(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】吊下げ支持具
(51)【国際特許分類】
A47G 29/00 20060101AFI20220112BHJP
D06F 57/00 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
A47G29/00 C
A47G29/00 B
D06F57/00 Z
(21)【出願番号】P 2018050537
(22)【出願日】2018-03-19
【審査請求日】2020-09-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000100850
【氏名又は名称】株式会社アイセン
(74)【代理人】
【識別番号】100154726
【氏名又は名称】宮地 正浩
(72)【発明者】
【氏名】理塀 方一
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】実開昭57-058397(JP,U)
【文献】実開昭51-061029(JP,U)
【文献】実開昭58-169888(JP,U)
【文献】実開平02-142291(JP,U)
【文献】特開2007-268083(JP,A)
【文献】特開平10-024198(JP,A)
【文献】特開昭52-086857(JP,A)
【文献】特開2003-111995(JP,A)
【文献】特開2000-287820(JP,A)
【文献】実公昭39-017181(JP,Y1)
【文献】実開昭49-017529(JP,U)
【文献】実開昭63-117477(JP,U)
【文献】実開昭58-000787(JP,U)
【文献】国際公開第02/040763(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G29/00
D06F57/00-57/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗濯物を収納可能な収納器に設けられている一対の把持部を被吊下げ部に脱着自在に吊下げ支持する吊下げ支持具であって、
前記被吊下げ部に脱着自在に吊下げ支持される吊下げ支持体と、前記吊下げ支持体の下部側から二股状に分岐形成される一対の分岐支持体と、を有し、前記両分岐支持体には、前記収納器の前記両把持部に個別に係止可能な一対のフックが、背中合わせ可能な逆向き姿勢で設けられ
、
前記両分岐支持体は、前記吊下げ支持体の下端部を揺動支点として前記両フックの背中合わせ方向に開閉自在に構成され、
前記両フックは、それらの背面同士を合わせた背中合わせ姿勢と背中合わせ方向で離間した分離姿勢とに変更自在に構成され、
前記両フックを前記背中合わせ姿勢で脱着自在に保持する姿勢保持手段が設けられている吊下げ支持具。
【請求項2】
洗濯物を収納可能な収納器に設けられている一対の把持部を被吊下げ部に脱着自在に吊下げ支持する吊下げ支持具であって、
前記被吊下げ部に脱着自在に吊下げ支持される吊下げ支持体と、前記吊下げ支持体の下部側から二股状に分岐形成される一対の分岐支持体と、を有し、前記両分岐支持体には、前記収納器の前記両把持部に個別に係止可能な一対のフックが、背中合わせ可能な逆向き姿勢で設けられ、
前記両フックをそれらの背面同士を合わせた背中合わせ姿勢で脱着自在に保持する姿勢保持手段が設けられ
、
前記両フックの基部の各々は、収納凹部を備えた扁平板状部と、該扁平板状部の収納凹部を閉止する蓋部と、を有し、前記各フックの扁平板状部の収納凹部の内面と前記蓋部の内面との少なくとも一方には、前記姿勢保持手段を構成する磁着可能な磁石と磁性体を個別に保持する保持部が設けられている吊下げ支持具。
【請求項3】
洗濯物を収納可能な収納器に設けられている一対の把持部を被吊下げ部に脱着自在に吊下げ支持する吊下げ支持具であって、
