(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】支持具
(51)【国際特許分類】
A01M 29/30 20110101AFI20220112BHJP
【FI】
A01M29/30
(21)【出願番号】P 2021173513
(22)【出願日】2021-10-22
【審査請求日】2021-10-28
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和3年度、国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構生物系特定産業技術研究支援センター、「イノベーション創出強化研究推進事業」委託研究、産業技術力強化法第17条の適用を受ける特許出願
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】596009788
【氏名又は名称】株式会社末松電子製作所
(73)【特許権者】
【識別番号】594156880
【氏名又は名称】三重県
(73)【特許権者】
【識別番号】513099603
【氏名又は名称】兵庫県公立大学法人
(74)【代理人】
【識別番号】100114627
【氏名又は名称】有吉 修一朗
(74)【代理人】
【識別番号】100182501
【氏名又は名称】森田 靖之
(74)【代理人】
【識別番号】100175271
【氏名又は名称】筒井 宣圭
(74)【代理人】
【識別番号】100190975
【氏名又は名称】遠藤 聡子
(72)【発明者】
【氏名】末松 謙一
(72)【発明者】
【氏名】宇佐美 二朗
(72)【発明者】
【氏名】本村 有貴秀
(72)【発明者】
【氏名】鬼頭 敦史
(72)【発明者】
【氏名】中西 由希政
(72)【発明者】
【氏名】山端 直人
【審査官】田辺 義拓
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3180547(JP,U)
【文献】特開2002-272355(JP,A)
【文献】特許第4969613(JP,B2)
【文献】特開2019-080519(JP,A)
【文献】特開2014-090680(JP,A)
【文献】国際公開第2020/091609(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/188044(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01M29/00-29/34
A01K 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向へ延びた第1の線状体を有する長手部と、
該長手部の前記第1の線状体の一端に接続されており、被支持物を支持可能な支持部と、
前記長手部の前記第1の線状体の一端とは反対側の他端から延びた第2の線状体を有し、同第2の線状体には、同長手部に連接されていると共に同第1の線状体の一端から他端へ向かう方向へ凸状に湾曲した第1の湾曲領域と、該第1の湾曲領域に連接されており、同第1の湾曲領域が位置する第1の仮想平面と交差して延びた第2の仮想平面に位置しており、かつ、同第1の線状体の他端から一端へ向かう方向と同じ方向へ凸状に湾曲した第2の湾曲領域と、該第2の湾曲領域に連接されており、同第2の仮想平面と交差して延びた第3の仮想平面に位置しており、同第1の線状体の一端から他端へ向かう方向と同じ方向へ凸状に湾曲した第3の湾曲領域と、該第3の湾曲領域に連接されており、同第1の仮想平面と交差して延びた第4の仮想平面に位置しており、同第1の線状体の他端から一端へ向かう方向と同じ方向へ凸状に湾曲した第4の湾曲領域とが形成されており、同第1の湾曲領域と同第3の湾曲領域とを結ぶ第1の仮想直線と、同第2の湾曲領域と同第4の湾曲領域とを結ぶ第2の仮想直線とが交差または立体交差する、引掛部とを備える
支持具。
【請求項2】
前記第3の湾曲領域と前記第4の湾曲領域は、前記第2の線状体に形成された直線領域を介して互いに連接されており、同直線領域は、前記長手部の前記第1の線状体が延びた方向と同じ方向に対し同第1の線状体の一端から他端へ向かう方向と同じ方向へ傾斜して略直線状に所定の長さほど延びた
請求項1に記載の支持具。
【請求項3】
長手方向へ延びた第1の線状体を有する長手部と、
該長手部の前記第1の線状体の一端に接続されており、被支持物を支持可能な支持部と、
前記長手部の前記第1の線状体の一端とは反対側の他端から延びた第2の線状体を有し、同第2の線状体には、同長手部に連接されていると共に同第1の線状体の他端から一端へ向かう方向と同じ方向へ凸状に湾曲した第1の湾曲領域と、該第1の湾曲領域に連接されており、同第1の湾曲領域が位置する第1の仮想平面と交差して延びた第2の仮想平面に位置しており、かつ、同第1の線状体の一端から他端へ向かう方向と同じ方向へ凸状に湾曲した第2の湾曲領域と、該第2の湾曲領域に連接されており、同第2の仮想平面と交差して延びた第3の仮想平面に位置しており、同第1の線状体の他端から一端へ向かう方向と同じ方向へ凸状に湾曲した第3の湾曲領域と、該第3の湾曲領域に連接されており、同第1の仮想平面と交差して延びた第4の仮想平面に位置しており、同第1の線状体の一端から他端へ向かう方向と同じ方向へ凸状に湾曲した第4の湾曲領域とが形成されており、同第1の湾曲領域と同第3の湾曲領域とを結ぶ第1の仮想直線と、同第2の湾曲領域と同第4の湾曲領域とを結ぶ第2の仮想直線とが交差または立体交差する、引掛部とを備える
支持具。
【請求項4】
前記第3の湾曲領域と前記第4の湾曲領域は、前記第2の線状体に形成された直線領域を介して互いに連接されており、同直線領域は、前記長手部の前記第1の線状体が延びた方向と同じ方向に対し同第1の線状体の他端から一端へ向かう方向と同じ方向へ傾斜して略直線状に所定の長さほど延びた
請求項3に記載の支持具。
【請求項5】
前記引掛部の前記第2の線状体には、前記第4の湾曲領域に連接された第5の湾曲領域が形成されており、前記第4の仮想平面に対して略直交する方向へ延びていると共に前記第1の仮想平面または前記第3の仮想平面と交差して延びた第5の仮想平面に同第5の湾曲領域は位置しており、かつ、同第2の線状体の先端が前記第2の湾曲領域と同第4の湾曲領域とを結ぶ前記第2の仮想直線上に位置するように同第5の湾曲領域は湾曲した
請求項2または請求項4に記載の支持具。
【請求項6】
前記第2の湾曲領域は、前記長手部の前記第1の線状体が延びた方向と同じ方向に対して傾斜して位置する
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4または請求項5に記載の支持具。
【請求項7】
前記第4の湾曲領域は、前記長手部の前記第1の線状体が延びた方向と同じ方向に対して略平行に位置する
請求項1、請求項2、請求項3、請求項4、請求項5または請求項6に記載の支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は支持具に関する。詳しくは、例えばワイヤーメッシュフェンスに取付けられると共に例えば電線を支持する支持具に係るものである。
【背景技術】
【0002】
農作物などを害獣例えばイノシシや鹿から守るために、農作物などの周囲に柵を設置することが行われている。
このような柵として、メッシュフェンスなどの格子状の柵が設置されている。
【0003】
メッシュフェンスは、支えとなる支柱の一部を地面に打ち込み、支柱の露出した部分にメッシュ状のフェンス本体を取付けるだけで設置できるため、その設置の手軽さから農園など土壌が露出した場所において広く使用されている。
そして、メッシュフェンスに関して様々な技術が提案されている。
【0004】
例えば特許文献1には、
図10に示すようなワイヤーメッシュフェンスが記載されている。
すなわち、特許文献1に記載のワイヤーメッシュフェンス131は、横方向へ延びて配設されたワイヤーから成る複数本の横格子132と、縦方向へ延びて配設されたワイヤーから成る複数本の縦格子133とを備える。
【0005】
また、横格子132は、縦方向全幅に及んで同一ピッチ例えば150mmのピッチで平行に配設されている。
【0006】
