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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】データ取得装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/45 20060101AFI20220128BHJP
【FI】
G01N21/45 A
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020517001
(86)(22)【出願日】2018-05-02
(86)【国際出願番号】 JP2018017542
(87)【国際公開番号】W WO2019211910
(87)【国際公開日】2019-11-07
【審査請求日】2020-10-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000000376
【氏名又は名称】オリンパス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123962
【弁理士】
【氏名又は名称】斎藤 圭介
(72)【発明者】
【氏名】大平 まゆみ
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 良政
【審査官】大河原 綾乃
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-026596(JP,A)
【文献】特開2009-223348(JP,A)
【文献】国際公開第2016/121248(WO,A1)
【文献】特表2012-533746(JP,A)
【文献】特開2013-145199(JP,A)
【文献】特開2001-228123(JP,A)
【文献】国際公開第2018/049476(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0307249(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N21/45
G01J 3/45
G01B 9/02
G01B11/00 - G01B11/10
G03H 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、第1のビームスプリッタと、所定のビームスプリッタと、第1の光偏向素子と、第2の光偏向素子と、第1の測定ユニットと、第2の測定ユニットと、第2のビームスプリッタと、光検出器と、を備え、
前記光源と前記光検出器との間に、第1の測定光路と、第2の測定光路と、参照光路と、が位置し、
前記第1のビームスプリッタ、前記所定のビームスプリッタ、及び前記第2のビームスプリッタは、各々、光学膜が形成された光学面を有し、
前記第1のビームスプリッタでは、前記光学膜によって、入射した光から、第1の方向に進む光と、第2の方向に進む光と、が生成され、
前記第1の方向に、前記第2の測定光路が位置し、
前記第2の方向に、前記参照光路が位置し、
前記所定のビームスプリッタは、前記第2の測定光路に配置されるか、又は前記参照光路に配置され、
前記所定のビームスプリッタと前記光検出器との間に、前記第1の測定光路が位置し、
前記第1の測定光路に、前記第1の光偏向素子と、前記第1の測定ユニットと、が配置され、
前記第2の測定光路に、前記第2の光偏向素子と、前記第2の測定ユニットと、が配置され、
前記第1の測定光路と前記第2の測定光路とが交差していることを特徴とするデータ取得装置。
【請求項2】
前記所定のビームスプリッタは、前記第2の測定光路に配置され、
前記所定のビームスプリッタの反射側に、前記第1の測定光路が位置し、
前記所定のビームスプリッタの透過側に、前記第2の測定光路が位置していることを特徴とする請求項1に記載のデータ取得装置。
【請求項3】
前記所定のビームスプリッタは、前記参照光路に配置され
前記第1の光偏向素子は、前記所定のビームスプリッタを有し、
前記所定のビームスプリッタの透過側に、前記参照光路が位置し、
前記所定のビームスプリッタの反射側に、前記第1の測定光路が位置していることを特徴とする請求項1に記載のデータ取得装置。
【請求項4】
前記第1の光偏向素子の光学面と前記第2の光偏向素子の光学面は、各々、前記第1の測定光路と前記第2の測定光路との交点と共役であり、
前記第1の光偏向素子と前記第2の光偏向素子は、各々、ガルバノメータースキャナであることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のデータ取得装置。
【請求項5】
第3の光偏向素子と、第4の光偏向素子と、を有し、
前記第3の光偏向素子は、前記第1の測定ユニットと前記光検出器との間に配置され、
前記第4の光偏向素子は、前記第2の測定ユニットと前記光検出器との間に配置され、
前記第3の光偏向素子の光学面と前記第4の光偏向素子の光学面は、各々、前記第1の測定光路と前記第2の測定光路との交点と共役であり、
前記第3の光偏向素子と前記第4の光偏向素子は、各々、ガルバノメータースキャナであることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載のデータ取得装置。
【請求項6】
前記第2のビームスプリッタから前記光検出器までの間で、前記第1の測定光路と前記第2の測定光路は、各々、前記参照光路に対して平行に位置していることを特徴とする請求項1から5の何れか一項に記載のデータ取得装置。
【請求項7】
前記光源とは別の光源を有し、
前記別の光源から出射する光の波長帯域は、前記光源から出射する光の波長帯域と異なることを特徴とする請求項1から6の何れか一項に記載のデータ取得装置。
【請求項8】
前記第1の測定光路を進行する光、前記第2の測定光路を進行する光、及び参照光路を進行する光が、同時に前記光検出器で検出されることを特徴とする請求項1から7の何れか一項に記載のデータ取得装置。
【請求項9】
第1の偏光素子と、第2の偏光素子と、を有し、
前記第1の偏光素子は、前記第1の測定光路に配置され、
前記第2の偏光素子は、前記第2の測定光路に配置され
記第1の偏光素子の偏光方向と、前記第2の偏光素子の偏光方向は異なり、
前記参照光路における偏光方向は、前記第1の偏光素子の偏光方向と前記第2の偏光素子の偏光方向の両方と異なることを特徴とする請求項1から8の何れか一項に記載のデータ取得装置。
【請求項10】
前記第1の光偏向素子と前記第2の光偏向素子は、各々、光学面を有し、
前記第1の光偏向素子の光学面と前記第2の光偏向素子の光学面の少なくとも一方に、前記光学膜が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のデータ取得装置。
【請求項11】
前記光源と前記光検出器との間に、第3の測定光路が位置し、
前記第3の測定光路は、前記第1の測定光路と前記第2の測定光路の両方と交差することを特徴とする請求項1から10の何れか一項に記載のデータ取得装置。
【請求項12】
前記第1の測定ユニットと前記第2の測定ユニットの少なくとも一方は、標本を保持する容器を含むことを特徴とする請求項1から11の何れか一項に記載のデータ取得装置。
【請求項13】
前記第1の測定ユニットと前記第2の測定ユニットは、各々、一対の対物レンズを有し、
前記一対の対物レンズは、照明側対物レンズと、結像側対物レンズと、からなり、
以下の条件式(1)を満足することを特徴とする請求項1から12の何れか一項に記載のデータ取得装置。
π/2<sin-1NA1+sin-1NA2 (1)
ここで、
NA1は、前記照明側対物レンズの開口数、
NA2は、前記結像側対物レンズの開口数、
である。
【請求項14】
前記第1の測定ユニットと前記第2の測定ユニットは、各々、一対の対物レンズを有し、
前記一対の対物レンズは、照明側対物レンズと、結像側対物レンズと、からなり、
照明側対物レンズの開口数と、結像側対物レンズの開口数は等しく、
以下の条件式(2)を満足することを特徴とする請求項1から13の何れか一項に記載のデータ取得装置。
0.71<NA (2)
ここで、
NAは、前記照明側対物レンズの開口数、
である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、データ取得装置、特に、屈折率の算出に用いるデータを取得する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
微小物体の像を高い分解能で取得する装置が、非特許文献1や特許文献1に開示されている。
【0003】
非特許文献1では、装置は、参照光路と信号光路とを有する。参照光路には、レンズが配置されている。信号光路には、2つの対物レンズが配置されている。2つの対物レンズは、標本を挟んで配置されている。信号光路には、回転ミラーが配置されている。回転ミラーによって、標本に照射される光の角度が変化する。
【0004】
標本を透過した光は、参照光路の光と共に、光検出器で検出される。標本を透過した光と参照光路の光とで、ホログラムが形成される。標本を透過した光には、標本で生じた散乱光が含まれている。よって、ホログラムにも、散乱光の情報が含まれている。このホログラムを用いて、標本における屈折率の3次元分布を計算している。
【0005】
特許文献1では、装置は、2つの光路を有する。一方の光路には、ピンホールとレンズが配置されている。他方の光路には、コンデンサレンズと対物レンズが配置されている。コンデンサレンズと対物レンズは、標本を挟んで配置されている。信号光路には、楔プリズムが配置されている。楔プリズムの回転によって、標本に照射される光の角度が変化する。
【0006】
特許文献1には、微小物体の像の分解能を向上させる方法が開示されている。開示されている方法は、微小物体で散乱された波動場を測定するステップを含んでいる。測定した波動場を、コヒーレント伝達関数でデコンボリューションし、散乱ポテンシャルを求める。この散乱ポテンシャルを、標本に照射される光の角度毎に求め、フーリエ面で合成することで、像の分解能を向上させている。
