(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】無菌密閉装置及びその製造組立方法
(51)【国際特許分類】
A61J 1/05 20060101AFI20220112BHJP
A61M 5/31 20060101ALI20220112BHJP
A61J 1/06 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
A61J1/05 313A
A61M5/31 530
A61J1/06 A
(21)【出願番号】P 2017537511
(86)(22)【出願日】2016-01-18
(86)【国際出願番号】 IT2016000011
(87)【国際公開番号】W WO2017103954
(87)【国際公開日】2017-06-22
【審査請求日】2018-09-04
(31)【優先権主張番号】VI2015A000011
(32)【優先日】2015-01-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】511300455
【氏名又は名称】ブレヴェッティ・アンジェラ・エッセ・エッレ・エッレ
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】特許業務法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コンソラロ、ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】コンソラロ、アンジェロ
(72)【発明者】
【氏名】カッブール、ラジェーブ
【審査官】胡谷 佳津志
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-532039(JP,A)
【文献】特開2011-212182(JP,A)
【文献】特表2012-515121(JP,A)
【文献】Charles H. Reed,Recent Technical advancements in Blow/Fill/Seal Technology,[online],Weiler Engineering, Inc.,2004年11月04日,pp. 2-3
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 1/05
A61M 5/31
A61J 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中空体と、動作ステムが横切るのに適したメインアクセスとを含む、医療用液体の収容及び供給のうちの少なくとも1つに適した無菌容器の製造組立方法であって、
少なくとも部分的に溶融状態及び可鍛状態のうちの少なくとも1つの状態のプラスチック材料で作られた、第1端部と第2端部を有する中間管状エレメントを得るために、プラスチック材料を押出成形する工程と、
中空体を少なくとも得るように、前記中間管状エレメントに対してブロー成形処理を行う工程であって、前記第1端部がメインアクセスを有する、工程と、
前記中空体の前記第1端部の前記メインアクセスを密封し、開放可能かつ不可動型の密閉装置であって、少なくとも破断容易部を備える密閉装置を形成する工程と、
前記密閉装置に破断が容易なインサートであって、滅菌フィルタで作られた前記破断が容易なインサートを埋め込む工程と
を順に含む、方法。
【請求項2】
前記押出成形工程及び前記ブロー成形工程は、それぞれ前記中空体の所定の形状を再現する外形を有している一つ以上の空洞を有する成形金型内で行われ、前記金型は、少なくとも互いに向かい合って対向する2つの主半殻を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
中空体と、動作ステムが横切るのに適したメインアクセスとを含む、医療用液体の収容及び供給のうちの少なくとも1つに適した無菌容器の製造組立方法であって、
少なくとも部分的に溶融状態及び可鍛状態のうちの少なくとも1つの状態のプラスチック材料で作られた、第1端部と第2端部を有する中間管状エレメントを得るために、プラスチック材料を押出成形する工程と、
中空体を少なくとも得るように、前記中間管状エレメントに対してブロー成形処理を行う工程であって、前記第1端部がメインアクセスを有する、工程と、
前記中空体の前記第1端部の前記メインアクセスを密封し、開放可能かつ不可動型の密閉装置であって、少なくとも破断容易部を備える密閉装置を形成する工程と、
前記中空体を少なくとも得るように、前記中間管状エレメントに対してブロー成形処理を行う工程の直後、かつ、前記中空体の前記第1端部を密封する工程の直前に、開放可能かつ不可動型の密封装置を形成する工程と、
前記ブロー成形工程の直後の時点で前記中空体の前記第1端部を介して前記中空体内にスライド形状シールを安定して挿入する工程と
を順に含む、方法。
【請求項4】
前記中空体がまだ熱く、前記少なくとも部分的に溶融状態及び可鍛状態のうちの少なくとも1つの状態の間に、前記中空体に前記スライド形状シールを挿入する工程の前であって、前記押出成形工程の後に行われる、前記中空体の内壁の少なくとも長手方向の一部を調整する工程をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記中空体の前記内壁を調整する工程には、前記プラスチック材料を押出成形する工程で得られた前記中間管状エレメントに前もって挿入された少なくとも成形ツールに対して前記中間管状エレメントを押し付ける工程が含まれる、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
