(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】ヘアドライヤー用ブラシ、およびブラシ付ヘアドライヤー
(51)【国際特許分類】
A45D 20/50 20060101AFI20220112BHJP
【FI】
A45D20/50
(21)【出願番号】P 2017145087
(22)【出願日】2017-07-27
【審査請求日】2020-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】505351566
【氏名又は名称】株式会社LOUVREDO
(73)【特許権者】
【識別番号】519157727
【氏名又は名称】マクセルイズミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101786
【氏名又は名称】奥村 秀行
(72)【発明者】
【氏名】太田 丈盛
(72)【発明者】
【氏名】小澤 徹也
(72)【発明者】
【氏名】上條 篤
【審査官】新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/190217(WO,A1)
【文献】特開昭60-100902(JP,A)
【文献】米国特許第03835869(US,A)
【文献】特開2000-320883(JP,A)
【文献】実開昭59-027702(JP,U)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0099937(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 20/48-20/52
F24F 13/072
F28D 9/00
F04D 29/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘアドライヤー本体の空気吹出口に着脱可能に取り付けられるブラシであって、
内部に送風路を有するケースと、
前記送風路と連通して設けられた複数の空気噴出孔と、
前記空気噴出孔の近傍に突設された複数のブリッスルと、
前記ケースの内部に設けられ、前記ヘアドライヤー本体から前記送風路に流入した風を前記空気噴出孔へ案内する第1案内壁と、
前記ケースの内部における、前記第1案内壁が設けられている側と反対側の、前記第1案内壁と対向しない位置に設けられ、前記第1案内壁に当たって前記空気噴出孔と反対の方向へ流れる風を、前記空気噴出孔の方向へ案内する第2案内壁と、を備え、
前記第1案内壁は、前記送風路の先端側に向って高さが高くなる複数の案内壁からなる
とともに、それぞれの案内壁に対応する前記空気噴出孔の近傍に設けられていて、前記送風路の先端側に向って前記空気噴出孔より前方の位置において、前記ブリッスルの突出方向と反対の方向へ突出して
おり、
前記第1案内壁と前記第2案内壁とは、前記送風路へ流入する風の流入方向から見てオーバーラップしないように配設されており、当該第1案内壁と第2案内壁との間を、前記送風路に流入した風の一部が前記ケースの先端に向って直進する、ことを特徴とするヘアドライヤー用ブラシ。
【請求項2】
請求項
1に記載のヘアドライヤー用ブラシにおいて、
前記第2案内壁は、前記複数の第1案内壁のそれぞれより前記送風路の先端側に位置している、ことを特徴とするヘアドライヤー用ブラシ。
【請求項3】
請求項
1に記載のヘアドライヤー用ブラシにおいて、
前記第2案内壁は、前記送風路の先端側に向って高さが高くなる複数の案内壁からなり、
前記第1案内壁と前記第2案内壁とは、前記送風路に沿って交互に配列されている、ことを特徴とするヘアドライヤー用ブラシ。
【請求項4】
請求項1ないし請求項
3のいずれかに記載のヘアドライヤー用ブラシにおいて、
前記複数の空気噴出孔の全てに対応して、それぞれ前記第1案内壁が設けられている、ことを特徴とするヘアドライヤー用ブラシ。
【請求項5】
請求項1ないし請求項
4のいずれかに記載のヘアドライヤー用ブラシにおいて、
前記第1案内壁の先端部に、当該第1案内壁に当たった風が前記空気噴出孔と反対方向へ流れるのを阻止する突出部が設けられている、ことを特徴とするヘアドライヤー用ブラシ。
【請求項6】
請求項
1ないし請求項
