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特許6999775距離表示制御装置、距離表示システム、受信装置、距離表示制御方法および距離表示制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】距離表示制御装置、距離表示システム、受信装置、距離表示制御方法および距離表示制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   E01F 9/00 20160101AFI20220112BHJP
   E01F 9/608 20160101ALI20220112BHJP
   E01F 9/688 20160101ALI20220112BHJP
   G08G 1/07 20060101ALI20220112BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
E01F9/00
E01F9/608
E01F9/688
G08G1/07 P
G08G1/09 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020175333
(22)【出願日】2020-10-19
【審査請求日】2020-12-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000243881
【氏名又は名称】名古屋電機工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners 特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】川村 嘉郁
(72)【発明者】
【氏名】木内 康晴
(72)【発明者】
【氏名】浅井 律雄
【審査官】彦田 克文
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-92487(JP,A)
【文献】特開2008-33394(JP,A)
【文献】特開2013-50840(JP,A)
【文献】特開2001-350417(JP,A)
【文献】特開平11-161212(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E01F 9/00
E01F 9/608
E01F 9/688
G08G 1/07
G08G 1/09
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
GNSS信号を受信する複数の受信装置から前記受信装置の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報に基づいて、距離起算地点に配置された前記受信装置と、ディスプレイを備え、かつ、距離表示地点に配置された前記受信装置と、の距離を表示距離として取得する表示距離取得部と、
前記表示距離を前記距離表示地点に配置された前記受信装置に送信し、前記ディスプレイに表示させる表示制御部と、
を備える距離表示制御装置。
【請求項2】
前記表示距離取得部は、
前記距離起算地点に配置された前記受信装置を1番目に並べられた前記受信装置とみなし、n番目とn+1番目の前記受信装置の間の装置間距離をnがN-1となるまで累積することによって、N番目に並べられた前記受信装置の前記表示距離を取得する(Nは2以上かつ前記受信装置の数以下の整数、nは1以上かつN-1以下の整数)、
請求項1に記載の距離表示制御装置。
【請求項3】
前記表示距離取得部は、
前記位置情報に基づいて、n番目(nは1以上かつN-1以下の整数)の前記受信装置に最も近い前記受信装置をn+1番目の前記受信装置とする処理を小さいnから順にN-1番目まで繰り返すことによってN個の前記受信装置の順列を設定する、
請求項2に記載の距離表示制御装置。
【請求項4】
前記表示距離取得部は、
予め決められた期間の経過、または、利用者による指示、に応じて前記表示距離を取得し、
前記表示制御部は、
新たに前記表示距離が取得されると、取得された前記表示距離を前記受信装置に送信し、前記ディスプレイに表示させる、
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の距離表示制御装置。
【請求項5】
前記表示距離取得部は、
複数の前記受信装置を複数のグループに分類し、
前記グループ毎の前記距離起算地点に配置された前記受信装置と、前記グループ毎の前記距離表示地点に配置された前記受信装置と、の距離を前記グループ毎の前記表示距離として取得する、
請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の距離表示制御装置。
【請求項6】
第1の系統に属する前記受信装置から前記位置情報を取得して前記表示距離を取得し、前記第1の系統に属する前記受信装置の前記ディスプレイに表示させる、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載された距離表示制御装置と、
第2の系統に属する前記受信装置から前記位置情報を取得して前記表示距離を取得し、前記第2の系統に属する前記受信装置の前記ディスプレイに表示させる、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載された距離表示制御装置と、
が含まれる距離表示システム。
【請求項7】
GNSS信号を受信する受信部と、
前記GNSS信号が示す位置情報を距離表示制御装置に対して送信する位置情報送信部と、
前記位置情報に基づいて前記距離表示制御装置で取得された、距離起算地点からの距離である表示距離を受信する表示距離受信部と、
前記表示距離を表示するディスプレイと、
を備える受信装置。
【請求項8】
GNSS信号を受信する受信部と、
前記GNSS信号が示す位置情報を距離表示制御装置に対して送信する位置情報送信部と、
前記位置情報に基づいて前記距離表示制御装置で取得された、距離起算地点からの距離である表示距離を受信する表示距離受信部と、
前記表示距離を表示するディスプレイと、
を備える複数の受信装置と、
複数の前記受信装置のそれぞれの前記位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記位置情報に基づいて、距離起算地点に配置された前記受信装置と、距離表示地点に配置された前記受信装置と、の距離を前記表示距離として取得する表示距離取得部と、
前記表示距離を前記距離表示地点に配置された前記受信装置に送信し、前記ディスプレイに表示させる表示制御部と、
を含む距離表示システム。
【請求項9】
GNSS信号を受信する複数の受信装置から前記受信装置の位置情報を取得する位置情報取得工程と、
前記位置情報に基づいて、距離起算地点に配置された前記受信装置と、ディスプレイを備え、かつ、距離表示地点に配置された前記受信装置と、の距離を表示距離として取得する表示距離取得工程と、
前記表示距離を前記距離表示地点に配置された前記受信装置に送信し、前記ディスプレイに表示させる表示制御工程と、
を備える距離表示制御方法。
【請求項10】
コンピュータを、
GNSS信号を受信する複数の受信装置から前記受信装置の位置情報を取得する位置情報取得部、
前記位置情報に基づいて、距離起算地点に配置された前記受信装置と、ディスプレイを備え、かつ、距離表示地点に配置された前記受信装置と、の距離を表示距離として取得する表示距離取得部、
前記表示距離を前記距離表示地点に配置された前記受信装置に送信し、前記ディスプレイに表示させる表示制御部、
として機能させる距離表示制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、距離表示制御装置、距離表示システム、受信装置、距離表示制御方法および距離表示制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路上の工事現場において、工事現場の手前の道路上で看板等によって工事現場までの距離等を示すことで工事の予告が行われている。例えば、特許文献1,2には、マグネットシートを着脱することによって、表示内容を変えられる看板が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-350417号公報
【文献】特開平11-161212号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
道路上の工事現場においては、工事の進捗に応じて工事現場の位置が変化することがある。一般的には、工事現場の位置が変化すると、工事現場までの距離を表示した看板を移動させる。しかし、表示した距離を修正しない場合、工事現場の位置の変化に応じて全ての看板を移動させる必要があり、かつ、表示された距離に合わせて移動後の位置を調整する必要がある。一方、従来技術のように表示内容を変化させることができれば、看板の移動回数や距離を少なくする運用も可能であるが、移動させない看板に関しては、看板から工事現場までの距離を特定し、当該距離に合わせて表示内容を変化させる必要がある。
本発明は、前記課題に鑑みてなされたもので、工事現場からの距離を表示するための手間を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、距離表示制御装置は、GNSS信号を受信する複数の受信装置から前記受信装置の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記位置情報に基づいて、距離起算地点に配置された前記受信装置と、ディスプレイを備え、かつ、距離表示地点に配置された前記受信装置と、の距離を表示距離として取得する表示距離取得部と、前記表示距離を前記距離表示地点に配置された前記受信装置に送信し、前記ディスプレイに表示させる表示制御部と、を備える。
【0006】
