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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】押ボタンスイッチ、入力装置
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/02 20060101AFI20220112BHJP
   H01H 13/83 20060101ALI20220112BHJP
   H01H 9/16 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
H01H13/02 A
H01H13/83
H01H9/16 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020568617
(86)(22)【出願日】2020-01-30
(86)【国際出願番号】 JP2020003555
(87)【国際公開番号】W WO2020158901
(87)【国際公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-11-11
(31)【優先権主張番号】P 2019016129
(32)【優先日】2019-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000230722
【氏名又は名称】NKKスイッチズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】原田 翔
(72)【発明者】
【氏名】虫明 剛太郎
(72)【発明者】
【氏名】岡野 陽太朗
(72)【発明者】
【氏名】青山 昌弘
(72)【発明者】
【氏名】浦 広樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 秋子
(72)【発明者】
【氏名】田中 良拓
(72)【発明者】
【氏名】別田 惣彦
【審査官】太田 義典
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2012/0281288(US,A1)
【文献】国際公開第2019/189663(WO,A1)
【文献】特開2006-49178(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/00-13/88
H01H 9/00- 9/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部ディスプレイに対して第1方向に離間して配置され、押下操作を受付ける透明又は略透明なボタンと、
前記ボタンと前記外部ディスプレイとの間に配置され、前記外部ディスプレイから出力された画像を前記押下操作が行われる前の待機位置にある前記ボタンの天面に焦点を合わせて投影させる複数のレンズと、
前記複数のレンズの夫々の位置及び向きが前記外部ディスプレイに対して固定されるように、前記複数のレンズを内蔵する保持部材と、
一端が前記ボタンに固着されると共に、前記待機位置にある前記ボタンに対して前記押下操作が行われると前記第1方向とは逆向きの第2方向に所定距離だけ他端が移動することで、前記ボタンを前記第2方向に前記所定距離だけ移動させるプランジャと、
を備え
前記第2方向と垂直な第3方向から見た場合、前記プランジャの前記他端が前記第2方向に前記所定距離だけ移動する範囲の少なくとも一部に、前記保持部材が配置されている、
押ボタンスイッチ。
【請求項2】
前記複数のレンズは、凸面を有し、互いに対向するように配置された第1レンズと第2レンズとを組として1組以上で構成されており、前記画像を前記待機位置にある前記ボタンの天面に焦点を合わせて投影させる、
請求項1に記載の押ボタンスイッチ。
【請求項3】
前記保持部材は、前記第1レンズ及び前記第2レンズを前記押下操作する前記第2方向に離間させて固定されるように内蔵する、
請求項2に記載の押ボタンスイッチ。
【請求項4】
前記待機位置から、前記押下操作後の前記ボタンの位置までの前記第2方向の前記所定距離が1.8mm以上である、
請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の押ボタンスイッチ。
【請求項5】
前記ボタンに対する押下操作に連動する前記プランジャの摺動とともに弾性エネルギーを蓄積又は解放させるネジリコイルバネと、
前記ネジリコイルバネが弾性変形すると同時に解放された前記弾性エネルギーを用いて摺動し、衝突片に衝突することで衝突音を生じさせるクリック板と、
可動側接点を有し、摺動する前記クリック板に押圧されることで可動する可動接片と、
固定側接点を有し、前記クリック板が前記衝突片に衝突すると同時又は略同時に、前記可動側接点を前記固定側接点で係止する固定接片と、
をさらに備える、
請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の押ボタンスイッチ。
【請求項6】
前記プランジャは、軸支部と長溝とを有し
第1端部と第2端部とを有し、前記第1端部が前記プランジャの前記軸支部に回動自在に軸支され、前記第2端部が前記プランジャの前記長溝に回動自在かつ摺動自在に係合されたネジリコイルバネと、
をさらに備え、
前記第1端部は、前記プランジャの摺動とともに移動して、前記ネジリコイルバネに弾性エネルギーを蓄積させ、
前記第2端部は、前記ネジリコイルバネが弾性変形すると同時に解放された前記弾性エネルギーを用いて前記長溝内を下方に摺動して、前記長溝の下端部に衝突することで衝突音を生じさせる、
請求項1乃至4のうちいずれか1項に記載の押ボタンスイッチ。
【請求項7】
前記ボタンは、天面側が凹部を有する形状であり、前記外部ディスプレイ側が非球面形状である、
請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の押ボタンスイッチ。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の押ボタンスイッチと、
複数の前記押ボタンスイッチの前記第2方向に配置された外部ディスプレイと、
を備える、
