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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】食器の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A47G 19/02 20060101AFI20220112BHJP
【FI】
A47G19/02 B
A47G19/02 E
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2019549268
(86)(22)【出願日】2018-10-15
(86)【国際出願番号】 JP2018038322
(87)【国際公開番号】W WO2019078158
(87)【国際公開日】2019-04-25
【審査請求日】2020-04-16
(31)【優先権主張番号】P 2017213217
(32)【優先日】2017-10-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】517385863
【氏名又は名称】有限会社セクトコンサルタント
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】工藤 理瑛
【審査官】石井 茂
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-283800(JP,A)
【文献】ネコ醤油皿,日本,Amazon,2017年06月04日,https://www.amazon.co.jp/%E3%82%A2%E3%83%AB%E3%82%BF-%E3%83%8D%E3%82%B3%E9%86%A4%E6%B2%B9%E7%9A%BF%E3%80%8A6%E6%9E%9A%E3%82%BB%E3%83%83%E3%83%88%E3%80%8B-%E5%85%A8%E7%A8%AE%E5%90%841/dp/B071WJNNFV/ref=sr_1_7?s=home&ie=UTF8&qid=1540440141&sr=1-7&keywo
【文献】OD 18-8 プリンカップ パンダ/62-6559-9,日本,Amazon,2009年02月25日,https://www.amazon.co.jp/OD-18-8-%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%97-%E3%83%91%E3%83%B3%E3%83%80-62-6559-94/dp/B001U1G26O/ref=sr_1_2?s=home&ie=UTF8&qid=1540453739&sr=1-2&keywords=%E3%83%97%E3%83%AA%E3%83%B3%E3%82%AB%E3%83%83%E3%83%
【文献】初だじゃれ (4),Rakuten BLOG,2007年06月14日,https://plaza.rakuten.co.jp/takataka117/diary/200706140000/
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G 19/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹凸面を底部に有し、上記凹凸面とは異なる色の液体が注がれる食器の製造方法において、
上記凹凸面の色と、上記凹凸面が透けない深さで上記食器に注がれた上記液体の色との差を複数分割したカラーチャートを作成し、
上記食器に注がれた上記液体の深さを変化させた時の濃淡度を上記カラーチャートから求め、
上記カラーチャートから求めた上記液体の濃淡度と、上記食器に注がれた上記液体の深さとの関係を示すグラフを作成し、
上記グラフに基づいて、上記液体の濃淡度と上記液体の深さとの相関関係を求め、
上記凹凸面の最大高さと最大深さとの範囲を、上記グラフ及び上記相関関係に基づいて求め、
元画像の明度情報を元に白が最も浅く、黒が最も深くなるように、上記元画像の明度に対応した深さの上記凹凸面を、上記範囲内で上記底部に形成する食器の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の食器の製造方法において、
上記元画像の明度に対応した深さの上記凹凸面を、上記範囲内で型に形成し、
上記型の上記凹凸面を上記食器の材料に転写する食器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、紙以外において写真のような高階調でかつ複雑な明度情報を持つ画像を表現する場合は、いわゆるUVプリンター等のように、立体物に対して印刷が可能な特殊な印刷機を使用するか、水圧転写のように予め用意されたシールやステッカーを立体物に貼り付ける方法が一般的である。
【0003】
また、素材がガラスや金属等のように硬質なものである場合には、彫刻機等を用いた点描によって素材表面に画像を生成することも一般的に行われている。
【0004】
