(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】液晶表示素子用シール剤、上下導通材料及び液晶表示素子
(51)【国際特許分類】
G02F 1/1339 20060101AFI20220112BHJP
C08F 290/06 20060101ALI20220112BHJP
C08F 299/02 20060101ALI20220112BHJP
C08F 2/50 20060101ALI20220112BHJP
C09K 3/10 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
G02F1/1339 505
C08F290/06
C08F299/02
C08F2/50
C09K3/10 B
C09K3/10 E
C09K3/10 L
(21)【出願番号】P 2017553444
(86)(22)【出願日】2017-09-26
(86)【国際出願番号】 JP2017034705
(87)【国際公開番号】W WO2018062159
(87)【国際公開日】2018-04-05
【審査請求日】2020-07-20
(31)【優先権主張番号】P 2016191494
(32)【優先日】2016-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】林 秀幸
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-286640(JP,A)
【文献】特開2014-006325(JP,A)
【文献】国際公開第2006/120998(WO,A1)
【文献】特開2010-020286(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1339
C08F 290/06
C08F 299/02
C08F 2/50
C09K 3/10
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性樹脂と光重合開始剤とを含有する液晶表示素子用シール剤であって、
前記硬化性樹脂は、(メタ)アクリル化合物
、芳香族エポキシ化合物
、及び、マレイミド化合物を含有し、
前記光重合開始剤は、下記式(1)で表される化合物を含有し、
前記硬化性樹脂と前記光重合開始剤とのSP値の差が2.5以下である
ことを特徴とする液晶表示素子用シール剤。
【化1】
【請求項2】
(メタ)アクリル化合物及び芳香族エポキシ化合物は、ビスフェノール骨格を有することを特徴とする請求項1記載の液晶表示素子用シール剤。
【請求項3】
マレイミド化合物として、下記式(2)で表される化合物及び/又は下記式(3)で表される化合物を含有することを特徴とする請求項
1又は2記載の液晶表示素子用シール剤。
【化2】
式(2)中、R
1は、炭素数2~3のアルキレン基を表し、nは、2~40の整数である。
【化3】
式(3)中、R
2は、炭素数1~40の2価の脂肪族基を表す。
【請求項4】
硬化性樹脂全体の平均SP値が24以下であることを特徴とする請求項
1、2又は3記載の液晶表示素子用シール剤。
【請求項5】
硬化性樹脂全体の重量平均分子量が340~1万であることを特徴とする請求項
1、2、3又は4記載の液晶表示素子用シール剤。
【請求項6】
請求項
1、2、3、4又は5記載の液晶表示素子用シール剤と導電性微粒子とを含有することを特徴とする上下導通材料。
【請求項7】
請求項
1、2、3、4若しくは5記載の液晶表示素子用シール剤又は請求項
6記載の上下導通材料を用いてなることを特徴とする液晶表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮光部硬化性に優れ、かつ、液晶汚染を抑制することができる液晶表示素子用シール剤に関する。また、本発明は、該液晶表示素子用シール剤を用いてなる上下導通材料及び液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示セル等の液晶表示素子の製造方法としては、タクトタイム短縮、使用液晶量の最適化といった観点から、特許文献1、特許文献2に開示されているような、硬化性樹脂と光重合開始剤と熱硬化剤とを含有する光熱併用硬化型のシール剤を用いた滴下工法と呼ばれる液晶滴下方式が用いられている。
滴下工法では、まず、2枚の電極付き透明基板の一方に、ディスペンスにより長方形状のシールパターンを形成する。次いで、シール剤が未硬化の状態で液晶の微小滴を透明基板の枠内全面に滴下し、すぐに他方の透明基板を重ね合わせ、シール部に紫外線等の光を照射して仮硬化を行う。その後、液晶アニール時に加熱して本硬化を行い、液晶表示素子を作製する。基板の貼り合わせを減圧下で行うようにすれば、極めて高い効率で液晶表示素子を製造することができ、現在この滴下工法が液晶表示素子の製造方法の主流となっている。
【0003】
ところで、携帯電話、携帯ゲーム機等、各種液晶パネル付きモバイル機器が普及している現代において、装置の小型化は最も求められている課題である。装置の小型化の手法としては、液晶表示部の狭額縁化が挙げられ、例えば、シール部の位置をブラックマトリックス下に配置することが行われている(以下、狭額縁設計ともいう)。
【0004】
しかしながら、狭額縁設計ではシール剤がブラックマトリックスの直下に配置されるため、滴下工法を行うと、シール剤を光硬化させる際に照射した光が遮られ、シール剤の内部まで光が到達せず硬化が不充分となるという問題があった。このようにシール剤の硬化が不充分となると、未硬化のシール剤成分が液晶中に溶出し、溶出したシール剤成分による硬化反応が液晶中において進行することで液晶汚染が発生するという問題があった。
液晶汚染を抑制する方法として、特許文献3には、シール剤に高感度の光重合開始剤を配合することが開示されている。しかしながら、高感度の光重合開始剤を配合しただけでは、遮光部において充分に液晶汚染を抑制することができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-133794号公報
【文献】国際公開第02/092718号
【文献】国際公開第2012/002028号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、遮光部硬化性に優れ、かつ、液晶汚染を抑制することができる液晶表示素子用シール剤を提供することを目的とする。また、本発明は、該液晶表示素子用シール剤を用いてなる上下導通材料及び液晶表示素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、硬化性樹脂と光重合開始剤とを含有する液晶表示素子用シール剤であって、上記硬化性樹脂は、(メタ)アクリル化合物、芳香族エポキシ化合物、及び、マレイミド化合物を含有し、上記光重合開始剤は、下記式(1)で表される化合物を含有し、上記硬化性樹脂と上記光重合開始剤とのSP値の差が2.5以下である液晶表示素子用シール剤である。
