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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】昇圧バイパスを用いる多相バッテリ充電
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20220111BHJP
   H02J 7/02 20160101ALI20220111BHJP
   H02M 3/155 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
H02J7/00 302B
H02J7/02 B
H02M3/155 W
H02M3/155 H
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020001250
(22)【出願日】2020-01-08
(62)【分割の表示】P 2017512302の分割
【原出願日】2015-06-24
(65)【公開番号】P2020065439
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2020-01-29
(31)【優先権主張番号】62/044,478
(32)【優先日】2014-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Apple Inc.
【住所又は居所原語表記】One Apple Park Way,Cupertino, California 95014, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100121979
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 吉信
(72)【発明者】
【氏名】ラングリネイス ジェイミー
(72)【発明者】
【氏名】ヨシモト マーク エイ
(72)【発明者】
【氏名】チェン リン
【審査官】佐藤 卓馬
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-118847(JP,A)
【文献】特開平11-196541(JP,A)
【文献】特開2014-045593(JP,A)
【文献】特開平11-150875(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
H02J 7/02
H02M 3/155
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポータブル電子装置のバッテリの使用を管理する方法であって、
前記バッテリの放電中に、前記ポータブル電子装置の充電回路を動作させて、ポータブル電子装置の低電圧サブシステム及び高電圧サブシステムに同時に電力供給することを含み、前記充電回路は複数のインダクタを備え、
低電圧状態のバッテリの放電中に、前記充電回路を動作させることは、
前記複数のインダクタの第1のインダクタ群を使用して、前記バッテリのバッテリ電圧をアップコンバートして、前記高電圧サブシステムに電力供給することと、
前記充電回路を使用して、前記複数のインダクタをバイパスして、前記バッテリ電圧から前記低電圧サブシステムに電力供給することと、を含み、
前記低電圧状態の上の状態のバッテリの放電中に、前記充電回路を動作させることは、
前記充電回路の前記高電圧サブシステムへのバイパス路に沿って、前記バッテリ電圧から前記高電圧サブシステムに電力供給することと、
前記充電回路を使用して、前記複数のインダクタをバイパスして、前記バッテリ電圧から前記低電圧サブシステムに電力供給することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記高電圧サブシステムの電圧要求と前記バッテリのバッテリ電圧との間の閾値を超える変化を検出すると、前記充電回路の動作を容易にするように、前記第1のインダクタ群と第2のインダクタ群との間でインダクタの属性を切り換えることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ポータブル電子装置への外部負荷の接続を検出すると、前記第1のインダクタ群を用いて、前記バッテリ電圧をアップコンバートして、前記外部負荷に電力供給することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1及び第2のインダクタ群の各々は、1つ以上のインダクタを備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ポータブル電子装置の充電システムであって、
第1のインダクタ群及び第2のインダクタ群を備えるスイッチングコンバータと、
前記スイッチングコンバータを使用して、バッテリ電圧を1組の出力電圧に変換して、前記ポータブル電子装置の低電圧サブシステム及び高電圧サブシステムに同時に電力供給するように構成される制御回路と、を備え、
前記制御回路は、
低電圧状態のバッテリの放電中に、前記第1及び第2のインダクタ群をバイパスして、前記バッテリ電圧から前記低電圧サブシステムに電力供給し、前記第2のインダクタ群を使用して、前記バッテリのバッテリ電圧をアップコンバートして、前記高電圧サブシステムに電力供給し、
前記低電圧状態の上の状態のバッテリの放電中に、前記高電圧サブシステムへのバイパス路に沿って、前記バッテリ電圧から前記高電圧サブシステムに電力供給し、前記バッテリ電圧から前記低電圧サブシステムに電力供給するように、さらに構成されている、充電システム。
【請求項6】
前記高電圧サブシステムの電圧要求と前記バッテリのバッテリ電圧との間の閾値を超える変化を検出すると、前記制御回路は、前記充電システムの動作を容易にするように、前記第1のインダクタ群と前記第2のインダクタ群との間でインダクタの属性を切り換えるように、さらに構成されている、請求項5に記載の充電システム。
【請求項7】
前記ポータブル電子装置への外部負荷の接続を検出すると、前記制御回路は、前記第1のインダクタ群を用いて、前記バッテリ電圧をアップコンバートして、前記外部負荷に電力供給するように、さらに構成されている、請求項5に記載の充電システム。
【請求項8】
高電圧サブシステムの第1セットの部品と、
低電圧サブシステムの第2セットの部品と、
バッテリと、
第1のインダクタ群及び第2のインダクタ群を備えるスイッチングコンバータと、
前記スイッチングコンバータを使用して、前記バッテリの電圧を1組の出力電圧に変換して、低電圧サブシステム及び高電圧サブシステムに同時に電力供給するように構成される制御回路と、を備えるポータブル電子装置であって、
前記制御回路は、
低電圧状態のバッテリの放電中に、前記第1及び第2のインダクタ群をバイパスして、前記バッテリの電圧から前記低電圧サブシステムに電力供給し、前記第2のインダクタ群を使用して、前記バッテリのバッテリ電圧をアップコンバートして、前記高電圧サブシステムに電力供給し、
前記低電圧状態の上の状態のバッテリの放電中に、前記高電圧サブシステムへのバイパス路に沿って、前記バッテリ電圧から前記高電圧サブシステムに電力供給し、
前記第1及び第2のインダクタ群をバイパスして、前記バッテリ電圧から前記低電圧サブシステムに電力供給するように、さらに構成されている、ポータブル電子装置。
【請求項9】
前記高電圧サブシステムの電圧要求と前記バッテリのバッテリ電圧との間の閾値を超える変化を検出すると、前記制御回路は、充電システムの動作を容易にするように、前記第1のインダクタ群と前記第2のインダクタ群との間でインダクタの属性を切り換えるように、さらに構成されている、請求項8に記載のポータブル電子装置。
【請求項10】
前記ポータブル電子装置への外部負荷の接続を検出すると、前記制御回路は、前記第1のインダクタ群を用いて、前記バッテリ電圧をアップコンバートして、前記外部負荷に電力供給するように、さらに構成されている、請求項8に記載のポータブル電子装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、ポータブル電子装置用のバッテリに関する。より具体的には、本開示の実施形態は、昇圧バイパスでバッテリの多相充電を実行する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ポータブル電子装置は、バッテリが所定の最小電圧に達すると停止するように構成され、所定最小電圧はバッテリの最低動作電圧より高くしてもよい。例えば、リチウムイオンバッテリはバッテリ電圧が3.0Vに達するときに空であるとみなすことができるが、コンピューティングデバイスの特定の構成要素(例えば、携帯電話又はタブレットコンピュータの無線及びスピーカサブシステム)は動作するのに3.4Vの最小電圧を必要とする場合がある。よって、コンピューティングデバイスはこれらの部品の電圧低下を避けるため、3.4Vで停止するように構成することができる。その結果、バッテリは、3.0V~3.4Vの未使用容量を含む場合がある。
【0003】
