(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】電池パック加熱システム及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/633 20140101AFI20220111BHJP
H01M 10/615 20140101ALI20220111BHJP
H01M 10/625 20140101ALI20220111BHJP
H01M 10/637 20140101ALI20220111BHJP
H01M 10/651 20140101ALI20220111BHJP
H02J 7/04 20060101ALI20220111BHJP
H02J 7/10 20060101ALI20220111BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20220111BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20220111BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20220111BHJP
B60L 53/66 20190101ALI20220111BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20220111BHJP
B60L 58/25 20190101ALI20220111BHJP
B60L 58/27 20190101ALI20220111BHJP
B60L 9/18 20060101ALI20220111BHJP
【FI】
H01M10/633
H01M10/615
H01M10/625
H01M10/637
H01M10/651
H02J7/04 L
H02J7/10 L
H02J7/00 P
B60L50/60
B60L53/14
B60L53/66
B60L58/12
B60L58/25
B60L58/27
B60L9/18 J
(21)【出願番号】P 2020048833
(22)【出願日】2020-03-19
【審査請求日】2020-03-19
(31)【優先権主張番号】201910547455.8
(32)【優先日】2019-06-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】左希陽
(72)【発明者】
【氏名】但志敏
(72)【発明者】
【氏名】鄭雄
(72)【発明者】
【氏名】李宝
(72)【発明者】
【氏名】王天聡
【審査官】早川 卓哉
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-089915(JP,A)
【文献】特許第5849917(JP,B2)
【文献】中国特許第105762434(CN,B)
【文献】特表2013-518550(JP,A)
【文献】特開2020-110042(JP,A)
【文献】特開2020-109754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/60-10/667
H01M10/42-10/48
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
B60L1/00-3/12
B60L5/00-5/42
B60L7/00-13/00
B60L15/00-58/40
B60M1/00-7/00
B60R16/00-17/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池パック加熱システムであって、
電池パックの正極に接続されたメイン正極スイッチと、前記電池パックの負極に接続されたメイン負極スイッチと、前記メイン正極スイッチ及び前記メイン負極スイッチに接続されたインバータと、前記インバータに接続された外部ポートと、前記インバータに接続されたモータと、補助充電分岐回路制御モジュールと、車両全体コントローラと、モータコントローラと、電池管理モジュールとを備え、
前記インバータは、複数のスイッチモジュールを含み、
前記外部ポートは、電力供給源を含む補助充電分岐回路に接続され、
前記電池管理モジュールは、前記電池パックの状態パラメータを取得し、且つ前記電池パックの状態パラメータが予め設定された低温低電力条件を満たす場合、前記車両全体コントローラ及び前記補助充電分岐回路制御モジュールにそれぞれ低温低電力加熱要求コマンドを送信
し、前記状態パラメータは温度と充電状態を含み、前記予め設定された低温低電力条件は前記温度が加熱温度閾値未満であり、且つ前記充電状態が加熱充電状態要求閾値未満であることを含むように構成されていて、
前記補助充電分岐回路制御モジュールは、前記低温低電力加熱要求コマンドに応答して、前記補助充電分岐回路に第1の制御信号を送信して、前記電池パック加熱システムと前記補助充電分岐回路との間が導通されるように制御することで、前記電力供給源が前記外部ポートを介して前記電池パック及び/又は前記モータにエネルギーを伝達するように構成されていて、
前記車両全体コントローラは、前記低温低電力加熱要求コマンドに応答して、前記モータコントローラに第2の制御信号を送信して、モータコントローラに前記インバータにおけるスイッチモジュールのオン・オフを制御させ、且つ、前記電池管理モジュールに第3の制御信号を送信して、電池管理モジュールに前記メイン正極スイッチのオン・オフを制御させることで、前記電池パックと前記モータとの間で相互にエネルギーを伝達させて、前記電池パックを加熱するように構成されている
ことを特徴とする電池パック加熱システム。
【請求項2】
前記モータコントローラは、前記第2の制御信号に応答して、前記インバータにおける一部のスイッチモジュールに第1の駆動信号を送信して、前記一部のスイッチモジュールを周期的にオン・オフさせるように駆動することで、前記モータが前記電力供給源から伝達されたエネルギーを受けたり、前記モータが前記電池パックから伝達されたエネルギーを受けたり、前記モータがエネルギーを前記電池パックに伝達したりさせるように構成され、
前記電池管理モジュールは、前記第3の制御信号に応答して、前記メイン正極スイッチに第2の駆動信号を送信して、前記メイン正極スイッチを周期的にオン・オフするように駆動することで、前記電池パックが前記電力供給源から伝達されたエネルギーを受けたり、前記電池パックが前記モータから伝達されたエネルギーを受けたり、前記電池パックが前記モータにエネルギーを伝達したりさせるように構成される
ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック加熱システム。
【請求項3】
前記インバータは、並列に接続された第1相アームと、第2相アームと、第3相アームとを備え、前記第1相アーム、前記第2相アーム、及び前記第3相アームはいずれも上アームと下アームを有し、且つ前記上アームにスイッチモジュールが設置され、前記下アームにスイッチモジュールが設置されており、
前記第1の駆動信号に応答してオンされるスイッチモジュールは、対象上アームスイッチモジュールと対象下アームスイッチモジュールとを含み、前記対象上アームスイッチモジュールは、前記第1相アーム、前記第2相アーム、前記第3相アームにおけるいずれかのアームの上アームのスイッチモジュールであり、前記対象下アームスイッチモジュールは、前記対象上アームスイッチモジュールが位置しているアームを除く少なくとも一つのアームの下アームのスイッチモジュールであり、
前記スイッチモジュールは、ダイオードを有し、
前記上アームの前記スイッチモジュールにおいて、前記ダイオードのアノードは、前記上アームと前記下アームとの接続点に接続されて、前記ダイオードのカソードは、前記上アームと前記メイン正極スイッチとの間に位置していて、
前記下アームの前記スイッチモジュールにおいて、前記ダイオードのアノードは前記下アームと前記メイン負極スイッチとの間に位置していて、前記ダイオードのカソードは、前記上アームと前記下アームとの接続点に接続されて、
前記モータの第1相入力端子、第2相入力端子及び第3相入力端子は、それぞれ、前記第1相アームにおける上アームと下アームとの接続点、前記第2相アームにおける上アームと下アームとの接続点、及び前記第3相アームにおける上アームと下アームとの接続点に接続されている
ことを特徴とする請求項2に記載の電池パック加熱システム。
【請求項4】
前記インバータに並列に接続された支持コンデンサをさらに備え、
前記支持コンデンサは、
前記第2の駆動信号は前記メイン正極スイッチをオンさせるように駆動した場合、前記第1の駆動信号は前記一部のスイッチモジュールをオフさせるように駆動することで、前記電池パックが前記支持コンデンサにエネルギーを伝達したり、前記電池パックが前記モータから伝達されたエネルギーを受けたりさせ、
第1の駆動信号は一部のスイッチモジュールをオンさせるように駆動した場合、第2の駆動信号は前記メイン正極スイッチをオフさせるように駆動することで、前記モータが前記支持コンデンサから伝達されるエネルギーを受け取るように構成されている
ことを特徴とする請求項
2に記載の電池パック加熱システム。
【請求項5】
前記メイン正極スイッチに並列に接続されたプリチャージ分岐回路をさらに備え、前記プリチャージ分岐回路は、プリチャージスイッチとプリチャージ抵抗とを含み、
前記電池管理モジュールは、前記プリチャージスイッチに第3の駆動信号を送信して、プリチャージスイッチをオンさせるように制御することで、プリチャージを行うように構成されている
ことを特徴とする請求項
4に記載の電池パック加熱システム。
【請求項6】
前記電力供給源の電圧は、前記電池パックの現在の電圧より高いように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック加熱システム。
【請求項7】
前記補助充電分岐回路をさらに有し、前記補助充電分岐回路は、更に補助スイッチモジュールをさらに含み、
前記補助充電分岐回路制御モジュールは、前記低温低電力加熱要求コマンドに応答して、前記補助スイッチモジュールに前記第1の制御信号を送信して、前記補助スイッチモジュールをオンさせるように制御するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック加熱システム。
【請求項8】
前記電池管理モジュールは、前記電池パックの温度が前記加熱温度閾値未満であり、且つ、前記電池パックの充電状態が前記加熱充電状態要求閾値以上である場合に、前記補助充電分岐回路制御モジュールに低温加熱要求コマンドを送信するように構成されていて、
前記補助充電分岐回路制御モジュールは、前記低温加熱要求
コマンドに応答して、前記補助充電分岐回路に第4の制御信号を送信して、前記電池パック加熱システムと前記補助充電分岐回路との間が遮断されるように制御するように構成されている
ことを特徴とする請求項
1に記載の電池パック加熱システム。
【請求項9】
前記電池管理モジュールは、前記電池パックの温度が前記加熱温度閾値以上であり、且つ、前記電池パックの充電状態が前記加熱充電状態要求閾値以上である場合に、前記車両全体コントローラ及び前記補助充電分岐回路制御モジュールにそれぞれ加熱停止要求コマンドを送信するように構成されていて、