成形金型が、それぞれ前記中空体の所定の形状を再現する外形を有している一つ以上の空洞を有し、且つ少なくとも互いに向かい合って対向する2つの主半殻を含み、前記成形金型は、前記押出成形工程中では開いて、前記主半殼を前記中間管状エレメントから隔離し、一方、前記中間管状エレメントに前記成形ツールを挿入し、前記主半殻を互いに近付け、前記中間管状エレメントの近くに前記主半殻を配置する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記中間管状エレメントを前記成形ツールに押し付ける工程には、前記成形金型を閉じ、前記主半殻を互いに近くに配置し、少なくとも前記主半殻の長手方向の一部に対して前記中間管状エレメントと前記成形ツールを介在させる工程が含まれる、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記中空体の内部容積と連通する注射及びサンプルのうちの少なくとも1つ用の他のタイプの接続用の針又はインサートのうちの1つを前記第1端部と対向する前記中空体の前記第2端部と接続する工程をさらに含み、
この工程は前記ブロー成形工程及び前記中空体の前記内壁を調整する工程と同時に行われる、請求項5に記載の方法。
【請求項9】
前記針を前記中空体の前記第2端部と接続する工程の前に、前記中間管状エレメントに前記成形ツールを挿入する工程と同時に行われる、前記成形ツールによって前記中間管状エレメント内に前記針を挿入する工程をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記中空体のブロー成形工程の後であって、前記中空体内に前記スライド形状シールを挿入する工程の前に、前記中空体に医療用液体を充填する工程をさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項11】
前記スライド形状シールを挿入する工程と、前記第1端部を密閉する工程との間に、前記スライド形状シールが前記中空体から抜けることを防止する保持具を形成する工程を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項12】
前記保持具は、前記メインアクセス及び前記スライド形状シールから突出する一つ以上の成形フィンのうちの少なくとも一つに対応して配置された環状エレメントを備える、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記ブロー成形工程、前記中空体の前記内壁を調整する工程、前記針を前記中空体と接続する工程及び前記中空体を充填する工程のうちの少なくとも1つは、前記成形ツールにより行われる、請求項8に記載の方法。
【請求項14】
医療用液体を収容するための密閉容器用のベースエレメントであって、穴を開けるのに適したメインアクセスを具備する中空体、及び前記メインアクセスに対応する開放可能かつ不可動型の密閉装置であって、少なくとも破断容易部を備える密閉装置を備えるベースエレメントの製造方法であって、
少なくとも部分的に溶融状態及び可鍛状態のうちの少なくとも1つの状態のプラスチック材料で作られた、第1端部と第2端部を有する中間管状エレメントを得るために、プラスチック材料を押出成形する工程と、
中空体を少なくとも得るように、前記中間管状エレメントに対してブロー成形処理を行う工程であって、前記第1端部がメインアクセスを有する、工程と、
前記中空体の前記第1端部の前記メインアクセスを密封し、開放可能かつ不可動型の密閉装置であって、少なくとも破断容易部を備える密閉装置を形成する工程と、
前記中空体を少なくとも得るように、前記中間管状エレメントに対してブロー成形処理を行う工程の直後、かつ、前記中空体の前記第1端部を密封する工程の直前に、開放可能かつ不可動型の密封装置を形成する工程と
を含む方法。
【請求項15】
動作ステムを具備し、前記動作ステムによる医療用液体の収容及び供給のうちの少なくとも1つに適した無菌容器用のベースエレメントであって、
前記エレメントが、前記動作ステムが横切るのに適したメインアクセスを具備する中空体と、前記中空体内のスライド形状シールとを備え、
前記エレメントが、前記メインアクセスに対応して開放可能かつ不可動型の密閉装置であって、前記動作ステムの挿入を可能にする密閉装置を備え、
前記スライド形状シールは、前記動作ステムと接続する接続具を具備し、
前記密閉装置は、少なくとも破断容易部を備える、エレメント。
【請求項16】
前記密閉装置は穿通可能である、請求項15に記載のエレメント。
【請求項17】
前記密閉装置は薄肉化領域を有する、請求項16に記載のエレメント。
【請求項18】
前記密閉装置は破断が容易なインサートを備え、前記破断が容易なインサートは滅菌フィルタで作られている、請求項16に記載のエレメント。
【請求項19】
前記滅菌フィルタは完全なフィルタであって、最大寸法が0.45μmの孔部を有する、請求項18に記載のエレメント。
【請求項20】
前記密閉装置は不可動部を有する、請求項15に記載のエレメント。
【請求項21】
前記密閉装置はツイストオフ型の閉鎖装置を備える、請求項2
0に記載のエレメント。
【請求項22】
請求項15に記載のエレメントと、
前記エレメントの前記中空体と接続するのに適した把持装置、及び、前記中空体に沿ってスライド形状シールを押すのに適した押しステムのうちの少なくとも一つと
を備える医療用シリンジ形成キット。
【請求項23】
把持装置であって、前記エレメントに対する前記把持装置の適切な位置を指し示すのに適したポインタを具備し、前記エレメントの前記中空体と接続するのに適した把持装置を備える、請求項2