【0008】
【0009】
以下に本発明を詳述する。
本発明者は、高感度の光重合開始剤を用いても遮光部硬化性を充分に向上させることができない原因が、光重合開始剤の硬化性樹脂に対する低い溶解性にあると考えた。そこで本発明者は、硬化性樹脂及び光重合開始剤として特定の化合物をSP値の差が特定の値以下となるように組み合わせて用いることにより、遮光部硬化性に優れ、かつ、液晶汚染を抑制することができる液晶表示素子用シール剤を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
本発明の液晶表示素子用シール剤は、硬化性樹脂を含有する。
上記硬化性樹脂は、(メタ)アクリル化合物及び芳香族エポキシ化合物を含有する。上記(メタ)アクリル化合物と上記芳香族エポキシ化合物とを組み合わせて用いることにより、得られる液晶表示素子用シール剤が接着性と液晶汚染とを両立する効果に優れるものとなる。
なお、本明細書において、上記「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルを意味し、上記「(メタ)アクリル化合物」とは、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を意味し、上記「(メタ)アクリロイル基」とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。また、本明細書において、上記「芳香族エポキシ化合物」とは、芳香環とエポキシ基とを有する化合物を意味する。
【0011】
上記(メタ)アクリル化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸エステル化合物、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、エポキシ(メタ)アクリレートが好ましい。また、上記(メタ)アクリル化合物は、反応性の高さから分子中に(メタ)アクリロイル基を2個以上有するものが好ましい。
なお、本明細書において、上記「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味し、上記「エポキシ(メタ)アクリレート」とは、エポキシ化合物中の全てのエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させた化合物のことを表す。
【0012】
上記(メタ)アクリル酸エステル化合物のうち単官能のものとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ビシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチル2-ヒドロキシプロピルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0013】
また、上記(メタ)アクリル酸エステル化合物のうち2官能のものとしては、例えば、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、カーボネートジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエーテルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0014】
また、上記(メタ)アクリル酸エステル化合物のうち3官能以上のものとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0015】
上記エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸とを、常法に従って塩基性触媒の存在下で反応することにより得られるもの等が挙げられる。
【0016】
上記エポキシ(メタ)アクリレートを合成するための原料となるエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、2,2’-ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂、プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スルフィド型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレンフェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、アルキルポリオール型エポキシ樹脂、ゴム変性型エポキシ樹脂、グリシジルエステル化合物等が挙げられる。
【0017】
上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、jER828EL、jER1004(いずれも三菱化学社製)、EPICLON EXA-830CRP、EPICLON EXA-850CRP(DIC社製)等が挙げられる。
上記ビスフェノールF型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、jER806、jER4004(いずれも三菱化学社製)等が挙げられる。
上記ビスフェノールS型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EPICLONEXA1514(DIC社製)等が挙げられる。
上記2,2’-ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、RE-810NM(日本化薬社製)等が挙げられる。
上記水添ビスフェノール型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EPICLONEXA7015(DIC社製)等が挙げられる。
上記プロピレンオキシド付加ビスフェノールA型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EP-4000S(ADEKA社製)等が挙げられる。
上記レゾルシノール型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EX-201(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記ビフェニル型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、jER YX-4000H(三菱化学社製)等が挙げられる。
上記スルフィド型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、YSLV-50TE(新日鉄住金化学社製)等が挙げられる。
上記ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、YSLV-80DE(新日鉄住金化学社製)等が挙げられる。
