(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】空気調和機の室内機
(51)【国際特許分類】
F24F 1/0073 20190101AFI20220112BHJP
F24F 13/28 20060101ALI20220112BHJP
B01D 46/42 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
F24F1/0073
F24F13/28
B01D46/42
(21)【出願番号】P 2020083250
(22)【出願日】2020-05-11
(62)【分割の表示】P 2016185514の分割
【原出願日】2016-09-23
【審査請求日】2020-05-11
(31)【優先権主張番号】P 2015189672
(32)【優先日】2015-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】505461072
【氏名又は名称】東芝キヤリア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】特許業務法人 サトー国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鎌田 賢治
(72)【発明者】
【氏名】石川 裕
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秀人
(72)【発明者】
【氏名】大坪 茂美
【審査官】石田 佳久
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-057460(JP,A)
【文献】特開2010-286142(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0216251(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/0073
F24F 13/28
B01D 46/42
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
室内機本体内を通過する空気に含まれる塵埃を捕獲するエアフィルタと、
前記エアフィルタに付着した塵埃を除去するエアフィルタ清掃装置と、
前記室内機本体に着脱可能に取り付けられ、前記エアフィルタから除去された塵埃を収容するダストボックスと、を備え、
前記ダストボックスは、
前記エアフィルタから除去された塵埃を回収する回収口と、
前記回収口から回収した塵埃を収容する収容部と、
前記収容部に収容された塵埃を吸引する吸引口と、
前記吸引口から塵埃を吸引する際に前記回収口を閉じる蓋部材と、
前記エアフィルタの下方において前記吸引口の上方となる位置に設けられた開放口と、
前記吸引口を開いた開状態において、前記吸引口と前記開放口との間を閉塞する閉塞部と、
を備え、
前記ダストボックスの左右方向の長さは、前記エアフィルタの左右方向の長さと同等であり、
前記回収口は、前記ダストボックスの長手方向に沿って設けられており、
前記開放口は、前記回収口の長手方向の一端側に位置して
前記回収口とは別個に設けられている空気調和機の室内機。
【請求項2】
前記蓋部材は、前記収容部の内側に備えられており、前記蓋部材の外面が前記収容部の内面に接触して押えられている請求項1に記載の空気調和機の室内機。
【請求項3】
前記蓋部材が前記回収口を開いているときに前記吸引口を閉じる弁部をさらに備え、
前記弁部は、前記蓋部材と一体に設けられ、
前記閉塞部は、前記弁部と一体に設けられ、
前記弁部が前記吸引口と前記開放口との間の中間に回動した状態において、前記閉塞部は、前記吸引口および前記開放口から離間する請求項1または2に記載の空気調和機の室内機。
【請求項4】
前記弁部は、外面に凸部を備える請求項3に記載の空気調和機の室内機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、空気調和機の室内機に関する。
【背景技術】
【0002】