5のいずれかに記載のヘアドライヤー用ブラシにおいて、
前記ケースは、
前記ブリッスル側に開口する開口部を備えたケース本体と、
前記開口部を塞ぐように前記ケース本体に取り付けられ、前記送風路および前記空気噴出孔を連通させる連通孔を有する基台と、からなり
前記基台の前記ブリッスル側の面に、前記ブリッスルと前記空気噴出孔とが設けられたブラシ体が装着されており、
前記基台の前記ブリッスルと反対側の面に、前記第1案内壁が設けられており、
前記ケース本体の前記基台と対向する面に、前記第2案内壁が設けられている、ことを特徴とするヘアドライヤー用ブラシ。
【請求項7】
請求項
1ないし請求項
6のいずれかに記載のヘアドライヤー用ブラシにおいて、
前記第1案内壁および前記第2案内壁は、前記送風路に流入した風が通過する切欠き部が形成されたアーチ形の案内壁である、ことを特徴とするヘアドライヤー用ブラシ。
【請求項8】
請求項1ないし請求項
7のいずれかに記載のヘアドライヤー用ブラシと、
前記ブラシが空気吹出口に着脱可能に取り付けられるヘアドライヤー本体と、
から構成されることを特徴とするブラシ付ヘアドライヤー。
【請求項9】
請求項
8に記載のブラシ付ヘアドライヤーにおいて、
前記ヘアドライヤー本体は、前記空気吹出口付近に、マイナスイオン発生部材と遠赤外線発生部材とを備えている、ことを特徴とするブラシ付ヘアドライヤー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドライヤー本体に取り付けられるブラシと、このブラシを取り付けたヘアドライヤーに関する。
【背景技術】
【0002】
一般家庭やヘアサロンなどで使用されるヘアドライヤーには、ドライヤー本体の空気吹出口に、ブローブラシやロールブラシなどが着脱可能に取り付けられる仕様のものがある(たとえば特許文献1、特許文献2を参照)。このようなアタッチメントとしてのブラシは、ドライヤー本体から供給される温風を、多数の空気噴出孔から噴出させて毛髪に吹き付けながら、毛髪にカール処理を施したり、毛髪にボリューム感を与えたりする目的で使用される。
【0003】
しかしながら、ドライヤー本体からブラシへ供給された風が、ブラシの空気噴出孔から均一に噴出しないと、毛髪に当たる風の分布に偏りが生じ、毛髪に対して所望のカール付けをしたり、ボリューム感を出したりすることが難しくなる。この対策として、特許文献3では、ブラシ内の送風路に、風を分流して各空気噴出孔から略均一に噴出させるための複数の案内壁を設けている。
【0004】
図10は、特許文献3に開示されているブラシを模式的に示した断面図である。
図10において、ブラシ50は、ケース51と、複数のブリッスル54とを備えている。ケース51には、ブリッスル54の近傍に、ドライヤー本体(図示省略)から供給される風が噴出する複数の空気噴出孔52が設けられている。また、ケース51には、空気噴出孔52と反対側に、複数の案内壁53a~53dが各空気噴出孔52と対応して設けられている。各案内壁53a~53dは、ケース51の内壁から送風路55へ突出するように設けられていて、送風路55の先端側(
図10で左側)に行くほど、壁の高さが高くなっている。ドライヤー本体から供給される風は、送風路55を通過する過程で、順次、案内壁53a~53dに当って矢印のように分流し、空気噴出孔52の方向へ案内されて、各空気噴出孔52から噴出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開平8-256824号公報
【文献】特開2011-183221号公報
【文献】特許第2731200号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
図11は、
図10のような案内壁53a~53dを設けた場合の、実際の風の流れを、模式的に示している。実線の矢印で示したように、ドライヤー本体から流入した風は、案内壁53a~53dに当ることによって方向が変化するが、案内壁53a~53dに当った風が、全て空気噴出孔52の方向に向うわけではない。
【0007】
