(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】電気車充電用ケーブル
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20220111BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220111BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20220111BHJP
H01B 7/42 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
H02G3/04 081
H02J7/00 301B
H02J7/00 P
H01B7/00 310
H01B7/42 C
(21)【出願番号】P 2019544916
(86)(22)【出願日】2018-02-21
(86)【国際出願番号】 KR2018002112
(87)【国際公開番号】W WO2018155895
(87)【国際公開日】2018-08-30
【審査請求日】2019-08-19
(31)【優先権主張番号】10-2017-0022729
(32)【優先日】2017-02-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513096691
【氏名又は名称】エルエス ケーブル アンド システム リミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【氏名又は名称】関根 毅
(72)【発明者】
【氏名】リー、ジェボク
(72)【発明者】
【氏名】パク、ドヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム、チョルミン
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヒョンウン
【審査官】木村 励
(56)【参考文献】
【文献】特許第6078198(JP,B1)
【文献】実公昭44-4273(JP,Y1)
【文献】特開平9-50719(JP,A)
【文献】特開平11-102781(JP,A)
【文献】特表2017-507640(JP,A)
【文献】特開2018-18748(JP,A)
【文献】特開昭63-234207(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 3/04
H02J 7/00
H01B 7/00
H01B 7/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
接地ユニットと、
少なくとも一つの通信ユニットと、
絶縁層が設けられた導体、該導体が収容され、冷却流体があらかじめ決定された方向に流動する冷却チューブ、及び前記導体が前記冷却チューブの内部に収容された状態で前記導体の絶縁層と前記冷却チューブの内面との接触を防止するために前記導体の絶縁層の外面と前記冷却チューブの内面との間に螺旋状に横巻されるスぺーサを含む一対の電力ユニットと、
前記接地ユニット、前記通信ユニット及び前記電力ユニットを取り囲む外部ジャケットと、を含み、
前記絶縁層は、前記導体が冷却流体に露出されないように前記導体を透き間なく被覆することを特徴とする電気車充電用ケーブル。
【請求項2】
前記電力ユニットのスぺーサは、環状ワイヤーの形態で構成されることを特徴とする、請求項1に記載の電気車充電用ケーブル。
【請求項3】
前記冷却チューブ及び前記スぺーサの少なくとも一つは、テフロン(登録商標)系列又はウレタン材質で構成されることを特徴とする、請求項1に記載の電気車充電用ケーブル。
【請求項4】
前記電力ユニットの冷却チューブ内を流動する冷却流体は、一対の電力ユニットのいずれか一つの電力ユニットを構成する冷却チューブを通して、充電用ケーブルの端部に装着される充電器コネクターの方向に供給され、前記充電器コネクターの近傍から他の電力ユニットを構成する冷却チューブを通して回収されることを特徴とする、請求項1に記載の電気車充電用ケーブル。
【請求項5】
一対の前記電力ユニットの冷却チューブは、前記充電器コネクター近傍の対応位置に流体循環ホールが形成され、それぞれの前記流体循環ホールを連結する流体ブリッジを通して前記冷却流体が回収されることを特徴とする、請求項4に記載の電気車充電用ケーブル。
【請求項6】
