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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】関節を圧迫または支持するためのバンド
(51)【国際特許分類】
   A61F 5/02 20060101AFI20220111BHJP
   A41D 13/08 20060101ALI20220111BHJP
   A41D 13/06 20060101ALI20220111BHJP
   A61F 13/00 20060101ALI20220111BHJP
   A61F 13/10 20060101ALI20220111BHJP
   A61F 13/06 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
A61F5/02 N
A41D13/08
A41D13/06
A61F13/00 T
A61F13/10 A
A61F13/06 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2018518706
(86)(22)【出願日】2016-10-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-12-06
(86)【国際出願番号】 FR2016052630
(87)【国際公開番号】W WO2017077206
(87)【国際公開日】2017-05-11
【審査請求日】2019-09-17
(31)【優先権主張番号】1560643
(32)【優先日】2015-11-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】515315576
【氏名又は名称】ミレー イノベーション
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ミレー,ダミエン
【審査官】齊藤 公志郎
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/184459(WO,A1)
【文献】特許第4355364(JP,B1)
【文献】特開2012-144814(JP,A)
【文献】国際公開第2015/028734(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 5/01-03
A61F 13/00-10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の肢または関節を取り囲むように構成された支持または圧迫装置であって、前記支持または圧迫装置は、前記肢または前記関節の周りに巻き付けるように構成された弾性バンド(1)を備え、
前記弾性バンド(1)は異なる弾性値を有する2つのバンドセグメント(10、20)を有し、かつ前記弾性バンド(1)は内面(15)および前記内面に対抗する外面(14)を有し、前記弾性バンドを前記肢または前記関節の周りに巻き付ける場合に、前記弾性バンド(1)の前記内面(15)が前記使用者の皮膚の前記弾性バンドに覆われた部分に接触するように構成され、前記内面(15)が前記覆われた部分に対し接着性を有することによって、前記弾性バンドを前記肢または前記関節の周りに巻き付けた場合に付される圧迫圧力と組合わせて、前記弾性バンドが、異なる局所的な牽引力の下で前記弾性バンドを局所的に伸長させることにより生じる局所的伸長を、前記局所的な牽引力を除去した後も保持することを特徴とする、支持または圧迫装置。
【請求項2】
前記2つのバンドセグメント(10、20)の一方は、2つの対向端によって前記弾性バンド(11)に取り付けられる弾性材料で作られたパッド(21)を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記パッド(21)は前記支持装置(1)の前記内面(15)に取り付けられる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記パッド(21)は前記支持装置(1)の前記外面(14)に取り付けられる、請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記パッド(21)は、粘弾性材料の層(22)前記粘弾性材料の層に取り付けられる弾性織物の層(23)を含む、請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記弾性織物の層(23)は前記弾性バンド(1)の短手方向よりも長手方向においてより高い弾性を有する、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記2つのバンドセグメント(10、20)の一方は前記2つのバンドセグメントの他方よりも2~4倍の弾性を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記内面(15)はポリジメチルシロキサンなどのポリマーゲルの層によって形成され、請求項1~7のいずれか1項に記載の装置。
【請求項9】
前記弾性バンド牽引力がかかり前記肢または前記関節の周りに巻き付けられた場合に付される圧迫圧力の存在下で、前記弾性バンド(1、1´)の前記内面(15)は、20N異なる、前記異なる局所的な牽引力により得られる伸長を保持できる前記覆われた部分接着を有する、請求項1~のいずれか1項に記載の装置。
【請求項10】
