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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】板状材料の分離機械加工のための機械
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/08 20140101AFI20220111BHJP
   B23K 26/10 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
B23K26/10
【請求項の数】 9
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020020297
(22)【出願日】2020-02-10
(62)【分割の表示】P 2017564596の分割
【原出願日】2016-06-17
(65)【公開番号】P2020097058
(43)【公開日】2020-06-25
【審査請求日】2020-02-10
(31)【優先権主張番号】102015109740.0
(32)【優先日】2015-06-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】502063914
【氏名又は名称】トルンプ・ヴェルクツォイクマシーネン・ゲーエム・ベーハー・ウント・コンパニ・カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100098394
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 茂樹
(74)【代理人】
【識別番号】100064621
【弁理士】
【氏名又は名称】山川 政樹
(72)【発明者】
【氏名】ダイス,マグヌス
【審査官】奥隅 隆
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102011051170(DE,A1)
【文献】実開昭58-114213(JP,U)
【文献】特開2003-061238(JP,A)
【文献】特開2000-061739(JP,A)
【文献】特開2004-202533(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第02825090(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00-26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状被加工物(12)の機械加工ツールを有する、分離機械加工のための機械であって

前記機械は:
前記板状被加工物(12)を支持するための、間に間隙(16)が形成された2つの被加工物支持表面(14、15);及び
前記間隙(16)内を又は前記間隙(16)に沿って移動可能な少なくとも1つのキャリッジ(24、25)
を有し、
前記キャリッジは、少なくとも1つの被覆要素(30、31)に接続され、前記少なくとも1つの被覆要素(30、31)は、前記間隙(16)を少なくとも部分的に被覆し、また複数のチェーンリンク(34)を有するチェーン(37)を備え、
前記チェーンリンク(34)は上側(35)にブラシ支持体(36)を有し、互いに対して枢動可能に設計される、機械において、
互いに隣接する少なくとも2つの前記チェーンリンク(34)は、前記チェーンリンク(34)の長手方向軸(59)から外向きに延在する、少なくとも1°~60°の枢動角(β)で駆動可能であり、これにより前記チェーンリンク(34)は、加圧されていない状態において、互いに対して直線状に、前記上側(35)の向きに膨らんで整列される
前記間隙(16)内に又は前記間隙(16)に隣接して配設され、かつ前記間隙(16)内を指す、ガイド(44)が設けられ、
前記ガイド(44)によって、前記チェーンリンク(34)がガイドされ、
各前記チェーンリンク(34)の前記ブラシ支持体(36)は、前記被加工物支持表面(14、15)と同一平面上となるように、前記間隙(16)内に配設され、
前記ガイド(44)は、少なくとも1つのレール(45)を有し、
