクト)(interact)するように構成される。例えば、適応トレーニングプログラム及び/又はそのユーザインタフェースの様々な特徴は、サーバ側処理によって制御されてよい。幾つかの場合には、プラットフォーム105を省略して、機器104が以前にダウンロードしたコンテンツをオフラインモードで配信するのを可能にしてよい。
【0073】
一般的な例示として、コンテンツの以下の具体的な例が提供される。
● ギタートレーニングプログラム。ユーザは、所要の楽曲に関してトレーニングを提供するように構成されたギタートレーニングプログラムをダウンロードする。ピックアップの形態のPSUを使用し、それにより、ユーザのギター演奏を表すPSDの分析が可能にする。トレーニングプログラムをそのPSDの分析に基づき推進し、それにより、ユーザにコーチングを提供する。例えば、コーチングは、指の位置決めのためのヒント、特定の指の位置の間の進行を練習する矯正練習、及び/又はユーザにとって興味のある及び/又はユーザにとって助けとなることがある他のコンテンツ(例えば、代わりの楽曲)の提案を含んでよい。一例が(オーディオデータを処理するPODデバイス及びユーザインタフェースデータを提供するタブレットデバイスとの組み合わせにおいて、ピックアップの代わりのサウンドジャックを示す)図14に例示されている。
● ゴルフトレーニングプログラム。ユーザは、MSU対応衣服と協働するように構成されたゴルフトレーニングプログラムをダウンロードする。これは、MSU対応衣服によって提供されるPODデバイスへのセンサ構成データ及び状態エンジンデータをダウンロードすることを含む。ユーザは、(例えば、特定の強度、クラブ、又は同等物を用いて)特定の形態のスイングを実行するように命令され、MSU対応衣服によって保持される複数のMSUが、パフォーマンスを表すMSDを提供する。MSDを処理し、それにより、徴候及び/又は原因を特定し、トレーニングフィードバックを提供する。ユーザが彼/彼女のフォームを改善するのを支援するように設計されたトレーニングプログラムロジックに基づき、1つ又は複数の更なるパフォーマンス反復に亘って、これを繰り返す。命令及び/又はフィードバックは、ユーザインタフェースデータをユーザの視界に直接的に送る網膜ディスプレイプロジェクタによって提供される。
【0074】
これらは実施例に過ぎないことが理解されるであろう。
【0075】
図1Bは、幾つかの実施態様のコンテキストにおいて存在する更なる例示的なエンドツーエンド技術フレームワークのより詳細な概要を提供している。この例は、モーションベースのスキルトレーニングに特に関連し、スキル分析フェーズ100(skill analysis phase)、カリキュラム構築フェーズ110(curriculum construction phase)、及びエンドユーザ配信フェーズ120(end user delivery phase)を参照することによって例示されている。これは限定的な例であることは意図されておらず、コンテンツを定義して配信する特定のエンドツーエンドアプローチを実証するために提供されている。
【0076】
スキル分析フェーズ100のコンテキストにおいて、図1Bは、MCDを使用してスキルの分析を支援し、続いて、MSDについてのODCの決定を支援及び/又は検証する(validate)実施態様である、幾つかの実施態様において、そのフェーズで使用されるハードウェアの選択を示している。例示するハードウェアは、複数のモーションセンサユニット及び複数のモーションキャプチャ(モカップ)マーカ(これらは任意的に衣服上の類似の位置に配置される)と、キャプチャデバイス106a~106cのセットとを保持する、ウェアラブルセンサ衣服106である。モーションキャプチャアプリケーションのために構成されたキャプチャデバイス、及び/又はビデオキャプチャアプリケーションのために構成されたカメラデバイスを含む、より少ない数の又はより多くの数のキャプチャデバイスがあってよい。幾つかの実施態様において、所与のキャプチャデバイスは、両方のアプリケーションのために構成される。一連の例示的なプロセスも図示されている。ブロック107は、複数のサンプルパフォーマンスのためのビデオデータ、モーションキャプチャデータ(MCD)、及びモーションセンサデータ(MSD)をキャプチャすることを含む、プロセスを表している。このデータは、ブロック108に提示されるプロセスによって使用され、それは、(例えば、所与のスキルを分析し、それにより、好ましくは多数の能力レベルで、そのスキルを構成し且つパフォーマンスに影響を及ぼすモーションの特徴を決定すること、並びに、所要のスキルについての徴候及び原因の能力レベルに固有の決定を含む、所要のスキルについての徴候及び原因を決定することを含む)エキスパート分析(expert analysis)に基づき、スキルを徴候及び原因に分解することを含む。ブロック109は、モーションセンサデータから徴候/原因の検出を可能にするODCの定義を含むプロセスを提示している。次に、これらのODCは、後続のフェーズにおいて利用可能である(例えば、それらは所与のカリキュラムにおいて使用されたり、状態エンジンデータ内で適用されたりなどする)。
【0077】
本明細書では、DCDを利用するアプローチを参照してフェーズ100を記載するが、それは限定的な例であることを意図しない。更なる実施態様では、様々な他のアプローチ、例えば、MSDを最初から利用するアプローチ(例えば、MSDに関するODCの決定を支援及び/又は検証するためにMCDを利用する必要はない)、スキルの機械学習を利用するアプローチが実施される。
【0078】
フェーズ110は、エキスパート知識データ111(expert knowledge data)のレポジトリを参照して例示される。例えば、1つ又は複数のデータベースが維持され、これらはフェーズ101の特徴及び/又は他の研究及び分析技術に従って定義される情報を含む。情報の例は、(i)徴候/原因を表す合意データ(consensus data)、(ii)徴候/原因を表すエキスパート固有データ(expert-specific data)、(iii)徴候/原因に関するフィードバックを表す合意データ、(iv)徴候/原因に関連するフィードバックを表すエキスパート固有データ、(v)(客観的コーチングスタイルデータ及びパーソナライズされたコーチングスタイルデータを含んでよい)コーチングスタイルデータを含む。これは選択のみである。
【0079】
図1Bの例において、エキスパート知識データは、フェーズ100で分析されたスキルに関するトレーニングプログラムの配信に利用される。ブロック112は、適応トレーニングフレームワークの構成(configuration)を含むプロセスを表している。これに関して、図1Bの例では、それぞれのスキル及びその特徴に関連する複数のスキルトレーニングプログラムは、共通の適応トレーニングフレームワークを介して配信される。これは、好ましくは、基礎となるスキル固有でないロジックを活用するスキル固有の適応トレーニングコンテンツの生成を可能にするように構成された技術的フレームワークである。例えば、そのようなロジックは、学習スタイルを予測すること、利用可能な時間に基づいてコンテンツ配信を調整すること、(以前に学習したスキルの修復授業を含む)以前のインタラクション(対話)に基づき自動的にレッスンプランを作成すること、ダウンロードする追加的なコンテンツを機能的に推奨すること、及び他の機能性のための、方法論に関する。ブロック113は、スキルのためのカリキュラムの定義付けを含むプロセスを表している。これは、特定の徴候/原因の特定に応じてフィードバックを配信するための規則のフレームワークを定義することを含む。フレームワークは、好ましくは、個々のユーザに固有の獲得された知識(例えば、ユーザの学習スタイルの知識、過去の成功した/失敗したフィードバックの知識等)に基づいて、インテリジェントフィードバック(intelligent feedback)を提供する、適応フレームワークである。ブロック114は、エンドユーザによるダウンロードのためにカリキュラムを利用可能にすること、例えば、オンラインストアを介してカリキュラムを利用可能にすることを含む、プロセスを表している。以下に更に詳述するように、所与のスキルは、基本カリキュラムの提供、及び/又は、(好ましくは異なる価格帯での)1つ又は複数のプレミアムカリキュラムの提供を有してよい。一例として、基本提供は、幾つかの実施態様において、合意エキスパート知識(consensus expert knowledge)に基づき、プレミアム提供は、エキスパート固有のエキスパート知識に基づく。
【0080】
フェーズ130の場合には、例示的なエンドユーザ機器が図示されている。これは、シャツと、複数のMSUを保持するパンツとを含み、PODデバイスがシャツに設けられた、MSU対応衣服構成121を含む。MSU及びPODデバイスは、例えば、掃除等を可能にするために、衣類から取り外し可能に構成される。ヘッドセット122が、ブルートゥース(登録商標)(又は他の手段)によってPODデバイスに接続され、フィードバック及び命令をユーザに聴覚的に提供するように構成される。(iOS又はAndroidスマートホンのような)ハンドヘルドデバイス123が、更なるユーザインターフェースコンテンツ、例えば、教育ビデオ/アニメーションなどを提供するように構成される。他のユーザインタフェースデバイス、例えば、(ウェアラブルアイウェア等を介して視認可能なディスプレイのような)拡張現実情報を提供するように構成されたデバイスが使用されてよい。
【0081】
例示したエンドユーザ機器のユーザは、(例えば、プラットフォーム103からの)実行のためにコンテンツをダウンロードし、それにより、トレーニングプログラムに関与し、且つ/或いはMSDの処理を活用する他の形態のコンテンツを経験する。例えば、これは、オンラインストアを閲覧し、或いはソフトウェアアプリケーションと対話し(interacting)、それにより、所望のコンテンツを特定し、続いて、そのコンテンツをダウンロードすることを含んでよい。例示する実施態様では、コンテンツがPODデバイスにダウンロードされ、コンテンツは、状態エンジンデータ及びカリキュラムデータを含む。前者は、PODデバイスがMSDを処理し、それにより、徴候を特定する(且つ/或いは他の形態のモーション分析を実行する)ことを可能にする、データを含む。後者は、ユーザインタフェース(例えば、命令、フィードバックなど)によって配信されるコンテンツ及び(適合学習プロセスの配信のための規則のような)そのコンテンツの配信のための命令を含む、トレーニングプログラムの提供を可能にするために必要とされる、データを含む。幾つかの実施態様において、エンジンデータ及び/又はカリキュラムデータは、継続的に遠隔サーバから取得される。
【0082】
機能ブロック125は、PODデバイスがモニタリング機能を実行し、それにより、状態エンジンデータにおいて定義されるようなODCについてユーザパフォーマンスをモニタリングする、プロセスを表している。例えば、ユーザは、デバイス123及び/又はヘッドセット122を介して「アクティビティXを実行する」ように命令され、次に、PODデバイスは、ユーザのMSUからMSDを処理し、それにより、アクティビティXに関連付けられたODCを特定する(例えば、徴候及び/又は原因の特定を可能にする)。ODCの特定及びカリキュラムデータに基づき(ならびに、幾つかの場合には、追加的な入力に基づき)、フィードバックは、デバイス123及び/又はヘッドセット122を介してユーザに提供される(ブロック126)。例えば、「アクティビティX」を繰り返し実行している間に、ユーザは、それらの技法をどのように修正するかについてのガイダンスを備える可聴フィードバックが提供される。これは、フィードバックを提供して、(例えば、後続のパフォーマンス反復でMSDから導き出されるODCの変化を観察することによって)影響をモニタリングするような、ループ処理(例えば、本明細書では「試行ループ」と呼ぶ)につながる。幾つかの実施態様におけるカリキュラムデータは、(i)アクティビティ改善に関して所望の結果を達成するためのフィードバックの成功/失敗、及び(ii)精神的及び/又は身体的なパフォーマンス属性のようなユーザの属性の組み合わせに基づき、トレーニングプログラムのフィードバック及び/及び段階に適合するように構成される。
【0083】
スキル分析フェーズ-一般的な概要
本明細書で検討されるように、スキル分析は、実行されるスキルの属性の識別に関する。前述のように、これらの属性は用語「徴候」を使用して参照される。徴候を識別するための2つの主要な技法がある。
● 徴候の存在を直接的に表すODCの識別を介して、徴候の存在を直接識別するデータ処理技法。
● 測定データをベースラインデータと比較し、バリエーション(変動)(variation)を識別することによって、徴候の存在を間接的に識別するデータ処理技術。そのようなバリエーションの存在は、徴候の存在を間接的に表す。
【0084】
以下の実施例は、主として前者の技法に焦点を当てている。これは、特に自動化分析が、データ比較技法を実行することとは対照的に、特定のデータベースのアーチファクト(artefacts)の識別に基づくという意味で、様々な利点を有する。データ比較技法は、(例えば、識別された徴候に関連する属性を定量化するために)支援のコンテキストにおいて依然として使用され得る。さらに、以下でさらに開示される様々な技法は、直接的な技法よりもむしろ比較技法を利用するように変更され得ることが理解されよう。
【0085】
スキル分析フェーズ-概要
前述のように、スキル分析フェーズを実施し、それにより、エンドユーザ配信フェーズにおいて(又は他の下流のアプリケーションとの関連で)観察されることになるスキルを分析する。本明細書に記載されるように、スキル分析フェーズは、(i)スキルの属性、例えば、(エンドユーザ機能性がスキル特定を含む場合に特に関連する)実行されるスキルを表す属性、及び(エンドユーザの機能性が、例えば、スキルトレーニングの配信のコンテキストにおける、スキルトレーニング分析を含む場合に特に関連する)徴候及び原因のような、スキルが実行される方法を表す属性を決定する分析、並びに、(ii)エンドユーザのハードウェア(MSUのようなPSU)を自動化されたスキルパフォーマンス分析のために構成することができるよう、(実行されるスキル、及び徴候及び/又は原因のようなそのスキルのパフォーマンスの属性)のような、スキル属性の自動的な特定を可能にする、ODCを定義する分析を含む。
【0086】
スキル分析フェーズの性質は、(例えば、モーションベースのスキルとオーディオベースのスキルのカテゴリの間の)所与のスキルの性質に依存して、有意に異なる。次に、例示のために、モーションベースのスキルのコンテキストにおけるスキル分析フェーズに関して例示的な実施態様を記載する。すなわち、身体的アクティビティを分析し、それにより、身体装着式MSUからのデータをモニタリングするPODデバイスを構成するために使用されるODCを決定することを参照して、実施態様を記載する。この実施例は、様々な新規且つ進歩的な技術的アプローチが、モーションベースのスキルのための効果的なODCを生成するタスクを容易にするために開発されている、比較的困難で複雑なコンテキストにおいて段階化されたスキル分析を代表するものとして選択される。本明細書で記載する方法論の全ての特徴が全ての実施態様に存在するわけではなく、或いは、全てのアクティビティのコンテキストにおいて使用されるわけではないことが理解されるであろう。この技術は、(例えば、パフォーマンス、コーチング、及びモニタリングに関して)異なるレベルの複雑さを伴う、広範な身体的アクティビティに適用可能である。しかしながら、本明細書で記載する方法論は、広範なアクティビティ、例えば、個人及びチームスポーツのコンテキストにおいて実行されるスキルに亘って適用可能である。
【0087】
以下に詳述する方法論及び技術は、特定の身体的アクティビティ(すなわち、特定のスキル)、即ち、ローイング(rowing)に関する具体的な実施例を参照して説明される。ローイングは、主として便宜的なテキストの説明の目的のために一例として選択されており、その特定のアクティビティを参照して記述する技法が、他のアクティビティ(例えば、サッカーボールの特定の形態のキック、ゴルフクラブのスイングを行うこと、スノーボード上でアクロバットな操縦を行うこと等)にどのように容易に適用されるかは、容易に理解されるであろう。
【0088】
一般的に言えば、所与の身体的アクティビティについてODCを決定する広範なアプローチがある。これらは、以下を含むが、これらに限定されない。
● 二次的技術を利用して、それにより、MSDの理解を合理化すること。例えば、以下に提供する実施例は、MCDとMSDとの組み合わせを利用するアプローチを議論する。MCDは、主に(例えば、強力な高速カメラを使用する)モーションキャプチャ技術の確立された性質の故に使用される。他方、モーションセンサ技術は、現在、有効性が絶えず進歩している。十分に確立されたMCD分析技術の使用は、MSD及びMSDに関して行われる観察の理解及び/又は検証を支援する。
● MCD支援のないMSDの直接的な利用。例えば、MSDは、MCDと同様に、データをキャプチャして、それにより、MCDから従来から生成されたものと類似する(例えば、骨格関節を有する身体アバターに基づく)三次元身体モデルを生成するという意味で利用される。これはMCDの精度(accuracy)及び信頼度(reliability)の閾値を仮定することが理解されるであろう。しかしながら、幾つかの実施態様において、これは達成可能であり、故に、MCD支援を不要にする。
● 例えば、MSD及び/又はMCDが、客観的に定義されたパフォーマンス結果データ(例えば、ローイングの場合には、パワー出力、そして、ゴルフの場合には、ボールの方向及び軌跡)と共に、複数のサンプルパフォーマンスのために収集される、機械学習法。機械学習方法を実施して、それにより、ODCとスキルパフォーマンスに対する影響との間の関係の自動的な定義付けを可能にする。そのようなアプローチは、十分なサンプルサイズで実施されるとき、ODCのコンピュータ特定を可能にして、スキルパフォーマンス結果の予測を推進する。例えば、MSD(又は、幾つかの実施態様では、MCD)のサンプルパフォーマンス収集を使用するゴルフスイングモーションの機械学習に基づき、客観的に定義された結果の分析を使用してスイングパフォーマンスに影響を及ぼすODCを自動的に特定し、それにより、エンドユーザのハードウェア(例えば、MSU対応衣服)を使用したエンドユーザのスイングに関する結果の信頼性のある自動化された予測を可能にする。
● エンドユーザからの分析データの遠隔収集。例えば、エンドユーザデバイスは、「記録」機能を備え、「記録」機能は、(任意的に、ユーザ自身によって特定される徴候等に関する情報と共に)エンドユーザによってそれぞれ行われる特定のスキルを表すMSDの記録を可能にする。記録されるデータは、複数のユーザのための所与のスキル(又は特定の徴候を有する特定のスキル)についてMSDを比較し、故に、スキル(及び/又は徴候)についてODCを特定するよう、中央処理場所に送信される。例えば、これはデータの共通点を特定することによって達成される。
【0089】
非MSDデータを活用してMSDデータを検証及び/又は他の方法で支援する他のアプローチを含み、サンプルユーザグループを定義及び分析するための異なる技術を実施する他のアプローチも含む、他のアプローチが使用されてもよい。
【0090】
スキルトレーニングプログラムのコンテキストにおいて使用し得る徴候及び/又は原因のためのODCの開発に寄与する主観的エキスパートコーチング知識を可能にすることに向けられた特定の例示的な実施態様を参照して、上の第1の実施例を以下により詳細に検討する。
【0091】
スキル分析フェーズ-サンプル分析実施例
幾つかの例示的な実施態様では、トレーニングされる各スキルについて、1つ又は複数のサンプルスキルパフォーマーを使用して、そのスキルに含まれるモーションの初期分析を実行し、それにより、最適なパフォーマンスと準最適な(sub-optimal)パフォーマンスとの間の差の決定を可能にする(故に、最適なパフォーマンスに向かう指導を可能にする)必要がある。一般的に言えば、これは視覚的分析で始まり、次に、視覚的分析は(1つ又は複数の中間プロセスを介して)モーションセンサデータの分析(観察可能なデータ条件(Observable Data Conditions)又はODCについてのモニタリングと呼ぶ)に変換される。
【0092】
本明細書で記載する例示的な技法は、複数のサンプル被験者による(所与のスキルについての)身体的スキルパフォーマンスを表すデータを取得することを含む。各身体的スキルパフォーマンスについて、データは、好ましくは、以下を含む。
