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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】調節可能な気管瘻孔弁、及び熱湿交換器
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/20 20060101AFI20220111BHJP
   A61M 16/04 20060101ALI20220111BHJP
   F16K 7/00 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
A61F2/20
A61M16/04 Z
F16K7/00 Z
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019221907
(22)【出願日】2019-12-09
(65)【公開番号】P2020114378
(43)【公開日】2020-07-30
【審査請求日】2020-04-07
(31)【優先権主張番号】16/223,670
(32)【優先日】2018-12-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516126838
【氏名又は名称】フロイデンベルグ メディカル,エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】ニール マークウォード
(72)【発明者】
【氏名】ジョン シー.デイ
【審査官】小林 睦
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0207382(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0193265(US,A1)
【文献】国際公開第99/029268(WO,A1)
【文献】特表平10-500198(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/20
A61M 16/04
F16K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
気管瘻孔に開口するように適合された第1の開口部、及び周囲に開口する第2の開口部を有するハウジングと、
前記ハウジング内に配置され、前記第1の開口部及び前記第2の開口部のうち1つを閉鎖するように適合された閉鎖部材と、
前記閉鎖部材に接続された第1の領域、及び前記第1の領域から延在し前記ハウジングに接続された複数の脚部を含む可撓性膜であって、非変形状態において、前記複数の脚部は、前記第1の領域と同一面上にあって、前記第1の領域から径方向外向きに渦巻状に延伸し、自由端において終端する、可撓性膜と、
を備える、気管瘻孔弁。
【請求項2】
前記複数の脚部が、前記複数の脚部の一端の開口部内に固定された複数のペグのそれぞれによって前記ハウジングに接続されている、請求項に記載の気管瘻孔弁。
【請求項3】
前記複数のペグのそれぞれが、前記ハウジング内の複数のポストのうちそれぞれの1つに配置されている、請求項に記載の気管瘻孔弁。
【請求項4】
前記複数の脚部が、前記複数の脚部の一端の開口部内に固定された複数のペグのそれぞれによって前記ハウジングに接続されている、請求項1に記載の気管瘻孔弁。
【請求項5】
前記複数のペグのそれぞれが、前記ハウジング内の複数のポストのうちそれぞれの1つに配置されている、請求項に記載の気管瘻孔弁。
【請求項6】
前記第1の開口部と前記第2の開口部との間の前記ハウジング内に配置された熱湿交換器を更に備える、請求項1に記載の気管瘻孔弁。
【請求項7】
前記ハウジングが、前記第1の開口部を画定する下側ハウジング部分、及び前記下側ハウジング部分に移動可能に取り付けられ、前記第2の開口部を画定する上側ハウジング部分を含む、請求項1に記載の気管瘻孔弁。
【請求項8】
前記可撓性膜が、前記ハウジングの前記下側ハウジング部分に接続されている、請求項に記載の気管瘻孔弁。
【請求項9】
前記上側ハウジング部分が、前記下側ハウジング部分に対して軸方向に移動可能である、請求項に記載の気管瘻孔弁。
【請求項10】
前記複数の脚部が、前記ハウジング内に固定された外周リングに接続されている、請求項1に記載の気管瘻孔弁。
【請求項11】
気管瘻孔に開口するように適合された第1の開口部、及び周囲に開口する第2の開口部を有するハウジングと、
