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特許7000164液晶表示素子用シール剤、上下導通材料、及び、液晶表示素子
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】液晶表示素子用シール剤、上下導通材料、及び、液晶表示素子
(51)【国際特許分類】
   G02F 1/1339 20060101AFI20220112BHJP
   C09K 3/10 20060101ALI20220112BHJP
   C08F 20/32 20060101ALI20220112BHJP
   C08F 20/20 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
G02F1/1339 505
C09K3/10 B
C09K3/10 E
C09K3/10 L
C09K3/10 Z
C08F20/32
C08F20/20
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017566877
(86)(22)【出願日】2017-12-12
(86)【国際出願番号】 JP2017044574
(87)【国際公開番号】W WO2018110552
(87)【国際公開日】2018-06-21
【審査請求日】2020-06-26
(31)【優先権主張番号】P 2016244430
(32)【優先日】2016-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000002174
【氏名又は名称】積水化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000914
【氏名又は名称】特許業務法人 安富国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】尾山 雄一
【審査官】磯崎 忠昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-060744(JP,A)
【文献】特開2004-189942(JP,A)
【文献】特開2015-206997(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F 1/1339
C09K 3/10
C08F 20/32
C08F 20/20
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性樹脂を含有する液晶表示素子用シール剤であって、
前記硬化性樹脂は、下記式(1)で表される重合性化合物を含有することを特徴とする液晶表示素子用シール剤。
【化1】
式(1)中、Aは、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、酸素原子、硫黄原子、又は、スルホニル基を表し、Xは、エチレンオキシエチル基、ジ(エチレンオキシ)エチル基、トリ(エチレンオキシ)エチル基、テトラ(エチレンオキシ)エチル基、プロピレンオキシプロピル基、ジ(プロピレンオキシ)プロピル基、トリ(プロピレンオキシ)プロピル基、テトラ(プロピレンオキシ)プロピル基、ブチレンオキシブチル基、ジ(ブチレンオキシ)ブチル基、トリ(ブチレンオキシ)ブチル基、テトラ(ブチレンオキシ)ブチル基、又は、炭素原子数2以上15以下のアルキレン基を表し、Y及びYは、それぞれ独立に、下記式(2-1)又は(2-2)で表される基を表し、かつ、Y及びYのうち少なくとも一方は下記式(2-1)で表される基であり、nは、1以上5以下(平均値)である。
【化2】
式(2-1)及び式(2-2)中、*は、結合位置を表し、式(2-1)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。
【請求項2】
硬化性樹脂100重量部中における式(1)で表される重合性化合物の含有量が5重量部以上80重量部以下であることを特徴とする請求項1記載の液晶表示素子用シール剤。
【請求項3】
請求項1又は2記載の液晶表示素子用シール剤と導電性微粒子とを含有することを特徴とする上下導通材料。
【請求項4】
請求項1若しくは2記載の液晶表示素子用シール剤又は請求項3記載の上下導通材料を用いてなることを特徴とする液晶表示素子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接着性、透湿防止性、及び、低液晶汚染性に優れる液晶表示素子用シール剤に用いることができる重合性化合物に関する。また、本発明は、該重合性化合物を含有する液晶表示素子用シール剤、並びに、該液晶表示素子用シール剤を用いてなる上下導通材料及び液晶表示素子に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示セル等の液晶表示素子の製造方法としては、タクトタイム短縮、使用液晶量の最適化といった観点から、特許文献1、特許文献2に開示されているような、硬化性樹脂と光重合開始剤と熱硬化剤とを含有する光熱併用硬化型のシール剤を用いた液晶滴下工法と呼ばれる方式が用いられている。
液晶滴下工法では、まず、2枚の電極付き基板の一方に、ディスペンスにより長方形状のシールパターンを形成する。次いで、シール剤が未硬化の状態で液晶の微小滴を基板のシール枠内に滴下し、真空下で他方の基板を重ね合わせ、シール部に紫外線等の光を照射して仮硬化を行う。その後、加熱して本硬化を行い、液晶表示素子を作製する。現在この滴下工法が液晶表示素子の製造方法の主流となっている。
【0003】
ところで、携帯電話、携帯ゲーム機等、各種液晶パネル付きモバイル機器が普及している現代において、装置の小型化は最も求められている課題である。小型化の手法として、液晶表示部の狭額縁化が挙げられ、例えば、シール部の位置をブラックマトリックス下に配置することが行われている(以下、「狭額縁設計」ともいう)。
このような狭額縁設計ではシール剤自体も細く描画されるため、従来のシール剤では接着性や透湿防止性が充分でなく、液晶汚染等により液晶表示素子の表示不良が生じやすいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-133794号公報
【文献】国際公開第02/092718号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、接着性、透湿防止性、及び、低液晶汚染性に優れる液晶表示素子用シール剤に用いることができる重合性化合物を提供することを目的とする。また、本発明は、該重合性化合物を含有する液晶表示素子用シール剤、並びに、該液晶表示素子用シール剤を用いてなる上下導通材料及び液晶表示素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明1は、下記式(1)で表される重合性化合物である。
