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特許6999815電極ハウジングステーションを備えた電気加熱装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-02-10
(54)【発明の名称】電極ハウジングステーションを備えた電気加熱装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 3/04 20220101AFI20220203BHJP
   H05B 3/06 20060101ALI20220203BHJP
   F24H 9/1863 20220101ALI20220203BHJP
【FI】
F24H3/04 302
H05B3/06 Z
F24H9/18 306
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020533722
(86)(22)【出願日】2018-12-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-02-22
(86)【国際出願番号】 FR2018053250
(87)【国際公開番号】W WO2019122616
(87)【国際公開日】2019-06-27
【審査請求日】2020-06-29
(31)【優先権主張番号】1762533
(32)【優先日】2017-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】505113632
【氏名又は名称】ヴァレオ システム テルミク
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100106655
【弁理士】
【氏名又は名称】森 秀行
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、クワペル
(72)【発明者】
【氏名】エルワン、ゴグモス
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】欧州特許出願公開第03228950(EP,A1)
【文献】仏国特許出願公開第03032388(FR,A1)
【文献】特開2008-007106(JP,A)
【文献】国際公開第2007/129608(WO,A1)
【文献】特開2005-085697(JP,A)
【文献】特開2000-168345(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 3/00 - 3/12
F24H 9/18
B60H 1/00 - 3/06
H05B 1/00 - 3/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調ユニット用の加熱装置であって、前記加熱装置が、加熱体を通過する空気流を加熱するために分配ユニットを介して電流が供給される前記加熱体を含み、前記加熱体がチューブの配列を含んでおり、前記チューブの配列が、
- 前記電流が流れる加熱要素と、
- 電流を供給するために加熱要素の両側に配置された電極と、
を含み、
前記分配ユニットは、前記電極用のドッキングステーションを備え、前記ドッキングステーションは、前記電極を収容する複数のレセプタクル17を有し、前記レセプタクル17内に前記電極を分配ユニットに機械的および電気的に接続するための手段があり、
前記電極を前記分配ユニットに機械的および電気的に接続する前記手段が、前記レセプタクル17内に配置されるとともに前記分配ユニットに所属する電流供給用の電気基板11に固定された、前記電極を受けるように構成されたコネクタ要素(15からなることを特徴とする、加熱装置
【請求項2】
前記各レセプタクル17は中央オリフィスを有し、前記中央オリフィスを通って前記コネクタ要素が突出し、前記中央オリフィスは、前記コネクタ要素が電気基板11に固定されたときに前記コネクタ要素(15を所定の位置に保持するような寸法に形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の加熱装置
【請求項3】