【0007】
また、式(30)が開示されている。式(30)には、関数F(K)とn(r)が含まれている。関数F(K)は散乱ポテンシャルで、n(r)は複素屈折率である。式(30)は、散乱ポテンシャルから屈折率が求められることを示している。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【文献】ULUGBEK S. KAMILOV ET AL,"Learning approach to optical tomography", Optica, June 2015, Vol. 2, No. 6, 517-522
【特許文献】
【0009】
【文献】米国特許第8937722号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
非特許文献1に開示された装置や、特許文献1に開示された装置では、散乱ポテンシャルに関する情報が少ない。そのため、標本の屈折率を正確に算出することが困難である。具体的には、算出された屈折率の値は、実際の屈折率の値よりも小さくなる。
【0011】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであって、屈折率を高い確度で算出できるデータ取得装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の少なくとも幾つかの実施形態に係るデータ取得装置は、
光源と、第1のビームスプリッタと、所定のビームスプリッタと、第1の光偏向素子と、第2の光偏向素子と、第1の測定ユニットと、第2の測定ユニットと、第2のビームスプリッタと、光検出器と、を備え、
光源と光検出器との間に、第1の測定光路と、第2の測定光路と、参照光路と、が位置し、
第1のビームスプリッタ、所定のビームスプリッタ、及び第2のビームスプリッタは、各々、光学膜が形成された光学面を有し、
第1のビームスプリッタでは、光学膜によって、入射した光から、第1の方向に進む光と、第2の方向に進む光と、が生成され、
第1の方向に、第2の測定光路が位置し、
第2の方向に、参照光路が位置し、
所定のビームスプリッタは、第2の測定光路に配置されるか、又は参照光路に配置され、
所定のビームスプリッタと光検出器との間に、第1の測定光路が位置し、
第1の測定光路に、第1の光偏向素子と、第1の測定ユニットと、が配置され、
第2の測定光路に、第2の光偏向素子と、第2の測定ユニットと、が配置され、
第1の測定光路と第2の測定光路とが交差していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、屈折率を高い確度で算出できるデータ取得装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図11実施形態のデータ取得装置を示す図である。
図22実施形態のデータ取得装置を示す図である。
図3本の例と散乱ポテンシャルの例を示す図である。
図4定光の向きとエワルト球の球殻の位置の関係を示す図である。
図5定光の向きとエワルト球の球殻の位置の関係を示す図である。
図6乱ポテンシャルの取得範囲と標本の形状の関係を示す図である。
図7乱ポテンシャルと散乱ポテンシャルの取得範囲の関係を示す図である。
図8実施形態のデータ取得装置における散乱ポテンシャルの取得範囲を示す図である。
図9乱ポテンシャルの取得範囲と標本の形状の関係を示す図である。
図10実施形態のデータ取得装置の実施例1を示す図である。
図11実施形態のデータ取得装置の実施例2を示す図である。
図12実施形態のデータ取得装置の実施例3を示す図である。
図13実施形態のデータ取得装置の実施例4を示す図である。
図14実施形態のデータ取得装置の実施例5を示す図である。
図15実施形態のデータ取得装置の実施例6を示す図である。
図16実施形態のデータ取得装置の実施例7を示す図である。
図17実施形態のデータ取得装置の実施例8を示す図である。
図18実施形態のデータ取得装置の実施例9を示す図である。
図19本を保持する容器を示す図である。
図20定ユニットと標本を保持する容器の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施例の説明に先立ち、本発明のある態様にかかる実施形態の作用効果を説明する。なお、本実施形態の作用効果を具体的に説明するに際しては、具体的な例を示して説明することになる。しかし、後述する実施例の場合と同様に、それらの例示される態様はあくまでも本発明に含まれる態様のうちの一部に過ぎず、その態様には数多くのバリエーションが存在する。したがって、本発明は例示される態様に限定されるものではない。
【0016】
第1実施形態のデータ取得装置や第2実施形態のデータ取得装置は、共通構成を備える。共通構成は、光源と、第1のビームスプリッタと、所定のビームスプリッタと、第1の光偏向素子と、第2の光偏向素子と、第1の測定ユニットと、第2の測定ユニットと、第2のビームスプリッタと、光検出器と、を備え、光源と光検出器との間に、第1の測定光路と、第2の測定光路と、参照光路と、が位置し、第1のビームスプリッタ、所定のビームスプリッタ、及び第2のビームスプリッタは、各々、光学膜が形成された光学面を有し、第1のビームスプリッタでは、光学膜によって、入射した光から、第1の方向に進む光と、第2の方向に進む光と、が生成され、第1の方向に、第2の測定光路が位置し、第2の方向に、参照光路が位置し、所定のビームスプリッタは、第2の測定光路に配置されるか、又は参照光路に配置され、所定のビームスプリッタと光検出器との間に、第1の測定光路が位置し、第1の測定光路に、第1の光偏向素子と、第1の測定ユニットと、が配置され、第2の測定光路に、第2の光偏向素子と、第2の測定ユニットと、が配置され、第1の測定光路と第2の測定光路とが交差していることを特徴とする。
【0017】
第1実施形態のデータ取得装置と第2実施形態のデータ取得装置は、共通構成を備える。共通構成について説明する。第1実施形態のデータ取得装置を図1に示す。第2実施形態のデータ取得装置を図2に示す。
【0018】
データ取得装置1とデータ取得装置1’は、共通構成として、光源2と、第1のビームスプリッタ3と、第1の光偏向素子4と、第2の光偏向素子5と、第1の測定ユニット6と、第2の測定ユニット7と、第2のビームスプリッタ8と、光検出器9と、を備える。
【0019】
共通構成では、光源2と光検出器9との間に、第1の測定光路OP1と、第2の測定光路OP2と、参照光路OPrと、が位置する。
【0020】
第1のビームスプリッタ3は、光学膜が形成された光学面3aを有する。第2のビームスプリッタ8は、光学膜が形成された光学面8aを有する。
【0021】
第1のビームスプリッタ3では、光学膜によって、入射した光から、第1の方向に進む光と、第2の方向に進む光と、が生成される。具体的には、光学膜によって、反射光と透過光とが生成される。データ取得装置1とデータ取得装置1’では、反射光が第1の方向に進む光に対応し、透過光が第2の方向に進む光に対応する。
【0022】
第1の方向と第2の方向は、交差する。第1の方向と第2の方向は、直交する2つの方向であると良い。
【0023】
第1の方向には、第2の測定光路OP2が位置している。よって、第1のビームスプリッタ3の反射側に、第2の測定光路OP2が位置する。第2の方向には、参照光路OPrが位置している。よって、第1のビームスプリッタ3の透過側に、参照光路OPrが位置する。
【0024】
以上の説明では、光学面3aで生成された反射光を、第1の方向に進む光に対応させている。また、光学面3aで生成された透過光を、第2の方向に進む光に対応させている。よって、第1のビームスプリッタ3の反射側に、第2の測定光路OP2が位置する。第1のビームスプリッタ3の透過側に、参照光路OPrが位置する。
【0025】
しかしながら、光学面3aで生成された反射光を、第2の方向に進む光に対応させても良い。また、光学面3aで生成された透過光を、第1の方向に進む光に対応させても良い。この場合、第1のビームスプリッタ3の反射側に、参照光路OPrが位置する。第1のビームスプリッタ3の透過側に、第2の測定光路OP2が位置する。
【0026】
共通構成は、所定のビームスプリッタを有する。所定のビームスプリッタは、第2の測定光路に配置されるか、又は参照光路に配置される。
【0027】
データ取得装置1は、所定のビームスプリッタ14を有する。所定のビームスプリッタ14は、光学膜が形成された光学面14aを有する。所定のビームスプリッタ14では、光学膜によって、入射した光から、反射光と透過光とが生成される。
【0028】
データ取得装置1では、所定のビームスプリッタ14は、第2の測定光路OP2に配置されている。よって、所定のビームスプリッタ14は、第1のビームスプリッタ3の反射側に配置されている。
【0029】
データ取得装置1’は、所定のビームスプリッタ15を有する。所定のビームスプリッタ15は、光学膜が形成された光学面を有する。所定のビームスプリッタ15では、光学膜によって、入射した光から、反射光と透過光とが生成される。
【0030】
データ取得装置1’では、所定のビームスプリッタ15は、参照光路OPrに配置されている。よって、所定のビームスプリッタ15は、第1のビームスプリッタ3の透過側に配置されている。
【0031】
共通構成では、所定のビームスプリッタと光検出器との間に、第1の測定光路が位置する。
【0032】
データ取得装置1では、所定のビームスプリッタ14と光検出器9との間に、第1の測定光路OP1が位置している。所定のビームスプリッタ14は、第1のビームスプリッタ3の反射側に配置されている。よって、第1の測定光路OP1は、第2の測定光路OP2と同様に、第1のビームスプリッタ3の反射側に位置する。
【0033】
データ取得装置1’では、所定のビームスプリッタ15と光検出器9との間に、第1の測定光路OP1が位置している。所定のビームスプリッタ15は、第1のビームスプリッタ3の透過側に配置されている。よって、第1の測定光路OP1は、参照光路OPrと同様に、第1のビームスプリッタ3の透過側に位置する。