足首および足の周りに巻き付けように構成された第1のバンド部分(1a)および第2のバンド部分(1b)を含み、前記第1のバンド部分(1a)は前記第1のバンド部分の別のバンドセグメント(10a、30a)よりも低い弾性を有する第1のバンドセグメント(20a)を含み、前記第2のバンド部分(1b)は前記第1のバンド部分の前記外面に固定される端部を有し、第2のバンドセグメント(20b)は前記第2のバンド部分(1b)の別のバンドセグメント(10b、30b)よりも低い弾性を有し、より低い弾性の前記第1のバンドセグメントおよび前記第2のバンドセグメントは、それらが記足首の内踝および外踝の上下の領域を同時に覆うことができるように前記バンド部分の上に配置されている、請求項1~のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
弾性バンドセグメントを組み立てて異なる弾性値のバンドセグメント(10、20)を得る工程を含む、請求項1~1のいずれか1項に記載の使用者の肢または関節を取り囲むように構成された支持または圧迫装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に靱帯もしくは筋脱力感または循環病態あるいは術後状況の場合に体の特定の限られた部分を圧迫する、関節を圧迫または支持する装置に関する。本発明は、特に肢や膝、足首、肩、肘、手首の関節および腰回りに適用可能である。
【背景技術】
【0002】
特に血腫の形成を制限するため、および/または循環病態のため、あるいは筋肉または関節組織への損傷のリスクを予防するために、下肢の術後状況で使用することを目的とした圧迫バンドが存在する。腰または胸部の周りに巻き付けていくつかの重なり合った巻き付け部分を形成するように設計された背側支持バンドが存在する。これらのバンドは一般に、大抵の場合に医師の勧めに従って気密性を調整するための調整可能な締付装置および印が編み込まれている弾性織物で作られている。これらのバンドは覆われる領域全体にわたって等しい圧力を加える。これらのバンドが肢に沿って滑りやすいことも分かっている。
【0003】
しかし、いくつかの体の部分では、敏感な領域を避けながら局所的に圧力を加えることが必要な場合がある。例えば足の例では、3つの領域が特に圧力に対して敏感である。これらの領域は背側土踏まず、脛骨内踝の周囲領域およびアキレス腱領域である。実際に、これらの領域に対する過剰な圧力により疼痛または外傷が生じることがある。歩行を行うのに必要な足首の背屈(足の上方への旋回)は足の挙筋の収縮(前脛骨の短趾伸筋および長趾伸筋)によって生じることにも留意されたい。これらの筋肉の収縮により腱の腫れ、特に前脛骨筋の腫れが生じる。従って、そのような腫れた筋肉の腱領域において加えられる過剰な圧力は耐え難い疼痛を引き起こし、かつ潜在的に腱障害を引き起こす恐れがある。また、動脈および神経(特に足の背側土踏まずに位置する足背動脈および神経)の過剰な圧迫は、組織の酸素化不足および錯感覚も引き起こすことがある。脛骨内踝の周囲領域における過剰な締め付けは血液循環にも影響を及ぼすことがある。圧迫バンドは、敏感な領域に対して圧力を加えるのを回避しながら維持される領域に対して十分に圧力を加えるのを可能にするものではない。
【0004】
その調整および固定がループおよびフック要素(ベルクロ(登録商標))によってなされるバンドの形態の装置が存在する。また、そのようなバンドは覆われる領域に応じて可変かつ調整可能な圧力を加えることはできない。さらに、それらの見た目の悪い外観に加えて、ループおよびフックを有する要素は比較的厚く、かつ硬く、特にバンドが関節の上よび靴の中で摩耗した場合に移動を妨げる程に不好都合になることがある。ループおよびフック要素の厚さが、きつい衣服の着用を邪魔したり妨害したりすることもある。また、バンドの上に着用される衣服がフック要素によって損傷されることがあり、そのフックが衣服を形成している織物のメッシュまたは編みに引っ掛かることがある。
【0005】
そのようなバンドによって加えられる圧力の調整はループおよびフック要素でも難しく、なぜならそれらは漸増的にすることができないからである。実際には、圧力を変えるために2つの要素を完全に切り離して別の位置で再びそれらを接合する必要がある。一般に、使用者は所望の調整に達するまで何度も圧力を再調整しなければならない。
【0006】
ソックスまたは編まれたスリーブの形態の装置も存在し、その編みは覆われる環状領域に応じて異なる圧力を局所的に及ぼすために選択的に環状で達成される。従って、これらの装置はきつい衣服の着用を妨害し得る局所的に比較的大きな厚さを有することもある。これらの装置は、使用者の異なる形態に適合させるために多くの異なるサイズの製造を必要とするという欠点も有する。
【0007】
特にスポーツまたは術後状況において関節を部分的に固定するか筋肉を圧迫するために、肢の周りに何回か巻き付けられるように設計された非弾性もしくは低弾性接着バンドも存在する。これらの接着バンドも覆われる領域全体にわたって等圧力を加えるという欠点を有する。また、それらは必然的に使い捨てである。
【0008】
従って、覆われる領域に応じて局所的に調整可能な圧力を選択的に加えることができる、関節を支持するか肢の一部を圧迫するための装置を提供することが望ましい。また、この装置は何度も使用可能であり、かつ多くの異なるサイズの提供を必要とすることなく様々な形態に適合可能であることが望ましい。
【発明の概要】
【0009】
