(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】タッチパネル
(51)【国際特許分類】
G06F 3/041 20060101AFI20220128BHJP
G06F 3/045 20060101ALI20220128BHJP
【FI】
G06F3/041 602
G06F3/041 420
G06F3/041 620
G06F3/041 590
G06F3/045
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019153160
(22)【出願日】2019-08-23
【審査請求日】2019-10-10
(31)【優先権主張番号】201810973194.1
(32)【優先日】2018-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519308156
【氏名又は名称】ティーピーケイ アドバンスド ソリューションズ インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】TPK ADVANCED SOLUTIONS INC
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】チー フースン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ ツァイクェイ
(72)【発明者】
【氏名】イェ ツァイジン
(72)【発明者】
【氏名】チェン フォン
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ ウェイ
【審査官】滝谷 亮一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0074638(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2017/0329448(US,A1)
【文献】特開2016-015181(JP,A)
【文献】特表2017-511520(JP,A)
【文献】特表2013-513870(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0039369(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/041
G06F 3/045
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力感知モジュールと、
位置情報を検出するように構成されたタッチ感知ユニットと、
を備える、タッチパネルであって、
前記圧力感知モジュール
は、
基板と、
該基板上に形成される感知層であって、前記基板の対称軸に沿って軸対称に設けられる複数の圧力感知ユニットを備え、前記対称軸を境にして第1圧力感知領域と第2圧力感知領域とを構成する、感知層と、を備え、
前記複数の圧力感知ユニットのうち前記第1圧力感知領域に設けられた複数の圧力感知ユニットを結ぶ線分によって規定される形状は、矩形状ではなく、
前記圧力感知ユニットはそれぞれ、略同じ抵抗値を有する4つの抵抗器を備え、該4つの抵抗器はホイートストンブリッジとして構成され、抵抗器のうち2つの抵抗器のパターン形状が同じ延在方向を有し互いに隣接して
おらず、
前記圧力感知モジュールは、
第1のタッチ力F
A
を前記第1圧力感知領域に加え第2のタッチ力F
B
を前記第2圧力感知領域に加えて前記第1のタッチ力F
A
及び前記第2のタッチ力F
B
のタッチ位置を感知し、それぞれタッチ点の位置情報を取得すること、
前記第1圧力感知領域における前記圧力感知ユニットの第1の測定値F
1
と前記第2圧力感知領域における前記圧力感知ユニットの第2の測定値F
2
とをそれぞれ取得し、既知の力Fが前記タッチパネルに加えられた際、前記タッチパネルに加えられた前記力Fに対する、前記第1圧力感知領域における前記圧力感知ユニットにより取得された任意のタッチ点における力の割合である、成分比K
A
と、前記タッチパネルに加えられた前記力Fに対する、前記第2圧力感知領域における前記圧力感知ユニットにより取得された任意のタッチ点における力の割合である、成分比K
B
と、を取得すること、及び
前記取得された第1のタッチ力F
A
及び前記第2のタッチ力F
B
の前記タッチ点の位置、前記第1の測定値F
1
及び前記第2の測定値F
2
に応じて、前記第1のタッチ力F
A
及び前記第2のタッチ力F
B
に対応する前記タッチ点の前記成分比K
A
及びK
B
を取り出すことであって、それにより前記第1のタッチ力F
A
及び前記第2のタッチ力F
B
を算出すること、
を含むことにより、前記タッチパネルの二点タッチ圧力を検出するように構成され、
前記タッチ点の前記成分比K
A
は、前記第1圧力感知領域における前記第1のタッチ力F
A
のそれぞれ対応するタッチ点の比例成分K
A1
と、前記第2圧力感知領域における前記第2のタッチ力F
B
のそれぞれ対応するタッチ点の比例成分K
A2
とを含み、
前記タッチ点の前記成分比K
B
は、前記第1圧力感知領域における前記第1のタッチ力F
A
のそれぞれ対応するタッチ点の比例成分K
B1
と、前記第2圧力感知領域における前記第2のタッチ力F
B
のそれぞれ対応するタッチ点の比例成分K
B2
とを含み、
F
A
=(F
1
*K
B2
-F
2
*K
A2
)/(K
A1
*K
B2
-K
B1
*K
A2
)、
F
B
=(F
2
*K
A1
-F
1
*K
B2
)/(K
A1
*K
B2
-K
B1
*K
A2
)である、
タッチパネル。
【請求項2】
前記基板は矩形の基板であり、
前記圧力感知ユニットは前記基板の4つの角に設けられ、
前記角のそれぞれに設けられた前記圧力感知ユニットは矩形に形成されており、
第1の角度は、前記圧力感知ユニットの第1の辺又は第2の辺と、前記基板のX軸方向の辺との間の角度とで同じであり、又は、
第2の角度は、前記圧力感知ユニットの第1の辺又は第2の辺と、前記X軸方向に直交する前記基板のY軸方向の辺との間の角度とで同じである、
請求項1に記載の
タッチパネル。
【請求項3】
前記第1の角度及び前記第2の角度は35°~55°の範囲内である、
請求項2に記載の
タッチパネル。
【請求項4】
前記第1の角度及び前記第2の角度は45°である、
請求項3に記載の
タッチパネル。
【請求項5】
延在方向が同じであるパターン形状を有する前記2つの抵抗器は対角線上に分布している、
請求項1~4のいずれか一項に記載の
タッチパネル。
【請求項6】
延在方向が同じである前記パターン形状を有する前記2つの抵抗器は抵抗器の第1グループと定義され、他の2つの抵抗器は抵抗器の第2グループと定義され、前記第1グループの抵抗器のパターン形状及び前記第2グループの抵抗器のパターン形状は、延在方向が異なる、
請求項1~4のいずれか一項に記載の
タッチパネル。
【請求項7】