(i)1つ又は複数のキャプチャ角から1つ又は複数のキャプチャデバイスによってキャプチャされるビデオデータ。例えば、ローイングのコンテキストにおいて、これは、側方キャプチャ角及び後方キャプチャ角を含んでよい。
(ii)あらゆる利用可能なモーションキャプチャ技法を使用したモーションキャプチャデータ(MCD)。これに関して、「モーションキャプチャ」は、例えば、既知の場所にいる被験者に取り付けられた視覚マーカを使用して、モーションを表すデータをキャプチャするために、キャプチャデバイスを使用する、技術を指す。一例は、Viconによって提供されるモーションキャプチャ技術である(しかしながら、発明者/出願人とViconとの間の提携は推測されるべきでない)。
(iii)1つ又は複数の身体装着式モーションセンサを使用するモーションセンサデータ(MSD)。
【0093】
いずれの場合においても、好適なアプローチは、(i)生データ及び(ii)ある程度の処理を受けたデータの両方を格納することである。これは特にモーションセンサデータに当て嵌まる。より新しい/より良い処理アルゴリズムが利用可能になるに応じて、時間の経過に伴って生データを再処理し、それにより、エンドユーザ機能性を向上させてよい。
【0094】
概観すると、一般的な概念は、(現実のコーチにとって最も有用である)ビデオデータと(MSU対応衣服から得られるデータの分析を介したコーチングを含む最終的なエンドユーザ機能性に必要とされる)MSDとの間の足掛かり(stepping stone)としてMCDを使用することである。MCDは(i)十分に開発された信頼性の高い技術であり且つ(ii)身体部分の精密な相対的モーションをモニタリングするのに適しているので、MCDは、この点に関して有用な足掛かりを提示する。
【0095】
全体的な技法は、以下のフェーズ、すなわち、(i)選択的な被験者によるサンプルパフォーマンスを表すデータの収集、(ii)ビデオデータを使用する1人又はそれよりも多くのコーチによるサンプルパフォーマンスの視覚分析、(iii)1人又はそれよりも多くのコーチによって行われる視覚的観察のMCD空間への変換、及び(iv)MCD観察に基づきMSDを分析し、それにより、実際の意味で1人又はそれよりも多くのコーチの観察を表すMSD空間内のODCを特定することを含む。これらのフェーズの各々を以下に更に詳細に議論する。これはブロック201乃至204を介して図2Aに例示されている。
【0096】
代替的な方法が、(ビデオデータの収集を省略し、代わりに、MCDを使用して生成したデジタルモデルを介して視覚的分析を行う)図2B、(MSDのみを使用し、MSDに基づくコンピュータ生成モデルを使用して視覚的分析を達成する)図2C、(視覚的分析がなく、サンプル間の類似性及び相違を特定するMCDのデータ分析のみがある)図2D、及びMSDを介した機械学習を利用する図2Eに例示されている(MSDはサンプルパフォーマンスのために収集され、データ分析は結果データに基づいて行われ、それはサンプルパフォーマンスの1つ又は複数の結果パラメータが客観的に測定し、ODCは機械学習に基づき定義されて、ODCに基づく結果の予測を可能にする)。
【0097】
「1人又はそれよりも多くの」コーチを使用することに関して、幾つかの場合には、多数のコーチを使用し、それにより、所与のスキルの分析及びコーチングに関して合意位置を定義し、幾つかの場合には、代替的/追加的に多数のコーチを使用して、コーチに固有のコンテンツを定義する。後者は、エンドユーザがより広いコーチング合意に基づくコーチングと特定のコーチの特定の視点に基づくコーチングとの間で選択することを可能にする。実用的なレベルでは、商業的実施のコンテキストにおいて、後者は、(任意的により高い価格帯での)プレミアムコンテンツ提供のための基礎として提供されてよい。「コーチ」という用語は、コーチとして資格を有する者、又は(運動選手(アスリート)又は他のエキスパート(専門家)のような)本目的のためにコーチング能力において仕事をする者を記述するために使用されることがある。
【0098】
スキル分析フェーズ-被験者選択実施例
被験者選択は、所与のスキルを代表する被験者のグループを選択することを含む。幾つかの例示的な実施態様において、サンプル選択は、以下のパラメータのうちの1つ又は複数に亘る標準化(normalisation)を可能にするために実行される。
(i)能力レベル。好ましくは、能力レベルの範囲に亘る十分な代表があるように、複数の被験者が選択される。これは、既知の能力レベルのセットを最初に決定して、各レベルについて十分な被験者数を確保すること、第1のサンプルグループを分析し、その分析に基づきそのグループ内からの能力レベル代表を特定し、任意的に、能力レベルを代表するに至らないサンプルグループに拡大すること、又は他のアプローチを含む。本明細書で記載する実施態様において、ユーザ能力レベルは、多数のレベルでの自動的なコーチングプロセスの中心である。例えば、以下に更に議論するように、ユーザ能力レベルの初期評価は、例えば、PODデバイスがモニタリングするODCに関して、PODデバイスがどのように構成されかを決定するために使用される。コンテキストとして、初心者が行うミスはエキスパートが行うミスと異なる。その上、例えば、最初にトレーニングを提供し、それにより、初心者レベルで最適な(又は最適に近い)パフォーマンスを達成し、引き続きトレーニングを提供し、それにより、より進んだレベルで最適な(又は最適に近い)パフォーマンスを達成することによって、ユーザの実際の能力レベルに向けられたコーチングを提供することは有利である。
(ii)身体サイズ及び/又は形状。幾つかの実施態様において、又は幾つかのスキルについて、身体サイズ及び/又は形状は、(例えば、徴候の観察可能な特性を参照することによって)スキルのモーション属性に直接的な影響を有することがある。任意的なアプローチは、サンプルが、理想的には各能力レベルで、複数の身体サイズ/形状の各々を代表するように、サンプルを拡大することである。以下に更に議論するように、身体サイズ/形状の標準化は、幾つかの実施態様において、以下に更に議論するように、データ駆動型サンプル拡張方法を介して代替的に達成される。手短に言えば、これは、収集されたデータに所定の変換のセットを適用し、それにより、そのデータを異なる身体サイズ及び/又は形状の範囲に亘って変換することによって、複数のMCD/MSDデータセットが各サンプルユーザパフォーマンスについて定義されるのを可能にする。
(iii)スタイル。ユーザはパフォーマンスに重大な影響を与えない独自のスタイルを有することがある。サンプルは、好ましくは、徴候の観察特性がスタイルに依存しないように、スタイルに亘る標準化を可能にする十分な代表を含む。これは、個々のスタイルの特徴とは無関係に、パフォーマンスに基づく方法におけるコーチングを可能にする。しかしながら、幾つかの実施態様では、少なくとも徴候の選択が、スタイル固有の方法において定義される。例えば、これはコーチングが特定のスタイルを採用することを可能にする(例えば、特定の運動選手のスタイルに向けたコーチングを可能にする)。
【0099】
単純性のために、以下の記述は、多数の能力レベルについての標準化に焦点を当てる。例示的な実施態様では、「m」能力レベル(AL乃至Al)があり、各能力レベルで「n」被験者(SUB乃至SUB)がいる。すなわち、全体としてmnの被験者がいる。各個々の能力レベルでの被験者の数は必ずしも等しくなくてよい(例えば、幾つかの実施態様では、所与の能力レベルで追加的な被験者が観察され、それにより、より信頼性の高いデータが得られる)。
【0100】
前述のように、幾つかの実施態様では、例えば、追加的なデータポイントが好ましいという特定に基づき、サンプルは時間の経過に伴い拡張される。
【0101】
スキル分析フェーズ-パフォーマンスレジーム定義実施例
幾つかの例示的な実施態様において、各テスト被験者(test subject)( AL乃至ALの各々でのSUB乃至SUB)は、所定のパフォーマンスレジーム(performance regime)を実施する。幾つかの実施態様において、パフォーマンスレジームは、複数の能力レベルに亘って一定である。他の実施態様では、特定のパフォーマンスレジームが各能力レベルについて定義される。コンテキストとして、幾つかの場合には、パフォーマンスレジームは、様々な強度レベルでのパフォーマンスを含み、特定の強度レベルは、閾値能力レベル未満では不適切なことがある。
【0102】
幾つかの実施態様は、所与のスキルについて分析パフォーマンスレジームを定義することを含むプロセスを提供する。このレジームは、サンプルデータ収集の目的のために各被験者によって実行されるべき複数の身体的スキルを定義する。好ましくは、分析パフォーマンスレジームは、所定の数のセットを実行する命令によって定義され、各セットは、所定のセットパラメータを有する。セットパラメータは、好ましくは、以下を含む。
(i)各セットについての反復数。例えば、セットは、n反復(ここで、n≧1)を含んでよく、被験者は、所定のパラメータでスキルを反復的に試みる。
(ii)反復命令。例えば、反復の間にどれくらい休むか。
(iii)強度パラメータ。例えば、セットは一定の強度(同じ強度Iでの各反復REF乃至REP)で実行されてよく、強度を増加させる(強度Iで反復Rを実行し、次に、強度IでREPを実行する、ここで、I>I等)、或いは強度を減少させる(強度Iで反復REPを実行し、次に、強度IでRを実行する、ここで、I<I等)、或いは、より複雑な強度プロファイルを実行する。強度が定義される方法は、アクティビティに依存する。例えば、速さ(スピード)、電力、周波数等のような、強度パラメータが使用されてよい。そのような測定値は、幾つかの場合に、客観的な測定及びフィードバックを可能にする。代替的に、最大強度の百分率(例えば、“最大値の50%”)は主観的であるが、しばしば効果的である。
【0103】
一例として、エルグ機械(室内ローイング機器の一形態)上のローイングモーションの形態におけるスキルを分析する所与の分析パフォーマンスレジームは、以下のように定義されてよい。
● 6つのセット(SET乃至SET)を実行し、セット間に5分の休憩を取る。
● 各セットについて、8回の連続的な反復を実行する(REP乃至REP)。
● 強度パラメータは、強度=100WでのSET、強度=250WでのSET、強度=400WでのSET、強度=550WでのSET、強度=700WでのSET、及び強度=850WでのSETである。
【0104】
ローイングの実施例への言及は、以下に更に続く。しかしながら、これは例示のために提供される代表的なスキルに過ぎないこと、及び基礎を成す原理は広範なスキルに適用可能であることが理解されなければならない。
【0105】
スキル分析フェーズ-例示的なデータ収集プロトコル
パフォーマンスレジーム(performance regime)の各ユーザの完了に関して、データが収集され且つ格納される。上述のように、この実施例について、本明細書で考慮する主要な実施例において、データは、以下を含む。
(i)1つ又は複数のキャプチャ角から1つ又は複数のキャプチャデバイスによってキャプチャされるビデオデータ。例えば、正面、背面、側面、反対面、上面、及び他のカメラ角のうちの1つ又は複数が使用されてよい。
(ii)あらゆる利用可能なモーションキャプチャ技術を使用するモーションキャプチャデータ(MCD)。
(iii)1つ又は複数の身体装着式モーションセンサを使用するモーションセンサデータ(MSD)。
【0106】
データ収集を実行する条件を制御し、それにより、サンプル間の高度の整合性(consistency)及び比較可能性(comparability)を達成することが好ましい。例えば、これは、マーカ等を使用して一貫したカメラ配置を保証して、被験者の位置決め、被験者上のMSUの正確な位置決め等を支援することのような、技術を含んでよい。
【0107】
収集されるデータは、1つ又は複数のデータベースに編成され且つ格納される。メタデータも好ましくは収集され且つ格納され、それにより、追加的な文脈を提供する。更に、幾つかの場合には、データを処理して、キーイベント(鍵となる事象)を特定する。具体的には、事象は、モーションベースのイベントについてデータ内に自動的に及び/又は手動でタグ付けされてよい。例えば、所与のスキルの反復は、開始、終了、及び1つ又は複数の中間イベントのような、複数のモーションイベントを含んでよい。イベントは、ステップのようなもの、ボールに触れられる瞬間、ローイングモーション中のキーポイント(鍵となる地点)等を含んでよい。これらのイベントは、各データセット内で、又はビデオデータ、MCD及びMSDに亘って同期させられ得るタイムライン上で定義されてよい。
【0108】
スキル分析フェーズ-例示的なデータ同期
データの各形態は、好ましくは、同期させられるように構成される。例えば、以下の通りである。
● ビデオデータ及びMCDは、好ましくは、同期させられ、それにより、比較検討を可能にするように構成される。これは、例えば、(特に異なる視認角からキャプチャされたビデオ/MCDの比較分析に特に有用な)並列ビデオ検査(side-by-side video review)や、(特に共通角についてキャプチャされたビデオ/MCDに有用な)部分的な透明性を用いたオーバーレイ検査(overlaid review)を含む。
● MSDは、好ましくは、多数のMSUからのデータが共通の時間基準に対して変換/格納されるよう、同期させられるように構成される。これは、幾つかの実施態様では、それ自体のローカルクロック(local clock)に対する時間基準及び/又は観察可能な地球時間クロック(global time clock)に対する時間基準を表すデータをPODデバイスに提供する各MSUによって達成される。分散ノードによって供給されるデータの時間同期のための様々な有用な同期技法は、例えば、メディアデータ同期を含む、他の情報技術環境から知られている。
【0109】
同期は、好ましくは、(データが共通の時間基準に対して標準化されるように構成される)時間ベースの同期を含むが、時間ベースの同期に限定されない。幾つかの実施態様において、イベントベースの同期は、時間ベースの同期に加えて又は時間ベースの同期の代わりとして(又は時間ベースの同期を支援する手段として)使用される。
【0110】
イベントベースの同期は、MCD又はMSDのようなデータがイベントを表すデータを含むような、プロセスを指す。イベントは、典型的には、データについてのローカルタイムラインに対して定義される。例えば、MCDは、0:00:00に開始時点を有するビデオファイルを含んでよく、イベントは、その開始時点に対する時間で定義される。イベントは、(例えば、所定の観察可能な信号のようなソフトウェアプロセスによって特定され得るイベントを参照することによって)自動的に定義されてよく、且つ/或いは(例えば、そのデータの手作業の視覚的検査中にビデオデータをマーキングし、特定のイベントが発生した時間を特定して)手作業で定義されてよい。
【0111】
MCDのコンテキストにおいて、データは、好ましくは、1つ又は複数のパフォーマンスイベントに基づき同期を可能にするようマーキングされる。例えば、ローイングのコンテキストでは、ローイングモーション中の様々な特定可能なモーションポイント(motion points)を印し、それにより、モーションポイントの共通性に基づきビデオデータの同期を可能にする。これは、異なるサンプルユーザからのビデオデータを比較するときに特に有用である。それはそのようなユーザ間の異なる速度の動きを特定するのを支援する。幾つかの場合において、モーションポイントベースの同期は多数のアクティビティに基づき、ビデオレートは、2つの異なるサンプル(例えば、異なるユーザ、異なる反復、異なるセット等)についてビデオデータにおける2つの共通のモーションアクティビティを並列に(又は重ねて)見て、これらのモーションアクティビティ間で同じ速度の進行を示すように、調整される(例えば、速さが増大させられ、或いは速さが減少させられる)。例えば、1人の漕ぎ手が1秒のストローク時間を有し、他の人が1.2秒のストローク時間を有するならば、モーションアクティビティベースの同期は、後者が1秒に短縮され、それにより、2つの漕ぎ手のモーション間のより直接的な比較を可能にするように、適用される。
【0112】
スキル分析フェーズ-例示的なデータ拡張方法論
幾つかの実施態様では、各被験者のためにMSD及び/又はMCDを、データ拡張プロセスを介して変換し、それにより、異なる身体属性を有する複数の更なる「仮想被験者」を定義する。例えば、各MCD及び/又はMSDデータアクティビティが複数の異なる身体サイズに基づき変換されるのを可能にするよう、変換を定義する。これは、特定の身体サイズを有する被験者からのパフォーマンスのキャプチャが、異なる身体サイズを反映する複数のサンプルパフォーマンスに拡張されるのを可能にする。「身体サイズ」という用語は、身長、胴の長さ、上肢の長さ、下肢の長さ、腰幅、肩幅等のような、属性を指す。これらの属性は、実際には、MCD及びMSDデータ収集にそれぞれ使用されるマーカ及びMSUの移動経路(パス)及び相対位置を変更することが理解されるであろう。
【0113】
データ拡張は、全てのサンプル遂行者から収集されるデータが「標準的」身体サイズを有する仮想遂行者による1つ又は複数の仮想パフォーマンスを含む仮想パフォーマンスのセットに拡張され得るという点で、身体サイズの標準化のコンテキストにおいても有用である。幾つかの実施態様では、単一の「標準的」身体サイズが定義される。標準身体サイズの使用、並びにサンプルパフォーマンスからその標準身体サイズへのMSD及びMCDの変換は、多数のサンプル遂行者の身体サイズの違いにも拘わらず、MCD及びMSDの直接的な比較を可能にする。
【0114】
スキル分析フェーズ-例示的な仮想分析方法論
上述したように、並びに図2Aのブロック202に示すように、例示的なスキル分析方法論の特徴は、ビデオデータを介したサンプルパフォーマンスの視覚的分析を含む。他の実施態様において、ビデオ分析は、ビデオデータの代替として、又はビデオデータに加えて、MCD及び/又はMSDから導出されたコンピュータ生成モデルを使用して実行される。従って、以下の実施例は、ビデオデータに基づく検査に焦点を当てるが、そのような実施例は非限定的であり、ビデオデータは、他の実施態様において、MCD及び/又はMSDに基づき生成されるモデルと置換されることが理解されるべきである。
【0115】
視覚的分析は、スキルとそのスキルのコンポーネントの予備的な理解、徴候の初期的特定、及び所定の分析スキームに基づく個々のサンプルパフォーマンスの分析を含む、様々な目的のために実行される。
【0116】
図3は、1つの実施態様に従った例示的なユーザインタフェース301を例示している。特別に適合されたソフトウェアは全ての実施態様において使用されないことが理解されるであろう。図3の実施例は、主として、視覚的分析プロセスにおいて特に役立つ鍵となる機能性を例示するために提供される。
【0117】
ユーザインタフェース301は、複数のビデオディスプレイオブジェクト302a乃至302dを含み、ビデオディスプレイオブジェクトは、それぞれ、格納されるビデオデータを再生するように構成される。幾つかの実施態様において、ビデオディスプレイオブジェクトの数は、例えば、(i)所与のサンプルパフォーマンスについてのビデオキャプチャカメラ角度の数、及び(ii)ユーザコントロールに基づき異なり、ビデオディスプレイオブジェクトは、各角度について提供される。ユーザ制御に関して、ユーザは、パフォーマンスレベルで(この場合には、多数のビデオディスプレイオブジェクトがそのパフォーマンスに関連付けられる多数のビデオ角度のために集合的に構成される)或いは個々のビデオベース(例えば、1つ又は複数のサンプルパフォーマンスから特定の角度を選択すること)で、表示されるべきビデオデータを選択することが可能にされる。各ビデオディスプレイオブジェクトは、単一のビデオを表示するか、或いは多数のビデオを同時に表示するように構成される(例えば、2つのビデオをある程度の透明性を伴って互いに重ね、それにより、オーバーラップ及び相違の視覚的観察を可能にする)。再生コンテキストディスプレイ304は、ビデオディスプレイオブジェクトに何が表示されているかについての詳細を提供する。
【0118】
オブジェクト302a乃至302d内に表示されるビデオデータは、同期される、例えば、時間同期される。共通のスクロールバー303は、(前述のように、各ビデオディスプレイオブジェクト内に多数のオーバーレイされた(overlaid)ビデオオブジェクトを含んでよい)多数の同期されたビデオを通じた同期ナビゲーションを可能にするために設けられる。幾つかの実施態様では、時間同期とモーションイベントベースの同期との間を移動するためにトグル(toggle)が設けられる。