入力装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押ボタンスイッチ、及びこの押ボタンスイッチを外部ディスプレイ上に複数配置した入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、画像表示機能を有する押ボタンスイッチをディスプレイ上に複数配置させたマン・マシンインターフェース(入力装置)は存在する。このような、マン・マシンインターフェースは、放送音響機器の分野において採用され始めている。
そして、このようなマン・マシンインターフェースは、押ボタンスイッチに表示される画像の鮮明さが確保されていなければならない。押ボタンスイッチに表示される画像の鮮明さを確保する手法としては、従来より、押ボタンスイッチの画像表示部と、ディスプレイとの距離を短くする技術が知られている。(例えば特許文献1参照)
しかしながら、押ボタンスイッチの画像表示部と、ディスプレイとの距離を短くすると、これに伴い、押ボタンスイッチに対する押下操作のストロークが短くなってしまう。このため、押ボタンスイッチの押下操作を行う者は、明確な操作感を得ることができないため、スイッチ内部にレンズを搭載することにより、ディスプレイの画像を押ボタンスイッチに投影する技術もある。(例えば特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-84313号公報
【文献】特開平6-44857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これらの技術では、十分なストロークを確保することは可能ではあるものの、上記のようなレンズの構成では、収差の補正ができず像が歪んでしまい、鮮明かつ正確な表示を行うことが出来ない。
このように、押ボタンスイッチの画像表示部に表示される画像の鮮明さと、押下操作を行う者が感じる操作感の両立には技術的な課題があった。
【0005】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、ディスプレイから出力された画像を鮮明に表示することができるとともに、押下操作を行う者に明確な操作感を与えることができる押ボタンスイッチを提供することを目的とする。さらには、そのような技術的特徴を有する押ボタンスイッチを外部ディスプレイ上に複数配置させたマン・マシンインターフェースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る押ボタンスイッチは、
外部ディスプレイの上方に配置され、押下操作を受け付ける透明又は略透明なボタンと、
前記ボタンと前記外部ディスプレイとの間に配置され、前記外部ディスプレイから出力された画像を前記押下操作が行われる前の待機位置にある前記ボタンの天面に焦点を合わせて投影させる複数のレンズと、
前記複数のレンズの夫々の位置及び向きが前記外部ディスプレイに対して固定されるように、前記複数のレンズを内蔵する保持部材と、
を備える。
【0007】
この発明によれば、ボタンと外部ディスプレイとの間に複数のレンズが配置されているので、操作ストロークを確保するためにボタンと外部ディスプレイが十分に離間していたとしても、複数のレンズが、外部ディスプレイから出力された映像を、ボタンの天面に焦点が合うように投影させる。これにより、十分な操作ストロークを確保しながら、外部ディスプレイから出力された映像を、ボタンの天面に鮮明に投影させることができる。
【0008】
また、前記複数のレンズは、凸面を有し、互いに対向するように配置された第1レンズと第2レンズとで構成されており、前記画像を前記待機位置にある前記ボタンの天面に焦点を合わせて投影させることが好ましい。
【0009】
この場合、ボタンと外部ディスプレイとの間に凸面を有する2枚のレンズが配置されているので、2枚のレンズが、外部ディスプレイから出力された映像を、ボタンの天面に焦点が合うように投影させる。これにより、外部ディスプレイから出力された映像を、ボタンの天面により鮮明に投影させることができる。
【0010】
また、前記第1レンズ及び前記第2レンズを前記押下操作する方向に離間させて固定されるように内蔵することが好ましい。
【0011】
この場合、第1レンズと第2レンズとが、押下操作する方向に離間させて固定されるように内蔵されるので、第1レンズと第2レンズとを固定する位置を任意に調節することができる。これにより、外部ディスプレイから出力された映像を、ボタンの天面により鮮明に投影させることができる。
【0012】
また、前記待機位置から、前記押下操作後の前記ボタンの位置までの押下方向の距離が、1.8mm以上であることが好ましい。
【0013】
この場合、押下操作前の状態において、ボタンとレンズとの間に十分なスペースが確保されるので、長いストロークの押下操作が可能になる。その結果、押下操作を行う者は明確な操作感を得ることができる。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明に係る入力装置は、
上述のいずれかの押ボタンスイッチと、
複数の前記押ボタンスイッチの下方に配置された前記外部ディスプレイと、
を備える。
【0015】
この発明によれば、上述の技術的特徴を有する押ボタンスイッチが複数配列された入力装置を製造することができる。即ち、外部ディスプレイから出力された画像を鮮明に投影させることができるとともに、押下操作を行う者が明確な操作感を得ることができる、マン・マシンインターフェースを提供することができる。
【発明の効果】
【0016】
この発明によれば、ディスプレイから出力された画像を鮮明に表示することができるとともに、押下操作を行う者が明確な操作感を得ることができる押ボタンスイッチを提供することができる。さらには、そのような技術的特徴を有する押ボタンスイッチを外部ディスプレイ上に複数配置させたマン・マシンインターフェースを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】本発明の第1実施形態に係る押ボタンスイッチの外観斜視図である。押ボタンスイッチの断面図である。
図1B】本発明の第1実施形態に係る押ボタンスイッチの断面図である。