すなわち、距離表示制御装置は、GNSS信号に基づいて、距離起算地点と、ディスプレイを備えた受信装置と、の距離を表示距離として取得し、当該ディスプレイに表示させる。この構成によれば、ディスプレイに表示する表示距離を自動で決定することができる。従って、距離起算地点と受信装置との距離がどのように変化しても、変化に応じた表示距離を自動で決定し、表示させることができる。このため、工事現場が存在する道路上で距離表示制御装置および受信装置が使用されることにより、工事現場からの距離を表示するための手間を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1Aおよび図1Bは、看板の例を示す説明図である。
図2図2Aおよび図2Bは、受信装置の配置例を説明する図である。
図3】受信装置および距離表示制御装置の構成を説明する図である。
図4】受信装置および距離表示制御装置の機能を説明する図である。
図5】受信装置の並び替えを説明する図である。
図6】受信装置および距離表示制御装置で実行させる処理を示すフローチャートである。
図7図7A図7Cは受信装置から収集される情報を示す図であり、図7Bは順列決定処理を示すフローチャートである。
図8】表示距離算出処理のフローチャートである。
図9図9Aは受信装置の配置例を説明する図であり、図9Bは受信装置から収集される情報を示す図である。
図10図10Aは受信装置の配置例を説明する図であり、図10Bは受信装置から収集される情報を示す図である。
図11】受信装置の位置関係を示す図である。
図12】受信装置の配置例を説明する図である。
図13図13Aは受信装置から収集される情報を示す図であり、図13Bは受信装置の位置関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)距離表示システムの概要:
(2)距離表示システムの構成:
(2-1)受信装置としての機能:
(2-2)距離表示制御装置としての機能:
(3-1)受信制御処理:
(3-2)距離表示制御処理:
(3-3)順列決定処理:
(3-4)表示距離算出処理:
(4)第2実施形態:
(5)第3実施形態:
(6)第4実施形態:
(7)他の実施形態:
【0009】
(1)距離表示システムの概要:
図1Aは、本発明の一実施形態にかかる距離表示システムで使用される受信装置100の例を示す図である。本実施形態において、受信装置100は、看板1aに取り付けられる。看板1aは、工事現場の手前(進行方向後方)に配置され、工事現場に関する注意事項が表示される看板である。
【0010】
看板1aには、工事現場までの距離が表示され、当該距離を表示するためのディスプレイ20を備えている。図1Aに示す看板1aにおいては、ディスプレイ20の表示パネル20aに数値"100"が表示されており、看板1aは、看板1aが配置された位置から工事現場までの距離が100mであることを示している。
【0011】
工事現場において、工事現場の手前の道路を走行する車両に対する注意喚起を行うため、看板1aは複数個用意され、当該道路に配置される。図2Aは、受信装置100の道路RD上での配置例を示す図である。図2Aに示す例において、道路RDは図面の左から右への方向が進行方向の道路である。図2Aに示す例では、当該道路RD上には表示装置DDを搭載した作業車両Veが駐車しており、当該作業車両Veの後方に隣接した地点P0が工事現場である。表示装置DDは、工事中であることを示す情報等が表示される装置である。
【0012】
看板1aは複数箇所に設置され、各看板1aで当該工事現場までの距離を表示する。図2Aにおいては、各看板1aに取り付けられた受信装置を手前から受信装置100a,100b,100c,100dと表記している。また、図2Aに示す例において、受信装置100aを備える看板1aは工事現場に配置され、受信装置100b,100c,100dのそれぞれを備える看板1aは工事現場の手前の50m,100m,150mの位置に配置されている。そこで、受信装置100a,100b,100c,100dのそれぞれに接続されたディスプレイ20には、0m,50m,100m,150mと表示されている。
【0013】
本実施形態においては、工事現場において既定の作業が終了すると、作業車両Veが道路RD上で前方に移動される。そして、移動後の作業車両Veの後方に隣接した地点P1で新たに作業が開始される。図2Bは、図2Aに示す道路RD上で作業車両Veが前方に移動した後の状態を示している。この場合、作業車両Veと各看板1aとの距離が変化するため、各看板1aの表示内容を変化させないのであれば、全ての看板1aを移動させ、かつ、各看板1aそれぞれと工事現場の位置との距離が各看板1aに表示された距離となるように移動後の位置を調整する必要がある。各看板1aを移動させず、表示する距離を変化させてもよいが、作業車両Veの移動距離がある程度増加した場合、看板1aを移動させることになる。この場合、看板1aの移動とともに、表示する距離も修正される。
【0014】
このように、看板1aの全てを移動させ、また、移動後の位置を調整する作業は、作業員にとって非常に手間のかかる作業である。看板1aに表示する距離を計測し、表示を変化させる作業も、作業員にとって非常に手間のかかる作業である。そこで、本実施形態においては、看板1aのディスプレイ20に表示させる距離を自動で特定し、表示させる構成が採用されている。
【0015】
例えば、図2Bに示すように作業車両Veが移動された場合に、先頭に存在した受信装置100aを備える看板1aが前方に移動され、最後尾(図2Bに示す100d0)に存在した受信装置100dを備える看板1aが前から二番目の位置に移動されるように作業が行われる。この場合、受信装置100b,100cを備える看板1aは移動されなくて良い。
【0016】
このように、先頭から順に受信装置100a,100d,100b,100cを備える看板1aが並べられた場合であっても、工事現場から各看板1aまでの距離は自動的に計測され、ディスプレイ20に表示される。この結果、図2Bに示すように、受信装置100dを備える看板1aのディスプレイ20の数値は、150mから50mに修正される。受信装置100b,100cを備える看板1aのディスプレイ20の数値は100m、150mにそれぞれ修正される。
【0017】
本実施形態においては、ディスプレイ20に表示される距離を自動的に決定することができるため、作業者が、看板1aの位置を詳細に調整せずに配置しても、例えば、図2Aに示すような距離は自動的に決定され、表示される。従って、作業員が工事現場から看板1aまでの距離を計測する手間を削減することができる。さらに、図2Aに示す状態から、図2Bのように作業車両Veが移動した場合に、看板1aが並び替えられた場合も、距離が自動的に決定され、表示される。従って、作業員が工事現場から看板1aまでの距離を計測する手間を削減することができる。また、看板1aを移動させる手間を削減することができる。
【0018】
(2)距離表示システムの構成:
ディスプレイ20において、工事現場からの距離を自動で表示するため、本実施形態にかかる距離表示システムは、受信装置100および距離表示制御装置200を備えている。本実施形態において、受信装置100および距離表示制御装置200は、同一のハードウェア構成によって実現される。本実施形態においては、装置が距離表示制御装置200として機能する場合、受信装置100としても機能する。
【0019】
図3は、受信装置100および距離表示制御装置200として機能し得る装置のハードウェア構成を示している。以下、主に受信装置100について構成を説明するが、距離表示制御装置200においてもハードウェア構成は受信装置100と同一である。本実施形態にかかる装置は、GNSSモジュール11,無線通信モジュール12,CPU13,メモリ14,スイッチ15a~15c,ディスプレイ20を備えており、図示しない電源によって駆動される。
【0020】
CPU13は、メモリ14に記録されたプログラムを実行し、各種の入力信号に基づいて各種の演算処理を実行し、各種の出力信号を出力する。GNSSモジュール11は、航法衛星からGNSS信号を受信する回路を含むモジュールであり、GNSS信号をCPU13に対して出力する。CPU13は、GNSS信号に基づいて、受信装置100の位置情報(座標情報)を取得する。
【0021】
無線通信モジュール12は、既定の無線通信規格によって他の装置と無線通信を行うための回路を含むモジュールである。CPU13は、無線通信モジュール12を制御して外部の装置と通信し、種々の情報を授受することができる。メモリ14は、情報記憶媒体であり、CPU13はメモリ14内に記憶された各種の情報を参照し、また、メモリ14に各種の情報を記憶させることができる。
【0022】
スイッチ15a~15cは、任意の態様のスイッチで実現されて良い。利用者は、スイッチ15a~15cを操作することにより、受信装置100に対して各種の指示を与えることができる。スイッチ15aは、装置の役割を切り替えるためのスイッチである。本実施形態において、受信装置100の役割にはマスターおよびスレーブがある。マスターである場合、受信装置100として機能すると同時に、距離表示制御装置200としても機能する。そして、距離表示制御装置200が、各受信装置100のディスプレイ20に表示する距離(以後、表示距離と呼ぶ)を決定する。スレーブである場合、受信装置100として機能するが、距離表示制御装置200としては機能しない。図2A図2B等においては、マスターとして機能する受信装置100に(M)を付記し、スレーブとして機能する受信装置100に(S)を付記して示している。
【0023】
スイッチ15bは、ディスプレイ20に表示された距離をリセットし、再取得して表示を更新させる指示を行うためのリセットスイッチである。なお、本実施形態において、距離のリセット、再取得および更新は、予め決められた期間毎に実行されるが、利用者がスイッチ15bを操作することによって、強制的に表示を更新させることが可能である。
【0024】
スイッチ15cは、各装置における設定を入力するためのスイッチである。入力可能な設定としては、受信装置100が属するグループ、距離起算地点であるか否かを示すフラグのオン・オフ等がある。第1実施形態においては、これらの設定に応じた制御を行わないため、スイッチ15cの詳細は他の実施形態で後述する。
