(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-01-18
(54)【発明の名称】遠近調節コンタクトレンズのための鋳造-成型可能な、高屈折率、剛性、ガス透過性ポリマ配合物
(51)【国際特許分類】
G02C 7/04 20060101AFI20220111BHJP
G02B 1/04 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
G02C7/04
G02B1/04
(21)【出願番号】P 2019515254
(86)(22)【出願日】2017-09-26
(86)【国際出願番号】 US2017053546
(87)【国際公開番号】W WO2018058141
(87)【国際公開日】2018-03-29
【審査請求日】2019-05-13
【審判番号】
【審判請求日】2020-12-02
(32)【優先日】2016-09-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2017-09-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516035068
【氏名又は名称】ヴェリリー ライフ サイエンシズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100126480
【氏名又は名称】佐藤 睦
(72)【発明者】
【氏名】ケネディ,スコット
(72)【発明者】
【氏名】リンハート,ジェフリー ジョージ
(72)【発明者】
【氏名】ディチッチオ,アンジェラ
【合議体】
【審判長】里村 利光
【審判官】関根 洋之
【審判官】河原 正
(56)【参考文献】
【文献】特表平8-508826(JP,A)
【文献】特開2009-251067(JP,A)
【文献】特開2009-151140(JP,A)
【文献】特開平3-223321(JP,A)
【文献】特開昭59-19918(JP,A)
【文献】特開昭61-156227(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 7/04
G02B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1層屈折率を有する第1の剛性ポリマ層;
第2層屈折率を有する第2の剛性ポリマ層;および
前記第1の剛性ポリマ層と第2の剛性ポリマ層との間の第1の液晶層であって、通常屈折率および異常屈折率を有する、第1の液晶層
を含み、
前記第1層屈折率と前記第2層屈折率は0.01未満だけ異なり、
前記通常屈折率と前記異常屈折率は0.1超だけ異なり、ならびに
前記第1層屈折率は、前記通常屈折率または前記異常屈折率のいずれかと0.01未満だけ異なり、
前記第1の剛性ポリマ層および第2の剛性ポリマ層は
1つ以上のジ(メト)アクリレート由来モノマ単位;および
1つ以上の(メト)アクリレート由来モノマ単位
を含み、
前記1つ以上のジ(メト)アクリレート由来モノマ単位は、疎水性ジ(メト)アクリレート由来モノマ単位およびポリジメチルシロキサン含有ジ(メト)アクリレート由来モノマ単位を含み、
前記1つ以上の(メト)アクリレート由来モノマ単位は、アルキルメタクリレート由来モノマ単位、アルキレンオキシド(メト)アクリレート由来モノマ単位、フッ素化メタクリレート由来モノマ単位およびケイ素含有メタクリレート由来モノマ単位を含む、
目に装着可能な装置。
【請求項2】
前記第1層屈折率は前記通常屈折率と0.01未満だけ異なる、請求項1に記載の目に装着可能な装置。
【請求項3】
前記第1層屈折率は前記通常屈折率と0.005未満だけ異なる、請求項2に記載の目に装着可能な装置。
【請求項4】
前記第1層屈折率は前記通常屈折率と0.001未満だけ異なる、請求項2に記載の目に装着可能な装置。
【請求項5】
前記第1層屈折率は前記異常屈折率と0.01未満だけ異なる、請求項1に記載の目に装着可能な装置。
【請求項6】
前記第1層屈折率は前記異常屈折率と0.005未満だけ異なる、請求項5に記載の目に装着可能な装置。
【請求項7】
前記第1層屈折率は前記異常屈折率と0.001未満だけ異なる、請求項5に記載の目に装着可能な装置。
【請求項8】
前記第1または第2の剛性ポリマ層は、15重量パーセント~30重量パーセントの1つ以上のジ(メト)アクリレート由来モノマ単位および60重量パーセント~85重量パーセントの1つ以上の(メト)アクリレート由来モノマ単位を含む、請求項1に記載の目に装着可能な装置。
【請求項9】
前記第1または第2の剛性ポリマ層は、15重量パーセント~30重量パーセントの1つ以上のジ(メト)アクリレート由来モノマ単位、40重量パーセント~55重量パーセントの1つ以上の
非フッ素化(メト)アクリレート由来モノマ単位、および20重量パーセント~30重量パーセントの1つ以上のフッ素化(メト)アクリレート由来モノマ単位を含む、請求項1に記載の目に装着可能な装置。
【請求項10】
前記第1または第2の剛性ポリマ層は、15重量パーセント~30重量パーセントの1つ以上のジ(メト)アクリレート由来モノマ単位、15重量パーセント~25重量パーセントの1つ以上の
非フッ素化メタクリレート由来モノマ単位、25重量パーセント~30重量パーセントの1つ以上の
非フッ素化アクリレート由来モノマ単位、および20重量パーセント~30重量パーセントの1つ以上のフッ素化(メト)アクリレート由来モノマ単位を含む、請求項1に記載の目に装着可能な装置。
【請求項11】
前記第1または第2の剛性ポリマ層は、15重量パーセント~30重量パーセントの1つ以上のジ(メト)アクリレート由来モノマ単位、5重量パーセント~15重量パーセントの1つ以上のアルキルメタクリレート由来モノマ単位、10重量パーセント~20重量パーセントの1つ以上のケイ素含有メタクリレート由来モノマ単位、25重量パーセント~30重量パーセントの1つ以上の
非フッ素化アクリレート由来モノマ単位、および20重量パーセント~30重量パーセントの1つ以上のフッ素化(メト)アクリレート由来モノマ単位を含む、請求項1に記載の目に装着可能な装置。
【請求項12】
前記第1または第2の剛性ポリマ層は、5重量パーセント~10重量パーセントの、ビスフェノールAジメタクリレートに由来するモノマ単位、10重量パーセント~20重量パーセントの、メタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン8-14cStに由来するモノマ単位、20重量パーセント~30重量パーセントの、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレートに由来するモノマ単位、7重量パーセント~12重量パーセントの、メタクリル酸メチルに由来するモノマ単位、10重量パーセント~20重量パーセントの、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレートに由来するモノマ単位、および27重量パーセント~33重量パーセントの、o-フェニルフェノールエチルアクリレートに由来するモノマ単位を含む、請求項1に記載の目に装着可能な装置。
【請求項13】
前記第1層屈折率、第2層屈折率および通常屈折率は1.40~1.55である、請求項2に記載の目に装着可能な装置。
【請求項14】
前記第1層屈折率、第2層屈折率および異常屈折率は1.40~1.55である、請求項5に記載の目に装着可能な装置。
【請求項15】
前記第1層屈折率、第2層屈折率および通常屈折率は1.55~1.80である、請求項2に記載の目に装着可能な装置。
【請求項16】
前記第1層屈折率、第2層屈折率および異常屈折率は1.55~1.80である、請求項5に記載の目に装着可能な装置。
【請求項17】
前記第1の剛性ポリマ層および第2の剛性ポリマ層は少なくとも100バーラーのガス透過性を有する、請求項1に記載の目に装着可能な装置。
【請求項18】
第3層屈折率を有する第3の剛性ポリマ層および前記第2の剛性ポリマ層と前記第3の剛性ポリマ層の間の第2の液晶層をさらに含み、
前記第2の液晶層は通常屈折率および異常屈折率を有し、
前記第2層屈折率と前記第3層屈折率は0.01未満だけ異なり、
前記第2の液晶層通常屈折率と異常屈折率は0.1超だけ異なり、ならびに
前記第1層屈折率は、前記通常屈折率または前記異常屈折率のいずれかと0.01未満だけ異なる、請求項1に記載の目に装着可能な装置。
【請求項19】
第1のモノマ溶液を形成させること;
前記第1のモノマ溶液を硬化させて、前記第1の剛性ポリマ層を提供すること;
第2のモノマ溶液を形成させること;
前記第2のモノマ溶液を硬化させて、前記第2の剛性ポリマ層を提供すること;ならびに
前記第1の剛性ポリマ層と第2の剛性ポリマ層の間に前記第1の液晶層を提供すること
を含む、請求項1に記載の目に装着可能な装置を製造するための方法。
【請求項20】
前記第1のモノマ溶液を硬化させて、前記第1の剛性ポリマ層を提供することは、前記第1のモノマを鋳型中で硬化させることを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記第2のモノマ溶液を硬化させて、前記第2の剛性ポリマ層を提供することは、前記第2のモノマを鋳型中で硬化させることを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2016年9月26日に出願された米国特許出願第62/399,593号(その開示はこれによりその全体が参照により組み込まれる)の恩典を主張する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 本明細書で別記されない限り、このセクションで記載される材料は、本出願における特許請求の範囲に対する先行技術ではなく、このセクションへの包含により先行技術であると認められるものではない。
【0003】
[0003] 遠近調節は、目が、さまざまな距離の物体上に焦点を維持するためにその焦点距離を調整するプロセスである。遠近調節は毛様体筋の収縮により制御される反射作用であるが、意識的に操作することができる。毛様体筋は目の弾性レンズを取り囲み、弾性レンズの焦点を変化させる筋肉収縮中に弾性レンズに力を加える。
【0004】
[0004] 個人の年齢が進むにつれ、毛様体筋の有効性は劣化する。老視は目の遠近調節または焦点調節力の進行性の加齢に伴う損失であり、これにより、近距離でのぼやけが増加する。年齢に伴うこの遠近調節力の損失はよく研究されており、比較的一貫しており、予想可能である。老視は世界中で今日、ほぼ17億人の人々に影響を与えており(米国のみで1億1000万人)、その数は世界人口の高齢化が進むにつれ、実質的に上昇すると予想される。個人が老視の影響を相殺するのを助けることができる技術および装置はますます必要とされている。
【0005】
