(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】レシプロソー
(51)【国際特許分類】
B23D 51/16 20060101AFI20220112BHJP
B23D 49/16 20060101ALI20220112BHJP
B23D 49/14 20060101ALI20220112BHJP
B27B 19/04 20060101ALI20220112BHJP
B27B 19/09 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
B23D51/16
B23D49/16
B23D49/14
B27B19/04
B27B19/09
(21)【出願番号】P 2017032549
(22)【出願日】2017-02-23
【審査請求日】2019-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000137292
【氏名又は名称】株式会社マキタ
(74)【代理人】
【識別番号】100078721
【氏名又は名称】石田 喜樹
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】鵜飼 智大
【審査官】中川 康文
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0133210(US,A1)
【文献】特開2016-022567(JP,A)
【文献】特開2016-193478(JP,A)
【文献】特開2017-013159(JP,A)
【文献】特開2015-009302(JP,A)
【文献】特開2016-193476(JP,A)
【文献】特開2002-239835(JP,A)
【文献】特開2013-123756(JP,A)
【文献】国際公開第2013/088805(WO,A1)
【文献】特開2016-144856(JP,A)
【文献】特開2016-193477(JP,A)
【文献】特開2016-203283(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0170186(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0140507(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0294254(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0041174(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0188119(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0162579(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0184907(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23D 45/00-65/04
B25F 1/00-5/02
B27B 1/00-23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステータと、前記ステータに対して回転可能で、回転軸を有するロータとを備えたブラシレスモータと、
前記回転軸の回転により駆動し、左右方向を軸線とする縦向きのギヤを有する往復動変換機構と、
前記往復動変換機構により前後方向へ往復動するスライダと、
前記往復動変換機構を収容して前記スライダを前方へ突出させるギヤハウジングと、
前記ブラシレスモータを収容して前記ギヤハウジングを保持する本体ハウジングと、を含み、
前記ブラシレスモータは、前記本体ハウジング内で、前記回転軸を上下方向とした向きで前記スライダよりも下方に配置され、前記回転軸の上端に設けられるピニオンを、前記軸線よりも下方で前記ギヤの下部に噛合させている一方、
前記ギヤと前記ブラシレスモータとは、前記本体ハウジングの前部で上下に配置され、前記ギヤ及び前記ブラシレスモータの後方となる前記本体ハウジングの後部には、上下方向に延びるループ状のハンドル部が形成されて
