(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-02-04
(54)【発明の名称】形鋼用支持材固定金具
(51)【国際特許分類】
F16B 2/12 20060101AFI20220128BHJP
E04B 9/18 20060101ALI20220128BHJP
F16B 7/04 20060101ALI20220128BHJP
F16B 45/00 20060101ALI20220128BHJP
【FI】
F16B2/12 B
E04B9/18 A
F16B7/04 301N
F16B45/00 A
(21)【出願番号】P 2020035675
(22)【出願日】2020-03-03
【審査請求日】2020-11-16
(73)【特許権者】
【識別番号】591109061
【氏名又は名称】株式会社野島角清製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100091373
【氏名又は名称】吉井 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】野島 隆志
(72)【発明者】
【氏名】岡山 正博
(72)【発明者】
【氏名】野島 俊晴
【審査官】児玉 由紀
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録実用新案第20-0468152(KR,Y1)
【文献】実開昭51-101471(JP,U)
【文献】実開昭56-136006(JP,U)
【文献】実開昭48-75412(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/00- 1/36
9/00- 9/36
F16B 2/00- 2/26
7/00- 7/22
45/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
形鋼のフランジ部に、配管や吊りボルトなどの設備工事用器具を支持
するアングル型の器具支持材を固定するための形鋼用支持材固定金具であって、前記
アングル型の器具支持材を支承してこの
アングル型の器具支持材を前記形鋼のフランジ部に固定
する本体金具と、この本体金具
で前記アングル型の器具支持材を支承する際に使用
するアングル固定用アタッチメントとから成り、前記本体金具は、上部に前記形鋼のフランジ部の上方に配されてこのフランジ部に締付操作により圧接する締付ボルトが設けられ、下部に前記
形鋼のフランジ部の下方に配されて前記
アングル型の器具支持材を支承する支承部が設けら
れ、この支承部に
より支承した
前記アングル型の器具支持材を前記
形鋼のフランジ部の下方に配し、前記締付ボルトの締付操作によりこの締付ボルトを
前記形鋼のフランジ部に圧接すると共に
、前記支承部に
より支承した
前記アングル型の器具支持材を
前記形鋼のフランジ部に圧接することで、
前記アングル型の器具支持材が
前記支承部と
前記形鋼のフランジ部との間に挟着固定されるように構成されており、前記アングル固定用アタッチメントは、前記締付ボルトの締付操作により
前記アングル型の器具支持材を前記支承部と前記
形鋼のフランジ部との間に挟着固定した
際、前記アングル型の器具支持材の水平板と前記支承部との間、若しくは
前記アングル型の器具支持材の水平板と前記
形鋼のフランジ部との間に介在
するように構成されていることを特徴とする形鋼用支持材固定金具。
【請求項2】
請求項1記載の形鋼用支持材固定金具において、前記アングル固定用アタッチメントは、
前記アングル型の器具支持材を、
上方が水平板,
下方が垂直板となる第一固定態様で前記締付ボルトの締付操作により前記支承部と前記
形鋼のフランジ部との間に挟着固定した
際、前記支承部と
前記第一固定態様の
アングル型の器具支持材の
前記上方に位置する水平板との間に介在する形状に形成されていると共に、前記
アングル型の器具支持材を、
下方が水平板,
上方が垂直板となる第二固定態様で前記締付ボルトの締付操作により前記支承部と前記
形鋼のフランジ部との間に挟着固定した
際、前記第二固定態様の
アングル型の器具支持材の
前記下方に位置する水平板と
前記形鋼のフランジ部との間に介在する形状に形成されていることを特徴とす
る形鋼用支持材固定金具。
【請求項3】
請求項2記載の形鋼用支持材固定金具において、前記アングル固定用アタッチメントは、前記本体金具に対し着脱自在に取付け可能な取付部が設けられていることを特徴とす