図2A】本発明の第1実施形態に係る押ボタンスイッチの平面図である。
図2B】本発明の第1実施形態に係る押ボタンスイッチの側面図である。
図2C】本発明の第1実施形態に係る押ボタンスイッチの正面図である。
図2D】本発明の第1実施形態に係る押ボタンスイッチの底面図である。
図3A】本発明の第1実施形態に係る押ボタンスイッチに対する押下操作が行われる前の状態を示す断面図である。
図3B】本発明の第1実施形態に係る押ボタンスイッチに対する押下操作が行われた後の状態を示す断面図である。
図4】本発明の第1実施形態に係る入力装置の外観斜視図である。
図5A】本発明の第2実施形態に係る押ボタンスイッチに対する押下操作が行われる前の状態を示す断面図である。
図5B】本発明の第2実施形態に係る押ボタンスイッチに対する押下操作が行われた後の状態を示す断面図である。
図5C】本発明の第2実施形態に係る押ボタンスイッチの外観斜視図である。
図6A】本発明の第3実施形態に係る押ボタンスイッチに対する押下操作が行われる前の状態を示す断面図である。
図6B】本発明の第3実施形態に係る押ボタンスイッチに対する押下操作が行われた後の状態を示す断面図である。
図6C】本発明の第3実施形態に係る押ボタンスイッチの外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の一実施形態である押ボタンスイッチ1について、図面を参照しつつ説明する。なお、本発明は下記の実施形態に限定されるものではない。
【0019】
[第1実施形態]
[基本構成]
第1実施形態に係る押ボタンスイッチ1は、透明又は略透明な取付パネルPを介して、それよりも下方に配置されたディスプレイDから出力された映像を、押下操作が行われる前の待機位置にあるボタン11の天面に表示させることができる押ボタンスイッチである。
なお、ディスプレイDから出力される映像には、静止画像及び動画像が含まれる。押ボタンスイッチ1は、ディスプレイDから出力される静止画像及び動画像いずれについても、押下操作が行われる前の待機位置にあるボタン11の天面に表示させることができる。
【0020】
このような押ボタンスイッチ1は、図1A及びBに示すように、ボタン11と、拡散板12と、プランジャ13と、保持部材14と、4枚のレンズ15a、15b、15c、及び15dと、ハウジング16と、コイルバネ17と、接点部18と、固定板19とを含むように構成されている。
また、押ボタンスイッチ1は、図4に示すように、複数の接点(図示せず)を有するメンブレンシート31を用いて、取付パネルP上に並べて固定することができる。
【0021】
押ボタンスイッチ1は、図1Bに示すように、ボタン11に対する押下操作が行われる前の状態では、ディスプレイDから出力された映像が矢印の方向で入力されて、拡散板12に表示させる。
具体的には、図3Aに示すように、ディスプレイDに表示された映像V1の光線群Lが矢印の方向で入力されて、4枚のレンズ15a、15b、15c、及び15dを通過することで屈折して集光し、拡散板12に焦点を合わせた倒立像となって結像する。その結果、ディスプレイDに表示された映像V1を180°回転させた映像V2が拡散板12に鮮明に投影される。
【0022】
[具体的構成]
以下、第1実施形態に係る押ボタンスイッチ1の各構成要素について詳しく説明する。
【0023】
(ボタン)
ボタン11は、押ボタンスイッチ1に対する押下操作を受け付けるボタンであり、図1A乃至図4に示すように、押ボタンスイッチ1の最上部に配置されている。ボタン11に対する押下操作が行われると、ボタン11、拡散板12、及びプランジャ13が、押下操作に連動して、押下操作の方向に移動する。また、これとともに、コイルバネ17が押下操作の方向に収縮する。すると、接点部18において、遮断状態であった場合には通電状態に切り替わり、通電状態であった場合には遮断状態に切り替わる。
なお、ボタン11の形状は特に限定されないが、本実施形態では、図1A乃至図4に示すように、天面に平面部を有し、4隅に丸みを有する略四角柱形状としている。
【0024】
(拡散板)
拡散板12は、映像の光を投影するスクリーンとして機能する透明又は略透明の拡散板であり、具体的には、拡散板12は、入射した映像の光を拡散させて射出する。拡散板12は、ボタン11の天面に配置されている。このため、拡散板12に投影された映像は、押ボタンスイッチ1を押下しようとする者が容易に視認することができる。
なお、拡散板12の形状は特に限定されないが、本実施形態では、図1A及びB、図2A乃至D、及び図4に示すように、正方形又は略正方形としている。
【0025】
(プランジャ)
プランジャ13は、ボタン11の下部に連結して配置される。プランジャ13は、ボタン11に対する押下操作がされると、これに連動して下方に摺動する。プランジャ13の最下部にはコイルバネ17の上端部が接続されている。このため、プランジャ13が下方に摺動すると、これに連動してコイルバネ17が押下操作の方向に収縮する。
なお、プランジャ13の形状は特に限定されないが、本実施形態では、図1A乃至図4に示すように、内側に空洞部を有する四角柱形状としている。プランジャ13の内側の空洞部には、後述する保持部材14と、レンズ15a、15b、15c、及び15dとが配置される。
【0026】
(保持部材)
保持部材14は、プランジャ13の内側の空洞部に配置される部材であり、レンズ15a、15b、15c、及び15dを保持する。具体的には、保持部材14は、レンズ15a、15b、15c、及び15dの夫々の位置及び向きがディスプレイDに対して固定されるように、レンズ15a、15b、15c、及び15dを内蔵するレンズユニット41として機能する。
なお、本実施形態では、保持部材14は、4枚のレンズ(レンズ15a、15b、15c、及び15d)を内蔵するレンズユニット41として機能しているが、内蔵できるレンズは複数枚であれば特に限定されない。例えば、3枚のレンズを内蔵することもできるし、レンズ15a及びレンズ15bを一体とした第1レンズと、レンズ15c及びレンズ15dを一体とした第2レンズとからなる2枚のレンズにすることもできる。
また、保持部材14は、ハウジング16と一体とすることもできる。
【0027】
(レンズ)
