(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】フィルタ付きクリップ
(51)【国際特許分類】
B01D 29/01 20060101AFI20220112BHJP
B01D 35/02 20060101ALI20220112BHJP
F16L 3/04 20060101ALI20220112BHJP
F16B 2/20 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
B01D29/04 510C
B01D29/04 510D
B01D29/04 510E
B01D35/02 A
F16L3/04
F16B2/20 B
(21)【出願番号】P 2020154827
(22)【出願日】2020-09-15
【審査請求日】2020-10-05
(73)【特許権者】
【識別番号】591012200
【氏名又は名称】株式会社東海理機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】杉本 昌文
(72)【発明者】
【氏名】久徳 美沙
(72)【発明者】
【氏名】牧野 継聖
(72)【発明者】
【氏名】平岡 義通
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-075706(JP,A)
【文献】特公昭44-005747(JP,B1)
【文献】特開2018-178941(JP,A)
【文献】米国特許第3592768(US,A)
【文献】特開昭53-124378(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D27/00-29/96
B01D35/00-37/04
F16L55/24
F16L3/00-3/26
F16B2/00-2/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流路を構成する壁部に対して前記壁部を貫通する開口部を覆うように、自身の弾性変形を利用して取り付けられるとともに貫通孔を有するクリップ本体と、
前記クリップ本体に保持され、前記貫通孔を覆うシート状のフィルタと、を備える、
フィルタ付きクリップ。
【請求項2】
前記クリップ本体は、板材からなり、断面C字状に湾曲しており、
前記貫通孔は、前記クリップ本体をその厚さ方向に貫通している、
請求項1に記載のフィルタ付きクリップ。
【請求項3】
前記フィルタは、金属メッシュからなり、前記貫通孔を覆う濾過部と、前記濾過部の周縁全体に設けられた縁部と、を有しており、
前記縁部は、前記金属メッシュを折り返し、且つ押し潰すことで前記濾過部よりも大きい厚さを有している、
請求項2に記載のフィルタ付きクリップ。
【請求項4】
前記クリップ本体の厚さ方向の内側及び外側を内側及び外側とするとき、
前記縁部は、前記濾過部よりも内側に突出しており、
前記縁部及び前記濾過部によって凹部が形成されている、
請求項3に記載のフィルタ付きクリップ。
【請求項5】
前記クリップ本体の厚さ方向の内側及び外側を内側及び外側とするとき、
前記フィルタは、前記クリップ本体の内面に設けられている、
請求項2~請求項4のいずれか一項に記載のフィルタ付きクリップ。
【請求項6】
前記フィルタは、金属メッシュからなり、前記貫通孔を覆う濾過部と、前記濾過部の周縁に設けられた縁部と、を有しており、
前記縁部は、前記フィルタの主面に沿って互いに反対側に向かって突出する第1の突部及び第2の突部を有しており、
前記第1の突部及び前記第2の突部の双方は、前記金属メッシュを折り返し、且つ押し潰すことで形成されており、
前記クリップ本体には、前記第1の突部と前記第2の突部とがそれぞれ挿通される第1の挿通孔及び第2の挿通孔が設けられている、
請求項1~請求項5のいずれか一項に記載のフィルタ付きクリップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルタ付きクリップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流体に含まれる異物を除去する除去装置が知られている。特許文献1には、冷媒配管用のゴミ除去装置(以下、除去装置)が記載されている。この除去装置は、端部に拡管部を有する第1の配管と、第1の配管の拡管部に挿入して接合される第2の配管と、第1の配管の拡管部内において第2の配管の端面に対向するとともに拡管部の内壁に当接する定着部と、定着部に固着されたフィルタとを備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1の除去装置では、その配設位置が、配管同士の接続部に限定される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するためのフィルタ付きクリップは、流路を構成する壁部に対して前記壁部を貫通する開口部を覆うように、自身の弾性変形を利用して取り付けられるとともに貫通孔を有するクリップ本体と、前記クリップ本体に保持され、前記貫通孔を覆うシート状のフィルタと、を備える。