上記ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EP-4088S(ADEKA社製)等が挙げられる。
上記ナフタレン型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EPICLONHP4032、EPICLONEXA-4700(いずれもDIC社製)等が挙げられる。
上記フェノールノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EPICLONN-770(DIC社製)等が挙げられる。
上記オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EPICLONN-670-EXP-S(DIC社製)等が挙げられる。
上記ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EPICLONHP7200(DIC社製)等が挙げられる。
上記ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、NC-3000P(日本化薬社製)等が挙げられる。
上記ナフタレンフェノールノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、ESN-165S(新日鉄住金化学社製)等が挙げられる。
上記グリシジルアミン型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、jER630(三菱化学社製)、EPICLON430(DIC社製)、TETRAD-X(三菱ガス化学社製)等が挙げられる。
上記アルキルポリオール型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、ZX-1542(新日鉄住金化学社製)、EPICLON726(DIC社製)、エポライト80MFA(共栄社化学社製)、デナコールEX-611(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記ゴム変性型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、YR-450、YR-207(いずれも新日鉄住金化学社製)、エポリードPB(ダイセル社製)等が挙げられる。
上記グリシジルエステル化合物のうち市販されているものとしては、例えば、デナコールEX-147(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記エポキシ化合物のうちその他に市販されているものとしては、例えば、YDC-1312、YSLV-80XY、YSLV-90CR(いずれも新日鉄住金化学社製)、XAC4151(旭化成社製)、jER1031、jER1032(いずれも三菱化学社製)、EXA-7120(DIC社製)、TEPIC(日産化学社製)等が挙げられる。
【0018】
上記エポキシ(メタ)アクリレートのうち市販されているものとしては、例えば、EBECRYL860、EBECRYL3200、EBECRYL3201、EBECRYL3412、EBECRYL3600、EBECRYL3700、EBECRYL3701、EBECRYL3702、EBECRYL3703、EBECRYL3800、EBECRYL6040、EBECRYL RDX63182(いずれもダイセル・オルネクス社製)、EA-1010、EA-1020、EA-5323、EA-5520、EA-CHD、EMA-1020(いずれも新中村化学工業社製)、エポキシエステルM-600A、エポキシエステル40EM、エポキシエステル70PA、エポキシエステル200PA、エポキシエステル80MFA、エポキシエステル3002M、エポキシエステル3002A、エポキシエステル1600A、エポキシエステル3000M、エポキシエステル3000A、エポキシエステル200EA、エポキシエステル400EA(いずれも共栄社化学社製)、デナコールアクリレートDA-141、デナコールアクリレートDA-314、デナコールアクリレートDA-911(いずれもナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
【0019】
上記ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、2つのイソシアネート基を有するイソシアネート化合物1当量に対して水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体2当量を、触媒量のスズ系化合物存在下で反応させることによって得ることができる。
【0020】
上記イソシアネート化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート(MDI)、水添MDI、ポリメリックMDI、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添XDI、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート等が挙げられる。
【0021】
また、上記イソシアネート化合物としては、例えば、ポリオールと過剰のイソシアネート化合物との反応により得られる鎖延長されたイソシアネート化合物も使用することができる。
上記ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、トリメチロールプロパン、カーボネートジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオール等が挙げられる。
【0022】
上記水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体としては、例えば、ヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレート、二価のアルコールのモノ(メタ)アクリレート、三価のアルコールのモノ(メタ)アクリレート又はジ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記ヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記二価のアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
上記三価のアルコールとしては、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン等が挙げられる。
上記エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ビスフェノールA型エポキシアクリレート等が挙げられる。
【0023】
