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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】包丁収納器
(51)【国際特許分類】
   A47J 47/16 20060101AFI20220112BHJP
【FI】
A47J47/16 P
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021098317
(22)【出願日】2021-04-27
【審査請求日】2021-04-27
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】717007572
【氏名又は名称】皆川 義光
(72)【発明者】
【氏名】皆川 義光
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】実開昭52-134440(JP,U)
【文献】実開昭53-80737(JP,U)
【文献】特開2009-11403(JP,A)
【文献】実開昭63-147155(JP,U)
【文献】実開昭58-145142(JP,U)
【文献】実開昭51-98160(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 47/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項2】
前記立体容器は、前記本体上底部(3a)によって形成された上側開口(3b)を有し、前記上側開口(3b)には、前記立体容器内部に収納されている前記包丁類(20)の刃先(20c)から柄部(20a)の一部までを上側から覆うとともに、前記柄部(20a)の一部から前記本体一面(3j)に形成されている前記柄保持部(3e)の上方までが開口となるように形成されている上蓋(70)を取付けて構成されている請求項1に記載の包丁収納器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包丁、ナイフ、小刀等の包丁類をその刃部が上向きで、かつ、包丁類の柄部より刃先が下方に傾斜した姿勢のまま包丁類の柄部の一部を除いて包丁収納器内に収納することから、刃部から刃先までの水切りが極めてよくなり、その結果、刃部から刃先までを錆びにくく収納するとともに、包丁類そのものを腐食から守って傷みにくく保管することができる。
また、本発明は、包丁収納器に収納した包丁類の刃部の上方の開口部は上蓋によって覆われて安全性が確保されているが、柄部の上方は開口されていることから、包丁類を前記包丁収納器から手前斜め上方向へ出し入れする際にも刃部が触って障害になるものがなく、包丁類の出し入れが容易な包丁収納器であり、さらには、本発明は、包丁収納器から包丁類を不用意に引抜いたり包丁収納器から包丁類が落下したりすることを防止するための保持部材を有する構造であることから、幼児等にとっても、また、保管する上からも安全な機能を備えている極めて安全性の高い包丁収納器に関する。
【背景技術】
【0002】
調理等に使用し終えた包丁類の多くは、そのまままな板の上に横にして置いたり、刃部を真下若しくは横向きして収納する形式の包丁収納器に収納したり、あるいは、前記包丁類の刃先を上方から下方に差し込む形の収容器に収納したり等の形で保管されている。
【0003】
使用し終えたばかりの包丁類は、刃部及び刃先が水滴に濡れたままの状態で収納することが多く、そのため、前記包丁類の刃部や刃先に錆が発生したり、あるいは、柄部を含めて包丁類そのものの傷みが早まったりとともに、流し台内部等が湿り不潔になりやすいという課題があった。
【0004】
また、これまでの包丁収納器の多くは、幼児等が包丁収納器から包丁類を不用意に取出すことを防止したり、包丁類が包丁収納器から落下したりすることを防止したりする安全装置(ストッパー)機能が欠落しており、危険物を安全に管理するという観点から課題のあるものがほとんどである。
【0005】
包丁類は、主として肉や魚、野菜等食材の調理に使用することから、常に衛生的に保つ必要があり、前記包丁収納器そのものは、現に収納している包丁類と併せて一緒に食器洗浄機等で容易に洗浄することができるなど、常に衛生的な状態に保つという観点に課題があった。