前記レール(45)は、前記間隙(16)内における前記チェーンリンク(34)のための引き下げ保持デバイス(46)として配設され、
前記被覆要素(30、31)の移動中、前記チェーンリンク(34)の前記上側(35)が、前記引き下げ保持デバイス(46)に下から当接する
ことを特徴とする、機械。
【請求項2】
前記枢動角(β)は、前記チェーンリンク(34)の前記長手方向軸(59)に対する枢動制限角(α)に隣接し、前記枢動制限角(α)は、少なくとも1°であることを特徴とする、請求項1に記載の機械。
【請求項3】
前記チェーンリンク(34)上の前記ブラシ支持体(36)は、ブラシ(39)が取り付けられたプレート(38)によって形成されることを特徴とする、請求項1に記載の機械。
【請求項4】
前記ガイド(44)は、前記引き下げ保持デバイス(46)として形成された前記レール(45)上に、ブラシ支持体(49)を有することを特徴とする、請求項に記載の機械。
【請求項5】
前記ガイド(44)は、L字型レール(45)として形成され、
前記L字型レール(45)は、前記L字型レール(45)の水平に配向された辺を用いて前記チェーンリンク(34)を引き下げて保持し、前記L字型レールの垂直な辺を用いて、側方ガイド(47)を形成する
ことを特徴とする、請求項に記載の機械。
【請求項6】
前記間隙(16)に入ってくる前記チェーンリンク(34)のための、前記間隙(16)の入口には、それぞれ支点(51)が設けられ、
前記支点(51)は、前記ガイド(44)に対して前記チェーン(37)を位置決めする
ことを特徴とする、請求項に記載の機械。
【請求項7】
前記ブラシ支持体(36)を有しないガイドセクション(43)が、前記チェーンリンク(34)の前記上側(35)に、前記チェーン(37)に沿った側縁部に沿って設けられ、
前記ガイドセクションは、前記ガイド(44)上に静置される
ことを特徴とする、請求項に記載の機械。
【請求項8】
前記間隙(16)内の前記チェーン(37)として形成された前記被覆要素(30、31)の端部(33)は、前記キャリッジ(24、25)上に移動可能に締結され、
前記チェーン(37)の他端(32)は、巻き上げシャフト(53)上又は前記ガイド内に、巻き取ることができるように配設される
ことを特徴とする、請求項に記載の機械。
【請求項9】
前記被覆要素(30、31)は、エネルギ伝達チェーンとして形成され、
前記エネルギ伝達チェーンの前記チェーンリンク(34)のハウジングカバーは、前記ブラシ支持体(36)として形成される
ことを特徴とする、請求項1に記載の機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状被加工物の分離機械加工のための機械に関し、上記機械は、上記被加工物を支持するための、間に間隙が形成された2つの被加工物支持表面を有し、また上記間隙内を又は上記間隙に沿って移動可能な少なくとも1つのキャリッジを有し、上記キャリッジは、上記間隙を少なくとも部分的に被覆する少なくとも1つの被覆要素に接続される。
【背景技術】
【0002】
板状材料の分離機械加工のためのこのような機械は、特許文献1から公知である。
【0003】
このような機械加工デバイスでは、分離機械加工のためのツール、例えばレーザ機械加工ヘッド又は打抜きツールを、間隙内又は間隙の上方に、移動可能に配設できる。特に上記機械は、被加工物を第1の方向に移動させるための第1の移動デバイス、及び被加工物を第2の方向に移動させるための第2の移動デバイスを有することができる。この機械は、被加工物を支持するための、間に間隙が形成された2つの被加工物支持表面を有する。少なくとも1つの可動キャリッジが上記間隙内に又は上記間隙に沿って設けられ、これは、上記被加工物の機械加工中に上記間隙を少なくとも部分的に被覆する少なくとも1つの被覆要素に接続される。
【0004】
このような機械の同様の構成が、特許文献2から公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】独国公開特許第102011051170号