一方、縦格子133は、縦方向下段部134において、横格子132の略1/2ピッチ例えば75mmのピッチで平行に配設されている。また、縦格子133は、縦方向下段部134を越えて縦方向上端まで延びる縦方向上段部135において、横格子132と略同一ピッチ例えば150mmのピッチで平行に配設されている。
【0007】
従って、縦方向上段部135の格子目138は、ピッチが縦横それぞれ例えば150mmに形成され、例えば鹿が通り抜けようとする力で横格子132または縦格子133が多少変形しても、鹿が通り抜けできない寸法に形成されている。
【0008】
また、縦方向下段部134の格子目136は、縦のピッチが例えば150mm、横のピッチが例えば75mmとなるように形成されている。格子目136の横のピッチが格子目138の横のピッチの略1/2の大きさとなり、例えば鹿が通り抜けようとする力で横格子132または縦格子133が多少変形しても、成体のイノシシや鹿は勿論のこと、ウリボウが通り抜けできない寸法に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載のワイヤーメッシュフェンスにおいては、横格子や縦格子が多少変形したり損傷したりすることを前提としており、変形したり損傷したりすることで横格子や縦格子が劣化し易くなり、その結果、頻繁にワイヤーメッシュフェンスを取り替えなければならないという問題が発生する。
そこで、イノシシや鹿をそもそもワイヤーメッシュフェンスに接触させないようにできる技術が求められていた。
【0011】
本発明は、以上の点に鑑みて創案されたものであり、柵に害獣を接触させないようにすることができる支持具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の目的を達成するために、本発明の支持具は、長手方向へ延びた第1の線状体を有する長手部と、該長手部の前記第1の線状体の一端に接続されており、被支持物を支持可能な支持部と、前記長手部の前記第1の線状体の一端とは反対側の他端から延びた第2の線状体を有し、同第2の線状体には、同長手部に連接されていると共に同第1の線状体の一端から他端へ向かう方向へ凸状に湾曲した第1の湾曲領域と、該第1の湾曲領域に連接されており、同第1の湾曲領域が位置する第1の仮想平面と交差して延びた第2の仮想平面に位置しており、かつ、同第1の線状体の他端から一端へ向かう方向と同じ方向へ凸状に湾曲した第2の湾曲領域と、該第2の湾曲領域に連接されており、同第2の仮想平面と交差して延びた第3の仮想平面に位置しており、同第1の線状体の一端から他端へ向かう方向と同じ方向へ凸状に湾曲した第3の湾曲領域と、該第3の湾曲領域に連接されており、同第1の仮想平面と交差して延びた第4の仮想平面に位置しており、同第1の線状体の他端から一端へ向かう方向と同じ方向へ凸状に湾曲した第4の湾曲領域とが形成されており、同第1の湾曲領域と同第3の湾曲領域とを結ぶ第1の仮想直線と、同第2の湾曲領域と同第4の湾曲領域とを結ぶ第2の仮想直線とが交差または立体交差する、引掛部とを備える。
【0013】
ここで、湾曲した、第1の湾曲領域と第2の湾曲領域と第3の湾曲領域と第4の湾曲領域とが形成された第2の線状体を有する引掛部によって、第2の線状体を格子状の柵の縦部材や横部材に引掛けることができたり、第2の線状体の引掛けを解除できたりする。
【0014】
また、第1の線状体の一端から他端へ向かう方向へ凸状に湾曲した第1の湾曲領域と第1の線状体の一端から他端へ向かう方向と同じ方向へ凸状に湾曲した第3の湾曲領域とを結ぶ第1の仮想直線と、第1の線状体の他端から一端へ向かう方向と同じ方向へ凸状に湾曲した第2の湾曲領域と第1の線状体の他端から一端へ向かう方向と同じ方向へ凸状に湾曲した第4の湾曲領域とを結ぶ第2の仮想直線とが交差または立体交差するので、第1の湾曲領域及び第3の湾曲領域が、縦部材と横部材の交点を挟んで互いに同一の縦部材に接触する場合、第2の湾曲領域及び第4の湾曲領域が、縦部材と横部材の同じ交点を挟んで互いに同一の横部材に接触することができる。
また、第1の湾曲領域と第3の湾曲領域とを結ぶ第1の仮想直線と、第2の湾曲領域と第4の湾曲領域とを結ぶ第2の仮想直線とが交差または立体交差するので、第1の湾曲領域及び第3の湾曲領域が、縦部材と横部材の交点を挟んで互いに同一の横部材に接触する場合、第2の湾曲領域及び第4の湾曲領域が、縦部材と横部材の同じ交点を挟んで互いに同一の縦部材に接触することができる。
従って、本発明の支持具を格子状の柵に取付けたときに、安定させることができる。
【0015】
また、第1の湾曲領域と第3の湾曲領域とを結ぶ第1の仮想直線と、第2の湾曲領域と第4の湾曲領域とを結ぶ第2の仮想直線とが交差または立体交差しており、第2の線状体の第1の湾曲領域が長手部に連接されているので、設置された格子状の柵に本発明の支持具が取付けられたときに、鉛直方向以外の方向へ、すなわち柵を境にした両側の空間へ、長手部の第1の線状体が柵から延びた状態とすることができる。
【0016】
そして、長手方向へ延びた第1の線状体を有する長手部と、長手部の第1の線状体の一端に接続されており、被支持物を支持可能な支持部と、長手部の第1の線状体の一端とは反対側の他端から延びた第2の線状体を有する引掛部とによって、第1の線状体の長手方向の長さほど引掛部から離れた位置において被支持物を支持できる。
【0017】
また、本発明の支持具において、第3の湾曲領域と第4の湾曲領域は、第2の線状体に形成された直線領域を介して互いに連接されており、直線領域は、長手部の第1の線状体が延びた方向と同じ方向に対し第1の線状体の一端から他端へ向かう方向と同じ方向へ傾斜して略直線状に所定の長さほど延びた構成とすることができる。
【0018】
この場合、直線領域の長さが長いほど第2の線状体が撓り易くなるので、第4の湾曲領域を柵の縦部材または横部材に押し当てたり縦部材または横部材から離したりし易い。その結果、本発明の支持具を柵に取付け易いと共に柵から取外し易くなる。
【0019】
また、本発明の支持具が格子状の柵に取付けられたときに、直線領域が傾斜した状態へ戻ろうとする付勢力が発生して第4の湾曲領域が柵の縦部材または横部材を強く押し、本発明の支持具を柵に強固に取付けることができる。
ここで、「所定の長さ」とは、柵の縦部材と横部材の一の交点と他の交点の間の長さよりも短い長さである。
【0020】
また、上記の目的を達成するために、本発明の支持具は、長手方向へ延びた第1の線状体を有する長手部と、該長手部の前記第1の線状体の一端に接続されており、被支持物を支持可能な支持部と、前記長手部の前記第1の線状体の一端とは反対側の他端から延びた第2の線状体を有し、同第2の線状体には、同長手部に連接されていると共に同第1の線状体の他端から一端へ向かう方向と同じ方向へ凸状に湾曲した第1の湾曲領域と、該第1の湾曲領域に連接されており、同第1の湾曲領域が位置する第1の仮想平面と交差して延びた第2の仮想平面に位置しており、かつ、同第1の線状体の一端から他端へ向かう方向と同じ方向へ凸状に湾曲した第2の湾曲領域と、該第2の湾曲領域に連接されており、同第2の仮想平面と交差して延びた第3の仮想平面に位置しており、同第1の線状体の他端から一端へ向かう方向と同じ方向へ凸状に湾曲した第3の湾曲領域と、該第3の湾曲領域に連接されており、同第1の仮想平面と交差して延びた第4の仮想平面に位置しており、同第1の線状体の一端から他端へ向かう方向と同じ方向へ凸状に湾曲した第4の湾曲領域とが形成されており、同第1の湾曲領域と同第3の湾曲領域とを結ぶ第1の仮想直線と、同第2の湾曲領域と同第4の湾曲領域とを結ぶ第2の仮想直線とが交差または立体交差する、引掛部とを備える。
【0021】
ここで、湾曲した、第1の湾曲領域と第2の湾曲領域と第3の湾曲領域と第4の湾曲領域とが形成された第2の線状体を有する引掛部によって、第2の線状体の格子状の柵の縦部材や横部材に引掛けることができたり、第2の線状体の引掛けを解除できたりする。
【0022】
また、第1の線状体の他端から一端へ向かう方向と同じ方向へ凸状に湾曲した第1の湾曲領域と第1の線状体の他端から一端へ向かう方向と同じ方向へ凸状に湾曲した第3の湾曲領域とを結ぶ第1の仮想直線と、第1の線状体の一端から他端へ向かう方向と同じ方向へ凸状に湾曲した第2の湾曲領域と第1の線状体の一端から他端へ向かう方向と同じ方向へ凸状に湾曲した第4の湾曲領域とを結ぶ第2の仮想直線とが交差または立体交差するので、第1の湾曲領域及び第3の湾曲領域が、縦部材と横部材の交点を挟んで互いに同一の縦部材に接触する場合、第2の湾曲領域及び第4の湾曲領域が、縦部材と横部材の同じ交点を挟んで互いに同一の横部材に接触することができる。