空気調和機の室内機は、室内機本体内の送風路中に熱交換器を備えており、その熱交換器の送風路上流側にエアフィルタを備えている。そして、室内機は、エアフィルタにより、送風路内に吸い込まれた空気に含まれる塵埃を除去し、清浄化された空気を熱交換器に導く。室内機の利用が長期にわたると、エアフィルタに塵埃が堆積する。そのため、ユーザは、適宜の期間間隔でエアフィルタを室内機本体から取り外して、エアフィルタ表面に付着した塵埃を除去する必要がある。
【0003】
この作業は、手間がかかり面倒であることから、エアフィルタは室内機本体から取り付けられたまま放置されやすい。そこで、エアフィルタを室内機本体から取り外すことなく、室内機本体内においてエアフィルタ表面に付着した塵埃を自動的に除去するエアフィルタ清掃装置を備えた室内機が考えられている。
【0004】
例えば特許文献1に開示されているエアフィルタ清掃装置は、エアフィルタから除去された塵埃を収容するダストボックスを備える。このダストボックスは、エアフィルタから除去された塵埃を回収する開口部と、この開口部から回収した塵埃を収容する塵埃受け部と、この塵埃受け部に収容された塵埃を吸引するためのノズル挿入孔と、このノズル挿入孔から塵埃を吸引する際に開口部を閉じる可動蓋と、を備える。このダストボックスによれば、掃除機のノズルをノズル挿入孔に挿入することにより、可動蓋により開口部が閉じられ、ノズルから塵埃受け部内の塵埃を吸引して除去することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、この種のダストボックスにおいては、エアフィルタから除去された塵埃を回収する回収口と、この回収口から回収した塵埃を収容する収容部と、この収容部に収容された塵埃を吸引する吸引口と、を備えることが考えられている。そして、この構成のダストボックスにおいては、収容部に収容された塵埃を吸引する吸引口をエアフィルタの下方に配置することによって、吸引口をエアフィルタの下方から外れた位置、例えばダストボックスの側部から突出した部位に設けた構成に比べ、左右方向の幅寸法を抑えることができ、ダストボックスのコンパクト化、ひいては、室内機全体のコンパクト化を図ることができる。
一方で、この種のダストボックスにおいては、吸引口が開かれた状態、つまり、収容部内の塵埃を吸引する状態における吸引口周辺部分の気密性を高めるために、吸引口の上方を閉塞する閉塞壁部を設けることが考えられている。
そのため、吸引口をエアフィルタの下方に配置し、且つ、閉塞壁部を設けた構成においては、エアフィルタの下方に閉塞壁部が存在する構成となってしまう。そのため、エアフィルタ清掃装置によりエアフィルタから除去された塵埃が閉塞壁部の上部に溜まってしまう。そして、この閉塞壁部には、吸引口からの吸引力が作用しにくく、従って、いったん閉塞壁部に塵埃が溜まってしまうと、その塵埃を吸引して除去することは困難となる。
そこで、ダストボックスは、吸引口をエアフィルタの下方に設ける場合には、エアフィルタの下方において吸引口の上方となる位置に開放口を備える構成とするとよい。即ち、ダストボックスは、閉塞壁部を除去した構成とするとよい。
この構成によれば、閉塞壁部に塵埃が溜まってしまうことがなくなり、エアフィルタから除去された塵埃がダストボックス内に残留してしまうことを回避することができる。
しかし、閉塞壁部を除去してしまうと、収容部内の塵埃を吸引する状態における吸引口周辺部分の気密性が低下してしまい、吸引口からの吸引力を有効に作用させることが困難となる。
【0007】
そこで、閉塞壁部に代わって、吸引口周辺部分の気密性を確保することができる空気調和機の室内機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態に係る空気調和機の室内機は、室内機本体内を通過する空気に含まれる塵埃を捕獲するエアフィルタと、前記エアフィルタに付着した塵埃を除去するエアフィルタ清掃装置と、前記室内機本体に着脱可能に取り付けられ、前記エアフィルタから除去された塵埃を収容するダストボックスと、を備える。