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特許6999551骨欠損修正用の骨インプラントおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】骨欠損修正用の骨インプラントおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/28 20060101AFI20220128BHJP
【FI】
A61F2/28
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2018526944
(86)(22)【出願日】2016-11-23
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-11-29
(86)【国際出願番号】 IB2016057076
(87)【国際公開番号】W WO2017089973
(87)【国際公開日】2017-06-01
【審査請求日】2019-11-21
(31)【優先権主張番号】62/259,500
(32)【優先日】2015-11-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】514045669
【氏名又は名称】オスディーサイン アーベー
(74)【代理人】
【識別番号】110001999
【氏名又は名称】特許業務法人はなぶさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】エングストランド、トマス
(72)【発明者】
【氏名】エングクビスト、ホーカン
(72)【発明者】
【氏名】イブラヒム、ガニム
(72)【発明者】
【氏名】オーバリ、ヨナス
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】特表2009-538686(JP,A)
【文献】国際公開第2014/125381(WO,A2)
【文献】特開2008-307186(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0238237(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)複数の相互連結されたワイヤ部材と、保持アイレットを含む少なくとも2つの締結点とを有するワイヤメッシュ支持フレームと、
(b)前記支持フレームの周りに形成され、壁を有する開放キャビティを少なくとも2つ内部に有する生体適合性プレートと
を含む骨インプラントであり、
前記保持アイレットの各々が1つの前記ワイヤ部材を含む少なくとも1つの変形可能な保持アームによって前記支持フレームに連結され、
前記保持アームの各々は、前記保持アイレットが前記インプラントを骨に固定するのに使用するために前記プレートの外側に位置するように、前記開放キャビティの1つの内から外へまたは外から内へ、前記プレートの外に延び
さらに前記開放キャビティは、間隔が各々の前記保持アームと該保持アームがそこからまたはその中へ延びる前記開放キャビティの壁との間に提供されるように構成される、
ことを特徴とする骨インプラント。
【請求項2】
前記保持アームの各々は、前記保持アームによって前記保持アイレットが前記プレートの外周から離間されるように、前記プレートの外周から離れるように延在する、請求項1に記載の骨インプラント。
【請求項3】
前記保持アームの各々は、前記保持アームの直径よりも大きな直径を有する開口部を介して、前記開放キャビティの1つから前記プレートの外に延びる、請求項2に記載の骨インプラント。
【請求項4】
前記支持フレームが、前記プレート内に配置された少なくとも1つのワイヤ縁部を含み、前記保持アームの各々が少なくとも1つの前記ワイヤ縁部に連結される、請求項1に記載の骨インプラント。
【請求項5】
前記保持アームが取り付けられている少なくとも1つのワイヤ縁部の一部が前記開放キャビティ内に配置されている、請求項4に記載の骨インプラント。
【請求項6】
前記支持フレームが、前記プレート内に配置される相互に連結された複数の縁部を含み、前記縁部の各々が連続的な閉ループを横断する、請求項5に記載の骨インプラント。
【請求項7】
前記保持アームの各々は、前記保持アームによって前記保持アイレットが前記プレートの外周から離間されるように、前記プレートの外周から離れるように延在する、請求項6に記載の骨インプラント。
【請求項8】
前記プレートが、外面および骨に面する面を有し、前記開放キャビティが前記プレートの前記骨に面する面内に配置され、各保持アイレットおよびその少なくとも1つの保持アームが、前記キャビティの1つの中に配置され、さらに、前記プレートが、前記保持アイレットの各々に関連する穴を含み、前記穴の各々が前記プレートの厚さを貫通し、関連するアイレットと軸方向に整列している、請求項1に記載の骨インプラント。
【請求項9】
前記支持フレームが、前記プレートの内側に位置し、前記プレートの外周に近似する形状を有する内部縁部を含み、さらに、前記保持アームの各々が、前記支持フレームの前記縁部から前記開放キャビティの1つに内向きに延びる、請求項8に記載の骨インプラント。
【請求項10】
前記穴の各々の内部に配置され、前記穴と整列した前記アイレットから離間された円筒形スリーブをさらに含み、前記円筒形スリーブの各々が、前記支持フレームの前記内部縁部から上方に離れるように延びる複数の支持アームによって支持される、請求項8に記載の骨インプラント。
【請求項11】
前記生体適合性プレートが、バイオセラミック材料を含む、請求項1に記載の骨インプラント。
【請求項12】
前記生体適合性モザイクプレートは、少なくとも55重量%のモネタイトを含むセメントを含む、請求項11に記載の骨インプラント。
【請求項13】
(a)患者の頭蓋骨の少なくとも一部のデジタル表現を使用して、生体適合性プレートの所望のサイズおよび形状を決定する工程、
(b)前記生体適合性プレートのための型を製作する工程、
(c)ワイヤメッシュ支持フレームを製作する工程、
(d)前記支持フレームを型内に位置決めする工程、および
(e)前記プレートを前記支持フレームの周りに成型する工程を含む請求項1に記載のインプラントを製造する方法。
【請求項14】
前記プレートを成型する前に前記支持フレームの部分にガードを位置決めする工程をさらに含み、前記ガードは、前記開放キャビティを形成するように前記ガードの位置でプレート材料の形成を防止する、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ワイヤメッシュ支持フレームの表面がテクスチャ加工される、請求項1に記載の骨インプラント。
【請求項16】
前記プレートが、外面および骨に面する面を有し、前記開放キャビティの少なくとも1つが前記プレートの前記骨に面する面内に配置される、請求項1に記載の骨インプラント。
【請求項17】
複数の相互連結されたワイヤ部材を有する支持フレームと、前記支持フレームの周りに成
型された生体適合性プレートとを含む骨インプラントの製造方法であって、
下記工程:
(a)前記生体適合性プレートのための型を提供する工程;
(b)少なくとも1つのワイヤ縁部と、インプラントを骨に固定するための保持アイレットからなる少なくとも2つの締結点とを含み、前記保持アイレットの各々が、少なくとも1つの変形可能な保持アームによって、前記少なくとも1つのワイヤ縁部に連結されている、支持フレームを提供する工程;
(c)前記支持フレームの一部を覆うように配置されたガードとともに、前記支持フレームを型内に位置決めする工程
(d)生体適合性材料を用いて前記支持フレームの周りに前記プレートを成型する工程及び
(e)その後、前記ガードをはずす工程を含み、
前記ガードは、セメントと、前記ガードが配置される前記支持フレームの部分との間のバリアとして働き、それにより、壁を有する開放キャビティが開放キャビティの内から外へまたは外から内へ前記プレートの外へ延びる前記保持アームとともにプレート材料に形成され、
さらに前記開放キャビティは、間隔が各々前記保持アームと該保持アームがそこからまたはその中へ延びる前記開放キャビティの壁との間に提供されるように構成される、製造方法。
【請求項18】
(a)互いに間隔をあけて連結された複数のワイヤ縁部と、インプラントを骨に固定するための保持アイレットからなる少なくとも2つの締結点とを含む、支持フレーム;及び
(b)前記支持フレームの周りに形成され、少なくとも2つの開放キャビティを内部に有する生体適合性プレートを含む骨インプラントであり
前記保持アイレットの各々が、少なくとも1つの変形可能な保持アームによって前記ワイヤ縁部の1つに連結され、
前記縁部の各々は、前記プレート内に位置し、前記プレートの外周の形状に近似し、
そして、前記保持アームの各々は、前記保持アイレットが前記プレートの外側に位置するように、そしてプレートの外周から離間されるように、前記開放キャビティの1つから前記プレートの外側に延びてなり
さらに、前記開放キャビティの各々は、該開放キャビティを通って延在する前記保持アームから離間した壁を有する、
骨インプラント。
【請求項19】
前記支持フレームは、前記ワイヤ縁部の少なくとも1つの内部を横切る複数の支持リブをさらに含む、請求項18に記載の骨インプラント。
【請求項20】
(a)複数の相互連結されたワイヤ部材と、保持アイレットを含む少なくとも2つの締結点とを有するワイヤメッシュ支持フレームと、
(b)前記支持フレームの周りに形成される生体適合性プレートと
を含む骨インプラントであり、
前記保持アイレットの各々が1つの前記ワイヤ部材を含む少なくとも1つのワイヤ部材によって前記支持フレームに連結され、前記保持アイレットの各々が骨に面する面を有し、
前記プレートは、外面、骨に面する面、および前記保持アイレットの各々に関連する穴を有し、前記穴の各々は、該プレートの外面から骨に面する面に延び、関連するアイレットと軸方向に整列していて、
前記保持アイレットの各々は、前記アイレットの骨に面する面がプレートの骨に面する面に隣接し、プレートの骨に面する面を超えて延びるように配置され、その結果、前記保持アイレットが、保持アイレットの骨に面する面が骨に接触し、プレートの骨に面する面
が骨から離れて堆い状態で、インプラントを骨に固定するのに使用するために配置される、
骨インプラント。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
組織再生により適切に治癒することができない骨組織欠損は、多くの場合、自家骨格材料、非自家骨格材料、または新しい骨成長用のための足場とする合成材料を使用して充填することができる。頭蓋または長骨の欠損等の大規模な欠損の場合、上記方法はしばしばうまくいかなく、治療も特に困難であり得る。その結果、新しい組織(例えば、骨)成長の構造支持を提供する金属メッシュまたは種々の多孔性セラミック材料を利用する様々な代替方法が開発されている。金属メッシュを単独で使用する多くの現行方法は、新骨形成が低いこと、および/または感染症により問題となる場合がある。現在使用されている多くのセラミック材料は、機械的強度が低く壊れやすいため、足場不良のリスクが高くなる。
【0002】
金属メッシュの1つの利点は、欠損にぴったりと一致するように成型することができるということである。一方で、セラミックインプラントは、典型的には、製造後に形状を変えることができないため、事前に特注しなければならない。金属メッシュでは骨内部成長が低いという問題を克服する試みとして、メッシュをヒドロキシアパタイト粉末でコーティングすることが、特に関節置換の修正手術での使用に提案されている。
【0003】
より最近の手法が、国際公開第2011/112145号パンフレット、発明の名称「Implants and Methods for Correcting Tissue Defects」、2011年9月15日公開(以下、「’145出願」という)に記載されている。更なる手法は、国際公開第2014/125381号パンフレット、発明の名称「Mosaic Implants, Kits and Methods for Correcting Bone Defects」、2014年8月21日公開(以下、「’381出願」という)に記載されている。上述の公開出願は、参照により本明細書に組み込まれる。’145出願および’381出願には、ワイヤ(例えば、ワイヤメッシュ)係留配置により連結されている複数の生体適合性モザイクプレートを含むモザイクインプラントが記載されている。
【0004】
骨欠損を修正するための様々なデバイスおよび技術が存在している可能性はあるが、本明細書に記載されている発明をなし、使用したのは本発明者らが初めてであると考える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2011/112145号パンフレット
【文献】国際公開第2014/125381号パンフレット
【文献】国際公開第2014/091469号パンフレット
【文献】国際公開第2013/035083号パンフレット
【文献】国際公開第2013/027175号パンフレット
【文献】国際公開第2010/055483号パンフレット
【発明の概要】
【0006】
本明細書は、本発明を特定し、明確に請求する特許請求の範囲で締めくくられているが、本発明は、添付の図面を参照して以下のある例の説明を読むと、より良好に理解されるであろうと考えられる。図面では、類似の数字は、幾つかの図にわたって類似要素を表している。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、鼻傍インプラント、頬骨インプラント、眼窩上インプラント、および患者の頭蓋骨に植え込まれた6セクションの下顎骨インプラントを概略的に示す。
図2図2は、図1の一部の拡大図であり、鼻傍インプラントをより詳細に示す。
図3図3は、図2の鼻傍インプラントの直交図である。
図4図4は、図2の鼻傍インプラントの側面立面図である。
図5図5は、図2の鼻傍インプラントの正面立面図である。図5図4に対して90度回転している。
図6図6は、図2図5にある鼻傍インプラントに使用される支持フレームの上面平面図である。
図7図7は、図2図5にある鼻傍インプラントに使用される支持フレームの直交図である。
図8図8は、例えば図2図5の鼻傍インプラントに使用される支持フレームの周りに生体適合性プレートを成型するときに使用されるガード部材を示す。
図9図9は、支持フレームに生体適合性プレートを成型する前の、支持フレーム上における図8のガード部材の配置を示す。
図10図10は、生体適合性プレート中の支持フレームの内部と保持アームがプレートの外に延びる開放キャビティの内部を隠線で示す、図2図5の鼻傍インプラントの上面平面図である。
図10A図10Aは、開放キャビティとそこに位置する保持アームと外側縁部の部分を示す、図2図5のインプラントの一部を拡大した図である。
図11図11は、標準で、修正されていない形状の支持フレームを示す、図7と同様の図である。
図12図12は、図11の未修正支持フレームの正面立面図である。
図13図13は、図11の未修正支持フレームの上面平面図である。
図14図14は、図11の未修正支持フレームの底面図である。
図15図15は、図11の未修正支持フレームの側面立面図である。
図16図16は、図11の未修正支持フレームの正面図である。
図17A図17Aは、図11の未修正支持フレームから製造された別の実施形態の支持フレームの直交図である。
図17B図17Bは、図17Aの支持フレームを使用して製造された別の鼻傍インプラントを示す。
図18A図18Aは、図11の未修正支持フレームから製造された別の代替実施形態の支持フレームの上面平面図である。
図18B図18Bは、図18Aの支持フレームを使用して製造された別の鼻傍インプラントの上面平面図である。
図19図19は、図11の未修正支持フレームから製造された鼻傍インプラントの製造に使用されるまた別の実施形態の支持フレームの正面立面図である。
図20A図20Aは、図11の未修正支持フレームから製造された別の代替実施形態の支持フレームの直交図である。
図20B図20Bは、図20Aの支持フレームを使用して製造された別の鼻傍インプラントの側面図である。
図21A図21Aは、図21B図22、および図23に示す別の鼻傍インプラントに使用するために図11の未修正支持フレームから製造されたまた別の代替実施形態の支持フレームの直交図である。
図21B図21Bは、インプラントの上面の直交図である。
図22図22は、インプラントの上面の直交図である。
図23図23は、インプラントの底面図である。
図24図24は、図1の一部の拡大図であり、眼窩上インプラントをより詳細に示す。
図25図25は、図24のインプラントの側面図である。
図26図26は、図24のインプラントの底面図である。