未使用容量の量は、バッテリの負荷電流、温度及び寿命に左右されることがある。ウォーム状態の新しいバッテリに軽い負荷がかかる場合、未使用容量は通常、全容量のわずか数パーセントである。しかしながら、バッテリがコールド状態に又はより古くなればなるほどバッテリ未使用容量が劇的に増えることがある。例えば、図1は、2つの異なる温度で、所与の負荷(2時間でバッテリを放電するのに必要な電流である0.5C負荷)で放電されたバッテリの1例を示す。図示するように、25℃でバッテリを放電すると、カットオフ電圧(図1では3.4Vとして示す)未満で発生する未使用容量は全容量の数パーセントとなる場合があるが、0℃でバッテリを放電すると、カットオフ電圧未満で発生する未使用容量は30%にも及ぶ可能性がある。したがって、この未使用容量を利用することができるシステムを備えることが望ましいであろう。
【発明の概要】
【0004】
本開示の実施形態は、ポータブル電子装置内のバッテリの使用を管理するシステムを提供する。動作中、該システムは、電源からの入力電圧を、バッテリの充電並びにポータブル電子装置内の低電圧サブシステム及び高電圧サブシステムへの電力の供給のための一組の出力電圧に変換するための充電回路を動作させる。充電回路が動作している間に、電源からの入力電圧及びバッテリの低電圧状態を検出すると、充電回路内の第1のインダクタ群を用いて、入力電圧を、高電圧サブシステムの電圧要求よりも低いバッテリの目標電圧にダウンコンバートする。また、該システムは、充電回路内の第2のインダクタ群を用いて、該目標電圧をアップコンバートし、該高電圧サブシステムに電力を供給する。
【0005】
いくつかの実施形態では、電源からの入力電圧及びバッテリ内の高電圧状態を検出すると、第1及び第2のインダクタ群を用いて、
(i)入力電圧をバッテリの目標電圧にダウンコンバートし、
(ii)電源の入力電流から、バッテリを充電すると共に、低電圧サブシステム及び高電圧サブシステムに電力を供給する。
【0006】
いくつかの実施形態では、電源からの入力電圧及び低電圧状態と高低電圧状態との間であるバッテリ内の電圧状態を検出すると、該システムは第1のインダクタ群を用いて、入力電圧をバッテリの目標電圧にダウンコンバートする。次に、該システムは、第2のインダクタ群からのアップコンバートされた目標電圧と、第1及び第2のインダクタ群からの目標電圧とのうちの少なくとも一方から電力を供給する。
【0007】
いくつかの実施形態では、低電圧状態におけるバッテリの放電を検出すると、該システムは第2のインダクタ群を用いて、バッテリのバッテリ電圧をアップコンバートし、高電圧サブシステムに電力を供給するとともに、充電回路を用いて、バッテリ電圧から低電圧サブシステムに直接に電力を供給する。
【0008】
いくつかの実施形態では、ポータブル電子装置への外部負荷の結合を検出すると、該システムは第1のインダクタ群を用いて、バッテリ電圧をアップコンバートし、外部負荷に電力を供給する。
【0009】
いくつかの実施形態では、低電圧状態と高電圧状態との間でバッテリを放電している間に、該システムは第2のインダクタ群からのアップコンバートされたバッテリ電圧と、充電回路における高電圧サブシステムへのバイパス路を介したバッテリ電圧とのうちの少なくとも一方から電力を供給する。
【0010】
いくつかの実施形態では、第1及び第2のインダクタ群のそれぞれが1つ以上のインダクタを含む。
【0011】
いくつかの実施形態では、高電圧サブシステムの電圧要求とバッテリのバッテリ電圧との間の閾値を超えた変化を検出すると、該システムは第1及び第2のインダクタ群間での属性を、充電回路の動作を容易とするように切り替える。
【0012】
いくつかの実施形態では、充電回路の動作が、入力電圧をダウンコンバートすること、バッテリの目標電圧をアップコンバートすること、及び/又はバッテリのバッテリ電圧をアップコンバートすることを含む。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本開示の実施形態に係るバッテリの電圧対使用容量を示す図である。
図2】本開示の実施形態に係る標準バッテリ充電回路を示す図である。
図3A】本開示の実施形態に係るポータブル電子装置用の充電回路を示す図である。
図3B】本開示の実施形態に係るポータブル電子装置用の充電システムを示す図である。
図3C】本開示の実施形態に係るポータブル電子装置用の充電回路を示す図である。
図4A】本開示の実施形態に係るポータブル電子装置用の充電回路を示す図である。
図4B】本開示の実施形態に係るポータブル電子装置用の充電回路の動作を示す図である。
図4C】本開示の実施形態に係るポータブル電子装置用の充電回路の動作を示す図である。
図4D】本開示の実施形態に係るポータブル電子装置用の充電回路の動作を示す図である。
図4E】本開示の実施形態に係るポータブル電子装置用の充電回路の動作を示す図である。
【0014】
図4F】本開示の実施形態に係るポータブル電子装置用の充電回路の動作を示す図である。
図4G】本開示の実施形態に係るポータブル電子装置用の充電回路の動作を示す図である。
図4H】本開示の実施形態に係るポータブル電子装置用の充電回路の動作を示す図である。
図4I】本開示の実施形態に係るポータブル電子装置用の充電回路の動作を示す図である。
図4J】本開示の実施形態に係るポータブル電子装置用の充電回路の動作を示す図である。
図4K】本開示の実施形態に係るポータブル電子装置用の充電回路の動作を示す図である。
【0015】
図4L】本開示の実施形態に係るポータブル電子装置用の充電回路の動作を示す図である。
図4M】本開示の実施形態に係るポータブル電子装置用の充電回路の動作を示す図である。
図4N】本開示の実施形態に係るポータブル電子装置用の充電回路の動作を示す図である。
図4O】本開示の実施形態に係るポータブル電子装置用の充電回路の動作を示す図である。
図5】本開示の実施形態に係るポータブル電子装置用の充電システムを示す図である。
図6】本開示の実施形態に係るポータブル電子装置のバッテリを管理する工程を示すフローチャートである。
図7】本開示の実施形態に係るポータブル電子装置のバッテリを管理する工程を示すフローチャートである。
図8】本開示の実施形態に係るポータブル電子装置のバッテリを管理する工程を示すフローチャートである。
図9】本開示の実施形態に係るポータブル電子装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
これらの図面で、類似の参照符号は同一の図面要素を指す。
【0017】
以下の説明は、当業者が実施形態を作成し使用することができるように提示し、具体的な用途とその要件を背景として提供する。本開示の実施形態に対する様々な変更は当業者にとって容易に自明であり、本明細書に定義される一般的な原則は、本開示の精神と範囲を逸脱せずに他の実施形態や用途に適用することができる。よって、本発明は図示する実施形態に限定されず、本明細書に開示する原理と特徴と合致する最大の範囲に従うべきである。
【0018】
詳細な説明に記載するデータ構造及びコードは通常、コンピュータ可読記憶媒体に記憶され、該媒体は、コンピュータシステムによって使用されるコード及び/又はデータを記憶することができる任意の装置又は媒体であってもよい。コンピュータ可読記憶媒体は、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、磁気及び光学記憶装置、例えば、ディスクドライブ、磁気テープ、CD(コンパクトディスク)、DVD(デジタル汎用ディスク又はデジタルビデオディスク)又は現在既知である又は後に開発されるコード及び/又はデータを記憶することのできるその他の媒体などを含むが、それらに限定されない。
【0019】
詳細な説明に記載する方法及び工程は、上述するようなコンピュータ可読記憶媒体に記憶することができるコード及び/又はデータとして具体化することができる。コンピュータシステムは、コンピュータ可読記憶媒体に記憶されるコード及び/又はデータを読み出し、実行するとき、データ構造及びコードとして具体化され、コンピュータ可読記憶媒体内に記憶される方法及び工程を実行する。
【0020】
さらに、本明細書に記載する方法及び工程は、ハードウェアモジュール及び装置に含めることができる。これらのモジュール及び装置は、特定用途向け集積回路(ASIC)チップ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定のソフトウェアモジュールまたは1コードを特定の時間に実行する専用又は共有プロセッサ及び/又は現在既知である又は後で開発されるその他のプログラマブル論理装置を含むことができるが、それらに限定されない。ハードウェアモジュール又は装置は起動されると、そこに含まれる方法及び工程を実行する。
【0021】
本開示の実施形態は、ポータブル電子装置のバッテリの使用を管理する方法及びシステムを提供する。より具体的には、本開示の実施形態は、アップコンバートされた電圧及び/又はダウンコンバートされた電圧をポータブル電子装置の1以上のサブシステムに供給することができる充電回路を設ける。場合によっては、充電回路は2以上のインダクタ群を含むことができ、各インダクタ群は1以上のインダクタを含む。このような場合、各インダクタ群を使用して、別個のアップコンバートされた又はダウンコンバートされた電圧を生成し、その電圧をバッテリの充電、ポータブル電子装置の1以上のサブシステムへの電力供給及び/又は外部負荷への電力供給に使用することができる。その結果、充電回路は、単相コンバータ及びリニアレギュレータを使用する充電回路よりも電力損失が少なく、様々な電圧要求でサブシステムに電力を供給することができる。また、2以上のインダクタの使用は、単独の大きなインダクタによって占められる空間の増加を回避することによって、ポータブル電子装置の高さ制限を超えずに、バッテリの未使用容量にアクセスすることができる。
