IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ベルクの特許一覧

<>
  • 特許-観賞用水槽 図1
  • 特許-観賞用水槽 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】観賞用水槽
(51)【国際特許分類】
   A01K 63/00 20170101AFI20220112BHJP
   A01K 63/06 20060101ALI20220112BHJP
   A01K 63/04 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
A01K63/00 A
A01K63/06 C
A01K63/04 A
A01K63/06 A
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021001259
(22)【出願日】2021-01-07
【審査請求日】2021-01-07
(73)【特許権者】
【識別番号】521010883
【氏名又は名称】株式会社ベルク
(74)【代理人】
【識別番号】110000648
【氏名又は名称】特許業務法人あいち国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100130188
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 喜一
(72)【発明者】
【氏名】水野 辰哉
【審査官】吉田 英一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-77234(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-0928151(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 63/00
A01K 63/06
A01K 63/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯水された主水槽と、
前記主水槽の内部に配置され、前記主水槽の貯水領域を上層と下層とに仕切ると共に、前記上層と前記下層との間で水の移動を許容する貫通孔が形成された有孔仕切板と、
透光性材料により成形され、上下方向に延びる筒状に形成され、前記筒状の上端側が前記主水槽の水面より上方に突出して配置され、前記主水槽の前記上層の位置に開口が形成され、前記主水槽の水面より上方が閉塞され、前記主水槽の水面よりも上方に貯水された突出水槽と、
前記有孔仕切板における前記突出水槽の下方に取り付けられ且つ前記突出水槽の内部空間を照らす発光部、及び、前記発光部に接続され且つ前記下層に配置された配線を備える照明装置と、
前記下層に配置されたポンプと、
前記主水槽の外部であって前記主水槽の前記下層から前記主水槽の前記上層の水面へ循環させる外部循環管に配置され、前記ポンプにより吸引された前記下層の水を濾過し、前記主水槽の水面の上方から水面に向かって濾過水を落下供給する濾過装置と、
を備える、観賞用水槽。
【請求項2】
前記主水槽は、非透光性材料により成形される、請求項1に記載の観賞用水槽。
【請求項3】
前記観賞用水槽は、さらに、
前記有孔仕切板の上面に層状に配置され、前記有孔仕切板の前記貫通孔を通過不能な大粒砂と、
前記大粒砂より小粒に形成され、前記大粒砂の上面に層状に配置された小粒砂と、
を備える、請求項1又は2に記載の観賞用水槽。
【請求項4】
前記観賞用水槽は、さらに、前記外部循環管を循環する水の温度を調整する温度調整装置を備える、請求項1-3の何れか1項に記載の観賞用水槽。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、観賞用水槽に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1-5に記載されているように、主水槽と、主水槽の水面よりも上方に突出して位置する突出水槽とを備えることが記載されている。そして、突出水槽における水面は、主水槽の水面よりも上方に位置する。そして、観賞魚は、主水槽の内部のみならず、突出水槽の内部にも移動可能となる。従って、観賞効果が高くなる。
【0003】
例えば、観賞魚が突出水槽にて遊泳中の状態においては、観賞者にとって、観賞魚が浮いているような状態に見える。また、主水槽を非透光性材料とし、突出水槽を透光性材料とする場合には、突出水槽のみが側面から観賞魚を観賞することができる部位となり、観賞魚をあらゆる方向から観察することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2002-95380号公報