たとえば、案内壁53a~53dに当った風の一部は上方へ進むが、ケース51の案内壁53a~53d間には、外部と連通する透孔が存在しないため、符号Aで示したように、上方へ進んだ風は案内壁53a~53d間に滞留し、流れが悪くなる。また、案内壁53a~53dに当って下方へ向おうとする風は、後ろから来る風に押し流され、符号Bで示したように、前方へ向う。こうしたことから、ドライヤー本体から供給される風のうち、案内壁53a~53dに当って下方へ向う風(破線)の割合が少なくなり、空気噴出孔52から十分な量の風が噴出しないという問題がある。
【0008】
本発明の課題は、風を均一に噴出できるとともに、噴出する風の量を十分に確保することが可能なヘアドライヤー用ブラシおよびブラシ付ヘアドライヤーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係るヘアドライヤー用ブラシは、ヘアドライヤー本体の空気吹出口に着脱可能に取り付けられるブラシであって、内部に送風路を有するケースと、この送風路と連通して設けられた複数の空気噴出孔と、この空気噴出孔の近傍に突設された複数のブリッスルと、ケースの内部に設けられ、ヘアドライヤー本体から送風路に流入した風を空気噴出孔へ案内する第1案内壁とを備えている。第1案内壁は、送風路の先端側に向って高さが高くなる複数の案内壁からなる。本発明では、第1案内壁が、それぞれの案内壁に対応する空気噴出孔の近傍に設けられていて、送風路の先端側に向って空気噴出孔より前方の位置において、ブリッスルの突出方向と反対の方向へ突出している。
【0010】
このような構成によると、送風路に流入した風が順次、第1案内壁に当って分流し、それぞれの案内壁に対応する空気噴出孔から噴出するので、各空気噴出孔から噴出する風を均一化することができる。また、第1案内壁が、空気噴出孔の近傍に設けられていて、送風路の先端側に向って空気噴出孔より前方に位置しているので、第1案内壁に当った風を容易に空気噴出孔に導くことができる。このため、送風路に流入した風を各空気噴出孔から効率良く噴出させることができ、これによって十分な風量を確保することができる。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によれば、ケースの内部における、第1案内壁が設けられている側と反対側の第1案内壁と対向しない位置に、第1案内壁に当たって空気噴出孔と反対方向へ流れる風を、空気噴出孔の方向へ案内する第2案内壁が設けられている。そして、第1案内壁と第2案内壁とは、送風路へ流入する風の流入方向から見てオーバーラップしないように配設されており、当該第1案内壁と第2案内壁との間を、送風路に流入した風の一部がケースの先端に向って直進する。
【0012】
本発明において、第2案内壁は、複数の第1案内壁のそれぞれより送風路の先端側に位置していてもよい。また、第2案内壁は、送風路の先端側に向って高さが高くなる複数の案内壁からなり、第1案内壁と第2案内壁とは、送風路に沿って交互に配列されていてもよい。
【0013】
本発明において、複数の空気噴出孔の全てに対応して、それぞれ第1案内壁が設けられていてもよい。
【0014】
本発明において、第1案内壁の先端部には、当該第1案内壁に当たった風が空気噴出孔と反対方向へ流れるのを阻止する突出部が設けられていてもよい。
【0015】
本発明において、ケースは、ブリッスル側に開口する開口部を備えたケース本体と、開口部を塞ぐようにケース本体に取り付けられ、送風路および空気噴出孔を連通させる連通孔を有する基台とから構成されていてもよい。そして、基台のブリッスル側の面に、ブリッスルと空気噴出孔とが設けられたブラシ体が装着され、基台のブリッスルと反対側の面に、第1案内壁が設けられ、ケース本体の基台と対向する面に、第2案内壁が設けられていてもよい。
【0016】
本発明の好ましい実施形態によれば、第1案内壁および第2案内壁は、送風路に流入した風が通過する切欠き部が形成されたアーチ形の案内壁である。
【0017】
本発明に係るブラシ付ヘアドライヤーは、上述したヘアドライヤー用ブラシと、 当該ブラシが空気吹出口に着脱可能に取り付けられるヘアドライヤー本体とから構成される。
【0018】