前記被吊下げ部に脱着自在に吊下げ支持される吊下げ支持体と、前記吊下げ支持体の下部側から二股状に分岐形成される一対の分岐支持体と、を有し、前記両分岐支持体には、前記収納器の前記両把持部に個別に係止可能な一対のフックが、背中合わせ可能な逆向き姿勢で設けられ、
前記両分岐支持体は、可撓性を有する帯状の分岐ベルトを備え、前記両分岐ベルトの下端部は、前記両フックの基部に幅方向に沿って貫通形成されている横長の係止孔に挿通状態で止着され、前記両分岐ベルトの分岐側端部は、前記吊下げ支持体の下端部に設けた横長の連結リングに挿通状態で開閉自在に止着され、
前記吊下げ支持体は、可撓性を有する帯状の吊下げ支持ベルトを備え、該吊下げ支持ベルトの一端部は、前記連結リングに挿通状態で止着され、前記吊下げ支持ベルトの他端側の一側面には、係止側の第1面ファスナーが設けられ、前記吊下げ支持ベルトの他側面には、前記連結リングに挿通された前記吊下げ支持ベルトの他端側の前記第1面ファスナーと係脱自在な被係止側の第2面ファスナーが設けられている吊下げ支持具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯物を収納可能な収納器に設けられている一対の把持部を被吊下げ部に脱着自在に吊下げ支持する吊下げ支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
上述の吊下げ支持具は、洗濯物を収納した洗濯籠等の収納器を物干し竿(物干しポール)等の被吊下げ部に吊下げ支持することができるので、収納器内の洗濯物を無理のない立ち姿勢で容易に取り出すことができる。そのため、例えば、床に載置した収納器から洗濯物を取り出す場合に比較して、幾度となく腰、膝を折り曲げることによる身体的負担を軽減することができる。
【0003】
この種の吊下げ支持具として、例えば、特許文献1に開示されている洗濯籠支持具が存在する。この洗濯籠支持具は、三角形の一辺を水平にして上部側に配置する環状フレームと、該環状フレームの上側水平フレーム部の両端部に取付けられ、且つ、物干し竿に沿って転動可能な状態で着脱自在に係止保持される一対の転動輪と、環状フレームの下端部に連結される伸縮自在な伸縮パイプと、を有する。伸縮パイプの下部パイプの下端部には、洗濯籠(収納器の一例)の一つの取手(把持部の一例)を二点支持する二股状のフックが、同じ方向に向けた同一向き姿勢で固着されている。
洗濯籠の取手は、上方広がりの四角錐台状に成形された籠本体の短辺側の両側壁の中央位置に亘って取付けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の洗濯籠支持具では、伸縮パイプの下端部に二股状のフックが同一向き姿勢で固着されているため、例えば、洗濯籠の中央位置に取付けられている一つの取手を安定良く係止することができ、且つ、籠本体の保形性を利用して洗濯籠の上部開口を広く開いた状態に維持することができる。しかし、柔軟性のある籠本体の開口縁部の相対向する部位に一対の取手が設けられている洗濯籠の場合では、洗濯籠の両取手を互いに引き寄せ、その引き寄せられた両取手に対して同一向き姿勢の両フックを同時に係止する使用形態となる。そのため、洗濯籠の両取手の引き寄せに伴って籠本体の開口縁部が閉じ側に変形し、洗濯籠の上部開口面積の減少によって、洗濯籠内の洗濯物の取出しに手間取る不都合がある。
【0006】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、一対の把持部を備えた柔軟性のある収納器であっても、収納器の上部開口を広く開いた状態に維持した状態で被吊下げ部に安定良く吊下げ支持することができ、且つ、非使用時にはコンパクトに保管することのできる吊下げ支持具を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1特徴構成は、洗濯物を収納可能な収納器に設けられている一対の把持部を被吊下げ部に脱着自在に吊下げ支持する吊下げ支持具であって、