前記流体ブリッジは、一対の電力ユニットの冷却チューブが貫通して収容される平行な貫通部と、前記流体循環ホールが相互連通するように前記貫通部を連結する連結部とを含んでなることを特徴とする、請求項5に記載の電気車充電用ケーブル。
【請求項7】
前記導体は、前記電気車充電用ケーブルの先端部に装着される充電器コネクターの導体部に挿入される構造を有することを特徴とする、請求項1に記載の電気車充電用ケーブル。
【請求項8】
一つの接地ユニットと、
それぞれ絶縁層が設けられた一対の導体と、
前記導体と接触しない状態で前記導体をそれぞれ取り囲み、内側に冷却流体が循環流動する一対の冷却チューブと、
前記導体は、前記冷却チューブの内部に収容され、前記導体の絶縁層の外面と前記冷却チューブの内面との間に螺旋状に横巻されるスぺーサと、を備え、
前記絶縁層は、前記導体が冷却流体に露出されないように前記導体を透き間なく被覆することを特徴とする電気車充電用ケーブル。
【請求項9】
前記一対の冷却チューブを連結させ、該一対の冷却チューブのいずれか一つの冷却チューブを通して供給される冷却流体を他の冷却チューブに供給するための流体ブリッジを含む、請求項8に記載の充電用ケーブル。
【請求項10】
前記スぺーサ及び前記冷却チューブの少なくとも一つは、フッ化ポリエチレン(PTFE,Poly Tetra Fluoro Ethylene)材質で構成されることを特徴とする、請求項9に記載の充電用ケーブル。
【請求項11】
前記スぺーサ及び前記冷却チューブの少なくとも一つは、一般樹脂又はポリエチレン材質で構成された後、表面がフッ化ポリエチレンでコートされることを特徴とする、請求項9に記載の充電用ケーブル。
【請求項12】
前記導体は、前記電気車充電用ケーブルの先端部に装着される充電器コネクターの導体部に挿入され、前記流体ブリッジは、前記充電器コネクターのハウジングの内部に配置されることを特徴とする、請求項
9に記載の電気車充電用ケーブル。
【請求項13】
電気車充電器から供給される冷却流体は、一対の冷却チューブのいずれか一つの冷却チューブを通して前記充電器コネクターの方向に供給され、前記流体ブリッジから他の冷却チューブに供給されて電気車充電器に回収されることを特徴とする、請求項12に記載の電気車充電用ケーブル。
【請求項14】
一対の前記冷却チューブは、前記充電器コネクター近傍の対応位置に流体循環ホールが形成され、前記流体ブリッジは、一対の冷却チューブが貫通して収容される平行な貫通部、及び前記流体循環ホールが相互連通するように前記貫通部を連結する連結部を含んで構成されることを特徴とする、請求項13に記載の電気車充電用ケーブル。
【請求項15】
前記スぺーサは、環状ワイヤーの形態で構成されることを特徴とする、請求項9に記載の充電用ケーブル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は冷却機能を備えた電気車充電用ケーブルに関する。より具体的に、本発明は、電気車の充電時に電気車充電用ケーブルから発生する熱を冷却流体を用いて効率的に冷却させることにより、熱による内部構成の損傷を防止し、ケーブルの直径を最小化できる電気車充電用ケーブルに関する。
【背景技術】
【0002】
電気車の普及に伴って電気車充電器の設置が拡大されている。また、短時間で充電可能なように急速充電可能な急速充電器も普及されている。緩速充電と違い、急速充電のための急速充電器の出力電圧は直流50V~450Vの範囲であり、出力電流は110Aに達し、当該急速充電器によって電気車を充電するのにかかる時間は20分~30分程度に過ぎない。電気車のバッテリー容量及び充電技術によって急速充電器の出力電流が増加すると予想される。
【0003】
かかる急速充電器は、本体に電気車充電用ケーブルが連結され、充電用ケーブルの先端部に充電器コネクターが装着され、充電器コネクターが電気車に設けられた電気車コネクターに装着され、これによって、電気車充電器から電気車に電気が供給される。
【0004】
このような急速充電器は、出力電流が100A以上もするので、これを電気車に伝達する電気車充電用ケーブルの発熱が問題になり得る。電気車充電用ケーブルから発生する熱を最小化するためには電気車ケーブルの導体の直径を増加させるなどの方法があるが、発熱を十分に減少させ難く、電気車充電用ケーブルの重さを増加させるという問題がある。
【0005】
