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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】吸収式冷凍機
(51)【国際特許分類】
   F25B 15/00 20060101AFI20220111BHJP
【FI】
F25B15/00 306Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2019208861
(22)【出願日】2019-11-19
(65)【公開番号】P2021081127
(43)【公開日】2021-05-27
【審査請求日】2021-01-19
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145908
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100136711
【弁理士】
【氏名又は名称】益頭 正一
(72)【発明者】
【氏名】檜山 修
(72)【発明者】
【氏名】杉山 隆英
【審査官】関口 勇
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-115772(JP,A)
【文献】特開2016-164474(JP,A)
【文献】特開昭56-18206(JP,A)
【文献】特開2002-81786(JP,A)
【文献】特開2002-115930(JP,A)
【文献】特開昭54-131160(JP,A)
【文献】特開2000-274864(JP,A)
【文献】特表2007-518058(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0138649(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再生器、凝縮器、蒸発器、及び吸収器の冷房サイクルによって冷水を得る吸収式冷凍機であって、
冷却塔からの冷却水を受け入れる冷却水入口から、前記吸収器及び前記凝縮器を経て、冷却塔に向けて冷却水を排出する冷却水出口まで延びる冷却水配管と、
前記再生器に対して熱媒を供給すると共に前記再生器における稀溶液の加熱によって温度低下した熱媒を排出するための熱媒配管と、
前記冷却水入口に設けられる冷却水入止水弁と、
前記冷却水出口に設けられる冷却水出止水弁と、
前記熱媒配管から前記冷却水配管に対して熱媒を供給する熱媒供給配管と、
前記冷却水配管から前記熱媒配管に対して冷却水を排出する冷却水排出配管と、
前記熱媒供給配管及び前記冷却水排出配管に設けられた制御弁と、
前記冷却水配管における冷却水温度を検出する冷却水温度検出手段と、
前記冷却水入止水弁、及び、前記冷却水出止水弁を閉じると共に前記冷却水配管内を冷却水で満たした満水保管状態において、前記冷却水温度検出手段により検出された温度が所定温度以下となるときには、前記制御弁を開けて前記熱媒配管の熱媒を前記冷却水配管に導入させる制御手段と、
を備えることを特徴とする吸収式冷凍機。
【請求項2】
冷水入口から受け入れた冷水を前記蒸発器に対して供給すると共に前記蒸発器にて冷却された冷水を冷水出口から外部の対象機に対して供給可能な冷水配管と、
前記冷水入口に設けられる冷水入止水弁と、
前記冷水出口に設けられる冷水出止水弁と、
前記冷水配管における冷水温度を検出する冷水温度検出手段と、
前記熱媒配管から前記冷水配管に対して熱媒を供給する第2熱媒供給配管と、
前記冷水配管から前記熱媒配管に対して冷水を排出する冷水排出配管と、
前記第2熱媒供給配管及び前記冷水排出配管に設けられた第2制御弁と、を備え、
前記制御手段は、前記冷却水入止水弁、及び、前記冷却水出止水弁を閉じると共に前記冷却水配管内を冷却水で満たし、且つ、前記冷水入止水弁、及び、前記冷水出止水弁を閉じると共に前記冷水配管内を冷水で満たした満水保管状態において、前記冷却水温度検出手段により検出された温度が所定温度以下となるとき、又は、前記冷水温度検出手段により検出された温度が特定温度以下となるときには、前記制御弁及び前記第2制御弁を開けて前記熱媒配管の熱媒を前記冷却水配管及び前記冷水配管に導入させる
ことを特徴とする請求項1に記載の吸収式冷凍機。
【請求項3】
再生器、凝縮器、蒸発器、及び吸収器の冷房サイクルによって冷水を得る吸収式冷凍機であって、
冷水入口から受け入れた冷水を前記蒸発器に対して供給すると共に前記蒸発器にて冷却された冷水を冷水出口から外部の対象機に対して供給可能な冷水配管と、
冷却塔からの冷却水を受け入れる冷却水入口から、前記吸収器及び前記凝縮器を経て、冷却塔に向けて冷却水を排出する冷却水出口まで延びる冷却水配管と、
前記再生器に対して熱媒を供給すると共に前記再生器における稀溶液の加熱によって温度低下した熱媒を排出するための熱媒配管と、
前記冷却水入口に設けられる冷却水入止水弁と、
前記冷却水出口に設けられる冷却水出止水弁と、
前記冷却水配管における冷却水温度を検出する冷却水温度検出手段と、
前記冷却水入止水弁、及び、前記冷却水出止水弁を閉じると共に前記冷却水配管内を冷却水で満たした満水保管状態において、前記冷却水温度検出手段により検出された温度が所定温度以下となるときには、熱媒により前記再生器における稀溶液を加熱し、得られた濃溶液を前記吸収器に供給して前記冷却水配管の冷却水と熱交換させると共に、稀溶液の加熱によって生じる蒸気冷媒を前記凝縮器において前記冷却水配管の冷却水と熱交換させる制御手段と、