【0022】
図2は、システム電圧が3.4Vなどの最小動作電圧を下回ると動作停止になるシステム用の典型的な充電回路を示す。図示するように、充電回路は、間欠電源202(例えば、パワーアダプタ)、バッテリ214及びバッテリ214から電力を供給される1以上のシステム204に接続することができる。場合によっては、該システムは間欠電源と充電回路間のコネクタ(図示せず)を含み、電源202を充電回路と脱着させることができる。電界効果トランジスタ(FET)A206は逆電圧を防ぎ、(例えば、電源202を提供するパワーアダプタが該システムに接続されていないとき)電流がバッテリからコネクタに流れるのを防止する。FET B208及びFET C210は交互切り替えFETであり、インダクタ216と共に、インダクタVMAINの出力で降圧される電圧を生成する降圧コンバータを形成する。バッテリ電圧が最小動作電圧(例えば、3.4V)よりも低い場合、VMAINは降圧コンバータを用いて最小動作電圧まで制御することができ、FET D212は、バッテリ214を充電するためVBATでの電圧を目標電圧まで低下するように線形に制御される。また、FET D212は、バッテリ214がフルであるときに充電を停止するように構成される。バッテリ214が1以上のシステム204に電力を供給するように放電している間、FET B208及びC210は切り替えを停止し、FET D212は完全にオンとなって、バッテリ214を1以上のシステム204に接続する。
【0023】
図3Aは、本開示の実施形態に係るポータブル電子装置用の充電回路の変形を示す。例えば、図3Aは、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、携帯電話、デジタルカメラ及び/又はその他のバッテリ駆動電子装置の構成要素に電力を供給するために使用することができる。これらの変形では、ポータブル電子装置は、バッテリ322から電力を供給することのできる1以上の高電圧サブシステム306及び1以上の低電圧サブシステム304を含むことができる。1以上の低電圧サブシステム304は、ポータブル電子装置の動作中、1以上の高電圧サブシステム306が要求する第2の電圧よりも低い第1の電圧を要求することができる。例えば、いくつかの変形では、低電圧サブシステム304がバッテリ322のカットオフ電圧以下である第1の電圧(例えば、3.0V)を要求する一方、高電圧サブシステム306がバッテリのカットオフ電圧超の第2の電圧(例えば、3.4V)を要求することができる。他の変形では、1以上の低電圧サブシステム304の要求する第1の電圧は、バッテリ322のカットオフ電圧より大きくすることができる。充電回路は、例えば、バッテリ322の電圧が第2の電圧未満であるときに1以上の高電圧サブシステム306に電力を供給することができる昇圧機能を提供してもよい。一方、低電圧サブシステム304は、高電圧サブシステム306及び/又はバッテリ322のカットオフ電圧よりもずっと小さな電圧を要求することがあり、場合によっては、バッテリ322から直接電力を供給することができる。
【0024】
例えば、中央処理装置(CPU)、グラフィック処理ユニット(GPU)及び/又は集積回路レールなどのポータブル電子装置の構成要素の大部分は、バッテリ322にとって例示的な3.0Vのカットオフ電圧よりもずっと小さな電圧しか要求しないことがある。一方、ポータブル電子装置の無線及びスピーカサブシステムは、動作させるのに3.4Vの例示的な最小電圧を要求することがある。その結果、ポータブル電子装置のサブシステムは、2以上の群、例えば、3.0Vから電力を供給することができる低電圧サブシステム304と、最低3.4Vを要求する高電圧サブシステム306とに分割することができる。
【0025】
図3Aに示すように、昇圧機能を備えた充電回路はインダクタ308及び6つのFET310~320を含み、電源302に接続することができる。FET A310は、特定される電源302が利用可能であるときにオンにし、動作停止にされるとき、誤って設計された又は逆に接続された電源からの逆電圧を防ぐことができる。FET A310は、電源302が利用可能ではない(例えば、外部パワーアダプタが接続されない)ときにオフにされて、ポータブル電子装置が、利用不能な電源302又は電源を接続することができるコネクタのいずれかに電力を供給するのを防止する。FET B312及びC314は、インダクタ308の入力端子を電圧ノードVXと接地電圧などの基準電圧にそれぞれ結合する。FET B312及びC314は、インダクタ308の入力をVXまたは基準電圧に選択的に結合するように切り替えることができる。FET D316は、バッテリ322を電圧ノードVLO(1以上の低電圧サブシステム304とインダクタ308の負荷端子に接続することができる)に結合することができる。FET E318は、VLOを電圧ノードVHI(1以上の高電圧サブシステム306に接続することができる)に結合することができる、あるいは他の変形では、VHIを直接バッテリ322に結合することができる。FET F320はVXをVHIに結合し、電源302からの入力電圧及び/又はインダクタ308からの昇圧されたバッテリ電圧を高電圧サブシステム306に結合するために使用することができる。
【0026】
図3Bは、本開示の実施形態に係るポータブル電子装置用の充電システムを示す。図3Bの充電システムは、電源302からの入力電圧及び/又はバッテリ322からのバッテリ電圧を、バッテリ322を充電する、及び/又は1以上の低電圧サブシステム304及び1以上の高電圧サブシステム306に電力を供給するための1セットの出力電圧に変換することができる。
【0027】
図3Bに示すように、充電システムはスイッチングコンバータ330を含む。スイッチングコンバータ330は、1以上のインダクタと、FET、ダイオード、及び/又は他の電子切り替え部品などの1セットのスイッチング機構とを含むことができる。例えば、スイッチングコンバータ330は図3Aに示すコンバータによって提供することができ、入力端子及び負荷端子と2つのスイッチング機構(例えば、FET312~314によって提供される)を有するインダクタ308を含み、該スイッチング機構は上述したように、入力端子を電圧ノードVX(電源302の出力に接続することができる)又は基準電圧(例えば、接地電圧)のいずれかに結合するように構成される。充電システムはスイッチング機構332及び336とレギュレータ334及び338を含み、それらをまとめて使用して、スイッチングコンバータ330の出力をバッテリ322、高電圧サブシステム306及び/又は低電圧サブシステム304のいずれかに結合し、電源302を高電圧サブシステム306に結合することができる。各スイッチング機構は異なる電圧ノードを選択的に結合することができ、スイッチ、FET(例えば、図3AのFET310及び318)、ダイオードなどを含むことができる。各レギュレータは1以上の電圧ノードで電圧を制御する、又はスイッチとして機能するように選択的に制御することができ、FET(例えば、図3AのFET316及び320)、可変抵抗器などを含むことができる。
【0028】
例えば、スイッチング機構332は、不適切に機能する電源302(例えば、誤って設計された電源又は誤って接続された電源302)からの逆電圧を防ぎ、電流が電圧ノードVXから電源302(VBUSとして示す)に流れるのを防止することができる。スイッチングコンバータ330は、電圧ノードVXと電圧ノードVLOを結合し、次に低電圧サブシステム304に結合することができる。レギュレータ338は、直接又はVHIをVX未満の電圧に線形に調節することによってVXと電圧ノードVHIを選択的に結合し、次に高電圧サブシステム306に結合することができる。スイッチング機構336はVHIとVLOを選択的に結合し、あるいは場合によっては、VHIとバッテリ322を選択的に結合することができる。レギュレータ334は、直接又はバッテリ電圧をVLO未満の電圧に線形に調節することによって、VLOをバッテリ322に選択的に結合することができる。以下詳述するように、スイッチング機構を使用して、高電圧サブシステム306及び低電圧サブシステム304への電力を制御することができる。
【0029】
図3Cは、本開示の実施形態に係るポータブル電子装置用の充電回路を示す。充電回路は、バッテリ322を充電する及び/又は電圧要求の異なるポータブル電子装置の複数のサブシステム350~356に電力を供給するため(4つのサブシステムを有するように図示されているが、充電回路は、電圧要求の異なる任意数のサブシステム、例えば、2、3、4、5又はそれ以上のサブシステムに電力を供給することができる)、電源302からの入力電圧及び/又はバッテリ322からのバッテリ電圧を1セットの出力電圧(例えば、VLO、VHI1、VHI2、VHI3)に変換することができる。例えば、充電システムは、第1の電圧要求(いくつかの変形では、バッテリ322のカットオフ電圧以下である(例えば、3.0V))を有する1以上のサブシステム、第1の電圧要求より高い第2の電圧要求(バッテリ322のカットオフ電圧よりもわずかに高くすることができる(例えば、3.2V))を有する1以上のサブシステム、第2の電圧要求よりも高い第3の電圧要求(例えば、3.4V)を有する1以上のサブシステム及びポータブル電子装置の最高電圧要求(第3の電圧要求よりも高い第4の電圧要求、例えば、3.6V)を有する1以上のサブシステムに電力を供給することができる。
