(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】フォームを分配する装置および方法
(51)【国際特許分類】
A61J 1/20 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
A61J1/20 314Z
(21)【出願番号】P 2018539358
(86)(22)【出願日】2017-02-27
(86)【国際出願番号】 IB2017051137
(87)【国際公開番号】W WO2017145132
(87)【国際公開日】2017-08-31
【審査請求日】2020-02-21
(32)【優先日】2016-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】515247831
【氏名又は名称】プロベンシス・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ライト,デービッド ダキン イオルウェルス
(72)【発明者】
【氏名】ファウルクナー,デービッド,イアン
【審査官】今関 雅子
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-504872(JP,A)
【文献】特表2007-516822(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/20
A61M 5/178
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォーム供給源からフォームを分配する装置であって、
(a)フォーム供給源と連通するように構成されたフォーム入口と、
(b)前記フォーム入口と流体連通するフォーム経路であって、シリンジノズルによって係合するように構成されたフォーム出口を含むフォーム経路と、
(c)前記フォーム経路と流体連通する廃棄物出口と
を含み、
前記フォーム経路が、前記フォーム出口を通って延在するように配置された管状突出部であって、シリンジが前記フォーム出口に接続されるとシリンジノズル内に延在するように配置された管状突出部を含み、前記装置は
圧力の変化に応答して開放および閉鎖する圧力弁をさらに含み、該圧力弁は前記フォーム経路から前記廃棄物出口を通る物質の移動を
制御可能に制限
し、前記圧力弁は前記フォーム経路における増大した圧力に応答して開放するとともにその圧力の低下に応答して閉鎖する、装置。
【請求項2】
前記廃棄物出口と流体連通する廃棄物チャンバが提供される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記管状突出部が金属チューブを含む、請求項1
または2に記載の装置。
【請求項4】
前記金属チューブが0.5mm~1.5mmの外径を有する、請求項
3に記載の装置。
【請求項5】
前記金属チューブが1mmの外径を有する、請求項
4に記載の装置。
【請求項6】
前記管状突出部が前記シリンジノズルの全長を越えて延在する、請求項1~
5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記管状突出部が前記シリンジ
のプランジャと物理的に接触する、請求項1~
6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記フォーム入口の少なくとも一部、前記フォーム経路の一部、前記廃棄物出口の一部または前記廃棄物チャンバの一部が、前記装置内のフォームを検査できるように透明である、請求項
2に記載の装置。
【請求項9】
前記フォーム入口と連通するフォーム供給源を含む、請求項1~
8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記フォーム供給源が、圧力下に液体およびガスで満たされたキャニスタを含む、請求項
9に記載の装置。
【請求項11】
請求項1~
10のいずれか一項に記載の装置とシリンジとを含むキット。
【請求項12】
前記シリンジが前記装置の前記フォーム経路に接続される、請求項
11に記載のキット。
【請求項13】
請求項1~
10のいずれか一項に記載の装置を使用してフォームを分配する方法であって、
(a)シリンジを前記フォーム経路に接続するステップと、
(b)フォームをフォーム供給源から前記フォーム入口に流し、同時に、ある体積のフォームが前記シリンジノズルの内容物を移動し、前記廃棄物出口に流れ込むまで、前記シリンジのプランジャを完全に押し下げた位置に保持するステップと、
