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特許6999573ベニヤエレメント及びベニヤエレメントの製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】ベニヤエレメント及びベニヤエレメントの製造方法
(51)【国際特許分類】
   B27D 1/04 20060101AFI20220111BHJP
   B27D 3/00 20060101ALI20220111BHJP
   B32B 21/14 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
B27D1/04 K
B27D3/00 A
B27D1/04 F
B32B21/14
B27D1/04 A
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018555225
(86)(22)【出願日】2017-04-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-06
(86)【国際出願番号】 SE2017050407
(87)【国際公開番号】W WO2017188883
(87)【国際公開日】2017-11-02
【審査請求日】2020-04-23
(31)【優先権主張番号】1650551-3
(32)【優先日】2016-04-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】504033441
【氏名又は名称】ベーリンゲ、イノベイション、アクチボラグ
【氏名又は名称原語表記】VAELINGE INNOVATION AB
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(72)【発明者】
【氏名】マルクス、ベルゲリン
(72)【発明者】
【氏名】ゲーラン、ツィーグラー
【審査官】竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-198602(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02353861(EP,A3)
【文献】特開2008-272956(JP,A)
【文献】特開昭50-089512(JP,A)
【文献】特開2009-226813(JP,A)
【文献】国際公開第2015/105455(WO,A3)
【文献】国際公開第2015/174909(WO,A3)
【文献】特許第2925749(JP,B2)
【文献】米国特許出願公開第2010/0092731(US,A1)
【文献】米国特許第05925211(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B27D 1/00 - 3/00
B32B 21/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベニヤエレメント(10、20)の製造方法において、
基材(1)と、第1面(14、35)及び第2面(15、36)を持ち、前記第1面(14、35)は前記第2面(15、36)とは反対側である木材ベニヤ層(5、21)とを提供する工程と、
接着剤層(3)を前記基材(1)上及び/又は前記木材ベニヤ層(5、21)の前記第1面(14、35)上に配置する工程と、
前記木材ベニヤ層(5,21)を前記基材(1)上に配置する工程と、
前記木材ベニヤ層(5、21)を前記基材(1)にプレスする工程とを含み、
プレス後、前記接着剤層(3)からの接着剤(2)が、前記木材ベニヤ層(5、21)の前記第1面(14、35)から前記木材ベニヤ層(5、21)の厚さの10%以上延びる前記木材ベニヤ層(5、21)の小孔又は導管からなる第1部分(11、31)に存在し、
プレス後、前記木材ベニヤ層(5、21)の前記第2面(15、36)には、前記接着剤層(3)からの前記接着剤(2)が実質的になく、
プレス後、前記木材ベニヤ層(5、21)は、プレス前のその厚さの80%以下の厚さに圧縮され、
プレス後、前記木材ベニヤ層(15,21)の小孔又は導管からなる第2部分(12,32)は前記木材ベニヤ層(15,21)の前記第2面(15,36)から前記木材ベニヤ層(5,21)側へ延びるとともに、前記接着剤層(3)からの前記接着剤(2)を実質的に含まず、
前記木材ベニヤ層(15,21)の前記第2部分(12,32)は、前記木材ベニヤ層(15,21)の前記第2面(15,36)から前記木材ベニヤ層(5,21)側へ前記木材ベニヤ層(15,21)の厚さの少なくとも70%延びている、方法。
【請求項2】
プレス後、前記木材ベニヤ層(5、21)の前記第2面(15、36)へ延びる前記木材ベニヤ層(5、21)の小孔又は導管の40%未満、好ましくは30%未満、更に好ましくは20%未満が、前記接着剤層(3)からの前記接着剤(2)で、前記木材ベニヤ層(5、21)の前記第2面(15、36)まで充填される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
プレス後、前記木材ベニヤ層(5、21)の小孔又は導管の40%未満、好ましくは前記木材ベニヤ層(5、21)の小孔又は導管の30%未満、更に好ましくは前記木材ベニヤ層(5、21)の小孔又は導管の20%未満が、前記木材ベニヤ層(5、21)の前記第2部分(12、32)の前記接着剤層(3)からの前記接着剤(2)で充填される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
プレス後、前記木材ベニヤ層(5、21)の前記第2部分(12、32)は、前記木材ベニヤ層(5、21)の前記第2面(15、36)から前記木材ベニヤ層(5、21)のさの80%以上延びており、更に好ましくは前記木材ベニヤ層(5、21)の厚さの90%以上延びている、請求項1又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記基材(1)は、少なくとも一つの木材ベニヤ層(22、23、24)を含む、請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記基材(1)は、木質ボードを含む、請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記基材(1)は、紙シート又は不織布のシート等のシートを含む、請求項1乃至4のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記接着剤層(3)は、樹脂含浸紙を含む、請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記接着剤層(3)は、ホットメルト又は感圧接着剤等の熱可塑性バインダーを含む、請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記接着剤層(3)は、熱硬化性バインダーを含む、請求項1乃至7のうちのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
ベニヤエレメント(10、20)において、
基材(1)と、
第1面(14、35)及び第2面(15、36)を持ち、前記第1面(14、35)は前記第2面(15、36)とは反対側である木材ベニヤ層(5、21)と、
前記木材ベニヤ層(5、21)の前記第1面(14、35)を前記基材(1)の表面に接着する接着剤層(3)とを含み、
前記接着剤層(3)からの着剤(2)は、前記木材ベニヤ層(5、21)の小孔又は導管からなる第1部分(11、31)に存在し、前記木材ベニヤ層(5、21)の前記第1面(14、35)から前記木材ベニヤ層(5、21)の厚さの10%以上延びており、
前記木材ベニヤ層(5、21)の前記第2面(15、36)には、前記接着剤層(3)からの前記接着剤(2)が実質的になく、
前記木材ベニヤ層(5、21)は、その元の厚さの80%以下の厚さまで圧縮され、
前記木材ベニヤ層(15,21)の小孔又は導管からなる第2部分(12,32)は前記木材ベニヤ層(15,21)の前記第2面(15,36)から前記木材ベニヤ層(5,21)側へ延びるとともに、前記接着剤層(3)からの前記接着剤(2)を実質的に含まず、
前記木材ベニヤ層(15,21)の前記第2部分(12,32)は、前記木材ベニヤ層(15,21)の前記第2面(15,36)から前記木材ベニヤ層(5,21)側へ前記木材ベニヤ層(15,21)の厚さの少なくとも70%延びている、ベニヤエレメント。
【請求項12】
前記木材ベニヤ層(5、21)の前記第2部分(12、32)は、前記木材ベニヤ層(5、21)の前記第2面(15、36)から前記木材ベニヤ層(5、21)のさの80%以上延びており、更に好ましくは前記木材ベニヤ層(5、21)の厚さの90%以上延びている、請求項11に記載のベニヤエレメント。
【請求項13】
前記木材ベニヤ層(5、21)は、密度が少なくとも1000kg/m3である、請求項11または12に記載のベニヤエレメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベニヤエレメント及び木材ベニヤ層を含むベニヤエレメントの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば合板形態の構造材料としてベニヤ層を使用してもよい。合板は、例えば尿素ホルムアルデヒドやフェノールホルムアルデヒドで互いに接着された数枚のベニヤ層で形成されている。ベニヤ層は、低圧法では、約140℃の温度及び約10×10Pa(10bar)の圧力で互いに接着される。プレス後、接着剤は、ベニヤ層間に薄い層として存在する。ベニヤ層は、膨潤性及び熱膨張性を含む元来の性質を保持している。
【0003】
パネルの表面被覆としてベニヤ層を使用してもよい。WO 2015/105455には、木材ベニヤ層でできた表面層及び木材繊維を含む下層を持ち、表面層と木材繊維をベースとしたコアとの間にバインダーが配置された建材パネルが開示されている。表面層では、下層からの材料が木材ベニヤ内に延びている。
【0004】
WO 2015/105456には、下層がベニヤ層を透過し、ベニヤ層の設計が透過により制御されるベニヤエレメントの製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】WO 2015/105455
【文献】WO 2015/105456
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の実施例の目的は、上述の技術及び従来技術を越える改良を提供することである。
【0007】
本発明の実施例の別の目的は、従来の木材ベニヤと比べて表面硬度が向上した木材ベニヤ層を持つベニヤエレメントを提供することである。
【0008】
本発明の実施例の別の目的は、従来の木材ベニヤと比べて耐磨耗性が向上した木材ベニヤ層を持つベニヤエレメントを提供することである。
【0009】
本発明の実施例の別の目的は、従来の木材ベニヤと比べて耐水性が向上した木材ベニヤ層を持つベニヤエレメントを提供することである。
【0010】