前記各コネクタ要素(15が、前記電気基板11にはんだ付け可能な少なくとも1つのピンが設けられた、前記電気基板11に接続するための第1の電気接続面19と、前記電極の雄継手10が挿入される雌継手が設けられた、前記電極への接続のための第2の電気的接続面18とを有することを特徴とする、請求項2に記載の加熱装置
【請求項4】
前記各電極が、前記雄継手10が配置される自由端を有し、1つの加熱要素に関連する2つの電極の前記雄継手10が千鳥状に配置されていることを特徴とする、請求項3に記載の加熱装置
【請求項5】
前記各加熱要素に対して、前記ドッキングステーションは、対応する前記2つの電極の前記雄継手10の配置と一致する千鳥状に配置された2つのレセプタクル17を有することを特徴とする、請求項4に記載の加熱装置
【請求項6】
前記電極の前記雄継手10が前記コネクタ要素(15の雌継手に挿入され、前記コネクタ要素(15は、前記電極の前記雄継手10に圧力を加えることができる少なくとも1つの可撓性ブレード20を有し、これにより前記雄継手を所定の位置に保持するとともに電気的接続を形成することを特徴とする、請求項3から請求項5のうちのいずれか一項に記載の加熱装置
【請求項7】
前記各レセプタクル17が前記電極を案内するための案内手段を有することを特徴とする、請求項1から請求項6のうちのいずれか一項に記載の加熱装置
【請求項8】
前記案内手段が、2つのスタッド14からなり、前記2つのスタッド14は、前記レセプタクル17の両側に配置され、前記2つのスタッド14の対向面14aが前記レセプタクル17の中心に向かって面取りされて前記電極のためのガイドランプを形成していることを特徴とする、請求項7に記載の加熱装置
【請求項9】
前記ドッキングステーションは、前記電極の配列に続いて、加熱体の全長にわたって延びるバーからなることを特徴とする、請求項1から請求項8のうちのいずれか一項に記載の加熱装置
【請求項10】
前記ドッキングステーションが、前記加熱体内の電極と同じ数のレセプタクル17を有し、前記各レセプタクル17が1つの電極を収容することを特徴とする、請求項1から請求項9のうちのいずれか一項に記載の加熱装置
【請求項11】
前記ドッキングステーションは、レセプタクル17の2つの列6a、6bを有し、一方の列6aのレセプタクル17は、他方の列6bのレセプタクル17からオフセットされていることを特徴とする、請求項1に記載の加熱装置
【請求項12】
前記ドッキングステーションは、前記電気基板11に面する面を有し、前記面には、前記電気基板11に支承される長手方向の中央のリブ23が設けられていることを特徴とする、請求項1から請求項11のうちのいずれか一項に記載の加熱装置
【請求項13】
前記ドッキングステーションは、前記リブ23に加えて、前記ドッキングステーションと前記電気基板11との間に1つ以上の空間を有し、これにより前記ドッキングステーションの下で、他のコンポーネントを前記電気基板11にはんだ付けできるようになっていることを特徴とする、請求項12に記載の加熱装置
【請求項14】
請求項1から請求項13のうちのいずれか一項に記載の加熱装置を含む空調ユニット。
【請求項15】
請求項1から13のいずれか一項に記載の加熱装置の電極を機械的および電気的に接続する方法であって、
- 前記ドッキングステーションが電気基板11に支承されるように配置するステップと、
- この目的のためにドッキングステーションに設けられた連続するオリフィスにコネクタ要素(15を挿入し、次にそれらが所定の位置に保持されるまで電気基板11に挿入するステップと、
- 前記コネクタ要素(15を前記電気基板11にはんだ付けするステップと、
- 前記分配ユニットに対する前記加熱体の単一の並進運動で、前記加熱体の全ての前記電極を対応する前記コネクタ要素(15に同時に入れ込むステップと、
を備えたことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱電極用のドッキングステーションを備えた、空調ユニット用の加熱装置に関する。本発明はまた、そのような加熱装置を備えた空調ユニットに関する。最後に、本発明は、加熱装置の電極を機械的かつ電気的に接続する方法に関する。
【0002】
本発明は、特に、自動車の分野に適用可能である。
【背景技術】
【0003】