上記ウレタン(メタ)アクリレートのうち市販されているものとしては、例えば、M-1100、M-1200、M-1210、M-1600(いずれも東亞合成社製)、EBECRYL210、EBECRYL220、EBECRYL230、EBECRYL270、EBECRYL1290、EBECRYL2220、EBECRYL4827、EBECRYL4842、EBECRYL4858、EBECRYL5129、EBECRYL6700、EBECRYL8402、EBECRYL8803、EBECRYL8804、EBECRYL8807、EBECRYL9260(いずれもダイセル・オルネクス社製)、アートレジンUN-330、アートレジンSH-500B、アートレジンUN-1200TPK、アートレジンUN-1255、アートレジンUN-3320HB、アートレジンUN-7100、アートレジンUN-9000A、アートレジンUN-9000H(いずれも根上工業社製)、U-2HA、U-2PHA、U-3HA、U-4HA、U-6H、U-6HA、U-6LPA、U-10H、U-15HA、U-108、U-108A、U-122A、U-122P、U-324A、U-340A、U-340P、U-1084A、U-2061BA、UA-340P、UA-4000、UA-4100、UA-4200、UA-4400、UA-5201P、UA-7100、UA-7200、UA-W2A(いずれも新中村化学工業社製)、AH-600、AI-600、AT-600、UA-101I、UA-101T、UA-306H、UA-306I、UA-306T(いずれも共栄社化学社製)等が挙げられる。
【0024】
上記硬化性樹脂100重量部中における上記(メタ)アクリル化合物の含有量の好ましい下限は20重量部、好ましい上限は80重量部である。上記(メタ)アクリル化合物の含有量がこの範囲であることにより、得られる液晶表示素子用シール剤が、遮光部硬化性及び低液晶汚染性により優れるものとなる。上記(メタ)アクリル化合物の含有量のより好ましい下限は30重量部、より好ましい上限は70重量部である。
【0025】
上記芳香族エポキシ化合物としては、例えば、上記エポキシ(メタ)アクリレートを合成するための原料となるエポキシ化合物のうち芳香環を有するものや、芳香環を有する部分(メタ)アクリル変性エポキシ化合物等が挙げられる。
なお、本明細書において上記部分(メタ)アクリル変性エポキシ化合物とは、1分子中にエポキシ基と(メタ)アクリロイル基とをそれぞれ1つ以上有する化合物を意味し、例えば、1分子中に2つ以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物の一部分のエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させることによって得ることができる。
【0026】
上記硬化性樹脂100重量部中における上記芳香族エポキシ化合物の含有量の好ましい下限は10重量部、好ましい上限は70重量部である。上記芳香族エポキシ化合物の含有量がこの範囲であることにより、得られる液晶表示素子用シール剤が、遮光部硬化性と接着性とを両立する効果により優れるものとなる。上記芳香族エポキシ化合物の含有量のより好ましい下限は20重量部、より好ましい上限は60重量部である。
【0027】
上記(メタ)アクリル化合物及び上記芳香族エポキシ化合物は、ビスフェノール骨格を有することが好ましい。上記(メタ)アクリル化合物及び上記芳香族エポキシ化合物がビスフェノール骨格を有することにより、上記式(1)で表される化合物からなる光重合開始剤をより溶解させ易いものとなる。
【0028】
上記硬化性樹脂は、マレイミド化合物を含有することが好ましい。
上記硬化性樹脂が上記マレイミド化合物を含有することにより、上記式(1)で表される化合物からなる光重合開始剤をより溶解させ易いものとなる。
なお、本発明において上記マレイミド化合物は、光重合開始剤には含まず硬化性樹脂に含む。
【0029】
上記マレイミド化合物は、反応性の観点から、1分子中に2個以上のマレイミド基を有する多官能マレイミド化合物であることが好ましく、下記式(2)で表される化合物及び/又は下記式(3)で表される化合物を含有することがより好ましい。
【0030】
【0031】
式(2)中、R1は、炭素数2~3のアルキレン基を表し、nは、2~40の整数である。
【0032】
【0033】
式(3)中、R2は、炭素数1~40の2価の脂肪族基を表す。
【0034】
上記式(3)中、R2の炭素数は、12~36であることが好ましい。また、R2は、脂肪族環を有することが好ましい。
上記式(3)で表される化合物としては、具体的には例えば、1,20-ビスマレイミド-10,11-ジオクチル-エイコサン(下記式(4-1)で表される化合物)、1-ヘプチレンマレイミド-2-オクチレンマレイミド-4-オクチル-5-ヘプチルシクロヘキサン(下記式(4-2)で表される化合物)、1,2-ジオクチレンマレイミド-3-オクチル-4-ヘキシルシクロヘキサン(下記式(4-3)で表される化合物)等が挙げられる。これらは、米国特許第5973166号明細書に記載の方法等によって合成することができる。
【0035】
【0036】
上記硬化性樹脂100重量部中における上記マレイミド化合物の含有量の好ましい下限は2重量部、好ましい上限は20重量部である。上記マレイミド化合物の含有量がこの範囲であることにより、上記式(1)で表される化合物からなる光重合開始剤をより溶解させ易くなり、得られる液晶表示素子用シール剤が遮光部硬化性と低液晶汚染性とを両立する効果により優れるものとなる。上記マレイミド化合物の含有量のより好ましい下限は5重量部、より好ましい上限は15重量部である。
【0037】
上記硬化性樹脂は、本発明の目的を阻害しない範囲で、脂肪族エポキシ化合物等のその他の硬化性樹脂を含有してもよい。
【0038】
上記硬化性樹脂全体の平均SP値の好ましい上限は24である。上記硬化性樹脂全体の平均SP値が24以下であることにより、上記式(1)で表される化合物からなる光重合開始剤をより溶解させ易いものとなる。上記硬化性樹脂全体の平均SP値のより好ましい上限は23.8である。
なお、本明細書において上記「SP値」は、溶解度パラメータを意味し、Fedorsの推算法により算出される。また、上記「平均SP値」は、重量分率によるSP値の平均である。
【0039】
上記硬化性樹脂全体の重量平均分子量の好ましい下限は340、好ましい上限は1万である。上記硬化性樹脂全体の重量平均分子量がこの範囲であることにより、上記式(1)で表される化合物からなる光重合開始剤をより溶解させ易いものとなる。上記硬化性樹脂全体の重量平均分子量のより好ましい下限は700、好ましい上限は3000である。
なお、本明細書において、上記「重量平均分子量」は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定を行い、ポリスチレン換算により求められる値である。GPCによってポリスチレン換算による重量平均分子量を測定する際に用いるカラムとしては、例えば、Shodex LF-804(昭和電工社製)等が挙げられる。