本発明の好ましい実施形態によれば、ヘアドライヤー本体は、空気吹出口付近に、マイナスイオン発生部材と遠赤外線発生部材とを備えている。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、風を均一に噴出できるとともに、噴出する風の量を十分に確保することが可能なヘアドライヤー用ブラシおよびブラシ付ヘアドライヤーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明のブラシ付ヘアドライヤーの一例を示す外観図である。
【
図2】本発明のヘアドライヤー用ブラシの一例を示す正面図である。
【
図5】ブラシ内部の風の流れを模式的に示す図である。
【
図6】本発明の他の実施形態によるブラシの内部構造と風の流れを模式的に示す図である。
【
図7】本発明の他の実施形態によるブラシの内部構造と風の流れを模式的に示す図である。
【
図8】本発明の他の実施形態によるブラシの内部構造を模式的に示す図である。
【
図9】本発明の他の実施形態による第1案内壁と第2案内壁の概略図である。
【
図10】従来例によるブラシの内部構造と風の流れを模式的に示す図である。
【
図11】
図10における実際の風の流れを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態につき、図面を参照しながら説明する。各図において、同一の部分または対応する部分には、同一符号を付してある。まず、本実施形態に係るブラシ付ヘアドライヤーおよびブラシの構造を、
図1~
図4を参照しながら説明する。
【0022】
図1に示すように、ブラシ付ヘアドライヤー100(以下「ヘアドライヤー100」と表記)は、ブローブラシからなるヘアドライヤー用ブラシ10(以下「ブローブラシ10」と表記)と、ヘアドライヤー本体20(以下「ドライヤー本体20」と表記)とから構成される。
【0023】
ヘアドライヤー100は、髪に温風を吹き付けながら、髪にカール処理を施すためのカールドライヤーであって、一般家庭やヘアサロンなどで使用されるものである。
【0024】
ブローブラシ10は、ドライヤー本体20の空気吹出口22に着脱可能に取り付けられるカール用のブラシであって、ケース1と、このケース1に保持されたブラシ体2とから構成される。ケース1は、
図3に示すように、内部に送風路7を有する中空の筒状体であって、ケース本体1aおよび基台1bからなる。ブラシ体2は、複数のブリッスル3およびテンションコーム4を有するとともに、
図2に示すように、複数の空気噴出孔5を有している。
図3に示すように、ブラシ体2は、基台1bの表面すなわちブリッスル3側の面に装着されている。
【0025】
ケース本体1aは、
図1および
図3に示すように、ブリッスル3側に開口する開口部1cを備えており、この開口部1cを塞ぐように、基台1bがケース本体1aに取り付けられている。
図4に示すように、基台1bは半円弧状に形成されている。基台1bには、
図3に示すように、複数の連通孔6が形成されている。この連通孔6は、ブラシ体2の空気噴出孔5(
図2)と対応する位置に設けられていて、ケース1内の送風路7と空気噴出孔5とを連通させている。
図2に示すように、ブリッスル3は、空気噴出孔5の近傍に突設されている。
【0026】
図2および
図3に示すように、ケース1の基端側(図で右側)には、ドライヤー本体20(
図1)から供給される風の一部がブリッスル3に向けて吹き出す窓部8が設けられている。また、ケース1の基端側の端部には、ドライヤー本体20と係合する係合部9が設けられている。
【0027】
ドライヤー本体20は、
図1に示すように、手で把持される円筒状の把持部21を備えており、この把持部21の先端部に空気吹出口22が設けられているとともに、後端部に空気吸込口27および電源コード28が設けられている。また、把持部21の外面には、図示しない電源スイッチが設けられている。把持部21の内部には、ヒータを備えた発熱部23と、ファンやモータを備えた送風部24と、マイナスイオンを発生するマイナスイオン発生部材25と、遠赤外線を発生する遠赤外線発生部材26とが内蔵されている。
【0028】
マイナスイオン発生部材25と遠赤外線発生部材26は、空気吹出口22付近に配置されている。発熱部23は、遠赤外線発生部材26と送風部24の間に配置されている。マイナスイオン発生部材25は、たとえば酸化ジルコニウムの粉末を含むセラミックからなり、遠赤外線発生部材26は、たとえば温光石などの天然鉱石の粉末を含むセラミックからなる。これらの各部材25、26は、空気吹出口22に装着された図示しないホルダーに保持されている。