【0007】
【化1】
【0008】
式(1)中、Aは、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、酸素原子、硫黄原子、又は、スルホニル基を表し、Xは、エチレンオキシエチル基、ジ(エチレンオキシ)エチル基、トリ(エチレンオキシ)エチル基、テトラ(エチレンオキシ)エチル基、プロピレンオキシプロピル基、ジ(プロピレンオキシ)プロピル基、トリ(プロピレンオキシ)プロピル基、テトラ(プロピレンオキシ)プロピル基、ブチレンオキシブチル基、ジ(ブチレンオキシ)ブチル基、トリ(ブチレンオキシ)ブチル基、テトラ(ブチレンオキシ)ブチル基、又は、炭素原子数2以上15以下のアルキレン基を表し、Y及びYは、それぞれ独立に、下記式(2-1)又は(2-2)で表される基を表し、かつ、Y及びYのうち少なくとも一方は下記式(2-1)で表される基であり、nは、1以上5以下(平均値)である。
【0009】
【化2】
【0010】
式(2-1)及び式(2-2)中、*は、結合位置を表し、式(2-1)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。
【0011】
また、本発明2は、硬化性樹脂を含有する液晶表示素子用シール剤であって、上記硬化性樹脂は、下記式(1)で表される重合性化合物を含有する液晶表示素子用シール剤である。
【0012】
【化3】
【0013】
式(1)中、Aは、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、酸素原子、硫黄原子、又は、スルホニル基を表し、Xは、エチレンオキシエチル基、ジ(エチレンオキシ)エチル基、トリ(エチレンオキシ)エチル基、テトラ(エチレンオキシ)エチル基、プロピレンオキシプロピル基、ジ(プロピレンオキシ)プロピル基、トリ(プロピレンオキシ)プロピル基、テトラ(プロピレンオキシ)プロピル基、ブチレンオキシブチル基、ジ(ブチレンオキシ)ブチル基、トリ(ブチレンオキシ)ブチル基、テトラ(ブチレンオキシ)ブチル基、又は、炭素原子数2以上15以下のアルキレン基を表し、Y及びYは、それぞれ独立に、下記式(2-1)又は(2-2)で表される基を表し、かつ、Y及びYのうち少なくとも一方は下記式(2-1)で表される基であり、nは、1以上5以下(平均値)である。
【0014】
【化4】
【0015】
式(2-1)及び式(2-2)中、*は、結合位置を表し、式(2-1)中、Rは、水素原子又はメチル基を表す。
以下に本発明を詳述する。
【0016】
本発明者は、驚くべきことに、特定の構造を有する重合性化合物が、液晶に対する汚染性が低く、かつ、接着性及び透湿防止性に優れることを見出した。そこで本発明者は、該重合性化合物を硬化性樹脂として配合することにより、接着性、透湿防止性、及び、低液晶汚染性に優れる液晶表示素子用シール剤を得ることができることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0017】
本発明1の重合性化合物(以下、単に「本発明の重合性化合物」ともいう)は、上記式(1)で表される。
本発明の重合性化合物は、液晶に対する汚染性が低く、かつ、接着性及び透湿防止性に優れるため、液晶表示素子用シール剤の硬化性樹脂として好適に用いられる。
【0018】
本発明2の液晶表示素子用シール剤(以下、単に「本発明の液晶表示素子用シール剤」ともいう)は、硬化性樹脂を含有する。
上記硬化性樹脂は、上記式(1)で表される重合性化合物(即ち、本発明の重合性化合物)を含有する。上記硬化性樹脂として本発明の重合性化合物を含有することにより、本発明の液晶表示素子用シール剤は、接着性、透湿防止性、及び、低液晶汚染性に優れるものとなる。
【0019】
上記式(1)中、Aは、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基、酸素原子、硫黄原子、又は、スルホニル基を表す。なかでも、原料の入手容易性等の観点から、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基であることが好ましい。
【0020】
上記式(1)中、Xは、エチレンオキシエチル基、ジ(エチレンオキシ)エチル基、トリ(エチレンオキシ)エチル基、テトラ(エチレンオキシ)エチル基、プロピレンオキシプロピル基、ジ(プロピレンオキシ)プロピル基、トリ(プロピレンオキシ)プロピル基、テトラ(プロピレンオキシ)プロピル基、ブチレンオキシブチル基、ジ(ブチレンオキシ)ブチル基、トリ(ブチレンオキシ)ブチル基、テトラ(ブチレンオキシ)ブチル基、又は、炭素原子数2以上15以下のアルキレン基を表す。なかでも、取り扱い性等の観点から、エチレンオキシエチル基、ジ(エチレンオキシ)エチル基、トリ(エチレンオキシ)エチル基、炭素原子数2以上8以下のアルキレン基であることが好ましい。
【0021】
上記式(1)中、Y及びYは、それぞれ独立に、上記式(2-1)又は(2-2)で表される基を表し、かつ、Y及びYのうち少なくとも一方は上記式(2-1)で表される基である。即ち、本発明の重合性化合物は、両末端に(メタ)アクリロイル基を有するものであってもよいし、一方の末端に(メタ)アクリロイル基を有し、他方の末端にエポキシ基を有するものであってもよい。
なお、本明細書において、上記「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル又はメタクリロイルを意味する。
【0022】
上記式(1)中、nは、1以上5以下(平均値)である。
上記nの好ましい上限は3である。上記nが3以下であることにより、得られる液晶表示素子用シール剤の粘度が高くなり過ぎず、塗布性や取り扱い性により優れるものとなる。
【0023】
本発明の重合性化合物を製造する方法としては、例えば、上記式(1)におけるY及びYに相当する部分がいずれも上記式(2-2)で表される基であるジエポキシ化合物の一部又は全部のエポキシ基を、(メタ)アクリル酸と反応させる方法等が挙げられる。
上記ジエポキシ化合物を製造する方法としては、例えば、ビスフェノールA等のビスフェノール類とトリエチレングリコールジビニルエーテル等の上記式(1)のXに相当する構造を有するジビニルエーテル化合物とを反応させて得られる、両末端にフェノール性水酸基を有する化合物を、更にエピクロロヒドリンと反応させる方法等が挙げられる。
また、上記ジエポキシ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、エピクロンEXA4850シリーズ(DIC社製)等が挙げられる。
【0024】
上記硬化性樹脂100重量部中における本発明の重合性化合物の含有量の好ましい下限は5重量部、好ましい上限は80重量部である。本発明の重合性化合物の含有量が5重量部以上であることにより、本発明の液晶表示素子用シール剤が接着性により優れるものとなる。本発明の重合性化合物の含有量が80重量部以下であることにより、本発明の液晶表示素子用シール剤の粘度が高くなり過ぎず、塗布性や取り扱い性により優れるものとなる。本発明の重合性化合物の含有量のより好ましい下限は10重量部、より好ましい上限は50重量部である。
