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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-24
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】保温性が向上した寝袋
(51)【国際特許分類】
   A47G 9/08 20060101AFI20220112BHJP
【FI】
A47G9/08 B
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020540335
(86)(22)【出願日】2020-03-10
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-05
(86)【国際出願番号】 KR2020003334
(87)【国際公開番号】W WO2020184957
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2020-07-15
(31)【優先権主張番号】10-2019-0027448
(32)【優先日】2019-03-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】519312119
【氏名又は名称】ナインバイ カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】NINEBY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】504,106,Beotkkot-ro,Yeonsu-gu,Incheon,21926,Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】イム キョンソプ
【審査官】村山 達也
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-025571(JP,U)
【文献】特開平09-182653(JP,A)
【文献】特開2006-314674(JP,A)
【文献】登録実用新案第3004274(JP,U)
【文献】実開昭60-180600(JP,U)
【文献】中国実用新案第207613564(CN,U)
【文献】実開昭60-026838(JP,U)
【文献】登録実用新案第3179654(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 9/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上側寝袋部分と下側寝袋部分とからなり、保温向上部(100)と発熱袋部(40)とが形成された寝袋であって、
前記保温向上部(100)は、
寝袋外皮(10)の内側方向の一面に位置して外部の冷気の流入を遮断する第1断熱層(110)、
前記第1断熱層(110)の一面に位置する第1圧縮繊維層(120)、および
前記第1圧縮繊維層(120)の一面に位置する保温層(130)、を含み、
前記保温層(130)の一面にポリエステルファイバー(Polyester Fiber)材質の第2圧縮繊維層(140)および、前記第2圧縮繊維層(140)の一面に位置するアルミニウムフィルム材質の第2断熱層(150)をさらに含み、
前記第1断熱層(110)はアルミニウムフィルムであり、
寝袋の外部の冷気は前記第1断熱層(110)により流入が遮断され、
前記第2断熱層(150)を通じて寝袋の内側の暖気が外部に流出することを防止し、
前記第1圧縮繊維層(120)および第2圧縮繊維層(140)を通じて寝袋の内部の空気の対流を防止し、
前記発熱袋部(40)は、前記発熱袋部(40)と連結されて前記発熱袋部(40)の温度を高める発熱部材(50)を含み、使用者の身体の一部を収容して体温の損失を防止し、
前記保温向上部(100)は、前記下側寝袋部分の内側の使用者の体重が地面に向かって加えられる背中部分および側面部分に形成されることによって、前記体重によって保温および断熱効果が低下することを防止し、且つ前記発熱袋部(40)は、第1の発熱袋部と第2の発熱袋部とを含み、前記第1の発熱袋部は、前記上側寝袋部分の内側の使用者の手の末端部が挿入される部分に形成されることによって、前記使用者の手を保温し、前記第2の発熱袋部は、前記下側寝袋部分の内側の使用者の足の末端部が挿入される部分に形成されることによって、前記使用者の足を保温することを特徴とする、保温性が向上した寝袋。
【請求項2】
前記第1圧縮繊維層(120)はポリエステルファイバー(Polyester Fiber)材質で備えられることを特徴とする、請求項1に記載の保温性が向上した寝袋。
【請求項3】
前記保温層(130)は、
水蒸気との吸着熱および凝縮熱を利用して発熱する吸湿発熱層であることを特徴とする、請求項1に記載の保温性が向上した寝袋。