2に記載の医療用シリンジ形成キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無菌密閉装置、例えば、シリンジやバイアル、及びその製造組立方法に関するものである。特に、本発明は、被注入医療用液体や有機体から抽出された有機液体の収容を目的とする、例えばバイアルやシリンジに関するものである。
【0002】
詳しくは、本発明は、液体供給時に組立可能な別個のステムを有するシリンジに言及する。
【背景技術】
【0003】
シリンジの製造技術は、特許文献1及び特許文献2からも既知である。ブロー・フィル・シール又はBFSと呼ばれるこのような技術によれば、まず、第1インサート(針やシリンジの接続部を実現する部品)をはめ込んで容器の本体を形成し、所望の液体又は固体を充填し、第2インサート(シリンジの部品)を挿入した後に密封する。
【0004】
この密閉処理(又は密封処理:シール工程)は、容器の中空体に接続され、破断が容易な薄肉化領域により可動であるキャップや別の閉鎖エレメントを形成することにより行われる。
【0005】
このような閉鎖エレメントは、シリンジの本体の外側に突出するステムの一部を完全に覆うような寸法を有する。
【0006】
例えば、一般に使用される事前に充填されたシリンジが知られており、
図1~
図4に示す。このシリンジは、場合によって、上記特許文献に記載の一つ以上のインサートを備え、主に線形軸に沿って設定され、液体又は薬剤が充填された中空体Aを有する。
【0007】
該当するシリンジや医療機器は、中空体Aの第1端部Cでアクセスに対応してその中空体に接続された押しステムBをさらに備えている。
【0008】
第2端部には、制限設定くちばし部Fに適用された針保持インサート、又は、針が設けられている。
【0009】
そのような既知のシリンジの密閉の一種として、ステムBを使用時まで滅菌状態に保持するよう保護するためのキャップGがあり、常に上記特許文献のように、迅速かつ容易に開放が行われるよう、あらかじめ設定された破断点Hに対応して薄肉化領域を有する。
【0010】
この技術により、有利にも、得られた医療施術用のシリンジを完全に無菌状態に保持することが可能となり、それにより、安全面や衛生面に関して、また、関与する人、患者、作業者の人体の健康の観点からも、最適な条件下でその後の使用が可能となる。
【0011】
また、有利なことに、BFS製造組立方法は、従来技術の方法よりも迅速に高度の滅菌がなされた医療施術用シリンジを得ることができる。
【0012】
また、この閉鎖エレメントは、使用者が素早くステムにアクセスし、シリンジを使用することができるように開放が容易であるという利点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】国際公開第2007/007178号
【文献】国際公開第2010/143219号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、このようなステムBを覆うキャップGは、プラスチック材料をさらに消費する必要があるため、シリンジの製造にかかるコストがかさむという欠点がある。
【0015】
また、別の欠点としては、製造、輸送、保管の工程において無菌での処理が求められるステムBの原価/量産コストに起因する。
【0016】
従って、このシリンジは、大規模な製造を行う場合、シリンジの製造に消費するプラスチック材料の消費量、滅菌処理後に組立ラインで保管及び管理されるステムの寸法、並びに、その後の廃棄処理の観点からも、経済的以外に環境的にも持続不可能である。
【0017】
また、上記技術では、使用者が指で容易に取り扱えるようにする把持手段を実現することができない。具体的には、指用の成形ハンドルやステムの自由端の寸法に関してISO7886及び11040に準拠可能な、事前に充填されたシリンジを実現することは非常に困難である。
【0018】
具体的には、成形ハンドルは、使用目的に適した、すなわち、シリンジを安全に保持し、快適に使用できるような寸法、形状、強度を有していなければならない。
【0019】
また、シリンジのステムは、中空体を片手で保持した場合に、どんな作業者でも快適に作業を行うのに十分な大きさの支持面を有し、同じ手の親指で押されるような構成でなければならない。
【0020】
つまり、上記BFS技術によれば、すべてのエレメントがたった一つの金型によって得られ、必然的に特定のバルク内に存在し、成形ハンドルやステムの自由端が必要な基準に適合するよう中空体の容積から抜け落ちるのを防止する。
【0021】
物質の収容及び保存が可能であり、使用者による開放が容易で、作業者が求める仕様を満たしていながらも、同時に環境的かつ経済的に持続可能であることを証明するシリンジの必要性が依然として残る。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明は、上記既知の技術の欠点を改善することを目的とする。
【0023】
具体的には、本発明の主要な目的は、適切な解剖学的形状を有する同じシリンジを確保するシリンジとその製造組立方法を開発することにある。
【0024】
また、本発明の目的は、指用の成形ハンドルやステムの自由端の寸法に関してISO7886及び11040に準拠したシリンジを得ることが可能なシリンジとその製造組立方法を実現することにある。
【0025】
同時に、本発明の目的は、少なくとも既知のBFS法で得られる条件と同等の無菌条件を有する医療用液体の無菌密閉装置を得ることが可能な医療用液体の無菌密閉装置とその製造組立方法を実現することにある。
【0026】