【0006】
さらには、これまでの包丁収納器の多くは、設置場所を移動させたり、その上部に同一形態の包丁収納器を複数台重ねて設置して単位面積当たりの包丁類の収納効率を向上させたり、包丁収納器の上部空間を安全かつ有効に活用したりという視点が欠落しているという課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】公開実用新案公報 昭和58-145142号
【文献】公開実用新案公報 昭和51-098160号
【文献】特開2008-264483号公報
【文献】特開2009-90036号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述の文献1に記載の包丁収納ケースは、包丁の刃部を上向きとなる姿勢で収納するということは図面により示唆はされているが、特に図面以外への記載及び明示はない。
当該包丁収納ケース内に収納された包丁は、長さ方向に配設された一対の保持片によって挟まれ、その刃部が一対の保持片のいずれかにもたれ掛かるようにして収納される形態であることから、包丁の刃部がいずれか一方の保持片に常時接触している状態で収納されることになり、包丁が水滴に濡れた状態で収納された場合、包丁及びその刃部の錆びを促進してしまうおそれがある。
当該包丁収納ケースは、一対の保持片間の間隔並びに板体の前端の突縁に形成された包丁挿入口の幅によっては、出刃包丁等の厚刃の包丁を収納することに制限があるとともに、包丁収納ケースの長さ方向の寸法によっては、収納する包丁の柄の長さに制限が生じるものと思慮される。
また、当該包丁収納ケースには、包丁を当該包丁ケース内に押え込み、固定する機能がないと思慮されることから、子供が容易に包丁を取り出すことができ、安全性に問題があるように思慮される。
さらには、当該包丁収納ケースは、台所の流し前の壁を貫通するように埋設する形態であることから、必要に応じて適宜他の場所へ移動して配設するなどに困難性があるものと思慮される。
【0009】
前述の文献2に記載の包丁さしは、包丁の刃部を下向きの姿勢、即ち受台によって刃部を受けて収納する形態であることから、包丁の刃部が常時受台に接している状態であるため、包丁の刃部の錆びを促進させてしまったり、刃部の傷みを早めさせてしまったりするおそれがある。
また、当該包丁さしには、包丁を当該包丁さし内に固定する機能がないと思慮されることから、子供が容易に包丁を取り出すことができ、安全性に問題があるように思慮される。
また、受台によって包丁の柄を支えることは明示されているが、包丁差しの長手方向の寸法によって、収納する包丁の柄の長さに制限が生じるものと思慮される。
【0010】
前述の文献3に記載の包丁収納器具は、差込口に差込みした包丁の刃板を抜け止め状態にロックするロック解除可能なロック手段を設けた構造としてあるものの、構造が複雑すぎるという問題があるように思慮される。
また、複数の包丁を収納する構造とした場合、長手方向に長大になってしまい、包丁収納器具の付設場所も含めて、実用性に課題が生じてしまうおそれがある。
【0011】
前述の文献4に記載の包丁収納器は、包丁の刃を上にして傾斜状スリットから差し入れることにより包丁の刃部を包丁収納器内に収納することについては、「発明を実施するための最良の形態」には記載されている。しかし、当該包丁収納器は、傾斜状スリットに包丁の刃部のみを差入れた状態で収納する形態であり、刃部を前記包丁収納器内に押え込み、固定する機能がないと思慮されることから、子供が容易に包丁を取り出すことができるとともに、包丁の柄の部分が長かったり、柄の部分が重かったりした包丁を収納した場合、不安定な状態になり、振動や外部からの接触等により包丁が当該包丁収納器から簡単に落下してしまい、極めて危険性の高い包丁収納器となってしまうおそれがある。
また、当該包丁収納器は、包丁の刃部を傾斜状態にして収納する形態であることから、包丁が水滴に濡れた状態で収納された場合、刃部の下向き面(下側)に水滴が付着したままの状態となり、包丁全体を錆びやすくしてしまうおそれがある。
