(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2021-12-27
(45)【発行日】2022-01-19
(54)【発明の名称】樹木診断用画像生成装置及び樹木診断用画像生成方法
(51)【国際特許分類】
G01N 22/02 20060101AFI20220112BHJP
G01N 22/00 20060101ALI20220112BHJP
【FI】
G01N22/02 C
G01N22/00 Y
G01N22/00 S
G01N22/02 A
(21)【出願番号】P 2018009525
(22)【出願日】2018-01-24
【審査請求日】2020-09-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 平成29年9月27日 一般社団法人電子情報通信学会発行の電子情報通信学会技術研究報告 Vol.117 No.222 SANE2017-43 - SANE2017-62 宇宙・航行エレクトロニクスに発表 平成29年10月5日 電子情報通信学会 宇宙・航行エレクトロニクス研究会(SANE) 地下電磁計測ワークショップにおいて発表 平成29年11月1日 第32回日本道路会議において発表 平成29年10月31日 公益社団法人日本道路協会発行の第32回日本道路会議論文集に発表 平成29年11月10日 公益社団法人物理探査学会 第137回(平成29年度秋季)学術講演会において発表 平成29年11月8日 公益社団法人物理探査学会発行の第137回(平成29年度秋季)学術講演会 講演論文集に発表
(73)【特許権者】
【識別番号】000121844
【氏名又は名称】応用地質株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091904
【氏名又は名称】成瀬 重雄
(72)【発明者】
【氏名】青池 邦夫
(72)【発明者】
【氏名】高橋 一徳
(72)【発明者】
【氏名】梶野 健
(72)【発明者】
【氏名】芦葉 弥生
(72)【発明者】
【氏名】石澤 伸彰
【審査官】嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-053045(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0292919(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2016/0187266(US,A1)
【文献】特開2014-163696(JP,A)
【文献】特開2009-047516(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 22/00-G01N 22/04
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹木における幹の内部状態を画像化するための装置であって、レーダスキャン部と、幹形状測定部と、マイグレーション処理部とを備えており、
前記レーダスキャン部は、前記幹の内部方向に向けて送信された電波の反射波を受信し、かつ、前記幹の外周に沿って走査することによって、前記幹の内部状態についてのスキャンデータを取得する構成となっており、
かつ、前記レーダスキャン部は、前記幹の内部に向けて前記電波を送信する送信部と、前記電波の反射波を受信する受信部とを備えており、
前記送信部と前記受信部とは、前記幹の外周方向に一体として移動して、前記幹の外周を走査できる構成となっており、
前記スキャンデータは、前記反射波の受信強度と、送信から受信までの時間である受信時間とが、幹の外周方向における受信部の移動距離に対応して記録されたものであり、
前記幹形状測定部は、前記幹の断面形状を取得する構成となっており、
前記マイグレーション処理部は、前記断面形状を用いて前記スキャンデータについてのマイグレーション処理を行うことにより、前記幹の断面像を生成する構成となっている
ことを特徴とする樹木診断用画像生成装置。
【請求項2】
前記幹形状測定部は、レーザ光の反射を用いて反射位置までの距離を測定できる測距部と、前記測距部からのレーザ光を反射できる反射部とを備えており、