[0005] 例えば、老視の影響は、遠近調節コンタクトレンズの焦点距離を制御するための遠近調節アクチュエータを含む遠近調節コンタクトレンズにより軽減させることができる。そのような遠近調節コンタクトレンズを構築するためには、下記を含む特定の技術基準を満たす材料を使用することが望ましい:従来の、ガス透過性(RGP)ハードコンタクトレンズ材料と同様の、(1)機械的および(2)透過性特性、(3)遠近調節様式に備えられたカスタマイズ可能な屈折率(RI)、(4)正確に鋳造-成型される能力、および(5)追加のコーティング、例えば透明な導電層および液晶アライメント層の適用を含む、さらなる加工を可能にする温度安定性。現在のところ市場で販売されている従来のコンタクトレンズ材料はこれらの技術基準の4つ全ては満たさない。
【0006】
[0006] カスタマイズ可能なRIおよび適切な機械的特性を有する、ポリウレタンなどの鋳造-成型可能な材料が存在するが、これらの材料は、目に装着する適用で有用となるには酸素透過性が不十分である。高RI、RGP材料は、特殊材料として存在するが、これらの材料は典型的には、ロッド形状に成型され、「ボタン」に切断され、それはその後、コンタクトレンズ形状因子に旋盤加工される。この製造プロセスは処方RGPコンタクトレンズの役に立つが、大量遠近調節コンタクトレンズ製造には実用的ではなく、既存の特殊材料は、遠近調節レンズの製造を成功させるように鋳造成型することができない。
【発明の概要】
【0007】
[0007] この概要は、下記詳細な説明でさらに記載される単純形態での概念の選択を導入するために提供される。この概要は、特許請求される対象物の主要特徴を特定することを意図せず、特許請求される対象物の範囲の決定を助けるものとして使用されることを意図しない。
【0008】
[0008] 1つの態様では、本開示は、第1の剛性ポリマ層、第2の剛性ポリマ層および第1の剛性ポリマ層と第2の剛性ポリマ層の間の液晶層を含む、目に装着可能な装置を提供する。第1の剛性ポリマ層は第1層屈折率を有し、第2の剛性ポリマ層は第2層屈折率を有し、液晶層は通常屈折率、および0.1超だけ異なる異常屈折率を有する。いくつかの実施形態では、第1層屈折率と通常屈折率は0.01未満だけ異なり、他の実施形態では、第1層屈折率と異常屈折率は0.01未満だけ異なる。第1の剛性ポリマ層および第2の剛性ポリマ層はまた、100Dk以上の酸素透過性を有する鋳造成型可能な材料として本明細書で規定される、臨床的に許容される酸素透過性を有する鋳造-成型可能な材料を含んでもよい。そのような酸素透過性は、角膜への十分な酸素伝達率を提供し、低酸素症および無酸素症などの徴候が回避される。
【0009】
[0009] 材料は目に装着可能な遠近調節装置のために適切な化学的および機械的特性を提供するモノマ由来単位の組み合わせを含み得る。モノマ由来単位は1つ以上のジ(メト)アクリレート由来単位および1つ以上の(メト)アクリレート由来単位を含み得る。装置は、電気回路をさらに含み得る。
【0010】
[0010] 別の態様では、本開示は目に装着可能な装置を作製するための方法を提供する。方法は、第1のモノマ溶液を形成させること;第1のモノマ溶液を硬化させて、第1の剛性ポリマ層を提供すること;第2のモノマ溶液を形成させること;第2のモノマ溶液を硬化させて、第2の剛性ポリマ層を提供すること;ならびに、第1の剛性ポリマ層と第2の剛性ポリマ層の間に液晶層を提供することを含む。
【0011】
[0011] 別の態様では、発明は、目に装着可能な装置の焦点距離を変化させるための方法を提供する。方法は液晶層を通常屈折率から異常屈折率に切り替えることを含み、ここで、第1層屈折率は、通常屈折率または異常屈折率のいずれかと0.01未満だけ異なる。別の実施形態では、方法は液晶層を異常屈折率から通常屈折率に切り替えることを含み、ここで、第1層屈折率は、通常屈折率または異常屈折率のいずれかと0.01未満だけ異なる。
【0012】
[0012] これらの、ならびに他の態様、利点、および代替案は、下記詳細な説明を、適切な場合には、添付の図面を参照して読むことにより、当業者に明らかになるであろう。
【0013】
[0013] 前記態様、およびこの発明の付随する利点の多くは、より容易に認識されるであろう。というのも、これらは、下記詳細な説明を参照することにより、添付の図面と共に解釈すると、よりよく理解されるからである。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】[0014]本明細書で開示される実施形態による目に装着可能な装置を示す図である。
【
図1B】[0015]本明細書で開示される実施形態による目に装着可能な装置を示す図である。
【
図1C】[0016]本明細書で開示される実施形態による目に装着可能な装置の斜視図である。
【
図1D】[0017]目に装着された、本明細書で開示される実施形態による目に装着可能な装置の断面図である。
【
図1E】[0018]本明細書で開示される実施形態による、「5層」(3つの剛性ポリマ層が2つの液晶層により分離される)の目に装着可能な装置を形成する層の断面図である。
【
図2】[0019]本明細書で開示される実施形態による目に装着可能な装置を示す図である。
【
図3】[0020]本明細書で開示される実施形態による目に装着可能な装置を示す図である。
【
図4】[0021]本明細書で開示される実施形態による方法を示す流れ図である。
【
図5】[0022]モノマ混合物から形成されたポリマの屈折率と比較した例示的なモノマ混合物の屈折率を示すグラフである。
【
図6】[0023]DPMから形成された例示的な剛性ポリマの屈折率と比較した、ジフェニルメタクリレート(「DPM」)の重量パーセンテージを示すグラフである。
【
図7】[0024]本明細書で開示される実施形態による例示的な剛性ポリマ層材料の組成および軟化点をまとめた表である。
【
図8】[0025]本明細書で開示される実施形態による例示的な剛性ポリマ層材料についての使用温度データをまとめた表である。
【
図9】[0026]温度との関連での軟化に関しての、実施例および比較例レンズ材料を特徴付けるデータをまとめた表である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0027] 例示的な実施形態について説明し、記載してきたが、本発明の精神および範囲から逸脱せずに、その中で様々な変更が可能であることが認識されるであろう。
【0016】
[0028] 下記詳細な説明は、開示された方法、装置、およびシステムの様々な特徴および機能を、添付の図面を参照して記載する。図面では、別段の指示がない限り、同様の記号は典型的には同様の構成要素を特定する。本明細書で記載される例示的な方法、装置、およびシステム実施形態は、制限することを意味しない。開示された方法、装置、およびシステムのある一定の態様は多種多様の異なる構成で配列させ、組み合わせることができ、それらは全て本明細書で企図されることは容易に理解されるであろう。
【0017】
[0029] 本明細書では、「アルキル」という用語は、計画された数の炭素原子、例えば1~12個の炭素(すなわち、1および12を含む)、1~6個の炭素、1~3個の炭素、または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11もしくは12個の炭素のアルキル、アルケニルおよびアルキニル基を含む。「Cm-Cnアルキル」という用語は、m~n個の炭素原子(すなわち、mおよびnを含む)を有するアルキル基を意味する。「Cm-Cnアルケニル」という用語は、m~n個の炭素原子を有するアルケニル基を意味する。例えば、「C1-C6アルケニル」は1~6個の炭素原子を有するアルケニル基である。アルキルおよびアルケニル基は直鎖または分枝であってもよく、文脈により、一価ラジカルまたは二価ラジカル(すなわち、アルキレン基)であってもよい。炭素原子を有しないアルキルまたはアルケニル基(すなわち、「C0アルキル」)の場合、基は、二価ラジカルである場合単純に共有単結合であり、または、一価ラジカルである場合、水素原子である。例えば、「-(C0-C6アルキル)-Ar」という部分は、任意で置換されたアリールの単結合または1~6個の炭素を有するアルキレン架橋による連結を示す。「アルキル」の例としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソ-、sec-およびtert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、3-エチルブチル、3-ヘキセニルおよびプロパルギルが挙げられる。炭素原子の数が特定されない場合、主部「アルキル」部分は1~12個の炭素を有する。
【0018】
[0030] 「アルコキシ」という用語は、本明細書では、親分子部分に酸素原子を介して付加される、本明細書で規定されるアルキル基を意味する。アルコキシの代表例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、2-プロポキシ、ブトキシ、tert-ブトキシ、ペンチルオキシ、およびヘキシルオキシが挙げられるが、それらに限定されない。
【0019】
[0031] 「ハロゲン」という用語は、本明細書では、-Cl、-Br、-Iまたは-Fを意味する。
【0020】
[0032] 「ハロアルキル」という用語は、本明細書では、親分子部分に、本明細書で規定されるアルキル基を介して付加される、本明細書で規定される少なくとも1つのハロゲンを意味する。ハロアルキルの代表例としては、クロロメチル、2-フルオロエチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、および2-クロロ-3-フルオロペンチルが挙げられるが、それらに限定されない。
【0021】
[0033] 「ハロアルコキシル」という用語は、本明細書では、親分子部分に、本明細書で規定されるアルコキシ基を介して付加される、本明細書で規定される少なくとも1つのハロゲンを意味する。ハロアルコキシルの代表例としては、クロロメトキシ、2-フルオロエトキシ、トリフルオロメトキシ、ペンタフルオロエトキシ、および2-クロロ-3-フルオロペントキシが挙げられるが、それらに限定されない。
【0022】
[0034] 本明細書では、「(メト)アクリレート」のいずれの列挙もアクリレートおよびメタクリレートを含む。例えば、ジ(メト)アクリレート由来モノマ単位はジアクリレート由来モノマ単位またはジメタクリレート由来モノマ単位であってもよい。
【0023】
[0035] 1つの態様では、本開示は、
第1層屈折率を有する第1の剛性ポリマ層;
第2層屈折率を有する第2の剛性ポリマ層;および
第1の剛性ポリマ層と第2の剛性ポリマ層の間の液晶層であって、通常屈折率および異常屈折率を有する液晶層、
を含む目に装着可能な装置を提供し、
ここで、
第1層屈折率と第2層屈折率は0.01未満だけ異なり、
通常屈折率と異常屈折率は0.1超だけ異なり、
第1層屈折率は、通常屈折率または異常屈折率のいずれかと0.01未満だけ異なる。
【0024】
[0036] 目に装着可能な装置を以下、第1の剛性ポリマ層および第2の剛性ポリマ層を特に参照して、より詳細に記載する。しかしながら、本明細書で開示されるさらなる実施形態は追加の剛性ポリマ層群(例えば、第3の剛性ポリマ層、
図1Eにおいて示される)を組み入れることが認識されるべきである。したがって、別記されない限り、第1の剛性ポリマおよび第2の剛性ポリマの実施形態の記載は、第3の剛性ポリマ層を含む追加の剛性ポリマ層群に等しく適用可能である。「剛性ポリマ層群」という用語は2つ以上の剛性ポリマ層を示し、「剛性ポリマ層」という用語は目に装着可能な装置内の任意の1つの剛性ポリマ層を示す。