【0034】
共通構成では、第1の測定光路OP1には、第1の光偏向素子4と、第1の測定ユニット6と、が配置されている。第1の測定ユニット6は、第1の照明光学系と、第1の検出光学系と、を有する。第1の照明光学系は、結像レンズ6aと、対物レンズ6bと、を有する。第1の検出光学系は、対物レンズ6cと、結像レンズ6dと、を有する。
【0035】
第2の測定光路OP2には、第2の光偏向素子5と、第2の測定ユニット7と、が配置されている。第2の測定ユニット7は、第2の照明光学系と、第2の検出光学系と、を有する。第2の照明光学系は、結像レンズ7aと、対物レンズ7bと、を有する。第2の検出光学系は、対物レンズ7cと、結像レンズ7dと、を有する。
【0036】
第1の測定光路OP1と第2の測定光路OP2は、交差している。第1の測定光路OP1と第2の測定光路OP2と交点Pには、標本10が位置している。データ取得装置1とデータ取得装置1’では、第1の測定光路OP1と第2の測定光路OP2は、直交している。
【0037】
第1の測定ユニット6では、交点Pを挟んで、第1の照明光学系と第1の検出光学系が対向している。第2の測定ユニット7では、交点Pを挟んで、第2の照明光学系と第2の検出光学系が対向している。
【0038】
共通構成には、更に、ミラー11、ビームスプリッタ12、及びミラー13が配置されていても良い。ミラー11は、参照光路OPrに配置されている。ビームスプリッタ12は、第2の測定光路OP2と参照光路OPrとが交差する点に配置されている。ミラー13は、第1の測定光路OP1に配置されている。
【0039】
第1実施形態のデータ取得装置は、上述の基本構成を備えると共に、所定のビームスプリッタは、第2の測定光路に配置され、所定のビームスプリッタの反射側に、第1の測定光路が位置し、所定のビームスプリッタの透過側に、第2の測定光路が位置していることが好ましい。
【0040】
データ取得装置1では、所定のビームスプリッタ14は、第2の測定光路OP2に配置されている。所定のビームスプリッタ14の反射側に、第1の測定光路OP1が位置する。所定のビームスプリッタ14の透過側に、第2の測定光路OP2が位置する。
【0041】
第1の測定光路OP1には、第1の光偏向素子4と、第1の測定ユニット6と、が配置されている。第2の測定光路OP2には、第2の光偏向素子5と、第2の測定ユニット7と、が配置されている。第1の光偏向素子4の光学面と第2の光偏向素子5の光学面は、共にミラー面である。
【0042】
光源2から照明光が出射する。照明光は、第1のビームスプリッタ3に入射する。第1のビームスプリッタ3では、照明光から、透過光と反射光とが生成される。透過光(以下、「参照光Lref」という)は、第2の方向に進む。反射光は、第1の方向に進む。
【0043】
第2の方向、すなわち、第1のビームスプリッタ3の透過側には、参照光路OPrが位置している。参照光Lrefは、参照光路OPrを進行する。参照光路OPrには、ミラー11とビームスプリッタ12が配置されている。
【0044】
参照光Lrefはミラー11で反射された後、ビームスプリッタ12に入射する。ビームスプリッタ12は、光学膜が形成された光学面12aを有する。ビームスプリッタ12では、光学膜によって、入射した光から、反射光と透過光とが生成される。
【0045】
ビームスプリッタ12では、参照光Lrefの一部が光学膜で反射され、残りが光学膜を透過する。ビームスプリッタ12を透過した参照光Lrefは、第2のビームスプリッタ8に入射する。
【0046】
ビームスプリッタ8では、光学膜によって、入射した光から、反射光と透過光とが生成される。第2のビームスプリッタ8では、参照光Lrefの一部が光学膜で反射され、残りが光学膜を透過する。第2のビームスプリッタ8で反射された参照光Lrefは、光検出器9に入射する。
【0047】
第1の方向、すなわち、第1のビームスプリッタ3の反射側には、所定のビームスプリッタ14が配置されている。反射光は、所定のビームスプリッタ14に入射する。所定のビームスプリッタ14は、光学膜が形成された光学面14aを有する。よって、所定のビームスプリッタ14で、反射光(以下、「測定光Lme1」という)と、透過光(以下、「測定光Lme2」という)と、が生成される。
【0048】
第1の光偏向素子4は、所定のビームスプリッタ14の反射側に配置されている。測定光Lme1は、第1の光偏向素子4に入射する。第1の光偏向素子4の光学面は、ミラー面である。よって、測定光Lme1は、第1の光偏向素子4で反射される。
【0049】
第1の光偏向素子4の光学面の反射側には、第1の測定光路OP1が位置している。測定光Lme1は、第1の測定光路OP1を進行する。第1の測定光路OP1には、第1の測定ユニット6と、ミラー13が配置されている。
【0050】
測定光Lme1は、第1の測定ユニット6に入射する。測定光Lme1は、結像レンズ6aに入射した後、対物レンズ6bから出射する。対物レンズ6bと対物レンズ6cとの間には、標本10が位置している。よって、測定光Lme1は、標本10に照射される。
【0051】
測定光Lme1は、第1の光偏向素子4によって偏向される。その結果、標本10に照射される光の角度が変化する。
【0052】
標本10は、例えば、生細胞である。生細胞は無色透明なので、測定光Lme1は、標本10を透過する。この時、測定光Lme1は、標本10の影響を受ける。その結果、標本10から散乱光が出射する。
【0053】
散乱光を含んだ測定光(以下、「測定光Lme1’」という)は、対物レンズ6cに入射した後、結像レンズ6dから出射し、ミラー13に入射する。測定光Lme1’はミラー13で反射され、第2のビームスプリッタ8に入射する。
【0054】
第2のビームスプリッタ8では、測定光Lme1’の一部が光学膜で反射され、残りが光学膜を透過する。第2のビームスプリッタ8を透過した測定光Lme1’は、光検出器9に入射する。
【0055】
第2の光偏向素子5は、所定のビームスプリッタ14の透過側に配置されている。測定光Lme2は、第2の光偏向素子5に入射する。第2の光偏向素子5の光学面は、ミラー面である。よって、測定光Lme2は、第2の光偏向素子5で反射される。
【0056】
第2の光偏向素子5の光学面の反射側には、第2の測定光路OP2が位置している。測定光Lme2は、第2の測定光路OP2を進行する。第2の測定光路OP2には、第2の光偏向素子5と、第2の測定ユニット7が配置されている。
【0057】
測定光Lme2は、第2の測定ユニット7に入射する。測定光Lme2は、結像レンズ7aに入射した後、対物レンズ7bから出射する。対物レンズ7bと対物レンズ7cとの間には、標本10が位置している。よって、測定光Lme2は、標本10に照射される。
【0058】
測定光Lme2は、第2の光偏向素子5によって偏向される。その結果、標本10に照射される光の角度が変化する。
【0059】
測定光Lme2は、標本10を透過する。この時、測定光Lme2は、標本10の影響を受ける。その結果、標本10から散乱光が出射する。
【0060】
散乱光を含んだ測定光(以下、「測定光Lme2’」という)は、対物レンズ7cに入射した後、結像レンズ7dから出射し、ビームスプリッタ12に入射する。ビームスプリッタ12では、測定光Lme2’の一部が光学膜で反射され、残りが光学膜を透過する。ビームスプリッタ12で反射された測定光Lme2’は、第2のビームスプリッタ8に入射する。
【0061】
第2のビームスプリッタ8では、測定光Lme2’の一部が光学膜で反射され、残りが光学膜を透過する。第2のビームスプリッタ8で反射された測定光Lme2’は、光検出器9に入射する。
【0062】
光検出器9には、測定光Lme1’、測定光Lme2’、及び参照光Lrefが入射する。測定光Lme1’と参照光Lrefとで、第1の干渉縞が形成される。測定光Lme2’と参照光Lrefとで、第2の干渉縞が形成される。その結果、第1の干渉縞と第2の干渉縞を、検出できる。
【0063】
ただし、測定光Lme1’が光検出器9に入射するときは、測定光Lme2’の光検出器9への入射が阻止されていても良い。逆に、測定光Lme2’が光検出器9に入射するときは、測定光Lme1’の光検出器9への入射が阻止されていても良い。この場合、第1の干渉縞と第2の干渉縞を、別々に検出できる。具体的な阻止方法については、後述する。
【0064】
第1の干渉縞と第2の干渉縞を解析することで、散乱ポテンシャルを取得できる。散乱ポテンシャルから屈折率が求められる。
【0065】
データ取得装置1では、第1のビームスプリッタ3の反射側に、共通光路が位置している。共通光路は、第1のビームスプリッタ3と所定のビームスプリッタ14との間に位置している。共通光路では、第1の測定光路OP1と第2の測定光路OP2とが重なっている。
【0066】
一方、第1のビームスプリッタ3の透過側には、参照光路OPrのみが位置している。参照光路OPrでは、第1の測定光路OP1と重なる光路や、第2の測定光路OP2と重なる光路は形成されていない。
【0067】
第1の方向、すなわち、第1のビームスプリッタ3の反射側に、参照光路OPrが位置していても良い。この場合、第2の方向、すなわち、第1のビームスプリッタ3の透過側に、第1の測定光路OP1と第2の測定光路OP2と、が位置する。
【0068】
第2実施形態のデータ取得装置は、上述の基本構成を備えると共に、所定のビームスプリッタは、参照光路に配置され、第1の光偏向素子は、所定のビームスプリッタを有し、所定のビームスプリッタの透過側に、参照光路が位置し、所定のビームスプリッタの反射側に、第1の測定光路が位置していることが好ましい。
【0069】
データ取得装置1’では、所定のビームスプリッタ15は、参照光路OPrに配置されている。所定のビームスプリッタ15の反射側に、第1の所定の光路OP1が位置する。所定のビームスプリッタ15の透過側に、参照光路OPrが位置する。
【0070】
第1の測定光路OP1には、第1の光偏向素子4と、第1の測定ユニット6と、が配置されている。第1の光偏向素子は、所定のビームスプリッタ15を有する。第1の光偏向素子4の光学面は、光学膜が形成された光学面である。