本実施形態は、使用者の肢または関節を取り囲むように構成された支持または圧迫装置であって、異なる剛性値を有する2つのバンドセグメントを有する弾性バンドを備え、弾性バンドはバンドによって覆われる領域と接する内面と内面に対向する外面とを有し、バンドの内面は、牽引力の除去後にバンドの2つのセグメントが異なる牽引力から生じる伸長を保持するように、バンドが牽引されながら肢または関節の周りに装着される際に加えられる圧迫圧力の存在下で覆われる領域との接着を与えることを特徴とする支持または圧迫装置に関する。
【0010】
一実施形態によれば、2つのバンドセグメントの一方は、2つの対向端によってバンドに取り付けられる弾性材料で作られたパッドを含む。
【0011】
一実施形態によれば、パッドは支持装置の内面に取り付けられる。
【0012】
一実施形態によれば、パッドは支持装置の外面に取り付けられる。
【0013】
一実施形態によれば、パッドは、粘弾性材料の層と粘弾性材料の層に取り付けられる弾性織物の層とを含む。
【0014】
一実施形態によれば、弾性織物の層はバンドの短手方向よりも長手方向においてより低い剛性を有する。
【0015】
一実施形態によれば、2つのバンドセグメントの一方は2つのバンドセグメントの他方よりも2~4倍の剛性を有する。
【0016】
一実施形態によれば、内面はポリジメチルシロキサンなどのポリマーゲルの層によって形成されている。
【0017】
一実施形態によれば、弾性バンドはスリーブの形態で構成されている。
【0018】
一実施形態によれば、バンドの内面は、バンドが牽引されながら四肢または関節の周りに置かれた際に加えられる圧迫圧力の存在下で、20Nで異なる伸長力により生じる伸長を保持することができる覆われる領域との接着を有する。
【0019】
一実施形態によれば、本装置は、足首および足の周りに巻き付けられるように構成された第1および第2のバンド部分を含み、第1のバンド部分は第1のバンド部分の別のバンドセグメントよりも高い剛性を有する第1のバンドセグメントを含み、第2のバンド部分は第1の部分の外面に固定される端部を有し、第2のバンドセグメントは第2のバンド部分の別のバンドセグメントよりも高い剛性を有し、より高い剛性の第1および第2のバンドセグメントは、それらが足首の内踝および外踝の上下の領域を同時に覆うことができるようにバンド部分の上に配置されている。
【0020】
本実施形態は、使用者の肢または関節を取り囲むように構成された先に定義した支持または圧迫装置の製造方法に関するものであってもよい。
【0021】
本実施形態は、先に定義した支持装置の使用方法であって、肢または関節の周りに支持装置を装着する工程と、支持装置のバンドセグメントのうちの第2のセグメントよりも高い剛性を有するバンドセグメントのうちの第1のセグメントに対してより高い伸長力および支持装置の第2のバンドセグメントに対してより低い伸長力をそれぞれ加えて第1および第2のセグメントを伸長させる工程と、伸長力を除去する工程とを含む方法に関するものであってもよい。
【0022】
一実施形態によれば、支持装置は、足首および足の周りに巻き付けられるように構成された第1および第2のバンド部分を含み、第1のバンド部分は第1のバンド部分の別のバンドセグメントよりも高い剛性を有する第1のバンドセグメントを含み、第2のバンド部分は第1の部分の外面に取り付けられる端部を有し、第2のバンドセグメントは第2のバンド部分の別のバンドセグメントよりも高い剛性を有し、本方法は、第1のバンド部分の第1の端部を使用者の足首の踝上に保持される2つの硬いパッドを有する足首装具に取り付ける工程と、バンド部分を第1の牽引力により足首の周りに巻き付け、次いで、足の上を通した後に足の下を通して足の周りに巻き付けて第1のバンドセグメントの一端に合わせる工程と、第1のバンドセグメントを足の上、次いで足首の周りに巻き付けて第1の牽引力よりも大きな第2の牽引力を加えて第1のバンドセグメントを伸ばし、それらの間で2つのパッドのうちの第1のパッドの下部と2つのパッドのうちの第2のパッドを締め付ける工程と、第2の牽引力よりも小さい牽引力により第1のバンド部分の端部を足首の周りに巻き付ける工程と、第1のバンド部分の第2の端部を取り付ける工程と、第1の牽引力よりも小さい牽引力により第2のバンド部分を足の上を通し、次いで足首の周りに巻き付けて、第2のバンドセグメントを第1のパッドの上部の上に配置する工程と、第2のバンド部分の自由端を取り付ける工程とを含む。
【0023】
以下では、本発明の例示的な実施形態について添付の図に関連させながら説明するが、これらに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】一実施形態に係る支持装置の断面図および正面図を概略的に示す。
図2】一実施形態に係る支持装置の断面図および正面図を概略的に示す。
図3】別の実施形態に係る支持装置の断面図を概略的に示す。
図4】別の実施形態に係る支持装置の概略断面図および正面図である。
図5】別の実施形態に係る支持装置の概略断面図および正面図である。
図6】別の実施形態に係る支持装置の断面図を概略的に示す。
図7】支持装置を形成する要素の伸長の関数としての伸長力および剛性のばらつき曲線である。
図8】支持装置を形成する要素の伸長の関数としての伸長力および剛性のばらつき曲線である。
図9図9Aおよび図9Bは2つの異なる構成における肢または関節に装着されている支持装置の概略断面図である。
図10】一実施形態に係る足首装具が装着された足および足首の外側面を概略的に示す。
図10A】一実施形態に係る図10の足首装具の熱成形可能な部分を示す。
図11図10に示す装具が装着された足および足首の内側面を概略的に示す。
図11A】一実施形態に係る図10の足首装具の別の熱成形可能な部分を示す。
図12】一実施形態に係る支持バンドの断面を概略的に示す。