【0025】
[0037] 第1の剛性ポリマ層および第2の剛性ポリマ層は、剛性ポリマ層群を形成するために使用されるポリマの組成に基づいて調整可能である屈折率を有する材料を含む。例えば、第1層屈折率または第2層屈折率は、第1の剛性ポリマ層および第2の剛性ポリマ層を作製するのに使用されるモノマの型および量を操作することにより選択することができる。
【0026】
[0038] 特に、本明細書で開示される目に装着可能な装置は液晶の1、2、またはそれ以上の層を組み入れ、剛性ポリマ層群の特性は液晶層(複数可)の特性に適合するように、選択、または調整される。現在入手可能な液晶材料および将来開発される可能性があるものの変化を考えると、剛性ポリマ層群の特性を調整する能力は目に装着可能な装置の開発に重要である。剛性ポリマ層群および液晶材料(2つの異なる屈折率:通常および異常を有する)の屈折率は目に装着可能な装置の動作にとって特に重要であり、そのため、本明細書における態様は他の特性(例えば、鋳造成型可能である、および/または特定の酸素透過性を有する)に加えて、標的屈折率を有する剛性ポリマ層群に形成することができるポリマ材料を開示する。これらの設計基準を満たすポリマ材料の実施形態を以下、より詳細に記載する。
【0027】
[0039] 第1および第2の剛性ポリマ層のモノマ由来単位は、1つ以上のジ(メト)アクリレート由来単位および1つ以上の(メト)アクリレート由来単位を含み得る。
【0028】
[0040] 1つ以上のジ(メト)アクリレート由来モノマ単位は任意のジメタクリレート由来単位を含むことができ、それは、第1または第2の剛性ポリマ層の異なる骨格鎖の間で架橋を形成することができる。ジ(メト)アクリレート由来モノマ単位は、リンカーを介して共有結合された2つの(メト)アクリレート基を有するジ(メト)アクリレートに由来してもよい。リンカーは親水性または疎水性であってもよい。親水性リンカーは少なくとも1つの親水性官能基を含むことができ、それとしては、ヒドロキシ、カルボン酸、カルボン酸塩、アミン、アミドおよびアルキレンオキシド官能基が挙げられるが、それらに限定されない。例えば、親水性ジ(メト)アクリレートはポリ(エチレングリコール)ジメタクリレートであってもよい。疎水性リンカーは親水性官能基を含まず、よって、大部分は炭素および水素原子に制限される。例えば、疎水性ジ(メト)アクリレートはビスフェノールAジメタクリレート(BPA-DM)またはネオペンチルグリコールジメタクリレートであってもよい。
【0029】
[0041] 他の実施形態では、ジ(メト)アクリレート由来モノマ単位は、ポリジメチルシロキサン含有ジ(メト)アクリレートに由来するポリジメチルシロキサン含有ジ(メト)アクリレート由来モノマ単位であってもよい。ポリジメチルシロキサン含有ジ(メト)アクリレートは、少なくとも1つのジメチルシロキサン基(-Si(R2)-O-)で置換されたリンカーを有してもよく、ここで、各Rは、アルキル、-(C0-C6アルキル)-Ar、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、ハロゲン、-ORおよび-OSiR3から独立して選択される。ポリジメチルシロキサン含有ジ(メト)アクリレートのジ(メト)アクリレート部分は本明細書で規定される任意のジ(メト)アクリレートであってもよく、ここで、少なくとも1つの結合は-Si(R2)-O-で置き換えられる。例えば、ポリジメチルシロキサン含有ジ(メト)アクリレートはメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサンであってもよい。いくつかの実施形態では、ポリジメチルシロキサン含有ジ(メト)アクリレート由来モノマ単位は、メタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン8-14cStに由来する。
【0030】
[0042] ジ(メト)アクリレート由来モノマ単位は第1または第2の剛性ポリマ層の10重量パーセント~35重量パーセントとして存在し得る。いくつかの実施形態では、ジ(メト)アクリレート由来モノマ単位は、第1または第2の剛性ポリマ層の10重量パーセント~30重量パーセント、10重量パーセント~25重量パーセント、10重量パーセント~20重量パーセント、10重量パーセント~15重量パーセント、15重量パーセント~35重量パーセント、15重量パーセント~30重量パーセント、15重量パーセント~25重量パーセント、15重量パーセント~20重量パーセント、20重量パーセント~35重量パーセント、20重量パーセント~30重量パーセント、20重量パーセント~25重量パーセント、25重量パーセント~35重量パーセントまたは30重量パーセント~35重量パーセントとして存在し得る。いくつかの実施形態では、ジ(メト)アクリレート由来モノマ単位は第1または第2の剛性ポリマ層の5重量パーセント~10重量パーセントとして存在し得る。いくつかの実施形態では、ポリジメチルシロキサン含有ジ(メト)アクリレート由来モノマ単位は第1または第2の剛性ポリマ層の10重量パーセント~20重量パーセントとして存在し得る。
【0031】
[0043] 1つ以上の(メト)アクリレート由来モノマ単位はアルキル(メト)アクリレート由来モノマ単位、フッ素化メタクリレート由来モノマ単位およびケイ素含有メタクリレート由来モノマ単位から選択され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の(メト)アクリレート由来モノマ単位はアルキルメタクリレート由来モノマ単位およびアルキレンオキシド(メト)アクリレート由来モノマ単位を含む。他の実施形態では、1つ以上の(メト)アクリレート由来モノマ単位は、アルキルメタクリレート由来モノマ単位、アルキレンオキシド(メト)アクリレート由来モノマ単位およびフッ素化メタクリレート由来モノマ単位を含む。他の実施形態では、1つ以上の(メト)アクリレート由来モノマ単位は、アルキルメタクリレート由来モノマ単位、アルキレンオキシド(メト)アクリレート由来モノマ単位、フッ素化メタクリレート由来モノマ単位およびケイ素含有メタクリレート由来モノマ単位を含む。
【0032】
[0044] (メト)アクリレート由来モノマ単位は、アルキル(メト)アクリレートに由来し得る。アルキル(メト)アクリレートは、1~4個の炭素原子/基を有するアルキル基を含むことができ、例えば、メタクリル酸メチル(MMA)、メタクリル酸エチル、プロピルメタクリレート、イソ-プロピルメタクリレート、イソ-ブチルメタクリレート、sec-ブチルメタクリレート、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、プロピルアクリレート、イソ-プロピルアクリレート、イソ-ブチルアクリレートおよびsec-ブチルアクリレートである。いくつかの実施形態では、(メト)アクリレート由来モノマ単位は、メタクリル酸メチルに由来する。
【0033】
[0045] 他の実施形態では、(メト)アクリレート由来モノマ単位は、炭素環式(メト)アクリレートに由来し得る。炭素環式(メト)アクリレートは、3~10個の炭素原子/基を有するシクロアルキルまたはアリール基を含んでもよく、ここで、シクロアルキルまたはアリール基はアルキル基で、任意で置換される。例えば、炭素環式は、シクロヘキシルメタクリレート、tert-ブチルシクロヘキシルメタクリレート、フェニルメタクリレート(フェニル-MA)またはナフチルメタクリレートであり得る。
【0034】
[0046] 他の実施形態では、(メト)アクリレート由来モノマ単位は、アルキル-炭素環式(メト)アクリレートに由来し得る。アルキル-炭素環式(メト)アクリレートは、1~4個の炭素原子を有するアルキル基および3~10個の炭素原子/基を有するシクロアルキルまたはアリール基を含んでもよく、ここで、シクロアルキルまたはアリール基はアルキル基で、任意で置換される。例えば、アルキル-炭素環式(メト)アクリレートはベンジルメタクリレートであり得る。
【0035】
[0047] アルキレンオキシド(メト)アクリレート由来モノマ単位は、アルキレンオキシド含有(メト)アクリレートに由来し得る。アルキレンオキシド基は、単一アルキレンオキシド基(例えば、-CH2CH2-O-)、またはポリ(アルキレンオキシド)(例えば、ポリ(エチレンオキシド)であり得る。いくつかの実施形態では、アルキレンオキシド基は式(-(CH2)n-O-)mを有し、ここでnは2、3または4であり、mは0、1、2、3、4、5、6、7、8、9または10である。他の実施形態では、mはアルキレンオキシド基(-(CH2)n-O-)mの数平均分子量(Mn)が100~10,000となるようなものである。アルキレンオキシド含有(メト)アクリレートはキャッピングされても、されなくてもよい。例えば、キャッピングされていないアルキレンオキシド含有(メト)アクリレートはポリ(エチレングリコール)メタクリレートであってもよく、ここで、対応するキャッピングされたアルキレンオキシド含有(メト)アクリレートはポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレートであってもよい。ポリ(エチレングリコール)(メト)アクリレートの例としては、ポリ(エチレングリコール)メタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)アクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテルアクリレート、o-フェニルフェノールエチルアクリレートおよびヒドロキシエチルプロピルメタクリレートが挙げられる。いくつかの実施形態では、アルキレンオキシド(メト)アクリレート由来モノマ単位は、o-フェニルフェノールエチルアクリレートに由来する。
【0036】