【0025】
受信装置100は、図3に示すようにディスプレイ20を備えている。ディスプレイ20は、表示パネル20aとパネル制御部20bとを備えている。ディスプレイ20は、看板1aの上部に設けられた開口部から表示パネル20aを視認できるように、看板1aに対して取り付けられている(図1A参照)。受信装置100とディスプレイ20とは、図示しない配線で接続されており、受信装置100は、看板1aの任意の位置に取り付け可能である。図1A等に示す本実施形態においては、看板1aの上部に受信装置100が取り付けられている。
【0026】
パネル制御部20bは、表示パネル20aを制御する回路である。パネル制御部20bは、図示しないインタフェースを介してCPU13から表示距離を示す画像データを受け取る。そして、パネル制御部20bは、当該画像データに基づいて表示パネル20aを制御し、表示距離を表示パネル20aに表示させる。この結果、看板1aにおいて工事現場までの距離が表示された状態になる。なお、本実施形態において表示パネル20aに表示される情報は数値であるが、任意の情報が表示可能であっても良い。
【0027】
(2-1)受信装置としての機能:
以上のように、本実施形態にかかる装置は、スイッチ15aによる設定に応じて、受信装置100単体として振る舞うか、または、受信装置100かつ距離表示制御装置200の双方として振る舞う。ここでは、図4を参照して受信装置100としての振る舞いを説明する。図4は、受信装置100、距離表示制御装置200として振る舞う装置の機能を説明するための図である。図4においては、受信装置100、距離表示制御装置200のそれぞれのハードウェアを区別するため、GNSSモジュール11等に添え字-1または-2を付している。
【0028】
スレーブとして振る舞う受信装置100は、工事現場からの距離を表示するための距離表示地点に配置される。受信装置100がスレーブとして振る舞う場合、CPU13-1は、受信装置としての機能を実現するためのプログラムを実行する。ここでは、当該プログラムを受信装置制御プログラム110と呼ぶ。受信装置制御プログラム110が実行されるとCPU13-1は、受信部110a,位置情報送信部110b,表示距離受信部110cとして機能する。
【0029】
受信部110aは、GNSS信号を受信する機能である。すなわち、CPU13-1は、受信部110aの機能によりGNSSモジュール11-1を制御して、GNSS信号を取得する。位置情報送信部110bは、GNSS信号が示す位置情報を距離表示制御装置に対して送信する機能である。本実施形態においてCPU13-1は、距離表示制御装置200から位置情報の送信要求が行われた場合に、位置情報を送信する。
【0030】
具体的には、CPU13-1は、位置情報送信部110bの機能により、GNSS信号に基づいて受信装置100の現在地を示す位置情報(本実施形態においては、緯度および経度からなる座標情報)を取得する。さらに、CPU13-1は、受信装置100を識別するための情報として自身に対応づけられた識別情報を、位置情報に対応づける。そして、CPU13-1は、位置情報送信部110bの機能により、無線通信モジュール12-1を介して、距離表示制御装置200に対して識別情報および位置情報を送信する。距離表示制御装置200は、当該位置情報に基づいて表示距離を取得し、返信する。
【0031】
例えば、図2Aに示す例においては、受信装置100b,100c,100dがスレーブであり、受信装置100aがマスターである。従って、受信装置100aは、距離表示制御装置200としても機能する。受信装置100bにおいて、位置情報送信部110bにおける処理が行われると、受信装置100bから、当該受信装置100bの識別情報と、当該受信装置100bの現在地を示す位置情報とが、距離表示制御装置200としても機能する受信装置100aに対して送信される。
【0032】
位置情報が送信されると、距離表示制御装置200としても機能する受信装置100aにおいては、距離表示制御装置200の現在地を距離起算地点とし、当該距離起算地点から受信装置100の現在地までの距離を表示距離として取得する。また、距離表示制御装置200は、当該取得した表示距離を受信装置100bに対して返信する。なお、当該表示距離の取得の詳細は後述する。以上のような処理は、各受信装置100b,100c,100dにおいて行われる。
【0033】
図4の説明に戻る。表示距離受信部110cは、表示距離を受信する機能である。すなわち、距離表示制御装置200から表示距離が返信されると、CPU13-1は、無線通信モジュール12-1を介して表示距離を取得する。そして、CPU13-1は、ディスプレイ20-1を制御し、当該表示距離をディスプレイ20-1に表示させる。以上の処理によれば、例えば、図2Aに示す受信装置100b,100c,100dのディスプレイ20に、工事現場からの距離である50(m),100(m),150(m)が表示される。
【0034】
(2-2)距離表示制御装置としての機能:
装置がマスターとして振る舞う場合、CPU13-2は受信装置100に加え、距離表示制御装置200としての機能を実現するためのプログラムを実行する。ここでは、当該プログラムを距離表示制御プログラム210と呼ぶ。距離表示制御プログラム210が実行されるとCPU13-2は、図4に示すように、位置情報取得部210a、表示距離取得部210b、表示制御部210cとして機能する。
【0035】
位置情報取得部210aは、複数の受信装置100から受信装置の位置情報を取得する機能である。すなわち、CPU13-2は、位置情報取得部210aの機能により、無線通信モジュール12-2を介して各受信装置100と無線通信し、各受信装置100の位置情報を送信させるための送信要求を行う。各受信装置100は、上述のように当該送信要求に応じて、受信装置100の現在地を示す位置情報を取得し、送信する。この結果、CPU13-2は、各受信装置100の位置情報を取得する。
【0036】
本実施形態における距離表示制御装置200は、距離起算地点に配置された受信装置100としても機能する。このため、CPU13-2は、受信装置100としての機能によってGNSSモジュール11-2を制御してGNSS信号を取得し、自身の現在地を示す位置情報を取得する。CPU13-2は、当該位置情報を、距離起算地点に配置された受信装置100の現在地であるとみなす。図4においては、GNSSモジュール11-2からGNSS信号を取得する際の信号の流れを破線の矢印で示している。
【0037】
表示距離取得部210bは、位置情報に基づいて、距離起算地点に配置された受信装置100と、距離表示地点に配置された受信装置100と、の距離を表示距離として取得する機能である。本実施形態において、CPU13-2は、2台の受信装置100の間の道路に沿った距離を算出することで、表示距離を取得する。具体的にはCPU13-2は、受信装置100の装置間距離を累積することによって表示距離を取得する。
【0038】
このように表示距離を取得するため、本実施形態においてCPU13-2は、距離起算地点に配置された受信装置100を含む各受信装置100の道路上での順列を取得する。順列は、道路上で進行方向に沿って最も前方に存在し、距離起算地点に存在する受信装置が1番目であり、以後、道路上で進行方向の後方であるほど番号が大きくなるように定義される。本実施形態において、CPU13-2は任意のタイミングで順列を決定することができ、受信装置100の並び順が変化しても変化後の順列を特定することができる。当該順列の決定の詳細は後述する。
【0039】
図5は、図2Aおよび図2Bに示す受信装置100a~100dの位置を模式的に示した図である。図5においては、左側の列に示された受信装置100a~100dが図2Aに対応し、右側の列に示された受信装置100a~100dが図2Bに対応している。図5においては、受信装置100a~100dに識別情報と順列とを付記している。すなわち、受信装置100a~100dのそれぞれの識別情報(ID)は、1~4である。
【0040】
図2Aにおいては、先頭から受信装置100a,100b,100c,100dの順序で道路上に受信装置が並んでいる。図5において、順列はnで示されており、図5の左側の列に示されるように、受信装置100a,100b,100c,100dのそれぞれの順列は1番目,2番目,3番目,4番目である。なお、図5における×は距離起算地点に配置された受信装置であることを示している。
【0041】
このように、順列が決まっている状態において、CPU13-2は、表示距離取得部210bの機能により、各受信装置100の位置情報に基づいて装置間距離を取得する。すなわち、CPU13-2は、n番目の受信装置100とn+1番目の受信装置100との位置情報に基づいて、両者の距離を装置間距離として取得する。CPU13-2は、以上の処理をnがN-1となるまで(Nは受信装置100の数)繰り返し実行することによって受信装置100の間の装置間距離を全て取得する。
【0042】
図5の左側の列に示す例であれば、CPU13-2は、1番目の受信装置100aと2番目の受信装置100bとの間の装置間距離La1、2番目の受信装置100bと3番目の受信装置100cとの間の装置間距離La2、3番目の受信装置100cと4番目の受信装置100dとの間の装置間距離La3を取得する。
【0043】
さらに、CPU13-2は、N番目に並べられた受信装置100の表示距離を取得する際に、装置間距離をnがN-1となるまで累積する。すなわち、N番目に並べられた受信装置100の表示距離を取得する際、CPU13-2は、N番目以前の受信装置100に関する装置間距離を累積する。例えば、図5の左側に示す例において3番目の受信装置100cの表示距離が取得される場合、N=3であるため、nが2となるまで装置間距離が累積される。従って、1番目と2番目の受信装置の間の装置間距離La1と、2番目と3番目の受信装置の間の装置間距離La2とが累積されることで表示距離が取得される。
【0044】
以上の処理を各受信装置について実行することで、以下のように表示距離が取得される。
2番目の受信装置100b:表示距離=La1