【0071】
第2の測定光路OP2には、第2の光偏向素子5と、第2の測定ユニット7と、が配置されている。第2の光偏向素子5の光学面は、ミラー面である。
【0072】
光源2から照明光が出射する。照明光は、第1のビームスプリッタ3に入射する。第1のビームスプリッタ3では、照明光から、透過光と反射光とが生成される。透過光は、第2の方向に進む。反射光は、第1の方向に進む。反射光は、測定光Lme2である。
【0073】
第2の方向、すなわち、第1のビームスプリッタ3の透過側には、参照光路OPrが位置している。参照光路OPrには、所定のビームスプリッタ15が配置されている。透過光は、所定のビームスプリッタ15に入射する。所定のビームスプリッタ15は、光学膜が形成された光学面を有する。よって、所定のビームスプリッタ15で、反射光と透過光とが生成される。反射光は、測定光Lme1である。透過光は、参照光Lrefである。
【0074】
所定のビームスプリッタ15の透過側には、参照光路OPrが位置している。参照光Lrefは、参照光路OPrを進行する。参照光路OPrには、ミラー11とビームスプリッタ12が配置されている。
【0075】
所定のビームスプリッタ15の反射側には、第1の測定光路OP1が位置している。測定光Lme1は、第1の測定光路OP1を進行する。第1の測定光路OP1には、第1の測定ユニット6と、ミラー13が配置されている。
【0076】
第1の方向、すなわち、第1のビームスプリッタ3の反射側には、第2の測定光路OP2が位置している。測定光Lme2は、第2の測定光路OP2を進行する。第2の測定光路OP2には、第2の光偏向素子5と、第2の測定ユニット7が配置されている。
【0077】
データ取得装置1’では、光検出器9に、測定光Lme1’、測定光Lme2’、及び参照光Lrefが入射する。その結果、第1の干渉縞と第2の干渉縞を、光検出器9で検出できる。
【0078】
第1の干渉縞と第2の干渉縞を解析することで、散乱ポテンシャルを取得できる。散乱ポテンシャルから屈折率が求められる。
【0079】
データ取得装置1’では、第1のビームスプリッタ3の透過側に、共通光路が位置している。共通光路は、第1のビームスプリッタ3と所定のビームスプリッタ15との間に位置している。共通光路では、参照光路OPrと第1の測定光路OP1とが重なっている。
【0080】
一方、第1のビームスプリッタ3の反射側には、第2の測定光路OP2のみが位置している。第2の測定光路OP2では、第1の測定光路OP1と重なる光路や、参照光路OPrと重なる光路は形成されていない。
【0081】
第2の方向、すなわち、第1のビームスプリッタ3の透過側に、第2の測定光路OP2が位置していても良い。この場合、第1の方向、すなわち、第1のビームスプリッタ3の反射側に、第1の測定光路OP1と、参照光路OPrと、が位置する。
【0082】
散乱ポテンシャルの取得について説明する。標本が配置されている空間(以下、「実空間」という)は、距離を単位とする空間である。測定光Lme1’と測定光Lme2’は、実空間における物理量である。測定光Lme1’と測定光Lme2’には、散乱光が含まれている。よって、散乱光も実空間における物理量である。
【0083】
実空間は、フーリエ変換によって、周波数を単位とする空間(以下、「周波数空間」という)に変換される。干渉縞は、周波数空間における情報を表していると見なせる。干渉縞には、実空間における物理量の情報、例えば、散乱光の情報が含まれている。実空間における散乱光は、周波数空間においてエワルト球の球殻と交差する散乱ポテンシャルで表される。
【0084】
標本の例と散乱ポテンシャルの例を図3に示す。図3(a)は標本を示す図、図3(b)は散乱ポテンシャルを示す図である。
【0085】
標本20は、無色透明な球21を有する。球21の直径は、例えば、直径が10μmで、球21の屈折率は1.364である。球21の周囲は、無色透明な液体で満たされている。液体の屈折率は、例えば、1.334である。6個の球21は一列に並んでいる。
【0086】
特許文献1の式(30)を用いて、標本20の屈折率分布から実空間における散乱ポテンシャルが得られる。この散乱ポテンシャルをフーリエ変換すると、周波数空間における散乱ポテンシャルが得られる。標本20の物理的情報、例えば、位置、大きさ、屈折率は、全て数値で表すことができる。よって、散乱ポテンシャルは、シミュレーションで得られる。図3(b)に示す散乱ポテンシャルは、シミュレーションによる結果を示している。
【0087】
周波数空間におけるfx方向は、実空間におけるx方向に対応している。周波数空間におけるfz方向は、実空間におけるz方向に対応している。図3(b)に示すように、周波数空間における散乱ポテンシャルは、fx方向とfz方向に分布している。
【0088】
上述のように、標本20では散乱光が生じる。散乱光が発生する方向とその振幅は、標本20に対する測定光の照射角度に依存する。そのため、測定光の照射角度が決まると、各方向に対して特定の振幅の散乱光のみが光検出器9に入射する。すなわち、検出できる散乱光が限られる。
【0089】
周波数空間における散乱ポテンシャルは、実空間における散乱光に対応している。検出できる散乱光が限られる場合、取得できる散乱ポテンシャルも限られる。図3(b)では、散乱ポテンシャルは、fx方向とfz方向に分布している。しかしながら、取得できる散乱ポテンシャルは、この一部になる。
【0090】
取得できる散乱ポテンシャルは、測定光の照射角度に依存する。測定光の照射角度は、周波数空間では、エワルト球の球殻の中心と原点を結ぶ方向で表される。
【0091】
測定光の向きとエワルト球の球殻の位置の関係を図4に示す。図4(a)は測定光の向きを示す図、図4(b)はエワルト球の球殻の位置を示す図である。図4(b)は、図3(b)の中心部を拡大した図である。
【0092】
図4(a)では、測定光22は、標本20に対して垂直に照射されている。この場合、エワルト球の球殻の位置は、図4(b)に示すように、曲線23のようになる。
【0093】
図4(b)では、曲線23が、測定光22の照射角度に対応している。よって、曲線23と交差する部分の散乱ポテンシャルのみが、実際に取得できる散乱ポテンシャルになる。
【0094】
図3(b)に示すように、散乱ポテンシャルは、fx方向とfz方向に分布している。しかしながら、図4(b)に示すように、実際に取得できる散乱ポテンシャルは、曲線23と交わる部分の散乱ポテンシャルに限られる。取得できる散乱ポテンシャルの数が少ないと、屈折率を高い確度で算出することが困難になる。
【0095】
取得できる散乱ポテンシャルの数を多くするには、曲線23を動かせば良い。曲線23を動かすことで、曲線23を動かす前の散乱ポテンシャルに加えて、曲線23を動かした後の散乱ポテンシャルを取得できる。その結果、取得できる散乱ポテンシャルの数を増やせる。
【0096】
曲線23の位置は、測定光の照射角度に応じて変化する。よって、測定光の照射角度を変えることで、曲線23を動かせる。
【0097】
測定光の向きとエワルト球の球殻の位置の関係を図5に示す。図5(a)は測定光の向きを示す図、図5(b)はエワルト球の球殻の位置を示す図である。曲線23、曲線25曲線27は、はエワルト球の球殻を示す曲線である。
【0098】
図5(a)は、標本20対して、3つの方向から測定光が照射されている様子を示している。照射光22は、標本20に対して垂直に照射される測定光を示している。この場合、曲線23が散乱ポテンシャルと交差する。
【0099】
測定光24は、標本20に対して斜めに照射される光を示している。この場合、曲線25が散乱ポテンシャルと交差する。測定光26は、標本20に対して斜めに照射される光を示している。測定光26は、照射光24よりも大きな角度で照射されている。この場合、曲線27が散乱ポテンシャルと交差する。
【0100】
測定光の照射角度を、測定光22の角度から測定光26の角度まで変えると、エワルト球の球殻は、曲線23の位置から曲線27の位置までの間で変化する。取得できる散乱ポテンシャルは、各位置で異なる。よって、測定光の照射角度の可変範囲を広げることで、散乱ポテンシャルの取得範囲を広げられる。
【0101】
散乱ポテンシャルの取得範囲と標本の形状の関係を図6に示す。図6(a)は、散乱ポテンシャルの取得範囲が狭い場合を示す図、図6(b)は、散乱ポテンシャルの取得範囲が広い場合を示す図、図6(c)は、取得範囲が狭い場合の標本の形状を示す図、図6(d)は、取得範囲が広い場合の標本の形状を示す図である
【0102】
図6(c)に示す標本の形状と、図6(d)示す標本の形状は、共に、計算によって得られた形状である。この計算に、散乱ポテンシャルが用いられている。
【0103】
図6(a)は、測定光の照射方向が1つの方向だけの場合を示している。この場合、エワルト球の球殻を示す曲線は1つしか存在しない。図6(b)は、測定光の照射方向が複数の場合を示している。この場合、エワルト球の球殻を示す曲線は複数存在する。よって、曲線が複数存在する場合は、曲線が1つしか存在しない場合に比べて、より多くの散乱ポテンシャルを取得できる。
【0104】
上述のように、標本も液体も無色透明である。ただし、標本の屈折率と液体の屈折率は異なる。よって、屈折率の差が明確になるほど、標本と液体との境界、すなわち、標本の輪郭は明確になる。
【0105】
図6(c)と図6(d)との比較から、散乱ポテンシャルを取得できる範囲が広いほど、標本の形状が明確になることが分かる。すなわち、取得できる散乱ポテンシャルの数が多いほど、より正確に屈折率を算出できることが分かる。
【0106】
x方向における標本の輪郭は、図6(c)と図6(d)とで同じ程度で明確になっている。しかしながら、z方向における標本の輪郭については、取得できる散乱ポテンシャルの数が多い図6(d)の方が、図6(c)に比べて明確になっている。
【0107】
ただし、標本の輪郭が明確になっている図6(d)でも、z方向における標本の輪郭は、x方向における標本の輪郭ほど明確になっていない。
【0108】