本発明の実施例の別の目的は、ラッカー塗布がなされてもよい木材ベニヤ層を持つ木材ベニヤエレメントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下の説明から明らかになるであろうこれらの及び他の目的及び利点の少なくとも幾つかは、本発明の第1態様によるベニヤエレメントによって達成される。ベニヤエレメントは、基材と、第1面及び第1面とは反対側の第2面を持つ木材ベニヤ層と、木材ベニヤ層の第1面を基材の表面に接着する接着剤層とを有し、接着剤層からの接着剤が木材ベニヤ層の第1部分に存在し、木材ベニヤ層の第1面から木材ベニヤ層内に延び、木材ベニヤ層の第2面には接着剤層からの接着剤が実質的にない。
【0012】
ベニヤエレメントはパネルであってもよい。
【0013】
木材ベニヤ層の第2面には接着剤層からの接着剤が実質的にないというのは、木材ベニヤ層の第2面の表面の70%、好ましくは80%以上、例えば90%以上に接着剤層からの接着剤がないということを意味する。
【0014】
木材の種類ベニヤ製造方法等に応じて木材ベニヤ層の第2面の表面の一部、例えば20%未満、10%未満、5%未満が、木材ベニヤ層の小孔又は導管によって形成されている。第2面のほんの一部しか小孔又は導管によって形成されていないため、接着剤層からの接着剤が実質的にない第2面は、木材ベニヤ層の第2面内に延びる小孔又は導管の40%未満しか接着剤層からの接着剤で木材ベニヤ層の第2面まで充填されていなくてもよい。好ましくは、木材ベニヤ層の第2面内に延びる小孔又は導管の30%未満が、接着剤層からの接着剤で木材ベニヤ層の第2面まで充填され、更に好ましくは、木材ベニヤ層の第2面内に延びる小孔又は導管の20%未満が、接着剤層からの接着剤で木材ベニヤ層の第2面まで充填される。
【0015】
好ましくは、木材ベニヤ層の第2面の小孔又は導管には、接着剤が実質的になく、例えば小孔又は導管の60%以上、好ましくは70%以上、更に好ましくは80%以上、例えば小孔又は導管の90%以上に接着剤がない。
【0016】
小孔というのは、中空チャンネルが形成されるように切断した堅木等の被子植物の道管要素によって形成された小孔を意味する。導管というのは、軟木等の裸子植物の木部の細長い細胞を意味する。ベニヤの亀裂や穴等の比較的大きな構造は、小孔又は導管という用語には含まれない。ベニヤの亀裂や穴は、接着剤層からの接着剤で少なくとも部分的埋められていてもよい。
【0017】
少なくとも第1の態様の実施例の利点は、木材ベニヤを強化する接着剤からの接着剤によって、硬度、耐磨耗性、及び/又は耐水性等の性質が改善されるということである。プレス後にEN1534に従って計測した木材ベニヤのブリネル硬度は、好ましくは、プレス前に木材ベニヤについて計測したブリネル硬度よりも高い。
【0018】
木材ベニヤ層の第2面に接着剤層からの接着剤が実質的にないことの利点は、パテ及び/又はコーティング等の別の層又はラッカー層への付着性が改善されるということである。表面には、別の層への付着性を損なう接着剤が実質的にない。木材ベニヤの穴及び/又は亀裂を埋めるために木材パテを付けてもよい。
【0019】
一実施例では、木材ベニヤ層の第2部分、即ち木材ベニヤ層の第2面から木材ベニヤ層内に延びる第2部分には、接着剤層からの接着剤が実質的にない。これによって、パテ及び/又はコーティング等の別の層又はラッカー層への付着性が更に改善される。これは、別の層への付着性を損なう接着剤が第2部分に実質的にないためである。
【0020】
木材の種類やベニヤ製造方法等に応じて、木材ベニヤ層の木材の一部、例えば20%未満、10%未満、5%未満しか小孔又は導管によって形成されていないため、接着剤層からの接着剤で少なくとも部分内に充填された第2部分の木材ベニヤ層の小孔又は導管の40%未満に接着剤層からの接着剤が実質的にない。好ましくは、第2部分の木材ベニヤ層の小孔又は導管の30%未満が、接着剤層からの接着剤で少なくとも部分内に充填されており、更に好ましくは、第2部分の木材ベニヤの小孔又は導管の20%未満が、接着剤層からの接着剤で少なくとも部分内に充填されている。
【0021】
好ましくは、木材ベニヤ層の第2部分の小孔又は導管の孔には接着剤が全くなく、小孔又は導管の60%以上、好ましくは70%以上、更に好ましくは80%以上、例えば90%以上に接着剤がない。木材ベニヤ層の第2面の表面の60%以上、好ましくは70%以上、例えば80%以上には、木材ベニヤ層の木材繊維に接着剤層からの接着剤がない。
【0022】
一実施例では、木材ベニヤ層を、その元の厚さの80%以下の厚さに圧縮してもよい。木材ベニヤ層を圧縮することにより、木材ベニヤの硬度が向上する。更に、木材ベニヤ層を更に稠密にすることにより、歩行の衝撃による音を和らげ、吸音性を改善する。
【0023】
一実施例では、第1部分は、木材ベニヤ層の厚さの10%以上延びていてもよい。木材ベニヤ層の対応する第2部分には接着剤が実質的になく、木材ベニヤ層の厚さの90%以下に延びていてもよい。第1部分では、接着剤層からの接着剤が木材ベニヤ層内に更に大きく延びているため、木材ベニヤ層は接着剤によって強化される。木材ベニヤを強化する接着剤層からの接着剤によって、硬度、耐磨耗性、及び/又は耐水性等の性質が改善される。
【0024】
一実施例では、木材ベニヤ層の第2部分は、木材ベニヤ層の第2面から木材ベニヤ層の厚さの70%以上、好ましくは木材ベニヤ層の厚さの80%以上、更に好ましくは木材ベニヤ層の厚さの90%以上延びていてもよい。接着剤が少なくとも実質的にない第2部分が木材ベニヤ層の厚さの70%以上延びるようにすることによって、圧縮状態で、木材ベニヤ層の大部分に接着剤の作用が及ぼされないままにし、可撓性のままにする。第2部分は、第1部分とは異なり接着剤層からの接着剤によって圧縮状態に係止されていないが、比較的可撓性のままであり、これにより、例えば木材ベニヤ層に更に容易にエンボス加工を施すことができる。更に、接着剤が実質的にない木材ベニヤ層の第2部分により、木材ベニヤの木の感触が維持されてもよい。更に、パテ及び/又はコーティング等の別の層又はラッカー層への付着性が改善される。
【0025】
一実施例では、木材ベニヤ層の第2部分は、木材ベニヤ層の第2面から木材ベニヤ層の厚さの5%以上、好ましくは木材ベニヤ層の厚さの10%以上、更に好ましくは木材ベニヤ層の厚さの20%以上延びている。木材ベニヤ層の第2部分の厚さを大きくすることによって、接着剤層からの接着剤が実質的にない部分を大きくし、これによって、別の層への付着性を改善する。
【0026】
木材ベニヤ層の第2面にサンダー掛け等の研磨加工を施してもよい。これによって、木材ベニヤの第2部分の厚さを小さくし、第2部分が木材ベニヤ層の第2面から木材ベニヤ層の厚さの0.5%以上、好ましくは木材ベニヤ層の厚さの2%以上、更に好ましくは木材ベニヤ層の厚さの10%以上延びるようにしてもよい。
【0027】
サンダー掛け等の研磨加工を施した後、木材ベニヤ層の第2面の表面の60%以上、好ましくは70%以上、例えば80%以上には、木材ベニヤ層の木材繊維に接着剤層からの接着剤がない。
【0028】
第1部分は、木材ベニヤ層の厚さの20%以上、好ましくは30%以上、及び更に好ましくは木材ベニヤ層の厚さの40%以上、例えば木材ベニヤ層の厚さの50%以上延びている。接着剤層からの接着剤を含む木材ベニヤ層の部分の厚さを大きくすることによって、木材ベニヤ層の硬度、耐磨耗性、及び/又は耐水性が改善されてもよい。
【0029】
一実施例では、第2部分は、木材ベニヤ層の厚さの0.5%以上延びていてもよく、第1部分は、木材ベニヤ層の厚さの99.5%以下延びていてもよい。第2部分は、木材ベニヤ層の厚さの2%以上延びていてもよく、第1部分は、木材ベニヤ層の厚さ内に98%以下延びていてもよい。第2部分は、木材ベニヤ層の厚さの5%以上延びていてもよく、第1部分は、木材ベニヤ層の厚さの95%以下延びていてもよい。
【0030】
一実施例では、第2部分は、木材ベニヤの厚さの70%以上延びていてもよく、第1部分は、木材ベニヤの厚さの30%以下延びていてもよい。第2部分は、木材ベニヤの厚さの80%以上延びていてもよく、第1部分は、木材ベニヤの厚さの20%以下延びていてもよい。
【0031】
木材ベニヤの密度は少なくとも1000kg/mであってもよい。木材ベニヤ層は、圧縮木材ベニヤで形成されていてもよい。木材ベニヤの密度を少なくとも1000kg/mにすることによって、即ち木材ベニヤが少なくとも1000kg/mの密度に圧縮されることによって木材ベニヤの硬度が高められる。更に、木材ベニヤ層を更に稠密にすることにより、歩行の衝撃による音を和らげ、吸音性を改善する。
【0032】
基材は、少なくとも一つの木材ベニヤ層を含んでいてもよい。基材は、合板等のように数枚の木材ベニヤ層を含んでいてもよい。好ましくは、ベニヤエレメントは、奇数の木材ベニヤ層を含む。好ましくは、木材ベニヤ層は、交差して配置されている。好ましくは、各木材ベニヤ層において、各木材ベニヤ層の第1部分に接着剤が存在し、各木材ベニヤ層の第1面から各木材ベニヤ層の厚さの10%以上、好ましくは20%以上、更に好ましくは30%以上、例えば40%以上延びる。これにより、硬度の高い合板が提供される。
【0033】
基材は、木質パネルでできていてもよい。木質パネルは、HDF、MDF、OSB、ラメラコア、及び無垢材を含む群から選択されてもよい。基材は、熱可塑性プラスチックボードであってもよい。基材は、熱可塑性材料でできていてもよい。
基材は、紙シート又は不織布のシート等のシートでできていてもよい。
【0034】
接着剤層は、樹脂含浸紙を含んでいてもよい。樹脂含浸紙には、尿素ホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、又はこれらの組み合わせが含浸させてあってもよい。紙にはポリウレタンが含浸させてあってもよい。樹脂含浸紙からの樹脂には接着剤の機能があり、樹脂含浸紙によって木材ベニヤ層を基材に結合し、木材ベニヤ層の第1部分に存在する。
【0035】
接着剤層は、熱硬化性バインダーを含んでいてもよい。熱硬化性バインダーは、尿素ホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、ポリウレタン、ポリエステル、エマルジョンポリマーイソシアネート(EPI)、又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0036】
接着剤層は、熱可塑性バインダーを含んでいてもよい。熱可塑性バインダーは、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリウレタン(PU)、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリビニルブチラール(PVB)、及び/又はポリビニルアセテート(PVAc)、又はこれらの組み合わせであってもよい。接着剤層は、ホットメルト又は感圧接着剤を含んでいてもよい。
【0037】
木材ベニヤ層の第2面に配置された、プライマー、ホイル又はシートからの材料は、第2面の小孔又は導管に存在していてもよい。木材ベニヤ層の第2面に配置された、プライマー、ホイル又はシートからの材料は、木材ベニヤ層の第2部分の小孔又は導管に存在していてもよい。こうした材料は、印刷プライマー、即ちラッカー塗布を行うために木材ベニヤ層を調製するためのプライマー等のプライマーからの材料であってもよい。材料は、オーバーレイ等のホイル又はシートからの熱硬化性樹脂であってもよい。