前記冷却水配管に設けられ、前記制御手段による熱交換により上昇する前記冷却水配管の内圧を逃がすための圧力逃し弁と、
を備えることを特徴とする吸収式冷凍機。
【請求項4】
前記冷水入口に設けられる冷水入止水弁と、
前記冷水出口に設けられる冷水出止水弁と、
前記冷水配管における冷水温度を検出する冷水温度検出手段と、
前記吸収器の下部と前記再生器とを接続する稀溶液配管と、
一端が前記稀溶液配管に設けられると共に稀溶液を前記蒸発器の上部に供給するための稀溶液バイパス配管と、
前記稀溶液バイパス配管に設けられた稀溶液バイパス弁と、
前記冷水配管に設けられた第2圧力逃し弁と、を備え、
前記制御手段は、前記冷却水入止水弁、及び、前記冷却水出止水弁を閉じると共に前記冷却水配管内を冷却水で満たし、且つ、前記冷水入止水弁、及び、前記冷水出止水弁を閉じると共に前記冷水配管内を冷水で満たした満水保管状態において、前記冷却水温度検出手段により検出された温度が所定温度以下となるとき、又は、前記冷水温度検出手段により検出された温度が特定温度以下となるときには、さらに、前記稀溶液バイパス弁を開けて稀溶液を前記蒸発器の上部に供給し前記冷水配管の冷水と熱交換させ、
前記第2圧力逃し弁は、前記制御手段による熱交換により上昇する前記冷水配管の内圧を逃がす
ことを特徴とする請求項3に記載の吸収式冷凍機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収式冷凍機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、吸収式冷凍機では、冬季の運転停止中に使用しない冷却水の凍結による機器破損を防ぐために、冷却水を抜いてしまう乾燥保管が行われている。しかし、乾燥保管において充分な乾燥を行うことが出来ない場合には、配管や水室に腐食による金属錆が生じることで補修作業に多くの時間がかかるという問題があった。
【0003】
そこで、機器内冷却水系統を満水状態とする満水保管が実施されている(例えば特許文献1参照)。しかし、特許文献1に記載の吸収式冷凍機では、満水保管が行われる関係上、凍結の可能性のある環境では凍結による機器破損を防止する必要がある。このため、特許文献1に記載の吸収式冷凍機は、冷却水温度の低下を検出すると、暖房運転を行うと共に冷却水を循環させるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平5-118691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の吸収式冷凍機では暖房運転を行えばよい。しかし、暖房機能がない吸収式冷凍機である場合や暖房運転を行いたくない事情がある場合には、暖房運転により凍結を防止することができなくなってしまう。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、満水保管を行いつつも凍結による機器破損を防止することができる吸収式冷凍機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の吸収式冷凍機は、再生器、凝縮器、蒸発器、及び吸収器の冷房サイクルによって冷水を得る吸収式冷凍機であって、冷却塔からの冷却水を受け入れる冷却水入口から、前記吸収器及び前記凝縮器を経て、冷却塔に向けて冷却水を排出する冷却水出口まで延びる冷却水配管と、前記再生器に対して熱媒を供給すると共に前記再生器における稀溶液の加熱によって温度低下した熱媒を排出するための熱媒配管と、前記冷却水入口に設けられる冷却水入止水弁と、前記冷却水出口に設けられる冷却水出止水弁と、前記熱媒配管から前記冷却水配管に対して熱媒を供給する熱媒供給配管と、前記冷却水配管から前記熱媒配管に対して冷却水を排出する冷却水排出配管と、前記熱媒供給配管及び前記冷却水排出配管に設けられた制御弁と、前記冷却水配管における冷却水温度を検出する冷却水温度検出手段と、前記冷却水入止水弁、及び、前記冷却水出止水弁を閉じると共に前記冷却水配管内を冷却水で満たした満水保管状態において、前記冷却水温度検出手段により検出された温度が所定温度以下となるときには、前記制御弁を開けて前記熱媒配管の熱媒を前記冷却水配管に導入させる制御手段と、を備える。
【0008】
また、本発明の吸収式冷凍機は、再生器、凝縮器、蒸発器、及び吸収器の冷房サイクルによって冷水を得る吸収式冷凍機であって、前記蒸発器に対して冷水を供給すると共に前記蒸発器にて冷却された冷水を外部の対象機に対して供給可能な冷水配管と、冷却塔からの冷却水を受け入れる冷却水入口から、前記吸収器及び前記凝縮器を経て、冷却塔に向けて冷却水を排出する冷却水出口まで延びる冷却水配管と、前記再生器に対して熱媒を供給すると共に前記再生器における稀溶液の加熱によって温度低下した熱媒を排出するための熱媒配管と、前記冷却水入口に設けられる冷却水入止水弁と、前記冷却水出口に設けられる冷却水出止水弁と、前記冷却水配管における冷却水温度を検出する冷却水温度検出手段と、前記冷却水入止水弁、及び、前記冷却水出止水弁を閉じると共に前記冷却水配管内を冷却水で満たした満水保管状態において、前記冷却水温度検出手段により検出された温度が所定温度以下となるときには、前記熱媒により前記再生器における稀溶液を加熱し、得られた濃溶液を前記吸収器に供給して前記冷却水配管の冷却水と熱交換させると共に、稀溶液の加熱によって生じる蒸気冷媒を前記凝縮器において前記冷却水配管の冷却水と熱交換させる制御手段と、前記冷却水配管に設けられ、前記制御手段による熱交換により上昇する前記冷却水配管の内圧を逃がすための圧力逃し弁と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明の吸収式冷凍機によれば、満水保管を行いつつも凍結による機器破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係る吸収式冷凍機を示す構成図である。