電気車充電用ケーブルに発生する熱は、火災の危険を増加させ得る。その上、電気車充電のために充電器コネクターを電気車コネクターに装着したり電気車コネクターから充電器コネクターを分離して充電器に据え付けたりする過程で充電用ケーブルがユーザの身体に触れることがあるが、充電用ケーブルの発熱が大きいと、ユーザの負傷、不快感又は不安感を誘発し得るので好ましくない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、電気車の充電時に電気車充電用ケーブルから発生する熱を冷却流体を用いて効率的に冷却させることにより、熱による内部構成の損傷を防止し、ケーブルの直径を最小化できる電気車充電用ケーブルを提供することを、解決しようとする課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は、接地ユニットと、少なくとも一つの通信ユニットと、絶縁層が設けられた導体、該導体が収容され、冷却流体があらかじめ決定された方向に流動する冷却チューブ、及び前記導体が前記冷却チューブの内部に収容された状態で前記導体の絶縁層と前記冷却チューブの内面との接触を防止するために前記導体と前記冷却チューブの内面との間に設けられるスぺーサを含む一対の電力ユニットと、前記接地ユニット、前記通信ユニット及び前記電力ユニットを取り囲む外部ジャケットと、を備える電気車充電用ケーブルを提供することができる。
【0008】
また、前記電力ユニットのスぺーサは、環状ワイヤーの形態で構成され、 前記導体の絶縁層の外周面に沿って螺旋状に横巻され得る。
【0009】
そして、前記電力ユニットのスぺーサは、前記導体の絶縁層の外面又は前記冷却チューブの内面に突出形成された複数個の突起であってもよい。
【0010】
ここで、前記冷却チューブ及び前記スぺーサの少なくとも一つは、テフロン系列又はウレタン材質で構成され得る。
【0011】
この場合、前記電力ユニットの冷却チューブ内を流動する冷却流体は、一対の電力ユニットのいずれか一つの電力ユニットを構成する冷却チューブを通して、充電用ケーブルの端部に装着される充電器コネクターの方向に供給され、前記充電器コネクター近傍から他の電力ユニットを構成する冷却チューブを通して回収され得る。
【0012】
また、一対の前記電力ユニットの冷却チューブは、前記充電器コネクター近傍の対応位置に流体循環ホールが形成され、それぞれの前記流体循環ホールを連結する流体ブリッジを通して前記冷却流体が回収され得る。
【0013】
また、前記流体ブリッジは、一対の電力ユニットの冷却チューブが貫通して収容される平行な貫通部、及び前記流体循環ホールが相互連通されるように前記貫通部を連結する連結部を含んで構成され得る。
【0014】
そして、前記導体は、前記充電器コネクターの導体部に挿入される構造を有し得る。
【0015】
また、前記課題を解決するために、一つの接地ユニットと、それぞれ絶縁層が設けられた一対の導体と、前記導体と接触しない状態で前記導体をそれぞれ取り囲み、内側に冷却流体が循環流動する一対の冷却チューブと、一対の冷却チューブを連結し、一対の冷却チューブのいずれか一つの冷却チューブを通して供給される冷却流体を他の冷却チューブに供給するための流体ブリッジと、を備える電気車充電用ケーブルを提供することができる。
【0016】
また、前記導体は前記冷却チューブの内部に収容され、前記導体と前記冷却チューブとの間にスぺーサが設けられ得る。
【0017】
そして、前記スぺーサ及び前記冷却チューブの少なくとも一つは、フッ化ポリエチレン(PTFE,Poly Tetra Fluoro Ethylene)材質で構成され得る。
【0018】
ここで、前記スぺーサ及び前記冷却チューブの少なくとも一つは、一般樹脂又はポリエチレン材質で構成された後、表面がフッ化ポリエチレンでコートされてもよい。
【0019】
この場合、前記導体は、前記充電用ケーブルの端部に装着される充電器コネクターの導体部に挿入され、前記流体ブリッジは、前記充電器コネクターのハウジングの内部に配置され得る。
【0020】
また、電気車充電器から供給される冷却流体は、一対の冷却チューブのいずれか一つの冷却チューブを通して前記充電器コネクターの方向に供給され、前記流体ブリッジから他の冷却チューブに供給されて電気車充電器に回収され得る。
【0021】
そして、一対の前記冷却チューブは、前記充電器コネクター近傍の対応位置に流体循環ホールが形成され、前記流体ブリッジは、一対の冷却チューブが貫通して収容される平行な貫通部、及び前記流体循環ホールが相互連通されるように前記貫通部を連結する連結部を含んで構成され得る。
【0022】