3番目の受信装置100c:表示距離=La1+La2
4番目の受信装置100d:表示距離=La1+La2+La3
【0045】
以上のように、本実施形態においては、N番目の受信装置100の表示距離を、距離起算地点の受信装置100とN番目の受信装置100との直線距離ではなく、装置間距離の累積によって算出している。従って、仮に、曲がっている道路に沿って受信装置100が配置されたとしても、道路に沿った距離の近似値によって表示距離を特定することができる。
【0046】
図4の説明に戻る。表示制御部210cは、表示距離を距離表示地点に配置された受信装置100に送信し、ディスプレイ20に表示させる機能である。すなわち、CPU13-2は、表示制御部210cの機能により、2番目~N番目の順列の受信装置100のそれぞれを送信先とし、各受信装置100の表示距離を送信する。この結果、各受信装置100においては、受信した表示距離をディスプレイ20-1に表示させる。図2Aに示す例であれば、図5に示すLa1,La2,La3は全て50mであるため、2番目の受信装置100bのディスプレイ20-1には50(m)、3番目の受信装置100cのディスプレイ20-1には100(m)、4番目の受信装置100dのディスプレイ20-1には150(m)が表示される。
【0047】
本実施形態における距離表示制御装置200は、受信装置100としても機能し、かつ、ディスプレイ20-2を備えている。このため、CPU13-2は、表示制御部210cの機能によりディスプレイ20-2を制御し、距離起算地点(1番目の順列)の受信装置100の表示距離、すなわち0(m)を表示させる。図4においては、当該表示のための信号の流れを破線の矢印で示している。
【0048】
本実施形態において、CPU13-2は、表示距離取得部210bの機能により、予め決められた期間の経過、または、利用者による指示、に応じて表示距離を取得する。すなわち、予め決められた期間が経過すると、CPU13-2は、自動で各受信装置100の位置情報を取得して順列を再取得し、位置情報および順列に基づいて各受信装置100の表示距離を取得する。
【0049】
また、利用者はスイッチ15bによって、表示距離のリセットを指示することができる。この場合も、CPU13-2は、各受信装置100の位置情報を取得して順列を再取得し、位置情報および順列に基づいて各受信装置100の表示距離を取得する。なお、表示距離のリセットを指示するスイッチ15bは、マスターとしての受信装置100において操作されても良いし、スレーブとしての受信装置100において操作されても良い。後者の場合、無線通信モジュール12を介して、スイッチ15bによる指示があったことがマスターとしての受信装置100(すなわち距離表示制御装置200)に伝達される。
【0050】
いずれにしても、新たに表示距離が取得されると、CPU13-2は、表示制御部210cの機能により、2番目~N番目の順列の受信装置100のそれぞれを送信先とし、各受信装置100の新たな表示距離を送信する。また、CPU13-2は、ディスプレイ20-2を制御して、0(m)を表示させる。以上の処理によれば、最新の順列に応じた距離となるように、各受信装置100のディスプレイ20の表示距離が更新される。従って、工事の進捗に応じて受信装置100を移動させ、並び替えたとしても、表示距離は自動的に計算され、正しい値に更新される。
【0051】
図5の右側の列には、図2Aに示す順列を図2Bに示す順列に並び替えた場合の受信装置100a~100dの位置関係、識別情報および順列を示している。すなわち、図2Bに示す例においては、工事現場が道路の進行方向前方に移動したことに応じて、受信装置100aが工事現場の位置に移動される(図5の矢印A)。これに伴って、最後尾に配置されていた受信装置100dが、移動前に受信装置100aが存在していた位置に移動される(図5の矢印B)。
【0052】
このような並び替えが行われた後、予め決められた期間が経過し、または、利用者がスイッチ15bによって指示すると、CPU13-2は、各受信装置100の順列および表示距離を再取得する。そして、CPU13-2は、各受信装置100のディスプレイ20に表示距離を表示させる。この結果、各受信装置100のディスプレイ20上で表示距離が更新され、並べ替え後の工事現場からの距離を示す状態になる。図2Bに示す例であれば、図5に示すLa4,La5,La6は全て50mであるため、1番目の受信装置100aのディスプレイ20-2には0(m)、2番目の受信装置100dのディスプレイ20-1には50(m)、3番目の受信装置100bのディスプレイ20-1には100(m)、4番目の受信装置100cのディスプレイ20-1には150(m)が表示される。
【0053】
以上のような本実施形態によれば、距離起算地点に配置された受信装置100と、距離表示地点に配置された受信装置100との、距離が自動で取得され、ディスプレイ20に表示される。従って、受信装置100を道路上に初期配置した場合や、工事現場が移動したことに伴って受信装置100を移動させた場合に、作業者が距離を計測する必要はない。また、看板1aに表示距離を書いたり、数値を示すマグネットシート等を取り替えたりする必要はない。このため、工事現場からの距離を表示するための手間を低減することができる。
【0054】
さらに、本実施形態においては、受信装置100を並び替えた場合であっても、並び替えた後の配置に応じた表示距離を自動的に取得し、表示させることができる。このため、工事現場が移動したとしても、作業者は受信装置100を移動させるだけで良く、距離を表示するために煩雑な作業をする必要はない。
【0055】
さらに、本実施形態においては、表示距離が更新される構成であるため、受信装置100を移動させるための労力を小さくすることができる。例えば、図2Aに示す状態から図2Bに示す状態に並び替えることを想定する。表示距離が変更できない従来の看板であれば、工事現場が前方に移動すると、その移動距離に合わせて全ての看板を前方に移動させる必要がある。しかし、本実施形態においては、並び替え後の順列に応じた表示距離が再取得されるため、全ての受信装置を移動させる必要はない。例えば、図2Bに示す例であれば、受信装置100a,100dを移動させればよく、受信装置100b,100cを移動させる必要はない。
【0056】
(3-1)受信制御処理:
次に、スレーブとして振る舞う受信装置100が実行する受信制御処理を説明する。図6は、図3に示す装置において、予め決められた期間が経過するたびに、または、スイッチ15bによる指示が行われた場合に開始される処理である。上述のように、本実施形態にかかる図3に示す装置は、受信装置100単体として振る舞うことが可能であり、また、受信装置100かつ距離表示制御装置200として振る舞うことも可能である。このため、これらの役割が確定するまで、共通の処理が実行される。
【0057】
具体的には、CPU13は、識別情報および設定を取得する(ステップS10)。すなわち、CPU13は、メモリ14に記録された受信装置100毎の識別情報(ID)を取得する。また、CPU13は、スイッチ15aの状態を特定することによって装置の役割(マスターまたはスレーブ)を特定する。
【0058】
次に、CPU13は、設定内容に基づいて、自身がマスター、スレーブのいずれであるのかを判別する(ステップS20)。スレーブに設定されている場合、CPU13は、ステップS100~S125(上述の受信装置制御プログラム110)を実行する。マスターに設定されている場合、CPU13は、ステップS200~S230(上述の距離表示制御プログラム210)を実行する。
【0059】
ここでは、スレーブに設定されている場合の処理を説明する。なお、以後においては、図4に示す符号を利用して処理を説明する。スレーブに設定されている受信装置100において、CPU13-1は、GNSS信号に基づいて位置情報を取得する(ステップS100)。すなわち、CPU13-1は、受信部110aの機能により、GNSSモジュール11-1を介してGNSS信号を取得する。また、CPU13-1は、位置情報送信部110bの機能により、GNSS信号に基づいて、受信装置100の位置情報を取得する。なお、位置情報を取得する際には、既定期間以内に取得した位置情報同士の差分が既定値以下に収束するまで待って、位置情報を確定させても良い(後述のステップS200でも同様)。この構成によれば、並び替え等による移動中に位置情報が取得されることを防止することができる。
【0060】
次に、CPU13-1は、位置情報送信部110bの機能により、識別情報および位置情報を距離表示制御装置200に送信する(ステップS105)。すなわち、CPU13-1は、距離表示制御装置200から位置情報の送信要求が行われるか否か監視している。送信要求が行われた場合、CPU13-1は、ステップS10で取得した識別情報と、ステップS100で取得した位置情報とを対応付け、無線通信モジュール12-1を介して、距離表示制御装置200に対して送信する。
【0061】
位置情報が送信されると、距離表示制御装置200は、距離起算地点に配置された受信装置100と、距離表示地点に配置された受信装置100との間の距離である表示距離を算出し、各受信装置に対して返信する。そこで、各受信装置100においては、CPU13-1が、表示距離受信部110cの機能により、距離表示制御装置200から表示距離を取得する(ステップS120)。すなわち、CPU13-1は、自身から工事現場までの距離を示す表示距離を取得する。
【0062】
次に、CPU13-1は、表示距離受信部110cの機能により、表示距離を表示させる(ステップS122)。すなわち、CPU13-1は、ディスプレイ20-1を制御して表示距離を表示させる。この結果、受信装置100においては、工事現場から受信装置100までの距離をディスプレイ20-1上に表示させる。以上の処理が終了すると、CPU13-1は、距離表示制御装置200へ設置完了通知を送信する(ステップS125)。すなわち、CPU13-1は、全ての受信装置において正常に表示が完了したか否かを距離表示制御装置200において確認するための情報を、当該距離表示制御装置200に対して送信する。なお、CPU13-1は、ステップS120,S122の処理が完了しない状態で既定時間が経過した場合に、エラーとみなしてステップS100以降の処理を繰り返しても良い。