さらには、スリットの形状によっては、出刃包丁等の厚刃の包丁を収納することに制限があり、また、蓋を取外して使用した場合、包丁の刃部がほぼ露出し、外見にさらされる状態になることから、危険性を伴うとともに、他の人に恐怖感を覚えさせるおそれがある。
当該包丁収納器には、幼児等が当該包丁収納器から包丁を容易に取出すことを機能的に防止できず、安全性を必ずしも担保することができないおそれがある。
【0012】
本発明は、これまでの包丁収納ケースや包丁収納器等に内在している前述のような種々の課題を解決することを主眼とすることと併せて、単数又は複数の包丁類の刃部や刃先を錆びにくく、かつ、包丁類そのものを傷みにくく安全に収納し、安定的に保管するとともに、包丁類の出し入れが手前斜め上方からでも刃部が他の物体に接触することなくスムースにできる包丁収納器、設置場所をキッチン内の配置状況に応じて自由に移動させることができる包丁収納器、同一形態の包丁収納器を複数台重ねて設置することのできる包丁収納器、幼児等からも包丁類を安全に管理し、包丁類の落下を防止することができる機能を備えている包丁収納器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1記載の本発明は、立体容器の本体一面には、本体上底部に単数又は複数の包丁類の柄部を保持するための切込みである柄保持部を形成するとともに、前記立体容器内部には、前記包丁類の峰部を支点支持するための切込である峰支持部を有する包丁類支持部材を単数又は複数配設して、前記包丁類の刃部が上向きで、刃先が柄部より低く傾斜した姿勢で前記包丁類の刃先から柄部の一部までを前記立体容器内部に収納し、前記本体一面には、前記包丁類の刃部を前記立体容器内部に保持するための保持部材を取付ける突起部を形成し、前記保持部材の少なくとも一端に備えた取付部材によって前記突起部に取付けた前記保持部材の少なくとも一端は、前記突起部を中心に左右回転自在に保持されるようになっていることを特徴とする包丁収納器である。
【0014】
請求項2記載の本発明は、前記立体容器には、本体上底部によって形成された上側開口を有し、前記上側開口には、前記立体容器内部に収納されている前記包丁類の刃先から柄部の一部までを上側から覆うとともに、柄部の一部から前記本体一面に形成されている前記柄保持部の上方までが開口となるように形成されている上蓋を取付けて構成することによって、前記包丁収納器の上部空間を安全かつ有効に活用することができることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の本発明に係る効果は、単数又は複数の包丁類の刃部が上向きで、刃先が柄部より低く傾斜した姿勢で前記包丁類を本発明の包丁収納器内部に収納することから、水滴に濡れた状態の前記包丁類であっても、前記包丁類の刃部や刃先の両面、さらには包丁類の本体からの水切れが均等、かつ、速やかに良くなり、前記包丁類の刃部や刃先を錆びにくく、包丁類そのものを傷みにくく安全に保管することができるという利点がある。また、前記包丁収納器内部には、前記包丁類の刃先から柄部の一部までを収納する構造であることから、前記包丁類を前記包丁収納器内部に安全に収納し、安定的に保管することができるとともに、前記包丁収納器には、簡単な操作により前記包丁類の刃部を前記包丁収納器内部に確実、かつ、安全に保持する保持部材を備えていることから、幼児等が不用意に前記包丁類を前記包丁収納器から取出すことを防止することができ、幼児等にとっても極めて安全性が高いとともに、前記立体容器内部に収納されている前記包丁類が前記立体容器内部から落下することを防止することができるという利点がある。
【0016】
請求項2に記載の本発明に係る効果は、前記包丁収納器の本体上底部によって形成された上側開口に取付けられている上蓋は、前記包丁収納器内部に収納されている前記包丁類の柄部の一部から本体一面に形成されている柄保持部の上方までが開口状態となるように形成されていることから、前記包丁収納器から前記包丁類を手前斜め上方に取出したり、あるいは、真っすぐ手前側に引抜いたりと、刃部が何ら他の物体に接触することなく前記包丁類の出し入れが容易にでき、前記包丁収納器の使い勝手を向上させることができるとともに、前記包丁類の刃部を傷みにくく保つことができるという利点がある。