【文献】米国公開特許第4,993,296号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、被加工物の分離機械加工のための機械を提供することであり、上記機械は、上記分離機械加工中に、被加工物パーツをより良好に支持できる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的は、上述のタイプの機械によって達成され、ここで被覆要素は、複数のチェーンリンクを有するチェーンを備え、上記チェーンリンクは上側にブラシ支持体を有し、互いから離間した少なくとも2つの上記チェーンリンクは、上記チェーンリンクの長手方向軸に対する枢動制限角を有し、これにより上記チェーンリンクは、力を印加されなくても、直線状に整列された場合に互いに対して非平面状の進路を取る。これにより、上記チェーンは、加圧されていない状態において、即ち上記チェーンリンクに力を印加することなく、ある平面に対して僅かに上向きに湾曲した進路を取る。上記チェーンリンクが、上に重なった被加工物又はガイドによって、例えば被加工物支持表面である上記平面へと移送されるとすぐに、重力方向に対向するバイアス又は力が、上記少なくとも2つの相互に隣接したチェーンリンクに作用する。これにより、上記被加工物支持表面間の間隙内に配設された上記被覆要素は、サギングを容易に防止できる。更に上記被覆要素は、上記被加工物支持表面と同様に、その上に配置された上記被加工物を支持し、これにより、略完全に閉鎖された上記被加工物支持表面が形成される。このようにして、既に部分的に切断された上記被加工物パーツの転倒又は傾斜が更に回避される。またこれにより、上記分離機械加工中、上記被加工物を、上記間隙を横断する方向に沿って、確実に移動させることがで
きる。
【0008】
分離機械加工のための上記機械のための上記被覆要素のある好ましい実施形態によると、上記チェーンの上記チェーンリンクは、特に重力方向に対して水平に整列した、凸状進路を取る。従って、特に上記間隙を閉鎖する上記被覆要素の中央領域において、より高い付勢力を達成でき、これにより少なくとも、上記被覆要素が上記間隙内に支持されないこの領域に作用する上記被覆要素の重力を相殺する。
【0009】
互いから離間した2つの上記チェーンリンク間の、上記長手方向軸に対する上記枢動制限角は、少なくとも1°である。これは、上記チェーンリンクが、上記枢動制限角によって、上記チェーンの略水平の整列において僅かに膨らんだ進路を取ることを意味する。
【0010】
上記チェーンの上記チェーンリンクは好ましくは、互いに対して1°~60°の枢動角を有し、上記枢動角は好ましくは、上記枢動制限角に直接隣接し、上記長手方向軸に対向する。このようにして構造的に簡単な構成が形成され、これにより上記枢動制限角は、巻き上げられた上記チェーンを上記間隙に直接導入するために解く間に作用できる。
【0011】
上記間隙内に配設されたキャリッジは上記被覆要素に接続され、また上記被覆要素を上記キャリッジによって上記間隙内で移動させることができ、このキャリッジは好ましくは支持用キャリッジとして形成され、上記分離機械加工によって切断される上記被加工物パーツを支持するための支持表面を有する。上記支持用キャリッジが比較的長くなるように形成されている場合、これによって、上記チェーンによって被覆する必要がある上記空隙の自由長を短く維持できる。可能な限り短いチェーンを使用すれば、上記チェーンのサギングによって発生し得る問題が回避される。
【0012】
あるいは、上記被覆要素に接続されて上記被覆要素の移動のために役立つ上記キャリッジは、支持表面を有しないものとして形成でき、また例えば、上記被覆要素の下側に、又は上記間隙に近接して上記被覆要素の隣に、配設できる。
【0013】
上記被覆要素のある好ましい実施形態によると、上記チェーン上のブラシ支持体は、ブラシが取り付けられたプレートから形成される。これにより、複数の上記チェーンリンクからなる上記チェーンの、各上記被加工物支持表面に対する簡単かつ迅速な適合を、上記被加工物支持表面のために設けられた材料を上記チェーンリンクの上記ブラシ支持体のためにも使用することによって、達成できる。
【0014】
上記機械の上記間隙内に、又は上記間隙に隣接して、ガイドを設けることが好ましく、上記ガイドによって、上記チェーンリンクがガイドされ、また上記チェーンリンクの上側の上記ブラシ支持体がそれぞれ、上記間隙内において、上記被加工物支持表面と同一平面上に整列される。上記ガイドは、上記チェーンリンク上の上記ブラシ支持体のブラシ端部が上記被加工物支持表面と同一平面上に整列するように、上記間隙内において又は上記間隙に隣接して、高さにおいて‐即ちZ方向において‐整列させることができ、これによって閉鎖された被加工物支持体が形成される。