【0063】
(3-2)距離表示制御処理:
次に、マスターとして、すなわち、受信装置100に加えて距離表示制御装置200としても機能する装置が実行する受信制御処理を説明する。図6に示す処理のステップS20において、マスターに設定されていると判別されると、CPU13は、ステップS200~S230(上述の距離表示制御プログラム210)を実行する。
【0064】
ステップS200において、CPU13-2は、GNSS信号に基づいて位置情報を取得する。すなわち、CPU13-2は、位置情報取得部210aの機能により、GNSSモジュール11-2を介してGNSS信号を取得する。また、CPU13-2は、位置情報取得部210aの機能により、GNSS信号に基づいて、マスターとして振る舞う受信装置100の位置情報を取得する。取得された情報はメモリ14に記憶される。
【0065】
図7Aは、図2Aに示す例においてメモリ14に記憶される情報の例を示す図である。図7Aに示すように、距離表示制御装置200のメモリ14には、各装置の識別情報に対して、位置情報、マスター(M)とスレーブ(S)との区別、および順列が対応づけて記憶される。ステップS200においてCPU13-2は、マスター(M)として機能する距離表示制御装置200の位置情報が取得されるため、距離表示制御装置200の識別情報(図7Aに示す例ではID:1)に位置情報(X,Y)を対応付けて記憶する。また、本実施形態において、距離表示制御装置200は、マスターであり、かつ、距離起算地点に配置される受信装置100であるため、CPU13-2は、マスターであることを示すフラグ(1)と1番目の順列であることを、識別情報に対応づけて記憶する。なお、ステップS200の段階では、マスター(M)以外の情報は特定されていない。
【0066】
次に、CPU13-2は、各受信装置から識別情報および位置情報を取得する(ステップS205)。すなわち、CPU13-2は、無線通信モジュール12-2を介して各受信装置に対して位置情報の送信要求を行う。この結果、CPU13-2は、道路上の距離表示地点に配置された受信装置100から送信される識別情報および位置情報を取得する。ここでも、取得された情報はメモリ14に記憶される。すなわち、図7Aに示すスレーブの各受信装置100について情報が記録される。具体的には、識別情報がID2~ID4の受信装置のそれぞれに対して、その位置情報(X,Y)~(X,Y)を対応付け、スレーブであることを示すフラグ(0)を対応づけて記憶する。本実施形態においては、マスター以外の受信装置は全てスレーブに設定されるが、マスターまたはスレーブであることを示す情報は、受信装置100から送信されても良い。
【0067】
ステップS205が終了した段階で、スレーブとして機能する受信装置100の順列は特定されていない。そこで、CPU13-2は、表示距離取得部210bの機能により、受信装置の順列を決定する(ステップS210)。当該順列を決定するための処理は後述する。受信装置の順列が決定されると、図7Aに示す情報において、スレーブとして機能する受信装置100の順列も決定された状態になる。
【0068】
そこで、CPU13-2は、表示距離取得部210bの機能により、表示距離を算出する(ステップS215)。当該表示距離を算出するための処理は後述する。表示距離が決定されると、CPU13-2は、表示制御部210cの機能により、各受信装置へ表示距離を送信する(ステップS220)。すなわち、表示距離は、各受信装置100のそれぞれについて特定されているため、CPU13-2は、無線通信モジュール12-2を介して、2番目からN番目の受信装置100のそれぞれに対して、2番目からN番目の受信装置100の表示距離を送信する。
【0069】
次に、CPU13-2は、受信装置から完了通知を受信する処理を行う(ステップS225)。そして、CPU13-2は、全受信装置から完了通知を受信したか否か判定し(ステップS230)、全受信装置から完了通知を受信したと判定されなければ、ステップS205以降の処理を繰り返す。すなわち、全受信装置から完了通知を受信したと判定されない場合、表示距離が適正に表示されていない可能性があるとみなし、ステップS205以降の処理を繰り返す。なお、この場合、図7Aに示す情報の中の、スレーブの情報は初期化され、ステップS205以降の処理過程で、再度記録されていく。
【0070】
(3-3)順列決定処理:
次に、ステップS210における順列決定処理を説明する。図7Bは、受信装置の順列を決定する順列決定処理のフローチャートである。順列決定処理において、CPU13-2は、順列を示す変数nを1に設定する(ステップS300)。n=1は1番目、すなわち、距離起算地点に配置された受信装置100を示し、本実施形態においては、受信装置100および距離表示制御装置200として機能するマスターが1番目である。この段階では、1番目の順列の受信装置以外は、順列が未定である。
【0071】
次に、CPU13-2は、n番目に最も近い受信装置100がn-1番目であるか否か判定する(ステップS305)。すなわち、CPU13-2は、メモリ14に記憶された情報を参照し、n番目の受信装置100の位置情報と他の受信装置100の位置情報とを比較し、最も近い受信装置100を特定する。そして、CPU13-2は、当該最も近い受信装置100が、n-1番目であるか否かを判定する。図2Aおよび図5の左側の列に示す例(装置間距離は全て等しく50m)であれば、n=1の状態でステップS305が実行されることにより、1番目の受信装置100aに最も近い受信装置がID2の受信装置100bであると特定する。この段階で、ID2の受信装置100bの順列は未定であるため、CPU13-2は、n番目に最も近い受信装置100がn-1番目ではないと判定する。
【0072】
ステップS305において、n番目に最も近い受信装置100がn-1番目であると判定されない場合、CPU13-2は、n番目に最も近い受信装置100をn+1番目に設定する(ステップS310)。図2Aおよび図5の左側の列に示す例でn=1の場合、1番目の受信装置100aに最も近いID2の受信装置100bが2番目に設定される。
【0073】
次にCPU13-2は、順列未定の受信装置100が存在するか否かを判定する(ステップS325)。ステップS325において、順列未定の受信装置100が存在すると判定されない場合、CPU13-2は、図6に示すフローに復帰する。ステップS325において、順列未定の受信装置100が存在すると判定された場合、CPU13-2は、変数nをインクリメントし(ステップS330)、ステップS305以降の処理を繰り返す。図2Aおよび図5の左側の列に示す例でn=1の場合、ID3,ID4の受信装置100の順列が未定であるため、ステップS325において、順列未定の受信装置100が存在すると判定される。従って、変数nが2となってステップS305以降が繰り返される。
【0074】
一方、ステップS305において、n番目に最も近い受信装置100がn-1番目であると判定された場合、CPU13-2は、n番目から2番目に近い順列未定の受信装置を特定する(ステップS315)。すなわち、CPU13-2は、メモリ14に記憶された情報を参照し、n番目の受信装置100の位置情報と他の受信装置100の位置情報とを比較し、n番目から2番目に近い順列未定の受信装置100を特定する。図2Aおよび図5の左側の列に示す例でn=2の場合、2番目の受信装置100からの距離はID1,ID3の受信装置100で同一であり、かつ最小である。従って、ステップS305において、2番目の受信装置100に最も近い受信装置はID1,ID3の受信装置100であると判定される。そして、ID1の受信装置100は順列特定済であるため、ステップS315においては、ID3の受信装置100が特定される。
【0075】
次に、CPU13-2は、2番目に近い順列未定の受信装置をn+1番目に設定する(ステップS320)。図2Aおよび図5の左側の列に示す例でn=2の場合、ID3の受信装置100が3番目に設定される。以後、CPU13-2は、ステップS325以降の処理を実行する。図2Aおよび図5の左側の列に示す例でn=2の場合、ステップS325では、ID4の受信装置が存在するため、順列未定の受信装置が存在すると判定され、変数nが3になってステップS305以降の処理が実行される。
【0076】
この場合、ステップS305において、3番目に最も近い受信装置100が2番目の受信装置であると判定され、ステップS315,S320において、ID4の受信装置100が4番目に設定される。この後、ステップS325で順列未定の受信装置が存在しないと判定され、順列決定処理が終了する。
【0077】
なお、図2Bおよび図5の右側の列に示す例のように並び替えられた場合に順列決定処理が実行された場合についても説明する。この場合、メモリ14に記録される情報は図7Cに示される情報である。順列決定処理開始直後において、ID2~ID4の順列は未定である。この状況で順列決定処理が実行されると、ステップS300,S305を経てステップS310が実行され、1番目であるID1の受信装置100aに最も近いID4の受信装置100dが2番目になる。
【0078】
次に、変数n=2でステップS305以降が実行されると、2番目であるID4の受信装置100dから2番目に近い順列未定の受信装置、すなわち、ID2の受信装置100bが3番目に設定される。この後、変数n=3でステップS305以降が実行されると、3番目であるID2の受信装置100bから2番目に近い順列未定の受信装置、すなわち、ID3の受信装置100cが4番目に設定される。
【0079】
(3-4)表示距離算出処理:
次に、ステップS215における表示距離算出処理を説明する。図8は、各受信装置の表示距離を算出する表示距離算出処理のフローチャートである。表示距離算出処理において、CPU13-2は、順列を示す変数nを1、表示距離を示す変数Lを0に設定する(ステップS400)。次に、CPU13-2は、n番目の受信装置100の表示距離をLに設定する(ステップS405)。すなわち、CPU13-2は、1番目の受信装置100の表示距離を0(m)に設定する。