前記被吊下げ部に脱着自在に吊下げ支持される吊下げ支持体と、前記吊下げ支持体の下部側から二股状に分岐形成される一対の分岐支持体と、を有し、前記両分岐支持体には、前記収納器の前記両把持部に個別に係止可能な一対のフックが、背中合わせ可能な逆向き姿勢で設けられている点にある。
【0008】
上記構成によれば、例えば、一対の把持部を備えた柔軟性のある収納器を被吊下げ部に吊下げ支持する場合、吊下げ支持体を被吊下げ部に吊下げ支持させ、この吊下げ支持体の下部側から二股状に分岐形成されている一対の分岐支持体のフックを、収納器の両把持部に個別に係止する。このとき、一対のフックが逆向き姿勢で設けられているため、収納器の両把持部に対する両フックの係止位置が背中合わせ方向で離間する。これにより、両フックに係止された収納器の両把持部の間隔が拡がるため、収納器の上部開口を広く開いた状態に維持しながら安定良く吊下げ支持することができる。
また、一つの把持部が設けられている保形性のある収納器の場合は、逆向き姿勢にある両フックの一方を収納器の把持部に係止することにより、収納器を被吊下げ部に安定良く吊下げ支持することができる。
さらに、非使用時には、両フックを背中合わせにすることにより、吊下げ支持具をコンパクトに構成することができる。
したがって、例え、一対の把持部を備えた柔軟性のある収納器であっても、収納器の上部開口を広く開いた状態に維持した状態で被吊下げ部に安定良く吊下げ支持することができるので、収納器内の洗濯物をスムーズに取り出すことができる。しかも、非使用時には、吊下げ支持具をコンパクトに保管することができる。
【0009】
本発明の第2特徴構成は、前記両フックをそれらの背面同士を合わせた背中合わせ姿勢で脱着自在に保持する姿勢保持手段が設けられている点にある。
【0010】
上記構成によれば、姿勢保持手段により、両フックをそれらの背面同士を合わせたコンパクトな背中合わせ姿勢と、姿勢保持手段の保持力を解除して両フックを分離した分離姿勢と、を自由に択一的に現出することができるので、使用形態及び保管形態の選択肢を拡大することができる。
【0011】
本発明の第3特徴構成は、前記両フックの基部の各々は、収納凹部を備えた扁平板状部と、該扁平板状部の収納凹部を閉止する蓋部と、を有し、前記各フックの扁平板状部の収納凹部の内面と前記蓋部の内面との少なくとも一方には、前記姿勢保持手段を構成する磁着可能な磁石と磁性体を個別に保持する保持部が設けられている点にある。
【0012】
上記構成によれば、両フックの基部の構成部材である扁平板状部同士を、それらの収納凹部内の保持部に個別に保持された磁石と磁性体とによる磁着作用によって背中合わせ姿勢に保持することができる。これにより、例えば、両フックの基部同士をねじ止め構造や嵌合構造で背中合わせ姿勢に脱着自在に保持する場合に比較して、フックの基部同士の背中合わせ姿勢への接合操作や分離操作を迅速、容易に行うことができる。
しかも、磁石及び磁性体を個別に収納する両扁平板状部の収納凹部は蓋部で閉止することができるので、吊下げ支持具の外観意匠性を高めることができる。
【0013】
本発明の第4特徴構成は、前記両分岐支持体は、帯状の可撓性を有する分岐ベルトを備え、前記両分岐ベルトの下端部は、前記両フックの基部に幅方向に沿って貫通形成されている横長の係止孔に挿通状態で止着され、前記両分岐ベルトの分岐側端部は、前記吊下げ支持体の下端部に設けた横長の連結リングに挿通状態で開閉自在に止着されている点にある。
【0014】