前記ハウジング内に配置され、前記第2の開口部を閉鎖するように適合された閉鎖部材と、
前記閉鎖部材に接続された第1の領域、及び前記第1の領域から延在し、前記ハウジングに接続された複数の渦巻形状脚部を含む可撓性膜であって、非変形状態において、前記複数の渦巻形状脚部は、前記第1の領域と同一面上にあって、前記第1の領域から径方向外向きに渦巻状に延伸し、自由端において終端する、可撓性膜と、
を備える、気管瘻孔弁。
【請求項12】
前記複数の渦巻形状脚部が、前記複数の渦巻形状脚部の一端の開口部の中で固定された複数のそれぞれのペグによって前記ハウジングに接続されている、請求項11に記載の気管瘻孔弁。
【請求項13】
前記複数のペグのそれぞれが、前記ハウジング内の複数のポストのうちそれぞれの1つに配置されている、請求項12に記載の気管瘻孔弁。
【請求項14】
前記第1の開口部と前記第2の開口部との間の前記ハウジング内に配置された熱湿交換器を更に備える、請求項11に記載の気管瘻孔弁。
【請求項15】
前記ハウジングが、前記第1の開口部を画定する下側ハウジング部分、及び前記下側ハウジング部分に移動可能に取り付けられ、前記第2の開口部を画定する上側ハウジング部分を含む、請求項11に記載の気管瘻孔弁。
【請求項16】
前記可撓性膜が、前記ハウジングの前記下側ハウジング部分に接続されている、請求項15に記載の気管瘻孔弁。
【請求項17】
前記上側ハウジング部分が、前記下側ハウジング部分に対して軸方向に移動可能である、請求項15に記載の気管瘻孔弁。
【請求項18】
前記複数の渦巻形状脚部が、前記ハウジング内に固定された外周リングに接続されている、請求項11に記載の気管瘻孔弁。
【請求項19】
気管瘻孔に開口するように適合された第1の開口部、及び周囲に開口する第2の開口部を有するハウジングであって、前記第1の開口部を画定する下側ハウジング部分、及び前記下側ハウジング部分に移動可能に取り付けられ、前記第2の開口部を画定する上側ハウジング部分を含む前記ハウジングと、
前記ハウジング内に配置され、前記第2の開口部を閉鎖するように適合された閉鎖部材と、
前記閉鎖部材に接続された第1の領域、及び前記第1の領域から延在し、前記ハウジングに接続された複数の渦巻形状脚部を含む可撓性膜であって、非変形状態において、前記複数の渦巻形状脚部は、前記第1の領域と同一面上にあって、前記第1の領域から径方向外向きに渦巻状に延伸し、自由端において終端する、可撓性膜と、
前記第1の開口部と前記第2の開口部との間の前記ハウジング内に配置された熱湿交換器と、
を備える、調節可能な気管瘻孔弁。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、調節可能な気管瘻孔弁、及び熱湿交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
本項は、必ずしも従来技術では必要とされない本開示に関する背景情報を提供する。
【0003】
喉頭切除の結果としての鼻機能の喪失は、気管や気管支の粘膜及び肺機能の機能的変化をもたらすことがある。これらの変化は、鼻機能によってもたらされた温かく湿った空気に取って代わる乾燥した冷たい空気によるものである。喉頭全摘手術はまた、肺機能に影響を与える抵抗力の低下をもたらす。これらの機能変化は、粘液産生の増加、咳の増加、及び胸部感染症の増加をもたらす。
【0004】
熱湿交換器(以下、HME)の日常的使用は、気管及び気管支の粘膜、ならびに肺からの熱と水分の損失を減少させ、肺に抵抗力の増加をもたらす。この温かく、加湿され、ろ過された空気は、粘膜が乾くことを防ぎ、増加した抵抗力が肺の肺胞が崩壊するのを防ぎ、より良い肺機能をもたらす。
【0005】
調節可能な気管瘻孔弁(ATSV)は、喉頭全摘術後の気管食道の音声修復における重要なコンポーネントである。このコンポーネントは、一般に「ハンズフリー弁」と呼ばれ、声を出すためにストーマを親指や指で覆う必要性を排除している。十分な空気圧が弁を通ると、ハンズフリー弁は自動的に閉じ、ユーザーが音声を発することができるようにするために、弁が閉じて呼気が音声プロテーゼを通るように方向転換させる。
【発明の概要】
【0006】
本項は、本開示の一般的な概要を提供するものであり、その全範囲またはすべての機能の包括的な開示ではない。
【0007】