【0040】
本発明の液晶表示素子用シール剤は、光重合開始剤を含有する。
上記光重合開始剤は、上記式(1)で表される化合物を含有する。上記光重合開始剤として上記式(1)で表される化合物を用いることにより、本発明の液晶表示素子用シール剤は遮光部硬化性に優れるものとなる。
【0041】
上記式(1)で表される化合物の含有量は、上記硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が0.1重量部、好ましい上限が5重量部である。上記式(1)で表される化合物の含有量がこの範囲であることにより、得られる液晶表示素子用シール剤が遮光部硬化性と低液晶汚染性とを両立する効果により優れるものとなる。上記式(1)で表される化合物の含有量のより好ましい下限は0.5重量部、より好ましい上限は2重量部である。
【0042】
本発明の液晶表示素子用シール剤は、本発明の目的を阻害しない範囲で、上記式(1)で表される化合物以外のその他の光重合開始剤を含有してもよい。
【0043】
本発明の液晶表示素子用シール剤は、上記硬化性樹脂と上記光重合開始剤とのSP値の差が2.5以下である。上記硬化性樹脂と上記光重合開始剤とのSP値の差が2.5以下であることにより、得られる液晶表示素子用シール剤が遮光部硬化性及び低液晶汚染性に優れるものとなる。上記硬化性樹脂と上記光重合開始剤とのSP値の差は、2.3以下であることがより好ましく、2.0以下であることが更に好ましい。
なお、上記「SP値の差」は、平均SP値の差を意味する。即ち、上記硬化性樹脂と上記光重合開始剤とのSP値の差は、上記硬化性樹脂全体の平均SP値と上記光重合開始剤全体の平均SP値との差を意味する。
【0044】
本発明の液晶表示素子用シール剤は、熱重合開始剤を含有してもよい。
上記熱重合開始剤としては、例えば、アゾ化合物、有機過酸化物等からなるものが挙げられる。なかでも、高分子アゾ化合物からなる開始剤(以下、「高分子アゾ開始剤」ともいう)が好ましい。
なお、本明細書において高分子アゾ化合物とは、アゾ基を有し、熱によってラジカルを生成する、数平均分子量が300以上の化合物を意味する。
【0045】
上記高分子アゾ化合物の数平均分子量の好ましい下限は1000、好ましい上限は30万である。上記高分子アゾ化合物の数平均分子量がこの範囲であることにより、液晶汚染を抑制しつつ、硬化性樹脂と容易に混合することができる。上記高分子アゾ化合物の数平均分子量のより好ましい下限は5000、より好ましい上限は10万であり、更に好ましい下限は1万、更に好ましい上限は9万である。
なお、本明細書において、上記数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定を行い、ポリスチレン換算により求められる値である。GPCによってポリスチレン換算による数平均分子量を測定する際のカラムとしては、例えば、Shodex LF-804(昭和電工社製)等が挙げられる。
【0046】
上記高分子アゾ化合物としては、例えば、アゾ基を介してポリアルキレンオキサイドやポリジメチルシロキサン等のユニットが複数結合した構造を有するものが挙げられる。
上記アゾ基を介してポリアルキレンオキサイド等のユニットが複数結合した構造を有する高分子アゾ化合物としては、ポリエチレンオキサイド構造を有するものが好ましい。このような高分子アゾ開始剤としては、例えば、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)とポリアルキレングリコールの重縮合物や、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)と末端アミノ基を有するポリジメチルシロキサンの重縮合物等が挙げられる。
上記高分子アゾ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、VPE-0201、VPE-0401、VPE-0601、VPS-0501、VPS-1001(いずれも和光純薬工業社製)等が挙げられる。
また、高分子ではないアゾ化合物からなる熱重合開始剤としては、例えば、V-65、V-501(いずれも和光純薬工業社製)等が挙げられる。
【0047】
上記有機過酸化物としては、例えば、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート等が挙げられる。
【0048】
上記熱重合開始剤の含有量は、硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が0.05重量部、好ましい上限が10重量部である。上記熱重合開始剤がこの範囲であることにより、得られる液晶表示素子用シール剤が液晶汚染を抑制しつつ、保存安定性や硬化性により優れるものとなる。上記熱重合開始剤の含有量のより好ましい下限は0.1重量部、より好ましい上限は5重量部である。
【0049】
本発明の液晶表示素子用シール剤は、熱硬化剤を含有してもよい。
上記熱硬化剤としては、例えば、有機酸ヒドラジド、イミダゾール誘導体、アミン化合物、多価フェノール系化合物、酸無水物等が挙げられる。なかでも、有機酸ヒドラジドが好適に用いられる。
【0050】
上記有機酸ヒドラジドとしては、例えば、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド等が挙げられる。
上記有機酸ヒドラジドのうち市販されているものとしては、例えば、SDH、ADH、MDH(いずれも大塚化学社製)、アミキュアVDH、アミキュアVDH-J、アミキュアUDH、アミキュアUDH-J(いずれも味の素ファインテクノ社製)等が挙げられる。
【0051】
上記熱硬化剤の含有量は、上記硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が1重量部、好ましい上限が50重量部である。上記熱硬化剤の含有量がこの範囲であることにより、得られる液晶表示素子用シール剤の塗布性等を悪化させることなく、より熱硬化性に優れるものとすることができる。上記熱硬化剤の含有量のより好ましい上限は30重量部である。
【0052】
本発明の液晶表示素子用シール剤は、硬化物の柔軟性や接着性等を向上させたり、液晶のシール剤への差し込みやシール剤の液晶への溶出を抑制したりする等の観点から、柔軟粒子を含有することが好ましい。
【0053】
上記柔軟粒子としては、例えば、シリコーン系粒子、ビニル系粒子、ウレタン系粒子、フッ素系粒子、ニトリル系粒子等が挙げられる。なかでも、シリコーン系粒子、ビニル系粒子が好ましい。
【0054】
上記シリコーン系粒子としては、樹脂への分散性の観点からシリコーンゴム粒子が好ましい。
【0055】
上記ビニル系粒子としては、(メタ)アクリル粒子が好適に用いられる。
上記(メタ)アクリル粒子は、原料となる単量体を公知の方法により重合させることで得ることができる。具体的には例えば、ラジカル重合開始剤の存在下で単量体を懸濁重合する方法、ラジカル重合開始剤の存在下で非架橋の種粒子に単量体を吸収させることにより種粒子を膨潤させてシード重合する方法等が挙げられる。