【0017】
また、前記包丁収納器の本体上底部によって形成されている上側開口に前記上蓋を取付けることによって、前記包丁収納器の上方の安全性を確保できるとともに、前記上蓋の上に物を載せたり、前記包丁収納器の上に同一形態の包丁収納器を複数台重ねて設置して単位面積当たりの包丁類の収納効率を向上させたりして、前記包丁収納器の上部空間を安全かつ有効に活用することができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】 上蓋70及び下受皿80を取付けた状態を示す本発明の実施形態に係る包丁収納器1の斜視図。
図2】 包丁収納器1を構成する本体3の斜視図。
図3】 本発明の実施形態に係る包丁収納器1の平面図。
図4】 包丁収納器1の本体正面3gの立面図。
図5】 包丁収納器1から包丁類20を取出すことを保持部材60が防いだ状態を示す包丁収納器1の本体正面3gの立面図。
図6】 柄保持部3e及び突起部3fを有する包丁収納器1の本体一面3jの立面図。
図7】 包丁収納器1内部の本体一面3j側に配設する包丁類支持部材10の立面図。
図8】 包丁収納器1内部の本体反対面3i側に配設する包丁類支持部材11の立面図。
図9】 保持部材60の両端周辺に取付部材60aを取付けた状態を示す立面図で、保持部材60及び取付部材60aともにそれぞれが左右回転自在であることを点線矢印で示す。
図10】 (a)は包丁収納器1の本体一面3jに形成されている突起部3fに取付部材60aによって保持部材60を取付けた状態を示す立面図。(b)は包丁収納器1の本体一面3jに形成されている一方の突起部3fから取付部材60aを取外して保持部材60を左側上方に90度回転さ、包丁類20を取り出せるようにした状態を示す立面図。
図11】 本体3の本体上底部3aによって形成された上側開口3bに取付ける上蓋70の斜視図であり、本体一面3j側中央部に向かって四方から低く傾斜する上蓋傾斜部70bが形成され、上蓋傾斜部70bの終端部が下方に凹んだ上蓋排水口70aが形成されている状態を示す。
図12】 本体3を受止める下受皿80の斜視図。
図13】 本発明の実施形態に係る包丁収納器1の本体3、上蓋70、下受皿80、下受皿上面凸部80d、下受皿下面小凸部80e及び下受皿下面大凸部80fの配置関係を説明するための概略拡大斜視図。
図14】 本発明の実施形態に係る包丁収納器1を上下に二つ重ねた状態を説明するための概略拡大斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施の形態については、以下、図に基づいて説明するが、本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。
【0020】
図1図2及び図6に示すように、包丁収納器1の本体一面3jには、本体上底部3aに単数又は複数の包丁類20の柄部20aを安定的に保持するための切込である柄保持部3eを形成するとともに、図1図3図4及び図5に示すように、前記包丁収納器1の内部には、前記包丁類20の峰部20dを支点支持するための切込である峰支持部10a、11aを有する図7及び図8に示す包丁類支持部材10、11を配設して、図1図4及び図5に示すように、前記包丁類20の刃部20bが上向きで、刃先20cが柄部20aより低く傾斜する姿勢で前記包丁類20の刃先20cから柄部20aの一部までを前記包丁収納器1内部に収納し、本体一面3jには、図1図3図5図6図10(a)及び図10(b)に示すように、突起部3fを形成し、前記突起部3fには、図1図5図10(a)及び図10(b)に示すように、前記包丁類20の刃部20bを前記包丁収納器1の内部に安全に保持するための図9に示す保持部材60を有して構成されており、図1及び図5には、取付部材60aによって保持部材60を本体3に取付けて、包丁収納器1から包丁類20を取出すことを防いだ状態を示している。
【0021】