上記構成によれば、例えば、一対の把持部を備えた柔軟性のある収納器を被吊下げ部に吊下げ支持する場合、吊下げ支持体を被吊下げ部に吊下げ支持させ、この吊下げ支持体の下部側から二股状に分岐形成された一対の分岐ベルトのフックを、収納器の両把持部に個別に係止する。このとき、一対のフックが逆向き姿勢で設けられているため、収納器の両把持部に対する両フックの係止位置が背中合わせ方向で離間する。さらに、一対の分岐ベルトは、吊下げ支持体の下端部の連結リングに挿通状態で開閉自在に止着されているため、収納器自体の保形力、又は、収納器自体の保形力と収納した洗濯物の押し開き力によって、両分岐ベルトは開き揺動する。これにより、両フックに係止された収納器の両把持部の間隔が大きく拡がるため、収納器の上部開口をより広く開いた状態に維持しながら安定良く吊下げ支持することができる。
【0015】
しかも、帯状の可撓性を有する両分岐ベルトの下端部は、両フックの基部に幅方向に沿って貫通形成されている横長の係止孔に挿通状態で止着され、両分岐ベルトの分岐側端部は、吊下げ支持体の下端部に設けた横長の連結リングに挿通状態で止着されている。そのため、一対の分岐ベルトが外力でねじり側に撓み変形しても、その外力が解除されると、両分岐ベルトの復元力と係止孔及び連結リングの向き姿勢規制作用とによって、一対のフックは逆向き姿勢となる状態にスムーズに復帰する。これにより、被吊下げ部に吊下げ支持された吊下げ支持具の両フックに対する収納器の両把持部の係止作業を容易に行うことができる。
【0016】
本発明の第5特徴構成は、前記吊下げ支持体は、可撓性を有する帯状の吊下げ支持ベルトを備え、該吊下げ支持ベルトの一端部は、前記連結リングに挿通状態で止着され、前記吊下げ支持ベルトの他端側の一側面には、係止側の第1面ファスナーが設けられ、前記吊下げ支持ベルトの他側面には、前記連結リングに挿通された前記吊下げ支持ベルトの他端側の前記第1面ファスナーと係脱自在な被係止側の第2面ファスナーが設けられている点にある。
【0017】
上記構成によれば、吊下げ支持具の吊下げ支持体を被吊下げ部に吊下げ支持するとき、帯状の吊下げ支持ベルトを被吊下げ部に逆「U」字状に掛止する。掛止された吊下げ支持ベルトの他端部を、吊下げ支持ベルトの一端部に止着されている連結リングに挿通する。挿通された吊下げ支持ベルトの他端側の一側面に設けられている第1面ファスナーを、吊下げ支持ベルトの他側面に設けられている第2面ファスナーに係止する。これにより、吊下げ支持されている収納器に対して洗濯物の取出し時に下向きの外力が加えられても、この外力は、被吊下げ部と連結リングとの間の吊下げ支持ベルトで受け止めることができ、第1面ファスナーと第2面ファスナーとの係止解除を抑制することができる。
さらに、第1面ファスナーと第2面ファスナーとの係合位置を吊下げ支持ベルトの長手方向で変更することにより、被吊下げ部に対する収納器の吊下げ高さ位置を使用者の体格等に適した位置に自由に調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1~
図3は、物干し竿(物干しポール)等の被吊下げ部3に対して、洗濯物を収納可能な収納器1に設けられている一対の把持部2を脱着自在に吊下げ支持することが可能な吊下げ支持具Aを示す。
収納器1としては、従来から種々の形態のものが存在し、そのいずれの形態の収納器1も使用可能である。本実施形態では、収納器1の一例として、
図1に示すように、周壁が格子状に形成された籠本体11の上側開口部で、且つ、相対向する長辺側の開口縁に把持部2としての取手12が一体成形されている柔軟性のある合成樹脂製の洗濯籠13を用いている。
【0020】
吊下げ支持具Aは、
図1~
図3に示すように、被吊下げ部3に脱着自在に吊下げ支持される吊下げ支持体4と、吊下げ支持体4の下部側から二股状に分岐形成される揺動開閉可能な一対の分岐支持体5と、を有する。両分岐支持体5には、