【0015】
上記間隙内の上記機械の上記ガイドは、好ましくは少なくともレールとして構成され、これは上記チェーンリンクのための、上記間隙内での引き下げ保持(holding down)デバイスとして配設され、また上記被覆要素の移動中、上記チェーンリンクは上記レール上に静置される。所定の枢動角によって、水平面に対して僅かにZ方向を向いた膨らんだ進路を取る、個々の上記チェーンリンクは、この引き下げ保持デバイスによって引き下げられて保持され、これにより全ての上記チェーンリンクは、対向支持体としての上記引き下げ保持デバイスに、小さなバイアスで支承され、これにより、上記被加工物を
通して上記被覆要素に作用する支承力を受承できる。
【0016】
上記被覆要素と、隣接する上記被加工物支持表面との間に、閉鎖された間隙を形成できるようにするために、上記レールが上記間隙内に配設されている場合、ブラシ支持体は好ましくは、上記レールの上側に設けられる。これにより、この領域を、上記被加工物支持表面と、隣接する、上記被覆要素の移動する上記ブラシ支持体との間で閉鎖できる。
【0017】
上記機械の上記間隙内の又は上記間隙に隣接する上記ガイドのある好ましい実施形態によると、これは、L字型レールとして形成される。これにより、水平方向の(短い)辺を引き下げ保持デバイスとして形成できる。Z方向に整列された(長い)辺は、上記被覆要素を上記間隙内において制御下で移動させるために、上記チェーンリンクの上記被覆要素(これは前後に移動できる)のための側方ガイドを形成できる。これにより、上記被覆要素を上記間隙内において制御下で移動させるためには、上記チェーンの片側のガイドで十分となり得る。
【0018】
上記ガイドの更なる有利な実施形態によると、このガイドは、上記被加工物支持表面間に形成された上記間隙に沿って延在する。上記間隙に入る上記チェーンリンクのための支点は好ましくは、上記間隙の入口に設けられ、上記支点は上記チェーンを上記ガイドに対して位置決めする。これにより、少なくとも1つのチェーンの、上記間隙に出入りする間の確実な移動が可能となる。
【0019】
更に、ブラシ支持体を有しないガイドセクションは好ましくは、上記チェーンリンクの上側に、上記チェーンに沿った側縁部に沿って形成され、上記ガイドセクションは上記ガイド上に静置される。これにより、上記チェーンは、更なる厄介な手段又は追加のアタッチメントを上記チェーンリンク上に必要とすることなく、上記ガイドによって、即ち例えば引き下げ保持デバイスとして形成された上記レールによって、直接ガイドできる。
【0020】
上記機械の更なる有利な実施形態によると、チェーンとして形成された上記被覆要素の端部は、上記間隙内で移動可能な上記キャリッジに固定され、また上記チェーンの他端は、巻き上げシャフト上に設けられるか、又はガイドに巻き取ることができるように配設される。これにより、上記被覆要素の、空間を節約したハウジングを形成できる。
【0021】
ある好ましい実施形態によると、上記被覆要素は、エネルギ伝達チェーンとして形成され、これは、好ましくは少なくとも1つの供給ラインを受承するための受承空間を備える。これにより、コスト効率の高い構成が可能となる。更に、エネルギ伝達チェーンとして形成された被覆要素は、ライン又はケーブルのガイドとしても使用できる。上記エネルギ伝達チェーンのチェーンリンクのハウジングカバーは、ここではブラシ支持体として形成されるか、又はブラシ支持体を受承する。更に、簡単な交換によって、エネルギ伝達チェーンの上記チェーンリンクの通常のハウジングカバーを、ブラシ支持体に交換できる。
【0022】