【0119】
ナビゲーションインターフェース305は、ユーザが利用可能なビデオデータをナビゲートするのを可能にする。このデータは、好ましくは、複数の属性を参照することによってソートされるように構成され、それにより、所望のパフォーマンス及び/又はビデオの特定を可能にする。例えば、1つのアプローチは、先ず、スキルによってソートし、次に、能力レベルによってソートし、次に、ユーザによってソートすることである。好適な実施態様において、ユーザは、パフォーマンスビデオデータセット及び/又は個々のビデオをビデオディスプレイオブジェクトにドラッグアンドドロップするのが可能にされる。
【0120】
図3は、追加的に、観察記録インタフェース306を例示している。これは、ユーザが、見られたパフォーマンスデータセットに関連付けら得る観察を記録するのを(例えば、チェックリストを完成する、メモを作成する等を)可能にするために使用される。多数のパフォーマンスデータセットが見られるとき、好ましくは、マスターセット、及び1つ又は複数のオーバーレイされた比較セットがあり、観察はマスターセットと関連付けられる。
【0121】
スキル分析フェーズ-視覚的分析を介した例示的な徴候特定
例示的な実施態様では、多数のエキスパート(例えば、コーチ)が、サンプルパフォーマンスを検査し、それにより、徴候を特定することに関与する。幾つかの場合、これは、観察記録インタフェース306を提供する、ユーザインタフェース301のようなインタフェースによって容易にされる。
【0122】
全体として、各エキスパートは、事前に定められた検査プロセスに基づき(ビデオデータの検査、又はMCD及び/又はMSDから構築されたモデルの検査を介して)各サンプルパフォーマンスを検査する。例えば、検査プロセスは、特定の条件(例えば、通常の速さ、スローモーション、及び/又はオーバーレイされた「正しいフォーム」の実施例)の下で特定の数の視認を必要とするよう、予め定められてよい。エキスパートは、特定された徴候に関して観察を行う。
【0123】
図4Aは、1つの実施態様で使用される例示的なチェックリストを示している。そのようなチェックリストは、ハードコピー形式において、或いは(図3のインタフェース306のような)コンピュータインターフェースを介して、完成されてよい。チェックリストは、検査者(すなわち検査を行うエキスパート/コーチ)によって分析されている(この実施例では「標準ローミングアクション」である)スキル、(名前又はIDによって特定されるサンプルパフォーマンスに示される人物である)被験者、被験者の能力レベル、及び検査されているセットを含む、データ属性を特定する。これらのデータ属性のいずれかについての追加的な詳細がデータの他の特徴と共に表示されてもよい。
【0124】
チェックリストは、次に、エキスパートが観察するよう命令される徴候を特定するヘッダー行を含む。図4Aにおいて、これらはS1乃至S6として示されているが、実際には、(このローイングの実施例のコンテキストにおける「突っ込んだ腕」(snatched arms)又は「突進するスライド」(rushing slide)のような)記述的な名称/用語を参照して徴候を記録するのが好ましい。ヘッダー行は、個々の反復REP1乃至REP8を示す。検査者は、各反復に関して各徴候の存在を記す。徴候のセットは能力レベルによって依存して異なることがある。
【0125】
図4Aに示すようなチェックリスト(及び他の収集手段)から導出されるデータを収集し且つ処理して、それにより、サンプルパフォーマンスについての各セットの各反復における徴候の存在を決定する。これは、各反復についての合意ビューを決定すること、例えば、閾値数のエキスパートが所与の反復において徴候を特定することを要求することを含んでよい。幾つかの場合において、合意ビューデータは、個々のエキスパート観察データとの組み合わせにおいて格納される。
【0126】
ビデオデータ、MSD、及びMCDは、徴候の存在を表すデータと関連付けられる。例えば、所与のサンプルパフォーマンスの所与のセットの所与の反復についてMSDを定義する個々のデータセットは、1つ又は複数の特定された徴候と関連付けられる。
【0127】
幾つかの実施態様では、図4Aのチェックリストのようなチェックリストは、事前定義されたODCのセットに基づくMSDの分析に基づき予測された徴候が事前設定されている(pre-populated)。検査者は、視覚的分析に基づきそれらの予測を確認/拒否することによってMSDに基づく自動化された予測の正確性を検証することができる。幾つかの実施態様において、そのような検証はチェックリストの事前設定(pre-populating)のないバックグラウンド作業として実行される。
【0128】
スキル分析フェーズ-例示的な徴候対原因マッピング
幾つかの実施態様では、視覚的分析に基づき徴候を原因にマッピングすることを可能にする分析を実行する。コンテキストとして、所与の徴候は、複数の根本的な原因のうちのいずれか1つ又は複数に起因することがある。幾つかの場合には、第1の徴候が第2の徴候の原因である。トレーニングの観点からは、所与の徴候について、原因の基礎を成す根を決定することは有用である。その場合、その原因に対処するトレーニングを提供することができ、故に、(「徴候」が誤った形態を示す実施態様において)徴候を矯正するのを助けることができる。
【0129】
一例として、標準的なローイングモーションを再び参照して、以下の徴候が定義されてよい。
● 最小ロックオーバ(minimal rock over)。
● バン・ショーブ(尻を突出す動き)(bum shove)。
● 突っ込んだ腕(snatched arms)。
● 突進する回復スライド(rushing recovery slide)。
● 山を越える(over the mountain)。
● 手が膝を越える前に膝を曲げる(knees bending before hands past knees)。
● 短すぎる回復(recovery too short)。
● C字形バック(C-shaped back)。
【0130】
次に、各徴候について、複数の考えられる原因を定義する。例えば、「突っ込んだ腕」(“snatched arms”)のコンテキストでは、原因は以下のように定義されてよい。
● 早く腕をロードする(loading arms early)。
● 早く腕を戻す(loading back early)。
● 突進する回復スライド(rushing recovery slide)。
【0131】
徴候-原因相関の分析は、複数の原因のうちのどれが特定された徴候に関与しているかの予測/決定を支援する。原因が(上記「突進回復スライド」のような)徴候でもある場合、予測される根本原因が特定されるまで、その徴候の原因が(潜在的に反復可能なプロセスを介して)特定(等)される。次に、その根本原因に対処することができる。
【0132】
幾つかの実施態様では、エキスパートが追加的な視覚的分析を行い、それにより、徴候を原因と関連付ける。これは複数のレベルのいずれか1つ又は複数で実行されてよい。例えば、以下の通りである。
● 一般的なスキルベースのレベルでの根本原因との徴候の関連付け。
● 概ね各能力レベルについての根本原因との徴候の関連付け。
● 各個々の運動選手についての根底原因との徴候の関連付け。
● (例えば、能力、強度、及び徴候/原因関係の間の関係に関するガイダンスを提供する)各個々の運動選手によって実行される各セットについての根本原因との徴候との関連付け。
● 各個々の運動選手によって行われる各セットの各反復についての徴候との原因の関連付け。これはよりリソース集約的であるが、特定の原因についてのMSDの詳細な分析を可能にする。
【0133】
徴候の特定と同様に、幾つかの実施態様では、チェックリストが使用される。例示的なチェックリストが図4Bに提供されている。このチェックリストでは、検査者は、所定のセットについて(この実施例ではS、S、S及びSである)特定された徴候と原因との間の相関を記す。コンピュータが実施するチェックリストの場合には、ヘッダー行をフィルタリングして、そのセット内に存在するものとして特定された徴候のみを明らかにしてよい。幾つかの実施態様では、エキスパートは、チェックリストに追加的な原因列を追加するのが可能にされる。
【0134】
徴候-原因相関を表すデータを多数の検査者に亘って集計し、それにより、多数のエキスパートによって特定されるような徴候及び原因の間の関係の合意ビューを特定するオーバーラップ行列(overlap matrix)を定義する。これは、能力レベルベース、運動選手ベース、セットベース、又は反復ベースであってよい。いずれの場合においても、集計は、徴候が所与の能力レベルの運動選手について特定される場合に、原因又は可能性のある原因の予測を可能にするデータの決定を可能にする。ODCが個々の原因について定義されるとき、それはMSDの処理を可能にし、それにより、特定された1つ又は複数の可能性のある原因のいずれかの存在を特定する。
【0135】
幾つかの実施態様では、合意ビューの部分となるにはエキスパートの間で十分に一致していない徴候-原因相関が、プレミアムコンテンツ生成の目的のために格納される。例えば、トレーニングプログラムのコンテキストでは、多数のレベルのプレミアムコンテンツがあることがある。
● 徴候-原因相関について合意ビューを使用する、ベースレベル。
● (更なる徴候-原因相関が特定のエキスパートによって一貫して特定されているが、合意ビューに反映されていないという観察に基づく)その特定のエキスパートと関連付けられる更なる徴候-原因相関の更なるグループを追加的に使用する、上位レベル。
【0136】
オーバーラップ行列は、(能力レベルのような)コンテキストに基づき特定の徴候に関与する特定の原因の相対的確率を定義するために使用されてもよい。例えば、第1の能力レベルで、徴候Aが原因Bの結果である可能性は90%であるが、第2の能力レベルで、原因Bは、その徴候について10%の可能性であるに過ぎず、原因Cが70%の可能性であることがある。
【0137】
幾つかの実施態様では、(上記徴候と類似の方法において)各反復を原因と関連させ、それにより、MSDにおける原因についてのODCの特定を支援する、分析を実行する。しかしながら、他の実施態様では、原因は、MSDの分析を必要とせずに、確率的予測ベースで特定される。
【0138】
スキル分析フェーズ-能力レベル徴候の例示的な特定
幾つかの実施態様において、重要な範疇(カテゴリ)(category)の徴候は、定義された能力レベルへの被験者の分類(categorisation)を可能にする徴候である。所与の能力レベルへの分類は、特定の徴候の観察、又は徴候の集合のうちの1つ又は複数の観察に基づいてよい。
【0139】
以下に更に記載するように、幾つかの実施態様は、例えば、観察能力レベルを表す徴候に基づき、能力レベルに関する決定を先ず行い、次に、その決定に基づき下流アクションを実行する、トレーニングプログラムロジックを活用する。例えば、ODCについてのモニタリングは、幾つかの場合に、能力レベルに依存する。例えば、所与の徴候についてのODCは、第2の能力レベルと比較して第1の能力レベルで異なって定義される。実際には、これは、初心者が徴候を表示するコースエラー(course errors)を行うことの結果でなく、エキスパートがより一層細かい動きの変化を介して徴候を表示することがある。
【0140】
スキル分析フェーズ-(例えば、状態エンジンデータについての)ODCの例示的な決定
エキスパート/コーチによる視覚的分析に続き、スキル分析フェーズは、サンプルパフォーマンスの視覚的分析から得られたエキスパート知識(expert knowledge)を分析して、MSDに基づく徴候の自動的な検出を可能にするODCを定義する、データ分析サブフェーズに移行する。例えば、そのようなODCは、トレーニングプログラムがエンドユーザの身体的パフォーマンスにおける特定の徴候の検出を表す入力に基づき動作することができるように、後にエンドユーザハードウェア(例えば、PODデバイス)にダウンロードされる、状態エンジンデータにおいて使用される。
【0141】
所与の徴候についてODCを定義するために、ある範囲の様々な方法論が様々な実施態様において使用されることが理解されるであろう。幾つかの実施態様において、一般的な方法論は、以下を含む。
(i)MSDの分析を実行し、それにより、視覚分析の結果に基づき徴候の存在を示すと予測される(例えば、加速率及び方向を含むMSDに基づく)データ属性の組み合わせを特定すること。
(ii)(例えば、実際に記録されたMSDを使用して)サンプルパフォーマンスを表すデータに対するそれらのデータ属性をテストして、それらのデータ属性が(任意的に能力レベルに固有の基準で)関連する徴候を表示する全てのサンプルパフォーマンスに存在することを検証すること。
(iii)(例えば、実際に記録されたMSDを使用して)サンプルパフォーマンスを表すデータに対するそれらのデータ属性をテストして、それらのデータ属性が(再び任意的に能力レベルに固有の基準で)関連する徴候を表示しないサンプルパフォーマンスに存在しないことを検証すること。
【0142】
実施例は、以下を含むが、それらに限定されない。
● 視覚的分析とMSDとの間の足掛かりとしてMCDを使用するアプローチ。
● 視覚的分析からMSDの分析に直接的に移行するアプローチ。
● 個々のセンサから得られるデータに基づきODCを定義するアプローチ。
● MSDから構築される仮想身体モデルを使用して全体的な身体モーションに基づきODCを定義するアプローチ。
【0143】
一揃いの実施例を以下に詳細に記載する。
【0144】
幾つかの実施態様において、ODCは、例えば、MSU及び/又はPODデバイスで余りプロセッサ/電力集約的でないODCを定義することによって、エンドユーザハードウェアを効率的に活用するよう、調整される。例えば、これは、サンプリング速度、データ解像度等に関して関連することがある。
【0145】
スキル分析フェーズ-視覚的観察からMCD空間への例示的な変換
上述のように、幾つかの実施態様において、MCD空間は、視覚的観察とMSDデータ分析との間の足掛かりとして使用される。これは、(例えば、MSDを共通の幾何学的基準フレームに変換することに関連する挑戦に留意して)MSDに基づき仮想身体モデルを正確に定義することに関連する挑戦を回避するのに有用である。
【0146】
全体として、このプロセスは、所与の徴候について、その徴候を表示するものとして印されたパフォーマンスと関連付けられたMCDを分析することを含む。この分析は、幾つかの実施態様において、(徴候がモーションから観察可能である程度は能力レベルによって異なることに留意して)能力レベルに固有の基準で行われる。例えば、分析は、関連する徴候を表示するサンプルについての(MCDに由来するコンピュータ生成モデルのような)MCDを、徴候を表示しないサンプルについてのMDCと比較することを含む。
【0147】
図5は、1つの実施態様に従った方法を例示している。これは一例に過ぎず、類似の目的を達成するために様々の他の方法が任意的に使用されることが理解されるであろう。ブロック501は、分析のための徴候を決定することを含むプロセスを表している。例えば、徴候は、ローイングのコンテキストにおいて、「突っ込んだ腕」(“snatched arms”)であってよい。ブロック502は、分析のためのサンプルデータを特定することを含むプロセスを表している。例えば、サンプルデータは、以下を含んでよい。
● 徴候と関連付けられる全ての反復についてのMCD。
● 特定の強度パラメータでの徴候と関連付けられる全ての反復についてのMCD。すなわち、分析は、徴候が(他の強度パラメータとは対照的に)特定の強度パラメータでどのように存在するかを考慮する。
● 特定の能力レベルでの徴候と関連付けられる全ての反復についてのMCD。すなわち、分析は、徴候が(他の能力レベルとは対照的に)特定の能力レベルでどのように存在するかを考慮する。
● 特定の強度パラメータ及び特定の能力レベル(すなわち、前の2つのアプローチを組み合わせたもの)での徴候と関連付けられる全ての反復についてのMCD。
【0148】
他のアプローチも使用されてよい。幾つかの場合には、(所与の徴候に関連する或いは関連しないと判明することがある)強度及び能力のような要因の影響をより良く理解するために、上記アプローチの多数が組み合わせにおいて使用される。
【0149】
ここで使用されるMCDは、好ましくは、例えば、上で議論したサンプル拡張技法に基づき標準的な身体サイズに標準化されたMCDである。同様に、そのようなプロセスから得られるODCは、可変な(及び潜在的に無限に可変な)範囲の身体サイズに適用可能であるように、サンプル拡張の変換原理を使用して非標準化されることが可能である。
【0150】
機能ブロック503は、潜在的な徴候インジケータモーション(SIM)を特定することを含むプロセスを表している。例えば、これは、関連する徴候を表す予測されるサンプル反復の各々についてMCD内で観察可能なモーションの属性を特定することを含む。インジケータモーションは、幾つかの実施態様において、MSUが取り付けられる身体部分のモーションパス(モーション経路)の属性によって定義される。モーションパスの属性は、角度、角度の変化、加速/減速、加速/減速の変化等のようなものを含む。本明細書では、これを「ポイントパスデータ」(ポイント経路データ)(“point path data”)と呼び、それは身体上に定義されるポイントのモーション属性を表すデータである。これに関して、潜在的SIMは、「ポイントパスデータ」の1つ又は複数のセットによって定義される(すなわち、幾つかの場合には、1つのセットのポイントパスデータがあり、その場合、SIMは1つの身体部分だけのモーションに基づき、幾つかの場合には、多数のセットのポイントパスデータがあり、その場合、SIMは、前腕及び上腕のような多数の身体部分のモーションに基づく)。
【0151】
コンテキストとして、ポイントパスデータのセットは、所与のポイントについて以下のデータを含むように定義されてよい。
● X軸加速度:最小A、最大B
● Y軸加速度:最小C、最大D
● Z軸加速度:最小E、最大F
【0152】
加速度以外のデータも使用されてよい。更に、多数の加速度測定値があってよく、これらは、他のイベント及び/又は測定値に時間参照されてよい。例えば、ポイントパスデータの1つのセットは、ポイントパスデータの他のセットの観察に続く定義された時間期間を参照することによって制約されてよい。コンテキストとして、これは上肢にあるポイントと前腕にあるポイントとの相対的な動きを考慮するSIMを定義するために使用されてよい。
【0153】
機能ブロック504は、潜在的SIMが比較データに対してテストされる、試験プロセス(testing process)を表している。幾つかの実施態様において、試験は、以下を検証する。
(i)ポイントパスデータの1つ又は複数のセットが、サンプルデータにおける反復のそれぞれについて、MCDにおいて観察される。これは、潜在的SIMが、それが動作するように設計されるサンプル中の徴候の存在を特定することに関して効果的であることを検証する。
(ii)ポイントパスデータの1つ又は複数のセットは、関連する徴候と関連付けられない反復について、MCDにおいて観察されない。これは、徴候が存在しない場合に、潜在的SIMが引き起こされないことを検証する。
【0154】
判定505(decision)は、潜在的SIMが505での試験に基づいて検証されるか否かの決定(determination)を表している。
【0155】
潜在的SIMが成功裡に検証され得ない場合、SIMは精緻化され(refined)(ブロック506を参照)、再テストされる(re-tested)。幾つかの実施態様において、精緻化(refinement)及び再試験(re-testing)は、インタラクティブ(対話型)アルゴリズムを介して自動化される。例えば、これは、前に予め定義された潜在的SIMの基礎を成すポイントパスデータ定義を、関連する徴候が存在しないパフォーマンス反復についてMCDを参照することによって特異であると検証され得るポイントに絞り込むように動作する。幾つかの場合には、閾値数の反復に続いて所与のSIMを検証することができず、新しい開始ポイントの潜在的SIMが必要とされる。
【0156】
ブロック508は、成功裡の試験に続くSIMの検証を表している。
【0157】
サンプルデータが関連する徴候と関連付けられる全ての反復についての全MCDデータのサブセットである幾つかの実施態様では、SIMがその全MCDデータのあらゆる他のサブセットについても検証されることを示すデータが生成される(例えば、SIMは、第1の能力レベルでの分析に基づき導き出されるが、第2の能力レベルでも検証される)。