図1に示すように、洗濯籠13の両取手12に個別に係止可能な一対のフック6が、背中合わせ可能な逆向き姿勢で設けられている。
図4、
図5に示すように、両フック6をそれらの背面同士を合わせた背中合わせ姿勢で脱着自在に保持する姿勢保持手段7が設けられている。
【0021】
両フック6の各々は、
図1~
図3に示すように、五角形の輪郭形状に形成された基部6Aと、該基部6Aの下端部から前面側に略「U」の字状に延出されるフック部6Bと、を備える。両フック6の基部6Aの各々は、
図4、
図5に示すように、フック部6Bの延出側に開口する収納凹部61を備えた合成樹脂製の扁平板状部62と、該扁平板状部62の収納凹部61を閉止する合成樹脂製の蓋部63と、を有する。各フック6における扁平板状部62の収納凹部61の内面と蓋部63の内面との相対向する部位には、姿勢保持手段7を構成する磁着可能な同一輪郭形状の永久磁石71と磁性体72とを択一的に嵌合状態で装着可能な保持筒64a,64bが形成されている。各対の扁平板状部62側の保持筒64aと蓋部63側の保持筒64bとをもって、永久磁石71と磁性体72を個別に脱着自在に保持する保持部64が構成されている。
蓋部63側の保持筒64bの保持高さは、扁平板状部62側の保持筒64aの保持高さよりも大に構成され、両保持筒64a,64b間で保持される永久磁石71又は磁性体72の保持位置は、扁平板状部62の厚み方向中央位置よりも背面側に偏位した位置に設定されている。
本実施形態では、永久磁石71は円柱状に構成され、磁性体72は円柱状の鉄片から構成されている。
【0022】
また、各扁平板状部62の上部には、
図4、
図5に示すように、幅方向に沿う横長矩形状の係止孔65が貫通形成されている。各扁平板状部62の係止孔65には、分岐支持体5を構成する後述の分岐ベルト51の下端部が挿通状態で止着される。
【0023】
両蓋部63の各々は、
図4、
図5に示すように、扁平板状部62の収納凹部61内に内嵌する周壁63aを備える。各蓋部63の周壁63aにおける周方向の二箇所には、これに対応する収納凹部61の内壁面61aに形成した係合凹部66に係合する係合爪67が形成されている。各蓋部63の係合爪67は、扁平板状部62の収納凹部61に対して蓋部63が所定の閉止位置にまで押し込み装着されたとき、収納凹部61の内壁面61aの係合凹部66に係合する。そのため、各蓋部63を扁平板状部62の収納凹部61に押し込み装着する前に、両扁平板状部62側の保持筒64a又は両蓋部63側の保持筒64bに永久磁石71と磁性体72を個別に装着する。
【0024】
上述の構成により、
図2、
図3に示すように、両フック6の基部6Aの構成部材である扁平板状部62同士を、それらの収納凹部61内の保持部64に個別に保持された永久磁石71と磁性体72とによる磁着作用によって背中合わせ姿勢に保持することができる。これにより、例えば、両フック6の基部6A同士をねじ止め構造や嵌合構造で背中合わせ姿勢に脱着自在に保持する場合に比較して、フック6の基部6A同士の背中合わせ姿勢への接合操作や分離操作を迅速、容易に行うことができる。しかも、永久磁石71及び磁性体72を個別に収納する両扁平板状部62の収納凹部61は蓋部63で閉止することができるので、吊下げ支持具Aの外観意匠性を高めることができる。
【0025】
両分岐支持体5の各々は、
図1~
図3に示すように、可撓性を有する帯状の繊維製の分岐ベルト51を備えている。両分岐ベルト51の下端部は、両フック6の基部6Aの係止孔65に挿通状態で止着され、両分岐ベルト51の分岐側端部は、吊下げ支持体4の下端部に設けた横長矩形状の連結リング8に挿通状態で止着されている。
【0026】
両分岐ベルト51は、