【0025】
上記硬化性樹脂は、本発明の重合性化合物以外のその他の重合性化合物を含有することが好ましい。
上記その他の重合性化合物としては、本発明の重合性化合物に含まれるもの以外の、その他の(メタ)アクリル化合物やその他のエポキシ化合物等が挙げられる。
なお、本明細書において、上記「(メタ)アクリル」とは、アクリル又はメタクリルを意味し、上記「(メタ)アクリル化合物」とは、(メタ)アクリロイル基を有する化合物を意味する。
【0026】
上記その他の(メタ)アクリル化合物としては、例えば、エポキシ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸エステル化合物、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。なかでも、エポキシ(メタ)アクリレートが好ましい。また、上記その他の(メタ)アクリル化合物は、反応性の高さから分子中に(メタ)アクリロイル基を2個以上有するものが好ましい。
なお、本明細書において上記「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート又はメタクリレートを意味し、上記「エポキシ(メタ)アクリレート」とは、エポキシ化合物中の全てのエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させた化合物のことを表す。
【0027】
上記エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸とを、常法に従って塩基性触媒の存在下で反応させることにより得られるもの等が挙げられる。
【0028】
上記エポキシ(メタ)アクリレートを合成するための原料となるエポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、2,2’-ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂、レゾルシノール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、スルフィド型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレンフェノールノボラック型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、ゴム変性型エポキシ樹脂、グリシジルエステル化合物等が挙げられる。
【0029】
上記ビスフェノールA型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、jER828EL、jER1004(いずれも三菱化学社製)、EPICLON EXA-850CRP(DIC社製)等が挙げられる。
上記ビスフェノールF型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、jER806、jER4004(いずれも三菱化学社製)等が挙げられる。
上記ビスフェノールE型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、R710(プリンテック社製)等が挙げられる。
上記ビスフェノールS型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EPICLON EXA-1514(DIC社製)等が挙げられる。
上記2,2’-ジアリルビスフェノールA型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、RE-810NM(日本化薬社製)等が挙げられる。
上記水添ビスフェノール型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EPICLON EXA-7015(DIC社製)等が挙げられる。
上記レゾルシノール型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EX-201(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
上記ビフェニル型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、jER YX-4000H(三菱化学社製)等が挙げられる。
上記スルフィド型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、YSLV-50TE(新日鉄住金化学社製)等が挙げられる。
上記ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、YSLV-80DE(新日鉄住金化学社製)等が挙げられる。
上記ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EP-4088S(ADEKA社製)等が挙げられる。
上記ナフタレン型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EPICLON HP4032、EPICLON EXA-4700(いずれもDIC社製)等が挙げられる。
上記フェノールノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EPICLON N-770(DIC社製)等が挙げられる。
上記オルトクレゾールノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EPICLON N-670-EXP-S(DIC社製)等が挙げられる。
上記ジシクロペンタジエンノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、EPICLON HP7200(DIC社製)等が挙げられる。
上記ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、NC-3000P(日本化薬社製)等が挙げられる。
上記ナフタレンフェノールノボラック型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、ESN-165S(新日鉄住金化学社製)等が挙げられる。
上記グリシジルアミン型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、jER630(三菱化学社製)、EPICLON430(DIC社製)、TETRAD-X(三菱ガス化学社製)等が挙げられる。