る形鋼用支持材固定金具。
【請求項4】
請求項3記載の形鋼用支持材固定金具において、前記アングル固定用アタッチメントは、前記本体金具に対し着脱自在且つ上下方向にスライド移動自在に取付可能な取付部が設けられ、この取付部を介して
前記本体金具に取付けた
前記アングル固定用アタッチメントを上方へスライド移動させることで、前記支承部とこの支承部に支承された前記第一固定態様の
アングル型の器具支持材の
前記上方に位置する水平板との間にアングル固定用アタッチメントが介在され、
前記アングル固定用アタッチメントを下方へスライド移動させることで、
前記支承部に支承された前記第二固定態様の
アングル型の器具支持材の
前記下方に位置する水平板と前記形鋼のフランジ部との間に
前記アングル固定用アタッチメントが介在されるように構成されていることを特徴とす
る形鋼用支持材固定金具。
【請求項5】
請求項1~4いずれか1項に記載の形鋼用支持材固定金具において、前記アングル固定用アタッチメントは、平断面コ字状の板材で構成されていることを特徴とす
る形鋼用支持材固定金具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配管や吊りボルトなどの設備工事用器具を支持可能な器具支持材を、H形鋼やI形鋼等の形鋼に固定する形鋼用支持材固定金具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、H型鋼などの形鋼のフランジ部に、配管や吊りボルトなどの設備工事用器具を支持可能なチャンネル型の器具支持材(ダクターチャンネルとも称される。)を固定するための金具が実施されている(特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1を簡単に説明すると、略コ字形状に屈曲形成された金具本体の上板上面から締付ネジが下方に向けて突出状態に設けられていると共に、金具本体の下板がチャンネル状の器具支持材を支持可能な形状に形成されているもので、金具本体の内部に挿入した形鋼のフランジ部を、金具本体の下板に支持された器具支持材と共にこの下板と締付ネジとで挟着して金具本体をフランジ部に固定するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、器具支持材として使用されているチャンネル材が比較的高価であることから、現場ではチャンネル材よりも安価に入手可能なアングル材を器具支持材として使用したいという要望も多い。
【0006】
本発明は、このような要望に応えるために開発されたもので、従来のこの種固定金具と同様にチャンネル型の器具支持材を形鋼に対して固定可能であると共に、安価なアングル材を器具支持材として形鋼に固定することも可能な形鋼用支持材固定金具を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0008】
形鋼1のフランジ部2に、配管3Aや吊りボルト3Bなどの設備工事用器具3を支持するアングル型の器具支持材4Aを固定するための形鋼用支持材固定金具であって、前記アングル型の器具支持材4Aを支承してこのアングル型の器具支持材4Aを前記形鋼1のフランジ部2に固定する本体金具Aと、この本体金具Aで前記アングル型の器具支持材4Aを支承する際に使用するアングル固定用アタッチメントBとから成り、前記本体金具Aは、上部に前記形鋼1のフランジ部2の上方に配されてこのフランジ部2に締付操作により圧接する締付ボルト5が設けられ、下部に前記形鋼1のフランジ部2の下方に配されて前記アングル型の器具支持材4Aを支承する支承部6が設けられ、この支承部6により支承した前記アングル型の器具支持材4Aを前記形鋼1のフランジ部2の下方に配し、前記締付ボルト5の締付操作によりこの締付ボルト5を前記形鋼1のフランジ部2に圧接すると共に、前記支承部6により支承した前記アングル型の器具支持材4Aを前記形鋼1のフランジ部2に圧接することで、前記アングル型の器具支持材4Aが前記支承部6と前記形鋼1のフランジ部2との間に挟着固定されるように構成されており、前記アングル固定用アタッチメントBは、前記締付ボルト5の締付操作により前記アングル型の器具支持材4Aを前記支承部6と前記形鋼1のフランジ部2との間に挟着固定した際、前記アングル型の器具支持材4Aの水平板と前記支承部6との間、若しくは前記アングル型の器具支持材4Aの水平板と前記形鋼1のフランジ部2との間に介在するように構成されていることを特徴とする形鋼用支持材固定金具に係るものである。
【0009】