前記保持部材60は、図9及び図10(b)に示すように、本体一面3jに形成されている突起部3fに取付けられている保持部材60の少なくとも一端は、突起部3fを中心に左右回転自在に保持されており、かつ、図9図10(a)及び図10(b)に示すように、保持部材60の他方の一端には、他方の突起部3fに容易に取付け取外し可能な機能を有する取付部材60aを備えていることから、図1及び図5に示すように、取付部材60aを他方の突起部3fに取付けて包丁類20の刃部20bを包丁収納器1の内部に固定的に保持したり、あるいは、図10(b)に示すように、他方の突起部3fに取付けてある取付部材60aを取外して保持部材60を左又は右上方へ回転させることによって包丁類20の保持を解除し、包丁収納器1から包丁類20を取り出せるようにしたりと、簡単な操作によって前記包丁類20を安全に管理することができる機能を有する構成としている。
【0022】
図9図10(a)及び図10(b)には、保持部材60の両端周辺に取付部材60aを備えている状態を示しているが、取付部材60aを備えるのは保持部材60の一方の端周辺だけでもよく、その場合、保持部材60の他方は、本体一面3jの突起部3fに左右回転可能に保持された状態で固定的に取付けてもよい。
【0023】
図6図10(a)及び図10(b)に示すように、本体一面3jの本体上底部3aに形成する前記包丁類20の柄部20aを安定的に保持するための柄保持部3eは、柄保持部3eの切込最深部から本体底面部3cまでの寸法h1を4~5cm程度に形成するとともに、柄保持部3eの開口幅W4は、下記の式(1)に示すように、図3に示す包丁類20の柄部20aの一般的な横幅W1より若干広めの2~2.5cm程度に形成した構造としている。
なお、柄保持部3eの形成数は、これに限定されるものではない。
W4>W1・・・・・・・・・・式(1)
【0024】
図6には本体一面3j、図7には包丁類支持部材10、図8には包丁類支持部材11を示している。
前記包丁類支持部材10、11の下底部10c、11cから上底部10b、11bまでの寸法H2、H3は、包丁収納器1から包丁類20の出し入れを行う際に刃部20bが上蓋70との接触を避けるため、図1図4及び備5に示すように、前記本体一面3jの本体底面部3cから本体上底部3aまでの寸法H1より3~4cm程度小さく形成した構造とし、その関係は、下記の式(2)に示している。
H1>H2≧H3・・・・・・・式(2)
【0025】
本体一面3j側に配設する一方の図7に示す包丁類支持部材10に設ける峰支持部10aの開口幅W2は、包丁類20の柄部20aがそれ以上包丁収納器1の内部に入ることを防止するため、図3に示すように、包丁類20の柄部20aの一般的な横幅W1より狭く形成されている構造とし、その関係は、下記の式(3)に示している。
W1>W2・・・・・・・・・・式(3)
【0026】
図1図6図8に示すように、本体一面3j側に配設する一方の包丁類支持部材10に設ける峰支持部10aの開口部は、開口最深部から下底部10cまでの寸法h2を3~4cm程度、上側開口幅W2を6~7mm程度、下側開口幅を一般的な包丁類20の峰厚より若干広い4~5mm程度に形成するとともに、他方の包丁類支持部材11に設ける峰支持部11aの開口部は、開口最深部から下底部11cまでの寸法h3を1~2cm程度、上側開口幅W3を6~7mm程度、下側開口幅を3~4mm程度に形成した構造とし、前記包丁類支持部材10、11の開口最深部から前記下底部10c、11cまでの寸法h2、h3と前述の本体一面3jに形成する柄保持部3eの切込最深部から本体底面部3cまでの寸法h1との関係は、前記包丁類20の刃先20cが柄部20aより低く傾斜した姿勢で前記包丁収納器1の内部に安定的に収納できるようにするため、下記の式(4)に示すとおりであり、また、前記包丁類支持部材10、11の上側開口幅W2、W3と前述の柄保持部3eの開口幅W4及び図3に示す包丁類20の柄部20aの一般的な横幅W1との関係を下記の式(5)に示す。
h1>h2>h3・・・・・・・式(4)
W4>W1>W2≧W3・・・・式(5)
【0027】