調節可能な気管瘻孔弁は、気管瘻孔に向かって開口するように適合された第1の開口部、及び周囲に向かって開口する第2の開口部を有するハウジングを含む。ハウジングは、第1の開口部を画定する下側ハウジング部分、及び下側ハウジング部分に移動可能に取り付けられ、第2の開口部を画定する上側ハウジング部分を含む。閉鎖部材がハウジング内に配置され、第2の開口部を閉鎖するように適合されている。可撓性膜は、閉鎖部材に接続された第1の領域、及び第1の領域から延在しハウジングに接続された複数の渦巻形状脚部を含む。上側ハウジング及び下側ハウジングは、閉鎖部材の閉鎖を引き起こす弁を通る空気流の量を調整するために、互いに対して軸方向に調整可能である。熱湿交換器は、第1の開口部と第2の開口部との間のハウジング内に配置されている。
【0008】
適用性の更なる領域は、本明細書で提供される説明から明らかになるであろう。本概要の説明及び特定の実施例は、例示の目的のみを意図したものであり、本開示の範囲を限定するものではない。
【0009】
本明細書で説明される図面は、選択された実施形態の例示のみを目的としており、すべての可能な実施態様ではなく、本開示の範囲を限定することは意図されていない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の原理による調節可能な気管瘻孔弁及び熱湿交換器の上面斜視図である。
図2図1に示す調節可能な気管瘻孔弁及び熱湿交換器の底面斜視図である。
図3図1に示す調節可能な気管瘻孔弁及び熱湿交換器の平面図である。
図4】開位置で示されている調節可能な気管瘻孔弁及び熱湿交換器の断面図である。
図5】閉位置で示されている調節可能な気管瘻孔弁及び熱湿交換器の断面図である。
図6図1に示した調節可能な気管瘻孔弁及び熱湿交換器の分解斜視図である。
図7】弁の閉鎖力を増大させるために調節された位置で示された調節可能な気管瘻孔弁及び熱湿交換器の断面図である。
図8】本開示の原理による、代替的な調節可能な気管瘻孔弁及び熱湿交換器の断面図である。
図9図8の代替的な実施形態に示される代替的な可撓性膜の斜視図である。
図10図8に示す調節可能な気管瘻孔弁の下側ハウジングの斜視図である。
図11】本開示の原理による代替的な可撓性膜の斜視図である。
図12】本開示の原理による代替的な可撓性膜の斜視図である。
【0011】
対応する参照番号は、図面のそれぞれにおいて対応する部品を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
ここで添付の図面を参照して、例示的な実施形態をより詳しく説明する。
【0013】
例示的な実施形態は、本開示が十分であり、当業者に範囲を詳しくに伝えるように提供される。本開示の実施形態の十分な理解をもたらすために、特定のコンポーネント、デバイス、及び方法の実施例などの多数の具体的な詳細が説明されている。具体的な詳細が採用される必要はなく、例示的な実施形態は多くの異なる形態で実施することができ、いずれも本開示の範囲を限定するものと解釈されるべきではないことは、当業者には明らかであろう。いくつかの例示的な実施形態では、周知のプロセス、周知のデバイス構造、及び周知の技術は詳細に説明されていない。
【0014】
本明細書で使用される用語は、特定の例示的な実施形態のみを説明するためのものであり、限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形の「a」、「an」、及び「the」は、文脈からそうでないことが明確に示されていない限り、複数形も含むことが意図され得る。用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(including)」、及び「有する(having)」は包括的であり、従って、述べられた機能、整数、ステップ、操作、要素、及び/またはコンポーネントの存在を指定するが、1つ以上の他の機能、整数、ステップ、操作、要素、コンポーネント、及び/またはそれらの群の存在または追加を排除しない。本明細書に記載の方法のステップ、プロセス、及び操作は、特に性能の順序として具体的に特定されない限り、その性能が議論または図示された特定の順序を必ずしも必要とすると解釈されるべきではない。追加的または代替的なステップが使用できることも理解されたい。
【0015】