また、請求項1記載の形鋼用支持材固定金具において、前記アングル固定用アタッチメントBは、前記アングル型の器具支持材4Aを、上方が水平板,下方が垂直板となる第一固定態様S1で前記締付ボルト5の締付操作により前記支承部6と前記形鋼1のフランジ部2との間に挟着固定した際、前記支承部6と前記第一固定態様S1のアングル型の器具支持材4Aの前記上方に位置する水平板との間に介在する形状に形成されていると共に、前記アングル型の器具支持材4Aを、下方が水平板,上方が垂直板となる第二固定態様S2で前記締付ボルト5の締付操作により前記支承部6と前記形鋼1のフランジ部2との間に挟着固定した際、前記第二固定態様S2のアングル型の器具支持材4Aの前記下方に位置する水平板と前記形鋼1のフランジ部2との間に介在する形状に形成されていることを特徴とする形鋼用支持材固定金具に係るものである。
【0010】
また、請求項2記載の形鋼用支持材固定金具において、前記アングル固定用アタッチメントBは、前記本体金具Aに対し着脱自在に取付け可能な取付部7が設けられていることを特徴とする形鋼用支持材固定金具に係るものである。
【0011】
また、請求項3記載の形鋼用支持材固定金具において、前記アングル固定用アタッチメントBは、前記本体金具Aに対し着脱自在且つ上下方向にスライド移動自在に取付可能な取付部7が設けられ、この取付部7を介して前記本体金具Aに取付けた前記アングル固定用アタッチメントBを上方へスライド移動させることで、前記支承部6とこの支承部6に支承された前記第一固定態様S1のアングル型の器具支持材4Aの前記上方に位置する水平板との間にアングル固定用アタッチメントBが介在され、前記アングル固定用アタッチメントBを下方へスライド移動させることで、前記支承部6に支承された前記第二固定態様S2のアングル型の器具支持材4Aの前記下方に位置する水平板と前記形鋼1のフランジ部2との間に前記アングル固定用アタッチメントBが介在されるように構成されていることを特徴とする形鋼用支持材固定金具に係るものである。
【0012】
また、請求項1~4いずれか1項に記載の形鋼用支持材固定金具において、前記アングル固定用アタッチメントBは、平断面コ字状の板材で構成されていることを特徴とする形鋼用支持材固定金具に係るものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明は上述のように構成したから、チャンネル型の器具支持材だけでなく、アングル固定用アタッチメントを使用することによって安価なアングル型の器具支持材をも形鋼に対して安定的に固定できる極めて実用性に優れた形鋼用支持材固定金具となる。
【0014】
また、請求項2記載の発明においては、アングル固定用アタッチメントを使用することによって、アングル型の器具支持材を、上方が水平板,下方が垂直板となる第一固定態様でも、下方が水平板,上方が垂直板となる第二固定態様でも形鋼に固定できる一層実用性に優れた構成の形鋼用支持材固定金具となる。
【0015】
また、請求項5記載の発明においては、アングル型の器具支持材の水平板と本体金具の支承部との間、若しくはアングル型の器具支持材の水平板と形鋼のフランジ部との間に安定的に介在できるアングル固定用アタッチメントを、簡易構成にして容易に設計実現可能となる一層実用性に優れた構成の形鋼用支持材固定金具となる。
【0016】
また、請求項3,4記載の発明においては、アングル固定用アタッチメントを本体金具に取付けてアングル型の器具支持材の水平板と本体金具の支承部との間、若しくはアングル型の器具支持材の水平板と形鋼のフランジ部との間に簡易に且つ安定的に介在できる実用的な形鋼用支持材固定金具となり、特に請求項4記載の発明のように構成した場合には、アングル固定用アタッチメントを本体金具に対し上下にスライド移動させるだけで、上方が水平板,下方が垂直板となる第一固定態様でのアングル型の器具支持材の固定にも、下方が水平板,上方が垂直板となる第二固定態様でのアングル型の器具支持材の固定にも容易に対応可能となるなど、一層実用性に優れた構成の形鋼用支持材固定金具となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本実施例(の本体金具とアングル固定用アタッチメントと)を示す斜視図である。
【
図2】本実施例を用いて、チャンネル型
の器具支持材を形鋼のフランジ部に固定した状態を示す説明斜視図である。
【
図3】本実施例を用いて、チャンネル型
の器具支持材を形鋼のフランジ部に固定した状態を示す説明正面図である。