図13】足および足首装具の周りに巻き付けられた際の図12の支持バンドに加えられる伸長力のばらつき曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1および図2は一実施形態に係る支持装置1を示す。支持装置1は、異なる剛性値を有するいくつかの弾性バンドセグメント10、20、30を含むバンドの形態である。この目的のために、バンドセグメント10、20、30は異なる厚さを有していてもよく、かつ/または異なる材料で作られていてもよい。バンドセグメント10、20、30は溶接または縫合などの任意の手段によって互いに接合されていてもよい。
【0026】
支持装置1は外面14と外面14に対向し、かつ本支持装置によって覆われる領域と接触するように設計された内面15とを有する。一実施形態によれば、内面15は、支持装置1が牽引されながら肢または関節の周りに置かれた際に加えられる圧力の効果による覆われる領域との特定の接着を有する。この覆われる領域との接着は、バンドセグメント10、20、30が異なる圧力を加えることができるような接着である。これらの異なる圧力は、これらの力の除去後に内面15の接着によりそれらの伸長を少なくとも部分的に保持する異なる伸長力を異なるバンドセグメント10、20、30に個々に与えることによって得られる。この接着は、接触面、その曲率(肢の周りに巻き付けた場合)およびバンドセグメント10、20、30のそれぞれの内面15上の材料の性質ならびに本装置によって覆われる領域の材料によって決まる。この接着のおかげで、その間により高い圧迫を加えることができる固定領域を得ることができる。
【0027】
従って、支持装置1は、肢または関節の周りに装着されるとバンドセグメント20によって覆われる肢の領域に対してより高い圧力を加え、かつ逆にセグメント10、30によって覆われる肢の領域に対してより低い圧力を加えることができる。
【0028】
図1の例では、バンドセグメント20はバンドセグメント10、30よりも高い剛性を有する。従って、それは、同じ伸長力が加えられた場合にセグメント10、30よりも小さく伸長しながら比較的大きな伸長力の効果により伸長することができる。例示的な実施形態によれば、バンドセグメント20は、バンドセグメント10、30の剛性の2~4倍の剛性を有する。その結果、バンドセグメント20は同じ伸長力の効果によりバンドセグメント10、30よりも2~4倍小さく伸長する。
【0029】
一実施形態によれば、支持装置1の内面15の接着はバンドセグメント10、20、30が形成される材料の好適な選択によっても得られる。別の実施形態によれば、この接着は、装置1の内面15を所望の接着を有する材料の弾性層で覆うことによって得られる。従って、異なるバンドセグメントを形成する材料の選択は接着基準によって制限されない。従って、図3は少なくとも部分的にその内面15を覆い、かつ所望の接着を示す弾性層2を含む支持装置1-1を示す。層2は例えば均一な厚さで内面15にわたって分散された粘弾性材料のコーティングであってもよい。
【0030】
図4および図5は、一実施形態に係る支持装置1-2を示す。支持装置1-2は異なる剛性値を有する弾性バンドセグメント10、20、30を含む弾性バンドの形態である。セグメント10、30は弾性バンド11によって形成されている。セグメント20は、パッド21の2つの対向縁部に沿って延在する2つの締付線17によってパッド21をバンド11の層13に取り付けることによって形成されている。従って、バンドセグメント20はバンド11およびパッド21を含む多層構造を有する。締付線17はバンド11の短手方向に沿ってバンド11の上に形成されている。締付線17は、バンド11およびパッド21が伸長されない構成において、2つの締付線17の間のパッド21が2つの締付線17の間のパッドの下にバンド11の一部の長さに実質的に対応する長さを有するように形成されている。
【0031】
バンド11は、その外面14に弾性材料の層12とその内面15に所望の接着を有する材料の弾性層13とを含んでいてもよい。層12は少なくとも当該バンドの長手方向に弾性である織物で作られていてもよい。層13は、例えば均一に内面15に分散された粘弾性材料のコーティングであってもよい。締付線17は縫い目であってもよい。パッド21はセグメント20の接着面を形成する粘弾性材料の層22と層22に取り付けられた弾性織物の層23とを含んでいてもよい。織物層23は層22に接着されていてもよい。層22は、特定の圧迫圧力の存在下で装置1-2によって覆われる表面の上で滑るのを防止する特定の接着を有する。この接着は、バンドセグメント20がセグメント10、30に加えられる伸長力とは異なる伸長力の効果により伸長することができ、かつ層22の接着および支持装置1-2によって加えられる圧迫圧力のおかげで伸長力の非存在下でその伸長を保持することができるような接着である。
【0032】
バンド12の厚さは0.3~1.5mmから選択されてもよく、層13は0.1~0.5mmの厚さを有する。層2、13および22はシリコーンゲル(ポリジメチルシロキサン-PDMS)などの粘弾性ポリマーゲルであってもよく、その硬さおよび接着特性は本支持装置におけるそれらのそれぞれの役割に従って選択される。層22の厚さは0.3~1mmから選択されてもよい。
【0033】
一実施形態では、バンド10は5~6cmの幅を有し、パッド21は例えば約2~7mmでバンド10よりも僅かに幅狭である。
【0034】