【0038】
本発明の第2の態様によれば、木材ベニヤエレメントを製造するための方法が提供される。この方法は、
基材と、第1面及び第2面を持ち、第1面が第2面とは反対側の木材ベニヤ層とを提供する工程と、
基材及び/又は木材ベニヤ層の第1面上に接着剤層を配置する工程と、
木材ベニヤ層を基材にプレスする工程とを含み、
プレス後、木材ベニヤ層の第1面から木材ベニヤ層内に延びる木材ベニヤ層の第1部分に接着剤層からの接着剤が存在し、
プレス後、木材ベニヤ層の第2面には接着剤層からの接着剤層が実質的にない。
【0039】
ベニヤエレメントはパネルであってもよい。
【0040】
木材ベニヤ層の第2面に接着剤層からの接着剤層が実質的にないということは、木材ベニヤ層の第2面の表面の70%、好ましくは80%以上、例えば90%以上に接着剤層からの接着剤層がないということを意味する。
【0041】
木材の種類やベニヤ製造方法等に応じて、木材ベニヤ層の第2面の表面の一部、例えば20%未満、10%未満、例えば5%未満が、木材ベニヤの小孔又は導管によって形成されている。第2面の一部分しか小孔又は導管によって形成されていないため、接着剤層からの接着剤が実質的にない第2面では、木材ベニヤ層の第2面内に延びる小孔又は導管の40%未満が、接着剤層からの接着剤で木材ベニヤ層の第2面まで充填される。好ましくは、木材ベニヤ層の第2面内に延びる小孔又は導管の30%未満が、接着剤層からの接着で木材ベニヤ層の第2面まで充填され、更に好ましくは木材ベニヤ層の第2面内に延びる小孔又は導管の20%未満が、接着剤層からの接着で木材ベニヤ層の第2面まで充填される。
【0042】
好ましくは、木材ベニヤ層の第2面の小孔又は導管には接着剤が実質的になく、例えば小孔又は導管の60%以上、好ましくは70%以上、更に好ましくは80%以上、例えば小孔又は導管の90%に接着剤がない。
【0043】
小孔というのは、中空チャンネルが形成されるように切断した堅木等の被子植物の道管要素によって形成された孔を意味する。導管というのは、軟木等の裸子植物の木部の細長い細胞を意味する。ベニヤの亀裂や穴等の比較的大きな構造は、小孔又は導管という用語には含まれない。ベニヤの亀裂や穴は、接着剤層からの接着剤で少なくとも部分的に埋められる。
【0044】
少なくとも第2態様の実施例の利点は、硬度、耐磨耗性、及び/又は耐水性等の性質が、木材ベニヤを強化する接着剤からの接着剤によって改善されるということである。プレス後にEN1534に従って計測した木材ベニヤ層のブリネル硬度は、好ましくは、プレス前に木材ベニヤについて計測したブリネル硬度よりも高い。第1部分の接着剤は、プレス後であっても、木材ベニヤをその圧縮状態に固定し、木材ベニヤは厚さが圧縮された状態を保持する。
【0045】
木材ベニヤ層の第2面に接着剤層からの接着剤が実質的にない状態にすることによる利点は、パテ及び/又はコーティング等の別の層又はラッカー層への付着性が改善されるということである。表面には、別の層への付着性を損なう場合がある接着剤が実質的にないのがよい。木材ベニヤの穴や亀裂を埋めるために木材パテを付けてもよい。
【0046】
プレス後、木材ベニヤ層の第2面から木材ベニヤ層内に延びる木材ベニヤ層の第2部分には、接着剤層からの接着剤が実質的にない。これによって、パテ及び/又はコーティング等の別の層又はラッカー層への付着性が更に改善される。これは、別の層への付着性を損なう接着剤が第2部分に実質的にないためである。
【0047】
木材の種類やベニヤ製造方法等に応じて、木材ベニヤ層の木材の一部、例えば20%未満、10%未満、例えば5%未満しか小孔又は導管によって形成されていないため、接着剤層からの接着剤が実質的にないのは、接着剤層からの接着剤で少なくとも部分内に充填された第2部分の木材ベニヤの小孔又は導管の40%未満である。好ましくは、第2部分の木材ベニヤの小孔又は導管の30%未満が、接着剤層からの接着剤で少なくとも部分内に充填されており、更に好ましくは、第2部分の木材ベニヤの小孔又は導管の20%未満が、接着剤層からの接着剤で少なくとも部分内に充填されている。
【0048】
好ましくは、プレス後の木材ベニヤ層の第2面の小孔又は導管には接着剤が実質的になく、小孔又は導管の60%以上に接着剤がなく、好ましくは小孔又は導管の70%以上、更に好ましくは80%以上、例えば90%以上に接着剤がない。
【0049】
木材ベニヤ層の第2面の表面の60%以上、好ましくは70%以上、例えば80%以上で、木材ベニヤ層の木材繊維には接着剤層からの接着剤がない。
【0050】
一実施例では、プレス後、木材ベニヤ層を、プレス前のその厚さの80%以下の厚さに圧縮してもよい。木材ベニヤ層を圧縮することによって、木材ベニヤの硬度を向上する。木材ベニヤ層を更に稠密にすることによって、歩行の衝撃による音を和らげ、吸音性を改善する。
【0051】
一実施例では、第1部分は、プレス後の木材ベニヤ層の厚さの10%以上延びていてもよい。接着剤が実質的にない木材ベニヤの対応する第2部分は、木材ベニヤ層の厚さの90%内に延びていてもよい。第1部分には、木材ベニヤ層内に更に深く延びる接着剤層からの接着剤により、木材ベニヤ層が接着剤によって強化される。硬度、耐磨耗性、及び/又は耐水性等の性質は、木材ベニヤを強化する接着剤からの接着剤によって高められる。
【0052】
一実施例では、木材ベニヤ層の第2部分は、プレス後、木材ベニヤ層の第2面から木材ベニヤ層の厚さの70%以上、好ましくは木材ベニヤ層の厚さの80%以上、更に好ましくは木材ベニヤ層の厚さの90%以上延びていてもよい。接着剤が少なくとも実質的にない第2部分が木材ベニヤ層の厚さの70%以上延びていることにより、木材ベニヤ層の大部分は接着剤の作用が及ぼされないままであり、可撓性の圧縮状態にある。第2部分は、接着剤層からの接着剤によって圧縮状態に係止されておらず、比較的可撓性のままであり、これいより、例えば木材ベニヤに容易にエンボスを付けることができる。更に、木材ベニヤ層の第2部分に接着剤が実質的にないことにより、木材ベニヤの木の感触が維持される。更に、パテ及び/又はコーティング等の別の層又はラッカー層への付着性が更に改善される。
【0053】
一実施例では、木材ベニヤ層の第2部分は、木材ベニヤ層の第2面から木材ベニヤ層の厚さの2%以上、好ましくは木材ベニヤ層の厚さの5%以上、更に好ましくは木材ベニヤ層の厚さの10%以上延びていてもよい。木材ベニヤ層の第2部分の厚さを大きくすることによって、接着剤層からの接着剤が実質的にない木材の割合を大きくし、これによって別の層への付着性を改善する。
【0054】
本方法は、更に、木材ベニヤ層の第2面を研磨加工する工程を含んでいてもよい。木材ベニヤ層の第2面にサンド掛けしてもよい。これによって、第2部分が、木材ベニヤ層の第2面から木材ベニヤ層の厚さの0.5%以上、好ましくは木材ベニヤ層の厚さの2%以上、更に好ましくは木材ベニヤ層の厚さの5%以上延びるように、木材ベニヤ層の第2部分の厚さを小さくしてもよい。
【0055】
サンド掛け等の研磨加工の後、木材ベニヤ層の第2面の表面の60%以上、好ましくは70%以上、例えば80%以上で、木材ベニヤ層の木材繊維に接着剤層からの接着剤がない。
【0056】
第1部分は、木材ベニヤ層の厚さの20%以上、好ましくは30%以上、更に好ましくは木材ベニヤ層の厚さの40%以上、例えば木材ベニヤ層の厚さの50%以上延びていてもよい。接着剤層からの接着剤を含む木材ベニヤ層の部分の厚さを大きくすることによって、木材ベニヤ層の硬度、耐磨耗性、及び/又は耐水性を向上してもよい。
【0057】
第2部分は、木材ベニヤ層の厚さの0.5%以上延びていてもよく、第1部分は木材ベニヤ層の厚さの99.5%以下延びていてもよい。第2部分は、木材ベニヤ層の厚さの2%以上延びていてもよく、第1部分は、木材ベニヤ層の厚さの98%以下延びていてもよい。第2部分は、木材ベニヤ層の厚さの5%以上延びていてもよく、第1部分は、木材ベニヤ層の厚さの95%以下延びていてもよい。
【0058】
一実施例では、第2部分は、木材ベニヤの厚さ内に70%以上延びていてもよく、第1部分は、木材ベニヤの厚さの30%以下延びていてもよい。第2部分は、木材ベニヤの厚さ内に80%以上延びていてもよく、第1部分は、木材ベニヤの厚さ内に20%以下延びていてもよい。
【0059】
一実施例では、木材ベニヤ層は、プレス前の厚さの70%以下の厚さに圧縮されてもよく、好ましくはプレス前の厚さの50%以下の厚さに圧縮されてもよい。木材ベニヤ層はプレス中に圧縮され、プレス後に圧縮状態が実質的に維持される。接着剤層の接着剤が木材ベニヤ層を圧縮状態に固定する。これによって、木材ベニヤ層の硬度が向上する。
【0060】
プレス後の木材ベニヤ層の密度は、少なくとも1000kg/mであってもよい。
【0061】
木材ベニヤ層を基材にプレスする工程には、加熱工程及び加圧工程が含まれていてもよい。
【0062】
加えられた圧力は、少なくとも15×10Pa(15bar)であってもよい。15×10Pa(15bar)を越える圧力を加えることによって、接着剤層からの接着剤が木材ベニヤに押し込まれ、これによって木材ベニヤを強化する。圧力は少なくとも15秒に亘って加えられてもよく、好ましくは少なくとも30秒に亘って加えられてもよく、更に好ましくは少なくとも45秒に亘って加えられてもよい。温度は、少なくとも150℃、例えば150℃乃至200℃であってもよい。
【0063】
基材は、少なくとも一つの木材ベニヤ層を含んでいてもよい。基材は、合板等のように数枚の木材ベニヤ層を含んでいてもよい。好ましくは、ベニヤエレメントは奇数の木材ベニヤ層を含んでいてもよい。好ましくは、木材ベニヤ層は交差して配置される。好ましくは、木材ベニヤ層の各々において、接着剤は各木材ベニヤ層の第1部分に存在し、各木材ベニヤ層の第1面から各木材ベニヤ層の厚さの10%以上、好ましくは20%以上、更に好ましくは30%以上、例えば40%以上延びている。これにより、硬度を向上した合板が提供される。
【0064】
基材は、木質パネルでできていてもよい。木質パネルは、HDF、MDF、OSB、ラメラコア、及び無垢材を含む群から選択されてもよい。基材は、熱可塑性プラスチックボードであってもよい。基材は、熱可塑性材料でできていてもよい。
【0065】
基材は、紙シート又は不織布のシート等のシートでできていてもよい。
【0066】
接着剤層は、樹脂含浸紙でできていてもよい。樹脂含浸紙には、尿素ホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、又はこれらの組み合わせが染み込ませてあってもよい。紙にはポリウレタンが染み込ませてあってもよい。樹脂含浸紙からの樹脂には接着剤の機能があり、樹脂含浸紙によって木材ベニヤ層を基材に結合し、木材ベニヤ層の第1部分に存在する。
【0067】
接着剤層は、熱可塑性バインダーを含んでいてもよい。熱可塑性バインダーは、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリウレタン(PU)、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリビニルブチラール(PVB)、及び/又はポリビニルアセテート(PVAc)、又はこれらの組み合わせであってもよい。接着剤層は、ホットメルト又は感圧接着剤を含んでいてもよい。
【0068】