前記第1グループの抵抗器のパターン形状の延在方向と、前記第2グループの抵抗器のパターン形状の延在方向とは互いに直交する、
請求項6に記載の
タッチパネル。
【請求項8】
K
A1及びK
A2の値はX軸座標と多変量曲線の正規相関があり、
前記K
A1及びK
A2の値は前記X軸に直交するY軸上で対称であり、
前記K
A1及びK
A2の値は正規化され、
K
B1及びK
B2の値は前記X軸座標と多変量曲線の正規相関があり、
前記K
B1及びK
B2の値は前記Y軸上で対称であり、
前記K
B1及びK
B2の値は正規化される、
請求項
1~7の何れか一項に記載のタッチパネ
ル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、参照により本明細書に取り込まれる、2018年8月24日に出願された中国出願番号第201810973194.1号に対する優先権を主張する。
【0002】
本開示はタッチディスプレイの分野に関し、特に、圧力感知モジュール、タッチパネル、及びタッチパネルの二点タッチ圧力を検出する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、タッチパネルは使用の容易さ、直観性、及び柔軟性ゆえ、タブレット、スマートフォン、及びウルトラブック等のパーソナルモバイル通信装置及び統合情報端末にとって主な人間―コンピュータ相互作用手段となっている。
【0004】
既存のタッチパネルはタッチ面上の位置タッチ、すなわち、X軸及びY軸の位置タッチをサポートすると共に、タッチ面に垂直な、すなわちZ軸の一点タッチ圧力を感知するのみである。
【発明の概要】
【0005】
圧力感知モジュールは少なくとも基板と、基板上に形成される感知層とを備える。感知層は複数の圧力感知ユニットを備える。複数の圧力感知ユニットは基板の対称軸に沿って軸対称に設けられ、第1圧力感知領域と第2圧力感知領域とを構成する。圧力感知ユニットは同じ抵抗値を有する4つの抵抗器を備える。4つの抵抗器はホイートストンブリッジを構成し、ホイートストンブリッジにおいては、抵抗器のうち2つの抵抗器のパターン形状が同じ延在方向を有し、互いに隣接していない。
【0006】
好ましくは、基板は矩形の基板であり、圧力感知ユニットは基板の4つの角に設けられる。角のそれぞれにある圧力感知ユニットは矩形に形成されている。圧力感知ユニットの第1の辺又は第2の辺と基板のX軸方向の辺との間には同じ角度(included angle)αが設けられる。代替的には、圧力感知ユニットの第1の辺又は第2の辺と基板のY軸方向の辺との間には同じ角度αが設けられる。
【0007】
好ましくは、角度αは35°~55°の範囲内である。
【0008】
好ましくは、角度αは45°である。
【0009】
好ましくは、延在方向が同じパターン形状である2つの抵抗器は対角線上に分布している。
【0010】
好ましくは、延在方向が同じであるパターン形状を有する2つの抵抗器は抵抗器の第1グループと定義され、他の2つの抵抗器は抵抗器の第2グループと定義される。第1グループの抵抗器のパターン形状及び第2グループの抵抗器のパターン形状は延在方向が異なる。
【0011】
好ましくは、第1グループの抵抗器のパターン形状の延在方向と、第2グループの抵抗器のパターン形状の延在方向とは互いに直交する。
【0012】
本開示はさらにタッチパネルを提供する。タッチパネルは上記の圧力感知モジュールと、位置情報を検出するよう構成されたタッチ感知ユニットとを備える。
【0013】
本開示はまた、タッチパネルの二点タッチ圧力を検出する方法を提供し、該方法は、ステップS1:上記のタッチパネルを提供すること、ステップS2:第1のタッチ力FAを第1圧力感知領域に加え第2のタッチ力FBを第2圧力感知領域に加えて第1のタッチ力FA及び第2のタッチ力FBのタッチ位置を感知し、それぞれタッチ点の位置情報を取得すること、ステップS3:第1圧力感知領域における圧力感知ユニットの第1の測定値F1と第2圧力感知領域における圧力感知ユニットの第2の測定値F2とをそれぞれ取得し、既知の力Fがタッチパネルに加えられた際、第1圧力感知領域における圧力感知ユニットにより取得された任意のタッチ点における力Fの成分比KAと第2圧力感知領域における圧力感知ユニットにより取得された任意のタッチ点における力Fの成分比KBとを取得すること、及びステップS4:取得された第1のタッチ力FA及び第2のタッチ力FBのタッチ点の位置、及び第1の測定値F1及び第2の測定値F2に応じて、第1のタッチ力FA及び第2のタッチ力FBに対応するタッチ点の成分比KA及びKBを取り出すことであって、それにより、第1のタッチ力FA及び第2のタッチ力FBを算出することを含む。タッチ点の成分比KAは第1圧力感知領域における第1のタッチ力FAのそれぞれ対応するタッチ点の比例成分KA1と、第2圧力感知領域における第2のタッチ力FBのそれぞれ対応するタッチ点の比例成分KA2とを含む。タッチ点の成分比KBは、第1圧力感知領域における第1のタッチ力FAのそれぞれ対応するタッチ点の比例成分KB1と、第2圧力感知領域における第2のタッチ力FBのそれぞれ対応するタッチ点の比例成分KB2とを含む。
FA=(F1*KB2-F2*KA2)/(KA1*KB2-KB1*KA2)
FB=(F2*KA1-F1*KB2)/(KA1*KB2-KB1*KA2)
【0014】
好ましくは、KA1及びKA2の値はX軸座標と多変量曲線の正規相関を有する。KA1及びKA2の値はY軸上で対称である。KA1及びKA2の値は正規化される。
【0015】
同時に、KB1及びKB2の値はX軸座標と多変量曲線の正規相関を有する。KB1及びKB2の値はY軸上で対称である。KB1及びKB2の値は正規化される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1A】
図1Aは、本開示の少なくとも1つの実施形態にかかる圧力感知モジュールの断面構成図である。
【
図1B】
図1Bは、本開示の少なくとも1つの実施形態にかかる圧力感知モジュールの平面構成図である。
【
図2A】
図2Aは、本開示の少なくとも1つの実施形態にかかる圧力感知モジュールの圧力感知ユニットの変形構成の構成図である。
【
図2B】
図2Bは、本開示の少なくとも1つの実施形態にかかる圧力感知モジュールの圧力感知ユニットの別の変形構成の構成図である。
【
図2C】
図2Cは、本開示の少なくとも1つの実施形態にかかる圧力感知モジュールの圧力感知ユニットの別の変形構成の構成図である。
【
図3A】
図3Aは、本開示の少なくとも1つの実施形態にかかる圧力感知モジュールの圧力感知ユニットの構成図であり、角度αだけ回転させて基板に配置された様子を示す図である。
【
図4】
図4は、本開示の少なくとも1つの実施形態にかかる圧力感知モジュールの変形を示す構成図である。
【
図5A】
図5Aは、本開示の少なくとも1つの実施形態にかかる圧力感知モジュールにおける感知ユニットのブリッジ回路の構成図である。
【
図5B】