【文献】特開2000-308431号公報
【文献】特開2013-150601号公報
【文献】実用新案登録第3092672号公報
【文献】実用新案登録第3103814号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、観賞用水槽内の水を綺麗な状態とすることが重要である。一般に、観賞用水槽内の水を長期間に亘って綺麗な状態を維持するために、濾過装置を用いて水を循環させている。濾過装置を用いて水を循環させるために用いられるポンプや濾過装置は、観賞用水槽内に配置されている。このように、観賞用水槽の内部に機械装置が配置されてしまうと、観賞性が低下する。しかし、ポンプや濾過装置を配置しなければ、短期間で水が汚れてしまい、却って観賞性が低下する。また、突出水槽の存在により十分に観賞効果は高いが、突出水槽の部位の観賞効果をより高くすることに工夫の余地がある。
【0006】
本発明は、突出水槽を有しており、さらに鑑賞効果を高めることができる観賞用水槽を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
観賞用水槽は、貯水された主水槽と、主水槽の内部に配置され、主水槽の貯水領域を上層と下層とに仕切ると共に、上層と下層との間で水の移動を許容する貫通孔が形成された有孔仕切板と、透光性材料により成形され、上下方向に延びる筒状に形成され、筒状の上端側が主水槽の水面より上方に突出して配置され、主水槽の上層の位置に開口が形成され、主水槽の水面より上方が閉塞され、主水槽の水面よりも上方に貯水された突出水槽と、有孔仕切板における突出水槽の下方に取り付けられ且つ突出水槽の内部空間を照らす発光部、及び、発光部に接続され且つ下層に配置された配線を備える照明装置と、下層に配置されたポンプと、主水槽の外部であって主水槽の下層から主水槽の上層の水面へ循環させる外部循環管に配置され、ポンプにより吸引された下層の水を濾過し、主水槽の水面の上方から水面に向かって濾過水を落下供給する濾過装置を備える。
【0008】
上記の観賞用水槽は、主水槽と突出水槽とを備えており、さらに、有孔仕切板により上層と下層とに仕切っている。つまり、観賞魚は、主水槽の上層と突出水槽とを遊泳可能となる。従って、突出水槽の効果により、観賞効果を高めることができる。
【0009】
また、観賞用水槽は、濾過装置及びポンプを備えるため、長期間に亘って水槽内部の水を綺麗な状態に維持できる。そして、ポンプは、有孔仕切板の下方、すなわち主水槽の下層に配置されている。観賞魚は、主水槽の上層及び突出水槽を遊泳し、主水槽の下層に移動することはできない。つまり、観賞魚が遊泳する領域に、ポンプが存在しない。従って、ポンプの存在が観賞効果を低下させることはなく、結果として観賞効果を高めることができる。さらに、濾過装置は、主水槽の外部に配置されている。従って、濾過装置が観賞効果を低下させることもない。
【0010】
さらに、観賞用水槽は、照明装置を備える。照明装置の発光部は、突出水槽を下方から突出水槽の内部空間を照らしている。従って、突出水槽の装飾効果を高めることができ、観賞効果をより高くすることができる。さらに、照明装置は、発光部を発光させるために、発光部に接続された配線を備える。配線は、主水槽の下層に配置されている。仮に、照明装置の配線が、観賞魚が遊泳している領域に配置されていると、観賞効果の低下を招来する。しかし、照明装置の配線は、有孔仕切板の下方、すなわち主水槽の下層に配置されている。つまり、観賞魚が遊泳する領域に、照明装置の配線が存在しない。従って、照明装置の配線の存在が観賞効果を低下させることはなく、結果として観賞効果を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】観賞用水槽の全体構成を示す図であり、主水槽の内部を断面として図示する。
図2】有孔仕切板を上面から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(1.観賞用水槽1の構成)
観賞用水槽1の構成について、図1及び図2を参照して説明する。観賞用水槽1は、主に、家庭や店舗の庭、家庭や店舗の玄関先等に配置される。ただし、観賞用水槽1は、室内に配置することも可能である。
【0013】
観賞用水槽1は、図1に示すように、主水槽10、有孔仕切板20、底砂30、突出水槽40、照明装置50、外部循環管60、ポンプ70、濾過装置80、温度調整装置90を備える。
【0014】