【
図4】本実施例を用いて、チャンネル型
の器具支持材を形鋼のフランジ部に固定した状態を示す説明側面図である。
【
図5】本実施例を用いて、アングル型
の器具支持材を第一固定態様で形鋼のフランジ部に固定した状態を示す説明斜視図である。
【
図6】本実施例を用いて、アングル型
の器具支持材を第一固定態様で形鋼のフランジ部に固定した状態を示す説明正面図である。
【
図7】本実施例を用いて、アングル型
の器具支持材を第一固定態様で形鋼のフランジ部に固定した状態を示す説明側面図である。
【
図8】本実施例を用いて、アングル型
の器具支持材を第二固定態様で形鋼のフランジ部に固定した状態を示す説明斜視図である。
【
図9】本実施例を用いて、アングル型
の器具支持材を第二固定態様で形鋼のフランジ部に固定した状態を示す説明正面図である。
【
図10】本実施例を用いて、アングル型
の器具支持材を第二固定態様で形鋼のフランジ部に固定した状態を示す説明側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
好適と考える本発明の実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0019】
本発明の形鋼用支持材固定金具は、本体金具Aを用いて形鋼1のフランジ部2に配管3Aや吊りボルト3Bなどの設備工事用器具3を支持し得る器具支持材4としてのチャンネル型の器具支持材4Bを固定できるが、本体金具Aとアングル固定用アタッチメントBとを用いることで、チャンネル型の器具支持材4Bより安価なアングル型の器具支持材4Aも形鋼1のフランジ部2に固定可能である。
【0020】
具体的に説明すると、形鋼1のフランジ部2にチャンネル型の器具支持材4Bを固定する場合は、例えば、本体金具Aの上部に設けられている締付ボルト5を形鋼1のフランジ部2の上方に配すると共に、本体金具Aの下部に設けられている支承部6をフランジ部2の下方に配し、この支承部6にチャンネル型の器具支持材4Bを支承してこのチャンネル型の器具支持材4Bをフランジ部2の下方に配する。
【0021】
尚、予め支承部6にチャンネル型の器具支持材4Bを支承しておいてから、本体金具Aの締付ボルト5をフランジ部2の上方に配すると共に、支承部6(チャンネル型の器具支持材4B)をフランジ部2の下方に配するようにしても良い。
【0022】
次いで、締付ボルト5を締付操作すると、締付ボルト5がフランジ部2に圧接すると共に、支承部6に支承したチャンネル型の器具支持材4Bもフランジ部2に圧接して、チャンネル型の器具支持材4Bが支承部6とフランジ部2との間に挟着固定されることになる。
【0023】
形鋼1のフランジ部2にアングル型の器具支持材4Aを固定する場合も、基本的に上記と同様の手順で行われるが、アングル固定用アタッチメントBが使用される。
【0024】
具体的には、前記締付ボルト5の締付操作によりアングル型の器具支持材4Aが前記支承部6と前記フランジ部2との間に挟着固定される際に、アングル型の器具支持材4Aの水平板と支承部との間、若しくはアングル型の器具支持材4Aの水平板とフランジ部2との間にアングル固定用アタッチメントBを介在させる。
【0025】
すると、アングル型の器具支持材4Aは、水平板の片側にだけ垂直板が連設する形状であるが、この垂直板が存在していない側に、垂直板の代わりにアングル固定用アタッチメントBが存在して、アングル型の器具支持材4Aが傾くことのない安定状態で形鋼1のフランジ部2に固定されることとなる。
【実施例】
【0026】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0027】
本実施例の形鋼用支持材固定金具は、形鋼1のフランジ部2に、配管3Aや吊りボルト3Bなどの設備工事用器具3を支持し得るチャンネル型若しくはアングル型の器具支持材4を固定するための形鋼用支持材固定金具であって、前記器具支持材4を支承してこの器具支持材4と共に形鋼1のフランジ部2に固定される本体金具Aと、この本体金具Aにアングル型の器具支持材4Aを支承する際に使用されるアングル固定用アタッチメントBとから成るものである。
【0028】
また、図面の形鋼1は、H形鋼1が採用され、このH形鋼1の下側のフランジ部2に、本実施例の形鋼用支持材固定金具を介して器具支持材4が固定された場合を示している。
【0029】
具体的には、本実施例の本体金具Aは、上部に前記形鋼1のフランジ部2の上方に配されてこのフランジ部2に締付操作により圧接する締付ボルト5が設けられ、下部に前記フランジ部2の下方に配されて前記器具支持材4を支承する支承部6が設けられている。