[0048] いくつかの実施形態では、フッ素化(メト)アクリレートモノマ単位は、少なくとも1つのフッ素原子を含む(メト)アクリレートに由来し得る。例えば、フッ素化(メト)アクリレートモノマ単位は、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,7-ドデカフルオロヘプチルアクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,11,11,12,12,12-ヘンエイコサフルオロドデシルアクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10,10-ヘプタデカフルオロデシルメタクリレート、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルアクリレート、2,2,3,3,4,4,4-ヘプタフルオロブチルメタクリレート、2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチルアクリレート、2,2,3,4,4,4-ヘキサフルオロブチルメタクリレート、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピルアクリレート、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート(HF-MA)、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルアクリレート、2,2,3,3,4,4,5,5-オクタフルオロペンチルメタクリレート、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルアクリレート、2,2,3,3,3-ペンタフルオロプロピルメタクリレート、1H,1H,2H,2H-パーフルオロデシルアクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピルメタクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチルアクリレート、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-トリデカフルオロオクチルメタクリレート、2,2,2-トリフルオロエチルメタクリレート、1,1,1-トリフルオロ-2-(トリフルオロメチル)-2-ヒドロキシ-4-メチル-5-ペンチルメタクリレートまたは2-[(1’,1’,1’-トリフルオロ-2’-(トリフルオロメチル)-2’-ヒドロキシ)プロピル]-3-ノルボルニルメタクリレートに由来し得る。いくつかの実施形態では、フッ素化(メト)アクリレートモノマ単位は、1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレートに由来する。
【0037】
[0049] いくつかの実施形態では、ケイ素含有(メト)アクリレート由来モノマ単位は、少なくとも1つのケイ素原子(-SiR3)で置換された(メト)アクリレートを含むケイ素含有(メト)アクリレートに由来し得る。ケイ素原子は、3つのR基で置換されてもよく、ここで、各Rは、アルキル、-(C0-C6アルキル)-Ar、ハロアルキル、アルコキシ、ハロアルコキシ、ハロゲン、-ORおよび-OSiR3から独立して選択される。ケイ素含有(メト)アクリレートの(メト)アクリレート部分は本明細書で規定される任意の(メト)アクリレートであってもよく、ここで、少なくとも1つの水素原子は-SiR3で置き換えられる。例えば、ケイ素含有(メト)アクリレート由来モノマ単位は、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレート(TRIS-MA)、3-(トリメトキシシリル)プロピルメタクリレート、(トリメチルシリル)メタクリレートおよびトリブチルシリルメタクリレートに由来し得る。いくつかの実施形態では、ケイ素含有(メト)アクリレート由来モノマ単位は、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレートに由来する。
【0038】
[0050] いくつかの実施形態では、第1または第2の剛性ポリマ層は、15重量パーセント~30重量パーセントの1つ以上のジ(メト)アクリレート由来モノマ単位および60重量パーセント~85重量パーセントの1つ以上の(メト)アクリレート由来モノマ単位を含む。
【0039】
[0051] いくつかの実施形態では、第1または第2の剛性ポリマ層は15重量パーセント~30重量パーセントの1つ以上のジ(メト)アクリレート由来モノマ単位、40重量パーセント~55重量パーセントの1つ以上の(メト)アクリレート由来モノマ単位、および20重量パーセント~30重量パーセントの1つ以上のフッ素化(メト)アクリレート由来モノマ単位を含む。
【0040】
[0052] いくつかの実施形態では、第1または第2の剛性ポリマ層は、15重量パーセント~30重量パーセントの1つ以上のジ(メト)アクリレート由来モノマ単位、15重量パーセント~25重量パーセントの1つ以上のメタクリレート由来モノマ単位、25重量パーセント~30重量パーセントの1つ以上のアクリレート由来モノマ単位、および20重量パーセント~30重量パーセントの1つ以上のフッ素化(メト)アクリレート由来モノマ単位を含む。
【0041】
[0053] いくつかの実施形態では、第1または第2の剛性ポリマ層は、15重量パーセント~30重量パーセントの1つ以上のジ(メト)アクリレート由来モノマ単位、5重量パーセント~15重量パーセントの1つ以上のアルキルメタクリレート由来モノマ単位、10重量パーセント~20重量パーセントの1つ以上のケイ素含有メタクリレート由来モノマ単位、25重量パーセント~30重量パーセントの1つ以上のアクリレート由来モノマ単位および20重量パーセント~30重量パーセントの1つ以上のフッ素化(メト)アクリレート由来モノマ単位を含む。
【0042】
[0054] いくつかの実施形態では、第1または第2の剛性ポリマ層は、5重量パーセント~10重量パーセントのビスフェノールAジメタクリレートに由来するモノマ単位、10重量パーセント~20重量パーセントのメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン8-14cStに由来するモノマ単位、20重量パーセント~30重量パーセントの1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレートに由来するモノマ単位、7重量パーセント~12重量パーセントのメタクリル酸メチルに由来するモノマ単位、10重量パーセント~20重量パーセントの3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレートに由来するモノマ単位、および27重量パーセント~33重量パーセントのo-フェニルフェノールエチルアクリレートに由来するモノマ単位を含む。
【0043】
[0055] いくつかの実施形態では、第1の剛性ポリマ層および第2の剛性ポリマ層は同じである。
【0044】
[0056] ある一定の実施形態では、剛性ポリマ層群の少なくとも1つは、一般に0.01~2重量%で使用される従来のフリーラジカル開始剤;着色剤(着色料);紫外線ブロッキング化合物;およびそれらの組み合わせからなる群より選択される添加物を含む。
【0045】
[0057] ある一定の実施形態では、混合物は、その後、コンタクトレンズの形態に機械加工される形状、例えば棒材、レンズボタン、または1つの完成表面を含むレンズブランクに成型される。
【0046】
[0058] 他の実施形態では、剛性ポリマ層群を形成する混合物は直接コンタクトレンズの形態で鋳造-成型される。この関連で、ある一定の実施形態では、第1の剛性ポリマ層および第2の剛性ポリマ層は、高い酸素透過性を有する鋳造-成型可能な材料を含む。材料は、目に装着可能な遠近調節装置のために適切な化学的および機械的特性を提供するモノマ由来単位の組み合わせを含み得る。鋳造-成型可能な材料は、鋳型(例えば、ポリプロピレン鋳型)中での重合可能な混合物の重合によりポリマ層を形成することができ、この場合、得られたポリマ層は鋳型から、ポリマ層またはその上もしくはその中に含まれる任意の構成要素にダメージを与えることなく取り出すことができる。
【0047】
[0059] 鋳造-成型プロセスを促進するために、形成された剛性ポリマ層群は、硬度、靱性、弾性率、および他の特性に基づき規定することができるある一定の物理的特性を有する。
【0048】
[0060] 1つの実施形態では、剛性ポリマ層群は、少なくとも1.2Mpa?mm、より好ましくは少なくとも1.5Mpa?mmの靱性;少なくとも90のロックウェル硬度;少なくとも70のショアD硬度;および/または少なくとも800Mpaの弾性率を有する。靱性は、ASTM D 790M-86に従い0.5mmディスクサンプル上で測定され得る。弾性率は、ASTM D-1708aに従い、Instron(Model 4502)機器を用いて測定され得、この場合、ポリマサンプルはホウ酸塩緩衝生理食塩水に浸漬され;サンプルの適切なサイズはゲージ長22mmおよび幅4.75mmであり、ここで、サンプルはさらに、Instron機器のクランプによるサンプルの把持を可能にするためのドッグボーン形状を形成する端部、および200+50ミクロンの厚さを有する。ロックウェル硬度は、ASTM D785に従い、ロックウェル硬度機器、例えばロックウェル硬度Tester Model 3TTB(Wilson Instrument)を用いて、滑らかで平坦な表面を有するディスクサンプル上で測定され得る。ショアD硬度は、ASTM D2240に従い、ショアDデュロメータを用いてディスクサンプル上で測定され得る。好ましくは、両方の硬度方法について、サンプルは、サンプルを少なくとも40時間の間、50%制御湿度を有するチャンバ内で、例えばASTM E104-85の方法により保存することにより予め調整される。
【0049】
[0061] 1つの実施形態では、鋳造-成型可能なポリマ層は、0.8MPa~1.5MPaの弾性率を有する。いくつかの実施形態では、弾性率は、0.8MPa~1.1MPa、または0.9MPa~1.1MPa、または0.8MPa~1.0MPa、または0.9MPa~1.0MPa、または1.0MPa~1.1MPa、または1.0MPa~1.2MPaである。
【0050】
[0062] 1つの実施形態では、鋳造-成型可能なポリマ層は、18MPa~22MPaの降状応力を有する。いくつかの実施形態では、降状応力は18MPa~21MPa、または18MPa~20MPa、または18MPa~19MPa、または19MPa~22MPa、または19MPa~21MPa、または19MPa~20MPa、または20MPa~22MPa、または20MPa~21MPaであり得る。
【0051】
[0063] 1つの実施形態では、鋳造-成型可能なポリマ層は、12MPa~18MPaの破断応力を有する。いくつかの実施形態では、破断応力は、12MPa~17MPa、または11MPa~18MPa、12MPa~16MPa、または13MPa~16MPa、または14MPa~18MPa、または14MPa~16MPa、または16MPa~18MPa、または16MPa~20MPa、または16MPa~22MPa、または18MPa~22MPa、または18MPa~20MPa、または20MPa~22MPaであり得る。
【0052】
[0064] 1つの実施形態では、鋳造-成型可能なポリマ層は、少なくとも70のショアD硬度を有する。1つの実施形態では、鋳造-成型可能なポリマ層は、70~80のショアD硬度を有する。いくつかの実施形態では、ショアD硬度は70~78、または70~76、または70~74、または70~72、または70~75、または72~80、または72~78、または72~76、または72~74、または74~78、または76~78、または74~80、または74~78、または76~78、または78~80、または75~80であってもよい。
【0053】
[0065] 1つの実施形態では、鋳造-成型可能なポリマ層は、20%未満の収縮を有する。1つの実施形態では、鋳造-成型可能なポリマ層は、15%未満の収縮を有する。1つの実施形態では、鋳造-成型可能なポリマ層は、10%未満の収縮を有する。成型プロセス中に経験されるいずれの収縮も再現可能で予想可能であり得、そのため、第1および第2の剛性ポリマ層群の各々について同じ最終寸法が達成される。いくつかの実施形態では、収縮は1%未満内で予想可能である。収縮は、いくつかの技術を使用して、線収縮を測定するための例示的な標準試験としてASTM C531-00を用いて測定することができる。収縮は直径、厚さ、および全体積を含む異なる次元での測定により特徴付けることができる。