前記ダストボックスは、前記エアフィルタから除去された塵埃を回収する回収口と、前記回収口から回収した塵埃を収容する収容部と、前記収容部に収容された塵埃を吸引する吸引口と、前記吸引口から塵埃を吸引する際に前記回収口を閉じる蓋部材と、前記エアフィルタの下方において前記吸引口の上方となる位置に設けられた開放口と、前記吸引口を開いた開状態において、前記吸引口と前記開放口との間を閉塞する閉塞部と、を備える。前記ダストボックスの左右方向の長さは、前記エアフィルタの左右方向の長さと同等であり、前記回収口は、前記ダストボックスの長手方向に沿って設けられており、前記開放口は、前記回収口の長手方向の一端側に位置して前記回収口とは別個に設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本実施形態に係る空気調和機の室内機の構成例を示す斜視図
【
図2】エアフィルタ清掃装置およびその周辺部分を拡大して示す縦断側面図
【
図6】弁部およびその周辺部分を拡大して示す斜視図
【
図7】吸引口およびその周辺部分を拡大して示す斜視図
【
図8】吸引口にノズルを差し込んでいない状態の室内機の正面図
【
図10】開放部を備えないダストボックスの構成例を示す吸引口上部周辺の斜視図
【
図11】開放部を備えるダストボックスの構成例を示す吸引口上部周辺の斜視図
【
図12】
図9のA-A線に沿うダストボックスの縦断側面図であり、吸引口の全閉状態を示す図
【
図13】
図9のA-A線に沿うダストボックスの縦断側面図であり、吸引口の半開き状態を示す図
【
図14】
図9のA-A線に沿うダストボックスの縦断側面図であり、吸引口の全開状態を示す図
【
図15】吸引口にノズルを差し込んだ状態の室内機の正面図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、空気調和機の室内機に係る一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1に例示する室内機10は、例えば室内の壁の高所に取り付けられるものであり、図示しない室外機とともに空気調和機を構成する。室内機10の外殻を構成する室内機本体11は、左右方向に長い長尺な形状をなしており、上部に図示しない空気吸込み口を備え、下部の前部に空気吹出し口12を備える。空気吹出し口12には、上下方向に回動可能な上下風向板13、並びに、左右方向に回動可能な図示しない左右風向板が設けられている。
【0011】
室内機10は、空気吸込み口と空気吹出し口12との間に図示しない送風路を設けている。送風路には、空気吸込み口側である上流側から順に、エアフィルタ14、図示しない熱交換器、図示しない送風ファン、が備えられている。室内機10は、送風ファンを駆動することにより、室内の空気を空気吸込み口から吸い込み送風路を通して空気吹出し口12から室内に吹き出す。空気吸込み口から吸い込まれた空気は、送風路を通過する過程で熱交換器により熱交換され、冷風または温風として空気吹出し口12から吹き出される。
【0012】
エアフィルタ14は、空気吸込み口から吸い込まれて送風路を通過する空気に含まれる塵埃などの異物を捕獲する。
図2に例示するように、室内機10は、エアフィルタ14に堆積された塵埃を自動的に除去するためのエアフィルタ清掃装置20を備える。次に、このエアフィルタ清掃装置20について説明する。
【0013】
エアフィルタ清掃装置20は、エアフィルタ送り機構部21、ブラシユニット22、ダストボックス23を備える。エアフィルタ送り機構部21は、室内機10内に固定されており、エアフィルタ送りギヤ21a、図示しない駆動機構部を備える。エアフィルタ送りギヤ21aは、室内機本体11の左右方向に沿って複数設けられており、エアフィルタ14の裏面に設けられている歯部14aに噛合している。駆動機構部は、エアフィルタ送りギヤ21aの回転軸に連結されている。駆動機構部は、エアフィルタ送りギヤ21aを回転させる。このとき、エアフィルタ送りギヤ21aがエアフィルタ14の歯部14aに噛合しているので、エアフィルタ送りギヤ21aの回転に伴いエアフィルタ14が上下方向に移動する。
【0014】