上記ゴム変性型エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、YR-450、YR-207(いずれも新日鉄住金化学社製)、エポリードPB(ダイセル社製)等が挙げられる。
上記グリシジルエステル化合物のうち市販されているものとしては、例えば、デナコールEX-147(ナガセケムテックス社製)等が挙げられる。
【0030】
上記(メタ)アクリル酸エステル化合物のうち単官能のものとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ビシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-ブトキシエチル(メタ)アクリレート、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、イミド(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチル2-ヒドロキシプロピルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0031】
また、上記(メタ)アクリル酸エステル化合物のうち2官能のものとしては、例えば、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、2-n-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ジメチロールジシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド変性イソシアヌル酸ジ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-(メタ)アクリロイロキシプロピル(メタ)アクリレート、カーボネートジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエーテルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリエステルジオールジ(メタ)アクリレート、ポリカプロラクトンジオールジ(メタ)アクリレート、ポリブタジエンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0032】
また、上記(メタ)アクリル酸エステル化合物のうち3官能以上のものとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキシド付加イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキシド付加グリセリントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリス(メタ)アクリロイルオキシエチルフォスフェート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0033】
上記ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、2つのイソシアネート基を有するイソシアネート化合物1当量に対して水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体2当量を、触媒量のスズ系化合物存在下で反応させることによって得ることができる。
【0034】
上記イソシアネート化合物としては、例えば、イソホロンジイソシアネート、2,4-トリレンジイソシアネート、2,6-トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート(MDI)、水添MDI、ポリメリックMDI、1,5-ナフタレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート(XDI)、水添XDI、リジンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオフォスフェート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、1,6,11-ウンデカントリイソシアネート等が挙げられる。
【0035】
また、上記イソシアネート化合物としては、ポリオールと過剰のイソシアネート化合物との反応により得られる鎖延長されたイソシアネート化合物も使用することができる。
上記ポリオールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、トリメチロールプロパン、カーボネートジオール、ポリエーテルジオール、ポリエステルジオール、ポリカプロラクトンジオール等が挙げられる。
【0036】
上記水酸基を有する(メタ)アクリル酸誘導体としては、例えば、ヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレート、二価のアルコールのモノ(メタ)アクリレート、三価のアルコールのモノ(メタ)アクリレート又はジ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記ヒドロキシアルキルモノ(メタ)アクリレートとしては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記二価のアルコールとしては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、ポリエチレングリコール等が挙げられる。
上記三価のアルコールとしては、例えば、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、グリセリン等が挙げられる。
上記エポキシ(メタ)アクリレートとしては、例えば、ビスフェノールA型エポキシアクリレート等が挙げられる。
【0037】
上記ウレタン(メタ)アクリレートのうち市販されているものとしては、例えば、東亞合成社製のウレタン(メタ)アクリレート、ダイセル・オルネクス社製のウレタン(メタ)アクリレート、根上工業社製のウレタン(メタ)アクリレート、新中村化学工業社製のウレタン(メタ)アクリレート、共栄社化学社製のウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。
上記東亞合成社製のウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、M-1100、M-1200、M-1210、M-1600等が挙げられる。
上記ダイセル・オルネクス社製のウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、EBECRYL210、EBECRYL220、EBECRYL230、EBECRYL270、EBECRYL1290、EBECRYL2220、EBECRYL4827、EBECRYL4842、EBECRYL4858、EBECRYL5129、EBECRYL6700、EBECRYL8402、EBECRYL8803、EBECRYL8804、EBECRYL8807、EBECRYL9260等が挙げられる。