また、第1の湾曲領域と第3の湾曲領域とを結ぶ第1の仮想直線と、第2の湾曲領域と第4の湾曲領域とを結ぶ第2の仮想直線とが交差または立体交差するので、第1の湾曲領域及び第3の湾曲領域が、縦部材と横部材の交点を挟んで互いに同一の横部材に接触する場合、第2の湾曲領域及び第4の湾曲領域が、縦部材と横部材の同じ交点を挟んで互いに同一の縦部材に接触することができる。
従って、本発明の支持具を格子状の柵に取付けたときに、安定させることができる。
【0023】
また、第1の湾曲領域と第3の湾曲領域とを結ぶ第1の仮想直線と、第2の湾曲領域と第4の湾曲領域とを結ぶ第2の仮想直線とが交差または立体交差しており、第2の線状体の第1の湾曲領域が長手部に連接されているので、設置された格子状の柵に本発明の支持具が取付けられたときに、鉛直方向以外の方向へ、すなわち柵を境にした両側の空間へ、長手部の第1の線状体が柵から延びた状態とすることができる。
【0024】
そして、長手方向へ延びた第1の線状体を有する長手部と、長手部の第1の線状体の一端に接続されており、被支持物を支持可能な支持部と、長手部の第1の線状体の一端とは反対側の他端から延びた第2の線状体を有する引掛部とによって、第1の線状体の長手方向の長さほど引掛部から離れた位置において被支持物を支持できる。
【0025】
また、本発明の支持具において、第3の湾曲領域と第4の湾曲領域は、第2の線状体に形成された直線領域を介して互いに連接されており、直線領域は、長手部の第1の線状体が延びた方向と同じ方向に対し第1の線状体の他端から一端へ向かう方向と同じ方向へ傾斜して略直線状に所定の長さほど延びた構成とすることができる。
【0026】
この場合、直線領域の長さが長いほど第2の線状体が撓り易くなるので、第4の湾曲領域を柵の縦部材または横部材に押し当てたり縦部材または横部材から離したりし易い。その結果、本発明の支持具を柵に取付け易いと共に柵から取外し易くなる。
【0027】
また、本発明の支持具が格子状の柵に取付けられたときに、直線領域が傾斜した状態へ戻ろうとする付勢力が発生して第4の湾曲領域が柵の縦部材または横部材を強く押し、本発明の支持具を柵に強固に取付けることができる。
ここで、「所定の長さ」とは、柵の縦部材と横部材の一の交点と他の交点の間の長さよりも短い長さである。
【0028】
また、本発明の支持具において、引掛部の第2の線状体には、第4の湾曲領域に連接された第5の湾曲領域が形成されており、第4の仮想平面に対して略直交する方向へ延びていると共に第1の仮想平面または第3の仮想平面と交差して延びた第5の仮想平面に第5の湾曲領域は位置しており、かつ、第2の線状体の先端が第2の湾曲領域と第4の湾曲領域とを結ぶ第2の仮想直線上に位置するように第5の湾曲領域は湾曲した構成とすることができる。
【0029】
この場合、本発明の支持具を柵に取付けたり柵から取外したりするときに、第5の湾曲領域が位置する第5の仮想平面が被押圧面になるので、作業者の指に第2の線状体の先端が刺さらず、作業者へ痛みを与えない。
【0030】
また、第2の線状体の先端が第2の湾曲領域と第4の湾曲領域とを結ぶ第2の仮想直線上に位置するように第5の湾曲領域は湾曲していることによって、本発明の支持具を格子状の柵に取付けたり柵から取外したりするときに、第5の湾曲領域が邪魔にならない。
これは、直線領域と第4の湾曲領域が第2の線状体の先端の近くで鉤形に配置され、直線領域と第4の湾曲領域の両方が面する空間に第2の線状体の先端が位置しているからだと考えられる。
【0031】
また、本発明の支持具において、第2の湾曲領域は、長手部の第1の線状体が延びた方向と同じ方向に対して傾斜して位置する構成とすることができる。
【0032】
この場合、第2の湾曲領域が第1の線状体が延びた方向と同じ方向に対して略平行に位置する構成よりも、第2の線状体の第1の湾曲領域や第3の湾曲領域を、柵の径が大きい縦部材または横部材に引掛け易くすることができる。
これは、第1の湾曲領域と第3の湾曲領域それぞれの湾曲の曲率が小さくなるから、すなわち湾曲の度合いが緩くなるからだと考えられる。
【0033】
また、本発明の支持具において、第4の湾曲領域は、長手部の第1の線状体が延びた方向と同じ方向に対して略平行に位置する構成とすることができる。
【0034】
この場合、第4の湾曲領域が第1の線状体が延びた方向と同じ方向に対して傾斜して位置する構成よりも、第2の線状体が斜め方向へ延びていない分、第4の湾曲領域における第2の線状体の長さを短くできて第4の湾曲領域の押圧力が高まるので、第2の線状体の第4の湾曲領域を、柵の縦部材または横部材に強く押し当てることができる。
【0035】
また、上記の目的を達成するために、本発明の支持具は、長手方向へ延びた第1の線状体を有する長手部と、該長手部の前記第1の線状体の一端に接続されており、被支持物を支持可能な支持部と、前記長手部の前記第1の線状体の一端とは反対側の他端から延びた第2の線状体を有し、同第2の線状体には、湾曲した湾曲領域が形成された、引掛部とを備える。
【0036】
ここで、湾曲した湾曲領域が形成された第2の線状体を有する引掛部によって、第2の線状体を格子状の柵の縦部材や横部材に引掛けることができたり、第2の線状体の引掛けを解除できたりする。
【0037】
また、長手方向へ延びた第1の線状体を有する長手部と、長手部の前記第1の線状体の一端に接続されており、被支持物を支持可能な支持部と、長手部の第1の線状体の一端とは反対側の他端から延びた第2の線状体を有する引掛部とによって、第1の線状体の長手方向の長さほど引掛部から離れた位置において被支持物を支持できる。
【発明の効果】
【0038】
本発明に係る支持具は、柵に害獣を接触させないようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明を適用した第1の実施形態の電線支持具の一例を示す概略斜視図である。
【
図2】本発明を適用した第1の実施形態の電線支持具の第1~3の湾曲領域の概略部分拡大図(a)、及び本発明を適用した第1の実施形態の電線支持具の第4~5の湾曲領域の概略部分拡大図(b)である。
【
図3A】本発明を適用した第1の実施形態の電線支持具の概略正面図である。
【
図3B】本発明を適用した第1の実施形態の電線支持具の概略背面図である。
【
図3C】本発明を適用した第1の実施形態の電線支持具の概略左側面図である。
【
図3D】本発明を適用した第1の実施形態の電線支持具の概略右側面図である。
【
図3E】本発明を適用した第1の実施形態の電線支持具の概略平面図である。
【
図3F】本発明を適用した第1の実施形態の電線支持具の概略底面図である。
【
図4-1】本発明を適用した第1の実施形態の電線支持具をワイヤーメッシュフェンスに取付ける手順の一例を示す第1の工程図(a)及び第2の工程図(b)である。
【
図4-2】本発明を適用した第1の実施形態の電線支持具をワイヤーメッシュフェンスに取付ける手順の一例を示す第3の工程図(c)及び第4の工程図(d)である。
【
図4-3】本発明を適用した第1の実施形態の電線支持具をワイヤーメッシュフェンスに取付ける手順の一例を示す第5の工程図(e)及び第6の工程図(f)である。
【
図4-4】本発明を適用した第1の実施形態の電線支持具をワイヤーメッシュフェンスに取付ける手順の一例を示す第7の工程図(g)及び第8の工程図(h)である。
【
図5】本発明を適用した第1の実施形態の電線支持具が使用されている状態の一例を示す概略図である。
【
図6】本発明を適用した第2の実施形態の電線支持具の一例を示す概略斜視図である。
【
図7】本発明を適用した第2の実施形態の電線支持具の第1~3の湾曲領域の概略部分拡大図(a)、及び本発明を適用した第2の実施形態の電線支持具の第4~5の湾曲領域の概略部分拡大図(b)である。
【
図8-1】本発明を適用した第2の実施形態の電線支持具の概略正面図(a)及び本発明を適用した第2の実施形態の電線支持具の概略背面図(b)である。
【
図8-2】本発明を適用した第2の実施形態の電線支持具の概略平面図(a)及び本発明を適用した第2の実施形態の電線支持具の概略底面図(b)である。
【
図8-3】本発明を適用した第2の実施形態の電線支持具の概略左側面図(a)及び本発明を適用した第2の実施形態の電線支持具の概略右側面図(b)である。