ブラシユニット22は、図示しない塵埃押上げブラシを備える。塵埃押上げブラシは、その回転軸をエアフィルタ送りギヤ21aの回転軸と共用するものであり、エアフィルタ送りギヤ21aの間に設けられている。エアフィルタ送りギヤ21aは、エアフィルタ14の縦桟部の裏面に設けられている歯部14aに対向する。これに対して、塵埃押上げブラシは、エアフィルタ14の縦桟部の間に形成されるシート部の裏面に対応し、且つ、接する。塵埃押上げブラシは、円筒体の周面にブラシ毛が植毛された構成である。
【0015】
ブラシユニット22は、さらに塵埃除去ブレード22aを備える。塵埃除去ブレード22aは、回転軸22bの周方向に所定間隔を有して複数条のブレード片22cを備えている。ブレード片22cは、例えばゴム板などといった薄肉の弾性部材で構成され、回転軸22bの軸方向に沿って螺旋状に曲成されている。ブラシユニット22は、エアフィルタ14の表面側に位置している。
【0016】
図3に例示するように、ダストボックス23は、室内機本体11の長手方向に沿う長尺な構成要素であり、室内機本体11に対し着脱可能に取り付けられている。
図4に例示するように、ダストボックス23は、ケース部材31、カバー部材32、蓋部材33、ロック部材34などを備える。
【0017】
ケース部材31は、主としてダストボックス23の土台部を構成する部材であり、この場合、2枚のエアフィルタ14を室内機本体11の左右方向に沿って並べた場合とほぼ同等の長さを有する長尺な部材である。ケース部材31は、
図2に例示する収容部35の一部、この場合、後部を構成する収容凹部31aを有している。また、ケース部材31は、両端部に軸孔31bを有している。また、ケース部材31の収容凹部31a内の中央部には、リブ支持台部31cが設けられている。
図2に例示するように、リブ支持台部31cは、収容凹部31aの内面から僅かに突出する2つの山部と、これら山部間に設けられた滑らかな谷部と、を有する。また、ケース部材31の一端部には、ほぼ矩形状に開口する吸引口36が設けられている。
【0018】
カバー部材32は、主としてダストボックス23の前面側を構成する部材であり、ケース部材31と同様に、2枚のエアフィルタ14を室内機本体11の左右方向に沿って並べた場合とほぼ同等の長さを有する長尺な部材である。カバー部材32は、
図2に例示する収容部35の一部、この場合、前部を構成する収容壁部32aを有する。また、カバー部材32は、収容壁部32aから連続して上方に延びる延出壁部32bを有する。
【0019】
図2に例示するように、ケース部材31の収容凹部31aとカバー部材32の収容壁部32aを組み合わせることにより収容部35が形成される。また、ケース部材31の収容凹部31aとカバー部材32の収容壁部32aとの間に回収口37が形成される。回収口37は、エアフィルタ清掃装置20によりエアフィルタ14から除去された塵埃を回収するための開口部である。回収口37は、ダストボックス23の長手方向に沿う長尺な矩形の開口部である。収容部35は、回収口37から回収される塵埃を収容して溜める。収容部35は、ダストボックス23の長手方向に沿うボックス状となっている。
【0020】
蓋部材33は、ケース部材31およびカバー部材32と同様に、室内機本体11の左右方向に沿う長尺な部材である。蓋部材33は、長手方向に直交する断面が円弧状となっている。蓋部材33は、両端部に回動軸33aを備える。蓋部材33は、回動軸33aがケース部材31の軸孔31bに差し込まれることにより、収容部35の内側において回動可能に備えられる。収容部35の内側に備えられた蓋部材33は、その外面が収容部35の回収口37周辺の内面に接触して押えられる。
【0021】
図5に例示するように、蓋部材33は、その内面側の長手方向の中央部にリブ40を備えている。リブ40は、蓋部材33の内面から板状に突出している。また、リブ40は、先細状となっており、その先端部が円弧状に形成されている。
図2に例示するように、リブ40の先端部は、ケース部材31のリブ支持台部31cに回動可能に当接する。即ち、リブ40の先端部は、リブ支持台部31cの山部間に挟まれた状態で谷部に回動可能に当接する。蓋部材33の一端部には、矩形状に開口する吸気孔33bが設けられている。蓋部材33は、複数、この場合、2つの吸気孔33bを有している。
【0022】
蓋部材33の他端部には、弁部50が一体的に設けられている。即ち、弁部50は、蓋部材33とともに一体的に回動する。弁部50は、板状に設けられており、