本発明の目的は更に、上述のタイプの機械のための被覆要素によって達成され、上記被覆要素は、複数のチェーンリンクを有するチェーンからなり、上記チェーンリンクは上側に、好ましくはブラシが取り付けられたプレートで形成されたブラシ支持体を有し、互いに隣接した少なくとも2つの上記チェーンリンクは、上記チェーンリンクの長手方向軸に対する枢動制限角を有し、これにより上記チェーンリンクは、力を印加されなくても、互いに対して非直線状の進路を取る。更に、個々の上記チェーンリンクが、ある平面内に配設されると、この枢動制限角によって、個々の上記チェーンリンク間にバイアスが生成される。上記チェーンリンクをある水平面内で整列させると、上記チェーンリンク間の上記バイアスは、重力の方向に対向して力を印加し、これにより、被加工物を支持する際、支持力は、被加工物支持表面内の間隙内において上記被加工物支持表面を支持するようにも
作用する。
【0023】
上記被覆要素は、互いと直線状に整列された場合に、凸状の進路を、特に上記チェーンが水平に整列されている場合に、重力方向に対して膨らんだ進路を、取ることができる。よって例えば、重力方向に対向する、即ち垂直方向上向きの、上記チェーンの凸状の進路を、例えば各上記チェーンリンクを上記被覆要素と水平に整列させて支持する2つの支点の間に確立でき、これにより、上記被覆要素を水平面へと移送すると、個々の上記チェーンリンク間に付勢力が形成され、これは、支持要素としての上記被覆要素上に静置された被加工物に対して反作用する。
【0024】
2つの上記チェーンリンク間のこのような枢動制限角は、少なくとも1°である。特に、長い間隙を埋める必要がある場合には、上記枢動制限角は増大する。
【0025】
更に、上記被覆要素の上記チェーンリンクは、上記チェーンリンクの上記長手方向軸から延在する、1°~60°の枢動角を有することができ、これは上記枢動制限角に直接隣接する。これによって簡単な構造的解決策が得られ、この解決策では、第1に上記チェーンの巻き上げ又は巻き取りが可能となり、第2に、上記チェーンを例えば2つの上記被加工物支持表面の間の間隙に導入する際に、上記チェーンリンクの、互いに対する独立した整列を実施できる。
【0026】
上記被覆要素は特に、上述のタイプの機械の部分的又は全体的な間隙カバーのために設けられる。ブラシを設けられたこのような被覆要素は、間に間隙が形成された2つの被加工物支持表面を有する、被加工物の分離機械加工のための機械のための、間隙カバーとして機能でき、これにより上記被加工物の機械加工中、この被加工物を可能な限り大きな表面積に亘って支持できる。
【0027】
上記被覆要素は好ましくは、上記チェーンの側縁部に沿って、上記チェーンリンクの上側にブラシ支持体を有しないガイドセクションを有する。これにより、上記チェーンを引き下げて保持することによって、簡単なガイドを促進できる。
【0028】
更に、上記チェーンリンク、及び上記チェーンリンク間のヒンジ接続は好ましくは、捩りに対して剛性となるように形成される。これにより、上記間隙内で上記被覆要素を片側でガイドできる。このようにして例えば、比較的長い間隙を覆う場合であっても、このような被覆要素を自立した様式で上記間隙内に配設するためには、上記チェーンリンクの上側の一方の側部に形成された接触表面、又は特に引き下げ保持デバイスとして形成されたガイドに隣接するガイドセクションで十分となる。
【0029】
上記被覆要素の更なる有利な実施形態によると、上記被覆要素は、支持用シースを有するエネルギ伝達チェーンとして形成され、上記支持用シースの内部にはガイドチャネルが設けられ、上記ガイドチャネルは好ましくは少なくとも1つのラインを受承する役割を果たし、ここで上記支持用シースの上記チェーンリンクのハウジングカバーは、ブラシ支持体として形成されるか、又はブラシ支持体を受承する。これにより、上記ハウジングカバーに適合した、規格化されたチェーンリンクを採用でき、これにより上記ブラシ支持体は、上記被覆要素の使用が想定される分離機械加工のための上記機械の上記被加工物支持表面に対応する。
【0030】
上記被覆要素において、上記ブラシ支持体は好ましくは、ブラシの独立した複数の束で形成され、特に上記個々のブラシ束の互いからの距離は40mm以下である。このようにして上記間隙に十分な支持を提供することにより、例えば残部用グリッドに残っている、小さな、既に切断された又は部分的に切断された被加工物パーツを、転倒させることなく
収容できる。
【0031】