図3に示すように、一本の繊維製ベルトを吊下げ支持体4の連結リング8に挿通し、連結リング8との接触位置を折り曲げ起点として繊維製ベルトを長手方向中央位置で二つ折にし、且つ、その折り返し位置に近い部位を幅方向に沿って縫着S1(接合手段の一例)することにより構成されている。そのため、両分岐ベルト51は、吊下げ支持体4の連結リング8周りで回動自在であり、且つ、幅方向に沿った縫着S1部位を揺動支点として両フック6の背中合わせ方向に開閉自在に構成されている。
【0027】
各分岐ベルト51の下端部は、
図3~
図5に示すように、フック6の基部6Aの係止孔65に挿通された通過側の第1ベルト部分51Aと挿通前の第2ベルト部分51Bとを重合配置して構成されている。この重合配置された第1ベルト部分51Aと第2ベルト部分51Bとは、ベルト長手方向の複数位置で幅方向に沿って縫着S2(接合手段の一例)されている。この縫着S2により、第1ベルト部分51Aと第2ベルト部分51Bとの折り返し部分は、係止孔65の上方側を区画する扁平板状部62の横桟部分62Aが余裕をもって回動自在な大きさの筒状に構成されている。
【0028】
そして、
図1に示すように、例えば、一対の取手12を備えた柔軟性のある洗濯籠13を物干し竿等の被吊下げ部3に吊下げ支持する場合、先ず、吊下げ支持体4を被吊下げ部3に吊下げ支持させ、この吊下げ支持体4の下部側から二股状に分岐形成された一対の分岐ベルト51のフック6を、洗濯籠13の両取手12に個別に係止する。このとき、一対のフック6が逆向き姿勢で設けられているため、洗濯籠13の両取手12に対する両フック6の係止位置が背中合わせ方向で離間する。さらに、一対の可撓性の分岐ベルト51は、吊下げ支持体4の下端部の連結リング8に挿通状態で揺動開閉自在に止着されているため、洗濯籠13自体の保形力、又は、洗濯籠13自体の保形力と収納した洗濯物の押し開き力によって、両分岐ベルト51は開き揺動する。これにより、両フック6に係止された洗濯籠13の両取手12の間隔が大きく拡がるため、洗濯籠13の上部開口をより広く開いた状態に維持しながら安定良く吊下げ支持することができる。
【0029】
しかも、帯状の可撓性を有する両分岐ベルト51の下端部は、両フック6の基部6Aに幅方向に沿って貫通形成されている横長矩形状の係止孔65に挿通状態で止着され、両分岐ベルト51の分岐側端部は、吊下げ支持体4の下端部に設けた横長矩形状の連結リング8に挿通状態で止着されている。そのため、一対の分岐ベルト51が外力でねじり側に撓み変形しても、その外力が解除されると、両分岐ベルト51の復元力と係止孔65及び連結リング8の向き姿勢規制作用とによって、一対のフック6が逆向き姿勢となる状態にスムーズに復帰する。これにより、被吊下げ部3に吊下げ支持された吊下げ支持具Aの両フック6に対する洗濯籠13の両取手12の係止作業を容易に行うことができる。
【0030】
吊下げ支持体4は、
図1~
図3に示すように、可撓性を有する帯状の繊維製の吊下げ支持ベルト41を備えている。吊下げ支持ベルト41の一端部は、両分岐ベルト51の分岐側端部の連結リング8に挿通状態で止着されている。詳しくは、吊下げ支持ベルト41の一端部は、連結リング8に挿通された通過側の第3ベルト部分41Aと挿通前の第4ベルト部分41Bとを重合配置して構成されている。この重合配置された第3ベルト部分41Aと第4ベルト部分41Bとは、ベルト長手方向の複数位置で幅方向に沿って縫着S3(接合手段の一例)されている。
【0031】
吊下げ支持ベルト41の他端側の一側面41aには、
図1~
図3に示すように、係止側の第1面ファスナー42が設けられている。吊下げ支持ベルト41の他側面41bには、
図1~
図3に示すように、連結リング8に挿通された吊下げ支持ベルト41の他端側の第1面ファスナー42と係脱自在な被係止側の第2面ファスナー43が設けられている。
第2面ファスナー43は、吊下げ支持ベルト41の全長の約半分に相当する長尺寸法に構成されている。第1面ファスナー42は、第2面ファスナー43の全長の半分以下の短尺寸法に構成されている。