【0158】
潜在的なSIMを決定するプロセスは、(例えば、ビデオ及び/又はMCDに由来するモデルデータの視覚的分析に基づく)主として手作業のプロセスであってよいことを理解されるべきである。しかしながら、幾つかの実施態様において、プロセスは、様々なレベルの自動化によって支援される。例えば、幾つかの実施態様では、アルゴリズムが、徴候が存在しないMCDにおけるMCDと比較した、徴候を表示するMCDにおける共通性に基づき、潜在的なSIMを特定するように構成される。そのようなアルゴリズムは、幾つかの実施態様において、全ての他のサンプルパフォーマンス(サンプルパフォーマンスは身体サイズのために標準化されている)に対する徴候を表示するサンプルパフォーマンスのサンプルセットの特異性を包括的に定義される潜在的なSIMの集合を定義するように構成される(各SIMは、MCD空間又はMSD空間内のポイントパスデータのそれぞれの1つ又は複数のセットによって定義される)。1つの実施態様では、アルゴリズムが、選択される徴候又は徴候の集合に共通する全てのMCDを含むデータセットを表すデータを出力し、(例えば、特定のセンサ、モーション内の特定の時間窓、データ解決制約等に基づき)そのデータセットのフィルタリングを可能にし、それにより、(例えば、エンドユーザに提供されるMSU対応衣服のMCDに基づき)エンドユーザハードウェアのコンテキストにおける実用的な適用を可能にする特性を有する潜在的なSIMへのデータセットのユーザ誘導狭小化(ナローイング)を可能にするように構成される。
【0159】
幾つかの実施態様において、試験プロセスは、視覚的分析が失敗した反復における徴候の識別を可能にするために追加的に使用される。例えば、試験失敗の回数が少ない場合、それらは、徴候が実際に存在しないのか或いは微かに存在するのかを確認するために、視覚的分析に晒される。
【0160】
スキル分析フェーズ-MCD空間からMSD空間への例示的な変換(ODC)
図5の方法のような方法によって検証されたSIMは、次に、MSD空間に変換される。上記のように、各SIMは、ポイントパスデータの1つ又は複数のセットを表すデータを含み、ポイントパスデータの各セットは、人体上の定義されたポイントについてのモーション属性を定義する。
【0161】
ポイントパスデータが定義される人体上のポイントは、好ましくは、MSUが(i)サンプルパフォーマンス中に被験者が着用するMSU構成、及び(ii)エンドユーザが利用するMSU対応衣服のコンテキストにおいて取り付けられるポイントに対応して定められる。幾つかの実施態様では、エンドユーザMSU対応衣類(又はそのバリエーション(変形))が、サンプルパフォーマンスの目的のために使用される。
【0162】
ポイントパスデータが、MSUが取り付けられるポイント以外のポイントのために定義される場合には、データ変換を実行し、それにより、ポイントパスデータをそのようなポイントに調整するのが好ましい。代替的に、そのような変換は後続の段階に統合されてよい。
【0163】
全体として、サンプルデータ(図5のブロック502のサンプルデータ)におけるサンプルパフォーマンス反復のうちの1つ又は複数のためのMSDを分析し、それにより、ポイントパスデータに対応するデータ属性を特定する。例えば、ポイントパスデータは、基準フレーム(好ましくは、重力基準フレーム)に対するモーション方向及び/又は加速方向の1つ又は複数の定義された範囲を示すことがある。
【0164】
幾つかの実施態様において、(a)MCD空間内で得られたSIMから(b)MSD空間によって定義されたデータへの変換は、以下を含む。
(i)ポイントパスデータの各セットについて、ポイントパスデータを表す、SIMが関連するサンプルパフォーマンスの各々に存在する、MSD属性を特定すること。幾つかの場合、ポイントパスデータとMSDの属性との間の関係は、例えば、MSDの性質の故に不完全である。そのような場合、特定されたMSD属性は、ポイントパスデータによって定義されるモーションよりも広いことがある。
(ii)図5のブロック504~506の反復試験と類似するプロセスによって特定されるMSDデータ属性を検証し、それにより、特定されるMSD属性が、徴候を表示するサンプルパフォーマンスについてのMSD内に一貫して見出され、全ての徴候のないサンプルパフォーマンスに存在しないことを検証すること。
【0165】
MSD空間へのこの変換プロセスは、収集段階(例えば、図2Aのブロック201)中に使用される1つ又は複数のMSUから得られるデータ内で観察されるときに徴候の存在を示す、データ条件をもたらす。すなわち、変換プロセスは、徴候についてのODCをもたらす。
【0166】
このように定義されるODCの決定は、1つ又は複数のセンサの個々のセンサデータ条件によって定義される。例えば、ODCは、規則(例えば、タイミング規則:センサXがAを観察し、定義された時間内に、近接センサXがBを観察する)との組み合わせにおいて、各センサでの速度及び/又は加速度の測定値に基づき観察される。
【0167】
次に、ODCは、エンドユーザデバイスへのダウンロードのために利用可能にされるように構成された状態エンジンデータに統合されるのが可能にされ、それにより、関連する徴候をモニタリングするそのエンドユーザデバイスの構成が可能にされる。
【0168】
上記変換プロセスによって定義されるODCは、データ収集フェーズにおいて使用されるMSUに特異であることが理解されるであろう。この理由のために、エンドユーザによって使用されるような収集フェーズ中に(例えば、同じMSU対応衣服を介して)同じMSU及びMSU位置付けを使用するのが便利である。しかしながら、幾つかの実施態様では、例えば、異なるMSU及び/又は異なるMSU位置付けを伴う、多数のバージョンのエンドユーザMSU対応衣服がある。そのような場合、MSD空間への変換は、各衣服バージョンのために別個に任意的に実行される。これは、(特定のエンドユーザ機器に対応する)仮想MSU構成の仮想適用を介して、収集されたテストデータの既知のデータ変換及び/又はモデリングを適用することによって、達成されることがある。例えば、後者に関して、MCDから導出される仮想モデルは、1つ又は複数の仮想MSUをサポートし、SIMデータに対応するコンピュータ予測MSU読取りを決定するフレームワークとして、任意的に使用される。分析フェーズを介して収集されるデータがそのような状況において時間の経過と共に再使用され得ることを条件として、これはハードウェアの進歩に基づき時間の経過と共にODCを再定義する能力を提供することが理解されるであろう。
【0169】
MSC分析に基づき生成されるODC又はSIMを定義するプロセスである例示的なプロセスを図6に例示する。検証されたSIMが601で特定される。ポイントパスデータのセットの第1のものが602で特定され、そして、これはブロック603乃至608によって表されるプロセスを介して分析され、それはポイントパスデータの各セットについてループする。このループ処理は、ポイントパスデータに対応する潜在的なMSD属性を特定することを含む。例えば、幾つかの実施態様において、これは、収集されたMSDを、関連する収集されたMSDの全部又はサブセットについてのポイントパスデータと同じ時点で処理することを含む(MCD及びMSDは時間同期のために構成された方法で格納されることに留意のこと)。次に、604で試験を実行して、特定されたMSD属性が、サンプルパフォーマンスから収集された全ての関連する徴候に存在するMSD内に存在するか否かを605で決定し、(そして、幾つかの実施態様では、特定されたMSD属性が、徴候が存在しないMSD内に存在しないことを保証する)。必要な場合には、606で精緻化を実行し、さもなければ、607でMSD属性を検証する。
【0170】
SIM内のポイントパスデータの全てのセットについてブロック603乃至608のループ処理がひとたび完了すると、検証されたMSD属性を609で組み合わせ、それにより、徴候についての潜在的なODCを定義する。次に、これらもブロック610乃至613のプロセスを介して試験し、精緻化し、且つ検証し、それにより、潜在的なODCを、(i)関連する徴候が実際に存在する全ての関連するサンプルパフォーマンスMSD内で特定し、且つ(ii)関連する徴候が存在しない全ての関連するサンプルパフォーマンスMSD内で特定しない(「関連する」(“relevant”)という用語は、幾つかの場合、分析が能力レベル等によって制限されることを示す)。
【0171】
更なる実施態様では、様々な代替的な方法論を使用し、それにより、所与の徴候についてODCを定義することが理解されるであろう。しかしながら、実質的に全ての場合において、方法は、分析を実行し、それにより、徴候が存在するサンプルパフォーマンスについて(収集された或いは仮想に定義された)MSD内に特定されることができるが、徴候が存在しないサンプルパフォーマンスにおいて特定されることができない、観察可能なデータ条件を定義することを含む。
【0172】
スキル分析フェーズ-MSD空間を介したMCD空間への仮想的な観察の代替的な変換
更なる実施態様において、MCDは、仮想身体モデルを生成するために使用され、そのモデルは、時間同期されたMSDと関連付けられる。そのようにして、スキルパフォーマンスモーションの特定のポイントで選択的な1つ又は複数のMSUについてMSDを使用して分析を行うことができる。
【0173】
この段階で使用されるMSDは、特定のパフォーマンスについてのMSD又は同様のパフォーマンスのサブセットに亘って集計されたMSD(例えば、定義された能力レベルでの標準化された身体サイズによるパフォーマンス)のいずれかである。集計は、(i)パフォーマンスのサブセットの全てにおいて類似/同一であるMSDのみを利用すること、及び(ii)集計されたMSDが、パフォーマンスのサブセットについてMSDの全て(又は統計的に関連する割合)を含むようにデータ値範囲を定義することの一方又は両方を含んでよい。例えば、後者に関して、第1のパフォーマンスのMSDは、特定の時点での特定のセンサのx軸加速度についてAの値を含んでよく、第2のパフォーマンスについてのMSDは、その特定の時点でのその特定のセンサのx軸加速度についてBの値を有してよい。これらは、集約MSDに集約されることができ、その場合、その特定の時点でのその特定のセンサのx軸加速度の値は、AとBとの間にあるものとして定義される。
【0174】
故に、以下のようなものを決定するために分析を行うことができる。
(i)特定のパフォーマンスについての、モーション中の特定のポイントでの、特定のセンサについてのMSDの1つ又は複数の特徴についての値(例えば、加速度計の値)。
(ii)(i)での値を、動作(movement)における同じポイントでの他のパフォーマンス(例えば、同じ能力レベルで同じ徴候を示す他のパフォーマンス)と比較する、比較データ。
(iii)パフォーマンスのセット(例えば、同じ能力レベルで同じ徴候を示す他のパフォーマンス)についての、動作における特定のポイントでの、特定のセンサについてのMSDの1つ又は複数の特徴についての値の範囲(例えば、加速度計の値)。
(iv)その特定の徴候を表示しない1つ又は複数の更なるパフォーマンスについての対応するMSDと比較するときの、特定の徴候を有する特定のパフォーマンスについての、動作中の特定のポイントでの、特定のセンサについてのMSDの1つ又は複数の特徴についての比較データ(例えば、加速度計の値)。
【0175】
そのような分析は、所与の徴候について予測されるODCを決定するために使用される。
【0176】
予測されたODCがひとたび定義されると、これらは図7に示したような方法を使用して試験されることができる。特定の徴候について予測されたODCが701で決定され、次に、これらは702でサンプルパフォーマンスについてのMSDに対して試験される。前の実施例と同様に、これは、予測されたODCがその徴候を表示する関連するパフォーマンスについてのMSD内に存在すること、及びODCが徴候を表示しない関連するパフォーマンスについてのMSD内に存在しないことを検証するために、使用される。例えば、「関連する」パフォーマンスは、共通の能力レベルでのサンプルパフォーマンスであり、幾つかの実施態様では、標準的な身体サイズに対して標準化される。試験に基づき、ODCは704で精緻化され、或いは705で検証される。
【0177】
分析フェーズ-身体モデリングを介してODCを定義する代替的なアプローチ
上述のアプローチは、個々のセンサのうちの1つ又は複数の特定のデータ属性を探すODCに基づく。代替的なアプローチは、身体のモーションに基づきODCを定義し、MSUから収集されるMSDに基づき仮想身体モデルを定義することである。例えば、MSDを収集し且つ処理し、それにより、MSUから得られる動作データに基づき三次元身体モデル(又は部分的な身体モデル)を定義し且つ維持し得るように、データを共通の基準フレームに変換する。MSDから部分的な及び/又は全体的な身体モデルを導出する例示的な技法は、2つ又はそれよりも多くのMSUからのMSDを共通の基準系に変換することを含む。そのような変換は、以下の技法のうちの任意の1つ又は複数によって任意的に達成される。
● MSU場所の精密な位置付け及び/又は測定、並びにタイムライン上の事前定義されたポイントでの既知の身体位置の特定(例えば、開始ポーズ)。
● モーションキャプチャポイント(例えば、モカップ(mocap)マーカ)とMSUとの間の既知の位置関係の利用。
● 関節の種類のような既知の身体の拘束を使用して、関節の一方の側の第1のセンサからのMSDを関節の他方の側のMSDを関連付けること。
● 例えば、重力加速度の方向と磁北の方向を使用して、共通の基準フレームへの全体的なデータ変換を可能にするために、多数のMSUに共通する基準データを使用すること。
【0178】
もちろん、最初の2つは、MSUが制御された環境に装着され、MCDのような二次データがMSD解釈を支援するために利用可能である、スキル分析のコンテキストにおいて有利であることが多い。最後の2つは、例えば、制御がより少ない状況において、例えば、MSDが潜在的に制御されていない(又は比較的余り制御されていない)環境にあるエンドユーザ型MSU対応衣服の着用者から収集される状況において、より関連性が高い。そのようなアプローチに関する追加情報は、以下に更に提供される。
【0179】
身体的スキルを客観的に定義する代替的な例示的な方法論
身体的スキルを客観的に定義するための代替的な方法論の更なるグループが、図8A乃至8Iを参照して以下に記載される。これらの方法論の特徴は、幾らかの実施態様において、更に上で記載した特徴と組み合わされる。
【0180】
これらの方法論は、一般的な意味において、(必ずしも明確に分離可能ではないか或いは厳密な線形進行を介して進まない)3つのフェーズを含む。第1のフェーズは、所与のスキルを分析し、それにより、最適なパフォーマンス及び準最適なパフォーマンスに関する動作/位置属性を理解する、サンプル分析フェーズ801である。次に、データ分析フェーズ802が、フェーズ801で得られた理解を観察可能なセンサデータに適用することを含む。このフェーズは、所与のエンドユーザ実施のためのエンドユーザセンサのセットが、センサデータを介してフェーズ801からの特定の動作/位置属性を特定するために、どのように使用され得るかを決定することを含む。これは、フェーズ801で得られた理解が、例えば、トレーニングのコンテキストにおいてエンドユーザに適用されるのを可能にする。それはフェーズ803で起こる。コンテンツ作成者は、センサデータを介してエンドユーザのパフォーマンスをモニタリングするソフトウェアの規則等を定義する。例えば、規則は、フェーズ802からの特定のセンサデータが観察されるときに、フェーズ801からの知識に基づき、ユーザに提供されるフィードバックを定義してよい。
【0181】
上記のように、これらの3つのフェーズは、全ての場合において明確に区別されない。混じり合う及び/又は重なり合う場合がある。更に、それらは単純な線形プロセスとして実行される必要はない。幾つかの場合には、フェーズの間に循環がある。
【0182】
以下の実施例は、モーション属性を参照して分析されたパフォーマンスを参照して記載される。例えば、モーションデータは、人間のユーザに取り付けられた(例えば、衣服に設けられた)複数のセンサから、幾つかの場合には、追加的に人間のユーザが利用する機器(例えば、スケートボード、テニスラケット等)に取り付けられた1つ又は複数のセンサから得られる。センサは、様々な形態を取ってよい。必ずしも限定的で見做されるべきでない、本明細書で検討される例は、複数のセンサユニットを使用することであり、各センサユニットは、(i)ジャイロスコープ、(ii)加速度計、及び(iii)磁力計を含む。これらは、それぞれ、好ましくは、3軸センサである。そのような構成は、例えば、センサの相対的な動きに基づき、人間の動きを表す正確なデータを提供する(例えば、本明細書で開示するPODデバイスを介した)データの収集を可能にする。ウェアラブル衣服技術の例は、この明細書の他の部分で提供される。
【0183】
様々な図において、類似のプロセスは、同等の番号が付された機能ブロックによって示されている。
【0184】
図8Bは、1つの実施態様に従った方法を示しており、それは図8の3つのフェーズを含む。方法は、分析の対象となるスキルを決定することを含む予備的ステップ810で開始する。例えば、スキルは、フットボールにおける特定の形態のキック、特定のテニススイング、スケートボード操縦、ロングジャンプアプローチ等であってよい。本明細書で検討される方法によって特定され且つ分析され得る、スポーツ、レクリエーション、及び他のアクティビティ中に存在する、実質的に無制限の数のスキルがあることが理解されるであろう。
【0185】
サンプル分析フェーズ801は、所与のスキルの多数のパフォーマンスを分析し、それにより、この場合には811での視覚駆動型(visually-driven)分析を介して、そのスキルのパフォーマンスに影響を及ぼす動作の特徴の理解を発展させることを含む。視覚駆動型分析は、多数のパフォーマンスを視覚的に比較し、それにより、最適なパフォーマンスが準最適なパフォーマンスとどのように異なるかについての知識を発展させることを含む。視覚駆動型分析の例示的な形態は、以下を含む。
【0186】
ステップ811の第1の例は、技術的支援のない視覚駆動型分析を含む。スキルとしての観察者(observer)(又は観察者のセット(set of observers))の観察(watch)が多数回実行され、彼らの視覚的観察に基づく決定が行われる。
【0187】
ステップ811の第2の例は、ビデオを利用した視覚駆動型分析を含む。ビデオデータは、多数のパフォーマンスを取り込み、それにより、後続の反復可能なパフォーマンスの視覚的な比較を可能にする。好適なアプローチは、1つ又は複数の定められた位置からパフォーマンスを取り込み、同じ角度からの2つ又はそれよりも多くのパフォーマンスビデオをオーバーレイするデジタルビデオ操作技術を利用することである。例えば、特定のサッカーキックの形態のスキルは、ボールが各パフォーマンスのために確定された場所に並びに確定された標的に位置決めされた状態で、(運動選手の背後の)所定の後方角度位置から撮影されてよい。2つ又はそれよりも多くのパフォーマンスから取り込まれるビデオは、(比較ビデオ内で時間的に整列させられる動き中の時点に基づき選択される)確定された共通原点ビデオフレームに基づき、透明度を伴ってオーバーレイされる。これが制御された環境で撮影されると仮定するならば、プレーヤ及びボールの位置のみが2つのビデオキャプチャ間で異なるはずである(そして、カメラ位置の僅かな誤差は、バックグラウンド整列を使用して考慮され得る)。これは観察者がオーバーレイされるパフォーマンスの動きの変化に基づきパフォーマンス間の類似点及び相違点をより多く特定するのを可能にする。多数の角度が使用されるのが好ましい(例えば、側面図及び頂面図)。
【0188】
ステップ811の第3の例は、モーションキャプチャデータを利用する視覚駆動型分析を含む。モーションキャプチャデータは、例えば、従来的なモーションキャプチャ技術、搭載センサ、深度に敏感なビデオ機器(例えば、Microsoft Kinectによって使用されるような深度センサカメラ)及び/又は他の技法を使用して、多数のパフォーマンスについて収集される。これはパフォーマンスがモーションキャプチャに基づきコンピュータシステム内で再構成されるのを可能にする。後続の視覚的分析は、従前のビデオの例において利用されるものと類似してよいが、モーションキャプチャアプローチは、より精密な観察及び視点に対する追加的な制御を可能にすることがある。例えば、モーションキャプチャ技術を介して構築される三次元モデルは、多数のオーバーレイされるパフォーマンスを数多くの角度から比較することにより、動作及び/又は位置の相違を特定し得るように、自由視点制御を可能にする。