【0030】
更に詳しくは、本体金具Aは、
図1に示すように、金属製の帯板が側面視コ字状に折曲されて底板部9の前後に側板部10が立設状態に連設する形状に形成されている支承枠部11と、この支承枠部11の前後の側板部10の上部間に架設固定される金属製のボルト支持板12とから成る側面視ロ字状体に構成されている。
【0031】
また、この支承枠部11の前後の側板部10は、正面視略コ字状に折曲形成されていて、この前後の略コ字状側板部10の夫々の凹状内方空間部が、前記H型鋼1のフランジ部2が挿入されるフランジ配設用空間部13として構成されている。
【0032】
また、この本体金具Aは、前記支承枠部11の中ほどより下方側が、前記支承部6として構成されている。即ち、本実施例の支承部6は、前記底板部9が器具支持材4の下部を下方から支承し、前後の前記側板部10の中ほどより下方側が器具支持材4の両側部を側方から支承するように構成されている。
【0033】
また、この支承枠部11の前後の側板部10は、その左右両側縁部が直角に折曲されて、この折曲側縁部が剛性確保のための補強リブ15として構成されている。
【0034】
また、前記ボルト支持板12は、前記支承枠部11の底板部9と平行関係で上下に対設されていると共に、中央部にバーリング加工による雌螺子筒部が形成されてこの雌螺子筒部が螺着部14として構成され、この螺着部14に前記締付ボルト5(六角ボルト)が上方から螺着されていて、締付ボルト5の締緩操作によりボルト先端が底板部9に対し接離移動するように構成されている。
【0035】
従って、
図2~
図4に示すように、前記支承部6に支承したチャンネル型
の器具支持材4Bを前記形鋼1のフランジ部2の下方に配し、前記締付ボルト5の締付操作によりこの締付ボルト5をフランジ部2の上面に圧接すると共に支承部6に支承したチャンネル型
の器具支持材4Bをフランジ部2の下面に圧接することで、チャンネル型
の器具支持材4Bが支承部6の底板部9とフランジ部2の下面との間に挟着固定されるように構成されている。
【0036】
また、器具支持材4の固定には、二体一組の本体金具Aを使用する。更に詳しくは、
図2,
図3に示すように、夫々の前記フランジ配設用空間部13同志が向かい合うようにして二体の本体金具Aを形鋼1のフランジ部2の左右二箇所に固定し、この左右二箇所の本体金具Aの夫々の支承部6にチャンネル型
の器具支持材4Bを支承(二点で支承)して形鋼1に対し直交状態で確固に固定する。
【0037】
また、
図2は、形鋼1に固定されたチャンネル型
の器具支持材4Bに、設備工事用器具3として吊りボルト3Bが支持されている場合を示している。
【0038】
このようにチャンネル型の器具支持材4Bを形鋼1に固定する場合には、本体金具Aのみを使用し、前記アングル固定用アタッチメントBは使用しない。
【0039】
本実施例のアングル固定用アタッチメントBは、前記締付ボルト5の締付操作によりアングル型の器具支持材4Aが前記支承部6と前記フランジ部2との間に挟着固定された際に、アングル型の器具支持材4Aの水平板と支承部との間、若しくはアングル型の器具支持材4Aの水平板とフランジ部2との間に介在し得るように構成されている。
【0040】
また、このアングル固定用アタッチメントBは、
図1に示すように一枚の金属板が折曲されて所定高さを有する平面視コ字状体に形成されている。更に詳しくは、アングル固定用アタッチメントBは、前記アングル型
の器具支持材4Aを、上部が水平板,下部が垂直板となる第一固定態様S1で前記締付ボルト5の締付操作により前記支承部6と前記フランジ部2との間に挟着固定された際に、支承部6の前記底板部9の上面とフランジ部2の下面に圧接している第一固定態様S1のアングル型
の器具支持材4Aの上部水平板の下面との間に介在する高さ寸法を有する形状に形成されている(
図5~
図7参照)と共に、アングル型
の器具支持材4Aを、下部が水平板,上部が垂直板となる第二固定態様S2で前記締付ボルト5の締付操作により前記支承部6と前記フランジ部2との間に挟着固定された際に、支承部6の底板部9の上面に圧接している第二固定態様S2のアングル型
の器具支持材4Aの下部水平板の上面と前記フランジ部2の下面との間に介在する高さ寸法を有する形状に形成されている(
図8~
図10参照)。
【0041】
即ち、アングル型
の器具支持材4Aは、水平板の片側にだけ垂直板が連設する形状であるが、この垂直板の反対側(垂直板の存在しない側)にアングル固定用アタッチメントBを介在させることにより、アングル型