【
図9-1】本発明を適用した第2の実施形態の電線支持具をワイヤーメッシュフェンスに取付ける手順の一例を示す第1の工程図(a)及び第2の工程図(b)である。
【
図9-2】本発明を適用した第2の実施形態の電線支持具をワイヤーメッシュフェンスに取付ける手順の一例を示す第3の工程図(c)及び第4の工程図(d)である。
【
図9-3】本発明を適用した第2の実施形態の電線支持具をワイヤーメッシュフェンスに取付ける手順の一例を示す第5の工程図(e)である。
【
図10】従来のワイヤーメッシュフェンスを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明し、本発明の理解に供する。
図1は、本発明を適用した第1の実施形態の電線支持具の一例を示す概略斜視図である。
また、
図2(a)は、本発明を適用した第1の実施形態の電線支持具の第1~3の湾曲領域の概略部分拡大図であり、
図2(b)は、本発明を適用した第1の実施形態の電線支持具の第4~5の湾曲領域の概略部分拡大図である。
【0041】
また、
図3Aは、本発明を適用した第1の実施形態の電線支持具の概略正面図であり、
図3Bは、本発明を適用した第1の実施形態の電線支持具の概略背面図であり、
図3Cは、本発明を適用した第1の実施形態の電線支持具の概略左側面図である。
また、
図3Dは、本発明を適用した第1の実施形態の電線支持具の概略右側面図であり、
図3Eは、本発明を適用した第1の実施形態の電線支持具の概略平面図であり、
図3Fは、本発明を適用した第1の実施形態の電線支持具の概略底面図である。
【0042】
図1に示す本発明の電線支持具10は、長手部20を備える。
ここで、長手部20は、長手方向へ延びた第1のステンレス線状体21を有する。
第1のステンレス線状体21は、ステンレス鋼で構成された線状体であり、その線径は例えば1.5mm~4.0mmである。
また、第1のステンレス線状体21は第1の線状体の一例であり、第1の線状体は、長手方向へ延びたものであれば必ずしもステンレス鋼で構成されていなくてもよく、例えば鉄で構成されていてもよい。
【0043】
また、本発明の電線支持具10は、電線支持部30を備える。
ここで、電線支持部30は、長手部20の第1のステンレス線状体21の一端に接続されている。
電線支持部30は、第1のステンレス線状体21が延びた方向すなわち長手部20の長手方向と同じ方向へ延びている。
また、長手部20の長手方向と同じ方向に対して略直交する方向における電線支持部30の断面形状は略円形である。
また、電線支持部30は、絶縁性を有する樹脂材料で構成されている。
【0044】
また、電線支持部30は、第1の支持突起31Aと第2の支持突起31Bとを有する。
ここで、第1のステンレス線状体21の一端に接続された電線支持部30の端部とは反対側から、電線支持部30が延びた方向と同じ方向へ、第1の支持突起31Aと第2の支持突起31Bとが突出している。
また、第1の支持突起31Aと第2の支持突起31Bは互いに離れている。
また、第1の支持突起31Aの先端と第2の支持突起31Bの先端は、長手部20の長手方向と同じ方向に対して略直交する方向へ平坦状に延びている。
【0045】
そして、電線支持部30は、第1の支持突起31Aと第2の支持突起31Bの間に配置された電線を支持可能である。
【0046】
また、電線支持部30には、電線支持部30の絶縁性を向上させるために長手部20の長手方向と同じ方向に対して略直交する方向へ貫通した複数の絶縁用穴32が形成されている。
また、電線支持部すなわち支持部は、被支持物を支持可能であれば、必ずしもこのように突起が設けられていなくてもよく、また、必ずしも絶縁用穴が形成されていなくてもよい。
【0047】
ここで、本発明の電線支持具10は、本発明の支持具の一例であり、電線支持部30は支持部の一例である。
例えば、本発明の支持具が備える支持部がロープを支持する場合は、本発明の支持具はロープ支持具であり、本発明の支持具が備える支持部はロープ支持部である。
すなわち、支持部は必ずしも電線を支持しなくてもよく、害獣にとって柵に近づく際に障害物と成り得る物であれば、支持部は例えば有刺鉄線やロープを支持することもできる。
【0048】
しかし、電線を支持した本発明の支持具を格子状の柵に取付けた場合には、単なる格子状の柵に電気柵の機能を付与できるので、例えばロープを支持したときよりも害獣を格子状の柵に接触させ難くすることができる。
【0049】
また、本発明の電線支持具10は、引掛部40を備える。
ここで、引掛部40は第2のステンレス線状体47を有する。
第2のステンレス線状体47はステンレス鋼で構成された線状体であり、また、その線径は第1のステンレス線状体21の線径と同じであり、例えば1.5mm~4.0mmである。
また、第2のステンレス線状体47は、長手部20の第1のステンレス線状体21の一端とは反対側の他端から延びている。
また、第2のステンレス線状体47は第2の線状体の一例であり、必ずしもステンレス鋼で構成されていなくてもよく、例えば鉄で構成されていてもよい。
【0050】
また、引掛部40の第2のステンレス線状体47には第1の湾曲領域41が形成されている。
ここで、第1の湾曲領域41は、長手部20に連接されていると共に第1のステンレス線状体21の一端から他端へ向かう方向へ凸状に湾曲している。
また、
図2(a)に示すように、第1の湾曲領域41は第1の仮想平面Aに位置している。
【0051】
また、引掛部40の第2のステンレス線状体47には第2の湾曲領域42が形成されている。
ここで、第2の湾曲領域42は、第1の湾曲領域41に連接されている。
【0052】
また、
図2(a)に示すように、第2の湾曲領域42は第2の仮想平面Bに位置している。
ここで、第2の仮想平面Bは、第1の仮想平面Aと交差して延びている。すなわち、
図2(a)に示すように、第2の仮想平面Bは、第1の仮想平面Aに対して略平行に延びてはいない。
また、第2の湾曲領域42は、第1のステンレス線状体21の他端から一端へ向かう方向と同じ方向へ凸状に湾曲している。
【0053】
また、第2の湾曲領域42は、長手部20の第1のステンレス線状体21が延びた方向と同じ方向に対し第1のステンレス線状体21の他端から一端へ向かう方向と同じ方向へ傾斜している。
すなわち、このような第2の湾曲領域42が位置する第2の仮想平面Bも、
図2(a)に示すように、長手部20の第1のステンレス線状体21が延びた方向と同じ方向に対し第1のステンレス線状体21の他端から一端へ向かう方向と同じ方向へ傾斜している。
【0054】
また、引掛部40の第2のステンレス線状体47には第3の湾曲領域43が形成されている。
ここで、第3の湾曲領域43は、第2の湾曲領域42に連接されている。
【0055】
また、
図2(a)に示すように、第3の湾曲領域43は第3の仮想平面Cに位置している。
ここで、第3の仮想平面Cは、第2の仮想平面Bと交差して延びている。すなわち、
図2(a)に示すように、第3の仮想平面Cは、第2の仮想平面Bに対して略平行に延びていない。
【0056】
また、第3の湾曲領域43は、第1のステンレス線状体21の一端から他端へ向かう方向へ凸状に湾曲している。
また、
図2(a)に示すように、第1の湾曲領域41が位置する第1の仮想平面Aと、第3の湾曲領域43が位置する第3の仮想平面Cとは互いに対して略平行に延びており、互いに交差することはない。
【0057】
また、引掛部40の第2のステンレス線状体47には第4の湾曲領域44が形成されている。
ここで、第4の湾曲領域44は、同じく第2のステンレス線状体47に形成された直線領域46を介して第3の湾曲領域43と連接されている。
【0058】
また、
図2(b)に示すように、第4の湾曲領域44は第4の仮想平面Dに位置している。
ここで、第4の仮想平面Dは第1の仮想平面Aと交差して延びている。すなわち、第4の仮想平面Dは、第1の仮想平面Aに対して略平行に延びてはいない。
また、第1の仮想平面Aと第3の仮想平面Cは互いに対して略平行に延びているので、第4の仮想平面Dは第3の仮想平面Cとも交差して延びている。
【0059】
また、第4の湾曲領域44は、第1のステンレス線状体21の他端から一端へ向かう方向と同じ方向へ凸状に湾曲している。
【0060】
また、第4の湾曲領域44は、長手部20の第1のステンレス線状体21が延びた方向と同じ方向に対して略平行に位置している。
【0061】