【0006】
同構成によれば、流路を構成する壁部に対して壁部を貫通する開口部を覆うように、クリップ本体を弾性変形させることでクリップ本体が取り付けられる。クリップ本体の貫通孔はフィルタによって覆われている。このため、開口部を通じて壁部の内外を流通する流体に含まれる異物をフィルタによって除去することができる。これにより、配管同士の接続部などの壁部同士の接続部以外の部分に対してフィルタを設けることができる。したがって、フィルタの配置の自由度を高めることができる。
【0007】
上記フィルタ付きクリップにおいて、前記クリップ本体は、板材からなり、断面C字状に湾曲しており、前記貫通孔は、前記クリップ本体をその厚さ方向に貫通していることが好ましい。
【0008】
同構成によれば、壁部としての配管の周壁の外周面に対してクリップ本体が外嵌して取り付けられる。これにより、周壁を貫通する開口部を通じて配管の内部から当該配管の外部に流出する流体に含まれる異物をフィルタによって除去することができる。ここで、クリップ本体の外形は、クリップ本体が配管の周壁に取り付けられた状態において、周壁の外周面に沿う。このため、クリップ本体が取り付けられることに起因して配管の体格が増大することを抑制できる。
【0009】
上記フィルタ付きクリップにおいて、前記フィルタは、金属メッシュからなり、前記貫通孔を覆う濾過部と、前記濾過部の周縁全体に設けられた縁部と、を有しており、前記縁部は、前記金属メッシュを折り返し、且つ押し潰すことで前記濾過部よりも大きい厚さを有していることが好ましい。
【0010】
同構成によれば、クリップ本体と配管の周壁との間に、フィルタの縁部が圧縮した状態で挟まれることで、クリップ本体と配管の周壁との間がシールされるようになる。これにより、クリップ本体と配管の周壁との間をシールする別体のシール部材が不要となる。したがって、フィルタ付きクリップの部品点数の増加を抑えることができる。また、金属メッシュを折り返し、且つ押し潰すことによって濾過部よりも大きい厚さの縁部を容易に形成することができる。
【0011】
上記フィルタ付きクリップにおいて、前記クリップ本体の厚さ方向の内側及び外側を内側及び外側とするとき、前記縁部は、前記濾過部よりも内側に突出しており、前記縁部及び前記濾過部によって凹部が形成されている。
【0012】
同構成によれば、フィルタの濾過部によって除去される異物を凹部内に収容することができる。
上記フィルタ付きクリップにおいて、前記クリップ本体の厚さ方向の内側及び外側を内側及び外側とするとき、前記フィルタは、前記クリップ本体の内面に設けられている。
【0013】
同構成によれば、フィルタがクリップ本体と配管の周壁との間に挟まれる。このため、周壁を貫通する開口部を通じて配管の内部から当該配管の外部に流出する流体からフィルタに作用する圧力がクリップ本体に分散されるようになる。これにより、クリップ本体によりフィルタを保持するための構成が簡単にできる。
【0014】
上記フィルタ付きクリップにおいて、前記フィルタは、金属メッシュからなり、前記貫通孔を覆う濾過部と、前記濾過部の周縁に設けられた縁部と、を有しており、前記縁部は、前記フィルタの主面に沿って互いに反対側に向かって突出する第1の突部及び第2の突部を有しており、前記第1の突部及び前記第2の突部の双方は、前記金属メッシュを折り返し、且つ押し潰すことで形成されており、前記クリップ本体には、前記第1の突部と前記第2の突部とがそれぞれ挿通される第1の挿通孔及び第2の挿通孔が設けられている。
【0015】
同構成によれば、フィルタの縁部に設けられた第1の突部及び第2の突部が、クリップ本体に設けられた第1の挿通孔及び第2の挿通孔にそれぞれ挿通されることで、フィルタの主面に沿う方向においてクリップ本体に対してフィルタが位置ずれすることを抑制できる。また、第1の突部及び第2の突部の双方が、金属メッシュを折り返し、且つ押し潰すことで形成されているため、第1の突部及び第2の突部の双方の剛性を容易に高めることができる。これにより、第1の突部または第2の突部が変形することを抑制できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、フィルタの配置の自由度を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】フィルタ付きクリップの一実施形態について、配管に取り付けられた状態のクリップを示す斜視図。
【
図2】配管に取り付けられた状態のクリップを示す断面図。
【
図3】同実施形態の配管とクリップとを互いに離間して示す分解斜視図。
【