車両の空調ユニットに組み込むことを意図した電気加熱装置は既知である。これらは、内燃機関を搭載した車両の伝熱流体が流れる加熱用放熱器と組み合わされる追加の放熱器であるか、電気自動車やハイブリッド車の主放熱器のいずれかである。
【0004】
そのような加熱装置は、電極によって電流が供給される加熱要素が設けられた加熱ユニットを収容する加熱体を含む。電気的安全上の理由から、加熱要素とその供給電極とを外部から隔離する必要があることがある。この目的のために、加熱ユニットは、内部に加熱要素およびそれらの電極が配置される(複数の)チューブを含み、チューブの内面には、加熱要素およびそれらの電極を絶縁するために電気絶縁層が設けられる。
【0005】
これらの加熱装置は、特に電気基板を介して、加熱ユニットを流れる電流を制御することができる分配ユニットを含む。
【0006】
コネクタ要素がこの電気基板にはんだ付けされている。各コネクタ要素は、一方では電気基板に、他方では電極に電気的に接続されている。
【0007】
この二重の接続は、生産ラインでの生産が容易ではない。特に、コネクタ要素を電気基板にはんだ付けするためにコネクタ要素を所定の位置に保持することは容易ではない。また、コネクタ要素が正確に向くべき方向を向いていないおそれもあり、ますます電極を接続するのが困難となる。
【0008】
詳細には、電気的接続に加えて、各コネクタ要素と電気基板の間に形成すべき機械的接続もあり、このため、全てのコンポーネントは、組み立て時と、一般的な加熱装置の耐用年数全体の両方で、互いに対して正しく配置される。
【発明の概要】
【0009】
本発明は、実施するのが簡単であり、接続時だけでなく、加熱装置の全耐用年数にわたってすべてのコンポーネントの正確な位置決めを確実にする、加熱体と分配ユニットとの間の電気的および機械的接続を可能にする加熱装置であって、振動の問題を回避し、加熱装置の信頼性を向上させるために、コンポーネント間の相対的な動きに関して制限を設けることによりそれを行う加熱装置により、上記の様々な欠点を克服することを目的としている。
【0010】
この目的は、従来と同様に、加熱ユニットを通過する空気流を加熱するために分配ユニットを介して電流が供給される加熱体を有する空調ユニットの加熱装置によって達成され、
加熱体は、チューブの配列を含み、前記チューブの配列が:
- 前記電流が流れる加熱要素と、
- 電流を供給するために加熱要素の両側に配置された電極と、
を含んでいる。
【0011】
この装置は主に、分配ユニットが、電極用のドッキングステーションを備え、前記ドッキングステーションが、電極を収容する複数のレセプタクルを有し、その中に電極を分配ユニットに機械的および電気的に接続するための手段があることを特徴としている。
【0012】
本発明の主なアイデアは、互いに接続されなければならない加熱体に属する構成要素と分配ユニットに属する構成要素との間のブリッジとして機能するドッキングステーションを提供することにある。この場合、このドッキングステーションにより、電極を正しく位置決めして接続することが可能となる。さらに、ドッキングステーションは、後に説明する機械的および電気的接続手段を正しく配置することを可能とする。従って、ドッキングステーションは、さまざまなコンポーネントを配置するための基準として機能する安定したベースを形成する。
【0013】
本発明の様々な実施形態によれば、以下のことを一緒にまたは別々に取り得る:
- 前記電極を前記分配ユニットに機械的および電気的に接続する前記手段が、一方ではレセプタクル内に配置され、他方では前記分配ユニットに所属する電流供給用の電気基板に固定された、コネクタ要素からなる。ドッキングステーションは、これらのコネクタ要素を所定位置に維持し、これにより機械的および電気的は接続が最適なコンディションで行われる。
- 前記各レセプタクルは中央オリフィスを有し、前記中央オリフィスを通って前記コネクタ要素が突出し、前記中央オリフィスは、前記コネクタ要素が電気基板に固定されたときに前記コネクタ要素を所定の位置に保持するような寸法に形成されている。
- 前記各コネクタ要素が、前記電気基板にはんだ付け可能な少なくとも1つのピンが設けられた、前記電気基板に接続するための第1の電気接続面と、前記電極の雄継手が挿入される雌継手が設けられた、前記電極への接続のための第2の電気的接続面とを有する。