さらに、前記幹形状測定部は、前記幹の外周に沿って前記反射部を走査させて、前記反射部の位置を前記測距部により測定して得た第1の断面形状と、前記反射部が前記幹の陰に隠れる場合において前記測距部の位置を適宜に移動させた後、反対側から前記反射部の位置を測定して得た第2の断面形状と、地面上に設置された複数の参照点の位置を前記測距部により測定して得た参照点情報とを用いて、前記第1の断面形状と前記第2の断面形状とを合成し、前記幹の一周分の断面形状を得る構成となっている
請求項1に記載の樹木診断用画像生成装置。
【請求項3】
さらに比誘電率測定部を備えており、
前記比誘電率測定部は、前記幹の内部における電波の伝搬速度を用いて前記幹の内部の比誘電率を測定する構成となっており、
前記マイグレーション処理部は、前記比誘電率測定部で測定された比誘電率を用いて前記マイグレーション処理を行う構成となっている
請求項1又は2に記載の樹木診断用画像生成装置。
【請求項4】
さらに出力部を備えており、
前記出力部は、前記マイグレーション処理部で生成された前記断面像を出力する構成となっている
請求項1~3のいずれか1項に記載の樹木診断用画像生成装置。
【請求項5】
樹木における幹の内部状態を画像化するための方法であって、
前記幹の内部方向に向けて
送信部から送信された電波の反射波を、
前記送信部と一体に移動する受信部により、前記幹の外周に沿って前記電波の放射位置及び受信位置を共に走査しながら受信することによって、前記幹の内部状態についてのスキャンデータを取得するステップと、
ここで、前記スキャンデータは、前記反射波の受信強度と、送信から受信までの時間である受信時間とが、幹の外周方向における前記受信部の移動距離に対応して記録されたものであり、
前記幹の断面形状を取得するステップと、
前記断面形状を用いて前記スキャンデータについてのマイグレーション処理を行うことにより、前記幹の断面像を生成するステップと
を備えることを特徴とする樹木診断用画像生成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹木診断用の画像を生成するための技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、樹木の幹内部の腐朽を診断する方法として、レジストグラフと呼ばれる方法が知られている。レジストグラフは、電動ドリルで樹幹に細長く穿孔し、穿孔の際の抵抗値を記録する。この作業を幹の複数方向から繰り返すことで腐朽領域を推定する。この方法は、幹の穿孔という破壊作業を伴うため、穿孔箇所が傷となってそこから腐朽菌が侵入し、幹が腐朽する可能性がある。このためこの手法は、銘木等のように、保存の必要性が高い樹木への適用が難しいと考えられる。
【0003】
非破壊で腐朽を推定する方法としては、音響トモグラフィを用いたものがある。この方法は、樹幹に対して、十数個ほどのマイクロフォン(センサ)を樹皮から打ち込んだ後、音波を幹内に送信し、音波の走時を測定して、幹断面上におけるP波の速度分布を再構成する。この方法においては、樹皮に対してネジやクギ等をコルク層下面まで打ち込むことによりセンサを設置しているために、完全な非破壊ではなく、わずかな傷を伴う。下記特許文献1では、粘土を用いてセンサを非破壊で樹皮に取り付ける手法が提案されているが、この手法では、弾性波である音波の取得感度(S/N比)が劣化する可能性が高いと考えられる。
【0004】
音波を使った手法以外には、γ線透過量を用いた測定手法がある。この手法では、樹幹を挟んで配置された放射線源と放射線検出器とを用いて透過線量を測定し、腐朽状況を推定している。しかしながら、この手法は、放射線を用いているため、装置コストや作業コストが高くなりがちであるという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記した事情に鑑みてなされたものである。本発明の主な目的は、樹木の内部状態を非破壊で効率よく可視化する技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下の項目に記載の発明として表現することができる。
【0008】
(項目1)
樹木における幹の内部状態を画像化するための装置であって、レーダスキャン部と、幹形状測定部と、マイグレーション処理部とを備えており、