【0029】
送風部24のファン(図示省略)が回転すると、空気吸込口27から空気が吸い込まれ、ファンの回転によって発生した風は、発熱部23の熱により温風となって、空気吹出口22から吹き出し、ブローブラシ10のケース1内へ供給される。このとき、マイナスイオン発生部材25が温風により加熱されるので、当該部材25からマイナスイオンが発生し、発生したマイナスイオンは、温風とともにブローブラシ10のケース1内へ供給される。同様に、遠赤外線発生部材26も温風により加熱されるので、当該部材26から遠赤外線が発生し、発生した遠赤外線は、温風とともにブローブラシ10のケース1内へ供給される。すなわち、ブローブラシ10には、ドライヤー本体20から風、熱、マイナスイオン、遠赤外線の4つのエネルギーが供給される。
【0030】
図3に示すように、ブローブラシ10のケース1内には、ドライヤー本体20から送風路7に流入した風を空気噴出孔5(
図2)へ案内する複数の第1案内壁11a、11bと、第1案内壁11a、11bに当たって空気噴出孔5と反対の方向へ流れる風を、空気噴出孔5の方向へ案内する第2案内壁12とが設けられている。これらの案内壁11a、11b、12は、風の流れる方向(
図3で右から左へ向う方向)と直交する方向に延びている。
【0031】
第1案内壁11a、11bは、基台1bの裏面すなわちブリッスル3と反対側の面に設けられており、案内壁11bの高さは、案内壁11aの高さより高くなっている。すなわち、第1案内壁は、送風路7の先端側(
図3で左側)に向って高さが高くなる複数(本例では2つ)の案内壁からなる。また、後述の
図5に示すように、第1案内壁11a、11bは、それぞれの案内壁に対応する空気噴出孔5の近傍に設けられていて、送風路7の先端側(
図5で左側)に向って空気噴出孔5より前方の位置において、ブリッスル3の突出方向(
図5で下方向)と反対の方向(
図5で上方向)へ突出している。
【0032】
第2案内壁12は、
図3に示すように、ケース1の内部における、第1案内壁11a、11bが設けられている側(
図3で下側)と反対側(
図3で上側)
の、第1案内壁11a、11bと対向しない位置に設けられている。詳しくは、第2案内壁12は、ケース本体1aの基台1bと対向する面に、ケース本体1aと一体に設けられていて、ブリッスル3の突出方向(
図3で下方向)と同じ方向へ突出している。本例では、第2案内壁12は1つだけ設けられており、第1案内壁11a、11bのそれぞれより送風路7の先端側に位置している。
【0033】
図4に示すように、第1案内壁11a、11bは、それぞれ、送風路7に流入した風が通過する円弧状の切欠き部13a、13bが形成されたアーチ形の案内壁となっている。また、第2案内壁12も、送風路7に流入した風が通過する円弧状の切欠き部14が形成されたアーチ形の案内壁となっている。
そして、第1案内壁11a、11bと第2案内壁12とは、送風路7へ流入する風の流入方向(図4で紙面に垂直な方向)から見て、オーバーラップしないように配設されていて、第1案内壁11a、11bと第2案内壁12との間を、送風路7に流入した風の一部(図5の風X4)がケース1の先端に向って直進するようになっている。
【0034】
次に、ブローブラシ10の内部における風の流れについて、
図5を参照しながら説明する。
図5は、
図3の構造を模式的に表したものであって、簡略化のために、
図3の基台1bやブラシ体2をケース1と一体化して描いてある。また、
図3の連通孔6も、
図2の空気噴出孔5と一体化して描いてある。
【0035】
図5において、X1~X5は、ドライヤー本体20から供給される風を示している。それぞれの風は、矢印で示されるような経路で送風路7を流れる。勿論、実際の風の流れは、図示したような単純なものではないが、ここでは本発明の理解を容易にするため、風の流れを模式化してある(後述の
図6~
図8も同様)。
【0036】