散乱ポテンシャルと散乱ポテンシャルの取得範囲の関係を図7に示す。図7(a)は散乱ポテンシャルを示す図、図7(b)は散乱ポテンシャルの取得範囲を示す図、図7(c)は取得された乱ポテンシャルを示す図である。
【0109】
図7(a)に示すように、散乱ポテンシャルは、fx方向とfz方向に分布している。一方、図7(b)に示すように、散乱ポテンシャルの取得範囲も、fx方向とfz方向に広がっている。
【0110】
しかしながら、fz方向では、fz軸上及びその近傍(以下、「fz軸の近傍」という)に、領域30が存在する。領域30には、エワルト球の球殻が存在しない。そのため、領域30では、散乱ポテンシャルが取得できない。領域30は、散乱ポテンシャルが取得できない範囲を示している。
【0111】
このように、fz方向については、fz軸の近傍に、散乱ポテンシャルを取得できない領域が存在する。そのため、図7(c)に示すように、fz軸の近傍では、散乱ポテンシャルが取得できてない。
【0112】
第1実施形態のデータ取得装置や第2実施形態のデータ取得装置(以下、「本実施形態のデータ取得装置」という)には、第1の測定光路と第2の測定光路が設けられている。第1の測定光路で標本へ測定光が照射された場合も、第2の測定光路で標本へ測定光が照射された場合も、領域30が生じる。
【0113】
本実施形態のデータ取得装置における散乱ポテンシャルの取得範囲を図8に示す。図8(a)は第1の測定光路における散乱ポテンシャルの取得範囲を示す図、図8(b)は第2の測定光路における散乱ポテンシャルの取得範囲を示す図、図8(c)2つの光路で得られる散乱ポテンシャルの取得範囲を示す図である。
【0114】
データ取得装置1を用いて説明する。第1の測定光路OP1では、z方向から標本へ測定光が照射される。そのため、図8(a)に示すように、fx方向に領域30が位置し、fz方向に領域31が位置する。領域30は、散乱ポテンシャルが取得できる範囲である。領域31は、散乱ポテンシャルが取得できない範囲である。
【0115】
第2の測定光路OP2は、第1の測定光路OP1に対して交差している。第1の測定光路OP1と第2の測定光路OP2が直交している場合、第2の測定光路OP2では、x方向から標本へ測定光が照射される。そのため、図8(b)に示すように、fx方向に領域32が位置し、fz方向に領域33が位置する。領域32は、散乱ポテンシャルが取得できない範囲である。領域33は、散乱ポテンシャルが取得できる範囲である。
【0116】
図8(c)は、第1の測定光路OP1と第2の測定光路OP2とで得られる散乱ポテンシャルの取得範囲を示す図である。図8(c)は、図8(a)と図8(b)とを重ね合わせた図である。
【0117】
領域31は、第1の測定光路OP1では、散乱ポテンシャルが取得できない範囲である。しかしながら、図8(c)に示すように、第1の測定光路OP1における領域31には、第2の測定光路OP2における領域33が位置している。よって、第1の測定光路OP1では取得できなかった散乱ポテンシャルを、第2の測定光路OP2で取得できる。
【0118】
散乱ポテンシャルの取得範囲と標本の形状の関係を図9に示す。図9(a)は、1つの測定光路における散乱ポテンシャルの取得範囲を示す図、図9(b)は、2つの測定光路における散乱ポテンシャルの取得範囲を示す図、図9(c)は、1つの測定光路による標本の形状を示す図、図9(d)は、2つの測定光路による標本の形状を示す図である
【0119】
図9(c)に示す標本の形状と、図9(d)示す標本の形状は、共に、計算によって得られた形状である。この計算に、散乱ポテンシャルが用いられている。
【0120】
図9(a)は、第1の測定光路OP1のみを用いた場合の散乱ポテンシャルの取得範囲を示している。この場合、散乱ポテンシャルの取得範囲は、主にfx方向に広がっている。
【0121】
図9(b)は、第1の測定光路OP1と第2の測定光路OP2を用いた場合の散乱ポテンシャルの取得範囲を示している。この場合、散乱ポテンシャルの取得範囲は、fx方向に加えて、fz軸の近傍にも広がっている。よって、測定光路を2つ用いた場合は、測定光路を1つしか用いない場合に比べて、散乱ポテンシャルが取得できない範囲を減らすことができる。
【0122】
図9(c)と図9(d)との比較から、散乱ポテンシャルが取得できない範囲が少ないほど、標本の形状が明確になることが分かる。特に、z方向における標本の輪郭については、図9(d)の方が、図9(c)に比べて明確になっている。このように、散乱ポテンシャルが取得できない範囲が少ないほど、より正確に屈折率を算出できることが分かる。
【0123】
本実施形態のデータ取得装置では、散乱ポテンシャルが取得できない範囲が少ない。よって、本実施形態のデータ取得装置によれば、正確に屈折率を算出できる。そのため、例えば、無色透明な標本であっても、標本の輪郭を明確にできる。その結果、標本形状を正確に把握できる。
【0124】
干渉の検出について説明する。第1の干渉縞と第2の干渉縞を別々に検出するには、測定光Lme1’と測定光Lme2’の光検出器9への同時入射を阻止すれば良い。以下、2つの測定光の同時入射を阻止する構成について説明する。
【0125】
本実施形態のデータ取得装置の実施例1を図10に示す。データ取得装置1と同じ構成要素については同じ番号を付し、説明は省略する。
【0126】
図10(a)は、一方の測定光の光検出器への入射が阻止されている状態を示す図である。図10(b)は、他方の測定光の光検出器への入射が阻止されている状態を示す図である。データ取得装置と同じ構成要素については同じ番号を付し、説明は省略する。また、構成要素は簡略に描かれている。
【0127】
データ取得装置40は、ミラー41と、ビームスプリッタ42と、を有する。ミラー41は第1の測定光路OP1の近傍に配置されている。ビームスプリッタ42は、第2の測定光路OP2と参照光路OPrとが交差する点の近傍に配置されている。
【0128】
ミラー41とビームスプリッタ42は、共に移動する。ミラー41を移動させることで、ミラー41は、第1の測定光路OP1上に位置するか、又は第1の測定光路OP1の外側に位置する。ビームスプリッタ42を移動させることで、ビームスプリッタ42は、第2の測定光路OP2上に位置するか、又は第2の測定光路OP2の外側に位置する。
【0129】
図10(a)では、ミラー41が第1の測定光路OP1上に位置し、ビームスプリッタ42は第2の測定光路OP2の外側に位置している。この場合、測定光Lme1’は、ミラー41で反射される。よって、測定光Lme1’は光検出器9に入射する。
【0130】
一方、測定光Lme2’は、第2のビームスプリッタ8に向かって反射されない。よって、測定光Lme2’は光検出器9に入射しない。その結果、第1の干渉縞だけを検出できる。
【0131】
図10(b)では、ミラー41が第1の測定光路OP1の外側に位置し、ビームスプリッタ42は第2の測定光路OP2上に位置している。この場合、測定光Lme1’は、第2のビームスプリッタ8に向かって反射されない。よって、測定光Lme1’は光検出器9に入射しない。
【0132】
一方、測定光Lme2’は、ビームスプリッタ42に入射する。ビームスプリッタ42は、光学膜が形成された光学面を有する。光学膜によって、入射した光から、透過側に進む光と反射側に進む光とが生成される。
【0133】
ビームスプリッタ42では、測定光Lme2’の一部が光学膜で反射され、残りが光学膜を透過する。よって、測定光Lme2’は、光検出器9に入射する。
【0134】
本実施形態のデータ取得装置の実施例2を図11に示す。データ取得装置1と同じ構成要素については同じ番号を付し、説明は省略する。
【0135】
図11(a)は、一方の測定光の光検出器への入射が阻止されている状態を示す図である。図11(b)は、他方の測定光の光検出器への入射が阻止されている状態を示す図である。データ取得装置1’と同じ構成要素については同じ番号を付し、説明は省略する。
【0136】
データ取得装置50は、遮光部材51と、遮光部材52と、を有する。遮光部材51は、第1の測定光路OP1の近傍に配置されている。遮光部材52は、第2の測定光路OP2の近傍に配置されている。
【0137】
遮光部材51と遮光部材52は、共に移動する。遮光部材51を移動させることで、遮光部材51は、第1の測定光路OP1上に位置するか、又は第1の測定光路OP1の外側に位置する。遮光部材52を移動させることで、遮光部材52は、第2の測定光路OP2上に位置するか、又は第2の測定光路OP2の外側に位置する。
【0138】
図11(a)では、遮光部材51は第1の測定光路OP1の外側に位置し、遮光部材52は第2の測定光路OP2上に位置している。この場合、測定光Lme1は遮光部材51で遮光されないので、測定光Lme1’は光検出器9に入射する。一方、測定光Lme2は遮光部材52で遮光されるので、測定光Lme2’は光検出器9に入射しない。その結果、第1の干渉縞だけを検出できる。
【0139】
図11(b)では、遮光部材51は第1の測定光路OP1上に位置し、遮光部材52は第2の測定光路OP2の外側に位置している。この場合、測定光Lme1は遮光部材51で遮光されるので、測定光Lme1’は光検出器9に入射しない。一方、測定光Lme2は遮光部材52で遮光されないので、測定光Lme2’は光検出器9に入射する。その結果、第2の干渉縞だけを検出できる。
【0140】
本実施形態のデータ取得装置の実施例3を図12に示す。データ取得装置1と同じ構成要素については同じ番号を付し、説明は省略する。
【0141】
データ取得装置60は、ビームスプリッタ61と、ビームスプリッタ62と、光検出器63と、を有する。ビームスプリッタ61は、第1のビームスプリッタ3とミラー11との間に配置されている。ビームスプリッタ62と光検出器63は、第2の測定光路OP2上に配置されている。
【0142】
ビームスプリッタ61は、光学膜が形成された光学面を有する。光学膜によって、入射した光から、透過側に進む光と反射側に進む光とが生成される。データ取得装置60では、ビームスプリッタ61の反射側とビームスプリッタ61の透過側の各々に、参照光路OPrが位置する。
【0143】