また、第1の湾曲領域41と、第2の湾曲領域42と、第3の湾曲領域43と、第4の湾曲領域44の互いの位置関係は、第1の湾曲領域41と第3の湾曲領域43とを結ぶ第1の仮想直線aと、第2の湾曲領域42と第4の湾曲領域44とを結ぶ第2の仮想直線bとが交差または立体交差するような位置関係である。
【0062】
また、
図3A及び
図3Bに示すように、直線領域46は、長手部20の第1のステンレス線状体21が延びた方向と同じ方向に対し第1のステンレス線状体21の一端から他端へ向かう方向と同じ方向へ傾斜して略直線状に所定の長さほど延びている。
【0063】
ここで、長手部20の第1のステンレス線状体21が延びた方向と同じ方向に対する直線領域46の傾斜角度は特に限定されないが、傾斜角度が小さいと、本発明の電線支持具10を格子状の柵に取付ける作業が困難となるので、傾斜角度は例えば70度以上90度未満であることが好ましい。
換言すれば、直線領域46は、長手部20の第1のステンレス線状体21が延びた方向と同じ方向に対して略直交する方向から30度以下に傾斜して延びた形態が好ましい。
【0064】
また、直線領域46の長さは、例えばワイヤーメッシュフェンスの縦鉄筋と横鉄筋の一の交点と他の交点の間の長さよりも短い長さである。
【0065】
また、引掛部40の第2のステンレス線状体47には第5の湾曲領域45が形成されている。
ここで、第5の湾曲領域45は、第4の湾曲領域44に連接されている。
【0066】
また、
図2(b)に示すように、第5の湾曲領域45は第5の仮想平面Eに位置している。
ここで、第5の仮想平面Eは、第4の仮想平面Dに対して略直交する方向へ延びていると共に第1の仮想平面Aまたは第3の仮想平面Cと交差して延びている。すなわち、第5の仮想平面Eは、第1の仮想平面A及び第3の仮想平面Cに対して略平行に延びていない。
【0067】
また、第2のステンレス線状体47の先端47Aが第2の湾曲領域42と第4の湾曲領域44とを結ぶ第2の仮想直線b上に位置するように、第5の湾曲領域45は湾曲している。
【0068】
また、第1のステンレス線状体21と第2のステンレス線状体47とで一本の線状体を構成しており、長手部20と引掛部40は一本の線状体で構成されているが、この態様に限定されないことは勿論である。
例えば、長手部が有する線状体と、引掛部が有する線状体とを別体として、両線状体を接続させた態様とすることもできる。
本発明では便宜上、長手部が有する線状体を第1のステンレス線状体すなわち「第1の線状体」と称し、引掛部が有する線状体を第2のステンレス線状体すなわち「第2の線状体」と称する。
【0069】
また、本発明において、各湾曲領域の湾曲方向は、大局的な方向を意味している。
すなわち、例えば
図3Aでは、第2の湾曲領域42の湾曲方向は斜め下へ向いているのに対して、第4の湾曲領域44の湾曲方向は斜め上へ向いているが、電線支持部30が位置する側、つまり
図3Aにおいて右側へ湾曲しているという点では共通しているので、第2の湾曲領域42の湾曲方向と第4の湾曲領域44の湾曲方向は同じであるとする。
【0070】
ここで、本発明の電線支持具すなわち支持具において、引掛部の第2の線状体に、湾曲した湾曲領域が形成されていれば、第2の線状体には必ずしも第1の湾曲領域、第2の湾曲領域、第3の湾曲領域、第4の湾曲領域及び第5の湾曲領域が形成されていなくてもよい。
【0071】
本発明の支持具において、第2のステンレス線状体すなわち第2の線状体には必ずしも直線領域が形成されていなくてもよく、第3の湾曲領域と第4の湾曲領域は直線領域を介さずに互いに直接、連接されることができる。
しかし、第2の線状体に直線領域が形成されていれば、第2の線状体が撓り易くなるので、第4の湾曲領域を柵の縦部材または横部材に押し当てたり縦部材または横部材から離したりし易くなって、その結果、本発明の支持具を柵に取付け易いと共に柵から取外し易くなるので好ましい。
【0072】
また、本発明の支持具において、直線領域は、必ずしも長手部の第1の線状体が延びた方向と同じ方向に対し第1の線状体の一端から他端へ向かう方向と同じ方向へ傾斜して略直線状に所定の長さほど延びていなくてもよい。例えば、直線領域は、長手部の第1の線状体が延びた方向と同じ方向に対し略直交する方向へ延びることができる。
【0073】
しかし、直線領域が、長手部の第1の線状体が延びた方向と同じ方向に対し第1の線状体の一端から他端へ向かう方向と同じ方向へ傾斜して略直線状に所定の長さほど延びていれば、本発明の支持具が格子状の柵に取付けられたときに、直線領域が傾斜した状態へ戻ろうとする付勢力が発生して第4の湾曲領域が柵の縦部材または横部材を強く押し、本発明の支持具を柵に強固に取付けることができるので好ましい。
【0074】
次に、本発明を適用した第1の実施形態の電線支持具を、格子状の柵であるワイヤーメッシュフェンスに取付ける手順の一例を、図面を参照しながら説明する。
図4-1(a)は、本発明を適用した第1の実施形態の電線支持具をワイヤーメッシュフェンスに取付ける手順の一例を示す第1の工程図であり、
図4-1(b)は第2の工程図である。
また、
図4-2(c)は、本発明を適用した第1の実施形態の電線支持具をワイヤーメッシュフェンスに取付ける手順の一例を示す第3の工程図であり、
図4-2(d)は第4の工程図である。
また、
図4-3(e)は、本発明を適用した第1の実施形態の電線支持具をワイヤーメッシュフェンスに取付ける手順の一例を示す第5の工程図であり、
図4-3(f)は第6の工程図である。
また、
図4-4(g)は、本発明を適用した第1の実施形態の電線支持具をワイヤーメッシュフェンスに取付ける手順の一例を示す第7の工程図であり、
図4-4(h)は第8の工程図である。
【0075】
なお、
図4-1、
図4-2、
図4-3及び
図4-4に示す本発明の電線支持具は、その引掛部の直線領域が、長手部の第1のステンレス線状体が延びた方向と同じ方向に対し傾斜せず、略直交して延びた態様のものである。
また、
図4-1、
図4-2、
図4-3及び
図4-4において、電線支持部の図示を省略している。
また、
図4-1、
図4-2、
図4-3及び
図4-4において、図の奥側は農作物が存在する側である。
【0076】
また、
図4-1、
図4-2、
図4-3及び
図4-4に示すワイヤーメッシュフェンス50は一般的なものであり、縦鉄筋51と横鉄筋52とが交点において溶接されている。
【0077】
図4-1(a)に示すように、本発明の電線支持具10が備える引掛部の直線領域46を、ワイヤーメッシュフェンス50の横鉄筋52よりも農作物に近い方である奥側に配置すると共に、横鉄筋52が延びた方向に対して略直交するように、すなわち鉛直方向へ延びるように配置する。
これに伴い、長手部20の第1のステンレス線状体は、横鉄筋52の上方を横切って
図4-1(a)の手前側へ向けて水平方向へ延びた状態となる。
また、
図4-1(a)において、長手部20の第1のステンレス線状体は断面で示されている。
【0078】
次に、
図4-1(b)に示すように、長手部20の第1のステンレス線状体を縦方向へ略90度傾ける。すなわち、長手部20の第1のステンレス線状体を鉛直方向へ延びた状態とする。
これに伴い、直線領域46は、横鉄筋52の下方を横切って
図4-1(b)の手前側へ向けて延びた状態となる。
【0079】
そして、
図4-2(c)に示すように、直線領域46を横方向へ略90度傾ける。すなわち、直線領域46を、ワイヤーメッシュフェンス50の縦鉄筋51よりも農作物から遠い方である手前側に配置すると共に、横鉄筋52が延びた方向と同じ方向すなわち水平方向へ延びるように配置する。
このとき、
図4-2(c)に示すように、長手部20の第1のステンレス線状体を、上方の横鉄筋よりも手前側に配置する。
【0080】
次に、
図4-2(d)に示すように、引掛部の第2の湾曲領域42を縦鉄筋51に引掛けると共に、直線領域46を横鉄筋52の下方を横切らせて横鉄筋52よりも奥側へ向けて延びた状態とする。
すなわち、凸状に湾曲した第2の湾曲領域42の、湾曲頂部とは反対側である内側を縦鉄筋51に接触させると共に、直線領域46を横鉄筋52の下方を横切らせて横鉄筋52よりも奥側へ向けて延びた状態とする。
【0081】
さらに、
図4-3(e)に示すように、引掛部の第2の湾曲領域42を縦鉄筋51に引掛けながら、引掛部の第1の湾曲領域と第3の湾曲領域43を横鉄筋52に接触させる。