接着剤層は、熱硬化性バインダーを含んでいてもよい。熱硬化性バインダーは、尿素ホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、ポリウレタン、ポリエステル、エマルジョンポリマーイソシアネート(EPI)、又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0069】
接着剤は粉体形態で付けられてもよい。粉体形態の熱硬化性バインダーは、基材上及び/又は木材ベニヤ層の第1面上のいずれかに塗布される。
【0070】
接着剤は液体形態で付けられてもよい。液体形態の熱硬化性バインダーは、基材上及び/又は木材ベニヤ層の第1面上のいずれかに塗布される。
【0071】
プレス前にプライマー、ホイル又はシートを木材ベニヤ層の第2面に付けてもよい。プライマーは、印刷プライマー、即ちラッカー塗布を行うために木材ベニヤ層を調製するためのプライマー等であってもよい。オーバーレイ等のホイル又はシートにBステージ化した熱硬化性充填が染み込ませてあってもよい。プレス中、プライマー、ホイル又はシートからの材料が木材ベニヤ層の第2面の小孔又は導管に押し込まれてもよい。これによって反作用力が得られ、接着剤層からの接着剤が木材ベニヤ層の第2面内に染み込まないようにする。反作用力により、接着剤層からの接着剤が木材ベニヤ層の第2部分に染み込まないようにし、接着剤層からの大量の接着剤を木材ベニヤ層の第2面に存在させることなく、木材ベニヤ層が接着剤層からの接着剤で更に完全に含浸されるように、接着剤層からの大量の接着剤及び/又は高い圧力を加えることができる。
【0072】
第3の態様によれば、ベニヤエレメントを製造する方法が提供される。ベニヤエレメントは、最上木材ベニヤ層、少なくとも一つの中間木材ベニヤ層、及び最下木材ベニヤ層を含み、最上木材ベニヤ層は第1面及び第2面を有し、第1面は第2面とは反対側である。接着剤層が最上木材ベニヤ層の第1面を前記少なくとも一つの中間木材ベニヤ層の表面に接着するようになっており、接着剤層からの接着剤は、最上木材ベニヤ層の第1部分に存在し、最上木材ベニヤ層の第1面から最上木材ベニヤ層内に延び、最上木材ベニヤ層の第2面には、接着剤層からの接着剤が実質的にない。
【0073】
ベニヤエレメントはパネルであってもよい。
【0074】
木材ベニヤ層の第2面に接着剤層からの接着剤が実質的にないというのは、木材ベニヤ層の第2面の表面の70%、好ましくは80%以上、例えば90%以上に接着剤層からの接着剤がないということを意味する。
【0075】
木材ベニヤ層の第2面の表面の一部、例えば20%未満、例えば10%未満、例えば5%が、木材ベニヤ層の小孔又は導管によって形成されている。第2面の一部しか小孔又は導管によって形成されていないため、接着剤層からの接着剤が実質的にない第2面では、木材ベニヤ層の第2面内に延びる小孔又は導管の40%未満が、接着剤層からの接着剤で木材ベニヤ層の第2面まで充填される。好ましくは、木材ベニヤ層の第2面内に延びる小孔又は導管の30%未満が、接着剤層からの接着剤で木材ベニヤ層の第2面まで充填され、更に好ましくは、木材ベニヤ層の第2面の小孔又は導管の20%未満が、接着剤層から木材ベニヤ層の第2面まで接着剤で充填される。
【0076】
好ましくは、木材ベニヤ層の第2面の小孔又は導管には、接着剤が実質的になく、小孔又は導管の60%以上に接着剤がなく、好ましくは、小孔又は導管の70%以上、更に好ましくは80%以上、例えば90%以上に接着剤がない。
【0077】
小孔というのは、中空チャンネルが形成されるように切断した堅木等の被子植物の道管要素によって形成された孔を意味する。導管というのは、軟木等の裸子植物の木部の細長い細胞を意味する。ベニヤの亀裂や穴等の比較的大きな構造は、小孔又は導管という用語には含まれない。ベニヤの亀裂や穴は、接着剤層からの接着剤で少なくとも部分的に埋められる。
【0078】
以上の三つの態様の実施例の利点は、木材ベニヤ層を強化する接着剤層からの接着剤によって硬度、耐磨耗性、及び/又は耐水性等の性質が改善されるということである。プレス後にEN1534に従って計測した木材ベニヤ層のブリネル硬度は、好ましくは、プレス前に木材ベニヤ層について計測したブリネル硬度よりも高い。
【0079】
木材ベニヤ層の第2面に接着剤層からの接着剤が実質的にないようにすることの利点は、パテ及び/又はコーティング等の別の層又はラッカー層への付着性が更に改善されるということである。表面には、別の層への付着性を損なう接着剤が実質的になくてもよい。木材パテを付けて木材ベニヤの穴や亀裂を埋めてもよい。
【0080】
一実施例では、木材ベニヤ層の第2部分、即ち木材ベニヤ層の第2面から木材ベニヤ層内に延びる木材ベニヤ層の第2部分には、接着剤層からの接着剤が実質的になくてもよい。これによって、パテ及び/又はコーティング等の別の層又はラッカー層への付着性が更に改善される。これは、第2部分には、別の層への付着性を損なう接着剤が実質的にないためである。
【0081】
木材の種類やベニヤ製造方法等に応じて、木材ベニヤ層の一部、例えば20%未満、10%未満、5%未満しか、小孔又は導管によって形成されていないため、接着剤層からの接着剤が実質的にないのは、接着剤層からの接着剤で少なくとも部分的に充填された第2部分の木材ベニヤの小孔又は導管の40%未満である。好ましくは、第2部分の木材ベニヤの小孔又は導管の30%未満が接着剤層からの接着剤で少なくとも部分的に充填され、更に好ましくは第2部分の木材ベニヤの小孔又は導管の20%未満が接着剤層からの接着剤で少なくとも部分的に充填されている。
【0082】
好ましくは、木材ベニヤ層の第2面の小孔又は導管には接着剤が実質的になく、小孔又は導管の60%以上に接着剤がなく、好ましくは70%、更に好ましくは80%以上、例えば小孔又は導管の90%以上に接着剤がない。木材ベニヤ層の第2面の表面の60%以上、好ましくは70%以上、例えば80%以上で、木材ベニヤ層の木材繊維に接着剤層からの接着剤がない。
【0083】
一実施例では、最上木材ベニヤ層は、その元の厚さの80%以下の厚さに圧縮されてもよい。木材ベニヤ層を圧縮することによって木材ベニヤの硬度を高める。更に、木材ベニヤ層を更に稠密にすることにより、歩行の衝撃による音を和らげ、吸音性を改善する。
【0084】
一実施例では、第1部分は、最上木材ベニヤ層の厚さ内に10%以上延びていてもよい。接着剤が実質的にない木材ベニヤ層の対応する第2部分は、木材ベニヤ層の厚さ内に90%又はそれ以下延びていてもよい。第1部分が、木材ベニヤ層内に延びる接着剤層からの接着剤を含むことにより、木材ベニヤ層は接着剤によって強化される。硬度、耐磨耗性、及び/又は耐水性等の性質は、木材ベニヤを強化する接着剤からの接着剤によって改善される。
【0085】
一実施例では、最上木材ベニヤ層の第2部分は、プレス後、最上木材ベニヤ層の第2面から最上木材ベニヤ層の厚さ内に70%以上、好ましくは最上木材ベニヤ層の厚さの80%以上、更に好ましくは最上木材ベニヤ層の厚さの90%以上延びていてもよい。接着剤が少なくとも実質的にない第2部分が木材ベニヤ層の厚さの70%以上延びるため、木材ベニヤ層の大部分には接着剤の作用が及ぼされず、可撓性の圧縮状態にある。第2部分は、第1部分とは異なり、接着剤層からの接着剤によって圧縮状態に係止されておらず、その代わり可撓性が比較的大きく、例えば木材ベニヤ層に容易にエンボス加工を施すことができる。更に、接着剤が実質的にない木材ベニヤ層の部分により、木材ベニヤの木の感触が維持されてもよい。更に、パテ及び/又はコーティング等の別の層又はラッカー層への付着性が更に改善される。
【0086】
本方法の第4の態様によればベニヤエレメントの製造方法が提供される。この方法は、
第1面及び第1面とは反対側の第2面を有する最上木材ベニヤ層、少なくとも一つの中間木材ベニヤ層、及び最下木材ベニヤ層を提供する工程と、
前記少なくとも一つの中間木材ベニヤ層上に及び/又は最上木材ベニヤ層の第1面上に接着剤層を配置する工程と、
最上木材ベニヤ層、前記少なくとも一つの中間木材ベニヤ層、及び最下木材ベニヤ層を互いにプレスする工程とを含み、
プレス後、接着剤層からの接着剤が、木材ベニヤ層の第1面から木材ベニヤ層内に延びる最上木材ベニヤ層の第1部分に存在し、
プレス後、最上木材ベニヤ層の第2面には、接着剤層からの接着剤が実質的にない。
【0087】
ベニヤエレメントはパネルであってもよい。
【0088】
木材ベニヤ層の第2面に接着剤層からの接着剤が実質的にないということは、木材ベニヤ層の第2面の表面の70%、好ましくは80%以上、例えば90%以上に接着剤層からの接着剤がないということを意味する。
【0089】
木材の種類やベニヤ製造方法等に応じて、木材ベニヤ層の第2面の表面の一部、例えば20%未満、10%未満、5%未満しか、木材ベニヤの小孔又は導管によって形成されていない。第2面の一部しか小孔又は導管によって形成されていないため、接着剤層からの接着剤が実質的にない第2面には、接着剤層からの接着剤で充填された木材ベニヤ層の第2面内に木材ベニヤ層の第2面まで延びる小孔又は導管は40%未満しかない。好ましくは、木材ベニヤの第2面内に延びる小孔又は導管の30%未満が、接着剤層からの接着剤によって木材ベニヤ層の第2面まで充填されており、更に好ましくは、木材ベニヤの第2面内に延びる小孔又は導管の20%未満が、接着剤層からの接着剤によって木材ベニヤ層の第2面まで充填されている。
【0090】
好ましくは、木材ベニヤ層の第2面の小孔又は導管には接着剤が実質的になく、例えば小孔又は導管の60%以上、好ましくは70%以上、更に好ましくは80%以上、例えば90%以上に接着剤がない。
【0091】
小孔というのは、中空チャンネルが形成されるように切断した堅木等の被子植物の道管要素によって形成された孔を意味する。導管というのは、軟木等の裸子植物の木部の細長い細胞を意味する。ベニヤの亀裂や穴等の比較的大きな構造は、小孔又は導管という用語には含まれない。ベニヤの亀裂や穴は、接着剤層からの接着剤で少なくとも部分的に埋められる。
【0092】
少なくとも第4の態様の実施例の利点は、木材ベニヤ層を強化する接着剤からの接着剤によって硬度、耐磨耗性、及び/又は耐水性等の性質が改善されるということである。プレス後にEN1534に従って計測した木材ベニヤ層のブリネル硬度は、好ましくは、プレス前に木材ベニヤ層について計測したブリネル硬度よりも高い。
【0093】
木材ベニヤ層の第2面に接着剤層からの接着剤が実質的にないようにすることの利点は、パテ及び/又はコーティング等の別の層又はラッカー層への付着性が改善されるということである。表面には、別の層への付着性を損なう接着剤が実質的になくてもよい。木材パテを付けて木材ベニヤの穴や亀裂を埋めてもよい。
【0094】
一実施例では、木材ベニヤ層の第2部分、即ち木材ベニヤ層の第2面から木材ベニヤ層内に延びる第2部分には、接着剤層からの接着剤が実質的になくてもよい。これによって、パテ及び/又はコーティング等の別の層又はラッカー層への付着性が更に改善される。これは、第2部分には、別の層への付着性を損なう接着剤が実質的にないためである。
【0095】