図2】第1実施形態に係る吸収式冷凍機の動作を示すフローチャートである。
図3】第2実施形態に係る吸収式冷凍機を示す構成図である。
図4】第2実施形態に係る吸収式冷凍機の動作を示すフローチャートである。
図5】第2実施形態の変形例に係る吸収式冷凍機の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を好適な実施形態に沿って説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。また、以下に示す実施形態においては、一部構成の図示や説明を省略している箇所があるが、省略された技術の詳細については、以下に説明する内容と矛盾点が発生しない範囲内において、適宜公知又は周知の技術が適用されていることはいうまでもない。
【0012】
図1は、第1実施形態に係る吸収式冷凍機を示す構成図である。図1に示すように、吸収式冷凍機1は、冷温水機本体10と、冷却塔20と、各種配管11a,12a,13a,14a,15~17,21,22と、各種弁V1~V8と、各種ポンプP1~P4と、各種温度センサT1~T6と、連通管CP1~CP4と、連通バルブCB1~CB4と、制御装置(制御手段)30とを備えている。
【0013】
冷温水機本体10は、再生器11における稀溶液を加熱し、当該再生器11、凝縮器12、蒸発器13、及び吸収器14の冷房サイクルによって冷水を得るものである。再生器11、凝縮器12、蒸発器13、及び吸収器14については、筐体10a内に収納されている。
【0014】
再生器11は、例えば冷媒となる水(以下、冷媒が蒸気化したものを蒸気冷媒と称し、冷媒が液化したものを液冷媒と称する)と、吸収液となる臭化リチウム(LiBr)とが混合された稀溶液(吸収液の濃度が低い溶液)を加熱するものである。第1実施形態において再生器11内には、熱媒配管11aが挿通されている。熱媒配管11aは、再生器11に対して熱媒(例えば工場の成型機や発電機の排熱温水)を供給すると共に、再生器11における稀溶液の加熱によって温度低下した熱媒を排出するものである。また、再生器11内には、稀溶液分配器11bが設けられている。稀溶液分配器11bは、吸収器14からの稀溶液を熱媒配管11a上に散布するものである。この散布によって稀溶液が加熱され、濃溶液と蒸気冷媒とに分離される。
【0015】
ここで、熱媒配管11aには、熱媒ポンプP1と、熱媒バイパス配管11cと、三方弁V1とが設けられている。熱媒ポンプP1は、熱媒を再生器11に供給等するための動力源である。この熱媒ポンプP1は、例えば発電機に冷却水を供給するためのポンプ等と兼用されていてもよい。熱媒バイパス配管11cは、一端側及び他端側が熱媒配管11aに接続され、再生器11に熱媒を供給せずにバイパスする流路を形成するものである。三方弁V1は、熱媒配管11a上に設けられると共に、熱媒バイパス配管11cの一端に接続されており、熱媒の流れを制御するものである。
【0016】
凝縮器12は、再生器11から供給された蒸気冷媒を液化させるものである。この凝縮器12内には、第1冷却水配管(冷却水配管)12aが挿通されている。第1冷却水配管12aには冷却塔20から冷却水が供給されており、再生器11にて蒸発した蒸気冷媒は第1冷却水配管12a内の冷却水によって液化する。さらに、凝縮器12にて液化して得られた液冷媒は冷媒貯蔵室12cにて貯蔵後に蒸発器13に供給される。なお、第1冷却水配管12aの下流端は冷却水を冷却塔20に向けて送る冷却水出口12bとなっており、冷却水出口12bには冷却水出止水弁V3が設けられている。
【0017】
蒸発器13は、液冷媒を蒸発させるものである。この蒸発器13内には、冷水配管13aと、冷媒貯蔵室12cからの液冷媒を受け入れる冷媒分配器13bとが設けられている。冷水配管13aは、例えば室内機(外部の対象機の一例)と接続されており、冷水入口13cから受け入れた冷水を蒸発器13に対して供給すると共に蒸発器13にて冷却された冷水を冷水出口13dから室内機(外部の対象機の一例)に対して供給可能となっている。冷水は冷水ポンプP2を動力源として蒸発器13と室内機とを循環する。また、蒸発器13内は、真空状態となっている。このため、冷媒である水の蒸発温度は約5℃等となる。よって、冷媒分配器13bによって冷水配管13a上に散布された液冷媒は冷水配管13aの温度によって蒸発することとなる。また、冷水配管13a内の冷水は、液冷媒の蒸発によって温度が奪われる。これにより、冷水配管13aの冷水は温度が低下した状態で室内機に供給され、室内機は冷水を利用して冷風を室内に供給することとなる。
【0018】