また、本発明の目的は、既知のBFS技術と比較して、医療用液体の密閉装置の内容物やその内部に収容され得る医療用液体の汚染リスク及び汚染レベルを低減する医療用液体の無菌密閉装置とその製造組立方法を実現することにある。
【0027】
本発明の別の目的は、上記目的を達成しつつ、迅速な実装を証明する医療用液体の無菌密閉装置とその製造組立方法を考案することにある。
【0028】
本発明のさらなる目的は、作業者や適用される装置によるより実用的な利用を保証する医療用液体の無菌密閉装置とその製造組立方法を提供することにある。
【0029】
上記目的は、簡略にするために参照する添付の独立請求項1、15、23に記載の医療用液体の無菌密閉装置とその製造組立方法によって達成される。
【0030】
本発明の方法のさらに詳細な実装の特徴は各従属請求項から明らかになる。
【発明の効果】
【0031】
有利なことに、本発明の方法によれば、医療施術用の容器やシリンジを、作業者がそのシリンジの部品を操作することなく、最小限の構成で組み立てることも可能である。
【0032】
これにより、例えば、医療施術用シリンジを完全に無菌状態に保持することが可能となり、それにより、安全面、衛生面、関与する人、患者、作業者の人体の健康の観点からも最適な条件下でその後の使用が可能となる。
【0033】
同じように有利なことに、このことは、現在の技術と比較して、容器や医療施術用シリンジの製造コストの大幅な削減に反映され、同様に関連するその他の要因についても明らかである。
【0034】
また、有利なことに、本発明の製造組立方法により得られる容器及び/又は医療施術用シリンジは、上記の利点を有するものと比べて、少なくとも容器及び既知のシリンジと同等の性能基準を有する。
【0035】
上記目的及び利点、並びに以下に生じるその他の目的及び利点は、添付の図面を参照して、例及びガイドとして非限定的に示す本発明の方法の好適な実施例についての以下の説明からより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】既知の技術に係るシリンジを示す不等角投影図である。
【
図3】キャップと保護エレメントを外した
図1のシリンジを示す断面図である。
【
図4】ピストンが経路終端にある状態の
図1のシリンジを示す断面図である。
【
図5】本発明のシリンジの第1実施例を示す図である。
【
図7】本発明のシリンジの第2実施例を示す立体断面図である。
【
図8】ステムと指サポートが第1組立工程にある
図5のシリンジを示す図である。
【
図9】ステムと指サポートが第1組立工程にある
図5のシリンジを示す立体断面図である。
【
図10】第2組立工程における
図9のシリンジを示す図である。
【
図11】第3組立工程における
図9のシリンジを示す図である。
【
図12】保護装置を取り外し、ピストンが経路終端にある状態の
図9のシリンジを示す図である。
【
図13】ステムと指サポートが第1組立工程にある
図7のシリンジを示す立体断面図である。
【
図14】第2組立工程における
図13のシリンジを示す図である。
【
図15】第3組立工程における
図13のシリンジを示す図である。
【
図16】保護装置を取り外した第4組立工程における
図13のシリンジを示す図である。
【
図17】ステムと指サポートの変形例が第1組立工程にある
図5のシリンジを示す図である。
【
図18】第2組立工程における
図17のシリンジを示す図である。
【
図19】本発明の第1変形例を示す拡大詳細図である。
【
図21】本発明の第2変形例を示す立体断面図である。
【
図22】本発明の第3変形例を示す立体断面図である。
【
図23】本発明の第4変形例を示す立体断面図である。
【
図24】本発明の他の実施例を示す立体断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
本発明の無菌密閉装置のいくつかの実施可能な変形例を
図5~
図24に概略的に示す。
【0038】
本発明によれば、その製造方法は、
一般的に「パリソン」として知られる、少なくとも部分的に溶融及び/又は可鍛状態であってプラスチック製の中間管状エレメントを得るために、プラスチック材料を、例えば、200℃の高温で押出成形する工程と、
2つの形成部分を備える1つの金型に上記管状エレメントを挿入する工程と、
メインアクセスを有する一端を有する中空体を少なくとも得るよう、上記管状エレメントに対して場合によってブロー成形処理を行なった後、成形処理を行う工程と、
上記中空体の第1端部のメインアクセスを閉鎖し(工程:シール)、少なくとも破断容易部を有する開放可能な密閉装置を形成する工程と、
を順に具備する。
【0039】
充填工程の直後の時点で中空体内にスライド形状シールを安定して挿入する工程を、必要に応じて、第2中空体を閉鎖する工程の直前に具備することが可能であることが好ましい。
【0040】
本発明の一変形例では、必要に応じて、「ブロー」工程の直後であって、スライド形状シールを安定して挿入する工程の直前に中空体を充填(工程:フィル)する工程を備える。
【0041】
上記押出工程、ブロー成形工程、スライド形状シール挿入工程は、同一の工場内で連続的に行われ、その内部は理想的な無菌状態に維持されている。
【0042】
本発明の方法の変形例において、上記中空体を閉鎖する工程は、作業者が開放したシリンジをさまざまな装置に容易に適用しやすくするよう、開放しやすい領域を実現するために、いわゆるツイストオフ(
図7及び
図13~
図16に図示)によって行われる。
【0043】
本発明の方法の別の変形例において、第2中空体を閉鎖する工程では、
図19~
図23に示すように、膜及び/又はフィルタ又はフィルタエレメントを有するインサートのはめ込みも行われる。