また、食品に対して画像を付加しようとする場合、例えば特許文献1に開示されているように、レーザー光を可食部に至らないように食品に照射して凹凸面を形成し、この凹凸面に可食性インクによって彩色を施す方法が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2018-38382号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、UVプリンター等のような特殊な印刷機を使用する場合、印刷対象物が印刷に適した形状、素材でなければならず、例えば水分を多く含む食品や、柔らかい食品に使用することは困難である。また、シールやステッカーを貼り付ける場合も、水分を多く含む食品や、柔らかい食品では困難である。
【0007】
また、彫刻機等で点描表現する場合、細かな点が再現可能な硬質な素材でなければならず、柔らかい食品に使用することは困難である。また、そのような微細な加工が施されたものを量産するのは困難である。
【0008】
また、特許文献1の方法の場合、レーザー光を照射するのは可食部以外の部分であり、可食部に画像を生成することはできない。さらに、可食性インクによる彩色は、健康イメージの悪化を招く場合があり、一部の企業や消費者からは敬遠されることがある。
【0009】
また、食品以外でも、高階調の明度を持つ画像を容易に生成したいという要求がある。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、特殊な印刷機や彫刻機、レーザー光照射機等を使用することなく、高階調の明度を持つ画像を物品に生成することができるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、第1の発明では、画像を物品に生成する型において、元画像の明度に対応して深さが変化し、かつ、前記物品の色とは異なる色に着色された光透過性を有する着色材料によって覆われる凹凸面を備えていることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、例えば、元画像の明度が低ければ低いほど深くなるような凹凸面や、元画像の明度が高ければ高いほど深くなるような凹凸面を物品に形成することが可能になる。そして、着色材料によってこの凹凸面を覆うと、着色材料が光透過性を有しているので、深い部分と浅い部分とで色が相違して見える。この色の相違は、元画像の明度に対応しており、例えば、元画像の明度が低い部分が濃い色となり、元画像の明度が高い部分が薄い色となることで、凹凸面の深さに応じて高階調なグラデーションも表現でき、高精細な画像が得られる。
【0013】
つまり、部位によって深さが変化した凹凸面を物品に形成し、着色材料によってこの凹凸面を覆うようにしたことで、特殊な印刷機や彫刻機、レーザー光照射機等を使用することなく、高階調の明度を持つ画像を物品に生成することができる。尚、物品には、食器、食品用容器、食品等が含まれる。
【0014】
第2の発明は、前記凹凸面は、前記元画像の明度が低ければ低いほど深くなるように構成されていることを特徴とする。
【0015】
例えば、着色材料の色が物品の色よりも濃い場合には、元画像の明度が低ければ低いほど深くなる凹部を設けることで、深い部分の色が濃く見えることになる。これにより、元画像の明度と色の濃さとが対応した関係になる。
【0016】
第3の発明は、前記凹凸面は、前記元画像の明度が高ければ高いほど深くなるように構成されていることを特徴とする。
【0017】
例えば、着色材料の色が物品の色よりも薄い場合には、元画像の明度が高ければ高いほど深くなる凹部を設けることで、深い部分の色が濃く見えることになる。これにより、元画像の明度と色の濃さとが対応した関係になる。
【0018】
第4の発明は、第1から3のいずれか1つの型を底部に有することを特徴とする食器である。
【0019】
この構成によれば、食器の底部に凹凸面が形成されることになる。この食器に着色材料としての液体調味料を流入させると、凹凸面が液体調味料によって覆われることになる。この状態で食器を上方から見ると、凹凸面の深い部分と浅い部分とで色が相違して見える。これにより、食器に画像を生成することができる。
【0020】
第5の発明は、第1から3のいずれか1つの型を底部に有することを特徴とする食品用容器である。
【0021】
この構成によれば、食品用容器の底部に凹凸面が形成されることになるので、第4の発明と同様に画像を生成することができる。また、食品用容器に、例えばゼリー、プリン、豆腐のような柔らかい食品を収容すると、凹凸面が当該食品に転写される。これにより食品に凹凸面を形成することができ、この凹凸面を覆うように着色材料としての液体調味料をかけると、凹凸面の深い部分と浅い部分とで色が相違して見える。これにより、食品の可食部に、可食性インクを用いることなく画像を生成することができる。
【0022】
第6の発明は、前記型の製造方法において、元画像の明度を求め、前記着色材料の厚みに応じた濃淡度を求め、前記明度と相関した前記濃淡度を再現するように前記凹凸面の部位による深さを設定することを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、元画像の明度に対応した濃淡度を凹凸面の部位による深さによって再現することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、特殊な印刷機や彫刻機、レーザー光照射機等を使用することなく、高階調の明度を持つ画像を物品に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本発明の実施形態1に係る型を底部に有する食器の平面図である。