【請求項4】
前記吸湿発熱層はアクリレート(Acrylates)材質を含むことを特徴とする、請求項3に記載の保温性が向上した寝袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は寝袋に関する。より詳しくは寝袋の外部に流入する冷気を遮断し、寝袋の内部の暖気が寝袋の外部に流出することを防止するとともに、寝袋の外部および内部で発生する水蒸気に対する発熱効果を増大させて寝袋の内部の温度を容易に高め得る寝袋に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、寝袋は野外で宿泊をするために使われる物である。詳細には、寝袋は使用者の身体が入ることができるように内部が開口された形状で備えられる。これに伴い、使用者は釣り、キャンプなどの長時間にわたる野外での休息および睡眠が必要な余暇活動時に使用者の疲労を低減させることができるため、各種野外活動および軍事活動に頻繁に使われている。また、寝袋には使用者の体温を長時間維持するために充填材が備えられ、これを通じて寝袋の内部には空気層が形成されて断熱されることによって温度を持続的に維持することができる。これは先行特許文献1(大韓民国登録特許第10-0983790号)のように、外皮層、内皮層および保温層を有する寝袋で開示される。
【0003】
しかし、先行特許文献1の場合、地面と接する寝袋の底部分は使用者の荷重に押圧されて空気層が形成されないため地面から寝袋の内部へ向かう冷気の遮断が難しく、保温および断熱効果が低下するという問題点がある。これに伴い、保温および断熱効果を最大化できる寝袋の必要性が台頭しているのが実情である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】大韓民国登録特許第10-0983790号(2010.09.16.登録)
【文献】大韓民国登録実用新案第20-0486066号(2018.03.23.登録)
【文献】大韓民国登録実用新案第20-0487571号(2018.10.01.登録)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の技術的課題は寝袋の外部から流入する冷気を遮断し、寝袋の内部の暖気の流出を防止することによって保温および断熱効果を最大化できる寝袋を提供することである。
【0006】
また、本発明の技術的課題は寝袋の内部および内部で発生する水蒸気により寝袋の内部の温度が下降せずに上昇することによって、使用者に快適さを提供できる寝袋を開示することである。
【0007】
さらに、本発明は温度の変化に敏感な手、足などの身体部位に対する保温効果を増大することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このために、本発明は、寝袋外皮の内側方向の一面に位置して外部の冷気の流入を遮断する第1断熱層、第1断熱層の一面に位置する第1圧縮繊維層および第1圧縮繊維層の一面に位置する保温層を含む保温向上部が備えられる寝袋を提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によると、第1断熱層を通じて外部の冷気を遮断し、内部の暖気の流出を防止することができるため、保温性能を最大化することができる。
【0010】
また、本発明によると、保温層を通じて寝袋の外部および内部の水蒸気のそれぞれを基盤として発熱するため、別途の熱源がなくても容易に寝袋の内部の温度を上昇および維持することができる。
【0011】
また、本発明は第1圧縮繊維層を通じて寝袋の外部の冷気の内側方向への対流を防止するため、保温効率を顕著に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施例に係る寝袋を全体的に示す斜視図である。
図2】本発明の一実施例に係る保温向上部を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施例に係る保温向上部の断面図である。
図4】本発明の一実施例に係る第1断熱層を通じて寝袋の外部の冷気の流入を防止することを示す断面図である。
図5】本発明の一実施例に係る第2断熱層および第2圧縮繊維層を示す図面である。
図6】本発明の一実施例に係る第2断熱層を通じて寝袋の内部の暖気の外部への流出を防止することを示す断面図である。
図7-9】本発明のさらに他の実施例に係る充填部材を示す断面図である。
図10-12】本発明の一実施例に係る発熱袋部を示す図面である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
保温向上部100が形成された寝袋であって、
前記保温向上部100は、
寝袋外皮10の内側方向の一面に位置して外部の冷気の流入を遮断する第1断熱層110、
