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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】アンダーカット処理機構及び成形用金型
(51)【国際特許分類】
   B29C 33/44 20060101AFI20220112BHJP
【FI】
B29C33/44
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2017232813
(22)【出願日】2017-12-04
(65)【公開番号】P2018140623
(43)【公開日】2018-09-13
【審査請求日】2020-10-05
(31)【優先権主張番号】P 2017036181
(32)【優先日】2017-02-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】302067947
【氏名又は名称】株式会社テクノクラーツ
(74)【代理人】
【識別番号】100128277
【弁理士】
【氏名又は名称】專徳院 博
(72)【発明者】
【氏名】反本 正典
【審査官】酒井 英夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-155381(JP,A)
【文献】特開2007-176047(JP,A)
【文献】特開2011-068040(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 33/44,45/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アンダーカット部のある成形品を成形する成形用金型に取付けられ使用される、前記成形品の型抜き方向と交差する方向へ突出した前記アンダーカット部を型抜き可能とするアンダーカット処理機構であって、
前記成形品の型抜き方向に移動可能に前記成形用金型に取付けられた、摺動駒及び保持駒の少なくとも一部を収納するホルダーと、
前記ホルダーに対して摺動可能であり、前記アンダーカット部を成形する前記摺動駒と、
前記摺動駒を摺動可能に保持するように前記成形用金型に固定又は一体的に形成された前記保持駒と、
を備え、
前記成形品の型抜き時に前記ホルダーを前記成形品の型抜き方向に移動させることで前記アンダーカット部を型抜き可能な方向に前記摺動駒が移動するように構成されていることを特徴とするアンダーカット処理機構。
【請求項2】
前記摺動駒及び前記保持駒は、前記ホルダーの移動方向に並んで互いに隣接していることを特徴とする請求項1に記載のアンダーカット処理機構。
【請求項3】
前記ホルダーは、前記成形品の突き出し動作時に前記成形品を突き出すように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のアンダーカット処理機構。
【請求項4】
前記ホルダー及び前記保持駒はそれぞれ、前記摺動駒の移動方向を前記アンダーカット部を型抜き可能な方向に規制する規制手段を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のアンダーカット処理機構。
【請求項5】
前記ホルダーの前記規制手段は、前記ホルダーに対し前記摺動駒が前記アンダーカット部を型抜き可能な方向に摺動可能に前記摺動駒と係合するように設けられ、
前記保持駒の前記規制手段は、前記保持駒に対し前記摺動駒が前記アンダーカット部を型抜き可能な方向に直交する方向に摺動可能に前記摺動駒と係合するように設けられていることを特徴とする請求項4に記載のアンダーカット処理機構。
【請求項6】
前記摺動駒は、前記アンダーカット部に中空部又は空間部を有する前記成形品を成形可能に前記アンダーカット部の中空部又は空間部を成形する成形部材を備えていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のアンダーカット処理機構。
【請求項7】
前記摺動駒は、分割された複数の摺動駒からなり、
前記複数の摺動駒のうちの少なくとも2つは、各々、前記ホルダーの移動時に、前記ホルダーの移動方向とは異なる方向、かつ互いに異なる方向に移動するように構成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載のアンダーカット処理機構。
【請求項8】
さらに前記成形用金型の摩耗を防止するために、前記成形用金型に固定され前記ホルダーを摺動させる外ホルダーを備えることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のアンダーカット処理機構。
【請求項9】
前記ホルダーは、摺動面となる外周面及び/又は前記成形用金型の摩耗を防止するために、外周面の一部又は全部がテーパ状に形成されていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載のアンダーカット処理機構。
【請求項10】
請求項1から9のいずれか1項に記載のアンダーカット処理機構を備えることを特徴とする成形用金型。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンダーカット部を有する成形品を成形する成形用金型に取付けられ使用されるアンダーカット処理機構及び成形用金型に関する。