レンズ15a、15b、15c、及び15dは、保持部材14に内蔵されるレンズであり、図3Aに示すように、ディスプレイDから出力された映像V1の光線群Lを、拡散板12に結像するように屈折させて集光させる。
レンズ15b及び15cは、いずれも凸部と平坦部とを有する平凸レンズで構成されている。このうち、レンズ15bは、ディスプレイD側に凸面、ボタン11側に平坦面を有する平凸レンズであり、レンズ15cは、ボタン11側に凸面、ディスプレイD側に平坦面を有する平凸レンズである。レンズ15b及び15cは、保持部材14によって、夫々の平坦面が互いに対向するように並べられて保持されている。
ここで、本実施形態では、レンズ15cと、レンズ15dとは、夫々の平坦面が所定の隙間を隔てた離間した状態で保持されているが、これに限定されず、完全に接触した状態で保持されてもよい。
また、本実施形態では、レンズ15aがディスプレイD側に凸面を有する凹メニスカスレンズ、レンズ15dがボタン11側に凸面を有する凹メニスカスレンズで構成されている。
【0028】
(ハウジング)
ハウジング16は、押ボタンスイッチ1を構成する多くの部材を収納可能とする収納スペースを内側に有する箱型のハウジングである。具体的には、ハウジング16は、プランジャ13、保持部材14、レンズ15a、15b、15c、及び15d、コイルバネ17、及び接点部18を収納する。
なお、ハウジング16の形状は特に限定されないが、本実施形態では、図1A乃至図4に示すように、内側に空洞部を有する四角柱形状としている。
【0029】
(コイルバネ)
コイルバネ17は、一方の端部がプランジャ13の最下部に接続され、もう一方の端部がメンブレンシート31又は接点部18に接続された、直線形状のコイルバネである。コイルバネ17は、ボタン11に対する押下操作により下方に摺動するプランジャ13の動作に連動して、押下操作の方向に収縮する。また、コイルバネ17は、ボタン11に対する押下操作が解除されると、弾性変形して、一方の端部に接続されたプランジャ13を上方に押し返す。これにより、押下操作によって下方に位置していたボタン11、拡散板12、及びプランジャ13を、押下操作が行われる前の位置に復帰させる。
なお、コイルバネ17の態様は特に限定されず、ボタン11に対する押下操作が解除されたときに、押下操作が行われる前の位置に復帰させる機能を少なくとも有するものであればよい。
【0030】
(接点部)
接点部18は、ボタン11に対する押下操作に連動して遮断状態と通電状態とが切り替わる接点機構である。接点部18は、ボタン11に対する押下操作が行われる前は遮断状態を維持しているが、押下操作が行われると通電状態に切り替わる。その後、さらに押下操作が行われると、接点部18は通電状態から遮断状態に切り替わる。つまり、接点部18は、押ボタンスイッチ1に対する押下操作が行われる度に遮断状態と通電状態とが切り替わる。接点部18の上端はコイルバネ17の端部に接続されている。
【0031】
(固定板)
固定板19は、ハウジング16の下部の4隅に配置された、押ボタンスイッチ1を取付パネルPに固定するための部材である。具体的には、図4に示すように、取付パネルPに設けられた孔Hに押ボタンスイッチ1の固定板19を挿入して固定する。
【0032】
押ボタンスイッチ1は、以上のような構成をとることにより、押下操作前の待機位置にあるボタン11の天面(拡散板12)に、天面(拡散板12)から十分に離れた位置にあるディスプレイDから出力された映像を鮮明に表示させることができる。さらに、押下操作前の待機位置にあるボタン11とレンズ15dとの間に十分なスペースがあり、操作ストロークが確保されているので、押下操作を行う者は明確な操作感を得ることができる。
【0033】
[動作]
次に、図3A及びBを参照して、第1実施形態に係る押ボタンスイッチ1に対する押下操作が行われた時の、押ボタンスイッチ1の動作について説明する。
【0034】
図3Aには、ボタン11に対する押下操作が行われる前の押ボタンスイッチ1の状態が示されている。図3Bには、ボタン11に対する押下操作が行われたときの押ボタンスイッチ1の状態が示されている。
図3Aに示すように、ボタン11に対する押下操作が行われる前の押ボタンスイッチ1には、ボタン11とレンズ15dとの間に十分なスペースSが確保されている。
図3Aに示す状態で、ボタン11に対する押下操作が行われると、プランジャ13は、下方に摺動を開始し、ハウジング16によってボタン11の下面が係止される。これにより、押ボタンスイッチ1は、図3Bに示す状態になり、プランジャ13は、これ以上摺動することができないため停止する。このタイミングで、接点部18における開閉が行われて、遮断状態であったものが通電状態になり、通電状態であったものが遮断状態になる。
【0035】
図3A及びBに示すように、押ボタンスイッチ1は、ストロークMの距離だけ押下操作を受け付けることができる。ここで、ストロークMの距離は特に限定されないが、押下操作を行う者が明確な操作感を得られるようにするためには、少なくとも1.8mm以上の距離を確保することが望ましい。本実施形態における押ボタンスイッチ1は、ストロークMの距離が4mm以上であるため、押下操作を行う者は、明確な操作感を得ることができる。
【0036】
[入力装置]
次に、図4を参照して、ディスプレイD上に、第1実施形態に係る押ボタンスイッチ1を複数配置させた入力装置100の具体例について説明する。
【0037】
図4に示すように、本実施形態に係る押ボタンスイッチ1は、上述したメンブレンシート31を用いて、取付パネルP上に並べて固定することができる。
具体的には、1つのメンブレンシート31を用いて、3つの押ボタンスイッチ1を連結させて1つのユニットとし、これを取付パネルP上に順に並べて固定させていく。
ここで、取付パネルPに押ボタンスイッチ1を固定させるための具体的手法は特に限定されないが、本実施形態では、上述したように、取付パネルPに設けられた孔Hに、押ボタンスイッチ1の固定板19を挿入して固定する。
このように、複数の押ボタンスイッチ1が固定された取付パネルPを、ディスプレイDの上に配置して固定することで入力装置100が完成する。入力装置100の表面に整然と配置された複数の押ボタンスイッチ1には、ディスプレイDから出力された映像が鮮明に表示される。
【0038】