本発明、並びに本発明の更なる有利な実施形態及び発展形態について、図面に図示されている実施例を参照して更に記載及び説明する。この記載及び図面から把握できる特徴は、本発明に従って別個に又はいずれの組み合わせで適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1図1は、2つの被加工物支持体間の間隙内に配設された少なくとも1つの被覆要素を有する、分離機械加工のための機械の斜視図である。
図2図2は、図1の切断線II‐IIによる、上記機械の上記間隙内の上記被覆要素の概略拡大詳細図である。
図3図3は、図1の機械による、上記間隙内にガイドを有する、支持用キャリッジ上に配設された被覆要素の斜視図である。
図4図4は、図1に示す上記被覆要素のチェーンリンクの斜視図である。
図5図5は、2つの隣接するチェーンリンクの斜視図である。
図6図6は、上記間隙内のガイド、及び上記被覆要素の固定端部の代替的な接続を有する、上記被覆要素の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
図1では、機械加工ツールを有する、点線で示された板状被加工物12の分離機械加工のための機械11が例として図示されており、この例では、上記分離機械加工は、機械加工ツールとして切断用ジェット13を用いて実施される。機械11は、レーザビームを用いて被加工物12をレーザカットするためのレーザ機械ツールとして形成できる。被加工物12の切断のために、切断用ジェット13は、プラズマジェット又は水噴射とすることもできる。あるいは上記分離機械加工は、例えば打抜きツールの形態の機械ツールを用いて実施できる。機械加工中、被加工物12は2つの被加工物支持表面14、15上に静置され、これら2つの被加工物支持表面14、15は、図示されている例では2つの作業テーブルの上側を形成し、被加工物12を支持するための支持平面E(XYZ座標系におけるXY平面)を定義する。被加工物支持表面14、15は、テーブルトップ若しくはピン型支持要素によって、支持バンド、ローラ、ボール、空気軸受によって、又は特にブラシによって、形成できる。被加工物12を保持するためのクランプ爪の形態の駆動及びクランプ留めデバイス18を有する、移動及び操作デバイス17を用いて、被加工物支持表面14、15上の被加工物12を、第1の移動方向Xにおいて制御下で移動させ、所定の被加工物位置へと移動させることができる。また例えば、被加工物支持表面14、15自体を、例えば本出願人による独国公開特許第102011051170号又は特開平06‐170469に記載されているような1つ又は複数のコンベアベルトの形態等の、X方向における被加工物12の移動又は移動の支持のための移動デバイスとして設計することもできる。
【0034】
2つの被加工物支持表面14、15の間には間隙16が形成され、これは切断ヘッド19の全移動距離に亘って、第2の方向(Y方向)に延在し、切断ヘッド19は切断用ジェット13を整列させて、被加工物12に焦点を定める。切断ヘッド19は、移動デバイスとして機能する駆動されたキャリッジ21を用いて、上記間隙16の上方をY方向に制御下で移動させることができ、キャリッジ21は、固定された構台20上でガイドされる。更に、図示されている例では、間隙16内の切断ヘッド19は、X方向にも制御下で移動させることができ、またキャリッジ21上に設置された、例えば直線駆動装置の形態の追加の移動デバイス22の支援によって、X方向に制御下で移動させることができる。X方向における切断ヘッド19の最大の移動は、図示されている例では、間隙16の幅より小さい。上下に重ねて構成された移動デバイス21、22の支援により、切断ヘッド19を、上記空隙内の所望の切断位置に、X方向及びY方向の両方について位置決めできる。必
要であれば、切断ヘッド19を第3の移動方向(Z方向)にも移動させて、切断ヘッド19の機械加工ノズル23と被加工物表面との間の距離を調整することもできる。
【0035】
2つの支持用キャリッジ24、25が間隙16内に配設され、これらはそれぞれ、間隙16の幅に亘って延在し、また上記間隙内において、Y方向に、互いに独立に制御下で移動させることができる。間隙16内における支持用キャリッジ24、25の制御下での移動は例えば、各支持用キャリッジ24、25に設置された駆動装置の支援によって実施できる。例えばスピンドル駆動装置を設けることができる。
【0036】