【0044】
具体的には、シリンジを製造するBFS技術は、プラスチック材料の管状エレメントを高温(同プラスチック材料の溶融温度)で押出成形する工程と、2つの形成部分を備える1つの金型にそれを挿入する工程とを含み、容器の下部を構成する管状エレメントの第1部は、その容器の第1中空体を形成するために閉鎖されて、例えば、針や他の付属品などの第1インサートをはめ込み、容器の頭部を構成する管状エレメントの第2部、すなわち、第2中空体は上記方法の以下の工程を実行できるように開放したままである。そのような以下の工程にかかる時間は数秒間であり、プラスチック材料がその溶融温度から冷却するのを回避することが有利である。
【0045】
BFS法の以下の一般的な工程には、ブロー工程、排出工程、充填工程、容器の第2部又は頭部(上部)を閉鎖する工程が含まれる。
【0046】
本発明によれば、閉鎖工程の前に、閉鎖点に対応して、スライド形状シール、例えば、ピストンと係合した小さいインサートを挿入する工程が行われる。
【0047】
シリンジの第2中空体は、2つの形成部分の形態の別の金型により閉鎖される。
【0048】
有利には、内側に設置されたインサートは、例えば、中空体から抜け落ちる過剰な動きを防ぐため、また、別個のステムとの係合を可能にするため、ピストンのサポートとして用いられる。
【0049】
本発明の好ましい変形例では、
図19~
図23に示すように、第2インサート4Aがシリンジの閉鎖装置1に埋め込まれ、その内部に配置されて設けられている。このようなインサート4Aは、フィルタ又はフィルタエレメントにより破断が容易な膜を備えた閉鎖装置として用いられる。
【0050】
具体的には、
図21は、シリンジの使用前にその内側を汚染し得る微生物を含む空中粒子を通して、その他の粒子を通さないようにできるフィルタ又はフィルタエレメントによって構成される破断が容易な膜を有するインサート4Aを示す。
【0051】
図22は、破断が容易な膜の脇に配置されたフィルタ又はフィルタエレメント4Bを有するインサート4Aを示す。
【0052】
図23は、破断が容易な膜を中央に有するインサート4Aを示す。
【0053】
このように変更された方法により、製造中にシリンジの寸法をさらに大幅に縮小することが可能となり、物流や保管に関しても明らかに有利となる。
【0054】
なお、最後に、ブロー成形工程、中空体の内壁2bを調整する工程、針13を各中空体と接続する工程及び中空体を充填する工程は、成形ツールにより行われる。
【0055】
また、すでに述べたように、各成形ツールは、針13を中間管状エレメントへの挿入中に保持するために用いられる。
【0056】
上記成形ツールによって、中空体の内壁2bが調整されることに加えて、本技術と比較して別の重要な利点が得られる。
【0057】
つまり、成形ツールは、内壁2bの調整時にプラスチック材料の冷却も行い、そして何よりも、形成工程中に中空体の同じ内壁2bの冷却を行う。
【0058】
このように、本発明の方法によれば、既知の技術に比べて、異なる中空体に収容された医療用液体の生物学的汚染リスクのない、又は、そのようなリスクを少なくとも最小限に抑えた理想的な条件をより迅速に実現する。
【0059】
シリンジの中空体にはそれぞれの持つ特性を失ってしまうほど熱に弱い熱不安定性の化学製品や生物学的製剤が充填されることが多いことを考慮すると、本発明によって得られる利点が明らかである。
【0060】
従って、そのような製品について、本発明によれば、液体製品を医療用容器に挿入するのに必要な待ち時間が軽減され、それにより効率性の面でも明らかに有利となる。
【0061】
図示しない本発明の方法の他の変形例によれば、ブロー成形工程、中空体の内壁を調整する工程、針を各中空体と接続する工程及び中空体を充填する工程のうちの一つ又はいくつかの工程だけを成形ツールにより行われるようにしてもよい。
【0062】
前述の方法により得られたシリンジを形成するベースエレメントを図中に符号100で示す本発明の要旨として
図5、
図6の第1実施例に示す。
【0063】
図に示すベースエレメント100は、空であったり液体又は薬剤が充填されたりする第2中空体2を閉鎖/保護する閉鎖エレメント1を備えている。
【0064】
具体的には、
図5、
図6には、例えば、薄肉部を有する閉鎖エレメント1ができれば中央シームのない領域4を有する第1端部3に対応して第2中空体2に形成された閉鎖されたベースエレメント100を示す。これは、場合によっては、厚みを薄くした部分を設けて使用者が容易に穴を開けられるよう閉鎖エレメント1の本体の機械的強度を弱めたPCT/IB2006/001963の文献に記載の既知のシステムにより実現可能である。
【0065】
閉鎖エレメント1は、ピストン5が第2中空体2から完全に抜けてしまわないように一つ以上のフラップ7を備えたインサート6と結合したスライド形状シール又はピストン5、例えば、シリンジプランジャをその内部に有している。
【0066】
このようなインサート6は、例えば、狭まった形状で図示するような形状10を有するステム9(
図8~
図12、
図17~
図20に図示)、例えば、押しステムと、その機能性を損なわない限り、不可逆的に係合するのに適した保持弾性手段8をさらに有している。
【0067】
具体的には、この閉鎖エレメント1は、本来、輸送中や適切なタイミングでない場合にインサート6に非意図的に異物が混入することがないよう、インサート6の保護部として使用される。
【0068】
また、シリンジ101を実現するために、有利にもアクセス11を密閉する工程後に中空体2との接続に適し、一つの別個の金型により得られる把持手段23を設けることができる。