の器具支持材4Aが傾くことなく安定的に保持された状態で形鋼1のフランジ部2に固定されるように構成されている(
図7,
図10参照)。
【0042】
また、
図5は、形鋼1に固定された第一固定態様S1のアングル型
の器具支持材4Aに、設備工事用器具3として配管3Aが支持(載置)されている場合を示し、
図8は、形鋼1に固定された第二固定態様S2の長穴付きアングル型
の器具支持材4Aに、設備工事用器具3として吊りボルト3Bが支持されている場合を示している。
【0043】
また、アングル固定用アタッチメントBは、前記本体金具Aに対し着脱自在に取付け可能な取付部7が設けられ、この取付部7を挿通取付可能な取付孔8が、前記本体金具Aの支承部6を構成する側板部10に設けられている。
【0044】
具体的には、アングル固定用アタッチメントBは、左右の遊離板部の夫々の上下部に側面視方形状の突片7が一体的に設けられていて、この左右上下合計四箇所の突片7が前記取付部7として構成されている。
【0045】
一方、前記本体金具Aの側板部10の中ほどより下方側と下端部との二箇所に縦長孔状の前記取付孔8が貫通形成されていて、この二箇所の取付孔8に、前記側板部10の内側に配設したアングル固定用アタッチメントBの対角位置(斜め対向位置)に存する二箇所の取付部7(右上と左下の取付部7若しくは左上と右下の取付部7)を挿通することで、前後の側板部10の内側に取付け可能に構成されている。
【0046】
即ち、アングル固定用アタッチメントBは、その開放部側を本体金具Aの前方若しくは後方に向けた状態で取付部7を取付孔8に挿通して本体金具Aに取付けし得るように構成されている。
【0047】
また、アングル固定用アタッチメントBは、左右上下の四箇所に取付部7が設けられているために、本体金具Aの向きにかかわらず、斜め対向位置に存する二箇所の取付部7を取付孔8に挿通して取付け可能である。
【0048】
また、取付孔8は、前後の側板部10の双方に形成されている。即ち、アングル型
の器具支持材4Aの固定も、チャンネル型
の器具支持材4Bの場合と同様に二体一組の本体金具Aを使用するが、夫々の前記フランジ配設用空間部13同志が向かい合うようにして(180度向きを反転させた向い合せ状態で)二体の本体金具Aを形鋼1のフランジ部2の左右二箇所に固定し、この左右二箇所の本体金具Aの夫々の支承部6にアングル型
の器具支持材4Aを支承した際に、向きが180度異なるいずれの本体金具Aの支承部6に対しても同じ側(
図5,
図6,
図8,
図9では手前側)にアングル固定用アタッチメントBを取付けて一本のアングル型
の器具支持材4Aを二体の本体金具Aで固定できるように構成されている。
【0049】
また、アングル固定用アタッチメントBの取付部7は、突出基端側の上下部が切欠形成されて突出先端側より上下幅の小さい幅狭基端部16を有する形状に形成されていて、この取付部7を取付孔8に挿通した際に、幅狭基端部16が上方及び下方にスライド移動可能となるように構成されていると共に、取付部7を取付孔8に対し上方若しくは下方にスライド移動させると、取付部7の突出先端側が取付孔8の上側孔縁若しくは下側孔縁に係止して抜止状態となり、これによってアングル固定用アタッチメントBが本体金具A(の側板部10)に取付けられるように構成されている。
【0050】
そして、この取付部7を介して本体金具Aに取付けたアングル固定用アタッチメントBを上方へスライド移動させることで、前記支承部6の底板部9の上面とこの支承部6に支承された前記第一固定態様S1のアングル型の器具支持材4Aの上部水平板の下面との間にアングル固定用アタッチメントBが介在され、アングル固定用アタッチメントBを下方へスライド移動させることで、支承部6に支承された前記第二固定態様S2のアングル型の器具支持材4Aの下部水平板の上面と前記形鋼1のフランジ部2の下面との間にアングル固定用アタッチメントBが介在されるように、前記幅狭基端部16の上下幅(取付部7のスライド移動量)や取付孔8の形成位置等が設定構成されている。
【0051】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0052】
1 形鋼
2 フランジ部
3 設備工事用器具
3A 配管
3B 吊りボルト
4A アングル型の器具支持材
5 締付ボルト
6 支承部
7 取付部
A 本体金具
B アングル固定用アタッチメント
S1 第一固定態様
S2 第二固定態様