図6に例示するように、コイルスプリング51により、吸引口36を閉じる方向に付勢されている。なお、コイルスプリング51は、固定部材52を介してケース部材31に組み付けられる。弁部50は、蓋部材33が回収口37を開く位置に回動しているときには、吸引口36を閉じる位置に回動する。また、弁部50は、蓋部材33が回収口37を閉じる位置に回動しているときには、吸引口36を開ける位置に回動する。
図7に例示するように、弁部50は、その外面に凸部50aを備える。この場合、凸部50aは、ダストボックス23の長手方向に延びる線条となっている。
【0023】
ロック部材34は、ダストボックス23の左右両側に分離して2つ設けられ、ダストボックス23の長手方向に沿ってスライド可能に備えられている。ロック部材34は、ダストボックス23の室内機本体11に対する固定状態のロックあるいは解除をするための部材である。
【0024】
このように構成された空気調和機の室内機10により冷房運転あるいは暖房運転などといった運転動作が行われると、室内機本体11内に吸い込まれた空気がエアフィルタ14を通過する際に、当該空気に含まれる塵埃がエアフィルタ14により捕獲される。しかし、室内機10の利用が長期にわたると、エアフィルタ14に塵埃が堆積して通風抵抗が増加する。これを放置すると、熱交換効率が低下して、冷房能力や暖房能力に影響が生じるとともに、消費電力が増加する。
【0025】
そこで、室内機10によれば、エアフィルタ自動清掃運転が実行可能となっている。エアフィルタ自動清掃運転は、例えば、各種の空調運転の終了後または所定期間が経過するごとに、予め設定された運転モードに従い定期的に実行することができ、また、ユーザによるリモコン操作に基づき強制的に実行することも可能である。
【0026】
エアフィルタ自動清掃運転によれば、室内機10の動作全般を制御する図示しない制御装置は、エアフィルタ清掃装置20のエアフィルタ送り機構部21に駆動信号を入力してエアフィルタ14を移動させるとともに、ブラシユニット22の塵埃押上げブラシと塵埃除去ブレード22aを回転させる。これにより、エアフィルタ14の表面に付着している塵埃は、塵埃押上げブラシのブラシ毛により押し上げられるとともに、塵埃除去ブレード22aにより掻き落とされる。これにより、エアフィルタ14の表面から塵埃が除去されて落下し、ダストボックス23の回収孔37を介して回収され、収容部35内に溜められる。このように、エアフィルタ14を往復移動させながら、当該エアフィルタ14に付着している塵埃を塵埃押上げブラシにより押し上げて、塵埃除去ブレード22aにより掻き落とす。
【0027】
ダストボックス23の収容部35内に溜められた塵埃は、当該ダストボックス23を室内機本体11に取り付けたままの状態で吸引して除去できるようになっている。即ち、ダストボックス23を室内機本体11に取り付けたままの状態で、吸引口36に掃除機のノズルNを差し込む。すると、ノズルNの先端部により弁部50がコイルスプリング51の付勢力に抗して押し込まれ、これに伴い、吸引口36が開放され、蓋部材33が回収口37を閉じる位置に回動する。これにより、収容部35は、蓋部材33により閉塞され、且つ、収容部35には、蓋部材33の吸気孔33bから吸引口36まで連通する空気流路が確立される。この状態で掃除機を駆動すると、収容部35内には、吸気孔33bから吸引口36に向かう空気の流れが形成される。この空気の流れにより、収容部35内の塵埃が吸引口36側に吸い寄せられ、ノズルNを通して掃除機に吸引される。
【0028】
本実施形態に係る空気調和機の室内機10によれば、回収口37を開閉する蓋部材33は、その両端部のみが回転軸33aにより支持されており、中央部では回転軸を設けていない。そのため、塵埃を溜める収容部35内の中央部において、蓋部材33の回動軸を支持するための複雑な支持構造部を設ける必要が無い。従って、ダストボックス23の中央部においても吸引口36からの塵埃の吸引時に空気が流れやすくなり、ダストボックス23内の塵埃を効率良く吸引することができる。
【0029】