図2図1におけるII-II線断面図である。
図3】食器に調味料を注いだ状態を示す図2相当図である。
図4】調味料を注いだ食器を上方から見た図である。
図5】型の製造手順を説明するフローチャートである。
図6】液体の濃淡度と深さとの関係を示すグラフである。
図7】明度情報に基づいて距離情報を得る方法を説明する図である。
図8A】元画像の明度情報を示す図である。
図8B図8Aに示す明度情報を距離情報に変換した画像を示す図である。
図9】工作機械の一例を示す図である。
図10】本発明の実施形態2に係る型を底部に有する食品用容器の縦断面図である。
図11A】食品用容器にプリンの原料(プリン液)を注いだ状態を示す図10相当図である。
図11B】できあがったプリンにソースを注いだ状態を示す断面図である。
図12】ソースを注いだプリンを上方から見た図である。
図13】本発明の実施形態3に係る型の断面図である。
図14A】型をパンに押し付ける直前の状態を示す断面図である。
図14B】型をパンに押し付けた状態を示す断面図である。
図15】ソースを注いだ状態を示すパンの断面図である。
図16A】本発明の実施形態4に係り、画像データをシアン、マゼンタ、イエローに分解する場合を説明する図である。
図16B】シアン、マゼンタ、イエローの各画像の三次元データを示す図である。
図17A】シアン色のゼリー液を注いだ状態を示す型の断面図である。
図17B】シアン色のゼリーを容器に移した状態を示す断面図である。
図17C】無色透明なゼリー液を注いだ状態を示す容器の断面図である。
図17D】シアン色のゼリー、マゼンタ色のゼリー、イエロー色のゼリーを積層した状態を示す容器の断面図である。
図18】実際の画像データをシアン、マゼンタ、イエローに分解する場合を説明する図である。
図19】シアン色のゼリー、マゼンタ色のゼリー、イエロー色のゼリーを積層したゼリーを上方から見た図である。
図20】遠近を考慮して積層用型を作成する要領を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0027】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係る型1を底部2に有する食器3である。食器3は、例えば醤油皿であり、図2にも示すように、底部2と、底部2の周縁部から上方へ延びる縁部4と、足部5とを備えている。縁部4と足部5は、いずれか一方または両方を省略してもよい。食器3の形状は丸形に限定されるものではなく、例えば角型等であってもよい。
【0028】
型1は、底部2における食器3の内面側に位置する部分に設けられており、画像を物品としての食器3に生成するためのものである。図2にも示すように、型1は、元画像の明度に対応して深さが変化し、かつ、食器3の色とは異なる色に着色された光透過性を有する着色材料によって覆われる凹凸面10を備えている。凹凸面10の色は、例えば白色、乳白色等である。着色材料は、例えば醤油、各種ソース、オリーブオイル等のオイル、着色された水、各種調味料等の液体20(図3に示す)を挙げることができる。着色材料の色は特に限定されるものではなく、どのような色であってもよい。図3に示すように、これら液体20を底部2に注ぐと、注いだ液体20によって凹凸面10が覆われることになる。液体20の深さは、凹凸面10によって濃淡が表れるようにするのが好ましい。
【0029】
上記液体20は、光を透過させることが可能な透光性を有するとともに、無色ではなく着色されているので、見る者の視線に沿う方向について液体20の深さが深くなればなるほど色が濃く見え、反対に、見る者の視線に沿う方向について液体20の深さが浅くなればなるほど色が薄く見えることになる。液体20の深さを変化させることによって色をほぼ無段階に変化させて見せることができる。これにより、高階調の明度が再現される。明度の階調は、凹凸面10の形状、深さ等によって設定することができる。
【0030】
この例では、元画像の明度が低い部分(暗い部分)が深くなるように、かつ、元画像の明度が高い部分(明るい部分)が浅くなるように、凹凸面10の形状が設定されている。底部2に注いだ液体20の液面は水平になるので、凹凸面10の深さが深い部分では液体20の深さが深くなり、凹凸面10の深さが浅い部分では液体20の深さが浅くなる。これにより、上方から見たときに色の濃淡を出すことができ、図4に示すように食器3の底部2に画像が生成されることになる。凹凸面10の深さは、素材や工作精度にもよるが、例えば0.1mm程度で変化させることができる。これにより、高階調の明度を持つ画像を生成することができる。
【0031】
尚、着色された液体20が底部2に注がれなければ、食器3の底部2には凹凸面10があるだけなので、画像としてはっきりとは認識することができない。つまり、液体20を注ぐという行為により、底部2に何があるか分からない状態から、画像が浮かび上がるように、食器3の見栄えが変化する。
【0032】
図示しないが、型1は、食品用容器の底部に設けられていてもよい。食品用容器の底部に型1が設けられていることで、食器3と同様に着色された液体20を注ぐことによって画像を生成することができる。同様に、型1を、お猪口、枡、コップ、ゆのみ、コーヒーカップ、れんげ、オタマ等に設けることもできる。