要素または層が別の要素または層に「置かれる(on)」、「係合される(engaged to)」、「接続する(connected to)」、または「結合する(coupled to)」として言及される場合、他の要素または層に直接置かれる、係合される、接続される、または結合されることができるか、または介在する要素または層が存在することができる。対照的に、要素が別の要素または層に「直接置かれる(directly on)」、「直接係合される(directly engaged to)」、「直接接続する(directly connected to)」、または「直接結合する(directly coupled to)」と言及される場合、介在する要素または層は存在し得ない。要素間の関係を説明するために使用される他の単語は、同様の方法で解釈する必要がある(例えば、「間(between)」対「直接的な間(directly between)」、「隣接して(adjacent)」対「直接的に隣接して(directly adjacent)」など)。本明細書で使用される「及び/または」という用語は、関連する列記されたアイテムの1つ以上のありとあらゆる組み合わせを含む。
【0016】
「内側(inner)」、「外側(outer)」、「下(beneath)」、「下(below)」、「下側(lower)」、「上(above)」、「上側(upper)」などの空間的に関連する用語は、本明細書では、説明を簡単にするために1つの要素または機能の別の要素(複数可)または機能(複数可)に対する関係性を図面に示されるように説明するために使用され得る。空間的に関連する用語は、図に示されている方向に加えて、使用中または動作中のデバイスの異なる方向を包含することが意図され得る。例えば、図中のデバイスを裏返すと、他の要素または機能の「下(below)」または「下(beneath)」にある要素は、他の要素または機能の「上(above)」に方向付けられることになる。従って、例示的な用語である「下(below)」は、上と下の両方の向きを包含することができる。デバイスは、他の方法で方向付けられることができ(90度または他の方向で回転され)、本明細書で使用される空間的な関係性の記述がそれに応じて解釈される。
【0017】
図1図7を参照して、本開示の原理による調節可能な気管瘻孔弁10について説明する。図1に示されるように、気管瘻孔弁10は、下側ハウジング部分14及び上側ハウジング部分16を含むハウジング12を含む。図2に最もよく示される下側ハウジング部分14は、気管に開口するように適合される第1の開口部18を画定する。図1に最もよく示されている上側ハウジング部分16は、周囲に開口する第2の開口部20を画定する。
【0018】
図4及び図5の断面図を参照すると、気管瘻孔弁10は、可撓性膜24(図6に最もよく示されている)に接続された閉鎖部材22を含む。閉鎖部材22は、図4に示される開位置と図5に示される閉位置との間で移動可能である。可撓性膜24は、概して図4に示す位置で、自然状態で、また、気管瘻孔弁10を通して空気が吐出されているとき、閉鎖部材22を支持する。気管瘻孔弁10を通して空気が吐出されているとき、閉鎖部材22を通過する空気の力は、閉鎖部材22を第2の開口部20に向かって移動させる傾向がある。吐出される空気の力が十分に強い場合、図5に示すように、閉鎖部材22が第2の開口部20に対して完全に押し付けられることができ、吐出された空気をユーザーの音声プロテーゼに向け直し、ユーザーが音声を生成できるようにする。加湿器フィルター26が、第1の開口部18と閉鎖部材22との間のハウジング12内部に配置されている。
【0019】
図6を参照すると、調節可能な気管瘻孔弁10の分解斜視図が示されている。下側ハウジング14は、円筒形壁30、及び第1の開口部18を横切って延びるグリッド32を含む。加湿器フィルター26は、グリッド32に対して支持されている。一連の取り付けポスト34が下側ハウジング14内に配置され、円筒形壁30から半径方向内側に間隔を空けた位置でグリッド32から垂直に延びている。取り付けポスト34の各々は、その上端にそれぞれのペグ36を含んでいる。複数の突出ラグ38a、38b(そのうちの1つのみが示されている)が、円筒形壁30の内面から延在している。下側フランジ40は、当技術分野で知られているように、円筒形壁30の下側部分から半径方向外向きに延在することができ、接着剤ベースにスナップ嵌めするように適合されることができる。上側フランジ42は、円筒形壁の上側部分から半径方向外向きに延在することができる。
【0020】
上側ハウジング16は、下側ハウジング14の円筒形壁30の内面上の一対のラグ38a、38bと係合するように適合された一対のねじ山付き凹部52a、52bを備えた外面を有する円筒形壁50を含む。上側ハウジング16は、第2の開口部20を画定するドーム形状の上端部54を含む。ハンドグリップフランジ56が円筒形壁50の上側部分に接続されている。