なお、冷水配管13a上には、冷水入止水弁V4と、冷水出止水弁V5とが設けられている。冷水入止水弁V4は、蒸発器13への冷水の供給及び遮断を制御するものであって、冷水入口13cに設けられている。冷水出止水弁V5は、蒸発器13からの冷水の排出及び遮断を制御するものであって、冷水出口13dに設けられている。
【0019】
吸収器14は、蒸発器13において蒸発した冷媒を吸収するものである。この吸収器14内には再生器11から濃溶液を受け入れる濃溶液分配器14cが設けられており、濃溶液分配器14cから吸収器14内に散布される。これにより、蒸発器13にて蒸発した冷媒は散布される濃溶液によって吸収され、稀溶液が生成される。また、吸収器14には、第2冷却水配管(冷却水配管)14aが挿通されている。第2冷却水配管14aには冷却水ポンプP3を動力として冷却塔20からの冷却水が流れており、濃溶液の冷媒吸収により生じる吸収熱は、第2冷却水配管14aの冷却水により除去される。
【0020】
また、吸収器14の下部と再生器11の稀溶液分配器11bとは、溶液循環配管(稀溶液配管)16によって接続されている。溶液循環配管16には溶液ポンプP4が設けられている。よって、冷媒の吸収により濃度が低下した稀溶液は、溶液ポンプP4によって再生器11の稀溶液分配器11bに供給される。なお、第2冷却水配管14aの上流端は冷却塔20から冷却水を供給する冷却水入口14bとなっており、冷却水入口14bには冷却水入止水弁V2が設けられている。
【0021】
ここで、第2冷却水配管14aは、第1冷却水配管12aと接続されている。第1冷却水配管12a及び第2冷却水配管14aは、冷却水の熱伝導性を高める観点から、例えば銅や鉄等を利用した配管となっており、腐食防止等のメッキ処理を行うことができないものとなっている。このような第1冷却水配管12a及び第2冷却水配管14aは、冷却水入口14bから吸収器14及び凝縮器12を経て冷却水出口12bまでの延びる冷却水配管として機能する。
【0022】
また、熱媒配管11aには、熱媒入口温度センサT1と、熱媒出口温度センサT2とが設けられている。熱媒入口温度センサT1は、再生器11に供給される熱媒温度に応じた信号を出力するものである。熱媒出口温度センサT2は、再生器11から排出された熱媒温度に応じた信号を出力するものである。これら熱媒入口温度センサT1及び熱媒出口温度センサT2は、熱媒バイパス配管11cよりも再生器11側に取り付けられており、この位置における熱媒温度に応じた信号を制御装置30に送信する。
【0023】
さらに、第2冷却水配管14aには、冷却水入口温度センサT3が設けられている。冷却水入口温度センサT3は、吸収器14に供給される冷却水の温度に応じた信号を制御装置30に出力するものである。また、第1冷却水配管12aには、冷却水出口温度センサT4が設けられている。冷却水出口温度センサT4は、凝縮器12から排出された冷却水の温度に応じた信号を制御装置30に出力するものである。
【0024】
同様に、冷水配管13aには、冷水入口温度センサT5と、冷水出口温度センサT6とが設けられている。冷水入口温度センサT5は、蒸発器13に供給される冷水温度に応じた信号を出力するものである。冷水出口温度センサT6は、蒸発器13から排出された冷水温度に応じた信号を出力するものである。これら冷水入口温度センサT5及び冷水出口温度センサT6は、冷水入止水弁V4及び冷水出止水弁V5よりも蒸発器13側に取り付けられており、この位置における冷水温度に応じた信号を制御装置30に送信する。
【0025】
冷却水排水路15は、一端が第2冷却水配管14aのうち冷却水入止水弁V2と冷却水入口温度センサT3との間に接続されており、他端が開放端となっている。冷却水排水弁V6は、冷却水排水路15上に設けられている。冷却水排水弁V6が開けられると、第1冷却水配管12a及び第2冷却水配管14a内の冷却水が冷却水排水路15を通じて排水される。
【0026】
稀溶液バイパス配管17は、一端が溶液循環配管16に接続され、他端が冷媒分配器13bに接続されている。稀溶液バイパス弁V7は、稀溶液バイパス配管17上に設けられている。稀溶液バイパス弁V7が開けられると、溶液循環配管16内の稀溶液が冷媒分配器13bに供給される。
【0027】
なお、上記において冷水配管13aは室内機に接続されているが、これに限らず、工業用の冷却装置(外部の対象機の一例)等と接続されていてもよい。
【0028】
冷却塔20は、冷却水を冷温水機本体10に供給すると共に、冷温水機本体10によって暖められた冷却水を冷却するものである。冷却塔20は、例えば底部に冷却水を収納する槽を有している。
【0029】
冷却塔20と第2冷却水配管14a(冷却水入止水弁V2)とは、第1配管21によって接続されている。また、冷却塔20と第1冷却水配管12a(冷却水出止水弁V3)とは、第2配管22によって接続されている。冷却塔20からの冷却水は、第1配管21から冷却水入止水弁V2を経て第2冷却水配管14a(吸収器14)に至り、第2冷却水配管14aから第1冷却水配管12a(凝縮器12)に至り、冷却水出止水弁V3及び第2配管22を介して冷却塔20に戻ることとなる。なお、第1配管21と第2配管22とは、第1冷却水配管12aや第2冷却水配管14aのように熱伝導性を高める必要が無く、例えば腐食に強い溶融亜鉛メッキが施された配管によって構成されている。
【0030】