上記根上工業社製のウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、アートレジンUN-330、アートレジンSH-500B、アートレジンUN-1200TPK、アートレジンUN-1255、アートレジンUN-3320HB、アートレジンUN-7100、アートレジンUN-9000A、アートレジンUN-9000H等が挙げられる。
上記新中村化学工業社製のウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、U-2HA、U-2PHA、U-3HA、U-4HA、U-6H、U-6HA、U-6LPA、U-10H、U-15HA、U-108、U-108A、U-122A、U-122P、U-324A、U-340A、U-340P、U-1084A、U-2061BA、UA-340P、UA-4000、UA-4100、UA-4200、UA-4400、UA-5201P、UA-7100、UA-7200、UA-W2A等が挙げられる。
上記共栄社化学社製のウレタン(メタ)アクリレートとしては、例えば、AH-600、AI-600、AT-600、UA-101I、UA-101T、UA-306H、UA-306I、UA-306T等が挙げられる。
【0038】
上記その他のエポキシ化合物としては、上述した上記エポキシ(メタ)アクリレートを合成するための原料となるエポキシ化合物と同様のものを用いることができる。
【0039】
また、上記その他の重合性化合物として、1分子中にエポキシ基と(メタ)アクリロイル基とを有する化合物を含有してもよい。このような化合物としては、例えば、1分子中に2以上のエポキシ基を有するエポキシ化合物の一部分のエポキシ基を(メタ)アクリル酸と反応させることによって得られる部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0040】
上記部分(メタ)アクリル変性エポキシ樹脂のうち市販されているものとしては、例えば、UVACURE1561(ダイセル・オルネクス社製)等が挙げられる。
【0041】
上記その他の重合性化合物は、液晶汚染を抑制する観点から、-OH基、-NH-基、-NH基等の水素結合性のユニットを有するものが好ましい。
【0042】
本発明の液晶表示素子用シール剤は、硬化性樹脂中の(メタ)アクリロイル基とエポキシ基との合計中における(メタ)アクリロイル基の比率を30%以上95%以下とすることが好ましい。上記(メタ)アクリロイル基の比率が30%以上であることにより、重合後に未硬化のエポキシ樹脂成分の残存がほとんどなく、低液晶汚染性により優れるものとなる。上記(メタ)アクリロイル基の比率が95%以下であることにより、得られる液晶表示素子用シール剤が接着性により優れるものとなる。
【0043】
本発明の液晶表示素子用シール剤は、重合開始剤を含有してもよい。
上記重合開始剤としては、ラジカル重合開始剤が好適に用いられる。
上記ラジカル重合開始剤としては、光照射によりラジカルを発生する光ラジカル重合開始剤や、加熱によりラジカルを発生する熱ラジカル重合開始剤等が挙げられる。
【0044】
上記光ラジカル重合開始剤としては、例えば、オキシムエステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、アセトフェノン系化合物、アシルフォスフィンオキサイド系化合物、チタノセン系化合物、ベンゾインエーテル系化合物、チオキサントン等が挙げられる。
【0045】
上記光ラジカル重合開始剤のうち市販されているものとしては、例えば、BASF社製の光ラジカル重合開始剤、東京化成工業社製の光ラジカル重合開始剤等が挙げられる。
上記BASF社製の光ラジカル重合開始剤としては、例えば、IRGACURE 184、IRGACURE 369、IRGACURE 379、IRGACURE 651、IRGACURE 819、IRGACURE 907、IRGACURE 2959、IRGACURE OXE01、ルシリンTPO等が挙げられる。
上記東京化成工業社製の光ラジカル重合開始剤としては、例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等が挙げられる。
【0046】
上記光ラジカル重合開始剤の含有量は、上記硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が0.1重量部、好ましい上限が10重量部である。上記光ラジカル重合開始剤の含有量が0.1重量部以上であることにより、本発明の液晶滴下工法用シール剤が光硬化性により優れるものとなる。上記光ラジカル重合開始剤の含有量が10重量部以下であることにより、本発明の液晶滴下工法用シール剤が低液晶汚染性や保存安定性により優れるものとなる。
【0047】
上記熱ラジカル重合開始剤としては、例えば、アゾ化合物、有機過酸化物等からなるものが挙げられる。なかでも、高分子アゾ化合物からなる開始剤(以下、「高分子アゾ開始剤」ともいう)が好ましい。
なお、本明細書において高分子アゾ化合物とは、アゾ基を有し、熱によって(メタ)アクリロイル基を硬化させることができるラジカルを生成する、数平均分子量が300以上の化合物を意味する。
【0048】
上記高分子アゾ化合物の数平均分子量の好ましい下限は1000、好ましい上限は30万である。上記高分子アゾ化合物の数平均分子量がこの範囲であることにより、液晶汚染を抑制しつつ、硬化性樹脂と容易に混合することができる。上記高分子アゾ化合物の数平均分子量のより好ましい下限は5000、より好ましい上限は10万であり、更に好ましい下限は1万、更に好ましい上限は9万である。
なお、本明細書において、上記数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定を行い、ポリスチレン換算により求められる値である。GPCによってポリスチレン換算による数平均分子量を測定する際のカラムとしては、例えば、Shodex LF-804(昭和電工社製)等が挙げられる。
【0049】
上記高分子アゾ化合物としては、例えば、アゾ基を介してポリアルキレンオキサイドやポリジメチルシロキサン等のユニットが複数結合した構造を有するものが挙げられる。
上記アゾ基を介してポリアルキレンオキサイド等のユニットが複数結合した構造を有する高分子アゾ化合物としては、ポリエチレンオキサイド構造を有するものが好ましい。
上記高分子アゾ化合物としては、具体的には例えば、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)とポリアルキレングリコールの重縮合物や、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)と末端アミノ基を有するポリジメチルシロキサンの重縮合物等が挙げられる。