【0069】
これにより、把持手段23の寸法を制限することなく、特に、指用の成形ハンドルやステムの自由端の寸法に関してISO7886及び11040に準拠した把持手段23を実現することができる。
【0070】
同様に、場合によっては、ベースエレメント100により二次モーメントで押しステム9の組立を行うことができる。この押しステム9は、別途実現可能であり、有利にも指用の成形ハンドルやステムの自由端の寸法に関してISO7886及び11040に準拠する。
【0071】
図7及び
図13~
図16に示す本発明のベースエレメント100の好適な変形例では、閉鎖エレメント1は、作業者がシリンジを開けやすくするツイストオフエレメントを有している。
【0072】
本発明によれば、スライド形状シール5は、対応する中空体2の第1端部3からメインアクセス11を通って中空体2に挿入され、スライド形状シール5のプランジャがその内部に配置される。
【0073】
本発明の方法は、各第2中空体2にスライド形状シール5を挿入する工程の前に行われ、実際には、それぞれの中空体がまだ加熱中で、少なくとも部分的に溶融及び/又は可鍛状態のままで押出工程と同時に行われる、中空体の内壁2bを調整する工程を備えることが好ましいが、必ずしも必須ではない。
【0074】
いずれの場合も、必ずしもスライド形状シール5の挿入工程の後ではなく、それと同時に、スライド形状シール5又は少なくともプランジャが中空体2から抜け出してしまうのを防止し、空気の通過領域と破断が容易な膜を実現するのに適したインサート6及び/又は膜を有するインサート及び/又はフィルタ4Aとして保持手段を挿入することもできる。
【0075】
さらに具体的には、インサート6には、アクセス11に対応して配置された保持手段8、例えば、(
図20~
図23に詳細に示すような)ほぼ環状のエレメント、及び/又は、スライド形状シール5の外壁3aから突出する一つ以上の成形フィン7が備えられている。
【0076】
環状エレメント8に代わって、中空体2の内面にその上端3に対応してマッチ18(
図7及び
図13~
図16に図示)を設けることもできる。
【0077】
図19~
図23に示す本発明のベースエレメント100の好適な変形例では、閉鎖エレメント1は、具体的には、前述したように、作業者がシリンジを開けやすくする膜及び/又は埋め込み型フィルタを有する破断が容易なインサート4Aを有している。
【0078】
本発明によれば、膜及び/又はフィルタを有するインサート4Aは、対応する中空体2の第1端部3からメインアクセス11を通って中空体2に挿入され、閉鎖装置1に埋め込まれる。
【0079】
押出工程とブロー成形工程は、この分野ではそれ自体が既知のタイプの成形金型内で行われる。
【0080】
この場合、成形金型は、便宜上図示しない複数の空洞を有し、それぞれ各中空体2の所定の形状を再現する外形を有している。
【0081】
さらに具体的には、成形金型には、まず、互いに向かい合って対向する2つの半殻が含まれている。
【0082】
この成形金型は、押出工程中では2つの半殼を開いて中間管状エレメントから隔離し、中間エレメントに成形ツールを挿入する工程では、その半殻を近づけて中間エレメントの近くに配置する。
【0083】
従って、中間管状エレメントを成形ツールに押し付ける工程には、成形金型の下部を閉じて半殻を互いに近くに配置し、同じ半殼の少なくとも長手方向の部分について中間管状エレメントと成形ツールを介在させる工程が含まれる。
【0084】
好適ではあるが非制限的な態様において、本発明の方法は、各中空体2の内部容積14と連通する注入用針13を各中空体の第1端部3と対向する第2端部2cと接続する工程を備え、この工程は、ブロー成形工程及び中空体の内壁2bを調整する工程と同時に行われる。
【0085】
より具体的には、針13は、成形金型によって各中空体の第2端部2cに形成された制限設定くちばし部に接続されている。
【0086】
この点において、本発明の方法には、成形ツールによって針13を中間管状エレメントに挿入する事前処理が含まれ、これは実際に針13を対応する中空体2の第2端部2cに接続する処理の前に、成形ツールを中間管状エレメントに挿入する工程と同時に行われる。
【0087】
ここまで説明した本発明の好適な実施例によれば、上記方法には、注射用の空のシリンジ又は一回量を事前に充填したシリンジが得られるよう、中空体に医療用液体を充填する工程が含まれていてもよい。
【0088】
必要に応じて、中空体に医療用液体を充填する工程は、中空体をブロー成形する工程の後であって、スライド形状シール5を各中空体2に挿入する工程の前に行われる。
【0089】
本発明の方法は、有利にも、中空体2の第1端部3でメインアクセス11を密閉する工程を備え、この工程はスライド形状シール5を同じ中空体2に安定して挿入する工程の後に行われる。
【0090】
この密閉処理(又は密封処理:シール工程中に行われる)は、これまで既知の技術により実現されてきたものとは対照的に、小さい寸法で破断が容易な固定キャップを形成することにより行われる。このようなキャップ又は閉鎖エレメントは、特に、厚みを薄くした穿通が容易な領域を有する。
【0091】
本発明によれば、閉鎖装置1は、厚みを薄くしたその表面の領域4(
図5、
図6に詳しく図示)を少なくとも有している。または、本発明の好適な変形例(
図19~
図23に図示)では、密閉処理(又は密封処理:シール工程中に行われる)は、インサート4Aを埋め込む小さいサイズのキャップを形成することにより行われる。本発明によれば、このようなインサートには、最大寸法が0.45μmの孔部を有する完全滅菌フィルタが備えられている。もしくは、そのようなフィルタは、必要に応じて、異なる孔隙率を有していてもよい。