、
前記ハンドル部の下部には、バッテリーパックがスライド装着されるバッテリー装着部が形成されており、前記本体ハウジングの前部の下面の位置は、前記バッテリー装着部に装着された前記バッテリーパックの上端よりも低くなっていると共に、前記本体ハウジングの前部の下面の位置は、前記バッテリー装着部に装着された前記バッテリーパックの下面よりも高くなっており、
前記ギヤハウジングは、前後方向に延びて前記本体ハウジングの上部から前方へ突出し、
前記バッテリー装着部に装着された前記バッテリーパックの下面は、側面視で最も低い位置にあり、前記本体ハウジングの前部の下面は、側面視で前記バッテリーパックの下面よりも高い位置にあり、前記本体ハウジングから突出する前記ギヤハウジングの下面は、側面視で前記本体ハウジングの前部の下面よりも高い位置にあることを特徴とするレシプロソー。
【請求項2】
前記バッテリーパックは、後方から前記バッテリー装着部にスライド装着されることを特徴とする請求項
1に記載のレシプロソー。
【請求項3】
前記スライダの下方には、被加工材に当接可能なシューが設けられており、
前記本体ハウジングの前部は、側面視で前記バッテリー装着部に装着された前記バッテリーパックの下端と前記シューの下端とに当接する仮想面よりも内側に位置していることを特徴とする請求項
1又は2に記載のレシプロソー。
【請求項4】
前記ブラシレスモータは、前記本体ハウジングの前部に収容されて前記ギヤハウジングの下部に連結されるモータハウジングに収容されて、前記本体ハウジングの後部には、スイッチ及び制御回路基板が収容されることを特徴とする請求項1乃至
3の何れかに記載のレシプロソー。
【請求項5】
前記モータハウジングは、前記ギヤハウジングの後端より前側に連結されていることを特徴とする請求項
4に記載のレシプロソー。
【請求項6】
ステータと、前記ステータに対して回転可能で、回転軸を有するロータとを備えたモータと、
前記回転軸の回転により駆動する往復動変換機構と、
前記往復動変換機構により前後方向へ往復動するスライダと、
前記往復動変換機構を収容して前記スライダを前方へ突出させるギヤハウジングと、
前記モータを収容して前記ギヤハウジングを保持し、バッテリーパックが装着されるバッテリー装着部を下部に備えた本体ハウジングと、
前記スライダの下方に設けられ、被加工材に当接可能なシューと、を含み、
前記モータは、前記本体ハウジングの前部内で、前記回転軸を上下方向とした向きで前記スライダよりも下方に配置され、
前記本体ハウジングの前部は、側面視で前記バッテリー装着部に装着された前記バッテリーパックの下端と前記シューの下端とに当接する仮想面よりも内側に位置して
おり、
前記ギヤハウジングは、前後方向に延びて前記本体ハウジングの上部から前方へ突出し、
前記本体ハウジングの後部には、ループ状のハンドル部が形成されて、前記ハンドル部の下部に前記バッテリー装着部が形成され、
前記バッテリー装着部に装着された前記バッテリーパックの下面は、側面視で最も低い位置にあり、前記本体ハウジングの前部の下面は、側面視で前記バッテリーパックの下面よりも高い位置にあり、前記本体ハウジングから突出する前記ギヤハウジングの下面は、側面視で前記本体ハウジングの前部の下面よりも高い位置にあることを特徴とするレシプロソー。
【請求項7】
前記バッテリー装着部内に、前記バッテリーパックと電気的に接続される端子台と、前記端子台の上方に位置するコントローラとが収容されることを特徴とする請求項
6に記載のレシプロソー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータの回転をスライダの往復動に変換し、スライダに装着したブレードによって被加工材を切断するレシプロソーに関する。
【背景技術】
【0002】
レシプロソーは、特許文献1に開示されるように、ハウジング内にモータを収容してその回転軸の回転を、クランク機構等の往復動変換機構を介してスライダの往復動に変換するもので、スライダに装着したブレードによって被加工材の切断を行うことができる。特許文献1では、回転軸を前向きに配置したモータの前方に、ベベルギヤを備えたクランクを配置してベベルギヤに回転軸を噛合させ、クランクの偏心軸とスライダの後端との間にコネクティングロッドを連結して、回転軸の回転をスライダの往復動に変換する構造となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来のレシプロソーにおいては、モータとクランク機構とスライダとが前後方向へ順番に並べて配置されるため、スライダの往復動方向での全長が長くなっていた。