主水槽10は、貯水された水槽であって、観賞用水槽1において観賞魚が遊泳可能な貯水領域の主領域を構成する。主水槽10は、水平方向断面形状が円形、角形等の任意の形状を採用することができる。主水槽10は、例えば、和の観賞効果を高めるために、陶器製の水瓶を採用すると良い。ただし、主水槽10は、例えば、金属製の水瓶や、ガラス製の水槽等を採用することもできる。また、主水槽10は、例えば、水平方向断面形状が円形であって、上下方向における直径が一定の円ではなく、下側に向かって小さな直径となるような水瓶とすると良い。
【0015】
さらに、主水槽10は、上方の開口に、径方向外方に向かって広がる開口鍔部11を有するようにしても良い。開口鍔部11は、開口縁の周方向全周に亘って形成されている。主水槽10は、内周面のうち上下方向の中央部において、径方向内方に突出する内方鍔部12を有する。本例においては、内方鍔部12は、上下方向の中央よりも下方に位置する。本例においては、内方鍔部12は、主水槽10の内周面の全周に亘って形成されている。ただし、内方鍔部12は、主水槽10の内周面において断続的に形成されるようにしても良い。
【0016】
さらに、主水槽10は、非透光性材料により成形される。上述したように、主水槽10は、陶器製の水瓶である場合には、非透光性材料により成形されることになる。このように、主水槽10が非透光性材料により成形される場合には、観賞者は、主水槽10の側方から、主水槽10の貯水領域を視認することができない。主水槽10を敢えて非透光性材料により成形して、観賞者が主水槽10の上方からのみ視認できるようにすることで、デザイン性、観賞性を高めることができる。特に、和の感覚を観賞者に対して与えることができる。
【0017】
また、本例では、主水槽10は、全体を同一材料により成形している。従って、主水槽10は、全体が、非透光性材料により成形される。ただし、主水槽10は、少なくとも中央よりも下方の部分を非透光性材料により成形され、上方部分を透光性材料により成形されるようにしても良い。例えば、透光度合の異なる樹脂材料等を用いることにより、下方部分を非透光性材料により成形し、上方部分を透光性材料により成形することができる。そして、この場合、主水槽10において内方鍔部12よりも下方部分を、少なくとも非透光性材料により成形すると良い。つまり、主水槽10において少なくとも内方鍔部12よりも下方部分が、観賞者にとって側方から視認することができない領域となる。
【0018】
さらに、主水槽10において、内方鍔部12よりも下方の側面に、貫通孔13が形成されている。この貫通孔13は、排水管及び電気配線を挿通することができる大きさに形成されている。
【0019】
有孔仕切板20は、例えば、金属製又は樹脂製の板である。有孔仕切板20は、主水槽10の内部において内方鍔部12の上面に載置されている。つまり、有孔仕切板20は、主水槽10の内部に配置された状態において、主水槽10の貯水領域を上層10aと下層10bとに仕切っている。ここで、主水槽10の上層10aは、観賞魚の遊泳領域の一部である。一方、主水槽10の下層10bは、観賞魚の遊泳領域ではない。
【0020】
有孔仕切板20の外形は、図2に示すように、円形である。有孔仕切板20の外形は、主水槽10において内方鍔部12の上面に載置可能な形状であって、主水槽10の内周面に対応する形状に形成されている。つまり、有孔仕切板20の外形は、主水槽10における内方鍔部12よりも大径に形成されており、主水槽10の内周面のうち内方鍔部12の直上部位と同程度又は当該直上部位よりも小さく形成されている。なお、本例においては、主水槽10の内周面の水平断面が円形に形成されているため、有孔仕切板20の外形も円形に形成されている。ただし、主水槽10の内周面の水平断面が角形に形成されている場合には、有孔仕切板20の外形も角形に形成されることになる。
【0021】
また、有孔仕切板20には、図2に示すように、複数の貫通孔21が形成されている。つまり、有孔仕切板20における貫通孔21は、主水槽10の上層10aと下層10bとの間で水の移動を許容する。ただし、有孔仕切板20における貫通孔21は、観賞魚が通過不能な大きさに形成されている。貫通孔21は、有孔仕切板20において全体に満遍なく形成されている。つまり、主水槽10における上層10aと下層10bとの間で、水平方向の領域のうち特定の一部領域のみではなく、全範囲において満遍なく、水の移動が許容される。
【0022】
有孔仕切板20は、非透光性材料により成形されている。つまり、観賞者は、主水槽10の上方から、下層10bを視認不能となる。観賞者が主水槽10の下層10bを視認不能であることにより、視認できる領域の観賞性を良好とすることができる。ただし、有孔仕切板20は、透光性材料により成形しても良い。有孔仕切板20が透光性材料により成形される場合には、主水槽10の底面、すなわち主水槽10の下層10bの底面の汚れ度合いを確認することができる。