【0054】
[0066] 1つの実施形態では、鋳造-成型可能なポリマ層は各々、少なくとも50バーラーのガス透過性を有する(本明細書で「臨床的に許容される」ガス透過性として規定される)。別の実施形態では、鋳造-成型可能なポリマ層は、目に装着可能な装置内で合わせられると、少なくとも50バーラーのガス透過性を有する。別の実施形態では、目に装着可能な装置は全体として、少なくとも50バーラーのガス透過性を有する。
【0055】
[0067] いくつかの実施形態では、鋳造-成型可能なポリマ層のガス透過性は、50バーラー~200バーラー、または50バーラー~190バーラー、または50バーラー~180バーラー、または50バーラー~160バーラー、または50バーラー~150バーラー、または50バーラー~140バーラー、または50バーラー~130バーラー、または50バーラー~120バーラー、または50バーラー~110バーラー、または100バーラー~200バーラー、または100バーラー~190バーラー、または100バーラー~180バーラー、または100バーラー~160バーラー、または100バーラー~150バーラー、または100バーラー~140バーラー、または100バーラー~130バーラー、または100バーラー~120バーラー、または100バーラー~110バーラー、または110バーラー~130バーラー、または110バーラー~150バーラー、または120バーラー~160バーラー、または130バーラー~150、または120バーラー~180バーラーである。
【0056】
[0068] いくつかの実施形態では、剛性ポリマ層群は各々、少なくとも50バーラーのガス透過性を有する。いくつかの実施形態では、第1および第2の剛性ポリマ層群は、少なくとも100バーラー、または少なくとも110バーラー、または少なくとも120バーラー、または少なくとも130バーラーのガス透過性を有する。他の実施形態では、第1および第2の剛性ポリマ層群は120バーラー~140バーラー、または105バーラー~180バーラー、または105バーラー~150バーラー、または105バーラー~125バーラーのガス透過性を有し得る。いくつかの実施形態では、ガスは酸素である。ガス透過性は、下記で開示される技術に従い測定することができる。
【0057】
[0069] 臨床的に許容される酸素透過性を提供するために、ある一定の実施形態では、目に装着可能な装置は100Dk以上の酸素透過性を有する。したがって、ある一定の実施形態では、目に装着される装置は、100Dk以上の酸素透過性を有する鋳造-成型可能なポリマ層を含む。
【0058】
[0070] 別の実施形態では、目に装着される装置は、Dk/t(全層装置厚で割った酸素伝達率)により規定される。1つの実施形態では、低酸素症を防止するために、目に装着される装置は、1日使用装置では24Dk/t以上、または連続装用装置では87Dk/t以上を有する。別の実施形態では、無酸素症を防止するために、目に装着される装置は、1日使用装置では35Dk/t以上または連続装用装置では135Dk/t以上を有する。
【0059】
[0071] 目に装着される装置は、第1または第2の剛性ポリマ層は、装置の光学特性に屈折力を付加しない曲率を有し得るように構築することができる。いくつかの実施形態では、第1または第2の剛性ポリマ層は装置に屈折力を付加する曲率を有し得る。別の実施形態では、第1または第2の剛性ポリマ層は装置から屈折力を取り去る曲率を有し得る。
【0060】
[0072] 液晶層は、通常屈折率を有する第1の状態および異常屈折率を有する第2の状態を有する材料を含む。第1の状態と第2の状態の間の遷移は制御可能であり得、液晶層は通常屈折率から異常屈折率へ、または異常屈折率から通常屈折率へその屈折率を変化させる要素を含み得る。
【0061】
[0073] その屈折率を変化させることにより、目に装着可能な装置の曲面の正味の屈折力は変更され、これにより、制御可能な遠近調節が適用される。例えば、液晶層が第1の状態にあり、通常屈折率を有する場合、第1層および第2層屈折率は、通常屈折率と0.01未満だけ異なり得る。異常屈折率に切り替えると、第1層および第2層屈折率は液晶層の異常屈折率とは0.01超だけ異なり得、装置の光学特性が変化する。いくつかの実施形態では、切り替えは異常屈折率からより低い通常屈折率へである。いくつかの実施形態では、切り替えは異常屈折率からより高い通常屈折率へである。他の実施形態では、切り替えは通常屈折率からより低い異常屈折率へである。他の実施形態では、切り替えは通常屈折率からより高い異常屈折率へである。
【0062】
[0074] 通常および異常屈折率の間の切り替えは、目に装着される装置の焦点距離を変化させることができる。より短い焦点距離を有するシステムは、長い焦点距離を有するものよりも大きな屈折力を有する。すなわち、屈折力が大きいほど、より鋭く光が曲がり、より短い距離の物体に焦点が合う。反対に、より長い焦点距離(より低い屈折力)では、より大きな距離の物体に焦点が合う。いくつかの実施形態では、第1および第2の剛性ポリマ層群および通常屈折率を有する液晶の組み合わせはより短い焦点距離を提供する。他の実施形態では、第1および第2の剛性ポリマ層群および通常屈折率を有する液晶の組み合わせはより長い焦点距離を提供する。同様に、いくつかの実施形態では、第1および第2の剛性ポリマ層群および異常屈折率を有する液晶の組み合わせはより短い焦点距離を提供する。他の実施形態では、第1および第2の剛性ポリマ層群および異常屈折率を有する液晶の組み合わせはより長い焦点距離を提供する。
【0063】
[0075] 液晶層は、例えば、電流との接触で屈折率の変化を受けることができる、当技術分野で知られている任意の液晶材料を含み得る。液晶材料は、目に装着可能な装置を構築するために必要とされる組立プロセスと適合可能であり得る。例えば、液晶は第1および第2の剛性ポリマ層群の材料中で可溶性ではない可能性があり、よって、第1および第2の剛性ポリマ層群への液晶層の遅い吸収が阻止され、または可能になる。
【0064】
[0076] いくつかの実施形態では、第1層屈折率と通常屈折率は0.01未満だけ異なる。いくつかの実施形態では、第1層屈折率と通常屈折率は0.005未満だけ異なる。いくつかの実施形態では、第1層屈折率と通常屈折率は0.001未満だけ異なる。
【0065】
[0077] いくつかの実施形態では、第2層屈折率と通常屈折率は0.01未満だけ異なる。いくつかの実施形態では、第2層屈折率と通常屈折率は0.005未満だけ異なる。いくつかの実施形態では、第2層屈折率と通常屈折率は0.001未満だけ異なる。
【0066】
[0078] いくつかの実施形態では、第1層屈折率と異常屈折率は0.01未満だけ異なる。いくつかの実施形態では、第1層屈折率と異常屈折率は0.005未満だけ異なる。いくつかの実施形態では、第1層屈折率と異常屈折率は0.001未満だけ異なる。
【0067】
[0079] いくつかの実施形態では、第2層屈折率と異常屈折率は0.01未満だけ異なる。いくつかの実施形態では、第2層屈折率と異常屈折率は0.005未満だけ異なる。いくつかの実施形態では、第2層屈折率と異常屈折率は0.001未満だけ異なる。
【0068】
[0080] いくつかの実施形態では、第1層屈折率と第2層屈折率は0.01未満だけ異なる。いくつかの実施形態では、第1層屈折率と第2層屈折率は0.005未満だけ異なる。いくつかの実施形態では、第1層屈折率と第2層屈折率は0.001未満だけ異なる。
【0069】
[0081] いくつかの実施形態では、第1の剛性ポリマ層、第2の剛性ポリマ層および液晶層は、1.40~1.55の、第1層屈折率、第2層屈折率および通常屈折率を有する目に装着可能な装置を提供するように選択することができる。いくつかの実施形態では、第1の剛性ポリマ層、第2の剛性ポリマ層および液晶層は、1.40~1.55の、第1層屈折率、第2層屈折率および異常屈折率を有する目に装着可能な装置を提供するように選択することができる。このように、第1層屈折率、第2層屈折率、通常屈折率および異常屈折率は表1から選択される任意の低値(A)と任意の高値(B)の間にあるとして独立して選択され得るが、ただし、高値(B)が低値(A)より大きいことを条件とする。例えば、第1層屈折率、第2層屈折率、通常屈折率または異常屈折率は1.4420(A22)~1.4760(B39)であり得る。いくつかの実施形態では、低値(A)は選択されず、第1層屈折率、第2層屈折率、通常屈折率または異常屈折率は高値(B)以下である。例えば、第1層屈折率、第2層屈折率、通常屈折率または異常屈折率は1.4880(B45)未満であり得る。いくつかの実施形態では、高値(B)は選択されず、第1層屈折率、第2層屈折率、通常屈折率または異常屈折率は低値(A)以上である。例えば、第1層屈折率、第2層屈折率、通常屈折率または異常屈折率は1.4380(A20)未満であり得る。他の実施形態では、第1層屈折率、第2層屈折率、通常屈折率または異常屈折率は表1における低(A)または高(B)値のいずれかに等しい。例えば、第1層屈折率、第2層屈折率、通常屈折率または異常屈折率は1.4380(A20)であり得る。
【表1】
【0070】
[0082] いくつかの実施形態では、第1の剛性ポリマ層、第2の剛性ポリマ層および液晶層は、1.55~1.80の第1層屈折率、第2層屈折率および通常屈折率を有する目に装着可能な装置を提供するように選択することができる。いくつかの実施形態では、第1の剛性ポリマ層、第2の剛性ポリマ層および液晶層は、1.55~1.80の第1層屈折率、第2層屈折率および異常屈折率を有する目に装着可能な装置を提供するように選択することができる。第1層屈折率、第2層屈折率、通常屈折率および異常屈折率は、表2から選択される任意の低値(A)と任意の高値(B)の間にあるとして独立して選択され得るが、ただし、高値(B)は低値(A)より大きいことを条件とする。例えば、第1層屈折率、第2層屈折率、通常屈折率または異常屈折率は1.6550(A22)~1.7400(B39)であり得る。いくつかの実施形態では、低値(A)は選択されず、第1層屈折率、第2層屈折率、通常屈折率または異常屈折率は高値(B)以下である。例えば、第1層屈折率、第2層屈折率、通常屈折率または異常屈折率は1.7700(B45)未満であり得る。いくつかの実施形態では、高値(B)は選択されず、第1層屈折率、第2層屈折率、通常屈折率または異常屈折率は低値(A)以上である。例えば、第1層屈折率、第2層屈折率、通常屈折率または異常屈折率は1.6450(A20)未満であり得る。他の実施形態では、第1層屈折率、第2層屈折率、通常屈折率または異常屈折率は表2における低(A)または(B)値のいずれかに等しい。例えば、第1層屈折率、第2層屈折率、通常屈折率または異常屈折率は1.6450(A20)であり得る。
【表2】
【0071】