ビームスプリッタ61で反射された参照光Lrefは、ビームスプリッタ62に入射する。ビームスプリッタ62は、光学膜が形成された光学面を有する。光学膜によって、入射した光から、透過側に進む光と反射側に進む光とが生成される。
【0144】
ビームスプリッタ62では、参照光Lrefの一部が光学膜で反射され、残りが光学膜を透過する。ビームスプリッタ62で反射された参照光Lrefは、光検出器63に入射する。
【0145】
測定光Lme2’は、ビームスプリッタ62に入射する。ビームスプリッタ62では、測定光Lme2’の一部が光学膜で反射され、残りが光学膜を透過する。ビームスプリッタ62を透過した測定光Lme2’は、光検出器63に入射する。
【0146】
光検出器9には、測定光Lme1’と参照光Lrefが入射する。よって、光検出器9では、第1の干渉縞が生成される。光検出器63には、測定光Lme2’と参照光Lrefが入射する。よって、光検出器62では、第2の干渉縞が生成される。
【0147】
データ取得装置60では、データ取得装置40やデータ取得装置50と同じように、第1の干渉縞と第2の干渉縞を、別々に検出できる。しかしながら、データ取得装置40やデータ取得装置50では、第1の干渉縞と第2の干渉縞の検出には、時間差を伴う。これに対して、データ取得装置60では、1の干渉縞と第2の干渉縞を同時に検出できる。
【0148】
光偏向素子について説明する。本実施形態のデータ取得装置では、第1の光偏向素子4と第2の光偏向素子5に、例えば、ガルバノメータースキャナ、ポリゴンスキャナー、又は音響光学偏向素子(AOD)を使用できる。
【0149】
ガルバノメータースキャナの大きさや音響光学偏向素子の大きさは、ポリゴンスキャナーの大きさに比べて小さい。よって、ガルバノメータースキャナや音響光学偏向素子を使用すると、データ取得装置を小型にできる。
【0150】
ガルバノメータースキャナでは、大きな偏向角が得られる。ただし、高速で光を偏向することは難しい。また、光の偏向は、ミラーだけでなく、ハーフミラーでもできる。よって、データ取得装置1とデータ取得装置1’のどちらでも、ガルバノメータースキャナを使用できる。
【0151】
ポリゴンスキャナーでは、大きな偏向角が得られ、また、高速で光を偏向できる。光の偏向はミラーで行われる。よって、データ取得装置1’では、第1の光偏向素子15にポリゴンスキャナーを使用できない。
【0152】
音響光学偏向素子(AOD)では、高速で光を偏向できる。ただし、偏向角が小さい。データ取得装置1で音響光学偏向素子を使用する場合は、第1の光偏向素子4の位置と第2の光偏向素子5の位置に、各々、固定ミラーを配置する。そして、固定ミラーと第1の測定ユニット6との間と、固定ミラーと第2の測定ユニット7との間に、音響光学偏向素子を配置すれば良い。データ取得装置1’でも、同様にすれば良い。
【0153】
本実施形態のデータ取得装置では、第1の光偏向素子の光学面と第2の光偏向素子の光学面は、各々、第1の測定光路と第2の測定光路との交点と共役であり、第1の光偏向素子と第2の光偏向素子は、各々、ガルバノメータースキャナであることが好ましい。
【0154】
第1の光偏向素子4の光学面は、交点Pと共役になっている。第1の光偏向素子4では、光学面で測定光Lme1が偏向される。光学面が交点Pと共役になっている場合、標本10に照射される測定光Lme1の角度が変化しても、測定光Lme1の中心光線は常に交点Pを通過する。その結果、図5(b)に示すように、fx軸とfz軸の交点を中心として、エワルト球の球殻の向きを変えられる。
【0155】
第2の光偏向素子5の光学面も、交点Pと共役になっている。第2の光偏向素子5では、光学面で測定光Lme2が偏向される。光学面が交点Pと共役になっている場合、標本10に照射される測定光Lme2の角度が変化しても、測定光Lme2の中心光線は常に交点Pを通過する。
【0156】
この場合の散乱ポテンシャルの取得範囲は、fz軸の左右で対称になる。よって、屈折率を算出したときに、x軸方向における屈折率分布の偏りを小さくすることができる。
【0157】
第1の光偏向素子4と第2の光偏向素子5の各々には、ガルバノメータースキャナを用いると良い。このようにすることで、データ取得装置を小型にできる。また、ガルバノメータースキャナは、データ取得装置1とデータ取得装置1’のどちらにも使用できる。よって、第1の測定光路OP1、第2の測定光路OP2、及び参照光路OPrのレイアウトを行う際の自由度を高められる。
【0158】
本実施形態のデータ取得装置では、第3の光偏向素子と、第4の光偏向素子と、を有し、第3の光偏向素子は、第1の測定ユニットと光検出器との間に配置され、第4の光偏向素子は、第2の測定ユニットと光検出器との間に配置され、第3の光偏向素子の光学面と第4の光偏向素子の光学面は、各々、第1の測定光路と第2の測定光路との交点と共役であり、第3の光偏向素子と第4の光偏向素子は、各々、ガルバノメータースキャナであることが好ましい。
【0159】
本実施形態のデータ取得装置の実施例4を図13に示す。データ取得装置1’と同じ構成要素については同じ番号を付し、説明は省略する。
【0160】
データ取得装置70は、第3の光偏向素子71と、第4の光偏向素子72と、を有する。第3の光偏向素子71は、第1の測定ユニット6と光検出器9との間に配置されている。第4の光偏向素子72は、第2の測定ユニット7と光検出器9との間に配置されている。
【0161】
図示は省略するが、データ取得装置70には、例えば、上述の遮光部材51と遮光部材52とが配置されている。よって、データ取得装置70では、第1の干渉縞と第2の干渉縞を、別々に検出できる。
【0162】
第1の測定ユニット6から出射した測定光Lme1’は、第3の光偏向素子71で反射され、ビームスプリッタ73に入射する。第2の測定ユニット7から出射した測定光Lme2’は、第4の光偏向素子72で反射され、ビームスプリッタ73に入射する。
【0163】
ビームスプリッタ73は、光学膜が形成された光学面を有する。光学膜によって、入射した光から、透過側に進む光と反射側に進む光とが生成される。
【0164】
ビームスプリッタ73では、測定光Lme1’の一部と測定光Lme2’の一部が光学膜で反射され、残りが光学膜を透過する。ビームスプリッタ73を透過した測定光Lme1’とビームスプリッタ73で反射された測定光Lme2’は、光検出器9に入射する。
【0165】
第3の光偏向素子71の光学面は、交点Pと共役になっている。上述のように、交点Pは、第1の光偏向素子4の光学面と共役になっている。よって、第3の光偏向素子71の光学面は、第1の光偏向素子4の光学面と共役になっている。
【0166】
第3の光偏向素子71で光が偏向されないとする。この場合、第1の光偏向素子4で測定光Lme1が偏向されているので、第3の光偏向素子71から出射する測定光Lme1’の出射角が変化する。その結果、光検出器9における測定光Lme1’の位置が変化する。
【0167】
測定光Lme1’の位置が変化しても第1の干渉縞を検出するには、参照光Lrefの光束径を大きくする必要がある。参照光Lrefの光束径が大きくなると、光検出器9の受光面も広くする必要がある。
【0168】
これに対して、第3の光偏向素子71で光が偏向されると、第1の光偏向素子4における光の偏向を、第3の光偏向素子71の偏向で相殺できる。この場合、第3の光偏向素子71から出射する測定光Lme1’の出射角は変化しない。その結果、光検出器9における測定光Lme1’の位置は変化しない。
【0169】
測定光Lme1’の位置は変化しないので、参照光Lrefの光束径を大きくしなくても、第1の干渉縞を検出できる。参照光Lrefの光束径が大きくならないので、光検出器9の受光面を広くする必要がない。
【0170】
第4の光偏向素子72の光学面は、交点Pと共役になっている。上述のように、交点Pは、第2の光偏向素子5の光学面と共役になっている。よって、第4の光偏向素子72の光学面は、第2の光偏向素子5の光学面と共役になっている。
【0171】
よって、第2の光偏向素子5における光の偏向を、第4の光偏向素子72の偏向で相殺できる。この場合、第4の光偏向素子72から出射する測定光Lme2’の出射角は変化しない。その結果、光検出器9における測定光Lme2’の位置は変化しない。
【0172】
測定光Lme2’の位置は変化しないので、参照光Lrefの光束径を大きくしなくても、第2の干渉縞を検出できる。参照光Lrefの光束径が大きくならないので、光検出器9の受光面を広くする必要がない。
【0173】
データ取得装置70では、第2のビームスプリッタ8から光検出器9までの間で、第1の測定光路OP1と第2の測定光路OP2は、各々、参照光路OPrに対して平行に位置している。また、第2のビームスプリッタ8から光検出器9までの間で、第1の測定光路OP1、第2の測定光路OP2、及び参照光路OPrは、重なっている。よって、光検出器9を小型にできる。
【0174】
本実施形態のデータ取得装置の実施例5を図14に示す。データ取得装置70と同じ構成要素については同じ番号を付し、説明は省略する。
【0175】
データ取得装置80は、ミラー81を有する。ミラー81は、第4の光偏向素子72と光検出器9との間に配置されている。
【0176】
第1の測定光路OP1では、第1の測定ユニット6から光検出器9までの間に、第3の光偏向素子71の光学面が位置している。第3の光偏向素子71の光学面は、ミラー面である。ミラー面で反射された測定光Lme1’は、光検出器9に入射する。
【0177】
第2の測定光路OP2では、第2の測定ユニット7から光検出器9までの間に、第4の光偏向素子72の光学面とミラー81が位置している。第4の光偏向素子72の光学面は、ミラー面である。ミラー面で反射された測定光Lme2’は、ミラー81で反射され後、検出器9に入射する。
【0178】
データ取得装置80では、第2のビームスプリッタ8から光検出器9までの間で、第1の測定光路OP1と第2の測定光路OP2は、各々、参照光路OPrに対して非平行に位置している。これに対して、データ取得装置70では、第2のビームスプリッタ8から光検出器9までの間で、第1の測定光路OP1と第2の測定光路OP2は、各々、参照光路OPrに対して平行に位置している。