【0056】
上記(メタ)アクリル粒子を形成するための原料となる単量体としては、例えば、アルキル(メタ)アクリレート類、酸素原子含有(メタ)アクリレート類、ニトリル含有単量体、フッ素含有(メタ)アクリレート類等の単官能単量体が挙げられる。
上記アルキル(メタ)アクリレート類としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記酸素原子含有(メタ)アクリレート類としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリオキシエチレン(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記ニトリル含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリロニトリル等が挙げられる。
上記フッ素含有(メタ)アクリレート類としては、例えば、トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
なかでも、単独重合体のTgが低く、1g荷重を加えたときの変形量を大きくすることができることから、アルキル(メタ)アクリレート類が好ましい。
【0057】
また、架橋構造を持たせるため、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、グリセロールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレンジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸骨格トリ(メタ)アクリレート等の架橋性単量体を用いてもよい。なかでも、架橋点間分子量が大きく、1g荷重を加えたときの変形量を大きくすることができることから、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)テトラメチレンジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートが好ましい。
【0058】
上記架橋性単量体の使用量は、上記(メタ)アクリル粒子を形成するための原料となる単量体全体において、好ましい下限は1重量%、好ましい上限は90重量%である。上記架橋性単量体の使用量が1重量%以上であることにより、耐溶剤性が向上し、他のシール剤成分と混練したときに膨潤等の問題を引き起こさず、均一に分散しやすくなる。上記架橋性単量体の使用量が90重量%以下であることにより、回復率を低くすることができる。上記架橋性単量体の使用量のより好ましい下限は3重量%、より好ましい上限は80重量%である。
【0059】
更に、これらのアクリル系の単量体に加えて、スチレン系単量体、ビニルエーテル類、カルボン酸ビニルエステル類、不飽和炭化水素、ハロゲン含有単量体、トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、トリアリルトリメリテート、ジビニルベンゼン、ジアリルフタレート、ジアリルアクリルアミド、ジアリルエーテル、γ-(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等の単量体を用いてもよい。
上記スチレン系単量体としては、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、トリメトキシシリルスチレン等が挙げられる。
上記ビニルエーテル類としては、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル等が挙げられる。
上記カルボン酸ビニルエステル類としては、例えば、酢酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル等が挙げられる。
上記不飽和炭化水素としては、例えば、エチレン、プロピレン、イソプレン、ブタジエン等が挙げられる。
上記ハロゲン含有単量体としては、例えば、塩化ビニル、フッ化ビニル、クロルスチレン等が挙げられる。
【0060】
上記(メタ)アクリル粒子としては、コアシェル(メタ)アクリレート共重合体微粒子も好適に用いられる。
上記コアシェル(メタ)アクリレート共重合体微粒子のうち市販されているものとしては、例えば、F351(ゼオン化成社製)等が挙げられる。
【0061】
また、上記ビニル系粒子としては、例えば、ポリジビニルベンゼン粒子、ポリクロロプレン粒子、ブタジエンゴム粒子等を用いてもよい。
【0062】
上記柔軟粒子の平均粒子径の好ましい下限は0.01μm、好ましい上限は10μmである。上記柔軟粒子の平均粒子径がこの範囲であることにより、得られる液晶表示素子用シール剤の硬化物の柔軟性や接着性を向上させる効果により優れるものとなる。上記柔軟粒子の平均粒子径のより好ましい下限は0.1μm、より好ましい上限は8μmである。
なお、本明細書において、上記柔軟粒子の平均粒子径は、シール剤に配合する前の粒子について、レーザー回折式粒度分布測定装置を用いて測定することにより得られる値を意味する。上記レーザー回折式粒度分布測定装置としては、マスターサイザー2000(マルバーン社製)等を用いることができる。
【0063】
上記柔軟粒子の硬度の好ましい下限は10、好ましい上限は50である。上記柔軟粒子の硬度がこの範囲であることにより、得られる液晶表示素子用シール剤の硬化物の柔軟性や接着性を向上させる効果により優れるものとなる。上記柔軟粒子の硬度のより好ましい下限は20、より好ましい上限は40である。
なお、本明細書において上記柔軟粒子の硬度は、JIS K 6253に準拠した方法により測定されるデュロメータA硬さを意味する。
【0064】
本発明の液晶表示素子用シール剤100重量部中における上記柔軟粒子の含有量の好ましい下限は5重量部、好ましい上限は50重量部である。上記柔軟粒子の含有量がこの範囲であることにより、得られる液晶表示素子用シール剤の硬化物の柔軟性や接着性を向上させる効果により優れるものとなる。上記柔軟粒子の含有量のより好ましい下限は10重量部、より好ましい上限は30重量部である。
【0065】
本発明の液晶表示素子用シール剤は、粘度の向上、応力分散効果による接着性の改善、線膨張率の改善等を目的として充填剤を含有することが好ましい。
【0066】
上記充填剤としては、例えば、無機充填剤や上記柔軟粒子に含まれる以外の有機充填剤が挙げられる。
上記無機充填剤としては、例えば、シリカ、タルク、ガラスビーズ、石綿、石膏、珪藻土、スメクタイト、ベントナイト、モンモリロナイト、セリサイト、活性白土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化錫、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素、硫酸バリウム、珪酸カルシウム等が挙げられる。