【0005】
そこで、本発明は、スライダの往復動方向での全長を短くすることができるレシプロソーを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、ステータと、ステータに対して回転可能で、回転軸を有するロータとを備えたブラシレスモータと、
回転軸の回転により駆動し、左右方向を軸線とする縦向きのギヤを有する往復動変換機構と、
往復動変換機構により前後方向へ往復動するスライダと、
往復動変換機構を収容してスライダを前方へ突出させるギヤハウジングと、
ブラシレスモータを収容してギヤハウジングを保持する本体ハウジングと、を含み、
ブラシレスモータは、本体ハウジング内で、回転軸を上下方向とした向きでスライダよりも下方に配置され、回転軸の上端に設けられるピニオンを、軸線よりも下方でギヤの下部に噛合させている一方、
ギヤとブラシレスモータとは、本体ハウジングの前部で上下に配置され、ギヤ及びブラシレスモータの後方となる本体ハウジングの後部には、上下方向に延びるループ状のハンドル部が形成されて、
ハンドル部の下部には、バッテリーパックがスライド装着されるバッテリー装着部が形成されており、本体ハウジングの前部の下面の位置は、バッテリー装着部に装着されたバッテリーパックの上端よりも低くなっていると共に、本体ハウジングの前部の下面の位置は、バッテリー装着部に装着されたバッテリーパックの下面よりも高くなっており、
ギヤハウジングは、前後方向に延びて本体ハウジングの上部から前方へ突出し、
バッテリー装着部に装着されたバッテリーパックの下面は、側面視で最も低い位置にあり、本体ハウジングの前部の下面は、側面視でバッテリーパックの下面よりも高い位置にあり、本体ハウジングから突出するギヤハウジングの下面は、側面視で本体ハウジングの前部の下面よりも高い位置にあることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、バッテリーパックは、後方からバッテリー装着部にスライド装着されることを特徴とする。
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2の構成において、スライダの下方には、被加工材に当接可能なシューが設けられており、
本体ハウジングの前部は、側面視でバッテリー装着部に装着されたバッテリーパックの下端とシューの下端とに当接する仮想面よりも内側に位置していることを特徴とする。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかの構成において、ブラシレスモータは、本体ハウジングの前部に収容されてギヤハウジングの下部に連結されるモータハウジングに収容されて、本体ハウジングの後部には、スイッチ及び制御回路基板が収容されることを特徴とする。
請求項5に記載の発明は、請求項4の構成において、モータハウジングは、ギヤハウジングの後端より前側に連結されていることを特徴とする。
上記目的を達成するために、請求項6に記載の発明は、ステータと、ステータに対して回転可能で、回転軸を有するロータとを備えたモータと、
回転軸の回転により駆動する往復動変換機構と、
往復動変換機構により前後方向へ往復動するスライダと、
往復動変換機構を収容してスライダを前方へ突出させるギヤハウジングと、
モータを収容してギヤハウジングを保持し、バッテリーパックが装着されるバッテリー装着部を下部に備えた本体ハウジングと、
スライダの下方に設けられ、被加工材に当接可能なシューと、を含み、
モータは、本体ハウジングの前部内で、回転軸を上下方向とした向きでスライダよりも下方に配置され、
本体ハウジングの前部は、側面視でバッテリー装着部に装着されたバッテリーパックの下端とシューの下端とに当接する仮想面よりも内側に位置しており、
ギヤハウジングは、前後方向に延びて本体ハウジングの上部から前方へ突出し、
本体ハウジングの後部には、ループ状のハンドル部が形成されて、ハンドル部の下部にバッテリー装着部が形成され、