[第2実施形態]
[基本構成]
第2実施形態に係る押ボタンスイッチ1は、ディスプレイDから出力された映像を、押下操作が行われる前の待機位置にあるボタン11の天面に表示させることができる押ボタンスイッチである。
なお、ディスプレイDから出力される映像には、静止画像及び動画像が含まれる。押ボタンスイッチ1は、ディスプレイDから出力される静止画像及び動画像いずれについても、押下操作が行われる前の待機位置にあるボタン11の天面に表示させることができる。
【0039】
このような押ボタンスイッチ1は、図5A及びBに示すように、ボタン11と、拡散板12と、プランジャ13と、ハウジング16と、コイルバネ17と、カバー20と、ネジリコイルバネ22と、スイッチ素子23と、プリント基板24と、4枚のレンズ25a、25b、25c、及び25dと、レンズ固定フレーム26と、レンズフード27とを含むように構成されている。スイッチ素子23は、可動接片231と固定接片232とを有している。
また、押ボタンスイッチ1は、図5Cに示すように、ハウジング16とレンズフード27とが上下からプリント基板24を挟みこむように固定される。そして、押ボタンスイッチ1は、プリント基板24とともにディスプレイD上に配置される。
【0040】
押ボタンスイッチ1は、図5Aに示すように、ボタン11に対する押下操作が行われる前の状態では、ディスプレイDから出力された映像が矢印の方向で入力されて、拡散板12に表示させる。具体的には、第1実施形態と同様に、ディスプレイDに表示された映像の光線群が矢印の方向で入力されて、4枚のレンズ25a、25b、25c、及び25dを通過することで屈折して集光し、拡散板12に焦点を合わせた倒立像となって結像する。その結果、ディスプレイDに表示された映像を180°回転させた映像が拡散板12に鮮明に投影される。
【0041】
[具体的構成]
以下、第2実施形態に係る押ボタンスイッチ1の各構成要素について詳しく説明する。
【0042】
なお、図5A及びBに示す、ボタン11、拡散板12、プランジャ13、及びハウジング16の構成は、第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0043】
(コイルバネ)
コイルバネ17は、一方の端部がプランジャ13の最下部に接続され、もう一方の端部がハウジング16に接続された、直線形状のコイルバネである。コイルバネ17は、ボタン11に対する押下操作により下方に摺動するプランジャ13の動作に連動して、押下操作の方向に収縮する。また、コイルバネ17は、ボタン11に対する押下操作が解除されると、弾性変形して、一方の端部に接続されたプランジャ13を上方に押し返す。これにより、押下操作によって下方に位置していたボタン11、拡散板12、及びプランジャ13を、押下操作が行われる前の位置に復帰させる。なお、コイルバネ17の態様は特に限定されず、ボタン11に対する押下操作が解除されたときに、押下操作が行われる前の位置に復帰させる機能を少なくとも有するものであればよい。
【0044】
(カバー)
カバー20は、プランジャ13及びハウジング16の外側に配置されるカバーである。
【0045】
(ネジリコイルバネ)
ネジリコイルバネ22は、ボタン11に対する押下操作が行われたとき、及び復帰のときに、プランジャ13の一部に衝突することでクリック音を発生させる部材である。ネジリコイルバネ22の一方の端部22aは、プランジャ13の側面に設けられた軸支部13aに回動自在に軸支されている。また、ネジリコイルバネ22のもう一方の端部(図示せず)は、プランジャ13の側面に上下方向に設けられた長溝(図示せず)に、回動自在かつ摺動自在に係合されている。
ネジリコイルバネ22は、ボタン11が押下されてプランジャ13が下方に摺動すると、プランジャ13の長溝(図示せず)に係合されていた端部が長溝内を下方向に摺動して長溝の下端部に衝突する。これにより衝突音(クリック音)が発生する。また、ボタン11の復帰に合わせてプランジャ13が上方に摺動すると、プランジャ13の長溝に係合されていたネジリコイルバネ22の端部が長溝内を上方向に摺動して長溝の上端部に衝突する。これにより、衝突音(クリック音)が発生する。
【0046】
(スイッチ素子)
スイッチ素子23は、ボタン11に対する押下操作に連動して遮断状態と通電状態とが切り替わる接点機構である。スイッチ素子23は、可動接片231と固定接片232とを有している。
ボタン11が押下されてプランジャ13が下方に摺動すると、プランジャ13の下端部が可動接片231の可動部231aを上方から下方に押し込む。これに伴い可動接片231の接触部231bが固定接片232側に移動して接触する。これにより、スイッチ素子23は、遮断状態から通電状態に切り替わる。
【0047】
プリント基板24は、押ボタンスイッチ1をディスプレイD上に固定するための基板である。
【0048】
(レンズ)
レンズ25a、25b、25c、及び25dは、レンズ固定フレーム26によって固定されることで押ボタンスイッチ1に内蔵されるレンズである。レンズ25a及び25dは、いずれも凸部と平坦部とを有する平凸レンズで構成されている。このうち、レンズ25aは、ディスプレイD側に凸面、ボタン11側に平坦面を有する平凸レンズである。レンズ25dは、ボタン11側に凸面、ディスプレイD側に平坦面を有する平凸レンズである。また、レンズ25b及び25cは、いずれも凸部と凹部とを有する凹メニスカスレンズで構成されている。このうち、レンズ25bは、ディスプレイD側に凹面、ボタン11側に凸面を有する凹メニスカスレンズである。レンズ25cは、ボタン11側に凸面、ディスプレイD側に凸面を有する凹メニスカスレンズである。レンズ25b及び25cは、レンズ固定フレーム26によって、夫々の凸面が互いに対向するように並べられて固定されている。
ここで、本実施形態では、隣接するように配置されている、レンズ25aとレンズ25bとの間、レンズ25bとレンズ25cとの間、レンズ25cとレンズ25dとの間は、いずれも所定の隙間を隔てた離間した状態で固定されている。ただし、これに限定されず、例えば完全に接触した状態で固定されてもよい。
【0049】
(レンズフード)
レンズフード27は、レンズ25a及び25bを囲むように配置された筐体である。
【0050】