【0080】
次に、CPU13-2は、n番目とn+1番目の受信装置100の間の装置間距離Laを取得する(ステップS410)。次に、CPU13-2は、変数LにL+Laを代入し(ステップS415)、Lをn+1番目の受信装置の表示距離として取得する(ステップS420)。例えば、図2Aおよび図5の左側の列に示す例でn=1の場合、ステップS410において、1番目の受信装置100aと2番目の受信装置100bとの間の装置間距離La1が取得される。ステップS415において変数LにL+La1(=0+La1)が代入され、ステップS420において、2番目の受信装置100bの表示距離がLa1となる。
【0081】
次に、CPU13-2は、nがN-1であるか否か、すなわち、N番目の受信装置100までの装置間距離を累積したか否か、を判定する(ステップS425)。nがN-1であると判定されない場合、CPU13-2は、変数nをインクリメントし(ステップS430)、ステップS410以降の処理を繰り返す。
【0082】
例えば、図2Aおよび図5の左側の列に示す例でn=2となってステップS410が実行されると、ステップS410では、2番目の受信装置100bと3番目の受信装置100cとの間の装置間距離La2が取得される。そして、ステップS415において装置間距離が累積されて変数Lが更新されてLa1+La2となり、ステップS420において3番目の受信装置の表示距離がLa1+La2となる。
【0083】
以上の処理は、n番目とn+1番目の前記受信装置の間の装置間距離をnがN-1となるまでnが小さい値から順に累積する処理である。この累積を、nがN-1となるまで実行すれば、N番目の受信装置の表示距離が取得される。この処理によれば、距離起算地点に配置された受信装置から、距離表示地点に配置された受信装置までの距離である表示距離を、道路に沿った距離として取得することができる。
【0084】
(4)第2実施形態:
上述の距離表示システムは、一実施形態であり、異なる構成によって距離表示システムが実現され得る。例えば、受信装置100と距離表示制御装置200とは別体の装置であっても良い。図9Aは、看板1aに受信装置101a~101dが取り付けられるが、距離表示制御装置201は、これらの受信装置101a~101dと異なる装置である構成の例を示している。本例において、距離表示制御装置201は、作業車両Veに搭載された表示装置DDに取り付けられている。
【0085】
受信装置101a~101dは、図3に示すハードウェアで実現可能である。距離表示制御装置201も図3に示すハードウェアで実現可能であるが、ディスプレイ20は省略されて良い。受信装置101a~101dにおいては、第1実施形態と同様の受信装置制御プログラム110が実行されることにより、図4に示す受信装置100と同様の機能を実行する。
【0086】
但し、本実施形態の場合、距離表示制御装置201ではない受信装置101aが距離起算地点となるため、受信装置101a~101dのうち、距離起算地点に配置される装置が特定される。距離起算地点に配置される装置は、GNSS信号や、利用者の指示など、種々の手法で特定されて良い。利用者の指示で特定される構成は、例えば、スイッチ15cによって距離起算地点であるか否かを示す情報が定義されることによって実現される。
【0087】
利用者は、各受信装置101a~101dのスイッチ15cを操作し、各受信装置101a~101dが距離起算地点、距離表示地点のいずれに配置されるのか指示する。距離起算地点に配置される設定が行われた受信装置においては、自身が距離起算地点であることを示すフラグをオンにしてメモリ14に記憶する。距離起算地点に配置される設定が行われていない受信装置においては、自身が距離起算地点であることを示すフラグをオフにしてメモリ14に記憶する。図9Aに示す例においては、受信装置101aにおいて距離起算地点であることを示すフラグがオンに設定され、受信装置101b~101dにおいて距離起算地点であることを示すフラグがオフに設定される。
【0088】
このため、受信装置101a~101dが、受信装置制御プログラム110によってステップS100~S125を実行する際、CPU13-1は、ステップS105において、識別情報に位置情報および距離起算地点であることを示すフラグのオン・オフを対応づけて距離表示制御装置201に送信する。
【0089】
一方、距離表示制御装置201においては、第1実施形態と同様な距離表示制御プログラム210が実行されることにより、図4に示す距離表示制御装置200と同様の機能を実行する。但し、距離表示制御装置201においては、受信装置100としての機能およびディスプレイ20-2は省略されて良い。
【0090】
距離表示制御装置201においても、図6に示す処理と同様の処理を実行するが、受信装置100としての機能は不要であるため、ステップS200は省略されて良い。また、ステップS205においては、各受信装置から識別情報、位置情報、距離起算地点であることを示すフラグのオン・オフを取得する。図9Bは、距離表示制御装置201のメモリ14に記憶される情報の例を示している。図9Bは、図7Aに示す例に距離起算地点であることを示すフラグが追加された情報である。なお、この例において、受信装置101a~101dのIDは1~4であり、いずれもスレーブとして機能する。また、各受信装置間において、受信装置間の距離を計算する機能は実行しないため、マスターとスレーブとを区別する情報は全て(0)であり、全ての受信装置がスレーブである。
【0091】
距離表示制御装置201において、この情報に基づいてステップS210が実行されると、CPU13-2は、図7Bに示す順列決定処理を実行するが、ステップS300においては、距離起算地点であることを示すフラグがオンになっている受信装置101aが1番目であるとみなす。ステップS305以降の処理は、第1実施形態と同様である。また、図6に示すステップS215以降の処理も第1実施形態と同様である。以上の構成によれば、受信装置101a~101dと別体の距離表示制御装置201によって受信装置101a~101dのディスプレイ20に距離起算地点からの距離を表示させることができる。
【0092】
(5)第3実施形態:
さらに、装置間距離を累積するための順列が複数個であってもよい。例えば、同一の工事現場に関して、距離起算地点を複数個設定する場合がある。図1Bは、図1Aと同じ工事現場の周辺で利用され得るが、距離起算地点が異なる看板1bの例である。図10Aは、看板1bが利用される例を示す図である。図10Aに示す道路RDでは工事が行われており、工事現場には簡易的な壁Wが設置されている。
【0093】
当該工事は、壁Wに囲まれた道路上の区域および当該区域に接続された道路RDの外部の敷地での工事であり、壁Wの入口P2から大型車両が工事現場に出入りする。また、壁Wの手前(進行方向後方)においては位置P1から車線規制が開始されている。このような工事現場においては、車線規制が開始される位置P1より前方が工事現場であり、当該位置P1までの距離を看板によって表示する場合がある。また、壁Wの入口P2は大型車両が出入りするため、当該入口P2までの距離も看板によって表示する場合がある。
【0094】
このような場合に、異なる看板、すなわち、位置P1からの距離が示される看板1aと、位置P2からの距離が示される看板1bとが併用される。すなわち、複数の看板1aは、位置P1を距離起算地点として道路RD上で進行方向後方に複数台並べられる。一方、複数の看板1bは、位置P2を距離起算地点として道路RD上で進行方向後方に複数台並べられる。
【0095】
そこで、複数の距離起算地点を先頭にして並べられた受信装置の異なる順列のそれぞれにおいて、看板に表示距離を表示可能に構成しても良い。このような表示を実現するための手法は、種々の手法があるが、例えば、複数の受信装置を複数のグループに分類する構成が挙げられる。例えば、図10Aに示す看板1aに取り付けられた受信装置102a~102cと、看板1bに取り付けられた受信装置103a~103cを異なるグループに分類する。このため、本実施形態においては、グループ毎に距離起算地点と、距離表示地点とが存在する。図10Aにおいては、一方のグループの距離起算地点に受信装置102aが配置され、当該グループの距離表示地点に受信装置102b,102cが配置される。また、他方のグループの距離起算地点に受信装置103aが配置され、当該グループの距離表示地点に受信装置103b,103cが配置される。
【0096】
受信装置102a~102c,103a~103cは、図3に示すハードウェアで実現可能である。距離表示制御装置も図3に示すハードウェアで実現可能である。距離表示制御装置は受信装置と一体であっても良いし、別体であっても良い。図10Aにおいては、受信装置102aが距離表示制御装置202と一体であり、マスターとして機能する例が想定されている。
【0097】
受信装置102b,102c,103a~103cにおいては、第1実施形態と同様の受信装置制御プログラム110が実行されることにより、図4に示す受信装置100と同様の機能を実行する。但し、本実施形態の場合、距離起算地点となる受信装置が複数個存在するため、距離起算地点に配置されている受信装置と、各受信装置が属するグループが特定される。距離起算地点に配置される装置は、GNSS信号や、利用者の指示など、種々の手法で特定されて良い。利用者の指示で特定される構成は、例えば、スイッチ15cによって距離起算地点であるか否かを指示されることによって実現される。
【0098】
グループへの分類は、種々の手法によって実施されてよい。例えば、予め複数のグループに分類された複数の受信装置が用意されても良いし、利用者の指示によって複数の受信装置の分類が行われてもよい。利用者の指示によって分類される構成は、例えば、スイッチ15cによって受信装置が属するグループが指定される構成によって実現される。
【0099】