バッテリー装着部に装着されたバッテリーパックの下面は、側面視で最も低い位置にあり、本体ハウジングの前部の下面は、側面視でバッテリーパックの下面よりも高い位置にあり、本体ハウジングから突出するギヤハウジングの下面は、側面視で本体ハウジングの前部の下面よりも高い位置にあることを特徴とする。
請求項7に記載の発明は、請求項6の構成において、バッテリー装着部内に、バッテリーパックと電気的に接続される端子台と、端子台の上方に位置するコントローラとが収容されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、モータが往復動変換機構やギヤの後方に位置しないので、スライダの往復動方向での全長を短くすることができる。特に、モータをブラシレスとすれば、軽量化及び上下方向のコンパクト化も達成できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、レシプロソーの一例を示す斜視図、
図2はその中央縦断面図、
図3は
図2のA-A線断面図、
図4は
図2のB-B線断面図、
図5は
図3のC-C線断面図である。
このレシプロソー1は、モータ2と、往復動変換機構3と、スライダ4と、スイッチ5と、コントローラ6と、バッテリーパック7とを含んでなる。
レシプロソー1のハウジングは、側面視が四角形状の本体ハウジング8と、往復動変換機構3を収容して後半部10が本体ハウジング8の上側前部に保持され、前半部11が本体ハウジング8から前方へ突出するギヤハウジング9とを備える。前半部11には、筒状の絶縁カバー12が外装されている。
【0010】
本体ハウジング8は、左右の半割ハウジング8a,8bに分割され、この半割ハウジング8a,8bを、内面にそれぞれ突設されて互いに嵌合するネジボス13,13・・の位置で、右側からネジ14,14・・をねじ込むことで組み付けられる。本体ハウジング8の後部には、ループ状のハンドル部15が形成されて、ハンドル部15内に、トリガ16を突出させたスイッチ5と、その下方に位置するコンデンサ17とが収容されている。18は、トリガ16の押し込みを規制する位置と規制を解除する位置とに左右へスライド操作可能なロックオフボタンである。
【0011】
また、ハンドル部15の下方には、バッテリーパック7(ここでは18Vの定格電圧のものが使用されている)が後方からスライド装着されるバッテリー装着部19が形成されて、バッテリー装着部19内に、バッテリーパック7と電気的に接続される端子台20と、その上方のコントローラ6とが収容されている。コントローラ6は、図示しないマイコンやスイッチング素子を搭載した制御回路基板21を備えて、半割ハウジング8a,8bの内面に立設された倒コ字状のリブ22,22によって前後方向に支持されている。コントローラ6の左右で本体ハウジング8の側面には、後吸気口23,23が前後方向に形成されている。
【0012】
ギヤハウジング9は、後半部10を閉塞して前半部11の前端を開口させた有底筒状で、これも左右に分割された内側ハウジング9a,9bをネジ24,24・・によって組み付けてなる。ここでは、後述するベベルギヤ10の外形に合わせて側面視が円形状となる後半部10の外周で内側ハウジング9a,9bに、ネジ24で固定するためのネジ止め突起25,25・・がそれぞれ突設され、前半部11の上下の端縁に沿った所定位置にも、ネジ24で固定するためのネジ止め部26,26・・が形成されている。
また、後半部10において、下側の前後2箇所と、上側の一箇所とには、本体ハウジング8に設けられたネジボス13の位置に合わせた嵌合筒27,27・・が突設されており、この嵌合筒27にネジボス13を貫通させてネジボス13の根元側に設けた図示しないストッパを当接させることで、後半部10は本体ハウジング8内に保持される。さらに、左右の半割ハウジング8a,8bの内面には、
図3に示すように、後半部10の後面及び後方下側の嵌合筒27を受ける受けリブ28,28が突設されている。
【0013】
本体ハウジング8内でギヤハウジング9の後半部10には、モータ2を収容するモータハウジング30が連結されている。このモータハウジング30は、