前記補助充電分岐回路制御モジュールは、前記加熱停止要求コマンドに応答して、前記補助充電分岐回路に第5の制御信号を送信して、前記電池パック加熱システムと前記補助充電分岐回路とが遮断されるように制御するように構成されていて、
前記車両全体コントローラは、前記加熱停止要求コマンドに応答して、前記モータコントローラに第6の制御信号を送信し、前記電池管理モジュールに第7の制御信号を送信するように構成されていて、
前記モータコントローラは、前記第6の制御信号に応答して、前記インバータにおける一部のスイッチモジュールへの第1の駆動信号の送信を停止するように構成されていて、
前記電池管理モジュールは、前記第7の制御信号に応答して、前記メイン正極スイッチへの第2の駆動信号の送信を停止するように構成されている
ことを特徴とする請求項
1に記載の電池パック加熱システム。
【請求項10】
前記電池管理モジュールは、取得した前記電池パックの状態パラメータを前記車両全体コントローラに送信するように構成されていて
、
前記車両全体コントローラは、受信した前記電池パックの状態パラメータを前記モータコントローラに送信するように構成されていて、
前記モータ
コントローラは、所望の昇温速度及び受信した前記電池パックの状態パラメータに基づいて、第1の所望の周波数及び第1の所望のデューティ比を算出し、且つ前記第1の駆動信号の周波数及びデューティ比を前記第1の所望の周波数及び前記第1の所望のデューティ比に調整するように構成されている
ことを特徴とする請求項
2に記載の電池パック加熱システム。
【請求項11】
前記電池管理モジュールは、取得した前記電池パックの充電状態を前記車両全体コントローラに送信するように構成されていて、
前記車両全体コントローラは、受信した前記電池パックの充電状態を前記モータコントローラに送信するように構成されていて、
前記モータコントローラは
、モータパラメータを取得し、且つ所望のモータパラメータ、前記モータパラメータ、及び受信した前記電池パックの充電状態に基づいて、第2の所望の周波数及び第2の所望のデューティ比を算出し、且つ前記第1の駆動信号の周波数及びデューティ比を前記第2の所望の周波数及び前記第2の所望のデューティ比に調整するように構成されていて、
前記モータパラメータは、母線電流又は前記モータの相電流を含む
ことを特徴とする請求項
2に記載の電池パック加熱システム。
【請求項12】
前記電池管理モジュールは、所望の昇温速度及び取得した前記電池パックの状態パラメータに基づいて、第3の所望の周波数及び第3の所望のデューティ比を算出し、且つ前記第2の駆動信号の周波数及びデューティ比を前記第3の所望の周波数及び前記第3の所望のデューティ比に調整するように構成されていて、
前記状態パラメータは、充電状態及び温度を含む
ことを特徴とする請求項
2に記載の電池パック加熱システム。
【請求項13】
前記モータコントローラは、モータパラメータを取得し、且つ前記モータパラメータを前記車両全体コントローラに送信するように構成されていて、
前記モータパラメータは母線電流又は前記モータの相電流を含み、
前記車両全体コントローラは、受信した前記モータパラメータを前記電池管理モジュールに送信するように構成されていて、
前記電池管理モジュールは、所望のモータパラメータ、取得した前記電池パックの充電状態、及び受信した前記モータパラメータに基づいて
、第4の所望の周波数及び第4の所望のデューティ比を算出し、且つ前記第2の駆動信号の周波数及びデューティ比を前記第4の所望の周波数及び前記第4の所望のデューティ比に調整するように構成されている
ことを特徴とする請求項
2に記載の電池パック加熱システム。
【請求項14】
前記モータコントローラは、モータパラメータを取得し、且つ前記モータパラメータを前記車両全体コントローラに送信するように構成されていて、
前記モータパラメータは母線電流又は前記モータの相電流を含み、
前記車両全体コントローラは、受信した前記モータパラメータを前記電池管理モジュールに送信するように構成されていて、
前記電池管理モジュールは、前記電池パックの現在の温度、前記電池パックの所望の温度、前記モータパラメータ、及び所望のモータパラメータに基づいて、前記電池パックの予測加熱時間を取得し、且つ前記予測加熱時間を含む時間長さ情報を前記車両全体コントローラに送信するように構成されていて、
前記車両全体コントローラは、前記時間長さ情報を受信し、且つ予測加熱時間を提示するための提示メッセージを送信するように構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の電池パック加熱システム。
【請求項15】
前記加熱温度閾値は-50℃以上且つ5℃以下であり、
前記加熱充電状態要求閾値は5%以上且つ100%未満である
ことを特徴とする請求項
1に記載の電池パック加熱システム。
【請求項16】
請求項1乃至
15のいずれか1項に記載の電池パック加熱システムに適用される電池パック加熱システムの制御方法であって、
前記電池管理モジュールが、前記電池パックの状態パラメータを取得し、且つ前記電池パックの状態パラメータが予め設定された低温低電力条件を満たす場合、前記車両全体コントローラ及び前記補助充電分岐回路制御モジュールにそれぞれ低温低電力加熱要求コマンドを送信
し、前記状態パラメータは温度と充電状態を含み、前記予め設定された低温低電力条件は前記温度が加熱温度閾値未満であり、且つ前記充電状態が加熱充電状態要求閾値未満であることを含むことと、
前記補助充電分岐回路制御モジュールは、前記低温低電力加熱要求コマンドに応答して、前記補助充電分岐回路に第1の制御信号を送信して、前記電池パック加熱システムと前記補助充電分岐回路との間が導通されるように制御することで、前記電力供給源が前記外部ポートを介して前記電池パック及び/又は前記モータにエネルギーを伝達することと、
前記車両全体コントローラは、前記低温低電力加熱要求コマンドに応答して、前記モータコントローラに第2の制御信号を送信して、モータコントローラに前記インバータにおけるスイッチモジュールのオン・オフを制御させ、且つ、前記電池管理モジュールに第3の制御信号を送信して、電池管理モジュールに前記メイン正極スイッチのオン・オフを制御させることで、前記電池パックと前記モータとの間で相互にエネルギーを伝達させて、前記電池パックを加熱することと
ことを含むことを特徴とする電池パック加熱システムの制御方法。
【請求項17】
前記モータコントローラは、前記第2の制御信号に応答して、前記インバータにおける一部のスイッチモジュールに第1の駆動信号を送信して、前記一部のスイッチモジュールを周期的にオン・オフさせるように駆動することで、前記モータが前記電力供給源から伝達されたエネルギーを受けたり、前記モータが前記電池パックから伝達されたエネルギーを受けたり、前記モータがエネルギーを前記電池パックに伝達したりさせることと、
前記電池管理モジュールは、前記第3の制御信号に応答して、前記メイン正極スイッチに第2の駆動信号を送信して、前記メイン正極スイッチを周期的にオン・オフするように駆動することで、前記電池パックが前記電力供給源からから伝達されたエネルギーを受けたり、前記電池パックが前記モータから伝達されたエネルギーを受けたり、前記電池パックが前記モータにエネルギーを伝達したりさせることと
をさらに含むことを特徴とする請求項
16に記載の電池パック加熱システムの制御方法。
【請求項18】
前記電池パック加熱システムが、前記インバータに並列に接続された支持コンデンサをさらに備え、
前記第2の駆動信号は前記メイン正極スイッチをオンさせるように駆動した場合、前記第1の駆動信号は前記一部のスイッチモジュールをオフさせる
ように駆動することで、前記電池パックが前記支持コンデンサにエネルギーを伝達したり、前記電池パックが前記モータから伝達されたエネルギーを受けたりさせ、
前記第1の駆動信号は前記一部のスイッチモジュールをオンさせるように駆動した場合、第2の駆動信号は前記メイン正極スイッチをオフさせるように駆動することで、前記モータが前記支持コンデンサから伝達されるエネルギーを受け取るようにする
を特徴とする請求項17に記載の電池パック加熱システムの制御方法。
【請求項19】
前記電池パック加熱システムは、前記メイン正極スイッチに並列に接続されたプリチャージ分岐回路をさらに備え、前記プリチャージ分岐回路は、プリチャージスイッチとプリチャージ抵抗とを含み、
前記電池パック加熱システムの制御方法は、
前記電池管理モジュールは、前記プリチャージスイッチに第3の駆動信号を送信して、プリチャージスイッチをオンさせるように制御することで、プリチャージを行うこと
をさらに含むことを特徴とする請求項
16に記載の電池パック加熱システムの制御方法。
【請求項20】
前記電力供給源の電圧は、前記電池パックの現在の電圧より高い
ことを特徴とする請求項
16に記載の電池パック加熱システムの制御方法。
【請求項21】
前記電池パック加熱システムは、前記補助充電分岐回路をさらに有し、前記補助充電分岐回路は、更に補助スイッチモジュールをさらに含み、
前記補助充電分岐回路制御モジュールは、前記低温低電力加熱要求コマンドに応答して、前記補助充電分岐回路に第1の制御信号を送信して、前記電池パック加熱システムと前記補助充電分岐回路との間が導通されるように制御することは、
前記補助充電分岐回路制御モジュールが前記低温低電力加熱要求コマンドに応答して、前記補助スイッチモジュールに前記第1の制御信号を送信して、前記補助スイッチモジュールをオンさせるように制御することを含む
ことを特徴とする請求項
16に記載の電池パック加熱システムの制御方法。
【請求項22】
前記電池管理モジュールが、前記電池パックの温度が前記加熱温度閾値未満であり、且つ、前記電池パックの充電状態が前記加熱充電状態要求閾値以上である場合に、前記補助充電分岐回路制御モジュールに低温加熱要求コマンドを送信することと、
前記補助充電分岐回路制御モジュールが、前記低温加熱要求
コマンドに応答して、前記補助充電分岐回路に前記第4の制御信号を送信して、前記電池パック加熱システムと前記補助充電分岐回路との間が遮断されるように制御することと
をさらに含むことを特徴とする請求項
16に記載の電池パック加熱システムの制御方法。
【請求項23】
前記電池管理モジュールは、前記電池パックの温度が前記加熱温度閾値以上であり、且つ、前記電池パックの充電状態が前記加熱充電状態要求閾値以上である場合に、前記車両全体コントローラ及び前記補助充電分岐回路制御モジュールにそれぞれ加熱停止要求コマンドを送信することと、
前記補助充電分岐回路制御モジュールは、前記加熱停止要求コマンドに応答して、前記補助充電分岐回路に第5の制御信号を送信して、前記電池パック加熱システムと前記補助充電分岐回路との間が遮断されるように制御することと、
前記車両全体コントローラは、前記加熱停止要求コマンドに応答して、前記モータコントローラに第6の制御信号を送信し、前記電池管理モジュールに第7の制御信号を送信することと、
前記モータコントローラは、前記第6の制御信号に応答して、前記インバータにおける一部のスイッチモジュールへの第1の駆動信号の送信を停止することと、