ここで、前記スぺーサは、環状ワイヤーの形態で構成され、前記導体の絶縁層の外部に螺旋状に横巻され得る。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る電気車充電用ケーブルによれば、電気車の急速充電時に電気車充電用ケーブルから発生する熱を、冷却流体を用いて効率的に冷却させることができる。
【0024】
より具体的に、本発明に係る電気車充電用ケーブルによれば、絶縁層が設けられた導体を、冷却流体が流れる冷却チューブの内部に該チューブの内面と非接触状態で配置し、発熱する導体の冷却性能を極大化することができる。
【0025】
また、本発明に係る電気車充電用ケーブルによれば、導体を冷却チューブの内面と非接触状態で配置し、導体の絶縁層の全面を冷却させることができるので、領域別冷却偏差による、導体を被覆する絶縁層の局所部位のメルティングを防止することができる。
【0026】
また、本発明に係る電気車充電用ケーブルによれば、電力ユニットを構成する内部構成を耐熱性に優れた材質で構成し、外部方向の熱伝達又は内部方向の熱伝達を最小化することにより、ユーザの不快感又は不安感を軽減し、外部ジャケット被服時に発生し得る内部構成のメルティングなどの問題も防止することができる。
【0027】
また、本発明に係る電気車充電用ケーブルによれば、電力ユニット自体に冷却流路を備え、電力ユニットとは別個に冷却管を備える技術に比べて電気車充電用ケーブルの全体直径をコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図2】電気車及び電気車充電器のコネクターを示す。
【
図3】本発明に係る電気車充電用ケーブルの断面図である。
【
図4】本発明に係る電気車充電用ケーブルを構成する電力ユニットの構造、及び充電器コネクターの導体部の組立過程を示す。
【
図5】本発明に係る電気車充電用ケーブルを構成する一対の電力ユニット、及び冷却流体を循環させるための流体ブリッジを示す。
【
図6】本発明に係る電気車充電用ケーブルを構成する一対の電力ユニットと流体ブリッジとの組み立て状態及び内部における冷却流体の流動状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付の図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。しかし、本発明は、ここに説明される実施例に限定されず、他の形態に具体化されてもよい。むしろ、ここで紹介される実施例は、開示の内容が徹底且つ完全となり得るように、そして当業者に発明の思想が十分に伝達され得るように提供されるものである。明細書全体を通じて同一の参照番号は同一の構成要素を表す。
【0030】
図1は、電気車ev及び電気車充電器300を示している。
【0031】
電気車充電器300は、電気車に電力供給のために充電器コネクター200及び電気車充電用ケーブル100で連結され、電気車充電用ケーブル100の先端部には充電器コネクター200が設けられている。
【0032】
充電器コネクター200は、電気車evに設けられた電気車コネクター400に結合して電力を供給でき、急速充電器の場合、20分~30分で電気車の充電を完了することができる。
【0033】
電気車充電器300と電気車evとを電気的に連結する電気車充電用ケーブル100は、大きい電流容量によって熱が発生することがあり、火災の危険又はユーザの不安感などを解消するために、本発明による電気車充電用ケーブル100は、冷却流体を用いて電気車充電用ケーブル100を冷却させる方法を用いる。
【0034】
図2は、電気車に設けられる電気車コネクター400、及び電気車充電用ケーブル100が連結された充電器コネクター200を示している。
図2に示すコネクターは、将来の単一化標準として決定された米国・ヨーロッパ型「コンボ(TYPE1)」方式のコネクターであって、単一のコネクターで交流方式の緩速充電又は直流方式の急速充電のいずれも可能であり、本発明による電気車充電用ケーブル100を適用することができる。
【0035】
しかし、本発明による電気車充電用ケーブルは、
図2に示す米国・ヨーロッパ型「コンボ(TYPE1)」方式の他、日本の「チャデモ(CHAdeMO)」方式、又はルノーの「交流3相」方式にも適用可能である。
【0036】
図2に示すように、本発明による電気車充電用ケーブル100の先端部には充電器コネクター200が取り付けられ、該充電器コネクター200は、電気車evに設けられた電気車コネクター400に着脱自在に結合可能な構造を有する。