(c)前記シリンジをフォームで充填するために前記プランジャを解放するステップとを含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォーム(泡)の供給源から、例えば液体およびガスを細かい網に通すことによってフォームを生成する加圧キャニスタからフォームを分配するための装置および方法に関する。本発明は特に医療用のフォームを分配するのに適し、その場合、例えば静脈瘤症の硬化療法のために、フォームが患者に注入される場合、無菌性およびガス含有量の制御が必須である。
【背景技術】
【0002】
国際公開第2005/023678号は、フォームを生成するキャニスタと、フォームをキャニスタから投与装置、例えばシリンジに送る分配装置とを記載している。分配装置は、フォーム供給源と連通する入口と、使用可能なフォームの出口と、入口と流体連通し、使用可能なフォームの出口よりも高いフォームの流れに対する抵抗を有する廃棄物流出出口とを含む。装置内の使用可能なフォームの出口と廃棄物流出出口との間の抵抗の差は、使用可能なフォームの出口を通る流れが制限されるときに限りフォームが廃棄物流出出口を通って流れることを保証する。これにより、ユーザは、フォーム出口を遮断し、ガスおよび/またはフォームの初期体積を廃棄物流出出口を介してそらすことによって、使用前に装置内に存在する流体を装置から流し出すことが可能になる。一旦、ガスおよびフォームの初期体積(これは典型的に空気で汚染され、品質が不十分である)がそらされて廃棄されると、フォーム出口は開放され、所望の品質の使用可能なフォームのみがフォーム出口に送達され、その後患者に投与される。使用可能なフォームの出口の遮断および開放は、通常、ユーザが使用可能なフォームの出口にシリンジを接続し、充填を防止するためにシリンジプランジャをその押し下げられた状態に保持することによって、手動で達成される。
【0003】
1つの特定の実施形態において、国際公開第2005/023678号(
図19)は、フォーム供給源と連通する入口718、フォーム出口719、廃棄物出口717および可撓性廃棄物容器706を含むフォーム分配装置を提供する。フォーム出口719は、シリンジのノズル内に伸びる金属カニューレである。フォームは、金属カニューレ719を通ってシリンジノズルに送達され、空気をノズルから廃棄物出口717を介して廃棄物容器706内に移動する。廃棄物容器706がガスおよびフォームで満たされると、廃棄物チャンバに追加のフォームを送達することによって生じる背圧がフォームをシリンジバレル内に流入させ、シリンジをフォームで充填する、すなわち、ユーザはフォーム出口を手動で遮断する必要はなく、シリンジは、廃棄物チャンバ内の圧力がバレル内のシリンジプランジャの始動力を克服するほど十分に高くなると、自動的に充填される。
【0004】
上記の装置は、フォームをシリンジに分配し、フォームを収集して患者に投与する前に、半自動的に空気のフラッシングおよびフォームの「パージ」の両方を行うことができる。しかしながら、シリンジプランジャを動かすのに十分なレベルに圧力が達するように十分な物質が廃棄物容器706を満たすようにパージされるまで、シリンジはフォームで充填されることはできない。この構成は、シリンジがフォームで充填されるたびに新しい装置が必要とされることを意味し、それは不便であり、また分配プロセス中の望ましくないフォームの消耗につながる。例えば、静脈瘤へのフォームの最初の注入の後、投与医師は、例えば、分岐静脈を処置するために、第2のより少量の注入を行うことを選択する可能性がある。この場合、実際に患者に投与されるよりも多くのフォームがパージされる可能性があり、これは実用および規制の観点から望ましくない。
【発明の概要】
【0005】
本発明は、上記と同じ方法でフォームを分配するために使用することができるが、一回の使用に限定されない装置を提供する。本発明の装置は、国際公開第2005/023678号に記載されたものと同様の設計を有するが、装置に取り付けられたシリンジのより効率的なパージおよび充填のための改良された形状を有する使用可能なフォームの出口を含む。この装置は改良された廃棄物出口をさらに含み、この改良された廃棄物出口は、ガスおよび/またはフォームの廃棄物チャンバへの流入を防止する手段を含み、従って、フォームを分配する前に廃棄物容器を完全に満たす必要性を排除する。シリンジノズルへのフォームの送達は、従来技術の装置のようにシリンジノズルの内容物を廃棄物出口に移動させるが、使用可能なフォームの出口の形状によって、典型的なシリンジノズルの制限された容積内で起こり得るシリンジ内の空気またはフォームの貯留が防止される。改良された廃棄物出口は、第1のシリンジが充填された後、(廃棄物チャンバが満杯になるまで)同じ装置を使用して追加のシリンジを充填することができるように廃棄物チャンバに入るフォームの量を制御することを可能し、それによりユーザのフォーム準備プロセスを簡単にする。実用においては、これにより医師は、一人の患者を複数回の注入で処置する際に、注入ごとに装置を交換する必要なく同じ装置を使用することが可能になるが、患者毎に交換することは依然可能である。