また、第1配管21上には冷却水ポンプP3が設けられている。冷却水ポンプP3は、上記のように冷却水を循環させるための動力源となるものである。
【0031】
さらに、冷却塔20は冷却塔排水弁V8を有している。冷却塔排水弁V8は、冷却塔20の冷却水収納槽から排水を行う場合に開放されるものである。一方、第1配管21、第2配管22、第1冷却水配管12a及び第2冷却水配管14aを通じて冷却水を循環させる場合、冷却塔排水弁V8は閉じられる。
【0032】
第1連通管(熱媒供給配管)CP1は、一端が熱媒配管11aに接続され、他端が第2冷却水配管14aに接続された配管である。詳細に説明すると第1連通管CP1の一端は熱媒配管11aのうち熱媒入口温度センサT1よりも再生器11側に接続され、他端は第2冷却水配管14aのうち冷却水入口温度センサT3よりも冷却水入止水弁V2側に接続されている。第1連通バルブ(制御弁)CB1は、第1連通管CP1上に設けられている。
【0033】
第2連通管(冷却水排出配管)CP2は、一端が第1冷却水配管12aに接続され、他端が熱媒配管11aに接続された配管である。詳細に説明すると第2連通管CP2の一端は第1冷却水配管12aのうち冷却水出口温度センサT4よりも冷却水出止水弁V3側に接続され、他端は熱媒配管11aのうち熱媒出口温度センサT2よりも再生器11側に接続されている。第2連通バルブ(制御弁)CB2は、第2連通管CP2上に設けられている。
【0034】
第3連通管(第2熱媒供給配管)CP3は、一端が熱媒配管11aに接続され、他端が冷水配管13aに接続された配管である。詳細に説明すると第3連通管CP3の一端は熱媒配管11aのうち熱媒入口温度センサT1よりも再生器11側に接続され、他端は冷水配管13aのうち冷水入口温度センサT5よりも冷水入止水弁V4側に接続されている。第3連通バルブ(第2制御弁)CB3は、第3連通管CP3上に設けられている。
【0035】
第4連通管(冷水排出配管)CP4は、一端が冷水配管13aに接続され、他端が熱媒配管11aに接続された配管である。詳細に説明すると第4連通管CP4の一端は冷水配管13aのうち冷水出口温度センサT6よりも冷水出止水弁V5側に接続され、他端は熱媒配管11aのうち熱媒出口温度センサT2よりも再生器11側に接続されている。第4連通バルブ(第2制御弁)CB4は、第4連通管CP4上に設けられている。
【0036】
制御装置30は、吸収式冷凍機1の全体を制御するものである。この制御装置30は、
冷却水温度検出部(冷却水温度検出手段)31と、冷水温度検出部(冷水温度検出手段)32とを備えている。冷却水温度検出部31は、冷却水入口温度センサT3及び冷却水出口温度センサT4の少なくとも一方からの信号に基づいて、冷却水の温度を検出するものである。冷水温度検出部32は、冷水入口温度センサT5及び冷水出口温度センサT6の少なくとも一方からの信号に基づいて、冷水の温度を検出するものである。
【0037】
さらに、制御装置30は、冷房運転の制御を行うと共に、冬季においては以下の制御を実行する。まず、冬季においては清水による満水保管が行われる。このため、第1実施形態に係る吸収式冷凍機1においては、まず第1冷却水配管12a及び第2冷却水配管14aがフラッシュ(洗浄)され、その後冷却水入止水弁V2、及び、冷却水出止水弁V3が閉じられて、第1冷却水配管12a及び第2冷却水配管14aが清水(冷却水)で満たされた状態とされる。なお、冷却塔20側については冷却塔排水弁V8が開放されて排水させられる。また、第1冷却水配管12a及び第2冷却水配管14aを冷却水で満たす関係上、冷却水排水弁V6は閉じられる。
【0038】
ここで、第1冷却水配管12a及び第2冷却水配管14aを冷却水で満たす場合において、冷却水入止水弁V2、及び、冷却水出止水弁V3については、作業員により手動によって閉動作されてもよいし、制御装置30からの制御によって閉動作されてもよい。三方弁V1、冷却塔排水弁V8及び冷却水排水弁V6についても同様である。
【0039】
制御装置30は、このようにして冷却水が満たされた満水保管状態において、冷却水温度検出部31により検出された温度が所定温度以下となるとき(すなわち凍結の可能性があるとき)に、第1及び第2連通バルブCB1,CB2を開けると共に、熱媒ポンプP1を稼働させる第1制御を実行する。なお、三方弁V1は、再生器11をバイパスしないように制御される。これにより、制御装置30は、熱媒配管11a内の熱媒を第1連通管CP1を介して第2冷却水配管14aに導入させる。この熱媒の導入によって第1冷却水配管12a及び第2冷却水配管14aの凍結が防止される。なお、第1冷却水配管12a及び第2冷却水配管14a内に満水保管されていた冷却水は、熱媒によって押し出されることとなり、第2連通管CP2を通じて熱媒配管11aに至る。
【0040】