【0189】
フェーズ811での視覚駆動型分析のための他のアプローチが使用されてもよい。
【0190】
視覚駆動型分析から生じる観察は、幾つかの実施態様では記述的である。例えば、観察は、「アプローチの最初の1秒(“first second of approach”)の間の股関節の内傾」、「足が地面と接触する前の肘の屈曲」、「最初の姿勢の間に落ちる左肩」のような、記述形式で定義されることがある。記述形式は、記述されるアーチファクト(artefact)の結果、例えば、「アプローチの最初の1秒の間の股関節の内傾」がボールを目標の左に振れさせることに関する情報を含んでよい(或いはそのような情報と関連付けられてよい)。
【0191】
この明細書の目的のために、フェーズ801(及びステップ811)の結果を「パフォーマンス影響要因」と呼ぶ。
【0192】
図8Bにおいて、フェーズ802は、技術的に観察可能なデータへの視覚駆動型観察の適用を含むプロセスを表す機能ブロック812を含む。これはやはり比較分析を使用してよいが、この場合には、例えば、デジタル化された情報、例えば、(エンドユーザが装着するセンサと同じ又は類似のセンサであってよい)センサ又はモーションキャプチャを用いて収集される情報に基づく。機能ブロック812は、所与のパフォーマンス影響要因PAFについて、PAFに起因する1つ又は複数のパフォーマンスから得られるデータを特定する。これはPAFを示さない1つ又は複数のパフォーマンスについてのデータとPAFを示す1つ又は複数のパフォーマンスについてのデータとの比較分析を含む。一例として、「アプローチの最初の1秒の間の股関節の内傾」を実証する取込みデータを分析して、「アプローチの最初の1秒の間の股関節の内傾」に起因するデータの特徴を特定する。これは「アプローチの最初の1秒の間の股関節の内傾」を実証しないサンプルのデータとの比較によって特定されてよい。
【0193】
本明細書に記載するように、データ分析は、各パフォーマンス影響要因についての観察可能なデータ条件の決定をもたらす。すなわち、PAFはODCと関連付けられる。従って、所与のパフォーマンスについてのセンサデータが処理されるとき、ソフトウェアアプリケーションは、ODCが存在するか否かを自律的に決定することができ、故に、PAFの特定を示す結果を提供することができる。すなわち、ソフトウェアは、センサから得られるデータの処理に基づき、例えば、「アプローチの最初の1秒の間に股関節の内傾」があるか否かを自律的に決定するように構成される。
【0194】
幾つかの実施態様では、所与のPAFが多数のODCと関連付けられる。これは、以下のもの、すなわち、特定のセンサ技術/構成(例えば、幾らかのエンドユーザが16センサスーツを着用し、他のユーザが24センサスーツを着用する場合)と関連付けられるODC、異なるユーザ身体属性(例えば、短い肢を有する着用者とは対照的に、長い肢を有する着用者に異なるODCが必要とされる場合)と関連付けられるODC等を含む。他方、幾つかの実施態様において、ODCは、以下に更に議論するように、身体属性について標準化される。
【0195】
図8Bにおいて、実施フェーズ803は、(複数の)トレーニングプログラムへの実施を表す機能ブロック813を含む。これは、観察可能なデータ条件に基づきトリガされる(引き起こされる)エンドユーザデバイスソフトウェア機能性を定義付けること含む。すなわち、観察可能なデータ条件の各セットは、エンドユーザのモーションセンサ(運動センサ)のセットから得られるデータを処理するソフトウェアアプリケーションを介して実施され、それにより、スキルのエンドユーザの身体的パフォーマンスにおける関連するパフォーマンス影響要因のセットの存在のモニタリングを可能にする。幾つかの実施態様では、規則ベースのアプローチが使用され、例えば、「ODCが観察されるならば、次に、アクションXを実行する」。様々な程度の複雑さの規則が(例えば、OR、AND、ELSE等のような他の演算子を使用して、或いはより強力な規則構築技術の利用によって)定義され得ることが理解されるであろう。規則の精密な性質は、コンテンツ作成者の裁量に委ねられる。一般的な原理として、幾つかの実施態様では、目的は、エンドユーザが後続のパフォーマンスにおいて彼らの挙動を修正するように促し、それにより、最適なパフォーマンスに潜在的により近づくことを意図する、アクションを定義することである。
【0196】
上記の例を続けると、観察可能なデータ条件の1つのセットは、ユーザが観察されたパフォーマンスにおいて「アプローチの最初の1秒の間の股関節の内傾」を示したことを示す。従って、フェーズ803の間に、そのような観察可能なデータ条件は、ユーザが「アプローチの最初の1秒の間の股関節の内傾」を他の動作属性(例えば、最適なパフォーマンスは、「動作の最初の1秒の間の水平な股関節、左足が地面に触れた後の股関節の上傾」を必要とすることがある)と置換するのを支援するように定義された、フィードバック命令(又は多数の潜在的なフィードバック命令)と任意的に関連付けられる。フィードバックは、股関節の傾きに関係する必要は全くなく、コーチング知識は、例えば、手の位置又は開始姿勢を調整することが間違った股関節の位置を矯正するのに有効であり得ることを明らかにすることがある(その場合、観察可能なデータ条件は、股関節の位置に関連する二次的分析を可能にするよう、それらのパフォーマンス影響要因のために定義されてもよい)。
【0197】
図8Cは、その一部を図8Bを参照して記載した、フェーズ801乃至803内の機能ブロックの代替的なセットを示す、1つの実施態様に従った方法を示している。
【0198】
機能ブロック821は、所与のスキルについてパフォーマンスの複数のサンプルを収集する、サンプルパフォーマンス収集フェーズを表している。機能ブロック822は、例えば、上述のような視覚駆動型技術を介した或いは他の技法による、サンプルデータ分析を表している。これは、スキルSについてSPAF乃至SPAFとして表されることがある、スキルについてのパフォーマンス影響要因の定義をもたらす(機能ブロック823を参照)。
【0199】
機能ブロック824は、パフォーマンスデータ(例えば、モーションキャプチャ、装着センサ、深度カメラ、及び他の技術のうちの1つ又は複数から得られるデータ)を分析し、それにより、パフォーマンス影響要因の証拠であるデータ特性(data characteristics)を特定するプロセスを表している。例えば、パフォーマンス影響要因を示すと知られる1つ又は複数の性能派生データセットが、パフォーマンス影響要因を示さないと知られるパフォーマンス影響要因を示すと知られる1つ又は複数のパフォーマンス派生データセットと比較される。多数の装着センサを使用する幾つかの実施態様において、属性とされるデータは、(i)センサの相対的な角変位、(ii)センサの相対的な角変位の変化率、(iii)センサの相対的な角変位のタイミング、並びにセンサの相対的な角変位のタイミング及び速度を含む。
【0200】
機能ブロック825は、機能ブロック824での分析に基づき、各パフォーマンス影響要因について観察可能なデータ条件を定義することを含むプロセスを表している。観察可能なデータ条件は、それらがエンドユーザのパフォーマンスから得られるセンサデータにおいて(例えば、トラップ状態として)自律的に特定されるのを可能にする方法で定義される。それらは、スキルSについて、SODC乃至SODCとして表されてよい。上述のように、幾つかの実施態様において、所与のPAFは、多数のODCと関連付けられる。これは、以下のもの、すなわち、特定のセンサ技術/構成と関連付けられるODC(例えば、幾らかのエンドユーザが16センサスーツを着用し、他のユーザが24センサスーツを着用する場合)、異なるユーザの身体属性と関連付けられるODC(例えば、短い肢を有する着用者とは対照的に、長い肢を有する着用者に異なるODCが必要とされる場合)等を含む。他方、幾つかの実施態様では、ODCは、以下に更に議論するように、身体属性について標準化される。
【0201】
代替的な実施例:例示的な分析方法論
図8Dは、1つの実施態様に従った、フェーズ801でのサンプル分析のための例示的な方法を例示している。
【0202】
機能ブロック831は、この例ではエキスパートユーザである被験者に所与のスキルを複数回実行させることを含むプロセスを表している。例えば、幾つかの実施態様では、約100回のパフォーマンスのサンプルサイズが好ましい。しかしながら、ある範囲のサンプルのサイズが実施態様の中で使用され、幾つかの場合には、スキルの性質が所要のサンプルのサイズに影響を与える。
【0203】
機能ブロック832は、多数のパフォーマンスの検討を含むプロセスを表している。これは、記載の実施態様では、例えば、(例えば、上述のようなオーバーレイされたビデオデータを使用する)ビデオ検討として、或いはモーションキャプチャ検討(例えば、幾つかの場合にはモーションセンサの使用を含むモーションキャプチャ技術に得られる仮想三次元身体構造物)による、視覚駆動型分析を活用する。
【0204】
機能ブロック832での検討に基づき、パフォーマンスが分類される。これは最適なパフォーマンスを特定すること(ブロック833)及び準最適なパフォーマンスを特定すること(ブロック834)を含む。分類化(categorisation)は、客観的要因に基づくのが好ましい。例えば、幾つかの技能は、力(power)、速さ(speed)、精度(accuracy)等のような、1つ又は複数の定量化できる目標(objectives)を有する。これらの目標のうちのいずれか1つ又は複数について客観的な基準が定められてよい。一例として、精度が標的(target)として定量化されてよい。標的に当たるならば、パフォーマンスは「最適」である。標的を外すならば、パフォーマンスは「準最適」である。他の例として、圧力センサは、パフォーマンスに由来する衝撃が「最適」であるのに十分な大きさであるか否かを決定してよい。
【0205】
機能ブロック835は、準最適なパフォーマンスの分類化を含むプロセスを表している。例えば、客観的な基準を定義し、それにより、各々の準最適なパフォーマンスを1つのカテゴリと関連付ける。スキルのその(又は1つの)目標が精度である1つの実施態様では、多数の「失敗ゾーン」が定義される。例えば、中央標的ゾーンと、4つの「失敗」象限(左上、右上、左下、右下)とがある。その場合、準最適なパフォーマンスは、当てられた「失敗」象限に基づき分類される。例えば、失敗の程度等に関する、追加的な細分性(granularity)について、追加的な基準が定義されてよい。
【0206】
次に、準最適なパフォーマンスの各カテゴリからのサンプルを最適なパフォーマンスと比較し、それにより、パフォーマンス誤差等の共通点を特定する。これは、例示の実施態様において、ループプロセスを介して達成される。すなわち、次のカテゴリが機能ブロック836で選択され、そのカテゴリの準最適なパフォーマンスが機能ブロック837で最適なパフォーマンスと比較され、パフォーマンス影響要因が機能ブロック838で決定される。次に、方法は、評価されるべき準最適なパフォーマンスの残余のカテゴリがある場合には、決定839に基づきループする。
【0207】
機能ブロック838で決定されたパフォーマンス影響要因は、現在のカテゴリにおいて最適でないパフォーマンスをもたらすことが観察される視覚的に特定されたパフォーマンス影響要因である。本質的に、これらは結果の観察(observance)とは対照的にモーションの観察に基づく所与のパフォーマンスの結果の予測を可能にする。例えば、「失敗-左下象限」カテゴリは、「アプローチの最初の1秒の間の股関節の内傾」のパフォーマンス影響要因をもたらすことがある。このパフォーマンス影響要因は、準最適なパフォーマンスのそのカテゴリと特異に関連付けられ(すなわち、サンプル内で一貫して観察され)、最適なパフォーマンス又は準最適なパフォーマンスの他のカテゴリでは観察されない。従って、得られる知識は、「アプローチの最初の1秒の間の股関節の内傾」が観察される場合であり、標的の左下に失敗があることが予想される。
【0208】
フェーズ802及び803に続いて、これは、ソフトウェアアプリケーションが、装着センサデータのみに基づき(すなわち、「アプローチの最初の1秒の間の股関節の内傾」と関連付けられる観察可能なデータ条件を有することをセンサデータ内で特定することに基づき)、所与のパフォーマンスが標的の左下に失敗をもたらした可能性が高いことを自動的に予測できる状況をもたらすことが、理解されるであろう。実用的なレベルで、エンドユーザには、「それは下及び左に失敗しましたね?次はXXXに焦点を当てたら如何ですか?」のような、仮想コーチからの音声フィードバックが提供されてよい。これは有意な結果である。それは、従来的には視覚的コーチングによって観察される客観的な要因が、自動化されたセンサ駆動型環境に変換されるのを可能にする。
【0209】
幾つかの実施態様において、サンプル分析は、サンプルパフォーマンスを提供する人による視覚的分析プロセスの関与によって強化される。例えば、これはよく知られたスター運動選手であってよい。その運動選手は、重要なパフォーマンス影響要因について彼/彼女自身の洞察を提供し、それは最終的に「エキスパート知識」をもたらし、それはユーザがトレーニングに携わって、そのスキルの特定のエキスパートの解釈に基づき特定のスキルを習得するのを可能にする。これに関して、個々のスキルは、多数の異なるエキスパート知識のバリエーションを有してよい。具体的な例として、サッカーのチップキックは、最適な形態のチップキックについてのプレーヤXの解釈に基づく第1のエキスパート知識のバリエーション、及び最適な形態のチップキックについてのプレーヤYの解釈に基づく第2のエキスパート知識のバリエーションを有してよい。これはユーザが所望のスキルに関するトレーニングを受けるのみならず、その所望のスキルに関する選択的なエキスパートの知識に基づくトレーニングを受けることを可能にする(そして、それは、幾つかの実施態様において、その選択的なエキスパートによるトレーニングと類似するユーザ体験を提供することがある)。
【0210】
コンテキストとして、エキスパート知識に関連して、PODデバイスにダウンロードされるデータは、所望のエキスパート知識のバリエーションの選択に基づきユーザによって選択される。すなわち、1つ又は複数のスキルのうちの選択的なセットについて、第1の選択可能なエキスパート知識のバリエーション及び第2の選択可能なエキスパート知識のバリエーションがある。
【0211】
幾つかの実施態様では、第1の選択可能なエキスパート知識のバリエーションについて、ダウンロード可能なデータは、パフォーマンス分析センサのセットから得られるデータにおいて、所与のスキルと関連付けられる観察可能なデータ条件の第1のセットを特定するよう、クライアントデバイスを構成し、第2の選択可能なエキスパート知識のバリエーションについて、ダウンロード可能なデータは、パフォーマンス分析センサのセットから得られるデータにおいて、所与のスキルと関連付けられる観察可能なデータ条件の第2の異なるセットを特定するよう、クライアントデバイスを構成する。例えば、観察可能なデータ条件の第1のセットと観察可能なデータ条件の第2のセットとの間の相違は、それぞれのエキスパート知識のバリエーションと関連付けられる人間エキスパートのスタイルバリエーションを考慮する。他の場合には、観察可能なデータ条件の第1のセットと観察可能なデータ条件の第2のセットとの間の相違は、それぞれのエキスパート知識のバリエーションと関連付けられる人間エキスパートから得られるコーチングアドバイスを考慮する。
【0212】
幾つかの実施態様では、第1の選択可能なエキスパート知識のバリエーションについて、ダウンロード可能なデータは、所与のスキルと関連付けられる定義された観察可能なデータ条件を観察することに応答して、第1のセットのフィードバックデータをユーザに提供するよう、クライアントデバイスを構成し、第2の選択可能なエキスパート知識のバリエーションについて、ダウンロード可能なデータは、所与のスキルと関連付けられる定義された観察可能なデータ条件を観察することに応答して、第2の異なるセットのフィードバックデータをユーザに提供するよう、クライアントデバイスを構成する。例えば、フィードバックデータの第1のセットとフィードバックデータの第2のセットとの間の相違は、それぞれのエキスパート知識のバリエーションと関連付けられる人間エキスパートから得られるコーチングアドバイスを考慮する。代替的に(又は追加的に)、フィードバックデータの第1のセットとフィードバックデータの第2のセットとの間の相違は、それぞれのエキスパート知識のバリエーションと関連付けられる人間エキスパートの音声を表す異なる音声データを含む。
【0213】
代替的な実施例:データ分析方法論
図8Eは、1つの実施態様に従った、フェーズ802でのデータ分析のための例示的な方法を例示している。この方法は、例えば、図8Dの方法を介して定義されるような、準最適なパフォーマンスカテゴリの分析を参照して記載される。しかしながら、対応する方法を最適なパフォーマンスに関して実行し、(それにより、最適なパフォーマンスと関連付けられる観察可能なデータ条件を定義して)もよいことが理解されるべきである。
【0214】
機能ブロック841は、次の準最適なパフォーマンスカテゴリのデータ分析を開始することを含むプロセスを表している。パフォーマンス影響要因を指針(ガイド)として使用して、複数の準最適なパフォーマンスについて、機能ブロック842で、準最適なパフォーマンスデータと最適なパフォーマンスデータとの間の比較が行われる。機能ブロック843で、(類似性及び相違のような)データパターンが特定される。幾つかの実施態様において、目標は、準最適なパフォーマンスの全てに共通する、(しかしながら、あらゆる他の準最適なカテゴリにおける最適なパフォーマンスでは観察されない)データ特性を識別し、それらのデータ特性がパフォーマンス影響要因とどのように関係することがあるかを決定する。機能ブロック844は、各パフォーマンス影響要因について、観察可能なデータ条件のうちの1つ又は複数のセットを定義することを含むプロセスを表している。そのプロセスは、決定845に基づき、追加的な準最適なパフォーマンスカテゴリのためにループする。
【0215】
代替的な実施例:実施方法論
図8Fは、1つの実施態様に従った、フェーズ803での実施のための例示的な方法を例示している。
【0216】
機能ブロック851は、フェーズ801及び802を介してパフォーマンス影響要因と関連付けられる観察可能なデータ条件のセットを選択することを含むプロセスを表している。条件満足規則が機能ブロック851で設定され、これらは、入力されたセンサデータに基づき、観察可能なデータ条件の選択的なセットがいつ満足されると見做されるかを定義する。例えば、これは閾値等を設定することを含んでよい。次に、機能ブロック853は、観察可能なデータ条件(フィードバック、代替的なアクティビティへの指示等)との関連付けを意図する1つ又は複数の機能性を定義することを含む。次に、その規則及び関連する機能性は、機能ブロック856でのトレーニングプログラムオーサリングプロセスにおける使用のために、機能ブロック854でエクスポートされる。この方法は、より多くの観察可能なデータ条件が利用されることが意図されるならば、決定855でループする。
【0217】
所与のフィードバック命令が、好ましくは、コーチ及び/又は他のエキスパートとの協議によって定義される。フィードバック命令は、関連するパフォーマンス影響要因を直接的に参照する必要がないことが理解されるであろう。例えば、引き続きの例において、フィードバック命令は、(例えば、手の位置付け、目の位置付け、開始姿勢等を介して)内向きの股関節の傾きを間接的に矯正することがある特定のタスクに焦点を当てるよう、ユーザに指示してよい。幾つかの場合には、多数のフィードバック命令が、特定のフィードバック命令が特定のユーザと共鳴するが、他のユーザとは共鳴しないことを指摘して、観察可能なデータ条件の所与のセットと関連付けられてよい。
【0218】
代替的な実施例:スタイル及び身体属性の標準化
幾つかの実施態様では、フェーズ801及び802で、多数のサンプルユーザのパフォーマンスを観察し、それにより、スタイル及び身体属性の影響を特定する(そして、幾つかの場合には、標準化する)のを支援する。
【0219】