図27図27は、図24のインプラントの角度をつけた底面図である。
図28図28は、生体適合性プレートと内部支持フレームとの関係をよりよく示すために、プレートが半透明に描かれている図24のインプラントの上面図である。
図29図29は、生体適合性プレートが省略された、図28と同様の図である。
図30図30は、図24のインプラントの製造に使用するために修正される前の支持フレームを示す、図29と同様の図である(例えば、保持アイレットが複数の保持アームによって支持フレームに連結されている)。
図31図31は、図30の未修正支持フレームの側面図である。
図32図32は、図30の未修正支持フレームの直交図である。
図33図33は、支持フレームに生体適合性プレートを成型する前に図29の支持フレーム上に配置されたガード組立部品を示す、図29と同様の図である。
図34図34は、図33に示す組立部品の底面図である。
図35A図35Aは、図33図34に使用されるガード組立部品を示し、組み立て前のガード組立部品の上面立面図である。
図35B図35Bは、図33図34に使用されるガード組立部品を示し、組み立て前のガード組立部品の側面図である。
図35C図35は、図33図34に使用されるガード組立部品を示し、組み立てられた形態のガード組立部品の上面立面図である。
図36図36は、図1の一部の拡大図であり、6セクションの下顎骨インプラントをより詳細に示す。
図37図37は、図36の6セクションの下顎骨インプラントの上面図である。
図38図38は、図36の下顎骨インプラントセクションの1つの側面図である。
図39図39は、図36の下顎骨インプラントセクションの1つの正面図である。
図40図40は、図38の下顎骨インプラントセクションに使用される支持フレームの正面図である。
図41図41は、図38の下顎骨インプラントセクションの背面図である。
図42図42は、隠線で支持フレームの内部特徴を示す、図38の下顎骨インプラントセクションの背面図である。
図43A図43Aは、図38の下顎骨インプラントセクションに使用される、修正前の支持フレームの正面図である(例えば、保持アイレットが複数の保持アームによって支持フレームに連結されている)。
図43B図43Bは、図38の下顎骨インプラントセクションに使用される、修正前の支持フレームの背面図である(例えば、保持アイレットが複数の保持アームによって支持フレームに連結されている)。
図43C図43Cは、図38の下顎骨インプラントセクションに使用される、修正前の支持フレームの上面図である(例えば、保持アイレットが複数の保持アームによって支持フレームに連結されている)。
図43D図43Dは、図38の下顎骨インプラントセクションに使用される、修正前の支持フレームの右側面図である(例えば、保持アイレットが複数の保持アームによって支持フレームに連結されている)。
図43E図43Eは、図38の下顎骨インプラントセクションに使用される、修正前の支持フレームの左側面図である(例えば、保持アイレットが複数の保持アームによって支持フレームに連結されている)。
図44A図44Aは、図36の他の下顎骨インプラントセクションを示す。
図44B図44Bは、図44Aに対応する未修正支持フレームを示す。
図45A図45Aは、図36の他の下顎骨インプラントセクションを示す。
図45B図45Bは、図45Aに対応する未修正支持フレームを示す。
図46A図46Aは、図36の他の下顎骨インプラントセクションを示す。
図46B図46Bは、図46Aに対応する未修正支持フレームを示す。
図47A図47Aは、図36の他の下顎骨インプラントセクションを示す。
図47B図47Bは、図47Aに対応する未修正支持フレームを示す。
図48A図48Aは、図36の他の下顎骨インプラントセクションを示す。
図48B図48Bは、図48Aに対応する未修正支持フレームを示す。
図49図49は、眼窩上インプラントの別の実施形態を示す、図24と同様の図である。
図50図50は、図49のインプラントに使用される支持フレームを示す。
図51図51は、生体適合性プレートと内部支持フレームとの関係をよりよく示すために、プレートが半透明に描かれている図49のインプラントの上面図である。
図52図52は、患者の骨に固定されていることを示す、線52-52に沿った図49のインプラントの一部分の断面図である。
図53図53は、頬骨インプラントの一実施形態の直交図である。
図54図54は、図53の頬骨インプラントの支持フレームの直交図である。
図55図55は、図53の頬骨インプラントの背面図である。
図56図56は、図53の頬骨インプラントの支持フレームの背面図である。
図57図57は、図53の頬骨インプラントの後面図である。
図57A図57Aは、図57の一部分の拡大図である。
図58図58は、図53の頬骨インプラントの支持フレームの後面図である。
図59】図59は、表面テクスチャ加工が、明瞭のために省略されている、図53の頬骨インプラントの支持フレームの分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下の特定例の説明は、本発明の範囲を限定するために使用されるべきでない。本明細書で開示されている形態の他の特徴、態様、および利点は、当業者にとって、以下の説明から明白になるであろう。当然のことながら、本明細書に記載されている形態はいずれも、本発明から逸脱することなく、他の異なる自明な態様が可能である。したがって、本図面および本明細書は、本質的に例示的であり、限定的ではないとみなされるべきである。
【0009】
本明細書で使用される場合、用語「ワイヤ」は、断面形状にかかわらず、その幅および厚さに比べて比較的長い長さを有するストランド、ロッド、ストラットまたは類似の構造体を指す。例えば、本明細書で使用する「ワイヤ」は、円形、長円形、長方形、または他の断面形状を有することができる。本明細書に記載された実施形態のいくつかでは、インプラントの1本または複数のワイヤは、それらの全長に沿って一定の幅および/または厚さを有さず、形状が不規則な1つまたは複数のセグメントまたは領域を有することができる。例えば、いくつかのワイヤは、ワイヤの有効長さを伸長または短縮させることを可能にするひだ状または捲縮セグメントを有することができ、他のワイヤは、より大きな柔軟性の領域を提供するために、幅および/または厚さが減少されたセグメントを有する。他の実施形態では、1本または複数のワイヤは、より大きな剛性および/またはインプラントへの支持を提供するために、増加した幅および/または厚さのセグメントを有する。個々のワイヤは、単一の連続的な構造の形態であってもよく、または複数の個々のフィラメントまたはストランドを組み合わせてワイヤを形成してもよい(例えば、巻くまたは編組)。
【0010】
本明細書に記載の例は、頭蓋骨(顔および顎を含む)の骨欠損を修正するための脳顔面頭蓋インプラントのような、様々な骨欠損を修正するための骨インプラントを提供する。本明細書に記載されるインプラントは、審美的理由のためだけに、例えば患者が欠陥が存在しない場合に顔面構造を増強または修正することを望む場合にも使用することができる。
【0011】
いくつかの実施形態では、インプラントは、内部支持フレームと、内部支持フレームに
取り付けられた1つ以上の締結点とをそれぞれ含む1つ以上の生体適合性プレート(例えば、水硬性セメント)を含む。インプラントが2つ以上の生体適合性プレートを含む場合、いくつかの実施形態では、これらのプレートは互いに連結され、他の実施形態ではそれらは連結されない。インプラントは、特に、生体適合性プレートの形状および締結点の位置に関して、各患者および修正する骨欠損のためにカスタマイズすることができる。インプラントを周囲の骨に固定するために使用される留め具が、周囲の骨に十分かつ/または最適な足がかりを確実にもたらすように、締結点の位置は、例えば、各患者に合わせてカスタマイズすることができる。
【0012】
一般に、本明細書に記載される骨インプラントの実施形態は、複数の相互連結されたワイヤ部材と、支持フレームの周りに形成された(例えば、成型された)生体適合性プレートとを含むワイヤメッシュ支持フレームを含む。支持フレームは少なくとも2つの締結点(例えば、保持アイレット)を含み、それぞれの締結点が支持フレームのワイヤ部材の1つを含む少なくとも1つの変形可能な保持アームによって、支持フレームに連結された。プレートは、その中に少なくとも2つの開放キャビティ(各締結点保持アームに対して1つ)を含む。各保持アームは、締結点がインプラントを骨に固定するためにプレートの外側に位置するように、(a)開放キャビティの1つから、または(b)開放キャビティの1つへ向かって、プレートの外に延びる。いくつかの例では、開放キャビティは、プレート材料が割れるリスクを低減し保持アームの変形(例えば、曲げ)を容易にする。保持アームが開放キャビティからプレートの外へ延びると、締結点(例えば、保持アイレット)が保持アームによってプレートの外周から離間される。保持アームが開放キャビティ内に延びる場合、キャビティは、プレートの骨に面する面内に配置される(例えば、キャビティは、プレートの骨に面する面から内部に延びる)。
【0013】
いくつかの実施形態では、標準化された内部支持フレームは、患者カスタマイズされた生体適合性プレート内に適合し、生体適合性プレートを適切に支持するように、支持フレームの一部を曲げ、切断および/または除去するなどによって物理的に操作されおよび修正される。支持フレームが修正された後、患者カスタマイズされた生体適合性プレートが支持フレームに成型される。他の実施形態では、患者カスタマイズされた内部支持フレームは、特定の患者および骨欠損のために設計された患者カスタマイズされた生体適合性プレート内に適合し、生体適合性プレートを適切に支持するように作成される。一例として、患者カスタマイズされた支持フレームのデジタル表現が作成される。次いで、患者カスタマイズされた支持フレームを製造するための付加的な製造プロセス(例えば、選択的レーザ溶融による)などにより、その患者カスタマイズされた支持フレームがそのデジタル表現に基づいて製造される。その後、患者カスタマイズされた生体適合性プレートは、支持フレームに成型される。本明細書に記載のインプラントは、典型的には、ヒト患者の治療に使用するように構成されているが、インプラントは(特定の哺乳類の解剖学的構造に対する適切な改造を伴って)他の哺乳類に使用することもできる。
【0014】
1つ特定の実施形態では、インプラントは、カスタマイズされた形状の生体適合性プレートと、プレート内に位置する内部支持フレームとを含む鼻傍インプラントを含む。内部支持フレームは、プレートに強度と支持を提供するだけでなく、特定の患者のために最適化された位置に締結点を提供するように、プレート内に適合するようにメッシュをカスタマイズするための複数の選択肢を有する標準化された金属メッシュアレンジメントを用いて形成される。金属メッシュの一部を除去して、支持フレームがカスタマイズされたプレートの中に適合し、しかもそれを適切に支持することを確実にすることができる。複数の締結点が支持フレームにも設けられているので、これらの締結点のうちの2つ以上が使用のために選択され、他の締結点はプレートを支持フレームの周りに成型する前に支持フレームから取り外される。代替的に、未使用の締結点の1つまたは複数は、特にプレート材料に包まれるとき、または外科医が外科手術時に選択する代替の締結位置を提供するため
に役立つとき、支持フレーム上に留まることができる。このような各鼻傍インプラントは、支持フレームが配置された患者カスタマイズ型を使用して成型されるが、この標準化支持フレームは、各特定のインプラントに必要な金属メッシュ構造を製造するために使用され得る。
【0015】
本明細書に記載されるインプラントの実施形態はまた、インプラントを所定の位置に固定するために、留め具(例えば、骨ネジ)が移植部位またはその周囲の骨または他の組織に打ち込まれる1つ以上のアイレットのような締結点を含む。場合によっては、インプラントの周辺に2つ以上のアイレットが設けられる。他の例では、アイレットは、プレートの外周の内側に配置され、留め具は、プレートの厚さを貫通し、アイレットを通って移植部位の骨または他の組織に延びる穴を通して挿入される。場合によっては、単一の保持アイレット(本明細書でさらに説明するように、外部アイレットまたは内部アイレットのいずれか)を使用することができる。しかしながら、一般に、インプラントの十分な固定および機械的安定性を保証し、移植後のインプラントの回転を防止するために、少なくとも2つの保持アイレットが提供される。
【0016】
図1は、患者の頭蓋骨に移植された様々な例示的な脳顔面頭蓋インプラントを示す。 インプラントは、鼻傍インプラント(110)、頬骨インプラント(610)、眼窩上インプラント(710)、および6セクションの下顎骨インプラント(810A-E)を含む。これらのインプラントは単なる例示であり、本明細書に記載の構造、システムおよび方法は、特定の患者のために、先天性欠損または外傷による骨の修復または再建のためだけでなく、純粋に美容上の理由のためでも、広範囲の脳顔面頭蓋インプラントの製造に使用することができる。一例として、鼻傍インプラント(110)は、口蓋裂を有する患者に使用することができる。
【0017】
図示のインプラントの各々は、一般に、生体適合性プレート(例えば、水硬性セメントから成型される)、内部支持フレーム(例えば、チタンのような金属で形成され、図1には示されていない)、および内部支持フレームに取り付けられた1つ以上の締結点を含む。鼻傍インプラント(110)の場合は、締結点がインプラントの周辺に設けられた1対の保持アイレット(140A)を含む。骨ネジ(144)は、アイレット(140A)を通して移植部位に隣接する骨に挿入される。頬骨インプラント(610)も同様に構成され、インプラントの周辺に配置された3つの保持アイレットを有する。眼窩上インプラント(710)および6セクションの下顎骨インプラント(810A-E)(ならびに鼻傍インプラントの代替実施形態)は、セメントプレートの厚さを貫通する穴(746、846、946)の底部に、プレートの外周の内側に配置される保持アイレットを有する。留め具(例えば、骨ネジ)は、穴に挿入され、アイレットを通って移植部位の骨に挿入される。
【0018】
さらに別の実施形態では、インプラントは、内部および外部保持アイレットの両方を含む。例えば、インプラントは、鼻傍または頬骨インプラント(110、610)上に設けられたものなどの外部保持アイレット、ならびに眼窩上インプラント(710)上に設けられたものなどの内部アイレットおよび関連する穴を含むことができる。これらの保持アイレットはすべて、インプラントを所定の場所に固定するために使用することができ、または外科医は、手術の際に使用するものを選択することができる(および任意で、それらの保持アームの外部部分と共に使用されない外部保持アイレットを外すことができる)。
【0019】
内部支持フレームは、様々な金属、ポリマー、または2つ以上の金属および/またはポリマーの複合材料のような、患者への移植に適した様々な生体適合性材料のいずれかから作製することができる。非限定的な例には、ポリカプロラクトンなどの生体適合性ポリマー、ニチノールなどの形状記憶合金、ならびにチタン、チタン合金(例えばTi-6A1
-4V)およびステンレス鋼などの金属(合金を含む)が含まれる。支持フレームも、鍛造、鋳造、成型、押出、切断、エッチング、スタンピング、および選択的レーザ溶融または選択的レーザ焼結などの添加物製造技術のような様々な方法で形成することができる。
【0020】
生体適合性プレートは、ポリマー、セラミックおよび金属の様々なタイプおよび/または組み合わせを含む、様々な再吸収性および/または安定性(例えば、再吸収性でない)を有する生体適合性材料のいずれかから構成することができる。いくつかの実施形態では、プレートは、骨伝導性および/または骨誘導性材料から構成される。骨伝導性材料は、骨細胞が結合し、遊走し、成長し、および分裂してプレートの表面に新しい骨を形成する足場として役立つ。骨誘導材料は、プレートの周りに新しい骨形成を誘導する。
【0021】
いくつかの実施形態において、生体適合性プレートは、成型可能なバイオセラミックまたはバイオポリマー材料から構成される。バイオセラミック材料は、セラミック粉末を焼結することによって製造することができるが、この方法で複雑な形状を製造することは困難となり得る。あるいは、セラミック材料が化学反応、例えばセメント凝結および硬化反応によって形成される化学結合経路によってバイオセラミックスを形成することができる。
【0022】
いくつかの実施形態において、水硬性セメント組成物を含むバイオセラミック材料は、生体適合性プレートを成型するために使用される。非限定的な例としては、硫酸カルシウム、リン酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウムおよびそれらの組み合わせなどの1つまたは複数のCa塩を含むセメント前駆体組成物が挙げられる。本明細書にさらに記載されているように、生体適合性プレートは、セメント組成物を支持フレームの部分の周りに成型することによって形成される。例えば、粉末セメント前駆体組成物は、非水性水混和性液体、または水および非水性水混和性液体の混合物のいずれかと混合される。次いで、その中に位置決めされた支持フレームを有する型に混合物を流すまたは注入し、支持フレームの周りにプレートを形成するように(例えば、水含有浴中で)硬化させる。
【0023】
プレートを成型するために使用され得る様々なセメント組成物は、例えば、2014年6月19日に公開された「Cement-Forming Compositions,Monetite Cements,Implants and Methods for Correcting Bone Defects」と題された国際公開第2014/091469号パンフレットに記載されている。保管安定性の事前混合水硬性セメント組成物を含む、プレートを成型する際に使用するための代替的なセメント組成物は、2013年3月14日に公開された「Storage Stable Premixed Hydraulic Cement Compositions,Cements,Methods,and Articles」と題された国際公開第2013/035083号パンフレットに記載されている。さらに、プレートを成型するために使用することができるセメント組成物は、例えば、’145出願、ならびに2013年2月28日に公開された「Implants and Methods for Using the Implants to Fill Holes in Bone Tissue」と題された国際公開第2013/027175号パンフレット、および2010年5月20日に公開された「Hydraulic Cements,Methods and Products」と題された国際公開第2010/055483号パンフレットに記載されている。前述の特許出願および公開の各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0024】
1つ実施形態では、プレートを成型するために使用される組成物は、非水性水混和性液体と組み合わせたモネタイト形成カルシウム系前駆体粉末を含むリン酸カルシウムセメント形成組成物である。1つの特定の実施形態では、モネタイト形成カルシウム系前駆体粉末は、40:60~60:40の重量比のリン酸一カルシウム(リン酸一カルシウム一水
和物(MCPM)および/または無水リン酸一カルシウム(MCPA))およびβ-リン酸三カルシウム、および前駆体粉末の重量に基づいて2重量%~30重量%のピロリン酸二カルシウム粉末(本明細書ではピロリン酸カルシウムとも呼ばれる)を含む。組成物中の粉末対液体(重量/体積)比は2g/ml~6g/mlである。
【0025】
別の実施形態において、プレートを成型するために使用される組成物は、硬化を達成するために水性液体と混合されるかまたは水性液体に曝されるように適合されたモネタイト形成カルシウム系前駆体粉末を含むリン酸カルシウムセメント形成組成物である。特定の一実施形態では、モネタイト形成カルシウム系前駆体粉末は、40:60~60:40の重量比のリン酸一カルシウム(リン酸一カルシウム一水和物(MCPM)および/または無水リン酸一カルシウム(MCPA))およびβ-リン酸三カルシウム、および前駆体粉末の重量に基づいて2重量%~30重量%のピロリン酸二カルシウム粉末(本明細書ではピロリン酸カルシウムとも呼ばれる)を含む。
【0026】
多孔度は骨の成長およびインビボでの吸収時間に影響を及ぼすので、成型プレートの多孔度もまた制御することができる。例えば、多孔度は、前駆体組成物中のリン酸一カルシウムの粒径を制御することにより、および/または前駆体組成物に1つまたは複数のポロゲンを添加することによって制御することができる。多孔度が望ましいいくつかの実施形態では、成型プレートは40%~50%の多孔度を有するが、他の実施形態では、多孔度は約46%である。
【0027】
1つの特定の実施形態では、モネタイト形成カルシウム系前駆体粉末混合物は、グリセロールなどの非水性水混和性液体と混合し、必要に応じて最大20%の水(総液体体積に基づく)を含む。混合後、セメント前駆体混合物を、その中に位置決めされた支持フレームを有する型に流すまたは注入する。次いで、型を水浴中に置くことなどにより、充填された型を水と接触させ、セメントを硬化させる(例えば、室温水浴で約24時間)。セメントが硬化した後、インプラントは型から取り除かれる。必要に応じて、インプラントを水に浸漬してグリセロール残渣を除去するなどのさらなる処理を実施してもよい。
【0028】
上述した例で形成されたインプラントのプレートは、β-リン酸三カルシウムのような種々の量の他の物質と微量のブルシャイト(CaHPO・2HO)(例えば、2重量%未満または1重量%未満)とともに、モネタイト(CaHPO)と2重量%~30重量%ピロリン酸二カルシウムを含む。いくつかの実施形態におけるプレートは、少なくとも65重量%、少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、または少なくとも90重量%のモネタイトを含む。ピロリン酸二カルシウムの存在は、プレートの再吸収を遅らせるだけでなく、骨誘導性も提供する(例えば、ピロリン酸二カルシウムを含まない同様のモネタイト調製物と比較して、プレートの周りおよびプレート間で新たな骨成長を促進する)。
【0029】
さらに別の実施形態では、プレートは、少なくとも70重量%モネタイトおよび3重量%~30重量%ピロリン酸二カルシウムを含む硬化したモネタイトセメントのプレート、またはより具体的には、少なくとも80重量%モネタイトおよび3重量%~20重量%ピロリン酸二カルシウムを含む硬化したモネタイトセメントで形成される。硬化したモネタイトセメントは、β-リン酸三カルシウム(β-TCP)をさらに含んでもよい。さらなる具体的な実施形態では、硬化したモネタイトセメントは、少なくとも75重量%モネタイト、3重量%~20重量%ピロリン酸二カルシウム、および1重量%~15重量%β-TCPを含み、または少なくとも80重量%モネタイト、3重量%~15重量%ピロリン酸二カルシウム、および1重量%~10重量β-TCPを含む。より特定の実施形態では、ピロリン酸二カルシウムは、β-ピロリン酸二カルシウムである。さらに別の実施形態では、硬化したモネタイトセメントは、リン酸一カルシウム、β-TCP、および3重量
%~30重量%または3重量%~20重量%(前駆体粉末の総重量に基づく)のピロリン酸二カルシウムを含むモネタイト形成前駆体粉末から形成される。特定の実施形態では、前駆体粉末中のリン酸一カルシウムのβ-TCPに対する重量比は、40:60~60:40の範囲、より具体的には45:55~52:48の範囲である。さらなる特定の実施形態において、リン酸一カルシウムは、リン酸一カルシウム一水和物である。
【0030】
さらに別の実施形態では、プレートは、1重量%~30重量%のピロリン酸二カルシウムを含む硬化アパタイトセメントで形成される。より特定の実施形態では、硬化アパタイトセメントは、80重量%を超えるアパタイトを含む。硬化アパタイトセメントは、β-リン酸三カルシウム(β-TCP)をさらに含んでもよい。特定の実施形態では、硬化アパタイトセメントは、80重量%を超えるアパタイト、1重量%~15重量%β-リン酸三カルシウム、および1重量%~15重量%β-ピロリン酸二カルシウムを含む。より特定の実施形態では、ピロリン酸二カルシウムは、β-ピロリン酸二カルシウムである。さらに別の実施形態では、硬化アパタイトセメントは、α-リン酸三カルシウムおよび/またはリン酸四カルシウムを含むアパタイト形成カルシウム系前駆体粉末を含むリン酸カルシウムセメント形成組成物、および前駆体粉末の総重量に基づいて1重量%~30重量%のピロリン酸二カルシウム粉末から形成される。
【0031】
最初に図1図5に図示される鼻傍インプラントを見ると、鼻傍インプラント(110)は、例えば患者の上顎骨に固定されるように適合された生体適合性プレート(112)を含む。図1および図2に見られるように、鼻傍インプラント(110)は保持アイレット(140A)の形状にある一対の締結点を通って打ち込まれる骨ネジ(144)のような留め具を使用して周囲の骨に固定される。他の位置で使用される場合、インプラント(110)は、下顎骨、前頭骨、鼻骨および/または頬骨のような他の脳顔面頭蓋骨に固定することができる。
【0032】
各保持アイレット(140A)は、後述するように、開口部(115)を介してプレート(112)の外側壁(114)から延出する保持アーム(138A)の外端に設けられる。図3に最もよく示されているように、保持アイレット(140A)は、そこを通って挿入されたネジの頭部が保持アイレット(140A)の上面より上に延びないように、座繰りされている。代替の実施形態では、アイレットは座繰りされていない。
【0033】
インプラント(110)は、内部ワイヤメッシュ支持フレーム(120A)を含み、プレート(112)は、支持フレームの周りに成型される。モネタイト形成水硬性セメント組成物のような前述した材料および組成物のいずれも、支持フレーム(120A)の周りにプレート(112)を成型するために使用することができる。必要に応じて、インプラント(110)は、特定の患者のニーズ、特に生体適合性プレート(112)のサイズおよび形状および保持アイレット(140A)の位置に基づいてカスタマイズすることができる。しかし、標準化インプラント(110)(様々なサイズおよび/または形状の複数の標準化インプラントから選択された標準化インプラントを含む)が使用されたとしても、保持アイレット(140A)の位置は、本明細書でさらに説明するように、移植するときに調整することができる。したがって、図1図10に示されるプレート(112)および変更された支持フレーム(120A)を含む特定のインプラント(110)は単なる例示であることが理解されるであろう。
【0034】
例示的な鼻傍インプラント(110)に使用される内部のワイヤメッシュ支持フレームは、最初から患者ごとにカスタマイズで製造することができるため(例えば、選択的レーザ溶融で)、患者カスタマイズされた生体適合性プレート(112)内に適合しかつ適切に支持するだけでなく、インプラントを適所に固定するための適切な位置に保持アイレットを配置することもできる。あるいは、図6図10に示すように、内部支持フレーム(
120A)は、標準化支持フレーム(120)(図11図16に示す)から製造される。保持アイレットの所望の位置と共に、プレート(112)の所望のサイズおよび形状が決定されると、図11図16に示される標準化支持フレーム(120)は、曲げ、切断および/またはサポートフレームの一部除去によって物理的に修正されることで、支持フレームがプレート(112)内に適合しかつ適切に支持するだけでなく、インプラントを適所に固定するための適切な位置に保持アイレット(140A)を配置することもできるようにする。次に、修正された支持フレーム(120A)は、プレート(112)用にカスタマイズされた型内に位置決めされ、保持アーム(138A)および保持アイレット(140A)がセメント(または他の生体適合性プレート材料)によって覆われないように、プレートが支持フレームの周りに成型される。これにより、インプラント(110)の適切な位置決めおよび適切な固定を確実にするために、患者に移植するときに保持アーム(138A)が外科医によって変形(例えば、ねじれおよび/または屈曲を含む湾曲)されることが可能になる。したがって、各鼻傍インプラント(110)は、中に修正された支持フレーム(120A)が位置決めされた患者カスタマイズ型を用いて成型されるが、各特定のインプラントに必要な金属メッシュ構造を製造するために標準化支持フレーム(120)を使用することができる。例示的な鼻傍インプラント(110)およびその修正された支持フレーム(120A)について最初に説明し、続いて、修正された支持フレームが製造される標準化支持フレーム(120)について説明する。
【0035】
図3図5に見られるように、保持アーム(138A)は、プレート(112)内に配置された縁部(124A)に固定され、縁部(124A)から延びている。縁部(124A)は、修正されたメッシュ支持フレーム(120A)の一部であり、以下でより詳細に説明する。インプラント(110)は、プレートを支持フレームの周りに成型する前に支持フレーム(120A)の一部を変形させることを含む、特定の患者のニーズを満たすようにカスタム製作されるが、適切な嵌合を確実にするために、保持アーム(138A)も移植時に変形(例えば、ねじれおよび/または屈曲を含む湾曲)させることができる。例えば、保持アーム(138A)は、保持アイレット(140A)の底面(141A)が骨ネジがこれから挿入される骨の表面に対して面一(またはほぼ面一)になるように、保持アームをねじるかあるいは曲げることによって変形させることができる。
【0036】
移植時に保持アーム(138A)が変形されたときにプレート(112)のひび割れのリスクを低減するために、保持アーム(138A)も保持アーム(138A)に隣接する外側縁部(124A)の一部もプレート材料(例えば、セメント)に覆われないように、プレート(112)をメッシュ支持フレームの周りに成型させる。したがって、保持アーム(138A)は、保持アーム(138A)の直径よりも大きい直径の開口部(115)を通ってプレート(112)から延出するだけでなく、保持アームはまた各開口部(115)に隣接してプレート材料に設けられた開放内部キャビティ(116)よりプレートから延出する。換言すれば、各内部キャビティ(116)は、開口部(115)からプレート材料の内側に延び、開口部(115)とキャビティ(116)の両方は、保持アーム(138A)がプレート材料と接触しない(または最小限しか接触しない)ように、そこから延びる保持アーム(138A)よりも直径が大きい。このような内部キャビティ(116)および大きめの開口部(115)を設けることによって、保持アーム(138A)は、プレート材料を亀裂させるリスクなしにかなり曲げることができる。例えば、保持アーム(138A)は、横方向(図3の矢印S)だけでなく、上下(図5の矢印T)に曲げる、あるいはねじることさえもできる。
【0037】
個々の患者のために各鼻傍インプラント(110)をカスタム製作することができるが、図4および図5に最もよく示されているように、保持アーム(138A)が延在する開口部(115)は一般にプレート(112)の底面(117)(骨に面する面)に隣接して配置される(少なくとも図1図10に示す特定の実施形態において)。したがって、
図示の特定の実施形態では、各開口部(115)は、プレート(112)の外周の下三分の一以内にある(図4および図5のように側面から見た場合)。開口部(115)は円形の形状であり、関連するキャビティの形状は円筒形であるが、任意の様々な形状を採用することができる。したがって、開口部は円形、半円形、長円形、半長円形、卵形、半卵形、楕円形、半楕円形、多角形または不規則な形状であってもよく、キャビティは同様にこれらと同じ断面形状を有する。必要に応じて、キャビティ(116)も内向きに先細化することができる。図示の例では、図10Aに最もよく示されているように、キャビティ(116)は、その底部(例えば、プレートの骨に面する面(117))において開口しており、開口部(115)は半円形である。この構成は、保持アーム(138A)のより大きな下方変形を可能にする。図10Aの実施形態に示される外側縁部(124A)は、インプラント(710)に関して本明細書でさらに説明されるように、滑らかではなくテクスチャ加工され、それによって支持フレームへのセメント接着性を改善し、破損面に沿ったセメントの破損を防止することができる。このようなテクスチャ加工は、プレート内に位置する支持フレーム(120A)の他の表面に設けることができることが理解されるであろう。
【0038】
図10Aに見られるように、外側縁部(124A)はキャビティ(116)の内部を横切って延びる。この場合、キャビティは十分に深いため、外側縁部(124A)の全周囲がキャビティ(116)内に位置する。あるいは、キャビティは、キャビティ内に位置する外側縁部(124A)の全周囲未満となるのように構成することができる。開口部(115)およびキャビティ(116)のサイズ、ならびに外側縁部(124A)(または保持アームが取り付けられる支持フレームの他の部分)との間の距離は、保持アームがプレートに接触する保持アーム変形の所望の量を可能にするために選択される。例えば、いくつかの実施形態では、キャビティおよび開口部は、70°までの保持アームの曲げ角度(図10A参照)または約45°までの保持アームの曲げ角度を可能にするように構成される。一般に、保持アームは、支持縁部との連結部により隣接して曲がる傾向があり、曲げに続いてわずかに湾曲した保持アームをもたらす。したがって、本明細書で使用され、図10Aに示されるように、曲げ角度は(i)保持アームと支持縁部との連結点の中心と、(ii)保持アイレットの中心との間に延びる仮想線に基づいて規定される。図示された例示的な実施形態における保持アーム(138A)の垂直方向の変形に関して、キャビティ(116)の底部が開いているので、保持アームの下方への許容曲げ角度は、キャビティまたは開口部(115)のサイズによって制限されない。また、許容される曲げ角度は、特に例えば開口部(115)が半長円形または他の非半円形であるように、全ての方向において同じでなくてもよいことも理解されるであろう。
【0039】
示された例では、所望の許容された曲げ角度を提供するために、保持アームとキャビティ(116)および開口部(115)の壁との間の距離(L2)は、約0.5mm~約2.5mm、または約1mm~約2mmである。縁部(124A)とプレートの外周との間の距離(LI)は、約2mm未満、または約1mmである。類似のサイズおよび間隔、ならびに許容される曲げ角度は、外部保持アイレットを使用する本明細書に記載された他のインプラントのいずれかとともに採用することができる。もちろん、所望の許容される曲げ角度を提供するために必要な寸法および間隔は、部分的に保持アームの直径に依存する。いくつかの実施形態では、開口部の直径が保持アームの外径の少なくとも1.5倍、少なくとも2倍、またはいくつかの場合には少なくとも3倍である場合に、十分な許容される曲げ角度が得られる。
【0040】
さらに、プレート(112)および支持フレーム(120A)は、上面から見たとき、一般に腎臓形であるが、これはまた1つの可能な形状の例示に過ぎない。さらに、支持フレーム(120A)が製造される標準化支持フレーム(120)の腎臓形状は、有利には、様々なプレート形状、サイズおよび構成内に適合するように支持フレームを変更するた
めの様々な選択肢を提供する。
【0041】
ワイヤメッシュ支持フレーム(120A)は、図6および図7に示されており、凹状に湾曲した内側ワイヤ縁部(122)および凸状に湾曲した第一外側ワイヤ縁部(124A)によって画定される連続的な閉ループを横切る第一縁部を含む。内側縁部(122)および第一外側縁部(124A)は、一般に、同じ平面(支持フレームの「ベース平面」)にあり、それらのそれぞれの端部において、外側湾曲コーナー(125)を有する腎臓形状を形成する(図6のように上から見た場合)ように接する。一対の内部アイレット(126)は、内側縁部(122)と第一外側縁部(124A)との間に位置し、それらと同一平面上にある。内部アイレット(126)は、プレート(112)内の支持フレーム(120A)に追加の強度および剛性を提供する。さらに、以下でさらに説明するように、代替のインプラントの実施形態では、インプラントを定位置に固定するために内部アイレット(126)を使用することができる(例えば、プレートの外周の内側に位置する内部保持アイレットとして使用することができる)。各内部アイレット(126)は、外側ワイヤストラット(127)によって第一外側縁部(124A)に連結され、内側ワイヤストラット(129)によって内側縁部(122)に連結される。内部アイレット(126)は、アイレット(126)の間に延在する連結ワイヤストラット(128)によって互いに連結される。内側、外側および連結ワイヤストラット(127、128、129)も、内側縁部(122)および第一外側縁部(124A)と同一平面上にある。
【0042】
支持フレーム(120A)は、図示のように、第二および第三外側ワイヤ縁部(124B、124C)をさらに含む。第二および第三外側縁部(124B、124C)は、第一外側縁部(124A)と同様に湾曲しているが、徐々に小さくなる曲率半径を有する。第二および第三外側縁部(124B、124C)もまた、第三外側縁部(124C)が第二外側縁部(124B)の内側で内側縁部(122)に接合されると共に、外側コーナー(125)の間の内側縁部(122)に接合される(図6に最もよく示されている)。外側ワイヤ縁部(124A、124B、124C)の各々は、約160度~約240度の角度に沿う円弧を含む。第一外側縁部(124A)は、通常内側縁部(122)と同一平面上にあるが、第二および第三外側縁部(124B、124C)は、内側縁部(122)からある角度で延在する。図15に示すように、第二外側縁部(124B)は、約10度~約20度の角度(α)で内側縁部(122)から延在し、第三外側縁部(124C)は、約20度~約30度の角度(β)で内側縁部(122)から延在する。したがって、外側縁部(124A、124B、124C)は、第二外側縁部および第三外側縁部(124B、124C)が第一外側縁部(124A)から離れるように角度が大きくなるにつれて上方に向かって延びるように、層状に配置されている。
【0043】
第二外側ワイヤ縁部(124B)は、図に示すように、第三外側縁部(124C)と内側縁部(122)が接する位置にすぐ隣接する、第二外側縁部(124B)から内側縁部に向かって内側に延びる一対の支持ストラット(131)によって、内側縁部(122)にさらに連結され、サポートされる。同様に、第三外側縁部(124C)は、第三外側縁部(124C)から内側縁部(122)に向かって内側に延びる一対の支持ストラット(132)によって内側ワイヤ縁部(122)に連結され、サポートされる。さらに、隣接する外側縁部(124A、124B、124C)の間にワイヤ支持ブレースが設けられている。したがって、第一および第二外側縁部(124A、124B)の間に第一支持ブレース(134)が延び、第二および第三外側縁部(124B、124C)の間に第二支持ブレース(135)が延びている。第一支持ブレース(134)は、第一外側縁部のほぼ中間点で第一外側縁部(124A)と交差し、そして上方から見たとき(図6)、90度未満(例えば、45度から約60度まで)の夾角(γ)で第二外側縁部(124B)に延びる。同様に、第二支持ブレース(135)は、第二外側縁部のほぼ中間点で第二外側縁部(124B)と交差し、そして上方から見たとき(図6)、90度未満(例えば、45
度から約60度まで)の夾角で第三外側縁部(124C)に延びる。
【0044】
特に選択的レーザ溶融(SLM)または焼結(SLS)のような付加的な製造方法を使用する場合、支持ストラット(131、132)および支持ブレース(134、135)を使用して、標準化支持フレームの製造を容易にする。さらに、SLMまたはSLSを使用して製造された複雑な設計は、しばしば複雑な支持構造を必要とするが、SLMまたはSLS製造中に支持フレーム(120)を自己支持(または部分的自己支持)するように設計することができる。この支持フレームメッシュの該自己支持的な態様は、メッシュのワイヤセグメントが構築プレートに対して45度を超えて曲げるように支持フレームを設計することによって提供される。支持フレームの自己支持性は、SLM構築プレート上に「印刷」されたメッシュの支持構造がSLMの間に必要でないこと、または支持フレームの一部のみに必要とされることを意味する。
【0045】
支持ストラット(131、132)および支持ブレース(134、135)は、主として標準化支持フレームの製造を容易にするために使用されるので、縁部(122、124A、124B、124C)を必要に応じで調整(または完全に除去)するために、特定の患者のための支持フレームをカスタマイズする際に度々除去することができる。しかしながら、他の場合(例えば、支持フレーム(120A))には、支持ストラット(131、132)および支持ブレース(134、135)のうちの1つまたは複数がその位置に残ることができる。
【0046】
図6および図7に示すワイヤメッシュ支持フレーム(120A)は、本明細書でさらに説明する標準化支持フレーム(120)から形成される。標準化支持フレーム(120)において、保持アイレットは、一対の保持アーム(138A)によって第一外側縁部(124A)に連結される。しかしながら、カスタマイズされたインプラント(110)用の修正された支持フレーム(120A)を生成する際に、各々のアイレット(140A)のための保持アーム(138A)の1つが(例えば、ワイヤカッターを使用して切断することによって)すでに除去されている。同様に、標準化支持フレーム(120)上の第二および第三外側縁部(124B、124C)のそれぞれは、一対の保持アイレットを含み、その各々は一対の保持アームによって縁部に連結される。カスタマイズされたインプラント(110)用の修正された支持フレーム(120A)を生成する際に、第二および第三外側縁部(124B、124C)に関連するこれらのアイレットおよび保持アームはすでに除去されている。
【0047】
前述したように、保持アーム(138A)は、保持アーム(138A)の直径よりも大きい直径の開口部(115)を介してプレート(112)から延出し、開放内部キャビティ(116)が各開口部(115)に隣接するプレート材料に設けられる。開口部(115)および関連するキャビティ(116)は、保持アーム(138A)および保持アーム(138A)に隣接する外側縁部(124A)の一部がプレート材料によって覆われないようにサイズが決められそして構成されている。したがって、開口部(115)および関連するキャビティ(116)の直径は、そこを通って延びる保持アーム(138A)の外径よりも大きい。さらに、キャビティ(116)およびそのキャビティ内に位置する保持アーム(138A)および外側縁部(124A)の部分が隠線で示されている図10に最もよく見られるように、各キャビティ(116)の深さが保持アームのキャビティ内に位置された部分の長さよりも長い。このように、保持アーム(138A)の部分はプレート(112)のセメントと接触せず、保持アームの内側端に隣接する外側縁部(124A)の少なくとも一部もまたキャビティ(116)内に位置する(例えば、セメントで覆われていない)。前述したように、これにより、保持アーム(138A)はプレート材料に亀裂を生じるリスクなしにかなり曲げることが可能になる。
【0048】
図8図10は、セメントプレートの成型中に開口部(115)およびキャビティ(116)を形成する1つの方法を示す。ガードは、保持アーム(138A)の各々と、保持アーム(138A)が結合されている外側縁部(124A)の一部を覆うように配置される。ガードは、保持アイレット(140A)がプレートのために成型したキャビティの外側に位置する場合には必要ではないが、任意に、保持アイレット(140A)を覆うこともできる。ガードは、成型プロセス中にセメントと外側縁部の一部と保持アームとの間のバリアとして働き、したがって、セメントが外側縁部の保護部分および保持アームを覆って硬化することを防止する。
【0049】
図8および図9に示す実施形態では、各ガードは、スリーブの反対側に位置し、スリーブ(142)の長さの一部分に沿ってスリーブ(142)の一方の端部から延びている一対のスリット(143)を有するシリコンスリーブを含む。図9に示すように、支持フレーム(120A)が所望の形状に形成された後(例えば、不要なアイレット、保持アームなどを切断することによって)、スリーブ(142)がそれぞれ残りの保持アーム(138A)および関連するアイレット(140A)の上を摺動する。スリット(143)は、スリーブ(142)が図示されるように、保持アーム(138A)に隣接する外側縁部(124A)の一部の上を摺動することを可能にする。スリーブ(142)が所定の位置に配置されると、支持フレーム(120A)がプレート(112)用の型内に配置される。成型プロセスが完了した後、スリーブ(142)が取り外され、各スリーブは、図10および図10Aに示すように、保持アーム(138A)が貫通するセメントのないキャビティ(116)と開口部(115)を残している。移植時に、外科医は、セメントプレート(112)に亀裂を生じさせることなく、適切な嵌合および配置のために必要に応じて、保持アーム(138A)を変形させる。移植時に必要とされると予想される保持アームの変形量に応じて、開口部およびキャビティのサイズを変更できることは理解されるであろう。
【0050】
次に、標準化された未修正のワイヤメッシュ支持フレーム(120)については、図11図16で、その様々な態様および特徴を示している。まずは、上記の修正された支持フレーム(120A)と支持フレーム(120)との唯一の違いは、修正されたバージョンにおいて、保持アーム(138B、138C)、第二および第三外側ワイヤ縁部(124B、124C)に関連するアイレット(140B、140C)、および各対の保持アーム(138A)のうちの1つが除去されている。これらの特徴は、図11図16に示されている標準化された未修正のワイヤメッシュ支持フレーム(120)に存在する。
【0051】
したがって、外側ワイヤ縁部(124A、124B、124C)の各々は、図示のように、一対の保持アーム(138A、138B、138C)によってそれぞれ支持される一対の保持アイレット(140A、140B、140C)を含む。保持アイレット(140A、140B、140C)は、一般に、それぞれの外側縁部(124A、124B、124C)の反対側に沿って配置される。第二および第三外側縁部(124B、124C)は、第一外側縁部(124A)に対して角度つけた層状になっているので、図15および図16に最もよく示されているように、第二および第三保持アイレット対(140B、140C)は、第一保持アイレット対(140A)に対して順により高い高度に位置する。同様に、図13および図14に最もよく示されているように、第二および第三保持アイレット対(140B、140C)は、内側縁部(122)から順により短い距離に配置されている。
【0052】
図14の底面図に最もよく見られるように、内部保持アイレット(126)は、第二および第三ワイヤ外側縁部(124B、124C)のほぼ間に配置されている。この配置は、第二および第三ワイヤ外側縁部(124B、124C)を取り外すことなく(一方または両方の縁部を曲げる必要があるかもしれないが)内部固定できるため、内部アイレット
(126)をいくつかのインプラントに使用することを可能にする。さらに、これにより、強度および剛性を高めるために成型されたプレート内に内部アイレットが配置されることで、第三外側縁部(134C)に関連する保持アイレット(140C)を利用するより小さいインプラントの製造が可能となる。
【0053】
様々なワイヤ構造およびアイレットは、様々なサイズおよび構成を有することができるが、図示の実施形態では、ワイヤ縁部(122、124A、124B、124C)、ワイヤ支持ストラット(127、128、129、131、132)およびワイヤ支持ブレース(134、135)は、円形断面および約0.5mm~約1.2mmの直径を有する。しかし、様々なワイヤ構造は、他の断面形状(例えば、剛性および/または強度を高めるために)を有することができ、様々な厚さを有することができることが理解されるであろう。 図11図16に見られるように、アイレット(140A、140B、140C、126)は、ワイヤ部材の厚さと同様の厚さを有する(例えば、約0.4mm~約0.7mm)。
【0054】
それらの厚さおよび材料(例えば、チタン)が提供されると、様々なワイヤ構造は変形可能であるだけでなく、例えば従来のワイヤカッターを使用して容易に切断される。これにより、標準化支持フレーム(120)は、様々なインプラントの形状およびサイズに適合するように、ならびにあらゆる締結位置に適応するように(例えば、骨ネジを受け入れるのに十分な下にある骨が存在する締結点を位置決めするように)、容易に修正および操作されることが可能になる。
【0055】
例えば、より小さいインプラント(周囲の長さおよび/または厚さに関して)が望まれる場合、図17Aに示すように、第三外側縁部(124C)に関連するアイレット(140C)および保持アーム(138C)、そして保持アイレット(140B)を支持する各対の保持アーム(138B)のうちの1つと共に、第一外側縁部(124A)は完全に除去されることが可能である。このようにして、修正された支持フレーム(120B)が製造され、図17Bに示す鼻傍インプラント(210)の成型されたプレート(212)を内部的に支持するために使用される。図17Aにも見られるように、内部アイレット(126)は支持フレーム(120B)上に残るが、外側ワイヤ支持ストラット(127)は取り外されている。インプラント(210)のセメントプレート(212)の所望の厚さに応じて、単に修正された支持フレーム(120B)を圧縮することによって、第二および第三外側縁部(124B、124C)間の角度(例えば、図15のβ-α)を減少させることができる。必要であれば、第二および第三外側縁部(124B、124C)の両方の支持および強度を依然として提供しながら、より薄いプレート(212)に適応するために支持フレーム(120B)のさらなる圧縮を可能にするために、第二支持ブレース(135)を取り外すことができる。
【0056】
修正された支持フレーム(120B)が形成されると、前述のシリコンスリーブ(142)が残りの2つの保持アーム(138B)および第二外側縁部(124B)の隣接部分を覆うように配置される。次いで、該支持フレーム(120B)がプレート(212)用にカスタマイズされた型に挿入され、セメント前駆体混合物が、支持フレームがその中に位置決めれた型に注入される。シリコンスリーブの硬化および除去に続き、拡張した開口部(215)を通ってセメントプレート(212)から延出する保持アーム(138B)を有するインプラント(210)が提供される。インプラント(210)は、前述のように、保持アイレット(140B)の適切な位置決めを保証するために、移植時に保持アーム(138B)が変形した状態で患者に移植される。
【0057】
図18Aおよび図18Bは、カスタマイズされたセメントプレート(312)を有するインプラント(310)を製造するために使用されるさらに別の修正された支持フレーム
(120C)を示す。この場合、インプラント(310)は、インプラントを患者に固定するための一対の保持アイレットを再び有するが、これらのうちの1つは、最も外側の縁部(124A)の外周の外側に再配置された内部アイレット(126)である。もう1つの内部アイレット(126)は、修正された支持フレーム(120C)の外周の内側にとどまり、そのため成型後にプレート(312)内にとどまり、それによりインプラントにさらなる強度と支持を提供する。
【0058】
内部アイレット(126)の1つを支持フレーム(120C)の外周の外側、したがってセメントプレート(312)の外側に移動させるために、その内部アイレット(126)を縁部(124A、122)に取り付ける内側および外側ストラット(127、129)が除去される。その後、連結ストラット(128)は、部分的に分離された内部アイレット(126)を第一外側縁部(124A)の外側に移動させるために、図示のように曲げられる。このようにして、保持アイレット、すなわち再配置された内部アイレット(126)は、他の保持アイレットの1つが、その保持アームをセメントプレート(312)の外周の外側に配置することなく再配置することができない位置に位置決めすることができる。その支持ワイヤ部材(例えば、保持アーム(138A、138B、138C)およびストラット(127、128、129))のうちの1つまたは複数を除去して、そして残りの支持ワイヤ部材を曲げてアイレットを所望の位置に位置決めすることによって、保持アイレット(140A、140B、140C、126)のいずれかを再び位置決めすることができることは理解されるであろう。さらに、2つ以上の締結点を提供するために、2つ以上の保持アイレットは、このように位置決めされてもよい。
【0059】
様々なアイレット(140A、140B、140C、126)のための様々な支持ワイヤ部材(138A、138B、138C、127、128、129)を曲げるかまたは除去することに加えて、内側縁部(122)および外側縁部(124A、124B、124C)の部分もまた、支持フレーム(120)を所望の形状に修正するために、除去および/または変形(例えば、ねじりまたは曲げ)することができる。一般に、支持フレームの外周は、セメントプレートの外形にほぼ対応するように操作される。プレートの成型後にインプラントを定位置に固定するために使用される保持アイレットおよびそれらのそれぞれの支持ワイヤ部材は成型プレートの外側に配置されるため、ほとんどの場合、修正された支持フレームの外周はセメントプレートより若干小さい。
【0060】
一例として、図19は、標準化支持フレーム(120)を使用して製造されたさらに別の修正された支持フレーム(120D)を示す。この実施形態では、第三外側縁部(124C)に関連する各保持アイレット(140C)の保持アーム(138C)のうちの1つと共に、保持アイレット(140A、140B)およびそれらに関連する保持アーム(138A、138B)もすでに除去されている。さらに、連結ストラット(128)の大部分は、第一および第二支持ブレース(134,135)と共に除去されている(例えば、切り取られている)ので、支持フレーム(120D)を図示のように曲げることができる。
【0061】
未使用の保持アイレット(140A、140B、140C)およびセメントプレートの外側に位置する支持フレーム(120)の他の部分は一般的には取り外されるが、場合によっては、患者のインプラントを固定するために使用されない保持アイレットはセメントプレートの内側に残る。例えば、図20Aおよび図20Bに示す実施形態では、カスタマイズされたセメントプレート(412)は、第二および第三外側ワイヤ縁部(124B、124C)に関連する保持アイレット(140B、140C)がインプラント(410)のプレート(412)内に配置されるのに十分な厚さおよび幅を有する。図示されているように、それぞれの外部保持アイレット(140A)の保持アーム(138A)の1つが除去され、その後に、成型後に取り付けされたアイレット(140A)をセメントプレー
トの外側に配置するように、残りの保持アーム(138A)が曲げられる。前の実施形態の場合と同様に、保持アーム(138A)および保持アーム(138A)に隣接する第一外側縁部(124A)の一部がプレート材料(例えば、セメント)に覆われないように、支持フレーム(120E)の周りにプレート(412)が成型される。従って、保持アーム(138A)の各々は、保持アーム(138A)の直径よりも大きい直径を有する開口部(415)を介してプレート(412)から延出するだけでなく、各開口部(415)に隣接するプレート材料内にも内部キャビティ(416)が設けられる。このような内部キャビティ(416)および大きめの開口部(415)を設けることによって、保持アーム(138A)は、プレート材料を亀裂させるリスクなしにかなり曲げることができる。
【0062】
前述したように、プレートの外周の内側に配置されたアイレットは、プレートの外周の外側に配置されたアイレット(例えば、図2図20Bの実施形態のように)の代わりに(またはそれに加えて)インプラントを定位置に固定するために使用することができる。「プレートの外周の内側に配置された」アイレットは、単にアイレットがプレートに対して離間した関係に配置されていないことを意味する。代わりに、このようなアイレットは、プレート材料に包まれていないが、プレート材料に形成されたキャビティ内に配置される。このような実施形態の1つが図21A~23に示され、標準化支持フレーム(120)が、インプラント(510)を患者の所定位置に固定するための内部アイレット(126)の使用を可能にするように修正された。この場合、他の状況でプレート(512)の外側に位置する保持アイレット(140A、140B、140C)および支持フレーム(120F)の他の部分は除去されている。特に、外側ストラット(127)および連結ストラット(128)と同様に、第二および第三外側ワイヤ縁部(124B、124C)が完全に除去され、内側縁部(122)、第一外側縁部(124)、内部アイレット(126)、そして内部アイレット(126)を内側縁部(122)に連結する保持アームとして機能する内側ストラット(129)しか残っていない。さらに、その周りに成型される、プレート(512)にほぼ対応する外周形状を持つ支持フレーム(120F)を提供するだけでなく、所望の位置に内部アイレット(126)を配置することができるように、内側および外側縁部(122、124A)、ならびに内側ストラット(129)は、変形される(曲げられる)。しかしながら、例えばプレートの厚さおよび全体の大きさに応じて、患者の体内にインプラントを固定するために内部アイレット(126)を使用するため、支持フレームの他の部分を除去する必要はないことが理解されるであろう。
【0063】
修正された支持フレーム(120F)を提供するための標準化支持フレーム(120)の修正および操作に続いて、修正された支持フレーム(120F)は、プレート(512)用の型内に位置決めされる。しかしながら、固定目的で内部アイレット(126)を使用するためには、アイレットは、プレートの厚さを通すように外科医がアクセス可能でなければならない。加えて、患者の体内に配置する際に、内部アイレット(126)の底面がインプラントを所定の位置に固定するために留め具が挿入される骨または他の組織の表面に対して置かれることも望ましい。
【0064】
図21B~23に見られるように、円柱状穴(546)が、各内部アイレット(526)の真上に、プレートの上(例えば、外)および下(例えば、骨に面する)面(518、517)の間で、プレート(512)の厚さを貫通する。骨ネジのような留め具は、穴(546)を通り、そしてアイレット(526)を通って移植部位の骨または他の組織に挿入される。示された実施形態では、穴を通る骨ネジまたは他の留め具の挿入を容易にするだけでなく、インプラントの固定時にセメントプレートへの損傷を防止するために、各穴(546)の直径はアイレット(526)の内径よりわずかに大きい。眼窩上インプラント(710)の製造に関してより詳細に記載されるように、セメントがアイレット上に形成されて硬化するのを防止するために、円筒状部材(例えば、シリコンロッド)をアイレット(126)の真上の型内に配置するように、穴(546)が成型時に形成される。セ
メント硬化後、円柱状部材が除去され、アイレット(126)の真上のセメント内に穴(546)が残る。
【0065】
カスタマイズされたプレート(512)が製造され、成型前に適切な形状に操作された支持フレーム(120F)による精度にもかかわらず、アイレット(126)の位置は、特に移植時に調節される必要があることが多い。さらに、患者へのインプラントの固定は、典型的には、例えば、骨ネジ(または他の留め具)を受け入れるための骨内のパイロットホールの不正確な穿孔または骨ネジの軸外しのねじ切り(例えば、タッピングネジが使用されている場合、パイロットホールは必要がない)の結果として、アイレット(126)の多少の動きを引き起こす。アイレット(126)の1つを通る第一骨ネジの挿入はアイレットの動きをほとんどまたは全く引き起こさないが、第二アイレット(126)を通る骨ネジの挿入はしばしばアイレット(126)の動きを引き起こす。
【0066】
移植時にアイレット(126)の調節を可能にするだけでなく、固定時にプレート(512)の亀裂のリスクなしにアイレットの移動を可能にするために、プレートは、開口キャビティ(516)がインプラントの骨に面する底面(517)に設けられるように(図23を参照)、成型される。これらのキャビティ(516)は、アイレット(126)、ワイヤ支持ストラット(129)(アイレットの保持アームとして機能する)、および任意でストラット(129)に隣接する内側縁部の一部がセメント(または他のプレート材料)に覆われないように、寸法決めされ、成形され、そして配置される。示される特定の実施形態では、移植の際に外科医による操作の結果として、または移植中の固定プロセスの結果として、アイレット(126)は本質的にキャビティ(516)内を浮動し、アイレットがキャビティ(516)内で上下左右に動くことを可能にする。したがって、図示された実施形態では、キャビティ(516)は、アイレット(126)および支持ストラット(129)の厚さよりも深く、アイレット(126)とキャビティの側壁との間に空間を提供するような大きさにしてある。例えば、アイレット(126)とキャビティ(516)の側壁との間の間隔は、約0.5mm~約3mm、または約1mm~約2mmである。アイレット(126)とキャビティ(516)の底面との間の間隔は、約0.25mm~約3mm、または約0.5mm~約1.5mmである。同様の間隔は、インプラント(710)および下顎骨インプラントのキャビティ、ならびに内部保持アイレットを使用する本開示による任意の他のインプラントに使用することができる。
【0067】
キャビティ(516)は、アイレット(126)および支持ストラット(129)(および任意に内側縁部(122)の一部)の上に適切に成形されたガードを位置決めすることなど、様々な方法で形成することができる。ガードは、前述したスリーブ(142)と同様に構成することができる。あるいは、ガードは、眼窩上インプラントに関連して本明細書でさらに説明されるものと同様のカバーを備えることができる。
【0068】
いくつかの異なる修正された支持フレーム(120A~F)が示され説明されたが、標準化支持フレーム(120)から始め、無数の代替の修正された支持フレームを作ることができることは理解されるであろう。インプラントを適所に固定するために、任意の数のアイレット(140A、140B、140C、126)を使用することができる。これらのアイレットは、少なくとも2つのワイヤ部材(例えば、保持アーム(138A、138B、138C))によって未修正支持フレーム(120)に取り付けられているが、最終的に修正された支持フレームのいくつかの実施形態では、固定目的で使用されるアイレットは、製造時および移植時の両方でアイレットの位置決めの操作を容易にするために、単一のワイヤ部材によって支持フレームにのみ取り付けられる。標準化支持フレーム(120)が製造(例えば、選択的レーザ溶融を介して)されるとき、各アイレットを支持フレームに取り付けるための少なくとも2つのワイヤ部材の使用は、製造がより容易なより剛性の支持フレームを提供するだけでなく、支持フレーム(120)のその後の修正中に各
アイレットの配置オプションの範囲も拡大させる。もちろん、他の実施形態では、修正された支持フレーム上に残っているアイレットの1つまたは複数以上が、元の保持アームの両方によって支持フレームに取り付けられたままであり得る。
【0069】
特定のインプラントのために必要に応じて支持フレームの形状を変更するために、支持フレーム(120)の様々な構成要素を除去または変形することができる。例えば、第一および第二支持ブレース(134、135)の一方または両方を切断して、外側縁部(124A、124B、124C)を互いから離すまたは互いに近づけるように曲げて支持フレームの高さを増減させるなど、支持フレームのより大きな曲げを可能にすることができる。
【0070】
支持フレーム(120)は、カスタマイズされた鼻傍インプラントの製造に関連して記載されているが、この同じ支持フレームは、様々な他の骨インプラント、特に脳顔面頭蓋用の骨インプラントの製造に使用することができる。例えば、上記の鼻傍インプラントは、さらなる修正の有無にかかわらず頬骨、眼窩上または上顎骨の再構築などに使用することができる。
【0071】
図1および図24図29に示された眼窩上インプラント(710)を見ると、当該インプラント(710)は生体適合性プレート(712)および一対の締結点を有する内部ワイヤメッシュ支持フレーム(720A)(図29を参照)を含む点で、鼻傍インプラントに類似している。鼻傍インプラント(510)と同様に、眼窩上インプラント(710)の締結点は、プレートの外周の境界内に位置する二つのアイレット(726)を含む(図26を参照)。保持アイレット(726)は、プレート(712)の底(骨に面する)面(717)に設けられたキャビティ(716)内に、プレートの上(例えば、外)面と底(骨に面する)面(718、717)との間のプレート(712)の厚さを貫通する穴(746)の底部に配置される。各アイレットは、支持フレームの縁部(722)に取り付けられた単一ワイヤストラット(727)を含む保持アームによって、支持フレーム(720A)の内部部分に連結される。
【0072】
アイレット(726)、ワイヤストラット(727)およびワイヤストラット(727)に隣接する縁部(722)の一部の各々は、アイレット(726)およびストラット(727)がそれらのそれぞれのキャビティ(716)内を浮動するように、セメントがない。したがって、キャビティ(716)は、各アイレット(726)およびストラット(727)がそれらのそれぞれのキャビティ(716)の底面(719)から離間するように、アイレット(726)の厚さおよびストラット(727)の直径よりも深い。各アイレットの底面、すなわち骨に面する面(726A)は、移植前にプレートの底面(717)とほぼ面一である。代替の実施形態では、一方または両方のアイレットの上面は、そのキャビティ(716)の底面(719)に配置されるが、プレート材料に亀裂のリスクなしにアイレットの移動を可能にするために、その底面(719)を自由に滑ることができる。さらに、別の実施形態では、各アイレットの底面、すなわち骨に面する面(726A)は、移植前にプレートの底面(717)を超えて延びる(例えば、それと同一平面上ではない)か、またはプレートの底面(717)の平面より下に配置される(例えば、キャビティは、図面に示されているものよりも深い)。
【0073】
プレート(712)の厚さに起因して、穴(746)は、鼻傍インプラント(510)の穴(546)の長さよりも長い。この追加の長さのために、穴(746)は、特にドライバーまたはそれを通って挿入された他の器具(例えば、骨ネジをアイレット(726)を介して下にある骨に打ち込むのに使用されるドライバー)から、設置中に損傷を受けやすくなる。そのような損傷を防止し、インプラント(710)に付加的な強度および支持を与えるのを助けるために、各穴(746)の少なくとも一部を保護スリーブで裏打ちす
ることができる。図示された実施形態では、各穴(746)の上部は、円筒形スリーブ(749)を含む。円筒形スリーブ(749)はメッシュ支持フレームと一体に形成されている。プレート成型プロセスの間、少なくともスリーブ(749)の内部は、セメントがスリーブを充填しないように保護される。実際は、セメントからスリーブ(749)の内部を保護するために使用される同じガード部材(例えば、シリコンロッドまたは同様の部材)を、以下にさらに説明するように、穴(746)を形成するために使用することもできる。その結果、各円筒形のスリーブ(749)は、アイレット(726)の1つと軸方向に整列し、それらの間に延びる直線状の円筒形の穴(746)を有する。円筒形のスリーブ(749)は、プレート(712)の外面(718)と面一にすることができるが、図示の実施形態では、各スリーブ(749)は、プレートの外面(718)から内方に離間している。
【0074】
インプラント(710)は、特定の患者の特定のニーズを満たすために、寸法決めされ、成形されおよび構成される。したがって、図に示されるプレート(712)の形状および寸法は単なる例示である。一般に、外面(718)は、周囲の骨および他の組織と調和するだけでなく、審美的に満足である外観を提供するために滑らかで湾曲している。眼窩上インプラント(710)の目的は、眼窩上部区域にある正常な頭蓋形状の外観を模倣することである。底部または骨に面する面(717)は、下にある骨および他の組織(骨および他の組織が存在する)の形状と調和するように輪郭付けられ、骨が欠けている場合、プレート(712)によって保護される下層の組織(例えば、脳組織)をよける。さらに、アイレット(726)の位置、したがって穴(746)の位置は、インプラント(710)が適所に適切に固定されることが可能であるだけでなく、骨ネジまたは他の留め具を、アイレットを介して打ち込むために十分な、アイレットの真下の下にある骨を確保するように選択される。加えて、穴の角度は、固定のために利用可能な骨の量を最適化することと、外科手術自体を容易にすることとを含むインプラントを所定の位置に固定することに関する計画された外科的アプローチに基づいて決定される。
【0075】
移植中、インプラント(710)が患者に適切に配置されると、骨ネジ(744)または他の留め具が、それぞれの穴(746)を通って、下にあるアイレット(726)を通って、プレートに挿入され、さらに下にある骨に挿入される。各骨ネジ(744)が下にある骨に挿通されると、それを通って延びるアイレット(726)は、アイレット(726)の骨に面する面(726A)が骨と密着するまで骨に向かって引っ張られる。アイレットが取り付けられているワイヤストラット(727)は、通常、骨ネジが締められると、キャビティ(716)からある程度屈曲し(例えば変形)、おそらくキャビティ内で横方向に曲がる。しかし、プレート(712)のセメントは、アイレット(726)またはその支持ストラット(727)を覆わないという事実のために、一般に割れない。
【0076】
インプラント(710)を適所に固定するには、穴およびアイレットを通って下にある骨に打ち込まれる2つの骨ネジが通常は十分であるが、特に、より大きなインプラントの場合、および/または最適な位置への締結前にいくらかの不確実性がある場合に、2つ以上のアイレットおよび関連する穴がインプラント(710)に提供され得ることが理解されるであろう。例えば、骨ネジを受け入れるための3つ(またはそれ以上)の保持アイレット(726)がインプラント(710)に提供され得るが、インプラントを所定の位置に固定するために使用される保持アイレット(726)はそれより少ない(例えば、2つ)。内部アイレット(726)に加えて、インプラント(110)と同様の1つ以上の保持アームによってそれぞれ支持された1つ以上の外部に位置する保持アイレットも提供することができる。このような外部保持アイレット(例えば、プレート(712)の外周の外側に位置する)は、例えば、内部アイレットのうちの1つ以上が使用できない場合に、外科医のために追加の固定位置を提供する。これらの外部保持アイレットは、セメントプレートの亀裂を防止するための大きめの開口部およびキャビティを含む、上記のインプラ
ント(110)に設けられたものと同様に構成されている。さらに、インプラント(710)を適切に固定するために必要でないことが判明した場合、そのような外部保持アイレットおよびそれらに関連する保持アームのうちの1つ以上が、移植時に外科医に取り外されるができる。
【0077】
特定のインプラントのために必要に応じて修正され、操作される標準化支持フレーム(120)を使用する前述のインプラントとは異なり、眼窩上インプラント(710)は、カスタマイズされたプレート(712)だけでなく、特定の患者のニーズを満たすために作られたカスタム製作された支持フレーム(720A)も含む。しかしながら、一般に、図28および図29に最もよく見られるように、ワイヤメッシュ支持フレーム(720A)は、連続した閉ループを横断する連続した内部ベース縁部(722)を含み、そのプレート(712)の骨に面する面(717)の外周に近似する形状を有する。支持フレーム(720A)は、最終インプラント(710)において、ベース縁部(722)がプレート(712)の外周のすぐ内側に位置するように構成されている。いくつかの実施形態では、支持フレーム(720A)のベース縁部(722)の最外縁は、プレート(712)の外周から5mm以下、または3mm以下、または2mm以下の間隔があく。
【0078】
ベース縁部(722)の表面も、ベース縁部(722)へのセメント付着性を改善するだけでなく、縁部(722)に沿って延びる破損面に沿ったセメントの破損を防止するために、滑らかではなくテクスチャ加工される。実際、本明細書に記載された様々な支持フレームの任意の部分は、同じ理由で滑らかではなく、テクスチャ加工することができる。ワイヤー縁部(722)の表面は、不均一な表面を提供するために様々なパターンのいずれかを使用してテクスチャー加工することができる。図示された実施形態では、螺旋リッジ(723)がベース縁部(722)の長さ方向に沿って延びている。この特定の実施形態では、ベース縁部(722)は約0.7mm~約1.4mmの幅(W)(図29を参照)を有し、螺旋リッジは約0.1mmの高さを有する。この実施形態のベース縁部(722)はまた、インプラントと周囲の骨との間のより滑らかな移行のためにそのプレートの周囲を薄くすることを可能にするために、三角形の断面を有する。したがって、ベース縁部(722)はその内側で最も厚い。
【0079】
前述したように、アイレット(726)はプレートの外周の境界内に位置し、したがってベース縁部(722)の内部に位置する。各アイレットは、縁部(722)から内側に延びる単一ワイヤストラット(727)によって支持される。単一のストラット(727)で各アイレット(726)を支持することにより、アイレット(726)は、成型時だけでなく、患者へのインプラントの移植時に(意図的にまたはインプラントを所定位置に固定した結果)位置を変えることができる。支持フレーム(720A)は正確な方法で製造されるが、プレート(712)の型内に適切に位置決めされるように、アイレット(726)の位置を微調整する必要がある場合もある。したがって、支持フレーム(720A)は、特定の患者のニーズを満たすようにカスタム製作されるが、それにもかかわらず、支持フレーム(720A)の周りにプレート(712)を成型する前に、支持フレームを修正および調整することができる。
【0080】
最終インプラント(710)内の穴(746)を裏打ちする円筒形スリーブ(749)は、支持フレーム(720A)と一体的に形成される。図29に最もよく示されているように、各円筒形スリーブ(749)は、アイレット(726)の上に持ち上げられて、ベース縁部(722)から円筒形スリーブ(749)に上方および内方に延びる3つの支持アーム(750)によって支持され、その周囲に沿って配列された様々な点でスリーブ(749)を支持する。支持ガーダ(752)も円筒形スリーブ(749)の間に延び、各スリーブ(749)から離れて上方に湾曲している。一連の側部ストラット(754)は、基部縁部(722)から支持ガーダ(752)まで上方および内方に延び、ガーダ(7
52)および円筒形スリーブ(749)の上昇位置をさらに維持する。図示の実施形態では、支持アーム(750)、支持ガーダ(752)および側部ストラット(754)は、ベース縁部(722)と同様にテクスチャ加工されており、したがって、それぞれは、これらのワイヤ部材の長さ方向に沿って延びている螺旋リッジを含む。
【0081】
支持アーム(750)、支持ガーダ(752)および側部ストラット(754)は、一緒に適切な位置で円筒形スリーブ(749)を支持するだけでなく、これらの追加のワイヤ部材およびスリーブは、プレート(712)の内部領域を支持するための内部足場を提供する。プレート(712)の外面(718)は通常凸形状であり、内部足場も同様の形状を有し、支持ガーダはその長さに沿って1つ以上の方向に湾曲している。この内部足場構造は、特にプレート(712)の中央領域において、プレート(712)により一層の剛性と支持を提供する。例えば、支持アーム(750)、支持ガーダ(752)および側部ストラット(754)は、プレート(712)の外面(718)のすぐ下に、例えば、外面(718)下の5mm以下、または3mm以下、または2mm以下に配置されるように構成される。
【0082】
支持フレーム(720A)は、図29に示すように、プレート(712)の成型前にそれ以上修正することなく製造することができるが、場合によっては、アイレット(726)に対して追加のサポートが提供されるように支持フレームを最初に製造することが有利である。追加のサポートは、製造プロセスを容易にするだけでなく、成型時に追加のオプションを提供することもできる。
【0083】
例えば、図30図32に示す支持フレーム(720)は、最初に、最終インプラントのプレート(712)の所望の形状に近似するようにカスタム作製され、次いで、修正され、操作されて、上記の修正された支持フレーム(720A)を提供する。特に、未修正支持フレーム(720)は、アイレット(726)をベース縁部(722)に連結する3本の追加のワイヤストラット(729A、729B、729C)を含む。追加のワイヤストラット(729A-C)は、ベース縁部(722)からアイレット(726)まで内向きに延び、各アイレット(726)を、その周囲に配列された様々なポイントで支持する。これらの追加のワイヤストラット(729A-C)は、支持フレーム(720)の製造中にアイレットに追加支持を提供するだけでなく、成型前にアイレット(726)の位置を調整するための追加オプションも可能にする。
【0084】
その周りに成型されるプレート(712)に一致する支持フレーム(720)を正確に製造する能力、およびプレート(712)のための型を正確に製造する能力にもかかわらず、ベース縁部(722)またはベース縁部の外周の内側に配置された内部足場構造を変形させる必要なしに、型内に適切に配置されることを確保するように、アイレット(726)の位置を調整することが必要な場合がある。例えば、図30に示す図において、アイレット(726)の1つをベース縁部(722)の下縁に近づける必要がある場合、そのアイレットのワイヤストラット(727)は、このような調整を可能にするために切断される必要があり、そうでなければ、ベース縁部(722)の上縁は、この調節に適応するように内側に変形されなければならない。この場合、アイレットを支持する単一のストラットとしてワイヤストラット(727)を使用する代わりに、追加のワイヤストラット(729A~C)の1つが代わりに使用される(例えば、ワイヤストラット(729A))。他のワイヤストラット(例えば、727、729B、729C)は、支持フレーム(720)をプレート型内に配置する前に除去される。したがって、各アイレット(726)は複数のストラット(727、729A、729B、729C)によってベース縁部から支持されているが、プレートを支持フレームの周りに成型する前に1つを除いて全て除去される。最終インプラントにおいて各アイレット(726)に対して単一のストラットのみを使用することによって、アイレットは、セメントプレートを亀裂させることなく、移
植前に調整されるおよび/または固定プロセス中に移動することができる。円筒形スリーブ(749)とその下にあるアイレット(726)との整列のために必要である場合には、スリーブ位置の調整を可能にするために、そのスリーブ用の1つ以上の支持アーム(750)を必要に応じて取り外すことがあることも理解されるであろう。
【0085】
前述したように、プレートの成型後、アイレット(726)は、プレート(712)の底(骨に面する)面(717)に設けられたキャビティ(716)内に、プレート(712)の厚さを貫通する穴(746)の基部に配置される(図26を参照)。アイレット(726)の各々、それらのそれぞれの支持ワイヤストラット(727)の少なくとも一部、および任意にワイヤストラット(727)に隣接するベース縁部(722)の一部は、セメントがないので、アイレット(726)および少なくともストラット(727)の一部がそれらのそれぞれのキャビティ(716)内を浮動する。キャビティ(716)を形成し、アイレットおよび支持フレームの他の部分がセメントに覆われることを防止するために、ガードがプレート(712)を成型する前にセメントフリーのままである支持フレームの一部の上に配置される。ガードは、成型中にセメントとアイレット、ワイヤストラットとベース縁部の一部との間のバリアとして働き、セメントがこれらの領域上で硬化することを防止し、キャビティ(716)を形成する。
【0086】
図33図35Cに示す例では、ガードは、アイレット(726)、そのワイヤストラット(727)、およびストラット(727)とベース縁部の接合部分におけるベース縁部(722)の一部の上を摺動するように構成されたシリコンカバー(760)を備える。シリコンカバー(760)は、アイレット(726)上を摺動するように構成された丸い端部と、ワイヤストラット(727)(例えば、保持アーム)とワイヤストラット(727)がベース縁部(722)に連結するベース縁部(722)の一部との上を摺動するように構成されたテーパ部とを含む。カバー(760)は、アイレット(726)、ワイヤストラット(727)、およびベース縁部(722)の一部を受け入れるための内部ポケット(762)へのアクセスを提供するために、一方の側部および対向する側部の一部に沿ってスリットされる。先に説明したシリコンスリーブ(142)の場合と同様に、プレートを成型する前にアイレットとその保持アーム(例えば、ワイヤストラット(727))の上に適用されるガードを使用してキャビティ(716)を形成することにより、キャビティ(716)はそこに位置するアイレット(726)とワイヤストラット(727)の厚さよりも深くなり、またアイレットとワイヤストラットの外径よりも広い。このように、キャビティ(716)は、アイレット(726)とワイヤストラット(727)がキャビティの壁と接触しないように寸法決めされる。図26(ならびに図23)にも見られるように、キャビティは、保持アイレットに隣接するキャビティが最大幅部分(例えば、幅がベース縁部(722)に向かって狭くなる)を持ち、幅を先細化することができる。
【0087】
ガード組立部品はまた、プレート成型中に穴(746)を形成するためのシリコンロッド(764)を含む。図33および図34に示すように、セメントがスリーブ(749)の内部に入るのを防止するだけでなく、セメント硬化後の穴(746)を残すために、支持フレーム(720A)のスリーブ(749)にシリコンロッド(764)が挿入される。ガードロッド(764)は、単一の部品としてガードカバー(760)と一体的に形成されてもよい。あるいは、図35A図35Cに示すように、ロッド(764)は、ロッド(764)の内部を貫通してカバー(760)内に延びるピン(766)によってカバー(760)に固定された個別の構造を備える。カバーがアイレット(726)の周りに配置され、対応するスリーブ(749)に挿入されたロッド(764)がカバー(760)の外面に当接した後、ピンはロッドを通ってカバー(760)内に挿入され、それによってロッド(764)の端部がガードカバー(760)の表面と接触した。ピンをロッド内により良好に保持するために、ロッド(764)がピン(766)のシャフトの外径よ
りもわずかに小さい内径を有する中空であってもよいことが理解されるであろう。また、図33および図34では、ピンの図示を省略している。図35A図35Cに示すカバー(760)とロッド(764)を含むガード組立部品は、図22図23のインプラント(510)にキャビティ(516)と穴(546)を形成するために使用することもできる。
【0088】
図33および図34に示すようにガード組立部品が適所に配置されると、支持フレーム(720A)がプレート(712)のための型内に配置される。成型プロセスが完了すると、ガード組立部品が取り除かれ、セメントフリーのキャビティ(716)および骨ネジまたは他の留め具を挿入することができる穴(749)それぞれが残される。
【0089】
図36~図48Bは、6セクションの下顎骨インプラント(810A~E)の様々な態様を示す。これらのインプラントは、例えば、患者の下顎骨を増大させるために使用することができる。下顎骨の下部全体を再構成する場合には、6つのインプラント(810A~E)がすべて使用される。他の例では、すべてのインプラントを必要としない。当然のことながら、下顎骨の長さに及ぶように構成された6つよりも少ないインプラントまたは6つ以上のインプラントのような、任意の数、大きさおよび構成の下顎インプラントを本明細書の教示に従って、製造することができることは理解されるであろう。さらに、下顎骨インプラント(810A~E)は、別個の連結されていない構造として示されているが、代替的に(例えば、1つ以上の変形可能な連結ワイヤ部材によって)互いに連結されてもよい。
【0090】
各下顎骨インプラント(810A~F)は、生体適合性プレートおよび内部ワイヤメッシュ支持フレームを含む点で、鼻傍および眼窩上インプラントに類似していて、鼻傍インプラント(110)に使用される外部締結より眼窩上インプラント(710)に類似する内部締結構成を用いている。インプラント(810A~F)の構造は、第四下顎骨インプラント(810D)を参照して詳細に説明される。このインプラントは、一般に、生体適合性プレート(812D)および内部支持フレーム(820D)を含む(図40を参照)。支持フレームは、プレートの外周の境界内に位置するアイレット(826)を含む一対の締結点を含む(図39を参照)。保持アイレット(826)は、プレート(812D)の底(骨に面する)面(817)に設けられたキャビティ(816)内に、プレートの上(例えば、外)面と底(骨に面する)面(818、817)との間をプレート(812D)の厚さを貫通する穴(846)の底部に配置される。各アイレットは、支持フレームのワイヤ部材に取り付けられた単一ワイヤストラット(827)を含む保持アームによって、支持フレーム(820D)の内部部分に連結される。
【0091】
アイレット(826)、ワイヤストラット(827)およびワイヤストラット(827)に隣接するワイヤ部材の一部の各々は、アイレット(826)およびストラット(827)がそれらのそれぞれのキャビティ(816)内を浮動するように、セメントがない。したがって、キャビティ(816)は、各アイレット(826)およびストラット(827)がそれぞれのキャビティ(816)の底面から離間するように、アイレット(826)の厚さおよびストラット(827)の直径よりわずかに深い。各アイレットの底面、例えば骨に面する面は、移植前にプレートの骨に面する面(817)とほぼ面一である。あるいは、一方または両方のアイレットの上面は、そのキャビティ(816)の底面に配置することができるが、プレート材料を亀裂させるリスクなしにアイレットの移動を可能にするために、その底面を自由に滑ることができる。さらに、別の実施形態では、各アイレットの底面は、移植前にプレートの底面(817)を越えて延びる(例えば、それと同一平面上ではない)か、またはプレートの底面(817)の平面より下に配置される(例えば、キャビティは図に示されたものよりも深い)。アイレットおよびそれらのそれぞれのキャビティは、図37および図38には示されていないことも指摘されるべきである。
【0092】
眼窩上インプラント(710)とは異なり、セメントプレートの厚さがより薄いので、下顎骨インプラントの穴(846)は円筒形スリーブを用いて裏打ちされていない。しかし、穴(846)内にこのような保護裏地を設けるために、下顎骨インプラントの支持フレームを変更することができることが理解されるであろう。
【0093】
各下顎骨インプラント(810A~F)は、特定の患者の特定のニーズを満たすように、寸法決めされ、成形されおよび構成されるため、プレート(812D)ならびに図に示される他のプレートの形状および寸法は単なる例示である。一般に、外面(818)は、周囲の骨および他の組織と調和するだけでなく、審美的に満足である外観を提供するために滑らかで湾曲している。下顎骨インプラント(810A~F)の目的は、正常な下顎骨、特にその下側部分の外観を模倣することである。セメントプレートの底面または骨に面する面(817)は、下にある骨および他の組織(骨および他の組織が存在する)の形状と調和するように輪郭付けされ、骨が欠けている場合、プレートによって保護されるべき下にある組織をよける。さらに、アイレット(826)の位置、したがって穴(846)は、インプラント(810A~F)を適所に適切に固定するだけでなく、骨ネジまたは他の留め具を受け入れるのに十分な骨が存在することを確保するように選択される。
【0094】
下顎骨インプラント(810A~F)は、前述のインプラントと同様の場所に固定される。インプラント(810A~F)が患者に適切に位置決めされると、骨ネジまたは他の留め具がそれぞれの穴(846)を通って、下にあるアイレット(826)を通って、プレートに挿入され、さらに下にある骨に挿入される。各骨ネジが下にある骨にねじ込まれると、ネジが貫通するアイレット(826)は、アイレットの骨に面する面が骨と密着するまで骨に向かって引っ張られる。アイレットが取り付けられているワイヤストラット(827)は、通常、骨ネジが締められると、キャビティ(816)からある程度屈曲し、おそらくキャビティ内で横方向に曲がる。しかしながら、プレート(812D)のセメントは、セメントがアイレット(826)またはその支持ストラット(827)を覆わないという事実のために、一般に割れない。インプラント(810A~F)を適所に固定するには、穴およびアイレットを通って下にある骨に打ち込まれる2つの骨ネジが通常は十分であるが、特に、より大きなインプラントの場合および/または、眼窩上インプラント(710)に関して上述したように、最適な位置への締結前にいくらかの不確実性がある場合に、2つ以上のアイレットおよび関連する穴がインプラントに提供され得ることが理解されるであろう。
【0095】
眼窩上インプラント(710)と同様に、下顎骨インプラント(810A~F)の各々は、カスタマイズされたプレート(812)だけでなく、特定の患者のニーズを満たすために作られたカスタム製作された支持フレームも含む。一般に、図40および図43A図43Eに最もよく見られるように、ワイヤメッシュ支持フレーム(820D)は、その周りに成型されたセメントプレートを支持するための骨格状の足場を含み、さらに湾曲した側部ストラット(857)によってそれぞれの端部で互いに結合されている複数の長手方向に延びる湾曲した支持リブ(856)を含む。支持リブ(856)と側部ストラット(857)は共に、セメントプレートを内部で支持するためのボウル状の足場を形成する。ボウル状の足場は、プレート(812)の外周に近い形状を有する。
【0096】
支持フレーム(820D)は、インプラント(710)の支持フレームと同様に、図40に示すように、プレート(812D)を成型する前にそれ以上修正することなく製造することができるが、場合によっては、支持フレームの製造中にアイレット(826)に対する追加のサポートを提供することが有利である。追加のサポートは、製造を容易にするだけでなく、成型時に追加オプションを提供する。したがって、最初に製造され、図43A図43Eに示されるように、支持フレーム(820D)は、最上の支持リブ(856
)から上方に延びる3つの湾曲支持アーム(858A、858B、858C)をさらに含む。これらの支持アームの1つ以上は、インプラントの所望の形状および/または保持アイレットの位置に依存して、湾曲ではなく直線状であり得ることが理解されるであろう。第一支持アーム858Aは、アイレット(826)の1つに直接連結され、第二と第三支持アーム(858B、858C)は、略U字形状を有し、支持アーム(858B、858C)の各端部で最上の支持リブ(856)に連結される。図示されているように、各アイレットを支持フレームの残りの部分に連結するワイヤストラット(827)は、アイレットと最上の支持リブ(856)と間に延在し、第二湾曲支持アーム(858B)は、アイレット(826)の間を上方に延びる。さらに、最初に製造されたように、各アイレットは、一対の湾曲支持アーム(858A、858B、858C)にさらに連結される。図43A図43Eに示す例示的な実施形態では、一方のアイレット(826)が第一支持アーム(858A)に直接連結され、アイレット(826)と第二支持アーム(858B)との間に延在する追加のワイヤストラット(829)によって第二支持アーム(858B)に連結される。他方のアイレット(826)は、アイレット(826)と第二および第三支持アーム(858B、858C)との間に延びる一対の追加のワイヤストラット(829)によって第二と第三支持アーム(858B、858C)に連結される。インプラントの所望の形状に応じて、第一支持アーム(858A)が代わりに第三支持アーム(858C)と同様に構成することができる(例えば、支持アーム(858A)の各端部で最上の支持リブ(856)に連結され、追加のワイヤストラット(829)が隣接するアイレット(826)と第一支持アーム(858A)との間に延在する)。あるいは、第三支持アーム(858C)は、第一支持アーム(858A)と同様に構成することができる(例えば、隣接するアイレット(826)に直接連結する)。
【0097】
各アイレット(826)は、複数のストラット(827、829)によって最上の支持リブ(856)から直接的または間接的に支持されるが、プレートを支持フレームの周りに成型する前に、1つを除いて全て除去される。再び、最終インプラントにおいて各アイレット(826)に対して単一のストラットのみを使用することにより、アイレットは、セメントプレートを亀裂させることなく、移植前に調整されるおよび/または固定プロセス中に移動することができる。したがって、支持フレーム(820D)をプレートの型に挿入する前に、図40に示す構成で支持フレーム(820D)を提供するように、第一支持アーム(858A)および追加のワイヤストラット(829)が支持フレームから取り外される(例えば、切り取られる)。
【0098】
図からも分かるように、湾曲した支持リブ(856)、湾曲した側部ストラット(857)および支持アーム(858A、858B、858C)の表面は、セメントの付着性を改善し、破損面に沿ったセメントの破損を防止するために、滑らかではなくテクスチャ加工される。図示された螺旋リッジのような不均一な表面を提供するために、様々なパターンのいずれかを使用して表面をテクスチャ加工することができる。
【0099】
プレート(812)の底(骨に面する)面(817)にキャビティ(816)を形成するために、図35A図35Cに示されるものと同様に構成されたガード組立部品が、プレート成型前にセメントフリーのままである支持フレームの一部の上に位置決めされる。前述したように、ガード組立部品は、成型プロセス中にセメントとアイレットと支持フレームの他の部分との間のバリアとして働くだけでなく、ガード組立部品もキャビティ(816)を形成する。同様に、ガード組立部品のロッド部分は、アイレット(826)のすぐ上の穴(846)を形成するようにプレート型内に位置決めされる。
【0100】
図44A図48Bは、他の下顎骨インプラント(810A~C、810Eおよび810F)およびそれらのそれぞれの支持フレーム(820A~C、820Eおよび820F)を示す。支持フレームは、その製造時の構成で示されていることが理解されるであろう
。プレート成型に先立って、支持フレームは、上述したように、単一のワイヤストラットのみが各アイレットを支持フレームの残り部分に連結するように修正される。
【0101】
図49図52は、眼窩上インプラント(710)と同様のインプラント(910)のさらに別の代替実施形態を示す。この場合、支持フレーム(920)は、プレート(912)の外周の少なくとも一部の周りに配置された外部縁部を含む。図示の実施形態では、外部縁部は、インプラント(910)の対向する側面に沿って配置された第一および第二外部縁部(970A、970B)を含む。外部縁部(970A、970B)は、プレート(912)の内側に位置する内部縁部(922)に連結されている。内部縁部(922)は、眼窩上インプラント(710)の縁部(722)と同様に構成され、縁部(922、970A、970B)間をセメントプレート(912)の外縁を通って延びる複数のワイヤストラット(972)によって第一および第二外部縁部(970A、970B)に連結される。
【0102】
外部縁部(970A、970B)は、生体適合性プレート(912)と周囲の骨との間の滑らかな移行を提供する働きをし、したがって図52に見られるようにテーパ状の断面を有する。図52にも示されているように、外部縁部(970A、970B)はまた、移植後の下にある骨および組織の表面の上方にプレート(912)を持ち上げる。
【0103】
図49図52に示す特定の実施形態では、外部縁部(970A)がプレート(912)の第一長縁に沿って延び、一方、外部縁部(970B)は第一長縁と反対側に位置するプレート(912)の第二長縁に沿って延びる。しかしながら、プレート(912)の外周の大部分または全体のまわりに(単一の連続縁部として、またはプレートの外周に沿って配列された2つ以上の縁部セクションとして)延びる単一の外部縁部を含む追加の外部縁部を設けることができることは理解されるであろう。
【0104】
図52の断面図に最もよく見られるように、図示された実施形態では、外部縁部(970A、970B)はプレート(912)の外周縁に当接し、外部縁部の内面(971)とプレート(912)の外周縁との間の距離がほとんどまたはまったくない(0.5mm以下、0.3mm以下または0.1mm以下である)。外部縁部の上面(973)は、プレート(912)と外部縁部(970A、970B)との間でそれらのそれぞれの上面(918、973)が接する場合に滑らかな移行が提供されるように、プレート(912)の上(例えば、外)面から下方にかつ外側に傾斜している。外部縁部(970A、970B)は、薄い外縁に向かって先細化され、移植後に外部縁部と周囲の骨との間の滑らかな移行を提供する。プレートがセメントのような破壊可能な、または比較的壊れやすい材料で作られている場合、インプラントと骨との間の滑らかな移行のためにこのような薄い外縁を設けることは実行できないかもしれない。
【0105】
外部縁部(970A、970B)の内面(971)における高さは、プレート(912)の外周縁における高さよりわずかに大きく、側面(図52)から見たとき、外部縁部(970A、970B)は、プレート(912)の底(骨に面する)面(917)の外縁の下方に延在する。外部縁部(970A、970B)をプレートの周縁の下まで延在するように構成することにより、プレート(912)の下にある骨または他の組織の表面よりもわずかに(0.1mm~1.0mm、または0.1mm~0.5mm、または約0.2mm)上昇したプレート(912)を上昇させながら、移植後に外部縁部の底面(975)は周囲の骨に当てられる。その結果、インプラント(例えば、解像度のためにCTスキャンと区別できない小さな骨構造からの)に対する張力は、プレート(912)ではなく外部縁部(970A、970B)に向けられ、それにより、プレート(912)への損傷を防止するのに役立つ(例えば、プレートがセメントから作られ、外部縁部がチタンまたはチタン合金のような金属で作られている場合)。
【0106】
図52の断面図にも示されているように、インプラント(710)の構成と同様に、内部保持アイレット(926)の各々は、単一の変形可能なワイヤストラット(927)によって支持フレーム(920)に取り付けられ、アイレットおよびそれらの保持アーム(例えばワイヤストラット(927))が、プレートの厚さを貫通する穴(946)の基部において、プレート(912)の底(骨に面する)面(917)に設けられたキャビティ(916)内を浮動する。したがって、骨ネジ(944)が穴(946)に挿入され、関連するアイレット(926)を通って骨に挿入されると、アイレット(926)の骨に面する面が骨と面一になるまでアイレットが骨に向かって引っ張られる。アイレットが取り付けられているワイヤストラット(927)は、通常、そのキャビティ(916)からある程度屈曲し、アイレット(926)の骨に面する面が骨にしっかりと接触することを可能にし、一方、プレート(912)の骨に面する面(917)は、骨から離れて上昇した(堆い)ままである。
【0107】
支持フレーム(920)は、支持フレーム(920)の残りの部分と一体的に形成された外部縁部(970A、970B)を備え、上述した様々な方法のいずれかで製造することができる。図50に最もよく見られるように、外部縁部(970A、970B)は、それらの間に延びる複数のワイヤストラット(972)によって内部縁部(922)から離間した関係で配置される。外部縁部(970A、970B)と内部縁部(922)との間にセメント(または他のプレート材料)を成型することができるように、ワイヤストラット(972)は外部縁部(970A、970B)と内部縁部(922)との間の所望の間隔を維持する。場合によっては、これらのストラット(972)はまた、プレート(912)の型内でおよび/または移植の際に、外部縁部(970A、970B)の位置を調整することを可能にするために変形可能である(例えば、屈曲られるまたは曲げられる)。
【0108】
いくつかの実施形態(図示せず)では、特に、移植時に外部縁部(970A、970B)の調整を可能にすることが望ましい場合、内部縁部と外部縁部を連結するワイヤストラット(972)は、鼻傍インプラント(110)の開口部(115)およびキャビティ(116)と同様に拡大された開口部を通って開放された内部キャビティからプレートの外に延びる。鼻傍インプラント(110)の場合と同様に、これらの実施形態では、ワイヤストラット(972)がプレート材料と接触しない(または最小限しか接触しない)ように、開口部およびキャビティの両方はそこから延びるワイヤストラット(972)よりも直径が大きい。このような内部キャビティおよび大きめの開口部を設けることにより、プレート材料の亀裂のリスクなしによりよい適合のための外部縁部の移植および/または調整中に外部縁部(970A、970B)が動くことを可能にするように、特に、プレート(912)の骨に面する面(917)とその下のある骨または他の組織との間の間隔が変更されるように外部縁部の垂直方向の調整および/または移動を可能にするように、ワイヤストラット(972)は曲げるまたはさらに屈曲される。
【0109】
外部縁部(970A、970B)および関連するワイヤストラット(972)とは別に、インプラント(910)の支持フレーム(920)は支持フレーム(720)と同様であり、したがって、内部縁部(922)から円筒形スリーブ(949)まで上方および内側に延びる3つの支持アーム(950)によって支持された、各アイレット(926)の上に上昇した円筒形スリーブ(949)をさらに含む。支持ガーダ(952)は、内部縁部(922)から支持ガーダ(952)まで上方および内側に延びる一連の側部ストラット(954)を備え、円筒形スリーブ(949)の間をスリーブ(949)の各々から上方に湾曲するように延びる。外部縁部は、本明細書で説明する他の支持フレームおよびインプラントのいずれかに設けることができることが理解されるであろう。
【0110】
図53図59は、図1に示されるように、患者の頬骨および上顎骨に固定されるよう
に構成された頬骨インプラント(610)を示す。したがって、頬骨インプラント(610)は、特に、頬骨再構築または同じ領域の美容的改変に適合される。頬骨インプラント(610)は、生体適合性プレート(612)および内部ワイヤメッシュ支持フレーム(620)を含む。支持フレーム(620)は、上述の下顎骨インプラントの内部支持フレーム(820A~F)と同様に構成されているが、プレートの外周の内側に位置する内部保持アイレットではなく外部離間保持アイレット(鼻傍インプラント(110)と同様)を使用する。
【0111】
前述のインプラントの場合と同様に、保持アイレット(640A、640B、640C)の形態の締結点を通って打ち込まれる骨ネジのような留め具を使用して、頬骨インプラント(610)が周囲の骨に固定される。このような保持アイレットは3つ図示されているが、場合によっては、3つの保持アイレットのうちの2つを使用するだけでよい。あるいは、インプラントは、3つ以上の保持アイレットを提供するように構成することができ、移植の間に実際にアイレットの全てまたは一部のみが使用される。前と同様に、未使用のアイレットおよびそれらの保持アームは、移植前に取り外すことができる。
【0112】
頬骨インプラント(610)は、内部ワイヤメッシュ支持フレーム(620)を含み、プレート(612)は、支持フレームの周りに成型される。モネタイト形成水硬性セメント組成物などのような前述した材料および組成物のいずれも、支持フレーム(620)の周りにプレート(612)を成型するために使用することができる。インプラント(610)は、特定の患者のニーズ、特に、生体適合性プレート(612)のサイズと形状、および保持アイレット(640A、640B、640C)の位置に基づいてカスタマイズすることができる。したがって、示されたプレート(612)および支持フレーム(620)を含む特定の頬骨インプラント(610)は単なる例示である。
【0113】
各保持アイレット(640A、640B、640C)は、一対の保持アーム(638A、638B、638C)の外部端部に設けられ、各保持アームは、開口部(615)を通ってプレート(612)の外側側壁(614)から延出する(図57Aを参照)。図54図55および図57に見られるように、保持アーム(638A、638B、638C)は、プレート(612)内に配置された第一縁部(624A)に固定され、第一縁部(624A)から離れて延びている。先の実施形態と同様に、インプラント(610)は、特定の患者のニーズを満たすようにカスタム製作されているが、保持アーム(638A、638B、638C)も、適切な嵌合を確保するために、移植の際に変形する(例えば、屈曲、ねじれおよび/または曲げを含む)ことが可能である。移植時に保持アームが変形したときにプレート(612)の亀裂のリスクを低減するために、プレート(612)は、保持アーム(638A、638B、638C)と保持アームに隣接する第一縁部(624A)の一部がプレート材料によって覆われないように、メッシュ支持フレームの周りに成型される。したがって、保持アーム(638A、638B、638C)は、保持アームの直径よりも大きい直径の開口部(615)を介してプレート(612)から延出するだけでなく、保持アームも各開口部(615)に隣接するプレート材料に設けられた開放された内部キャビティ(616)からプレートの外に延びる。インプラント(110)のように、開口部(615)およびキャビティ(616)は、保持アームがプレート材料と接触しない(または接触が最小限である)ように、そこから延びる保持アーム(638A、638B、638C)よりも直径が大きい。前述のように、保持アーム(138A)が延在する開口部(615)は、通常プレート(612)の底面(617)(骨に面する面)に隣接して配置され、開口部(615)とキャビティ(616)は、前述の方法で形成することができる(例えば、保持アームとそれらが取り付けられている縁部(624A)の一部の上に円筒形スリーブ使用する)。
【0114】
頬骨インプラント(610)のワイヤメッシュ支持フレーム(620)は、その周りに
成型されたセメントプレートを支持するための骨格状の足場を含む。支持フレーム(620)は、支持フレームの足場状構造を形成するために互いに間隔をあけて連結された複数の縁部(624A、624B、624C)を含む。同時に、複数の縁部は、プレート(612)の外周の形状に近似する。したがって、任意の所望の形状を有する任意の数の縁部を、インプラントの必要な形状に応じて使用することができる。図示の例では、支持フレームは、第一縁部(624A)、第二縁部(624B)および第三縁部(624C)を含み、これらの縁部は、それらの間に延びる複数の連結ストラット(638)によって、互いに結合されている。各縁部は、前述のように、図示のように、連続した閉ループを横断する。第一および第二縁部(624A、624B)のようなより大きな外側縁部の場合、1つまたは複数の支持リブ(654A、654B)が、追加の強度および剛性のために設けられ、図示されているように、これらの支持リブの各々が縁部(624A、624B)の内部を横切る。
【0115】
眼窩上および下顎骨インプラントの場合と同様に、支持フレームへのセメント付着を改善するだけでなく、破損面に沿ったセメントの破損を防止するために、縁部(624A、624B、624C)の表面ならびに支持リブ(654A、654B)および連結ストラット(638)はテクスチャ加工されている。このようなテクスチャ加工は、眼窩上インプラント(710)に関して、前述した方法で構成することができる。
【0116】
上述のインプラントは、本明細書の教示に従って製造することができる様々な脳顔面頭蓋インプラントの例示である。同様に構築されたインプラントは、他の脳顔面頭蓋領域のために、ならびに患者の他の場所の骨欠陥を治療するために作製することができる。さらに、眼窩上インプラントおよび頬骨インプラントを組み合わせたインプラントのような、2つ以上の上述のインプラントを組み合わせることができる。そのような組み合わせは、2つの構成要素(例えば、眼窩上および頬骨)の支持フレームをそれぞれのプレートの外部に連結することによって、または2つの支持フレームを結合し、結合された支持フレーム構造の周りに一体プレートを成型することによって、製造することができる。さらに、本明細書に記載のインプラントのいずれかは、2つ以上のより小さいインプラントセクションに分割することができ、これらのインプラントセクションは、それぞれのプレートの外部で互いに選択的に結合される。
【0117】
上述の様々なワイヤメッシュ支持フレームは、図示された配置でワイヤセグメントおよびアイレットを互いに溶接することによって、または成型プロセスによって、またはフラットシートを切断(例えば、レーザ切断)、エッチングまたはスタンピングしワイヤセグメントおよびアイレットを形成し、その後材料を最終形状に曲げることによって、様々な方法で形成することができる。あるいは、支持フレームは、ポリカプロラクトンのような生物分解性のあるポリマーから切断、エッチング、スタンピング、成型または他の方法で形成されてもよい。
【0118】
さらに別の代替形態として、いくつかの実施形態では、支持フレームおよびプレートを形成するための型を製造する際に使用するための陰性型は、付加的な製造技術(3D印刷と呼ばれることもある)を用いて製造される。特に、インプラントのための支持フレームおよび陰性型は、各患者および修正する骨欠損に対してカスタマイズされたインプラントを提供するように、このように製造される。ステレオリソグラフィ、溶融堆積模型(溶融フィラメント製造としても知られている)、選択的レーザ焼結、選択的レーザ溶融、電子ビーム溶解、および当業者に知られているその他の方法または今後開発される様々な添加物製造方法のいずれかを使用することができる。選択的レーザ溶融は、特に支持フレームがチタン、チタン合金または他の金属である場合に、支持フレームの製造に特に有用である。選択的レーザ焼結は、ポリアミドで陰性型を製造するのに有用であり、溶融堆積模型は、例えば、PLAまたはABSなどから陰性型を製造するのに特に有用である。
【0119】
患者の骨欠損(例えば、頭蓋の欠損)に正確に一致するインプラントの付加的な製造は、下記の工程を含む:
1、患者からコンピュータ断層撮影(CTスキャン)または磁気共鳴(MRI)データを取得する。
2、治療する骨欠損の解剖モデルをデジタル的に作成する。
3、例えば欠陥を囲む適切な骨または他の組織に留め具(例えば、骨ネジ)を最適に配置するための保持アイレットの配置を含む、骨の欠損に適合するようにプレート設計をデジタル的に生成する。
4、プレートの設計とアイレットの位置に基づいて支持フレーム設計をデジタル的に生成する。
5、プレート設計に基づいて、型設計をデジタル的に生成する。
6、(例えば、チタンまたはチタン合金の選択的レーザ焼結による)デジタルメッシュ支持フレーム設計を用いてメッシュ支持フレームを「印刷する」。
7、デジタル型設計を使用して(例えば、溶融フィラメント製造「プリンタ」を使用して)、陰性型を「印刷する」。
8、陰性型からシリコン型を製造する。
9、(例えば、前述の方法で)メッシュ支持フレームを型内に位置決めする。
10、(例えば、前述したような水硬性セメント組成物を使用して)支持フレームの周りにプレートを成型する。
【0120】
上記の付加的な製造プロセスは、複雑なおよび/または不規則な形状(複雑な湾曲表面を含む)を有するインプラントを製造する能力を含む、各患者向けにカスタマイズされたインプラントの迅速な製造を含む多くの利点を提供する。インプラントは、より構造的に堅固であり(変形に強い)、移植後に審美的に満足である。さらに、インプラントは、適切な嵌合を達成するために、外科医による最小限の調整を必要とする。
【0121】
付加的な製造技術はまた、より頑強な内部支持構造を有する支持フレームを含む、より複雑なインプラント設計の製造を可能にする。同時に、プレートの破損のリスクをさらに最小限に抑えるこれらのより強固な支持構造は、他の方法で製造された支持フレームと比較して、実際にはより少ない金属(または他の支持フレーム材料)を使用するように設計することができる。
【0122】
本明細書で使用される場合、用語「アイレット」は、実質的に閉じた周囲を有する開口を意味するが、特定の形状に限定されないことに注意すべきである。したがって、上述の様々なアイレットは、円形、正方形、長方形、台形、六角形、涙形、長円形、楕円形または任意の他の適切な形状とすることができる。もちろん、アイレットの代わりに、またはアイレットに加えて、他のタイプの取り付け開口部または他の締結点を使用してもよい。
【0123】
支持フレームの幅または長さにわたって延在する追加支持ガーダのような、上記の支持フレームのいずれかに追加の構造的支持部を設けることができると理解されるであろう。
【0124】
いくつかの装置およびその要素について上記で詳細に説明したが、要素、特徴、構成および説明された装置を使用する方法は、上記の記載に限定されないことを理解されたい。特に、装置の1つの上述内容で説明された要素、特徴、構成、および使用方法は、他の装置のいずれかに組み入れてもよい。さらに、以下に提供されるさらなる説明に限定されず、追加および代替の適切な要素、特徴、構成および装置を使用する方法、ならびに本明細書の教示にある様々な方法は、組み合わされそして相互交換され得ることは、本明細書の教示に鑑みて当業者には周知である。
【0125】
本開示において様々なバージョンを示し説明したので、本明細書に記載の方法およびシステムのさらなる適合形態は、本発明の範囲から逸脱することなく、当業者による適切な変更によって達成され得る。そのような可能性がある変更のいくつかが言及されており、その他は当業者には自明であろう。例えば、上述の実施例、バージョン、幾何学形状、材料、寸法、比率、工程などは例示的なものであり、必須ではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図10A
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17A
図17B
図18A
図18B
図19
図20A
図20B
図21A
図21B
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
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図32
図33
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図35A
図35B
図35C
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43A
図43B
図43C
図43D
図43E
図44A
図44B
図45A
図45B
図46A
図46B
図47A
図47B
図48A
図48B
図49
図50
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図55
図56
図57
図57A
図58
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