木材ベニヤ層の一部、例えば20%未満、10%未満、5%未満しか、小孔又は導管によって形成されていないため、接着剤層からの接着剤が実質的にないのは、接着剤層からの接着剤で少なくとも部分的に充填された第2部分の木材ベニヤの小孔又は導管の40%未満である。好ましくは、第2部分の木材ベニヤの小孔又は導管の30%未満が接着剤層からの接着剤で少なくとも部分的に充填され、更に好ましくは第2部分の木材ベニヤの小孔又は導管の20%未満が接着剤層からの接着剤で少なくとも部分的に充填されている。
【0096】
好ましくは、木材ベニヤ層の第2面の小孔又は導管には接着剤が実質的になく、小孔又は導管の60%以上に接着剤がなく、好ましくは小孔又は導管の70%、更に好ましくは80%以上、例えば90%以上に接着剤がない。木材ベニヤ層の第2面の表面の60%以上、好ましくは70%以上、例えば80%以上で、木材ベニヤ層の木材繊維に接着剤層からの接着剤がない。
【0097】
一実施例では、プレス後、最上木材ベニヤ層は、プレス前のその厚さの80%以下の厚さに圧縮されてもよい。木材ベニヤ層を圧縮することによって木材ベニヤの硬度を高める。更に、木材ベニヤ層を更に稠密にすることにより、歩行の衝撃による音を和らげ、吸音性を改善する。
【0098】
一実施例では、第1部分は、プレス後、最上木材ベニヤ層の厚さの10%以上延びていてもよい。接着剤が実質的にない木材ベニヤの対応する第2部分は、木材ベニヤ層の厚さの90%又はそれ以下延びていてもよい。第1部分が、木材ベニヤ層内に更に深く延びる接着剤層からの接着剤を含むことにより、木材ベニヤ層は接着剤によって強化される。硬度、耐磨耗性、及び/又は耐水性等の性質は、木材ベニヤを強化する接着剤からの接着剤によって改善される。
【0099】
一実施例では、最上木材ベニヤ層の第2部分は、プレス後、最上木材ベニヤ層の第2面から最上木材ベニヤ層の厚さの70%以上、好ましくは最上木材ベニヤ層の厚さの80%以上、更に好ましくは最上木材ベニヤ層の厚さの90%以上延びていてもよい。木材ベニヤ層の厚さの70%以上延びる接着剤が第2部分に少なくとも実質的にないため、木材ベニヤ層の大部分には接着剤の作用が及ぼされず、可撓性の圧縮状態にある。第2部分は、第1部分とは異なり、接着剤層からの接着剤によって圧縮状態に係止されておらず、その代わり可撓性が比較的大きく、例えば木材ベニヤ層に容易にエンボス加工を施すことができる。更に、接着剤が実質的にない木材ベニヤ層の部分により、木材ベニヤの木の感触が維持されてもよい。更に、パテ及び/又はコーティング等の別の層又はラッカー層への付着性が更に改善される。
【0100】
本方法の第5の態様によればベニヤエレメントの製造方法が提供される。この方法は、
最上木材ベニヤ層、少なくとも一つの中間木材ベニヤ層、及び最下木材ベニヤ層を提供する工程と、
最上木材ベニヤ層及び/又は前記少なくとも一つの中間木材ベニヤ層、及び前記少なくとも一つの中間木材ベニヤ層及び/又は最下木材ベニヤ層の夫々に接着剤層を配置する工程と、
木材ベニヤ層を互いにプレスする工程とを含み、
プレス後、接着剤層からの接着剤が前記少なくとも一つの中間木材ベニヤ層の部分に存在し、前記部分の各々の厚さは、前記少なくとも一つの中間木材ベニヤ層の各々の厚さの5%以上、好ましくは前記少なくとも一つの中間木材ベニヤ層の各々の厚さの10%以上、更に好ましくは前記少なくとも一つの中間木材ベニヤ層の各々の厚さの15%以上である。
【0101】
前記部分の総組み合わせ厚さは、前記少なくとも一つの中間木材ベニヤ層の各々の厚さの20%以上、好ましくは40%以上、更に好ましくは60%以上である。
【0102】
これによって、曲げ強度、硬度、耐磨耗性、及び/又は耐水性が高い高強度ベニヤエレメントが得られる。
【0103】
接着剤層からの接着剤が前記少なくとも一つの中間木材ベニヤ層に存在するということは、木材ベニヤ層の小孔又は導管が接着剤層からの接着剤で充填されるということを意味する。小孔というのは、中空チャンネルが形成されるように切断した堅木等の被子植物の道管要素によって形成された孔を意味する。導管というのは、軟木等の裸子植物の木部の細長い細胞を意味する。
【0104】
接着剤層からの接着剤は、最上木材ベニヤ層に面する前記少なくとも一つの中間木材ベニヤ層の第1部分、及び最下木材ベニヤ層に面する前記少なくとも一つの中間木材ベニヤ層の第2部分に存在する。第1及び第2の部分の総厚は、前記少なくとも一つの中間木材ベニヤ層の各々の厚さの20%以上、好ましくは40%以上、更に好ましくは60%以上である。
【0105】
ベニヤエレメントは合板パネルであってもよい。
【0106】
前記少なくとも一つの中間層は、プレス前のその厚さの80%以下、好ましくはプレス前のその厚さの70%以下、更に好ましくはプレス前のその厚さの50%以下に圧縮されてもよい。最上木材ベニヤ層及び/又は最下木材ベニヤ層は、プレス前のその厚さの80%以下、好ましくはプレス前のその厚さの70%以下、更に好ましくはプレス前のその厚さの50%以下に圧縮されてもよい。
【0107】
接着剤は、最上木材ベニヤ層及び/又は最下木材ベニヤ層に存在していてもよい。接着剤は、前記少なくとも一つの中間木材ベニヤ層とは反対側に向いた最上木材ベニヤ層及び/又は最下木材ベニヤ層の表面に存在していてもよい。前記少なくとも一つの中間木材ベニヤ層とは反対側に向いた最上木材ベニヤ層及び/又は最下木材ベニヤ層の表面には、接着剤層からの接着剤が実質的にない。
【0108】
本方法の第6の態様に従ってベニヤエレメントが提供される。このベニヤエレメントは、最下木材ベニヤ層、少なくとも一つの中間木材ベニヤ層、及び最下木材ベニヤ層を含み、接着剤層が、最下木材ベニヤ層と前記少なくとも一つの中間木材ベニヤ層との間、及び前記少なくとも一つの中間木材ベニヤ層と最下木材ベニヤ層との間の夫々に配置されており、接着剤層からの接着剤が前記少なくとも一つの中間木材ベニヤ層の部分に存在し、前記部分の各々の厚さは、前記少なくとも一つの中間木材ベニヤ層の各々の厚さの5%以上、好ましくは前記少なくとも一つの中間木材ベニヤ層の各々の厚さの10%以上、更に好ましくは前記少なくとも一つの中間木材ベニヤ層の各々の厚さの15%以上である。
【0109】
前記部分の総組み合わせ厚さは、前記少なくとも一つの中間木材ベニヤ層の各々の厚さの20%以上、好ましくは40%以上、更に好ましくは60%以上である。
【0110】
接着剤層からの接着剤が前記少なくとも一つの中間木材ベニヤ層の部分に存在するということは、木材ベニヤ層の小孔又は導管が接着剤層からの接着剤で充填されるということを意味する。小孔というのは、中空チャンネルが形成されるように切断した堅木等の被子植物の道管要素によって形成された孔を意味する。導管というのは、軟木等の裸子植物の木部の細長い細胞を意味する。
【0111】
接着剤層からの接着剤は、最上木材ベニヤ層に面する前記少なくとも一つの中間木材ベニヤ層の第1部分、及び最下木材ベニヤ層に面する前記少なくとも一つの中間木材ベニヤ層の第2部分に存在してもよい。第1及び第2の部分の総組み合わせ厚さは、前記少なくとも一つの中間木材ベニヤ層の各々の厚さの20%以上、好ましくは40%以上、更に好ましくは60%以上である。
【0112】
前記少なくとも一つの中間木材ベニヤ層の密度は少なくとも1000kg/mであってもよい。最下木材ベニヤ層及び/又は最上木材ベニヤ層の密度は少なくとも1000kg/mであってもよい。
【0113】
ベニヤエレメントは合板パネルであってもよい。
【0114】
接着剤は、最上木材ベニヤ層及び/又は最下木材ベニヤ層に存在してもよい。接着剤は、前記少なくとも一つの中間木材ベニヤ層とは反対側に向いた最上木材ベニヤ層及び/又は最下木材ベニヤ層の表面に存在してもよい。前記少なくとも一つの中間木材ベニヤ層にとは反対側に向いた最上木材ベニヤ層及び/又は最下木材ベニヤ層の表面には、接着剤層からの接着剤が実質的になくてもよい。
【0115】
接着剤の量は、木材ベニヤ層の厚さ方向で対称に付けられるように分配されていてもよい。耐衝撃性及び耐水性を高めるため、最上木材ベニヤ層及び最下木材ベニヤ層と隣接した接着剤層に、中間木材ベニヤ層間の一つ又はそれ以上の接着剤層に付けられた接着剤の量よりも多くの接着剤を付けてもよい。中間木材ベニヤ層への接着剤の含浸を改善するため、及びラッカー層等の別の層への付着性を改善するため、中間木材ベニヤ層間の一つ又はそれ以上の接着剤層に、最上木材ベニヤ層及び最下木材ベニヤ層と隣接した接着剤層に付けられた接着剤の量よりも多くの接着剤を付けてもよい。
【0116】
本発明の実施例を示す添付図面を参照して本発明を以下に例として更に詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0117】
図1図1は、ベニヤエレメントの製造方法を示す図である。
図2図2Aは、図1に示す方法に従って製造したベニヤエレメントを示す図であり、図2Bは、図2Aに示すベニヤエレメントの拡大部分図である。
図3図3は、ベニヤエレメントの製造方法を示す図である。
図4図4Aは、図3に示す方法に従って製造したベニヤエレメントを示す図であり、図4Bは、図4Aに示すベニヤエレメントの拡大部分図である。
【発明を実施するための形態】
【0118】
図1は、ベニヤエレメント10の製造方法を示す。ベニヤエレメントはパネルであってもよい。ベニヤエレメント又はパネル10は、家具部品、フロアパネル、天井パネル、壁パネル、ドアパネル、作業台、幅木、モールディング、エッジプロファイル、等の建材パネルであってもよく、これらの部分を形成してもよい。この方法は、基材1を提供する工程を含む。基材1は、好ましくは、パネル10を製造する方法の前に製造したプレハブ基材である。基材は、パネル、例えば木質パネルであってもよい。木質パネルは、MDF、HDF、パーティクルボード等の木材繊維をベースとしたパネル又は合板であってもよい。基材1は、紙や不織布のシートであってもよい。他の実施例では、基材1は、木材・プラスチック複合材(WPC)であってもよい。基材1は、熱可塑性プラスチックボード等のプラスチックボードであってもよい。基材1は、無機複合材ボードであってもよい。基材1は、繊維セメントボードであってもよい。基材1は、マグネシウム含有セメントボードであってもよい。基材1は、セラミックボードであってもよい。
【0119】
図1に示すように、接着剤2を基材1の第1面9に塗布し、基材1上に接着剤層3を形成する。接着剤2は、熱硬化性バインダー、熱可塑性バインダー、又は熱硬化性バインダー及び熱可塑性バインダーの組み合わせであってもよい。熱硬化性バインダーは、尿素ホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、ポリウレタン、ポリエステル、エマルジョンポリマーイソシアネート(EPI)、又はこれらの組み合わせであってもよい。熱可塑性バインダーは、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリウレタン(PU)、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリビニルブチラール(PVB)、及び/又はポリビニルアセテート(PVAc)、又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0120】
接着剤2は、任意の種類のグルーであってもよい。接着剤2は、ホットメルトであってもよい。接着剤2は、感圧接着剤であってもよい。
【0121】