前記電池管理モジュールは、前記第7の制御信号に応答して、前記メイン正極スイッチへの第2の駆動信号の送信を停止することと
をさらに含むことを特徴とする請求項
16に記載の電池パック加熱システムの制御方法。
【請求項24】
前記電池管理モジュールは、取得した前記電池パックの状態パラメータを前記車両全体コントローラに送信して、前記状態パラメータは充電状態及び温度を含んでいることと、
前記車両全体コントローラは、受信した前記電池パックの状態パラメータを前記モータコントローラに送信することと、
前記モータ
コントローラは、所望の昇温速度及び受信した前記電池パックの状態パラメータに基づいて、第1の所望の周波数及び第1の所望のデューティ比を算出し、且つ前記第1の駆動信号の周波数及びデューティ比を前記第1の所望の周波数及び前記第1の所望のデューティ比に調整することと
をさらに含むことを特徴とする請求項17に記載の電池パック加熱システムの制御方法。
【請求項25】
前記電池管理モジュールは、取得した前記電池パックの充電状態を前記車両全体コントローラに送信することと、
前記車両全体コントローラは、受信した前記電池パックの充電状態を前記モータコントローラに送信することと、
前記モータコントローラは
、モータパラメータを取得し、且つ所望のモータパラメータ、前記モータパラメータ、及び受信した前記電池パックの充電状態に基づいて、第2の所望の周波数及び第2の所望のデューティ比を算出し、且つ前記第1の駆動信号の周波数及びデューティ比を前記第2の所望の周波数及び前記第2の所望のデューティ比に調整し、前記モータパラメータは、母線電流又は前記モータの相電流を含んでいることと、
ことをさらに含むことを特徴とする請求項17に記載の電池パック加熱システムの制御方法。
【請求項26】
前記電池管理モジュールは、所望の昇温速度及び取得した前記電池パックの状態パラメータに基づいて、第3の所望の周波数及び第3の所望のデューティ比を算出し、且つ前記第2の駆動信号の周波数及びデューティ比を前記第3の所望の周波数及び前記第3の所望のデューティ比に調整することをさらに含み、
前記状態パラメータは、充電状態及び温度を含む
ことを特徴とする請求項17に記載の電池パック加熱システムの制御方法。
【請求項27】
前記モータコントローラは、モータパラメータを取得し、且つ前記モータパラメータを前記車両全体コントローラに送信し、前記モータパラメータは母線電流又は前記モータの相電流を含んでいることと、
前記車両全体コントローラは、受信した前記モータパラメータを前記電池管理モジュールに送信することと、
前記電池管理モジュールは、所望のモータパラメータ、取得した前記電池パックの充電状態、及び受信した前記モータパラメータに基づいて
、第4の所望の周波数及び第4の所望のデューティ比を算出し、且つ前記第2の駆動信号の周波数及びデューティ比を前記第4の所望の周波数及び前記第4の所望のデューティ比に調整することと、
をさらに含むことを特徴とする請求項17に記載の電池パック加熱システムの制御方法。
【請求項28】
前記モータコントローラは、モータパラメータを取得し、且つ前記モータパラメータを前記車両全体コントローラに送信して、前記モータパラメータは母線電流又は前記モータの相電流を含んでいることと、
前記車両全体コントローラは、受信した前記モータパラメータを前記電池管理モジュールに送信することと、
前記電池管理モジュールは、前記電池パックの現在の温度、前記電池パックの所望の温度、前記モータパラメータ、及び所望のモータパラメータに基づいて、前記電池パックの予測加熱時間を取得することと、
前記電池管理モジュールは、前記予測加熱時間を含む時間長さ情報を前記車両全体コントローラに送信することと、
前記車両全体コントローラは、前記時間長さ情報を受信し、且つ予測加熱時間を提示するための提示メッセージを送信することと
をさらに含むことを特徴とする請求項
16に記載の電池パック加熱システムの制御方法。
【請求項29】
前記加熱温度閾値は-50℃以上且つ5℃以下であり、
前記加熱充電状態要求閾値は5%以上且つ100%未満である
ことを特徴とする請求項
16に記載の電池パック加熱システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電池技術分野に属し、特に、電池パック加熱システム及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
新エネルギーの発展に伴い、動力として新エネルギーを採用する分野が増えている。電池は、エネルギー密度が高く、循環充電が可能で、安全で環境に優しいなどの利点があるため、新エネルギー自動車、消費電子、エネルギー貯蔵システムなどの分野に広く用いられている。
しかし、低温環境下での電池の使用は一定の制限がある。具体的には、低温環境下での電池の放電容量が著しく低下することや、低温環境下での電池が充電できなくなることがある。このため、電池を正常に使用できるためには、低温環境下での電池を加熱する必要がある。
現在では、電池に専用の熱循環容器を配置することにより、熱循環容器における熱伝導物質を間接的に加熱することにより、電池に熱量を伝導し、電池の加熱を実現することができる。しかし、この加熱方式は非常に長い時間がかかり、加熱効率が低い。
【発明の概要】
【0003】
本発明の実施例は電池パック加熱システム及びその制御方法を提供し、電池パックに対する加熱効率を向上させることができる。
【0004】
第1の様態によると、本発明の実施例は、電池パックの正極に接続されたメイン正極スイッチと、電池パックの負極に接続されたメイン負極スイッチと、メイン正極スイッチ及びメイン負極スイッチに接続されたインバータと、インバータに接続された外部ポートと、インバータに接続されたモータと、補助充電分岐回路制御モジュールと、車両全体コントローラと、モータコントローラと、電池管理モジュールとを備え、インバータは、複数のスイッチモジュールを含み、外部ポートは、電力供給源を含む補助充電分岐回路に接続され、電池管理モジュールは、電池パックの状態パラメータを取得し、且つ電池パックの状態パラメータが予め設定された低温低電力条件を満たす場合、車両全体コントローラ及び補助充電分岐回路制御モジュールにそれぞれ低温低電力加熱要求コマンドを送信するように構成されていて、補助充電分岐回路制御モジュールは、低温低電力加熱要求コマンドに応答して、補助充電分岐回路に第1の制御信号を送信して、電池パック加熱システムと補助充電分岐回路との間が導通されるように制御することで、電力供給源が外部ポートを介して電池パック及び/又はモータにエネルギーを伝達するように構成されていて、車両全体コントローラは、低温低電力加熱要求コマンドに応答して、モータコントローラに第2の制御信号を送信して、モータコントローラにインバータにおけるスイッチモジュールのオン・オフを制御させ、且つ記電池管理モジュールに第3の制御信号を送信して、電池管理モジュールに前記メイン正極スイッチのオン・オフを制御させることで、電池パックと前記モータとの間で相互にエネルギーを伝達させて、電池パックを加熱するように構成されている電池パック加熱システムを提供する。
【0005】
第2の様態によると、本発明の実施例は、第1の態様の電池パック加熱システムに適用される電池パック加熱システムの制御方法であって、電池管理モジュールが、電池パックの状態パラメータを取得し、且つ電池パックの状態パラメータが予め設定された低温低電力条件を満たす場合、車両全体コントローラ及び補助充電分岐回路制御モジュールにそれぞれ低温低電力加熱要求コマンドを送信することと、補助充電分岐回路制御モジュールは、低温低電力加熱要求コマンドに応答して、補助充電分岐回路に第1の制御信号を送信して、電池パック加熱システムと補助充電分岐回路との間が導通されるように制御することで、電力供給源が外部ポートを介して電池パック及び/又はモータにエネルギーを伝達することと、車両全体コントローラは、低温低電力加熱要求コマンドに応答して、モータコントローラに第2の制御信号を送信して、モータコントローラにインバータにおけるスイッチモジュールのオン・オフを制御させ、且つ、電池管理モジュールに第3の制御信号を送信して、電池管理モジュールに前記メイン正極スイッチのオン・オフを制御させることで、前記電池パックと前記モータとの間で相互にエネルギーを伝達させて、電池パックを加熱することとを含む電池パック加熱システムの制御方法を提供する。
【0006】
本発明の実施例は電池パック加熱システム及びその制御方法を提供し、電池管理モジュールは電池パックの状態パラメータが予め設定された低温低電力条件を満たす場合に、車両全体コントローラと補助充電分岐回路制御モジュールにそれぞれ低温低電力加熱要求コマンドを送り、低温低電力加熱モードに入ることを要求する。電池管理モジュールが補助充電分岐回路制御モジュールを制御し、車両全体コントローラが電池管理モジュールとモータコントローラを制御することにより、補助充電分岐回路、メイン正極スイッチ、及びインバータのスイッチモジュールを制御し、補助充電分岐回路内の電力供給源は、電池パック及び/又はモータにエネルギーを伝達して、電池パック及びモータが電池パックの加熱をサポートための十分なエネルギーを有するようにする。電池パックとモータとの間で相互にエネルギーを伝達し、電池パックの充放電のサイクルを形成し、電池パックが位置している回路に電流を発生させる。交流電流は連続的に電池パックを通過することができ、電池パックの内部抵抗を発熱させ、それによって低電力の場合にも電池パックの均一、高効率の自己加熱を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明は、添付の図面を参照した以下の詳細な説明からよりよく理解される。ここで、同一又は類似の参照番号は、同一又は類似の特徴を示す。
【
図1】本発明の一実施例に係る電池パック加熱システムの概略構成図である。
【
図2】本発明の他の実施例に係る電池パック加熱システムの概略構成図である。
【
図3】本発明の実施例に係る電池パック加熱システムの制御方法を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の他の実施例に係る電池パック加熱システムの制御方法を示すフローチャートである。
【
図5】本発明のさらに他の実施例に係る電池加熱システムの制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の各態様の特徴及び例示的な実施例を詳細に説明する。以下の詳細な説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多くの具体的な詳細が提示されている。しかしながら、本発明がこれらの特定の詳細の一部を必要とせずに実施され得ることは、当業者には明らかである。以下の実施例の説明は、単に、本発明の実施例を示すことで、本発明をより良く理解させるためのものである。本発明は、以下に記載される特定の構成及びアルゴリズムに限定されるものではなく、本発明の精神から逸脱しない限り、要素、部材及びアルゴリズムの変形、置換及び改良を含む。本発明に対する不必要な曖昧性を回避するために、公知の構造及び技術は、添付の図面及び以下の説明において示されていない。