図4に示すように、これも左右の半割ケース30a,30bを、上側で前後に配置された左右方向の上ネジ31,31と、下面で前後に配置された左右方向の下ネジ32,32とによって組み付けてなる有底の筒状となっている。モータハウジング30の上端には、モータ側フランジ33が形成されて、このモータ側フランジ33の四隅を、下方から4本の取付ネジ34,34・・により、後半部10の下端に設けた同形状のギヤ側フランジ29に取り付けることで、モータハウジング30は後半部10の下側で上下方向に固定される。モータ側フランジ33は、左右の半割ハウジング8a,8bの内面に当接して左右方向の移動が規制される。
こうしてギヤハウジング9に対してモータハウジング30を結合してユニット化できるので、往復動変換機構3を収容したギヤハウジング9と、モータ2を収容したモータハウジング30とのユニットを作製してから本体ハウジング8に組み付けできる。
【0014】
モータ2は、筒状のステータ35と、ステータ35を貫通するロータ36とを有するインナロータ型のブラシレスモータである。まずステータ35は、固定子鉄心37と、固定子鉄心37の上下に設けられる上絶縁部材38及び下絶縁部材39と、上下絶縁部材38,39を介して固定子鉄心37に巻回される複数のコイル40,40・・とを有してモータハウジング30内に保持されている。下絶縁部材39には、コイル40のワイヤを一端に挟んでヒュージングする3つのヒュージング端子41が設けられて、各ヒュージング端子41の他端が、下絶縁部材39から後向きに突設されてモータハウジング30の後面に設けた開口42から突出する連結片43に引き回されている。この連結片43に、各ヒュージング端子41に対応する三相の電源線をはんだ付けした側面視コ字状の端子ユニット44が、後方から挟み込むようにネジ止めと共に電気的接続されている。端子ユニット44から引き出される電源線は、そのまま後方のコントローラ6内の制御回路基板21に接続される。
【0015】
ロータ36は、軸心に位置して上下方向に延びる回転軸45と、回転軸45の周囲に配置される筒状の回転子鉄心46と、回転子鉄心46の内部に配置される図示しない4つの永久磁石とを有する。下絶縁部材39の下端には、ロータ36の永久磁石の位置を検出して回転検出信号を出力する3つの回転検出素子を搭載したセンサ回路基板47がネジ固定されている。このセンサ回路基板47の後端には、回転検出信号を出力する信号線が接続されて、この信号線も、電源線と同様に制御回路基板21に接続されている。
【0016】
回転軸45は、ギヤハウジング9の後半部10を下方から貫通して内部に突出し、後半部10の下面に設けた上軸受48に軸支されている。回転軸45の下端は、モータハウジング30の内底面に設けた下軸受49に支持されている。後半部10の下面には、上軸受48を抜け止めする板状のベアリングリテーナ50が下方からボルト止めされて、ベアリングリテーナ50の下方で回転軸45には、遠心ファン51が取り付けられて、モータハウジング30内に設けたバッフル部52とベアリングリテーナ50との間に、左右が開口したファン収容室53を形成している。ファン収容室53の左右で本体ハウジング8には、排気口54,54・・が形成され、モータハウジング30の下方で本体ハウジング8の左右には、前吸気口55,55が前後方向に形成されている。
【0017】
往復動変換機構3は、
図3にも示すように、ギヤハウジング9の後半部10内では、ベベルギヤ60と、偏心軸61と、コネクティングロッド62と、カウンタウエイト63とを備える。ベベルギヤ60は、左側の内側ハウジング9aに設けた軸受64によって左側に突設した軸部65が支持されることで、軸線が左右方向となる縦向きで且つギヤ部66を右側に向けて配置される。この軸線の下方でギヤ部66の下部に、後半部10内に突出した回転軸45の上端に設けたピニオン45aが噛合している。
偏心軸61は、ベベルギヤ60の右側の偏心位置で左右方向に固定され、コネクティングロッド62は、本体ハウジング8の左右方向の中心位置で、後端が、偏心軸61の中間部にニードルベアリング67を介して回転可能に連結されている。カウンタウエイト63は、偏心軸61の右端部にウエイト部と反対側の部位が固定されている。68は、左側の内側ハウジング9a側でベベルギヤ60を受けるワッシャである。
【0018】