【0033】
また、型1は食器3や食品用容器に設けることなく、それ単体であってもよい。また、型1は、例えばコースター、アクセサリー、キーホルダー、ストラップ、キャンドル、ライト、シーリングスタンプ、消しゴム、オイルタイマー、ネームプレート、風鈴、ステンドグラス、看板等に設けることもできる。
【0034】
また、着色材料は液体であってもよいし、ゲル状のもの、半固体状のもの、粘土のようなものであってもよい。また、着色材料は、例えばゼリー液やプリン液のように、流動状態から固化するものであってもよく、例えば飴であってもよい。
【0035】
着色材料は上述したように一定の透明度が必要であるが、完全な無色透明では濃淡を出すことができないので、薄くても着色されている必要がある。
【0036】
また、例えば、着色材料の色が凹凸面10の色よりも濃い場合には、元画像の明度が低ければ低いほど深くなる凹部を凹凸面10に設けることで、深い部分の色が濃く見えることになる。これにより、元画像の明度と色の濃さとが対応した関係になる。これとは反対の関係となるように、着色材料の色と凹凸面10の色とを設定してもよく、この場合は、いわゆるネガフィルムのような画像になる。
【0037】
また、例えば、着色材料の色が凹凸面10の色よりも薄い場合には、元画像の明度が高ければ高いほど深くなる凹部を凹凸面10に設けることで、深い部分の色が濃く見えることになる。これにより、元画像の明度と色の濃さとが対応した関係になる。
【0038】
また、例えば醤油皿のように、流し入れる液体が醤油と決まっている場合には、その濃淡度から、最も良い視覚効果を得るための凹凸面10の最大高さと最大深さとの差(凹凸面10の形成範囲)を設定することができる。つまり、所定深さを超えると醤油は十分な暗さとなり、それ以上深くしても濃淡度の変化が殆ど無くなるため、所定深さを最大深さとして凹凸面10を形成する。画像上、明度が最も低い部分が凹凸面10の最も深い所になる。一方、画像上、明度が最も高い部分が凹凸面10の最も高い所(最大高さを有する所)になるので、醤油皿の色と醤油とが決まれば、凹凸面10の最大高さと最大深さとの差を設定できる。凹凸面10の最大高さと最大深さとの間の中間領域では、深さに応じて濃度を変えることができる。
【0039】
(型1の製造方法)
次に、型1の製造方法について説明する。例えば、図7に示すように、元画像の持つ明度情報301を使用する。明度情報301は、例えば最も明度の低い画素を「0」とし、最も明度の高い画素を「100」としてその中間の明度を多段階に数値で表すことができる。これにより、元画像の明度を数値で求めることができる。その明度を示す値を三次元における距離情報302に変換する。最も明度の低い画素「0」が最も低く(深く)なるように距離を設定し、最も明度の高い画素を「100」が最も高く(浅く)なるように距離を設定する。中間の明度も、その値に応じて距離を設定する。尚、図7に示す0~100の数値は一例であり、階調をより細かくしてもよいし、粗くしてもよい。
【0040】
距離情報302の作成方法は、明度情報のデータ上で作成する方法と、手作業で作成する方法とがあるが、いずれの方法であってもよい。明度情報のデータ上で作成する方法の場合、三次元CADソフトの操作知識があれば、正確な濃淡を再現することができる距離情報をある程度容易に作成することができる。手作業で作成する方法の場合は、器状にした素材にあらかじめ上記液体20と同様な特徴(濃さ、粘度等)を持つものを流し入れておき、現れる濃度を確認しながら素材を彫り進めるのが好ましい。上述した距離情報302の作成方法は例であり、上述した方法に限られるものではない。
【0041】
図8Aは、本例で使用した元画像の明度情報401を示す図であり、明るい画素ほど明度が高く、暗い画素ほど明度が低いことを示している。図8Bは、図8Aに示す明度情報401を距離情報402に変換した画像を示す図であり、明度に応じて凹部の深さが変化する画像を示している。
【0042】
凹凸面10の適切な形状の設定方法について、図5に示すフローチャートに基づいて説明する。スタート後のステップS1では、型1の色(凹凸面10の色と同じ)を「0」、液体20の色(型1の色が透けない十分な深さの液体の色)を「100」とした場合の100分割したカラーチャートを作成する。このとき、「0」から「100」までのグラデーションは、液体20の色と近いもので作成するのが望ましい。本例では、液体20が濃口醤油であるとし、深さが浅いうちは黄色みを帯びた薄茶色で、深さが深くなるにつれて赤みを帯びていき、次第に黒になるようなカラーチャートを作成した。
【0043】
ステップS2では、液体20の深さを変化させた時の濃淡度を求める。このとき、型1の素材を器状に成形した部材を用意し、その器状の部材に液体20を注いでいく。使用する素材の色は、見るときの環境を再現して、その色を「0」としておくのが望ましい。本例では型1が醤油皿の底部2であるので、実際に使用される素材と同じ色か、その色に近い色のものを選ぶ。また、器状の部材の内底面は、凹凸がなく平らなものが好ましい。内底面に凹凸があると、液体20を少量だけ流し入れた際に凹部分へ液体20が流れ込んでしまい、濃淡度を正しく求めることができなくなるおそれあるためである。