接着剤層13はバンド12の表面全体にわたって分散されているため、パッド21は図6に示すようにバンド12の外面14に固定することができる。従って、図6は、パッド21がバンド11の外面14に固定されているという点でのみ支持装置1-2とは異なる支持装置1-3を示す。その結果、当該バンドの内面11上に形成される層13は支持装置1-3によって覆われる領域と完全に接した状態になる。
【0035】
支持装置1、1-1、1-2、1-3は、それぞれバンド10の端部に固定され、かつ互いに協働して互いに結合する2つの部分を含む取付装置の助けを借りて、肢または関節の周りに巻き付けられて伸長した状態を保ち続けることができる。この取付装置は、例えば本支持装置の一端に取り付けられる1つ以上のループおよび本支持装置の対向端に取り付けられるフックまたは本支持装置の対向端に取り付けられるフックおよびループバンド(ベルクロ(登録商標))を含んでいてもよい。
【0036】
従って、支持装置1、1-1、1-2、1-3は、本支持装置の内面15の一部が本支持装置の外面14の一部と接するように肢の周りに2回以上の巻き付け部分を形成することにより肢または関節の周りに巻き付けることができる。次いで、それを行って接着剤層13と同じ材料で作られていてもよい接着剤層16で本支持装置の外面14の少なくとも一部を覆うことができる(図6)。層16で覆われる外面14の一部は、2回以上の巻き付け部分による本装置の巻き付けにより本装置の外面15によって覆われる部分に限定されてもよい。当然ながら、層16はそれが存在する異なるバンドセグメントの剛性を高める。
【0037】
図7は、支持装置1-2または1-3を形成する要素の弾性を表す曲線C1~C6を示す。曲線C1~C6はそれぞれ、当該要素の伸び率(横座標)の関数として当該要素に加えられる伸長力のばらつきを示す。曲線C1はバンド11の長手方向の弾性を表す。曲線C2はパッド21の長手方向の弾性を表す。曲線C3はパッド21の短手方向の弾性を表す。曲線C4はバンド12単独の長手方向の弾性を表す。曲線C5はパッド21の織物層23の長手方向の弾性を表す。曲線C6はパッド21の織物層23の短手方向の弾性を表す。曲線C1~C6は実質的に起点(座標0%、0N)を通る双曲線である。曲線C1~C4は伸長が加えられる伸長力に実質的に比例する0~80%の領域も有する。
【0038】
曲線C1およびC2によって示されているように、それぞれ41Nおよび45Nの伸長力の効果により、バンド11は約147%伸長し、パッド21は約129%伸長する。曲線C1およびC2は、特に5~40Nの伸長力値においてバンド11がパッド21よりも23~43%大きく伸長することを示す。曲線C3によれば、パッド21は47.5Nの伸長力の効果により短手方向に35%伸長する。従って、パッド21は長手方向よりも低い短手方向の弾性を有する(曲線C2、C3)。この構成によりパッド21の縁部および中心領域が異なる伸びで伸長するのを防止する。この剛性における違いはパッド21を形成する織物層23によって与えられる。実際には、曲線C5およびC6によれば、織物層23は32Nの伸長力の効果により長手方向に124%伸長し、短手方向に34%伸長する。曲線C4によって示されているように、バンド11単独では19.5Nの伸長力の効果により147%伸長する。
【0039】
一実施形態によれば、織物層23は、バンド11の長手方向よりも短手方向に2~4倍大きいそのバンド11への取り付け方向に剛性を有する。
【0040】
図8は、支持装置1-2または1-3のバンドセグメント10および30(バンド11)、パッド21単独およびバンド11とパッド21とを組み合わせたセグメント20のそれぞれの剛性曲線C7、C8、C9を示す。曲線C7によれば、セグメント10および30の剛性はこれらのセグメントの伸長が5~130%である場合に0.6~1.25N/%で変動する。曲線C8によれば、パッド21の長手方向の剛性はパッド21の長手方向の伸長が5~130%である場合に1.25~2.1N/%で変動する。曲線C9によれば、バンドセグメント20(パッド21+バンド11)の剛性は当該バンドセグメントの伸長が5~130%である場合に1.8~3.3N/%で変動する。
【0041】
図8は、支持装置1-2または1-3のバンドセグメント20およびセグメント10または30の剛性比のばらつきを表す曲線C10も示す。この比は5~130%で変動する伸長について2.6~3.3で変動する。従って、支持装置1-2または1-3の例では、バンドセグメント20の剛性はバンドセグメント10および20の剛性よりも平均して3倍大きい。セグメント10および30の存在により、本支持装置は、その端部における取り付け点を固定させたまま、肢または関節の周りでその牽引を著しく増加させることを必要とすることなく異なる肢または関節サイズに適合することができる。対照的に、バンドセグメント20は顕著に伸長することなく高い牽引に耐えることができる。従って、本支持装置はそれが覆う領域に比較的高い圧力を加えることができる。従って、図7および図8の例では、バンドセグメント20は同じ牽引力の効果によりバンドセグメント10または30よりも約3倍小さく伸長する。
【0042】
一実施形態によれば、本支持装置は、図9Aおよび図9Bに示すようにバンド11の2つの対向端を互いに結合したスリーブの形態で構成されている。
【0043】
図9Aおよび図9Bは、本支持装置の使用事例を示すために2つの異なる構成の支持装置1-4を示す。なお、これらの2つの構成は、バンドの形態の支持装置1、1-1~1-3のいずれかを用いて肢または関節の周りに巻き付けて取り付けるとすぐに同様に得ることができる。図9Aおよび図9Bの例では、支持装置1-4は2つのバンドセグメント10および20を含み、バンドセグメント20はバンドセグメント10よりも大きな剛性を有する。図9Aでは、支持装置1-4が肢の周りに均一な張力で肢または関節5の周りに装着されている。図9Aの構成では、バンドセグメント20は長さL1を有する。この構成では、支持装置1-4は、肢または関節5の周り全体で実質的に一定であり、かつ2つのバンドセグメント10および20の異なる剛性値を前提としたバンドセグメント10および20の累積伸長に関連する特定の圧迫力を皮膚に加える。