【背景技術】
【0002】
アンダーカット部を有する成形品を成形する成形用金型において、アンダーカット部の形態に対応するかたちで多くのアンダーカット処理機構が開発されている。アンダーカット処理機構としては、例えば、ルーズコアと呼ばれるものが一般的に用いられている。
【0003】
また従来のルーズコアを用いるアンダーカット処理機構では成形が困難である成形品、例えば、成形品全体の型抜き方向と交差する方向に中空部を有するボスが突出している成形品を成形する場合に、アンダーカット部となるボスを容易に型抜き可能とするアンダーカット処理機構が本出願人により既に提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
特許文献1に記載のアンダーカット処理機構は、成形用金型の固定型又は可動型に内設されるホルダーと、アンダーカット部を成形する成形コアとを備え、成形コアが第1コアと第2コアとからなり、第1コア及び第2コアが互いに隣接して傾斜した側面を有し、側面に沿ってホルダー内を摺動することでアンダーカット部を型抜き可能に構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2010-155381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載のアンダーカット処理機構によれば、従来のルーズコアを用いるアンダーカット処理機構では成形が困難であった形状の成形品の成形が容易化されるとともに支持ロッドやガイドロッド等が不要となり、従来のルーズコアを用いるアンダーカット処理機構と比較してコンパクトに構成可能である。
【0007】
本発明は、特許文献1に記載のアンダーカット処理機構とは異なる構成において、特許文献1に記載のアンダーカット処理機構のようにアンダーカット部を有する成形品の成形の容易化及びコンパクト化を実現可能なアンダーカット処理機構、成形用金型及び成形品を提案するものである。
【0008】
本発明の目的は、コンパクトに構成可能でありながらアンダーカット部を容易に型抜き可能なアンダーカット処理機構及び成形用金型を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、アンダーカット部のある成形品を成形する成形用金型に取付けられ使用される、前記成形品の型抜き方向と交差する方向へ突出した前記アンダーカット部を型抜き可能とするアンダーカット処理機構であって、前記成形品の型抜き方向に移動可能に前記成形用金型に取付けられた、摺動駒及び保持駒の少なくとも一部を収納するホルダーと、前記ホルダーに対して摺動可能であり、前記アンダーカット部を成形する前記摺動駒と、前記摺動駒を摺動可能に保持するように前記成形用金型に固定又は一体的に形成された前記保持駒と、を備え、前記成形品の型抜き時に前記ホルダーを前記成形品の型抜き方向に移動させることで前記アンダーカット部を型抜き可能な方向に前記摺動駒が移動するように構成されていることを特徴とするアンダーカット処理機構である。
【0010】
また本発明のアンダーカット処理機構において、前記摺動駒及び前記保持駒は、前記ホルダーの移動方向に並んで互いに隣接していることを特徴とする。
【0011】
また本発明のアンダーカット処理機構において、前記ホルダーは、前記成形品の突き出し動作時に前記成形品を突き出すように構成されていることを特徴とする。
【0012】
また本発明のアンダーカット処理機構において、前記ホルダー及び前記保持駒はそれぞれ、前記摺動駒の移動方向を前記アンダーカット部を型抜き可能な方向に規制する規制手段を備えることを特徴とする。
【0013】
また本発明のアンダーカット処理機構において、前記ホルダーの前記規制手段は、前記ホルダーに対し前記摺動駒が前記アンダーカット部を型抜き可能な方向に摺動可能に前記摺動駒と係合するように設けられ、前記保持駒の前記規制手段は、前記保持駒に対し前記摺動駒が前記アンダーカット部を型抜き可能な方向に直交する方向に摺動可能に前記摺動駒と係合するように設けられていることを特徴とする。
【0014】
また本発明のアンダーカット処理機構において、前記摺動駒は、前記アンダーカット部に中空部又は空間部を有する成形品を成形可能に前記アンダーカット部の中空部又は空間部を成形する成形部材を備えていることを特徴とする。
【0015】
また本発明のアンダーカット処理機構において、前記摺動駒は、分割された複数の摺動駒からなり、前記複数の摺動駒のうちの少なくとも2つは、各々、前記ホルダーの移動時に、前記ホルダーの移動方向とは異なる方向、かつ互いに異なる方向に移動するように構成されていることを特徴とする。
【0016】
また本発明のアンダーカット処理機構は、さらに前記成形用金型の摩耗を防止するために、前記成形用金型に固定され前記ホルダーを摺動させる外ホルダーを備えることを特徴とする。
【0017】
また本発明のアンダーカット処理機構において、前記ホルダーは、摺動面となる外周面及び/又は前記成形用金型の摩耗を防止するために、外周面の一部又は全部がテーパ状に形成されていることを特徴とする。
【0018】