- 前記各電極が、前記雄継手が配置される自由端を有し、1つの加熱要素に関連する2つの電極の前記雄継手が千鳥状に配置されている。
- 前記各加熱要素に対して、前記ドッキングステーションは、対応する前記2つの電極の前記雄継手の配置と一致する千鳥状に配置された2つのレセプタクルを有する。
- 前記電極の前記雄継手が前記コネクタ要素の雌継手に挿入され、前記コネクタ要素は、前記電極の前記雄継手に圧力を加えることができる少なくとも1つの可撓性ブレードを有し、これにより前記雄継手を所定の位置に保持するとともに電気的接続を形成する。
- 前記電極の前記雌継手がタブからなり、前記コネクタ要素が、前記タブの両側に圧力を加える複数の可撓性ブレードを有する。
- 各レセプタクルが前記電極を案内する案内手段を有する。
- 前記ガイド手段が、2つのスタッドからなり、前記2つのスタッドは、前記レセプタクルの両側に配置され、前記2つのスタッドの対向面が前記レセプタクルの中心に向かって面取りされて前記電極のためのガイドランプを形成している
- 前記ドッキングステーションは、前記電極の配列に続いて、加熱体の全長にわたって延びるバーからなる。
- 前記ドッキングステーションが、前記加熱体内の電極と同じ数のレセプタクルを有し、各レセプタクルが1つの電極を収容する。
- 前記ドッキングステーションは、レセプタクルの2つの列を有し、一方の列のレセプタクルは、他方の列のレセプタクルからオフセットされている。
- 前記ドッキングステーションは、隣接するレセプタクルの間で穿孔されている。
- 前記ドッキングステーションは、電気絶縁性のプラスチック材料から形成されている。
- 前記ドッキングステーションは、前記電気基板に面する面を有し、前記面には、前記電気基板に支承される長手方向の中央のリブが設けられている。
- 前記ドッキングステーションは、前記リブに加えて、前記ドッキングステーションと前記電気基板との間に1つ以上の空間を有し、これにより前記ドッキングステーションの下で、他のコンポーネントを前記電気基板にはんだ付けできるようになっている。
【0014】
本発明は、上述した加熱装置を備えた空調装置にも関する。
【0015】
さらには、本発明は、最後に、上述した加熱装置の電極を機械的および電気的に接続する方法に関する。この場合、この方法は以下のステップを備える。
- 前記ドッキングステーションが電気基板に支承されるように配置するステップ、
- この目的のためにドッキングステーションに設けられた連続するオリフィスにコネクタ要素を挿入し、次にそれらが所定の位置に保持されるまで電気基板に挿入するステップ、 - 前記コネクタ要素を前記電気基板にはんだ付けするステップ、そして、
- 前記分配ユニットに対する前記加熱体の単一の並進運動で、前記加熱体の全ての前記電極を対応する前記コネクタ要素に同時に入れ込むステップ。
【図面の簡単な説明】
【0016】
添付の概略図を参照して純粋に例示的かつ非限定的な方法で提供される本発明の少なくとも1つの実施形態の以下の詳細な説明の説明から、本発明はよりよく理解され、また、他の目的、詳細、特徴および利点がより明らかになるであろう。
【0017】
図1図1は、加熱体および分配ユニットを有する本発明による加熱装置を斜視図で示している。
図2図2は、図1の拡大図であり、特に、加熱体と分配ユニットとの間の接合部を示している。
図3図3図2を再構成したものである(但し電気基板は無い)。
図4図4は、図3の拡大図であり、本発明によるドッキングステーションの下面を示している。
図5図5は、電極の接続を伴う、本発明によるドッキングステーションの上面を斜視図で示している。
図6図6は、ドッキングステーションの一部の透視平面図である。
図7図7はドッキングステーション全体の平面図である。
図8図8は、コネクタ要素の詳細を示している。
図9図9は、コネクタ要素の詳細を示している。
図10図10は、コネクタ要素の詳細を示している。
図11図11は、コネクタ要素の詳細を示している。
図12図12は、電極とコネクタ要素の間の接続を斜視図で示している。
図13図13は、電極とコネクタ要素の間の接続を斜視図で示している。