第2実施形態に係る押ボタンスイッチ1は、以上のような構成をとることにより、押下操作前の待機位置にあるボタン11の天面(拡散板12)に、天面(拡散板12)から十分に離れた位置にあるディスプレイDから出力された映像を鮮明に表示させることができる。さらに、押下操作前の待機位置にあるボタン11とレンズ25dとの間に十分なスペースがあり、操作ストロークが確保されているので、押下操作を行う者は明確な操作感を得ることができる。さらに、ネジリコイルバネ22の動作により発生するクリック音(衝突音)により、押下操作を行う者はさらに明確な操作感を得ることができる。
【0051】
[動作]
次に、図5A及びBを参照して、第2実施形態に係る押ボタンスイッチ1に対する押下操作が行われた時の、押ボタンスイッチ1の動作について説明する。
【0052】
図5Aは、ボタン11に対する押下操作が行われる前の押ボタンスイッチ1の状態を示している。図5Bは、ボタン11に対する押下操作が行われたときの押ボタンスイッチ1の状態を示している。
図5Aに示す状態で、ボタン11に対する押下操作が行われると、プランジャ13が下方に摺動を開始し、ハウジング16によってボタン11の下面が係止される。これにより、押ボタンスイッチ1は、図5Bに示す状態になり、プランジャ13は、これ以上摺動することができないため停止する。このタイミングで、スイッチ素子23による開閉が行われるとともに、ネジリコイルバネ22の動作によりクリック音(衝突音)が発生する。これにより、押下操作を行う者は、明確な操作感を得ることができる。
【0053】
[第3実施形態]
[基本構成]
第3実施形態に係る押ボタンスイッチ1は、ディスプレイDから出力された映像を、押下操作が行われる前の待機位置にあるボタン11の天面に表示させることができる押ボタンスイッチである。
なお、ディスプレイDから出力される映像には、静止画像及び動画像が含まれる。押ボタンスイッチ1は、ディスプレイDから出力される静止画像及び動画像いずれについても、押下操作が行われる前の待機位置にあるボタン11の天面に表示させることができる。
【0054】
このような押ボタンスイッチ1は、図6A及びBに示すように、ボタン11と、拡散板12と、プランジャ13と、ハウジング16と、カバー20と、ネジリコイルバネ30と、クリック板31と、プリント基板24と、4枚のレンズ25a、25b、25c、及び25dと、レンズ固定フレーム26と、レンズフード27とを含むように構成されている。また、可動接片231と固定接片232とからなるスイッチ素子を有している。
また、押ボタンスイッチ1は、図6Cに示すように、ハウジング16とレンズフード27とが間にプリント基板24を挟みこむようにしてプリント基板24に固定される。そして、押ボタンスイッチ1は、プリント基板24とともにディスプレイD上に配置される。
【0055】
押ボタンスイッチ1は、図6Aに示すように、ボタン11に対する押下操作が行われる前の状態では、ディスプレイDから出力された映像が矢印の方向で入力されて、拡散板12に表示させる。具体的には、第1実施形態及び第2実施形態と同様に、ディスプレイDに表示された映像の光線群が矢印の方向で入力されて、4枚のレンズ25a、25b、25c、及び25dを通過することで屈折して集光し、拡散板12に焦点を合わせた倒立像となって結像する。その結果、ディスプレイDに表示された映像を180°回転させた映像が拡散板12に鮮明に投影される。
【0056】
[具体的構成]
以下、第3実施形態に係る押ボタンスイッチ1の各構成要素について詳しく説明する。
【0057】
なお、図6A及びBに示す、拡散板12、プランジャ13、及びハウジング16の構成は、第1実施形態及び第2実施形態と同様であるため説明を省略する。また、プリント基板24、レンズ25a乃至25d、及びレンズフード27の構成は、第2実施形態と同様であるため説明を省略する。
【0058】
ボタン11は、押ボタンスイッチ1に対する押下操作を受け付けるボタンであり、図6A及びBに示すように、押ボタンスイッチ1の最上部に配置されている。
ボタン11の形状は、天面が凹部を有する形状となっている。このため、押ボタンスイッチ1に対する押下操作が容易という効果を奏する。天面が凹部を有する形状となっていることから、結像面を調整する必要があるため、ボタン11の裏面(映像入射面)は非球面形状となっている。
【0059】
カバー20は、ハウジング16の上部を覆うための蓋である。カバー20の天井部の内側には、クリック板31の上端部31bを衝突させて音(クリック音)を生じさせるための衝突片20aが設けられている。
なお、カバー20の形状は特に限定されないが、本実施形態では、図6A乃至Cに示すように、中央部に空洞を有する四角形状としている。
【0060】
(ネジリコイルバネ)
ネジリコイルバネ30は、対向するように配置された第1軸30a及び第2軸30bと、これらの間に形成された2つのコイルによって構成されたネジリコイルバネである。第1軸30aは、プランジャ13の一部に設けられた軸支部13aに軸支されている。これにより、プランジャ13が下方に摺動すると、ネジリコイルバネ30は、第1軸30a回りに回転する。第2軸30bは、クリック板31の一部に設けられた軸支部31aによって軸支されている。
押ボタンスイッチ1が遮断状態にあるとき、軸支部13aと軸支部31aとの位置関係は、図6Aに示すように、軸支部13aが軸支部31aよりも上方に位置する。ここで、ボタン11に対する押下操作が開始されると、押下操作に連動して、プランジャ13が下方に摺動し始める。すると、ネジリコイルバネ30は、第1軸30aが第2軸30bに接近するように撓みながら弾性エネルギーを蓄積する。ネジリコイルバネ30が撓んで、第1軸30aと第2軸30bとが最接近した状態でプランジャ13がさらに下方に摺動すると、ネジリコイルバネ30は反転し、第2軸30bが第1軸30aから離反するように伸張しながら蓄積した弾性エネルギーを解放する。解放された弾性エネルギーは、軸支部31aを介してクリック板31に伝達される。これにより、クリック板31が跳ね上げられるように上方に摺動する。すると、上方に摺動したクリック板31の上端部31bが、カバー20の衝突片20aに衝突して衝突音(クリック音)を生じさせる。
【0061】