コンテキストとして、異なるユーザが、本質的に、所与のスキルを僅かに異なって実行する。幾つかの場合において、その相違は、個人的なスタイルの結果である。しかしながら、スタイルに起因する要素にも拘わらず、典型的には、類似点において有意な重なり合い(オーバーラップ)がある。幾つかの実施態様は、視覚的及び/又はデータレベルで多数の被験者のパフォーマンスを比較し、それにより、異なるスタイルにも拘わらずパフォーマンス被験者に共通する観察可能なデータ条件を定義することによって、スタイルを標準化する。これはスタイルの中立性をもたらす。幾つかの実施態様は、代替的に又は追加的に、視覚的及び/又はデータレベルで多数の被験者のパフォーマンスを比較し、それにより、ユーザを訓練するよう調整された(tailored)トレーニングプログラムがその特定スタイルに従うのを可能にする(例えば、個々のスキルは、エンドユーザが個別に購入し得る多数の異なるエキスパート知識のバリエーションを有してよい)。
【0220】
身長、肢の長さ等のような、身体属性は、幾つかの場合において、観察可能なデータ条件に対する影響も有する。幾つかの実施態様は、特定のエンドユーザの身体寸法がセンサデータに基づき決定され、観察可能なデータ条件が(例えば、サイズ又はサイズ範囲に固有のデータ条件を調整(scaling)及び/又は選択することによって)相応して調整されるように、観察可能なデータ条件を実施する。他の実施態様は、観察可能なデータ条件をサイズについて標準化し、それにより、エンドユーザの身体属性影響を無効にするような、アプローチを実施する。
【0221】
幾つかの実施態様において、方法論は、視覚的及び/又はデータレベルで多数の被験者のパフォーマンスを比較し、それにより、(i)身体属性に拘わらず、パフォーマンス被験者に共通する観察可能なデータ条件を定義すること、及び/又は(ii)既知のエンドユーザ属性に基づき観察可能なデータ条件の1つ又は複数の属性を調整する(scale)規則を定義すること、及び/又は(iii)特定の既知の身体属性を有するエンドユーザに合わせてそれぞれ調整された(tailored)観察可能なデータ条件の多数のセットを定義することの一方又は両方によって、身体属性を標準化するように、強化される。
【0222】
図8Gは、身体属性及びスタイル標準化についての例示的な方法を例示している。この方法の要素は、フェーズ801及びフェーズ802のいずれかに関して実行される。機能ブロック861は、比較ポイントを提供するよう、第1のエキスパートのために分析を実行することを表している。次に、機能ブロック862によって表されているように、類似のスキルレベルの多数の更なるエキスパートについても、分析が実行される。機能ブロック863は、身体属性に起因するアーチファクト(artefact)を特定することを含む処理を表しており、機能ブロック864は、身体属性に基づく標準化を表している。機能ブロック865は、スタイルに起因するアーチファクトを特定することを含む処理を表しており、機能ブロック864は、スタイルに基づく標準化を表している。幾つかの実施態様では、標準化の一方又は両方の形式が、原因となるアーチファクトを特定する初期ステップを伴わずに実行される。
【0223】
例示的な実施例:多数の能力レベルへの適用
幾つかの実施態様では、様々な能力レベルの使用のために、フェーズ801及び802(及び任意的に803)が実行される。その根本的理由は、エキスパートがアマチュア又は初心者と異なるミスを犯す可能性が高いということである。例えば、エキスパートは、殆どの場合において、最適なパフォーマンスに極めて近いものを一貫して達成する可能性が高く、要求されるトレーニング/フィードバックは、精密な動きに関して極めて精緻である。他方、初心者のユーザは、より一層粗悪な間違いを犯す可能性が高く、エキスパートに関連する精緻な観察及びフィードバックが大きな助けになり或いは関連性を持つ前にそれらに関するフィードバックを必要とする。
【0224】
図8Hは、1つの実施態様に従った方法を例示している。機能ブロック861は、能力レベルAL1についての分析を表している。これは、幾つか実施態様において、身体及び/又はスタイルの標準化を可能にする多数の被験者からの多数のサンプルの分析を含む。能力レベルALについての観察可能なデータ条件は、機能ブロック862で出力される。これらは、ブロック863及び864によって表されているように、能力レベルALについて繰り返される。次に、プロセスは、能力レベルALまで(所望の能力に関連する細分性(granularity)に依存して)任意の数の能力レベルについて繰り返される(ブロック865及び866を参照)。
【0225】
図8Iは、各能力レベルについて初期サンプルが取られ、次に、身体サイズ及び/又はスタイル標準化のために拡張され、それにより、各能力レベルについて観察可能なデータ条件が提供されるような、図8G及び図8Hに示す特徴の間の組み合わせを例示している。
【0226】
カリキュラム構築フェーズ:概要
上述のように、スキル分析フェーズ100に続いて、図1Bの例示的なエンドツーエンドのフレームワークは、カリキュラム構築フェーズ110に進む。カリキュラム構築の詳細な特徴は、本開示の範囲外である。熟練した受取人(addressee)が、このフェーズが全体的なエンドツーエンドのフレームワークにおいてどのように役割を果たすかを理解するためには、カリキュラム構築のためのアプローチの高レベルの理解で十分である。
【0227】
一般論として、エンドユーザ機能性がスキルトレーニングに関係する場合、カリキュラム構築は、ODCをトレーニングコンテンツの配信に影響を与える入力として使用するよう、論理プロセスを定義付けることを含む。例えば、トレーニングプログラムロジックは、以下を含む機能を実行するように構成されるが、これらに限定されない。
● 1つ又は複数の定義付けられたODCの特定に基づき、ユーザの能力レベルに関連する予測的な決定を行う。
● 1つ又は複数の定義付けられたODCの特定に基づき、ユーザにフィードバックを提供する。例えば、これは、ODCが表す徴候及び/又は原因に関連するフィードバックをコーチングすることを含んでよい。
● 1つ又は複数の定義付けられたODCの特定に基づき、トレーニングプログラムの異なる部分/フェーズに移動する。例えば、これは、(i)所与のスキル(又はサブスキル)が十分に習得されていると決定し、新しいスキル(又はサブスキル)に進むこと、又は(ii)ユーザが特定の困難を有していると決定し、特定の困難に対処する修復トレーニングを提供することを意図する異なるスキル(又はサブスキル)に関するトレーニングをユーザに提供することを含んでよい。
【0228】
これらは表示の選択であるにすぎない。本質的に、基礎を成す着想は、ODC(すなわち、MSD、より一般的には、PSDにおいて特定され得るデータ属性)を使用し、それにより、トレーニングプログラム中の機能を推進することである。実際のレベルでは、これは、ユーザがゴールドスイング(gold swing)の動きを改善するのを助けることのようなものから、ユーザがギターで音楽を演奏するときの音符の進行を習得するのを助けることのようなものまで、幅広いトレーニングを提供するのを可能にする。
【0229】
更なる実施態様が、スキルトレーニング以外のコンテキストにおいて、例えば、特定のスキルが実行されたことの特定に依存する(競争アクティビティのような)アクティビティ、並びにそれらのスキルの属性(例えば、特定のスノーボード技巧(snowboarding trick)が実行されたこと、及びその技巧と関連付けられる飛行時間測定)のコンテキストにおいて、適用可能であることが理解されなければならない。そのような実施態様において、ODCは、スキル特定及びスキル属性測定を含む目的のために使用される。
【0230】
幾つかの実施態様において、好適な実施態様におけるユーザインタフェースによって提供されるフィードバックは、パフォーマンスを向上させるためにどのように動きを改良するかについての提案、又は、より具体的に(モーションセンサのコンテキストにおいて)、最適なパフォーマンスを表すものとして予め定義付けられるモーション属性をより綿密に繰り返すことの提案を含む。これに関して、ユーザは、トレーニングパッケージをダウンロードして、スポーツスキルのような特定のスキルを学習する(幾つかの実施態様において、トレーニングパッケージは、複数のスキルのコンテンツを含む)。例えば、トレーニングパッケージは、サッカー(特定のスタイルのキック)、クリケット(例えば、特定のボーリング技法)、スキー/スノーボード(例えば、特定の空中の動き)等のようなものを含む、広範なスキルに関連してよい。
【0231】
一般論として、本明細書で開示する技術の実施態様によって実行する共通の操作プロセスは、(i)ユーザインタフェースがトレーニングされているスキルを定義付ける或いは関連付けるアクションを実行する命令を提供すること、(ii)PODデバイスがセンサからの入力データをモニタリングし、アクションのユーザパフォーマンスと関連付けられる徴候モデル値を決定すること、(iii)ユーザのパフォーマンスを分析すること、及び(iv)ユーザインターフェースアクションを実行すること(例えば、モーションの特定の特徴に再び集中することを試みるフィードバック及び/又は命令を提供すること)である。一例が図9A中の方法900のブロック903乃至906に示されている。
【0232】
パフォーマンスベースのフィードバック規則は、観察されるユーザのパフォーマンスに応答する適切な方法において機能するようスキルトレーニングコンテンツを構成するよう、主観的に予め定義付けられる。これらの規則は、徴候に基づき、好ましくは、観察された徴候モデルデータ値と予め定義されたベースライン徴候モデルデータ値(例えば、最適なパフォーマンス及び/又は予期される間違ったパフォーマンスについての値)との間の偏差に基づき定義される。規則は、幾つかの実施態様において、指定されたベースライン徴候モデルデータ値(又は複数の値)と観察される値との間の、特定の徴候(又は複数の徴候)についての、特定の範囲(又は複数の範囲)における偏差に基づく。
【0233】
幾つかの場合、規則のセットは、特に個々のエキスパートのためのコンテンツ作成者によって定義付けられる(或いは調整される/重み付けられる)。すなわち、エキスパート知識が、定義付けられた規則を介して実施される。
【0234】
図9Bは、パフォーマンスベースのフィードバック規則を定義付ける例示的な方法910を例示している。規則作成は、機能ブロック911で開始される。機能ブロック912は、徴候を選択することを含むプロセスを表している。例えば、これは規則が関連するスキルについて定義付けられる徴候のセットから選択される。機能ブロック913は、徴候モデル値特性を定義付けることを含むプロセスを表している。例えば、これは、値の範囲又は予め定義づけられた値からの偏差の範囲(例えば、最適又は間違ったパフォーマンスについてのベースライン値からの偏差)を含む。
【0235】
決定914は、単一の規則内で更なる徴候を組み合わせる能力を表している(この場合、方法は、912にループする)。例えば、徴候は、「AND」、「OR」、及び他のそのような論理演算子を使用して、徴候を組み合わせられることができる。
【0236】
機能ブロック915は、規則効果パラメータ(rule effect parameters)を定義付けるプロセスを表している。すなわち、機能ブロック911乃至914は、規則の「IF」成分に関連し、機能ブロック915は、規則の「THEN」成分に関連する。以下のうちの1つ又は複数を含む「THEN」成分の種類の範囲が利用可能である。
● ユーザインタフェースを介して特定のフィードバックメッセージを提供する規則。
● ユーザインタフェースを介して選択的な特定のフィードバックメッセージのうちの1つを提供する規則(どれが他の要因、例えば、ユーザの履歴データに任意的に基づくかについての二次的な決定を伴う)。
● ユーザインタフェースを介して特定の命令を提供する規則。
● ユーザインタフェースを介して選択的な特定の命令のうちの1つを提供する規則(どれが他の要因、例えば、ユーザの履歴データに任意的に基づくかについての二次的な決定を伴う)。
● スキル又はアクティビティのために定義付けられた進行経路における異なる段階に進む規則。
● 定義付けられた進行経路における選択的な異なる段階のうちの1つを進める規則(どれが他の要因、例えば、ユーザの履歴データに任意的に基づくかについての二次的な決定を伴う)。
● 特定のコンテンツ(例えば、異なるスキル又はアクティビティに関するトレーニングのためのコンテンツ)をPODデバイスにダウンロードすることを提案する規則。
【0237】
これらは一例にすぎないこと、並びに、実施態様は、柔軟且つ潜在的に複雑な規則定義能力を可能にする複雑な構成を任意的に実施することが理解されるであろう。
【0238】
幾つかの実施態様において、規則は、ユーザの属性に基づき適応する動的な進行経路に統合される。幾つかの例を以下で更に議論する。コンテキストとして、観察及びフィードバックは、1対1の関係で結びつかない。所与のパフォーマンス観察(すなわち、観察される徴候モデル値のセット)が、ユーザ属性に依存する多数の可能な影響と関連付けられてよい。重要な例は「フラストレーション緩和」であり、それはユーザが間違いを繰り返して同じフィードバックを受け取るというループに嵌るのを防止する。代わりに、命令された方法において実行する試みが失敗した回数が閾値を超えた後に、代替的なアプローチ(例えば、異なるフィードバック、ユーザが成功する可能性が高い異なるタスクを開始すること等)を実施する。
【0239】
ユーザインタフェースによって提供されるフィードバックは、幾つかの実施態様において、以下のユーザ属性のいずれか又は両方に基づき適合するように構成される。これらのユーザ属性は、幾つかの場合において、以下のうちの1つ又は複数を含む。
● 以前のユーザパフォーマンス。ユーザがスキルを試みることに多数回失敗するならば、ユーザインタフェースは、ユーザに異なるフィードバック、試みるべき異なるスキル(又はサブスキル)等を提供することによって適応する。これは、好ましくは、ユーザが特定の結果を達成するのを繰り返し失敗する状況を防止することによって、ユーザのフラストレーションを軽減するように構成される。
● ユーザ学習スタイル。例えば、幾つかの場合には、ユーザの特定された好適な学習スタイルに基づき、異なるフィードバック/命令スタイルがユーザに提供される。好適な学習スタイルは、幾つかの場合には、アルゴリズム的に決定され、幾つかの場合には、好み選択インタフェースを介してユーザによって設定される。
● ユーザ能力レベル。幾つかの実施態様において、フィードバック経路は(このコンテキストではユーザが設定する好みである)ユーザの能力レベルを考慮する。このようにして、第1の能力レベルのユーザに提供されるフィードバックは、他の能力レベルに関してユーザに提供されるフィードバックと異なることがある。これは、一例として、エリートレベルのアスリートと比較して、トレーニングにおける異なるレベルの精緻化が、アマチュアのアスリートに提供されるのを可能にするために使用される。
【0240】
幾つかの実施態様は、そのような適合フィードバック原理を活用してコンテンツ生成を可能にする技術的フレームワークを提供する。
【0241】
例示的なダウンロード可能なコンテンツデータ構造
以下のスキル分析及びカリキュラムの構築に続き、コンテンツは、エンドユーザデバイスにダウンロードするのが可能にされる。これは、好ましくは、ウェブ対応デバイスのユーザが利用可能なコンテンツをブラウズし、それぞれのデバイスにコンテンツをダウンロードさせる、1つ又は複数のオンラインコンテンツマーケットプレイスを介して、利用可能にされる。
【0242】
好適な実施態様において、ダウンロード可能なコンテンツは、以下の3つのデータの種類を含む。
(i)「センサ構成データ」(“sensor configuration data”)とも呼ぶセンサ構成命令を表すデータ。これは、1つ又は複数のPSUのセットの構成をもたらして、特定された属性を有するセンサデータを提供するように構成される、データである。例えば、センサ構成データは、所与のPSUに、アクティブ/非アクティブ状態(及び/又は定義付けられるプロンプトに応答するそれらの状態間の進行)を採用させ、定義付けられるプロトコル(例えば、サンプリング速度及び/又は分解能)に基づきその構成要素センサコンポーネントのうちの1つ又は複数からセンサデータを配信させる、命令を含む。所与のトレーニングプログラムは、それぞれの練習のために(又はODCモニタリングの特定の形態を促すプログラム内イベントに応答して)に適用される、センサ構成データの多数のセットを含んでよい。幾つかの実施態様において、センサ構成データの多数のセットは、エンドユーザハードウェアの異なる構成内の特定のODCを特定するためにそれぞれ最適化されるように定められる。例えば、エンドユーザハードウェアの幾つかの構成は、追加的なPSU及び/又はより先進のPSUを有してよい。好適な実施態様において、センサ構成データは、ODCをモニタリングするときのデータ処理の効率を増大させるために、PSUによって配信されるデータを最適化するように、定められる。すなわち、コンテンツの特定の要素がn個の特定のODCをモニタリングする場合、センサ構成データは、それらのODCの特定にとって不必要なセンサデータの特徴を除去するように定められる。
(ii)接続されたセンサのセットのうちの1つ又は複数から受信する入力データを処理し、それにより、接続されたセンサのセットのうちの1つ又は複数によって検知される身体的パフォーマンスを分析するよう、パフォーマンス分析デバイス(例えば、PODデバイス)を構成する、状態エンジンデータ。重要なことには、これは、配信されるコンテンツに関連する1つ又は複数のODCのセットのモニタリングを含む。例えば、コンテンツは、PSUによって配信されるデータ内の特定のODCの観察に基づくロジックによって駆動される。
(iii)身体的パフォーマンスの分析(例えば、トレーニングプログラムデータを含むカリキュラムの配信)に応答してユーザにフィードバック及び命令を提供するようにパフォーマンス分析デバイスを構成する、ユーザインタフェースデータ。幾つかの実施態様において、ユーザインタフェースデータは、少なくとも部分的にウェブサーバから定期的にダウンロードされる。
【0243】
ダウンロード可能なコンテンツがエンドユーザデバイスに配信される方法は、例えば、エンドユーザハードウェアデバイスの性質、クラウドベースのデータ組織フレームワーク等に基づき、実施態様によって異なる。様々な例を以下に記載する。
【0244】
センサ構成データに関して、コンテンツデータは、PODデバイス(又は他のデバイス)がその特定のスキル(又はスキルのセット)のために最適化される明確な方法においてデータを提供するようPSUのセットを構成するのを可能にする、コンピュータ可読コードを含む。これは、PODデバイスで実行される処理量を削減するというコンテキストにおいて関連する。センサによって提供されるデータの量は、トレーニングされている特定のスキル又は複数のスキルの徴候を特定するために実際に必要とされるものに基づき減少させられる。例えば、これは以下を含んでよい。
● 1つ又は複数のセンサを選択的に(幾つかの場合には動的に)アクティブ化/非アクティブ化すること。
● 個々のセンサのサンプリング速度を設定する。
● 個々のセンサについてのデータ伝送速度及び/又はデータバッチングシーケンスを設定すること。
● センサが収集するデータのサブセットのみを提供するようにセンサを構成すること。
【0245】
PODデバイスは、トレーニングされるべきスキルに基づきセンサに構成命令を提供し、引き続き、PSU駆動トレーニングプログラムの配信を可能にするために、適用される構成(例えば、図9Aの機能ブロック901及び902を参照)に基づきセンサ又は複数のセンサからデータを受信する。
【0246】
幾つかの場合において、センサ構成データは、異なる時間にPODデバイスにロードされる様々な部分を含む。例えば、PODデバイスは、センサ構成が実施される特異性を漸進的な方法において増加させる、(同時又は異なる時間にダウンロードされてよい)1つ又は複数の追加的なセットのコードによって補足される、全てのセンサ構成に亘って包括的(generic)である、(例えば、そのファームウェア内の)そのようなコードの第1のセットを含んでよい。例えば、1つのアプローチは、トレーニングされている特定のスキルについて、ベースレベルの命令、特定のMSUのセットに固有の命令、及びそれらのMSUの構成に固有の命令を有することである。
【0247】
センサは、どのトレーニングコンテンツが配信されるかに関するスキルについての特定のモニタリング要件に基づき構成されるのが好ましい。これは、幾つかの場合には、トレーニングされている特定のモーションベースのスキルに特異であり、或いはトレーニングされているモーションベースのスキルの特定の属性に特異でさえある。