【0030】
図3Bの充電システムと同様、図3Cの充電システムは、スイッチングコンバータ330を含み、1以上のインダクタと、FET、ダイオード、及び/又はその他の電子切り替え部品などの1セットのスイッチング機構とによって提供することができる。具体的には、スイッチングコンバータ330は、降圧コンバータ、昇圧コンバータ、反転コンバータ、降圧-昇圧コンバータ、Cukコンバータ、シングルエンドプライマリ・インダクタコンバータ(SEPIC)及び/又はZetaコンバータなどの任意の種類の双方向コンバータであってもよい。
【0031】
追加のスイッチング機構336、340及び344とレギュレータ334、338、342及び346を使用して、スイッチングコンバータ330の出力をバッテリ322及びサブシステム350~356に結合し、電源302及び/又はバッテリ322からサブシステム350~356に電力を供給し、サブシステム350~356の電圧要求を満たす出力電圧を生成することができる。
【0032】
スイッチング機構336、340及び344とレギュレータ334は、スイッチングコンバータ330の出力をバッテリ322及びサブシステム350~356に結合する。図3Cに示すように、レギュレータ334は、バッテリ322を電圧ノードVLO(スイッチングコンバータ330の負荷端子とサブシステム350に接続することができる)に選択的に結合することができる。スイッチング機構336は、電圧ノードVLOを電圧ノードVHI1に選択的に結合し、次にサブシステム352に接続することができる。スイッチング機構340は、電圧ノードVHI1を電圧ノードVHI2に選択的に結合し、次にサブシステム354に接続することができる。スイッチング機構344は、電圧ノードVHI2を電圧ノードVHI3に選択的に結合し、次にサブシステム356に接続することができる。他の変形では、スイッチング機構336、340及び344は、バッテリ322をサブシステム352、354及び356にそれぞれ直接接続することができる。
【0033】
レギュレータ338、342及び346は、直接又はVX未満の電圧に線形に調節することによって、電圧ノードVX(次に、電源302からの入力電圧及び/又はスイッチングコンバータ330から昇圧されたバッテリ電圧を提供することができる)をサブシステム352~356にそれぞれ結合する。例えば、図3Cに示すように、レギュレータ338は、直接又はVX未満の電圧VHI1に線形に調節することによって、電圧ノードVXを電圧ノードVHI1及びサブシステム352に選択的に結合することができる。レギュレータ342は、直接又はVX未満の電圧VHI2に線形に調節することによって、電圧ノードVXを電圧ノードVHI2及びサブシステム354に選択的に結合することができる。レギュレータ346は、直接又はVX未満の電圧VHI3に線形に調節することによって、電圧ノードVXを電圧ノードVHI3及びサブシステム356に選択的に結合することができる。
【0034】
充電システムの動作中、該システムは、電源302及び/又はバッテリ322から電力を供給することができる。同様に、バッテリ322は、不足電圧状態、1以上の低電圧状態、高電圧状態、及び/又は満充電状態などのいくつかの電圧状態をとることができる。バッテリ322のバッテリ電圧がバッテリの所定のカットオフ電圧(例えば、最小動作電圧)(例えば、3.0V)以下である場合、バッテリ322は電圧不足と考えられ、バッテリ322は有効な残余充電量を有していない。低電圧バッテリ322は、高電圧サブシステム306(例えば、3.0V~3.4V)ではなく、低電圧サブシステム304が直接使用可能なバッテリ電圧を有することができる。高電圧バッテリ322は、すべてのサブシステムが直接使用することができる電圧(例えば、3.4V~3.6V超)を有することができるが、まだ完全には充電されていない。完全に充電されたバッテリ322は、バッテリ322の最大電圧を有するため、それ以上充電することはできない。例えば、図3Cに示すように、該装置が電圧要求の異なる3以上のサブシステムを有する場合、バッテリは複数の低電圧状態(例えば、バッテリ電圧がサブシステム352~356ではなくサブシステム350に電力を供給するほど高い第1の低電圧状態、バッテリがサブシステム354及び356ではなくサブシステム350及び352に電力を供給するほど高い第2の低電圧状態、サブシステム356ではなくサブシステム352~354に電力を供給するほど高い第3の低電圧状態)をとることができる。
【0035】
図4Aは、本開示の実施形態に係るポータブル電子装置用の充電回路を示す。図3Aの充電回路と同様、図4Aの充電回路は、ポータブル電子装置の構成要素に電力を供給するために使用することができる。ポータブル電子装置は、1以上の高電圧サブシステム406及び1以上の低電圧サブシステム404を含むことができ、両サブシステムはバッテリ434から電力を供給することができる。低電圧サブシステム404は、ポータブル電子装置の動作中、高電圧サブシステム406が要求する第2の電圧よりも低い第1の電圧を要求することができる。例えば、いくつかの変形では、低電圧サブシステム404はバッテリ434のカットオフ電圧以下である第1の電圧(例えば、3.0V)を要求し、高電圧サブシステム406はバッテリのカットオフ電圧超の第2の電圧(例えば、3.4V)を要求することができる。他の変形では、1以上の低電圧サブシステム404が要求する第1の電圧は、バッテリ434のカットオフ電圧より大きくすることができる。
【0036】
充電回路は、例えば、バッテリ434の電圧が第2の電圧未満であるときに1以上の高電圧サブシステム406に電力を供給することができる昇圧機能を提供してもよい。一方、低電圧サブシステム404は高電圧サブシステム406よりもずっと低い電圧及び/又はバッテリ434のカットオフ電圧を要求することがあり、場合によっては、バッテリ434から直接電力を供給することができる。
【0037】
図3Aの充電回路と異なり、図4Aの充電回路は、同時に昇圧機能と降圧機能の両方を提供することができる。図4Aに示すように、昇圧機能と降圧機能の両方を備える充電回路は、2つのインダクタ408~410と8つのFET418~432を含む。FET418~426の動作は第1の制御回路412によって制御することができ、FET428の動作は第2の制御回路414によって制御することができ、FET430~432の動作は第3の制御回路416によって制御することができる。制御回路412はFET420~426及びインダクタ408~410を使用して、充電回路の電圧を降圧及び/又は昇圧させることができる。
制御回路414はFET428を使用して、バッテリ434を充電回路に接続する、又はバッテリ434を充電回路から分離することによって、充電回路を通じてバッテリ434の充放電を可能又は不可能にすることができる。制御回路416は制御回路412によって制御されるFET424と共にFET430~432を使用して、インダクタ410及びFET426及び432を通じてバッテリ電圧及び/又は目標電圧VBATをアップコンバートする昇圧経路、又は高電圧サブシステム406にバッテリ電圧又は目標電圧を直接供給するバイパス路を介して、電流を高電圧サブシステム406に送ることができる。また、充電回路は、バッテリ434を充電する及び/又は低電圧サブシステム404及び高電圧サブシステム406に電力を供給するための入力電圧を供給するパワーアダプタなどの電源402に接続することができる。
【0038】
FET418は、電源402が利用可能であるときにオンにして、動作停止にされるとき、誤って設計及び/又は接続された電源からの逆電圧を防ぐことができる。また、FET418は、電源402が利用不能である(例えば、外部パワーアダプタが接続されていない)ときに使用不能として、ポータブル電子装置が、利用不能な電源402及び/又は電源を接続することのできるコネクタに電力を送るのを防止することができる。FET420及び422は、インダクタ408の入力端子を入力電圧と接地電圧などの基準電圧にそれぞれ結合する。FET424及び426は、インダクタ410の入力端子を入力電圧と基準電圧にそれぞれ結合する。FET428は、バッテリ434をインダクタ408~410の負荷端子及び低電圧サブシステム404に結合することができる。FET430は、バッテリ434から高電圧サブシステム406へのバイパス路に沿ってインダクタ410の負荷端子を高電圧サブシステム406に結合することができ、FET432はバッテリ434から高電圧サブシステム406への昇圧経路に沿ってインダクタ410の入力端子に結合することができる。
【0039】