【0044】
濃淡度を求める具体的な方法としては、液体20をスポイトで器状の部材に1滴ずつ落とし、その濃淡度と近い色をステップS1で作成したカラーチャートの中から選び、記録していく。つまり、器状の部材内の液体20の深さと、カラーチャートの番号とを関連付ける作業を行う。このとき、滴数が少ないうちは表面張力によって均等な深さにならず、多少の誤差が生じるおそれがあるが、できるだけ液体20の液面を水平にして濃淡度を見ていく。
【0045】
また、器状の部材内の液体20の深さを0.1mm単位で計測することは難しいため、スポイトで1滴ずつ滴下しながら濃淡度の変化を見ていき、この作業を、濃淡度が変化しなくなった時点を超えるまで繰り返す。最終滴数を得て、そのときの液体20の深さを最終滴数で割ることにより、1滴あたりの液面の変化量を数値で取得する。例えば、最終滴数における液体20の深さが20mmであり、最終滴数が140滴であったとすると、20mm÷140滴=約0.14286mm/滴となる。
【0046】
ステップS3では、液体の濃淡度と液体の深さとの関係を示すグラフを作成する。このグラフを図6に示す。図6に示すグラフの横軸は液体20の深さであり、縦軸は濃淡度である。縦軸は上に行くほど濃淡度が高い、即ち濃いことを示す。
【0047】
図5のフローチャートのステップS4では、図6に示すグラフを用いて、液体20の濃淡度と液体の深さとの相関関係を求める。図6に示すグラフによれば、液体20の深さが約3mmになるまでは直線的に濃淡度が増していき、濃淡度と液体20の深さとがほぼ比例する関係に近いが、その後、液体20の深さが更に深くなると緩やかなカーブを描き、次第に、液体20の深さが深くなっても濃淡度の変化が少なくなっていることが分かる。このグラフに基づいて、液体20の深さ(厚み)に応じた濃淡度を求めることができる。
【0048】
図5のフローチャートのステップS5では、作成する凹凸面10の最大高さと最大深さとの差を、図6のグラフ及びステップS4で求めた相関関係に基づいて求める。上述したように、液体20の深さが約3mmを超えると、液体20の深さが深くなっても濃淡度の変化が少なくなるので、作成する凹凸面10の最大高さと最大深さとの差は、濃淡度と液体20の深さとがほぼ比例する関係にある3mm以内とする。本例では3mmとした。そして、ステップS5ではステップS4で求めた範囲内で凹凸面10を作成する。
【0049】
また、食品添加物等を用いて液体20の濃淡度を調整できる場合は、型1の凹凸面10の最大高さと最大深さとの差を先に決め、上述した方法とは逆の方法を用いることで、最大高さと最大深さとの差に対して液体20の適切な濃淡度を求めることもできる。液体20が黄色の場合、視覚的な差が小さいため濃淡度の調整が難しいが、凹凸面10の形成範囲に対して濃淡度が濃すぎると、グラデーションがうまく再現できなくなるので、これを考慮して設定する。
【0050】
理論上は、液体20が濃い色であるほど凹凸面10の最大深さを浅く、淡い色、薄い色であるほど凹凸面10の最大深さを深くすることで、より高い視覚効果を得ることができる。ただし、液体20が淡い色で凹凸面10の最大深さを深くしなければならない場合、凹凸面10に深い溝ができることになり、洗浄や型抜きなどにおいて不便になるおそれがある。
【0051】
例えば、食品用容器の底部に凹凸面10を設け、プリンのような柔らかいものを食品用容器(プリン型)に収容した場合を想定すると、凹凸面10の形状がプリンに転写されることになる。プリン型から出したプリンにカラメルソースを注ぐと、凹凸面10の形状がプリンに転写されているので、プリンに画像が生成されることになる。このとき、凹凸面10の最大深さが深いとプリンをプリン型から出すときに、プリンの一部が凹凸面10に残ってしまい、こうなると、プリンに転写された凹凸形状が、凹凸面10の形状と同じようにならなくなるので、きれいな画像を生成することができなくなる。よって、柔らかいものを食品用容器に収容する場合には、凹凸面10の最大深さを浅く設定するのが好ましい。
【0052】
また、凹凸面10の鋭度については、型1の素材、液体20の性状等を考慮して調整するのが好ましい。例えば、醤油皿の底部2に鋭い形状の溝があると醤油の洗浄が困難なったり、プリン型の場合にはプリンが崩れたりするおそれがあるためである。このような場合、予め三次元データにおいてスムース処理を施す等、鋭度を下げる工夫を行うのが好ましい。
【0053】
作成した型1に流し入れる液体20の量は、凹凸面10が有する凸部の先端と液面が同じになる程度か、それよりも少しだけ多めにするのが好ましく、液体20の量が多すぎると視覚効果が低くなってしまう。
【0054】
次に、液体20の色と、凹凸面10の色との関係について説明する。液体20の色と、凹凸面10の色とは、明度差が大きいほど視覚効果が高いので好ましい。例えば、醤油皿の底部2に凹凸面10を設ける場合、凹凸面10の色を白色もしくは淡い色とするのが望ましい。また、カラメルソースを注ぐプリンの場合は、カフェ・オレ味や黒ごま味のような濃い色ではなく、プレーン味のような淡い色のプリンとするのが望ましい。また、カフェ・オレ味や黒ごま味のような濃い色のプリンであれば、白っぽくかつ透明度のあるミルクソースをかけるようにすればよい。
【0055】