前記第1断熱層110の一面に位置する第1圧縮繊維層120、および
前記第1圧縮繊維層120の一面に位置する保温層130、を含み、
前記保温層130の一面にポリエステルファイバー(Polyester Fiber)材質の第2圧縮繊維層140および前記第2圧縮繊維層140の一面に位置するアルミニウムフィルム材質の第2断熱層150をさらに含み、
前記第1断熱層110はアルミニウムフィルムであり、
寝袋の外部の冷気は前記第1断熱層110により流入が遮断され、
前記第2断熱層150を通じて寝袋の内側の暖気が外部に流出することを防止し、
前記第1圧縮繊維層120および第2圧縮繊維層140を通じて寝袋の内部の空気の対流を防止し、
前記保温向上部100は使用者の体重が地面に向かって加えられる背中部分および側面部分に形成されることによって、前記体重によって保温および断熱効果が低下することを防止することを特徴とする保温性が向上した寝袋である。
【0014】
発明の実施のための形態
以下、添付された図面を参照して本発明の実施例について、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。しかし、本発明は多様な異なる形態で具現され得、以下で開示される実施例に限定されない。また、図面で本発明を明確に開示するために、本発明に関わらない部分は省略し、図面で同一または類似する符号は同一または類似する構成要素を示す。
【0015】
本発明の目的および効果は下記の説明によって自然に理解されるか、より明確となり得、下記の記載だけで本発明の目的および効果が制限されるものではない。
【0016】
本発明の目的、特徴および長所は下記の詳細な説明を通じてより明確となるであろう。また、本発明の説明において本発明に関連した公知の技術に対する具体的な説明が、本発明の要旨を不要に曖昧にさせ得る恐れがあると判断される場合にはその詳細な説明を省略する。
【0017】
以下、添付された図面を参照して本発明に係る実施例を詳細に説明する。本発明を詳細に説明するに先立って、「外側方向」は寝袋の内部空間から寝袋の外部に向かう方向であり、「内側方向」は寝袋の外部から寝袋の内部空間に向かう方向である。すなわち、「外側方向」および「内側方向」は寝袋の内部空間を基準とする方向である。これに伴い、「内側方向」は図3図9における上側方向であり、「外側方向」は図3図9における下側方向を意味する。また、本発明での「第1」、「第2」などの表面は複数個の構成要素を区分して混同を避けるために使われ、該当構成要素の重要度を限定するものではない。
【0018】
図1は本発明の一実施例に係る寝袋を全体的に示す斜視図であり、図2は本発明の一実施例に係る保温向上部100を示す斜視図である。
【0019】
本発明の一実施例に係る寝袋は、寝袋外皮10および寝袋内皮20で構成される。詳細には、寝袋外皮10は寝袋の最外側方向に位置する構成であって、寝袋の内部空間を外力および冷気から保護するための構成である。また、寝袋内皮20は寝袋外皮10の内側方向に形成されて寝袋の内部空間に接するように備えられ、寝袋の内部空間を寝袋の外部と区分し、寝袋の内部空間を外力および冷気から保護する。前記のような寝袋外皮10および寝袋内皮20は寝袋の内部空間を囲むように構成され、別途に備えられる開閉手段30により開放および閉鎖される。詳細には、前記開閉手段30は寝袋の周り(縁)に沿って形成されてジッパー、ベルクロ(登録商標)等の多様な形態で備えられ、これに限定されない。これに伴い、使用者は開閉手段30を利用して容易に寝袋の出入りを遂行することができる。
【0020】
寝袋外皮10の内側方向には保温向上部100が備えられる。保温向上部100は寝袋の外部の冷気の流入および寝袋の内部の暖気の流出を防止することによって、保温性および断熱性を最大化するための構成である。このために、保温向上部100は寝袋外皮10の内側方向に向かう一面に位置する。より好ましい実施例として、保温向上部100は使用者が寝袋の内部に位置する時、使用者の身体の荷重によって地面方向に加圧される寝袋の背もたれの部分に配置され得る。詳細には、保温向上部100は寝袋の内部に位置する使用者の首、肩、背中、腰などに対応する位置に形成され得る。しかし、前記のような保温向上部100の位置は限定されず、地面と接する寝袋部分(地面上に位置する寝袋の下側部分を意味する)に全般的に備えられ得る。また、保温向上部100は寝袋の内部に位置した使用者のわき腹部分、すなわち寝袋の側面部分にも備えられ得、これは寝袋の内部に位置した状態でわき腹が地面と接するように横になる使用者に、寒さを感じないようにすることができるため、便宜性を増大する効果を有する。
【0021】
図3は、本発明の一実施例に係る保温向上部100の断面図である。
【0022】