図5Bは、本開示の少なくとも1つの実施形態にかかる圧力感知モジュールにおける等アーム(equal-arm)ブリッジの等価回路図である。
【
図6A】
図6Aは、本開示の少なくとも1つの実施形態にかかる圧力感知モジュールにおけるブリッジに含まれる4つの抵抗器のパターン形状及びそれらの配線の構成図である。
【
図7A】
図7Aは、本開示の少なくとも1つの実施形態にかかる圧力感知モジュールの変形構成の概略図である。
【
図7B】
図7Bは、複数の圧力感知モジュールの接続を示す構成図である。
【
図8A】
図8Aは、本開示の少なくとも1つの実施形態にかかるタッチパネルの構成図である。
【
図8B】
図8Bは、本開示の少なくとも1つの実施形態にかかるタッチパネルの変形構成の概略図である。
【
図8C】
図8Cは、本開示の少なくとも1つの実施形態にかかるタッチパネルの別の変形構成の概略図である。
【
図8D】
図8Dは、本開示の少なくとも1つの実施形態にかかるタッチパネルの別の変形構成の概略図である。
【
図9】
図9は、本開示の少なくとも1つの実施形態にかかるタッチパネルの二点タッチ圧力を検出する方法を示すフローチャートである。
【
図10A】
図10Aは、タッチパネルの内部圧力感知ユニットの分布を示す構成図である。
【
図10B】
図10Bは、タッチパネルの内部タッチ感知ユニットの分布を示す構成図である。
【
図11B】
図11Bは、加えられたタッチ力を検出するためのタッチパネルの第1圧力感知領域における圧力感知ユニットの構成図である。
【
図11C】
図11Cは、タッチパネル上の各タッチ感知ユニットに一定の値の圧力が加えられた場合に、第1圧力感知領域における圧力感知ユニットにより検出される対応するタッチ点の成分比K
Aの分布を示す構成図である。
【
図11D】
図11Dは、タッチパネルの各タッチ感知ユニットに一定の値の圧力が加えられた場合に、第1圧力感知領域における圧力感知ユニットにより検出される対応するタッチ点の成分比K
AとX軸との間の関係の概略図である。
【
図11E】
図11Eは、タッチパネル上の各タッチ感知ユニットに一定の値の圧力が加えられた場合に、第1圧力感知領域における圧力感知ユニットにより検出されるタッチ圧力とY軸との間の機能関係図である。
【
図11F】
図11Fは、第1圧力感知領域における圧力感知ユニットにより検出されるタッチ点の成分比K
AとX軸との間の関係と、タッチ圧力とY軸の関数との積との間の機能関係図である。
【
図12A】
図12Aは、加えられたタッチ力を検出するためのタッチパネルの第2圧力感知領域における圧力感知ユニットの構成図である。
【
図12B】
図12Bは、タッチパネルの各タッチ感知ユニットに一定の値の圧力が加えられた場合に、第2圧力感知領域における圧力感知ユニットにより検出される対応するタッチ点の成分比K
Bの分布を示す構成図である。
【
図12C】
図12Cは、タッチパネルの各タッチ感知ユニットに一定の値の圧力が加えられた場合に、第2圧力感知領域における圧力感知ユニットにより検出される対応するタッチ点の成分比K
BとX軸との間の関係を示す概略図である。
【
図12D】
図12Dは、タッチパネル上の各タッチ感知ユニットに一定の値の圧力が加えられた場合に、第2圧力感知領域における圧力感知ユニットにより検出されるタッチ圧力とY軸との間の機能関係図である。
【
図12E】
図12Eは、第2圧力感知領域における圧力感知ユニットにより検出されるタッチ点の成分比K
BとX軸との間の関係と、タッチ圧力とY軸の関数との積との間の関係を示す機能関係図である。
【
図13A】
図13Aは、タッチパネルの第1圧力感知領域と第2圧力感知領域とにおいてタッチ力を加える様子を示す構成図である。
【
図13B】
図13Bは、タッチパネルの第1圧力感知領域と第2圧力感知領域とにおいてタッチ力を加えたテスト結果を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(詳細な説明)
本開示の目的、技術的解決及び利点をより明確にするために、本開示は、添付の図面及び実施形態を参照することにより以下により詳細に記載される。本明細書に記載する具体的な実施形態は本開示の例示に過ぎず本発明を限定するものではないことを理解されたい。
【0018】
図1A及び
図1Bを参照すると、本開示の少なくとも1つの実施形態にかかる圧力感知モジュール10は、基板11と基板11の表面上に形成される圧力感知層12とを備える。圧力感知層12は、複数の圧力感知ユニット121とボンディングエリア122とを備える。圧力感知ユニット121は長方形の構造又は正方形の構造等の矩形構造であってもよく、圧力感知ユニット121は基板11の表面の上に軸対称に分布されてもよく、基板11は互いに軸対称の2つの圧力感知領域、すなわち第1圧力感知領域112及び第2圧力感知領域113を形成する。第1圧力感知領域112及び第2圧力感知領域113の対称軸はX軸であってもY軸であってもよいが、ここでは限定されない。第1圧力感知領域112の圧力感知ユニット121及び第2圧力感知領域113の圧力感知ユニット121はそれぞれ信号接続線によりボンディングエリア122に接続され、且つボンディングエリア122を介して外部検出回路又はチップに電気的に接続され、それにより圧力を感知することができる。
【0019】
図2Aを参照すると、基板11は矩形に形成されている。4個の圧力感知ユニット121が基板11の中央の領域に配置され、そのうち2つの圧力感知ユニット121が第1圧力感知領域112に設けられ、その他の2つの圧力感知ユニット121が第2圧力感知領域113に設けられる。第1圧力感知領域112の感知ユニット121と第2圧力感知領域113の感知ユニット121とは基板11のY軸において軸対称である。
【0020】
図2Bを参照すると、基板11は矩形に形成されており、4個の圧力感知ユニット121が基板11の4つの角に配置され、そのうち2つの圧力感知ユニット121が第1圧力感知領域112に設けられ、その他の2つの圧力感知ユニット121が第2圧力感知領域113に設けられている。第1圧力感知領域112の感知ユニット121と第2圧力感知領域113の感知ユニット121とは基板11のY軸において軸対称である。
【0021】
図2Cを参照すると、基板11は矩形に形成されており、10個の圧力感知ユニット121が基板11の上に配置され、そのうちの4個の圧力感知ユニット121のうち2つ及び他の2つは基板11の4つの角に対称に設けられ、残りの6個の圧力感知ユニット121は第1圧力感知領域112及び第2圧力感知領域113内に対称に分布している。
【0022】
図3A-
図3Bを参照すると、幾つかの実施形態では、基板11は矩形に形成されており、基板11の4つの角が対応して圧力感知ユニット121を備える場合、基板11の4つの角にある圧力感知ユニット121の第1の辺1211又は第2の辺1212と、基板11のX軸方向の辺との間には同じ角度αがあり、又は基板11の4つの角にある圧力感知ユニット121の第1の辺1211又は第2の辺1212と、基板11のY軸方向の辺との間には同じ角度αがある。角度αは35°~55°の範囲内、好ましくは45°である。角度αで基板11の4つの角に位置する圧力感知ユニット121は、圧力感知ユニット121により検出された任意の二点タッチ圧力値を互いにオフセットしないか又はわずかにオフセットさせるのみである。したがって圧力感知モジュール10は二点タッチ圧力をより正確に測定することができる。