【0009】
本発明の実施例は電池パック加熱システム及びその制御方法を提供し、温度が低く且つ電池パックの充電状態が低い条件で、電池パックを加熱する場合に適用することができる。本発明の実施例に係る電池パック加熱システム及び当該電池パック加熱システムの制御方法によれば、電池パックの温度を、電池パックが正常に使用できる温度まで上昇させることができる。ここで、電池パックは、少なくとも1つの電池モジュール又は少なくとも1つの電池セルを含むことができるが、これらに限定されるものではない。電池パックは、電気自動車に用いられ、モータに給電して、電気自動車の動力源とすることができる。電池パックは、電気自動車の他の電気機器に電力を供給することもでき、これに限定されるものではない。
【0010】
本発明の実施例では、電池パック加熱システムを制御することにより、電池パックの状態パラメータが予め設定された低温低電力条件を満たす場合、補助充電分岐回路における電力を供給する電力供給源は、電池パックを加熱するのに必要な電池パックとモータとの間で相互に伝達されるエネルギーの少なくとも一部を電池パック及び/又はモータに供給することができる。即ち、補助充電分岐回路における電力供給源から供給されるエネルギーと、電池パック及びモータにおける固有のエネルギーとの合計は、電池パックの加熱をサポートするのに十分である。これにより、低温低電力条件での電池パックの充電を実現し、充電効率を向上させる。
【0011】
図1は、本発明の一実施例に係る電池パック加熱システムの概略構成図である。
図1に示すように、当該電池パック加熱システムは、電池パックP1の正極に接続されたメイン正極スイッチK1と、電池パックP1の負極に接続されたメイン負極スイッチK2と、メイン正極スイッチK1及びメイン負極スイッチK2に接続されたインバータP2と、インバータP2に接続された外部ポートG1とG2、インバータP2に接続されたモータP3と、補助充電分岐回路制御モジュールP8と、車両全体コントローラP5(Vehicle Control Unit、VCU)、モータコントローラP7(Motor Control Unit、MCU)と、電池管理モジュールP6とを含む。電池管理モジュールP6は、具体的には、電池管理システム(Battery Management System、BMS)であってもよい。補助充電分岐回路制御モジュールP8は、具体的には、回路制御ユニット(CircuitControlUnit、CCU)であってもよい。
【0012】
いくつかの例では、電池パックP1とメイン正極スイッチK1との間にヒューズモジュールを設けてもよいし、電池パック内の複数の接続されている電池セルの間にヒューズモジュールを設けてもよいが、これらに限定されていない。いくつかの例では、ヒューズモジュールは手動サービスディスコネクト(Manual Service Disconnect,MSD)であってもよい。
【0013】
ここで、インバータP2は、複数のスイッチモジュールを含む。
【0014】
いくつかの例では、
図1に示すように、インバータP2は、並列に接続された第1相アームと、第2相アームと、第3相アームとを含む。第1相アーム、第2相アーム及び第3相アームは、それぞれ、上アーム及び下アームを有する。上アームにはスイッチモジュールが設置され、下アームにはスイッチモジュールが設置されている。即ち、第1相アームがU相アームであり、U相アームの上アームのスイッチモジュールが第1のスイッチモジュールであり、U相アームの下アームのスイッチモジュールが第4のスイッチモジュールである。第2相アームはV相アームであり、V相アームの上アームのスイッチモジュールが第2のスイッチモジュールであり、V相アームの下アームのスイッチモジュールが第5のスイッチモジュールである。第3相アームはW相アームであり、W相アームの上アームのスイッチモジュールが第3のスイッチモジュールであり、W相アームの下アームのスイッチモジュールが第6のスイッチモジュールである。
【0015】
いくつかの例では、スイッチモジュールは、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor、IGBT)チップ、IGBTモジュール、金属-酸化物半導体電界効果トランジスタ(Metal-Oxide-Semiconductor Field-EffectTransistor、MOSFET)などのパワースイッチ素子の一種又は二種以上を含むことができる。ここで、スイッチモジュールにおける各IGBT素子とMOSFET素子などの組み合わせ方式及び接続方式は限定されていない。また、上述したパワースイッチ素子の材料の種類も限定されず、例えば、炭化ケイ素(即ち、SiC)又は他の材料から製造されたパワースイッチ素子を使用することができる。
【0016】
具体的には、スイッチモジュールはダイオードを有する。上アームのスイッチモジュールの場合、ダイオードのアノードは、上アームと下アームとの接続点に接続され、ダイオードのカソードは、上アームとメイン正極スイッチK1との間に位置する。下アームのスイッチモジュールの場合、ダイオードのアノードは下アームとメイン負極スイッチK2との間に位置し、ダイオードのカソードは上アームと下アームとの接続点に接続される。
【0017】
いくつかの例では、スイッチモジュールは、パワースイッチ素子を含む。上記パワースイッチ素子が有するダイオードは、具体的には、寄生ダイオードであってもよいし、特別に設けられたダイオードであってもよい。ダイオードの材料の種類も限定されず、例えば、シリコン(即ち、Si)、炭化ケイ素(即ち、SiC)、又は他の材料から製造されたダイオードを使用することができる。
【0018】
インバータP2は、モータP3に接続される。いくつかの例では、
図1に示すように、モータP3の第1相入力端子、第2相入力端子、及び第3相入力端子は、それぞれ、第1相アームにおける上アームと下アームとの接続点、第2相アームにおける上アームと下アームとの接続点と、第3相アームにおける上アームと下アームとの接続点とに接続される。
【0019】
例えば、
図1に示すように、モータP3の固定子を、3相の固定子インダクタンスと抵抗とに等価する。固定子インダクタンスは、エネルギー蓄積機能を有する。各相固定子インダクタンス及び抵抗は、1相アームに接続される。3相の固定子インダクタンスをそれぞれ第1の固定子インダクタンスL1、第2の固定子インダクタンスL2及び第3の固定子インダクタンスL3とする。第1の固定子インダクタンスL1に対応して接続されているのは第1の抵抗R1であり、第2の固定子インダクタンスL2に対応して接続されているのは第2の抵抗R2であり、第3の固定子インダクタンスL3に対応して接続されているのは第3の抵抗R3である。第1相入力端は、第1の固定子インダクタンスL1に対応する入力端である。第2相入力端は、第2の固定子インダクタンスL2に対応する入力端である。第3相入力端は、第3の固定子インダクタンスL3に対応する入力端である。なお、モータP3の第1相入力端子、第2相入力端子及び第3相入力端子は、電流を入力する入力端子としてもよいし、電流を出力する出力端子としてもよい。
【0020】
具体的には、第1の固定子インダクタンスL1の一端が第1相入力端となり、第1の固定子インダクタンスL1の他端が第2の固定子インダクタンスL2の他端と第3の固定子インダクタンスL3の他端に接続されている。第2の固定子インダクタンスL2の一端は、第2相入力端となる。第3の固定子インダクタンスL3の一端は、第3相入力端となる。
【0021】
外部ポートG1及びG2は、補助充電分岐回路P4に接続する可能である。この補助充電分岐回路P4は、電力供給源P41を含む。例えば、外部ポートG1及びG2は、高電圧充電ポートであってもよい。いくつかの例では、電力供給源P41は、電圧が調整可能な電圧源であってもよい。
【0022】
電池管理モジュールP6は、電池パックP1の状態パラメータを取得するためのものであり、電池パックP1の状態パラメータが予め設定された低温低電力条件を満たす場合、低温低電力加熱要求コマンドを、車両全体コントローラP5と補助充電分岐回路制御モジュールP8にそれぞれ送信する。電池パックP1の状態パラメータが予め設定された低温低電力条件を満たす場合、電池パックP1の状態パラメータが電池パックP1の正常動作をサポートするには不十分であることを示す。低温低電力加熱要求コマンドは、電池パック加熱システムが低温低電力加熱モードに入ることを指示するように構成されている。
【0023】
いくつかの例では、状態パラメータは、温度及び充電状態を含む。予め設定された低温低電力条件は、温度が加熱温度閾値未満であり、充電状態が加熱充電状態要求閾値未満であることを含む。状態パラメータが予め設定された低温低電力条件を満たす場合、電池パックP1の温度が電池パックP1の正常な動作をサポートするには不十分であり、且つ電池パックP1の充電状態が電池パックP1の加熱をサポートするには不十分であることを示す。
【0024】
ここでの電池パックP1の温度は、具体的には、電池パックP1の筐体の温度であってもよいし、電池パックP1の内部空間における空気の温度であってもよいし、複数の電池パックP1におけるいずれかの電池パックP1又は電池パックP1におけるいずれかの電池セルの温度であってもよい。電池パックP1内の全ての電池セルの温度の平均値等であってもよいが、これらに限定されるものではない。
【0025】
加熱温度閾値は、電池パックP1が正常に動作できる最低必要温度、即ち、電池パック加熱システムが加熱する必要がある温度の閾値であってもよい。加熱温度閾値は、動作場合及び動作ニーズに応じて設定することができるが、ここでは限定されない。例えば、加熱温度閾値は、閾値範囲[-50℃、5℃]のいずれかの値とすることができる。電池パックP1の温度が加熱温度閾値を下回ると、電池パックP1が正常に動作せず、加熱する必要がある。
【0026】
加熱充電状態要求閾値は、電池パックP1を今回加熱するのに消費される充電状態、即ち電池パック加熱システムが電池パックP1を加熱するために必要な充電状態の閾値としてもよい。加熱充電状態要求閾値は、動作場合や動作ニーズに応じて予め設定されていてもよいし、電池管理モジュールP6が電池パックP1の現在温度から推定して得てもよいが、ここでは限定しない。例えば、加熱充電状態要求閾値は、閾値範囲[5%、100%)のいずれかの値としてもよい。電池パックP1の温度が加熱温度閾値を下回り、且つ電池パックP1の充電状態が加熱充電状態要求閾値を下回れば、補助充電分岐回路P4の電力供給源P41が電池パックP1を加熱するためのエネルギーの少なくとも一部を供給する必要がある。
【0027】
補助充電分岐回路制御モジュールP8は、低温低電力加熱要求コマンドに応答して補助充電分岐回路P4に第1の制御信号を送信し、電池パック加熱システムと補助充電分岐回路P4との導通を制御し、電力供給源P41から外部ポートG1、G2を介して電池パックP1及び/又はモータP3に電力を供給させるように構成されている。
【0028】
車両全体コントローラP5は、モータコントローラP7に第2の制御信号を送信し、モータコントローラP7にインバータP2におけるスイッチモジュールのオン・オフを制御させるように構成されている。