前記レーダスキャン部は、前記幹の内部方向に向けて送信された電波の反射波を受信し、かつ、前記幹の外周に沿って走査することによって、前記幹の内部状態についてのスキャンデータを取得する構成となっており、
前記幹形状測定部は、前記幹の断面形状を取得する構成となっており、
前記マイグレーション処理部は、前記断面形状を用いて前記スキャンデータについてのマイグレーション処理を行うことにより、前記幹の断面像を生成する構成となっている
ことを特徴とする樹木診断用画像生成装置。
【0009】
(項目2)
前記レーダスキャン部は、前記幹の内部に向けて電波を送信する送信部と、前記電波の反射波を受信する受信部とを備えている
項目1に記載の樹木診断用画像生成装置。
【0010】
(項目3)
さらに比誘電率測定部を備えており、
前記比誘電率測定部は、前記幹の内部における電波の伝搬速度を用いて前記幹の内部の比誘電率を測定する構成となっており、
前記マイグレーション処理部は、前記比誘電率測定部で測定された比誘電率を用いて前記マイグレーション処理を行う構成となっている
項目1又は2に記載の樹木診断用画像生成装置。
【0011】
(項目4)
さらに出力部を備えており、
前記出力部は、前記マイグレーション処理部で生成された前記断面像を出力する構成となっている
項目1~3のいずれか1項に記載の樹木診断用画像生成装置。
【0012】
(項目5)
樹木における幹の内部状態を画像化するための方法であって、
前記幹の内部方向に向けて送信された電波の反射波を、前記幹の外周に沿って前記電波の放射位置及び受信位置を共に走査しながら受信することによって、前記幹の内部状態についてのスキャンデータを取得するステップと、
前記幹の断面形状を取得するステップと、
前記断面形状を用いて前記スキャンデータについてのマイグレーション処理を行うことにより、前記幹の断面像を生成するステップと
を備えることを特徴とする樹木診断用画像生成方法。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、樹木の内部状態を非破壊で効率よく可視化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施形態に係る樹木診断装置の概略的な構成を示すためのブロック図である。
【
図2】
図1の装置におけるレーダスキャン部の概略的な構成を示す説明図である。
【
図3】
図1の装置における幹形状測定部の概略的な構成を示す説明図である。
【
図4】
図1の装置を用いた画像生成方法の手順を説明するためのフローチャートである。
【
図5A】レーダスキャン部で得たスキャンデータを示す画像であって、横軸は、幹の周方向での位置(すなわちレーダスキャン部の移動距離)、縦軸は反射波の受信時間、濃度は反射波の振幅(黒いほど負の大きな振幅、白いほど正の大きな振幅)である。
【
図5B】
図5Aと同様のスキャンデータを示す画像であって、横軸は、幹の周方向での位置、縦軸は反射波の受信時間であり、データを取得した位置に対応してレーダ波形(受信した反射波の時間波形)を表示してある。
【
図6A】一方向から測定した幹形状を示すデータであって、横軸は水平面におけるX座標、縦軸はY座標である。
【
図6B】他方向から測定した幹形状を示すデータであって、横軸は水平面におけるX座標、縦軸はY座標である。
【
図7】2回分の計測データを合成して得られた幹の断面形状を示すデータであって、横軸は水平面におけるX座標、縦軸はY座標である。
【
図8】マイグレーション処理により得られた幹の断面像を示す画像である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態に係る樹木診断用画像生成装置(以下「画像生成装置」又は単に「装置」と略称することがある)について説明する。
【0016】
(本実施形態の構成)
本実施形態の装置は、レーダスキャン部1と、幹形状測定部2と、マイグレーション処理部3とを基本的な要素として備えている(
図1参照)。さらにこの装置は、比誘電率測定部4と出力部5とを、追加的な要素として備えている。
【0017】
(レーダスキャン部)
レーダスキャン部1は、樹木における幹10の内部方向に向けて送信された電波の反射波を受信し、かつ、幹10の外周に沿って走査することによって、幹10の内部状態についてのスキャンデータを取得する構成となっている。