【0044】
図9Bでは、本支持装置は、バンドセグメント10に加えられる牽引力よりも大きい牽引力をバンドセグメント20に加えることにより肢または関節の周りに装着されている。図9Bの構成では、バンドセグメント20は長さL1よりも大きい長さL2に達する。この構成は、支持装置1-4によって加えられる圧迫圧力の存在下で現れるバンドセグメント20の内面の支持装置1-4によって覆われる領域との接着により、牽引力の非存在下で特定の程度まで安定である。図9Bにおける装置1-4の構成は、例えば一方の手でバンドセグメント20の各端部を保持し、かつこのバンドセグメントを肢5の周りにさらに伸長させることにより図9Aの構成により得ることができる。その結果、図9Bの構成では、バンドセグメント10は図9Aの構成よりも小さい伸長を有し、従ってより小さい圧力を加える。
【0045】
図9Bの構成では、バンドセグメント20は、それが覆う四肢の領域に図9Aまたは図9Bの構成においてバンドセグメント10によって加えられる圧迫圧力よりも大きな圧迫圧力を加える。さらに、図9Bの構成におけるバンドセグメント10はそれが覆う四肢の領域に図9Aの構成におけるバンドセグメント10によって加えられる圧迫圧力よりも低い圧迫圧力を加える。従って、バンドセグメント10によって覆われる特定の領域に対してより低い圧迫圧力を加え、かつバンドセグメント20によって覆われる別の領域に対してより高い圧力を加えるように本支持装置を肢または関節の周りに装着することができる。
【0046】
一実施形態によれば、支持装置1-4は、本装置によって覆われる領域に接触するように設計された、本装置の内面に取り付けられる粘弾性材料のクッション3を含む。図9Aおよび図9Bの例では、クッション3はパッド21の内面に取り付けられている。クッション3は局所的な領域に対してより高い圧力を加えるように設計されている。クッション3はより高い圧力を加えるべき皮膚の領域に適合した形状を有していてもよい。クッション3の位置は使用者が選択してもよい。この目的のために、クッション3およびパッド21は、同じ材料の別の要素に取り外し可能に天然に接着する性質を有するシリコーンゲル(PDMS)であってもよい。
【0047】
図9Aおよび図9Bに示すスリーブ1-4は、骨膜と脛骨との結合を強化するのを助けるように設計されていてもよい。この目的のために、バンドセグメント10により圧迫されるべき筋肉および腱からなる脚の後部を覆いながらバンドセグメント20を脛骨の上に置く。バンドセグメント10に加えられる牽引力よりも大きな牽引力の効果によりバンドセグメント20を伸長させることにより、装置1-4は、脚の後部の筋肉量に低い圧力を加えながら脚の前部に局所化されるより高い圧力を加える。脚の前部に加えられる圧力は、特に体のこの部分に存在する筋付着部に加えられる頻回の激しい振動および激しい牽引を体のこの部分にかける特にスポーツの練習中に大きく求められ得る脛骨-骨膜領域の支持を助ける。関連するスポーツとしては、ランニング、ダンスおよびテニスやスカッシュなどのラケットスポーツが挙げられる。より緩んだバンドセグメント10の存在は特に重要であるが、なぜなら、それが求められる場合は強く腫れるふくらはぎに対する止血効果がそれにより回避されるからである。
【0048】
図10および図11は、例えば外傷後の足首あるいは正式な支持または固有感覚の視点からの支持を正当化する弛緩を有する足首を支持するように構成された装具4を示す。装具4は、足および脚を入れるための近位開口部40bと、足6を出すための遠位開口部40dと、踵のための中間開口部40aとを有する足首および足6を圧迫するように成形されたスリーブを形成する少なくとも部分的に弾性の層40を含む。層40は少なくとも部分的に弾性である。層41aは、熱成形可能な材料の第1のパッド42aが挿入される第1のポケットを形成するように層40に取り付けられている。第1のポケットの形状はパッド42aの形状に一致している。従って、パッドによるポケットの充填度は80~95%であってもよい。パッド42aの形状そのものは支持が確保されるべき肢または関節の領域に従って画定されてもよい。第1のポケットは外踝に対応する位置において層40の上に形成されており、開口部40aと40dとの間、および層40の近位開口部40bと足底と背側部との間の足6の側方縁部を覆う層40の一部40cとの間を側方に延在している。パッド42aの形状は図10Aに示されている。第1のポケットは締付線43aによって層41aを層40に取り付けることによって形成されている。第1のポケットは、例えばパッド42aをそのポケットに/から挿入または取り出すためのスリーブ40の近位開口部40bに沿った開口部を有する。層40は使用者の皮膚6に直接接していてもよい。層41aは、層40の面の一方または他方にある溶接線または縫い目43aによって層40に取り付けることができる。
【0049】
一実施形態によれば、装具4は、内踝を覆うように構成された位置にある層40の上に形成された第2のポケットの中に入れられる熱成形可能な材料で作られ、かつ当該スリーブの開口部40bまで内踝の周りで層40の上に側方に延在する第2のパッド42bを含む。パッド42bの形状は図11Aに示されている。第2のポケット42bは、締付線43bによってスリーブ40に取り付けられる織物41bの層を用いて形成されている。第2のポケットは、ポケットに/からパッド42bを挿入または取り出すためのスリーブ40の近位開口部40bに沿って開口部も有していてもよい。