[0083] 異常屈折率は通常屈折率より高くすることができる。例えば、液晶は1.40~1.55の通常屈折率および1.60~1.80の異常屈折率を有することができる。液晶層の通常屈折率は表2における値に従い選択され得る。液晶層の異常屈折率は1.60~1.65、または1.60~1.70、または1.60~1.75、または1.65~1.70、または1.70~1.75、または1.65~1.80、または1.70~1.75、または1.70~1.80、または1.75~1.80であり得る。いくつかの実施形態では、液晶層の異常屈折率は1.60超、または1.65超、または1.70超、または1.75超、または1.80超である。
【0072】
[0084] 他の実施形態では、通常屈折率は異常屈折率より高くすることができる。例えば、液晶は、1.40~1.55の異常屈折率および1.60~1.80の通常屈折率を有することができる。液晶層の異常屈折率は表2における値に従い選択され得る。液晶層の通常屈折率は1.60~1.65、または1.60~1.70、または1.60~1.75、または1.65~1.70、または1.70~1.75、または1.65~1.80、または1.70~1.75、または1.70~1.80、または1.75~1.80であり得る。いくつかの実施形態では、液晶層の通常屈折率は1.60超、または1.65超、または1.70超、または1.75超、または1.80超である。
【0073】
[0085] 目に装着可能な装置について、以下、さらに図面と関連させて記載する。
【0074】
[0086]
図1Aは本明細書で開示される実施形態による目に装着可能な装置100を示す図である。目に装着可能な装置100は第1の剛性ポリマ層110、第2の剛性ポリマ層120、および第1の剛性ポリマ層110と第2の剛性ポリマ層120の間に配置された液晶層130を含む(すなわち、「第1の剛性ポリマ層-液晶層-第2の剛性ポリマ層」配列、または「3層装置」)。したがって、ある一定の実施形態では、液晶層は第1の剛性ポリマ層と第2の剛性ポリマ層との間にある。
【0075】
[0087]
図1Bは代表的な目に装着可能な装置100の部分分解図を示す図であり、この場合、第1の剛性ポリマ層110、第2の剛性ポリマ層120、および液晶層130は、各層の詳細が説明できるように分離されている。第1の剛性ポリマ層110は外面112および内面114を有し、第2の剛性ポリマ層120は外面122および内面124を有し、液晶層130は第1の表面132および第2の表面134を有する。いくつかの実施形態では、第1の剛性ポリマ層110の内面114は液晶層130の第1の側132と接触しており、第2の剛性ポリマ層120の内面124は液晶層130の第2の表面134と接触している。いくつかの実施形態では、第1の剛性ポリマ層110、第2の剛性ポリマ層120、および液晶層130は、平面図では実質的に円形であり、第1の剛性ポリマ層110、第2の剛性ポリマ層120、および液晶層130は実質的に同様の半径を有する。ある一定の実施形態では、第1の剛性ポリマ層110の内面114および第2の剛性ポリマ120の内面124は接触していない。他の実施形態では、第1の剛性ポリマ層110、第2の剛性ポリマ層120、および液晶層130は実質的に円形であり、第1の剛性ポリマ層110および第2の剛性ポリマ層120の半径は液晶層130の半径より大きい。これらの実施形態では、第1の剛性ポリマ層110の内面114および第2の剛性ポリマ120の内面124は接触している。いくつかの実施形態では、電気回路140は液晶層130の第1の表面132または第2の表面134と接触している。
【0076】
[0088] 液晶層は第1および第2の剛性ポリマ層群と同じ表面積、または第1および第2の剛性ポリマ層群より小さな表面積を有し得る。液晶層は、第1の剛性ポリマ層または第2の剛性ポリマ層の表面の5パーセント~100パーセントと接触し得る。例えば、液晶層は第1の剛性ポリマ層または第2の剛性ポリマ層の表面の10パーセント~100パーセント、または15パーセント~100パーセント、または20パーセント~100パーセント、または25パーセント~100パーセント、または30パーセント~100パーセント、または35パーセント~100パーセント、または40パーセント~100パーセント、または45パーセント~100パーセント、または50パーセント~100パーセント、または55パーセント~100パーセント、または60パーセント~100パーセント、または65パーセント~100パーセント、または70パーセント~100パーセント、または75パーセント~100パーセント、または80パーセント~100パーセント、または85パーセント~100パーセント、または90パーセント~100パーセント、または95パーセント~100パーセントと接触し得る。
【0077】
[0089] いくつかの実施形態では、液晶層は第1の剛性ポリマ層または第2の剛性ポリマ層の50パーセント超と接触している。例えば、液晶層は第1の剛性ポリマ層または第2の剛性ポリマ層の50パーセント超、または55パーセント超、または60パーセント超、または65パーセント超、または70パーセント超、または75パーセント超、または80パーセント超、または85パーセント超、または90パーセント超、または95パーセント超と接触している。
【0078】
[0090] 一般化されたn層の目に装着可能な装置150がソフトオーバーモールドと共に
図1Cに示され、オーバーモールドされた目に装着可能な装置150は、
図1Dにおいて断面図で、目を覆って示される。最初に
図1Cを参照すると、オーバーモールドされた目に装着可能な装置150は、ソフトポリマ層152(「オーバーモールド」)内に埋め込まれた、以上で記載される目に装着可能な装置100を含む。1つの実施形態では、ソフトポリマ層152は目に装着可能な装置100を完全に封入する。
【0079】
[0091] 1つの実施形態では、ソフトポリマ層152は湾曲ディスクとして成形される。ソフトポリマ層152および目に装着可能な装置100は実質的に透明な材料から構成され、オーバーモールドされた目に装着可能な装置150が目に装着されている間、入射光が目に伝導される。1つの実施形態では、ソフトポリマ層152は、検眼における、ソフト視力矯正および/または美容的コンタクトレンズを形成するために使用されるものと同様の、生体適合性、酸素透過性材料、例えばシリコーンヒドロゲルである。
【0080】
[0092] 1つの実施形態ではソフトポリマ層152および/または目に装着可能な装置100は、本明細書の他の場所で開示される、酸素透過性を有する生体適合性、酸素透過性材料を含む。
【0081】
[0093] 1つの実施形態では、ソフトポリマ層152および/または目に装着可能な装置100は、追加の機能を提供するためにさらなる化合物または材料を含む。例示的な追加の機能は、紫外線が、目に装着可能な装置150を通して目に伝導するのをブロックすることである。
【0082】
[0094] 別の実施形態では、ソフトポリマ層152は、機能を提供するように構成された表面コーティングを含む。例示的な機能は、湿潤性および/または快適さを増加させるための親水性コーティングを含む。
【0083】
[0095] ソフトポリマ層152は1つの側が目の角膜表面に適合するのに好適な凹状表面156を有するように形成することができる。ディスクの反対側は、目に装着可能な装置150が目に装着されている時に眼瞼運動を妨害しない凸状表面154を有することができる。円形外側縁158は凹状表面154および凸状表面156を連結させる。目に装着可能な装置150は視力矯正および/または美容的コンタクトレンズと同様の寸法、例えば、およそ1センチメートルの直径、および0.1~0.5ミリメートルの厚さを有することができる。しかしながら、直径および厚さ値は説明目的のためだけに提供される。いくつかの実施形態では、目に装着可能な装置150の寸法は、着用者の目の角膜表面のサイズおよび/または形状に従い選択することができる。目に装着可能な装置150の形状は、特定の屈折力を目に提供するための曲率、非点収差、または他の特性を用いて特定することができる。加えてまたはその代わりに、目に装着可能な装置150の形状は、目に装着可能な装置150が、例えば、円錐角膜を補正するため、またはいくつかの他の適用に従い装着される目の角膜に力を適用するように特定することができるであろう。
【0084】
[0096] ソフトポリマ層152は様々な様式で、湾曲形状を有するように形成させることができる。例えば、視力矯正コンタクトレンズを形成するのに使用されるものと同様の技術がソフトポリマ層152を形成するために使用され得る。これらの方法は、本明細書でより詳細に開示される成型、機械加工、旋盤加工、ポリッシング、または他のプロセスを含むことができる。目に装着可能な装置150が目に装着されている間、凸状表面154は周囲環境に向かって外に向いており、一方、凹状表面156は、角膜表面に向かって内に向いている。そのため、凸状表面154は目に装着可能な装置150の外側上面と考えることができ、一方、凹状表面156は内側底面と考えることができる。
【0085】
[0097] 特定的に
図1Dを参照すると、オーバーモールドされた目に装着可能な装置150の断面図が目10を覆って示される。目10は角膜20を含み、これは、上眼瞼30および下眼瞼32を目10の上方で一緒にすることにより被覆される。入射光は、オーバーモールドされた目に装着可能な装置150を介して、目10に受理される。眼瞼運動は涙膜を、目10の露出した角膜表面22全体に分配する。涙膜は目10を保護し、潤滑するために、涙腺により分泌される水性流体である。涙膜層は、眼瞼30、32の運動により、角膜表面22および/または凸状表面154にわたって分配される。例えば、眼瞼30、32は、それぞれ、上げ下げして、少量の涙膜を角膜表面22および/または目に装着可能な装置110の凸状表面154にわたって広げる。角膜表面22上の涙膜層はまた、凹状表面156と角膜表面22の間の毛管力により、目に装着可能な装置150の装着を促進する。いくつかの実施形態では、目に装着可能な装置110はまた、目に面する凹状表面156の凹状曲率のために、一部、角膜表面22に対する真空力により、目上に保持することができる。
【0086】
[0098]
図1Dは、目10に装着された、オーバーモールドされた目に装着可能な装置150を示すが、オーバーモールドソフトポリマ層152を有さない、本明細書で開示される目に装着可能な装置100は目に直接接触するように形成することができることが認識されるべきである。
【0087】
[0099] 他の実施形態では、装置は第2の液晶層および第3の剛性ポリマ層を含む(すなわち、5層装置)。例示的な5層装置が
図1Eに示される。1つの実施形態では、目に装着可能な装置は、第3層屈折率を有する第3の剛性ポリマ層および第2の剛性ポリマ層と第3の剛性ポリマ層の間の第2の液晶層をさらに含み、ここで、
[0100] 第2の液晶層は通常屈折率および異常屈折率を有し、
[0101] 第2層屈折率と第3層屈折率は0.01未満だけ異なり、
[0102] 第2の液晶層通常屈折率と異常屈折率は0.1超だけ異なり、
[0103] 第1層屈折率は、通常屈折率または異常屈折率のいずれかと0.01未満だけ異なる。
【0088】