【0037】
「コンボ(TYPE1)」方式のコネクターは、交流又は直流方式のコネクターが一体化しており、それぞれのコネクターには交流充電部210,410及び直流充電部230,430がそれぞれ設けられる。
【0038】
このようなコネクターに連結された電気車充電用ケーブル100は、急速充電時に大きい電流量によって発熱が問題になり得るため、本発明による充電器ケーブルは冷却流体を用いて発熱問題を解決している。
【0039】
図2に示すように、前記電気車充電用ケーブル100の内部には一対の電力ユニット10a,10bが設けられており、電力ユニット10a,10bの内部にそれぞれ冷却流路15が設けられ、冷却流路を通して冷却流体を流すことによって電気車充電用ケーブル100の発熱問題を解決している。一対の前記電力ユニット10a,10bに設けられた冷却流路を通して電気車充電器300側から供給される冷却流体を、いずれか一つの電力ユニット10a,10bの冷却流路を通して供給し、他の電力ユニット10a,10bの冷却流路を通して回収する方法を用いる。従来、電気車充電用ケーブルの内部に冷却流体の流動する冷却管が設けられた技術、又は冷却流路と電力ユニット又は導体とが隣接して配置される技術が紹介されたことがあるが、発熱が問題となる導体又は電力ユニット10の表面全体が冷却される方式でないため、冷却管と電力ユニット又は導体とが密着しないか冷却流路と接触しない領域は、冷却性能が不十分であると予想される。
【0040】
しかし、本発明による電気車充電用ケーブル100は、それぞれの導体などをそれぞれの冷却流路の内部に収容し、冷却性能を極大化する方法を用いる。
図3以下を参照して、本発明による電気車充電用ケーブル100について詳しく説明する。
【0041】
図3は、本発明による電気車充電用ケーブル100の断面図である。
【0042】
本発明による電気車充電用ケーブル100は、接地ユニット20と、少なくとも一つの通信ユニット30と、絶縁層13が設けられた導体11、前記導体11が収容されており、冷却流体があらかじめ決定された方向に流動する冷却チューブ17、及び前記導体11が前記冷却チューブ17の内部に収容された状態で前記導体11の絶縁層13と前記冷却チューブ17の内面との接触を防止するために前記導体11と前記冷却チューブ17の内面との間に設けられたスぺーサ19を含む一対の電力ユニット10と、前記接地ユニット20、前記通信ユニット30及び前記電力ユニット10を収容する外部ジャケット70とを備えることができる。
【0043】
図3に示す電気車充電用ケーブル100は、3個の通信ユニット30、1個の接地ユニット20、及び一対の電力ユニット10a,10bを備えることができる。
【0044】
各通信ユニット30及び接地ユニット20はそれぞれ被服層で被覆され、ケーブル原形を保持するための介在40及び引張力補強のための中心引張線50が備えられ得る。
【0045】
発熱が問題になる一対の電力ユニット10a,10bは、それぞれその内部を循環するように供給される冷却流体によって冷却することができる。
【0046】
具体的に、前記電力ユニット10は、絶縁層13が設けられた導体11、前記導体11が収容され、冷却流体があらかじめ決定された方向に流動する冷却チューブ17、及び前記導体11が前記冷却チューブ17の内部に収容された状態で前記導体11の絶縁層13と前記冷却チューブ17の内面との接触を防止するために前記導体11と前記冷却チューブ17の内面との間に設けられたスぺーサ19を含んで構成され得る。
【0047】
前記電力ユニット10の導体はそれぞれ絶縁層13が設けられた状態で前記冷却チューブ17内に収容され得る。前記冷却チューブ17に収容された絶縁層13付き導体はその外部に冷却流路15が設けられるので、電力供給時に発生し得る熱を効果的に冷却させることができる。
【0048】
前記冷却チューブ17に供給可能な冷却流体は水などでよく、不使用時に凍破などを防止するために凍結防止剤を添加することができる。本発明による電気車充電用ケーブル100は電気車充電器300と充電器コネクター200とを連結し、冷却に使用された冷却流体は電気車充電器300に再び回収されて冷却後に再供給される方法を用いることができる。
【0049】
そのために、前記冷却流体を再冷却するための冷却装置と冷却流体を流動させるポンピング装置は電気車充電器300に設けられてもよく、前記電気車充電器300の外部に設けられてもよい。
【0050】