【0050】
なお、図10Aおよび図11Aは、足の上で直接熱成形される前のパッド42aおよび42bの形状を示す。熱成形作業後に、パッド42aおよび42bは踝およびその周囲領域の正確な形状をなす。
【0051】
足6および足首の周りに巻き付けられて締め付けられるように設計されたバンド1’(その一部は図10および図11に示されている)を使用して、パッド42aおよび42bを足首に対してさらに締め付け、かつそのようにしてパッド42aおよび42bを足首と一体化させることができる。バンド1’は装具4に縫い付けるか、装具4上に例えばそれぞれがバンド1の端部領域にあるループ46と協働する1つ以上のフック45を含む取付装置によって引っ掛けることができる。
【0052】
装具4は以下の方法で使用することができる。最初の使用前に、本装具を熱成形作業に供しなければならない。この目的のために、本装具を例えばパッド42aおよび42bがそれらのそれぞれのポケットの中にある状態で、パッド42aおよび42bを軟化させるのに十分な温度の熱水に浸して加熱する。特定の回数でそれらを熱水と接触させた後に、パッド42aおよび42bは軟化する。パッド42aおよび42bが再び硬化する前に、使用者は装具4を支持される足首の周りに置く。層40の弾性牽引によりパッド42aおよび42bを使用者の皮膚に対して押し付ける。次いで、パッド42aおよび42bはそれらが押し付けられた領域の形状をなし、数分後に硬化する。パッド42aおよび42bの硬化中に、足首が所望の最終位置に保持される。従って、装具4は、単に本装具を足首の上に装着することでパッド42aおよび42bを熱成形することによりそれが施用される位置の形態に適合し、層40によって加えられる弾性力により先に軟化させたパッド42aおよび42bを確実に保持および変形させる。この作業は別の人、特に専門家の介入を必要としない。
【0053】
熱成形作業前に、支持される肢または関節の一部をプラスチックフィルムなどのフィルムで覆って、熱成形作業の終了時の濡れた装具の取り出しを容易にしてもよい。
【0054】
パッド42aおよび42bは、例えばPatterson社によって製造された「Aquaplast」などの材料で作られている。それらのパッドは1.5~5mm、例えば約2.4mmの厚さを有する。この材料は65~75℃で軟化し、約4分間可鍛性のままである。従って、パッド42aおよび42bの熱成形作業は必要に応じて何度も繰り返すことができる。
【0055】
図12は、足首装具4に取り付けることができるバンド1’の例示的な実施形態を示す。バンド1’は足首および足6の周りに巻き付くように構成されている。この目的のために、バンド1’は主部分1aと主部分1aに固定される副部分1bとを含み、従ってバンド1’は一般的なT形状を有する。バンド部分1bは部分1aを部分的に覆い、従って後者によって達成される支持を強化する。バンド部分1aおよび1bは装置1の構造と同様の構造を有する。図12の例では、バンド部分1aおよび1bは装置1-2と同じ構造を有する。従って、主部分1aは、バンドセグメント10、20、30などの異なる剛性値のバンドセグメント10a、20a、30aを含み、パッド21と同様のパッド21aはバンド部分1aと共にバンドセグメント20aを形成している。パッド21aは、例えば縫い目17aによってバンド部分1aの内面に取り付けられる。副バンド部分1bもバンドセグメント10、20、30などの異なる剛性値のバンドセグメント10b、20b、30bを含み、パッド21と同様のパッド21bは、バンド部分1bと共にセグメント20bを形成している。パッド21bは例えば縫い目17bによってバンド部分1bの内面に取り付けられている。バンド部分1bの一端は、例えば縫い目17cによって、パッド21aが取り付けられている内面に対向するバンド部分1aの外面に取り付けられている。
【0056】
最初にバンド部分1aの一端を、例えばふくらはぎのより下側の領域において本装具の上部に位置するループ46およびフック45によって装具4に取り付ける。バンド1’を装具4に縫い付けることもできる。第1の工程では、バンド部分1aを牽引せずに半回転を僅かに超えるように足首の後ろに通して足首の周りに巻き付け、次いで足の上を超えるように通し、最後に足の下を通して足の周りに巻き付ける。次いで、使用者はバンド部分1aのセグメント20aの一端を適所に保持するように自身の足を地面に置いて、次いでバンド部分1aの自由端によって強い牽引を加えながらセグメント20aを巻き付けることができる。次いで、足に対して押し付けられるパッド42aの下部を覆いながらセグメント20aを僅かに伸長させる。次いで、後方上に動かしながら、足の背屈を邪魔し得る土踏まずのより下側の非常に敏感な部分を回避しながら、圧力に対して鈍感な土踏まずの上部をバンドで覆う。最後に、セグメント20aによりパッド42bの大部分(および特に内踝を覆うパッド42bの一部)を覆う。セグメント20aを足首の周りに巻き付けたら、バンド部分1aの自由端に対する牽引を解放し、その自由端をこの目的のために設けられている別のフックおよびループ装置47によってループ46の近くに取り付ける。セグメント20aの内面の接着により、特にバンド1aの端部を取り付ける間にセグメント20aはその伸長を維持する。従って、バンドセグメント20aは2つのパッド42aおよび42b間の強い結合を形成する。