図1及び図2に示すように、包丁収納器1は、本体上底部3aによって形成された上側開口3bを有し、上側開口3bには、図1に示すように、前記包丁収納器1の内部に収納されている前記包丁類20の刃先20cから柄部20aの一部までを上側から覆うとともに、前記柄部20aの一部から前記本体一面3jに形成されている前記柄保持部3eの上方までが開口となるように形成されている図11に示す上蓋70を取付けて構成されており、前記上蓋70は、前記包丁収納器1を構成する本体3の上側開口3bに被せてはめ込むことができる構造及びサイズに形成するとともに、図1に示すように、本体一面3j側より3~4cm程度短く形成した構造としている。
【0028】
図1に示すように、上蓋70を本体一面3j側より短く形成した構造とすることによって、包丁収納器1から包丁類20を手前斜め上方に取出したり、あるいは、真っすぐ手前側に引抜いたりと、刃部20bが何ら他の物体に接触することなく包丁類20の出し入れが容易にでき、包丁収納器1の使い勝手を向上させることができるとともに、包丁類20の刃部20bを傷みにくく保つことができる。
【0029】
包丁類支持部材10、11に設けた峰支持部10a、11aが包丁類20の峰部20dを確実に支点支持し、図1図4及び図5に示すように、包丁類20の刃先20cが柄部20aより3~4cm程度低く傾斜した姿勢で包丁収納器1の内部に収納されるとともに、前記包丁類20の刃部20bが上向きで、刃先20cが柄部20aより低くなる姿勢で包丁類20の刃先20cから柄部20aの一部までを包丁収納器1の内部に安全に収納し、安定的に保管することができる構造となることから、前記包丁類20の刃部20bや刃先20cからの水切れが確実に良くなり、包丁類20を錆びにくい状態に保つことができるとともに、前述の上蓋70を本体一面3j側より短く形成した構造とすることの効果と併せて、包丁類20の包丁収納器からの出し入れが手前斜め上方からでも容易にでき、包丁収納器1の使い勝手を向上させることができ、包丁類の刃部を傷みにくく保つことができる。
【0030】
前述のように、包丁収納器1の内部には、図7及び図8に示す前記包丁類20の峰部20dを支店支持するための峰支持部10a、11aを有する包丁類支持部材10、11を配設して構成されているが、柄保持部3eと包丁類支持部材10若しくは包丁類支持部材11の2点支持で包丁類20が安定的に包丁収納器1の内部に収納される構造とした場合は、一方の包丁類支持部材10若しくは包丁類支持部材11は配設しなくてもよく、また、包丁類支持部材10、11に設ける峰支持部10a、11aの形成数は、これに限定されるものではなく、柄保持部3eの形成数に合わせたものとする。
【0031】
図1図5に示すように、包丁収納器1の本体正面3gの内面及び本体裏面3hの内面には、包丁類支持部材10、11を上方から差込んで配設するためのガイド3dが両側面対称に形成されている。
なお、ガイド3dの形成数は、前述の包丁類支持部材10、11の配設数に応じることから、固定的ではなく、また、包丁類支持部材10、11を本体3と一体形成した場合は、ガイド3dを形成する必要はない。
【0032】
図1図2図6図10(a)及び図10(b)に示すように、包丁収納器1の本体一面3j下部中央部に開口高1cm程度、開口横幅1.5~2cm程度の開口部である本体排水開口31を形成すると、包丁収納器1の内部から水滴等を外部へ排出することができ、より衛生的な包丁収納器1となる。
なお、本体3を格子状や網目状等のくり抜きを形成した構造とした場合、本体排水開口31を形成する必要はない。
【0033】
図1図7及び図8に示すように、包丁類支持部材10、11の下底部10c、11cに凹部10d、11dが形成されていることから、包丁類支持部材10、11の下底部10c、11cと包丁収納器1の本体底面部3cとの間に間隙が生じ、包丁収納器1の内部からの排水路を確保することができる構造となる。
包丁類支持部材10、11の下底部10c、11cから凹部10d、11dの開口高寸法を3~5mm程度、開口横幅は1~2cm程度に形成されているが、特に凹部10d、11dは形成せず、平坦な構造としてもよし、本体3を格子状や網目状等のくり抜きを形成した構造とした場合、包丁類支持部材10、11の下底部10c、11cに凹部10d、11dを形成する必要はない。
【0034】
図11の放射状2点波線で示すように、上蓋70の上表面の排水を促すため、上蓋70の本体一面3j側中央部に向かって四方から低く傾斜する上蓋傾斜部70bが形成され、上蓋傾斜部70bの終端部には、下方に2~3mm程度凹んだ上蓋排水口70aが形成されている。