【0067】
本発明の液晶表示素子用シール剤100重量部中における上記充填剤の含有量の好ましい下限は10重量部、好ましい上限は70重量部である。上記充填剤の含有量がこの範囲であることにより、塗布性等を悪化させることなく、接着性の改善等の効果により優れるものとなる。上記充填剤の含有量のより好ましい下限は20重量部、より好ましい上限は60重量部である。
【0068】
本発明の液晶表示素子用シール剤は、シランカップリング剤を含有することが好ましい。上記シランカップリング剤は、主にシール剤と基板等とを良好に接着するための接着助剤としての役割を有する。
【0069】
上記シランカップリング剤としては、例えば、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等が好適に用いられる。これらは、基板等との接着性を向上させる効果に優れ、硬化性樹脂と化学結合することにより液晶中への硬化性樹脂の流出を抑制することができる。これらのシランカップリング剤は、単独で用いられてもよいし、2種以上が組み合わせて用いられてもよい。
【0070】
本発明の液晶表示素子用シール剤100重量部中における上記シランカップリング剤の含有量の好ましい下限は0.1重量部、好ましい上限は10重量部である。上記シランカップリング剤の含有量がこの範囲であることにより、液晶汚染の発生を抑制しつつ、接着性を向上させる効果により優れるものとなる。上記シランカップリング剤の含有量のより好ましい下限は0.3重量部、より好ましい上限は5重量部である。
【0071】
本発明の液晶表示素子用シール剤は、遮光剤を含有してもよい。上記遮光剤を含有することにより、本発明の液晶表示素子用シール剤は、遮光シール剤として好適に用いることができる。
【0072】
上記遮光剤としては、例えば、酸化鉄、チタンブラック、アニリンブラック、シアニンブラック、フラーレン、カーボンブラック、樹脂被覆型カーボンブラック等が挙げられる。なかでも、絶縁性が高いことから、チタンブラックが好ましい。
【0073】
上記チタンブラックは、表面処理されていないものでも充分な効果を発揮するが、表面がカップリング剤等の有機成分で処理されているものや、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等の無機成分で被覆されているもの等、表面処理されたチタンブラックを用いることもできる。なかでも、有機成分で処理されているものは、より絶縁性を向上できる点で好ましい。
また、遮光剤として上記チタンブラックを含有する本発明の液晶表示素子用シール剤を用いて製造した液晶表示素子は、充分な遮光性を有するため、光の漏れ出しがなく高いコントラストを有し、優れた画像表示品質を有する液晶表示素子を実現することができる。
【0074】
上記チタンブラックのうち市販されているものとしては、例えば、12S、13M、13M-C、13R-N、14M-C(いずれも三菱マテリアル社製)、ティラックD(赤穂化成社製)等が挙げられる。
【0075】
上記チタンブラックの比表面積の好ましい下限は13m2/g、好ましい上限は30m2/gであり、より好ましい下限は15m2/g、より好ましい上限は25m2/gである。
また、上記チタンブラックの体積抵抗の好ましい下限は0.5Ω・cm、好ましい上限は3Ω・cmであり、より好ましい下限は1Ω・cm、より好ましい上限は2.5Ω・cmである。
【0076】
上記遮光剤の一次粒子径は、液晶表示素子の基板間の距離以下であれば特に限定されないが、好ましい下限は1nm、好ましい上限は5μmである。上記遮光剤の一次粒子径がこの範囲であることにより、得られる液晶表示素子用シール剤の塗布性等を悪化させることなく遮光性により優れるものとすることができる。上記遮光剤の一次粒子径のより好ましい下限は5nm、より好ましい上限は200nm、更に好ましい下限は10nm、更に好ましい上限は100nmである。
なお、上記遮光剤の一次粒子径は、NICOMP 380ZLS(PARTICLE SIZING SYSTEMS社製)を用いて、上記遮光剤を溶媒(水、有機溶媒等)に分散させて測定することができる。
【0077】
本発明の液晶表示素子用シール剤100重量部中における上記遮光剤の含有量の好ましい下限は5重量部、好ましい上限は80重量部である。上記遮光剤の含有量がこの範囲であることにより、得られる液晶表示素子用シール剤の基板に対する密着性や硬化後の強度や描画性を低下させることなくより優れた遮光性を発揮することができる。上記遮光剤の含有量のより好ましい下限は10重量部、より好ましい上限は70重量部であり、更に好ましい下限は30重量部、更に好ましい上限は60重量部である。
【0078】
本発明の液晶表示素子用シール剤を製造する方法としては、例えば、ホモディスパー、ホモミキサー、万能ミキサー、プラネタリーミキサー、ニーダー、3本ロール等の混合機を用いて、硬化性樹脂と、光重合開始剤と、必要に応じて添加するシランカップリング剤等の添加剤とを混合する方法等が挙げられる。
【0079】
本発明の液晶表示素子用シール剤に、導電性微粒子を配合することにより、上下導通材料を製造することができる。このような本発明の液晶表示素子用シール剤と導電性微粒子とを含有する上下導通材料もまた、本発明の1つである。
【0080】
上記導電性微粒子としては、金属ボール、樹脂微粒子の表面に導電金属層を形成したもの等を用いることができる。なかでも、樹脂微粒子の表面に導電金属層を形成したものは、樹脂微粒子の優れた弾性により、透明基板等を損傷することなく導電接続が可能であることから好適である。
【0081】
本発明の液晶表示素子用シール剤又は本発明の上下導通材料を用いてなる液晶表示素子もまた、本発明の1つである。
【0082】
本発明の液晶表示素子を製造する方法としては、液晶滴下工法が好適に用いられ、具体的には例えば、以下の各工程を有する方法等が挙げられる。
まず、ITO薄膜等の電極が付いた、ガラス基板やポリエチレンテレフタレート基板等の2枚の基板の一方に、本発明の液晶表示素子用シール剤を、スクリーン印刷、ディスペンサー塗布等により塗布して枠状のシールパターンを形成する工程を行う。次いで、本発明の液晶表示素子用シール剤が未硬化の状態で液晶の微小滴を基板のシールパターンの枠内に滴下塗布し、真空下で別の基板を重ね合わせる工程を行う。その後、本発明の液晶表示素子用シール剤のシールパターン部分に紫外線等の光を照射してシール剤を光硬化させる工程を行う方法により、液晶表示素子を得ることができる。また、上記シール剤を光硬化させる工程に加えて、シール剤を加熱して熱硬化させる工程を行ってもよい。
【発明の効果】
【0083】
本発明によれば、遮光部硬化性に優れ、かつ、液晶汚染を抑制することができる液晶表示素子用シール剤を提供することができる。また、本発明によれば、該液晶表示素子用シール剤を用いてなる上下導通材料及び液晶表示素子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0084】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0085】