液体20の代わりに半固体状のものを使用することもできるが、半固体状のものの表面は凹凸面10の形状を転写する前に、平面にしておくことが望ましいため、場合によっては、半固体状のものの表面を整える作業が必要になる。
【0056】
また、型1の凹凸面10を形成する面は湾曲面であってもよい。
【0057】
(食器の製造方法)
次に、食器(醤油皿)3の製造方法について説明する。まず、三次元CADソフトを使用し、三次元データで型1の凹凸面10を作る。そのデータに、三次元CADソフトのエンボスをつける機能を使い、図8Aに示す元画像の明度情報401を元に白が最も浅く、黒が最も深くなるように設定し、掘り込む。もしくは、白が最も厚く、黒が最も薄くなるように設定し盛る(図8B参照)。このとき用いる画像は、モノクロ画像でなくても構わないが、モノクロ化してイメージを確認しておくのが好ましい。
【0058】
そうして作成した凹凸面10を有する型1の三次元データに基づいて実際の型1を得る。三次元データは、図9に示すような3Dプリンターや切削機といった工作装置100に送信し、型1を作成する。または、レーザーカッター等で型1の形状を層毎に切り出し、組み上げることによって型1を得ることも可能である。凹凸面10は、上述したような色に塗装することもできる。
【0059】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、この実施形態によれば、部位によって深さが変化した凹凸面10を食器3に形成し、醤油等によってこの凹凸面10を覆って使用することができるようにしたことで、特殊な印刷機や彫刻機、レーザー光照射機等を使用することなく、高階調の明度を持つ画像を食器3に生成することができる。
【0060】
(実施形態2)
図10は、本発明の実施形態2に係る型1を底部31に有する食品用容器30の縦断面図である。この実施形態2は、図11Bに示すプリン40を作ることができる食品用容器30に型1を設ける例であり、型1及び凹凸面10の形成方法については実施形態1と同じであるため、詳細な説明は省略する。以下、実施形態1と異なる部分について詳細に説明する。
【0061】
食品用容器30は、プリン40を作ることができるものであることからプリン型と呼ぶこともできる。食品用容器30は、底部31と周壁部32とを備えており、所定の深さを有している。図11Aに示すように、プリン40の原料であるプリン液35を食品用容器30に注いで固める。すると、プリン40に、食品用容器30の凹凸面10の形状を転写することができ、図11Bに示すように、できあがったプリン40の上面に凹凸面40aを形成することができる。プリン40の凹凸面40aに、プリン40とは異なる色のカラメルソース(着色材料)36を注ぐことで、プリン40の凹凸面40aがカラメルソース36によって覆われて、図12に示すような画像がプリン40に生成される。
【0062】
従って、部位によって深さが変化した凹凸面40aをプリン40に形成し、カラメルソース36によってこの凹凸面40aを覆うようにしたことで、特殊な印刷機や彫刻機、レーザー光照射機等を使用することなく、高階調の明度を持つ画像をプリン40に生成することができる。
【0063】
この実施形態2では、食品用容器30の凹凸面10の形状をプリン40に形成することができるので、プリン40に生成される画像は元画像が左右反転した画像になる。左右反転しても構わない画像であれば問題ないが、左右反転すると不都合がある画像の場合には、型1の凹凸面10を作成する前に予め画像を左右反転させておくのが好ましい。
【0064】
食品用容器30に凹凸面10を形成する際には、実施形態1の醤油皿とは反対に、明度が高いほど深くし、明度が低いほど浅くする。食品用容器30の底部31の内面の周囲には溝34を形成してもよい。この溝34を形成することで、図11Bに示すようにプリン40の上面に凹凸面40aを囲む土手40bを形成することができる。これにより、カラメルソース36が流れ落ち難くなる。
【0065】
尚、同様にして、豆腐やゼリーを作ることもできる。また、同様にして、シリコン等を成形することもできる。さらに、同様にして、粘土等の流動性の低いものを成形することもでき、この場合は、周壁部32は省略することができる。
【0066】
豆腐の場合、例えば既成の豆腐を用意し、豆腐を型1の上に置いてしばらく待った後(例えば1時間経過後)、豆腐を型1から外すと、豆腐に型1の凹凸面10が転写されて凹凸面を有する豆腐ができる。豆腐の凹凸面に醤油を注ぐことで、画像が生成される。尚、豆腐を用意する際には一丁用意し、例えば複数に分割するための目印となる線などを型1に形成しておけば、分割が容易に行えるようになる。
【0067】
また、同様にして、ワッフル型、クッキー型、ゼリー型、キャンディ型、アイス型、製氷機、豆腐型、もなか型にも型1を設けることができる。
【0068】
(実施形態3)
図13は、本発明の実施形態3に係る型1の縦断面図である。この実施形態3の型1は、図15に示すパン50を作ることができるものであり、型1及び凹凸面10の形成方法については実施形態1と同じであるため、詳細な説明は省略する。以下、実施形態1と異なる部分について詳細に説明する。
【0069】