前述した通り、保温向上部100は寝袋の外部の冷気の流入および寝袋の内部の暖気の流出を防止することによって、寝袋の断熱性および保温性を向上させる構成である。このために、保温向上部100は地面と接する寝袋部分(地面上に配置された寝袋の下側部分を意味する)に備えられるものの、寝袋外皮10の内側方向に位置する。また、保温向上部100は前記のような目的を達成するために、第1断熱層110、第1圧縮繊維層120および保温層130を含む。保温向上部100が備えられることによって、寝袋の外部の冷気は内部に移動せず、寝袋の内部で発生した暖気は寝袋の内部で対流するため、断熱性および保温性を最大化することができる。以下、保温向上部100に含まれた第1断熱層110、第1圧縮繊維層120および保温層130構成について詳細に説明する。
【0023】
第1断熱層110は冷気の浸透を防止する構成である。詳細には、第1断熱層110は断熱を目的に備えられる構成であって、寝袋の外部の冷気が内部に伝導することが抑制されることによって、保温性能を高める役割を遂行する。このために、第1断熱層110は寝袋外皮10の内側方向に向かう一面に備えられる。詳細には、第1断熱層110はアルミニウムフィルム材質で備えられて寝袋外皮10の内側方向に備えられる。より詳細には、アルミニウムフィルム材質で備えられる第1断熱層110は、空気の移動を遮断する役割を遂行する。これを通じて、地面から内側方向に移動して外皮10を通過した冷気は、第1断熱層110に遮断されて内側方向に進入しない。これによって、第1断熱層110は寝袋の外部での冷気の移動を遮断することができるため、不要な熱損失を防止することができる。また、アルミニウムフィルム材質で備えられる第1断熱層110は保温の役割を遂行する。詳細には、第1断熱層110は寝袋の内部に位置した使用者の身体から発生する輻射熱を反射することによって、寝袋の外部に移動することを防止する。したがって、第1断熱層110を通じてより大きな保温効果を導き出すことができる。さらに、アルミニウムフィルム材質で備えられる第1断熱層110は撥水の機能を有する。これにより、地面から形成された湿気が寝袋の内側方向に移動する時、第1断熱層110で遮られて寝袋の内部に移動しないため、使用者が湿気によって濡れることを未然に防止することができる。また、第1断熱層110は透湿機能をさらに有する。したがって、使用者の身体から発生する汗などの水分を吸収することができるため、使用者は寝袋の内部での快適さを感じることができる。前記のような第1断熱層の撥水機能および透湿機能は後述する第2断熱層150にも同様に適用され得る。
【0024】
第1圧縮繊維層120は寝袋の外部の冷気の流入を最小化する構成である。このために、第1圧縮繊維層120は第1断熱層110の内側方向に向かう一面に位置する。また、第1圧縮繊維層120は圧縮パディング(Pressure Padding)素材で構成される。詳細には、第1圧縮繊維層120はポリエステルファイバー(Polyester Fiber)材質で備えられる。より詳細には、第1圧縮繊維層120はポリエステルファイバー(Polyester Fiber)材質を有する少なくとも一つ以上の層で構成される。前記のような単層または多層構造の第1圧縮繊維層120に形成された空気層は、寝袋の外部に排出されるか寝袋の内部に浸透する空気の流れを妨げる役割を遂行するため熱損失を最小化する。したがって、第1圧縮繊維層120を備えないものと比較した時により大きな保温効果を有することができる。より好ましい実施例として、第1圧縮繊維層120には、動物の毛、ファイバーボール(Fiber ball)材質を有する別途の保温部材231がさらに備えられ得る。前記第1圧縮繊維層120を通じて冷気の浸透を最小化できるため、保温作用をより容易に遂行することができる。
【0025】
保温層130は寝袋の内部で発熱する構成である。このために、保温層130は第1圧縮繊維層120の内側方向に向かう一面に位置する。また、保温層130は吸着熱および凝縮熱を利用して発熱する。詳細には、保温層130はアクリレート(Acrylates)系繊維材質を有する吸湿発熱層で備えられる。より詳細には、保温層130は寝袋の内部の使用者から排出される汗などの水蒸気と接し、前記水蒸気がアクリレート(Acrylates)系繊維と結合して固定される時に熱交換が行われて液体に変換される過程で、吸着熱および凝縮熱が発生する。これを通じて寝袋の内部で発熱し得るため、寝袋の内部の温度を高めることができる。さらに、前記のような吸湿発熱層で備えられる保温層130は、寝袋の外部から内部に浸透する水蒸気に対しても吸着熱および凝縮熱を利用して発熱し得る。したがって、明け方のように地面から湿気が多量発生する時間にも前記湿気を利用して発熱し得るため、使用者は寝袋の内部で湿気によって睡眠および休息が妨げられることを防止することができ、より容易な寝袋の内部の温度上昇効果を享受することができる。より好ましい実施例として、吸湿発熱層で備えられる保温層130は、アミノ基、カルボキシ基、水酸基などの親水性基を有する繊維材質で備えられ得るため、吸着熱を形成するにおいてより大きな効率を有し得る。