そして、ボタン11の復帰操作に連動して、プランジャ13が上方に摺動し始めると、ネジリコイルバネ30は、再び第1軸30aが第2軸30bに接近するように撓みながら弾性エネルギーを蓄積する。ネジリコイルバネ30が撓んで、第1軸30aが第2軸30bに再び最接近した状態でプランジャ13がさらに上方に摺動すると、ネジリコイルバネ30は反転し、第2軸30bが第1軸30aから離反するように伸張しながら蓄積した弾性エネルギーを解放する。解放された弾性エネルギーは、軸支部31aを介してクリック板31に伝達される。これにより、クリック板31は下方に摺動する。すると、下方に摺動したクリック板31の下端部31cが、ハウジング16の内壁の底部16aに衝突して衝突音(クリック音)を生じさせる。
【0062】
(クリック板)
クリック板31は、ボタン11に対する押下操作がなされたときにクリック音を生じさせるための部材であり、ネジリコイルバネ30が弾性変形すると同時に解放された弾性エネルギーを用いて摺動し、衝突片20aに衝突することで衝突音(クリック音)を生じさせる。具体的には、クリック板31は、ネジリコイルバネ30の第2軸30bを軸支する軸支部31aを有する。クリック板31は、押ボタンスイッチ1が遮断状態にあるときは、ハウジング16の内壁の底部付近に配置される。そして、ボタン11に対する押下操作が開始され、プランジャ13が下方に摺動すると、ネジリコイルバネ30は、第1軸30aが第2軸30bに接近するように撓みながら弾性エネルギーを蓄積し、第1軸30aが第2軸30bに最接近した状態でプランジャ13がさらに摺動すると反転し、第2軸30bが第1軸30aから離反するように伸張し、蓄積した弾性エネルギーを解放しながらクリック板31を上方に摺動させる。ネジリコイルバネ30が反転すると、押ボタンスイッチ1の操作者は、ネジリコイルバネ30の反転を、いわゆるクリック感として指先で認識する。そして、上方に摺動したクリック板31は、カバー20の衝突片20aに上端部31bを衝突させて衝突音(クリック音)を生じさせる。
【0063】
(可動接片及び固定接片)
可動接片231及び固定接片232は、ボタン11に対する押下操作に連動して遮断状態と通電状態とを切り替えるスイッチ素子を構成する。ボタン11が押下されてプランジャ13が下方に摺動した結果、クリック板31が上方に摺動すると、クリック板31の上端部31bが可動接片231の可動部231aを下方から押し上げ、これに伴い可動接片231の接触部231bが固定接片232側に移動して接触する。これにより、遮断状態から通電状態に切り替わる。
【0064】
第3実施形態に係る押ボタンスイッチ1は、以上のような構成をとることにより、押下操作前の待機位置にあるボタン11の天面(拡散板12)に、天面(拡散板12)から十分に離れた位置にあるディスプレイDから出力された映像を鮮明に表示させることができる。さらに、押下操作前の待機位置にあるボタン11とレンズ25dとの間に十分なスペースがあり、操作ストロークが確保されているので、押下操作を行う者は明確な操作感を得ることができる。さらに、ネジリコイルバネ30の動作により発生するクリック音(衝突音)により、押下操作を行う者はさらに明確な操作感を得ることができる。
【0065】
[動作]
次に、図6A及びBを参照して、第3実施形態に係る押ボタンスイッチ1に対する押下操作が行われた時の、押ボタンスイッチ1の動作について説明する。
【0066】
図6Aは、ボタン11に対する押下操作が行われる前の押ボタンスイッチ1の状態を示している。図6Bは、ボタン11に対する押下操作が行われたときの押ボタンスイッチ1の状態を示している。
図6Aに示す状態で、ボタン11に対する押下操作が行われると、プランジャ13が下方に摺動を開始し、ハウジング16によってボタン11の下面が係止される。これにより、押ボタンスイッチ1は、図6Bに示す状態になり、プランジャ13は、これ以上摺動することができないため停止する。このタイミングで、接点機構による開閉が行われるとともに、ネジリコイルバネ30の動作によりクリック音(衝突音)が発生する。これにより、押下操作を行う者は、明確な操作感を得ることができる。
【0067】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。また、本発明に係る要旨を逸脱しない範囲内であれば種々の変更を施してもよい。
【0068】
例えば、上述の第1実施形態では、レンズ15b及び15cの形状は、凸部と平坦部とを有する平凸レンズが、またレンズ15a及び15dの形状は、凸部と凹部とを有する凹メニスカスレンズが採用されているが、これは例示に過ぎない。本発明の目的を達成できる態様のレンズであればよく、例えば、両凸レンズ、凸メニスカスレンズ、平凹レンズ、両凹レンズ等を採用してもよい。また例えば、上述の第2実施形態及び第3実施形態では、レンズ25b及び25cの形状は、凸部と凹部とを有する凹メニスカスレンズが、またレンズ25a及び25dの形状は、凸部と平坦部とを有する平凸レンズが採用されているが、これは例示に過ぎない。本発明の目的を達成できる態様のレンズであればよく、例えば、両凸レンズ、凸メニスカスレンズ、平凹レンズ、両凹レンズ等を採用してもよい。
【0069】
以上まとめると、本発明が適用される押ボタンスイッチは、次のような構成を取れば足り、各種各様な実施形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される押ボタンスイッチ(例えば図3A及びBの押ボタンスイッチ1)は、
外部ディスプレイ(例えば図3A及びBのディスプレイD)の上方に配置され、押下操作を受け付ける透明又は略透明なボタン(例えば図3のボタン11及び拡散板12)と、
前記ボタンと前記外部ディスプレイとの間に配置され、前記外部ディスプレイから出力された画像(例えば図3Aの映像V1)を前記押下操作が行われる前の待機位置にある前記ボタンの天面(例えば図3A及びBの拡散板12)に焦点を合わせて投影させる複数のレンズ(例えば図3A及びBのレンズ15a、15b、15c及び15d)と、
前記複数のレンズの夫々の位置及び向きが前記外部ディスプレイに対して固定されるように、前記複数のレンズを内蔵する保持部材(例えば図3A及びBの保持部材14、あるいは図5A及びBのレンズ固定フレーム26)と、