図14Aに示すように、型1の凹凸面10がパン50の表面と対向するように配置した後、図14Bに示すように、型1の凹凸面10をパン50に押し付ける。凹凸面10をパン50に押し付ける時間は、パン50の種類や生成する画像によって変えることができる。これにより、パン50の表面に、型1の凹凸面10の形状を転写することができる。型1を取り除くと、図15に示すようにパン50の表面に凹凸面50aを形成することができる。パン50の凹凸面50aに、パン50の表面の色とは異なる色のソース(着色材料)51を注ぐことで、パン50の凹凸面50aがソース51によって覆われて、画像がパン50に生成される。
【0070】
従って、部位によって深さが変化した凹凸面50aをパン50に形成し、ソース51によってこの凹凸面50aを覆うようにしたことで、特殊な印刷機や彫刻機、レーザー光照射機等を使用することなく、高階調の明度を持つ画像をパン50に生成することができる。
【0071】
この例では、型1の外形がパン50の外形よりも小さく設定されているので、型1の凹凸面10を押し付けた後、取り除くと、パン50の凹凸面50aの周囲が隆起したような形状になる。よって、実施形態2のような土手40b(図11Bに示す)を形成する形状を型1に設けなくてもよい。ソース51は、フルーツソースを挙げることができ、具体的にはブルーベリーソースを使用することができる。
【0072】
パン50は弾性があるので、型1の凹凸面10を押し付けた後、取り除くと、形状が若干復元することがある。この形状の復元を見込んで、三次元データを作成する際に、凹凸を深く形成しておくなどの工夫をすることが望ましい。
【0073】
とうふ、ピザ、お好み焼き、饅頭等に対しても同様な型1によって表面に凹凸面を形成し、ソース等を注ぐことで画像を生成することができる。
【0074】
(実施形態4)
図16A図16Bは、本発明の実施形態4に係るものであり、この実施形態4では、3色のゼリーを重ね合わせることによって画像を生成している。すなわち、実施形態4は、三色分解ゼリーを、図16Bに示す積層材用型1A、1B、1Cを用いて作成するようにしている。
【0075】
積層材用型1A、1B、1Cの作成要領は基本的には、実施形態1と同様であるが、元画像を色分解し、積層材用型1Aをシアン色のみの画像に基づいて作成し、積層材用型1Bをマゼンタ色のみの画像に基づいて作成し、積層材用型1Cをイエロー色のみの画像に基づいて作成する。
【0076】
具体的には、まず、元画像データを、例えば、アドビシステムズ社のAdobe Photoshop等の画像加工ソフトによって色分解し、シアン色のみの画像、マゼンタ色のみの画像及びイエロー色のみの画像を得る。図16Aの符号1001は元画像データ、符号1002はシアン色のみの画像データ、符号1003はマゼンタ色のみの画像データ、符号1004はイエロー色のみの画像データを示している。
【0077】
画像加工ソフトによって色分解するとき、画像のモードはCMYKカラーに変更するのが望ましい。このとき、各画像が1色ずつになるようにする。例えば、シアン色のみの画像を作る場合には、画像データからイエローとマゼンタの値を0にするなどすればよい。その後、各色に分解した画像を白黒画像に変換し、コントラストを確認する。色分解すると、そのままの色ではコントラストが弱く、型の形成が難しい場合がある。その場合には、適宜、色ごとにコントラストを調整するとよい。最後に、各画像を保存することで、積層材用型1A、1B、1Cの元になる画像データが得られる。
【0078】
多色を再現するためには、三色であれば、シアン、マゼンタ、イエローに分解するのが望ましいが、四色分解、二色分解等、どのような色の組み合わせでも、何色でも同様に可能である。二色分解の場合は、黄色と紫色、オレンジ色と青色など、補色関係の色の組み合わせを使うと色数を得やすい。
【0079】
元画像と、ゼリーで得られる画像とは左右反転するため、積層材用型1A、1B、1Cを作成する前に、予め元画像を左右反転させておくことが望ましい。シアン色のみの画像、マゼンタ色のみの画像及びイエロー色のみの画像の各画像から、実施形態1の方法を使用して、積層材用型1A、1B、1Cの三次元データを作成する。具体的には、図18に示すように、フルカラーの元画像80を用意した後、シアン色のみの画像81、マゼンタ色のみの画像82及びイエロー色のみの画像83の画像に分解する。そして、シアン色のみの画像81から三次元データ84を作成し、マゼンタ色のみの画像82から三次元データ85を作成し、イエロー色のみの画像83から三次元データ86を作成する。
【0080】
作成した各三次元データ84、85、86に基づいて、図16Bに示すように積層材用型1A、1B、1Cを作成する。積層材用型1A、1B、1Cは、食品であるゼリーを一時的に収容可能に器状に形成されているので、食品用容器ということもできる。
【0081】
図17Aに示すように、積層材用型1Aに透光性を有するシアン色のゼリー液60を流し入れて凝固させる。これにより、図17Bに示すように積層材用型1Aの凹凸面10Aの形状を有するシアン色ゼリー62ができるので、できあがったシアン色ゼリー62を、その凹凸面側が上になるようにゼリー容器61に移す。
【0082】
次いで、図17Cに示すように、無色透明のゼリー液63をゼリー容器61内のシアン色ゼリー62の上に流し込み、凝固させる。これにより、シアン色ゼリー62の上に無色透明なゼリー層66(図17Dに示す)が形成される。
【0083】