【0092】
有利なことに、この最後の処理によって、製造に関するベースエレメント100の充填や組立を含む上記他の処理に比べて、医療施術用シリンジ101を実現するためのベースエレメント100をシームレスにパッケージングすることができ、充填液体が無菌状態に保たれる。
【0093】
つまり、そのようなスライド形状シール5の部分を密封する工程をベースエレメント100のメーカー工場で直接実行することにより、医療用液体のメーカーで既知のシリンジに対して現在行われている最終包装工程が実際に排除されることになる。
【0094】
その結果、この本発明の態様により、従来技術に比べて、作業者によるベースエレメントの内容物への異物混入を軽減するのに役立ち、シリンジ101の全製造工程を作業上容易かつ迅速にすることに加えて、同様にベースエレメント100の中空体に投入される同じ内容物と医療用液体の両方の汚染のリスクが激減する。
【0095】
メインアクセス11の密封工程は既知のシステムによって行われるが、具体的には、例えば、埋め込み型インサート4A及び/又は破断が容易な膜を有する、場合によっては、
図19~
図23に示すようなディスクと同様の小さい寸法のキャップ又は閉鎖装置1により行われる。
【0096】
また、中間エレメントを押出成形する工程、中空体を得るためのブロー成形工程、各中空体の内壁2bを調整する工程、各中空体に針13を接続する工程、中空体を充填する工程、スライド形状シール5を中空体2に挿入する工程、及び、メインアクセス11を密封する工程から構成される前述の方法はすべてまとめて合計して最大50秒の時間内に行われることが明らかにされている。
【0097】
また、本発明の方法は、アクセス11を密封する工程の後に、把持手段23を中空体2に組み付ける工程を備えていてもよい。つまり、前述の方法によれば、この把持手段23も一つの別個の金型で有利に実現可能である。
【0098】
これにより、把持手段23の寸法を制限することなく、特に、指用の成形ハンドルやステムの自由端の寸法に関してISO7886及び11040に準拠した把持手段23を実現することができる。
【0099】
同様に、二次モーメントで押しステム9又は19もベースエレメント100へ組み付けることができる。この押しステムは、別途実現可能であり、有利にも指用の成形ハンドルやステムの自由端の寸法に関してISO7886及び11040に準拠する。
【0100】
具体的には、例えば、
図8~
図12、
図19、
図20に示すように、上記ISOに準拠した寸法を有し、スライド形状シール5の形状、又は、好ましくは、スライド形状シール5と一体化した成形支持エレメントの保持弾性手段8、例えば、図示のインサート6の形状に対応する形状10を有する押しステム9を別途得ることが可能である。
【0101】
同様に、具体的には(
図19及び
図20に詳細に示すように)、中空体2の周りに配置することができ、使用者が指で把持する2つの外側フィン25を有する成形環状エレメント24を有する把持手段23を別途得てもよい。押しステム9は、すでにそれに接続されて提供されてもよく、この成形環状エレメント24の中心穴26にスライドすることにより、中空体2の上部へ閉鎖ディスク1に対応して適用することが容易になる。具体的には、成形環状エレメントは、作動位置に到達すると中空体に沿った成形環状エレメント23の動きを停止するよう、同じ成形環状エレメント24が中空体2に沿ってスライドするのを防ぐマッチと、その中空体2のマッチに対応する突出エレメントとを有していてもよい。
【0102】
また、正しい作動位置での中空体への固定を容易にするよう、把持手段23の相手スレッド16に対応するスレッド15を中空体2の第1端部3に対応して設けることも可能である。
【0103】
このように、具体的には、経路の終端で、閉鎖装置1の表面部4が破断した後、ステム9の形状10がスライド形状シール5の保持弾性手段8の相手形状に挟まる、もしくは、経路の終端で、ステム9の形状10が閉鎖装置1の表面部4に近付き、それによって十分な圧力が与えられて、シリンジ100の使用者は片手だけでそのような部分4を破断し、ベースエレメント100に収容された液体を供給することができる。
【0104】
そのような場合、成形環状エレメント23は、押しステム9に対応する寸法の円筒部27を有していてもよく、押しステム9の形状10を閉鎖装置1における薄肉化領域又はフィルタ膜4の位置と一致する破断点にぴったりと向けるために、その円筒部27がガイドとしての機能を果たす。
【0105】
このように、本発明の方法によって得られた事前に充填されたシリンジを使用しようとする使用者は、閉鎖装置1で密閉された中空体2を片手で持ち、別途(又は同じキットで)供給された押しステム9をもう一方の手で持つ。閉鎖装置1の薄肉化領域4に圧力が加えられると、押しステム9の形状がその閉鎖装置1を破断し、形状10を収容してできれば可能なマッチにより抜け落ちを阻止するよう成形された成形支持エレメント6の保持弾性手段8の形状と接触する。この時点では、押しステム9はスライド形状シール5と一体化し、使用者は、従来のシリンジを取り扱う場合のように、片手だけで液体を供給することができる。
【0106】
当然ながら、マッチを備えた保持弾性手段8の形状をスライド形状シール5に直接設け、成形支持エレメント6を不要にすることもできる。
【0107】
それにもかかわらず、有利なことに、明らかに機能性の理由から、成形支持エレメント6をスライド形状シール5に使用する材料より剛性の高い材料で実現するようにしてもよい。
【0108】
上述したように、
図7及び
図13~