[0104] 5層装置では、第2の液晶層は、本明細書で記載される液晶層について規定される通りであり、第3の剛性ポリマ層は、本明細書で記載される第1の剛性ポリマ層について規定される通りである。5層装置についての配列は、単一液晶層が第3の剛性ポリマ層により分離された2つの液晶層で置き換えられることを除き、3層装置と同様である(すなわち、「第1の剛性ポリマ層-第1の液晶層-第3の剛性ポリマ層-第2の液晶層-第2の剛性ポリマ層」配列)。
【0089】
[0105] 特定的に
図1Eを参照すると、5層装置は本明細書の他の場所で記載される封入ソフトオーバーモールド(「シリコーンオーバーモールド」と表示)を含む。5層装置は、本明細書で開示される実施形態による3つの剛性ポリマ層(「前側基材」;「中央基材」;および「後側基材」)を含む。
図1Eにおける中央基材は、追加の屈折力を提供するようにテクスチャード加工回折素子を有するものとして示されている。2つの液晶層は、剛性ポリマ層間に存在し、各液晶層は上下アライメント層により囲まれ、液晶層の等方性秩序化が提供される。最後に、剛性ポリマ層群とアライメント層の間の透明電極は、目に装着可能な装置のための制御可能な光学焦点調節を提供するために、液晶層の配向に対する制御を提供する。
【0090】
[0106] いくつかの実施形態では、液晶層は、第1の剛性ポリマ層および第2の剛性ポリマ層の中心に配置され得、そのため、それらの中心点がアライメントされる。
図2は実施形態例による目に装着可能な装置200を示す図である。第1の剛性ポリマ層210、第2の剛性ポリマ層220および液晶層230が実質的に円形である場合、各々は中心点205/207/209および縁215/225/235を有し、それらは、それらの中心点205/207/209が実質的にアライメントされるようにアライメントされる。
【0091】
[0107] 他の実施形態では、第1の剛性ポリマ層および第2の剛性ポリマ層の中心点はアライメントされるが、液晶層の中心点はアライメントされない。
図3は実施形態例による目に装着可能な装置300を示す図である。第1の剛性ポリマ層310、第2の剛性ポリマ層320および液晶層330が実質的に円形である場合、各々は中心点305/307/309および縁315/325/235を有し、それらは、液晶層の中心309が中心点305/307と第1の剛性ポリマの縁315または第2の剛性ポリマの縁325の間にあるようにアライメントされ得る。いくつかの実施形態では、液晶層全体は、中心点305と第1の剛性ポリマの縁315または第2の剛性ポリマの縁325の間でアライメントされる。
【0092】
[0108] 別の態様では、本開示は目に装着可能な装置を作製するための方法を提供する。方法は第1のモノマ溶液を形成させること;第1のモノマ溶液を硬化させて、第1の剛性ポリマ層を提供すること;第2のモノマ溶液を形成させること;第2のモノマ溶液を硬化させて、第2の剛性ポリマ層を提供すること;ならびに液晶層を第1の剛性ポリマ層と第2の剛性ポリマとの間で提供することを含む。いくつかの実施形態では、第1のモノマ溶液および第2のモノマ溶液は同じである。いくつかの実施形態では、方法は、第1の剛性ポリマ層と第2の剛性ポリマ層の間に電気回路を提供することをさらに含む。他の実施形態では、追加の層が剛性ポリマ層と液晶層の間に包含され得、
図1Eにおいて示されるように、透明な導電層および液晶アライメント層が含まれる。
【0093】
[0109] 方法は、上記いずれかの実施形態による目に装着可能な装置を提供するために、適切な第1のモノマ、第2のモノマおよび液晶層を選択することを含み得る。例えば、第1または第2のモノマは、5重量パーセント~10重量パーセントのビスフェノールAジメタクリレート、20重量パーセント~30重量パーセントの1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート、7重量パーセント~12重量パーセントのメタクリル酸メチル、10重量パーセント~20重量パーセントの3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレート、27重量パーセント~33重量パーセントのo-フェニルフェノールエチルアクリレートおよび10重量パーセント~20重量パーセントのメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン、8-14cStを含み得る。
【0094】
[0110] ある一定の実施形態では、1つ以上の剛性ポリマ層群が、以上で記載される通り、鋳造-成型される。したがって、1つの実施形態では、第1のモノマ溶液を硬化させて、第1の剛性ポリマ層を提供する工程は鋳型中で第1のモノマを硬化させることを含む。1つの実施形態では、第2のモノマ溶液を硬化させて、第2の剛性ポリマ層を提供する工程は、鋳型中で第2のモノマを硬化させることを含む。
【0095】
[0111] 剛性ポリマ層群を形成するためのモノマ混合物は、熱または紫外線の適用を含む当技術分野で知られている方法により重合させることができ、所望であれば、混合物はガンマ線で処理することができ、未反応モノマが低減される。
【0096】
[0112]
図4は実施形態例による方法400を示す流れ図である。より特定的には、ブロック402により示されるように、方法400は、第1のモノマ溶液を形成させることを含み得る。さらに、ブロック404により示されるように、方法400は、第1のモノマ溶液を硬化させて、第1の剛性ポリマ層を提供することを含み得る。さらに、ブロック406により示されるように、方法400は、第2のモノマ溶液を形成させること、および、ブロック408により示されるように、第2のモノマ溶液を硬化させて、第2の剛性ポリマ層を提供することを含み得る。さらに、ブロック410により示されるように、方法400は、液晶層を第1の剛性ポリマ層および第2の剛性ポリマ層と接触させて、目に装着可能な装置を提供することを含み得る。
【0097】
[0113] いくつかの実施形態では、第1または第2のモノマ溶液は成型ピース中で硬化され得、それは金属(例えば、アルミニウムもしくはアルミニウム合金)またはポリマ(例えば、ポリカーボネート、ナイロンポリスルホン、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリブタジエン、もしくはポリエチレン)を含み得る。そのような実施形態では、型面は、得られた剛性ポリマ層の所望の外形を提供するように成形され得る。いくつかの実施形態では、型面は、得られた剛性ポリマ層が鋳型からダメージなしで取り出すことができるように処理され得る。処理は成型ピースの第1の側を、第2の側と異なって修正することを含み得、第2の側に対する第1の側の選択的除去を可能にする。
【0098】
[0114] 別の態様では、発明は、目に装着可能な装置の焦点距離を変化させるための方法を提供する。方法は液晶層を通常屈折率から異常屈折率に切り替えることを含み、ここで、第1層屈折率は、通常屈折率または異常屈折率のいずれかと0.01未満だけ異なる。別の実施形態では、方法は液晶層を異常屈折率から通常屈折率に切り替えることを含み、ここで、第1層屈折率は、通常屈折率または異常屈折率のいずれかと0.01未満だけ異なる。
【0099】
[0115] いくつかの実施形態では、方法は、通常屈折率から異常屈折率へ、または異常屈折率から通常屈折率への切り替えを開始するために、信号を目に装着可能な装置に送るための工程をさらに含む。工程は信号を目に装着可能な装置に送る前に、刺激または環境パラメータを検出することを含み得る。目に装着可能な装置は、電流を液晶層に提供することができるエレクトロニクス、例えば電極および電気回路を含み得る。いくつかの実施形態では、切り替えは、目に装着可能な装置の使用者により手動で制御され、一方、他の実施形態では、切り替えがある一定の環境パラメータの検出に起因する信号に応じて起こる場合、装置は、信号検出器(例えば、アンテナ)をさらに含み得る。
【0100】
[0116] さらに、いくつかの実施形態は身体に装着可能な装置の着用者により自動的に実行または制御され得るプライバシー制御を含み得る。例えば、着用者の収集された生理的パラメータデータおよび健康状態データが臨床医による傾向分析のためにクラウド・コンピューティングネットワークにアップロードされる場合、データは、保存され、使用される前に、個人を特定できる情報が除去されるように、1つ以上の様式で処理され得る。例えば、使用者のアイデンティティは、使用者に対して個人を特定できる情報が決定できないように処理され得、または、位置情報が取得された使用者の地理的な位置(例えば、市、郵便番号、または国家レベル)は一般化され得、そのため、使用者の特定の位置は決定することができない。
【0101】
[0117] 加えてまたはその代わりに、身体に装着可能な装置の着用者には、装置が着用者についての情報(例えば、使用者の病歴、社会的行為または活動、専門的職業、使用者の好み、または使用者の現在位置についての情報)を収集するかどうか、もしくはそれらをどのように収集するかを制御するため、またはそのような情報をどのように使用することができるかを制御するための機会が提供され得る。このように、着用者は、どのように彼または彼女についての情報が収集され、臨床医もしくは医師またはデータの他の使用者により使用されるかに対する制御を有し得る。例えば、着用者は、彼または彼女の装置から収集された、健康状態および生理的パラメータなどのデータは個人ベースラインおよび彼または彼女自身のデータの収集および比較に応じた提言を作成するためにのみ使用することができ、集団ベースラインの作成において、または母集団相関研究における使用のために使用され得ないことを選択してもよい。
【0102】
実験
[0118] 屈折率測定をAtagoデジタル屈折計上で実施し、レンズ硬化と同じ条件下、PTFEサンプル皿中で調製された1”×1”×10mm平面から測定した波長数589nmについて報告する。値をモノブロモナフタレン(monobromonapthalene)を参照して測定する。硬度測定をASTM Type D Ergoデュロメータを用いて実施した。収縮測定は、巨視的および顕微鏡的レベルでのいくつかの寸法測定に基づいた。巨視的測定は下記を含んだ:中心厚さ、サグ、およびレンズ直径。顕微鏡的測定は下記を含んだ:10ミクロン未満の「垂直」寸法を有する、および100ミクロン未満の「水平」寸法を有する微細表面特徴。同一のデータをレンズおよび鋳型から収集し、比較し、重合中に起こる収縮の強い理解を提供した。
【0103】
[0119] I4のための代表的な手順は不活性環境を維持した窒素パージグローブボックス中での第1のモノマ混合物の調製を含む。最初に、100mgのビスフェノール-A-ジメタクリレート(BPA-DMA)を4mL琥珀バイアル中に測り、窒素充填グローブボックスに入れた。次に、BPA-DMAは、大部分はメタクリル酸メチル(200μL)およびo-フェニルフェノールエチルアクリレート(600μL)に溶解し、その後、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレート(350μL)、ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート(500μL)、メタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン8-14cSt(280μL)および2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン/Irgacure 1173(20μL)を添加する。全ての固体の溶解後、混合物を-4℃で光を遮蔽して使用まで保存する。鋳造成型RGPを形成させるために、選択した鋳型の空隙容量を超えるI4モノマのアリコートを下型中に分配させ、上型でキャッピングさせ、1時間イベント力下でUV硬化させる。成型後、全ての材料をグローブボックスから取り出し、鋳型を分離し、レンズを取り出す。