また、積層材用型1Bに透光性を有するマゼンタ色のゼリー液(図示せず)を流し入れて凝固させる。これにより、図17Dに示すように積層材用型1Bの凹凸面10Bの形状を有するマゼンタ色ゼリー64ができるので、できあがったマゼンタ色ゼリー64を、その凹凸面側が上になるように、ゼリー容器61に移す。マゼンタ色ゼリー64は、シアン色ゼリー62の上の無色透明ゼリー層66の上に置く。その後、マゼンタ色ゼリー64の上に無色透明なゼリー層66を形成する。
【0084】
また、積層材用型1Cに透光性を有するイエロー色のゼリー液(図示せず)を流し入れて凝固させる。これにより、図17Dに示すように積層材用型1Cの凹凸面10Cの形状を有するイエロー色ゼリー65ができるので、できあがったイエロー色ゼリー65を、その凹凸面側が上になるように、ゼリー容器61に移す。イエロー色ゼリー65は、マゼンタ色ゼリー64の上の無色透明ゼリー層66の上に置く。その後、イエロー色ゼリー65の上に無色透明なゼリー層66を形成する。シアン色ゼリー62、マゼンタ色ゼリー64及びイエロー色ゼリー65の各中心位置が上方から見たときに1本の鉛直線上を通るように配置する。
【0085】
無色透明なゼリーの代わりに、寒天などの別の食材を使用することもできる。この無色透明な層を設けることで、上方から見たときの光の乱反射が抑制される。尚、無色透明なゼリーや寒天の他、水で層を形成してもよい。水を使用する場合には、シアン色ゼリー62、マゼンタ色ゼリー64及びイエロー色ゼリー65の各中心位置が上方から見たときに1本の鉛直線上を通るようにするために、ゼリー容器61や枠を使用して位置ずれが起こらないようにするのが好ましい。
【0086】
シアン色ゼリー62、マゼンタ色ゼリー64及びイエロー色ゼリー65を積層することで、ゼリー容器61を上方から見たときに、図19に示すようにフルカラーの画像87となって現れる。
【0087】
図17に示すように、色の濃いシアン色ゼリー62を最も下に配置し、色の薄いイエロー色ゼリー65を最も上に配置する等の工夫を行うのが好ましいが、シアンなどの色の濃いゼリーは濃淡が強く、細かい模様がはっきりするため、最も上においた方が見やすい場合もある。
【0088】
尚、ゼリー以外にも、キャンディ、グミ、琥珀糖、ようかん等に応用することもできる。
【0089】
また、より高い視覚効果を得るために、机の下や皿の下などにLEDライトを仕込み、その上にゼリーを置いて光に透けるようにすることもできる。
【0090】
食品用の型として使用するものにおいては、縁との摩擦によって食品が型から外れにくい場合がある。そういったときには、凹凸面を有する底部と、縁部分とを別々に作成するとよい。例えば、縁の内寸が凹凸面を有する型と同じかやや大きいくらいに設定して、縁に底をつけて器状にし、その器に、凹凸面を有する底部を入れて液体を流し入れることで、液体がもれるのを防ぐこともできる。さらに、前述の器の底に孔をあけておき、液体を流し入れるときにはテープなどでその孔を塞いでおき、液体が凝固した後に、テープを剥がし、その孔から内部の食品を押し出すようにすることで、食品をスムーズに出すことができる。
【0091】
例えば、縁の内寸を、凹凸面を有する型と同じかやや大きいくらいに設定して、縁に底部をつけて器状にし、その器に、凹凸面を有する底部を入れて二重底の容器を構成してもよい。この容器に液体を流し入れることで、液体がもれるのを防ぐこともできる。さらに、前述の器の底に孔をあけておき、液体を流し入れるときにはテープなどでその孔を塞いでおき、液体が凝固した後に、テープを剥がし、その孔から内部の食品を押し出すようにすることで、食品をスムーズに出すことができる。
【0092】
色分解したものを重ね合わせるとき、それぞれの層が厚いと、遠近がついて画像がぶれてしまうことがある。その場合、層を薄くするか、あらかじめ遠近を考慮して見る者の手前に配置する層の型の幅を狭く、奥に配置する層の型の幅を広くするなどの工夫をすることが望ましい。
【0093】
遠近を考慮して作成するのであれば、以下の計算式を用いることで、異なる各型の底辺の長さを求めることができる。図20に示すように、視点の高さをH、型の一層の厚みをh1、最下層の型の底辺の長さをW、下から2層目の型の底辺の長さをX1、下から3層目の型の底辺の長さをX2とする。
【0094】
X1={W×(H-h1)}/H
X2={W×(H-h1×2)}/H
【0095】
尚、上記計算式は、各型の底辺の長さのみを求めるものである。さらに三角関数等を使用して遠近を考慮した角度を求めて型を作成すれば、遠近によるぶれをより一層抑えることができる。
【0096】
実施形態4によれば、特殊な印刷機や彫刻機、レーザー光照射機等を使用することなく、高階調の明度を持つ画像をゼリー等の食品に生成することができる。
【0097】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0098】
以上説明したように、本発明は、食品を含む各種物品の作成する際に使用することができる。
【符号の説明】
【0099】
1 型
2 底部
3 食器
10 凹凸面
20 液体(着色材料)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14A
図14B
図15
図16A
図16B
図17A
図17B
図17C
図17D
図18
図19
図20