【0023】
底砂30は、有孔仕切板20の上面に配置されている。底砂30は、非透光性材料により成形されている。従って、仮に、有孔仕切板20が透光性材料により成形されている場合であっても、底砂30が有孔仕切板20の上面に配置されることによって、観賞者は、主水槽10の下層10bを視認不能となる。有孔仕切板20が非透光性材料により成形される場合と同様の効果を奏する。
【0024】
底砂30は、少なくとも、有孔仕切板20の上面に層状に配置された大粒砂31と、大粒砂31の上面に配置された小粒砂32とを備えるようにすると良い。大粒砂31は、有孔仕切板20の貫通孔21を通過不能な大きさの砂である。従って、大粒砂31は、有孔仕切板20の上面に留まった状態を維持する。小粒砂32は、大粒砂31よりも小粒に形成されており、大粒砂31の上面に層状に配置されている。小粒砂32は、有孔仕切板20の貫通孔21を通過不能な大きさの砂としても良いし、貫通孔21を通過可能な大きさの砂としても良い。ただし、小粒砂32は、大粒砂31の上面に配置されるため、有孔仕切板20の貫通孔21を通過しない。
【0025】
ここで、大粒砂31が有孔仕切板20の上面に配置されているため、有孔仕切板20の貫通孔21が閉ざされる状態となることを抑制できる。従って、有孔仕切板20の貫通孔21を介して、上層10aと下層10bとの間で水の移動を許容する状態を維持できる。つまり、有孔仕切板20の貫通孔21を介して上層10aと下層10bとの間で移動する水と共に、水中に存在する微生物も移動可能となる。ただし、ほとんどの糞や餌等は、底砂30同士の間に堆積され、有孔仕切板20の貫通孔21を通過しないようにされている。
【0026】
突出水槽40は、図1に示すように、上下方向に延びる筒状に形成されている。本例においては、突出水槽40の周面は、円筒状に形成されている。突出水槽40は、例えば、逆円錐筒状、逆円錐台形筒状、円錐台形筒状等に形成されるようにしても良い。また、突出水槽40は、角筒状、逆角錐状、逆角錐台形筒状、角錐台形筒状等に形成されるようにしても良い。
【0027】
突出水槽40は、主水槽10に配置されている。詳細には、突出水槽40の筒状の上端側が主水槽10の水面よりも上方に突出して配置されている。特に、突出水槽40の筒状の上端が、主水槽10の上端開口よりも上方に位置する。さらに、突出水槽40は、主水槽10の上層10aに位置決めされている。本例においては、突出水槽40は、有孔仕切板20の上面に固定されている。ただし、突出水槽40は、主水槽10に固定されるようにしても良い。なお、突出水槽40は、主水槽10の下層10bには存在しない。
【0028】
また、突出水槽40は、上端が閉塞されている。突出水槽40の上端は、平面状に形成しても良いし、球面等の湾曲凸面状に形成しても良い。さらに、突出水槽40下端側には開口が形成されている。詳細には、突出水槽40において、主水槽10の上層10aの位置に開口41が形成されている。この開口41は、突出水槽40の周面に形成されている。そして、開口41は、観賞魚が通過可能な大きさに形成されている。また、突出水槽40の下端にも開口を有する。突出水槽40の下端開口は、製造の容易性及び清掃の容易性の観点から形成されている。
【0029】
そして、突出水槽40内には、貯水されている。特に、突出水槽40は、主水槽10の水面よりも上方に貯水されている。突出水槽40全体に貯水されるようにしても良いし、突出水槽40内の上部空間に空気層を有して水面を有するようにしても良い。突出水槽40内に水面が形成される場合には、突出水槽40内の水面は、主水槽10の水面よりも上方に位置する。
【0030】
突出水槽40は、透光性材料により成形されている。例えば、透光性材料は、アクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂、ポリスチレン樹脂等を適用できる。突出水槽40は、ガラスを適用することもできる。
【0031】
突出水槽40を上記のように構成することによって、観賞魚は、開口41を介して、主水槽10の貯水領域と突出水槽40の貯水領域との間を移動することができる。そして、観賞者は、突出水槽40内を遊泳している観賞魚を、側方及び上方から観察することができる。また、突出水槽40の周面が曲面である場合には、観賞魚の大きさが大きくなったように見えたり、観賞者の見る方向と観賞魚の位置とによって観賞魚が消えたり突然現れたりして、観賞者に対して観賞魚の動きの変化を楽しませることができる。
【0032】
照明装置50は、発光部51と、配線52とを備える。発光部51は、例えば、LEDにより構成される。発光部51は、有孔仕切板20に取り付けられており、上方に向けて発光する。発光部51は、突出水槽40の下方に取り付けられている。つまり、発光部51は、突出水槽40の内部空間を照らす。発光部51は、鉛直方向上方に向けて発光するようにしても良いし、僅かに斜め上方に向けて発光するようにしても良い。前者の場合、発光部51は、突出水槽40の上端面に向けて発光する。後者の場合、発光部51は、突出水槽40の内周面に向けて発光する。
【0033】
発光部51の上面は、例えば、有孔仕切板20の上面と同一平面上に位置するか、または、底砂30の上面と同一平面上に位置する。発光部51の上面には、底砂30が配置されていない。つまり、発光部51は、少なくとも底砂30の上面よりも上方に突出しないように配置されている。つまり、発光部51は、底砂30の上面よりも上方に突出しないように配置されているため、上層10aにおける観賞魚の観賞性を良好とすることができる。ただし、発光部51の位置が、底砂30の上面よりも上方に突出していても良い。
【0034】
ここで、突出水槽40の内部空間に光による装飾部材が配置されている場合には、発光部51は、当該装飾部材に向けて発光することで、装飾部材が光による装飾効果を発揮する。装飾部材には、例えば、任意の色の光ファイバー等が好適である。装飾部材は、蓄光シート等を適用しても良い。
【0035】
照明装置50の配線52は、発光部51に接続されている。配線52は、発光部51へ電力を供給する。配線52は、主水槽10の下層10bに配置されている。配線52が主水槽10の上層10aに存在しないことにより、上層10aにおける観賞魚の観賞性を良好とすることができる。照明装置50の配線52は、下層10bに配置され、さらに、主水槽10の貫通孔13を通過して外部へ延びている。配線52は、主水槽10の外部にて、電力供給装置に接続されている。
【0036】
外部循環管60は、主水槽10の下層10bの水を貫通孔13を介して外部へ引き出し、主水槽10の水面の上方に落下により戻す。つまり、主水槽10の水を、主水槽10の下層10bから外部を通過した後に、外部から主水槽10の上層10aの水面へ戻すことにより、循環させる。
【0037】
外部循環管60は、樹脂ホース、樹脂管、竹素材管等により形成されている。外部循環管60は、主水槽10の下層10bから水を引き出す部位には、変形可能な樹脂ホースが好適に適用される。また、外部循環管60は、主水槽10の上層10aの水面に戻す部位には、デザイン性を良好にするために、竹模擬素材の樹脂管や、竹素材の管等が好適に適用される。
【0038】
ポンプ70は、主水槽10の下層10bに配置されており、外部循環管60にて水を循環させる。ポンプ70は、主水槽10の下層10bに配置されているため、観賞者は直接視認することができない。従って、ポンプ70の存在が、観賞性に悪影響を与えることを抑制できる。また、ポンプ70の配線は、主水槽10の貫通孔13を通過して外部へ延び、主水槽10の外部にて電力供給装置に接続されている。
【0039】
濾過装置80は、主水槽10の外部であって、外部循環管60に配置されている。濾過装置80は、ポンプ70により吸引された主水槽10の下層10bの水を濾過する。濾過装置80による濾過水は、主水槽10の上層10aの水面の上方から水面に向かって落下供給される。
【0040】
ここで、濾過装置80は、主水槽10の水に存在する微生物等を収集する。ここで、濾過装置80の機能は、微生物や細菌の収集を主目的とし、糞や餌等の塵埃の収集は十分にできない程度とされている。ただし、主水槽10の下層10bには、糞や餌等はほとんど存在せず、存在するとしても僅かである。従って、濾過装置80は、糞や餌等の塵埃の収集を十分にできない程度であるとしても、長期間に亘って機能することができる。
【0041】
温度調整装置90は、外部循環管60に配置されており、外部循環管60を循環する水の温度を調整する。つまり、温度調整装置90により調温された水が、主水槽10の上層10aの上面に供給される。従って、主水槽10の水は、所望の温度に維持することができる。なお、温度調整装置90は、濾過装置80の下流側に配置しても良いし、上流側に配置しても良い。
【0042】
(2.観賞用水槽1による作用及び効果)
観賞用水槽1は、主水槽10と突出水槽40とを備えており、さらに、有孔仕切板20により上層10aと下層10bとに仕切っている。つまり、観賞魚は、主水槽10の上層10aと突出水槽40とを遊泳可能となる。従って、突出水槽40の効果により、観賞効果を高めることができる。
【0043】
突出水槽40が円形の水平断面形状を有する場合には、観賞魚の大きさが大きくなったように見えたり、観賞者の見る方向と観賞魚の位置とによって観賞魚が消えたり突然現れたりして、観賞者に対して観賞魚の動きの変化を楽しませることができる。
また、観賞用水槽1は、ポンプ70及び濾過装置80を備えるため、長期間に亘って水槽内部の水を綺麗な状態に維持できる。ここで、主水槽10の貯水領域が、有孔仕切板20により上層10aと下層10bとに仕切られている。そして、有孔仕切板20の上面には、底砂30が配置されている。従って、有孔仕切板20の貫通孔21を介して、水及び水に含まれる微生物は、上層10aから下層10bへ移動可能となる。一方、ほとんどの糞や餌等の塵埃は、底砂30の間に堆積した状態となり、有孔仕切板20の貫通孔21を通過しない。
【0044】
つまり、ポンプ70及び濾過装置80を通過する水には、微生物を含むが、糞や餌等の塵埃はほとんど含まれない。従って、ポンプ70及び濾過装置80の容量を大きくする必要はなく、小型のものを適用できる。従って、有孔仕切板20及び底砂30により構成することにより、ポンプ70及び濾過装置80の低コスト化を図ることができる。
【0045】
また、ポンプ70により発生する水流は、常に、主水槽10の上層10aから下層10bへ向かう方向となる。従って、微生物や塵埃が、主水槽10の上層10aにて浮遊することを抑制できる。この点からも、主水槽10の上層10aの水を綺麗な状態とすることができる。
【0046】
ポンプ70及び濾過装置80により循環される水は、外部循環管60により、主水槽10の上層10aに供給される。特に、濾過された水は、外部循環管60により、主水槽10の上層10aの水面に落下供給される。濾過水が主水槽10の水面に落下供給されることにより、主水槽10に貯留される水に、空気が供給される。このような構成により、別途空気供給装置を設置する必要がなく、観賞性が良好となる。
【0047】
また、ポンプ70は、有孔仕切板20の下方、すなわち主水槽10の下層10bに配置されている。観賞魚は、主水槽10の上層10a及び突出水槽40を遊泳し、主水槽10の下層10bに移動することはできない。つまり、観賞魚が遊泳する領域に、ポンプ70が存在しない。従って、ポンプ70の存在が観賞効果を低下させることはなく、結果として観賞効果を高めることができる。さらに、濾過装置80は、主水槽10の外部に配置されている。従って、濾過装置80が観賞効果を低下させることもない。温度調整装置90についても同様である。
【0048】
さらに、観賞用水槽1は、照明装置50を備える。照明装置50の発光部51は、突出水槽40を下方から突出水槽40の内部空間を照らしている。従って、突出水槽40の装飾効果を高めることができ、観賞効果をより高くすることができる。さらに、照明装置50は、発光部51を発光させるために、発光部51に接続された配線52を備える。配線52は、主水槽10の下層10bに配置されている。仮に、照明装置50の配線52が、観賞魚が遊泳している領域に配置されていると、観賞効果の低下を招来する。しかし、照明装置50の配線52は、有孔仕切板20の下方、すなわち主水槽10の下層10bに配置されている。つまり、観賞魚が遊泳する領域に、照明装置50の配線52が存在しない。従って、照明装置50の配線52の存在が観賞効果を低下させることはなく、結果として観賞効果を高めることができる。
【符号の説明】
【0049】
1:観賞用水槽、 10:主水槽、 10a:上層、 10b:下層、 11:開口鍔部、 12:内方鍔部、 13:貫通孔、 20:有孔仕切板、 21:貫通孔、 30:底砂、 31:大粒砂、 32:小粒砂、 40:突出水槽、 41:開口、 50:照明装置、 51:発光部、 52:配線、 60:外部循環管、 70:ポンプ、 80:濾過装置、 90:温度調整装置
【要約】
【課題】突出水槽を有しており、さらに鑑賞効果を高めることができる観賞用水槽を提供する。
【解決手段】観賞用水槽1は、貯水された主水槽10と、主水槽10の内部に配置され、主水槽10の貯水領域を上層10aと下層10bとに仕切る有孔仕切板20と、透光性材料により成形され、主水槽10の水面よりも上方に貯水された突出水槽40と、有孔仕切板20における突出水槽40の下方に取り付けられ且つ突出水槽40の内部空間を照らす発光部51、及び、発光部51に接続され且つ下層10bに配置された配線52を備える照明装置50と、下層10bに配置されたポンプ70と、主水槽10の外部であって主水槽10の下層10bから主水槽10の上層10aの水面へ循環させる外部循環管60に配置され、ポンプ70により吸引された下層10bの水を濾過し、主水槽10の水面の上方から水面に向かって濾過水を落下供給する濾過装置80とを備える。
【選択図】図1
図1
図2