接着剤2は、液体形態で塗布してもよく、又はペーストとして塗布してもよい。接着剤2は、図1に示すようにローラーで塗布されてもよい。接着剤2は、スプレー、ローラーコーティング、カーテンコーティング、又はホットメルトコーティング、等で塗布してもよい。
【0122】
接着剤2は、粉体形態で、好ましくは乾燥粉体形態で塗布してもよい。接着剤2は、散布によって付けてもよい。
【0123】
接着剤2は、シート又はホイルの形態で基材1に付けてもよい。シートにはバインダーが接着剤として含浸させてあってもよい。シートは、紙シートであってもよい。シートは不織布であってもよい。シートは着色してあってもよく、及び/又は含浸中にシートが着色されるようにシートの含浸に使用されたバインダー溶液に着色してあってもよい。
【0124】
接着剤2は、充填材を含んでいてもよい。充填材は、粒子であってもよく、又は繊維であってもよく、例えば木材繊維又は木材粒子、又は鉱物粒子又は鉱物繊維であってもよい。木材粒子は、リグノセルロース粒子及び/又はセルロース粒子であってもよい。木材粒子は、少なくとも部分的に漂白してあってもよい。充填材は、米、藁、玉蜀黍、黄麻、亜麻、麻、綿、大麻、竹、バガス、サイザルの粒子又は繊維であってもよい。
【0125】
充填材は、コルク粒子及び/又は硫酸バリウム(BaSO4)等の吸音性を持つ充填材であってもよい。別の態様では、吸音層(図示せず)、例えばコルク層又はコルクベニヤ層を中間層として配置してもよい。接着剤2は、吸音層に塗布されてもよい。吸音層は、基材1に配置されてもよく、又は基材1上に配置された下層に配置されてもよい。
【0126】
接着剤2は、更に、顔料、耐磨耗性粒子、及び添加剤を含んでいてもよい。添加剤は、湿潤剤、カーボン黒等の帯電防止剤、及びアルミニウム等の熱伝導性添加剤であってもよい。他の可能な添加剤は磁性体である。発泡剤等の添加剤が下層に含まれていてもよい。発泡剤は、EXPANCEL(PTM)等の物理発泡剤及び/又はAIBN(アゾイソブチロニトリル)やADC(アゾジカーボナミド)等の化学発泡剤であってもよい。耐磨耗性粒子及び/又は耐傷付き性粒子は、酸化アルミニウム粒子及び/又はシリカ粒子であってもよい。実施例において、充填材、顔料、耐磨耗性粒子、添加剤等は、接着剤2とは別個に加えられても良く、接着剤2に含有されていなくてもよい。
【0127】
接着剤2は、乾燥樹脂含有量が10-200g/m、好ましくは10-150g/m2、例えば25-75g/mと対応する量で塗布されてもよい。
【0128】
接着剤層3上に木材ベニヤ層5が付けられる。木材ベニヤ層5は、多孔質構造を備えていてもよい。中空チャンネルが形成されるように切断した堅木等の被子植物の道管要素によって小孔が形成される。導管は、軟木等の裸子植物の木部の細長い細胞によって形成される。木材ベニヤ層5は、更に、穴や亀裂があってもよい。木材ベニヤ層5の厚さは、約0.2mm乃至4mmであってもよく、例えば約0.2mm乃至1mmであってもよい。木材ベニヤ層5は、連続していてもよいし不連続であってもよい。木材ベニヤ層5は、数枚のベニヤ片で形成されていてもよく、即ち不連続であってもよい。ベニヤ片は、重なっていてもよいし、重なっていなくてもよい。
【0129】
上文中に説明した接着剤2は、上文中に説明したのと同様の方法で、基材に面した木材ベニヤ層5の表面に塗布されてもよい。接着剤2は、基材1上及び木材ベニヤ層5上の両方に塗布されてもよい。
【0130】
第1面9とは反対側の基材1の第2面13にバランス層即ち反作用層6が付けられていてもよい。バランス層即ち反作用層6は、木材ベニヤ層5に関して上文中に説明したように接着剤2で付けられていてもよい。バランス層即ち反作用層6は、木材ベニヤ層であってもよい。バランス層即ち反作用層6が木材ベニヤ層であり、木材ベニヤ層5に関して上文中に説明したように接着剤2で基材に付けられた実施例では、木材ベニヤ層5の説明及び性質はバランス層即ち反作用層6にも適用される。バランス層即ち反作用層6は、粉体として付けられた粉体をベースとしたバランス層であってもよい。粉体をベースとしたバランス層は、リグノセルロース粒子及び/又はセルロース粒子等の木粉、及びバインダー、好ましくはアミノ樹脂等の熱硬化性バインダーを含んでいてもよい。バランス層即ち反作用層6は、樹脂含浸紙、好ましくは熱硬化性バインダーを含浸した紙であってもよい。
【0131】
基材1に付けた接着剤層3に木材ベニヤ層5を配置するとき、木材ベニヤ層5及び/又は基材1に圧力を加える。好ましくは、圧力を加えるとともに熱を加える。圧力は、連続プレス8によって加えられてもよく、又は不連続プレス(図示せず)で加えられてもよい。加えられる圧力は、少なくとも15×10Pa(15bar)であってもよい。この圧力は、少なくとも15秒間、好ましくは少なくとも30秒間、更に好ましくは少なくとも45秒間に亘って加えられる。温度は少なくとも150℃であり、150℃乃至200℃であってもよい。
【0132】
圧力を加えたとき、木材ベニヤ層5が基材1に接着剤2によって接着され、パネル形態のベニヤエレメント10が形成される。ベニヤエレメント10即ちパネルを、図2A及び図2Bを参照して以下に詳細に説明する。
【0133】
プレス中、接着剤層3に面する木材ベニヤ層5の第1部分11を接着剤2が含浸する。接着剤2による木材ベニヤ層5の含浸を、図2A及び図2Bを参照して以下に詳細に説明する。
【0134】
木材ベニヤ層5はプレス時に圧縮される。木材ベニヤ層5は、プレス前のその厚さの80%又はそれ以下、例えばプレス前のその厚さの70%以下、例えば50%以下の厚さに圧縮されてもよい。プレス後の木材ベニヤ層の密度は、少なくとも1000kg/mであってもよい。接着剤2のバインダーが木材ベニヤ層5の第1部分11を含浸するため、プレス後、木材ベニヤ層5の圧縮状態は、プレス前の木材ベニヤ層5の厚さの80%未満の厚さに維持され、又は実質的に維持される。プレス中に木材ベニヤ層5の第1部分11を含浸する接着剤2のバインダーは、プレス後、接着剤層3のバインダーが硬化したとき、木材ベニヤ層5の第1部分11をその圧縮状態に固定する。本明細書中、木材ベニヤ層5の厚さというのは、木材ベニヤ層5の第1面14と第2面15との間の距離を意味する。
【0135】
図1で説明した方法によって形成したベニヤエレメント10即ちパネルを、図2A及び図2Bを参照して以下に更に詳細に説明する。プレス後、接着剤2が木材ベニヤ層5の第1部分11を含浸する。第1部分11は、基材1に面する木材ベニヤ層5の第1面14から木材ベニヤ層5内に延びる。第1部分11は、第1面14から木材ベニヤ層5の厚さの10%以上延びていてもよい。第1部分11は、好ましくは、第1面14から木材ベニヤ層5の厚さの20%以上、更に好ましくは30%以上、最も好ましくは40%以上延びている。接着剤2は、接着剤層3から木材ベニヤの小孔又は導管を通って流れる。以上言及した木材ベニヤ層5の厚さは、プレス後に計測される。
【0136】
木材ベニヤ層5の第2面15には接着剤層3からの接着剤2はない。木材ベニヤ層5の第2面15には、接着剤層3からの接着剤も樹脂もない。
【0137】
一実施例では、第2部分12が、第1面14とは反対側の木材ベニヤ層5の第2面15から木材ベニヤ層5内に延びている。ここには、接着剤層3からの接着剤は実質的にない。木材ベニヤ層5の第2部分12には、接着剤層3からの接着剤又は樹脂はない。
【0138】
接着剤層3からの接着剤2が実質的にないということは、木材ベニヤの小孔又は導管の40%未満が、接着剤2で少なくとも部分的に充填されているということを意味する。好ましくは、木材ベニヤの小孔又は導管の30%未満が接着剤2で少なくとも部分的に充填されており、更に好ましくは、木材ベニヤの小孔又は導管の20%未満が、接着剤2で少なくとも部分的に充填されている。小孔又は導管は、木材の種類やベニヤ製造方法等に応じて、木材ベニヤの材料の一部、例えば20%未満、10%未満、5%未満を形成するに過ぎない。木材ベニヤの小孔又は導管よりも大きい亀裂や穴等の開口部には、接着剤層3からの接着剤2が入り、接着剤2で少なくとも部分的に充填される。亀裂や穴は、小孔又は導管とは考えられない。
【0139】
木材ベニヤ層5の第2部分12には接着剤が実質的になく、好ましくは、木材ベニヤ層5の第2面15から木材ベニヤ層5の厚さの5%以上延びている。好ましくは、第2部分12は、木材ベニヤ層5の第2面15から木材ベニヤ層5の厚さの10%以上、更に好ましくは木材ベニヤ層5の厚さの20%以上、最も好ましくは木材ベニヤ層5の厚さの30%以上延びている。一実施例では、木材ベニヤ層5の第2部分12は、木材ベニヤ層5の厚さの70%以上、例えば木材ベニヤ層5の厚さの80%以上、又は90%以上延びている。ここで言及した木材ベニヤ層5の厚さは、プレス後に、サンド掛け等の研磨加工等の後処理を行う前に計測される。
【0140】
従って、木材ベニヤ層5の第2面15には接着剤2が実質的にない。これによって、コーティングやラッカー塗布等の第2面の表面処理が容易になる。これは、接着剤が実質的にないため、第2面では、木材ベニヤ層の第2面への接着が困難であるためである。
【0141】
木材ベニヤ層で形成されたバランス層即ち反作用層6は、木材ベニヤ層5に関して上文中に説明したのと同様に、基材1とは反対方向に向いた、接着剤層3からの接着剤2が実質的にない表面即ち第2面部分、及び基材1に面する、接着剤層3からの接着剤2を含む第1層を備えていてもよい。
【0142】
保護層を付ける前に木材ベニヤ層5の第2面15に処理を施してもよい。第2面15を研磨加工してもよい。第2面15にサンド掛けを施してもよい。サンド掛けは、多くの場合、ラッカー塗布前に行われる。サンド掛け等の研磨加工後に計測を行う場合、第2面15には接着剤層3からの接着剤2が実質的にない。一実施例では、サンド掛け等の研磨加工後に計測を行う場合、第2部分12は、木材ベニヤ層5の第2面15から木材ベニヤ層5の厚さ内に0.5%以上延びており、好ましくは木材ベニヤ層5の厚さ内に2%以上延びており、更に好ましくは木材ベニヤ層5の厚さ内に5%以上延びている。
【0143】
木材ベニヤ層5の第2面15には保護層が設けられてもよい。木材ベニヤ層5の第2面15には、コーティング16が施してあってもよく、一つ又はそれ以上のラッカー層を形成するようにラッカーが塗布してあってもよい。コーティング又はラッカー16は、ポリウレタンコーティング等のアクリレート又はメタクリレートコーティングであってもよい。コーティング又はラッカー16は、耐磨耗性粒子や傷付き防止粒子を含んでいてもよい。保護層は、耐磨耗性粒子(図示せず)を含むオーバーレイ紙であってもよい。保護層は、WO2011/129755に記載された粉体オーバーレイであってもよく、混合物として木材ベニヤ層(図示せず)に付けられたプロセスト木材繊維、バインダー、及び耐磨耗性粒子 を含む。保護層がオーバーレイ紙又は粉体オーバーレイを含む、又はこれらのオーバーレイでできている場合、保護層は、好ましくは、加圧前に付けられる。これによって、保護層は、木材ベニヤ層5を基材1に接着する工程と同じ工程で木材ベニヤ層5に取り付けられ、硬化される。
【0144】
木材ベニヤ層5に、例えば、ブラシがけ、オイル塗装、ワックス塗装、等の様々な方法で処理を加えてもよい。保護コーティング(図示せず)をプレス前に木材ベニヤ層5に付けてもよい。一実施例では、プレス前に、木材ベニヤ層5の第2面15に例えば散布によってワックス粉体を付けてもよい。プレス中、ワックス粉体が木材ベニヤ層5の保護コーティングを形成する。