【0179】
よって、データ取得装置80で検出される第1の干渉縞と第2の干渉縞は、データ取得装置70で検出される第1の干渉縞と第2の干渉縞と異なる。しかしながら、屈折率を算出する際に、適切な干渉縞の解析方法を用いることで、データ取得装置80で検出された干渉縞とデータ取得装置70で検出された干渉縞のどちらを用いても、屈折率を高い確度で算出できる。
【0180】
図示は省略するが、データ取得装置80には、例えば、上述の遮光部材51と遮光部材52とが配置されている。よって、データ取得装置80では、第1の干渉縞と第2の干渉縞を、別々に検出できる。
【0181】
第1の干渉縞と第2の干渉縞を同時に検出しても良い。データ取得装置80では、第1の測定光路OP1と第2の測定光路OP2は、各々、参照光路OPrと交差している。また、第1の測定光路OP1と第2の測定光路OP2は、参照光路OPrを間に挟んでいる。よって、第1の干渉縞は、第2の干渉縞と異なる。
【0182】
この場合、第1の干渉縞と第2の干渉縞が重なって検出されていても、適切な干渉縞の解析方法を用いることで、第1の干渉縞と第2の干渉縞とを分離できる。よって、データ取得装置80では、第1の干渉縞と第2の干渉縞を同時に検出しても良い。
【0183】
本実施形態のデータ取得装置では、第2のビームスプリッタから光検出器までの間で、第1の測定光路と第2の測定光路は、各々、参照光路に対して平行に位置していることが好ましい。
【0184】
本実施形態のデータ取得装置の実施例6を図15に示す。データ取得装置70と同じ構成要素については同じ番号を付し、説明は省略する。
【0185】
データ取得装置90は、ビームエキスパンダー91と、ミラー94と、を有する。ビームエキスパンダー91は、レンズ92と、レンズ93と、を有する。ビームエキスパンダー91は、ミラー11と第2のビームスプリッタ8との間に配置されている。
【0186】
ビームエキスパンダー91では、ビームエキスパンダー91に入射した参照光Lrefの光束径が拡大される。径が拡大された参照光(以下、「参照光Lref’」という)は、第2のビームスプリッタ8に入射する。
【0187】
データ取得装置90では、第2のビームスプリッタ8から光検出器9までの間で、第1の測定光路OP1と第2の測定光路OP2は、各々、参照光路OPrに対して平行に位置している。
【0188】
ただし、データ取得装置90では、ミラー94は、第3の光偏向素子71と第2のビームスプリッタ8とのに位置していない。そのため、第2のビームスプリッタ8から光検出器9までの間で、第1の測定光路OP1と第2の測定光路OP2は、並列に位置している。
【0189】
この場合、第2のビームスプリッタ8では、測定光Lme1’と測定光Lme2’が、異なる場所を通過する。しかしながら、参照光Lref’の光束径は、測定光Lme1’と測定光Lme2’を含む程度に、大きく拡大されている。
【0190】
よって、測定光Lme1’と参照光Lref’とで第1の干渉縞が形成され、測定光Lme2’と参照光Lref’とで第2の干渉縞が形成される。その結果、第1の干渉縞と第2の干渉縞を検出できる。
【0191】
測定光Lme1’と測定光Lme2’が離れているため、第1の干渉縞は、第2の干渉縞から離れた場所に形成される。データ取得装置90では、第1の干渉縞と第2の干渉縞を、同時に、且つ、別々に検出できる。
【0192】
本実施形態のデータ取得装置では、光源とは別の光源を有し、別の光源から出射する光の波長帯域は、光源から出射する光の波長帯域と異なることが好ましい。
【0193】
本実施形態のデータ取得装置の実施例7を図16に示す。データ取得装置90と同じ構成要素については同じ番号を付し、説明は省略する。
【0194】
データ取得装置100は、光源101と、光源102と、を有する。例えば、光源2から、波長帯域Δλ1の光が出射される。光源101から、波長帯域Δλ2の光が出射される。光源102から、波長帯域Δλ3の光が出射される。
【0195】
波長帯域Δλ1の少なくとも一部の波長は、波長帯域Δλ2には含まれていない。波長帯域Δλ2の少なくとも一部の波長は、波長帯域Δλ3には含まれていない。波長帯域Δλ3の少なくとも一部の波長は、波長帯域Δλ1には含まれていない。
【0196】
データ取得装置100では、第1の干渉縞について、干渉縞Δλ1、干渉縞Δλ2、及び干渉縞Δλ3が検出される。第2の干渉縞についても、第1の干渉縞と同様に、干渉縞Δλ1、干渉縞Δλ2、及び干渉縞Δλ3が検出される。
【0197】
干渉縞Δλ1は波長帯域Δλ1での干渉縞、干渉縞Δλ2は波長帯域Δλ2での干渉縞、干渉縞Δλ3は波長帯域Δλ3での干渉縞である。
【0198】
光検出器9は、例えば、微小な受光部を複数有する。複数の受光部は、2次元配列されている。光検出器9には、カラーフィルタが配置されていても良い。カラーフィルタは、微小なフィルタ部を複数有する。フィルタ部と受光部が一対一で対応している。
【0199】
複数のフィルタ部は、例えば、波長帯域Δλ1の光を透過するフィルタ、波長帯域Δλ2の光を透過するフィルタ、波長帯域Δλ3の光を透過するフィルタを有する。各色のフィルタは、市松模様に配置されている。
【0200】
光検出器9にカラーフィルタが配置されている場合、干渉縞Δλ1、干渉縞Δλ2、及び干渉縞Δλ3を同時に検出できる。
【0201】
光検出器9にカラーフィルタが配置されていない場合、例えば、最初に、光源2から出射した光を用いて干渉縞Δλ1を検出し、次に、光源101から出射した光を用いて干渉縞Δλ2を検出し、最後に、光源102から出射した光を用いて干渉縞Δλ3を検出すれば良い。
【0202】
データ取得装置100では、各波長帯域における屈折率を算出できる。第1実施形態のデータ取得装置、第2実施形態のデータ取得装置、及び実施例1~7のデータ取得装置でも、複数の光源を使用できる。また、光源の数は3つに限られない。
【0203】
本実施形態のデータ取得装置では、第1の測定光路を進行する光、第2の測定光路を進行する光、及び参照光路を進行する光が、同時に光検出器で検出されることが好ましい。
【0204】
第1の干渉縞と第2の干渉縞を、同時に検出できる。よって、データの取得時間の短縮が可能になる。
【0205】
本実施形態のデータ取得装置では、第1の偏光素子と、第2の偏光素子と、第3の偏光素子と、を有し、第1の偏光素子は、第1の測定光路に配置され、第2の偏光素子は、第2の測定光路に配置され、第3の偏光素子は、参照光路に配置され、第1の偏光素子の偏光方向と、第2の偏光素子の偏光方向は異なり、第3の偏光素子の偏光方向は、第1の偏光素子の偏光方向と第2の偏光素子の偏光方向の両方と異なることが好ましい。
【0206】
本実施形態のデータ取得装置の実施例8を図17に示す。データ取得装置80と同じ構成要素については同じ番号を付し、説明は省略する。
【0207】
データ取得装置110は、光源111と、偏光素子112と、偏光素子113と、を有する。光源111は直線偏光の光を出射する。偏光素子112は、第1の測定光路OP1に配置されている。偏光素子113は、第2の測定光路OP2に配置されている。
【0208】
偏光素子112から出射する光の偏光方向は、光源111から出射した光の偏光方向に対して、例えば、+45度回転している。偏光素子113から出射する光の偏光方向は、光源111から出射した光の偏光方向に対して、例えば、-45度回転している。よって、偏光素子113から出射する光の偏光方向は、偏光素子112から出射する光の偏光方向と直交している。
【0209】
偏光素子112から出射する光は、測定光Lme1である。偏光素子113から出射する光は、測定光Lme2である。測定光Lme1をS偏光の光とすると、測定光Lme2はP偏光の光になる。
【0210】
参照光Lrefは、光源111から出射した直線偏光である。この場合、参照光Lrefの直線偏光は、S偏光の成分とP偏光の成分とに分けることができる。その結果、測定光Lme1’と参照光Lrefとで第1の干渉縞が生成され、測定光Lme2’と参照光Lrefとで第2の干渉縞が生成される。
【0211】
データ取得装置110では、第1の干渉縞と第2の干渉縞を、同時に検出できる。よって、データの取得時間の短縮が可能になる。
【0212】
本実施形態のデータ取得装置では、第1の光偏向素子と第2の光偏向素子は、各々、光学面を有し、第1の光偏向素子の光学面と第2の光偏向素子の光学面の少なくとも一方に、光学膜が形成されていることが好ましい。
【0213】
図1に示すように、参照光路OPrと第1の測定光路OP1とが共通になる箇所が形成される。よって、装置を小型にできる。
【0214】
本実施形態のデータ取得装置では、光源と光検出器との間に、第3の測定光路が位置し、第3の測定光路は、第1の測定光路と第2の測定光路の両方と交差するが好ましい。
【0215】
本実施形態のデータ取得装置の実施例9を図18に示す。データ取得装置70と同じ構成要素については同じ番号を付し、説明は省略する。
【0216】
データ取得装置120では、光源2と光検出器9との間に、第3の測定光路OP3が位置し、第3の測定光路OP3は、第1の測定光路OP1と第2の測定光路OP2の両方と交差する。
【0217】
光源2とミラー11との間には、ビームスプリッタ121と、ビームスプリッタ122と、ビームスプリッタ123と、ミラー124と、が配置されている。ビームスプリッタ121、ビームスプリッタ122、及びビームスプリッタ123は、各々、光学膜が形成された光学面を有する。光学膜によって、入射した光から、透過側に進む光と反射側に進む光とが生成される。
【0218】
光源2から出射した光の一部は、ビームスプリッタ121、ビームスプリッタ122、及びビームスプリッタ123を透過する。ビームスプリッタ123の透過側に、参照光路OPrが位置する。ビームスプリッタ123を透過した光は、参照光Lrefである。
【0219】
参照光Lrefは、ミラー124とミラー11で反射された後、第2のビームスプリッタ8に入射する。第2のビームスプリッタ8では、参照光Lrefの一部が光学膜で反射され、残りが光学膜を透過する。第2のビームスプリッタ8で反射された参照光Lrefは、光検出器9に入射する。