さらに、冬季においては冷水配管13aについても満水保管が行われることがある。この場合、冷水入止水弁V4、及び、冷水出止水弁V5が閉じられて、冷水配管13aが冷水で満たされた状態とされる。ここで、制御装置30は、第1冷却水配管12a及び第2冷却水配管14a並びに冷水配管13aの満水保管状態において、冷却水温度検出部31により検出された温度が所定温度以下となるとき、又は、冷水温度検出部32により検出された温度が特定温度以下となるときに、第1制御に加えて、第3及び第4連通バルブCB3,CB4を開ける第2制御についても実行することが好ましい。この場合、熱媒は、第3連通管CP3を通じて冷水配管13aに至る。冷水配管13a内の冷水は、第4連通管CP4を通じて熱媒配管11aに至る。以上より、第1冷却水配管12a及び第2冷却水配管14aの凍結のみならず、冷水配管13aの凍結についても防止することができる。しかも、冷却水温度が所定温度以下となるとき、又は、冷水温度が特定温度以下となるときに、上記制御が実行されるため、例えば凍結の可能性がある環境において、冷却水及び冷水の一方の温度が低くなり難いような環境(例えば吸収式冷凍機1の周辺に温熱機器があり冷却水及び冷水の一方のみが冷え難い環境)にあったとしても、他方の温度が低くなっていれば、第1制御及び第2制御の双方が実行される。故に、より一層凍結を防止できることとなる。
【0041】
次に、第1実施形態に係る吸収式冷凍機1の動作を説明する。図2は、第1実施形態に係る吸収式冷凍機1の動作を示すフローチャートである。なお、図2に示すフローチャートは、吸収式冷凍機1の電源がオフされるまで、例えば所定時間間隔で繰り返し実行される。また、図2に示す処理においては、第1冷却水配管12a及び第2冷却水配管14a並びに冷水配管13aが予め満水保管状態になっているものとする。
【0042】
まず、冷却水温度検出部31及び冷水温度検出部32は、各センサT3~T6からの信号に基づいて冷却水温度TC及び冷水温度TLを検出する(S1)。次いで、制御装置30は、ステップS1において検出された冷却水温度(センサT3,T4の平均値であってもよいし、低い方や高い方であってもよい)TCが所定温度以下であるかを判断する(S2)。なお、所定温度はヒステリシスを有している。
【0043】
冷却水温度TCが所定温度以下である場合(S2:YES)、制御装置30は、第1制御及び第2制御を実行する(S3)。すなわち、制御装置30は、熱媒ポンプP1を稼働させると共に、第1~第4連通バルブCB1~CB4を開ける。なお、制御装置30は、三方弁V1について再生器11をバイパスしないように制御する。その後、図2に示す処理は終了する。
【0044】
一方、冷却水温度TCが所定温度以下でない場合(S2:NO)、制御装置30は、ステップS1において検出された冷水温度(センサT5,T6の平均値であってもよいし、低い方や高い方であってもよい)TLが特定温度以下であるかを判断する(S4)。なお、特定温度はヒステリシスを有している。
【0045】
冷水温度TLが特定温度以下である場合(S4:YES)、制御装置30は、第1制御及び第2制御を実行する(S3)。その後、図2に示す処理は終了する。一方、冷水温度TLが特定温度以下でない場合(S4:NO)、制御装置30は、第1制御及び第2制御の双方の実行を停止する(S5)。すなわち、制御装置30は、熱媒ポンプP1の稼働を停止させると共に、第1~第4連通バルブCB1~CB4を閉じる。なお、制御装置30は、三方弁V1について再生器11をバイパスする方向に制御する。その後、図2に示す処理は終了する。
【0046】
このようにして、第1実施形態に係る吸収式冷凍機1によれば、第1冷却水配管12a及び第2冷却水配管14aの満水保管状態において、検出された冷却水の温度が所定温度以下となるときには、第1及び第2連通バルブCB1,CB2を開けて熱媒配管11aの熱媒を第1及び第2冷却水配管12a,14aに導入させるため、仮に暖房機能を有しない場合や暖房運転を行いたくない場合であっても、熱媒により再生を行う構成を採用している場合には、この熱媒を利用することで凍結を防止することができる。従って、満水保管を行いつつも凍結による機器破損を防止することができる吸収式冷凍機1を提供することができる。
【0047】
また、第1冷却水配管12a及び第2冷却水配管14a並びに冷水配管13aの満水保管状態において、検出された冷却水の温度が所定温度以下となるとき、又は、冷水の温度が特定温度以下となるときには、第1~第4連通バルブCB1~CB4を開けて熱媒配管11aの熱媒を第1及び第2冷却水配管12a,14a並びに冷水配管13aに導入させる。このため、例えば冷却水温度や冷水温度の一方が低くなった場合であっても熱媒配管11aの熱媒を第1及び第2冷却水配管12a,14a並びに冷水配管13aの双方に導入させることとなる。よって、温度センサT3~T6の設置位置の関係から冷却水温度及び冷水温度の一方が高く検出される場合であっても、他方の温度が低下していれば、熱媒を第1及び第2冷却水配管12a,14a並びに冷水配管13aの双方に導入させて、より一層凍結を防止することができる。
【0048】
次に、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態に係る吸収式冷凍機は第1実施形態のものと同様であるが、一部構成が異なっている。以下、第1実施形態との相違点について説明する。
【0049】
図3は、第2実施形態に係る吸収式冷凍機を示す構成図である。図3に示すように、第2実施形態に係る吸収式冷凍機2は、第1実施形態のものに加えて、第1圧力逃し弁(圧力逃し弁)V9及び第2圧力逃し弁V10を備えている。なお、第2実施形態に係る吸収式冷凍機2は、第1実施形態のものが有する連通管CP1~CP4と連通バルブCB1~CB4とを備えない構成となっている。
【0050】