それぞれの冷却チューブを流れる冷却流体は、冷却装置及びポンピング装置において絶縁層付き導体だけが充電器電力供給部(図示せず)に引き出されるようにし、冷却流体は再冷却及びポンピングされて循環流路を形成するようにし得る。
【0051】
図2を参照して前述したように、前記電力ユニット10に設けられる冷却流路15は、一対の電力ユニット10a,10bを循環する構造とすることができる。
【0052】
すなわち、電気車充電器300では、電力ユニット10の冷却チューブ17を循環しつつ冷却に使用されて温度が上昇した冷却流体を冷却装置で冷却させ、これをポンピング装置によって再び冷却チューブ17にポンピング供給することにより、電力ユニット10の連続した冷却を繰り返すことができる。
【0053】
すなわち、充電器コネクター200と電気車充電器300とを連結する電気車充電用ケーブル100を構成する一対の電力ユニット10a,10bのいずれか一つの電力ユニット10の冷却チューブ17には、冷却された冷却流体が供給され、他の電力ユニット10の冷却チューブ17からは冷却に使用された冷却流体が回収され得る。その具体的な方法については後述する。
【0054】
前記電力ユニット10を構成する導体を均一に冷却させるためには、導体の絶縁層13の外面に沿って冷却流体が流れ得るような構造を有する必要がある。すなわち、導体の絶縁層13と冷却チューブ17の内面とが接触する場合には冷却性能が低下し得るので、冷却流路15が導体の絶縁層13の外部に沿って均一に形成され得るよう、導体の絶縁層13と冷却チューブ17の内面との接触を防止するためのスぺーサ19を備えることができる。
【0055】
前記スぺーサ19はワイヤーの形態で構成されてもよく、前記導体の絶縁層13の外面又は前記冷却チューブ17の内面に設けられた突起の形態で構成されてもよい。
【0056】
前記スぺーサ19の存在により、前記導体の絶縁層13の外面と前記冷却チューブ17内面との面接触が防止され、冷却流体による冷却効果が極大化し得る。
【0057】
このような構造により、充電用ケーブルの内部に別途の冷却配管を設ける技術と比較して、本発明は導体の絶縁層の全面を冷却させることができるので、絶縁層表面の領域別冷却偏差の発生を最小化でき、冷却流路の内部に絶縁導体を配置しているため、冷却流体を用いて冷却機能を提供しながらも電気車充電用ケーブルの厚さを最小化できるという効果も得られる。
【0058】
図3に示す実施例において、前記電力ユニット10のスぺーサ19は環状ワイヤーの形態で構成され、前記導体の外周面に沿って螺旋状に横巻されるものが示されているが、導体と冷却チューブの接触を防止できる構造であれば、これに限定されない。すなわち、前記スぺーサは、前記導体の絶縁層の外面又は前記冷却チューブの内面に突出形成された複数個の突起の形態で構成されてもよい。
【0059】
また、前記スぺーサ19によって冷却流体の流れが乱流を形成するので、熱をより効果的に奪い取ることができる。
【0060】
したがって、本発明による電気車充電用ケーブルによれば、導体を、冷却流体が流れる冷却流路が設けられる冷却チューブの内部に、冷却チューブの内面と接触しない状態で配置し、発熱する導体の冷却性能を極大化することができる。
【0061】
すなわち、本発明による電気車充電用ケーブルによれば、導体を、冷却流体が流れる冷却流路が設けられる冷却チューブの内部に、冷却チューブの内面と接触しない状態で配置し、発熱する導体の絶縁層の全面を冷却するようになり、導体の冷却性能を極大化することができる。
【0062】
そして、前記スぺーサ19及び前記冷却チューブ17は、耐熱性と耐油性に優れた材質で構成することが好ましい。このような材質としてフッ化ポリエチレン(PTFE,Poly Tetra Fluoro Ethylene)又はウレタン材質を用いて構成されてもよく、一般樹脂又はポリエチレン材質で構成された後、表面がフッ化ポリエチレンなどでコートされてもよい。
【0063】
フッ化ポリエチレン材質は、例えばテフロン系列であり得る。テフロンは、耐熱温度が-60℃~+250℃程度であって、耐熱性に優れる。したがって、このようなテフロン系列を適用することにより、ユーザの不快感又は不安感を誘発する外部熱伝達を最小化でき、外皮被服工程などにおいて内部熱伝達も最小化し、内部構成のメルティングなどを防止して絶縁性能を保障することができる。
【0064】
また、同目的でケーブルの内部の熱が外部に伝達されることを遮断するために断熱層60をさらに備えてもよい。
【0065】
前記断熱層60は、前記冷却チューブなどと同様に、耐熱性に優れたテフロン系列の材質で構成されるか、或いは、熱伝導性が低く、柔軟性が良い繊維編造体などが適用されても構わない。
【0066】
図4は、本発明による電気車充電用ケーブル100を構成する電力ユニット10の構造と、充電器コネクター200の導体部230の組立過程を示している。
【0067】
本発明による電気車充電用ケーブル100の電力ユニット10は、絶縁層13が設けられた導体11を通じて電力を供給する。
【0068】
図4の(b)に示すように、絶縁層13が設けられた導体11は、パイプ状の冷却チューブ17の内部に収容され得る。そして、前記絶縁層13の外側には、絶縁層13の外面と冷却チューブ17の内面との接触を防止するためのスぺーサ19が設けられ、
図4に示すように、前記スぺーサ19は環状ワイヤーの形態で構成され、前記導体を被覆する絶縁層13の外周面に螺旋状に横巻されて装着され得る。
【0069】
前記スぺーサ19は環状ワイヤーの形態に限定されず、前記導体の絶縁層13の外面又は冷却チューブ17の内面に一体に突出して形成される突起の形態であっても構わない。
【0070】
そして、
図4の(b)に示すように、電気車充電用ケーブル100の先端部には、充電器コネクター200の導体部230が装着され得る。該充電器コネクター200の導体部230は充電器コネクター200を構成し、本発明による電気車充電用ケーブル100の電力ユニット10を構成する導体に接続される。
【0071】
前記充電器コネクター200の導体部230は、電気車充電用ケーブル100の電力ユニット10の導体11が挿入されるように挿入構造にし得る。
【0072】
すなわち、前記充電器コネクター200の導体部230は、前記電気車充電用ケーブル100を構成する電力ユニット10の冷却チューブ17の内部に挿入され、該冷却チューブ17の内部に挿入された状態で電力ユニット10の導体が一側から挿入される構造を有し得る。
【0073】
前記充電器コネクター200の導体部230には、冷却チューブ17の内部に挿入される挿入深さを制限するための突段233と、冷却チューブ17の内部に挿入された状態が安定的に保持されるとともに冷却流体が漏れないように、冷却チューブ17の内径よりも円周方向に突出した少なくとも一つの圧迫突起231が備えられ得る。前記圧迫突起は、充電器コネクター200の導体部230が前記電気車充電用ケーブル100の電力ユニット10を構成する冷却チューブ17の内部に圧入された状態を安定的に保持させる役割を担うことができる。
【0074】
さらに、冷媒漏れが心配される場合は、圧迫突起231の上に金属スリーブをはめ付けて冷却チューブ17をより加圧し、水密を保たせてもよい。
【0075】
そして、前記充電器コネクター200の導体部230が装着される冷却チューブ17の先端部近傍に、冷却流体の循環流路15を形成するための流体循環ホール17hが形成され得る。
【0076】
前述したように、本発明による電気車充電用ケーブル100は、一対の電力ユニット10a,10bを備えており、それぞれの電力ユニット10に冷却流路15が設けられ、いずれか一つの電力ユニット10の冷却流路15を通して冷却流体が充電器コネクター200側に供給され、他の電力ユニット10の冷却流路15を通して冷却流体が電気車充電器300側に回収される循環流路15を形成して電気車充電用ケーブル100を冷却させる。
【0077】
したがって、それぞれの電力ユニット10の冷却チューブ17の冷却流路15を相互連通させるために、電気車充電用ケーブル100の先端領域、すなわち充電器コネクター200の接続領域の近傍における冷却チューブ17に、冷却流体の流体循環ホール17hを形成し、それぞれの流体循環ホール17hを通して冷媒が循環されるように構成できる。
【0078】
図5は、本発明による電気車充電用ケーブル100を構成する一対の電力ユニット10a,10bと、冷却流体を循環させるための流体ブリッジ90を示している。
【0079】
図5の(a)に示すように、一対の電力ユニット10a,10bの冷却チューブ17には、ケーブルの長さ方向に対応する位置にそれぞれ流体循環ホール17hが設けられ、各電力ユニット10はH字状の流体ブリッジ90で互いに連結される。
【0080】
前記流体ブリッジ90は、電力ユニット10の冷却チューブ17が貫通して収容される平行な貫通部91a,91bと、該貫通部91a,91bを垂直方向に連結する連結部93とを含み、該連結部93を通して冷媒が循環し得る。
【0081】