【0220】
光源2から出射した光の一部は、ビームスプリッタ121で反射される。ビームスプリッタ121の反射側には、第2の測定光路OP2が位置している。第2の測定光路OP2には、ミラー125、ミラー126、ミラー127が配置されている。
【0221】
ビームスプリッタ121で反射された光は、測定光Lme2である。測定光Lme2はミラー125で反射され、第2の光偏向素子5に入射する。測定光Lme2は、第2の光偏向素子5で反射されて、第2の測定ユニット7に入射する。
【0222】
第2の測定ユニット7から、測定光Lme2’が出射する。測定光Lme2’は第4の光偏向素子72、ミラー126、及びミラー127で反射される。ミラー127で反射された測定光Lme2’は、ビームスプリッタ73に入射する。
【0223】
ビームスプリッタ121を透過した光の一部は、ビームスプリッタ122で反射される。ビームスプリッタ122の反射側には、第1の測定光路OP1が位置している。第1の測定光路OP1には、ミラー128が配置されている。
【0224】
ビームスプリッタ122で反射された光は、測定光Lme1である。測定光Lme1は、第1の光偏向素子4に入射する。測定光Lme1は、第1の光偏向素子4で反射されて、第1の測定ユニット6に入射する。
【0225】
第1の測定ユニット6から、測定光Lme1’が出射する。測定光Lme1’は第3の光偏向素子71とミラー128で反射される。ミラー128で反射された測定光Lme1’は、ビームスプリッタ73に入射する。
【0226】
ビームスプリッタ73では、測定光Lme1’の一部と測定光Lme2’の一部が光学膜で反射され、残りが光学膜を透過する。ビームスプリッタ73で反射された測定光Lme1’とビームスプリッタ73を透過した測定光Lme2’は、ビームスプリッタ129に入射する。
【0227】
ビームスプリッタ129は、光学膜が形成された光学面を有する。光学膜によって、入射した光から、透過側に進む光と反射側に進む光とが生成される。ビームスプリッタ129では、測定光Lme1’と測定光Lme2’の一部が光学膜で反射され、残りが光学膜を透過する。
【0228】
ビームスプリッタ129を透過した測定光Lme1’と測定光Lme2’は、第2のビームスプリッタ8に入射する。
【0229】
ビームスプリッタ122を透過した光の一部は、ビームスプリッタ123で反射される。ビームスプリッタ123の反射側には、第3の測定光路OP3が位置している。第3の測定光路OP3には、第5の光偏向素子130と、第3の測定ユニット131と、第6の光偏向素子132と、ミラー133と、が配置されている。
【0230】
第3の測定ユニット131は、第3の照明光学系と、第3の検出光学系と、を有する。第3の照明光学系は、結像レンズ131aと、対物レンズ131bと、を有する。第3の検出光学系は、対物レンズ131cと、結像レンズ131dと、を有する。
【0231】
第3の測定光路OP3は、第1の測定光路OP1と第2の光路OP2の両方と交差している。第1の測定光路OP1、第2の測定光路OP2、及び第3の測定光路OP3の交点には、標本10が位置している。3の測定ユニット131では、交点を挟んで、第3の照明光学系と第3の検出光学系が対向している。
【0232】
ビームスプリッタ123で反射された光は、測定光Lme3である。測定光Lme3は、第5の光偏向素子130に入射する。測定光Lme3は、第5の光偏向素子130で反射されて、第3の測定ユニット131に入射する。
【0233】
第3の測定ユニット131から、測定光Lme3’が出射する。測定光Lme3’は第6の光偏向素子132、ミラー133で反射される。ミラー133で反射された測定光Lme3’は、ビームスプリッタ129に入射する。
【0234】
ビームスプリッタ129では、測定光Lme3’の一部が光学膜で反射され、残りが光学膜を透過する。ビームスプリッタ129で反射された測定光Lme3’は、第2のビームスプリッタ8に入射する。
【0235】
第2のビームスプリッタ8には、測定光Lme1’、測定光Lme2’、測定光Lme3’、及び参照光Lrefに入射する。これらの光の一部が、第2のビームスプリッタ8から出射する。第2のビームスプリッタ8から出射した光は、光検出器9に入射する。
【0236】
光検出器9には、測定光Lme1’、測定光Lme2’、 測定光Lme3’、及び参照光Lrefが入射する。その結果、第1の干渉縞、第2の干渉縞、及び第3の干渉縞を、検出できる。第3の干渉縞は、測定光Lme3’と参照光Lrefとで形成される干渉縞である。
【0237】
データ取得装置120では、fx軸上の散乱ポテンシャル、fy軸上の散乱ポテンシャル、及びfz軸上の散乱ポテンシャルを取得できる。その結果、屈折率をより高い確度で算出できる。
【0238】
本実施形態のデータ取得装置では、第1の測定ユニットと第2の測定ユニットの少なくとも一方は、標本を保持する容器を含むことが好ましい。
【0239】
標本を保持する容器を図19に示す。図19(a)は、容器の第1例を示す図、図19(b)は、容器の第2例を示す図である。
【0240】
第1例では、容器140の形状は円柱である。第2例では、容器141の形状は四角柱である。容器の形状は、他の形状でも良い。
【0241】
測定ユニットと標本を保持する容器の関係を図20に示す。図20(a)は上面図、図20(b)は側面図である。
【0242】
標本を保持する容器の形状を四角柱にすると、測定ユニットでの容器の保持が容易になる。図20(a)では、第1の測定ユニット6と第2の測定ユニット7とで、容器141を保持している。容器141の形状は四角柱なので、容器141を容易に保持できる。
【0243】
容器141は、対物レンズ6bと対物レンズ6cとで挟まれている。また、容器141は、対物レンズ7bと対物レンズ7cとで挟まれている。容器141は、対物レンズ6b、対物レンズ6c、対物レンズ7b、及び対物レンズ7cで保持されている。
【0244】
第1の測定ユニット6だけで容器141を保持しても良い。又は、第2の測定ユニット7だけで容器141を保持しても良い。第3の測定ユニット131が配置されている場合は、第3の測定ユニット131だけで容器141を保持しても良い。
【0245】
本実施形態のデータ取得装置では、第1の測定ユニットと第2の測定ユニットは、各々、一対の対物レンズを有し、一対の対物レンズは、照明側対物レンズと、結像側対物レンズと、からなり、以下の条件式(1)を満足することが好ましい。
π/2<sin-1NA1+sin-1NA2 (1)
ここで、
NA1は、照明側対物レンズの開口数、
NA2は、結像側対物レンズの開口数、
である。
【0246】
条件式()を満足する場合、第1の測定ユニットにおける光学系のOTFと、第2の測定ユニットにおける光学系のOTFとが重なる。
【0247】
本実施形態のデータ取得装置では、第1の測定ユニットと第2の測定ユニットは、各々、一対の対物レンズを有し、一対の対物レンズは、照明側対物レンズと、結像側対物レンズと、からなり、照明側対物レンズの開口数と、結像側対物レンズの開口数は等しく、以下の条件式(2)を満足することが好ましい。
0.71<NA (2)
ここで、
NAは、照明側対物レンズの開口数、
である。
【0248】
条件式(2)を満足する場合、第1の測定ユニットにおける光学系のOTFと、第2の測定ユニットにおける光学系のOTFとが重なる。
【0249】
本実施形態のデータ取得装置は、演算ユニットを有し、演算ユニットは、第1の測定光路で取得したデータと第2の測定光路で取得したデータから、標本の散乱ポテンシャルを決定し、標本の散乱ポテンシャルに基づいて、標本における屈折率分布を算出することが好ましい。
【0250】
本実施形態のデータ取得装置は、演算ユニットを有し、光源は、波長帯域の異なる複数の光源を含み、複数の波長帯域の光を発し、複数の試料光路のそれぞれは、複数の波長帯域のうち一の波長帯域の光を標本に入射させ、演算ユニットは、複数の波長帯域のそれぞれについて標本の屈折率分布を算出することが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0251】
以上のように、本発明は、屈折率を高い確度で算出できるデータ取得装置に有用である。
【符号の説明】
【0252】
1、1’ データ取得装置
2 光源
3 第1のビームスプリッタ
3a 光学面
4 第1の光偏向素子
5 第2の光偏向素子
6 第1の測定ユニット
6a、6d、7a、7d 結像レンズ
6b、6c、7b、7c 対物レンズ
7 第2の測定ユニット
8 第2のビームスプリッタ
8a 光学面
9 光検出器
10、20 標本
11 ミラー
12 ビームスプリッタ
13 ミラー
14、15 所定のビームスプリッタ
14a 光学面
21 球
22、24、26 測定光
23、25、27 曲線
30、31、32、33 領域
40、50、60、70、80、90 データ取得装置
41、81、92 ミラー
42、61、62、73 ビームスプリッタ
51、52 遮光部材
63 光検出器
71 第3の光偏向素子
72 第4の光偏向素子
91 ビームエキスパンダー
92、93 レンズ
94 ミラー
100、110、120 データ取得装置
101、102,111 光源
112、113 偏光素子
121、122、123、129 ビームスプリッタ
124、125、126、127、128 ミラー
130 第5の光偏向素子
131 第3の測定ユニット
131a、131d 結像レンズ
131b、131c 対物レンズ
132 第6の光偏向素子
133 ミラー
140、141 容器
OP1 第1の測定光路
OP2 第2の測定光路
OP3 第3の測定光路
OPr 参照光路
P 交点
Lref、Lref’ 参照光
Lme1、Lme1’、Lme2、Lme2’、Lme3、Lme3’ 測定光
図1
図2
図3
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図5
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図20