図16に示す本発明の変形例では、ツイストオフ型の閉鎖時にトルク力を与えることによって開放が行われ、(その他の図に示すような)ステム9の狭まった形状10が不要となり、場合により中空体2の内面のマッチ18との係合にしか適さない、そのような形状を有していない押しステム9で十分となる。
【0109】
いずれの場合も、押しステム9又は19は、内部に収容された医療用液体を供給するようにスライド形状シール5を中空体2の第2端部2cの方へ押すことができる。
【0110】
図17、
図18に示す本発明の別の変形例では、指サポート33及びステム29がベースエレメント100に適用されてもよく、この指サポート33とステム29は別々に実現可能であるため、所望の寸法を有し、医者が注射を行う際に安全に取り扱えるよう、かつ、内部に収容された医療用液体を供給するようにスライド形状シール5を中空体2の第2端部2cの方へ押すようにリング32、39を備えている。
【0111】
図18Aに示す本発明の別の変形例では、ここまで説明したものと同様の把持手段43をベースエレメント100に適用することができる。この把持手段43は、具体的には、使用者が指で把持するためのそれぞれ2つずつ平行な4つの外側フィン45を有する、中空体2の周りに配置可能な成形環状エレメント44を備えている。各指が互いに平行なフィン45の各対の間に配置されていてもよい。有利なことに、互いに平行な外側フィン45の対によって、使用者は、内部に収容された医療用液体を供給するよう、又は、必要に応じて、常に片手で医療用液体を引き出すよう、スライド形状シール5(
図18Aでは不図示)を両方向に又は中空体2の第2端部2cの方へだけ押すことが可能となる。
【0112】
また、前述の変形例と組み合わせて、例えば、
図18Aに示すさらなる変形例では、シリンジ101の正しい使用を保証するよう、組立時にベースエレメント100に対する把持手段43の適切な位置を指し示すのに適したポインタ46を備えていてもよい。
【0113】
また、ベースエレメント100は、まだ溶融状態ではブロー成形工程中に成形金型の主半殻の間でプレスされるプラスチック材料で形成される結合手段によって中空体2の制限設定くちばし部に接続された針13をさらに備えている。
【0114】
この針13も、全体として符号20で示す保護手段に完全に覆われている。この保護手段は、針13に外側から適用され、上記ブロー成形工程中に中空体2と一体成形されて、実際には、シリンジ101の未使用時に針13のキャップのような役目をする。より具体的には、保護手段20は、プラスチック製の積層カプセルを有し、この積層カプセルには不可視の弱化線が備えられ、シリンジ101の使用が必要な場合に、実用的に容易かつ迅速に中空体2から取り外すことが可能となる。
【0115】
図19~
図23に示す本発明のベースエレメント100の好適な変形例では、ベースエレメント100は、膜及び/又はフィルタを備えたインサート4Aを有する閉鎖装置1を備え、このインサート4Aは同じ閉鎖装置に埋め込まれている。このようなインサート4Aは、作業者がベースエレメント100を開けやすくするように設けられ、フィルタを備えた場合は、無菌空気の通過領域と破断が容易な膜を設けることができる。
【0116】
このように、本発明の方法により得られたベースエレメント100は、実質的には、
図5~
図7及び
図13に示す構成に従ってすでにパッケージングされた状態であり、市販するためのそれ以上の工程、作業、処理を必要としない。
【0117】
従って、以上の説明から、基本エレメント、シリンジ、その製造組立方法、本発明の要旨によって、目的が達成され、上記利点が得られることが分かる。
【0118】
実行時には、本発明の方法に、例えば、単一の空洞を形成する金型を使って、ブロー成形工程により単一の中空体を得るといった変更を加えることが可能である。
【0119】
このような場合、本発明の方法の上記作業モードが適宜変更する。
【0120】
なお、本発明は、特に注射用の一回量が事前に充填されたシリンジについて説明したが、その範囲は液体容器にまで及ぶ。
【0121】
この場合、一つ以上のインサートを挿入する工程を単に省略し、液体を挿入し、フィルタエレメントを有するインサート4Aのみを埋め込んで好適な金型を得る工程へと直接進む。
【0122】
本発明の実際の使用では、例示した細部の材料、形状及び寸法が必要に応じて任意のものにでき、かつ、技術的に同等の他のものと置き換えができることが明らかなように、発明的思想において内在する新規性の原則から逸脱することなく、幾多の他の変更が問題となっている方法についてなし得ることが明白である。
【0123】
例えば、
図24に示すように、医療用液体の密閉容器200、例えば、バイアルを実現することができ、少なくとも一つのインサート又はスライド形状シールを挿入する工程を行わず、密閉容器200に破断が容易なインサート204を埋め込む工程を備えた上記方法により実現可能である。具体的には、破断が容易なインサート204は、本発明の前述の実施例で説明したように、フィルタエレメント204Aを備えていてもよい。
【0124】
具体的には、
図24には、例えば、薄肉部を有する閉鎖エレメント201が中央シームのない領域204を有する第1端部3に対応して中空体202に形成された閉鎖されたバイアル200を示す。使用者が容易に穴を開けられるよう閉鎖エレメント1の本体の機械的強度が弱められている。
【0125】
後続の特許請求の範囲で述べる構成的特徴や技術には参照符号や番号が続き、そのような参照符号は、特許請求の範囲の理解を深めることだけを目的として付与されたものであり、従って、単に例として特定された各要素の解釈を何ら制限するものではない。