なお、上蓋傾斜部70b及び上蓋排水口70aを形成せず、平坦な構造としてもよいが、好ましくは、上記のようにすると、上蓋70の上表面からの排水が促進され、上蓋70の上部を乾燥した状態で有効に活用することができる。
【0035】
図1図12及び図13に示すように、下受皿80の下受皿底面部80bの四側面それぞれには、下受皿底面部80bより上方向に6~7mm程度の高さで、包丁収納器1を構成する本体3の本体底面部3cをはめ込んで受止めることができる程度のサイズに形成された下受皿立面部80cを有する構造とする。
そうすることによって、下受皿80が包丁収納器1を構成する本体3の本体底面部3cを確実に受け止め、安定的な包丁収納器1とすることができる。
なお、下受皿80の下受皿底面部80bに下受皿立面部80cを形成するのは、図1及び図12に示すように、下受皿底面部80bの四側面それぞれの全部に限定されるものではなく、四側面それぞれの一部だけに形成してもよい。
【0036】
図1及び図12に示すように、下受皿80の長手方向中央部の一方には、水滴に濡れた状態で前記包丁類20を前記包丁収納器1の内部に収納した場合でも、外部への排水を促して前記包丁収納器1の内部の乾燥を促進することを目的とした下受皿排水口80aが形成されている。
【0037】
包丁収納器1を構成する本体3及び包丁類支持部材10、11には、格子状や網目状等のくり抜きを形成した構造とすることが好ましい。
そうすることによって、包丁収納器1の内部からの排水や包丁収納器1そのものの乾燥性をよくすることができ、包丁収納器1を常に衛生的に管理することができる。
【0038】
図1図12及び図13に示すように、下受皿80の下受皿底面部80bの上面四隅付近には、縦横寸法4~5mm程度、高さ3~4mm程度に形成された下受皿上面凸部80dを有する構造とする。
そうすることによって、包丁収納器1を構成する本体3の本体底面部3cの下面と下受皿80の下受皿底面部80bの上面との間に間隙が生じ、前述の本体3及び包丁類支持部材10、11に格子状や網目状等のくり抜きを形成することと併せて、水滴に濡れた状態の包丁類20を包丁収納器1の内部に収納した場合でも、外部への排水が促進される。
【0039】
図1図12及び図13に示すように、下受皿80に設ける下受皿排水口80a側の下受皿底面部80bの下面二隅付近には、縦横寸法4~5mm程度、高さ3~4mm程度に形成された下受皿下面小凸部80eを有し、下受皿排水口80aの長手方向反対側の下受皿底面部80bの下面二隅付近には、縦横寸法4~5mm程度、高さ6~7mm程度に形成された下受皿下面大凸部80fを有する構造とする。
そうすることによって、水滴に濡れた状態の包丁類20を包丁収納器1の内部に収納した場合でも、調理台等に載置してある包丁収納器1に傾斜が付き、前述の下受皿排水口80aと相まって、キッチンシンク等への排水を促進させることができるようになる。
なお、下受皿下面小凸部80e及び下受皿下面大凸部80fは、ともに形成しなくてもよいが、好ましくは、上記のようにすると、載置している包丁収納器1に傾斜を付けることができることと併せて、包丁収納器1の下側を乾燥状態に保つことができる。
【0040】
前述の下受皿下面小凸部80e及び下受皿下面大凸部80fは、図13及び図14に示すように、下受皿下面小凸部80e及び下受皿下面大凸部80fの外側に本体内面3kをはめ込んで収まる程度の下受皿底面部80bの下面の位置に設けた構造とする。
【0041】
本発明の包丁収納器1を構成する下受皿80の下受皿底面部80bの下面には、前述のように、下受皿下面小凸部80e及び前記下受皿下面大凸部80fを設けていることから、図14に示すように、下側になる包丁収納器1の本体内面3kを上側の包丁収納器1に取付けてある下受皿80の下受皿底面部80bの下面に設けた下受皿下面小凸部80e及び前記下受皿下面大凸部80fの外側にはめ込むようにすることによって、包丁収納器1を上下に重ねてその機能を損なうことなく使用することが可能である。