【0023】
要するに、複数の圧力感知ユニット121はX軸及び/又はY軸方向に沿って基板11上に軸対称に分布していさえすればよく、よって2つの対称に配置された圧力感知領域を画定する。圧力感知ユニット121の数は限定されない。
【0024】
図4を参照すると、圧力感知モジュール10が指で押圧されると、圧力感知層12上の圧力感知ユニット121が押圧力により変形し、すなわち、体積が変化し、それが圧力感知ユニット121の抵抗に影響を与え、かくして圧力感知ユニット121の抵抗変化が取得され指の押圧力を得ることができる。
【0025】
図5A-
図5Bを参照すると、圧力感知ユニット121はそれぞれ独立して設けられたブリッジ111であり、ブリッジ111は4つの抵抗器から成ってもよい。4つの抵抗器の抵抗値は同じである。4つの抵抗器は、抵抗器R
1、抵抗器R
2、抵抗器R
3、及び抵抗器R
4であり、抵抗器R
1は抵抗器R
2と直列に接続され、抵抗器R
3は抵抗器R
4と直列に接続され、2つの直列回路は並列に接続されてホイートストンブリッジを形成する。さらに、第1の電源端子は抵抗器R
1と抵抗器R
3との間に接続され、接地接続が抵抗器R
2と抵抗器R
4との間に接続される。
図5Aに示すように、ブリッジ111のC端子とA端子とは信号出力のために増幅器126に接続され、増幅器126は電源の陽極及び陰極に接続されてもよい。
【0026】
図5Bに示すように、タッチ力が加えられていない場合、ブリッジ111は平衡状態にある。タッチ力が加えられると、押圧位置付近の1つ又は複数のブリッジ111が変形して抵抗値を変化させ、ホイートストンブリッジバランスが崩れ確実に出力電位差信号U
0を変化させる(
図5Bに示すようにU
AC)。異なる圧力は異なる抵抗値に対応し、異なる電位差信号がそれに応じて生成される。したがって、対応する圧力値は、ホイートストンブリッジの電位差信号U
0を算出し且つ処理することにより得られる。
【0027】
抵抗器R
1の2つの端子の電圧降下は以下のように表される。
【0028】
抵抗器R
3の2つの端子の電圧降下は以下のように表される。
【0029】
ブリッジから出力される電圧U
0は以下のように表される。
【0030】
式(3)から、R1R4=R2R3である場合、ブリッジ111の出力電圧U0は0に等しく、ブリッジ111は平衡状態にあることが分かる。
【0031】
さらに、平衡状態にあるブリッジ111の各ブリッジアーム抵抗の変化がΔR
1、ΔR
2、ΔR
3、及びΔR
4であると仮定すると、ブリッジ111の出力電圧U
0はさらに以下のように表される。
【0032】
平衡条件R
1R
4=R
2R
3を上記式(4)に代入し、さらに、高次トレース(high-order trace)を省くためにΔRがRよりもはるかに小さいことを考慮すると、ブリッジの出力電圧は以下のように表される。
【0033】
本開示では、ブリッジ111の抵抗の抵抗値は等しく、すなわち、R
1=R
2=R
3=R
4=Rとなり、したがって上記式(5)はさらに以下のように表される。
【0034】
さらに、ブリッジ111の4つの抵抗器(抵抗器R1、抵抗器R2、抵抗器R3及び抵抗器R4)が歪みゲージであり、それらの感度Kが同じである場合、指で圧力感知層12を押した後、指での押圧動作により生じる抵抗変化と対応する抵抗器の初期抵抗値との比と、抵抗器が押された後の歪みとの間の関係は以下の通りである。
△R/R=Kε (7)
【0035】
上記式(6)を式(7)と組み合わせることにより、ブリッジ111の出力圧力U
0はさらに以下のように表すことができる。
【0036】
上記式(8)から分かるように、ブリッジ111の出力電圧U0は4つの抵抗器の歪みに関係する。上記式(8)をさらに単純化するために、ブリッジ111は、パターン形状の延在方向が同じである2つの抵抗器を含む。
【0037】
図6Aを参照すると、抵抗器R
1と抵抗器R
4との両方、及び抵抗器R
2と抵抗器R
3との両方がパターン形状の延在方向が同じであるため、ブリッジ111は、延在方向と一致したX方向の歪みとY方向の歪みを有する。ここでの、また以下の記載での延在方向とは、ある方向における抵抗器のパターン形状の総突出長が他の方向における抵抗器のパターン形状の総突出長よりも長く、またその方向が抵抗器のパターン形状の延在方向であることを意味する。
【0038】
さらに、抵抗器R
1、抵抗器R
2、抵抗器R
3及び抵抗器R
4間のホイートストンブリッジを形成するために、且つ電気的接続を達成するために、本実施形態では、
図6Aに示すように、圧力感知モジュール10はさらにボンディング領域114を備え、抵抗器R
1、抵抗器R
2、抵抗器R
3及び抵抗器R
4は独立してボンディング領域114に配線されている。
【0039】
図6Bを参照して、
図6Aに示す抵抗器R
1を例として説明する。抵抗器のパターン形状の総突出長は、X方向に沿った総突出長dとY方向に沿った総突出長hとに分けることができ、抵抗器のパターン形状はX方向又はY方向に沿った複数のセグメントに分けられる。
図6Bに示すように、X方向に沿った総突出長dは線分d
1、線分d
2、線分d
3、線分d
4、線分d
5及び線分d
6の和に等しく、Y方向に沿った総突出長hは線分h
1、線分h
2、線分h
3、線分h
4及び線分h
5の和に等しい。
図6Bから分かるように、X方向に沿った総突出長dはY方向に沿った総突出長hよりも長い。したがって、X方向に沿った抵抗器R1の総突出長が位置する方向は抵抗器R
1の延在方向Pである。
【0040】
上記の方法によれば、抵抗器R2、抵抗器R3及び抵抗器R4に対応する延在方向をそれぞれ得ることができ、具体的なステップについてはここでは再び説明しない。
【0041】
本開示では、延在方向が同じである2つの抵抗器のパターン形状は隣接して配置されない。すなわち、抵抗器R1及び抵抗器R4の延在方向は、X方向に沿った総突出長dが位置する方向であり、抵抗器R1と抵抗器R4とは隣接して配置されない。抵抗器R2及び抵抗器R3の延在方向はY方向に沿った総突出長hが位置する方向であり、抵抗器R2と抵抗器R3とは隣接して配置されない。ここにかつ以下に記載する隣接して配置されない2つの抵抗器はX方向又はY方向に沿って隣接して配置されないと理解することができる。
【0042】
さらに、延在方向が同じであるパターン形状を有する2つの抵抗器は対角線上に配置されている。すなわち、特に、抵抗器R1及び抵抗器R4は対角線上に配置され、抵抗器R2及び抵抗器R3は対角線上に配置される。
【0043】