2つのインダクタ408~410を充電回路に含めることで、充電回路は、個別に(電源402が利用可能な場合)電源402からの入力電圧をバッテリ434の目標電圧に降圧し、目標電圧を高電圧サブシステム406に電力を供給する出力電圧VHIに昇圧する多相スイッチングコンバータを提供することができる。電源402が利用不能であり、バッテリ434が放電中である場合、制御回路は多相スイッチングコンバータを使用して、バッテリ434のバッテリ電圧を、高電圧サブシステム406及び/又は外部負荷に電力を供給するための1以上の出力電圧まで昇圧することができる。インダクタ408~410は、同一の電流を生成するのに使用可能である単独の大きなインダクタよりも低い高さを占めることができる。図4B~4Fを参照して、充電回路の動作を以下詳述する。
【0040】
充電回路はFET418~432を線形に動作させないため、充電回路は、図3Aの充電回路よりもずっと電力損失が少ない場合がある。例えば、図3Aの充電回路のFET F320の線形動作は、出力電流とVXとVHI間の差との積の電力消散を招く可能性がある。VXでの電力消散の比例的上昇と、結果として生じるFET F320の線形動作からの熱消散により、バッテリ322が高電圧サブシステム306に直接電力を供給するのに十分なバッテリ電圧に達するまで、高電圧及び/又は電流での充電を防止することができる。次いで、図3Aの充電回路は、高入力電圧、高電圧サブシステムレールへの高負荷及び/又は大バッテリを使用するポータブル電子装置での使用には適さないかもしれない。一方、バッテリ434のバッテリ電圧を、高電圧サブシステム406に電力を供給する出力電圧まで昇圧することに関連する電力損失は主に、インダクタ410、FET424~426及び432、及び/又はバッテリ434から高電圧サブシステム406への昇圧経路に沿った他の構成要素の伝導損失及び/又は切り替え損失を含むことができる。その結果、図4Aの充電回路は、高速充電及び/又は図3Aの充電回路よりも低い電力及び熱消散を提供することができる。
【0041】
図4Bは、本開示の実施形態によるポータブル電子装置用の充電回路の動作を示す。より具体的には、図4Bは、低電圧状態にあるバッテリ434の充電中における図4Aの充電回路の動作を示す。低電圧状態において、バッテリ434は、低電圧サブシステム304が直接使用できるが高電圧サブシステム306は直接使用することができないバッテリ電圧(例えば、3.0V~3.4V)を有してよい。
【0042】
充電バッテリ434を充電するには、電源402から入力電圧と入力電流を供給することができ、及び、FET418、428を有効にして、電源402とバッテリ434をそれぞれ充電回路に接続することができる。入力電流は、FET418~420、428及びインダクタ408を含む降圧経路436に沿ってバッテリ434に供給され得る。制御回路412は、FET420~422及びインダクタ408を使用することで、入力電圧を、高電圧サブシステム406の電圧要求よりも低い、電流バッテリ434の目標電圧VBATにダウンコンバートすることができる。同じ目標電圧を使用して、低電圧サブシステム404に電力を供給することができる。例えば、制御回路412は、補完的方法でのFET420~422のオン/オフ切り替えを、VBATとVLOの両方をバッテリ434の目標電圧に制御するというサーボ機構フィードバックループの一部分として行うことができる。制御回路414は、FET428をオンにすることで、バッテリ434を入力電流及び目標電流から充電できるようになる。
【0043】
高電圧サブシステム406に電力を供給するために、インダクタ410及びFET432を含む昇圧経路438に沿って入力電流を高電圧サブシステム406に入力できる。電流を昇圧経路438に沿って「逆」方向に流すには、制御回路416がFET430をオフにし、FET432をオンにする。加えて、制御回路412はFET426、432及びインダクタ410を使用して、バッテリ434の目標電圧を、高電圧サブシステム406への電力供給に用いられるVHIにアップコンバートすることができる。例えば、制御回路412はFET424をオフにして、インダクタ410にかけて逆方向に流れる電流の流れが高電圧サブシステム406へ誘導されるようにする。
制御回路412は、これに加え、補間的な方法でのFET426、432のオン/オフ切り替えを、インダクタ410の入力端子及びVHIを高電圧サブシステム406の電圧要求に、又はこれよりも高い電圧要求(例えば、3.4V以上)に制御するという、別のサーボ機構フィードバックループの一部分として行うことができる。
【0044】
図4Cは、本開示の実施形態によるポータブル電子装置用の充電回路の動作を示す。より具体的には、図4Cは、高電圧状態にあるバッテリ434の充電中における図4Aの充電回路の動作を示す。高電圧状態において、バッテリ322は、全てのサブシステムによって直接使用され得る電圧(例えば、3.4~3.6Vよりも高い電圧)を有するが、まだ完全に充電されてはいない。
【0045】
図4Bと同様に、入力電圧及び入力電流を電源402から供給でき、FET418、428を有効にすることができる。FET428は実質的に、バッテリ434が満充電状態に達すると、バッテリ434の充電を中止するべく充電を停止するように構成されてよい。入力電流は、FET418~420、428、及びインダクタ408を含む降圧経路436に沿ってバッテリ434に供給することができる。制御回路412はFET420~422及びインダクタ408を使用し、入力電圧を、高電圧サブシステム406の電圧要求である、又はこれよりも高い電圧要求であるバッテリ434の目標電圧VBATにダウンコンバートすることができる。例えば、制御回路412は、インダクタ408の負荷端子にて目標電圧を生成する、サーボ機構フィードバックループの一部分として、FET420~422を交互にオン/オフ切り替えすることができる。その結果、低電圧サブシステム404と高電圧サブシステム406の両方を、バッテリ434の目標電圧によって直接電力を供給できるようになる。
【0046】
制御回路412は、インダクタ410及びFET424、430を含む第2の降圧経路440に沿って、更なる入力電流を提供することもできる。言い換えれば、制御回路412はFET424~426及びインダクタ410を使用し、入力電圧をバッテリ434の目標電圧にダウンコンバートすることも可能である。例えば、制御回路412は、インダクタ410の負荷端子にて目標電圧を生成する、サーボ機構フィードバックループの一部分として、FET424~426を交互にオン/オフ切り替えすることができる。次に、目標電圧と両経路436、440からの入力電流とを使用して、バッテリ434への充電、低電圧サブシステム404及び高電圧サブシステム406へ電力を供給する。
【0047】
制御回路416は、電流がインダクタ410にかけて逆流することを防止するために、FET432をオフにする。又、制御回路416は、入力電流をインダクタ408~410の負荷端子から高電圧サブシステム406へ誘導するために、FET430をオンにする。
【0048】
低電圧状態と高電圧状態の間(例えば、3.4~3.6V)にあるバッテリ434の充電中に、充電回路が経路438と経路440を交互に用いて高電圧サブシステム406へ電力を供給する。言い換えれば、充電回路が、インダクタ410、FET426、及び/又は経路438からのアップコンバートされた目標電圧から、高電圧サブシステム406に電力を供給する、或いは、充電回路が、目標電圧の昇圧をバイパスするための経路440に沿って、バッテリ434の目標電圧から高電圧サブシステム406に直接電力を供給することが可能である。こうした昇圧モードと回避モードの間の切り替えにより、充電回路が電流過渡及び/又は負荷過渡に応答できるようになることで、充電回路の効率的な動作が促進される。例えば、高電圧サブシステム406上での電流過渡は、経路440に沿って高電圧サブシステム406に電力を供給することが経路438を介した目標電圧の昇圧よりも効率的な瞬間的期間を生じさせ得る。その結果、充電回路は、高電圧サブシステム406上における電流過渡を検出し、この電流過渡に応答して、高電圧サブシステム406への電力供給に最も効率的な経路438~440を選択する機能を含む。
【0049】
図4Dは、本開示の実施形態によるポータブル電子装置用の充電回路の動作を示す。特に、図4Dは、低電圧状態にあるバッテリ434の充電中における図4Aの充電回路の動作を示す。低電圧状態において、バッテリ434は、低電圧サブシステム304が直接使用できるが高電圧サブシステム306が直接使用することはできないバッテリ電圧を有してよい(例えば、3.0V~3.4V)。
【0050】
バッテリ434は放電中であるため、電源402からの入力電圧は利用不能である。次に、バッテリ434からの電流が利用不能な及び/又は不適正に接続された電源402へ流れないようにするために、制御回路412がFET418~422を無効にする。バッテリ434のバッテリ電圧は、バッテリ434を放電させるために有効にされたFET428を含む経路442に沿って低電圧サブシステム404に直接電力を供給するために使用できる。その後、バッテリの放電を中止するために、バッテリ434のカットオフ電圧に達すると充電を停止するようにFET428を構成することができる。より具体的には、バッテリがカットオフ電圧にまで放電されたら、電源402が検出されるまで全てのFET418~432がオフに切り替えられる。