また、往復動変換機構3は、ギヤハウジング9の前半部11内では、連結ピン69と、ローラ70,70と、ローラガイド71,71と、スライダガイド72とを備える。連結ピン69は、コネクティングロッド62の前端とスライダ4の後端とを左右方向に貫通して両者を連結している。ローラ70,70は、スライダ4を貫通した連結ピン69の左右両端に固定されている。ローラガイド71,71は、正面視がコ字状で、左右の内側ハウジング9a,9bの内面へそれぞれ向かい合わせに固定されてローラ70を嵌合させ、ローラ70,70の前後方向への転動を案内する。スライダガイド72は、ローラガイド71,71の前方で前半部11内に保持される筒状で、このスライダガイド72をスライダ4が貫通して前方へ突出している。スライダ4の先端には、図示しないブレードを着脱可能なブレード装着部73が設けられている。
【0019】
さらに、前半部11の下面で絶縁カバー12との間には、ブレードが貫通して被加工材に当接可能なシュー74が、前後位置を調整可能に設けられている。
一方、前半部11の上側前端には、LED75が前向きに保持されて、その後方には、LED75から引き出されるリード線を後方へ配線する配線路76が形成されている。この配線路76を通るリード線は、ギヤハウジング9の上側から後半部10の後方へ回り込んで下側へ配線され、制御回路基板21へ接続される。絶縁カバー12におけるLED75の上側には、指が入り込まないようにガードすると共に、LED75からの光を前側へ向ける庇部77が突設されている。
【0020】
以上の如く構成されたレシプロソー1において、ハンドル部15を把持した手指でトリガ16を押し込んでスイッチ5をON動作させると、バッテリーパック7からモータ2への給電がなされて回転軸45が回転する。すなわち、制御回路基板21のマイコンが、センサ回路基板47の回転検出素子から出力されるロータ36の永久磁石の位置を示す回転検出信号を得てロータ36の回転状態を取得し、取得した回転状態に応じて各スイッチング素子のON/OFFを制御し、ステータ35の各コイル40に対し順番に電流を流すことでロータ36を回転させる。
【0021】
こうして回転軸45が回転すると、往復動変換機構3では、ピニオン45aと噛合するギヤ部66を介してベベルギヤ60が減速回転し、偏心軸61と共にコネクティングロッド62の後端がベベルギヤ60の軸線回りに偏心運動する。これにより、コネクティングロッド62の前端のローラ70,70がローラガイド71,71に案内されることで前後方向への往復動に変換され、スライダ4を往復動させる。よって、装着したブレードによって被加工材の切断等が可能となる。
【0022】
なお、スライダ4の往復動と同時に、カウンタウエイト63はスライダ4と対称的に回転してスライダ4に伝わる振動を抑制する。
また、回転軸45の回転に伴い遠心ファン51が回転すると、後吸気口23及び前吸気口55から外気が吸い込まれる。後吸気口23からの外気は、コントローラ6の左右を通ってコントローラ6を冷却した後、モータハウジング30の開口42からモータハウジング30内に進入する。前吸気口55からの外気は、そのまま上昇して開口42からモータハウジング30内に進入する。よって、前後から合流した外気は、モータハウジング30内でステータ35とロータ36との間を通ってモータ2を冷却した後、ファン収容室53に至り、左右の排気口54,54から排出される。
【0023】
ここではモータ2の回転軸45が、往復動変換機構3のベベルギヤ60の軸線と直交する上下方向の直線上に軸線を位置させて、モータ2は、往復動変換機構3及びスライダ4の下側で上下方向に配置されている。よって、平面視でモータ2と往復動変換機構3とがオーバーラップする位置関係となって、モータハウジング30を含むモータ2がギヤハウジング9の後端よりも後方に突出しない。よって、本体ハウジング8の前後方向の寸法が小さくなり、狭い場所でも取り回しがしやすくなって使い勝手が良好となる。
また、このようにモータ2が往復動変換機構3の下側にあっても、
図2に示すように、本体ハウジング6における前側下部のモータハウジング30の収容部分は、バッテリーパック7の前下端とシュー74の前下端とに当接する側面視での仮想面Fよりも内側に位置しているので、レシプロソー1を落下させたりしてもモータハウジング30の収容部分が地面等に先に当たるおそれが少なくなる。
【0024】