また本発明は、前記アンダーカット処理機構を備えることを特徴とする成形用金型である。
【発明の効果】
【0020】
本発明のアンダーカット処理機構及び成形用金型によれば、ホルダーが成形品の型抜き方向に移動することで摺動駒がホルダーに対して摺動しアンダーカット部の型抜き可能な方向に移動するので、コンパクトに構成可能でありながらアンダーカット部を容易に型抜き可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態の成形用金型1の型締め時の断面図である。
図2図1の成形用金型1の型開き後の断面図である。
図3図1の成形用金型1の成形品Pの突き出し動作後の断面図である。
図4図1の成形用金型1のアンダーカット処理機構10の斜視図である。
図5図1の成形用金型1のアンダーカット処理機構10の分解斜視図である。
図6】本発明のアンダーカット処理機構及び成形用金型で成形可能な成形品の一例を示す斜視図である。
図7】本発明の第2実施形態の成形用金型2の型締め時の断面図である。
図8図7の成形用金型2の型開き後の断面図である。
図9図7の成形用金型2の成形品P10の突き出し動作後の断面図である。
図10図7の成形用金型2のアンダーカット処理機構14の斜視図である。
図11図7の成形用金型2のアンダーカット処理機構14の分解斜視図である。
図12】本発明のアンダーカット処理機構及び成形用金型で成形可能な成形品の一例を示す図である。
図13】本発明のアンダーカット処理機構及び成形用金型で成形可能な成形品の一例を示す図である。
図14】本発明のアンダーカット処理機構及び成形用金型で成形可能な成形品の一例を示す図である。
図15】本発明のアンダーカット処理機構及び成形用金型で成形可能な成形品の一例を示す図である。
図16】本発明のアンダーカット処理機構及び成形用金型で成形可能な成形品の一例を示す図である。
図17】本発明の第3実施形態の成形用金型3の型締め時の断面図である。
図18図17の成形用金型3の型開き後の断面図である。
図19図17の成形用金型3の成形品P10の突き出し動作後の断面図である。
図20図17の成形用金型3のアンダーカット処理機構16の部分分解斜視図である。
図21】本発明の第4実施形態の成形用金型4の型締め時の断面図である。
図22図21の成形用金型4の型開き後の断面図である。
図23図21の成形用金型4の成形品P10の突き出し動作後の断面図である。
図24図21の成形用金型4のアンダーカット処理機構18の部分分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
図1は、本発明の第1実施形態の成形用金型1の断面図、図2は、図1の成形用金型1の型開き後の断面図、図3は、図1の成形用金型1の成形品Pの突き出し動作後の断面図、図4は、図1の成形用金型1のアンダーカット処理機構10の斜視図、図5は、図1の成形用金型1のアンダーカット処理機構10の分解斜視図である。なお図4では、ホルダー20のみ断面を示している。
【0023】
本発明の第1実施形態の成形用金型1は、成形材料を射出し成形品P(図1参照)の外面側を成形する固定型100と、成形品Pのアンダーカット部P1を含む内面側を成形する可動型101とを備える公知の射出成形用金型と同様の構成であるが、アンダーカット処理機構10を備える点で公知の射出成形用金型とは異なっている。なお便宜上、図1の固定型100側を上、可動型101側を下として説明する。
【0024】
本実施形態の成形用金型1は、公知の射出成形用金型と同様、固定型100が固定側取付板103、固定側型板104、ロケートリング105、スプルーブッシュ106を備え、可動型101が可動側取付板107、可動側型板108、スペーサーブロック109、2枚のエジェクタ台板110、エジェクタピン111、リターンピン112、スプリング113、エジェクタロッド114を備え、成形、型開き終了後、エジェクタ台板110が可動側型板108に対して成形品Pの型抜き方向(図1の上方向)に移動することでエジェクタピン111によって成形品Pの突き出し動作を行う。なお上記の構成部品は、公知の射出成形用金型と同様であるため説明を省略する。
【0025】
また本実施形態の成形用金型1には、アンダーカット部P1の型抜きを可能とするアンダーカット処理機構10が可動型101に組込まれており、エジェクタピン111に加え、後述するアンダーカット処理機構10のホルダー20の突き出し動作を行うホルダー用エジェクタピン12がエジェクタ台板110に立設されている。
【0026】
アンダーカット処理機構10は、成形品Pの型抜き(突き出し)時にアンダーカット部P1を成形用金型1から型抜き可能とするものである。本実施形態においてアンダーカット部P1は、成形品Pの内面側から成形品Pの型抜き方向(図1の上方向)に対して交差する方向に突出した円筒ボスである。なお本発明のアンダーカット処理機構、成形用金型及び成形品において成形及び型抜き可能なアンダーカット部は、後述するように円筒ボスに限定されるものではない。また成形品Pの材料としては、プラスチック等の合成樹脂に限らず、鉄や銅、アルミニウム等の金属でも良い。
【0027】