【0145】
一実施例では、プレス前又はプレス後に、プライマー、ホイル又はシート(図示せず)を木材ベニヤ層5の第2面15に付ける。プライマーは、印刷プライマー、木材ベニヤ層5にラッカー等を付ける準備としてのプライマーを含んでいてもよい。ホイル又はシートには、Bステージ化した熱硬化性充填が含浸させてあってもよい。プレス前に付けた場合には、プライマー、ホイル又はシートからの材料がプレス中に木材ベニヤ層5の第2面15の小孔又は導管に押し込まれる。これによって反作用力が得られ、接着剤層3からの接着剤2が木材ベニヤ層5の第2面15内に含浸することがないようにする。反作用力により、接着剤層3からの接着剤2が木材ベニヤ層5の第2部分12内に染み込むことがないようにする。
【0146】
プレス前又はプレス後に保護ホイルを木材ベニヤ層5の第2面15に付けてもよい。保護ホイルは、PU(ポリウレタン)又はPVC(ポリ塩化ビニル)等の熱可塑性ホイルであってもよい。
【0147】
上文中に説明したように、木材ベニヤ層5は、プレス後、その元の厚さと比較して圧縮状態に維持される。プレス後の木材ベニヤ層5の厚さは、プレス前の木材ベニヤ層5の厚さの80%以下であってもよく、好ましくは、プレス前の木材ベニヤ層5の厚さの70%以下であり、更に好ましくは、プレス前の木材ベニヤ層5の厚さの50%以下である。
【0148】
パネルには、隣接したパネルに接合するための機械式係止システムが設けられていてもよい。
【0149】
一実施例では、例えば木材ベニヤ層5を紙シートや不織布等のシート形態の基材に接着した場合、木材ベニヤ層を基材にプレスした後、別の工程で、ベニヤエレメント10を、例えば接着剤によってパネル又はボードに接着してもよい。ボード又はパネルは、MDF、HDF、パーティクルボード等、の木質パネル又は合板であってもよい。基材は、熱可塑性プラスチック製ボードであってもよい。
【0150】
次に、パネル形態のベニヤエレメント20の製造方法を図3を参照して説明する。図3及び図4を参照して説明する実施例では、基材1は、少なくとも一つの中間木材ベニヤ層22、23、24を含む。これによって、ベニヤエレメント20は、最上木材ベニヤ層21、三つの中間木材ベニヤ層22、23、24、及び最下木材ベニヤ層25を含む合板パネルを形成する。合板パネルは、家具部品、フロアパネル、天井パネル、壁パネル、ドアパネル、作業台、幅木、モールディング、エッジプロファイル、等の建材パネルであってもよく、これらの部分を形成してもよい。
【0151】
図3では、奇数の木材ベニヤ層即ちプライ21、22、23、24、25が設けられている。これらの木材ベニヤ層21、22、23、24、25の各々の厚さは0.2mm乃至4mmであり、約0.2mm乃至1mmである。図3に示す実施例では、5枚の木材ベニヤ層21、22、23、24、25が設けられている。木材ベニヤ層21、22、23、24、25の数は、3以上の任意の奇数であってもよい。木材ベニヤ層21、22、23、24、25は、繊維方向が交差するように配置されている。木材ベニヤ層21、22、23、24、25は、異なる層の繊維方向が垂直に配置されるように配置されていてもよい。これらの層は、層の数に応じて、その繊維方向が45°ずつ変化するように配置されていてもよい。
【0152】
最上木材ベニヤ層21について、及び好ましくは最下木材ベニヤ層25について、高品質ベニヤを使用してもよい。中間木材ベニヤ層22、23、24については、低品質ベニヤ、即ち節や変色等の欠陥が多いベニヤ品質を使用してもよい。最下木材ベニヤ層25は、パネル20のバランスをとるため、最上木材ベニヤ層21に対してバランス層即ち反作用層6として機能する。
【0153】
木材ベニヤ層21、22、23、24、25は、多孔質構造であってもよい。中空チャンネルが形成されるように切断した堅木等の被子植物の道管要素によって小孔が形成される。導管は、軟木等の裸子植物の木部の細長い細胞によって形成される。木材ベニヤ層21、22、23、24、25間に接着剤層3が形成されるように、接着剤2を木材ベニヤ層21、22、23、24、25の表面に、木材ベニヤ層の他の表面に面するように付ける。接着剤2を、互いに面する木材ベニヤ層22、23、24の両面に付けてもよい。
【0154】
接着剤2は、熱硬化性バインダー、熱可塑性バインダー、又は熱硬化性バインダー及び熱可塑性バインダーの組み合わせであってもよい。熱硬化性バインダーは、尿素ホルムアルデヒド、フェノールホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド、ポリウレタン、ポリエステル、エマルジョンポリマーイソシアネート(EPI)、又はこれらの組み合わせであってもよい。熱可塑性バインダーは、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリウレタン(PU)、ポリビニルアルコール(PVOH)、ポリビニルブチラール(PVB)、及び/又はポリビニルアセテート(PVAc)、又はこれらの組み合わせであってもよい。
【0155】
接着剤2は、任意の種類のグルーであってもよい。接着剤2は、ホットメルト接着剤であってもよい。接着剤2は、感圧接着剤であってもよい。
【0156】
接着剤2は、液体形態で塗布してもよく、又はペーストとして塗布してもよい。接着剤は、ローラーで塗布してもよい。接着剤2は、スプレー、ローラーコーティング、カーテンコーティング、ホットメルトコーティング、等で塗布してもよい。
【0157】
接着剤2は、粉体形態で、好ましくは乾燥粉体形態で付けてもよい。接着剤は、散布によって付けてもよい。
【0158】
接着剤2は、抗真菌剤、耐水性を改善する添加剤、顔料等の添加剤を含んでいてもよい。
【0159】
接着剤2は、シート又はホイルの形態で付けられてもよい。シートにはバインダーが接着剤として含浸させてあってもよい。シートは、紙シートであってもよい。シートは不織布であってもよい。
【0160】
接着剤2は、乾燥樹脂含有量が10-200g/m、好ましくは10-150g/m2、例えば25-75g/mと対応する量で塗布されてもよい。
【0161】
付けられた接着剤2の量は、異なる木材ベニヤ層21、22、23、24、25間で異なっていてもよい。最上木材ベニヤ層21を下側の木材ベニヤ22に接着するため、中間木材ベニヤ層22、23、24を互いに接着するために付けられた接着剤の量と比較して大量の接着剤2が付けられてもよい。更に、最下木材ベニヤ層25をその上の木材ベニヤ24に接着するため、中間木材ベニヤ層22、23、24を互いに接着するために付けられた接着剤の量と比較して大量の接着剤2が付けられてもよい。一実施例では、中間木材ベニヤ層22、23、24間に大量の接着剤2が付けられてもよい。
【0162】
木材ベニヤ層21、22、23、24、25が、接着剤2が形成する接着剤層3をこれらの木材ベニヤ層21、22、23、24、25の各々の間に置いた木材ベニヤの積み重ねをなして構成されている場合、これらの木材ベニヤ層21、22、23、24、25に圧力を加える。好ましくは、圧力を加えるとともに熱を加える。圧力は、連続プレス(図示せず)によって加えられてもよく、又は不連続プレス30によって加えられてもよい。加えられた圧力は、少なくとも15×10Pa(15bar)であってもよい。圧力は、少なくとも15秒間、好ましくは少なくとも30秒間、更に好ましくは少なくとも45秒間に亘って加えられる。温度は少なくとも150℃であってもよく、例えば150℃乃至200℃である。
【0163】
圧力を加えたとき、木材ベニヤ層21、22、23、24、25は接着剤2によって互いに接着され、合板パネル20を形成する。合板パネル20を図4A及び図4Bを参照して以下に更に詳細に説明する。
【0164】
接着剤2は、プレス中に木材ベニヤ層21、22、23、24、25を含浸する。木材ベニヤ層21、22、23、24、25内への接着剤2の含浸を、図4A及び図4Bを参照して以下に更に詳細に説明する。
【0165】
プレスしたとき、木材ベニヤ層21、22、23、24、25は圧縮される。これらの木材ベニヤ層21、22、23、24、25は、プレス前の厚さの80%以下、例えば70%以下、プレス前の厚さの50%以下の厚さに圧縮されてもよい。好ましくは、少なくとも最下木材ベニヤ層21は、プレス前の厚さの80%以下、例えば70%以下、プレス前の厚さの50%以下の厚さに圧縮される。最下木材ベニヤ層25は、プレス前の厚さの80%以下、例えば70%以下、プレス前の厚さの50%以下の厚さに圧縮されてもよい。一実施例では、各木材ベニヤ層21、22、23、24、25は、プレス前の各木材ベニヤ層の厚さの80%以下、例えば70%以下、プレス前の厚さの50%以下の厚さに圧縮される。木材ベニヤ層21、22、23、24、25のプレス後の密度は、少なくとも1000kg/mであってもよい。好ましくは、少なくとも最上木材ベニヤ層21及び/又は最下木材ベニヤ層25のプレス後の密度は、少なくとも1000kg/mである。これによって、残りの圧縮を行うことによって、及び木材ベニヤ層21、22、23、24、25の少なくとも一つが圧縮された高密度の状態を保持することによって、高強度合板パネル20が形成される。
【0166】
木材ベニヤ層、即ち層21、22、23、24、25の一部を接着剤2のバインダーが含浸しているため、プレス後の一つ又はそれ以上の木材ベニヤ層が圧縮状態に維持され、プレス前の一つ又はそれ以上の木材ベニヤ層の厚さの80%以下、例えば70%以下、プレス前の厚さの50%以下の厚さに実質的に維持される。プレス中に一つ又はそれ以上の木材ベニヤ層の部分を含浸する接着剤2のバインダーは、接着剤層3のバインダーが硬化したとき、一つ又はそれ以上の木材ベニヤ層の部分を、プレス後に圧縮状態に固定する。本願において、木材ベニヤ層21、22、23、24、25の厚さという用語は、木材ベニヤ層21、22、23、24、25の第1面と第2面との間の距離を意味する。
【0167】
図3で説明した方法によって形成した合板パネル20を、ここで参照する図4A及び図4Bを参照して以下に更に詳細に説明する。プレス後、接着剤2が最上木材ベニヤ層21の第1部分31を含浸する。第1部分31は、最上木材ベニヤ層21の第1面35から最上木材ベニヤ層21内に延びる。第1面35は、隣接した木材ベニヤ層22に面している。第1部分31は、第1面35から最上木材ベニヤ層21の厚さ内に10%以上延びていてもよい。好ましくは、第1部分31は第1面35から最上木材ベニヤ層21の厚さ内に20%以上延びていてもよく、更に好ましくは最上木材ベニヤ層21の厚さ内に30%以上延びていてもよく、最も好ましくは40%以上延びていてもよい。接着剤2は、接着剤層3から木材ベニヤの小孔又は導管を通って流れる。ここで言及した最上木材ベニヤ層25の厚さはプレス後に計測される。
【0168】
好ましくは、最下木材ベニヤ層25の第1部分33に接着剤2が含浸している。第1部分33は、隣接した木材ベニヤ層24に面する最下木材ベニヤ層25の第1面37から最下木材ベニヤ層25内に延びている。第1部分33は、第1面37から最下木材ベニヤ層25の厚さ内に10%以上延びていてもよく、好ましくは、最下木材ベニヤ層25の厚さ内に20%以上、更に好ましくは30%以上、最も好ましくは40%以上延びていてもよい。
【0169】