また、室内機10によれば、蓋部材33の中央部にリブ40を設けた。これにより、軸支されていない蓋部材33の中央部も十分に支持することができる。特に吸引口36からの塵埃の吸引時においては、回収部35内が負圧となることから蓋部材33の落ち込みが懸念される。室内機10によれば、リブ40により蓋部材33の落ち込みを防止することができる。蓋部材33の落ち込みを防止できれば、吸引口36からの塵埃の吸引時における回収部35内の気密性の低下を抑えることができる。従って、ダストボックス23内の塵埃を効率良く吸引することができる。
【0030】
また、蓋部材33の回動軸を支持するための複雑な支持構造部を備えない構成によれば、構成部品、特にケース部材31を製造するための金型構造を単純化することができ、製造性の向上を図ることができる。また、複雑な支持構造部を組み立てる必要が無く、ダストボックス23の組立性の向上を図ることができる。
【0031】
また、室内機10によれば、蓋部材33は、収容部35の内側に備えられており、蓋部材33の外面が収容部35の内面に接触して押えられている。この構成によれば、蓋部材33が収容部35の内面に常に接触しながら回動するようになり、従って、回収口37を閉塞したときの気密性を一層向上することができる。
【0032】
また、弁部50は蓋部材33と一体に設けられている。従って、部品点数の増加を抑えることができ、また、ダストボックス23の組立てを容易に行うことができる。
また、弁部50は、その外面に凸部50aを備える。この構成によれば、ノズルNにより弁部50を押し込む際に、ノズルNの先端部と弁部50の外面との間に隙間を確保することができる。これにより、ノズルNの先端部が弁部50の外面に密着してしまうことを防止でき、吸引力が不足してしまうことを回避することができる。
【0033】
ところで、
図8および
図9に例示するように、吸引口36をエアフィルタ14の下方に配置したダストボックス23によれば、吸引口をエアフィルタの下方から外れた位置、例えばダストボックスの側部から突出した部位に設けた構成に比べ、左右方向の幅寸法を抑えることができ、ダストボックス23のコンパクト化、ひいては、室内機10全体のコンパクト化を図ることができる。
【0034】
一方で、例えば
図10に例示するダストボックスの構成例では、吸引口36が開かれた状態、つまり、収容部35内の塵埃を吸引する状態における吸引口36周辺部分の気密性を高めるために、吸引口36の上方を閉塞する閉塞壁部100を設けることが考えられている。
【0035】
そのため、吸引口36をエアフィルタ14の下方に配置し、且つ、閉塞壁部100を設けた構成においては、エアフィルタ14の下方に閉塞壁部100が存在する構成となってしまう。そのため、エアフィルタ清掃装置20によりエアフィルタ14から除去された塵埃が閉塞壁部100の上部に溜まってしまう。そして、この閉塞壁部100には、吸引口36からの吸引力が作用しにくく、従って、いったん閉塞壁部100に塵埃が溜まってしまうと、その塵埃を吸引して除去することは困難となる。
【0036】
そこで、
図11に例示するように、ダストボックス23は、吸引口36をエアフィルタ14の下方に設ける場合には、エアフィルタ14の下方において吸引口36の上方となる位置に開放口60を備える構成とするとよい。即ち、ダストボックス23は、
図10に例示する構成から閉塞壁部100を除去した構成とするとよい。
【0037】
この構成によれば、閉塞壁部に塵埃が溜まってしまうことがなくなり、エアフィルタ14から除去された塵埃がダストボックス23内に残留してしまうことを回避することができる。
【0038】
しかし、閉塞壁部100を除去してしまうと、収容部35内の塵埃を吸引する状態における吸引口36周辺部分の気密性が低下してしまい、吸引口36からの吸引力を有効に作用させることが困難となる。
【0039】
そこで、
図12~
図14に例示するように、ダストボックス23は、さらに閉塞部70を備える構成とするとよい。この場合、閉塞部70は、弁部50の先端部を延長することにより構成されており、弁部50と一体的に設けられている。