アンダーカット処理機構10は、成形品Pの型抜き方向に往復移動可能な円筒形状のホルダー20と、ホルダー20内に摺動可能に配置された摺動駒21と、摺動駒21を摺動可能に保持する保持駒22とを備え、成形品Pの型抜き時にホルダー20が成形品Pの型抜き方向に移動することで、摺動駒21が成形品Pの型抜き方向とは異なるアンダーカット部P1を型抜き可能な方向に移動するように構成されている。
【0028】
ここでアンダーカット部P1を型抜き可能な方向とは、アンダーカット部P1を変形及び損傷させることなく摺動駒21がアンダーカット部P1から外れる摺動駒21の移動方向であり、本実施形態では円筒ボス(アンダーカット部P1)の中心軸線Oに一致する、摺動駒21がアンダーカット部P1から遠ざかる方向である。
【0029】
ホルダー20は、ホルダー用エジェクタピン12を介してエジェクタ台板110に連動して成形品Pの型抜き方向に往復移動可能に底面がホルダー用エジェクタピン12の先端に固定され、可動型101の可動側型板108内に埋設されている。なおホルダー20は、円筒形状に限定されるものではなく、例えば、断面の外形が多角形の筒形状等であってもよい。
【0030】
またホルダー20は、成形用金型1の型締め時に上面が可動側型板108の上面と面一になり、成形時に成形品Pの内面に接するように形成され配置されている。これによりホルダー20は、成形時には成形品Pを成形し、成形品Pの型抜き時には成形品Pの突き出し動作を行う。またホルダー20は、成形品Pの成形不良を防止すべく、型締め時にホルダー20の上面と可動側型板108の上面との間に隙間が生じないように形成され配置されている。
【0031】
円筒形状であるホルダー20の中空部31は、摺動駒21及び保持駒22を収納可能に形成され、アンダーカット部P1を型抜き可能な方向に摺動駒21の摺動方向を規制する規制手段である傾斜した斜溝30を有し、図3図4に示すように平面視において凸字形状であるとともに、上端から下端にかけて断面積が徐々に大きくなっている。
【0032】
斜溝30は、後述する摺動駒21の凸条33に係合し摺動駒21の摺動方向をアンダーカット部P1を型抜き可能な方向に規制すべく、アンダーカット部P1の中心軸線Oに対して平行に設けられている。
【0033】
摺動駒21は、ホルダー20内を斜溝30に沿って摺動可能な駒であり、斜溝30に摺動可能に係合しアンダーカット部P1を型抜き可能な方向に摺動駒21の摺動方向を規制する規制手段である凸条33と、アンダーカット部P1を成形する中空部34と、アンダーカット部P1の中空部を成形する成形部材であるピン35と、保持駒22に摺動可能に係合しアンダーカット部P1を型抜き可能な方向に摺動駒21の摺動方向を規制する規制手段である蟻溝36とを有し、図3に示すように、型締め時にホルダー20の中空部31にぴったりと嵌るように平面視において凸字形状であるとともに、上端から下端にかけて断面積が徐々に大きくなっている。
【0034】
また摺動駒21は、成形品Pの成形不良を防止すべく、型締め時、つまり摺動駒21がホルダー20の上端にあるときに摺動駒21の上面とホルダー20の上面との間に隙間が生じないように形成されている。
【0035】
凸条33は、ホルダー20の斜溝30に係合して摺動駒21の摺動方向をアンダーカット部P1を型抜き可能な方向に規制可能に摺動駒21の側面に傾斜して設けられている。
【0036】
中空部34は、摺動駒21の上面に設けられた丸穴であり、ピン35は、中空部34内の中央に配置され摺動駒21に固定されている。中空部34及びピン35は、アンダーカット部P1の形状に応じて適宜、形状及び配置を決めればよい。またピン35は、中空部34に一体的に形成されていてもよい。
【0037】
蟻溝36は、後述する保持駒22の凸条38と摺動可能に係合するように摺動駒21の底面に設けられている。蟻溝36(摺動駒21の底面)は、ホルダー20に連動して摺動駒21がアンダーカット部P1を型抜き可能な方向に移動するように、アンダーカット部P1を型抜き可能な方向(アンダーカット部P1の中心軸線O)に対して直交する向きに傾斜している。
【0038】
保持駒22は、摺動駒21がホルダー20に連動して摺動するように摺動駒21を保持する駒であり、底面が可動側型板108に固定されている。保持駒22は、アンダーカット部P1を型抜き可能な方向に摺動駒21の摺動方向を規制する規制手段である凸条38を上面に有し、凸条38によって摺動駒21の蟻溝36と係合している。
【0039】
保持駒22は、ホルダー20の移動方向に並んで摺動駒21に隣接し、型締め時には摺動駒21と共にホルダー20内に収納されるように配置されている。なお摺動駒21及び保持駒22は、型締め時及び/又は型開き時にホルダー20に完全に収納される必要はなく、一部がホルダー20から突出していてもよい。また保持駒22は、可動側型板108に一体的に形成されていてもよい。
【0040】
凸条38(保持駒22の上面)は、蟻溝36(摺動駒21の底面)と同様、摺動駒21がホルダー20に連動してアンダーカット部P1を型抜き可能な方向に移動するように、アンダーカット部P1を型抜き可能な方向(アンダーカット部P1の中心軸線O)に対して直交する向きに傾斜している。
【0041】