ここでは、利用者が、スイッチ15cによって距離起算地点に存在するか否かを指定し、グループを指定する例を説明する。すなわち、図10Aに示す例において利用者は、各受信装置102a~102cのスイッチ15cを操作し、受信装置102aにおいては、距離起算地点であることを示すフラグをオンに設定し、受信装置102aを距離起算地点とするグループであることを示す情報を対応づける。受信装置102b,102cにおいては、距離起算地点であることを示すフラグをオフに設定し、受信装置102aを距離起算地点とするグループであることを示す情報を対応づける。
【0100】
さらに、利用者は、各受信装置103a~103cのスイッチ15cを操作し、受信装置103aにおいては、距離起算地点であることを示すフラグをオンに設定し、受信装置103aを距離起算地点とするグループであることを示す情報を対応づける。受信装置103b,103cにおいては、距離起算地点であることを示すフラグをオフに設定し、受信装置103aを距離起算地点とするグループであることを示す情報を対応づける。
【0101】
なお、受信装置102aにおいては、スイッチ15aに対する操作によって受信装置102aがマスターとして振る舞うように設定される。他の受信装置においては、スイッチ15aに対する操作によってスレーブとして振る舞うように設定される。以上の設定を反映した情報は、各受信装置のメモリ14に記憶される。
【0102】
受信装置102b,102c,103a~103cが、受信装置制御プログラム110によってステップS100~S125を実行する際、CPU13-1は、ステップS105において、識別情報に位置情報,距離起算地点であることを示すフラグのオン・オフ,グループを示す情報を対応づけて距離表示制御装置202に送信する。
【0103】
一方、距離表示制御装置202においては、第1実施形態と同様な距離表示制御プログラム210が実行されることにより、受信装置102aおよび距離表示制御装置202として機能する。すなわち、図4に示す距離表示制御装置200と同様の機能を実行する。距離表示制御装置202においても、図6に示す処理と同様の処理を実行するが、ステップS205においては、各受信装置から識別情報、位置情報、距離起算地点であることを示すフラグのオン・オフ、グループを示す情報を取得する。
【0104】
図10Bは、距離表示制御装置202のメモリ14に記憶される情報の例を示している。図10Bは、図7Aに示す例に距離起算地点であることを示すフラグおよびグループを示す情報が追加された情報である。図11は、受信装置102a~102c,103a~103cの配置を模式的に示す図である。図11における×は距離起算地点に配置された受信装置であることを示している。図10A図10B図11に示す例において、ID1~3である受信装置102a~102cはグループ1に属し、ID4~6である受信装置103a~103cはグループaに属する。グループを示す符号は任意であり、数値、文字のいずれでも良いし、他の記号等であっても良い。
【0105】
距離表示制御装置202において、図10Bに示す情報に基づいてステップS210が実行されると、CPU13-2は、図7Bに示す順列決定処理を実行するが、この処理は、グループ毎に実行される。図10A図10B図11に示す例であれば、グループ1に属する受信装置102a~102cを対象としてステップS300~S330が実行される。また、グループaに属する受信装置103a~103cを対象としてステップS300~S330が実行される。ここでも、ステップS300においてCPU13-2は、距離起算地点であることを示すフラグがオンになっている受信装置が1番目であるとみなす。ステップS305以降の処理は、第1実施形態と同様である。
【0106】
ステップS215が実行されると、CPU13-2は、図8に示す表示距離算出処理を実行するが、この処理もグループ毎に実行される。すなわち、CPU13-2は、グループ毎の距離起算地点に配置された受信装置と、グループ毎の距離表示地点に配置された受信装置と、の距離をグループ毎の表示距離として取得する。
【0107】
図10A図10B図11に示す例であれば、グループ1に属する受信装置102a~102cを対象としてステップS400~S430が実行される。また、グループaに属する受信装置103a~103cを対象としてステップS400~S430が実行される。ここでも、ステップS400においてCPU13-2は、各グループにおいて、距離起算地点であることを示すフラグがオンになっている受信装置が1番目であるとみなす。以上の処理の結果、表示距離は以下のようになる。
受信装置102b:La21
受信装置102c:La21+La22
受信装置103b:La31
受信装置103c:La31+La32
【0108】
図6に示すステップS220以降の処理は、第1実施形態と同様である。なお、ここでは、グループが2個についての例を説明したが、むろん、グループは3個以上であっても良い。以上の構成によれば、複数の距離起算地点から並べられた複数の順列に従って、距離起算地点からの距離を受信装置に表示させることができる。
【0109】
(6)第4実施形態:
さらに、装置間距離を累積するための順列が複数個である構成は、複数の距離表示制御装置によって実現されても良い。例えば、互いに逆向きの方向のそれぞれに向けて走行可能な車線が存在する道路において、一方の進行方向に走行する車線と他方の進行方向に走行する車線のそれぞれを走行する車両に対して表示距離を伝達したい場合等がある。
【0110】
図12は、互いに逆向きの方向のそれぞれに向けて走行可能な車線が存在する道路の例を示している。図12に示す例では、山MTの回りに道路RDが存在し、道路RDは片側1車線であり、各車線で逆向きに車両が走行可能である。道路RD上には、カラーコーン(登録商標)で囲まれた工事現場WSが存在する。各車線を走行する車両に対して当該工事現場WSまでの距離を伝えるため、各車線のそれぞれに看板1a1,1a2が配置される。
【0111】
本実施形態においては、異なる順列に属する看板(受信装置)を異なる系統として区別する。図12に示す例においては、工事現場WSが存在する車線に沿って配置される看板1a1を第1の系統、逆向きに走行する車線に沿って配置される看板1a2を第2の系統として区別する。受信装置104a~104dは第1の系統に属し、受信装置105a~105cは第2の系統に属する。
【0112】
本実施形態においては、第1の系統に関する距離表示を制御する距離表示制御装置と204と、第2の系統に関する距離表示を制御する距離表示制御装置205とが用いられる。距離表示制御装置204は、第1の系統に属する受信装置104a~104dから位置情報を取得して表示距離を取得し、第1の系統に属する受信装置104a~104dのディスプレイに表示させる。また、距離表示制御装置205は、第2の系統に属する受信装置105a~105cから位置情報を取得して表示距離を取得し、第2の系統に属する受信装置105a~105cのディスプレイに表示させる。
【0113】
距離表示制御装置は、受信装置と一体であっても良いし、別体であっても良い。図12に示す例において、距離表示制御装置と受信装置とが一体である。受信装置104a~104d,105a~105cや距離表示制御装置204,205は、図3に示すハードウェアで実現可能である。
【0114】
受信装置104b~104d,105b,105cにおいては、第1実施形態と同様の受信装置制御プログラム110が実行されることにより、図4に示す受信装置100と同様の機能を実行する。但し、本実施形態の場合、距離表示制御装置としても機能し、距離起算地点となる受信装置が複数個存在する。そこで、利用者は、スイッチ15aを操作して、複数の受信装置をマスターに設定する。図12に示す例であれば、受信装置104a,105aがマスター(M)に設定され、他の受信装置はスレーブ(S)に設定される。
【0115】
本例においては、マスターに設定された受信装置104a,105aが距離起算地点に配置され、他の受信装置は距離表示地点に配置される。このため、受信装置104a,105aにおいては、スイッチ15cにより、距離起算地点であることを示すフラグがオンに設定される。他の受信装置においては、スイッチ15cにより、距離起算地点であることを示すフラグがオフに設定される。
【0116】
また、利用者は、スイッチ15cを操作して、各受信装置が属する系統を特定する。図12に示す例であれば、受信装置104a~104dが第1の系統に設定され、受信装置105a~105cが第2の系統に設定される。これらの情報の設定は、上述の実施形態と同様に、種々の態様で実施されてよい。
【0117】
受信装置104b~104d,105b,105cが、受信装置制御プログラム110によってステップS100~S125を実行する際、CPU13-1は、ステップS105において、識別情報に位置情報,マスターまたはスレーブを示す情報,距離起算地点であることを示すフラグのオン・オフ,系統を示す情報を対応づけて送信する。この情報は、距離表示制御装置204,205の双方によって受信され、メモリ14に記憶される。
【0118】
一方、距離表示制御装置204.205においては、第1実施形態と同様な距離表示制御プログラム210が実行されることにより、受信装置および距離表示制御装置として機能する。すなわち、図4に示す距離表示制御装置200と同様の機能を実行する。距離表示制御装置204,205においては、それぞれ独立に図6に示す処理と同様の処理を実行するが、ステップS205においては、各受信装置から識別情報,位置情報,マスターまたはスレーブを示す情報,距離起算地点であることを示すフラグのオン・オフ,系統を示す情報を取得する。
【0119】
図13Aは、距離表示制御装置204,205のメモリ14に記憶される情報の例を示している。図13Aは、図7Aに示す例に距離起算地点であることを示すフラグおよび系統を示す情報が追加された情報である。図13Bは、受信装置104a~104d,105a~105cの配置を模式的に示す図である。図13Bにおける×は距離起算地点に配置された受信装置であることを示している。図12図13A図13Bに示す例において、ID1~4である受信装置104a~104dは第1の系統に属し、ID5~7である受信装置105a~105cは第2の系統に属する。