【0032】
そして、
図1に示すように、吊下げ支持具Aの吊下げ支持体4を被吊下げ部3に吊下げ支持するとき、帯状の吊下げ支持ベルト41を被吊下げ部3に逆「U」字状に掛止する。掛止された吊下げ支持ベルト41の他端部を、吊下げ支持ベルト41の一端部に止着されている連結リング8に挿通する。挿通された吊下げ支持ベルト41の他端側の一側面41aに設けられている第1面ファスナー42を、吊下げ支持ベルト41の他側面41bに設けられている第2面ファスナー43に係止する。これにより、吊下げ支持されている洗濯籠13に対して洗濯物取出し時に下向きの外力が加えられても、この外力は、被吊下げ部3と連結リング8との間の吊下げ支持ベルト41で受け止めることができ、第1面ファスナー42と第2面ファスナー43との係止解除を抑制することができる。
さらに、第1面ファスナー42と第2面ファスナー43との係合位置を吊下げ支持ベルト41の長手方向で変更することにより、被吊下げ部3に対する洗濯籠13の吊下げ高さ位置を使用者の体格等に適した位置に自由に調節することができる。
【0033】
上述の実施形態では、一対の取手12を備えた洗濯籠13を例に挙げて説明したが、本発明の吊下げ支持具Aは、一つの把持部2を備えた収納器1でも使用することができる。この場合、収納器1の単一の把持部2に対して一方のフック6を係止する使用形態と、両分岐ベルト51の可撓性を利用して両フック6を同じ向き姿勢に変更し、同じ向き姿勢の両フック6を収納器1の単一の把持部2に同時に係止する使用形態とを選択することができる。
【0034】
〔その他の実施形態〕
(1)上述の実施形態では、両分岐ベルト51を、吊下げ支持体4の連結リング8に挿通した一本の繊維製ベルトの両側部分で構成したが、吊下げ支持体4の連結リング8にそれぞれ揺動自在に取付けられた各別の繊維製ベルトから構成してもよい。
【0035】
(2)上述の実施形態では、両分岐支持体5を、可撓性を有する帯状の繊維製の分岐ベルト51から構成したが、ベルト以外のロープや鎖状体、紐状体等から構成してもよい。
【0036】
(3)上述の実施形態では、両分岐ベルト51を、可撓性を有する帯状の繊維製の分岐ベルト51から構成したが、吊下げ支持体4の連結部位に揺動開閉自在に連結される非可撓性部材から構成してもよい。
【0037】
(4)上述の実施形態では、第1面ファスナー42と第2面ファスナー43を、吊下げ支持ベルト41の両側面41a,41bに設けたが、吊下げ支持ベルト41の一側面41a又は他側面41bに設けてもよい。この場合、吊下げ支持ベルト41を被吊下げ部3に回し掛けてループ状に巻回し、その巻回状態で重合する吊下げ支持ベルト41の一側面41a又は他側面41bの両面ファスナー42,43同士を係合することになる。
尚、面ファスナーの代わりにボタンやホック等の止め金具を用いてもよい。
【0038】
(5)上述の実施形態では、吊下げ支持体4を、可撓性を有する帯状の繊維製の吊下げ支持ベルト41から構成したが、ベルト以外のロープや鎖状体、紐状体等から構成してもよい。
さらに、吊下げ支持体4を、物干し竿等の被吊下げ部3に対して脱着自在に挾持する挾持具や被吊下げ部3に対して脱着自在に掛止する掛止具等から構成してもよい。
【0039】
(6)上述の実施形態では、磁性体72を鉄片から構成したが、永久磁石で構成してもよい。
【符号の説明】
【0040】
1 収納器
2 把持部
3 被吊下げ部
4 吊下げ支持体
5 分岐支持体
6 フック
6A 基部
7 姿勢保持手段
8 連結リング
41 吊下げ支持ベルト
41a 一側面
41b 他側面
42 第1面ファスナー
43 第2面ファスナー
51 分岐ベルト
61 収納凹部
62 扁平板状部
63 蓋部
64 保持部
65 係止孔
71 磁石(永久磁石)
72 磁性体