上記高分子アゾ化合物のうち市販されているものとしては、例えば、VPE-0201、VPE-0401、VPE-0601、VPS-0501、VPS-1001(いずれも和光純薬工業社製)等が挙げられる。
また、高分子ではないアゾ化合物として市販されているものとしては、例えば、V-65、V-501(いずれも和光純薬工業社製)等が挙げられる。
【0050】
上記有機過酸化物としては、例えば、ケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、パーオキシエステル、ジアシルパーオキサイド、パーオキシジカーボネート等が挙げられる。
【0051】
上記熱ラジカル重合開始剤の含有量は、上記硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が0.05重量部、好ましい上限が10重量部である。上記熱ラジカル重合開始剤の含有量が0.05重量部以上であることにより、本発明の液晶表示素子用シール剤が熱硬化性により優れるものとなる。上記熱ラジカル重合開始剤の含有量が10重量部以下であることにより、本発明の液晶表示素子用シール剤が低液晶汚染性や保存安定性により優れるものとなる。上記熱ラジカル重合開始剤の含有量のより好ましい下限は0.1重量部、より好ましい上限は5重量部である。
【0052】
本発明の液晶表示素子用シール剤は、熱硬化剤を含有してもよい。
上記熱硬化剤としては、例えば、有機酸ヒドラジド、アミン化合物、多価フェノール系化合物、酸無水物等が挙げられる。なかでも、有機酸ヒドラジドが好適に用いられる。
【0053】
上記有機酸ヒドラジドとしては、例えば、セバシン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、1,3-ビス(ヒドラジノカルボエチル)-5-イソプロピルヒダントイン等が挙げられる。
上記有機酸ヒドラジドのうち市販されているものとしては、例えば、大塚化学社製の有機酸ヒドラジド、味の素ファインテクノ社製の有機酸ヒドラジド等が挙げられる。
上記大塚化学社製の有機酸ヒドラジドとしては、例えば、SDH、ADH等が挙げられる。
上記味の素ファインテクノ社製の有機酸ヒドラジドとしては、例えば、アミキュアVDH、アミキュアVDH-J、アミキュアUDH、アミキュアUDH-J等が挙げられる。
【0054】
上記熱硬化剤の含有量は、上記硬化性樹脂100重量部に対して、好ましい下限が1重量部、好ましい上限が50重量部である。上記熱硬化剤の含有量が1重量部以上であることにより、本発明の液晶表示素子用シール剤が熱硬化性により優れるものとなる。上記熱硬化剤の含有量が50重量部以下であることにより、本発明の液晶表示素子用シール剤の粘度が高くなり過ぎず、塗布性や取り扱い性により優れるものとなる。上記熱硬化剤の含有量のより好ましい上限は30重量部である。
【0055】
本発明の液晶表示素子用シール剤は、粘度調整、応力分散効果による接着性の更なる向上、線膨張率の改善、硬化物の透湿防止性の更なる向上等を目的として充填剤を含有することが好ましい。
【0056】
上記充填剤としては、無機充填剤や有機充填剤を用いることができる。
上記無機充填剤としては、例えば、シリカ、タルク、ガラスビーズ、石綿、石膏、珪藻土、スメクタイト、ベントナイト、モンモリロナイト、セリサイト、活性白土、アルミナ、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化錫、酸化チタン、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化珪素、硫酸バリウム、珪酸カルシウム等が挙げられる。
上記有機充填剤としては、例えば、ポリエステル微粒子、ポリウレタン微粒子、ビニル重合体微粒子、アクリル重合体微粒子等が挙げられる。
【0057】
本発明の液晶表示素子用シール剤100重量部中における上記充填剤の含有量の好ましい下限は5重量部、好ましい上限は70重量部である。上記充填剤の含有量が5重量部以上であることにより、接着性の更なる向上等の効果により優れるものとなる。上記充填剤の含有量が70重量部以下であることにより、本発明の液晶表示素子用シール剤の粘度が高くなり過ぎず、塗布性や取り扱い性により優れるものとなる。上記充填剤の含有量のより好ましい下限は10重量部、より好ましい上限は60重量部である。
【0058】
本発明の液晶表示素子用シール剤は、シランカップリング剤を含有することが好ましい。上記シランカップリング剤は、主にシール剤と基板等とを更に良好に接着するための接着助剤としての役割を有する。
【0059】
上記シランカップリング剤としては、例えば、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリメトキシシラン等が好適に用いられる。これらのシランカップリング剤は、基板等との接着性を向上させる効果に優れ、硬化性樹脂と化学結合することにより液晶中への硬化性樹脂の流出を抑制することができる。
【0060】
本発明の液晶表示素子用シール剤100重量部中における上記シランカップリング剤の含有量の好ましい下限は0.1重量部、好ましい上限は10重量部である。上記シランカップリング剤の含有量が0.1重量部以上であることにより、接着性の更なる向上等の効果により優れるものとなる。上記シランカップリング剤の含有量が10重量部以下であることにより、本発明の液晶表示素子用シール剤が低液晶汚染性により優れるものとなる。上記シランカップリング剤の含有量のより好ましい下限は0.3重量部、より好ましい上限は5重量部である。
【0061】
本発明の液晶表示素子用シール剤は、遮光剤を含有してもよい。上記遮光剤を含有することにより、本発明の液晶表示素子用シール剤は、遮光シール剤として好適に用いることができる。
【0062】
上記遮光剤としては、例えば、酸化鉄、チタンブラック、アニリンブラック、シアニンブラック、フラーレン、カーボンブラック、樹脂被覆型カーボンブラック等が挙げられる。なかでも、チタンブラックが好ましい。
【0063】
上記チタンブラックは、波長300nm以上800nm以下の光に対する平均透過率と比較して、紫外線領域付近、特に波長370nm以上450nm以下の光に対する透過率が高くなる物質である。即ち、上記チタンブラックは、可視光領域の波長の光を充分に遮蔽することで本発明の液晶表示素子用シール剤に遮光性を付与する一方、紫外線領域付近の波長の光は透過させる性質を有する遮光剤である。本発明の液晶表示素子用シール剤に含有される遮光剤としては、絶縁性の高い物質が好ましく、絶縁性の高い遮光剤としてもチタンブラックが好適である。
【0064】