【0248】
幾つかの実施態様では、状態エンジンデータは、トレーニングされている所与のスキルに基づき、接続されたセンサ(すなわち、PSD)から得られるデータをどのように処理するかに関して、PODデバイスを構成する。幾つかの実施態様において、各スキルは、(任意的にそれぞれ徴候を表す)ODCのセットに関連付けられ、状態エンジンデータは、センサデータを処理し、それにより、特定のODCの観察に基づきユーザのパフォーマンスの客観的な決定を行うように、PODデバイスを構成する。幾つかの実施態様において、これは、特定のODCの存在を特定し、次に、関連付けられる徴候が存在することを決定することを含む。幾つかの場合において、これは引き続き二次的分析を引き起こして、その徴候と関連付けられる原因のセットのうちの1つを表すODCを特定する。他の実施態様において、分析は、(i)ユーザのパフォーマンスに基づきセンサデータから決定された徴候モデルデータ及び(ii)予め定義付けられたベースライン徴候モデルデータ値の間のバリエーション(変動)に基づく決定を含む。これは、例えば、予め定義付けられた特性を備える各徴候に関するユーザのパフォーマンスの比較を可能にするために使用される。
【0249】
幾つかの実施態様におけるユーザインタフェースデータは、ユーザインタフェースを介してレンダリングされるグラフィカルコンテンツを提供するためにレンダリングされるデータを含む。幾つかの実施態様において、そのようなデータは、PODデバイス上で維持される(例えば、ビデオデータは、PODデバイスから、スマートホン又は他のディスプレイのような、ユーザインタフェースデバイスにストリーミングされる)。ユーザインタフェースを介してレンダリングするためのグラフィックコンテンツを定義する他の実施態様のデータは、(i)スマートホン上の又は(ii)クラウドでホストされる場所のどこかに格納される。
【0250】
ユーザインタフェースデータは、追加的に、適応トレーニングプログラムの実行を引き起こすように構成されるデータを含む。これは、PSD(例えば、MSDから得られるODC)及び他の要因(例えば、能力レベル、学習スタイル、精神/身体状態のような、ユーザ属性)を含む入力に応答するロジック/規則を含む。幾つかの実施態様において、そのようなデータのダウンロードは、ユーザがトレーニングプログラムに参加するためにアクティブなインターネット接続が必要とされない、オフラインモードにおける動作を可能にする。
【0251】
エキスパート知識のバリエーションの配信
幾つかの実施態様において、スキルトレーニングコンテンツは、(少なくとも幾つかのスキルに関して)、使用者に(i)所望のスキル、及び(ii)そのスキルに関する所望の「エキスパート知識」のセットの両方の選択を可能にするように、構成される。
【0252】
高レベルで、「エキスパート知識」は、ユーザがそのスキルの特定のエキスパートの解釈に基づき特定のスキルを習得するトレーニングに携わるのを可能にする。これに関して、個々のスキルは、多数の異なるエキスパート知識のバリエーションを有してよい。具体的な例として、サッカーチップキックは、最適な形態のチップキックについてのプレーヤXの解釈に基づく第1のエキスパート知識のバリエーション、及び最適な形態のチップキックについてのプレーヤYの解釈に基づく第2のエキスパート知識のバリエーションとを有してよい。これは、ユーザが、所望のスキルに関するトレーニングを受けることを可能にするのみならず、その所望のスキルに関する選択的なエキスパートの知識に基づくトレーニングを受けることも可能にする(幾つかの実施態様において、それはその選択的なエキスパートによってトレーニングされるのと同様のユーザ体験をもたらすことがある)。
【0253】
技術的な観点から、エキスパート知識は、以下のうちのいずれか1つ又は複数によって配信される。
(i)エキスパートに固有のODCを定義すること。すなわち、(徴候及び/又は原因のような)特定のトリガデータが特定される方法は、所与のエキスパートに固有である。例えば、所与のエキスパートは、特定の徴候がどのように観察され且つ/或いは定義付けられるかについての合意形成された見方(コンセンサスビュー)と異なる見方(ビュー)を有することがある。追加的に、徴候及び/又は原因は、エキスパートに固有の基準で定義付けられてよい(すなわち、特定のエキスパートは、通常の合意の一部ではない徴候を特定する)。
(ii)エキスパートに固有の徴候から原因へのマッピングを定義すること。例えば、所与の観察された徴候に関与することがある原因のセット、及び1つ又は複数の追加的なエキスパートに固有の原因についての合意されたビュー(コンセンサスビュー)があることがある。これは、例えば、特定のエキスパートが徴候の根本的な原因となり得る合意された知恵の外にあるものを探す場合に、エキスパート知識が実施されるのを可能にする。
(iii)フィードバック及びトレーニングプログラムロジックのような、エキスパートに固有のトレーニングデータを定義すること。例えば、特定の徴候/原因に対処するために特定のエキスパートによって与えられるアドバイスはエキスパートに固有であってよく、及び/又はエキスパートに固有の修復トレーニングの練習が定義されてよい。
【0254】
このようにして、エキスパートに固有の適合トレーニングプログラムを提供する技術を介してエキスパート知識を実施することができる。
【0255】
エキスパート知識は、一例として、以下のうちのいずれか1つ又は複数に基づきエキスパートに固有の調整を可能にするように実施されてよい。
● エキスパートスタイル。例えば、ODC、マッピング及び/又はフィードバックは、ユーザが所与のエキスパートと関連付けられるスタイルにおいてアクティビティを実行することを学習するのを支援するように定められる。これは、例えば、特定の操縦が異なる運動選手によって極めて異なる視覚的スタイルで実行されるアクションスポーツのコンテキストにおいて関連し、1つの具体的なスタイルがユーザによって好適であると見られる。
● エキスパートコーチング知識。例えば、ODC、マッピング及び/又はフィードバックは、エキスパートに固有のコーチング知識へのアクセスをユーザに提供するように定められる。例えば、それは特定のエキスパートが有意且つ/或いは重要であると考えるものに基づく。
● エキスパートコーチングスタイル。例えば、ODC、マッピング及び/又はフィードバックは、特定のエキスパートに固有のコーチングスタイルを繰り返すトレーニングプログラムを提供するように定められる。
【0256】
所与のエキスパートに固有のデータ(例えば、ODC、マッピング及び/又はフィードバックデータ)を含むトレーニングデータのセットを「エキスパート知識のバリエーション」と呼ぶ。幾つかの場合、特定のスキルは、ダウンロード可能な多数のエキスパート知識のバリエーションを有する。
【0257】
さらなる実施形態では、エキスパート知識(expert knowledge)は、最適なパフォーマンスのためのエキスパート固有のベースライン徴候モデル(baseline symptom model)データ値を介して実施される(そしてまた任意選択でベースライン徴候モデルデータ値は予想される不正確なパフォーマンスの値も含む)。これは、エキスパート固有のベースライン徴候モデル値による測定された徴候間の比較を可能とし、それによって、例えば、特定のエキスパートが最適なパフォーマンスであると見なすことと、ユーザが実際にどのように行ったかの間の偏差を客観的に評価する。特定の例として、サッカーのチップキック(soccer chip kick)は、プレーヤXの最適な形態のチップキックの解釈に基づく第1のエキスパート知識のバリエーション(expert knowledge variation)、およびプレーヤYの最適な形態のチップキックの解釈に基づく第2のエキスパート知識のバリエーションを有する。これは、ユーザが、所望のスキルに関してトレーニングだけでなく、その所望のスキルに関して選択されたエキスパートからトレーニングを受けることを可能にする。
【0258】
1つのカテゴリの実施形態は、ユーザがローカルパフォーマンスモニタリングハードウェアデバイスの動作を設定することを可能にするコンピュータ実施方法を提供する。この方法は、(i)クライアントデバイスのユーザがダウンロード可能なコンテンツのセットを選択することを可能にするように構成されたインタフェースを提供することであって、ダウンロード可能なコンテンツのセットは、1つ又は複数のスキルに関連する、インタフェースを提供すること;および(ii)ユーザが、ダウンロード可能なコンテンツの選択されたセットの少なくとも一部を表すデータの、ユーザに関連するローカルパフォーマンスモニタリングハードウェアへのダウンロードを生じさせることを可能にすること、を含む。例えば、サーバデバイスは、(ウェブブラウザアプリケーションまたは専用ソフトウェア(proprietary software)を介してクライアント端末によってアクセスされるインタフェースのような)インタフェースを提供し、クライアント端末のユーザはそのインタフェースにアクセスする。ある場合には、これは、利用可能なコンテンツの閲覧、および/またはハイパーリンク(第三者のウェブページ上のハイパーリンクを含む)を介して利用可能にされるコンテンツ記述ページにアクセスすることを可能にするインタフェースである。これに関して、ある場合には、インタフェースは、コンテンツマーケットプレイスへのクライアントアクセスを提供するインタフェースである。
【0259】
ある場合には、ダウンロードはユーザ命令に基づいて生じる。例えば、ユーザは、ある場合には、それによってコンテンツが選択(および購入/調達)される初期プロセス、およびコンテンツ(またはその一部)が実際にユーザハードウェアにダウンロードされる後続のプロセスを実行する。例えば、ある場合には、ユーザは、クラウドにホストされた構成で維持される購入されたコンテンツのライブラリを有し、必要に応じてローカルストレージにダウンロードされるべき特定のコンテンツを選択する。実用的な状況として、ユーザは、サッカーとゴルフの両方のためのトレーニングプログラムを購入することができ、ある日にゴルフコンテンツを排他的に使用したいかもしれない(したがって、ゴルフコンテンツの実行に必要なコードの関連部分をダウンロードする)。
【0260】
ダウンロードは、(i)センサ構成データであって、センサ構成データは、定義された方法で動作し、それによって特定のスキルの試行されたパフォーマンスを表すデータを提供する1つ又は複数のパフォーマンスセンサユニットのセットを構成するデータを含む、センサ構成データ;(ii)状態エンジンデータであって、状態エンジンデータは、1つ又は複数のパフォーマンスセンサユニットのセットによって提供されるデータに基づいて、処理デバイスが特定のスキルの試行されたパフォーマンスの属性を識別できるように構成されるデータを含む、状態エンジンデータ;および(iii)ユーザインタフェースデータであって、ユーザインタフェースデータは、特定のスキルの試行されたパフォーマンスの識別された属性に基づいてユーザインタフェースの動作を可能にするように構成されるデータを含む、ユーザインタフェースデータ、のダウンロードを含む。
【0261】
特定のトレーニングプログラムを定める全てのデータが一度にダウンロードされる必要がないことは理解されるであろう。たとえば、ユーザハードウェアがインターネット接続を維持するように構成されている場合、コンテンツの追加部分は必要に応じてダウンロードされ得る。しかし、ある場合には、ユーザハードウェアがオフラインモードで動作するように構成され、そのようなとき、コンテンツの実行を可能にするために必要なすべてのデータはローカルハードウェアにダウンロードされる。これは、特に指導ビデオの形でのユーザインタフェースデータのコンテキストにおいて適切である。ある場合には、ダウンロードされたユーザインタフェースデータは、必要に応じて(例えば、ストリーミングを介して)指導ビデオがアクセスされるウェブ位置を表し、他の場合には、ダウンロードされたユーザインタフェースデータはビデオデータを含む。いくつかの実施形態では、よりリッチなコンテンツ(例えば、ストリーミングビデオ)は、オンライン利用のためだけに利用可能である。ユーザがオフラインモードでローカルハードウェアを操作する場合、コンテンツの特定のリッチメディアの側面は閲覧できなくなる。
【0262】
方法はさらに、選択された1つ又は複数のスキルに対するエキスパート知識のバリエーションによって定められるダウンロード可能なコンテンツをユーザが選択できるようにすることを含み、1つ又は複数のスキルのセットに対して利用可能な複数のエキスパート知識のバリエーションがある。例えば、実用的なレベルでは、オンラインマーケットプレイスは、特定のエキスパートに関連しない「標準」レベルのコンテンツと、特定のエキスパートに関連する1つ又は複数の「プレミアム」レベルのコンテンツを(例えば、ブランドコンテンツとして)提供することができる。
【0263】
各エキスパート知識のバリエーションは、同じスキルの他のコンテンツ提供とは機能的に異なる。例えば、与えられる試行されるパフォーマンスが分析される方法は、エキスパート知識の特異性に基づいて変化する。
【0264】
ある場合には、第1のエキスパート知識のバリエーションは第1の状態エンジンデータのセットに関連付けられ、第2のエキスパート知識のバリエーションは第2の異なる状態エンジンデータのセットに関連付けられる。第2の異なる状態エンジンデータのセットは、第1の状態エンジンデータのセットを使用して識別されないパフォーマンスの1つ又は複数のエキスパート固有の属性の識別を可能にするように構成される。エキスパート固有の属性は、次のいずれかまたは両方に関連し得る:
● エキスパートに関連したパフォーマンスのスタイル。例えば、パフォーマンスのスタイルは、1つ又は複数のモーションセンサユニットから得られるデータを使用して観察可能な体動の定義された属性によって表される。これは、コンテンツが、スケートボードの分野における実践的な例として、「マックツイスト(McTwist)を実行する方法を学ぶ」、「プロスケータAのスタイルでマックツイストを実行する方法を学ぶ」および「プロスケータBのスタイルでマックツイストを実行する方法を学ぶ」ことを提供することを可能にする。
● エキスパートに関連するコーチングの知識。例えば、エキスパート固有の属性は、コーチングの特異性を客観的に定義するように構成されるプロセスに基づいて定義される(例えば、上記の例で説明したように、エキスパート知識は大多数の見解(consensus views)とは異なる)。これは、コンテンツが、スケートボードの分野における実践的な例として、「マックツイストを実行する方法を学ぶ」、「プロスケータAからマックツイストを実行する方法を学ぶ」、「プロスケータBからマックツイストを実行する方法を学ぶ」ことを提供することを可能にする。
【0265】
また、エキスパート知識のバリエーションが、例えば、同じアドバイスが同じ徴候に対して与えられるが、アドバイスが異なる方法で提供される、コーチングスタイルを考慮する場合もある。
【0266】
ある場合には、第1の選択可能なエキスパート知識のバリエーションおよび第2の選択可能なエキスパート知識のバリエーションがあり、(i)第1の選択可能なエキスパート知識のバリエーションについて、ダウンロード可能データは、クライアントデバイスを、パフォーマンスセンサユニットから得られるデータにおいて、所与のスキルに関連する第1の観察可能なデータ条件の第1のセットを識別するように構成し、(ii)第2の選択可能なエキスパート知識のバリエーションについて、ダウンロード可能なデータは、クライアントデバイスを、パフォーマンスセンサユニットのセットから得られるデータにおいて、所与のスキルに関連する観察可能なデータ条件の第2の異なるセットを識別するように構成する。この場合も、これは任意選択で、スタイルのバリエーション、コーチングの知識のバリエーション、および/またはコーチングスタイルのバリエーションのいずれか1つ又は複数の実施を可能にするために使用される。
【0267】
ある場合には、第1の選択可能なエキスパート知識のバリエーションおよび第2の選択可能なエキスパート知識のバリエーションがあり、(i)第1の選択可能なエキスパート知識のバリエーションについて、ダウンロード可能なデータは、所与のスキルに関連する定義された観察可能なデータ条件を観察することに応答して、ユーザにフィードバックデータの第1のセットを提供するようにクライアントデバイスを構成し、(ii)第2の選択可能なエキスパート知識のバリエーションについて、ダウンロード可能データは、所与のスキルに関連する定義された観察可能データ条件を観察することに応答して、ユーザにフィードバックデータの第2の異なるセットを提供するようにクライアントデバイスを構成する。この場合も、これは任意選択で、スタイルのバリエーション、コーチングの知識のバリエーション、および/またはコーチングスタイルのバリエーションのいずれか1つ又は複数の実施を可能にするために使用される。いくつかの例では、フィードバックデータの第1のセットとフィードバックの第2のセットとの間の差は、それぞれのエキスパート知識のバリエーションに関連する人間のエキスパートの音声を表す異なるオーディオデータを含む。
【0268】
さらなる実施形態は、定められたスキルに対するスキルトレーニングコンテンツの配信を可能にするように構成されるデータを生成するコンピュータ実施方法を提供し、方法は:(i)観察可能なデータ条件の第1のセットを生成するステップあって、第1のセットは、1つ又は複数のパフォーマンスセンサユニットから得られる入力データの処理を可能にするように構成される観察可能なデータを含み、入力データは、それによってパフォーマンスの1つ又は複数の属性を識別するよう、ユーザによる定義されたスキルの身体的パフォーマンスを表す、ステップ;および(ii)観察可能なデータ条件の第2のセットを生成するステップであって、第2のセットは、同じ1つ又は複数のパフォーマンスセンサユニットから得られる入力データの処理を可能にするように構成された観察可能なデータ条件を含み、入力データは、それによってパフォーマンスの1つ又は複数の属性を識別するよう、ユーザによる定義されたスキルの身体的パフォーマンスを表す、ステップ、を含む。この実施形態では、観察可能なデータ条件の第2のセットは、観察可能なデータ条件の第1のセットに欠落している1つ又は複数のエキスパート固有の観察可能なデータ条件を含み、1つ又は複数のエキスパートに固有の観察可能なデータ条件は、観察可能なデータ条件の第1のセットのみを使用して生成されるスキルトレーニングコンテンツに関連する定義されたスキルに関するスキルトレーニングコンテンツのエキスパート知識のバリエーションに組み込まれる。スキルトレーニングコンテンツのエキスパート知識のバリエーションは、(i)ベースラインスキルパフォーマンススタイルに対する特定の人間のエキスパートに関連付けられるスタイルの相違、(ii)ベースラインのコーチング知識に対する特定の人間のエキスパートに関連付けられるコーチング知識の相違、および(iii)ベースラインのコーチングスタイルに対する特定の人間のエキスパートに関連付けられるコーチングのスタイルの相違、のうちのいずれか1つ又は複数を説明する。
【0269】
1つの実施形態は、定められたスキルに対するスキルトレーニングコンテンツの配信を可能にするように構成されるデータを生成するコンピュータ実施方法を提供し、方法は:(i)スキルトレーニングコンテンツの第1のセットを生成するステップであって、スキルトレーニングコンテンツの第1のセットは、1つ又は複数のパフォーマンスセンサユニットから得られる入力データの処理に基づいて、定義されたスキルに対するスキルトレーニングプログラムの配信を可能にするように構成され、入力データは、それによってパフォーマンスの1つ又は複数の属性を識別するよう、ユーザによる定義されたスキルの身体的パフォーマンスを表す、ステップ;および(ii)スキルトレーニングコンテンツの第2のセットを生成するステップであって、スキルトレーニングコンテンツの第2のセットは、同じ1つ又は複数のパフォーマンスセンサユニットから得られる入力データの処理を可能にするように構成された観察可能なデータ条件を含み、入力データは、それによってパフォーマンスの1つ又は複数の属性を識別するよう、ユーザによる定義されたスキルの身体的パフォーマンスを表す、ステップ、を含む。この実施形態では、スキルトレーニングコンテンツの第2のセットは、スキルトレーニングコンテンツの第2のセットが、スキルトレーニングコンテンツのエキスパート知識のバリエーションを提供するように入力データの与えられたセットに応答して、入力データの同じセットに応答するスキルトレーニングコンテンツの第1のセットと比較して異なるトレーニングプログラム効果を提供するように構成される。ここでもまた、スキルトレーニングコンテンツのエキスパート知識のバリエーションは、(i)ベースラインスキルパフォーマンススタイルに対する特定の人間のエキスパートに関連付けられるスタイルの相違、(ii)ベースラインのコーチング知識に対する特定の人間のエキスパートに関連付けられるコーチング知識の相違、および(iii)ベースラインのコーチングスタイルに対する特定の人間のエキスパートに関連付けられるコーチングスタイルの相違、のうちのいずれか1つ又は複数を説明する。