【0029】
車両全体コントローラP5は、電池管理モジュールP6に第3の制御信号を送信し、電池管理モジュールP6にメイン正極スイッチK1のオン・オフを制御させるように構成されている。
【0030】
車両全体コントローラP5は第2の制御信号、第3の制御信号を送信することで、一方で、補助充電分岐回路制御モジュールP8が送信する第1の制御信号と協働して、補助充電分岐回路P4の電力供給源P41が外部ポートG1及びG2を介して電池パックP1及び/又はモータP3にエネルギーを伝達するようにさせる。即ち、電池パックP1に、補助充電分岐回路P4の電力供給源P41から伝達されるエネルギーを受けさせる、及び/又は、モータP3に、補助充電分岐回路P4の電力供給源P41から伝達されるエネルギーを受けさせる。一方、第2の制御信号と第3の制御信号とが協働して、電池パックP1とモータP3との間で相互にエネルギーを伝達することで、電池パックP1を加熱するようにさせる。即ち、電池パックP1からモータP3へエネルギーが伝達され、再びモータP3から電池パックP1へエネルギーが伝達され、電池パックP1の充放電する複数回のサイクルが形成され、複数回に循環することで、電池パックP1がある回路に交流電流を発生する。
【0031】
いくつかの例では、車両全体コントローラP5は、低温低電力加熱要求コマンドに応答して、車載計器が、低温低電力加熱要求コマンドを許可するか否かをユーザに選択させる提示メッセージを発するように制御してもよい。低温低電力加熱要求コマンドを許可する旨の入力操作を受信すると、後続のプロセスにおいて、補助充電分岐回路制御モジュールP8は第1の制御信号を再送信し、車両全体コントローラP5は第2の制御信号と第3の制御信号などを再送信する。
【0032】
なお、電池管理モジュールP6が電池パックP1の状態パラメータを取得し、電池パックP1の状態パラメータが予め設定された低温低電力条件を満たすか否かを判断する前に、車両全体のパワーオンセルフテストを行うようにしてもよい。車両全体のパワーオンセルフテストが正常であれば、電池管理モジュールP6の電池パックP1の状態パラメータと予め設定された低温低電力条件との判断を行う。具体的には、車両全体コントローラP5は、ユーザがキーを利用して自動車を起動すると、トリガーパワーオン信号を受信することで、パワーオンされる。車両全体コントローラP5はセルフテストが正常であるかどうかを確認し、正常でなければ車両全体の故障情報を報告する。電池管理モジュールP6は、電池管理モジュールP6及び電池パックP1が故障を発生したか否かを検出し、故障を発生すれば、車両全体コントローラP5に電池管理故障情報を送信してもよい。そして、電池管理モジュールP6の電池パックP1の状態パラメータと予め設定された低温低電力条件との判断は行われない。車両全体コントローラP5は電池管理障害情報を受信し、且つ報告する。同様に、モータコントローラP7も検出を行う可能である。モータコントローラP7は車両が走行状態にあることを検出すると、車両全体コントローラP5に通知メッセージを送信し、車両全体コントローラP5は、電池パックP1の状態パラメータと予め設定された低温低電力条件との判断を行わないように、電池管理モジュールP6を制御する。即ち、電池管理モジュールP6、電池パックP1、車両全体コントローラP5、モータコントローラP7及びモータP3がいずれも正常状態にある際にのみ、電池管理モジュールP6の電池パックP1の状態パラメータと予め設定された低温低電力状態との判断及びそれ以降の動作が行われる。
【0033】
本発明の実施例では、電池管理モジュールP6は電池パックP1の状態パラメータが予め設定された低温低電力条件を満たすと特定すると、車両全体コントローラP5と補助充電分岐回路制御モジュールP8にそれぞれ低温低電力加熱要求コマンドを送信して、低温低電力加熱モードに入ることを要求する。電池管理モジュールP6が補助充電分岐回路制御モジュールP8を制御し、車両全体コントローラP5が電池管理モジュールP6とモータコントローラP7を制御することにより、補助充電分岐回路P4、メイン正極スイッチK1、及びインバータP2内のスイッチモジュールを制御し、補助充電分岐回路P4の電力供給源P41から電池及び/又はモータP3にエネルギーを伝達させ、電池パックP1の加熱をサポートするのに十分なエネルギーを電池パックP1及びモータP3に具備させることができる。電池パックP1とモータP3との間で相互にエネルギーが伝達され、電池パックP1の充電―放電のサイクルが形成され、電池パックP1がある回路に電流を発生する。電池パックP1に交流電流を連続的に流すことができ、電池パックP1の内部抵抗を発熱させ、低電力の場合でも電池パックP1に対する均一で高効率な自己加熱を実現することができる。
【0034】
図2は、本発明の他の実施例に係る電池加熱システムの概略構成図である。
図2に示すように、電池加熱システムは、支持コンデンサC1と、プリチャージ分岐回路P9と、補助充電分岐回路P4とをさらに含む。前記補助充電分岐回路P4は、補助スイッチモジュールをさらに含むことができる。
【0035】
説明の便宜上、本発明の実施例では、
図2に示す各デバイスを例として説明する。第1のスイッチモジュールは第1のパワースイッチ素子S1を含み、第2のスイッチモジュールは第2のパワースイッチ素子S2を含み、第3のスイッチモジュールは第3のパワースイッチ素子S3を含み、第4のスイッチモジュールは第4のパワースイッチ素子S4を含み、第5のスイッチモジュールは、第5のパワースイッチ素子S5を含み、第6のスイッチモジュールは、第6のパワースイッチ素子S6を含む。ここで、第1のパワースイッチ素子S1のダイオードはVD1であり、第2のパワースイッチ素子S2のダイオードはVD2であり、第3のパワースイッチ素子S3のダイオードはVD3であり、第4のパワースイッチ素子S4のダイオードはVD4であり、第5のパワースイッチ素子S5のダイオードはVD5であり、第6のパワースイッチ素子S6のダイオードはVD6である。
【0036】
補助充電分岐回路制御モジュールP8は低温低電力加熱要求コマンドに応答して補助スイッチモジュールに第1の制御信号を送信して、補助スイッチモジュールがオンされるように制御する。即ち、補助スイッチモジュールは、第1の制御信号に応答してオンされる。補助充電分岐回路P4の補助スイッチモジュールは、具体的にはスイッチ素子K3である。スイッチ素子K3は、第1の制御信号に応答してオンされる。
【0037】
プリチャージ分岐回路P9は、メイン正極スイッチK1と並列に接続されている。プリチャージ分岐回路P9は、プリチャージスイッチK4及びプリチャージ抵抗を含むことができる。
【0038】
また、電池管理モジュールP6は、プリチャージスイッチK4に第3の駆動信号を送信することで、プリチャージスイッチK4がオンすることを制御してプリチャージを行う。なお、プリチャージスイッチK4がオンし、メイン正極スイッチK1がオフし、メイン負極スイッチK2がオンし、電池パックP1、プリチャージ分岐回路P9、支持コンデンサC1、メイン負極スイッチK2が回路を形成することで、プリチャージが実現される。
【0039】
電池管理モジュールP6は、プリチャージ完了を検出すると、プリチャージスイッチK4への第3の駆動信号の送信を停止し、プリチャージスイッチK4がオフすることを制御してプリチャージを終了する。
【0040】
次に、低温低電力加熱モードに入った場合、電池パック加熱システムにおける各部の機能及び具体的な動作について説明する。
【0041】
具体的には、モータコントローラP7は、第2の制御信号に応答して、インバータP2内の一部のスイッチモジュールに第1の駆動信号を送信して、一部のスイッチモジュールを周期的にオン・オフさせ、モータP3に電力供給源P41からの電力を受信させたり、モータP3に電池パックP1からの電力を受信させたり、電池パックP1にモータP3からの電力を受信させたりする。
【0042】
そのうち、第1の駆動信号に応答してオンされるスイッチモジュールは対象上アームスイッチモジュールと対象下アームスイッチモジュールとを含み、対象上アームスイッチモジュールは第1相アーム、第2相アーム、第3相アームのいずれか一つのアームの上アームのスイッチモジュールであって、対象下アームスイッチモジュールは、対象上アームスイッチモジュールが位置しているアーム以外の少なくとも一つのアームの下アームのスイッチモジュールである。具体的には、スイッチモジュールがオンされると、スイッチモジュール内のパワースイッチ素子がオンされる。スイッチモジュールがオフされると、スイッチモジュール内のパワースイッチ素子がオフされる。
【0043】
なお、第1の駆動信号による駆動を受けていないスイッチモジュールは全てオフとなる。即ち、対象上アームスイッチモジュールと対象下アームスイッチモジュール以外のスイッチモジュールは、いずれもオフとなる。
【0044】
例えば、
図2に示すように、対象上アームスイッチモジュールが第1のスイッチモジュールである場合、対象下アームスイッチモジュールは、第5のスイッチモジュール及び/又は第6のスイッチモジュールである。対象上アームスイッチモジュールが第2のスイッチモジュールである場合、対象下アームスイッチモジュールは、第4のスイッチモジュール及び/又は第6のスイッチモジュールである。対象上アームスイッチモジュールが第3のスイッチモジュールである場合、対象下アームスイッチモジュールは、第4のスイッチモジュール及び/又は第5のスイッチモジュールである。
【0045】
電池管理モジュールP6は、第3の制御信号に応答して、第2の駆動信号をメイン正極スイッチK1に送信して、メイン正極スイッチK1のオン・オフを周期的に駆動し、電池パックP1に電力供給源P41からの電力を受信させたり、電池パックP1にモータP3からのエネルギーを受信させたり、電池パックP1にモータP3へエネルギーを伝達させたりする。
【0046】
いくつかの実施例では、電池管理モジュールP6は、低温低電力加熱要求コマンドを補助充電分岐回路制御モジュールP8に送信する。車両全体コントローラP5は、電池管理モジュールP6に第3の制御信号を送信する。
【0047】
なお、電力供給源P41の電圧は、電池パックP1の現在の電圧よりも高い。補助充電分岐回路制御モジュールP8は、低温低電力加熱要求に応答して、補助スイッチモジュールに第1の制御信号を送信することができる。補助スイッチモジュールは、第1の制御信号に応答してオンされる。
【0048】
電池管理モジュールP6は、第3の制御信号に応答して、メイン正極スイッチK1に第2の駆動信号を送信する。メイン正極スイッチK1は、第2の駆動信号に応答して、周期的にオン・オフされる。メイン正極スイッチK1が周期的にオン・オフする過程で、補助充電分岐回路P4の電力供給源P41のエネルギーがスイッチ素子K3を介して電池パックP1に伝達され、電池パックP1への充電に相当する。なお、補助充電分岐回路P4の供給電力供給源P41がスイッチ素子K3、外部ポートG1、G2を介して電池パックP1へエネルギーを伝達することは、1回で行ってもよいし、複数回で行ってよいが、ここでは限定されない。その目的は、電池パックP1のエネルギーが電池パックP1の自己加熱をサポートできるようにすることである。