上記チタンブラックは、表面処理されていないものでも充分な効果を発揮するが、表面がカップリング剤等の有機成分で処理されているものや、酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム等の無機成分で被覆されているもの等、表面処理されたチタンブラックを用いることもできる。なかでも、有機成分で処理されているものは、より絶縁性を向上できる点で好ましい。
また、遮光剤として上記チタンブラックを含有する本発明の液晶表示素子用シール剤を用いて製造した液晶表示素子は、充分な遮光性を有するため、光の漏れ出しがなく高いコントラストを有し、優れた画像表示品質を有する液晶表示素子を実現することができる。
【0065】
上記チタンブラックのうち市販されているものとしては、例えば、三菱マテリアル社製のチタンブラック、赤穂化成社製のチタンブラック等が挙げられる。
上記三菱マテリアル社製のチタンブラックとしては、例えば、12S、13M、13M-C、13R-N、14M-C等が挙げられる。
上記赤穂化成社製のチタンブラックとしては、例えば、ティラックD等が挙げられる。
【0066】
上記チタンブラックの比表面積の好ましい下限は13m/g、好ましい上限は30m/gであり、より好ましい下限は15m/g、より好ましい上限は25m/gである。
また、上記チタンブラックの体積抵抗の好ましい下限は0.5Ω・cm、好ましい上限は3Ω・cmであり、より好ましい下限は1Ω・cm、より好ましい上限は2.5Ω・cmである。
【0067】
上記遮光剤の一次粒子径は、液晶表示素子の基板間の距離以下であれば特に限定されないが、好ましい下限は1nm、好ましい上限は5000nmである。上記遮光剤の一次粒子径がこの範囲であることにより、得られる液晶表示素子用シール剤の描画性等を悪化させることなく遮光性により優れるものとすることができる。上記遮光剤の一次粒子径のより好ましい下限は5nm、より好ましい上限は200nm、更に好ましい下限は10nm、更に好ましい上限は100nmである。
なお、上記遮光剤の一次粒子径は、NICOMP 380ZLS(PARTICLE SIZING SYSTEMS社製)を用いて、上記遮光剤を溶媒(水、有機溶媒等)に分散させて測定することができる。
【0068】
本発明の液晶表示素子用シール剤100重量部中における上記遮光剤の含有量の好ましい下限は5重量部、好ましい上限は80重量部である。上記遮光剤の含有量が5重量部以上であることにより、本発明の液晶表示素子用シール剤がより優れた遮光性を発揮することができるものとなる。上記遮光剤の含有量が80重量部以下であることにより、本発明の液晶表示素子用シール剤が接着性、硬化後の強度、及び、塗布性により優れるものとなる。上記遮光剤の含有量のより好ましい下限は10重量部、より好ましい上限は70重量部である。
【0069】
本発明の液晶表示素子用シール剤は、更に、必要に応じて、反応性希釈剤、スペーサー、硬化促進剤、消泡剤、レベリング剤、重合禁止剤等の添加剤を含有してもよい。
【0070】
本発明の液晶表示素子用シール剤を製造する方法としては、例えば、ホモディスパー、ホモミキサー、万能ミキサー、プラネタリーミキサー、ニーダー、3本ロール等の混合機を用いて、硬化性樹脂と、必要に応じて添加する、重合開始剤、熱硬化剤、充填剤、シランカップリング剤等とを混合する方法等が挙げられる。
【0071】
本発明の液晶表示素子用シール剤に、導電性微粒子を配合することにより、上下導通材料を製造することができる。このような本発明の液晶表示素子用シール剤と導電性微粒子とを含有する上下導通材料もまた、本発明の1つである。
【0072】
上記導電性微粒子としては、金属ボール、樹脂微粒子の表面に導電金属層を形成したもの等を用いることができる。なかでも、樹脂微粒子の表面に導電金属層を形成したものは、樹脂微粒子の優れた弾性により、透明基板等を損傷することなく導電接続が可能であることから好適である。
【0073】
本発明の液晶表示素子用シール剤又は本発明の上下導通材料を用いてなる液晶表示素子もまた、本発明の1つである。
【0074】
本発明の液晶表示素子を製造する方法としては、液晶滴下工法が好適に用いられ、具体的には例えば、以下の方法等が挙げられる。
まず、ITO薄膜等の電極付きのガラス基板やポリエチレンテレフタレート基板等の2枚の基板の一方に、本発明の液晶表示素子用シール剤を、スクリーン印刷、ディスペンサー塗布等により塗布して枠状のシールパターンを形成する工程を行う。次いで、本発明の液晶表示素子用シール剤が未硬化の状態で液晶の微小滴を基板のシールパターンの枠内に滴下塗布し、真空下で別の基板を重ね合わせる工程を行う。その後、本発明の液晶表示素子用シール剤のシールパターン部分に紫外線等の光を照射してシール剤を仮硬化させる工程、及び、仮硬化させたシール剤を加熱して本硬化させる工程を行う方法により、液晶表示素子を得ることができる。
【発明の効果】
【0075】
本発明によれば、接着性、透湿防止性、及び、低液晶汚染性に優れる液晶表示素子用シール剤に用いることができる重合性化合物を提供することができる。また、本発明によれば、該重合性化合物を含有する液晶表示素子用シール剤、並びに、該液晶表示素子用シール剤を用いてなる上下導通材料及び液晶表示素子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0076】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。
【0077】
(中間体エポキシ化合物(A-1)の合成)
フラスコにビスフェノールA456重量部とトリエチレングリコールジビニルエーテル202重量部とを入れ、120℃で6時間撹拌することにより反応させて中間体フェノール化合物を得た。
液温を常温に戻した後、エピクロロヒドリン925重量部及びn-ブタノール150重量部を加えて均一な溶液とし、60℃に昇温した。次いで、40%水酸化ナトリウム水溶液220重量部を5時間かけて滴下し、更に60℃で1時間反応させた。反応終了後、残存エピクロルヒドリンを減圧蒸留で留去し、粗エポキシ化合物を得た。得られた粗エポキシ化合物にメチルイソブチルケトン600重量部とn-ブタノール100重量部とを加えて溶液とし、該溶液に10%水酸化ナトリウム水溶液30重量部を添加して80℃で2時間反応させた後、水200重量部での水洗を3回繰り返して洗浄液のpHを測定し、中性となったのを確認した。次いで、共沸脱水を実施し、更に溶媒を留去して中間体エポキシ化合物(A-1)を得た。
【0078】
(本発明の重合性化合物(B-1)の合成)
フラスコに中間体エポキシ化合物(A-1)を404重量部、アクリル酸36重量部、トリフェニルホスフィン0.5重量部、及び、ジブチルヒドロキシトルエン0.05重量部を入れ、100℃で6時間撹拌することにより反応させた。得られた反応物を純水1000重量部で3回洗浄した後、減圧蒸留で水を除去し、本発明の重合性化合物(B-1)を得た。