【0270】
MSUを組み込んでいる例示のエンドユーザハードウェア構成
幾つかの実施形態は、所与のスキルのエンドユーザの試行されたパフォーマンスのモニタリングを可能にするPCT/AU2016/000020に開示された様々なハードウェア構成(例えば、MSU対応衣服)を使用し、これは、試行されたパフォーマンス中に収集されるセンサデータにおける予め定義された観察可能なデータ条件(例えば、上述の方法論によって定義された観察可能なデータ条件)の識別を含む。PCT/AU2016/000020は、その全体が相互参照により組み込まれる。
【0271】
MSU及びMSU対応衣服の構成:概要
いくつかの場合には、エンドユーザ機器のODCの識別は:(i)与えられたユーザのMSUの実際の位置の知識;及び(ii)MSUの相対的位置の知識、を必要とする。各MSUは、従来、それら自身の基準フレームに対する動きデータを提供するので、複数のMSUからのデータを意味があるように組み合わせることには課題がある。
【0272】
上述の様々な実施形態は、センサユニットのセットから導出されたデータを利用し、それによって身体的パフォーマンスの分析を可能にする。これらのセンサユニットは、例えば、複数のセンサユニットを担持するように構成される着用可能な衣服によって、ユーザの身体に取り付けられる。このセクション、および以下のセクションは、いくつかの実施形態においてセンサユニットの構成に関する、それによって、センサから得られたデータに基づいて、人体の動きのような動きの分析を可能にする例示的な方法を説明する。
【0273】
背景として、身体的なパフォーマンスを表すデータを収集するための既知かつ一般的な手法は、光学的モーションキャプチャ技術を使用することである。例えば、そのような技術は、ユーザの体の様々な位置で観察可能な光学的マーカを配置し、マーカの位置および動きを表すデータを導出するためにビデオキャプチャ技術を使用する。分析は、仮想的に構築された身体モデル(例えば、完全な骨格、顔の表象など)を使用し、マーカの位置および動きを仮想的に構築された身体モデルに変換する。いくつかの従来技術の例では、コンピュータシステムは、コンピュータシステムで定義された仮想身体モデルにより身体的な人間のユーザの正確な動きを、実質的にリアルタイムで、再現することができる。例えば、そのような技術は、モーションキャプチャ技術組織Viconによって提供される。
【0274】
モーションキャプチャ技術は、それらが一般的に(i)ユーザが自分の体の様々な位置にマーカを配置すること、及び(ii)1つ又は複数のカメラデバイスを使用してユーザのパフォーマンスをキャプチャすること、の両方を必要とすることを考えると、有用性が限定される。いくつかの技術(例えば、深度検知カメラを使用する技術)は、視覚マーカの必要性への依存を減少させることができるが、それにもかかわらず、モーションキャプチャ技術は、それが1つ又は複数のカメラデバイスによってキャプチャされることができる場所で生じるパフォーマンスの必要性によって本質的に制限される。
【0275】
本明細書で説明される実施形態は、モーションセンサユニットを使用し、それによってモーションキャプチャ技術に関連する制限を克服する。モーションセンサユニット(慣性測定ユニット、またはIMUとも呼ばれる)、例えば、1つ又は複数の加速度計、1つ又は複数のジャイロスコープ、および1つ又は複数の磁力計を含むモーションセンサユニットは、本質的に、それら自身の動きを表すデータを提供することができる。そのようなセンサユニットは、速度、向き、および重力を含むパラメータを測定しかつ報告する。
【0276】
モーションセンサユニットの使用は、モーションキャプチャ技術との比較により課題の範囲を提示する。例えば、少なくとも以下の理由で複数のモーションセンサを使用するとき技術的な課題が生じる:
● 各センサユニットは、それ自身のローカル基準フレームに基づいてデータを提供する。これに関して、各センサは、本質的にそれ自身の領域の中心を規定するかのように、本質的にデータを提供する。これは、キャプチャデバイスが本質的に各マーカを共通の基準フレームに対して解析することができるモーションキャプチャとは異なる。
● 各センサユニットは、四肢のどこにあるかを正確に知ることができない。センサ衣服はおおよその位置を定義し得るが、個々のユーザは異なる身体属性を有し、これは正確な位置決めに影響を与える。これは、マーカが典型的には高精度で位置決めされるモーションキャプチャ技術とは異なる。
● 全てのセンサは、まるでそれらが、それらを接続する骨/肢(limbs)なしで、電子的な「スープのボウル」に置かれているかのように、完全に独立して動作する。すなわち、センサのそれぞれのデータ出力は、モーションキャプチャで使用されるマーカとは異なり、任意の種類の仮想身体上の相対的な位置決めとは無関係である。
【0277】
以下に説明される技術および方法は、センサユニットデータの処理を可能にし、それによって共通の体全体の(body-wide)基準フレームを提供する。例えば、これは、(i)センサユニットSUからSUに関する動きデータを共通の基準フレームに変換するように構成される変換を定義すること;及び(ii)センサユニットSUからSUの間の骨格の関係(skeletal relationship)を決定すること、のいずれか又は両方によって達成され得る。多くの場合、これらは密接にリンクされている:共通の基準フレームへの変換は、骨格の関係の決定を可能にするものである、ことが理解されるであろう。
【0278】
いくつかの実施形態では、センサデータの処理は、仮想骨格身体モデル(virtual skeletal body model)を表すデータを定義することにつながる。これは、実際には、モーションセンサスーツ構成から収集されたデータが、従来のモーションキャプチャ(仮想骨格身体モデルを表すデータも提供する)と同様の形態の分析を提供することを可能にする。
【0279】
PCT/AU2016/000020に記載される処理技術が使用され得る。概略では、これらは、少なくとも以下のコンテキスト(contexts)において適用を見出す:
● 定義されたモーションキャプチャ技術によって提供されるモデルとの比較に適したスケルトンモデルを組み立てる。例えば、モーションキャプチャデータおよびセンサ由来データの両方が、分析フェーズの間に収集されることができ、それによってモーションセンサデータの処理から得られた骨格モデルデータが、モーションキャプチャ技術から導かれた対応する骨格モデルと一致するかどうかを検証することができる。これは、スキルを客観的に定義するためのプロセス(前述)のコンテキストにおいて、またはより一般的にはデータセンサのデータ処理方法をテストし、検証するコンテキストにおいて適用可能である。
● 着用されたセンサ対応衣服の自動化された「姿勢に特有でない(non-pose specific)」構成。すなわち、ユーザがセンサ構成のために1つ又は複数の事前に定義された構成ポーズ(configuration pose)を取ることを要求するのではなく、以下に説明する処理技術は、実質的に任意の動きから生じるセンサデータを処理することによって、(例えば、骨格モデルを組み立てることによって)各センサのデータを共通の基準フレームに変換することを可能にする。すなわち、以下のアプローチは、あるセンサの動きを別のセンサに対して比較する目的で、かなり一般的な「動き(モーション)」を必要とします。その動きの正確な性質は限定された重要性を持つ。
● (例えば、スキルトレーニングおよびフィードバックのコンテキストにおいて)スキルの身体的パフォーマンスの正確なモニタリングを可能にする。例えば、これは、センサデータ内の観察可能なデータ条件(前述のように、パフォーマンス影響因子を表す)をモニタリングすることを含み得る。
【0280】
さらなる詳細は、PCT/AU2016/000020に提供されている。
【0281】
結論および解釈
特に断りのない限り、以下の説明から明らかなように、明細書全体を通じて、「処理する」、「計算する(computing)」、「計算する(calculating)」、「決定する」、「分析する」などの用語を用いる議論は、電子量のような物理量として表されるデータを、同様に物理量として表される他のデータに操作および/または変換する、コンピュータまたはコンピュータシステム、或いは同様の電子コンピューティングデバイスの動作および/またはプロセスを指すことが理解される。
【0282】
同様に、「プロセッサ」という用語は、電子データを、例えばレジスタおよび/またはメモリから、その電子データを、例えばレジスタおよび/またはメモリに格納され得る、他の電子データに変換するよう処理する任意のデバイスまたはデバイスの部分を指し得る。「コンピュータ」または「コンピューティングマシン」または「コンピューティングプラットフォーム」は、1つ又は複数のプロセッサを含み得る。
【0283】
本明細書に記載の方法論は、1つの実施形態では、プロセッサの1つ又は複数によって実行されるとき、本明細書に記載の方法の少なくとも1つを実行する命令のセットを含むコンピュータ可読(機械可読とも呼ばれる)コードを受け入れる1つ又は複数のプロセッサによって実行可能である。取られるべき動作を指定する命令のセット(シーケンスまたはその他)を実行することができる任意のプロセッサが含まれる。したがって、1つの例は、1つ又は複数のプロセッサを含む典型的な処理システムである。各プロセッサは、CPU、グラフィックス処理ユニット、およびプログラマブルDSPユニットのうちの1つ又は複数を含み得る。処理システムはさらに、メインRAMおよび/またはスタティックRAM、並びに/またはROMを含むメモリサブシステムを含み得る。バスサブシステムは、構成要素間の通信のために含まれ得る。処理システムはさらに、ネットワークによって結合されたプロセッサを持つ分散処理システムであってもよい。処理システムがディスプレイを必要とする場合、そのようなディスプレイ、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)または陰極線管(CRT)ディスプレイが含まれてよい。手動データ入力が必要な場合、処理システムはまた、キーボードのような英数字入力ユニット、マウスのようなポインティング制御デバイスなどのうちの1つ又は複数の入力デバイスを含む。本明細書で使用されるメモリユニットの用語は、文脈から明らかであり、特に明記しない限り、ディスクドライブユニットのようなストレージシステムも含む。いくつかの構成における処理システムは、サウンド出力デバイスと、ネットワークインターフェースデバイスとを含み得る。したがって、メモリサブシステムは、1つ又は複数のプロセッサによって実行されるとき、本明細書に記載された方法の1つ又は複数を実行させる命令のセットを含むコンピュータ可読コード(例えば、ソフトウェア)を担持するコンピュータ可読キャリア媒体を含む。方法がいくつかの要素、例えばいくつかのステップを含む場合、具体的に述べられていない限り、そのような要素の順序付けが暗示されていないことに留意されたい。ソフトウェアは、コンピュータシステムによる実行中に、ハードディスクに存在してよく、またはRAM内および/またはプロセッサ内に完全にまたは少なくとも部分的に存在してよい。したがって、メモリおよびプロセッサはまた、コンピュータ可読コードを担持するコンピュータ可読キャリア媒体を構成する。
【0284】
さらに、コンピュータ可読キャリア媒体は、コンピュータプログラム製品を形成し得る、またはコンピュータプログラム製品に含まれ得る。
【0285】
代替実施形態では、1つ又は複数のプロセッサは、スタンドアロンデバイスとして動作する、またはネットワーク化された配置に接続されてよく、例えば、他のプロセッサ(複数可)にネットワーク接続されてよく、1つ又は複数のプロセッサは、サーバまたはサーバ-ユーザネットワーク環境のユーザマシンの能力で、あるいはピアツーピアまたは分散ネットワーク環境におけるピアマシンとして、動作してよい。1つ又は複数のプロセッサは、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、携帯情報端末(PDA)、携帯電話、ウェブアプライアンス、ネットワークルータ、スイッチ若しくはブリッジ、またはそのマシンによって取られるべき動作を指定する一連の命令(シーケンスまたはその他)を実行できる任意のマシンを形成し得る。
【0286】
図面は、単一のプロセッサ及びコンピュータ可読コードを担持する単一のメモリのみを示しているが、当業者であれば、上述のコンポーネントの多くが含まれているが、本発明の態様を不明瞭にしないために、明示的に示されていない又は記載されていないことを理解するであろう。例えば、単一のマシンのみが図示されているが、「マシン」という用語は、本明細書で論じられた方法論の1つ又は複数を実行するための命令のセット(または複数のセット)を個々にまたは共同して実行するマシンの任意の集合を含むものとする。
【0287】
したがって、本明細書に記載された方法のそれぞれの1つの実施形態は、命令のセット、例えば、Webサーバの構成の一部である1つ又は複数のプロセッサ、例えば、1つ又は複数のプロセッサ上で実行するためのコンピュータプログラム、を担持するコンピュータ可読キャリア媒体の形態である。従って、当業者によって理解されるように、本発明の実施形態は、方法、専用装置のような装置、データ処理システムのような装置、またはコンピュータプログラム製品のようなコンピュータ可読キャリア媒体として具体化され得る。コンピュータ可読キャリア媒体は、1つ又は複数のプロセッサ上で実行されるとプロセッサ又はプロセッサ(複数)に方法を実施させる命令のセットを含むコンピュータ可読コードを担持する。したがって、本発明の態様は、方法、完全にハードウェアの実施形態、完全にソフトウェアの実施形態、またはソフトウェアとハードウェアの態様を組み合わせた実施形態の形態を取り得る。さらに、本発明は、媒体に具現化されたコンピュータ可読プログラムコードを担持するキャリア媒体(例えば、コンピュータ可読記憶媒体上のコンピュータプログラム製品)の形態を取り得る。
【0288】
ソフトウェアはさらに、ネットワークインターフェースデバイスを介してネットワーク上で送信または受信し得る。キャリア媒体は、単一の媒体である例示的な実施形態で示されているが、用語「キャリア媒体」は、1つ又は複数の命令のセットを格納する単一の媒体または複数の媒体(例えば、集中型または分散型データベース、ならびに/または関連するキャッシュおよびサーバ)を含むように解釈されるべきである。用語「キャリア媒体」はまた、1つ又は複数のプロセッサによる実行のための命令のセットを格納、エンコードしまたは担持することができ、かつ1つ又は複数のプロセッサに本発明の方法論のうちのいずれか1つ又は複数を実行させる、任意の媒体を含むように解釈されるものとする。キャリア媒体は、不揮発性媒体、揮発性媒体、および伝送媒体を含む多くの形態をとり得るが、これに限定されるものではない。不揮発性媒体は、例えば、光学ディスク、磁気ディスク、および光磁気ディスクを含む。揮発性媒体は、メインメモリのようなダイナミックメモリを含む。伝送媒体は、バスサブシステムを有するワイヤを含む、同軸ケーブル、銅線および光ファイバを含む。伝送媒体はまた、電波および赤外線データ通信中に生成されるような音響波または光波の形態を取り得る。例えば、用語「搬送媒体」はしたがって、それに限定されないが、固体メモリ、光学媒体および磁気媒体に組み込まれたコンピュータ製品、1つ又は複数のプロセッサの少なくとも1つのプロセッサによって検出可能でありかつ実行されると方法を実施する命令のセットを表す伝搬信号を生む媒体、ならびに1つ又は複数のプロセッサのうちの少なくとも1つのプロセッサによって検出可能でありかつ命令のセットを表す伝搬信号を生むネットワーク内の伝送媒体を含むように解釈されるものとする。
【0289】
論じられる方法のステップは、1つの実施形態では、記憶装置に記憶された命令(コンピュータ可読コード)を実行する処理(すなわちコンピュータ)システムの適切なプロセッサ(又はプロセッサ(複数))によって実行されることが理解されるであろう。また、本発明は、特定の実施またはプログラミング技術に限定されず、本発明は、本明細書で説明される機能を実施するための任意の適切な技術を使用して実施され得ることも理解されるであろう。本発明は、特定のプログラミング言語またはオペレーティングシステムに限定されない。
【0290】
本発明の例示的な実施形態の上記の説明において、本発明の様々な特徴は、開示を合理化しかつ様々な本発明の特徴の1つ又は複数の理解を助ける目的で、時には、単一の実施形態、図面、又は説明にまとめられる。しかしながら、この開示の方法は、請求項に記載された発明が各請求項に明示的に記載されているより多くの特徴を必要とするという意図を反映するものと解釈されるべきではない。むしろ、以下の請求項が反映するように、本発明の態様は、単一の前述の開示された実施形態の全ての特徴よりも少ないものにある。したがって、詳細な説明の後に続く請求項は、本発明の別の実施形態として自立している各請求項とともに、この詳細な説明に明確に組み込まれる。
【0291】
さらに、本明細書で説明されるいくつかの実施形態は、他の実施形態に含まれるいくつかの特徴を含むが、他の特徴を含まず、異なる実施形態の特徴の組み合わせは、本発明の範囲内であり、当業者によって理解されるように、異なる実施形態を形成すること意図される。例えば、以下の請求項において、請求項に記載された実施形態のいずれかは、任意の組み合わせで使用されることができる。
【0292】
さらに、実施形態のいくつかは、本明細書では、コンピュータシステムのプロセッサによってまたはその機能を実行する他の手段によって実施され得る方法または方法の要素の組み合わせとして説明される。したがって、このような方法または方法の要素を実行するために必要な命令を有するプロセッサは、方法または方法の要素を実行するための手段を形成する。さらに、装置の実施形態の本明細書で説明される要素は、本発明を実施する目的で要素によって実行される機能を実行するための手段の例である。
【0293】
本明細書で提供される説明では、多数の特定の詳細が記載される。しかしながら、本発明の実施形態は、これらの特定の詳細なしで実施され得ることが理解される。他の例では、周知の方法、構造および技術は、この説明の理解を不明瞭にしないために詳細に示されていない。
【0294】
同様に、用語「結合された」は、請求項において使用されるとき、直接的な接続のみに限定されると解釈されるべきではないことに留意されたい。用語「結合された」および「接続された」は、それらの派生語とともに使用されることができる。これらの用語は、互いに同義語として意図されていないことが理解されるべきである。したがって、デバイスBに結合されたデバイスAの表現の範囲は、デバイスAの出力がデバイスBの入力に直接接続されるデバイスまたはシステムに限定されるべきではない。これは、他のデバイスまたは手段を含む経路であり得るAの出力とBの入力との間の経路が存在することを意味する。「結合された」は、2つ以上の要素が直接物理的または電気的に接触しているか、あるいは2つ以上の要素が互いに直接接触していないが、依然として互いに協働または相互作用していることを意味し得る。
【0295】
したがって、本発明の好ましい実施形態であると考えられるものが記載されているが、当業者であれば、本発明の精神から逸脱することなく他の又はさらなる改変を行うことができ、そのようなすべての変更および修正は、本発明の範囲内に含まれることが意図されることを認識するであろう。例えば、上に与えられた任意の式は、使用され得る手順の単なる代表例である。機能がブロック図に追加または削除されてよく、動作は機能ブロック間で交換されてよい。ステップは、本発明の範囲内で説明された方法に追加または削除されてもよい。
図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4A
図4B
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図8D
図8E
図8F
図8G
図8H
図8I
図9A
図9B