図5】同実施形態のクリップ本体とフィルタとを互いに離間して示す分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、
図1~
図5を参照して、一実施形態のフィルタ付きクリップについて説明する。
図1~
図3に示すように、本実施形態のフィルタ付きクリップ(以下、クリップ10)は、液体などの流体が流通する流路を構成する配管90の周壁91に対して周壁91を貫通する開口部92を覆うように、自身の弾性変形を利用して取り付けられる。
【0019】
<配管90>
まず、配管90について説明する。
図1~
図3に示すように、配管90は、円筒状である。開口部92は、配管90の軸線方向に対して長い正面視長方形状である。
【0020】
<クリップ10>
次に、クリップ10について説明する。
図1~
図5に示すように、クリップ10は、貫通孔13を有するクリップ本体11と、クリップ本体11に保持され、貫通孔13を覆うシート状のフィルタ20とを備えている。
【0021】
<クリップ本体11>
クリップ本体11は、金属板材からなり、配管90の軸線方向に沿って延在するとともに、断面C字状に湾曲している。
【0022】
なお、以降において、クリップ本体11の延在方向、すなわち配管90の軸線方向を単に軸線方向Aとして説明する。また、クリップ本体11の周方向、すなわち配管90の周方向を単に周方向Cとして説明する。また、クリップ本体11の径方向、すなわち配管90の径方向を単に径方向Rとして説明する。また、クリップ本体11の厚さ方向の内側及び外側、すなわち径方向Rの内側及び外側を単に内側及び外側として説明する。
【0023】
図2に示すように、クリップ本体11は、円弧部11a、円弧部11aの周方向Cの両側にそれぞれ連なる外側屈曲部11b、外側屈曲部11bの周方向Cの両側にそれぞれに連なる内側屈曲部11c、内側屈曲部11cの周方向Cの両側にそれぞれ連なるガイド部11dを有している。
【0024】
円弧部11aは、配管90の周壁91の外周面に沿った断面円弧状である。円弧部11aは、周方向Cにおいて開口部92の両縁部よりも外側まで延びている。
外側屈曲部11bは、径方向Rの外側に向かって突出するように屈曲している。外側屈曲部11bと配管90の周壁91との間には、隙間が形成されている。
【0025】
内側屈曲部11cは、径方向Rの内側に向かって突出するように屈曲している。内側屈曲部11cは、配管90の周壁91に対して圧接している。
ガイド部11dは、クリップ本体11の周方向Cの端部を構成している。ガイド部11dの同士の間隔は、先端側(同図の下側)ほど大きい。
【0026】
図1~
図5に示すように、円弧部11aには、貫通孔13が形成されている。貫通孔13は、クリップ本体11をその厚さ方向に貫通している。貫通孔13は、軸線方向Aに対して長い正面視長方形状である。すなわち、貫通孔13の長辺及び短辺は、それぞれ軸線方向A及び周方向Cに沿って延びている。貫通孔13の外形寸法は、配管90の開口部92の外形寸法よりもわずかに大きい。
【0027】
図5に示すように、一方の外側屈曲部11bには、1つの第1の挿通孔14が形成されている。他方の外側屈曲部11bには、2つの第2の挿通孔15が形成されている。
第1の挿通孔14は、上記外側屈曲部11bの軸線方向Aの中央部に設けられている。
【0028】
2つの第2の挿通孔15は、上記外側屈曲部11bの軸線方向Aの中央部を挟むように軸線方向Aに互いに間隔をおいて設けられている。
第1の挿通孔14及び第2の挿通孔15は共に、軸線方向Aに対して長い正面視長方形状である。これら挿通孔14,15の長辺及び短辺は、それぞれ軸線方向A及び周方向Cに沿って延びている。
【0029】
<フィルタ20>
図2及び
図5に示すように、フィルタ20は、金属メッシュからなり、貫通孔13を覆う濾過部21と、濾過部21の周縁全体に設けられた縁部22とを有している。本実施形態の金属メッシュは、例えば金属細線の織物である。
【0030】
濾過部21は、軸線方向Aに対して長い平面視長方形状である。濾過部21の外形寸法は、クリップ本体11の貫通孔13の外形寸法よりも僅かに大きい。
縁部22は、軸線方向Aに対して長い平面視長方形枠状である。縁部22は、金属メッシュが折り返され、且つ押し潰されてなるとともに、濾過部21よりも大きい厚さを有している。縁部22は、濾過部21よりも内側に突出している。縁部22及び濾過部21によって凹部23が形成されている。
【0031】
図5及び
図6に示すように、縁部22は、フィルタ20の主面20aに沿って互いに反対側に向かって突出する1つの第1の突部24及び2つの第2の突部25を有している。第1の突部24及び第2の突部25の双方は、金属メッシュを折り返し、且つ押し潰すことで形成されている。
【0032】
第1の突部24は、縁部22の一方の長辺に設けられている。
2つの第2の突部25は、縁部22の他方の長辺に設けられている。