幾つかの好適な実施形態では、延在方向が同じである圧力感知ユニット121(すなわち、ブリッジ111)の2つの抵抗器は抵抗器の第1グループとされ、他の2つの抵抗器は抵抗器の第2グループとされ、第1グループの抵抗器のパターン形状の延在方向は、第2グループの抵抗器のパターン形状の延在方向とは異なる。すなわち、第1グループの抵抗器は抵抗器R1及び抵抗器R4を含み、第2グループの抵抗器は抵抗器R2及び抵抗器R3を含む。
【0044】
より好ましくは、第1グループの抵抗器のパターン形状の延在方向と第2グループの抵抗器のパターン形状の延在方向とは互いに直交する。すなわち、抵抗器R1及び抵抗器R4のパターン形状の延在方向と抵抗器R2及び抵抗器R3のパターン形状の延在方向とは互いに直交する。特に、第1の方向に沿った抵抗器R1と抵抗器R4とのパターン形状の総突出長は第2の方向に沿った抵抗器R1と抵抗器R4とのパターン形状の総突出長よりも大きく、かつ第2の方向に沿った抵抗器R2と抵抗器R3とのパターン形状の総突出長は第1の方向に沿った抵抗器R2と抵抗器R3とのパターン形状の総突出長よりも大きい。ここで、第1の方向と第2の方向とは直交している。
【0045】
本実施形態では、圧力感知層12の1つの圧力感知ユニット121のみ(すなわち、ブリッジ111)が抵抗器の具体的なレイアウト及び構造的関係を示すために用いられる。実際の応用レベルにおいては、圧力感知層12は異なる抵抗パターン形状又は分布を有する1つ又は複数の圧力感知ユニット121を含んでもよい。
【0046】
本実施形態では、それぞれの抵抗(抵抗器R1、抵抗器R2、抵抗器R3、及び抵抗器R4)は金属ワイヤから構成されてもよい。金属ワイヤの材料は、銅、銀、アルミニウム、金等のうちのいずれか1つ又はそれらの組み合わせを含むが、それらに限定されない。また、金属ワイヤは、その抵抗変化が主に指で押された後の体積変化によって引き起こされる材料を含み、すなわち、材料はブリッジ111が指によるタッチ力を受けた後の第1の方向及び第2の方向に沿った歪みを感知することができるものである。
【0047】
図1及び
図6Aを参照すると、具体的には、第1の方向はX方向に対応し、第2の方向はY方向に対応する。第1の圧力感知ユニット121(すなわち、ブリッジ111)における4つの抵抗器はアレイ状に配置されており、全てがエッチングによって基板11上に形成される。1つのブリッジ111において、対角線上に配置された2つの抵抗器(すなわち、抵抗器R
1及び抵抗器R
4)は第1の方向(X方向)を延在方向とする櫛形形状を採用し、対角線上に配置された他の2つの抵抗器(すなわち、抵抗器R
2及び抵抗器R
3)は第2の方向(Y方向)を延在方向とする櫛形形状を採用している。このような設計を採用することにより、X方向及びY方向に沿ったブリッジ111の抵抗値の変化を互いに異ならせることができ、それによりブリッジ111の電圧出力値を大きくすることができる。ブリッジ111における4つの抵抗器は比較的近いため、加熱の度合い及び圧力の度合いが実質的に同じであり、したがって、1つの抵抗器のみが不均一に加熱されたり圧力を受けたりすることが容易ではなくなる。
【0048】
さらに、
図6Aに示すように、櫛形形状の抵抗器間の距離があまりに大きいと、4つの抵抗器に与える温度の影響がばらばらになり、温度により引き起こされる歪みが同じではなくなる。したがって、温度による出力電圧U
0はゼロにはならず、ブリッジのバランスに影響を与える。しかしながら、櫛形形状の抵抗器間の距離があまりに小さいと、指により押下された後タッチ力により引き起こされる変化信号の信号対雑音比に影響を与えることになる。したがって、より良い感知効果を得るために、本開示では、抵抗器R
1、抵抗器R
2、抵抗器R
3、及び抵抗器R
4の内の2つの隣接する抵抗器のパターン形状の間の距離が0.01mm~2mmの範囲内に維持され、それにより同じ領域での加熱の均一性を向上させる。
【0049】
本実施形態では、ブリッジ111の抵抗器R
1、抵抗器R
2、抵抗器R
3、及び抵抗器R
4の抵抗値が同じであり、また指により押下された際のタッチ力によって引き起こされる抵抗変化及び4つの抵抗器の温度変化が同じであると仮定することにより、式(7)に示したΔR/R=Kε(Kは感度)を用いて、指により押下された後の電気抵抗器R
1、抵抗器R
2、抵抗器R
3及び抵抗器R
4により生じる歪みの関係はε
1=ε
4=ε
xかつε
2=ε
3=ε
yのように表されることが分かる。したがって、上記式(8)はさらに以下の式に変換される。
【0050】
上記式(9)から分かるように、圧力UBDは測定によって得ることができる。Kは金属ワイヤの材料に関連する抵抗感度である。押下された後のブリッジ111のX方向の歪みはεxと表され、押下された後のブリッジ111のY方向の歪みはεyと表される。これらの歪みは抵抗歪みゲージの測定により得られる。
【0051】
上記式(9)により得られるブリッジ111の出力電圧U0は、指によりブリッジ111が押下された後のX方向の歪みεxとY方向の歪みεyとの間の差の絶対値に関係していることが分かる。
【0052】
幾つかの実施形態では、ブリッジ111が指によって押圧された後のX方向における歪みεxとY方向における歪みεyとの間の差を大きくするために、圧力感知層12のアスペクト比はさらに異なるように設定されてもよい。すなわち、X方向に沿った感知層12の長さは、Y方向に沿った感知層12の長さとは異なる。
【0053】
図7Aと
図7Bを参照すると、幾つかの実施形態では、圧力感知モジュール20は、圧力感知ユニット211、選択チップ213、圧力感知回路214、及びタッチ感知回路215を備える。
【0054】
特に、圧力感知モジュール20では、複数の圧力感知ユニット211が基板(図示せず)の表面上にアレイ状に配置される。圧力感知ユニット211のそれぞれは独立して配置されたブリッジ211であり、ブリッジ211は4つの抵抗器、すなわち抵抗器R1a’、抵抗器R2a’、抵抗器R3a’、及び抵抗器R4a’を備える。4つの抵抗器はボンディング領域212と電気的に接続されさらにボンディング領域212を介して選択チップ213と接続されている。選択チップ213はさらに選択スイッチ(図示せず)を備え、選択スイッチは圧力感知回路214とタッチ感知回路215とに電気的に接続されている。
【0055】
圧力感知及びタッチ感知を実現するために、好ましくは、スキャンが時分割スキャンにより行われる。すなわち、スキャン期間が圧力感知(すなわち、第1のタイミング)の場合、選択チップ213の選択スイッチが圧力感知回路214をオンにするように切り替わり、その結果抵抗器R1a’、抵抗器R2a’、抵抗器R3a’及び抵抗器R4a’が圧力感知回路214に接続される。指で押された後、抵抗器R1a’、抵抗器R2a’、抵抗器R3a’及び抵抗器R4a’の体積は変化し、それにより歪みと抵抗値が変化し、歪みに応じてタッチ力が感知される。
【0056】
スキャン期間がタッチ感知(すなわち、第2のタイミング)である場合、選択チップ213内の選択スイッチ(図示せず)はタッチ感知回路215に接続され、これにより抵抗器R1a’、抵抗器R2a’、抵抗器R3a’及び抵抗器R4a’はタッチ感知回路215に電気的に接続され、自己静電容量センシング方式により指の押圧位置を感知する。