【0026】
図4を参照すると、寝袋外皮10の外部から寝袋の内部に移動する冷気は、アルミニウムフィルムである第1断熱層110により遮られて内側方向への移動が制限される。また、第1断熱層110を通過して寝袋の内側方向に移動する冷気は、多層の繊維材質からなる第1圧縮繊維層120により移動が妨げられるため、熱伝導および熱対流が抑制される。したがって、寝袋の内部で熱損失が発生することを最小化できるため、寝袋の内部空間での温度を容易に維持することができる。また、寝袋の内部の暖気は寝袋の内部空間から外部に移動せず対流および循環することができるため、保温性を高めることができる。
【0027】
図5は本発明の一実施例に係る第2断熱層および第2圧縮繊維層を示す図面であり、図6は本発明の一実施例に係る第2断熱層を通じて寝袋の内部の暖気の外部への流出を防止することを示す断面図である。
【0028】
第2圧縮繊維層140および第2断熱層150は、前述した第1断熱層110および第1圧縮繊維層120と同じ役割を遂行する。詳細には、第2圧縮繊維層140は第1圧縮繊維層120と同様に空気の対流を防止することによって断熱性および保温性を高め、第2断熱層150は第1断熱層110と同様に熱を反射させる。
【0029】
第2圧縮繊維層140は寝袋の内部に位置する暖気の外部への移動を妨げる。このために、第2圧縮繊維層140は保温層130の内側方向に向かう一面に位置してポリエステルファイバー(Polyester Fiber)材質で備えられ、第2圧縮繊維層140の内部に位置した空気層は寝袋の内部の暖気の外部への移動を妨げる。これを通じて、寝袋の内部の暖気の流出を最小化できるため、断熱性および保温性を最大化することができる。また、第2圧縮繊維層140は第1圧縮繊維層120の構造と同様に、ポリエステルファイバー(Polyester Fiber)材質を有する少なくとも一つ以上の層で構成されることによって、より大きな保温効果を有することができる。
【0030】
第2断熱層150は暖気の流出を防止する構成である。詳細には、第2断熱層150は寝袋の内部に位置した暖気が寝袋の外部に移動することを遮断する。このために、第2断熱層150は前述した第2圧縮繊維層140の内側方向に向かう一面に位置する。また、第2断熱層150はアルミニウムフィルム材質で備えられる。これにより、使用者の身体から発生して寝袋の内部に位置する暖気は、アルミニウムフィルム材質の第2断熱層150と会って反射して寝袋の外部に移動しない(図6参照)。したがって、冷気の流入を防止する第1断熱層120とは別途に暖気の流出を防止する役割を遂行する第2断熱層150を通じて、より顕著な断熱および保温効果を有することができる。
【0031】
図3図6で前述した一連の構成を通じて、寝袋の暖気の流出および冷気の流入を効果的に防止することができ、使用者の身体または地面で発生する水蒸気を基盤として寝袋の内部の温度を上昇および維持させることができるため、断熱性および保温性を大きく向上させることができる。一方、保温向上部100は使用者の体重が地面に向かって加えられる寝袋部分に形成され、その他にも寝袋の内部に位置した使用者の胸部分に該当する部分にも備えられ得る。
【0032】
図7図9は本発明のさらに他の実施例に係る充填部材200を示す断面図である。
【0033】
図7図9は、寝袋の少なくとも一部分に形成される充填部材200について説明する。詳細には、前述した「寝袋の少なくとも一部分」は、地面に接する寝袋部分の上側方向に位置する寝袋部分を意味するものであって、使用者が寝袋の内部に入って横になる場合、身体の前面に位置する顔、胸部分と接する部分を指す。すなわち、本発明に係る寝袋が地面上に配置されている場合、充填部材200は、本発明の一実施形態に係る保温向上部100から上側方向に位置する。しかし、前記「寝袋の少なくとも一部分」はこれに限定されず、寝袋の背もたれ部分を除いた区域を指し得る。
【0034】
本発明のさらに他の実施例に係る充填部材200は一実施例に係る保温部130と同様に、寝袋の外部の冷気の内側方向への対流を防止し、暖気が寝袋の内部で対流するように誘導することによって、保温性および断熱性を最大化する構成である。このために、本発明のさらに他の実施例に係る充填部材200は、寝袋外皮10および寝袋内皮20の間に充填されて位置し、ボールパディング(Ball Padding)素材で備えられ、保温部材231を含む。保温部材231は保温部230の内部に複数個備えられて熱対流を抑制するための構成であって、鴨の毛、ガチョウの毛などの天然素材またはファイバーボール(Fiber Ball)等の材質で構成される。特に、ファイバーボール(Fiber Ball)の場合、動物の毛を使わなくても空気の流れを妨げる機能を遂行できる構成であって、鴨の毛、ガチョウの毛などの天然素材を使うために動物を飼育および屠殺しなくてもよいため環境に優しい。前記のような充填部材200を通じて、地面だけでなく寝袋の内部に向かって四方から投入する冷気を容易に遮断することができるため、保温効率を最大化することができる。