【0104】
[0120] RGP-K3を、BPA-DMA(150mg)をメタクリル酸メチル(200μL)およびo-フェニルフェノールエチルアクリレート(600μL)に溶解させて、その後、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレート(350μL)、ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート(500μL)、メタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン8-14cSt(280μL)および2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン/Irgacure 1173(20μL)を添加することを除き、I4と同様に形成させた。
【0105】
[0121] RGP-K4を、BPA-DMA(100mg)をメタクリル酸メチル(200μL)およびo-フェニルフェノールエチルアクリレート(600μL)に溶解させて、その後、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレート(330μL)、ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート(550μL)、メタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン8-14cSt(230μL)および2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン/Irgacure 1173(20μL)を添加することを除き、I4と同様に形成させた。
【0106】
[0122] 酸素透過性を、250-300ミクロンの中心厚さを有する代表的なレンズ上で、Intertek AllentownによりDow Cell透過ユニット上で評価した。下記表3で報告される値は較正されていないが、100バーラー超試験レンズである酸素透過性値を表す。
【表3】
【0107】
[0123] 表4で報告されるように、機械的特性もまた評価した。弾性率、降状応力および破断応力を、Instron 5967を使用し、30kNまでの荷重容量を用いて測定した。
【表4】
【0108】
[0124] RGP-K13からRGP-K17をI4と同様に形成させ、各構成要素の量を表5に示す。K13についての一例として、BPA-DMA(150mg)をメタクリル酸メチル(200μL)およびフェニルメタクリレート(600μL)に溶解し、その後、3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレート(490μL)、ヘキサフルオロイソプロピルメタクリレート(500μL)、メタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン8-14cSt(140μL)および2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノン/Irgacure 1173(20μL)を添加する。
【表5】
【0109】
[0125] 上記表では、BPA-DMはビスフェノール-A-ジメタクリレートであり;DMS-R11はメタクリルオキシプロピル末端ポリジメチルシロキサン8-14cStであり;HF-MAはヘキサフルオロイソプロピルメタクリレートであり;TRIS-MAは3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルメタクリレートであり;MMAはメタクリル酸メチルであり、フェニル-MAはフェニルメタクリレートであり;DP-MAはジフェニルメタクリレートであり、DC-1173は2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオフェノンである。
【0110】
[0126] 上記配合物(K13~K17)では、フェニルメタクリレート対ジフェニルメタクリレートの量を利用して、配合物の屈折率特性を調整することができる。この特定例では、レンズの屈折率は、表6で示されるように、600マイクロリットルのフェニルメタクリレートを配合物中で使用した時の1.4770から、600マイクロリットルのジフェニルメタクリレートを配合物中で使用した時の1.4934まで調整することができる。
【表6】
【0111】
[0127] レンズのRIは多くの高RIモノマを用いて調整することができ、ジフェニルメタクリレートの使用は制限することを意図しないことが理解されるべきである。
【0112】
[0128]
図5は、モノマ混合物から形成されたポリマの屈折率と比較した例示的なモノマ混合物の屈折率を示すグラフである。これらのデータは本明細書で開示されるポリマを使用して生成させたものであり、1.45~1.5の屈折率を有する剛性ポリマ層群を処方する広い能力を示す。
図5の標的RIは1.488であり、これは、現在好ましい液晶配合物の通常屈折率である。
図5に開示される範囲は、多くの液晶混合物の通常屈折率に対して一般的である。上述のように、ある一定の実施形態では、剛性ポリマ層群の屈折率は液晶の屈折率に厳密に一致する。
【0113】
[0129]
図6は、DPMから形成された一連の例示的な剛性ポリマ:K13-K17(本明細書の他の場所で開示される)についての屈折率と比較した、ジフェニルメタクリレート(「DPM」)の重量パーセンテージを示すグラフである。DPM重量パーセンテージが増加するにつれ、屈折率も増加する。これらの結果は1.48あたりの望ましい範囲における屈折率の幅にわたるものであり、好ましい液晶通常屈折率に一致する。
【0114】
[0130]
図7は、本明細書で開示される実施形態による例示的な剛性ポリマ層材料の組成をまとめた表である。
【0115】
[0131]
図7はさらに、配合物の軟化点を開示する。軟化点はASTM D 1525およびISO 306に従い規定され、大体、材料のガラス転移温度(T
g)に等しい。目に装着可能な装置適用では、より高い軟化点温度を有するポリマが好ましい。したがって、配合物K10およびK11が特に高い性能物として示される。関連する
図8は、本明細書で開示される実施形態による例示的な剛性ポリマ層材料についての使用温度データをまとめた表である。配合物K10およびK11は、ポリウレタンと同様の温度関連柔らかさ(80℃で依然として「使用可」)を有する。しかしながら、ポリウレタンは本質的に酸素透過性を有さず、一方、K10およびK11は、本明細書で開示される実施形態による目に装着可能な装置において使用するのに十分な酸素透過性を有する。
【0116】
[0132]
図9を参照すると、材料柔らかさの機械的試験を、多くの例示的な材料、ならびに比較ポリウレタン上で実施した。
図9のデータを下記の通り作成した。剛性コンタクトレンズを300ミクロンの中心厚さおよび8.4のベースカーブを有するコンタクトレンズ鋳型中で鋳造させた。レンズを温度制御オーブン中に、凸状表面を上に向けて置き、30分間平衡化させた。この時点で、プローブを使用して、凸状側のドームを圧迫し、材料が依然として剛性か、軟化が検出されたか、または材料がプローブ下で容易に歪んだかを指摘した。より特定的には、「剛性」は、材料の歪みがプロービング下で気付かれなかったことを示し;「軟化開始」は、材料がプロービング下、レンズの頂点の中央での荷重によりわずかに変形し始めたことを示し;「ソフト」は、レンズの頂点でのプロービング時に材料が容易に平坦化したことを示す。
【0117】
[0133] 集合的に、本明細書で提示されるデータは、比較ポリウレタン材料と同様の、またはこれより実に優れた、比較的高い軟化点を有し、一方、そのような装置層がその上に配置される目に対して健康な環境を可能にするのに十分な酸素透過性も有する、剛性の、鋳造-成型可能なポリマ装置(レンズ)層を処方することができることを証明する。
【0118】
[0134] 本明細書で記載される配列は例示目的のためのものにすぎないことが理解されるべきである。そのようなものとして、当業者であれば、他の配列および他の要素(例えば、機械、インタフェース、機能、順序、および機能のグルーピング、など)を代わりに使用することができること、いくつかの要素は所望の結果によっては完全に省略することができることを認識するであろう。さらに、記載される要素の多くは別個のまたは分散した構成要素として、または他の構成要素と併用して、任意の好適な組み合わせおよび位置で実行され得る機能エンティティである。
【0119】
[0135] 様々な態様および実施形態を本明細書で開示してきたが、他の態様および実施形態は当業者に明らかであろう。本明細書で開示される様々な態様および実施形態は説明目的のためのものであり、制限することを意図せず、真の範囲および精神は下記特許請求の範囲により、そのような特許請求の範囲が権利を与える等価物の全範囲と共に示される。本明細書で使用される専門用語は特定の実施形態を説明する目的だけのものであり、制限することを意図しないこともまた理解されるべきである。
【0120】
[0136] 実施形態例が個人または個人の装置に関連する情報を含む場合、いくつかの実施形態はプライバシー制御を含み得る。そのようなプライバシー制御は、少なくとも、装置識別子の匿名化、透明性およびユーザーコントロールを含むことができ、製品の使用者の使用に関する情報を、使用者が修正または削除することを可能にする機能が含まれる。
【0121】
[0137] さらに、本明細書で記載される実施形態が使用者についての個人情報を収集し、または個人情報を利用することができる状況では、使用者にはプログラムまたは特徴が使用者情報(例えば、使用者の病歴、ソーシャルネットワーク、社会的行為または活動、専門的職業、使用者の好み、または使用者の現在位置についての情報)を収集するかどうか制御する、または、使用者により関連し得るコンテンツサーバからコンテンツを受理するかどうか、および/またはどのように受理するかを制御する機会が提供され得る。加えて、ある一定のデータは1つ以上の様式で処理され得、その後、それは保存され、または使用され、そのため、個人を特定できる情報は除去される。例えば、使用者のアイデンティテイは、個人を特定できる情報が使用者について決定できないように処理され得、または使用者の地理的位置は、位置情報が得られた場合一般化され得(例えば、市、郵便番号、または国家レベル)、そのため、使用者の特定の位置は決定することができない。このように、使用者は、どのように情報が、使用者について収集されるか、およびコンテンツサーバにより使用されるかについて制御することができる。
【0122】
排他的特性または特権が主張される発明の実施形態は、下記の通り規定される: