(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-02-15
(54)【発明の名称】ドライアイスペレット製造装置及びドライアイスペレット製造方法
(51)【国際特許分類】
C01B 32/55 20170101AFI20220207BHJP
【FI】
C01B32/55
(21)【出願番号】P 2021077758
(22)【出願日】2021-04-30
【審査請求日】2021-05-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】506173743
【氏名又は名称】株式会社ドライアイスサービス
(74)【代理人】
【識別番号】100121658
【氏名又は名称】高橋 昌義
(72)【発明者】
【氏名】倉地 光也
【審査官】山本 吾一
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-110260(JP,A)
【文献】米国特許第06374633(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第111320175(CN,A)
【文献】特開2012-121746(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 32/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料ドライアイスを充填可能であるとともに複数のノズル孔より成る成型金型が取り付けられている成型シリンダと、
前記成型シリンダ内を前後する成型ピストンロッドと、を有するドライアイスペレット製造装置であって、
液体アルコールを充填する液体アルコール収容器と、
前記液体アルコール収容器に充填される前記液体アルコールを前記成型シリンダ内に供給するための噴霧ノズルを備えるドライアイスペレット製造装置。
【請求項2】
前記アルコールがエタノールまたはエタノール水溶液である請求項1記載のドライアイスペレット製造装置。
【請求項3】
原料ドライアイス投入重量を1000gとした場合に、前記液体アルコールを0gより重い重量で噴霧する請求項1記載のドライアイスペレットの製造装置。
【請求項4】
複数のノズル孔より成る成型金型が取り付けられている成型シリンダ内に液体アルコールを噴霧ノズルにより供給するステップ、
原料ドライアイスを前記成型シリンダ内に投入・充填するステップ、
前記原料ドライアイスをピストンにより圧縮成形するステップ、を備えるドライアイスペレット製造方法。
【請求項5】
前記成型シリンダ内に液体アルコールを噴霧するステップは、
前記原料ドライアイスを前記成型シリンダ内に投入・充填するステップの前に、前記成型シリンダ内壁に前記液体アルコールを噴霧する請求項4記載のドライアイスペレット製造方法。
【請求項6】
原料ドライアイス投入重量を1000gとした場合に、前記液体アルコールを0gより重い重量で噴霧する請求項4記載のドライアイスペレットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライアイスペレット製造装置及びドライアイスペレット製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ドライアイスペレットとは、小さな粒状または円柱状のドライアイスをいい、表面積が大きくなりまた小さな隙間に充填することも可能となるため急速な冷却などに適している。
【0003】
ドライアイスペレットは、角型のドライアイスブロックを切断、粉砕したもの、またはペレット状や粉状などの様々な形状のドライアイス(固体CO2)を成型シリンダ内に投入・充填し、このシリンダの先端に取り付けられた多数のノズル孔を持つ成型金型から押し出し成型することで製造することができる。上記ドライアイスペレットに関する技術としては例えば下記特許文献1に記載がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に記載の技術によると、非常に簡便にドライアイスブロックからドライアイスペレットを製造することができる。
【0006】
しかしながら、上記のような押出成型を用いるドライアイスペレット製造装置においては、その押出成型を行う内部空間(成型シリンダ内部)において膨張圧力による摩擦抵抗及び成型金型のノズル孔を圧縮通過するときの摩擦抵抗が発生する。これはドライアイスペレットを製造する際に大きな障害となる。これは、消費電力の上昇や製造効率の低下をもたらす。
【0007】
そこで、本発明は、上記課題に鑑み、製造効率を高めるドライアイスペレット製造装置及びドライアイスペレット製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する本発明の一観点に係るドライアイスペレット製造装置は、原料ドライアイスを投入・充填可能であるとともに複数のノズル孔をもつ成型金型が先端に取り付けられた成型シリンダと、成型シリンダ内を前後する成型ピストンロッドと、を有するドライアイスペレット製造装置であって、液体アルコールを充填する液体アルコール収容器と、液体アルコール収容器に充填された液体アルコールをシリンダ内に噴霧するための噴霧ノズルを備えるものである。
【0009】
また、本観点において、限定されるわけではないが、液体アルコールはエタノール又はエタノール水溶液であることが好ましい。
【0010】
また、本観点において、限定されるわけではないが、原料ドライアイス投入重量を1000gとした場合に、液体アルコールを0gより重い重量で噴霧するものであることが好ましい。
【0011】
また、本発明の他の一観点に係るドライアイスペレット製造方法は、成型シリンダ内に液体アルコールを噴霧するステップ、原料ドライアイスを成型シリンダ内に投入・充填するステップ、原料ドライアイスを成型ピストンロッドにより押し出し成型するステップ、を備えるものである。
【0012】
また、本観点において、限定されるわけではないが、成型シリンダ内に液体アルコールを噴霧するステップは、原料ドライアイスを成型シリンダ内に充填するステップの前に、成型シリンダ内壁に液体アルコールを噴霧することが好ましい。
【0013】
また、本観点において、限定されるわけではないが、原料ドライアイス投入重量を1000gとした場合に、液体アルコールを0gより重い重量で噴霧するものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
以上、本発明によって、製造効率を高めるドライアイスペレット製造装置及びドライアイスペレット製造方法を提供することができる。より具体的に説明すると本発明では、液体アルコールの効果によって成型シリンダ内及び成型金型での抵抗が少なくなりドライアイスペレットの製造能力が増加する。また、この抵抗が少なくなることにより成型ピストンロッドを前後させるユニット(油圧ユニット等)の負荷が下がり、結果としてエネルギー消費量も少なくなる。すなわち製造効率が高まることになる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施形態1に係るドライアイスペレット製造装置の概略を示す図である。
【
図3】実施形態1に係るドライアイスペレット製造装置の噴霧ノズルの配置の他の例を示す図である。
【
図4】実施形態2に係るドライアイスペレット製造装置の概略を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は多くの異なる形態による実施が可能であり、また以下に示す実施形態、実施例において記載される具体的な例示についても適宜変更及び調整が可能であり、これらに限定されるものではない。
【0017】
(実施形態1)
図1は、本実施形態に係るドライアイスペレット製造装置(以下「本装置」という。)1の概略図である。
【0018】
本図で示すように、本装置1は、原料ドライアイスを投入・充填可能であるとともに複数のノズル孔211から成る成型金型21が取り付けられた成型シリンダ2と、成型シリンダ2内を前後する成型ピストンロッド3と、を有するドライアイスペレット製造装置であって、液体アルコールを充填する液体アルコール収容器4と、液体アルコール収容器に充填された液体アルコールをシリンダ内に噴霧するための開閉バルブ51と噴霧ノズル5を備えるものである。
【0019】
本装置1によると、推論の部分もあるが、原料ドライアイスからドライアイスペレットを製造するに際し、液体アルコールを成型シリンダ2内に噴霧することで、成型シリンダ2内部及び成型金型21のノズル孔表面に液状のアルコールが介在し、圧縮加圧される原料ドライアイスの押し出し摩擦抵抗を下げ、圧縮成型されたドライアイスペレットのノズル通過速度の上昇、成型ピストンロッド3を前進させるための駆動装置の負荷低減によりエネルギー消費量を少なくする効果があると推論される。すなわちこれは製造効率を上昇させ、消費電力を減少させることができる。これらの詳細については以下説明する。
【0020】
本装置1において、成型シリンダ2は、上記の通り、原料ドライアイスを投入・充填可能であるとともに複数のノズル孔211をもつ成型金型21が取り付けられたものである。なお、成型金型21の概略斜視図を
図2に示しておく。
【0021】
成型シリンダ2は、上記の通り原料ドライアイスを投入・充填可能な内部空間を備えている。成型シリンダ2の内部空間22は、成型ピストンロッド3が前後可能となるよう柱状構造となっている。この柱状構造の断面形状としては、基本は円形であるが、四角形、六角形など多角形でも構わない。
【0022】
また、成型シリンダ2の一方の端部には、上記の通り成型金型21が取り付けられており、この成型金型21は複数のノズル孔211から成る。
【0023】
ノズル孔211は、上記の通り成型金型21に形成される貫通孔であり、ここに成型ピストンロッドによって後ろから投入・充填された原料ドライアイスが押し当てられ、ノズル孔で圧縮成型され、成型シリンダ2の外側にドライアイスペレットとして押し出されることになる。
【0024】
また、成型シリンダ2の上部には、原料ドライアイスを投入するための筒状のホッパー23が取り付けられている。このホッパー23の断面形状は投入される原料ドライアイスの形状に合わせて作られており適宜調整可能である。ホッパー23により投入される原料ドライアイスは成型ピストンロッド3により成型シリンダ2の内部空間22において圧縮加圧され、成型金型21に押しつけられる。そしてノズル孔211から円柱状のドライアイスとして押し出される。なお原料ドライアイスとしては、ドライアイスブロック、それをスライスしたもの、粉砕したもの、あるいはペレット状、粉状など様々な形状のドライアイス(固体CO2)を投入することができる。また更には後述のように液体炭酸ガス(LCO2)を用いて粉状のドライアイスを成型室内で生成する方式であっても良い。原料ドライアイスはその形状・生成方法において限定されない。
【0025】
なお、シリンダ2の成型金型21の取り付けられている側にはエルボ形状の排出管24が取り付けられており、排出管24の内壁面231に押し出された細い柱状のドライアイスが当たり、自然に折れることによりドライアイスペレットとして排出されていくことになる。
【0026】
また、本装置1では成型ピストンロッド3を備えている。上記の通り成型ピストンロッド3は、成型シリンダ2内を前後可能なものであり、成型シリンダ2の内部空間22に投入充填された原料ドライアイスを加圧圧縮し、成型金型21に押し当てることができるものである。
【0027】
また、本装置1では、液体アルコールを充填する液体アルコール収容器4を有する。液体アルコールを充填する液体アルコール収容器4の容量及びその構造等について適宜可能であり限定されない。しかし製造するドライアイスペレットの生産量に応じた液体アルコールを収容することができる容量を備えていることが好ましい。
【0028】
また、本装置1において、収容される液体アルコールは限定されるわけではないが、常温において液体であり、毒性の低いものとしてエタノール又はエタノール水溶液であることが好ましい。エタノール又はエタノール水溶液とすることで身体に安全であり、食品等の用途に用いる場合でも用いることが可能となる。なお、エタノール水溶液の場合、ドライアイスの昇華温度である-78.5度近傍においても液体の状態を保つ濃度を有するものでなければならない、具体的には、エタノールを重量比80%以上含むものが好ましい
【0029】
また、本装置1は、液体アルコール収容器に充填される液体アルコールをシリンダ内に噴霧するための噴霧ノズル5を備えている。
【0030】
なお、噴霧ノズル5は、
図3で示すように、直接成型シリンダ2内に液体アルコールを噴霧させるよう成型シリンダ2にポートを設け取り付ける方法、また上記
図1で示すようにホッパー23の内面に噴霧させるようホッパー23側面に配置する構成としてもよい。ホッパー23において液体アルコールを噴霧させる場合は、原料ドライアイスが投入される際、原料ドライアイスに液体アルコールを付着させ、結果的に液体アルコールを成型シリンダ内及び成型金型に供給し、圧縮成型時の押し出し抵抗を下げることができる。
【0031】
液体アルコール収容器4と噴霧ノズル5の間にはこれらを結ぶ液体供給配管6及び液体アルコール収容器4から液体アルコールを噴霧ノズル5に送り出すための供給装置61を備える。供給装置61としては、薬注ポンプ等を使用する方法、または液体アルコール液容器内を一定の圧力で常に加圧し液体アルコールをノズルに圧送することもできるが、その方法は限定されない。また、供給配管6には開閉バルブ51を設けておくことが好ましい。液体アルコール収容器内に圧力を一定の圧力を加えておく一方、開閉バルブ51の開閉を制御することで、決まった量の液体アルコールを噴霧ノズルに供給することが可能となる。
【0032】
また、本装置1において、効率的にドライアイスを製造することができる限りにおいて限定されるわけではないが、原料ドライアイス投入重量を1000gとした場合に、液体アルコールを0gより重い重量で噴霧することが好ましく、100g以下の範囲で噴霧することがより好ましく、更に好ましくは10g以下の範囲である。この範囲とすることで、本装置による消費電力の削減及び製造効率の向上を図ることができる。すなわち、上記の構成とする場合、具体的には開閉バルブ51に制御装置を付加することにより、成型ピストンロッドの前後運動に合わせて適切なタイミングで液体アルコールを噴霧できるようにする。また原料ドライアイスの投入量・形状を考慮し、この原料ドライアイス投入量に対して適切な量の液体アルコールを成型シリンダ2内に噴霧することができるようになる。
【0033】
なお、本装置1では、上記の構成の他、成型ピストンロッド3を前後させるための駆動装置7、それらを支える架台8を設けている。
【0034】
また本装置1の駆動装置7及び72としては、油圧シリンダ方式、エアシリンダ方式、スクリューシリンダ方式などがあるが、成型ピストンロッド3を成型シリンダ2内において前後させることができるものであれば特に限定されるわけではない。基本的には本装置1の例で示すような油圧シリンダ方式であることが好ましい。なお、駆動装置7には、成型ピストンロッドの前後運動を制御するための位置センサー71を備えていることが好ましい。この位置センサー71としては、例えば近接スイッチであり、成型ピストンロッドの位置を検知してロッドの前後動作を制御する。なおこの駆動装置の往復動作合わせて上記液体アルコールの噴霧タイミングを制御する制御装置が必要となる。
【0035】
また、本装置1では、上記成型シリンダ、成型ピストンロッド及び油圧シリンダ等を支持するための本体架台8を設けている。これにより装置を安定して支持することが可能となる。
【0036】
(ドライアイスペレット製造方法)
ここで、本装置1を用いたドライアイスペレットの製造方法(以下「本製造方法」という。)について説明する。本製造方法は、本装置1を用いるのが簡便に実現可能であり好ましいものであるが、本装置の構成に限定されず他の構成であっても実現可能である限り問題はない。
【0037】
本製造方法は、(S1)成型シリンダ内に液体アルコールを供給するステップ、(S2)原料ドライアイスを成型シリンダ内に投入充填するステップ、(S3)原料ドライアイスを成型ピストンロッドにより圧縮加圧するステップ、を備えるものである。
【0038】
まず本製造方法は、(S1)成型シリンダ内に液体アルコールを噴霧するステップを備える。この効果については推論の部分もあるが、これにより、内部空間の内壁とドライアイスの間に液体アルコールが介在し、摩擦抵抗を減らし、製造効率を上げ、結果として消費電力を削減することが可能となる。
【0039】
また、本ステップにおいて、成型シリンダ内に液体アルコールを噴霧するタイミングは、原料ドライアイスを成型シリンダ内に投入充填される直前に行われることが好ましい。このタイミングで行うことが、今回の目的の効果をより顕著にすることができる。ただし、上記の記載からも明らかであるが、下記の(S2)原料ドライアイスを成型シリンダ内に投入充填するステップと同時に、原料ドライアイスに対して液体アルコールを噴霧することとしてもよい。このような方法を取っても、結果的に成型シリンダ内にアルコールを噴霧することと同様の効果を得ることができる。
【0040】
また本製造方法は、(S2)原料ドライアイスを投入ホッパーから成型シリンダ内に投入充填するステップを備える。
【0041】
また本製造方法は、(S3)原料ドライアイスを成型ピストンロッドにより圧縮加圧するステップを備える。これにより、成型ピストンロッドにより圧縮加圧された原料ドライアイスは、成型金型に形成されたノズル孔から排出され、ドライアイスペレットとなる。
【0042】
以上、本実施形態によって、製造効率を高めるドライアイスペレット製造装置及びドライアイスペレット製造方法を提供することができる。
【0043】
(実施形態2)
本実施形態は、上記実施形態1とほぼ同様の構造であるが、実施形態1では原料ドライアイスを投入ホッパーから投入するものである一方、本実施形態では、液化炭酸ガスを用いてドライアイスペレットを製造するものである点が異なる。以下、主として異なる点のみを説明し重複する構造については省略する。
【0044】
図4は、本実施形態に係るドライアイスペレット製造装置の概略を示す図である。本図では、上記実施形態1と異なり、投入ホッパー23を設けず、成型シリンダ―内に液化炭酸ガス吹き込み弁251を備えており、この液化炭酸ガス吹き込み弁251には液化炭酸ガス供給配管252が接続され、液化炭酸ガス貯蔵タンク253より液化炭酸ガスが供給される。ここで液化炭酸ガス吹き込み弁251、液化炭酸ガス供給配管252、液化炭酸ガス貯蔵タンク253、これらを合わせて液化炭酸ガス供給装置25と呼ぶこととする。
【0045】
本装置では、液化炭酸ガス供給装置25が液化炭酸ガスを成型シリンダ内に供給する。成型シリンダ内に供給された液化炭酸ガスは断熱膨張により熱を奪われ、その一部がスノー状ドライアイスとなり、残りが気体の炭酸ガスとなり排気フィルター24を通して外に排出される。成型シリンダ内に残ったスノードライアイスは成型ピストンロッド3によって圧縮加圧され、成型金型21のノズル孔211によって圧縮成型され細い柱状のドライアイスとして外に押し出されドライアイスペレットとなる。
【0046】
そして、本装置では、成型シリンダ内に、液体アルコール収容器に充填された液体アルコールを成型シリンダ内に噴霧するための噴霧ノズルを備える。これにより、本実施形態も上記実施形態1と同様、成型シリンダ内に液体アルコールを噴霧することが可能となり、製造効率を高めることが可能となる。
【0047】
以上、液化炭酸ガスから原料ドライアイスを形成し、ドライアイスペレットを製造する場合においても同様に効果を発揮することができる。
【実施例】
【0048】
ここで、上記ドライアイスペレット製造方法について実際に行い、その効果確認を行った。以下具体的に説明する
【0049】
まず、内部空間にドライアイスブロックを投入する投入ホッパーが設けられたシリンダ装置を用い、この先端に多数のノズル孔が形成された成型金型を固定し、このシリンダ装置の内部空間を前後する成型ピストンロッドを配置し、ピストンロッドに油圧シリンダを接続したドライアイスペレット製造装置を準備した。
【0050】
(比較例1)
上記に対し、原料ドライアイス(スライスドライアイス)33kgを投入ホッパーより成型シリンダ内に適度な量に分けて投入し、従来の方法(液体アルコール未使用)により直径3mmのドライアイスペレット30kgを製造した。この時、油圧回路に生じた圧力は16~18MPaであった。またこの製造に要した時間は20分であり、この時の消費電力は1.9kwhであった。
【0051】
(実施例1)
上記に対し、原料ドライアイス(スライスドライアイス)33kgを投入ホッパーより成型シリンダ内に投入する前に、成型シリンダ内の内部空間の表面にアルコール水溶液(エタノール水溶液:80%wt濃度)を噴霧させた以外は同じ条件によって直径3mmのドライアイスペレット30kgを製造した。具体的には、原料ドライアイス16kg投入毎に15gのアルコール水溶液を成型シリンダ内に対し噴霧した。結果、油圧回路に生じた圧力は14~15MPaに下がり。またこの製造に要した時間は14分に短縮された。この時の消費電力は1.4kwhと低下した。製造されたドライアイスペレットの品質は従来の方法で製造されたものと遜色ないものであった。
【0052】
(実施例2)
また、上記実施例1と同様であるが、今度は原料ドライアイス(スライスドライアイス)33kgについて、11kg投入毎に10gのアルコール水溶液を成型シリンダ内に対し噴霧することとした。この時、油圧回路に生じた圧力は12~14MPaであった。また製造に要した時間は16分であった。この時の消費電力は1.4kwhであった。この時も製造されたドライアイスペレットの品質は従来の方法で製造されたものと遜色ないものであった。
【0053】
上記の結果により、液体アルコールを供給する場合は、供給しない場合に比べ、油圧回路の圧力を約20%程度減少させることが可能となり、また同量のドライアイスペレットの製造に要する時間も25%程度削減することができることを確認した。更に、消費電力も26%程度削減することが確認できた。この時ドライアイスペレットの品質は従来と遜色ないレベルを保っていることも確認できた。
【0054】
特に、本方法では、成型シリンダ内に噴霧させるのはエタノール水溶液であり、いずれも食品添加物としても全く問題のないものであるだけでなく、その噴霧量も製造されるドライアイスペレットに対し非常に少量でよい。安価でシンプルな構造で顕著な効果を得ることができる点において本発明の効果を実感することができた。
【0055】
以上、本実施例により、本発明の効果を確認することができた。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明はドライアイスペレット製造装置及びドライアイスペレット製造方法として産業上の利用可能性がある。
【要約】
【課題】製造効率を高めるドライアイスペレット製造装置及びドライアイスペレット製造方法を提供する。
【解決手段】
本発明の一観点に係るドライアイスペレット製造方法は、原料ドライアイスを充填可能であるとともに複数のノズル孔より成る成型金型が取り付けられている成型シリンダと、前記成型シリンダ内を前後する成型ピストンロッドと、を有するドライアイスペレット製造装置であって、液体アルコールを充填する液体アルコール収容器と、前記液体アルコール収容器に充填される前記液体アルコールを前記成型シリンダ内に供給するための噴霧ノズルを備える。
【選択図】
図1