【0035】
図8および図9を参照すると、本発明のさらに他の実施例では、図3および図4で前述した第1断熱層110および第1圧縮繊維層120がさらに備えられ得る。詳細には、第1断熱層110および第1圧縮繊維層120は寝袋外皮10の内側方向に向かう一面に備えられるものの、寝袋外皮10および充填部材200の間に位置する。これを通じて、寝袋の背もたれ部分を除いた寝袋部分においても寝袋の外部の冷気の流入を容易に遮断することができるため、保温性および断熱性を最大化することができる。
【0036】
本発明のさらに他の実施例として、寝袋外皮10および充填部材200の間に第1断熱層110および第1圧縮繊維層120がすべて備えられる場合、第1断熱層110は寝袋外皮10の内側方向に向かう一面に備えられ、第1圧縮繊維層120は第1断熱層110と充填部材200との間に位置する。すなわち、第1断熱層110および第1圧縮繊維層120がすべて備えられる場合、図3で前述した第1断熱層110および第1圧縮繊維層120の配置構造と同様に位置し得る。これと共に、前述した通り、図6での第2圧縮繊維層140および第2断熱層150がさらに備えられるものの、第2圧縮繊維層140は充填部材200の内側方向に向かう一面に位置し、第2断熱層150は充填部材200と第2圧縮繊維層140との間に備えられ得る。これを通じて、寝袋の背もたれ部分を除いた寝袋部分においても暖気の流出を防止することができるため、保温効率を顕著に高めることができる。
【0037】
図10図12は、本発明の一実施例に係る発熱袋部40を示す図面である。
【0038】
寝袋外皮10の内側方向には発熱袋部40が備えられる。発熱袋部40は身体の一部分、特に使用者の手または足などの末端部が挿入され得るように構成され、発熱袋部40の内部には別途の発熱手段がさらに備えられ得る。また、発熱袋部40に備えられた前記発熱手段は電気線などの熱線が備えられて電力が供給されることによって発熱し得る。
【0039】
発熱部材50は携帯用バッテリーなどの別途の外部充電手段と電気的に連結されて充電され、発熱袋部40に備えられた発熱手段に電気を供給することによって発熱袋部40の内部の温度を高めて身体を保温させることができる。
【0040】
メモリーフォーム60はスポンジ(Sponge)の一種であって、密度は高いが弾性が低いため強い衝撃吸収効果を有し、撥水性能と共に透湿性能を有しているため人体で発生する水分による体温の変化を最小化することができる。したがって、発熱袋部40に部分的にメモリーフォーム60を充填させることにより、温度の変化に脆弱な手、足の保温効果を増大させることができる。
【0041】
図10図12で詳述した一連の構成を通じて、使用者は寒さに脆弱な手、足などの身体の末端部に対して容易に保温を実施することができるため、寝袋の内部でより安らかに睡眠および休息を取ることができる。また、図3図9で前述した一連の構成を通じて、多重断熱効果および多重保温効果を有することができるため、ヒーターなどの別途の発熱装置を携帯しなくても、寝袋だけで容易な保温が可能である。これは各種余暇活動などの野外活動を進行する使用者にとって、前記別途の発熱装置を携帯しなければならない煩わしさを減らすことができるため、便宜性を最大化することができる。また、本発明は寝袋の内部で発生する汗などの水蒸気を通じて発熱を遂行するため、使用者はより快適な環境で睡眠および休息を取ることができる。
【0042】
前記の本発明の好ましい実施例は例示の目的で開示されたものであって、本発明に対して通常の知識を有する当業者であれば、本発明の思想と範囲内で多様な修正、変更および付加が可能であり、このような修正、変更および付加も前記の特許請求の範囲に属するものと見なされるべきである。
【0043】
本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲内で、多様な置換、変形および変更が可能であり、本発明は前述した実施例および添付された図面によって限定されるものではない。
【産業上利用の可能性】
【0044】
本発明によると、第1断熱層を通じて外部の冷気を遮断し、内部の暖気の流出を防止することができるため、保温性能を最大化することができる。
【0045】
また、本発明によると、保温層を通じて寝袋の外部および内部の水蒸気のそれぞれを基盤として発熱するため、別途の熱源がなくても容易に寝袋の内部の温度を上昇および維持することができる。
【0046】
また、本発明は第1圧縮繊維層を通じて寝袋の外部の冷気の内側方向への対流を防止するため、保温効率を顕著に高めることができる。
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図12