図12に例示する状態は、弁部50が吸引口36を全閉した全閉状態である。この全閉状態では、閉塞部70は、吸引口36の前側の端部の上面に当接する。この全閉状態においては、吸引口36の上方においてエアフィルタ清掃装置20によりエアフィルタ14から塵埃が除去されると、その塵埃が落下して、開放部60を通して弁部50の上部に溜まるようになる。
【0040】
図13に例示する状態は、弁部50が吸引口36を半開きした状態、つまり、弁部50が吸引口36と開放口60との間の中間に回動した半開き状態である。この半開き状態では、閉塞部70は、吸引口36の前側の端部の上面から離間し、且つ、開放口60の前側の端部の下面からも離間する。この中間状態においては、エアフィルタ14の下部から開放口60を介して吸引口36につながる空気の流路が形成される。そのため、吸引口36からの吸引力が弁部50の上部にも作用するようになり、上述した全閉状態において弁部50の上部に溜まった塵埃、および、この半開き状態において開放部60を通して落下する塵埃を吸引することができる。
【0041】
図14に例示する状態は、弁部50が吸引口36を全開した全開状態である。この全開状態では、閉塞部70は、開放口60の前側の端部の下面に当接する。弁部50の先端部つまり閉塞部70が開放口60の前側の端部の下面に当接することにより、吸引口36周辺部分の気密性が高められる。そのため、吸引口36からの吸引力が収容部35内に有効に作用するようになり、収容部35内の塵埃を効率良く吸引することができる。即ち、閉塞部70は、上述した閉塞壁部100に代わって、吸引口36周辺部分の気密性を確保する機能を発揮する。
【0042】
なお、
図12に例示する全閉状態、
図13に例示する半開き状態、
図14に例示する全開状態の切り換えは、
図15に例示するように、吸引口36に対するノズルNの差し込み量Sを調整することにより切り換えることができる。即ち、吸引口36にノズルNを差し込んでいない状態では吸引口36は全閉状態となり、吸引口36にノズル36を差し込むことで吸引口36は半開き状態となり、さらに吸引口36に対しノズルNを奥まで差し込むと吸引口36は全開状態となる。吸引口36に対するノズルNの抜き差しを繰り返すことにより、全閉状態、半開き状態、全開状態の切り換えが繰り返し行われるため、弁部50の上部に溜まった塵埃および収容部35内に溜まった塵埃を一層効率良く吸引することができる。
【0043】
以上の通り、ダストボックス23は、吸引口36をエアフィルタ14の下方に設ける場合であっても、エアフィルタ14の下方において吸引口36の上方となる位置に開放口60を設け、さらに、吸引口36を全開した全開状態において、吸引口36と開放口60との間を閉塞する閉塞部70を設けることにより、ダストボックス23内に塵埃が残留してしまうことを回避しつつ、塵埃の吸引時における吸引口36周辺部分の気密性を確保することができる。よって、ダストボックス23ひいては室内機10全体のコンパクト化を図りつつ、ダストボックス23内に溜まった塵埃を外部に吸引しやすい構成を実現することができる。
【0044】
なお、本実施形態は、上述した一実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように拡張または変形することができる。
例えば、
図16に例示するように、リブ40は、その先端部に円筒状の突起40aを設ける構成としてもよい。また、リブ40の形状は、吸引口36からの塵埃の吸引時における空気の流れを妨げない形状であれば、種々の形状を採用することができる。
【0045】
弁部50に設ける凸部50aの形状は、例えば十字にするなど、種々の形状を採用することができる。また、弁部50の外面に、複数の凸部50aを設ける構成としてもよい。
本実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。本実施形態およびその変形は、発明の範囲および要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0046】
図面中、10は空気調和機の室内機、11は室内機本体、14はエアフィルタ、20はエアフィルタ清掃装置、23はダストボックス、33は蓋部材、35は収容部、36は吸引口、37は回収口、40はリブ、50は弁部、50aは凸部、60は開放口、70は閉塞部を示す。