第1の突部24は、上記長辺の軸線方向Aの中央部に設けられている。
【0033】
2つの第2の突部25は、上記長辺の軸線方向Aの中央部を挟むように軸線方向Aに互いに間隔をおいて設けられている。
フィルタ20は、クリップ本体11の内面に対して同内面に沿った状態で設けられている。
【0034】
縁部22の厚さは、クリップ10が配管90の周壁91に取り付けられた状態において、クリップ本体11と周壁91とによって縁部22が圧接される大きさに設定されている。なお、突部24,25を含む縁部22の厚さは、例えば濾過部21の厚さの3~5倍に設定されている。
【0035】
図3及び
図4に示すように、クリップ本体11の第1の挿通孔14には、フィルタ20の第1の突部24が挿通されている。
クリップ本体11の2つの第2の挿通孔15には、フィルタ20の2つの第2の突部25がそれぞれ挿通されている。
【0036】
ここで、2つの第2の突部25は、第2の挿通孔15内においてクリップ本体11の軸線方向Aの中央部寄りにそれぞれ位置している。また、第1の突部24は、第1の挿通孔14における軸線方向Aの中央に位置する。これにより、軸線方向A及び周方向Cの双方について、クリップ本体11に対するフィルタ20の変位が規制されている。
【0037】
こうしたクリップ10が取り付けられた配管90においては、配管90内を流通する液体の一部が、開口部92及びフィルタ20を通じて外部に流れるようになる。このとき、液体に含まれる異物は、フィルタ20によって捕捉されて液体から除去される。また、捕捉された異物は、凹部23内に収容される。
【0038】
次に、本実施形態の作用について説明する。
配管90の周壁91に対して周壁91を貫通する開口部92を覆うように、クリップ本体11を弾性変形させることで周壁91の外周面に対してクリップ本体11が外嵌して取り付けられる。クリップ本体11の貫通孔13はフィルタ20によって覆われている。これにより、周壁91を貫通する開口部92を通じて配管90の内部から当該配管90の外部に流出する液体に含まれる異物をフィルタ20によって除去することができる(以上、作用1)。
【0039】
ここで、クリップ本体11の外形は、クリップ本体11が配管90の周壁91に取り付けられた状態において、周壁91の外周面に沿う(以上、作用2)。
また、クリップ本体11と配管90の周壁91との間に、フィルタ20の縁部22が圧縮した状態で挟まれることで、クリップ本体11と配管90の周壁91との間がシールされるようになる(以上、作用3)。
【0040】
次に、本実施形態の効果について説明する。
(1)クリップ10は、配管90の周壁91に対して周壁91を貫通する開口部92を覆うように、自身の弾性変形を利用して取り付けられる。クリップ10は、貫通孔13を有するクリップ本体11と、クリップ本体11に保持され、貫通孔13を覆うシート状のフィルタ20とを備える。
【0041】
こうした構成によれば、上記作用1を奏するため、配管同士の接続部以外の部分に対してフィルタ20を設けることができる。したがって、フィルタ20の配置の自由度を高めることができる。
【0042】
(2)クリップ本体11は、板材からなり、断面C字状に湾曲している。貫通孔13は、クリップ本体11をその厚さ方向に貫通している。
こうした構成によれば、上記作用2を奏するため、クリップ本体11が取り付けられることに起因して配管90の体格が増大することを抑制できる。
【0043】
(3)フィルタ20は、金属メッシュからなり、貫通孔13を覆う濾過部21と、濾過部21の周縁全体に設けられた縁部22とを有している。縁部22は、金属メッシュを折り返し、且つ押し潰すことで濾過部21よりも大きい厚さを有している。
【0044】
こうした構成によれば、上記作用3を奏する。これにより、クリップ本体11と配管90の周壁91との間をシールする別体のシール部材が不要となる。したがって、クリップ10の部品点数の増加を抑えることができる。また、金属メッシュを折り返し、且つ押し潰すことによって濾過部21よりも大きい厚さの縁部22を容易に形成することができる。
【0045】
(4)縁部22は、濾過部21よりも内側に突出している。縁部22及び濾過部21によって凹部23が形成されている。
こうした構成によれば、フィルタ20の濾過部21によって除去される異物を凹部23内に収容することができる。
【0046】
(5)フィルタ20は、クリップ本体11の内面に設けられている。
こうした構成によれば、フィルタ20がクリップ本体11と配管90の周壁91との間に挟まれる。このため、周壁91を貫通する開口部92を通じて配管90の内部から当該配管90の外部に流出する流体からフィルタ20に作用する圧力がクリップ本体11に分散されるようになる。これにより、クリップ本体11によりフィルタ20を保持するための構成が簡単にできる。
【0047】