【0006】
第1の態様において、本発明は、フォーム供給源からフォームを分配するための装置であって、
フォーム供給源と連通するように構成されたフォーム入口と、
フォーム入口と流体連通するフォーム経路であって、シリンジノズルに接続するように構成されたフォーム出口を含むフォーム経路と、
フォーム経路と流体連通する廃棄物出口と
を含み、
フォーム経路は、フォーム出口を通って延在する管状突出部であって、シリンジノズルがフォーム出口に接続されるとシリンジノズル内に延在するように構成された管状突出部を含み、装置は廃棄物出口への物質の移動を制限する手段をさらに含む、
装置を提供する。
【0007】
廃棄物出口への物質、例えば液体、ガスまたはフォームの移動を制限する手段は、シリンジが充填される前、廃棄物としてシリンジから移動される空気およびフォームの量をユーザが制御することを可能にする。廃棄物出口を通る物質の移動を防止することによって、ユーザは、フォーム供給源から供給される圧力によって、またはシリンジの単純な吸引によって、すなわちシリンジプランジャの後退によって、シリンジをフォームで充填することができる。この構成は、1つの装置を用いて2つ以上のシリンジをフォームで充填することを可能にするのと同時にシリンジをパージするときに浪費されるフォームの量を潜在的に減少させるという技術的問題の解決法を提供する。これらの利点は、血管疾患の治療におけるフォーム製品の有用性を改善する働きをする。
【0008】
廃棄物出口への物質の移動を制限する手段は、充填されるシリンジの抵抗と比較して廃棄物出口内のフォームに対する抵抗を増大させる弁または経路の配列であることができる。好ましくは、廃棄物出口(および廃棄物チャンバ)へのフォームの流れは、弁によって制御される。弁は、予め設定された量のフォームの移動時に、またはプロセスが開始したあと予め設定された時間が経過した後に、廃棄物出口を閉鎖するように自動的に作動してもよい。弁は、ユーザによって手動で制御されてもよいが、好ましくは、フォーム経路における増大した圧力に応答して開き、その圧力が低下すると閉鎖する圧力弁である。このような圧力変化は、弁を開放するために十分な圧力がフォーム経路に蓄積されるまで、ユーザがシリンジプランジャを定位置に保持することによって容易に達成することができる。いったん弁が開放され、フォームが廃棄物出口を通って流れ始めると、シリンジプランジャは解放されてもよく、それによりシリンジプランジャはフォーム経路の圧力下に後退し、シリンジはフォームで充填される。シリンジをフォームで充填することにより、フォーム経路内の圧力が、弁を閉鎖し、廃棄物出口を通るさらなる流れを防止するのに十分な圧力に低下する。好ましくは、弁は、単一の装置を用いて2つ以上のシリンジをフォームで充填することを可能にするのと同時にシリンジをパージするときに浪費されるフォームの量を潜在的に減少させるという問題に対する簡単で費用効果の高い解決法を提供するように手動で操作される。
【0009】
装置は、フォーム供給源からフォームが供給されるフォーム入口を含む。フォーム供給源は、装置と共に提供されてもよく、またはそれとは別個に提供されてもよい。フォーム供給源が別個に提供される場合、フォーム入口は、フォーム供給源との確実な取り付けおよび流体連通を可能にするコネクタを含むことが理解されよう。そのようなコネクタは、当該技術分野において周知である。典型的には、フォーム供給源は、国際公開第2005/023678号および国際公開第00/72821号に記載されているような加圧式キャニスタである。
【0010】