【0021】
図4及び図7を参照すると、ねじ山付き凹部52a、52bと一対のラグ38a、38bとの係合により、下側ハウジング14に対して上側ハウジング16を回転させることを可能とし、上側ハウジングを案内して下側ハウジング14に対して軸方向に移動させ、第2の開口部20が閉鎖部材22に対して軸方向に動くようにする。図4は、下側ハウジング14に完全に収容された上側ハウジング16を示し、閉鎖部材22が第2の開口部20からより近い距離にあるようにする。図7は、下側ハウジング14に対して拡張される上側ハウジング16の軸方向位置を示しており、閉鎖部材22が第2の開口部20からより遠い距離にあるようにする。閉鎖部材22に対する第2の開口部20の動きは、空気速度の調整を可能にし、個々のユーザーのために気管瘻孔弁が容易に調整されることを可能にするために、気管瘻孔弁10が閉鎖するようにする。
【0022】
閉鎖部材22は、様々な材料から形成することができるディスクの形態である。閉鎖部材22は、図6に最もよく示される可撓性膜24の中央領域60に接続されている。可撓性膜24は、中央領域60から延在する複数の脚部62を含む。複数の脚部62は、渦巻形状であることができ、また、可撓性膜24を下側ハウジング14のポスト34に堅固に取り付けるために、熱かしめまたは他の方法で固定できるペグ36を受け入れるように適合された開口部64を有する遠位端部分を含むことができる。
【0023】
可撓性膜24は様々な他の形態をとることができ、異なる技術を使用して下側ハウジング14に取り付けられ得ることに留意されたい。代替的な実施形態では、図8~10に示すように、可撓性膜24’は、脚部62’のそれぞれの遠位端に接続される外周リング66を含むことができる。可撓性膜24、24’は、2つ以上の脚部62、62’を有することができることを理解されたい。図6には5つの脚部62が示され、図9の実施形態には6つの脚部62’が示されている。図8及び図10を参照すると、外周リング66は、接着剤、熱かしめ、または他の既知の取り付け方法を使用して、下側ハウジング14’のポスト及び/または上方に延びるリング構造70(図10に最もよく示されている)に取り付けられることができる。
【0024】
閉鎖部材22を省くことができ、図11及び図12に示すように、可撓性膜124/124’の中央領域160/160’は、第2の開口部20を覆う一体型閉鎖部材として機能することができることに留意されたい。中央領域160/160’の直径は、第2の開口部20の適切な閉鎖をもたらすために十分な大きさになるように選択されることができ、一方で、可撓性膜の脚部162/162’は、図1~7及び図8~10の実施形態で説明されているような同じ方法で下側ハウジングへの接続を提供する。中央領域160/160’が第2の開口部20に対して適切に着座することを補助するために、中央領域160/160’には増大した厚さ及び/または補強リブが設けられることができる。
【0025】
動作中、気管瘻孔弁10は、気管瘻孔の上部のユーザーの首に接して配置された第1の開口部18で取り付けられている。空気が気管瘻孔弁10を通して吸入及び吐出されると、加湿器フィルター26は環境への熱及び水分の損失を低減する。また、気管瘻孔弁10を通る呼気によって十分な空気圧が生成されると、閉鎖部材22は、ユーザーが音声を発することができるようにするために、第2の開口部20が閉じるようにして呼気が音声プロテーゼを通るように向け直すことができる。様々な患者がそれぞれの異なる空気速度で呼吸するため、気管瘻孔弁10は、上側ハウジング16の下側ハウジング14に対する位置を調整し、閉鎖部材22と第2の開口部20との間の距離を短縮または延長することにより、患者の快適レベルに調整されることができる。
【0026】
実施形態の前述の説明は、例示及び説明の目的で提供されている。網羅的であること、または本開示を制限することは意図されていない。特定の実施形態の個々の要素または特徴は、一般にその特定の実施形態に限定されないが、適用可能な場合、互換性のあるものであり、具体的に示されていない、または記述されていなくても、選択された実施形態で使用され得る。同じことがまた、様々な方法で変化し得る。そのような変形は、本開示からの逸脱とみなされるべきではなく、そのようなすべての修正は本開示の範囲内に含まれることが意図されている。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12