図14図14は、1つの可能な構成による電極の自由端を斜視図で示している。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1を参照すると、本発明は、電気加熱装置1に関する。これは、例えば、高電圧と呼ばれる、すなわち、60Vを超える、特に60Vから1000Vの間、より具体的には180Vから600Vの間の電圧を有するか、および/または、2kWを超える、特に2kWから10kWの間の空気中に出力される加熱出力または消費電力を可能とする、直流(DC)または交流(AC)が供給されるように意図された加熱装置1である。
【0019】
前記加熱装置1は加熱体2を備えており、この加熱体2には、前記加熱体2を通過する気流を加熱するための電流が供給される。
【0020】
この場合の前記加熱体2は、表面上に延びる実質的に平行六面体の構成を有する。それは、加熱される空気流を横切るように配置されることが意図されている。より正確には、前記空気流は、前記加熱体2に対して垂直に、すなわち図1の平面に対して垂直な方向を向くように意図されている。
【0021】
加熱体2は、一連の整列した金属チューブ4によって形成されている。各チューブ4の内部には、前記電流が流れる加熱要素8がある。加熱要素8は、例えば、PTC(正の温度係数)効果抵抗器である。これらの加熱要素8は、図13で特に見ることができる。
【0022】
電極9は、電流を供給するために加熱要素8の両側に配置されている。より具体的には、各加熱要素8は、正電極9および負電極9によって囲まれている。
【0023】
電極9および加熱要素8からチューブ4を電気的に絶縁するために、電気絶縁性かつ熱伝導性の材料の層12が、各電極9とチューブ4の内壁との間に配置されている。
【0024】
各チューブ4 /加熱要素8/電極9のアセンブリは、いわゆる加熱ユニットを形成する。
【0025】
前記(複数の)加熱ユニットには、選択的に電流が供給される。これは、各加熱ユニットに対して他の加熱ユニットから独立した電流が供給され、従って、特に電流の大きさに関して、他の加熱ユニットを通って流れる電流とは異なる電流が流れることができるようになっていることを意味するものと理解される。この場合に関連する電流の値は、特に、平均電流の値または実効電流の値である。
【0026】
図1に戻ると、加熱体2は、チューブ4と熱的に接触しているヒートシンク13、例えば(複数の)フィンを備えていてもよい。ヒートシンク13は、特に、前記チューブ4同士の間に配置される。明瞭性の目的のため、端のチューブ4から延びるいくつかのヒートシンク13だけが示されており、図1の煩雑化を防止している。
【0027】
前記加熱体2は、特にプラスチック製のフレーム5を備え、このフレームは前記加熱ユニットを収容するとともに前記チューブ4を保持するために使用される。チューブ4はまた、中間プレート22によって所定の位置に保持される。
【0028】
好ましくは、加熱装置1は、前記加熱体2を流れる電流を制御することができる分配ユニット3をさらに備える。
【0029】
前記分配ユニット3は、有利には、加熱体2特に様々な加熱ユニットに供給される電流を駆動するように構成され、各加熱ユニット内の電流のそれぞれの流れを制御することを可能にする。これらのコネクタ要素15(図4に示されている)は、T字形の電気基板11に取り付けられている。
【0030】
図2は、はんだ付けされた複数のピン7を備えた電気基板11の下面を示している。これらのピン7は、前記コネクタ要素15に属する。
【0031】
(複数の)コネクタ要素15を電気基板11に固定したときにコネクタ要素15を所定の位置に正しく保持できるようにするために、ドッキングステーション6が設けられ、電気基板11の上面の真上に配置されている。このドッキングステーション6は図3で特に見ることができ、図3では、より明瞭にするために電気基板11は示されていない。
【0032】
従って、このドッキングステーション6は、一方ではその加熱ユニットを備えた加熱体2と、他方ではその電気基板11を備えた分配ユニット3との間の接合部に配置される。ドッキングステーション6は、加熱体2の分配ユニット3への電気的および機械的接続を容易にする中間ベースからなる。
【0033】
図4に見られるように、このステーション6は、一方の側でチューブ4から突出する電極9を受け、他方の側で電気基板11にはんだ付けすることができるコネクタ要素15を受ける。
【0034】