【0018】
より具体的には、レーダスキャン部1は、幹10の内部に向けて電波を送信する送信部11と、電波の反射波を受信する受信部12とを備えている(
図2参照)。そして、この例におけるレーダスキャン部1の送信部11と受信部12とは、一体として、幹10の外周方向(
図2において矢印方向)に移動(すなわち走査)できるようになっている。
【0019】
(幹形状測定部)
幹形状測定部2は、幹10の断面形状を取得する構成となっている。より具体的には、本実施形態の幹形状測定部2は、測距部21と反射部22とを備えている(
図3参照)。測距部21は、レーザ光の反射を用いて反射位置までの距離を精密に測定できる構成となっており、具体的には、いわゆるトータルステーション(TS)が用いられている。反射部22は、測距部21からのレーザ光を反射できる構成となっており、具体的には、いわゆる360°プリズムが用いられている。
【0020】
(マイグレーション処理部)
マイグレーション処理部3は、幹10の断面形状を用いて、スキャンデータについてのマイグレーション処理を行うことにより、幹10の断面像を生成する構成となっている。より具体的には、マイグレーション処理部3は、比誘電率測定部4で測定された比誘電率を用いてマイグレーション処理を行う構成となっている。マイグレーション処理のさらに具体的な内容については後述する。
【0021】
(比誘電率測定部)
比誘電率測定部4は、幹10の内部における電波の伝搬速度を用いて、幹10の内部の比誘電率を測定する構成となっている。具体的には、本例の比誘電率測定部4は、幹10を挟んで対向配置される送信アンテナと受信アンテナ(図示せず)を用いて電波の伝搬時間を測定するようになっている。伝搬時間と伝搬距離の関係から電波の伝搬速度を求め、伝搬速度から比誘電率を計算することができる。
【0022】
(出力部)
出力部5は、マイグレーション処理部3で生成された断面像を出力する構成となっている。出力部5としては、例えば、ユーザに画像を呈示するためのディスプレイであるが、それには制約されず、例えば、画像を記録するための各種のメモリや、ネットワークを介して画像を外部に転送するためのインタフェースであってもよい。
【0023】
(本実施形態における画像生成方法)
次に、
図4をさらに参照して、本実施形態における画像生成方法について説明する。
【0024】
(
図4のステップSA-1)
まず、レーダスキャン部1を樹木の幹10に押し当てた状態(
図2参照)で、送信部11から幹10の内部方向に向けて電波を送信する。送信された電波の反射波を、受信部12により受信する。この送受信動作を、幹10の外周に沿って電波の送信位置及び受信位置を共に走査しながら行う。電波の受信強度と受信時間(送信から受信までの時間)は、幹10の外周方向における受信部12(すなわちレーダスキャン部1)の移動距離に対応して記録される。本実施形態では、これにより、幹10の内部状態についてのスキャンデータを取得することができる。
【0025】
得られたスキャンデータの一例を
図5Aに示す。この図では、受信した電波の信号の振幅として白黒濃淡で記載しており、黒いほど負の大きな振幅を、白いほど正の大きな振幅であることを示す。
図5Bは、
図5Aと同じデータを受信位置に受信波の時間波形として表したものであり、負の振幅を黒で塗りつぶして示している(このようなデータ表示方法は一般にウイグルトレース(wiggle trace)と呼ばれる)。
【0026】
ここで、反射波の受信時間は、電波の伝搬速度を仮定することにより深度に換算可能である。樹木内における電波の伝搬速度vは下記(1)式のように表すことができる。
【0027】
【0028】
ここで、
c=3×108[m/s]:自由空間での電波の伝搬速度
εr:幹内部での比誘電率
である。比誘電率の測定については後述する。
【0029】
(
図4のステップSA-2)
ステップSA-1と並行して、あるいはその前後に、比誘電率測定部4により、幹内部での比誘電率を測定する。具体的には、電波の送信部と受信部とを、幹10を挟んで対向位置して、電波の送受信を行い、電波の伝搬時間を測定する。電波の伝搬時間は、例えばパルス状波形のような時間波形の検出など、適宜の手法により測定可能である。得られた伝搬時間と既知の伝搬距離とから、電波の実際の伝搬速度を測定する。測定された電波速度を用いて、前記(1)式から、比誘電率ε