第1及び第2圧力逃し弁V9,V10は、設定圧力に達するまでは閉塞状態を維持し、設定圧力に達すると開放する弁機構である。第1圧力逃し弁V9は、第1冷却水配管12aのうち冷却水出止水弁V3と冷却水出口温度センサT4との間に設けられている。なお、第1圧力逃し弁V9は、第1冷却水配管12aの他の位置や第2冷却水配管14a等に設けられていてもよい。第2圧力逃し弁V10は、冷水配管13aのうち冷水出止水弁V5と冷水出口温度センサT6との間に設けられている。なお、第2圧力逃し弁V10は、冷水配管13aの他の位置に設けられていてもよい。
【0051】
このような第2実施形態に係る吸収式冷凍機2においては、熱媒を第1及び第2冷却水配管12a,14a、並びに、冷水配管13aに導入させず、再生器11において稀溶液を加熱等することで、第1及び第2冷却水配管12a,14a、並びに、冷水配管13aを加熱する。これにより、例えば熱媒に凍結防止剤が混合されている場合等、液体を混合させずに、凍結を防止することができる。
【0052】
詳細に説明すると、第2実施形態において制御装置30は、第1及び第2冷却水配管12a,14aを冷却水で満たした満水保管状態において、冷却水温度検出部31により検出された温度が所定温度以下となるとき(すなわち凍結の可能性があるとき)に、再生器11において稀溶液を加熱する。得られた濃溶液は吸収器14の濃溶液分配器14cに供給されて第1冷却水配管12aに散布される。この結果、濃溶液と第2冷却水配管14a内の冷却水とで熱交換されて冷却水の凍結が防止される。また、稀溶液を加熱して得られた蒸気冷媒については、第1冷却水配管12a内の冷却水と熱交換されて冷却水の凍結が防止される。このとき、第1及び第2冷却水配管12a,14aの内圧上昇が懸念されるが、第1圧力逃し弁V9によって破損が防止される。
【0053】
ここで、制御装置30は、第1及び第2冷却水配管12a,14aを冷却水で満たし、且つ、冷水配管13aを冷水で満たした満水保管状態において、冷却水温度検出部31により検出された温度が所定温度以下となるとき、又は、冷水温度検出部32により検出された温度が特定温度以下となるときには、稀溶液の加熱に加えて、稀溶液バイパス弁V7を開けると共に、溶液ポンプP4を稼働させることが好ましい。この場合、稀溶液は、溶液循環配管16から稀溶液バイパス配管17を通じて冷媒分配器13bに至り、冷媒分配器13bから冷水配管13aに散布される。これにより、散布された稀溶液と冷水配管13a内の冷水とで熱交換されて冷水についても凍結が防止される。このとき、冷水配管13aの内圧上昇が懸念されるが、第2圧力逃し弁V10によって破損が防止される。
【0054】
次に、第2実施形態に係る吸収式冷凍機2の動作を説明する。図4は、第2実施形態に係る吸収式冷凍機2の動作を示すフローチャートである。なお、図4に示すフローチャートは、吸収式冷凍機2の電源がオフされるまで、所定時間間隔で繰り返し実行される。また、図4に示す処理においては、第1冷却水配管12a及び第2冷却水配管14a並びに冷水配管13aが予め満水保管状態になっているものとする。
【0055】
まず、冷却水温度検出部31及び冷水温度検出部32は、各センサT3~T6からの信号に基づいて冷却水温度TC及び冷水温度TLを検出する(S11)。次いで、制御装置30は、ステップS11において検出された冷却水温度(センサT3,T4の平均値であってもよいし、低い方や高い方であってもよい)TCが所定温度以下であるかを判断する(S12)。なお、所定温度はヒステリシスを有している。
【0056】
冷却水温度TCが所定温度以下である場合(S12:YES)、制御装置30は、熱媒により稀溶液を加熱する(S13)。すなわち、制御装置30は、熱媒ポンプP1を稼働させると共に、三方弁V1について再生器11をバイパスしないように制御する。加えて、制御装置30は、溶液ポンプP4を稼働させる。さらに、制御装置30は、稀溶液バイパス弁V7を開ける(S13)。その後、図4に示す処理は終了する。
【0057】
一方、冷却水温度TCが所定温度以下でない場合(S12:NO)、制御装置30は、ステップS1において検出された冷水温度(センサT5,T6の平均値であってもよいし、低い方や高い方であってもよい)TLが特定温度以下であるかを判断する(S14)。なお、特定温度はヒステリシスを有している。
【0058】
冷水温度TLが特定温度以下である場合(S14:YES)、制御装置30は、熱媒により稀溶液を加熱する(S13)。さらに、制御装置30は、稀溶液バイパス弁V7を開ける(S13)。その後、図4に示す処理は終了する。
【0059】
一方、冷水温度TLが特定温度以下でない場合(S14:NO)、制御装置30は、熱媒による稀溶液の加熱を停止すると共に、稀溶液バイパス弁V7を閉じる(S15)。その後、図4に示す処理は終了する。
【0060】
このようにして、第2実施形態に係る吸収式冷凍機2によれば、第1冷却水配管12a及び第2冷却水配管14aの満水保管状態において、検出された冷却水の温度が所定温度以下となるときには、稀溶液を加熱して第1及び第2冷却水配管12a,14aの冷却水と熱交換を行うため、冷却水が加熱されることとなり、凍結を防止することができる。このとき、第1及び第2冷却水配管12a,14aの内圧上昇が懸念されるが、第1圧力逃し弁V9によって破損も防止される。従って、満水保管を行いつつも凍結による機器破損を防止することができる吸収式冷凍機2を提供することができる。
【0061】