より詳細には、ドッキングステーション6は、電気基板11に面する下面と、チューブ4に面する上面とを有する。ドッキングステーション6は、加熱体2の全長にわたって延び、チューブ4の出口のとろろで電極9の整列に続く、バーまたはストリップからなる。
【0035】
この下面には、ドッキングステーション6の長手方向に沿った方向を向いた中央リブ23が設けられている。このリブ23は、電気基板11の上面に載ることができ、これにより、ドッキングステーション6と電気基板11との間のフラットな接触をもたらす。このフラットな接触により、最初に、ドッキングステーション6を電気基板11の上に安定した態様で配置することが可能になる。さらに、ドッキングステーション6は、以下の2つの原理
- 電気基板11/ドッキングステーション6のアセンブリの慣性モーメントが大きいことにより、電気基板11の全体的な剛性を高めることにより、
- 過度に大きな振動が発生した場合に、電気基板11の変形、つまりサグを制限するストッパーとしても機能することにより、
に従って電気基板11の機械的強度を高めることを可能にする。
【0036】
従って、ドッキングステーション6と電気基板11の間には、リブ23の両側にスペースがある。理想的には、そして必要とあらば、このスペースは、ドッキングステーション6の下で、他のコンポーネントを電気基板11にはんだ付けすることを可能とするように寸法付けされている。
【0037】
図5から図7に示されている上面には、電極9を収容する複数のレセプタクル17があり、そこには、コネクタ要素15に対応して、電極9を分配ユニット3に機械的および電気的に接続するための手段がある。具体的には、中央オリフィスがあり、この中央オリフィスに、各レセプタクル17の内側において、コネクタ要素15が各レセプタクル内に挿入される。
【0038】
このコネクタ要素15は、図8から図11により詳細に示されている。これは従来の(通常の)コネクタ要素15であり、基板11にはんだ付けできる2つのピン7を有し、電気基板11に接続するための第1の電気接続面19と、クイックコネクタとして機能する雌継手が設けられた、電極9に接続するための第2の電気接続面18とを備えている。具体的には、この雌継手は、その中に侵入する電極9に圧力を加えることができる複数の可撓性ブレード20を有する。この場合、電極9の両側に、電極9が支承される4つの可撓性ブレード20がある。 電極9の両側に可撓性ブレード20を配置することにより、電極9の片側にのみ可撓性ブレード20が存在する雌継手構成とは異なり、電極9を心出ししてその心出しされた位置に維持することを可能にする。さらに、図11に特に見られるように、各可撓性ブレード20はジグザグ形状を有し、これにより電極9上にいくつかの支承点21を有することを可能にする。特に、各ジグザグ点21は電極9上に支承される。
【0039】
図6に戻ると、各レセプタクル17において、ガイドスタッド14が中央オリフィスの両側においてチューブ4の方向に延在していることがはっきりとわかる。これらのスタッド14の目的は、電極9がコネクタ要素15に挿入されるまで電極9を案内することである。
【0040】
1つの採用し得る構成によれば、各レセプタクル17において、互いに向き合って配置されたスタッドの面14aは、中央オリフィスの方向に面取りされており、これによりコネクタ要素15が存在する中央オリフィスに向かって電極9を案内するためのガイドランプを形成する。従って、これらのスタッド14は、電極9が挿入されるV字を形成する。電極9のこの案内は、加熱体2と分配ユニット3との間の組立を改善することを可能にする。
【0041】
2つの連続するレセプタクル17の間で互いに向き合うように配置されているスタッド14の面14bは、ドッキングステーション6に対して垂直方向を向いている。
【0042】
一般的に言えば、ドッキングステーション6は、加熱体2にある電極9と同じ数のレセプタクル17を有し、各レセプタクル17が一つの電極9を収容する。
【0043】
より正確に言うと、電極9はそれぞれ、チューブ4から突出する自由端を有する。各自由端は、コネクタ要素15の雌継手に入ることができる雄継手10を有する。この雄継手10は、電極9と一体に(ワンピースで)形成されてもよく、あるいは、図13および図14に見られる例の場合のように、電極9に取り付けられた別個の部品からなってもよい。この場合、雄継手10はタブに対応し、その第1端10aは例えば電極9に取り付けられてリベット留めされ、その第2端10bはコネクタ要素15の雌継手に入る。