すなわち、第1の湾曲領域の内側と第3の湾曲領域43の内側を横鉄筋52に接触させる。
このとき、
図4-3(e)に示すように、直線領域46は上方の横鉄筋へ向けて延びた状態となる。
【0082】
そして、
図4-3(f)に示すように、長手部20の第1のステンレス線状体を、横鉄筋52の上方を横切って
図4-3(f)の手前側へ向けて水平方向へ延びるように配置する。
このとき、第1の湾曲領域と第3の湾曲領域が横鉄筋52に引掛かり、第2の湾曲領域42が縦鉄筋51に引掛かっている。
また、直線領域46を鉛直方向へ延びるように配置すると共に、引掛部の第4の湾曲領域44を縦鉄筋51よりも奥側に配置する。
【0083】
最後に、
図4-4(g)に示すように、直線領域46を撓らせて第4の湾曲領域44を動かし、
図4-4(h)に示すように、第4の湾曲領域44を縦鉄筋51よりも手前側に配置して縦鉄筋51に引掛ける。
すなわち、第4の湾曲領域44の内側を縦鉄筋51に接触させる。
【0084】
以上のようにしてワイヤーメッシュフェンス50に取付けられた本発明の電線支持具10の電線支持部に、電線を取付ける。
すなわち、
図5は本発明を適用した第1の実施形態の電線支持具が使用されている状態の一例を示す概略図であるが、
図5に示すように電線60は、ワイヤーメッシュフェンス50から水平方向に離れた位置で支持されている。
【0085】
また、電線60は一般的な電気柵に使用されるものであって金属部分が露出したものであり、図示していないが電圧を印加する電源と電線60は電気的に接続されている。
従って、
図5に示すように、ワイヤーメッシュフェンス50に近づいてきたイノシシ70が電線60に接触すると、イノシシ70は電線60に印加された電圧によって衝撃を受ける。
【0086】
また、本発明の第1の実施形態の電線支持具を、ひし形金網で構成されたネットフェンスに取付けることもできる。
ネットフェンスは、鉛直方向に蛇行して延びた複数のワイヤーそれぞれが、その左隣のワイヤーと右隣のワイヤーとに交互に絡み合った構成となっている点でワイヤーメッシュフェンスとは異なるが、格子状という点でワイヤーメッシュフェンスと同じだからである。
【0087】
また、ワイヤーメッシュフェンスの設置方法としては、ワイヤーメッシュフェンスの横鉄筋が縦鉄筋よりも農作物に近い位置となるように設置したり、縦鉄筋が横鉄筋よりも農作物に近い位置となるように設置したりする方法がある。
【0088】
このような設置方法の中で、横鉄筋が縦鉄筋よりも農作物に近い位置となるようワイヤーメッシュフェンスを設置することで、ワイヤーメッシュフェンスの破損を抑えることができる。なぜなら、イノシシなどの害獣は横鉄筋に噛み付き易く、イノシシなどの害獣が横鉄筋に噛み付いて横鉄筋を引っ張っても、縦鉄筋が抑えとなり、すなわち縦鉄筋と横鉄筋の交点において横鉄筋が縦鉄筋に押し付けられ、横鉄筋と縦鉄筋とが分離し難いからである。
【0089】
また、本発明の第1の実施形態の電線支持具は、どちらの設置方法で設置されたワイヤーメッシュフェンスであっても、農作物とは反対方向へ向けて支持部が位置するよう取付けられることができる。
【0090】
図4-1、
図4-2、
図4-3及び
図4-4は、横鉄筋52が縦鉄筋51よりも農作物に近い位置となるように設置されたワイヤーメッシュフェンス50に、本発明の第1の実施形態の電線支持具10を取付ける手順を示したものであるが、縦鉄筋が横鉄筋よりも農作物に近い位置となるように設置されたワイヤーメッシュフェンスに、本発明の第1の実施形態の電線支持具10を取付ける場合の手順は、
図4-1、
図4-2、
図4-3及び
図4-4を90度回転させ、横鉄筋52が縦鉄筋と成り、縦鉄筋51が横鉄筋と成ることで説明できる。
【0091】
図6は、本発明を適用した第2の実施形態の電線支持具の一例を示す概略斜視図である。
また、
図7(a)は、本発明を適用した第2の実施形態の電線支持具の第1~3の湾曲領域の概略部分拡大図であり、
図7(b)は、本発明を適用した第2の実施形態の電線支持具の第4~5の湾曲領域の概略部分拡大図である。
【0092】
また、
図8-1(a)は、本発明を適用した第2の実施形態の電線支持具の概略正面図であり、
図8-1(b)は、本発明を適用した第2の実施形態の電線支持具の概略背面図である。
また、
図8-2(a)は、本発明を適用した第2の実施形態の電線支持具の概略平面図であり、
図8-2(b)は、本発明を適用した第2の実施形態の電線支持具の概略底面図である。
また、
図8-3(a)は、本発明を適用した第2の実施形態の電線支持具の概略左側面図であり、
図8-3(b)は、本発明を適用した第2の実施形態の電線支持具の概略右側面図である。
【0093】
図6に示す本発明の電線支持具80は、長手部90を備える。
ここで、長手部90は、長手方向へ延びた第1のステンレス線状体91を有する。
第1のステンレス線状体91は、ステンレス鋼で構成された線状体であり、その線径は例えば1.5mm~4.0mmである。
【0094】
また、第1のステンレス線状体91は第1の線状体の一例であり、第1の線状体は、長手方向へ延びたものであれば必ずしもステンレス鋼で構成されていなくてもよく、例えば鉄で構成されていてもよい。
【0095】
また、本発明の電線支持具80は、電線支持部30を備える。
電線支持部30は、長手部90の第1のステンレス線状体91の一端に接続されている。
なお、本発明の電線支持具80が備える電線支持部30は、本発明の第1の実施形態の電線支持具10が備える電線支持部30と同じであるので、電線支持部30についての詳細な説明を省略する。
【0096】
また、本発明の電線支持具80は、引掛部100を備える。
ここで、引掛部100は第2のステンレス線状体107を有する。
第2のステンレス線状体107は、ステンレス鋼で構成された線状体であり、また、その線径は第1のステンレス線状体91の線径と同じであり、例えば1.5mm~4.0mmである。
【0097】
また、第2のステンレス線状体107は、長手部90の第1のステンレス線状体91の一端とは反対側の他端から延びている。
ここで、第1のステンレス線状体91の他端から所定範囲の領域は、第1のステンレス線状体91の一端から他端へ向かう方向と同じ方向へ凸状に湾曲している。
また、第2のステンレス線状体107は第2の線状体の一例であり、第2の線状体は必ずしもステンレス鋼で構成されていなくてもよく、例えば鉄で構成されていてもよい。
【0098】
また、引掛部100の第2のステンレス線状体107には第1の湾曲領域101が形成されている。
ここで、第1の湾曲領域101は、長手部90に連接されていると共に第1のステンレス線状体の他端から一端へ向かう方向と同じ方向へ凸状に湾曲している。
また、
図7(a)に示すように、第1の湾曲領域101は第1の仮想平面Fに位置している。
【0099】
また、引掛部100の第2のステンレス線状体107には第2の湾曲領域102が形成されている。
ここで、第2の湾曲領域102は、第1の湾曲領域101に連接されている。
【0100】
また、
図7(a)に示すように、第2の湾曲領域102は第2の仮想平面Gに位置している。
ここで、第2の仮想平面Gは、第1の仮想平面Fと交差して延びている。すなわち、
図7(a)に示すように、第2の仮想平面Gは、第1の仮想平面Fに対して略平行に延びていない。
また、第2の湾曲領域102は、第1のステンレス線状体91の一端から他端へ向かう方向と同じ方向へ凸状に湾曲している。
【0101】
また、第2の湾曲領域102は、長手部90の第1のステンレス線状体91が延びた方向と同じ方向に対し第1のステンレス線状体91の一端から他端へ向かう方向と同じ方向へ傾斜している。
すなわち、このような第2の湾曲領域102が位置する第2の仮想平面Gも、
図7(a)に示すように、長手部90の第1のステンレス線状体91が延びた方向と同じ方向に対し第1のステンレス線状体91の一端から他端へ向かう方向と同じ方向へ傾斜している。
【0102】
また、引掛部100の第2のステンレス線状体107には第3の湾曲領域103が形成されている。
ここで、第3の湾曲領域103は、第2の湾曲領域102に連接されている。
【0103】
また、
図7(a)に示すように、第3の湾曲領域103は第3の仮想平面Hに位置している。
ここで、第3の仮想平面Hは、第2の仮想平面Gと交差して延びている。すなわち、