また、第1冷却水配管12a及び第2冷却水配管14a並びに冷水配管13aの満水保管状態において、検出された冷却水の温度が所定温度以下となるとき、又は、冷水の温度が特定温度以下となるときには、稀溶液を加熱して第1及び第2冷却水配管12a,14aの冷却水と熱交換を行うと共に、稀溶液バイパス弁V7を開けて稀溶液を蒸発器13に導入し熱交換を行う。このため、冷水についても凍結が防止される。このとき、冷水配管13aの内圧上昇が懸念されるが、第2圧力逃し弁V10によって破損も防止される。従って、満水保管を行いつつも凍結による機器破損を防止することができる吸収式冷凍機2を提供することができる。
【0062】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよいし、可能な範囲で適宜他の技術を組み合わせてもよい。さらに、可能な範囲で公知又は周知の技術を組み合わせてもよい。
【0063】
例えば、上記実施形態において冷却水入口14b及び冷却水出口12bは筐体10aの外部に露出しているが、これに限られるものではない。すなわち、冷却水入口14b及び冷却水出口12bは、筐体10aの内側に位置していてもよいし、冷却水入口14b及び冷却水出口12bの位置が筐体10aの壁面位置と一致していてもよい。また、これに合わせて冷却水入止水弁V2及び冷却水出止水弁V3の位置も筐体10aの内側であってもよいし、筐体10aの壁面位置と一致していてもよい。
【0064】
さらに、第2実施形態においては、冷水の循環を行うことなく冷水入止水弁V4及び冷水出止水弁V5が閉じられる場合の例を説明したが、これに限らず、例えば冷水の循環を行うことができる場合には、以下のように制御しても良い。図5は、第2実施形態の変形例に係る吸収式冷凍機2の動作を示すフローチャートである。なお、図5においても、フローチャートは吸収式冷凍機2の電源がオフされるまで所定時間間隔で繰り返し実行される。また、変形例に係る吸収式冷凍機2については、冷水入止水弁V4、冷水出止水弁V5及び第2圧力逃し弁V10を備えなくともよい。
【0065】
まず、図5に示すステップS21,S22において図4に示すステップS11,S12と同様の処理が実行される。そして、冷却水温度TCが所定温度以下である場合(S22:YES)、制御装置30は、熱媒により稀溶液を加熱すると共に、稀溶液バイパス弁V7を開ける(S23)。さらに、制御装置30は、冷水ポンプP2を稼働させて冷水を循環させる。この循環により、一層冷水の凍結が防止される。また、冷水配管13aの内圧上昇については室内機側のシスターン等によって防止される。その後、図5に示す処理は終了する。
【0066】
一方、冷却水温度TCが所定温度以下でない場合(S22:NO)、制御装置30は、ステップS21において検出された冷水温度(センサT5,T6の平均値であってもよいし、低い方や高い方であってもよい)TLが特定温度以下であるかを判断する(S24)。
【0067】
冷水温度TLが特定温度以下である場合(S24:YES)、処理はステップS23に移行し、その後図5に示す処理は終了する。
【0068】
冷水温度TLが特定温度以下でない場合(S24:NO)、制御装置30は、熱媒による稀溶液の加熱を停止すると共に、稀溶液バイパス弁V7を閉じる(S25)。また、制御装置30は、冷水ポンプP2の稼働を停止させる。その後、図5に示す処理は終了する。
【0069】
以上のような変形例であっても、第2実施形態と同様に、満水保管を行いつつも凍結による機器破損を防止することができる。さらに、冷水の循環によっても凍結防止につなげることができる。
【符号の説明】
【0070】
1,2 :吸収式冷凍機
10 :冷温水機本体
10a :筐体
11 :再生器
11a :熱媒配管
11b :稀溶液分配器
11c :熱媒バイパス配管
12 :凝縮器
12a :第1冷却水配管(冷却水配管)
12b :冷却水出口
12c :冷媒貯蔵室
13 :蒸発器
13a :冷水配管
13b :冷媒分配器
13c :冷水入口
13d :冷水出口
14 :吸収器
14a :第2冷却水配管(冷却水配管)
14b :冷却水入口
14c :濃溶液分配器
15 :冷却水排水路
16 :溶液循環配管(稀溶液配管)
17 :稀溶液バイパス配管
20 :冷却塔
21 :第1配管
22 :第2配管
30 :制御装置(制御手段)
31 :冷却水温度検出部(冷却水温度検出手段)
32 :冷水温度検出部(冷水温度検出手段)
CB1 :第1連通バルブ(制御弁)
CB2 :第2連通バルブ(制御弁)
CB3 :第3連通バルブ(第2制御弁)
CB4 :第4連通バルブ(第2制御弁)
CP1 :第1連通管(熱媒供給配管)
CP2 :第2連通管(冷却水排出配管)
CP3 :第3連通管(第2熱媒供給配管)
CP4 :第4連通管(冷水排出配管)
P1 :熱媒ポンプ
P2 :冷水ポンプ
P3 :冷却水ポンプ
P4 :溶液ポンプ
T1 :熱媒入口温度センサ
T2 :熱媒出口温度センサ
T3 :冷却水入口温度センサ
T4 :冷却水出口温度センサ
T5 :冷水入口温度センサ
T6 :冷水出口温度センサ
V1 :三方弁
V2 :冷却水入止水弁
V3 :冷却水出止水弁
V4 :冷水入止水弁
V5 :冷水出止水弁
V6 :冷却水排水弁
V7 :稀溶液バイパス弁
V8 :冷却塔排水弁
V9 :第1圧力逃し弁(圧力逃し弁)
V10 :第2圧力逃し弁
図1
図2
図3
図4
図5