【0051】
低電圧状態の電圧434の放電中、バッテリ434のバッテリ電圧は高電圧サブシステム406に直接電力を供給するのに十分でない可能性がある。その代り、インダクタ410及びFET432を含む昇圧経路444に沿ってバッテリ電圧を昇圧することができる。電流が昇圧経路444に沿って「逆」方向に流れるようにするために、制御回路416がFET430をオフに、FET432をオンにする。加えて、制御回路412は、FET426、432及びインダクタ410を使用して、バッテリ電圧を高電圧サブシステム406の電力供給に用いられるVHIにアップコンバートすることができる。例えば、制御回路412はFET424をオフにして、インダクタ410にかけて逆方向に流れる電流の流れが高電圧サブシステム406へ誘導されるようにする。制御回路412は、インダクタ410の入力端子及びVHIを高電圧サブシステム406の電圧要求に、又はこれよりも高い電圧要求(例えば、3.4V以上)に制御するという、サーボ機構フィードバックループの一部分として、FET426、432を交互にオン/オフ切り替えすることができる。
【0052】
図4Eは、本開示の実施形態によるポータブル電子装置用の充電回路の動作を示す。特に、図4Eは、低電圧状態にあるバッテリ434の放電中で、電源402の代わりに外部負荷448が接続している、図4Aの充電回路の動作を示す。例えば、外部負荷448は、バッテリ434から電力を受けるために電源402と同じコネクタ(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)コネクタ)を使用する周辺装置であってよい。
【0053】
図4Dの充電回路の動作と同様、FET428が有効にされ、経路442に沿ってバッテリ434から低電圧サブシステム404に直接電力供給され、高電圧サブシステム406が、インダクタ410、FET426、経路444を使用してアップコンバートされたバッテリ電圧から電力供給される。外部負荷448に電力を供給するために、制御回路412がインダクタ408とFET420~422とを使用して、バッテリ電圧を外部負荷448の電圧要求値に、又はそれよりも高い電圧要求値にアップコンバートする。例えば、制御回路412はインダクタ408とFET420~422とを使用して、バッテリ電圧を、高電圧サブシステム406が要求した3.4V~3.6Vよりも高い5Vにまで逆方向昇圧することができる。外部負荷448に電力を供給するための出力電圧を生成するには、制御回路412が、バッテリ電圧を逆方向へ昇圧させてインダクタ408の入力端子にて5Vを発生させるという、サーボ機構フィードバックループの一部分として、FET420~422のオン/オフ切り替えを補完的な方法で行う。すると、外部負荷448が、インダクタ408とFET418~420とを含んだ経路446に沿って流れる電流によって電力供給される。
【0054】
図4Fは、本開示の実施形態によるポータブル電子装置用の充電回路の動作を示す。特に、図4Fは、高電圧状態にあるバッテリ434の充電中における図4Aの充電回路の動作を示す。高電圧状態において、バッテリ434は、全てのサブシステムによって直接使用され得る電圧(例えば、3.4V~3.6Vよりも高い電圧)を有するが、まだ完全に充電されてはいない。
【0055】
図4D~4Eと同様に、バッテリ434は、経路442に沿った低電圧サブシステム404への電力供給に直接使用され得るバッテリ電圧を有する。さらに、バッテリ電圧は、降圧サブシステム406の電圧要求値よりも高いので、バッテリ電圧を用いて、バイパス路448に沿って高電圧サブシステム406に直接電力を供給することができる。電流がバッテリ434から経路448に沿って流れるようにするために、制御回路416がFET430をオンにし、FET432をオフにし、又、制御回路412がFET420~426をオフにする。これにより、低電圧サブシステム404と高電圧サブシステム406に電力を供給するために、バッテリ電圧がアップコンバート又はダウンコンバートされることがなくなる。
【0056】
低電圧状態と高電圧状態の間(例えば、3.4~3.6V)にあるバッテリ434の放電中に、充電回路が経路444と経路448の使用を交替させて、高電圧サブシステム406に電力を供給することができる。言い換えれば、充電回路が、インダクタ410、FET426、及び/又は経路444からのアップコンバートされたバッテリ電圧から、高電圧サブシステム406に電力を供給する、或いは、充電回路が、バッテリ電圧のアップコンバートをバイパスするための経路448に沿って、バッテリ434の目標電圧から高電圧サブシステム406に直接電力を供給することが可能である。こうした昇圧モードとバイパスモードの間の切り替えにより、充電回路が電流過渡及び/又は負荷過渡に応答できるようになることで、充電回路の効率的な動作が促進される。例えば、高電圧サブシステム406上での電流過渡は、経路448に沿って高電圧サブシステム406に電力を供給することが経路444を介した目標電圧の昇圧よりも効率的な瞬間的期間を生じさせ得る。その結果、充電回路は、高電圧サブシステム406上における電流過渡を検出し、この電流過渡に応答して、高電圧サブシステム406への電力供給に最も効率的な経路を選択する機能を含む。
【0057】
外部負荷(例えば、図4Eの外部負荷)が充電回路に接続している場合には、経路442、448を引き続き使用して、低電圧サブシステム404と高電圧サブシステム406の両方にバッテリ電圧を直接供給することができる。次に、充電回路が経路446を使用して、バッテリ電圧を、外部負荷の電圧要求値の、又はこれよりも高い値の出力電圧にアップコンバートすることができる。例えば、制御回路412はインダクタ408とFET420~422とを使用して、バッテリ電圧を、高電圧サブシステム406が要求した3.4V~3.6Vよりも高い5Vにまで逆方向昇圧することができる。外部負荷448に電力を供給するための5Vの出力電圧を生成するには、制御回路412が、バッテリ電圧を逆方向へ昇圧させるサーボ機構フィードバックループの一部分として、FET420~422のオン/オフ切り替えを補完的な方法で行う。バッテリ434からの電流は、外部負荷に電力を供給するために、経路446に沿って流れることもできる。
【0058】
図4A図4Fの充電回路では、高電圧サブシステムレールを次の2回にわたって規制する:入力電圧からバッテリ434の目標電圧への降圧中に1回目、その後、バッテリ434から降圧サブシステム406への昇圧中に2回目。その結果、高電圧サブシステムレールの効率が、昇圧段階効率×降圧段階効率の分だけ低減する。
【0059】
高電圧サブシステムレールの効率を向上させるために、高電圧サブシステムレールを、低電圧サブシステムのレールからではなく、入力電圧から直接規制することができる。このタイプの規制を達成するために、図4A図4Fの充電回路に単一電源FETを追加してもよい。特に、図4Gは、バッテリ434及び追加のFET450の低電流充電中における図4Aの充電回路の動作を示す。充電回路の動作中、FET432、450がオフに切り替えられ、又、低電圧サブシステムのレール452及び高電圧サブシステムレール454のそれぞれに沿って入力電圧のダウンコンバージョンからバッテリ434に充電する及び高電圧サブシステム406に電力を供給するために、FET428~430がバイパスモードにて有効にされる。
【0060】
FET450は、スイッチングコンバータの両位相を2つの個別の降圧部として独立して動作させることができる。インダクタ410を第1位相に使用して、高電圧サブシステム406のための電圧を高電圧サブシステムレール454に沿って生成することができ、又、インダクタ408を第2の位相に使用して、低電圧サブシステムのレール452に沿って低電圧サブシステム404に電力を供給することができる。上で述べたように、これと同じ機構は、1つ以上のFET(例えば、FET430)をリニア規制(linear regulation)モードで動作させることによっても達成できるが、これは非常に非効率的であり、又、大きな下流負荷によって電力が消散するため高電圧入力が使用できなくなる。図4Gの充電回路の動作は著しく効率的な降圧規制構築を提供し、この構築では、リニア規制については「IR」で表す2つの方法の間の電力損失に差が生じ、降圧規制については入力電力が15%未満となる。
【0061】
バッテリ充電電流が十分に低く、2つの位相が要求されない時には常に、インダクタ410を用いて入力電圧から高電圧サブシステムレール454に電力を供給する。このような低いバッテリ充電電流は、例えば、動力不足の電源420を充電回路に接続している最中に見つかる。動力不足の電源420はバッテリ434にフル充電電流を供給できないので、制御回路412がインダクタ410を使用して、電源402からの入力電圧をダウンコンバートすることにより、高電圧サブシステムレール454に電流を供給する。第2の実施例では、充電回路が低電圧サブシステム404及び高電圧サブシステム406のみに電流を供給すればよい場合、充電周期の最後に低いバッテリ充電電流が発生する第3実施例では、低いバッテリ充電電流はバッテリ434の定電圧充電と一致してよい。充電電流がフル充電電流の約50%にまで減少すると、制御回路412が、高電圧サブシステムレール454に供給するために入力電圧をダウンコンバートする。充電回路の動作モードの選択は、ハードウェア及び/又はソフトウェアを介して行われ、又、バッテリ434の充電状態、システムの熱測定、及び/又はその他のシステムレベル情報に依存する。
【0062】
図4H図4Jは、本開示の実施形態によるポータブル電子装置用の充電回路の動作を示す。特に、図4Hは、バッテリ434の高電流充電中における図4Gの充電回路の動作を示す。制御回路412は、高電圧サブシステムレール454に供給するために入力電圧をインダクタ410及びFET424~426を使用してダウンコンバートする第1位相にて動作できる。制御回路412は、低電圧サブシステムのレール452に供給するために入力電圧をインダクタ408及びFET420~422を使用してダウンコンバートし、バッテリ434にその目標電圧にて充電する第2の位相においても動作できる。
【0063】
図4Hの充電回路では、FET432をオフに切り替え、又、入力電圧から高電圧サブシステムレール454へ供給するべくFET430がリニアレギュレータとして動作できる。或いは、高電圧サブシステムレール454の電圧要求が電源402からの入力電圧と互換する場合には、FET430をバイパススイッチとして使用して電力損失を改善することができる。
【0064】
図4Iは低電圧バッテリ434の放電中における図4Gの充電回路の動作を示し、図4Jは高電圧バッテリ434の放電中における図4Gの充電回路の動作を示す。図4I図4J中のバッテリ434を放電するための充電回路の使用は、図4D図4F中でバッテリ434の放電中にける充電回路の動作と類似する。図4Iでは、インダクタ410を使用して、バッテリ434からのバッテリ電圧を高電圧サブシステムレール454に供給するべく昇圧させている。図4Jの高電圧バッテリ434の放電中に、高電圧サブシステムレール454の電圧がFET430から直線状に規制されることで、電力損失が増加しかねない。
【0065】
図4G図4Jの充電回路にかけて電力損失を更に減少させるために、インダクタ410を4スイッチ型バックブーストに変換することができる。図4K図4Oは、本開示の実施形態によるポータブル電子装置用の充電回路の動作を示す。図4K図4Oの充電回路は、図4G図4Jの充電回路よりもFET456を1つ多く含む。FET456は、充電、放電、高バッテリ電圧、低バッテリ電圧の全ての場合について、インダクタ410を、高電圧サブシステムレール454への効率的な電力供給が可能な4スイッチ型バックブーストに変換させることができる。
【0066】
より具体的には、図4Kは、高電圧バッテリ434の放電中における充電回路の動作を示す。図4Kでは、バッテリ434からのバッテリ電圧を高電圧サブシステムレール454に供給する前にダウンコンバートするために、FET418~426、430がオフにされ、FET432がバイパスモードで動作され、FET450、456が昇圧モードで動作される。
【0067】
図4Lは、低電圧バッテリ434の低電流充電中における充電回路の動作を示す。図4Lでは、FET432、450、456がオフにされ、FET424~426とインダクタ410を使用して、高電圧サブシステムレール454に供給するために入力電圧をダウンコンバートし、バッテリ434の目標電圧にて、低電圧サブシステムのレール452に供給し、バッテリ434に充電するために、入力電圧をダウンコンバートする。FET428~430は、高電圧サブシステムレール454に沿ってダウンコンバートされた入力電圧で、バッテリ434の充電と高電圧サブシステム406へ電力を供給するようにするために、バイパスモードで動作する。
【0068】
図4Mは、低電圧バッテリ434の放電中における充電回路の動作を示す。図4Mでは、FET418~424、430、456はオフになっている。低電圧サブシステムのレール452はバッテリ434のバッテリ電圧から直接供給される。FET450は、インダクタ410及びFET426、432がバッテリ434からのバッテリ電圧を高電圧サブシステム406の電圧要求にアップコンバートできるように、バイパスモードで動作する。
【0069】
図4Nは、高電圧バッテリ434の高電流充電中における充電回路の動作を示す。図4Nでは、高電流での充電時には、FET430が高電圧サブシステムレール454に直線状に充電することができる。FET432、456はオフに切り替えられ、FET450は、入力電圧を、バッテリ434と低電圧サブシステムレール452への電力供給に使用されるバッテリ434の目標電圧にダウンコンバートするべく、バイパスモードで動作される。
【0070】
図4Oは、高電圧バッテリ434の低電流充電中における充電回路の動作を示す。図4Oでは、FET432、450、456はオフになっている。FET428~430は、バッテリ434の充電と、高電圧サブシステム406への電力供給を可能にするべく、バイパスモードで動作される。入力電圧は、インダクタ408及びFET420~422によってバッテリ434の目標電圧にダウンコンバートされ、目標電圧は、バッテリ434の充電と、低電圧サブシステムのレール452への電力供給とに使用される。入力電圧は、更に、高電圧サブシステムレール454に電力を供給するためにダウンコンバートされる。
【0071】
図5は、本開示の実施形態によるポータブル電子装置用の充電システムを示す。図5の充電システムは、電源502からの入力電圧、及び/又はバッテリ522からのバッテリ電圧を、バッテリ522の充電、及び/又は、1つ以上の低電圧サブシステム504及び1つ以上の高電圧サブシステム506への電力供給に用いるための1組の出力電圧に変換することができる。
【0072】
図5に示すように、充電システムはスイッチングコンバータ508を含む。スイッチングコンバータ508は、1つ以上のインダクタと、FET、ダイオード、及び/又はその他の電子スイッチング構成要素のような1組のkとを含んでよい。例えば、スイッチングコンバータ508は、各々が入力端子と負荷端子を設けた2つのインダクタ(例えば、インダクタ408~410)を含む、図4Aに示す多相式スイッチングコンバータによって提供されてよい。
インダクタ408は、インダクタ408の入力端子を入力電圧又は基準電圧(例えば、接地)に接続するように構成された2つのスイッチング機構(例えば、FET420~422によって提供されるもの)に関連付けられていてよい。インダクタ410は、更に、インダクタ410の入力端子を入力電圧、基準電圧、高電圧サブシステム406に、又、インダクタ410の負荷端子を高電圧サブシステム406にそれぞれ接続するように構成された、多数のスイッチング機構(例えば、FET424~426、430~432によって提供されるもの)に関連付けられていてもよい。
【0073】
充電システムは、電源502、バッテリ522、高電圧サブシステム506、及び/又は低電圧サブシステム504を互いに、及び/又はスイッチングコンバータ508に接続するために集合的に使用できる、スイッチング機構510~516を含んでよい。各スイッチング機構は、異なる電圧ノードどうしを選択的に接続することができ、又、スイッチ、FET(例えば、図4AのFET418~432)、ダイオード、及び/又はその他のスイッチング機構を含むことができる。例えば、スイッチング機構510は、不適切に機能する電源502(例えば、欠陥設計による電源、又は不正確に接続された電源502)から保護する逆電圧保護を提供でき、更に、電圧ノードVXからの電流が電源502(図5にVBUSとして示される)へ流れることを防ぐことができる。スイッチング機構516は、高電圧サブシステム506に電力を供給するためのバッテリ522のバッテリ電圧及び/又は目標電圧VBATにアップコンバートするべくスイッチングコンバータ508によって使用される昇圧経路に高圧サブシステム506を接続してよい。スイッチング機構514は、バッテリ電圧及び/又は目標電圧から高電圧サブシステム506に直接電力を供給するべく充電システムによって使用されるバイパス路に高電圧サブシステム506を接続してよい。スイッチング機構512は、バッテリ522の充電又は放電を有効化又は無効化するために、電圧ノードVLOをバッテリ522に選択的に接続できる。
【0074】
スイッチングコンバータ508内のインダクタは、2つ以上のインダクタ群に更にグループ分けできる。言い換えれば、スイッチングコンバータ508は、入力電圧をバッテリ522の目標電圧にダウンコンバートするために、及び/又は、バッテリ522のバッテリ電圧を、電源502の代わりとなり得る外部負荷に電力を供給するべくアップコンバートするために使用される第1インダクタ群を含んでよい。スイッチングコンバータ508は、目標電圧及び/又はバッテリ電圧を、高電圧サブシステム506に電力を供給するべくアップコンバートするために使用される第2インダクタ群を更に含んでよい。
【0075】