次に本実施形態の成形用金型1の作用について説明する。成形品Pの成形時には成形用金型1を型締めした状態で固定型100のスプルーブッシュ106から成形材料を射出し、成形材料を硬化させ成形品Pを成形する(図1参照)。成形時にはアンダーカット処理機構10のホルダー20の上面及び摺動駒21の上面が可動側型板108の上面と面一になって成形品P(成形材料)に接して成形を行い、摺動駒21の中空部34及びピン35が成形品Pのアンダーカット部P1を成形する。
【0042】
成形品Pの成形後、成形用金型1の型開きを行う。成形用金型1の型開き時には、可動型101全体が図1の下方向に移動し、成形品Pが可動型101側に残る(図2参照)。成形用金型1の型開き後、成形品Pの突き出し動作を行う。成形品Pの突き出し動作時には、エジェクタ台板110が図1の上方向に移動する。
【0043】
アンダーカット処理機構10は、エジェクタ台板110の移動に伴い、ホルダー20がホルダー用エジェクタピン12によって可動側型板108の上面から突出し、エジェクタピン111と共に成形品Pを図1の上方向に突き出す。これと同時に、ホルダー20の斜溝30、摺動駒21の凸条33及び蟻溝36、保持駒22の凸条38の作用によって、摺動駒21がアンダーカット部P1に対して中心軸線Oに沿って図1の左下方向に移動しアンダーカット部P1から外れる。
【0044】
これにより、成形品Pの突き出し動作が完了すると摺動駒21がアンダーカット部P1から外れ、エジェクタピン111及びホルダー20によって成形品Pが可動側型板108から突き出された状態になる(図3参照)。成形品Pの取出後、次の成形品Pを成形すべく、再度、成形用金型1の型締めが行われる。
【0045】
型締め時には、可動型101全体が図1の上方向に移動するとともに、エジェクタ台板110が図1の下方向に移動する。アンダーカット処理機構10は、エジェクタ台板110の移動に伴い、ホルダー20がホルダー用エジェクタピン12によって可動側型板108に引込まれ、これと同時に、ホルダー20の斜溝30、摺動駒21の凸条33及び蟻溝36、保持駒22の凸条38の作用によって、摺動駒21がホルダー20の斜溝30に沿って移動し、ホルダー20の上面及び摺動駒21の上面が可動側型板108の上面と面一になる。型締めが完了すると、成形材料が射出され次の成形品Pが成形される。
【0046】
以上のように、本実施形態の成形用金型1、アンダーカット処理機構10によれば、摺動駒21及び保持駒22がホルダー20内に設けられた構成において、ホルダー20が成形品Pの型抜き方向に移動することで成形品Pの突き出し、及びアンダーカット部P1の型抜きを行うことができるので、コンパクトに構成可能でありながらアンダーカット部P1を容易に型抜き可能となる。
【0047】
また本実施形態のアンダーカット処理機構10は、摺動駒21及び保持駒22がホルダー20の移動方向に互いに並んで隣接しホルダー20内に設けられているので、設置に必要なスペースが非常に小さく済む。このためアンダーカット処理機構10は、本実施形態の成形用金型1に限らず、他の成形用金型への適用が容易である。
【0048】
また本実施形態の成形用金型1では、成形品Pの突き出し用にエジェクタピン111を用いているが、成形品Pにおけるアンダーカット部P1の形成位置や重量等の条件によってはホルダー20のみで成形品Pの突き出しを行うことも可能であり、成形用金型1のさらなる小型化、低コスト化を図ることも可能である。
【0049】
なお本発明の成形用金型において成形可能な成形品は、アンダーカット部が円筒ボスであるものに限定されるものではない。図6(a)、図6(b)は、本発明のアンダーカット処理機構及び成形用金型で成形可能な成形品の一例を示す斜視図である。本発明の成形用金型のアンダーカット処理機構は、特に、第1実施形態及び図6に示したアンダーカット部P1、P2、P3のように、成形品Pの型抜き方向に対して直交する方向に移動する従来のルーズコアでは型抜き不可能であった、ピン35等の成形部材によって成形される中空部又は空間部を有し縦断面視においてアンダーカット部が突出している面に対して平行な方向に並ぶ複数の突出部を有するアンダーカット部の成形及び型抜きに好適に用いることができる。
【0050】
図7は、本発明の第2実施形態の成形用金型2の型締め時の断面図、図8は、図7の成形用金型2の型開き後の断面図、図9は、図7の成形用金型2の成形品P10の突き出し動作後の断面図、図10は、図7の成形用金型2のアンダーカット処理機構10の斜視図、図11は、図7の成形用金型2のアンダーカット処理機構10の分解斜視図である。
【0051】
図1から図5に示す第1実施形態の成形用金型1と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。第2実施形態の成形用金型2は、第1実施形態の成形用金型1と基本的構成は同じであるが、成形する成形品P10の形状に応じて、アンダーカット処理機構14の構成及び形状が異なる。
【0052】
成形品P10は、型抜き方向に対して交差する方向に突出した円筒ボスであるアンダーカット部P11を有し、アンダーカット部P11の根元に2箇所、アンダーカット部P11とは型抜き可能な方向が異なる、さらに別のアンダーカット部である断面矩形状の孔P12が設けられている。本実施形態の成形用金型2のアンダーカット処理機構14は、このような孔P12を有するアンダーカット部P11を成形可能に、摺動駒が分割式に構成されている。
【0053】