【0057】
次いで、バンド部分1aに取り付けられるバンド部分1bの端部を足の内側面において足の下側に平行にする。パッド21bがバンド部分1aに接するようにバンド部分1bを牽引せず足の上を僅かに半回転を超えるように足首の周りに巻き付け、次いで足首の後ろに巻き付ける。次いで、バンド部分1bの自由端を別の取付装置、例えばフックおよびループ48によってループ46の近くのバンド部分1aに取り付ける。バンド部分1bのこの構成では、バンドセグメント20bによりパッド42aの上部を覆い、それを足首に対してきつく保持する。
【0058】
図13は、バンドを足および本装具の周りに巻き付けた後のバンドに沿った位置におけるバンド1’の牽引力のばらつきを示す曲線C11およびC12である。バンドセグメント1aおよび1bを伸長前に同一の長さを有する番号が付けられたセクションに分け、セクション番号は横座標に示されている。従って図13では、曲線C11に対応するバンド部分1aは1~14の番号が付けられたセクションにわたって延在し、バンドセグメント20aは6~11の番号が付けられたセクションにわたって延在する。曲線C12に対応するバンド部分1bは、4および5の番号を有するセクション間のバンド部分1aに取り付けられており、かつ5~10の番号が付けられたセクションにわたって延在し、バンドセグメント20bは7および8の番号が付けられたセクションにわたって延在する。
【0059】
曲線C11によれば、バンド部分1aは牽引されずにセクション番号3まで巻き付けられている。セクション番号4までに、バンド部分1aによって加えられる牽引力は0から0.2Nに僅かに増加する。この牽引力はさらに増加してセグメント20aの開始に対応するセクション番号6において2.72Nに達する。セクション20aは次第に増加してセクション番号8および9の近くで16Nに近い値に達するように牽引力を加える。次いで、バンド部分1aによって加えられる牽引力は次第に減少してセクション番号14においてバンド1aの端部でゼロに近い値に達する。バンドセグメント20aとの接合点において、バンドセグメント10aは約15%の伸長率に達する。バンドセグメント20aの伸長はセクション番号6と8との間で8%から45%に次第に増加し、次いで減少してセクション番号11において15%に達する。当該バンドセグメント30aの伸長はセクション番号12と14との間で25%から5%に次第に減少する。
【0060】
曲線C12によれば、バンド部分1bは0.2Nの僅かな牽引力に達するように巻き付けられており、セクション番号6において2.25Nまで増加する。この牽引力はゼロまたはバンドセグメント20bに沿ったゼロに近い値であり、セクション番号10においてバンド部分1bの端部で0.2Nに達する。バンドセグメント10bの伸長はセクション番号5と6との間で5%から13%に増加する。バンドセグメント20bの伸長はゼロであり、セグメント30bの伸長は5%である。
【0061】
当該バンドを本装具および足の周りに巻き付けた場合、セクション番号9(パッド21aの中央部分)はバンド部分1aのセクション3および4を覆う。セクション番号7および8(パッド21b)はバンド部分1aのセクション番号9および14を覆う。バンド部分1bのセクション番号9はバンド部分1aのセクション番号12を覆う。異なる重なり合ったセグメントによって加えられる圧迫力は加算される。
【0062】
バンドセグメント20bは伸長によって装着されないため、パッド21bは非弾性材料で作られていてもよい。バンド1’に沿って、加えられる異なる牽引力(20Nで異なってもよい)の保存は、バンドのそれ自体および本装具への接着によって確保される。
【0063】
従って、よりきつくかつより高い剛性のバンド1’のセグメント20aおよび20bは、足首副木と同様のパッド42aおよび42bを足首に対してきつく保持し、セグメント20bはセグメント20aの作用を補完して足首を3つの点、すなわちパッド42aの底部および頂部ならびにパッド42bで支持する。バンド1’は土踏まずの上およびより緩んでいるか柔軟なセグメント10a、30a、10b、30bによって覆われている踝の真上のより低い脛骨領域の上に過剰な圧力を加えない。また、セグメント10a、30a、10b、30bを多少なりとも伸長させて、それらが覆う足首の領域の上にそれらにより加えられる圧力における顕著なばらつきを有さずにセグメント20aおよび20bを使用者の形態に応じてパッド42aおよび42bの上に適切に置くことができる。
【0064】
ループおよびフック45~47を支持するバンド部分1aおよび1bの端部を非弾性織物の小片によって強化してもよい。
【0065】
本発明は様々な他の実施形態および様々な用途にも適用可能であることは当業者には明らかであろう。特に、本発明は記載されている実施形態に限定されず、これらの実施形態の全ての可能な組み合わせにまで及ぶ。
【0066】
さらに、装置1、1-1、1-3または1-4の内面15、装置1-2のバンド11またはバンド1’の接着は、内面15に例えば均一に分散させる鋲などの粘弾性要素によって得ることができる。内面15におけるこれらの粘弾性要素の密度は本装置によって加えられる圧迫圧力および各粘弾性要素の接着を考慮して得られる接着の関数として選択してもよい。
【0067】
記載されている例は骨膜の固定および足首の支持に適用するものであるが、本発明を1つ以上の別の領域における圧力の選択的印加を必要とする体のあらゆる部分に適用してもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10
図10A
図11
図11A
図12
図13