を備える。
【0070】
これにより、例えば第1実施形態では、ボタン11とディスプレイDとの間にレンズ15a、15b、15c及び15dが配置されているので、ディスプレイDから出力された映像V1の光線群Lを、拡散板12に結像するように屈折させて集光させる。これにより、ディスプレイDから出力された映像V1を、透明又は略透明な拡散板12に、映像V2として鮮明に投影させることができる。
【0071】
また、前記複数のレンズは、凸面を有し、互いに対向するように配置された第1レンズ(例えば図3A及びBのレンズ15a)と第2レンズ(例えば図3A及びBのレンズ15b)とで構成されており、前記画像を前記待機位置にある前記ボタンの天面に焦点を合わせて投影させることができる。
【0072】
これにより、例えば第1実施形態では、ボタン11とディスプレイDとの間に凸面を有する2枚のレンズ15a及び15bが配置されているので、ディスプレイDから出力された映像V1の光線群Lを、透明又は略透明な拡散板12に結像するように屈折させて集光する。これにより、ディスプレイDから出力された映像V1を、透明又は略透明な拡散板12に、映像V2として鮮明に投影させることができる。
【0073】
また、前記保持部材は、前記第1レンズ及び前記第2レンズを前記押下操作する方向に離間させて固定されるように内蔵することができる。
【0074】
これにより、第1レンズと第2レンズとが、押下操作する方向に離間させて固定されるように内蔵されるので、第1レンズと第2レンズとを固定する位置を任意に調節することができる。これにより、外部ディスプレイから出力された映像を、ボタンの天面により鮮明に投影させることができる。
【0075】
また、前記待機位置から、前記押下操作後の前記ボタンの位置までの押下方向の距離(例えば図3AのストロークMの距離)が1.8mm以上とすることができる。
【0076】
これにより、例えば第1実施形態では、押下操作前の状態において、ボタン11とレンズ15bとの間に十分なスペースが確保されるので、距離が長いストロークMによる押下操作が可能になる。その結果、押下操作を行う者は、明確な操作感を得ることができる。
【0077】
また、前記ボタンに対する押下操作に連動するプランジャ(例えば図6A及びBのプランジャ13)の摺動とともに弾性エネルギーを蓄積又は解放させるネジリコイルバネ(例えば図6A及びBのネジリコイルバネ30)と、
前記ネジリコイルバネが弾性変形すると同時に解放された前記弾性エネルギーを用いて摺動し、衝突片(例えば図6A及びBの衝突片20a)に衝突することで衝突音を生じさせるクリック板(例えば図6A及びBのクリック板31)と、
可動側接点(例えば図6A及びBの接触部231b)を有し、摺動する前記クリック板に押圧されることで可動する可動接片(例えば図6A及びBの可動接片231)と、
固定側接点を有し、前記クリック板が前記衝突片に衝突すると同時又は略同時に、前記可動側接点を前記固定側接点で係止する固定接片(例えば図6A及びBの固定接片232)と、
をさらに備えることができる。
【0078】
これにより、クリック板が衝突音を生じさせるタイミングと、押ボタンスイッチの開閉のタイミングとの同期を図ることができる。また、押下操作を行う者は、明確な操作感(いわゆるクリック感)を得ることができる。
【0079】
また、軸支部(例えば図5A及びBの軸支部13a)と長溝とを有し、前記ボタンに対する押下操作に連動して摺動するプランジャ(例えば図5A及びBのプランジャ13)と、
第1端部(例えば図5A及びBの端部22a)と第2端部とを有し、前記第1端部が前記プランジャの前記軸支部に回動自在に軸支され、前記第2端部が前記プランジャの前記長溝に回動自在かつ摺動自在に係合されたネジリコイルバネ(例えば図5A及びBのネジリコイルバネ22)と、
をさらに備え、
前記第1端部は、前記プランジャの摺動とともに移動して、前記ネジリコイルバネに弾性エネルギーを蓄積させ、
前記第2端部は、前記ネジリコイルバネが弾性変形すると同時に解放された前記弾性エネルギーを用いて前記長溝内を下方に摺動して、前記長溝の下端部に衝突することで衝突音を生じさせることができる。
【0080】
これにより、押下操作に合わせてネジリコイルバネが衝突音を生じさせるので、押下操作を行う者は、明確な操作感(いわゆるクリック感)を得ることができる。
【0081】
また、前記ボタン(例えば図6A及びBのボタン11)は、天面側が凹部を有する形状、前記外部ディスプレイ側が非球面形状とすることができる。
【0082】
これにより、ボタンの天面側が凹部を有する形状であるため、押下操作を容易にすることができる。また、ボタンの外部ディスプレイ側が非球面形状であるため、結像面が調整されるので、好適な映像を出力することができる。
【0083】
また、本発明が適用される入力装置(例えば図4の入力装置100)は、
上述の押ボタンスイッチと、
複数の前記押ボタンスイッチの下方に配置された外部ディスプレイと、
を備える。
【0084】
これにより、上述の技術的特徴を有する押ボタンスイッチが複数配列された入力装置100を製造することができる。即ち、ディスプレイDから出力された映像V1を鮮明に投影させることができるとともに、押下操作を行う者が明確な操作感を得ることができる、マン・マシンインターフェースを提供することができる。
【符号の説明】
【0085】
1:押ボタンスイッチ、11:ボタン、12:拡散板、13:プランジャ、14:保持部材、15a,15b,15c,15d:レンズ、16:ハウジング、17:コイルバネ、18:接点部、19:固定板、20:カバー、22:ネジリコイルバネ、23:スイッチ素子、24:プリント基板、25a,25b,25c,25d:レンズ、26:レンズ固定フレーム、27:レンズフード、30:ネジリコイルバネ、31:クリック板、231:可動接片、231a:可動部、231b:接触部、232:固定接片、41:レンズユニット、100:入力装置、P:取付パネル、D:ディスプレイ、V1:ディスプレイから出力された映像、V2:拡散板に投影された映像、S:スペース、M:ストローク、L:光線群、H:孔

図1A
図1B
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C