図7(a)に示すように、第3の仮想平面Hは、第2の仮想平面Gに対して略平行に延びていない。
【0104】
また、第3の湾曲領域103は、第1のステンレス線状体91の他端から一端へ向かう方向と同じ方向へ凸状に湾曲している。
また、
図7(a)に示すように、第1の湾曲領域101が位置する第1の仮想平面Fと、第3の湾曲領域103が位置する第3の仮想平面Hとは互いに対して略平行に延びており、互いに交差することはない。
【0105】
また、引掛部100の第2のステンレス線状体107には第4の湾曲領域104が形成されている。
ここで、第4の湾曲領域104は、同じく第2のステンレス線状体107に形成された直線領域106を介して第3の湾曲領域103と連接されている。
また、直線領域106は、長手部90の第1のステンレス線状体91が延びた方向と同じ方向に対して略直交する方向へ略直線状に所定の長さほど延びている。
【0106】
また、直線領域106の長さは、例えばワイヤーメッシュフェンスの縦鉄筋と横鉄筋の一の交点と他の交点の間の長さよりも短い長さである。
【0107】
また、
図7(b)に示すように、第4の湾曲領域104は第4の仮想平面Iに位置している。
ここで、第4の仮想平面Iは第1の仮想平面Fと交差して延びている。すなわち、第4の仮想平面Iは、第1の仮想平面Fに対して略平行に延びていない。
また、第1の仮想平面Fと第3の仮想平面Hは互いに略平行に延びているので、第4の仮想平面Iは第3の仮想平面Hとも交差して延びている。
【0108】
また、第4の湾曲領域104は、第1のステンレス線状体91の一端から他端へ向かう方向と同じ方向へ凸状に湾曲している。
【0109】
また、第4の湾曲領域104は、長手部90の第1のステンレス線状体91が延びた方向と同じ方向に対して略平行に位置している。
【0110】
また、第1の湾曲領域101と、第2の湾曲領域102と、第3の湾曲領域103と、第4の湾曲領域104の互いの位置関係は、第1の湾曲領域101と第3の湾曲領域103とを結ぶ第1の仮想直線cと、第2の湾曲領域102と第4の湾曲領域104とを結ぶ第2の仮想直線dとが交差または立体交差するような位置関係である。
【0111】
また、直線領域106は、長手部90の第1のステンレス線状体91が延びた方向と同じ方向に対し第1のステンレス線状体91の他端から一端へ向かう方向と同じ方向へ傾斜して略直線状に所定の長さほど延びた構成とすることもできる。
【0112】
この場合、長手部90の第1のステンレス線状体91が延びた方向と同じ方向に対する直線領域106の傾斜角度は特に限定されないが、傾斜角度が小さいと、本発明の電線支持具80を格子状の柵に取付ける作業が困難となるので、傾斜角度は例えば70度以上90度未満であることが好ましい。
換言すれば、直線領域106は、長手部90の第1のステンレス線状体91が延びた方向と同じ方向に対して略直交する方向から30度以下に傾斜して延びた形態が好ましい。
【0113】
また、引掛部100の第2のステンレス線状体107には第5の湾曲領域105が形成されている。
ここで、第5の湾曲領域105は、第4の湾曲領域104に連接されている。
【0114】
また、
図7(b)に示すように、第5の湾曲領域105は第5の仮想平面Jに位置している。
ここで、第5の仮想平面Jは、第4の仮想平面Iに対して略直交する方向へ延びていると共に第1の仮想平面Fまたは第3の仮想平面Hと交差して延びている。すなわち、第5の仮想平面Jは、第1の仮想平面F及び第3の仮想平面Hに対して略平行に延びていない。
【0115】
また、第2のステンレス線状体107の先端107Aが、第2の湾曲領域102と第4の湾曲領域104とを結ぶ第2の仮想直線d上に位置するように、第5の湾曲領域105は湾曲している。
【0116】
また、第1のステンレス線状体91と第2のステンレス線状体107とで一本の線状体を構成しており、長手部90と引掛部100は一本の線状体で構成されているが、この態様に限定されないことは勿論である。
【0117】
また、本発明の支持具において、引掛部の第2の線状体には、必ずしも第5の湾曲領域が形成されていなくてもよい。
しかし、第2の線状体に第5の湾曲領域が形成されていれば、本発明の支持具を柵に取付けたり柵から取外したりするときに、第5の湾曲領域が位置する第5の仮想平面が被押圧面になるので、作業者の指に第2の線状体の先端が刺さらず、作業者へ痛みを与えないため好ましい。
また、第2の線状体の先端が第2の湾曲領域と第4の湾曲領域とを結ぶ第2の仮想直線上に位置するように第5の湾曲領域は湾曲していれば、本発明の支持具を格子状の柵に取付けたり柵から取外したりするときに、第5の湾曲領域が邪魔にならないので好ましい。
【0118】
また、本発明の支持具において、第2の湾曲領域は、必ずしも長手部の第1の線状体が延びた方向と同じ方向に対して傾斜して位置しなくてもよい。
しかし、第2の湾曲領域がこのように傾斜して位置していれば、第2の湾曲領域が、第1の線状体が延びた方向と同じ方向に対して略平行に位置するときよりも、第2の線状体の第1の湾曲領域や第3の湾曲領域を、柵の径が大きい縦部材または横部材に引掛け易くすることができるので好ましい。
【0119】
また、本発明の支持具において、第4の湾曲領域は、必ずしも長手部の第1の線状体が延びた方向と同じ方向に対して略平行に位置していなくてもよい。
しかし、第4の湾曲領域がこのように位置していれば、第4の湾曲領域が第1の線状体が延びた方向と同じ方向に対して傾斜して位置するときよりも、第2の線状体が斜め方向へ延びていない分、第4の湾曲領域における第2の線状体の長さを短くできて第4の湾曲領域の押圧力が高まるので、第2の線状体の第4の湾曲領域を、柵の縦部材または横部材に強く押し当てることができ好ましい。
【0120】
また、本発明の電線支持具は、本発明の支持具の一例であり、電線支持部は支持部の一例である。
例えば、本発明の支持具が備える支持部がロープを支持する場合は、本発明の支持具はロープ支持具であったり、ロープ支持部であったりする。
すなわち、支持部は必ずしも電線を支持しなくてもよく、害獣にとって柵に近づく際に障害物と成り得る物であれば、支持部は例えば有刺鉄線やロープを支持することもできる。
【0121】
しかし、電線を支持した本発明の支持具を格子状の柵に取付けた場合には、単なる格子状の柵に電気柵の機能を付与できるので、例えばロープを支持したときよりも害獣を格子状の柵に接触させ難くすることができる。
【0122】
また、本発明の複数の電線支持具の中の一つの電線支持具が備える電線支持部に、例えば突出する2つのアーム部を備える金具を装着し、この金具の一方のアーム部に電線を接続すると共に、同じ金具の他方のアーム部に、電線が接続された金属製のフック部材を着脱可能に接続して、出入口を設けることもできる。
このとき、人がフック部材を掴むことができるよう、フック部材の表面は絶縁部材で覆われているものとする。
【0123】
次に、本発明を適用した第2の実施形態の電線支持具を、格子状の柵であるワイヤーメッシュフェンスに取付ける手順の一例を、図面を参照しながら説明する。
図9-1(a)は、本発明を適用した第2の実施形態の電線支持具をワイヤーメッシュフェンスに取付ける手順の一例を示す第1の工程図であり、
図9-1(b)は第2の工程図である。
また、
図9-2(c)は、本発明を適用した第2の実施形態の電線支持具をワイヤーメッシュフェンスに取付ける手順の一例を示す第3の工程図であり、
図9-2(d)は第4の工程図である。
また、
図9-3(e)は、本発明を適用した第2の実施形態の電線支持具をワイヤーメッシュフェンスに取付ける手順の一例を示す第5の工程図である。
【0124】
なお、
図9-1、
図9-2及び
図9-3において、電線支持部の図示を省略している。
また、
図9-1、
図9-2及び
図9-3において、図の奥側は農作物が存在する側である。
【0125】
図9-1(a)に示すように、本発明の電線支持具80が備える引掛部の直線領域106の一部を、ワイヤーメッシュフェンス50の横鉄筋52よりも農作物に近い方である奥側に配置すると共に、直線領域106の他の部分を、縦鉄筋51よりも農作物から遠い方である手前側に配置する。
このとき、長手部90の第1のステンレス線状体は、横鉄筋52よりも手前側に配置された状態となる。
【0126】
次に、
図9-1(b)に示すように、引掛部の第2の湾曲領域102を横鉄筋52に引掛けると共に、長手部90の第1のステンレス線状体を縦鉄筋51よりも手前側に配置する。