ドライヤー本体20から供給される風のうち、風X1は、送風路7へ流入せずに窓部8から吹き出す風であり、風X2~X5は、送風路7へ流入する風である。風X2は、送風路7へ流入した後、第1案内壁11aに当り、ここで下方向に向かう風と上方向に向う風とに分かれる。下方向に向かう風は、実線で示すように、第1案内壁11aの手前にある空気噴出孔5から噴出する。一方、上方向に向う風は、破線で示すように、風X3~X5で流されながら第2案内壁12へ向かい、第2案内壁12に当った後、下方向に向きを変えて下降し、第2案内壁12の下方にある空気噴出孔5から噴出する。
【0037】
風X3は、送風路7へ流入した後、第1案内壁11bに当り、ここで下方向に向かう風と上方向に向う風とに分かれる。下方向に向かう風は、実線で示すように、第1案内壁11bの手前にある空気噴出孔5から噴出する。一方、上方向に向う風は、破線で示すように、風X4、X5で流されながら第2案内壁12へ向かい、第2案内壁12に当った後、下方向に向きを変えて下降し、第2案内壁12の下方にある空気噴出孔5から噴出する。
【0038】
風X4は、送風路7へ流入した後、第1案内壁11a、11bと第2案内壁12のいずれにも当ることなくケース1の先端に向って直進し、一部はケース1の先端に当った後に向きを変えて、先端付近にある空気噴出孔5から噴出し、一部は他の空気噴出孔5から直接噴出する。
【0039】
風X5は、送風路7へ流入した後、第1案内壁12に当り、ここで下方向に向きを変えて下降し、第2案内壁12の下方にある空気噴出孔5から噴出する。
【0040】
なお、第2案内壁12に当った風の一部は上方向に向うが、
図5ではこの図示を省略してある。
【0041】
上述した実施形態によると、ケース1内の送風路7に第1案内壁11a、11bおよび第2案内壁12を設けたことにより、複数の空気噴出孔5から風を均一に噴出させることができる。これらの案内壁11a、11b、12を設けない場合は、送風路7に流入する風の風圧によって、ケース1内の先端側の圧力が高くなるので、先端付近の空気噴出孔5からは風が出やすくなるが、先端から離れた空気噴出孔5からは風が出にくくなり、毛髪に吹き付けられる風の分布が不均一となる。これに対して、案内壁11a、11b、12を設けた場合は、送風路7に流入した風が順次、案内壁11a、11b、12に当って分流し、それぞれの案内壁に対応する空気噴出孔5から噴出するので、各空気噴出孔5から噴出する風を均一化することができる。
【0042】
また、上述した実施形態では、第1案内壁11a、11bが、空気噴出孔5の近傍に設けられていて、送風路7の先端側に向って空気噴出孔5より前方に位置しているので、第1案内壁11a、11bに当った風X2、X3を、容易に空気噴出孔5に導くことができる。このため、
図11で示した風の滞留(符号A)や押し流し(符号B)によるロスが少なく、送風路7に流入した風を各空気噴出孔5から効率良く噴出させることができ、これによって十分な風量を確保することができる。
【0043】
さらに、上述した実施形態では、第1案内壁11a、11bと反対側に、第2案内壁12が設けられているので、
図5で説明したように、第1案内壁11a、11bに当たって上方向、すなわち空気噴出孔5と反対方向へ流れる風(破線)を、第2案内壁12によって下方向、すなわち空気噴出孔5の方向へ案内することができる。その結果、風のロスが一層少なくなり、空気噴出孔5から噴出する風の量をさらに増大させることができる。
【0044】
また、上述した実施形態では、第1案内壁11a、11bと第2案内壁12が、それぞれ円弧状の切欠き部13a、13b、14を有するアーチ形に形成されている(
図4)。これらの切欠き部がないと、送風路7の開口面積が小さくなり、風の流れが各案内壁11a、11b、12によって妨げられるため、先端側の空気噴出孔5から噴出する風が弱くなる。しかるに、切欠き部13a、13b、14を設けたことで、送風路7の開口面積が増加し、風の流れが円滑となるので、各空気噴出孔5から噴出する風の均一化が担保される。
【0045】
図6は、ブローブラシ10の他の実施形態を示す模式図である。本実施形態においては、複数(ここでは2つ)の第2案内壁12a、12bが設けられており、案内壁12bの高さは、案内壁12aの高さより高くなっている。すなわち、第2案内壁は、送風路7の先端側(