第2実施形態の成形用金型2のアンダーカット処理機構14は、第1実施形態の成形用金型1のアンダーカット処理機構10と同様、可動側型板108に対して摺動可能なホルダー40と、可動側型板108に対して固定された保持駒50と、ホルダー40内に摺動可能に配置された分割式の摺動駒である、第1摺動駒61、第2摺動駒62及び第3摺動駒63とを備える。
【0054】
ホルダー40は、摺動駒を組み込み可能に対称な断面コ字状の2つの半割れの部材によって角筒をなすように構成されており、内面に第1摺動駒61及び第2摺動駒62をガイドする水平溝41、第3摺動駒63をガイドする斜溝42が設けられている。なおホルダー40は、2つの部材からなるが、エジェクタ台板110の移動時には、2つの部材が一体的に移動するように構成されている必要がある。またホルダー40は、3つ以上の部材から構成されてもよい。
【0055】
水平溝41は、アンダーカット部P11及び孔P12を型抜き可能に第1摺動駒61及び第2摺動駒62が移動するように、孔P12の穿孔方向に対して平行に設けられている。つまり孔P12の穿孔方向が水平ではない場合には、水平溝41は、水平ではなく、孔P12の穿孔方向(型抜き可能な方向)に平行に設けられる。
【0056】
斜溝42は、エジェクタ台板110(ホルダー40)の上昇時に第3摺動駒63のピン35がアンダーカット部P11の中空部から抜ける方向に第3摺動駒63が移動するように、アンダーカット部P11の突出方向に対して平行に設けられている。なお斜溝42は、第1実施形態の成形用金型1におけるホルダー20の斜溝31に対応する。
【0057】
保持駒50は、略台形状の切欠が設けられたブロック部材であり、切欠部分の端面には、第1摺動駒61、第2摺動駒62及び第3摺動駒63をそれぞれ摺動自在に係合させて保持する第1凸条51、第2凸条52及び第3凸条53が形成されている。
【0058】
第1凸条51、第2凸条及び第3凸条53は、水平方向(図7の左右方向)及び鉛直方向(図7の上下方向)に対して傾斜している。第1凸条51及び第2凸条の傾斜角度は、エジェクタ台板110のストローク量に応じて、エジェクタ台板110(ホルダー40)の上昇時にアンダーカット部P11が型抜き可能になる位置まで第1摺動駒61及び第2摺動駒62が移動するように決められる。第3凸条53の傾斜角度は、エジェクタ台板110(ホルダー40)の上昇時に第3摺動駒63のピン35がアンダーカット部P11の中空部から抜けるまで第3摺動駒63が移動するように決められている。なお第3凸条53は、第1実施形態の成形用金型1における保持駒22の凸条38に対応する。
【0059】
摺動駒は、アンダーカット部P11の外面を成形する第1摺動駒61及び第2摺動駒62、並びにアンダーカット部P11の中空部を成形する第3摺動駒63からなる。
【0060】
第1摺動駒61及び第2摺動駒62はそれぞれ、成形時にアンダーカット部P11に接する成形面64において、アンダーカット部P11の孔P12を成形するための突起65を有する。本実施形態の成形用金型2のアンダーカット処理機構14は、エジェクタ台板110(ホルダー40)の上昇時に該突起65が孔P12から抜けるように、摺動駒が分割式に構成されている。
【0061】
また第1摺動駒61は、保持駒50の第1凸条51と係合する蟻溝66、ホルダー40の水平溝41に嵌る凸条67を有し、第2摺動駒62は、保持駒50の第2凸条52と係合する蟻溝66、ホルダー40の水平溝41に嵌る凸条67を有する。
【0062】
第1摺動駒61及び第2摺動駒62は、成形面64が互いに対向するように、それぞれ保持駒50の第1凸条51、第2凸条52と係合される。第1摺動駒61及び第2摺動駒62はそれぞれ、エジェクタ台板110の移動時において、係合している第1凸条51又は第2凸条52と、ホルダー40の水平溝41とに沿ってホルダー40に連動して摺動する。
【0063】
第3摺動駒63は、アンダーカット部P11の中空部を成形するためのピン35と、ピン35を挟持し保持駒50の第3凸条53と摺動自在に係合する一対の摺動部材68とからなる。第3摺動駒63は、一対の摺動部材68によってピン35を挟持すると同時に保持駒50の第3凸条53と摺動自在に係合されるように、摺動部材68に蟻溝69が設けられている。また摺動部材68は、ホルダー40の斜溝42に摺動自在に嵌り込む形状に形成されている。
【0064】
次に本実施形態の成形用金型2の作用について説明する。なお第1実施形態の成形用金型1の作用と同じ部分については説明を省略する。成形品P10の成形時にはアンダーカット処理機構14のホルダー40の上面と、第1摺動駒61及び第2摺動駒62の上面とが可動側型板108の上面と面一になって成形品P10(成形材料)に接して成形を行い、第1摺動駒及び第2摺動駒62の成形面64及び第3摺動駒63のピン35が成形品P10のアンダーカット部P11を成形する(図7参照)。成形品P10の成形後、成形用金型1の型開きが行われる(図8参照)。
【0065】
成形用金型2の型開き後、成形品P10の突き出し動作を行う。アンダーカット処理機構14は、エジェクタ台板110の移動に伴い、ホルダー40がホルダー用エジェクタピン12によって可動側型板108の上面から突出し、エジェクタピン111と共に成形品Pを図8の上方向に突き出す。これと同時に、第1摺動駒61がホルダー40の水平溝41及び保持駒50の第1凸条51に沿って摺動し、第2摺動駒62がホルダー40の水平溝41及び保持駒50の第2凸条52に沿って摺動し、第3摺動駒63がホルダー40の斜溝42及び保持駒50の第3凸条53に沿って摺動する。