(ビスフェノールA型エポキシアクリレートオリゴマーの合成)
冷却管、撹拌羽根付き4つ口フラスコにビスフェノールA型エポキシ樹脂を170g(0.5mol)、アクリル酸86.5g(1.2mol)、トリフェニルフォスフィン2.6g(0.01mol)、及び、ジブチルヒドロキシトルエン0.2g(0.001mol)を入れ、オイルバス中で120℃で12時間撹拌した。上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、DIC社製の試薬を用いた。上記アクリル酸としては、東京化成工業社製の試薬を用いた。上記トリフェニルフォスフィンとしては、東京化成工業社製の試薬を用いた。上記ジブチルヒドロキシトルエンとしては、東京化成工業社製の試薬を用いた。
反応終了後、蒸留水での洗浄、真空乾燥、及び、ろ過を行い、ビスフェノールA型エポキシアクリレートオリゴマー(分子量4500、分散度2.5)を得た。
なお、得られたビスフェノールA型エポキシアクリレートオリゴマーは、1H-NMR及びGC-Msから構造の確認を行なった。
【0086】
(ビスフェノールA型エポキシメタクリレートオリゴマーの合成)
冷却管、撹拌羽根付き4つ口フラスコにビスフェノールA型エポキシ樹脂を170g(0.5mol)、メタクリル酸103.3g(1.2mol)、トリフェニルフォスフィン2.6g(0.01mol)、及び、ジブチルヒドロキシトルエン0.2g(0.001mol)を入れ、オイルバス中で120℃で12時間撹拌した。上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、DIC社製の試薬を用いた。上記メタクリル酸としては、東京化成工業社製の試薬を用いた。上記トリフェニルフォスフィンとしては、東京化成工業社製の試薬を用いた。上記ジブチルヒドロキシトルエンとしては、東京化成工業社製の試薬を用いた。
反応終了後、蒸留水での洗浄、真空乾燥、及び、ろ過を行い、ビスフェノールA型エポキシメタクリレートオリゴマー(分子量3200、分散度2.2)を得た。
なお、得られたビスフェノールA型エポキシメタクリレートオリゴマーは、1H-NMR及びGC-Msから構造の確認を行なった。
【0087】
(実施例6~10、参考例1~5、11、12、及び、比較例1~5)
表1~3に記載された配合比に従い、各材料を遊星式撹拌機(シンキー社製、「あわとり練太郎」)を用いて混合した後、更に3本ロールを用いて混合することにより実施例6~10、参考例1~5、11、12、及び、比較例1~5の液晶表示素子用シール剤を調製した。
【0088】
<評価>
実施例、参考例、及び、比較例で得られた各液晶表示素子用シール剤について以下の評価を行った。結果を表1~3に示した。
【0089】
(光重合開始剤の溶解性)
実施例、参考例、及び、比較例で得られた各液晶表示素子用シール剤について、各シール剤で用いた硬化性樹脂100g中に各シール剤で用いた光重合開始剤2gを入れ、120℃のオーブンで加熱した。加熱開始から、5分未満で完全に溶解した場合を「○○○」、5分以上10分未満で完全に溶解した場合を「○○」、10分以上30分未満で完全に溶解した場合を「○」、30分で溶解したものの、溶け残りが発生した場合を「△」、30分経過しても全く溶解しなかった場合を「×」として光重合開始剤の溶解性を評価した。
【0090】
(遮光部硬化性)
まず、厚さ0.7mmのコーニングガラスの半面をクロム蒸着した基板Aと、前面をクロム蒸着した基板Bとを準備した。次に、実施例、参考例、及び、比較例で得られた各液晶表示素子用シール剤100重量部に対して平均粒子径5μmのスペーサー粒子(積水化学工業社製、「ミクロパールSI-H050」)1重量部を遊星式撹拌装置によって均一に分散させた。次いで、該スペーサー粒子を分散させたシール剤を基板Aの中央部(クロム蒸着部と非蒸着部との境界)に塗布し、基板Bを貼り合わせてからシール剤を充分に押し潰し、基板A側からメタルハライドランプを用いて100mW/cm2の紫外線を30秒照射した。
その後、カッターを用いて基板A及びBを剥がし、紫外線直接照射部の際から50μm離れた点(クロム蒸着により遮光されていた部分)上のシール剤について顕微IR法によってスペクトルを測定し、シール剤中の(メタ)アクリロイル基の転化率を以下の方法により求めた。即ち、815~800cm-1のピーク面積を(メタ)アクリロイル基のピーク面積とし、845~820cm-1のピーク面積をリファレンスピーク面積として、下記式により(メタ)アクリロイル基の転化率を算出した。(メタ)アクリロイル基の転化率が80%以上であった場合を「○」、30%以上80%未満であった場合を「△」、30%未満であった場合を「×」として遮光部硬化性を評価した。
(メタ)アクリロイル基の転化率=(1-(紫外線照射後の(メタ)アクリロイル基のピーク面積/紫外線照射後のリファレンスピーク面積)/(紫外線照射前の(メタ)アクリロイル基のピーク面積/紫外線照射前のリファレンスピーク面積))×100
【0091】
(液晶表示素子の表示性能(低液晶汚染性))
実施例、参考例、及び、比較例で得られた各液晶表示素子用シール剤100重量部に対して平均粒子径5μmのスペーサー粒子(積水化学工業社製、「ミクロパールSI-H050」)1重量部を遊星式撹拌装置によって均一に分散させた。次いで、該スペーサー微粒子を分散させたシール剤をディスペンス用のシリンジ(武蔵エンジニアリング社製、「PSY-10E」)に充填し、脱泡処理を行ってから、ディスペンサー(武蔵エンジニアリング社製、「SHOTMASTER300」)にて、2枚のITO薄膜付きの透明電極基板の一方にシール剤を枠状に塗布した。続いて、TN液晶(チッソ社製、「JC-5001LA」)の微小滴を液晶滴下装置にてシール剤の枠内に滴下塗布し、他方の透明電極基板を、真空貼り合わせ装置にて5Paの真空下にて貼り合わせ、セルを得た。得られたセルに、メタルハライドランプを用いて100mW/cm2の紫外線を30秒照射した後、120℃で1時間加熱してシール剤を硬化させ、液晶表示素子を得た。
得られた液晶表示素子について、シール部周辺の液晶(特にコーナー部)を目視にて観察し、表示むらや線残像が確認されなかった場合を「○」、はっきりと表示むらや線残像が確認された場合を「△」、酷い表示むらや線残像が確認された場合を「×」として液晶表示素子の表示性能(低液晶汚染性)を評価した。
【0092】
【0093】
【0094】
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明によれば、遮光部硬化性に優れ、かつ、液晶汚染を抑制することができる液晶表示素子用シール剤を提供することができる。また、本発明によれば、該液晶表示素子用シール剤を用いてなる上下導通材料及び液晶表示素子を提供することができる。