このように、上記形態のレシプロソー1によれば、ステータ35と、ステータ35に対して回転可能で、回転軸45を有するロータ36とを備えたブラシレスのモータ2と、回転軸45の回転により駆動する往復動変換機構3と、往復動変換機構3により前後方向へ往復動するスライダ4と、を含み、モータ2が、回転軸45を上下方向とした向きでスライダ4よりも下方に配置されていることで、モータ2が往復動変換機構3の下側にあって往復動変換機構3の後方に位置しないので、スライダ4の往復動方向(前後方向)での全長を短くすることができる。また、モータ2をブラシレスとしたことで、軽量化及び上下方向のコンパクト化も達成できる。
【0025】
特にここでは、往復動変換機構3を、スライダ4を前方へ突出させるギヤハウジング9に収容し、モータ2を、ギヤハウジング9の下部に連結されるモータハウジング30に収容して、ギヤハウジング9とモータハウジング30とを、後部にスイッチ5及び制御回路基板21を有する本体ハウジング8に収容したことで、ギヤハウジング9とモータハウジング30とをユニット化でき、本体ハウジング8への組み付けが容易に行える。
また、ギヤハウジング9は前後方向に延びて本体ハウジング8から前方へ突出し、モータハウジング30は、ギヤハウジング9の後端より前側に連結されているので、モータ2を含むモータハウジング30がギヤハウジング9の前後端から平面視で突出しない最もコンパクトな配置とすることができる。
【0026】
一方、上記形態からは、ステータ35と、ステータ35に対して回転可能で、上下方向に延びる回転軸45を有するロータ36とを備えたモータ2と、回転軸45の上端に設けられるピニオン45aと、ピニオン45aが噛合し、左右方向を軸線とする縦向きのベベルギヤ60と、ベベルギヤ60に設けられて軸線回りに偏心運動する偏心軸61と、偏心軸61により前後方向へ往復動するスライダ4と、を含んでなるレシプロソー1の発明も把握できる。この発明においても、上下方向に延びる回転軸45の上端のピニオン45aがベベルギヤ60に噛合することで、モータ2がベベルギヤ60の下側にあってベベルギヤ60の後方に位置しないので、スライダ4の往復動方向(前後方向)での全長を短くすることができる。また、モータ2をブラシレスとしたことで、軽量化及び上下方向のコンパクト化も達成できる。
【0027】
特にここでは、モータ2は、ベベルギヤ60の軸線の下方に配置されて上端のピニオン45aをベベルギヤ60の下部に噛合させているので、モータ2がベベルギヤ60の前後端から平面視で突出することがない最もコンパクトな配置とすることができる。
【0028】
なお、上記形態では、モータの回転軸を上下方向に配置しているが、回転軸は厳密な鉛直方向である必要はなく、回転軸が所定角度前側や後側へ傾いた傾斜姿勢であっても、前後方向の寸法のコンパクト化は達成できる。また、往復動変換機構の下側に限らず、上側にモータを配置して、下向きとした回転軸から往復動変換機構に回転入力させてもよい。
また、上記形態では、往復動変換機構を、ベベルギヤに設けた偏心軸にコネクティングロッドを介してスライダに連結する構造としているが、例えば偏心軸に、スライダの往復動方向の移動量のみを取り出してその直交方向の移動量を吸収するカム板(例えば当該直交方向に延びる長孔に偏心軸を遊挿させて往復動方向にスライド可能な板体)を設けて、カム板にスライダを連結するようにしてもよい。
【0029】
さらに、モータはブラシレスモータに限らず、整流子モータでも採用できるし、バッテリーパックも、定格電圧が異なるものとしたり、前後に2つ装着したりすることもできる。勿論電源としてはバッテリーパックに限らず、商用電源を得るレシプロソーであっても本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0030】
1・・レシプロソー、2・・モータ、3・・往復動変換機構、4・・スライダ、5・・スイッチ、6・・コントローラ、7・・バッテリーパック、8・・本体ハウジング、9・・ギヤハウジング、10・・後半部、11・・前半部、13・・ネジボス、14,24・・ネジ、21・・制御回路基板、27・・嵌合筒、30・・モータハウジング、35・・ステータ、36・・ロータ、40・・コイル、45・・回転軸、45a・・ピニオン、60・・ベベルギヤ、61・・偏心軸、62・・コネクティングロッド、63・・カウンタウエイト、66・・ギヤ部。