【0066】
これにより、成形品P10の突き出し動作が完了すると第1摺動駒61、第2摺動駒62及び第3摺動駒63がアンダーカット部P11及び孔P12から外れ、エジェクタピン111及びホルダー40によって成形品P10が取出可能な状態で可動側型板108から突き出された状態になる(図9参照)。成形品Pの取出後、次の成形品Pを成形すべく、再度、成形用金型1の型締めが行われる。
【0067】
型締め時には、エジェクタ台板110の下降に伴いホルダー40がホルダー用エジェクタピン12によって可動側型板108に引込まれ、これと同時に、ホルダー40の水平溝41及び斜溝42、保持駒50の第1凸条51、第2凸条52及び第3凸条53、並びに第1摺動駒61、第2摺動駒62及び第3摺動駒63の蟻溝66、69及び凸条67の作用によって、第1摺動駒61、第2摺動駒62及び第3摺動駒63が引込まれ、ホルダー40の上面と第1摺動駒61及び第2摺動駒62の上面とが可動側型板108の上面と面一になる。型締めが完了すると、成形材料が射出され次の成形品P10が成形される。
【0068】
本実施形態の成形用金型2のアンダーカット処理機構14のように摺動駒を分割式にするとともに各摺動駒を互いに異なる方向に移動可能に構成することで、アンダーカット部P11の孔P12のように、アンダーカット部において、アンダーカット部とは型抜き可能な方向が異なる、さらに別のアンダーカット部を有する成形品の型抜きもホルダーの突き出し動作のみで実現することができる。
【0069】
なお本発明の成形用金型において成形可能な成形品は、本実施形態において示した、アンダーカット部P11に直線状に並んだ2つの孔P12を有する形状であるものに限定されるものではない。例えば、成形品P10のアンダーカット部P11の孔P12が第1摺動駒61側の1つのみである場合には、第2摺動駒62が保持駒50に固定又は一体的に構成されていてもよい。
【0070】
また異なる穿孔方向の孔P12が3つ以上ある場合には、アンダーカット部P11の中空部を形成するピン35を有する摺動駒(第3摺動駒63)とは別に、異なる穿孔方向の孔P12のそれぞれに対応する摺動駒を設ければよい。なお同一穿孔方向の複数の孔P12に対しては、1つの摺動駒で複数の孔P12に対応することも可能である。またアンダーカット部P11が中空部を有しない場合には、ピン35を有する摺動駒(第3摺動駒63)は、保持駒50に固定又は一体的に形成されてもよい。
【0071】
図12図16は、それぞれ、本発明のアンダーカット処理機構及び成形用金型で成形可能な成形品の一例を示す図であり、(a)~(d)が、それぞれ、正面図、側面図、底面図、斜視図である。本発明の成形用金型のアンダーカット処理機構は、図12図14図16に示すような、アンダーカット部P21、P41、P51、P61において、さらに別のアンダーカット部P22、P42、P52、P53、P62を有する成形品P20、P40、P50、P60もホルダーの突き出し動作のみで成形することができる。なお図13に示すアンダーカット部P31を有する成形品P30は、第1実施形態の成形用金型1のアンダーカット処理機構10のような、摺動駒が1つであるアンダーカット処理機構でも成形可能である。
【0072】
図17は、本発明の第3実施形態の成形用金型3の型締め時の断面図、図18は、図17の成形用金型3の型開き後の断面図、図19は、図17の成形用金型3の成形品P10の突き出し動作後の断面図、図20は、図17の成形用金型3のアンダーカット処理機構16の部分分解斜視図である。
【0073】
図7から図11に示す第2実施形態の成形用金型2と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。第3実施形態の成形用金型3は、第2実施形態の成形用金型2と基本的構成は同じであるが、ホルダー40の外側に固定ホルダー70を備える。
【0074】
固定ホルダー70は、ホルダー40を囲むように可動側型板108に固定される。固定ホルダー70は、ホルダー40と同様、組付性を考慮して2つに分割されているが、1つの部材で形成されてもよく、3つ以上の部材で形成されてもよい。
【0075】
本実施形態において、ホルダー40は、外周面において固定ホルダー70に対して摺動し、成形用金型3の可動側型板108に対して摺動しないので、摺動による可動側型板108の摩耗や損傷を回避することができる。
【0076】
図21は、本発明の第4実施形態の成形用金型4の型締め時の断面図、図22は、図21の成形用金型4の型開き後の断面図、図23は、図21の成形用金型4の成形品P10の突き出し動作後の断面図、図24は、図21の成形用金型4のアンダーカット処理機構18の部分分解斜視図である。
【0077】
図7から図11に示す第2実施形態の成形用金型2と同一の構成には同一の符号を付して説明を省略する。第4実施形態の成形用金型4は、第2実施形態の成形用金型2と基本的構成は同じであるが、ホルダー80の側面がテーパ状に形成されている。またこれに応じて成形用金型4の可動側型板108のホルダー80が取付けられている部分がテーパ状に形成されている。該テーパは、型締め時にホルダー80が可動側型板108に引込まれるときの誘込みとして機能し、これによってホルダー80及び可動側型板108の摩耗や損傷が低減される。