【0057】
さらに、圧力感知モジュールの感知効果を改善するために、
図7Bに示すような複数のブリッジ211の配置が提供される。複数のブリッジ211はアレイ状に分布し、基板の1つの表面上にのみ配置される。このような設計により、時分割方式を用いて多点圧力タッチ感知をさらに実現できる。
【0058】
図8Aを参照すると、本開示の第2の実施形態はタッチパネル100を提供し、タッチパネル100は圧力感知モジュール10、タッチ感知モジュール20、及び表示モジュール30を備える。タッチ感知モジュール20は圧力感知モジュール10と表示モジュール30との間に設けられる。
【0059】
特に、圧力感知モジュール10は第1の実施形態で提供した圧力感知モジュールと同じ構造及び機能を有する。すなわち、圧力感知モジュール10は、基板11と、基板11の表面上に形成される圧力感知層12とを有する。圧力感知層12は複数の圧力感知ユニット121とボンディングエリア(図示せず)とを備える。複数の圧力感知ユニット121は、基板11の表面上に軸対称に分布している。圧力感知ユニット121はそれぞれ信号接続線によりボンディングエリアに接続され、且つボンディングエリアを介して外部検出回路又はチップに電気的に接続されて圧力の感知が可能になる。
【0060】
タッチ感知モジュール20は、タッチ基板21とタッチ基板21の表面上に形成されるタッチ感知層22とを備える。タッチ感知層22は、アレイ状に分布したタッチ感知ユニット221を備える。タッチ感知ユニット221はそれぞれ、信号接続線によりボンディングエリア(図示せず)に接続され、且つボンディングエリアを介して外部検出回路又はチップに電気的に接続されてタッチ位置の感知が可能になる。
【0061】
表示モジュール30は、表示基板31と、表示基板31上に形成される表示層32とを備える。好ましくは、表示モジュール30はOLED表示モジュールである。
【0062】
図8Bを参照すると、幾つかの実施形態では、表示モジュール30はタッチ感知モジュール20と圧力感知モジュール10との間に設けられる。すなわち、表示モジュール30は、タッチ感知層22から離れたタッチ基板21の辺と圧力感知モジュール10との間に設けられる。好ましくは、表示モジュール30はOLED表示モジュールである。
【0063】
図8Cを参照すると、幾つかの実施形態では、圧力感知モジュール10は表示モジュール30とタッチ感知モジュール20との間に設けられる。すなわち、圧力感知モジュール10は、表示層32から離れた表示基板31の辺とタッチ感知モジュール20との間に設けられる。好ましくは、表示モジュール30はOLED表示モジュールである。
【0064】
図8Dを参照すると、幾つかの実施形態では、圧力感知モジュール10は表示モジュール30の下方に設けられ、圧力感知層12とタッチ感知層22とは同じ層に配置されて基板11を共有している。
図9を参照すると、本開示の第3の実施形態はタッチパネルの二点タッチ圧力を検出する方法を提供し、この方法は以下のステップを含む。
【0065】
ステップS1:第1のタッチ力FAが第1圧力感知領域に加えられ第2のタッチ力FBが第2圧力感知領域に加えられ、第1のタッチ力FA及び第2のタッチ力FBのタッチ位置を感知し、それぞれタッチ点の位置情報を取得する。
【0066】
図10Aを参照すると、タッチパネル100が設けられる。タッチパネル100は複数の圧力感知ユニット121を備える。圧力感知ユニット121は基板11に対して軸対称に設けられる。対称軸はX軸であってもY軸であってもよい。圧力感知ユニット121の軸対称の構成はタッチパネル100の第1圧力感知領域112と第2圧力感知領域113とを規定する。すなわち、タッチパネル100はX軸又はY軸に沿って互いに軸対称の第1圧力感知領域112と第2圧力感知領域113とを規定する。
【0067】
ユーザが第1圧力感知領域112及び第2圧力感知領域113にそれぞれ1本の指でのタッチを行う。すなわち、ユーザが第1圧力感知領域112に第1のタッチ力FAを加え、第2圧力感知領域113に第2のタッチ力FBを加えると、それらタッチ点の位置がそれぞれ得られる。第1圧力感知領域112に働くタッチ点は(X1、Y1)、すなわち、第1のタッチ力FAのタッチ点の位置は(X1、Y1)である。第2圧力感知領域113に働くタッチ点は(X2、Y2)、すなわち、第2のタッチ力FBのタッチ点の位置は(X2、Y2)である。
【0068】
ステップS2:第1圧力感知領域における圧力感知ユニットの第1の測定値F1と第2圧力感知領域における圧力感知ユニットの第2の測定値F2がそれぞれ取得される。第1の測定値F1は、第1圧力感知領域112における第1のタッチ力FAの成分FA(component 1)と第1圧力感知領域112における第2のタッチ力FBの成分FB(component 1)との和である。すなわち、F1=FA(component 1)+FB(component 1)である。第2の測定値F2は、第2圧力感知領域113における第2のタッチ力FBの成分FB(component 2)と第2圧力感知領域113における第1のタッチ力FAの成分FA(component 2)との和である。すなわち、F2=FB(component 2)+FA(component 2)である。
【0069】
力Fがタッチパネルに加わると、第1圧力感知領域における圧力感知ユニットにより得られる任意のタッチ点における力Fの成分比KAと、第2圧力感知領域における圧力感知ユニットにより得られる任意のタッチ点における力Fの成分比KBは以下の通りとなる。
F1=FA(component 1)+FB(component 1)=FA*KA1+FB*KA2 (1)
KA1=fA(x1)*fA(y1) (2)
KA2=fA(x2)*fA(y2) (3)
F2=FB(component 2)+FA(component 2)=FB*KB2+FA*KB1 (4)
KB1=fB(x1)*fB(y1) (5)
KB2=fB(x2)*fB(y2) (6)
すなわち、KA=fA(x)*fA(y)、KB=fB(x)*fB(y)である。
【0070】
FA*KA1は、タッチ力FAが座標(X1、Y1)に加えられた時の第1圧力感知領域における圧力感知ユニットにより得られるタッチ強度である。
【0071】
FB*KA2は、タッチ力FBが座標(X2、Y2)に加えられた時の第1圧力感知領域における圧力感知ユニットにより得られるタッチ強度である。
【0072】
FB*KB2は、タッチ力FBが座標(X2、Y2)に加えられた時の第2圧力感知領域における圧力感知ユニットにより得られるタッチ強度である。
【0073】
FA*KB1は、タッチ力FAが座標(X1、Y1)に加えられた時の第2圧力感知領域における圧力感知ユニットにより得られるタッチ強度である。
【0074】