(6)縁部22は、フィルタ20の主面20aに沿って互いに反対側に向かって突出する第1の突部24及び第2の突部25を有している。第1の突部24及び第2の突部25の双方は、金属メッシュを折り返し、且つ押し潰することで形成されている。クリップ本体11には、第1の突部24と第2の突部25とがそれぞれ挿通される第1の挿通孔14及び第2の挿通孔15が設けられている。
【0048】
こうした構成によれば、フィルタ20の縁部22に設けられた第1の突部24及び第2の突部25が、クリップ本体11に設けられた第1の挿通孔14及び第2の挿通孔15にそれぞれ挿通されることで、フィルタ20の主面20aに沿う方向(軸線方向A及び周方向C)においてクリップ本体11に対してフィルタ20が位置ずれすることを抑制できる。また、第1の突部24及び第2の突部25の双方が、金属メッシュを折り返し、且つ押し潰すことで形成されているため、第1の突部24及び第2の突部25の双方の剛性を容易に高めることができる。これにより、第1の突部24または第2の突部25が変形することを抑制できる。
【0049】
(7)フィルタ20の縁部22は、金属メッシュを折り返し、且つ押し潰すことにより形成されている。
こうした構成によれば、フィルタ20の縁部22のほつれを抑制できる。
【0050】
(8)フィルタ20は、クリップ本体11に対して着脱自在に取り付けられている。
こうした構成によれば、フィルタ20の交換を容易に行うことができる。
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0051】
・フィルタ20を構成する金属メッシュは、織物に限定されず、編物であってもよいし、パンチングメタルなどの多孔体であってもよい。
・フィルタ20の縁部22は、金属メッシュを折り重ねて形成されるものに限定されない。例えば、積層された複数枚の長方形枠状の金属メッシュを押しつぶすことで縁部22を形成するようにしてもよい。
【0052】
・濾過部21は、積層された複数枚の金属メッシュによって構成されていてもよい。
・クリップ本体11の内面に対してフィルタ20の縁部22を溶接やロウ付けなどにより固定してもよい。この場合、フィルタ20の第1の突部24及び第2の突部25を省略することができる。また、クリップ本体11の第1の挿通孔14及び第2の挿通孔15を省略することができる。
【0053】
・
図6に示すクリップ110のように、フィルタ120をクリップ本体11の外面に設けることもできる。この場合、フィルタ120の濾過部121が貫通孔13を覆うようにしてクリップ本体11の外面に対してフィルタ120の縁部122を溶接やロウ付けなどにより固定してもよい。あるいは、上記実施形態のように、フィルタ20の縁部22に設けられた突部24,25を、クリップ本体11の挿通孔14,15に挿通することでクリップ本体11に対してフィルタ20を組み付けることもできる。
【0054】
・フィルタ20の凹部23を省略することもできる。すなわち、フィルタ20の縁部22の厚さを濾過部21の厚さと同一とすることもできる。
・クリップ本体11と配管90の周壁との間をシールする別体のシール部材を設けてもよい。
【0055】
・クリップ本体11は、金属板材からなるものに限定されない。例えば、クリップ本体11は、樹脂板材からなるものであってもよい。
・フィルタ20は、金属メッシュからなるものに限定されない。例えば、フィルタ20は、樹脂メッシュからなるものであってもよい。
【0056】
・上記実施形態では、配管90内を流通する液体の一部が開口部92及びフィルタ20を通じて外部に流れる構成について例示したが、液体の流れ方向はこれに限定されない。例えば、配管90の外部からフィルタ20及び開口部92を通じて配管90内に液体が流入する構成であってもよい。
【0057】
・クリップは、配管90の周壁91に対して取り付けられるものに限定されない。例えばクリップ本体が、平板状の壁部に対して壁部を貫通する開口部を覆うように取り付けられるものであってもよい。この場合、クリップ本体の一対の係合片が、自身の弾性変形を利用して開口部に嵌入されるものとすればよい。
【符号の説明】
【0058】
10,110…クリップ
11…クリップ本体
11a…円弧部
11b…外側屈曲部
11c…内側屈曲部
11d…ガイド部
13…貫通孔
14…第1の挿通孔
15…第2の挿通孔
20,120…フィルタ
20a…主面
21,121…濾過部
22,122…縁部
23…凹部
24…第1の突部
25…第2の突部
90…配管
91…周壁(壁部)
92…開口部
【要約】
【課題】フィルタの配置の自由度を高めること。
【解決手段】クリップ10は、配管90の周壁91に対して周壁91を貫通する開口部92を覆うように、自身の弾性変形を利用して取り付けられる。クリップ10は、貫通孔13を有するクリップ本体11と、クリップ本体11に保持され、貫通孔13を覆うシート状のフィルタ20とを備える。
【選択図】
図3