【0078】
以上、第1~第4実施形態の成形用金型1、2、3、4を用いて、本発明のアンダーカット処理機構、成形用金型及び成形品を説明したが、本発明のアンダーカット処理機構、成形用金型及び成形品は、上記実施形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で変形して使用することができる。例えば、第1~第4実施形態の成形用金型1、2、3、4の特徴は、構成上可能である限り、組合わせて用いることができる。
【0079】
本発明のアンダーカット処理機構及び成形用金型において、保持駒及び摺動駒は、1つの部材で形成されているものに限定されるものではなく、複数の部材で構成されてもよく、複数の部材で構成される場合には、例えば、ボルトやノックピン等を介して結合されてもよく、ボルトやノックピン等を使用せずに接合されてもよい。なおこれは、保持駒及び摺動駒に限らず、成形用金型の各構成要素において同様である。
【0080】
また第1実施形態の成形用金型1において、ホルダー20及び摺動駒21の規制手段は、蟻溝及び凸条であってもよく、この場合、ホルダー20に蟻溝、摺動駒21に凸条が設けられていてもよく、ホルダー20に凸条、摺動駒21に蟻溝が設けられていてもよい。同様に摺動駒21及び保持駒22の規制手段は、摺動駒21に凸条、保持駒22に蟻溝が設けられていてもよい。第2~第4実施形態の成形用金型2、3、4においても同様である。
【0081】
また第1実施形態の成形用金型1において、互いに係合する斜溝30と凸条33、及び蟻溝36と凸条38は、係合部の断面形状が図に示した矩形であるもの限定されるものではなく、係合部の断面が円形、三角形等であるものであってもよい。また本発明のアンダーカット処理機構において、ホルダー20、摺動駒21及び保持駒22の規制手段は、斜溝30、凸条33、38、蟻溝36に限定されるものではなく、例えば、リニアガイド等を用いてもよい。第2~第4実施形態の成形用金型2、3、4においても同様である。
【0082】
また本発明の成形用金型において、複数のアンダーカット処理機構を設けることも可能である。つまり本発明のアンダーカット処理機構及び成形用金型によれば、複数の円筒ボスのようなアンダーカット部を有する成形品の成形及び型抜きを行うことも可能である。また各アンダーカット部の突出方向、つまり型抜き可能な方向が異なる場合には、各アンダーカット処理機構において、それぞれ、対応するアンダーカット部を型抜き可能にホルダー、摺動駒、保持駒の斜溝、蟻溝、凸条等の規制手段の傾斜角度を適宜、設定すればよい。
【0083】
また第2~第4実施形態の成形用金型2、3、4において、第1摺動駒61及び第2摺動駒62が図の左右方向に摺動するように示されているが、これに限定されるものではなく、例えば、図の前後(奥行)方向に摺動するように構成することも当然に可能である。
【0084】
また本発明のアンダーカット処理機構及び成形用金型において、各構成部材の角及び側稜にR面取りやC面取り等が施されていてもよい。
【0085】
また本発明のアンダーカット処理機構及び成形用金型に使用される各構成部材の材質は、特定の材質に限定されるものではなく、公知のアンダーカット処理機構及び成形用金型に使用される部材の材質と同様のものを適宜用いればよい。ただし各構成部材における摺動面は、摺動性の良好な材質又は摺動性の良好な表面処理が施された材料を用いることが好ましい。なお各摺動面は、面接触であるものに限定されるものではなく、線接触や点接触であってもよい。
【0086】
また本発明のアンダーカット処理機構は、水平、垂直又はその他の方向に開閉する成形用金型に適用可能である。
【0087】
また本発明のアンダーカット処理機構及び成形用金型は、射出成形金型以外にダイカスト金型のようなモールド金型、モールドプレス成形金型などに好適に使用することができる。
【0088】
以上のとおり、図面を参照しながら好適な実施形態を説明したが、当業者であれば、本明細書を見て、自明な範囲内で種々の変更及び修正を容易に想定するであろう。従って、そのような変更及び修正は、請求の範囲から定まる発明の範囲内のものと解釈される。
【符号の説明】
【0089】
1、2、3、4 成形用金型
10、14、16、18 アンダーカット処理機構
20、40、70、80 ホルダー
21 摺動駒
22、50 保持駒
30、42 斜溝
33、38、67 凸条
35 ピン
36、66、69 蟻溝
41 水平溝
51 第1凸条
52 第2凸条
53 第3凸条
61 第1摺動駒
62 第2摺動駒
63 第3摺動駒
70 外ホルダー
P、P10、P20、P30、P40、P50、P60 成形品
P1、P2、P3、P11、P21 アンダーカット部
P31、P41、P51、P61 アンダーカット部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
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図24