なお、その場合は、下側に配設する包丁収納器1の本体底面部3cから本体上底部3aまでの寸法H1を通常の高さより若干高めに形成することによって、下側の包丁収納器1から包丁類20の出し入れをする際、包丁類20の刃部20bが上側の包丁収納器1に取付けてある下受皿80の下受皿底面部80bの下面への接触がしにくくなり、包丁類20の出し入れが一層容易にできるようになる。
【0042】
包丁収納器1を構成する本体3、包丁類支持部材10、11、保持部材60、取付部材60a、上蓋70及び下受皿80は、耐熱性の素材で製作したほうが好ましい。
そうすることによって、包丁類20を収納したままの状態で包丁収納器1を食器洗浄器等で洗浄し、乾燥することができることから、包丁類20及び包丁収納器1を常に衛生的な状態で管理することができるが、必ずしも耐熱性の素材に限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0043】
以上のように、本発明に係る包丁収納器は、単数又は複数の包丁類の刃部が上向きで、刃先が柄部より低く傾斜する姿勢で安全に収納し、安定的に保管することが可能な包丁収納器であることから、包丁類の刃部から刃先までを錆びにくく保管し、かつ、包丁類そのものを腐食から守って傷みにくく保つことができるとともに、刃部が他の物体に接触することなく包丁類の出し入れが手前斜め上方からでも容易にできることから、使い勝手のよい包丁収納器である。
また、保持部材を機能させることによって、幼児等からも包丁類を安全に管理することができるとともに、包丁収納器に収納してある包丁類が落下することを防止する機能が保持部材によって働くことから、一層包丁類を安全に管理することができることとなる。
さらには、当該包丁収納器は、設置場所をキッチン内の配置状況に応じて自由に移動させることができる包丁収納器であるとともに、上蓋を取付けることによって、その上部を安全なものとしたり、同一包丁収納器を複数台上下に重ねてその機能を損なうことなく使用したりすることが可能な包丁収納器であることから、一般家庭はもとより、数多くの包丁類を常時取扱う飲食店等においても、包丁類の保管場所節減等からも有用な包丁収納器であることから、幅広い利用が期待できる。
また、当該包丁収納器は、包丁類を収納したままの状態で包丁収納器を食器洗浄器等で容易に洗浄し、乾燥することができることから、包丁類及び包丁収納器を常に衛生的な状態で管理することができることとなり、産業上利用の可能性は極めて大であることが期待できる。
【符号の説明】
【0044】
1 包丁収納器
3 本体
3a 本体上底部
3b 上側開口
3c 本体底面部
3d ガイド
3e 柄保持部
3f 突起部
3g 本体正面
3h 本体裏面
3i 本体反対面
3j 本体一面
3k 本体内面
3l 本体排水開口
10 包丁類支持部材
10a 峰支持部
10b 上底部
10c 下底部
10d 凹部
11 包丁類支持部材
11a 峰支持部
11b 上底部
11c 下底部
11d 凹部
20 包丁類
20a 柄部
20b 刃部
20c 刃先
20d 峰部
60 保持部材
60a 取付部材
70 上蓋
70a 上蓋排水口
70b 上蓋傾斜部
80 下受皿
80a 下受皿排水口
80b 下受皿底面部
80c 下受皿立面部
80d 下受皿上面凸部
80e 下受皿下面小凸部
80f 下受皿下面大凸部
【要約】
【課題】 単数又は複数の包丁類の刃部が上向きで、刃先が柄部より低く傾斜する姿勢で安全に収納・保管するとともに、保持部材を機能させることによって、幼児等からも包丁類を安全に管理し、包丁類の落下防止が機能する包丁収納器を提供する。また、設置場所をキッチン内の配置状況に応じて自由に移動させることができ、同一包丁収納器を複数台上下に重ねることができる包丁収納器を提供する。さらには、包丁類を収納したままの状態で食器洗浄器等で洗浄することができる包丁収納器を提供する。
【解決手段】 柄保持部3eを形成する本体一面3jに保持部材60を有し、上側開口3bを覆う上蓋70、本体3の内部には包丁類支持部材10、11を配設して、単数又は複数の包丁類20の刃部20bが上向きで、刃先20cが柄部20aより低く傾斜する姿勢で安全に収納することができる。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14