高強度合板パネル20を形成するため、接着剤2が各木材ベニヤ層21、22、23、24、25の第1部分を含浸してもよい。第1部分は、隣接した木材ベニヤ層に面する木材ベニヤ層21、22、23、24、25の表面から延びている。一実施例では、各木材ベニヤ層21、22、23、24、25の第1部分31、33は、各木材ベニヤ層21、22、23、24、25の厚さ内に10%以上延びている。好ましくは、第1部分31、33は、各木材ベニヤ層21、22、23、24、25の厚さ内に20%以上、更に好ましくは30%以上、最も好ましくは40%以上延びている。
【0170】
一実施例では、前記中間木材ベニヤ層22、23、24の各々の部分に接着剤2が含浸させてある。含浸部分の総厚は、20%以上、好ましくは40%以上、最も好ましくは60%以上である。接着剤は、最上木材ベニヤ層に面する前記中間木材ベニヤ層22、23、24の各々の第1部分に、及び最下木材ベニヤ層に面する前記中間木材ベニヤ層22、23、24の各々の第2部分に含浸してあってもよい。第1及び第2の部分の総厚は、各中間木材ベニヤ層22、23、24の厚さの20%以上、好ましくは40%以上、最も好ましくは60%以上である。第1面35とは反対側の最上木材ベニヤ層21の第2面36には、接着剤層3からの接着剤2が実質的にない。最上木材ベニヤ層21の第2面36には、接着剤又は樹脂がない。好ましくは、最下木材ベニヤ層25の第2面にも接着剤層3からの接着剤2がない。最下木材ベニヤ層25の第2面には接着剤又は樹脂がなくてもよい。
【0171】
第1面35とは反対側の最上木材ベニヤ層21の第2面36から最上木材ベニヤ層21内に延びる第2部分32には、接着剤層3からの接着剤2が実質的にない。最上木材ベニヤ層21の第2面36は、最上木材ベニヤ層21の上面であり、任意の他の木材ベニヤ層に接着しない。好ましくは、最上木材ベニヤ層21の第2部分32には、接着剤又は樹脂が全くない。接着剤層3からの接着剤2が実質的にないということは、最上木材ベニヤ層21の第2部分32の小孔又は導管の40%未満が、接着剤2で充填されているということを意味する。好ましくは、最上木材ベニヤ層21の第2部分32の小孔又は導管の30%未満が、更に好ましくは、最上木材ベニヤ層21の第2部分32の小孔又は導管の20%未満が接着剤で充填される。小孔又は導管は、木材ベニヤの材料の一部、例えばx%未満しか形成しない。最上木材ベニヤの小孔又は導管よりも大きい亀裂や穴等の開口部は、接着剤層からの接着剤を含んでいてもよく、少なくとも部分的に接着剤で充填される。亀裂や穴は、小孔又は導管とは考えられない。
【0172】
接着剤層3からの接着剤2が実質的にないというのは、木材ベニヤの小孔又は導管の40%未満が接着剤2で充填されるということを意味する。好ましくは、木材ベニヤの小孔又は導管の30%未満が、更に好ましくは、木材ベニヤの小孔又は導管の20%未満が接着剤2で充填される。木材ベニヤの小孔又は導管よりも大きい亀裂や穴等の開口部は、接着剤層3からの接着剤2を含有し、接着剤2で少なくとも部分的に充填されてもよい。亀裂や穴は、小孔又は導管とは考えられない。
【0173】
接着剤2が実質的にない最上木材ベニヤ層21の第2部分32は、好ましくは、最上木材ベニヤ層21の第2面36から最上木材ベニヤ層21の厚さ内に少なくとも5%以上延びている。好ましくは、第2部分32は、最上木材ベニヤ層21の第2面36から最上木材ベニヤ層21の厚さ内に10%以上、更に好ましくは、最上木材ベニヤ層21の厚さ内に20%以上、及び最も好ましくは最上木材ベニヤ層21の厚さ内に30%以上延びている。一実施例では、最上木材ベニヤ層21の第2部分32は、最上木材ベニヤ層21の厚さ内に70%以上、80%以上、90%以上延びている。ここで言及した最上木材ベニヤ層21の計測は、プレス後に、及びサンド掛け等の研磨加工等の後処理前に行われる。
【0174】
同様に、最下木材ベニヤ層25の第2部分34には、接着剤層3からの接着剤2が実質的になくてもよい。接着剤2が実質的にないという上述の事項の定義は、最下木材ベニヤ層25の第2部分34についても適用できる。最下木材ベニヤ層25の第2部分34は、第1面37とは反対側の最下木材ベニヤ層25の第2面38から、最上木材ベニヤ層25の厚さ内に5%以上延びていてもよい。最下木材ベニヤ層25の第2面38は、最下木材ベニヤ層25の下面であり、他の木材ベニヤ層に接着されていない。好ましくは、第2部分34は、最下木材ベニヤ層25の第2面38から、最下木材ベニヤ層25の厚さ内に10%以上、更に好ましくは、最下木材ベニヤ層25の厚さ内に20%以上、最も好ましくは最下木材ベニヤ層25の厚さ内に30%以上延びている。一実施例では、最下木材ベニヤ層25の第2部分34は、最下木材ベニヤ層25の厚さ内に70%以上、80%以上、例えば最下木材ベニヤ層25の厚さ内に90%以上延びている。ここで言及した最下木材ベニヤ層25の厚さは、プレス後に計測された厚さである。
【0175】
最上木材ベニヤ層21の第2面36には接着剤2が実質的にない。これによって、コーティング及び/又はラッカー塗布等の第2面36の表面処理が容易である。これは、接着剤2が実質的にないため、最上木材ベニヤ層21の第2面36への接着が、第2面36では比較的困難であるためである。
【0176】
保護層を付ける前に最上木材ベニヤ層21の第2面36及び/又は最下木材ベニヤ層25の第2面に処理を施してもよい。最上木材ベニヤ層21の第2面36及び/又は最下木材ベニヤ層25の第2面に研磨加工を施してもよい。最上木材ベニヤ層21の第2面36及び/又は最下木材ベニヤ層25の第2面にサンド掛けを施してもよい。サンド掛けは、多くの場合、ラッカー塗布前に行われる。サンド掛け等の研磨加工後に計測する場合には、最上木材ベニヤ層21の第2面36及び/又は最下木材ベニヤ層25の第2面には接着剤層3からの接着剤2が実質的にない。一実施例では、サンド掛け等の研磨加工後に計測する場合には、最上木材ベニヤ層21及び/又は最下木材ベニヤ層25の第2部分は、最上木材ベニヤ層21及び/又は最下木材ベニヤ層25の第2面から木材ベニヤ層21、25の厚さ内に0.5%以上、好ましくは、木材ベニヤ層21、25の厚さ内に2%以上、及び更に好ましくは、木材ベニヤ層21、25の厚さ内に5%以上延びている。
【0177】
最上木材ベニヤ層21の第2面36及び/又は最下木材ベニヤ層25の第2面には、保護層(図示せず)が設けられていてもよい。最上木材ベニヤ層21の第2面36及び/又は最下木材ベニヤ層25の第2面には、コーティング(図示せず)が施されていてもよく、一つ又はそれ以上のラッカー層でラッカー仕上げが施されていてもよい。コーティング又はラッカーは、ポリウレタンコーティング等のアクリレート又はメタクリレートのコーティングであってもよい。コーティング又はラッカーは、耐磨耗性粒子及び/又は耐傷付き性粒子を含んでいてもよい。保護層は、耐傷付き性粒子を含むオーバーレイ紙であってもよい。保護層は、ベニヤ表面に混合物として塗布された、プロセスト木材繊維、バインダー及び耐磨耗性粒子を含む、WO2011/129755に記載の粉体オーバーレイであってもよい。保護層がオーバーレイ紙又は粉体オーバーレイを含む、又はこれらの材料である場合、保護層は、好ましくは、加圧前に付けられる。これによって、保護層は、木材ベニヤ層を互いに接着した工程と同じ工程で硬化し最上木材ベニヤ層21に取り付けられる
【0178】
最上木材ベニヤ層21及び/又は最下木材ベニヤ層25の第2面は、例えばうづくり、オイル塗装、ワックス塗装等の様々な方法で処理が施されていてもよい。保護コーティング(図示せず)を、プレス前に、最上木材ベニヤ層21及び/又は最下木材ベニヤ層25の第2面に付けてもよい。一実施例では、プレス前に、最上木材ベニヤ層21の第2面36及び/又は最下木材ベニヤ層25の第2面に、ワックスパウダーを付け、例えば散布してもよい。プレス中、ワックスパウダーが、最上木材ベニヤ層25の最上木材ベニヤ層21及び/又は最下木材ベニヤ層25の第2面に保護コーティングを形成する。
【0179】
一実施例では、プレス前又はプレス後に、最上木材ベニヤ層21の第2面36及び/又は最下木材ベニヤ層25の第2面にプライマー、ホイル又はシート(図示せず)を付ける。プライマーは、印刷プライマー、ラッカー塗布を行うために木材ベニヤ層を調製するプライマー、等であってもよい。ホイル又はシートには、Bステージの熱硬化性樹脂で含浸してあってもよい。プレス前に付けられた場合には、プライマー、ホイル又はシートからの材料が、プレス中に最上木材ベニヤ層21及び/又は最下木材ベニヤ層25の第2面の小孔又は導管に押し込まれる。これによって、反作用力が発生し、接着剤2が接着剤層3から最上木材ベニヤ層21及び/又は最下木材ベニヤ層25の第2面内に含浸されないようにする。この反作用力により、接着剤層3からの接着剤2が、最上木材ベニヤ層21及び/又は最下木材ベニヤ層25の第2部分内に含浸しないようにする。
【0180】
プレス前又はプレス後に、最上木材ベニヤ層21の第2面36及び/又は最下木材ベニヤ層25の第2面に保護ホイルを付けてもよい。保護ホイルは、PU(ポリウレタン)ホイルやPVC(ポリ塩化ビニル)ホイル等の熱可塑性ホイルであってもよい。
【0181】
上文中に説明したように、プレス後、木材ベニヤ層21、22、23、24、25はその元の厚さと比較して圧縮状態に維持される。プレス後の木材ベニヤ層21、22、23、24、25の厚さは、プレス前の木材ベニヤ層21、22、23、24、25の厚さの80%未満であり、好ましくは、プレス前の木材ベニヤ層21、22、23、24、25の厚さの70%未満である。
【0182】
図4A及び図4Bに示す合板パネルには、隣接したパネルに接合するための機械式係止システムが設けられていてもよい。
【0183】
本明細書中に説明した実施例には多くの変形例があると考えられる。これらの変形例は、添付の特許請求の範囲に定義された本発明の範囲内にある。
【0184】
実施例
実施例1
厚さが0.6mmのオークベニヤ層を厚さが9.8mmのHDFコア上に配置する。乾燥樹脂含有量で計測してメラミンホルムアルデヒド樹脂を42.5g/m含む接着剤層をオークベニヤ層とHDFコアとの間に配置する。オークベニヤ層をHDFコアに40×10Pa(40bar)の圧力で35秒間に亘って180℃でプレスする。プレス後、メラミンホルムアルデヒド樹脂は、HDFコアに面するオークベニヤ層の下部分に存在する。プレス後、オークベニヤ層の上面及び上部分の小孔には、接着剤層からのメラミンホルムアルデヒド樹脂は実質的にない。
【0185】
実施例2
各々の厚さが0.6mmの5枚のオークベニヤ層を互いに交差するように重ねる。乾燥樹脂含有量で計測して150g/mのメラミンホルムアルデヒド樹脂を各木材ベニヤ層間に接着剤層として付ける。全部で4層の接着剤層が付けられる。木材ベニヤ層を、10×10Pa(10bar)の圧力で75秒間に亘って170℃で互いにプレスし、合板を形成する。プレス後、メラミンホルムアルデヒド樹脂は、隣接した木材ベニヤ層に面する最上木材ベニヤ層の下部分に存在する。プレス後、最上木材ベニヤ層の上面及び上部分の小孔には、接着剤層からのメラミンホルムアルデヒド樹脂は実質的にない。
【符号の説明】
【0186】
1 基材
2 接着剤
3 接着剤層
5 木材ベニヤ層
6 反作用層
9 第1面
10 ベニヤエレメント
11 第1部分
12 第2部分
13 第2面
14 第1面
15 第2面
図1
図2A
図2B
図3
図4A
図4B