【0049】
電池管理モジュールP6は、補助充電分岐回路制御モジュールP8に、補助充電分岐回路P4における補助スイッチモジュールのオフ制御を指示する信号を送信する。補助充電分岐回路制御モジュールP8は、当該信号に応答して、補助スイッチモジュールのオフ制御を指示する信号を補助スイッチモジュールに送信し、補助スイッチモジュールがオフする。車両全体コントローラP5は、モータコントローラP7に第2の制御信号を送信する。モータコントローラP7は、第2の制御信号に応答して、インバータP2の一部のスイッチモジュールに第1の駆動信号を送信する。インバータP2における対象上アームスイッチモジュール及び対象下アームスイッチモジュールは、第1の駆動信号に応答して周期的にオン・オフされる。
【0050】
例えば、対象上アームスイッチモジュールは第1のスイッチモジュールであり、対象下アームスイッチモジュールは第5のスイッチモジュールである。第1の駆動信号に応答して、第1のスイッチモジュール及び第5のスイッチモジュールを周期的にオン・オフにすることができる。具体的には、第1のパワースイッチ素子S1と第5のパワースイッチ素子S5がオンされると、電池パックP1が放電することに相当し、電流方向は、電池パックP1→メイン正極スイッチK1→第1のパワースイッチ素子S1→第1の固定子インダクタンスL1→第1の抵抗R1→第2の抵抗R2→第2の固定子インダクタンスL2→第5のパワースイッチ素子S5→メイン負極スイッチK2→電池パックP1である。第1のパワースイッチ素子S1と第5のパワースイッチ素子S5がオフされると、電池パックP1が充電することに相当し、電流方向は、第1の固定子インダクタンスL1→第1の抵抗R1→第2の抵抗R2→第2の固定子インダクタンスL2→第2のパワースイッチ素子S2のダイオードVD2→メイン正極スイッチK1→電池パックP1→メイン負極スイッチK2→第4のパワースイッチ素子S4のダイオードVD4→第1の固定子インダクタンスL1である。
【0051】
対象上アームスイッチモジュールと対象下アームスイッチモジュールの選択は上記の例に限定されるものではなく、対象上アームスイッチモジュールと対象下アームスイッチモジュールの選択が異なると、形成される電池パックP1の放電回路と充電回路も異なるが、ここでは限定されていない。
【0052】
なお、いくつかの例では、メイン正極スイッチK1と、対象上アームスイッチモジュール及び対象下アームスイッチモジュールとは同時にオンするのではなく、支持コンデンサC1を介して電池パックP1のエネルギーをモータP3に伝達することで、電池パックP1の充電及び放電を実現することができる。
【0053】
第2の駆動信号はメイン正極スイッチK1をオンさせるように駆動すると、第1の駆動信号は一部のスイッチモジュール(即ち、対象上アームスイッチモジュールと対象下アームスイッチモジュール)をオフさせるように駆動する。モータP3に蓄積されたエネルギーが電池パックP1に蓄積されたエネルギーより低い場合、電池パックP1は、支持コンデンサC1にエネルギーを伝達する。モータP3に蓄積されたエネルギーが電池パックP1に蓄積されたエネルギーより高い場合、電池パックP1は、モータP3から伝達されるエネルギーを受け取る。
【0054】
第1の駆動信号は一部のスイッチモジュール(即ち、対象上アームスイッチモジュールと対象下アームスイッチモジュール)をオンさせるように駆動する場合、第2の駆動信号はメイン正極スイッチK1をオフさせるように駆動する。モータP3は、支持コンデンサC1から伝達されるエネルギーを受け取る。支持コンデンサC1のエネルギーは、電池パックP1から得たものである。
【0055】
以上のような電池パックP1の放電過程と充電過程を繰り返すことで、電池パックP1の自己加熱を実現する。
【0056】
別の実施例では、電池管理モジュールP6が補助充電分岐回路制御モジュールP8に低温低電力加熱要求コマンドを送信し、車両全体コントローラP5がモータコントローラP7に第2の制御信号を送信する。
【0057】
電力供給源P41の電圧は、電池パックP1の現在の電圧より高い。補助充電分岐回路制御モジュールP8は、低温低電力加熱要求コマンドに応答して、補助スイッチモジュールに第1の制御信号を送信する。補助スイッチモジュールは、第1の制御信号に応答してオンする。
【0058】
モータコントローラP7は、第2の制御信号に応答して、インバータP2の一部のスイッチモジュールに第1の駆動信号を送信する。インバータP2における対象上アームスイッチモジュール及び対象下アームスイッチモジュールは、第1の駆動信号に応答して周期的にオン・オフする。インバータP2における対象上アームスイッチモジュール及び対象下アームスイッチモジュールがオンする過程で、補助充電分岐回路P4の電力供給源P41のエネルギーがスイッチ素子K3を介してモータP3に伝達され、モータP3を充電することに相当する。なお、補助充電分岐回路P4の電力供給源P41がスイッチ素子K3、外部ポートG1、G2を介してモータP3へエネルギーを伝達することは、1回あるいは複数回で行ってもよいが、ここでは限定されない。その目的は、電池パックP1のエネルギー及びモータP3のエネルギーが電池パックP1への自己加熱をサポートできるようにすることである。
【0059】
電池管理モジュールP6は、補助充電分岐回路制御モジュールP8に、補助充電分岐回路P4における補助スイッチモジュールのオフ制御を指示する信号を送信する。補助充電分岐回路制御モジュールP8は、当該信号に応答して、補助スイッチモジュールのオフ制御を指示する信号を補助スイッチモジュールに送信し、補助スイッチモジュールがオフされる。車両全体コントローラP5は、電池管理モジュールP6に第3の制御信号を送信する。電池管理モジュールP6は、第3の制御信号に応答して、メイン正極スイッチK1に第2の駆動信号を送信する。メイン正極スイッチK1は、第2の駆動信号に応答して、周期的にオン・オフする。
【0060】
メイン正極スイッチK1が周期的にオン・オフされ、インバータP2内の対象上アームスイッチモジュール及び対象下アームスイッチモジュールが周期的にオン・オフされると、電池パックP1のエネルギーが支持コンデンサC1を介してモータP3に伝達され、モータP3は、エネルギーを電池パックP1に伝達することができる。電池パックP1とモータP3との間のエネルギーの相互伝達については、上述の実施例を参照することができるため、ここではその説明を省略する。
【0061】
さらに別の実施例では、電池管理モジュールP6は、低温低電力加熱要求コマンドを補助充電分岐回路制御モジュールP8に送信する。車両全体コントローラP5は、モータコントローラP7に第2の制御信号を送信し、電池管理モジュールP6に第3の制御信号を送信する。
【0062】
電力供給源P41の電圧は、電池パックP1の現在の電圧より高い。補助充電分岐回路制御モジュールP8は、低温低電力加熱要求コマンドに応答して、補助スイッチモジュールに第1の制御信号を送信する。補助スイッチモジュールは、第1の制御信号に応答してオンする。
【0063】
モータコントローラP7は、第2の制御信号に応答して、インバータP2の一部のスイッチモジュールに第1の駆動信号を送信する。インバータP2における対象上アームスイッチモジュール及び対象下アームスイッチモジュールは、第1の駆動信号に応答して、周期的にオン・オフする。インバータP2における対象上アームスイッチモジュール及び対象下アームスイッチモジュールがオンする過程で、補助充電分岐回路P4の電力供給源P41のエネルギーがスイッチ素子K3、外部ポートG1、G2を介してモータP3に伝達され、モータP3への充電に相当する。
【0064】
電池管理モジュールP6は、第3の制御信号に応答して、メイン正極スイッチK1に第2の駆動信号を送信する。メイン正極スイッチK1は、第2の駆動信号に応答して周期的にオン・オフする。メイン正極スイッチK1が周期的にオン、オフする過程で、補助充電分岐回路P4の電力供給源P41のエネルギーがスイッチ素子K3、外部ポートG1、G2を介して電池パックP1に伝達され、電池パックP1への充電に相当する。
【0065】
なお、補助充電分岐回路P4の電力供給源P41がスイッチ素子K3、外部ポートG1、G2を介して電池パックP1及びモータP3へエネルギーを伝達することは、1回で行ってもよいし、複数回で行ってもよいが、ここでは限定されない。その目的は、電池パックP1のエネルギー及びモータP3のエネルギーが電池パックP1の自己加熱をサポートできるようにする。
【0066】
電池管理モジュールP6は、補助充電分岐回路制御モジュールP8に、補助充電分岐回路P4における補助スイッチモジュールのオフ制御を指示する信号を送信する。補助充電分岐回路制御モジュールP8は、当該信号に応答して、補助スイッチモジュールのオフ制御を指示する信号を補助スイッチモジュールに送信し、補助スイッチモジュールがオフされる。
【0067】
インバータP2における対象上アームスイッチモジュール及び対象下アームスイッチモジュールは、第1の駆動信号に応答して周期的にオン・オフする。メイン正極スイッチK1は、第2の駆動信号に応答して周期的にオン・オフする。電池パックP1のエネルギーは、支持コンデンサC1を介してモータP3に伝達され、モータP3は、エネルギーを電池パックP1に伝達することができる。電池パックP1とモータP3との間のエネルギーの相互伝達については、上述の実施例を参照することができ、ここでは省略する。
【0068】
なお、車両全体コントローラP5、補助充電分岐回路制御モジュールP8、電池管理モジュールP6及びモータコントローラP7が相互に協働して、補助スイッチモジュール、インバータP2内のスイッチモジュール及びメイン正極スイッチK1のオン・オフを制御して、電池パックP1への自己加熱を実現する。ここで、電池パックP1への自己加熱を実現する態様は、上記の実施例に限定されるものではない。
【0069】
いくつかの例では、電池管理モジュールP6は、取得した電池パックP1の状態パラメータを車両全体コントローラP5に送信するように構成されている。ここで、電池パックP1の状態パラメータは、充電状態及び温度を含む。
【0070】
また、車両全体コントローラP5は、受信した電池パックP10の状態パラメータをモータコントローラP7に送信する。
【0071】
また、モータコントローラP7は、所望の昇温速度と受信した電池パックP1の状態パラメータに基づいて、第1の所望の周波数と第1の所望のデューティ比とを算出し、第1の駆動信号の周波数及びデューティ比を第1の所望の周波数及び第1の所望のデューティ比に調整することに用いられる。
【0072】
モータコントローラP7は、電池パックP1の温度に基づいて、電池パックP1の昇温速度を得ることができる。所望の昇温速度は、予期する昇温速度であり、具体的な動作場合及び動作ニーズに応じて設定され得るので、これに限定されるものではない。第1の駆動信号の周波数及びデューティ比を第1の所望の周波数及び第1の所望のデューティ比に調整することにより、電池パックP1に対する加熱速度を調整することができる。第1の所望の周波数及び第1の所望のデューティ比を計算するプロセスはリアルタイムで行われ、第1の駆動信号の周波数及びデューティ比をリアルタイムで調整することができる。