図6で左側)に向って高さが高くなっている。また、3つの第1案内壁11a、11b、11cが設けられており、これらも送風路7の先端側に向って高さが高くなっている。そして、第1案内壁11a、11b、11cと第2案内壁12a、12bとは、送風路7に沿って交互に配列されている。
【0046】
図6の実施形態によると、送風路7に流入した風が5つの案内壁11a、11b、11c、12a、12bによってさらに細かく分流するので、各空気噴出孔5から噴出する風をより一層均一化することができる。
【0047】
図7は、ブローブラシ10の他の実施形態を示す模式図である。本実施形態においては、5つの空気噴出孔5の全てに対応して、それぞれ第1案内壁11a、11b、11c、11d、11eが設けられている。ここでも、第1案内壁11a~11eは、送風路7の先端側に向って高さが高くなっている。一方、本実施形態においては、
図5や
図6の第2案内壁12、12a、12bは設けられていない。
【0048】
図7の実施形態によると、各空気噴出孔5ごとに第1案内壁11a~11eが設けられているので、送風路7に流入した風は、順次、第1案内壁11a~11eに案内されて、全ての空気噴出孔5から排出される。このため、ブラシ体2(
図2)の全面から風を噴出させて、毛髪に吹き付けることができる。
【0049】
図8は、ブローブラシ10の他の実施形態を示す模式図である。本実施形態は、
図7の実施形態の変形例である。
図8においては、第1案内壁11a~11eの先端部に、当該第1案内壁に当たった風が上方向、すなわち空気噴出孔5と反対方向へ流れるのを阻止する突出部15a~15eが設けられている。これらの突出部15a~15eは、送風路7へ流入する風に向って若干斜め上を向くように、第1案内壁11a~11eから突出している。
【0050】
図8の実施形態によると、
図7のように第1案内壁11a~11eに当って上方向に向おうとする風(破線)が発生するのを、突出部15a~15eによって抑止することができる。このため、
図5や
図6のような第2案内壁12、12a、12bをあえて設けなくても、送風路7へ流入した風の大部分を空気噴出孔5へ導くことができるので、空気噴出孔5から十分な量の風を噴出させることができる。
【0051】
本発明は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、他にも以下に述べるような種々の実施形態を採用することができる。
【0052】
図1~
図3においては、ケース1の一部を構成する基台1bと、ブリッスル3やテンションコーム4を有するブラシ体2とを別々に設けた例を挙げたが、基台1bとブラシ体2とを一体化してもよい。
【0053】
図4においては、第1案内壁11a、11bと第2案内壁12が、それぞれ円弧状の切欠き部13a、13b、14を有するアーチ形に形成されている例を挙げたが、
図9に示すように、第1案内壁11a、11bと第2案内壁12に、それぞれ台形状の切欠き部16a、16b、17を設けて、各案内壁をアーチ形に形成してもよい。
【0054】
図1においては、ドライヤー本体20がマイナスイオン発生部材25と、遠赤外線発生部材26とを備えている例を挙げたが、本発明では、ドライヤー本体20にこれらの部材25、26が備わっていなくてもよい。
【0055】
図7においては、
図5や
図6の第2案内壁12、12a、12bが設けられていない例を挙げたが、必要に応じて、これらの第2案内壁12、12a、12bを設けてもよい。同様に、
図8においても、
図5や
図6の第2案内壁12、12a、12bを設け、突出部15a~15eで阻止できなかった上方向への風を、これらの第2案内壁で下方向へ案内するようにしてもよい。
【0056】
その他、第1案内壁11a~11eおよび第2案内壁12、12a、12bの数や形状は、図示したものに限定されず、適宜選定することができる。
【符号の説明】
【0057】
1 ケース
1a ケース本体
1b 台座
1c 開口部
2 ブラシ体
3 ブリッスル
5 空気噴出孔
7 送風路
10 ブローブラシ(ヘアドライヤー用ブラシ)
11a~11e 第1案内壁
12、12a、12b 第2案内壁
13a、13b、14、16a、16b、17 切欠き部
20 ヘアドライヤー本体
22 空気吹出口
25 マイナスイオン発生部材
26 遠赤外線発生部材
100 ブラシ付ヘアドライヤー