【0120】
距離表示制御装置204,205において、図13Aに示す情報に基づいてステップS210が実行されると、CPU13-2は、図7Bに示す順列決定処理を実行するが、この処理は、系統毎に実行される。図12図13A図13Bに示す例であれば、距離表示制御装置204のCPU13-2は、メモリ14を参照し、距離表示制御装置204と一体の受信装置104aが属する系統である第1の系統に属する受信装置104b~104dを特定する。そして、CPU13-2は、第1の系統に属する受信装置104a~104dを対象とし、ステップS300~S330を実行する。
【0121】
また、距離表示制御装置205のCPU13-2は、メモリ14を参照し、距離表示制御装置205と一体の受信装置105aが属する系統である第2の系統に属する受信装置105b,105cを特定する。そして、CPU13-2は、第2の系統に属する受信装置105a~105cを対象とし、ステップS300~S330を実行する。
【0122】
ステップS215が実行されると、CPU13-2は、図8に示す表示距離算出処理を実行するが、この処理も系統毎に実行される。すなわち、距離表示制御装置204のCPU13-2は、第1の系統において距離起算地点に配置された受信装置104aと、第1の系統において距離表示地点に配置された受信装置104b~104dと、の距離を表示距離として取得する。距離表示制御装置205のCPU13-2は、第2の系統において距離起算地点に配置された受信装置105aと、第2の系統において距離表示地点に配置された受信装置105b,105cと、の距離を表示距離として取得する。
【0123】
以上の処理の結果、表示距離は以下のようになる。
受信装置104b:La41
受信装置104c:La41+La42
受信装置104d:La41+La42+La43
受信装置105b:La51
受信装置105c:La51+La52
【0124】
図6に示すステップS220以降の処理は、第1実施形態と同様である。なお、図12に示す道路は、カーブし、かつ、勾配があるが、本実施形態の表示距離は受信装置の間の装置間距離が累積されることで得られるため、道路に沿った距離が表示距離となる。このため、カーブ道路や勾配のある道路であっても、表示距離が直線距離である構成と比較して、正確に表示距離を特定することができる。
【0125】
また、ここでは、系統が2個についての例を説明したが、むろん、系統は3個以上であっても良い。以上の構成によれば、複数の距離起算地点から並べられた複数の順列に従って、距離起算地点からの距離を受信装置に表示させることができる。なお、本例において、系統は、系統を示す情報によって区別されたが、他の態様で区別されても良い。例えば、無線通信モジュール12で使用する搬送波の周波数が系統毎に異なるように設定すれば、系統を示す情報を送信しなくても系統を区別することができる。
【0126】
(7)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、受信装置で取得された位置情報に基づいて、受信装置間の距離を取得し、ディスプレイに表示させる限りにおいて、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、看板の表示内容、大きさ、形状等は限定されないし、ディスプレイの取付対象も看板に限定されない。また、受信装置や距離表示制御装置は、その機能の少なくとも一部が複数の装置に分散されていても良いし、他の装置と連携しても良い。
【0127】
さらに、上述の実施形態において受信装置100と距離表示制御装置200とは同一のハードウェア構成で実現されるが、異なる装置で実現されていても良い。また、距離表示制御装置200は、ディスプレイ20を備えなくても良い。さらに、距離起算地点に配置された受信装置100がディスプレイ20を備えていなくても良い。さらに、距離表示制御装置200で取得される距離が、表示以外の目的に利用されても良い。例えば、受信装置100の移動過程において距離が特定され、当該距離と既定の値(例えば、下二桁が0になる値)との誤差が閾値以下になったら報知されるような構成が採用されてもよい。この構成によれば、距離が既定の値の位置に受信装置100を容易に配置することができる。
【0128】
位置情報取得部は、GNSS信号を受信する複数の受信装置から受信装置の位置情報を取得することができればよい。すなわち、位置情報取得部は、表示距離の算出元の情報として、複数の受信装置のそれぞれの位置情報を取得することができればよい。位置情報は、受信装置の位置(座標)を特定するための情報であれば良く、航法衛星から取得したGNSS信号自体であっても良いし、GNSS信号に対して処理を行うことで取得された情報であってもよい。
【0129】
表示距離取得部は、位置情報に基づいて、距離起算地点に配置された受信装置と、ディスプレイを備え、かつ、距離表示地点に配置された受信装置と、の距離を表示距離として取得することができればよい。すなわち、表示距離取得部は、受信装置の位置情報に基づいて表示距離を取得することができればよい。表示距離は、距離表示地点に配置された受信装置から、ディスプレイを備えた受信装置までの距離であれば良い。従って、表示距離は、2個の受信装置の直線距離であっても良いし、2個の受信装置の間の道路沿いの距離であっても良い。道路沿いの距離を取得するための構成は、種々の構成が可能である。例えば、上述の実施形態のように、装置間距離の累積によって取得されても良いし、道路の形状等に基づいて道路沿いの距離が計算され、取得されても良い。
【0130】
距離起算地点は、表示距離を計測する際の起点となる位置であれば良く、例えば、工事現場の一地点等である。従って、距離起算地点は、工事の進捗等に応じて可変であって良い。ディスプレイは、表示距離を表示するための装置であれば良く、受信装置と一体であっても良いし、信号線等によって受信装置と接続された別体の構成であっても良い。
【0131】
表示制御部は、表示距離を距離表示地点に配置された受信装置に送信し、ディスプレイに表示させることができればよい。すなわち、距離表示制御装置は、受信装置に対して、当該受信装置のディスプレイに表示すべき表示距離を送信することで、当該ディスプレイに表示距離を表示させる。ディスプレイの制御等は、受信装置が主体となって実施してよいが、距離表示制御装置は、少なくとも、ディスプレイに表示するために表示距離を受信装置に対して送信することができればよい。むろん、距離表示制御装置からの制御信号によって表示距離がディスプレイに表示されても良い。
【0132】
受信装置の順列の生成法は、上述の実施形態のように、最も近い受信装置を順次選択することによって生成される方法に限定されない。例えば、受信装置の位置に基づいて、受信装置の位置を結ぶ1本の線を特定し、当該線上に受信装置が並んでいるとみなされる構成等が採用されてもよい。
【0133】
スイッチ15a、15bによる設定は、運用開始前の初期に実施されてもよいが、運用開始後に実施されてもよい。例えば、スイッチ15cへの操作によって、距離起算地点に配置される受信装置を変更しても良い。より具体的には、図2Aに示す配置から図2Bに示す配置に並び替える際に、受信装置100a,100b,100cの位置は変更せず、受信装置100dを受信装置100aの前に移動させても良い。この場合、受信装置100aのスイッチ15cが操作され、距離起算地点であることを示すフラグがオフにされる。また、受信装置100dのスイッチ15cが操作され、距離起算地点であることを示すフラグがオンにされる。マスターは、受信装置100aであっても良いし、受信装置100dに変更されても良い。むろん、他の装置であっても良い。
【0134】
さらに、距離表示システムが利用されるシーンは、上述のような1本の道路上に限定されない。例えば、交差点を含む道路であっても良いし、道路ではなく、駐車場のような広い敷地内に受信装置が並べられる構成であっても良い。さらに、上述の各実施形態が適用されるシーンも上述の例に限定されない。例えば、図10Aで示すシーンにおいて、第4実施形態で示された2系統の受信装置が利用されても良い。また、例えば、図12で示すシーンにおいて、第3実施形態で示された2個のグループの受信装置が利用されても良い。
【0135】
さらに、本発明のように、受信装置で取得された位置情報に基づいて、受信装置間の距離を取得し、ディスプレイに表示させる手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、装置を制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのソフトウェアの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0136】
1a…看板、1b…看板、11…GNSSモジュール、12…無線通信モジュール、13…CPU、14…メモリ、15a~15c…スイッチ、20…ディスプレイ、20a…表示パネル、20b…パネル制御部、100…受信装置、110…受信装置制御プログラム、110a…受信部、110b…位置情報送信部、110c…表示距離受信部、200…距離表示制御装置、210…距離表示制御プログラム、210a…位置情報取得部、210b…表示距離取得部、210c…表示制御部
【要約】
【課題】工事現場からの距離を表示するための手間を低減する。
【解決手段】GNSS信号を受信する複数の受信装置から前記受信装置の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記位置情報に基づいて、距離起算地点に配置された前記受信装置と、ディスプレイを備え、かつ、距離表示地点に配置された前記受信装置と、の距離を表示距離として取得する表示距離取得部と、前記表示距離を前記距離表示地点に配置された前記受信装置に送信し、前記ディスプレイに表示させる表示制御部と、を備える距離表示制御装置が構成される。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13