【0073】
いくつかの例では、電池管理モジュールP6は、取得した電池パックP1の充電状態を車両全体コントローラP5に送信するように構成されている。
【0074】
車両全体コントローラP5は、受信した電池パックP1の充電状態をモータコントローラP7に送信するように構成されている。
【0075】
また、モータコントローラP7は、モータパラメータを取得し、所望のモータパラメータ、モータパラメータ及び受信した電池パックの充電状態に基づいて、第2の所望の周波数及び第2の所望のデューティ比を算出し、第1の駆動信号の周波数及びデューティ比を第2の所望の周波数及び第2の所望のデューティ比に調整するように構成されている。
【0076】
ここで、モータパラメータは、母線電流又はモータP3の相電流を含む。母線電流は、具体的には、メイン正極スイッチK1を流れる電流であってもよい。モータP3の相電流は、具体的には、モータP3の三相入力端子に流入する電流又はモータP3の三相入力端子から流出する電流であってもよい。所望のモータパラメータは、所望の母線電流又はモータP3の所望の相電流を含み、所望のモータパラメータは、予期するモータパラメータであり、具体的な動作場合及び動作ニーズに応じて設定することができるが、ここで限定されていない。
【0077】
第1駆動信号の周波数及びデューティ比を第2の所望の周波数及び第2の所望のデューティ比に調整することにより、電池パックP1に対する加熱速度を調整することができる。第2の所望の周波数及び第2の所望のデューティ比を計算するプロセスはリアルタイムで行われ、第1の駆動信号の周波数及びデューティ比をリアルタイムで調整することができる。
【0078】
いくつかの例では、電池管理モジュールP6は、所望の昇温速度及び取得された電池パックP1の状態パラメータに基づいて、第3の所望の周波数及び第3の所望のデューティ比を算出し、第2の駆動信号の周波数及びデューティ比を第3の所望の周波数及び第3の所望のデューティ比に調整するように構成されている。
【0079】
ここで、電池パックP1の状態パラメータは、電池パックの充電状態及び電池パックの温度を含む。電池管理モジュールP6は、電池パックの温度に基づいて、電池パックの昇温速度を得ることができる。所望の昇温速度は、予期する昇温速度であり、具体的な動作場合及び動作ニーズに応じて設定することができるが、ここで限定されていない。第2駆動信号の周波数及びデューティ比を第3の所望の周波数及び第3の所望のデューティ比に調整することにより、電池パックP1に対する加熱速度を調整することができる。第3の所望の周波数及び第3の所望のデューティ比を計算するプロセスはリアルタイムで行われ、第2の駆動信号の周波数及びデューティ比をリアルタイムで調整することができる。
【0080】
いくつかの例では、モータコントローラP7は、モータパラメータを取得し、モータパラメータを車両全体コントローラに送信するように構成されている。モータパラメータは、母線電流又はモータの相電流を含む。母線電流又はモータの相電流は、上述の実施例の関連する説明を参照するので、ここでは説明を省略する。
【0081】
車両全体コントローラP5は、受信したモータパラメータを電池管理モジュールP6に送信するように構成されている。
【0082】
また、電池管理モジュールP6は、所望のモータパラメータと、取得した電池パックP1の充電状態と、受信したモータパラメータとに基づいて、第4の所望の周波数及び第4の所望のデューティ比を算出し、第2の駆動信号の周波数及びデューティ比を第4の所望の周波数及び第4の所望のデューティ比に調整するように構成されている。従って、第2の駆動信号の周波数及びデューティ比を制御することにより、メイン正極スイッチK1のスイッチ周波数及びオン・オフ時間を調整して、母線電流の有効値を調整することで、電池パック加熱システムの自己加熱過程を調整する。所望のモータパラメータの関連説明は、上述の実施例の関連内容を参照することができるため、ここでは説明を省略する。
【0083】
第4の所望の周波数及び第4の所望のデューティ比を計算するプロセスは、リアルタイムで行われ、第2の駆動信号の周波数及びデューティ比をリアルタイムで調整することができる。
【0084】
いくつかの例では、モータコントローラP7は、モータパラメータを取得し、モータパラメータを車両全体コントローラP5に送信するように構成されている。ここで、モータパラメータは、母線電流又はモータの相電流を含む。
【0085】
車両全体コントローラP5は、受信したモータパラメータを電池管理モジュールP6に送信するように構成されている。
【0086】
また、電池管理モジュールP6は、電池パックP1の現在の温度と、電池パックP1の所望の温度と、モータパラメータと、所望のモータパラメータとに基づいて、電池パックP1の予測加熱時間を求めるように構成されている。電池パックP1の所望の温度は、具体的な動作場合や動作ニーズに応じて設定することができるが、ここでは限定されていない。所望のモータパラメータの説明は、上述の実施例の関連内容を参照することができるため、ここでは説明を省略する。
【0087】
また、電池管理モジュールP6は、予測加熱時間を含む時間長さ情報を車載コントローラP5に送信するように構成されている。具体的に得られる予測加熱時間は、ここでは限定されなく、例えば、1分から40分までの間のいずれの値であってもよい。
【0088】
車両全体コントローラP5は、時間長さ情報を受信し、予測加熱時間を提示するための提示メッセージを送信するように構成されている。提示メッセージは、具体的には車載計器に表示される画像情報として実現されてもよいし、スピーカや車載計器から出力される音声情報として実現されてもよく、ここでは限定されない。
【0089】
上述の低温低電力加熱モードに加えて、電池パック加熱システムは、低温加熱モードに入ることも、又は加熱モードを止めることもできる。
【0090】
いくつかの例では、電池管理モジュールP6は、電池パックP1の温度が加熱温度閾値未満であり、且つ電池パックP1の充電状態が加熱充電状態要求閾値以上である場合に、補助充電分岐回路制御モジュールP8に低温加熱要求コマンドを送信する。低温加熱要求コマンドは、電池パック加熱システムが低温加熱モードに入ることを要求することを指示するために用いられる。
【0091】
電池パックP1の充電状態が加熱充電状態要求閾値以上であるため、電池パックP1のエネルギーが電池パックP1の自己加熱をサポートするのに十分であることを示す。したがって、補助充電分岐回路P4の電力供給源P41からさらにエネルギーを供給する必要がない。補助充電分岐回路制御モジュールP8は低温加熱要求コマンドに応答して、補助充電分岐回路P4に第4の制御信号を送信して、電池パック加熱システムと補助充電分岐回路P4との間の遮断を制御する。
【0092】
いくつかの例では、電池管理モジュールP6は、電池パックP1の温度が加熱温度閾値以上であり、且つ電池パックP1の充電状態が加熱充電状態要求閾値以上である場合に、車両全体コントローラP5及び補助充電分岐回路制御モジュールP8にそれぞれ加熱停止要求コマンドを送信する。加熱停止要求コマンドは、電池パック加熱システムが加熱停止モードに入ることを要求することを指示するためのコマンドである。
【0093】
補助充電分岐回路制御モジュールP8は、加熱停止要求コマンドに応答して、補助充電分岐回路P4に第5の制御信号を送信し、電池パック加熱システムと補助充電分岐回路P4との間の遮断を制御する。
【0094】
車両全体コントローラP5は、加熱停止要求コマンドに応答して、モータコントローラP7に第6の制御信号を送信し、電池管理モジュールP6に第7の制御信号を送信するように構成されている。
【0095】
モータコントローラP7は、第6の制御信号に応答して、インバータP2における一部のスイッチモジュールへの第1の駆動信号の送信を停止するように構成されている。インバータP2のスイッチモジュールはオフされる。
【0096】
電池管理モジュールP6は、第7の制御信号に応答して、メイン正極スイッチK1への第2の駆動信号の送信を停止するように構成されている。メイン正極スイッチK1はオフされる。
【0097】
電池パック加熱システムが電池パックP1を加熱する過程において、モータコントローラP7は、インバータP2におけるスイッチモジュール、モータP3の固定子などの位置の温度、母線電流、モータP3の相電流又はその他のパラメータを監視することもでき、監視によって得られたパラメータを車両全体コントローラP5にアップロードする。車両全体コントローラP5は、監視によって得られたパラメータに基づいて、電池パック加熱システムを調整することができる。
【0098】
電池管理モジュールP6は、電池パックP1の温度、充電状態、絶縁抵抗などのパラメータを監視し、検出されたパラメータを車両全体コントローラP5にアップロードすることもできる。車両全体コントローラP5は、監視によって得られたパラメータに基づいて、電池パック加熱システムを調整することができる。
【0099】
電池パック加熱システムに対する調整は、具体的には、電池パック加熱システム全体の電池パックP1に対する加熱を停止すること、又は、スイッチモジュールを駆動する第1の駆動信号を調整してスイッチモジュールのスイッチ周波数及びオン・オフのデューティ比を調整すること、又は、メイン正極スイッチK1を駆動する第2の駆動信号を調整してメイン正極スイッチK1のスイッチ周波数及びオン・オフのデューティ比を調整することを含んでもよい。
【0100】
本発明の実施例は、上記実施例の電池パック加熱システムに対応して、電池パック加熱システムの制御方法も提供する。
図3は、本発明の実施例に係る電池パック加熱システムの制御方法を示すフローチャートである。
図3に示すように、電池パック加熱システムの制御方法は、ステップS101~ステップS103を含むことができる。
【0101】
ステップS101において、電池管理モジュールは、電池パックの状態パラメータを取得し、電池パックの状態パラメータが予め設定された低温低電力条件を満たす場合、車両全体コントローラ及び補助充電分岐回路制御モジュールにそれぞれ低温低電力加熱要求コマンドを送信する。
【0102】
いくつかの例では、状態パラメータは、温度及び充電状態を含み、予め設定された低温低電力条件は、温度が加熱温度閾値未満であり、且つ充電状態が加熱充電状態要求閾値未満であることを含む。例えば、加熱温度閾値は、-50℃以上且つ5℃以下である。加熱充電状態要求閾値は、5%以上且つ100%未満である。
【0103】
ステップS102において、補助充電分岐回路制御モジュールは、低温低電力加熱要求コマンドに応答して、補助充電分岐回路に第1の制御信号を送信して、電池パック加熱システムと補助充電分岐回路との導通を制御することで、電力供給源が外部インターフェースを介して電池パック及び/又はモータにエネルギーを伝達するようにさせる。
【0104】