KAは、力Fがタッチパネル上のタッチ感知領域における任意のタッチ点に加えられた時の第1圧力感知領域における圧力感知ユニットにより得られる力Fの成分比である。
【0075】
KBは、力Fがタッチパネル上のタッチ感知領域における任意のタッチ点に加えられた時の第2圧力感知領域における圧力感知ユニットにより得られる力Fの成分比である。
【0076】
タッチ点の成分比KAは、第1圧力感知領域における第1のタッチ力FAのそれぞれ対応するタッチ点の比例成分KA1と、第2圧力感知領域における第2のタッチ力FBのそれぞれ対応するタッチ点の比例成分KA2とを含む。
【0077】
タッチ点の成分比K
Bは、第1圧力感知領域における第1のタッチ力F
Aのそれぞれ対応するタッチ点の比例成分K
B1と、第2圧力感知領域における第2のタッチ力F
Bのそれぞれ対応するタッチ点の比例成分K
A2とを含む。
図10Bを参照すると、タッチパネルはM*N個のタッチ感知ユニットを含み、タッチ感知ユニットは、タッチ位置を検出するために第1圧力感知領域112及び第2圧力感知領域113にアレイ状に分布する。ユーザの指がタッチパネル上で動く時、対応するタッチ感知ユニットがタッチ感知信号を取得し、タッチ点の位置を得ることができる。ここで、N≧Mであり、N及びMはいずれも正の整数である。
【0078】
図11A-
図11Cを参照すると、タッチパネル上にM*N個のタッチ感知ユニットがアレイ状に分布している。本実施形態では、7x15のアレイに分布したタッチ感知ユニットが例としてあげられ、すなわち、A-G行及び1-15列を有する。
【0079】
タッチパネル上の各タッチ点に一定の値のタッチ力Fを加えて、第1圧力感知領域112における圧力感知ユニット121により検出された各タッチ点のKA1、KA2と、第2圧力感知領域113における圧力感知ユニット121により検出された各タッチ点のKB1、KB2とを取得する。
【0080】
特に、
図11Bに示すように、第1圧力感知領域112における圧力感知ユニット121が機能する際、一定の値のタッチ力Fがタッチパネルの各タッチ感知ユニットに加えられる。タッチ力Fが対応するタッチ感知ユニットに加えられると、圧力感知ユニット121により検出された圧力値と加えられたタッチ力Fとの比は、タッチ感知ユニットに対応する成分比、すなわち、K
A1値又はK
A2値となる。すなわち、第1圧力感知領域112におけるタッチ感知ユニットがタッチ力Fで押圧されると、圧力感知ユニット121により検出された圧力値と加えられたタッチ力Fとの比は、対応する位置のK
A1である。第2圧力感知領域113におけるタッチ感知ユニットがタッチ力Fで押圧されると、圧力感知ユニット121により検出された圧力値と加えられたタッチ力Fとの比は、対応する位置のK
A2である。
【0081】
図11C-
図11Dに示すように、一定の値のタッチ力Fがタッチパネルの各タッチ感知ユニットに加えられると、第1圧力感知領域112の各タッチ感知ユニットの成分比K
A1及び第2圧力感知領域113の各タッチ感知ユニットの成分比K
A2が得られる。各行のタッチ感知ユニットのK
A1及びK
A2とX軸座標とは、次の式f
A(x)を満たす。
f
A(x)=ax
3+bx
2+cx+d (7)
ここで、a、b、c、及びdは既知の定数であり、これらの定数は算出プログラムを当てはめることにより取得できる。
【0082】
行AのKA1及びKA2は行Gに対応するKA1及びKA2とほぼ等しく、いずれもfA(x4)=a4x4
3+b4x4
2+c4x4+d4を満たす。
【0083】
行BのKA1及びKA2は行Fに対応するKA1及びKA2とほぼ等しく、いずれもfA(x3)=a3x3
3+b3x3
2+c3x3+d3を満たす。
【0084】
行CのKA1及びKA2は行Eに対応するKA1及びKA2とほぼ等しく、いずれもfA(x2)=a2x2
3+b2x2
2+c2x2+d2を満たす。
【0085】
行DのKA1及びKA2はfA(x1)=a1x1
3+b1x1
2+c1x1+d1を満たす。
【0086】
すなわち、一定の値のタッチ力Fがタッチパネルの各タッチ感知ユニットに加えられると、第1圧力感知領域112における圧力感知ユニット121により取得される各タッチ感知ユニットの成分比KA1及びKA2は、X軸座標と多変量曲線の正規相関を有する。
【0087】
図11Eに示すように、各列のタッチ感知ユニットのK
A1及びK
A2、及びY軸座標は次の式f
A(y)を満たす。
f
A(y)=Ay
2+By+C (8)
ここで、A、B、及びCは定数である。これらの定数は算出プログラムを当てはめることにより得られ、f
A(y)はY軸上で対称である。
【0088】
さらに、行AのKA1及びKA2と行Dに対応するKA1及びKA2との比はfA(y1)=A1y1
2+B1y1+C1を満たす。
【0089】
行BのKA1及びKA2と行Dに対応するKA1及びKA2はfA(y2)=A2y2
2+B2y2+C2を満たす。
【0090】
行CのKA1及びKA2と行Dに対応するKA1及びKA2はfA(y3)=A3y3
2+B3y3+C3を満たす。
【0091】
すなわち、一定の値のタッチ力Fがタッチパネルの各タッチ感知ユニットに加えられると、第1圧力感知領域112における圧力感知ユニット121により取得されるタッチ感知ユニットの成分比KA1及びKA2はY軸上で対称となり、KA1及びKA2の値は正規化される、すなわち、KA1及びKA2の値はY軸の中央から両側に向かって徐々に減少する。
【0092】
図11Fを参照すると、上記式(2)及び(3)から、以下のことが分かる。
K
A=f
A(x)*f
A(y) (9)
【0093】
すなわち、KA1=fA(x1)*f(y1)かつKA2=fA(x2)*f(y2)となる。
【0094】
特に、
図12A-
図12Bに示すように、第2圧力感知領域113における圧力感知ユニット121が動作する際、一定の値のタッチ力Fがタッチパネルの各タッチ感知ユニットに加えられる。タッチ感知力Fが対応するタッチ感知ユニットに加えられる場合、圧力感知ユニット121により検出された圧力値と加えられたタッチ力Fとの比は、タッチ感知ユニットに対応するタッチ力の成分比、すなわち、K
B1値又はK
B2値である。すなわち、第1圧力感知領域112におけるタッチ感知ユニットがタッチ力Fで押圧されると、第2圧力感知領域113における圧力感知ユニット121により検出された圧力値と、加えられたタッチ力Fとの比は、対応する位置のK
B1となる。第2圧力感知領域113におけるタッチ感知ユニットがタッチ力Fで押圧されると、第2圧力感知領域113における圧力感知ユニット121により検出された圧力値と、加えられたタッチ力Fとの比は対応する位置のK
B2となる。
【0095】
図12Cに示すように、一定のタッチ力Fがタッチパネルの各タッチ感知ユニットに加えられ、第1圧力感知領域112の各タッチ感知ユニットのK
B1と第2圧力感知領域113の各タッチ感知ユニットのK
B2とが得られる。各行のタッチ感知ユニットのK
B1及びK
B2、並びにX軸座標は次の式f
B(x)を満たす。
f
B(x)=ax
3+bx
2+cx+d (10)
ここで、a、b、c、及びdは既知の定数であり、これらの定数は算出プログラムを当てはめることにより得られる。
【0096】
行AのKB1及びKB2は行Gに対応するKB1及びKB2とほぼ等しく、いずれもfB(x4)=a4x4
3+b4x4
2+c4x4+d4を満たす。
【0097】
行BのKB1及びKB2は行Fに対応するKB1及びKB2とほぼ等しく、いずれもfB(x3)=a3x3
3+b3x3
2+c3x3+d3を満たす。
【0098】
行CのKB1及びKB2は行Eに対応するKB1及びKB2とほぼ等しく、いずれもfB(x2)=a2x2
3+b2x2
2+c2x2+d2を満たす。
【0099】
行DのKB1及びKB2はfB(x1)=a1x1
3+b1x1
2+c1x1+d1を満たす。
【0100】
すなわち、一定の値のタッチ力Fがタッチパネルの各タッチ感知ユニットに加えられると、第2圧力感知領域113における圧力感知ユニット121により取得される各タッチ感知ユニットの成分比KB1及びKB2はX軸座標と多変量曲線の正規相関を有する。
【0101】
図12Dに示すように、同時に、各列のタッチ感知ユニットのK
B1及びK
B2、ならびにそのY軸は次の式f
B(y)を満たす。
f
B(y)=Ay
2+By+C (11)
ここで、A、B、及びCは定数である。これらの定数は算出プログラムを当てはめることにより得られ、f
B(y)はY軸上で対称である。
【0102】
行AのKA1及びKA2と行Dに対応するKB1及びKB2との比はfB(y1)=A1y1+B1y1+C1を満たす。
【0103】
行BのKB1及びKB2と行Dに対応するKB1及びKB2との比はfB(y2)=A2y2
2+B2y2+C2を満たす。
【0104】
行CのKB1及びKB2と行Dに対応するKB1及びKB2との比はfB(y3)=A3y3
2+B3y3+C3を満たす。
【0105】
すなわち、一定の値のタッチ力Fがタッチパネルの各タッチ感知ユニットに加えられると、第2圧力感知領域113における圧力感知ユニット121により得られるタッチ感知ユニットの成分比KB1及びKB2はY軸上で対称であり、KB1及びKB2の値は正規化される。すなわち、KB1及びKB2の値はY軸の中央から両側に向かって徐々に減少する。
【0106】
図12Eを参照すると、上記式(5)及び(6)から以下のことが分かる。
K
B=f
B(x)*f
B(y) (12)
すなわち、K
B1=f
B(x
1)*f
B(y
1)かつK
B2=f
B(x
2)*f
B(y
2)である。
【0107】
ステップS3:第1のタッチ力及び第2のタッチ力が、取得された第1のタッチ力FA及び第2のタッチ力FBのタッチ点の位置、及び対応する第1の測定値F1及び第2の測定値F2に応じて、かつ第1のタッチ力FA及び第2のタッチ力FBに対応するタッチ点の成分比KA及びKBを取り出すことにより算出される。
【0108】
特に、上記式(1)~(12)から、以下のことが分かる。
FA=(F1*KB2-F2*KA2)/(KA1*KB2-KB1*KA2) (13)
FB=(F2*KA1-F1*KB2)/(KA1*KB2-KB1*KA2) (14)
KA=fA(x)*fA(y)、KB=fB(x)*fB(y)
ここで、KA1=fA(x1)*fA(y1)、KB2=fB(x2)*fB(y2)、
KB1=fB(x1)*fB(y1)、KA2=fA(x2)*fA(y2)、
fA(x)=ax3+bx2+cx+d、fA(y)=Ay2+By+C、
fB(x)=ax3+bx2+cx+d、fB(y)=Ay2+By+Cである。
【0109】
図13A-
図13Bを参照すると、第1のタッチ力F
Aが第1圧力感知領域112に加えられ、第2のタッチ力F
Bが第2圧力感知領域113に加えられる。5組の実験的試験が行われた。ここで第1グループでは、第1のタッチ力F
Aは0gであり、第2のタッチ力F
Bは、公差100の等差数列で0gから800gまで変化する。第2グループでは、第1のタッチ力F
Aは200gであり、第2のタッチ力F
Bは公差100の等差数列で0gから800gまで変化する。第3グループでは、第1のタッチ力F
Aは400gであり、第2のタッチ力F
Bは公差100の等差数列で0gから800gまで変化する。第4グループでは、第1のタッチ力F
Aは600gであり、第2のタッチ力F
Bは公差100の等差数列で0gから800gまで変化する。第5グループでは、第1のタッチ力F
Aは800gであり、第2のタッチ力F
Bは公差100の等差数列で0gから800gまで変化する。実験結果を
図13Bに示す。
図13Bから、圧力検出方法は検出精度が高くタッチパネルに加わる力の大きさを正確に得ることが可能であると結論付けることができる。
【0110】
従来技術と比較すると、本開示により提供される圧力感知モジュールには以下の利点がある。
【0111】
1.圧力感知層が基板上に形成され、圧力感知層は複数の圧力感知ユニットを備える。圧力感知ユニットは基板のX軸又はY軸に沿って軸対称に分布する。圧力感知ユニットは同じ抵抗を有する4つの抵抗器を備えホイートストンブリッジを構成する。ここで、抵抗器のうち2つの抵抗器のパターン形状は延在方向が同じであり互いに隣接して配置されない。本開示の圧力感知モジュールは、環境(例えば温度要因)の影響下での現行の圧力感知ユニットの押圧力の感知信号の差による押圧力の信号の歪みの問題を効率的に解決することができ、それにより圧力感知モジュールがより正確に二点タッチ圧力を測定することが可能になる。
【0112】
同時に、本開示は片側ブリッジを採用しており、これにより温度及び他のノイズの問題を克服する助けとなることが可能になる。加えて、片側ブリッジの製造はより単純でより安価である。本開示の圧力感知モジュールはまた、単純な構造及び高い検知精度という利点を有する。
【0113】
2.基板は矩形に形成されており、圧力感知ユニットは矩形に形成されており、基板の4つの角には圧力感知ユニットが設けられている。基板の4つの角にある圧力感知ユニットの第1の辺又は第2の辺と、基板11のX軸方向の辺との間には同じ角度αがあり、又は基板の4つの角にある圧力感知ユニットの第1の辺又は第2の辺と、基板のY軸方向の辺との間には同じ角度αがある。したがって、圧力感知ユニットにより検出されるいかなる二点タッチ圧力値も互いにオフセットしないか又はわずかにオフセットするのみであり、したがって圧力感知モジュールはより正確に二点タッチ圧力を測定することができる。
【0114】
3.本開示により提供されるタッチパネルは上述した圧力感知モジュールを有し、これによりタッチパネルに加えられるいかなる二点タッチ圧力をも正確に得ることが可能になる。
【0115】
4.二点タッチ圧力を検出する方法により、タッチスクリーンのタッチ表面上の両側のタッチ圧力を正確に取得することができる。
【0116】
上に記載したのは本開示の好適な実施形態に過ぎず、本発明を限定する意図はなく、本開示の趣旨の範囲内におけるいかなる変形、等価物、及び改良も本開示の範囲内にあるものである。