【0044】
各加熱ユニットについて、2つの電極9の雄継手10は、チューブ4の軸方向に延びるが、横方向にずれている(オフセットされている)。従って、雄継手10は、千鳥状の列を成すように配置される。
【0045】
従って、各チューブ4に対して、ドッキングステーション6は、2つの対応する電極9(一方が正極、他方が負極)の雄継手10の配置と合致する千鳥状に配列された2つのレセプタクル17を有する。このようにして、これらのレセプタクル17に挿入されたコネクタ要素15は、互いに距離を置いて配置される。正の電流ラインに属するコネクタ要素15と負の電流ラインに属するコネクタ要素15との間の絶縁距離を満足することが重要であるためである。
【0046】
従って、図7に示すように、ドッキングステーション6は、レセプタクル17の2つの列6a、6bを有し、一方の列6aのレセプタクル17は、他方の列6bのレセプタクル17からオフセットされている。レセプタクル17の列の1つは、正電極9が接続される正電流ライン上に配置され、他の列は、負電極9が接続される負電流ライン上に配置される。
【0047】
ドッキングステーション6は、窓16を介して、隣接するレセプタクル17間で穿孔されている(穴が開いている)。これにより、最小限の材料を使用し、軽量のバーを得ることができる。
【0048】
ドッキングステーション6は、電気絶縁性のプラスチック材料から作られている。そのような材料はまた、温度、可燃性および湿度に対する良好な耐性を可能にする。
【0049】
ドッキングステーション6は、モールド成形またはプラスチック射出により得られる。
【0050】
具体的には、加熱体2と分配ユニット3との間の接続は、以下のように行われる。
【0051】
ドッキングステーション6は、そのリブ23が電気基板11の上面に支承されるように、電気基板11上に配置される。ドッキングステーション6およびボード11が互いに対して正しく配置されると、コネクタ要素15は、この目的のために設けられたレセプタクル17、より正確にはレセプタクル17のオリフィスに挿入される。次に、コネクタ要素15のピン7は、この目的のために電気基板11に設けられた小さな穴に挿入される。そうすると、コネクタ要素15は、ドッキングステーション6のレセプタクル17内の安定した位置にあり、ピン7を電気基板11にはんだ付けすることが可能である。
【0052】
次に、最後のステップは、電極9の雄型継手10をドッキングステーション6のコネクタ要素15に挿入することからなる。この最後のステップは、各雄継手10に面してコネクタ要素15が設けられているならば、ドッキングステーション6に対する加熱体2の(直線)並進運動を介して単一の動きで実行することができる。
【0053】
この単一の動きは、ガイドスタッド14を介した雄型継手10の案内のおかげで、およびコネクタ要素15の第1の接続面18に設けられたクイックコネクタのおかげで、特に可能になる。具体的には、雄継手10をコネクタ要素15の第1の接続面18にスライドさせるだけで十分であり、可撓性ブレード20は、雄継手10を所定の位置に保つように当該雄継手10に圧力を印加するため、雄継手10に電気的接続ならびに機械的接続を作り出す。
【0054】
このような接続により、電気基板11の動きが大幅に制限され、それによって振動の問題を回避することが可能になり、電気基板11および加熱装置1の全体としての信頼性を向上させることができる。
【0055】
本発明はまた、上記のような加熱装置1を含む空調ユニットに関する。前記空調ユニットは、空気流の流れのための本体を含み、その中に前記加熱装置1が配置される。
【0056】
上記の説明に関して、サイズ、材料、形状、機能、および動作モード、組み立て、使用方法の変化を含む、本発明の部品の最適な寸法関係は、当業者には明白かつ明白であると考えられ、また、図面に示されているものおよび明細書に記載されているものと同等のすべての関係は、本発明に含まれることが意図されている。
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