機械11は、切断機械加工を制御するための制御デバイス26を有し、これは、所望の被加工物位置及び所望の切断ヘッド位置、並びに支持用キャリッジ24、25の所望の位置を設定することによって、所定の切断輪郭の切断を可能とし、かつ間隙16の領域内に被加工物12を支持するために、被加工物12、切断ヘッド19及び支持用キャリッジ24、25の移動を協調させる役割を果たす。
【0037】
支持用キャリッジ24、25は、切断用ジェット13を用いて機械加工されることになる被加工物12が機械加工中に静置される、支持表面27、28を有する。少なくとも1つの被覆要素30、31の各端部は、支持用キャリッジ24、25の支持表面27、28の外縁部に取り付けられ、上記外縁部は互いに反対を向いており、X方向に延在して、間隙16を被覆する。各被覆要素30、31は好ましくは、各支持用キャリッジ24、25上に配設される。支持用キャリッジ24、25の間には、実際の切断領域が形成され、この切断領域には、別の1つ又は複数の更なる支持用キャリッジを配設できる。上記追加の支持用キャリッジは、異なる設計の表面、例えば金属の平滑な表面を有することができ、キャリッジ24、25と連結されたまま移動可能とすることができる。
【0038】
あるいは間隙16内に1つの支持用キャリッジ24のみを設けることができ、この支持用キャリッジ24と、1つ又は2つの被覆要素30、31が係合する。更なる変形例では、被覆要素30、31に接続され、被覆要素30、31の移動のために機能する、1つ又は複数のキャリッジ24、25は、支持表面27、28を有さずに形成され、例えば被覆要素30、31の下方に配設される。
【0039】
図2では、図1の線II‐IIに沿った概略断面図が示されている。間隙16、及び間隙16に係合する被加工物支持表面14、15、及び移動デバイス21、22は、拡大されて示されている。明瞭さのために、他の構成部品は図示しなかった。
【0040】
被覆要素30又は31は、2つの被加工物支持表面14、15間の間隙16内に配設され、上記被覆要素は、チェーン37として形成され、複数のチェーンリンク34を有する(図4)。各チェーンリンク34の上側35には、ブラシ支持体36が設けられる。このブラシ支持体36は、ブラシの複数の束39が分散して設けられたプレート38からなるものとすることができ、ここでブラシ束39のブラシ長さは、被加工物12の水平支持体を形成するために、被覆要素30、31を間隙16内に位置決めしている間、これらの束が被加工物支持表面14、15と同一平面上となるように選択される。
【0041】
チェーンリンク34の上側35上(あるいはプレート38の表面上)に横向きに位置決めされたガイドセクション43は、自由なままであり、これにより、ガイド44は、チェーンリンク34の上側35又はプレート38と係合して、上記チェーンリンクを間隙16内へとガイドできる。このガイド44はレール45として形成され、例えば被加工物支持表面14、15の下側に、又はこれ以上詳細には説明されない機械テーブル上に、ホルダ48を用いて締結される。レール45は、少なくとも1つの引き下げ保持デバイス46を備え、チェーンリンク34の上側35又はプレート38は下からこの引き下げ保持デバイ
ス46に当接する。レール45は好ましくはL字型に形成され、このL字型レールの短い辺は、引き下げ保持デバイス46を形成し、垂直に配向された長い辺は、チェーンリンク34のための側方ガイド47を形成する。引き下げ保持デバイス46上には、被加工物支持表面15とチェーンリンク34のブラシ支持体36との間に形成された空間を閉鎖するために、ブラシ支持体49が更に設けられる。このブラシ支持体49の設計は有利には、チェーンリンク34の設計に対応する。
【0042】
図3では、被加工物支持表面14、15が隣接していない被覆要素30、31の斜視図が示されている。ガイド44は、被加工物支持表面14、15間にY方向に延在する間隙16に沿って延在し、これにより被覆要素30、31は、支持用キャリッジ24、25の位置とは独立して、従って被覆要素30、31の位置とは独立して、ガイド及び整列される。互いに隣接するチェーンリンク34は、ある方向に枢動可能にヒンジ留めすることによって互いに接続され、これにより、巻きを解いて偏向させることができる。チェーンリンク34を、好ましくは被加工物支持表面14、15の水平面に対して平行である平面へと移送する間、所定の枢動制限角αにより、上記平面に対してチェーンリンク34が膨らんで整列される(図5)。ガイドセクション43はチェーンリンク34の上側35に形成され、上記ガイドセクションは引き下げ保持デバイス46によって間隙16に沿って引き下げられて保持されるため、バイアスがチェーンリンク34に作用し、これにより、被覆距離が比較的長い場合であっても、被覆要素30、31のサギングが防止される。枢動角のこの実施形態により、チェーンリンク34は、ガイド44の全長に沿って、間隙16に対する所定の位置に保持され、上記間隙を閉鎖する。