前記流体ブリッジ90は、電力ユニットが装着され、冷却流体を交換する役割を担うので、ケーブル全体において冷却効果を保障するためには、可能な限り充電器コネクターの近傍に配置されることが好ましく、具体的には、充電器コネクターのハウジング内部に配置されることが好ましい。また、前記流体ブリッジ90を介した連結部品は、流体循環ホールなどが設けられているためベンディングを防止しなければならず、流体ブリッジ90が充電器コネクターのハウジングの内部に配置される必要がある。
【0082】
そして、
図5の(c)の流体ブリッジ92の断面図で示すように、前記流体ブリッジ90において冷却チューブ17が貫通して収容される貫通部91a,91bには、流体循環ホール17hの隣接位置にO-リング(O-Ring)装着のためのO-リング装着溝92が設けられ得る。該O-リング装着溝92は、前記貫通部91a,91bの内周面に冷却チューブの貫通方向と垂直な方向に溝状に形成され得る。
【0083】
前記O-リング装着溝92には柔軟な材質のO-リングが装着され、冷却流体の流出を防止することができる。もちろん、O-リングを挿入する方式の他にも、前記貫通部91a,91bの内周面に、導体部に形成された圧迫突起のような突起部を形成し、冷却チューブとの隙間を除去する方法でシーリング効果を得ることもできる。
【0084】
図6は、本発明による電気車充電用ケーブル100を構成する一対の電力ユニット10a,10bと流体ブリッジ90とが組み立てられた状態を示している。
【0085】
したがって、
図6の(a)に示すように、それぞれの電力ユニット10を前記流体ブリッジ90の貫通部91a,91bを貫通して配置し、それぞれの電力ユニット10を構成する冷却チューブ17の流体循環ホール17hを、前記流体ブリッジ90の連結部93に向かう方向に配置させると、いずれか一つの冷却チューブ17を通して供給される冷却流体は、当該流体循環ホール17h、流体ブリッジ90の連結部93、及び他の冷却チューブ17の流体循環ホール17hを流動して循環でき、これは、冷却に使われた冷却流体が、冷却流体を供給する電気車充電器300に回収され得ることを意味する。
【0086】
そして、
図6の(b)に示すように、電気車充電器300からいずれか一つの電力ユニット10に供給されて当該電力ユニット10の導体冷却に使われた冷媒は、他の電力ユニット10の冷却チューブ17に流れてその内部の導体を冷却しつつ、電気車充電器300などに設けられた冷却装置に回収され得る。
【0087】
そして、
図6の(b)の断面図で示すように、前記流体ブリッジ90の連結部93の位置はそれぞれの貫通部91a,91bの中心を連結する方式であるので、いずれか一つの冷却チューブ17に供給される冷却流体は、前記電気車コネクター400の導体部230の基端まで循環した後に流体循環ホール17hを通して他の冷却チューブ17に供給され得るので、冷却流体が充電器コネクター200の導体部230まで冷却させる更なる効果を得ることができる。
【0088】
また、前述したように、前記流体ブリッジ90は充電器コネクターのハウジングの内部に設けられ得るので、流体ブリッジ90による連結部位の機密性が安定的に保障され得る。
【0089】
そして、前述したように、前記冷却チューブ17が貫通する貫通部91a,91bにO-リング(O-Ring)を装着する方法によって流体ブリッジの貫通部の内周面と冷却チューブの外周面との機密性を向上させ、冷却流体の漏れを防止することができる。前記貫通部91a,91bに装着されるO-リング(O-Ring)の個数又は位置は変更されてもよい。
【0090】
そして、冷却流体の温度が十分に低いか、流量が十分な場合は、冷却流体の供給温度と冷却流体の回収温度との差が小さいため、冷却流体が供給される電力ユニット10も回収される電力ユニット10も十分に冷却させることができる。
【0091】
また、季節又は充電器使用頻度などによって電気車充電用ケーブル100の冷却負荷に偏差があり得るので、回収される冷却流体の温度に基づいて、供給される冷却流体の温度及び流量を調節することにより、冷却負荷に応じて最適の冷却効果を得ることができる。
【0092】
本明細書は、本発明の好ましい実施例を参照して説明したが、当該技術の分野における当業者は、以下に述べる特許請求の範囲に記載された本発明の思想及び領域を逸脱しない範囲内で、本発明を様々に修正及び変更して実施可能であろう。したがって、変形された実施が基本的に本発明の特許請求の範囲の構成要素を含む場合はいずれも本発明の技術的範ちゅうに含まれるものと見なすべきである。