フォーム経路は、フォーム入口と流体連通しており、その間に流路が画定されている。フォーム経路は、流路の遠位端によって画定され、開口の形態のフォーム出口を含む。開口は、典型的には、フォーム経路と標準シリンジのノズルとの間にシールを提供するルアーまたは他の接続の形態である。フォーム経路は、フォーム出口を貫通して延在するように設計された管状突出部を含み、その結果、シリンジがフォーム出口に接続されると、管状突出部は、ノズルの内部のいかなる部分にも接触することなく、またシリンジとフォーム経路との間に形成されるシールと干渉することなく、シリンジノズル内に延在する。管状突出部はシリンジノズル内に通気孔を提供する効果を有するので、シリンジノズルに送達されたフォームは、効率的にノズルの内容物を廃棄物出口に移動させる。フォームがシリンジノズルに、およびノズルとシリンジプランジャとの間の「デッドスペース」に直接流入するので、フォームはノズルを満たし、その内容物(すなわち、空気およびフォームの初期体積)をノズルから廃棄物出口へと移動させる。管状突出部は、シリンジノズルの内容物を隣接するシリンジプランジャから廃棄物出口に移動させて、その結果シリンジノズルがフォームで満たされるように都合よく釣り合わされている。これは、より多くのフォームが送達され、ノズルの内部容積内での貯留を防止するので、シリンジノズルから廃棄物出口に空気を移動させるのに有効であることが判明している。
【0011】
管状突出部は、医療機器用途に適した任意の材料、すなわち無菌であるまたは滅菌可能な材料で作ることができる。典型的には、突出部は、シリンジをフォーム出口に接続する前にまたはその間に偶然にぶつけられた場合に、破損または変形に抵抗する剛性または非変形性材料から形成される。適切な材料は、フォーム成分に対して不活性であり、アルミニウムおよびステンレス鋼などの金属、ならびにスチレンブロックコポリマー(TPE-s)、ポリオレフィンブレンド(TPE-o)、エラストマー合金(TPE-vまたはTPV)、熱可塑性ポリウレタン(TPU)、熱可塑性コポリエステルおよび熱可塑性ポリアミドなどのプラスチックを含む。好ましくは、管状突出部はステンレス鋼から形成された金属チューブである。
【0012】
標準的なシリンジノズルは、1.5mm~2.5mmの内径を有するアパーチャに向かって先細になる円錐台形のチャンバ、例えばルアースリップを含む。典型的には、シリンジノズルアパーチャは、約2mmの内径を有し、従って、管状突出部は、シリンジノズル内に延在するために、2mm未満の外径を有することが望ましい。使用時、管状突出部がシリンジノズル内に延在しているとき、シリンジノズル内にフォームを送達できるように、またはシリンジノズルの内容物を廃棄物出口に移動できるように、その周縁部と、シリンジノズルアパーチャの内縁部との間に十分な隙間が設けられていることが必要である。従って、突出部は、典型的には、0.5mm~1.5mmの外径を有する。好ましくは、突出部の外径は0.75mm~1.25mmであり、より好ましくはその外径は約1mmである。
【0013】
装置は、パージされる必要のある空気の体積を減少させるためにプランジャが押し下げられた(すなわち、シリンジが通常提供される形態の)標準シリンジと共に使用されてもよい。しかしながら、特定の用途では、特に美容的症状に典型的であるような小容積のシリンジが使用されている場合、「予分解(pre-cracked)」シリンジを使用することが望ましい。これらは、シリンジがフォームで充填されるときにプランジャを押し戻すのに必要な圧力を低減するように、プランジャがシリンジバレル内で引き戻された状態で提供されるシリンジである。この形式のシリンジは、パージされる空気の体積がシリンジノズルの容積とプランジャを引き戻すことによって形成されるバレル容積とによって決定されることを除いて、上記の標準的なシリンジと同じ方法で効果的にパージされる。これらの用途では、管状突出部は、ノズルを通ってシリンジプランジャに近接した点までバレル内に延在するように細長くすることができる。これは、シリンジのバレルおよびノズルから廃棄物出口への空気の移動を可能にするので有利である。フォームの流れが遮断されない場合、管状突出部は、全ての空気がフォームによって移動されることを保証し、フォームが容積を満たしているときに空気が閉じ込められる危険性を減らすように、シリンジプランジャに接触してもよい。
【0014】
加圧式キャニスタ装置からフォームが提供される場合、装置によって最初に生成されるフォームは、全てのフォーム経路から流体が流し出されるまで、要求された仕様のものではないかもしれないことが理解される。本発明は、フォームの初期体積がシリンジノズル(またはバレル)から移動され、廃棄物出口を介して廃棄物チャンバにそらされるまで、上記のように、空気がパージされた後にフォームを単に分配し続け、その間廃棄物出口への流れが続くことによって、仕様外フォームをパージすることができる。任意選択的に、廃棄物チャンバは、フォーム入口およびフォーム出口と共通のハウジング内に収容され、および廃棄物出口に接続され、その結果廃棄物は処分のために収集される。これに関して、廃棄チャンバは、収集された廃棄フォームを各投与後に捨てることができるように、取り外し可能であることができる。あるいは、および好ましくは、汚染のリスクを低減するために、廃棄物チャンバは装置内に収容され、装置全体がフォームの各投与過程の後に(例えば患者毎に)処分される。廃棄物フォームは決してシリンジに収集されないので、廃棄物チャンバを装置に組み込むことにより、ユーザにとっての経験が向上する。装置が単回または複数回の使用に意図されているかどうかに応じて、廃棄物チャンバの容積を定め、全ての廃棄フォームを捕捉するのに十分なサイズであることを保証することができる。好ましくは、廃棄物チャンバは、全てのパージされた空気および低品質のフォームを捕捉する所定の固定された容積のものである。好ましくは、廃棄物チャンバは透明材料で形成され、装置/ハウジングの透明部分を通して見ることができ、その結果、ユーザは、フォームが廃棄物チャンバを充填し始めたときを確認することができ、およびその結果として、初期の「低品質」フォームが廃棄すべくそらされたことを確信できる。必要に応じて、チャンバがフォームで充填される前に、パージされた空気をチャンバから逃がせるように、廃棄物チャンバを通気することができる。
【0015】
装置が加圧式フォーム供給源と共に使用されることは必須ではない。シリンジノズルを満たして空気を移動させるのに十分な駆動力があれば、所望の量のフォームが収集されるまでシリンジプランジャを引き戻すことにより、シリンジは通常のように吸引されてもよい。この構成は、製造が簡単で安価であり、動作させるために電源も追加の装置も必要としないので、有利である。
【0016】
装置は、フォーム入口と連通するフォーム供給源を任意選択的に含むことができる。このような装置は、患者への投与のためのフォームの生成および分配を組み合わせることによって、使用または使用者を単純化する。フォーム供給源は、単一の缶または2つの缶を含む加圧式キャニスタシステムとすることができる。好ましくは、フォーム供給源は、加圧下に液体およびガスで満たされたキャニスタを含む。このようなフォーム供給源は、使い易く、治療用フォームを生成するために米国で使用が認可されている単純な構成でフォームを提供するので有利である。
【0017】
第2の態様において、本発明は、本発明の第1の態様によるキットおよびシリンジを提供する。
【0018】
本発明の第2の態様は、第1の態様に関して上述したものと同じ任意選択の特徴および利点を提供する。キット内に装置とシリンジを一緒に提供することは、フォーム出口に接続するのに適したサイズであり、患者にフォームを投与するのに適したシリンジが確実に使用されるので有利であり、例えば、上記のように、予分解されたシリンジが特定の症状に必要とされ得る。特定の実施形態では、キットは、シリンジがフォーム出口に予め接続された状態で提供される。これは、ユーザによる取扱いを減らし、無菌性を確保する点で特に有利である。
【0019】
第3の態様において、本発明は、本発明の第1の態様による装置を使用してフォームを分配する方法であって、
シリンジをフォーム出口に接続するステップと、
フォームをフォーム供給源からフォーム入口に流し、同時に、ある体積のフォームがシリンジのデッドスペースの内容物および初期体積のフォームを廃棄物出口に移動するまで、シリンジのプランジャを完全に押し下げた位置に保持するステップと、
シリンジをフォームで充填するためにプランジャを解放するステップと
を含む方法を提供する。
【0020】
本発明の第3の態様は、第1および第2の態様に関して上述したものと同じ任意選択の特徴および利点を提供する。この方法は、ユーザがシリンジ内にフォームを分配するのと同時にシリンジノズルの内容物をパージし、フォームの患者への安全な投与を保証する追加のシリンジパージステップの必要性を排除することを可能にする。上記の方法は、上記のように、シリンジがフォーム出口に予め接続されているキットの形態で装置が提供される場合の状況に等しく適用可能である。この実施形態では、シリンジを接続する第1のステップは必要でないことが理解されるであろう。
【0021】
本発明のさらなる特徴および利点は、添付図面を参照してなされる特定の実施形態の以下の記載から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】シリンジノズルと一緒の本発明の第1の態様による第1の実施形態の一部の概略図を示す。
【
図2】シリンジノズルと一緒の本発明の第1の態様による第2の実施形態の一部の概略図を示す。
【
図3】シリンジノズルと一緒の本発明の第1の態様による第3の実施形態の一部の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の第1の態様による第1の実施形態の一部が
図1に示されており、図中、フォーム経路(10)はシリンジノズル(30)によって係合されているが、これは装置が使用中にフォームをシリンジに分配する間にこれらの要素が配置され得るような配置である。
【0024】
フォーム経路(10)はフォーム入口(1)と流体連通しており、フォーム入口(1)を介してフォームは、圧力下のフォームの供給源を提供する国際公開第00/72821号に記載されているような加圧されるキャニスタシステム(図示せず)から供給される。フォームはフォーム入口(1)に到達し、矢印Aの方向に流れ、フォーム出口から外に伸びて、接続されたシリンジノズルの内部容積に延びる金属チューブ(11)を介してシリンジノズル(30)に入る。
【0025】
フォームは、シリンジノズル(30)内の空気が矢印Bの方向にシリンジノズル(6)からフォーム経路(10)を通って廃棄物出口(20)に移動されるように、シリンジプランジャ(31)の表面でシリンジノズル(30)に送達される。
【0026】
さらなるフォームがシリンジノズル(30)に供給されると、廃棄物出口(20)内の空気が弁(21)を介して廃棄物チャンバ(22)に移動される。
【0027】
シリンジノズル(30)がフォームで満たされると、フォームの一部が、廃棄物出口(20)に移動され、弁(21)を介して廃棄物チャンバ(22)に移動される。
【0028】
次いで弁(21)はユーザによって手動で閉鎖され、フォームも空気もそれ以上廃棄物出口(20)を通って廃棄物チャンバ(22)に入ることができず、これによりフォーム経路(10)およびシリンジノズル(30)内の圧力が増大する。増大した圧力は、シリンジプランジャ(31)をより後退した位置に向けて動かし、結果として、シリンジは、フォームが金属チューブ(11)を通って送達されるにつれてフォームで満たされる。
【0029】
シリンジはフォームで満たされ、空気を含まない。ユーザは、閉じ込められた空気を除去するためにパージステップを実行する必要はなく、シリンジ内のフォームが患者に空気塞栓を起こしにくいという確信を高めることができる。
【0030】
本発明の第1の態様による第2の実施形態を
図2に示す。
【0031】
この実施形態の装置は、第1の実施形態の装置と同様であり、シリンジノズル(30)によって係合された状態で示されているが、これは装置の使用中にこれらの要素が配置され得るような配置である。しかしながら、この実施形態の装置は、フォーム入口(1)内に分岐経路(2)を含む。フォームがフォーム供給源(図示せず)からフォーム入口(1)に到達する。廃棄物出口(20)内の弁(21)が閉鎖されているので、フォームはフォーム経路(10)に流入することが防止される。その代わりに、フォームは分岐経路(2)に流入し、そこでユーザによって観察される。フォームが要求された品質に達すると、ユーザは弁(21)を開放し、装置は第1の実施形態と同様にシリンジをフォームで満たすように機能する。
【0032】
本発明の第1の態様による第3の実施形態が、装置の使用中にこれらの要素が配置され得るようにシリンジノズル(30)と係合された状態で
図3に示されている。
【0033】
フォーム経路(10)はフォーム入口(1)と流体連通しており、フォーム入口(1)を介してフォームは、圧力下のフォームの供給源を提供する国際公開第00/72821号に記載されているような加圧されるキャニスタシステム(図示せず)から供給される。フォームはフォーム入口(1)に到達し、フォーム経路(10)に流入し、そこからシリンジノズル(30)に入り、矢印Aの方向に進む。フォームがシリンジプランジャ(31)の表面に向かって移動するにつれ、フォームは、空気をシリンジノズルから金属チューブ(11)内に、さらには廃棄物出口(20)内に移動させる。
【0034】
より多くのフォームがシリンジノズル(30)に送達されるにつれて、廃棄物出口(20)内の空気は、弁(21)を介して廃棄物チャンバ(22)内に移動される。
【0035】
シリンジノズル(30)がフォームで満たされると、フォームの一部は、金属チューブ(11)を通り、廃棄物出口(20)へ、そして弁(21)を通り、廃棄物チャンバ(22)内に移動される。
【0036】
次いで弁(21)はユーザによって手動で閉鎖され、フォームも空気もそれ以上廃棄物出口(20)を通って廃棄物チャンバ(22)に入ることができず、これによりフォーム経路(10)およびシリンジノズル(30)内の圧力が増大する。増大した圧力は、シリンジプランジャ(31)をより後退した位置に移動させ、結果として、シリンジは、フォームがフォーム経路(10)を介して送達されるにつれて、フォームで満たされる。