【0043】
間隙16の入口には、引き下げ保持デバイス46の下側に支点51が設けられ、これにより、間隙16内における、ガイド44に対するチェーンリンク34の所定の導入位置が形成される。この支点51は特に、概略的にしか図示されていない巻き上げシャフト53を用いて、被覆要素30、31の端部32が、例えば被加工物支持表面14、15の下側又は隣で巻き上げられる場合及び解かれる場合に、提供される。ここで巻き上げシャフト53は、巻き上げシャフト53が収容する被覆要素30、31の巻き上げに応じて、Z方向及び/又はY方向に移動でき、これにより、被覆要素30、31が被加工物支持表面14、15を超えて突出するのを低減できる。
【0044】
チェーン37の1つのチェーンリンク34又は2つの隣接するチェーンリンク34の、斜視図が図4に、側面図が図5に示されている。支持用シース41は、ヒンジ57、58がそれぞれ端部に形成された側壁55、56を備える。チェーンリンク34のヒンジ57、58は、2つの隣接するチェーンリンク34間の枢動角βを制限できる。枢動角βは例えば1°~60°とすることができる。角度付き位置では、あるチェーンリンク34の側壁54の長手方向軸59の枢動位置は、隣接するチェーンリンクの側壁54の長手方向軸59に対して、例えば1°から例えば10°、20°、30°又はそれ以上までの枢動角βを有して整列される。非枢動位置では、チェーンリンク34は、例えば1°の枢動制限角αで、互いに整列され、これにより、隣接するチェーンリンク34の長手方向軸59は共通の軸とはならない。上記枢動制限角αは、チェーンリンク34の長手方向軸59に、ある方向において直接隣接する。上記枢動角βは、同一の方向を指し、かつ上記枢動制限角αに隣接するように設けられ、これは、2つのチェーンリンクの互いに対する枢動領域を決定及び制限する。側壁55、56間にはバー61、62が延在し、このバー61、62によって、支持用シース41にガイドチャネル42が形成される。供給ラインは、ガイドチャネル42内においてガイドできる。ブラシ支持体36は、側方にオフセットされた状態で、ハウジングカバーを形成するリブ61に取り付けることができ、これによりガイドセクション43は、チェーンリンク34の側方範囲に沿ったままとなる。
【0045】
個々のチェーンリンク34は、支持用シース41によって、捩りに対して本質的に剛性
となるように形成される。ヒンジ57、58も同様に、チェーンリンク34の隣接するヒンジ57、58に、捩りに対して剛性となるように接続される。支持用キャリッジ24、25に連結されたチェーンリンク34は、支持用キャリッジ24、25にしっかりと固定される。特にチェーンリンク34は、支持用キャリッジ24、25上に、捩りに対して剛性となり、かつ回転しないように配設される。チェーン37の反対側の端部32も同様に、捩りに対して剛性であり、巻き上げシャフト53、ガイド又は固定軸受点上の最後のチェーンリンク34に対して回転しない。
【0046】
図5は、支持用キャリッジ24、25と反対側の被覆要素30、31の端部32が軸受点に固定されて配設されている、図3の代替実施形態を示す。ここでは、被覆要素30、31の固定端部32からガイド44の引き下げ保持デバイス46への距離は、チェーンリンク34の互いに対する最大枢動角によって決定できる。この場合、この距離は好ましくは、180°の偏向の場合の上記チェーンの枢動半径より小さくなるように設定され、これにより、距離が削減されたことによって上記チェーンに対してバイアスが形成され、これによって支持体又は支点51が不要となる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6