なお、得られた本発明の重合性化合物(B-1)は、H-NMR、13C-NMR、及び、FT-IR分析により、式(1)におけるAがジメチルメチレン基であり、Xがジ(エチレンオキシ)エチル基であり、Y及びYのうち、一方が式(2-1)で表される基(Rが水素原子)であり、他方が式(2-2)で表される基であることを確認した。また、本発明の重合性化合物(B-1)は、式(1)におけるn(平均値)が1.3である化合物であることを確認した。
【0079】
(本発明の重合性化合物(C-1)の合成)
フラスコに中間体エポキシ化合物(A-1)を404重量部、アクリル酸72重量部、トリフェニルホスフィン0.5重量部、及び、ジブチルヒドロキシトルエン0.05重量部を入れ、100℃で6時間撹拌することにより反応させた。得られた反応物を純水1000重量部で3回洗浄した後、減圧蒸留で水を除去し、本発明の重合性化合物(C-1)を得た。
なお、得られた本発明の重合性化合物(C-1)は、H-NMR、13C-NMR、及び、FT-IR分析により、式(1)におけるAがジメチルメチレン基であり、Xがジ(エチレンオキシ)エチル基であり、Y及びYがともに式(2-1)で表される基(Rが水素原子)であることを確認した。また、本発明の重合性化合物(C-1)は、式(1)におけるn(平均値)が1.3である化合物であることを確認した。
【0080】
(本発明の重合性化合物(C-1M)の合成)
アクリル酸72重量部に代えてメタクリル酸86重量部を用いたこと以外は上記「(本発明の重合性化合物(C-1)の合成)」と同様の操作を行い、本発明の重合性化合物(C-1M)を得た。
なお、得られた本発明の重合性化合物(C-1M)は、H-NMR、13C-NMR、及び、FT-IR分析により、式(1)におけるAがジメチルメチレン基であり、Xがジ(エチレンオキシ)エチル基であり、Y及びYがともに式(2-1)で表される基(Rがメチル基)であることを確認した。また、本発明の重合性化合物(C-1M)は、式(1)におけるn(平均値)が1.3である化合物であることを確認した。
【0081】
(中間体エポキシ化合物(A-2)の合成)
トリエチレングリコールジビニルエーテル202重量部に代えて1,6-ビス(ビニルオキシ)ヘキサン170重量部を用いたこと以外は上記「(中間体エポキシ化合物(A-1)の合成)」と同様の操作を行い、中間体エポキシ化合物(A-2)を得た。
【0082】
(本発明の重合性化合物(C-2)の合成)
中間体エポキシ化合物(A-1)404重量部に代えて中間体エポキシ化合物(A-2)388重量部を用いたこと以外は上記「(本発明の重合性化合物(C-1)の合成)」と同様の操作を行い、本発明の重合性化合物(C-2)を得た。
なお、得られた本発明の重合性化合物(C-2)は、H-NMR、13C-NMR、及び、FT-IR分析により、式(1)におけるAがジメチルメチレン基であり、Xがヘキサメチレン基であり、Y及びYがともに式(2-1)で表される基(Rが水素原子)であることを確認した。また、本発明の重合性化合物(C-2)は、式(1)におけるn(平均値)が1.2である化合物であることを確認した。
【0083】
(プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型エポキシアクリレートの合成)
中間体エポキシ化合物(A-1)404重量部に代えてプロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂260重量部を用いたこと以外は上記「(本発明の重合性化合物(C-1)の合成)」と同様の操作を行い、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型エポキシアクリレートを得た。上記プロピレンオキサイド変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂としては、アデカレジン EP-4000S(ADEKA社製)を用いた。
【0084】
(実施例1~11及び比較例1~3)
表1、2に記載された配合比に従い、各材料を遊星式撹拌機(シンキー社製、「あわとり練太郎」)を用いて混合した後、更に3本ロールを用いて混合することにより実施例1~11及び比較例1~3の液晶表示素子用シール剤を調製した。
【0085】
<評価>
実施例及び比較例で得られた液晶表示素子用シール剤について以下の評価を行った。結果を表1、2に示した。
【0086】
(接着性)
実施例及び比較例で得られた各液晶表示素子用シール剤100重量部にスペーサー粒子(積水化学工業社製、「ミクロパールSI-H050」)1重量部を遊星式撹拌装置によって均一に分散させ、極微量をコーニングガラス1737(長さ50mm×幅20mm×厚さ0.7mm)の中央部に塗布した。同型のガラスをその上に重ね合わせて液晶表示素子用シール剤を押し広げ、メタルハライドランプを用いて100mW/cmの紫外線を30秒照射した後、120℃で1時間加熱してシール剤を硬化させ、接着試験片を得た。
得られた接着試験片について、テンションゲージを用いて接着強度を測定した。
【0087】
(低液晶汚染性及び透湿防止性)
実施例及び比較例で得られた各液晶表示素子用シール剤100重量部にスペーサー微粒子(積水化学工業社製、「ミクロパールSI-H050」)1重量部を分散させ、2枚のラビング済み配向膜及び透明電極付き基板の一方に、シール剤の線幅が1mmになるようにディスペンサーで塗布した。続いて液晶(チッソ社製、「JC-5004LA」)の微小滴を透明電極付き基板のシール剤の枠内全面に滴下塗布し、すぐにもう一方の透明電極付き基板を貼り合わせ、シール剤部分にメタルハライドランプを用いて100mW/cmの紫外線を30秒照射した後、120℃で1時間加熱してシール剤を硬化させ、液晶表示素子を得た。実施例及び比較例で得られた各液晶表示素子用シール剤について、低液晶汚染性及び透湿防止性の評価にかかる液晶表示素子をそれぞれ作製した。
低液晶汚染性の評価は、得られた液晶表示素子を60℃で1000時間電圧印加状態とした後、シール剤付近の液晶配向乱れの程度を目視によって確認して行った。また、透湿防止性の評価は、60℃95%RHで1000時間電圧印加状態とした後、シール剤付近の液晶配向乱れの程度を目視によって確認して行った。
液晶配向乱れは色むらにより判断しており、色むらの程度に応じて、色むらが全くなかった場合を「◎」、色むらが微かにあった場合を「○」、色むらが少しあった場合を「△」、色むらがかなりあった場合を「×」として液晶汚染性を評価した。
なお、評価が「◎」、「○」の液晶表示素子は実用に全く問題のないレベルである。
【0088】
【表1】
【0089】
【表2】
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明によれば、接着性、透湿防止性、及び、低液晶汚染性に優れる液晶表示素子用シール剤に用いることができる重合性化合物を提供することができる。また、本発明によれば、該重合性化合物を含有する液晶表示素子用シール剤、並びに、該液晶表示素子用シール剤を用いてなる上下導通材料及び液晶表示素子を提供することができる。