或るインダクタ群が2つ以上のインダクタを含む場合には、そのインダクタ群内の1つのインダクタのメンバーシップを別のインダクタ群に切り替えることで、充電システムの動作を促進することが可能である。例えば、第1インダクタ群内の2つのインダクタのうち1つを第2インダクタ群に切り替えて、1つのインダクタが第2インダクタ群の動作を向上させることができる。加えて、高電圧サブシステム506の電圧要求とバッテリ又はバッテリ522の目標電圧との間の差が閾値を超えて変化する場合には、スイッチをトリガしてよい。例えば、バッテリ522放電中の、バッテリ電圧が高電圧サブシステム506の電圧要求よりも0.4V以上降下した後に、インダクタを第1インダクタ群から第2インダクタ群へ切り替えることで、バッテリ電圧の電圧要求へのアップコンバートが促進される。反対に、バッテリ522充電中の、バッテリ電圧が高圧サブシステム506の電圧要求の付近まで又はこれを越えて上昇した後に、インダクタを第2インダクタ群から第1インダクタ群へ切り替えることで、バッテリ22の効率的な充電が促進される。
【0076】
図6は、本開示の実施形態によるポータブル電子装置内のバッテリの使用を管理する工程を例証したフローチャートを示す。1つ以上の実施形態において、1つ以上のステップを省略、反復する、及び/又は、異なる順序で実行することができる。したがって、図6に示すステップの特定の配置は実施形態の範囲の限定として解釈されるべきでない。
【0077】
まず、電源からの入力電圧を一組の出力電圧に変換し、バッテリを充電し、ポータブル電子装置の低電圧サブシステム及び高電圧サブシステムを駆動する充電回路を動作させる(動作602)。充電回路は、第一インダクタ群と第二インダクタ群を含んでいてもよい。各インダクタ群は、入力電圧、及び/又はバッテリの目標電圧を昇圧又は降圧するように構成可能な一つ以上のインダクタを含んでいてもよい。充電回路の動作中、第一インダクタ群を用いて、入力電圧、及びバッテリの満充電状態(動作604)より低いバッテリ電圧の検出時に、入力電圧をバッテリの目標電圧にダウンコンバートする。言い換えると、第一インダクタ群を用いて、入力電圧より低いバッテリの目標電圧においてバッテリを充電できる。
【0078】
充電回路の追加の動作は、バッテリの電圧状態に基づいていてもよい(動作606)。バッテリが低電圧状態の場合、第二インダクタ群を用いて、目標電圧をアップコンバートし、高電圧サブシステムを駆動する(動作608)。例えば、バッテリの低電圧状態は、バッテリの充電に用いられる目標電圧から高電圧サブシステムの直接駆動を除外するので、目標電圧はアップコンバート(例えば、昇圧)される。
【0079】
バッテリが高電圧状態の場合、両方のインダクタ群を用いて、入力電圧を目標電圧にダウンコンバートし(動作612)、バッテリを充電し、電源の入力電流から両方のサブシステムを駆動する(動作614)。高電圧状態では、目標電圧は、高電圧サブシステムの電圧要求以上である。その結果、両方のインダクタ群を用いて、電源から入力電流を供給し、入力電圧を目標電圧にダウンコンバートすることで、バッテリの効率的な充電を容易にし、同じ目標電圧から両方のサブシステムを駆動可能にする。
【0080】
バッテリが低電圧状態と高電圧状態の間にある場合、高電圧サブシステムは、第二インダクタ群からのアップコンバートされた目標電圧、及び/又は両方のインダクタ群からの目標電圧から駆動される(動作610)。言い換えると、高電圧サブシステムは、充電回路の同じ動作によって、低電圧状態(例えば、アップコンバートされた目標電圧)又は高電圧状態(例えば、目標電圧)として駆動され、高電圧サブシステム及び/又は充電回路に関連した過渡電流及び/又は他のファクタに依存する。
【0081】
図7は、開示された実施形態によるポータブル電子装置のバッテリの使用を管理する過程を示すフローチャートを示す。一つ以上の実施形態では、一つ以上のステップを省略することも、繰り返すことも、及び/又は異なる順番で実行することもできる。従って、図7に示したステップの特定の配置は、本実施形態の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0082】
まず、バッテリからのバッテリ電圧を一組の出力電圧に変換し、ポータブル電子装置の低電圧サブシステム及び高電圧サブシステムを駆動する充電回路を動作させる(動作702)。充電回路は、第一インダクタ群と第二インダクタ群を含んでいてもよい。充電回路の動作中、充電回路を用いて、バッテリの放電中、バッテリ電圧から低電圧サブシステムを直接駆動する(動作704)。従って、低電圧サブシステムは、バッテリのカットオフ電圧以下の電圧要求を有していてもよい。更に、バッテリがいったんカットオフ電圧に到達すると、バッテリの放電は中断される。
【0083】
充電回路の追加の動作は、バッテリの電圧状態に基づいていてもよい(動作706)。バッテリが低電圧状態の場合、第二インダクタ群を用いて、バッテリ電圧をアップコンバートし、高電圧サブシステムを駆動する(動作708)。例えば、バッテリの低電圧状態は、放電中のバッテリのバッテリ電圧から高電圧サブシステムの直接駆動を除外するので、バッテリ電圧はアップコンバート(例えば、昇圧)される。
【0084】
バッテリが高電圧状態の場合、高電圧サブシステムは、高電圧サブシステムへのバイパス路に沿って、バッテリ電圧から駆動される。高電圧状態では、目標電圧は、高電圧サブシステムの電圧要求以上である。その結果、バイパス路は第二インダクタ群をバイパスし、バッテリ電圧から高電圧サブシステムを直接駆動できる。
【0085】
バッテリが、高電圧状態と低電圧状態の間にある場合、高電圧サブシステムは、アップコンバートされたバッテリ電圧、及び/又はバイパス路に沿ったバッテリ電圧から駆動される(動作710)。従って、高電圧サブシステムは、充電回路の同じ動作によって、低電圧状態(例えば、アップコンバートされたバッテリ電圧)又は高電圧状態(例えば、目標電圧及びバイパス路)として駆動され、高電圧サブシステム及び/又は充電回路に関連した過渡電流及び/又は他のファクタに依存する。
【0086】
ポータブル電子装置への外部負荷の結合も検出される(動作714)。外部負荷が検出されない場合、充電回路は、バッテリの電圧状態に基づいて動作を継続できる。外部負荷が検出された場合、第一インダクタ群を用いて、バッテリ電圧をアップコンバートし、外部負荷を駆動する(動作716)。例えば、第一インダクタ群を用いて、バッテリ電圧より高く、外部負荷の電圧要求に適合する出力電圧を生成する。
【0087】
図8は、開示された実施形態によるポータブル電子装置のバッテリの使用を管理する過程を示すフローチャートである。一つ以上の実施形態では、一つ以上のステップを省略することも、繰り返すことも、及び/又は異なる順番で実行することもできる。従って、図8に示したステップの特定の配置は、本実施形態の範囲を限定するものと解釈すべきではない。
【0088】
まず、電源からの入力電圧、及び/又はバッテリからのバッテリ電圧を一組の出力電圧に変換し、バッテリを充電し、ポータブル電子装置の低電圧サブシステム及び高電圧サブシステムを駆動する充電回路を動作させる(動作802)。充電回路は、それぞれ一つ以上のインダクタを含む二つのインダクタ群を含んでいてもよい。充電回路の動作は、入力電圧をダウンコンバートすること、バッテリの目標電圧をアップコンバートすること、及び/又はバッテリのバッテリ電圧をアップコンバートすることを含んでいてもよい。
【0089】
次に、インダクタ群の間でインダクタのメンバシップを切り替え、高電圧サブシステムの電圧要求の変化、及び閾値を超えるバッテリのバッテリ電圧の検出時に、充電回路の動作を容易にする(動作804)。例えば、インダクタを第一インダクタ群から第二インダクタ群に切り替え、バッテリの効率的な充電、及び/又は高電圧サブシステムの電圧要求へのバッテリ電圧の昇圧を容易にできる。
【0090】
上記の充電回路は、任意の種類の電子装置で一般に用いられる。例えば、図9は、プロセッサ902、メモリ904及びディスプレイ908を含むポータブル電子装置900を示し、それらは、電源906によって全て駆動される。ポータブル電子装置900は、ラップトップコンピュータ、タブレットコンピュータ、携帯電話、ポータブルメディアプレーヤ、デジタルカメラ、及び/又は他の種類のバッテリ駆動の電子装置に対応できる。電源906は、図4Aに示したコンバータ等のスイッチングコンバータ、昇圧コンバータ、反転コンバータ、Cukコンバータ、SEPIC、Zetaコンバータ、及び/又は昇圧-降圧コンバータを含んでいてもよい。スイッチングコンバータは、第一インダクタ群と第二インダクタ群を含んでいてもよい。電源906は制御回路を含んでいてもよく、制御回路は、スイッチングコンバータを用いて、電源からの入力電圧、及び/又はポータブル電子装置900のバッテリからのバッテリ電圧を一組の出力電圧に変換し、バッテリを充電し、低電圧サブシステム及び高電圧サブシステムを含むポータブル電子装置900の二つ以上のサブシステムを駆動する。例えば、制御回路は、第一及び第二インダクタ群を用いて、入力電圧及び/又はバッテリ電圧を一組の出力電圧に別個に降圧及び/又は昇圧し、バッテリを充電し、低電圧サブシステム及び高電圧サブシステムを駆動できる。
【0091】
様々な実施形態の上記の説明は、例示及び説明のためだけに提示される。それらは、包括的なものではなく、開示された形態に本発明を限定するものではない。従って、多くの修正及び変形形態が、当業者には明らかである。更に、上記の開示内容は、本発明を限定するものではない。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図4H
図4I
図4J
図4K
図4L
図4M
図4N
図4O
図5
図6
図7
図8
図9