すなわち、凸状に湾曲した第2の湾曲領域102の、湾曲頂部とは反対側である内側を横鉄筋52に接触させると共に、第2の湾曲領域102を縦鉄筋51へ近づける。
【0127】
さらに、
図9-2(c)に示すように、直線領域106を傾けて横鉄筋52に対して略平行に延びた状態と成すと共に、引掛部の第1の湾曲領域101と第3の湾曲領域103を縦鉄筋51に引掛ける。
すなわち、直線領域106を横鉄筋52に沿った状態と成すと共に、凸状に湾曲した第1の湾曲領域101の内側と第3の湾曲領域103の内側を縦鉄筋51に引掛ける。
【0128】
このとき、
図9-2(c)に示すように、長手部90の第1のステンレス線状体は、横鉄筋52が延びた方向に対して略直交すると共に手前側へ向けて水平方向へ延びた状態となる。
また、このとき、引掛部の第4の湾曲領域104は、横鉄筋52よりも手前側に配置されている。
【0129】
最後に、
図9-2(d)に示すように、直線領域106を撓らせて第4の湾曲領域104を動かし、
図9-3(e)に示すように、第4の湾曲領域を横鉄筋52よりも奥側に配置して横鉄筋52に引掛ける。
すなわち、第4の湾曲領域の内側を横鉄筋52に接触させる。
【0130】
なお、
図9-2(c)、
図9-2(d)及び
図9-3(e)において、長手部90の第1のステンレス線状体は断面で示されている。
【0131】
図4-1、
図4-2、
図4-3及び
図4-4に示す本発明の第1の実施形態の電線支持具10の取付け手順と、
図9-1、
図9-2及び
図9-3に示す本発明の第2の実施形態の電線支持具80の取付け手順との比較から明らかなように、本発明の第2の実施形態の電線支持具80の方が、本発明の第1の実施形態の電線支持具10よりも少ない工程数で簡単に、ワイヤーメッシュフェンス50に取付けることができる。
【0132】
以上のようにしてワイヤーメッシュフェンス50に取付けられた本発明の電線支持具80の電線支持部に、電線を取付ける。
本発明の第2の実施形態の電線支持具80の電線支持部に電線を取付けた状態は、
図5に示す本発明の第1の実施形態の電線支持具10の電線支持部に電線を取付けた状態と同じく、電線が、ワイヤーメッシュフェンス50から水平方向に離れた位置で支持される。
【0133】
また、本発明の第2の実施形態の電線支持具も、ひし形金網で構成されたネットフェンスに取付けることができる。
【0134】
また、ワイヤーメッシュフェンスの横鉄筋が縦鉄筋よりも農作物に近い位置となるように設置する方法、または、縦鉄筋が横鉄筋よりも農作物に近い位置となるように設置する方法どちらの設置方法で設置されたワイヤーメッシュフェンスであっても、本発明の第2の実施形態の電線支持具は、農作物とは反対方向へ向けて電線支持部が位置するよう取付けられることができる。
【0135】
図9-1、
図9-2及び
図9-3は、横鉄筋52が縦鉄筋51よりも農作物に近い位置となるように設置されたワイヤーメッシュフェンス50に、本発明の第2の実施形態の電線支持具80を取付ける手順を示したものであるが、縦鉄筋が横鉄筋よりも農作物に近い位置となるように設置されたワイヤーメッシュフェンスに、本発明の第2の実施形態の電線支持具80を取付ける場合の手順は、
図9-1、
図9-2及び
図9-3を90度回転させ、横鉄筋52が縦鉄筋と成り、縦鉄筋51が横鉄筋と成ることで説明できる。
【0136】
以上のように、本発明の支持具は、第1の湾曲領域と第2の湾曲領域と第3の湾曲領域と第4の湾曲領域とが形成された第2の線状体を有する引掛部を備えるので、第2の線状体を格子状の柵の縦部材や横部材に引掛けることができたり、第2の線状体の引掛けを解除できたりする。
【0137】
また、第1の湾曲領域と、第2の湾曲領域と、第3の湾曲領域と、第4の湾曲領域の互いの位置関係は、第1の湾曲領域と第3の湾曲領域とを結ぶ第1の仮想直線と、第2の湾曲領域と第4の湾曲領域とを結ぶ第2の仮想直線とが交差または立体交差するような位置関係なので、第1の湾曲領域及び第3の湾曲領域が、縦部材と横部材の交点を挟んで互いに同一の縦部材に接触する場合、第2の湾曲領域及び第4の湾曲領域が、縦部材と横部材の同じ交点を挟んで互いに同一の横部材に接触することができ、また、第1の湾曲領域及び第3の湾曲領域が、縦部材と横部材の交点を挟んで互いに同一の横部材に接触する場合、第2の湾曲領域及び第4の湾曲領域が、縦部材と横部材の同じ交点を挟んで互いに同一の縦部材に接触することができる。
その結果、本発明の支持具を格子状の柵に取付けたときに、安定させることができる。
【0138】
また、第1の湾曲領域と、第2の湾曲領域と、第3の湾曲領域と、第4の湾曲領域の互いの位置関係が、第1の仮想直線と第2の仮想直線とが交差または立体交差するような位置関係であり、そして第2の線状体の第1の湾曲領域が長手部に連接されているので、設置された格子状の柵に本発明の支持具が取付けられたときに、鉛直方向以外の方向へ、すなわち柵を境にした両側の空間へ、長手部の第1の線状体が柵から延びた状態とすることができる。
【0139】
そして、本発明の支持具は、長手方向へ延びた第1の線状体を有する長手部と、長手部の第1の線状体の一端に接続されており、被支持物を支持可能な支持部と、長手部の第1の線状体の一端とは反対側の他端から延びた第2の線状体を有する引掛部とを備えているので、第1の線状体の長手方向の長さほど引掛部から離れた位置において電線など被支持物を支持できる。
【0140】
従って、このような本発明の支持具を格子状の柵に取付けることによって、柵にイノシシなどの害獣が接触する前に電線などに接触するので、本発明の支持具は柵に害獣を接触させないようにすることができる。
【0141】
また、このように本発明の支持具を格子状の柵に取付けることによって、本発明の支持具が電線を支持して柵に電線を設置できるので、電線用の支柱を用意する必要がなく、直接かつ簡易に、既存のワイヤーメッシュフェンスやネットフェンスに電線を設置できる。
その結果、電線の設置コストや労力を大幅に低減できる。
【0142】
また、本発明の支持具によって、電線用の支柱が不要となることから、漏電防止のための草刈りなど電気柵の維持管理作業が容易である。
【符号の説明】
【0143】
10 電線支持具
20 長手部
21 第1のステンレス線状体
30 電線支持部
31A 第1の支持突起
31B 第2の支持突起
32 絶縁用穴
40 引掛部
41 第1の湾曲領域
42 第2の湾曲領域
43 第3の湾曲領域
44 第4の湾曲領域
45 第5の湾曲領域
46 直線領域
47 第2のステンレス線状体
47A 第2のステンレス線状体の先端
50 ワイヤーメッシュフェンス
51 縦鉄筋
52 横鉄筋
60 電線
70 イノシシ
80 電線支持具
90 長手部
91 第1のステンレス線状体
100 引掛部
101 第1の湾曲領域
102 第2の湾曲領域
103 第3の湾曲領域
104 第4の湾曲領域
105 第5の湾曲領域
106 直線領域
107 第2のステンレス線状体
107A 第2のステンレス線状体の先端
A 第1の仮想平面
B 第2の仮想平面
C 第3の仮想平面
D 第4の仮想平面
E 第5の仮想平面
F 第1の仮想平面
G 第2の仮想平面
H 第3の仮想平面
I 第4の仮想平面
J 第5の仮想平面
a 第1の仮想直線
b 第2の仮想直線
c 第1の仮想直線
d 第2の仮想直線
【要約】
【課題】柵に害獣を接触させないようにすることができる支持具を提供する。
【解決手段】電線支持具10は、長手部20と、電線支持部30と、引掛部40とを備える。長手部20は長手方向へ延びた第1のステンレス線状体21を有する。電線支持部30は、長手部20の第1のステンレス線状体21の一端に接続されており、電線を支持可能である。引掛部40は第2のステンレス線状体47を有し、第2のステンレス線状体47には、第1の湾曲領域41と、第2の湾曲領域42と、第3の湾曲領域43と、第4の湾曲領域44と、第5の湾曲領域45と、直線領域46とが形成されている。第1の湾曲領域41の湾曲方向と第3の湾曲領域43の湾曲方向が互いに同じであり、第2の湾曲領域42の湾曲方向と第4の湾曲領域44の湾曲方向が互いに同じである。第1の湾曲領域41と第3の湾曲領域43とを結ぶ第1の仮想直線aと、第2の湾曲領域42と第4の湾曲領域44とを結ぶ第2の仮想直線bとが交差または立体交差する。
【選択図】
図1