rを算出することができる。ここで、電波の伝搬距離としては、幹10の直径を用いることができる。幹10の直径は、治具を用いて直接測定してもよいし、後述する幹形状測定部2による測定結果を利用してもよい。
【0030】
(
図4のステップSA-3)
ついで、幹形状測定部2により、幹10の断面形状を取得する。具体的には、幹の外周に沿って反射部22を移動(走査)させ、反射部22の位置(水平面上での位置)を測距部21により測定する。ただし、反射部22が幹10の陰に隠れる場合は、測距部21の位置を適宜に移動させ、反対側から反射部22の位置を測定する(
図3における2点鎖線を参照)。ここで、測距部21により、地面上に設置された複数の参照点の位置も測定しておく。
図6Aには、ある位置に設置された測距部21から測定した幹10の断面形状を示す。幹10の陰になる部分は測定されていない。
図6Bには、他の位置(反対側の位置)から測定した幹10の断面形状を示す。
【0031】
ついで、幹形状測定部2は、参照点の位置が同一座標となるように座標変換したうえで、2回分の計測データ、すなわち
図6Aのデータと
図6Bのデータとを合成する。これにより、幹10の一周分の形状データ(断面形状)を得ることができる。得られた断面形状を
図7に示す。ここで、幹10の表面から反射部22までの間に距離があるときは、その距離を補正した断面形状を得ることが好ましい。なお、本実施形態においては、幹形状測定部2により測定される幹10の位置を、レーダスキャン部1により測定される位置と実質的に同じとしている。
【0032】
(
図4のステップSA-4)
ついで、得られた断面形状を用いて、
図5A又は
図5Bに示すスキャンデータについてのマイグレーション処理(すなわち合成開口レーダ処理)を行う。これにより、幹10の断面像を生成することができる。マイグレーション処理においては、比誘電率測定部4で測定された比誘電率を用いる。なお、本実施形態では、幹10の内部における比誘電率を一様なものと仮定している。幹10の内部で生じた電波の反射波は、反射した位置までの往復の時間(前述の伝搬速度を仮定した場合には距離)がわかっているものの、反射波が到来してきた方向はわからない。マイグレーション処理自体においては、電波が反射した可能性のある位置すべてに波形振幅を与える。電波の送信部と受信部が幹10の外周を移動した際に取得した波形全てについてこの処理を繰り返すことにより、真の反射位置では振幅が増幅され、反射していない位置では振幅が小さくなる。このようなマイグレーション処理は、従来から知られているので、これ以上詳しい説明は省略する。
【0033】
マイグレーション処理により得られた断面像の例を
図8に示す。
図8における断面像外周の数字は、幹10の外周方向における距離(メートル)を示す。図中の輝度が高いほど正の高い反射強度であることを示し、低いほど負の高い反射強度であることを示す。
図8によれば、幹内部において反射の強い部分が環状に存在することが観察され、幹内部に環状の腐朽部があると推定できる。
【0034】
(
図4のステップSA-5)
ついで、出力部5は、得られた断面像を出力する。例えば、出力部5は、断面像を印刷し、あるいは視覚情報としてユーザに断面像を呈示することができる。
【0035】
なお、前記実施形態の記載は単なる一例に過ぎず、本発明に必須の構成を示したものではない。各部の構成は、本発明の趣旨を達成できるものであれば、上記に限らない。
【0036】
例えば、前記した実施形態では、比誘電率測定部を用いて測定された比誘電率を用いてマイグレーション処理を行ったが、予め何らかの方法で決定された、あるいは実験的に予め決定された比誘電率を用いてもよい。例えば、多数の樹木を迅速に診断する場合、ある程度一般的に妥当する比誘電率を用いてマイグレーション処理を行うこともできる。
【符号の説明】
【0037】
1 レーダスキャン部
11 送信部
12 受信部
2 幹形状測定部
21 測距部(トータルステーション)
22 反射部(360°プリズム)
23 参照点
3 マイグレーション処理部
4 比誘電率測定部
10 幹