ステップS103において、車両全体コントローラは、低温低電力加熱要求コマンドに応答して、モータコントローラに第2の制御信号を送信して、モータコントローラにインバータにおけるスイッチモジュールのオン・オフを制御させ、且つ電池管理モジュールへ第3の制御信号を送信して、電池管理モジュールにメイン正極スイッチのオン・オフを制御させることで、電池パックとモータとの間に相互にエネルギーを伝達させて、電池パックを加熱する。
【0105】
本発明の実施例において、電池管理モジュールは電池パックの状態パラメータが予め設定された低温低電力条件を満たすと、車両全体コントローラ及び補助充電分岐回路制御モジュールにそれぞれ低温低電力加熱要求コマンドを送信して、低温低電力加熱モードに入ることを要求する。電池管理モジュールが補助充電分岐回路制御モジュールを制御し、車両全体コントローラが電池管理モジュールとモータコントローラを制御することにより、補助充電分岐回路、メイン正極スイッチ及びインバータにおけるスイッチモジュールが制御されて、補助充電分岐回路における電力供給源が電池パック及び/又はモータにエネルギーを伝達して、電池パック及びモータが電池パックの加熱をサポートするための十分なエネルギーを有するようにする。電池パックとモータとの間で相互にエネルギーを伝達し、電池パックの充電と放電のサイクルを形成し、電池パックがある回路に電流を発生させる。交流電流は連続的に電池パックを通過することができ、電池パックの内部抵抗を発熱させることにより、低電力の場合にも電池パックに対する均一且つ高効率の自己加熱を実現することができる。
【0106】
図4は、
図1及び
図2に示す電池パック加熱システムに対応する、本発明の他の実施例に係る電池パック加熱システムの制御方法を示すフローチャートである。
図4が
図3と異なる点は、
図4に示す電池パック加熱システムの制御方法がステップS104~ステップS107をさらに含む点である。
【0107】
ステップS104において、電池管理モジュールは、プリチャージスイッチに第3の駆動信号を送信して、プリチャージスイッチをオンさせるように制御して、プリチャージを行う。
【0108】
ここで、電池加熱システムは、プリチャージスイッチ及びプリチャージ抵抗を含む、メイン正極スイッチと並列に接続されているプリチャージ分岐回路をさらに含む。
【0109】
ステップS105において、補助充電分岐回路制御モジュールは、低温低電力加熱要求コマンドに応答して、補助スイッチモジュールに第1の制御信号を送信して、補助スイッチモジュールをオンさせるように制御する。
【0110】
ここで、補助充電分岐回路は、補助スイッチモジュールをさらに含む。電力供給源の電圧は、電池パックの現在の電圧より高い。
【0111】
ステップS106において、モータコントローラは、第2の制御信号に応答して、インバータにおける一部のスイッチモジュールに第1の駆動信号を送信して、一部のスイッチモジュールを周期的にオン・オフさせるように駆動することで、モータに電力供給源からのエネルギーを受けさせたり、モータに電池パックからのエネルギーを受けさせたり、モータコントローラに電池パックへエネルギーを伝達させたりする。
【0112】
ステップS107において、電池管理モジュールは、第3の制御信号に応答して、第2の駆動信号をメイン正極スイッチに送信して、メイン正極スイッチを周期的にオン・オフさせるように駆動することで、電池パックに電力供給源からのエネルギーを受けさせたり、電池パックにモータからのエネルギーを受けさせたり、電池パックにモータへエネルギーを伝達させたりする。
【0113】
いくつかの例では、電池パック加熱システムは、インバータと並列に接続された支持コンデンサをさらに含む。第2の駆動信号はメイン正極スイッチをオンさせるように駆動する場合、第1の駆動信号は一部のスイッチモジュールをオフさせるように駆動することで、電池パックから支持コンデンサにエネルギーを伝達させたり、電池パックにモータから伝達されたエネルギーを受けさせたりする。第1の駆動信号は一部のスイッチモジュールをオンさせるように駆動する場合、第2の駆動信号はメイン正極スイッチをオフさせるように駆動することで、モータが支持コンデンサから伝達されたエネルギーを受けるようにする。
【0114】
図5は、本発明のさらに別の実施例に係る電池加熱システムの制御方法を示すフローチャートである。
図5が
図3と異なる点は、
図5に示す電池パック加熱システムの制御方法がステップS108~ステップS114をさらに含む点である。
【0115】
ステップS108において、電池管理モジュールは、電池パックの温度が加熱温度閾値未満であり、且つ、電池パックの充電状態が加熱充電状態要求閾値以上であると特定する場合、補助充電分岐回路制御モジュールに低温加熱要求コマンドを送信する。
【0116】
ステップS109において、補助充電分岐回路制御モジュールは、低温加熱要求コマンドに応答して、補助充電分岐回路に第4の制御信号を送信して、電池パック加熱システムと補助充電分岐回路との間の遮断を制御する。
【0117】
ステップS110において、電池管理モジュールは、電池パックの温度が加熱温度閾値以上であり、且つ、電池パックの充電状態が加熱充電状態要求閾値以上であることを確認すると、車両全体コントローラ及び補助充電分岐回路制御モジュールにそれぞれ加熱停止要求コマンドを送信する。
【0118】
ステップS111において、補助充電分岐回路制御モジュールは、加熱停止要求コマンドに応答して、補助充電分岐回路に第5の制御信号を送信して、電池パック加熱システムと補助充電分岐回路との間の遮断を制御する。
【0119】
ステップS112において、車両全体コントローラは、加熱停止要求コマンドに応答して、モータコントローラに第6の制御信号を送信して、電池管理モジュールに第7の制御信号を送信する。
【0120】
ステップS113において、モータコントローラは、第6の制御信号に応答して、インバータにおける一部のスイッチモジュールへの第1の駆動信号の送信を停止する。
【0121】
ステップS114において、電池管理モジュールは、第7の制御信号に応答して、メイン正極スイッチへの第2の駆動信号の送信を停止する。
【0122】
いくつかの例では、モータコントローラは、第1の駆動信号を調整することで、インバータのスイッチモジュールのスイッチ周波数及びオン・オフ時間長さを調整して、電池加熱システムの電池を加熱するための充電及び放電する電流を調整することができる。
【0123】
例えば、電池管理モジュールは、取得した電池パックの状態パラメータを車両全体コントローラに送信する。状態パラメータは、充電状態及び温度を含む。車両全体コントローラは、受信した電池パックの状態パラメータをモータコントローラに送信する。モータコントローラは、所望の昇温速度と、受信した電池パックの状態パラメータとに基づいて、第1の所望の周波数及び第1の所望のデューティ比を算出し、第1の駆動信号の周波数及びデューティ比を、第1の所望の周波数及び第1の所望のデューティ比に調整する。
【0124】
また、例えば、前記電池管理モジュールは、取得した前記電池パックの充電状態を前記車両全体コントローラに送信する。前記車両全体コントローラは、受信した前記電池パックの充電状態を前記モータコントローラに送信する。前記モータコントローラはモータパラメータを取得し、所望のモータパラメータ、前記モータパラメータ及び受信した前記電池パックの充電状態に基づいて、第2の所望の周波数及び第2の所望のデューティ比を算出し、前記第1の駆動信号の周波数及びデューティ比を前記第2の所望の周波数及び前記第2の所望のデューティ比に調整する。前記モータパラメータは、母線電流又は前記モータの相電流を含む。
【0125】
いくつかの例では、電池管理モジュールは、第2の駆動信号を調整することで、メイン正極スイッチのスイッチ周波数及びオン・オフ時間長さを調整して、電池パック加熱システムによる電池への加熱を調整することができる。
【0126】
例えば、電池管理モジュールは、所望の昇温速度及び取得した電池パックの状態パラメータに基づいて、第3の所望の周波数及び第3の所望のデューティ比を算出し、第2の駆動信号の周波数及びデューティ比を第3の所望の周波数及び第3の所望のデューティ比に調整する。状態パラメータは、充電状態及び温度を含む。
【0127】
また、例えば、モータコントローラは、モータパラメータを取得し、モータパラメータを車両全体コントローラに送信する。モータパラメータは、母線電流又はモータの相電流を含む。車両全体コントローラは、受信したモータパラメータを電池管理モジュールに送信する。電池管理モジュールは、所望のモータパラメータ、取得した電池パックの充電状態、及び受信したモータパラメータに基づいて、第4の所望の周波数と第4の所望のデューティ比とを算出し、第2の駆動信号の周波数及びデューティ比を第4の所望の周波数及び第4の所望のデューティ比に調整する。
【0128】
いくつかの例では、モータコントローラは、母線電流又はモータの相電流を含むモータパラメータを取得し、モータパラメータを車両全体コントローラに送信する。車両全体コントローラは、受信したモータパラメータを電池管理モジュールに送信する。電池管理モジュールは、電池パックの現在の温度、電池パックの所望の温度、モータパラメータ、及び所望のモータパラメータに基づいて、電池パックの予測加熱時間を得る。電池管理モジュールは、予測加熱時間を含む時間長さ情報を車両全体コントローラに送信する。車両全体コントローラは、時間長さ情報を受信し、予測加熱時間を提示するための提示メッセージを送信して、ユーザに予測加熱時間を提示する。
【0129】
本発明の実施例における電池パック加熱システムの制御方法についての説明は、上述した実施例における電池パック加熱システムに対する説明を参照することができるので、ここではその説明を省略する。
【0130】
なお、本明細書において、各実施例は、累加する形態で記載されており、各実施例において同一又は類似の部分はお互いに参照することができ、各実施例は、他の実施例との相違点を中心に記載されていることは言うまでもない。装置の実施例については、方法の実施例の関連説明を参照することができる。本発明の実施例は、上記のように記載し且つ図に示した特定のステップ及び構成に限定されるものではない。当業者は、本発明の実施例の精神を理解した上で、様な変更、補正及び追加、又はステップ間の順番変更を行うことができる。なお、簡略化のため、既知の方法技術の詳細な説明は省略した。
【0131】
当業者は、上記の実施例は、いずれも例示的なものであり、限定的なものではないことを理解すべきである。異なる実施例に現れる異なる技術的特徴を組み合わせて、有益な効果を達成することができる。当業者は、図面、明細書、特許請求の範囲を検討したうえ、開示された実施例の他の変更された実施例を理解し且つ実現できる。特許請求の範囲において、用語「含む」とは、他の手段又はステップを除外せず、不定冠詞「一つ」は、複数を排除せず、用語「第1」、「第2」は、名称を表すものであり、特定の順番を示すものと理解してはならない。請求項における参照符号は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。請求項に現れる複数の部分の機能は、単一のハードウェア又はソフトウェアモジュールによって実装できる。特定の機能が異なる従属請求項に記載されていることは、このような技術的特徴を組み合わせて有益な効果が得られないことを意味しない。